薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会(第3回)議事録

1.日時

令和4年5月30日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 今後の薬学教育モデル・コア・カリキュラムの在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

石井委員、伊藤委員、井上委員、小澤委員、角山委員、河野委員、小佐野委員、小西委員、鈴木委員、高橋委員、長津委員、平井委員、平田委員、本間委員、矢野委員

5.議事録

【井上座長】  それでは定刻となりましたので,ただいまから薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会第3回を開催いたします。
 本日の有識者会議は,傍聴者にYouTubeにてライブ配信をいたしております。
 まずは事務局から,本日の出席状況,それから配付資料の確認をお願いいたします。
【追川係長】  事務局でございます。高田委員から,本日欠席の連絡を受けており,本日15名の御出席となっております。また,前回に引き続き,厚生労働省医薬・生活衛生局総務課よりオブザーバーとして出席いただいております。
 続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。会議次第4,配付資料にございますとおり,資料1から4,参考資料1から4となっております。事前に送付しておりますが,何か御不明な点等ございましたら,事務局に御連絡ください。なお,資料につきましては,文部科学省のホームページでも公表をしております。
 本日の議題は,議事次第にありますとおり,1,今後の薬学教育モデル・コア・カリキュラムの在り方について,2,その他となっております。
 以上でございます。
【井上座長】  ありがとうございます。それでは,議題1「今後の薬学教育モデル・コア・カリキュラムの在り方について」に入ります。資料1を御覧ください。「薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂の検討体制」について,本専門研究委員会の副座長で,かつ,委託先の薬学教育協議会の代表理事,本間委員から説明をよろしくお願いいたします。
【本間副座長】  本間でございます。それでは,資料1に従って御説明いたします。資料1の1ページ,今共有していただいている資料は,私どもの薬学教育協議会で今回の委託研究を受託した実施体制を大まかに絵にしたものでございます。一番上にあるのが文科省,既に開かれている委員会で,この委員会の名前もここにございます。その下が薬学教育協議会の組織と考えておりますけども,まず,薬学教育調査・研究・評価委員会というものを立ち上げております。既に協議会の中ではこの委員会は常設委員会でございますけれども,公的な委託研究等を受託する委員会として設置されているものでございまして,今回もこの委員会をまず動かしたということでございます。名簿については,後でお話をさせていただきます。
 その下に,大項目ワーキンググループ,Bの大項目からGの項目の6つのグループを設定いたしました。班長も既に決まっておりますし,また,班員についても現在まとめているところでございます。6つのグループというのは,その下にBからGまで小さな字で書いてありますけども,Bの「社会と薬学」からGの「薬学研究」まででございます。具体的な活動,つまり今年度はコアカリの完成のために注力をしていきたいと思っておりますけども,具体的な活動をする主体は大項目ワーキンググループということでございます。当然,調査・研究・評価委員会との連携の下で活動をしていくと思っております。
 その下に教科担当教員会議というところが書いてありますけれども,これは,薬学教育協議会の中に既に18個の教科担当教員会議というものが設置されておりまして,6年制薬学教育に関しては17個の会議がございます。そこの会議は,全国の薬系大学から少なくともお一人がそれぞれの会議に参加をしていただいております。国公私立大学全ての大学からでございます。それぞれの担当教員会議に,私ども協議会のほうから,今回の昨年度までにまとめられましたモデル・コア・カリキュラムの素案についての直接的な御意見を伺うということで,アンケート調査の依頼を既にしております。その意見を収集し,そして大項目ワーキンググループ,それからこの調査・研究・評価委員会等でそれぞれの意見を吟味して,最終案のほうに盛り込んでいくというようなスタイルを考えてございます。
 簡単ですけども,以上が実施体制でございます。
 今御紹介した教育調査・研究・評価委員会の名簿が次のスライドでございます。次をお願いいたします。それぞれの構成と書いてありますけども,専門研究委員会,ここの委員会からの委員と,それから協議会推薦,それから教科担当教員会議メンバー代表ということでお願いをいたしました。それから,日本薬剤師会と日本病院薬剤師会からも御推薦をいただいて,委員として入っていただいております。それからオブザーバーとしては,この委員会座長の井上先生をはじめ,医学,歯学の小西先生,河野先生からオブザーバーの参加もいただいております。
 次のスライドをお願いいたします。次のスライドは,先ほど御紹介した大項目ワーキンググループの班長の名簿でございます。BからGまでそれぞれ班長お願いをしております。そして班員についても,今ほぼ固まりつつあるところでございますけども,まとめつつあるところでございます。
 簡単ですけども,実施体制としては以上でございまして,今年度,特に11月末までには,パブコメに供する完成版を作成しなければならないということでございますので,まずそれに全力を注いでいくと考えております。
 以上でございます。
【井上座長】  ありがとうございます。ただいま御説明いただきましたように,それぞれの委員会が役割分担して作業を進めていくということだと理解いたしました。私たちのこの専門研究委員会と直接に最も関わるのは,この調査・研究・評価委員会ということになるのだろうと思いますが,この委員会が俯瞰して全体を見るということ,それには,大項目間の調整等が恐らくこの調査・研究・評価委員会の大きな役割なのではないかと私は理解しております。
 ただいま御説明いただいた事項について,何か御質問がありますでしょうか。各委員におかれましては,オンラインでありますので,まず初めに御発声いただき,発言に至っていただくか,あるいは手を挙げる機能等を使ってリアクションしていただければと思います。よろしくお願いいたします。もし何か御質問等がございましたら,よろしくお願いいたします。
 ここまでのところは,特にないと判断してよろしいでしょうか。そうしましたら,先へ進ませていただきます。
 続きまして,資料2,専門研究委員会(第2回)における主な意見とその対応,これはあくまで案でございます。及び資料3,薬学教育モデル・コア・カリキュラム素案について,本間委員から説明をお願いいたします。
【本間副座長】  本間でございます。資料2を御覧いただきたいと思います。今御説明がありましたように,これは,第2回でございます3月7日に開催されました専門研究委員会におけるいただいた主な意見と,それに対する対応の案としてまとめたものでございます。一つ一つ,簡単にでございますけども説明をさせていただきたいと思います。
 1番目,「全般について」というところから説明をさせていただきます。最初の御意見は,薬剤師としての倫理観の醸成をお願いしたい。社会的背景を前文に書いてほしいということで,昨年度まとめました素案には,前文等のいわゆるイントロダクション的なことはなかったものですから,その部分について御意見があったものと理解しております。これにつきましては,後で御説明をさせていただきますけれども,新しい素案に前文として幾つかの項目を書き加えてございます。御指摘いただきましたプロフェッショナリズムとか倫理観についても記載をさせていただいたところでございます。これはまた後で具体的に見ていただこうかと思います。
 それから2番目の御意見でございますが,学習事項としての例示についての御意見でございまして,これは,あくまで例示で教えていいのかとか,このように記載すると全部教えてしまうのではないかというような御意見でございました。これにつきましても,モデル・コア・カリキュラムの構成,前文の中のある章に学習目標と学習事項についての説明を少し膨らませたところでございますので,また後で説明をさせていただきます。
 それから次の意見,4つほどございますけども,これは主に学習事項の取り上げ方と申しますか,例示についての御質問,御意見だったと思います。これについては,学習事項が例示である,あるいは取り上げ方にいわゆる重要度が少し,いろいろな御意見があったかなと思います。それにつきましては,これまでの素案の作成の段階では,各領域間での十分な調整が行われていないと思っております。今後,私どもの協議会で自作をさせていただきましたので,先ほど御説明いたしました委員会あるいはワーキンググループ等と十分な領域間の話合いを持たせていただいて,いわゆる重要度とか内容の深さ,学習のレベル,書きぶり等について整えていきたいと考えております。
 全般については以上でございます。
 2番目,大項目名について。大項目名はいろいろな御意見をいただきました。最初のところでございますけれども,「科学的根幹としての基礎薬学」という大項目名を最初挙げさせていただいたんですけれども,そのいわゆる冠に当たる部分につきましていろいろな意見をいただいたところでございます。これもいろいろ議論を重ねて,最終的には,そういう冠についてはいろいろな御意見があるので,取ってしまおうということになってございます。この横を見ていただくとおり,「科学的根幹としての基礎薬学」を「基礎薬学」ということで修正をすることにいたしました。
 それから次でございます。次の御意見は,「薬学臨床」という名前についての御意見かなと思います。私どもの考え方は,その右側に記させていただきましたけれども,Fを「臨床薬学」という名前に変えたわけでございますけれども,この名前にした理由というのが,個々の患者への薬物治療を学ぶという意味で「臨床薬学」という大項目名とした意図がございます。その意味はでございますが,事前学習あるいは実務実習ばかりではなくて,実習後の学習等を含めて,6年間全体にわたって習得すべき内容が,この「臨床薬学」の中に入っているというような考え方をしております。現在の「薬学臨床」という名前であると,実務実習が中心の内容のイメージを引きずってしまうのではないかという心配がございまして,「臨床薬学」という名前に変えさせていただこうと考えているところでございます。
 次の御意見ですが,これも先ほど申し上げたとおりです。項目名の冠の部分です。いろいろな副題をつけたらどうかとか,あるいはキャッチフレーズをつけたらどうとかといういろいろ意見をいただいたんですけれども,それぞれにはまた同じような議論が起こるのではないかということで,冠の部分は全て削除して単純な名前にしようということに落ち着かせていただいております。
 次のページです。上に書いておりますけれども,先ほど御説明したとおり,「科学的根幹としての基礎薬学」は,「基礎薬学」と修正し,「臨床へ繋げる医療薬学」も「医療薬学」と,シンプルな形にさせていただこうということになりました。
 以上が全般についての御意見に対する対応案でございます。
 3番目,それぞれの領域から御意見をいただいておりますけども,まず,A領域についての御意見です。これも前々からいただいているところでございますけれども,アウトカム基盤型教育や資質・能力のそれぞれについての関係性について,Aに書き込むようなことはないのですかという御質問をいただきました。これについても前文のところに書きましたので,後で御説明をさせていただきますけれども,関係性について,表等をつくって記載をさせていただきました。これは後で御覧いただきます。
 次のB領域についてです。B領域については具体的な御意見をいただいておりました。学習目標を見ていると,イメージが細くて,学生が主語であるということがないがしろになっているのではないか。主役が薬剤師のように書かれているので,修正を求めたということでございます。対応案としては,具体的なB-1-3の小項目の3)の表現を修正したということでございまして,具体的には資料3のP.20ですけども,今,時間の関係で,この紹介だけにさせていただきますけれども,後で御覧いただければと思いますが,この部分の3)の表現を下の下線の部分のように修正をさせていただきました。学生が主語となるように修正をさせていただいたところでございます。
 次,5番目,D領域についてでございます。D領域については幾つかの御意見をいただきました。ライフサイクル,例えば患者の年齢で薬の量や種類が変わる,患者中心の内容にしていただきたいという御意見でございました。私どもの考え方は,先ほども御説明いたしましたけれども,Dの領域,いわゆるDの医療薬学の領域では,一般論を勉強するという内容と捉えております。ライフサイクルに合った代謝機能等から薬物の投与計画と注意点を学んで,その一般論を学んだ後に,Fの臨床薬学で患者中心,患者個々に対する薬物治療を勉強するというような組立てを考えております。したがって,御意見の部分につきましては,Fの臨床薬学の中で捉えた,まとめたと考えております。以上がこの御意見に対する対応案でございます。
 次は,発生,発達,老化の学習はライフサイクルを考える上で必要ではないかという御意見でした。これについてもD領域につきまして御対応いただきました。加筆修正をいただきまして,D-3-5の「患者情報」の小項目に,学習事項の例示の部分ですけれども,(2)として新しい学習事項を加えていただきました。下線のとおりでございます。
 次のページをお願いいたします。次のページは,高齢者の患者ばかりでなく,小児患者についても対応が必要ではないかという御意見でございました。これにつきましても加筆修正をいたしました。D-3-5の「患者情報」というところの小項目の学習目標1),2)の部分の修正でございます。1)の修正が下線部のように修正をさせていただき,2)については,新しく下線部のような文言,文章を加えていただきました。
 それから,その同じ小項目ですけれども,「学習事項 例示」のところ,(1)と(2)に当たりますけれども,(1)につきましては下線の部分のような修正をしていただき,(2)については,新しく下線の部分の文章,言葉を加えていただきました。
 次の御意見ですけれども,次の御意見は,歯科治療の知識と学習項目を加えてもいいのではないかという御意見でございました。これにつきましても加筆修正をさせていただいております。口腔ケアのうちセルフケアに関わる事柄を追記したということでございまして,歯科の疾患や訪問歯科診療への関わりについては,今後さらに,具体的なことでございますが,ワーキンググループで等で検討したいということでございます。「セルフケア,セルフメディケーション」というD-2-22の小項目に新しく文章の修正を加えていただいたということでございます。学習目標1),4)のところ,1)につきましては文章の修正を,次のページに渡ってしまいますけれども加えていただきまして,4)につきましては,次のページの言葉を新たに加えていただきました。
 同じく,その小項目の「学習事項」についても,それに対応するように,(1)と(4)に対応するところですけれども,(1)については修正の文章,それから(4)については新しい学習事項を加えていただきました。
 D領域については以上でございます。
 次,F領域でございますけれども,最初の御意見は,患者の服薬行動について,薬剤師は患者の服薬管理を行うので,そういった言葉を入れていただきたいという御意見でございました。これも記載を追加させていただいております。F-1-1の小項目の学習目標5)のところですけれども,下線の部分のような言葉を追記させていただいております。
 次の御意見です。在宅療養への支援,退院支援などへの関与を記載していただきたいという御意見でございますけども,これにつきましては,薬剤師の在宅支援については,内容を既に充実させているということでございますけれども,これを別項目として立て,さらに充実させるかどうかについては,今後,協議会の中の実施体制の中で検討させていただきたいということでございます。
 次の御意見です。小児,救急,栄養が弱いと指摘を受けていることがあるが,どうですかという御意見ですけれども,これは,既に記載している内容としてF-1-1「薬物治療の個別最適化」という小項目に,学習事項(9)と(10)の部分が既に書かれていますよという対応案でございます。
 それから,さらに記載を追加した部分は,F-1-3の部分,「多職種連携による薬物治療」のところですけれども,その学習目標に,次のページにかかってしまいますけれども,下線の部分の「救急医療」という言葉を追加したということです。それから学習事項では,(1)のところの「救急医療」というところをまた加えたということでございます。それから,既に記載している内容ということで書かせていただいておりますけれども,F-3-1のところの小項目には,学習目標の3)に既に「救急対応」という言葉があるということでございます。それから,さらに記載が追加されておりますF-3-1のところには,学習事項の例示として,(2)に「栄養管理など」という言葉を加えて,御意見に対する対応をまとめたということでございます。
 次,7番,G領域についてでございます。御意見は,Pharmacist-Scientistについて,海外ではScientistに重きを置き,誤解される可能性があるという御意見でございました。これにつきましては,まだまだ調査が足りないということでございますので,海外での用語の使用状況を踏まえて,今後検討させていただきたいということでございます。
 前回の委員会でいただいた意見に対する対応案は以上でございます。
 次,資料3を御覧いただきたいと思います。先ほども御説明をさせていただきましたけども,主に前文に当たるところを御説明をさせていただきたいと思います。
 この素案2ページ目から,目次をきれいに書いていただいております。
 6ページを御覧いただければと思うんですが,6ページ目から,いわゆる前文に当たることを書き加えさせていただきました。Ⅰは「はじめに」ということで,イントロダクション的なことをここでまとめさせていただいております。それから,「Ⅱ 総論」ということでございますけれども,これは既に御覧いただいておりますけれども,今回のモデル・コア・カリキュラム改訂の基本方針とまとめさせていただいて御覧いただいていた内容をそのまま追記したものでございます。若干変わっているところは,このモデル・コア・カリキュラムが改訂を終えたという立場での表現になりますので,過去形にはなっておりますけれども,基本的な内容は前回御覧いただいた内容そのものでございます。
 それが7ページにわたって書かれておりまして,8ページ目からは,これは少し重要なところでございますが,「薬学教育モデル・コア・カリキュラムの構成」という表題になっております。この部分は,モデル・コア・カリキュラムの中身の大項目の構成,また,それぞれの大項目の中の項目について説明を加えられた部分です。一番最初は,大項目名がAからGまで書かれております。Aは「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」がこの一番最初に掲げられておりまして,BからGまで順番にそれぞれの大項目が挙げられているということでございます。
 その下でございますけれども,これは,大項目それぞれにどのような項目が記載されているかということを説明している部分になります。それぞれの大項目につきましては,最初に「学修目標」ということが記載されております。「学修」の「修」は修めるほうでございます。この学修目標につきましては,大項目Aに掲げられている「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」を獲得するために,当該大項目の学習内容に基づいて設定される学習成果というものをまとめてあるということでございます。繰り返しですけれども,これまでずっと申し上げているとおり,Aの「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」というのは,生涯にわたって研さんを積んで獲得しようとするものだという立場でございますので,それに向かっての目標ということでまとめられたものでございます。
 それから,次に書かれているものが,「評価の指」針ということでございます。
 その後は,それぞれの大項目は中項目にまず区分をされまして,さらに小項目に区分されております。それぞれの小項目につきましては,そこに書きました「ねらい」,それからこちらは習うほうですけれども「学習目標」,「学習事項」の3つが書かれております。一部の大項目では,この形が変わった形で書かれているところがございますけれども,ほぼ全ての大項目にこの3つが掲げられております。
 まず,「ねらい」ですけれども,「ねらい」の中には特徴的な表現がございまして,かぎ括弧で書かれております「他領域・項目とのつながり」というところで,以下に書いてありますけども,「この小項目を学ぶために関連の強い項目」と「この小項目を学んだ後につなげる項目」という2つに分けて記載をされております。つまり,関係性がここではっきりと明記されております。これまで学んできたことがどのようにつながってくるのか,この後どのようにつながっていくのかということでまとめられております。
 それから次が「学習目標」でございます。「小項目での学習内容について,概念的な理解を示す。」と書いておりまして,概念的であり,また,総括的なまとめ方をされておりまして,実はこの「学習目標」というのが,今回のモデル・コア・カリキュラムの本体と言ってもいい内容でございます。それを達成するために,どのような内容のカリキュラムをつくるかというものは,各大学で具体的なカリキュラム作成に取り組んでいただきたいということでございまして,その概念的な理解として「学習目標」が掲示されている,掲げられているということでございます。
 それで,次に書かれているのが「学習事項」でございます。「学習事項」というのは,今申し上げたモデル・コア・カリキュラムの本体である「学習目標」を達成するために,それぞれの目標に到達するために,どのような知識が必要であるか,技能が必要であるかということをあくまでも例示として示したという立場で書かれたものでございます。基本的には,先ほど申し上げたとおり,各大学で「学習目標」を読み解いて,どのような内容が必要であるかをそれぞれの大学でお考えいただき,大学独自のカリキュラムをつくっていただくというのが我々の考え方でございます。
 「学習事項」につきましては,専門用語で記載されております。テクニカルタームがほとんどでございます。これまでの,今現在のカリキュラムのSBOsのような表現にはなってございません。動詞はついてございません。ここでちょっと読ませていただきますが,例えば,同じ事項であっても「~の仕組みを説明できる」とか「~を実施できる」といったような評価とか方略を書いたものではございません。ですので,この我々の素案では,この部分をはっきりとは規定しておりません。評価・方略については一切記載をされておりません。したがいまして,上に掲げました「学習目標」に到達するために必要と考えられるカリキュラムについては,各大学で,それぞれの理念あるいは自己のポリシーに従って大学独自で構築をしていただくということが我々の考え方でございます。
 ちょっと説明が長くなりましたけど,この部分については重要だと思いましたので,説明をさせていただきました。
 9ページ目からは,各大項目の作成方針ということでまとめさせていただいております。少し長い文章ですけれども,素案を昨年度までまとめさせていただいた段階での作成方針ということで掲げさせていただいております。これは,最終案に向けては,もちろん今後修正の可能性があるところでございます。12ページまで,その各大項目の作成方針をまとめてございます。
 13ページは,これも先ほど御説明いたしました,前回のこの専門研究委員会でいただいた御意見に対する対応の一つでございます。「Ⅴ 大項目「A 薬剤師として求められる基本的な資質・能力」~「G 薬学研究」の関連性」についてをまとめたものでございます。これは,改めてまた申し上げますけども,Aの「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」というのは,薬剤師として生涯にわたって研さんを続けて,そして獲得を目指す,そういう資質・能力として我々は捉えております。一方,モデル・コア・カリキュラムは,薬学教育の6年間のいわゆるコースワークとしての中身を書いたものでございます。したがって,6年間の学習においてどのような学習目標を掲げるかにつきましては,各大学でそれぞれのアウトカムを掲げていただくと考えております。したがって,その各大学がおつくりになった学習成果と,各大学が詳しく書かれましたそれぞれのカリキュラムとの関係性については,カリキュラムマップのようなものをそれぞれの大学でおつくりになっていただくことになると思います。
 一方で,このモデル・コア・カリキュラムとして,我々が薬剤師として求められる基本的な資質,これは生涯にわたって求められるコンピテンシーでございますけれども,それとの関連のイメージを1つまとめてみようかということにいたしました。今申し上げたとおり,各大学でつくられるカリキュラムのイメージとは当然異なるものでございますけれども,我々の考えるイメージとしては,下に書いたような図を考えたということでございます。それぞれの各大学でそういうものをつくられるときの一つの参考としていただければありがたいいうふうな気持ちでございます。13ページが以上の内容でございます。
 14ページは,「Ⅵ」に相当します。これも前回の専門研究委員会での御意見に従ってまとめさせていただいたものでございます。これは,Aに掲げました「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」とモデル・コア・カリキュラムの中の中項目との関連について,表をまとめさせていただいたものでございます。改めてまた申し上げますが,Aの「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」というのは,生涯にわたる研さんによって獲得すると捉えております。ですので,6年間で学ぶコースワークであるこのモデル・コア・カリキュラムの全てがここに関わるのは当然でございます。どれが特に大事だということはございません。全てが大事だということではございますけれども,それぞれの中項目の中を比べたときに,特にそのAのコンピテンシーとの関連が強いもの,あるいはそれに準ずるもの,それがどういうものかということを少し表とさせていただいたというのがこのものでございます。
 それが15ページの大きな表としてまとめたものでございます。一番上になっているところが,横軸に当たるのが「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」でございまして,これは10個ございます。縦軸に相当するのが,BからGまでの大項目ということでございまして,それぞれの大項目の中の中項目が書かれております。それぞれの中項目を取り上げたときに,その中項目の中で,10個の中のコンピテンシーと特に関係があるものを二重丸,それに準ずるものを丸という形でまとめていただきました。繰り返しますが,全ての内容は,Aの「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」と非常に強い関係がございます。特にこの一部を強調するということが意図ではございません。むしろ,その中項目の中で関係性の強弱というか,そういうものを理解していただくということでございます。ほかは関係ないというつもりは全くございません。それが15ページの表でございます。
 次のページをお願いいたします。次のページからは,言わばカリキュラムの本体に相当するわけでございますけれども,まず,Aの「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」ということで掲げてございます。これはもう既にいろいろなところで御紹介をさせていただいたところでございますが,1の「プロフェッショナリズム」から始まりまして,10番の「社会における医療の役割の理解」というところまで,改めて書いたところでございます。これは,また繰り返しですけども,文科省の御指導の下,医学と歯学と薬学で,この文言はそろえたということでございます。ただ,7番目の「薬物治療の実践的能力」というところは薬学オリジナルの名前となってございます。この部分につきましては,医学と歯学につきましては患者ケアの診断能力ということで名前は違っていますけども,それ以外につきましては全て同じ名前ということになっております。それぞれの説明文につきましては,ここに書かれた文章は薬学のオリジナルとなっております。医学と歯学でそれぞれ別々な説明文になっております。
 17ページでございますが,これは,今御説明した「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」を生涯にわたって目指すわけでございますけれども,それを目指す薬剤師像として,少し説明文として加えたということでございます。特に新しい内容はございませんけれども,文章として学生さんに読んでいただくということでまとめたものでございます。
 以上が前文に相当するところかなと思います。
 18ページ以降は,それぞれの大項目,18ページからはBの「社会と薬学」,以降,C,Dとずっとなってございます。最後のGまで素案を掲げております。先ほど御説明いたしました個々の内容についての修正も既にここに書き加えられておりますので,個々の説明は時間の関係で省略させていただきますけれども,後で御確認いただければ幸いでございます。
 以上が私からの説明でございます。よろしくお願いいたします。
【井上座長】  ありがとうございます。資料2についてですけれども,これは,いろいろと御指摘をいただいたものについて真摯に受け止めて,対応し得るところは対応しようとしているというようなお話であったかと思います。最終的なところで,またさらにいろいろな修正等が加わっていくでしょうから,これが確定したというようなものではもちろんありませんけれども,対応しようと最大限努力しているというのをお示しいただいたと理解しております。
 資料3のほうですけれども,これは非常に多岐にわたっておりますので,少し領域ごとに区切って質疑応答の時間を設けさせていただきたいと思います。
 まずは,資料3の6ページから15ページに記載のある前文,それから17ページから18ページのA領域についての質疑応答とさせていただきます。座長としては非常に僣越なのですが,幾つか課題を提示させていただきます。
 まずは学習事項についてです。これは,資料3の8ページに,今,本間委員から御説明をいただいたことになります。前回の当委員会でも,この学習事項について,特にこの「例示」というあたりなのですが、様々な御意見がございました。この辺のところについて,なかなか明確なコンセンサスがきちっと取れているかというと,必ずしも取れていないような気も私自身はいたしております。この学習事項,あるいは学習目標に続く学習事項,この辺について,領域ごとにちょっとずつニュアンスも違ったり,いろいろなことがありますので,もう少しクリアな構成といいますか,あるべき姿を明確にできるものだったらしていきたいなと思います。この専門研究委員会で方向をもし示せるのであれば示して,それを委託先にさらに検討していただくという方向にしたらどうかなとも思っています。
 いろいろなやり方があり得るかと思いますがも,例示というのは,これは本来の今回のコアカリの改訂のメインなものが,学習目標まで示して,そこから先の細かいことは大学に任せるというのを徹底しようとしたら,例示なんていうところの学習事項はなくてもいいということにもなるわけですね。ですけども,そうすると,その場合にはかなり手当てをしなきゃいけない。どういう手当てをしなきゃいけないかというのは考えなきゃいけないのですけども,さらに,例示を示すという立場に立つと,前回の委員会でも出たと思うのですが,なかなかこれは難しい問題があって,ここで,例えばミニマム・リクワイアメント,最低限これだけは示す,それ以外のものについては大学が自由に考えてくださいというようなやり方もなくはないのであろうと思います。ただそれは,そのやり方をしますと,SBOを完全にカットした,あとは大学の自由に任せますというような視点からすると,若干後戻りしたような感もなくはないという感じがするわけです。これは大項目ごとによっても,多分状況が違うかもしれません。例えば領域のC,「基礎薬学」の部分に関しては,研究もそうですし,それから教育もそうなのですけれども,ある意味では,非常にウエル・エスタブリッシュトされた領域だと思います。この領域に関しては,もしかすると,学習目標だけ示せば,あとはかなり自由に各大学が事項を設定し得ると思うのですけども,その他の項目については新しい項目も入りますし,様々まだまだ完全にエスタブリッシュトされたとは言えないような領域ですので,ここについて学習事項を完全に任せちゃうというのは,これなかなか難しい点だろうとも思います。そういうことで,ある意味では妥協の産物として例示というのを考えられたのだろうなと思います。
 ということで,この辺のところを最終的にどうするのかというのをある程度明確に示していったほうがいいだろうと思います。一般的に,今までの現行のコア・カリキュラムと違う点がSBOをなくすと,では一体どうなるのだということを皆さん非常に気にされているわけでありますし,この辺のところに関しては非常に明確な,大まかな線を示して,それで検討していくとしていただければと思います。この委員会は極めて重要な意味を持っておりますので,ぜひ御意見をいただいて,できることだったら,大まかな線でまとめて,委託先に,この線でまずは検討してみてくださいと言えたらいいなと思っております。
 ちょっと長くなりましたけども,この点について,まずは御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 どうぞ御意見,よろしくお願いします。どうぞ,伊藤先生,よろしくお願いします。
【伊藤委員】  私の考えが正しいかどうか全く分からないんですが,私はこの会議に薬学共用試験センターの立場で出ておりますので,共用試験をやるという観点から考えますと,共用試験でどういう項目を出すのかという,それは今はSBOで規定されているのです。各SBOに対する問題がつくられて,それが出題されています。この委員会で前からお話ししているんですけども,この学習事項の例示がないと,一体大学でどこまでを教えればいいのかということが全く分からないわけです。そうすると,薬学共用試験をやるときには,恐らく共用試験センターで,こういうものを出しますよというものをつくって,それで,全国薬科大学長・薬学部長会議の承認を得るという手順を踏むことになると思います。そうでないと,各大学は1年から4年時までのカリキュラムがつくれないと思うんですね。そういうことを考えますと,どこかではとにかく規定しないとその先へ教育が進まないということを私は心配しております。
 取りあえず現時点で私が考えていることは以上です。よろしくお願いします。
【井上座長】  そのほかといいますか,それぞれの先生方からぜひ御意見を伺いたいと思います。石井先生,よろしくお願いします。
【石井委員】  石井でございます。
 やはり大学を卒業するときには一定の力を持っているということ前提でございます。どの大学もこの程度の力をつけて欲しいということがありますので,ある程度ここまでは学習するという目安は必要だと思います。さらに,医療ということを考えますと,やはり医療は標準化ということを図っていかないと,医療安全も保てません。その両方をうまくバランスをとるところで学習項目が決まっていくと思います。
 先ほど井上先生がおっしゃったミニマム・リクワイアメントというのがその標準化に入ってくると思いますので,ここまではやりましょうということが示せればいいかと思います。
 プラスアルファの部分は,その大学の特徴とか目標とか,医療現場においては,例えば実習を先での特徴を持った実習というのをやればいいと思いますので,まず基準を示すことが重要だと思います。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。
 小澤先生。
【小澤委員】  ありがとうございます。今皆様がおっしゃっていることと同じなんですけれども,先ほどの,本間先生が御努力されて,前回出た御意見を挙げられている,修正されています。あれを拝見すると,やはり先生方の頭の中にもこれが少なくともコアだなというのはあるんですよね。でなかったら,それは加わっていないので。なので,やはりどうしてもここがコアだと思うんです。
 資料3の77ページ目を見ていただいて結構ですか。前から気になっているのがここの点なんですけど,77ページ目です。すみません言い間違えましたっけ。ここの「学習事項」の「例示」を見ていただきますと,僕の認識では,「例示」というのは,これだけじゃありませんよ,ほかにもありますよという意味だと思っています。見ていただきますと,「消化性潰瘍,機能性消化管障害,悪心・嘔吐,下痢,便秘,ウイルス性肝炎,膵炎」,これは違うレベルのものがごちゃっとここに入っているんですよ。例えばウイルス性肝炎は大切です。もちろん僕も教えていますけども,それがメインになりますけども,今はNASHも出てきていますし,それから小児性とかあります。ここでウイルス性肝炎と膵炎が並んでいると混乱をするんです。これはもう「肝炎」でいいんですよね。「肝炎,膵炎」とあればいいんです。
 もう一つ言えば,その前の悪心・嘔吐とか下痢とか便秘は,ここら辺のことを教えるときに,これを飛ばして教える人はまずいないんですよ。それは,ここは症状であったり症候であったりというふうなレベルになっているんです。したがって,例えばですけども,ここの例示では,「消化性潰瘍,機能性」,まあここもちょっと微妙かなとは思いますけども,「機能性消化管障害」,そして「肝炎,膵炎」とされて,いわゆるレベルとしてこういうふうなものを合わせてくださいというふうなことを示されれば,それぞれの担当協議会の先生でちゃんとされますので,きちんとレベルを合わせて示してくださるのではないかと思います。
 さらに,疾患名については,やはり我々は,一般用医薬品でない限り,基本的には処方箋に従っていくというふうなことですので,そうなると,医学のものをちょっと横目で見ながら,何かどこかで聞いた話だとレベルに合わせておられるそうなので,3段階ぐらいに分けられているそうですので,そういうふうなものを見ながら,それの大切なものをこの「学習事項」の「例示」に漏れないように入れてくださいというような依頼をこの下の作業部会にお願いされれば,僕はちゃんとしてくださるような気がしています。
 すみません,長くなって申し訳ございません。以上です。
【井上座長】  小澤委員のご意見としては,この「例示」というのは残すことでよろしいですか?
【小澤委員】  いや,「例示」は,僕は本当はなくしたほうがいいと思っていますけど,最終的には残してもいいと思っています。で,「例示」の意味は,これ以外にもありますよというふうな意味合いになるんだろうなと思っております。
【井上座長】  ミニマム・リクワイアメントではないのですね,先生のご意見は。
【小澤委員】  できるだけミニマム・リクワイアメントに近づけて,その上で,それ以外もあるよということなんだろうなと思っております。
【井上座長】  分かりました。
 河野先生,小西先生は後で御意見を伺うとして,小佐野先生,お願いします。
【小佐野委員】  帝京大の小佐野です。
 今,小澤先生がちょうどDのところをばっちりと指摘していただいて,まさにそのとおりで,これはちょっと悩んで,僕らも即席でつくったところがあります。一番大事なのは,ミニマム・リクワイアメントというよりも,その病気・疾患の概念が伝えられる代表的疾患を挙げて,そして具体的に出していく。一番僕たちが心配したのは,一時の国家試験のように,一生巡り会わないような病気が卒業時に出ることは避けたい。だけれども,卒業してすぐに,こんなこと知らなきゃ駄目だよねというもの,あるいは実務実習に行ったときにここまで押さえておいてほしいなというところは必要である。ただ,それを全部書くと,今度は議論が統一化できない。ですから,そうなると,その例示として,例えばこんなところ,疾患の概念はこんな病気でいきましょう,具体的には例えばこんなものはいかがですかというまとめ方をしたかったんですが,非常にそこが先生方を信用しないといけないというところで,今,小澤先生の指摘はまさにそのとおりで,こういう粒の違いは,例においては特に悩んでいました。ですから,疾患名は一番たくさん出したらいいか,出さなかったらいいかという,ここを統一しないと,今までのカリキュラムと同じになってしまうので,ここは今とてもいい意見で,先生がこれから一緒にやっていくのには心強いと思いました。
 ただ,私としても,やはりこの例については,ある程度目標とはちょっと違った形で,大枠や概念や,あるいはその資質のものをうまく取り込んで,例示というか,その枠の中で学習事項と書けたらいいのかなと思いました。くれぐれもそのときに各大学には,これだけやればCBTが受かるよという発想ではないよねというところが必要なんだと思います。各大学は,どうやったらCBTに受かるかということももう分かっていると思いますし,実務実習に向けて何をやればいいか,あるいは国家試験をよく分析すれば,今の薬剤師に厚労省が何を求めているかが明確に分かりますので,それをCBTが困るとか,国家試験が困るからというのではなくて,やはりここは一緒に考えていって,各大学で必要なものをつくり,現場の要請,ニーズに合った形の教育をしていかなきゃいけないのかなと思っています。そんな意味で,学習事項というのは,今僕は,例は小澤先生の言ったとおり,それからそれ以外のところは,やはり概念が分かる,その目標にこういう概念で到達できればいいんだということにつながればいいなと思っています。
 ちょっと長くなりましたが,以上です。
【井上座長】  鈴木委員,お願いします。
【鈴木委員】  名市大の鈴木です。正直言って,先ほど伊藤先生が言われたみたいに,目標だけではカリキュラムがつくれないというような,それはちょっと,大学教員という教育のことをする人は当然できなきゃいけないと思うのですけど,ただ,医学・歯学のやつを見ていただくと,丁寧に一個一個の目標をある程度説明しておられるのですよね。だから,もっと言うと,歴史的にそういうものであるので,医学といったらこういう流れというのが,多分どこの大学もすごく共通であると思うのですけど,薬学は,残念ながら現在だと教育については医学ほど進んでいなくて、基礎の部分は多少固まっているかもしれませんが,井上先生が言われたみたいに。そういうふうに考えると,やはりまだまだ知識の領域だと。僕は学習事項は知識の領域,先ほど小佐野先生が言われたみたいに,上の学習目標はどうやって使うか,その知識はこういう知識の群というか,こういう知識の領域ですよというのを示してあげないと,今の薬学では、学生がまず理解できないのではないかなと思っています。ですので,学習事項というのは,もちろん,今,小澤先生が言われたみたいにまだまだ検討の必要があると思いますけども,当然これを入れておいていただかないと,今度のコアカリでは理解が難しいのではないかなと思います。
 それともう一つ,Fの領域は,先ほど石井先生が言われたみたいに,医療はどんどん変化していますので,この学習事項そのものがどんどん変化していってしまいます,毎年ぐらいの状況で。ですので,そこのところもうまく入れ込んで,今考えておりますのは,F領域は,この学習事項をまたさらに説明するようなコアカリとは別の手引のようなものを考えております。
 私のほうは以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。
 高田先生。
【本間副座長】  今日は欠席だそうです。
【井上座長】  そうですか。では、高橋先生,お願いします。
【高橋委員】  ありがとうございます。Cについてなんですけど,先ほど先生は確立した領域とおっしゃってくださったのですけど,少なくとも医薬品化学の部分については,例えば今,本当に医療がどんどん進んでいまして,核酸医薬とか抗体医薬とかというようなことを学生さんに学んでいただかなくてはいけないのだと思います。今後もどんどん変わっていく可能性がありますので,やはりCの領域であったとしても,ちゃんとした細かな項目みたいなものはちゃんと学習しましょうというのを一つ一つ出してあげることは必要ではないかと考えています。
 ミニマムでいいかというのは,私は今ちょっと悩んでいます。何かSBOの縛りをなくそうと思って始めたこの動きが,ミニマムになってしまったことで,逆にじゃあそこだけ教えればいいのではないかとなってしまうのもどうなのかなと,そこは悩みどころで,この「例示」という言葉がよくなかったのかな,そこをまず変えるところから,何かもっといい言葉があればいいなと,私は思いつかないのですけど,皆さんで考えられたらいいなと思っています。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。確かに,ミニマム・リクワイアメントというのはちょっと危険な感じはしなくはないのですけども,ではどうすればいいかというのは本当に悩みのところで,難しいところだと思います。
 長津先生,いかがでしょうか。
【長津委員】  御議論を聞かせていただいている中で,とにかく一番よろしくないなと思うのは,領域ごとで「例示」のレベルが違うという点で,レベルというのは,ここは非常に微に入り細に入りお示しいただいているが,こちらの領域は非常に大ざっぱな表現という,そういった差はあってはならないと思っております。それをどこかで統一した上で,「例示」というのは非常に親切な項目ですので,あったほうがいいとは思っていますし,例えば「例示」がありますが,この「例示」というのは,こういう解釈をしてくださいという,そこが統一して理解いただければいいのかなと思っています。ですから,その細かさに関しましては,先生方の御議論ですり合わせをした上で,どこかでレベルを統一すればよろしいのかと思います。その細かさがどこが着地点なのかというのは,申し訳ありません,私も教育の現場にいるわけではございませんので,どう対処したらいいか分かりませんが,ただ,読み手としては,統一感がないと,それは非常に困るのではないかなと思っております。
 以上でございます。
【井上座長】  ありがとうございます。領域によって状況がちょっとずつ違うということは多分あるのだと思います。だから,完璧に領域を平均化しちゃうというのは,もしかすると難しいのかもしれません。やってみないと分からないとは思いますが。ごもっともな御意見だと思います。
 平井先生,いかがでしょう。
【平井委員】  平井です。ありがとうございます。
 私は,小澤先生や小佐野先生がおっしゃっている概念を教えるというのは最も重要だと思うのです。それで,今のままのこれをぽんと出すと,結局,前のときのコア・カリキュラムみたいに,SBOsを一個ずつ潰していくみたいな教え方になってしまう。でも,それだけは避けたいので,例えば先ほどの疾患名にしても,今の学生さんたちは覚えるのはすごく得意なので,項目がどれだけたくさんあってもみんな丸覚えするのですよ。全部覚えてしまうのですが,だけど,それだと使い物にならないのですよね。だから,じゃあ病気についての概念というのはどういうものかということを,今後,体の構造や生理活性から,それが異常を起こすと病気になるという,そういうところから理解できるようにして,全部教えなくても自分で考えられるような能力をつくるような,そういう教え方をしないといけないと思うのです。だから,項目というのは,もう年々教える内容は変わっていって当然だと思うのです,医療というのはそういうもので。それで,医学とか歯学は細かく書いていらっしゃいますけれども,あれは,先生方はみんな分かってはるから,それを全部なめるように教えるんじゃなくて,そういうものだということで,現場に合わせた教え方をされていると思います。だから,薬学もその感覚でいって,これはあくまで例示ですよと,これをクリアすればCBTに通るとか,そういうものじゃないですよということを,口を酸っぱくして教員の先生に伝えるということが私は一番大事じゃないかなと。それよりも,そういうことを一個一個潰していくよりも,どうやったら考え方を教えられるかということを教員会議で話し合って,それに基づいてカリキュラムをおつくりになるのが一番大事じゃないかなと思います。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。
 平田先生。
【平田委員】  遅くなってすみませんでした。
 私は,学習事項を考えるときは,1つ上の学習目標とセットで考えないといけないと思っています。さっきのミニマム・エッセンシャルとか「例示」とすると,どうしてもSBOsのイメージが,それだけ議論すると離れないんですよね。だからむしろ,先ほどまさにおっしゃったとおりで,いかに概念化して考える形で学習目標をつくるか。それによって各領域で学習事項に落とし込まれることは違うと思います。さっき長津先生がおっしゃったんですけど,確かに,言い回し的にはある程度そろえていかないかんと思うんですけど,Cだって階層があります。物理から例えば生物に至るまでとか生命に至るまでということで,あとは,例えば,D,E,Fと進むに従って,概念化と言いながら行為が入ってくるので,その概念化自体も難しくなってくると思うのです,表現するのが。だから私は,一番大事なのは,学習目標の表現をしっかりみんなで議論して,こういうふうに書けば概念化になるんだねという,もうやることは,学習することは決まっているわけですから,それをどうやったら文章になるかというところが,まさにさっき長津先生がおっしゃった言い回しというところはそこに逆に当たるのかなと思っています。そうすると,何を入れるべきかというところは,SBOじゃなくて,そうすると,ミニマム・エッセンシャルでも「例示」でもしっかり,あとは説明すれば大学のほうがやるという形になると思うので,いきなり学習事項だけを議論しても成り立たないのかなと。いわゆる感覚的にはSBO的になってしまうのかなと思うので,もう少しそこら辺りを合わせた議論が必要なのではないかなと。
 あと,すみません長くなって,やはりEもかなり今回は,社会・集団になっていますので,さっき言ったように,人に対して,社会に対してどういうふうにアクションを起こすかという,そこの部分の概念化というのは非常に難しいので,そこはまた別個に,D,E,Fあたりで少し議論しないといけないところなのかなと思っています。いわゆる考えるという,概念化する,一般化するというのを学生がしっかり分かるようなものをつくっていかないといけない。そういう意味では,ちょっと文章がそろっていないのかなと感じていました。そこは議論すれば多分突き詰められるところではないかなと思いますので,すみません,ここから検討が必要かと思っています。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。学習目標というところが極めて重要であるという,これは,皆さん何の異論もないところで,そこを何とかしなければならないということで,しっかりとそこを議論していただいて,ともかく学生に分かりやすいような構成にぜひしていただきたいと思います。
 矢野先生,いかがでしょうか。
【矢野委員】  ありがとうございます。矢野です。
 今先生方がおっしゃったように,やはり学習目標と学習事項の例示が,項目ごとによって,学習目標がしっかり書いてあるからそれの抜粋を取っているところと,学学習目標の例示をしているところと両方あるのかなというのを見せていただいていました。学習目標をしっかり書くとSBOに近いものになって,今度の改訂ではSBOをなくすということですから,それはそれでもともとの意向とは違うのかなとも思います。そうですね,どうしたらいいでしょうかね。学習目標の抜粋ではない,例示があったほうがいいんですかねという,そこがちょっとよくわからないです。全体として統一したものをつくっていくという,そこのところは御議論いただいたらいいなと思いますけれども。
 すみません,いいかげんなことを言っています。以上です。
【井上座長】  それでは,ちょっと領域の違う先生方から御意見を伺いたいと思います。河野先生,いかがでしょうか。
【河野委員】  ありがとうございます。河野です。
 皆さんの議論を聞いていまして,コアカリが全体の薬学教育の何割かというところを考えて学習目標を立てられていると思います。ちょうど過渡期ということであれば,学習事項を今回は残しておいて,どういうところを中心に教育したらいいのかということを教員の方にも十分知ってもらうことも必要と思います。本来は,私としては,「学習事項 例示」というのはなくしていく方向で良いと考えています。歯学・薬学のコアカリを見てみましても,「例示」という記述のところはなく,学習目標というところで6割の学習の範囲を示しておりますので,将来的には同じような方向性でコアカリが記載できるようになれば良いと感じております。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。
 小西先生,よろしくお願いします。
【小西委員】  ありがとうございます。
 医科もやはりいろいろな悩みを経て,実は医科の書き方は,今回少し大きくかじを切りました。先生方がコンピテンシー・ベーストで書いておられるわけですけど,医学はアウトカム・ベーストとしておりますが,似たところだと思います。アウトカムを基に学修目標を書いていくという形に完全に変えました。要するに,言い方を変えますと,経時的な書き方をしていた基礎,臨床…という書き方はもうやめました。ただ,とは言いながら,やはりどこかにそれは残りますし,まさか臨床実習から始める医学はありませんので,やはり基本的にそれは残ります。書き方を変えたということです。それぞれ医学と歯学と薬学では文化がありますので,これはあくまでご参考ということだけでいいかなと思います。
 何から言おうか,ちょっとこうまとまりない言い方で申し訳ありません。大きいところから言えば,コアカリとは何かというようなところ,ミニマム・リクワイアメントという考え方は一つに私はあるとは思います。やはりここは押さえておいてねというところはあって,医科の場合は3分の2程度としています。ただ,調査・研究をしますと,実際の医学部はコカリをこなすだけでいっぱいいっぱいみたいになっているのも事実です。
 先ほどのご発言にありましたように,コアカリを誰のために書いているかというと,やはり医学も,恐らく皆さん方もそうじゃないかと思いますが,1つは学生に向けてです。だとすると,やはり分かりやすいというところが出てくると思います。もう一つは,カリキュラム・デベロッパーに向けて、ということになると,特に恐らく評価と方略に関しての関係が出てくるかなと思います。
 評価というところを見ていますと,薬学コアカリ案の中に評価の指針というのが各A,B,C,D,E,Fに書いてありますので,これを見ておりましたら,本当はここが言いたいんだろうなというふうに見ておりました。特にFなどの指針は,臨床薬学の評価の指針ですので,見ておりますと,やはりAの資質・能力とかなり近い文言が出てきているので,この辺りのところはよく分かりました。ただ,それでもFの中にAのものがないやつもあるなと思いながら見ていたというのも事実であります。細かいことはこれまでにしますが。
 私どもが今回の改訂でかなり考えましたのは,コアカリがいくら頑張って書きましても,学生は結局のところCBTを見ていて,結局のところ国試を見ているのではないかというところになると,やはりこれらの整合は取りたいというところをかなり詰めました。CBTとの整合は,結局コアカリの書きようが何であろうと,CBTとかOSCEの学習評価項目というところをみんな見に行くので整合をとりました。私が言いたいのは,今からそれをやれということではありませんで,恐らく時間的なところもあると思います。医学は今回ちょっと頑張ってみましたが,まだできない部分は次回というふうに計画を立てております。基本的にCBTの学習評価項目とアウトカム・ベーストの書き方はかなりずれますので,整合表をつくって,カリキュラム・デベロッパーにも学生にも混乱を与えないようにはいたしました。
 それと,国試に関しては,先ほど疾患と症候が本当にちゃんと選んでいるのか,あるいはちょっとレベル感,あるいは粒の違いみたいなことをおっしゃいましたが,この点はかなり吟味をいたしまして,疾患と症候は医学は別表をつくり,しかも,重要度がどうかというところをどう考えたかといいますと。国試のほうがやはり多いんですよ、コアカリが3分の2にしようと思っても,国試にむちゃくちゃたくさん疾患が記載してあるので,結局そんなもの,コアカリに何書いてあったって学生は一緒だみたいなことになるので,コアカリができて次に反映されるのは恐らく8年後10年後ですから,次々回の国試の改訂のときに,お互いが少し寄っていくようにという流れをつくって,今回は無理ですので,次回の改訂,次々回の改訂にはそろっていくと,ものすごく難しい各論の疾患は国試からも外れていくし,コアカリに書いてあることと合っていくなという方向性を目指しております。ですので,疾患・症候については,少し選ぶということは必要かと思いますが,今回できることが何かということも重要かなと思いました。
 すみません,何か大ざっぱな話だけのコメントになりました。医学はかなり変えましたので,ご参考になるかは分かりませんが,こんな書き方があるんだということは一度ご覧いただいてもいいかなと思います。僭越ながら申しました。
【井上座長】  ありがとうございます。医学が本当に大胆に大きく変えられて,その努力に敬意を表するものであります。そういうことは,我々は今,次の改訂は6年後ともうほぼ決まっているといたしますと,その6年後の改訂のときには,医学の大きく改革されたコアカリを参考に,あるべき姿に近いものを考えていかなければならないと思っております。
 全体的に見ますと,要するに,学習目標というのをしっかり練って,それにひもづける形の学習事項というのは,この「例示」という表示の仕方がいいかどうかは別として,小澤先生のご意見で言えば,結果的にミニマム・リクワイアメントみたいな要素も入る形でまとめていくというような御発言が大半であったと理解したいと思います。この私どもの委員会でこれ以上詰めていくということはなかなか難しいので,これは調査・研究・評価委員会に委ねたいと思います。よろしいでしょうか。
 そうしましたら,第1点は以上のことです。
 もう一つの点についてお諮りしたいと思います。これは,先ほどの資料3のページでいいますと,最後の17ページ,大項目Aのところ,14ページ以降の,要するにAの資質・能力のところ,これは先ほど本間委員が何回も強調されておられたように,生涯にわたって研さんすべき資質・能力であるというようなお話であったわけです。したがって,この書き方は,非常に抽象的といいますか,必ずしも分かりやすい表現には残念ながらなっていないということで,この基本的な資質・能力と全体のコアカリとの整合性というようなことに関しては,かなりいろいろな苦労をしてこういうようなまとめ方といいますかを今回はされたわけと理解しております。
 実は私は,医学・歯学のコアカリのモデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会,これが医学・歯学のコアカリの改訂をまとめておられる委員会なのですけども,そこにオブザーバーとして参加させていただいておりまして,医学そして歯学のコアカリの改訂の方向性等について,非常に感銘を受けながら聞かせていただいております。医学のほうは,本当にこの資質・能力に直接ひもづけてコアカリが見事に構成されています。したがって,資質・能力とコアカリとの関係が分かりにくいなんということはないような形に見事になっているのですけども,薬学はまだそこまで踏み切れていないので,そうはなっていないです。歯学の場合には,若干私どものやり方に近いところもあって,しかしながら,この資質・能力に関してはかなり工夫をされて,今こういう形もあるのかなというのを提示されております。ちょっとそれを示していただきたいと思います。これは,河野先生がこの会議のときに発表されているものでして,改正素案です。これは一つの例ですけども,プロフェッショナリズムというのについて,卒業時の到達目標をマイルストーンとして,卒業時までにはこういうことができるようになってくださいというような表現が,1から6までが載っかっております。学生にとってみると,こういうような表現があったほうが,全体としては生涯にわたっての資質・能力なのですけれども,マイルストーンとして卒業時まではこういうようなことができるように頑張りましょうというのがあってもいいのかなという感じが私は個人的にはしております。そういうことで,こういうような表現は,趣旨からすると,これは個々の大学が考えること,あるいは個人が考えること,学生が考えることとする,その趣旨からするとちょっと外れるかもしれませんけども,こういうような考え方で,こういうふうなことはいかがなものかということを皆さん方にディスカッションしていただきたいということで持ってまいりました。歯学のほうの河野先生方から,このデータの資料を出してもいいという許可をいただいて,本日これを提示させていただいております。いかがでございましょうか。
 それでは,石井先生,いかがでしょう。
【石井委員】  急に見てちょっとびっくりしたのですけれども,ごめんなさい。
 今のマイルストーンと書いてございましたが,現行の今使っているコアカリのSBOsと似ているものなのですか。ちょっと今の文章を画面で映していただいただけで私は全部追い切れていないので,何とも言いようがないのですけど,すみません。
もう一回,書類だけ提示していていただけますか。全部読むことができなかったので。
 まず解釈が正しいかどうかお諮りしたいのですけれども,学生さんが歯科医師として行動できるとか何々できるというのを落とし込んでいるということですよね。今,井上先生の御質問は,これを薬学の今改訂しているカリキュラムに入れたほうがいいか,そうじゃないかという御質問ですか。
【井上座長】  はい,そうです。例えばこういうようなことを示すことによって,学生に分かりやすいものになるのではないかということです。
【石井委員】  そうなると,今現行のカリキュラム,コアカリというのが実はこれに近いものじゃないんですかね。どうなのでしょう。そういうことになりますよね。
【井上座長】  そのようになりますでしょうか?
【石井委員】  小澤先生,手を挙げてくださったような気がしますが,すみません,違いました?
 これだと今と同じになっちゃいますよね。学生がこれができるということになると,これは外しましょうというのが今までのSBOs外しましょうという議論だったように思うのですが。
【井上座長】  河野先生,このようなふうにしたいきさつといいますか,それは何か御説明いただけますでしょうか。
【石井委員】  示すというのはいいかもしれませんけど,コアカリにこれを書き込むと,今のと同じになってしまうんじゃないですか。例えばガイドラインとか解説文で,学生さんはこういうふうなことできるのだよと説明する別物だといいのかもしれませんけど、と思いました。私の解釈が間違っていたらごめんなさい。
 もちろん,現行のコアカリでは不足なので,今こうやってまた新しいものを採り入れながらよりよいものをと改訂をやっていると思うのですが,形としてはそうなるような気がしました。すみません。
【井上座長】  河野先生,何かコメントございますでしょうか。
【河野委員】  ありがとうございます。先生の言われることはわかりますけれども,カリキュラムの考え方としては,コンピテンスから見てどういうふうになるか,また,プロセス基盤型だと,それぞれの科目を積み上げて,最終的にはどういうふうな能力を獲得できるかというのがカリキュラムで,どちらから見てカリキュラムを考えていくかという違いだと私は思っています。
 ここで書いてある片括弧で示すことは,歯科でいうと,6年間で学習をして、こういうことができるようになって卒業してくださいという意味で記載をしている,いわゆる先ほどの卒業時の到達目標です。ここからさらに臨床研修に進んで,さらなる到達目標を目指して学習してくださいという,まさに一里塚の能力を,卒業時に獲得してほしい能力を示すというところになります。これはコアカリなので,歯学の場合は6割でこういうことができるようになることを示しています。ただし,歯学の場合はA,B,Cと薬学に近いような形で書いていますので,学習目標がそれぞれ, 1),2)で獲得できる能力に対応できるようなものとしてきっちりと書かれているかというのを考えて,一応6年次のゴールをここに示したわけです。それで,そのために,Aの上にあったと思いますが,マトリックスで医学に近いような形で,それぞれの大学でカリキュラムツリー,カリキュラムマップを作るときの参考になるものを歯学教育コアカリのチームで考えて提示したということです。
【井上座長】  石井先生、お願いします。
【石井委員】  ありがとうございます。すみません。ちょっと私の理解が不足していたらごめんなさい。井上先生,これは,私たちの薬学エリアで言えば,Aのところのそれぞれのコンピテンシーに対してこれを入れるということですか。
【井上座長】  入れるとしたらね。
【石井委員】  入れるとしたら入れるということ。だからこういう文言が入ってくるのではないかということですね。
【井上座長】  はい。
【石井委員】  歯学はそういうふうにお決めになったら,それはそれで私は理解はしましたけれど,薬学の立ち位置をやはり決めなきゃいけないとは思います。
 ほかの章は具体的な学習項目になっていて,Aはコンピテンシーがこう並んでいるところになっていくので,その扱いをどうするかということで議論をしたらよろしいということですか。
【井上座長】  はい,そうですね,基本的には。だから,生涯にわたって獲得すべき資質・能力だから,Aのところに関しては,あまり深くは,もうこれ以上は触れないのだというのでいいのかというのは気になります。どうすればいいのか。
【石井委員】  その件については私も同意いたします。それで,せっかくつくってきた表がありますよね。今回おつくりいただきました,何ページでしたっけ,十何ページにある。
【井上座長】  カリキュラムマップでしょうか。
【石井委員】  はい。カリキュラムマップ。あれとうまくリンクさせてつくっていかなければいけないようなものではないかと思います。実際には。今のようにプロフェッショナリズムといっても,恐らく概念的なものばかりで,学習者にしてみれば全くよく分からないので,ある程度今のような形で示すということは重要だと思います。
 ただ,その示し方というのは,今,一つ御例示いただいたので,非常に参考にさせていただきたいと思いますけど,今度はカリキュラムマップとのバランスが必要になってくると思います。例えばプロフェッショナリズムのところではBは全部丸がついていますけど,別のところでは付いていなかったり、二重丸になっていて,下のところに丸がまた増えてきます。まず本当にこれでいいのかというのも,しっかり吟味した上で文言を修正していかないと,今度は整合性が取れなくなってきます。そこは解説とがないと,読み手は何を言っているのか全然分からないとは実際に思いますので。吟味してやっていくのが重要かと思います。長くなりました。
【井上座長】  ありがとうございます。伊藤先生。
【伊藤委員】  私も急に言われて,どうすればいいか分からないのですが,基本的な資質・能力の項目は,医・歯・薬で統一したのですよね。
【井上座長】  はい。
【伊藤委員】  そうすると,項目と書きぶりをある程度統一したと思いますので,中身は,でも薬学は薬学で,卒業時のマイルストーンは別に示すということになるわけですか。
【井上座長】  当然そうなりますよね。時間がだんだん迫ってきてしまうので,一人一人に当てるのはなかなか難しいかもしれないので,意見がある方をまずは優先します。
【伊藤委員】  そのようにお願いします。
【井上座長】  小澤先生、お願いいたします。。
 
【小澤委員】  確認させていただきたいのですけど,今お示しいただいたのは,1のプロフェッショナルリズムの部分を,学生に卒業時には具体的にもう少しかみ砕くと,こういうふうになってほしいのですよというのを示してくださったのであって,2の,例えば「総合的に患者・生活者を見る姿勢」というところにも,同じようなものが入っていくというふうに私は先ほど見せていただいたときに理解したのですけれども,そういうことですよね。
【井上座長】  そうなります。
【小澤委員】  ですよね。ではそうすると,今までやってきていることと,方向性としてもそう違っていないような,違ってはいるのですけど,かなと思いましたけど。だから学生にとって,卒業時までにどれだけというものをちゃんと示してあげるということかと思いましたが。違いますか?
【井上座長】  いや,大体そういうことだと思いますけどね。
【角山委員】  角山です。私も混乱してまいりましたので,確認させていただきたいんですけれども,Aの項目に関しては生涯にわたって身につけるというお話をずっとしてきまして,各大学のディプロマのポリシーにのっとって,卒業時にどこまで到達しているかを示す,それは大学が考えていくというようなお話で来たかと思うのですけれども,そういう前提ではあるけれども,ここに,卒業時までにはここまでは到達してほしいというのを記載するとなると,各大学のディプロマにのっとってというのと少し,何となくお話が私の中では矛盾がというか,ずれているのかと感じておりまして,少し混乱したものですから,その辺りの方針はどのようにしていくのかというのを確認させていただければと思いました。
【井上座長】  それはまさに指摘されたとおりのことなので,その辺は,学生に分かりやすく,どう説明したらいいのだろうというところで,今ここで歯学のケースを一つの例としてお示ししましたけども,このとおりというのではなくて,何か学生に分かるような,何かが,今のままじゃなくて,必要じゃないかということで,お話をしたつもりです。
【角山委員】  意図はよく分かります。先ほど石井先生がお話しされたように,例えばこれをコアカリの中に入れるのか,例えばガイドラインのようなものが,例えばFの臨床薬学などでもつくるというような方向で進んでいるかとも思いますので,そういったまた別のものとして表示をするのかといったところも少し検討というか,考えてもよいのかとも感じました。ありがとうございます。
【井上座長】  ありがとうございます。平田先生,どうぞ。
【平田委員】  ありがとうございます。いつもしゃべって申し訳ありません。
 Aは生涯にわたってです。中項目は項目しか挙がっていなくて,文章が書いてありません。これをつなげても多分学生は分からない。縦に読んだら駄目だと。横に読むときに各領域が各Aに対してどういう形の重みがあるかということを示すのであれば,多分領域を横に読むようなときに,その領域が,Aにちゃんと文章が書けてあるわけでは,どういう関連かというふうに読むんだったらオーケーだと思うんですけど,縦に並んでいる領域というのは,さっき言ったように階層があって,やることも違うので,一覧表に平面的に並べて,ここ、二重丸がついたら必要十分条件だよみたいな形というのは多分取り得ないし,学生には非常に分かりにくいのかと思います。
 だから,多分さっき言ったアウトカムじゃないんですよね。だからアウトカムだったら,多分歯学のようなやり方とか,そういう形が出ると思うんです。ここをアウトカムとして表わせていないので,大学がつくらないといけない。ただ,多分各領域の学修目標,修めるほうの目標には,ある程度アウトカムに近いものが書いてあるような気がします。各領域にわたっては。だからそれはアウトカムじゃないですよ。だけど,そこに至るときの各領域の在り方というのは,何を目指すかというのは,修めるほうの学修目標と評価指針に書いてあると思うんで。
 ですから,もう少し丁寧に,Aが生涯にわたってということを尊重しながら,アウトカムとつなげてどういう形で学習するべきかというつながりを,もうちょっと丁寧に文章か何かで示したほうがいいのかと。表し方は歯学のような在り方ですけど,歯学の場合というのは,アウトカムとGIOがつながったような感じで思えたりするので。
 さっき石井先生のお考えがそこに当たるかもしれませんけど,少し薬学は,Aは生涯なので,そこは読んだら学生には分かるんですよ。だからどうなるのというところが分からない。だったら何を勉強したらいいのというのが分からないということ,そこの示し方をもう少し工夫しないといけないのか。少なくとも一覧表で中項目とつなげても,各領域の中項目の在り方はかなりスタンスが違うので,それを丸と二重丸でつなげてもなかなか学生には分からないのかと思います。
 以上です。
【井上座長】  ここは本当に医学のように徹底的に資質・能力とコアカリとを完璧に結びつけてしまいましたので,これはそういう悩みが解消されているのだと思うのですけど,薬学の場合には,この資質能力とコアカリとの関係というのは,分かりにくいと言えば非常に分かりにくい。学生にとって分かりにくいという点では本当に分かりにくい。
 だから,その文章をもうちょっと練ればいいと言うのですけど,学生はそんなに長い文章を,含蓄のある文章をしっかり読んでくれないですよ,と思います。だから,分かりやすいような表現が何とかできないのかというので,一つの例として河野先生が御努力されたのを一つの例として出してみたということです。
【小佐野委員】  井上先生,小佐野です。ちょっとだけください。
 多分医学部があれだけ見事できたのは,先に10の資質が出来上がってから,そこにぶら下げてカリキュラムをつくったからで,薬学の場合には,それをやりながらも実はAから,BからCまでをつくって,そこである程度整合性がうまくいかなかったとかもあると思うので,多分,薬学はこれからもう一度しっかりと,この10個の資質に対してしっかりぶら下げていくような形をプランニングしなきゃいけない。
 そうすると,さっき小西先生がおっしゃったように,実は科目で分けるのではなくて,内容で分かれてくるから,そこは医学の成熟した部分で,薬学はまだそこがなかなか科目から抜けていけないので,もう一段階,せっかくSBOsをなくして,薬物治療を分けて,DとFを明確に分けたところが今回の売りだと思うので,そこのところと資質をうまくつなげるというところが,次の委員会で少し何か学生に分かりやすく。
 でも,本当はここはディプロマじゃないかと思うので,本当は大学がやるべきことなのかという気がしています。これをつくってしまうと,みんなまたホームページで全部同じような大学が同じようなディプロマで卒業時こうなりますと言い出すことがすごく心配です。
 以上です。
【井上座長】  長津先生,何かありますか。
【長津委員】  これをさっきから何度も何度も読み返させていただいて,すごく私個人的には非常に好きな書きぶりでして。というのは,Aはほかの領域と比べて,別物だと思うのですね。その上で,私は現場の薬剤師として若い薬剤師たちを見ている中で,もし薬剤師となった後で,自分はどうしたらいいのかと悩む薬剤師が結構いるわけです。そのときにここを見返すと自分の道が分かるような,そういう非常にバイブル的な書き方になっている気がします。精神論になってしまいますけども。
 そういった意味では,AはB以降と別と考えれば,このような書き方もあるのではないかと考えます。ただこれを理解できる学生は非常にすばらしいと思います。全部が理解できるかというと,それは分かりませんが,内容としては個人的には非常に好きなところだと思います。感想ですけど,以上です。
【井上座長】  この辺のところに関して,結論を出すのは非常に難しい。ただ,このAの項目に関して,大学に任せるべきだという意見もあるのは確かだし,もっともだと思うのですけれども,もうちょっと学生が何かぴんと来るようなものはないかと。何か突き放してしまっているような気がするのですよね。Aの部分に関しては。B以下は,非常に。
【角山委員】  井上先生,お話の途中ですみません。今,長津先生がおっしゃったように,働き出してから見返してというのであれば,私は,卒業時の到達目標としてここにこのように例示するというのには,本来ここは生涯にわたってなので,各大学がしっかりとそれを考えるところではないかと思いましたけれど。生涯にわたってこういうことができなければいけないというような書き方なのであれば,それを踏まえて各大学がそのレベルをどこに持ってきて,具体的にディプロマに落とし込んでいくかというか,と関連づけていくかということが考えられるのかと思いますので。
 そういうような書きぶりというのは検討するのもありといいますか,よいのかと,今,長津先生のお話をお伺いしていて思いました。井上先生がおっしゃるように具体的に書かれているほうが,学生が分かりやすいというのは確かだとは思っておりますので。お時間ないところ,長くなりましたが失礼します。
【井上座長】  非常に悩むところであることは確かですよね。なので,これもここで何か結論を出すということはなかなか難しいので,ともかくAに関して,B以下とは異質なことは確かですね。異質だから,もうこのまま素っ気なくというのも何だなと個人的には思ってしまっているということで。これは,親委員会といいますか,委員会に委ねて,このことも含めて御検討いただきたいということでよろしいでしょうか。
 それでは,以上のことにいたします。
 そのほか,次,長津先生,何か御発言したいというお話をいただいておりますが。
【長津委員】  当会でも,薬学教育に関しての議論を担当役員の間で相当しているのですが,特に今回のコアカリの改訂,このタイミングにおいてですけども,今,新型コロナウイルス感染症がここまで何とか落ち着いてきた中で,コロナとの闘いを振り返ったときに,薬剤師がワクチンを打つ打たないという議論はずっと行われていたわけです。打つ打たないという議論に参加するつもりはないですけども,ただ,今後また次に大規模な感染症が発生したときのために,薬学教育の中でワクチンに関してもう少し勉強をしておかないといけないのだろうと思っています。
 それは,打てるようになるかならないかというよりは,それを知って卒業すべきだと。ワクチンそのものに関して,それからワクチンを接種するということに関しての知識と技能を,今現場の薬剤師がやるという議論ではなく,そういった知識を薬学の中でしっかり勉強した上で社会に出てきて,もし次の感染症への対応に迫られたときに,お医者さんですとか看護師さんですとかで,どうしても手がいっぱいだという場合には,そこで薬剤師がその次に控えているというその状況には持っていきたいと思っております。
 私が学生の頃というのはもう何十年も前ですから,そんな議論がなかったですから,全くその知識がない中で,今,都道府県薬剤師会においては,そのように学問として学んでこなかった薬剤師たちが一生懸命研修をし,学習をし,知識を備えたという準備段階にあります。ですから,学生のうちにぜひそれを,どこかのカリキュラムで入れておいていただいて,しっかり知識を持って卒業していただきたい,そう考えております。これは,日本薬剤師会としては,先生方に強くお願いをしたいというところでございますので,御議論いただけると幸いでございます。よろしくお願いいたします。
【井上座長】  ありがとうございます。もう既に,領域のBでもそうですし,それからE,F,いずれのところでも,この件の問題に関してはかなりディスカッションもされていると思いますし,実際にそういう部分はかなりしっかりと組み込まれているだろうと思います。
 実技に関しましては,今の段階でコアカリの本文の中に細かい部分を入れるというのはなかなか難しいわけでありまして,恐らく実務実習のガイドラインとか,ガイドブックとか,そういうほうでは,注射の手技みたいなものが多分入ってくるのだろうと思いますし,それにまつわる,今の長津先生がおっしゃったようなことに関しては,技能は別として,知識に関しては,B,E,Fのところで,かなりしっかりと出てくるようになっているのではないかと思いますが。B,E,Fの担当から考えますと,平田先生,あるいは鈴木先生,いかがでしょう。
【平田委員】  平田です。御指摘ありがとうございます。その部分については,打つというのは当然入っていませんけど,だから,今までの衛生薬学のところを,衛生薬学・公衆衛生薬学にして,DをEに,より現場に近いところに持ってきた形で,社会・集団となっています。ですから,感染症全般ワクチンのところはかなり色濃く,おっしゃったところの内容を入れているつもりです。
 ですから,もう少しというのであれば,その辺りは具体的な御指摘をいただいたらいいんですけど。それは多分,例えば公衆衛生的なところで薬局のレベルとか,保健所レベルとか,そういうことになるかもしれませんけど,もう一つ,臨床の場なので,Fにいかにそれを薬剤師の現場としてやっていくかというところが,Eとの整合性を持たせて,あるいはBとEとの整合性を持たせてFでしっかり入れていただくということだったと思いますので,その辺りがそろっていないといけないと思います。その辺りが今の長津先生の御指摘に当たるところかと思います。
【井上座長】  ありがとうございます。
【平田委員】  鈴木先生,そういう理解でよろしいです?
【鈴木委員】  鈴木です。長津先生,ありがとうございます。このワクチンの件につきましては,いわゆる公衆衛生,それから疾病の予防というところで,Fについてはもう少し事項を加えていくということは当然検討したいと思いますが,先ほどワクチンを打つか打たないかというようなことになりますと,これから,先ほど言いました医学の進歩というか,社会の変化はいっぱいあって,例えばフォーミュラリーだとか,実際にはリフィルももう始まってしまいましたし,そういう中で取り入れていかなければいけないことはこれからどんどん増えてくると思うのですね。
 そういう意味では,さっき平井先生が言われましたけど,薬剤師ができなければいけない概念,それから能力,それから考え方,それから社会への貢献の覚悟,そういうものをきちっと書いておいて,その中の一つの例題としてワクチンのことにも当然携わらなきゃいけないというような形になるかと思いますが。ワクチンとか接種の実技みたいなものも,先ほど言った手引きとかそういうところで,教育の中に反映させていくことは考えてもよいし,私自身も薬剤師の将来性は全然広げたいと思っていますので,そういうところに薬学の教育が役に立つという方向は積極的に考えたいと思います。
 本間先生が,この前各大学に,どんな学習をしているのだというのをアンケートされていましたけども,むしろその結果をお聞きして,こちらに取り入れていきたいと思っておりますが,本間先生いかがでしょうか。
【井上座長】  本間先生が答えるよりも,私が答えたほうが多分いいのだろうと思います。
【鈴木委員】  そうですか。よろしくお願いします。
【井上座長】  必ずしも今の時点で,実技の中にシミュレーションとして注射を取り入れている大学はそんなに多くは,残念ながらないのです。なので,私立薬科大学協会としては全大学に,ぜひシミュレーションとして注射等を取り入れるように最大限努力してくださいという旨のお願いを,依頼を全大学に出しました。それが意外なほど,いろんなところで反響がありまして,私立大学がその方向に向かって動き始めたというような取り上げ方をされています。これは国立大学に対しても同じような働きかけができないかとは思っております。成果として,かなりの大学がシミュレーションとして取り入れてくれることを心から願ってはおります。
【鈴木委員】  ありがとうございます。ですので,長津先生,大学としても薬剤師の将来に向けての教育に当然積極的にサポートするという方向では当然考えていきますので,よろしくお願いいたします。
【長津委員】  ありがとうございます。先生方,我々の考えとまさしくここに一致しているところだと思います。今後の将来薬剤師となる若い人には,こういったところもしっかり学んできて,いざというときに国民を助ける,その医療人の一人だというその認識を持って薬剤師となっていただきたい。私たちが勉強してこなかったところをしっかり学んで社会に出ていっていただきたい。そう我々日本薬剤師会としては考えてございますので,ぜひ今後先生方の御助力をお願いしたいと思っています。今日はありがとうございました。
【井上座長】  ありがとうございます。
【石井委員】  石井ですけど,よろしいですか。
 これは教育云々という以外に,医行為ですので,とても難しい問題をはらんでいるように思います。将来性云々につきましては,これからまた別途の議論が必要に思います。ただこれがいいからといって,教育からがんがんやりましょうという話でもないと私は思います。薬剤師はもっとできることがいっぱいあるはずですし,スキルだけの問題でも実はないので,もしこういったことを現実的にやるのであれば,教育内容も実は大きく変わるように思いますので。
 前向き検討は否定はいたしませんが,かなりいろんなことを考えて進めていかないと危ないと私は思います。正直そう思っております。ただ,もうちょっと議論する幅が,例えば今日,厚労の方が入っていらっしゃると思いますけど,そこの法的な解釈とか,改正を伴わなければいけないことがいずれ訪れますし,いろんなところで議論,あるいは深めていかなければいけないことだけはあるとは申し添えておきたいと思います。
 以上です。
【長津委員】  長津でございます。石井先生のおっしゃるとおりで,非常にこれは繊細なところを含んでいるのは確かで,そのことに関しても厚労省や当会を含め,いろいろ議論はしてきたところです。ですから,もちろん今打てるようになるという,そういうわけではなく,どういう立ち位置でこの教育をはらんでいくのかというところは,かなり慎重な議論を必要としているのは理解しています。ですから,これは大学関係者の皆様方,もちろん厚労省の方々といろいろ詰めていった上で,薬剤師,薬学教育として適切な範囲でこれを含んでいければ今のところよいのかと考えております。石井先生のおっしゃるとおり,非常に繊細なところをはらんでいるのは事実だと思います。ありがとうございました。
【井上座長】  ということで,私どももそんなに簡単なことだとは思っておりませんし,単純にシミュレーションでやればそんなに難しいことではないのですけども,それにまつわって,いろんなことを考えないといけないというのも事実ですし,そういう御指摘もいただいた上で,あえて。かなりの,二十数%の大学は既にもうシミュレーションでは,やっているので,25%じゃなくて,もうちょっとそれを上げたらどうかというつもりでお話をしていただいています。いろんな問題点があるという石井先生の御指摘は当然,このことを考えるときに当初から言われてきたことなので,慎重に進めていきたいとは思います。
 ということで,これはコアカリとはまた離れてしまいますので,この議論はもうこれで終わりにさせていただきます。
 そうしたら,ほかに,今の問題点以外に,何かここでこれだけは言っておきたいという御意見があったら,もう時間があまりございませんので伺いたいと思います。全ての領域にまたがって,本日の本間委員がお話になった部分に対して,御意見あるいは御質問等お受けしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしたらもう時間ですので,この辺で終わりにさせていただきます。
 事務局,今後のスケジュール等よろしくお願いいたします。
【追川係長】  事務局です。本日第3回の委員会を開催し,意見交換を行いました。第4回は夏頃を予定しており,今回と同様に意見交換を行います。また,御参考として,夏頃に,全国の薬学部長等に御出席いただく,薬学教育指導者のためのワークショップを開催いたします。ワークショップのテーマとして,コアカリ改訂に向けた各大学における取組状況や課題に係る意見交換を行う予定です。同じく夏頃に,本委員会の親委員会である薬学系人材養成の在り方に関する検討会を開催し,コアカリ改訂について経過報告を行います。
 次に秋頃に,本委員会の第5回を開催し,コアカリ案について意見交換を行い,その後,コカリ案をパブリックコメントにかけさせていただきます。次に第6回を冬頃に開催し,再度コアカリ案に意見交換を行います。そして,薬学系人材養成の在り方に関する検討会において,コアカリ改訂版が決定となる予定です。令和5年度に1年間,改訂版コアカリキュラムの周知期間を設け,令和6年度入学生から適用が開始されます。なお,本委員会は,必要において持ち回りでの開催とさせていただきます。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。何か御質問はございますか。特にございませんでしたら,以上で本日の会議は閉会とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 
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