薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会(第2回)議事録

1.日時

令和4年3月7日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 今後の薬学教育モデル・コア・カリキュラムの在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

石井委員、伊藤委員、井上委員、小澤委員、角山委員、河野委員、小佐野委員、小西委員、鈴木委員、高田委員、高橋委員、長津委員、平井委員、平田委員、本間委員、矢野委員

5.議事録

【井上座長】  それでは定刻となりましたので,ただいまから薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会第2回を開催いたします。
 本日の有識者会議は,傍聴者YouTubeにてライブ配信をいたしております。
 まずは事務局から,本日の出席状況,それから配付資料の確認,よろしくお願いいたします。
【事務局】  文部科学省です。本日は,委員16名全員御出席いただいております。また,前回に引き続き,厚生労働省医薬・生活衛生局総務課より,オブザーバーとして出席いただいております。
 続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。議事次第4,配付資料にございますとおり,資料1から3,参考資料1から5となっております。事前に送付しておりますが,何か御不明な点等ございましたら,事務局に御連絡ください。なお,資料につきましては,文部科学省のホームページでも公表しております。
 本日の議題は,議事次第にありますとおり,1,今後の薬学教育モデル・コア・カリキュラムの在り方について,2,その他となっております。
 以上でございます。
【井上座長】  ありがとうございます。それでは,議題の1「今後の薬学教育モデル・コア・カリキュラムの在り方について」に入ります。大項目A~Gと中項目,それから小項目リスト(案)。それから薬学教育モデル・コア・カリキュラム改定の素案について,委託事業に委員として関わっております本間委員から,まず御説明をよろしくお願いいたします。
【本間副座長】  本間でございます。最初に,今回の検討会の基本的な姿勢を御説明させていただこうと思いますので,参考資料4,これを改めまして説明させていただこうと思います。
 これは,今回の薬学教育モデル・コア・カリキュラム改定に向けた基本方針ということで,既に公開もされており,御説明も申し上げました。この中で特に今回説明をさせていただく上で大事かと思われるのは,2と3かと思います。
 改めて説明をさせていただきますが,2番,生涯にわたって目標とする「薬剤師としての基本的資質・能力」を提示した新たなモデル・コア・カリキュラムの展開と銘打っております。そこの文章を改めて読ませていただきますが,現行のモデル・コア・カリキュラムでは,6年卒業時に必要とされる「薬剤師としての基本的資質」を掲げた学習成果基盤型教育とGIOやSBOsを提示したプロセス基盤型教育の構成が混在しているということでございます。既に皆さん御存じのとおりです。
 これを改めて,生涯にわたって目標とする「薬剤師としての基本的資質・能力」,10個ございますけれども,これを掲げた学習成果基盤型教育の新展開を行うと基本方針を立てております。ここにありました「薬剤師としての基本的資質・能力」は,そこに銘打ってありますように,「生涯にわたって目標とする」ということでございますので,かなりレベルの高い,そういうものを掲げております。
 それから次の3番ですが,「各大学の責任あるカリキュラム運用のための自由度の向上」ということでございます。これも改めて読ませていただきます。現行のモデル・コア・カリキュラムでは,学習すべき事項がSBOsとして細部にわたって記載されており,これは1,000以上ございましたけれども,各大学はそれらを網羅するのに時間を費やされて,大学独自の内容をカリキュラムに取り入れる余裕がない。詳細なSBOsを廃して,学習すべき内容をコアとして,その上で各大学の理念やディプロマポリシーに基づき,責任を持った教育が可能となるように,大学のカリキュラム作成における自由度を高めたということでございます。
 このモデル・コア・カリキュラムは,そういう意味で基本というかモデルでございます。コアのモデルでございますので,それを参考に,各大学がそれぞれの大学の理念やディプロマポリシーに基づいて独自のカリキュラムをつくっていただきたいというのが基本的な考え方でございます。
 以上が基本的方針の中でも,今回の説明を申し上げる上で大事な点かと思いますので,改めて説明をさせていただきました。
 それでは,資料1をお願いいたします。
 これも一度御覧いただいたかと思いますけれども,今回のモデル・コア・カリキュラム(素案)の大きな構成,大項目の名称でございます。Aが「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」,B以降Gまで大項目の名称が挙げられております。
 次お願いいたします。現行のモデル・コア・カリキュラムとの関係ですけれども,ほぼ同じような仕組みといいますか,構成になっておりますけれども,Dの衛生薬学とEの医療薬学が,順番が変わっているということでございます。これも後で作成方針のところで御説明をいたします。この構成に従って作成方針等を後で説明させていただこうと思います。
 次からはざっと流させていただきますけども,次のページをお願いいたします。これがAの「薬剤師として求められる基本的資質・能力」,大項目Aの中身でございます。1から10までの基本的な資質・能力を掲げて,それについての説明文がまとめられているということでございます。まだ修正の余地はあるところもあるのですけれども,一応この委託研究においてはこのようにまとめさせていただきました。
 繰返しですけども,7番目の薬物治療の実践的能力というところにつきましては薬学独自でございますが,それ以外については,文部省の御指導を基に医学,歯学,薬学で共通の名前になっているということでございます。
 次お願いいたします。次は簡単に御紹介いたします。大項目Bの「社会と薬学」における中項目・小項目の一覧です。後からも出てまいりますけれども,横軸が中項目です。それぞれの中項目に区分されている小項目が縦軸になっております。
 あと,ざっと流していただければよろしいかと思います。次のCが,「科学的根幹としての基礎薬学」と銘打った内容でございます。
 次がD,「臨床につながる医療薬学」ということで,これも同じような構成というか,中項目と小項目の構造になっております。
 次お願いいたします。E,「衛生薬学・公衆衛生薬学」,これもこのような構成になっております。
 Fをお願いいたします。これは「臨床薬学」ですけども,これも同じような構成となっておりまして,最後Gをお願いいたします。「薬学研究」についても,このような構成という形でございます。
 このスライドは既に御覧いただいて,既に公表されておる内容ですけども,これのそれぞれの大項目について,どのような作成方針でまとめられたかという話を次にさせていただこうと思います。
 では,資料の2をお願いいたします。資料2,これが薬学教育モデル・コア・カリキュラムの素案ということで,モデル・コアの中身そのものでございます。大部でございますが,基本的な作成方針を御説明してまいりたいと思います。
 まず大項目Aは,これはもう繰返しでございます。「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」ということで,先ほど御紹介したとおり,1から10までの資質・能力が掲げられております。繰返しですが,7番だけが薬学オリジナルですけれども,それ以外は医学・歯学・薬学の共通の資質・能力になっております。
 次お願いいたします。次からは大項目についてお話をしてまいりますが,まずBの「社会と薬学」でございますけれども,まず大項目について,その下に「学修目標」というのがございます。それからその下に「評価の指針」というものがございまして,基本的には,原則として大項目には,この「学修目標」と「評価の指針」が最初に掲げられております。その後,先ほど御紹介した中項目・小項目に区分されていくという形になっております。今の場合はB-1の中項目「薬剤師の責務」,B-1-1の「医療者に求められる倫理観とその対応」という形で小項目になっていっております。
 小項目については,原則としてここに挙げられております「ねらい」と,「ねらい」の中には「他領域・項目とのつながり」が詳細に書かれておりまして,その次に「学習目標」が箇条書で掲げられております。それを補完するような形で,「学習事項」として,例示として,主にテクニカルタームと申しますか,専門用語として掲載されているということになっております。大項目の構成は,簡単に申し上げてそういう形になっております。
 大項目Bの「社会と薬学」についてお話をさせていただきますが,これの作成方針につきましては,この「社会と薬学」の班がございまして,その班で詳しく検討いただいたのですけれども,そこにおける作成方針を御紹介いたします。Bの「社会と薬学」というところは,基本的な考え方として,6年間を通じて身につける学習領域であるという考え方に立っておりまして,現状のコア・カリでは,他の領域とやや独立した領域として捉えられている傾向があるのではないかと思われます。それを改めるために,他の領域との関係性を詳しく述べたというのが,まず一つの作成方針でございます。
 それから,今後の新しい社会への対応として,現行のコア・カリにはない小項目として,多様性の理解とか医薬品等の安定供給,保健医療統計,デジタル技術・ビッグデータの利活用,アウトカムの可視化などの新しい小項目を設定されています。
 それから,先ほどのスライドでも御紹介いたしましたけれども,現行のモデル・コア・カリキュラムの中のAにあります基本事項,これは主な内容としては,倫理とかコミュニケーションとか薬害の防止などでございましたけれども,現在もそうでございますが,その内容と現行モデル・コア・カリキュラムのBの「薬学と社会」,そのAとBの2つの内容,Aについてはその主な内容とBの内容を一つにまとめるような形でこの新しい「社会と薬学」の大項目がつくられていると作成方針に述べられております。これによって,薬剤師としての倫理観や社会性,人間性,そういったものをこの大項目では育むと考えられるわけでございます。
 それから,もう一つ基本的な方針としては,この項目は,社会で活躍する,社会で薬剤師として活躍するということで,適切に実践する能力とか行動する力を養う領域と捉えられております。したがいまして,対応するとか,行動するとか,貢献するといったような目標の設定が多くなっております。
 Bにつきましては,以上の方針が掲げられて,まとめられたということでございます。よろしいでしょうか。
 Cについて行かせていただきます。個別の内容については,また後で御質問いただくということで,次に移らせていただきます。
 Cは「科学的根幹としての基礎薬学」ということでございます。この領域については,構成が少し原則から外れております。この基礎薬学は物理・化学・生物の内容がまとめられているもので非常に大部になっております。生物も生命科学と解剖生理に分けて,全体として大きく4つに区分されて,そこから中項目・小項目に分けられているという,そういう構成になっております。構成といいますか,骨組みが違っておるということでございます。
 この作成方針ですけれども,この基礎薬学については議論がこれまで盛んに行われてきた領域だと思います。主な議論は基礎薬学の内容を臨床で生かせる内容に絞るべきであるという意見,これが非常に強かったかと思います。これにつきましては,この基礎薬学の班で議論していただきまして,もちろんその意見は理解はできるけれども,基礎の領域というものは,その上位の科目の学習には必須の非常に大事な内容を含んでおるということですので,その上位の科目が臨床に生きてきますので,結果的にその基礎薬学の基礎の部分も非常に大事であるという立場でまとめられております。
 そういう理解の点から基礎薬学の項目内の関連性とか,あるいは他の大項目との関連性を非常に詳しく明記していただいたと思います。
 例えば物理化学ですけども,このねらいの下に,先ほど御紹介をした,中項目,物理化学のところが出てきます。化学物質の物理化学的性質,C-1-1が小項目に当たりますが,ここの「ねらい」に,「他領域・項目との繋がり」という項目が出てきて,ここでどのようなものを学んできたかと,そして,この後どのような項目につながっていくかということで列記をされておりまして,互いの関連性が分かるような形になってございます。もちろん,これは他の大項目でも同じように述べられていますけども,基礎薬学については,それを重んじて詳しく書かれているということでございます。
 基礎薬学については,詳細はまた御質問いただくとして,次のDに行かせていただこうと思います。Dは「臨床に繋がる医療薬学」ということでございます。
 この領域の基本的な姿勢は非常に明確といいますか,一言で話させていただきますが,この医療薬学の大項目は,Bの「社会と薬学」や,Cの「科学的根幹としての基礎薬学」,この大きな2つの内容を学んだ上で,その上でこのDを学習し,そしてEの衛生薬学や公衆衛生薬学の疾病予防とか公衆衛生,さらにはFの臨床薬学における,患者個人への責任ある薬物治療の実践というような内容へつなげるための大項目という立場で内容をまとめていただきました。
 概略としてBとCが基礎になり,そしてその上にEとFがあると。そこをつなげる形でのDの内容になっていると捉えてまとめていただいたものでございます。具体的には薬理,薬物治療,薬剤学,薬品情報学等々の内容でございます。個別の内容につきましては先ほど申し上げましたが,後で御質問いただくことにいたします。
 次はEの「衛生薬学・公衆衛生薬学」についてでございます。衛生薬学・公衆衛生薬学については,現在のコア・カリでは,衛生薬学という命名ですけれども,そこに公衆衛生薬学という名前が加わっております。これはどういうことかと申しますと,現行の衛生薬学という名前にこの公衆衛生学,今は公衆衛生薬学という名前にしましたが,この名前を加えることによって,社会・集団における人の健康の維持・増進に係る保健統計や疫学的な解析といったような内容や,感染症の予防蔓延防止,そういったような内容に関する実践的な学習を充実したというのが一つの作成方針でございます。
 それから,今後の薬剤師が社会集団の保健衛生,公衆衛生,環境衛生において果たすべき役割について深く考えて実践しよう,してもらいたいということで,学習目標がまとめられております。また後で御質問いただくことにして,基本的な作成方針は以上でございます。
 次は臨床薬学でございます。この臨床薬学につきましては,今回の素案では変わったところが多く,現行の「薬学臨床」とは大きく姿を変えていると言っていいと思います。この作成方針は幾つかございます。お話しさせていただきますと,まず,このFの「臨床薬学」という大項目は,薬学の6年間の学修を通して学ぶ,いわゆる臨床薬学,これの教育を目標としたということです。
 これまでは,「F薬学臨床」というのは,主な内容は事前学習や実務実習の内容をかなり細かく規定をされていたと思いますけれども,今回の「F臨床薬学」につきましては,重ねて申し上げますが,6年間を通して学ぶものだという立場に立って目標設定が行われております。
 それから,現行のモデル・コア・カリキュラムの「F薬学臨床」では,薬剤師の業務をベースに目標設定が行われていたというところが強い印象ですけれども,この点を改めて,薬剤師として習得すべき能力,あるいはあるべき姿ということを目標として設定をしております。
 それから,もう一点は,医療人としてふさわしい適切な行動を取ることができるようにという,行為のレベルの目標がこの「F臨床薬学」では数多く設定されているということでございます。先ほどの繰返しですけども,業務内容をベースにした内容ではなくて,もう少しレベルの高いところでの行為の目標が設定されているということでございます。
 では,最後,「G薬学研究」を御説明いたします。この点,いろいろ御意見をいただいております。非常に重要だからここはしっかりと,という御意見を内外からいろいろいただいておりますけれども,今回の内容は,検討会としてもこの部分については,重要性は十分認識しておりました。
 作成方針としいたしましては,最先端の知識・技能を習得して,薬学が医療の進歩に貢献するPharmacist-Scientistとしての課題発見能力,問題解決能力,そしてこれらに加えて,研究に対する倫理観,社会に貢献するための使命感や責任感,国際性といったものを涵養するということを目指すということでございます。それが大きな作成方針の1つでございます。
 それからもう一つは,特に卒業研究についてですけれども,研究計画の策定とその実施,あるいは研究成果の解析,考察,論文発表といった実際の卒業研究に関わるような学修目標を明確に示したことによって,卒業研究を後押ししようということでございます。
 以上,簡単でございますけれども,作成方針を御紹介いたしました。中身については,私に与えられた時間が少ないので細かいことをお話しできませんでしたけども,この後,質疑応答の時間があるということですので,そちらでお受けしたいと思っております。
 私から以上でございます。よろしくお願いいたします。
【井上座長】  ありがとうございます。今,御説明いただいた事項は非常に多岐にわたりますので,領域ごとに区切って質疑応答の時間を設けたいとと思います。
 なお,各委員におかれましては,これはオンラインでございますので,まず初めに御発声いただき,発言に至っていただくか,あるいは手を挙げる機能を使ってリアクションしていただければと思っております。
 それではまず,最初にA,「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」,この領域について御質問あるいはコメント等ございましたら御発言よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
【小澤委員】  よろしいでしょうか。広島大学の小澤でございます。本間先生,詳細で分かりやすい御説明をありがとうございました。
 先ほどの御説明だと,今回は生涯にわたって,つまりもうずっとどこまで達成するか分からないということでしたので,卒業時,我々ディプロマポリシーという形で,いわゆる卒業時の能力というのはある程度設定しなくてはいけませんので,その設定の際には,それぞれの大学で,いわゆるある程度,レベルというのはちょっと言葉が悪いと思いますけども,どこまでかという点が異なるということは,それでよろしいという考え方ですよね。
【本間副座長】  御質問ありがとうございます。検討会での議論の内容はおっしゃるとおりでございます。現在,薬科大学,薬学部は全国的にもいろいろな背景を背負って,多種にわたっているという現状に鑑みますと,ディプロマポリシーも画一的にはできづらいのではないかという考え方に基づきまして,それぞれの大学の理念,あるいは御事情,ディプロマポリシーに従って,6年卒業時におけるアウトカムは御自分たちでつくっていただくと。もちろん,今,提示させていただいた,生涯にわたって求められる薬剤師の資質・能力は参考にしていただくのはもちろんでございますが,そういう形で各大学においておつくりいただくというのがいいだろうというのが結論でございます。
【小澤委員】  ありがとうございます。ですから,アウトプットに近いような状況のものをまず設定して,それからアウトカムを目指していくというふうなことですね。ありがとうございます。私はこれから先,皆さんに説明していくときのために,こういうのを聞かれるのではないかというのをお聞きします。どうもありがとうございました。
【本間副座長】  よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【石井委員】  石井です。今言ったようなことは,このAのそれぞれの項目の範囲に少し書き込むようなことはないのでしょうか。それと,今これは全体ですけど,プロフェッショナリズムが最初に来ていますが,この全体が,1から10の項目が全体のアウトカムだとしたら,ここにBから,そこから以下のものが全部ぶら下がるような形になりますよね。結果としては。そうなると,プロフェッショナリズム自体を補う部分がちょっと,各項目に見当たらないような気がしたのですが,その点についても,2つお願いいたします。
【本間副座長】  おっしゃる点については,現段階では少し弱いかとは思っております。それについても随分認識をしておりまして,この後,来年度以降引き継ぐといいますか,新しいところでさらに完成を目指して御検討いただくわけですので,そこへ引き継がせていただいて,プロフェッショナリズムを特にしっかりと書き込むというか,目標設定をして,分かりやすい形にするべきであるとは思っております。御意見はそのとおりかと感じております。
 それから,10個の資質・能力の具体的なモデル・コア・カリキュラムとの関連性については,前回も御質問いただいたと思います。少し表に出にくくなっているというか,分かりにくくなっているというところはあると思いますので,この点も,この後引き継いでいただいたところで,しっかりとつなぎを埋めていくというか,書き込んでいただきたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
【長津委員】  日本薬剤師会の長津ですけど,よろしいでしょうか。本間先生,ありがとうございました。
 本間先生も御承知のとおり,私共,日本薬剤師会としては,薬剤師としての倫理感というものをかなり醸成していただきたいという訴えをしてきた中で,今お示しいただいたAのところのこれ,1と2と10というのは,これは切り分けが難しいですね。カットラインがなくて,全部が同じようなところで包括されてくるのかと思うので,一緒にするとぼやけるけど,切り分けが非常に難しいと思いますし,そうなってくると,これを教える方というのは非常に大変なのかと思うのですけど,ここの整理というのはどうでしょうね。
何となく説明が苦しいかと思うのですけども,少し先生の中で何か僕が腑に落ちるヒントがあればありがたいのですけど,いかがでしょうか。
【本間副座長】  おっしゃることはすごくよく分かります。私はあまり大きなことは言えませんが,分かります。それで今議論されていることを申し上げれば,この基本的な資質・能力は医学・歯学・薬学と合わせるような形で10個を掲げたわけですけれども,これは今御紹介させていただいたモデル・コア・カリキュラムからつながっていくコンピテンシーとして切り分けて掲げたわけですが,先生がおっしゃった,非常に基本的な姿勢というのでしょうか,態度というのでしょうか,そういうものは,このモデル・コア・カリキュラムの,例えば前文みたいなものですね。そういうところにしっかりと書いて,今おっしゃったところをまとめたような内容があると,コースワークの目標とは違った形でお示しできるのではないかとは思っていますし,そういう議論をしておるところです。
 これも,現在ではまだまとめられていないのですが,完成版に向けては,そのようなしっかりとした前文が,襟を正すというのでしょうかね,何と申し上げていいか,そういうものがしっかりと書き込まれればよろしいのではないかとは私個人は考えております。
【長津委員】  ありがとうございます。この辺というのは,実は薬局の薬剤師としてはとても大切に思っているところですので,もしこの辺の辺りの業務に関して,先生のお力になれるようであれば,我々のほうでも協力させていただきたいと思いますが,何とぞよろしくお願いいたします。
【本間副座長】  ありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げます。
【井上座長】  よろしいでしょうか。時間の関係もございますので,また後で,Aを含めて御質問があるとしたら受けるとしまして,次に行かせていただきます。
 次は大項目のB「社会と薬学」に関して,御質問などよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
【矢野委員】  矢野です。Bに特異的なことではないのですが,学習事項として例示と書いておられるのですが,この意味はどういったことになるのでしょうか。これはあくまで例示であって,この内容は全て教えなくてもいいという位置づけなのでしょうか。でもこう書かれたら,各大学は多分教えると思うのですが,その辺のところを教えてください。
【本間副座長】  ありがとうございます。ある意味一番大事な点でございまして,また分かりにくい点かと思いますが,私からそれについて説明させていただきます。
 モデル・コア・カリキュラムの本分として,コアとして最も大事な点は学習目標です。それがコアです。それについて学習事項が下に例示として示されていますが,その学習目標を具体的に説明するといいますか,補完する意味でこういったものの内容ですという形で例示をしたということでございます。ですから,学習目標に従って,各大学でカリキュラムをおつくりいただくわけですけれども,その際に,学習事項のこういった内容がそれに該当するのではないですかという例示として示されているというふうに我々はつくったつもりでおります。
 よろしいでしょうか。ですから,例示を必ずやらなければいけないというふうには思っておりませんし,例示以外を入れていただいても全く問題ございませんし,あるいはまた学習目標自体も,それに加えて新しいものを各大学で取り入れていただいても,基本的には問題もない,先ほど申し上げたとおりでございます。例示という意味はそういうつもりでまとめられているということでございますが,いかがでしょうか。
【矢野委員】  ありがとうございます。最低の,重要度の取り上げ方が様々かと思いまして。例えば学習事項の6番のヘルシンキ宣言,次のベルモントレポートというのはどうでしょう。あまりミニマムのところではないかと思うのですけど,そういうことが入っていたりとか。その下のジョンセンの4分割表とか,例示とされるのですが,少し深いところまで入っているところもあるのかという,そういう印象を持ちました。
【本間副座長】  ありがとうございます。おっしゃる御意見,そういう御意見が,これから次に引き継ぐ組織といいますか,そういう場で具体的な議論をしていただくのだろうと思います。そこで改めて取捨選択をされて完成版へ向かうと考えております。現在は素案として,議論の材料を御提供させていただいたと思っておりますので,今後は,それこそ全国レベルと申しますか,具体的に関わっておられる先生方の御意見を伺って,具体的なところは取捨選択,改めていくというふうになるのだろうと思っております。よろしいでしょうか。
【矢野委員】  ありがとうございました。
【小澤委員】  よろしいでしょうか。今の矢野先生の御指摘,私もまさにそのとおりだと思っていて。もう本間先生も御存じのように,薬学というのは物すごく皆さん真面目といいますか,従順といいますか,そのときにこの例示と示されると,例えばCBTはこれからどうなるのか,国家試験はどうなるのかという話が出てきますよね。
 さらに言えば,私が言っちゃいけないことですけど,薬学教育評価のときにも,いわゆる基準にも準拠と書いてあり,それからモデル・コア・カリキュラム,これはガイドラインですよというふうに,しかも二重に書いてあるにもかかわらず,網羅率が97%はけしからんなんていう改善点がついたりするわけですよ。つまり,それを僕はあまりよくないとは思いますけど,でも,それぐらいすごく真面目な集団であるということを理解しておいたほうがいいと思っていて。
 これを見させていただいたら結構いい感じで網羅できていますよね。よく頑張ってつくってくださったと思うのですよ。ですので,今,本間先生がまさにおっしゃったように,この次で,もう少し,さっきまさに矢野先生がおっしゃったような重要度に合わせて本当のコアに絞っていただいて,あっさり例示は取るという方向性というのはないのでしょうか。
 もう,まさにこれはコアであって,それ以外のことは各大学でどんどんディプロマに合わせてやってくださいというのはこれからの方針だと,さっきまさにおっしゃったので,そのコアとして示すものとして,ここの例示というようなものを外して,ここ以下全体をコアとしてしまうという考え方というのはないのかと思って。理由は,結構いけていると思っているので。そうでない部分もあるのですけど。
 以上です。
【本間副座長】  ありがとうございます。検討会の議論でもそういう話も出なかったわけではありませんが,まず先生がおっしゃったとおり,具体的なことを書くと,それを必ず守っていただくような形になり、それが現在のSBOsを中心とする現行のモデル・コア・カリキュラムが窮屈な原因になっていると検討会で考えました。
 ですので,コアの部分,守るべきコアの内容は学習目標として掲げ,概念化し,一般化した内容として掲げたわけです。そこにもう少し具体的な分かりやすい形で示すということで,学習事項というものを付け加えたのであって,学習事項が本質ではないのです。学習目標を見ていただいて,それから各大学の考えに従ってカリキュラムをつくっていただこうということです。
 何か細かいことを列挙すると,それが独り歩きしてしまって,それが守られてしまう傾向にあるというのは,小澤先生がおっしゃったとおりだと思いましたので,逆に,これはあくまで例ですよということで,なかなかなじみがないのかもしれませんが,そういう考え方でまとめられたものでございます。先生の御意見は分かりましたので,またこの先引き継ぐことかなと思います。ありがとうございました。
【小澤委員】  ありがとうございました。
【井上座長】  ほかにいかがでしょうか。
【長津委員】  薬剤師会の長津です。よろしいでしょうか。今の小澤先生の話を聞いてなるほどと思ったのですけど,真面目なのは学生だけじゃなくて教員の方も真面目だという薬学の特徴があるわけですね。それを踏まえた上で,私もこれの学習目標,例示はこの際,触れないでおこうと思いますけど,どんどんイメージが細かくなっていってしまって,僕らが言っているのは,医療というのはあくまでも患者中心であるということが前提にあって,その上での学問だと思っています。
 そう考えると,この今お示しいただいている資料の4ページの学習目標B-1-3の「行動規範と法的責任」の最初のところですけど,ここまでがその気持ちというか,薬剤師の魂を表現するところなのか,これ以降は全てもっと各論になってくるところですね。だから,ここまでであくまでも文章の書き方の問題もあるとは思うのですけども,例えば,3)の「薬剤師が遵守すべき倫理規範や法令に対して」というところも,もうこの時点で主役が薬剤師になりかねないわけです。だから,この辺りを,例えば何でこの倫理規範や法令があるのかという。国民のためにある法律のはずであって,そういったところの主役を国民というか,日本における医療を受ける方が主役だという,何かそこをぼんやり後ろに見え隠れするような,そういう目標がないと,全部薬剤師が主役になりかねない。
 ここら辺のところをもう少し何か,僕もアイデアはないから申し訳ないのですけど,何となくここまでで解決というか,植え付けておかないと,この後は本当に薬学の学問というか,そういったところに入ってきます。ここまでがとても大事かと思いますので。何となくそういう,主役をちらつかせるような何かがないと,細かい視野の学問になってしまいそうな気がするので,その辺りを少し御意向いただけたらうれしいと思います。
【本間副座長】  ありがとうございます。大変参考になりました。学習目標というところが少し曖昧だというところも我々は反省しておりますので,改めて次の段階ではそういった点を特に留意して改修をするよう引き継ぎたいと思います。とても貴重な御意見,ありがとうございました。
【石井委員】  石井ですけど,よろしいでしょうか。
 今の御意見ですけれども,これはコアカリなので,学生さんが学ぶので,学ぶ学生さんが主語になっていくというのが書きぶりだと思います。この辺りはちょっと注意しなければいけないのですけれども,学生さんが何々ができるとかというのになってくるので,その社会的背景というのは先ほど,次に申送りになるとおっしゃっていましたけど,前文に書くなり,だから学習するんだよという部分は外枠に出していかないと,逆に混乱を招くように思いますので,ここは委員の皆さんの合意を取った上での議論が必要に思いますが,いかがでしょうか。
【本間副座長】  承知をしているつもりでございます。本文自体は,学生が読むもの,社会も読むかもしれませんが,基本的には学生が読んで,これからの学習を見通すものと思っております。今,長津先生におっしゃっていただいたのは,大前提としての考え方を学生にも分かってもらえるような形で示せという御意見だと思いますので,それは書けるかと思います。原則は石井先生がおっしゃったとおりでございますので,それは貫こうとは思っております。よろしいでしょうか。
【井上座長】  ほかにはいかがでしょうか。「社会と薬学」に関してよろしいでしょうか。
 もし特になければ次に行きたいと思います。次は「科学的根幹としての基礎薬学」,いかがでしょうか。この「科学的根幹としての」という言葉が,果たしてこれでいいのかという議論も当然あろうかと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【小澤委員】  よろしいでしょうか。ここも多分御苦労された,御議論されたと思うのです。このCの「科学的根幹としての基礎薬学」というのは,基礎薬学とは基本的には科学的根拠になるので,こここそ臨床につながる基礎薬学というメッセージを伝えられたらいいと思ったのです。本間先生がさっきまさにおっしゃっていたのは,そういうことをおっしゃっていたのだろうと。ただ,多分御議論の上で,そんなことは無理だよというのでここに落ち着いたのだと思いますけども,一応そういうふうに思いました。こここそ臨床につながる基礎薬学と前面に出していただければ,皆さん少しずつマインドを変えていただけるのではないかと思いました。
 以上です。
【本間副座長】  ありがとうございます。大項目の名前の冠については,いろんな意見をいただきました。私も伺っております。この「科学的根幹としての」とか,「臨床に繋がる」とかという冠をつけていただいたのですが,これはまさに班,それぞれの班の強い,熱い思いでございます。それを尊重させていただいて,こういうふうに掲げさせていただきましたが,これも全て次にという言い方で恐縮ですけれども,次のしかるべきところで,もうこれは十分分かっているからいいよ,ということであれば,省くことも考えてよろしいかと思います。
 ただ,これはそれぞれの熱き思いが伝わっているということでございまして,当たり前といえばもうそれまででございますが,そういう気持ちを改めて冠につけたということかと思っております。
【小澤委員】  本間先生の御苦労も,そういうお気持ちだというのも分かるのですけど,僕が言いたかったのは,そういう冠が要らないのではないかということではなく,こここそ臨床につながる基礎薬学というメッセージを入れられれば,先ほど本間先生がおっしゃっていたことというのが学生にも伝わるのかと思っただけですので,言ってみれば感想です。
【本間副座長】  分かりました。その点につきまして,基礎薬学では結構議論が行われたのではないかと思っております。臨床につながる内容に絞るべきだという意見は,もう非常に昔からというか,6年制になった当初から議論をいただいているのではないかと思います。その点について,例えば有機化学と言われるような領域については,直接臨床に役立つかと言われますと,いやこれはちょっと無理があるだろうと。無理があるところに,例えば今回の検討会でも,それぞれ御活躍の薬剤師さんにインタビューをさせていただいても,有機化学の内容が直接臨床に役立っているとは思えないという御回答をいただいています。でも,基礎の班の中ではそれは当たり前のことだという考え方をしました。
 一方,活躍されている薬剤師さんに伺うと,例えば医薬品化学の内容は非常に役に立っているというお答えです。よく考えますと,医薬品化学を学ぶ上では有機化学は必須だと私たちは考えております。そういう階層性があるので,いきなり有機化学が臨床に役に立つかどうかを議論するのは,それは無理があるのではないかと。そういう考え方でございますので,臨床に結びつく基礎薬学という冠をダイレクトに使うのははばかられたかというところでございます。
【小澤委員】  先生,申し訳ございません,私の言葉が足りずに。有機化学がそうだと言っているのでは全くなくて,先生方が教える,学生が学ぶというときの心構えとして,臨床につながっていくと。実際モルヌピラビルもあの構造式を見れば,これによってどんな副作用が起きて,どういうことが起こるかなんていうのは分かってくるわけで,それは有機化学がないと分からないし,実際,生体反応とはほとんどが加水分解ですけれども,とはいえ,そこにも有機化学というか反応という概念がないと駄目なので,有機化学というのはとても大切だというのも重々承知して,それは誰も分かっていると思うのですよ。先生のお気持ちを伝えるとすればという,ただの感想といいますか,ですので,決して有機化学がつながらないとか,そういう意味ではないです。
【本間副座長】  分かりました。ありがとうございます。
【長津委員】  長津ですけれども。多分今の小澤先生の最初の投げかけというのは,恐らく先生が前回おっしゃっていたDの「臨床に繋がる」という冠に多少違和感が残っている中での御提案かと思っていまして。私も確かに小澤先生の言うとおりの表現が一番気持ちいいなと思うのは,私共の界隈でも出ていましたけど,Dの「臨床に繋がる医療薬学」というのは,どちらかというと「馬から落馬した」ような,そういうような表現ぶりになりかねないというところもあったので,私がもし賛成か反対かといったら,小澤先生の御意見に全く賛成なところであって。
 まさしくここの基礎薬学というところ,学問の確かに根幹だと思います。私自身も,大昔ですが有機化学で学位を取って世の中に出てきたので,有機化学が臨床に役立たないかと言われると,いささかそこは反対もしたくもなりますし,全く無駄にはなっていない。これは有機化学に限らずだと思います。ほかの学問を極めた方々も恐らくそのルートから基礎薬学を通して臨床につなげてきて,今に至るのだと思いますから,薬学の中である学問をしっかり学ぶというのは,これはとても大切なこと。
 だからそこが,十分先生方は皆御理解いただいているとは思いますけども,そこがこの科学的根幹と書くのか,何とかにつながると書くのかというところは,ここに本間先生がお持ちになる前に相当いろんな方が議論されて,そのお気持ちが入っているということだったので,それを根本から覆すことはありませんけども,我々薬剤師から見ると,何となくそっちのほうが分かりやすいという気はいたします。取り留めのない話で恐縮ですけど,何となくそういう印象があります。
【井上座長】  ありがとうございます。同じメンバーの方が御発言になっているばかりで,せっかくですので,もう少し別の方にも御意見を伺いたいと思いますけれども,例えば基礎で関わっておられた高橋先生は御意見いかがでしょうかね。
【高橋委員】  ありがとうございます。私は有機化学が担当でして,本間先生と一緒にこれを,案を考えさせていただいた者でございます。「根幹にある」と私たちが言いたかったのは,有機化学はもちろんですけれども,物理化学,分析化学全てにおいて臨床につながるのはもう当たり前だと私たちは考えていたのです。なので,今さらそれを言わなきゃいけないのかというところに疑問を感じまして,むしろ,全てのベースですよというところを言いたいので,根幹という言い方がいいのではないかと考えた次第です。
 かえって「臨床に繋がる」とかという何かそれを入れると,何か今までそんなことを私たちは考えていなかったというようなことを認めるように思えてしまいまして,絶対そういうことではないのです。全ての基礎科目は臨床につながっています。ただ,それよりさらに下にもうベーシックなところで働いているということを言いたかったというのが根幹ということで,決して有機化学が臨床に役立たないとか,持っていけないなんていうことは,教員は誰も思っていないと思います。よろしくお願いします。
【井上座長】  意図するところは,思いがよく出ているのだと思いますけれども。高橋先生が言ったほど,基礎の先生方が本当に臨床をイメージしているのかと,私の立場で言うのはまずいのですけども。だとすると,「臨床に繋がる」とかというほうが素直な感じじゃないかと私は思いますけども,いかがでしょうかね。
【高橋委員】  だから,これからもちろんもっと頑張っていかなくてはいけないのですけど,できればという思いはあります。みんな本当はちゃんと思っているのだけど,その表現の仕方が先生方は上手にできていないだけなのかと思っています。
【井上座長】  分かりました。
【小佐野委員】  井上先生,小佐野です。いいですか。
 今言ったように,「臨床に繋がる医療薬学」というところと今の高橋先生との整合性ですが,実は,医療薬学の場合は,ここでは結局ベッドサイドを臨床と考えています。ですから,それに対して一般論としての医療からベッドサイドにつなげる,すなわちFにつなげるという意味で考えたので,そういう意識を考えると,この基本,基礎のところを臨床,いきなりベッドサイドという比較をつなげるよりも,学問的な体系の中でということも大事かと思いました。
 一応,以上です。
【伊藤委員】  伊藤です。よろしいでしょうか。
 私はDの医療薬学を担当して,薬物動態とか,そういうところを書いたのですけども,今回非常によかったのは,ほかの項目とのつながりですね。何がベースになっているかという項目を書いていったときに,つくづく思ったのは,基礎薬学でこういうことを,物理化学とか化学とかを教えてくれないと,我々は全く教えられない,学生は理解できないということを強く認識しまして。そういう意味では,「臨床に繋がる」というのは「繋がる」という表現が弱過ぎると思うのですよね。
 それは必須のものであるということを示さないといけないので,そういう意味では根幹というのはいい言葉だなと思っているのですね。「科学的根幹」という言葉がいいかどうかは今後,議論が必要ですけども,「繋がる」という言葉は,私は弱過ぎると感じました。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 基礎が極めて重要であるということに関して,どなたも全く肯定しているわけですので,そこをどう表現するかというところだと思います。さらに議論を重ねて,みんなが納得いくような名前を考えていければと思います。
 時間がだんだん,まだまだ後ろがありますので,この辺までにいたしまして。
 それでは,ここから先は,薬学教育の非常にポイントになる部分かと思いますが,まずはD領域,この「臨床に繋がる医療薬学」という,この表現が問題になってもいるわけですけれども,この「臨床に繋がる医療薬学」という表現でいいかということも含めて,全体的にDについて御意見を伺えればと思います。いかがでしょうか。
 Cのところでもそうだったのですけども,小項目で,このDもある項目だけが非常にたくさん小項目が並んでいます。Cも人の体の部分,ここで突出して小項目が並んでいます。こういうふうにどうしてなったのかという辺りに関して,皆さん,あまりこれでよろしいでしょうかと。何か多過ぎるのではないかというコメントは特にはないのでよろしいでしょうか。いかがでしょう。
 Dでこんなに項目がある理由というのは,例えばこれ,小佐野先生は,Dの項目の中でここだけが多いのですけども,何か説明はうまくできますか。
【小佐野委員】  現行のEのところを見ていただいても分かるように,疾患だけ羅列して,病態なのか薬理なのか薬物使用なのかという区別が混沌としたままで5つに分かれていたという,あれが体系的だったとは決して思えないのですね。ですが,薬を学ぶときに,病気と薬はつながっているというのは,もうこれは本のタイトルにもなっているようですから,それを病気だけ,薬だけ分けて考えて授業を行うというのは,つながりという意味ではおかしいと思います。
 ただもう一方で,一般論で薬や病気を習うときに,それを患者さん個人個人に適用した場合には,一般論では正しいものも,患者さんの状況や併用薬や症状によって使えないものがある。そう考えると,その後者をFに持っていって,そして,言ってみれば僕らが,学生が頭の引き出しの中に病態と薬理がつながっている。さらに,薬とはどんなものかというのが分かっている。さらに患者さんに接するときの医薬品情報や剤型や薬剤が頭の引き出しに入っていると,そんなイメージで考えたときに,非常に学問体系がすっきりしている薬剤系は,内容の割には項目が少ないのですが,病気のところは,これはよく私たちの大学でも言われるのは,何で同じことを繰り返すんだと言うけど,繰返しではなくて,その器官や臓器や状況によって治療が異なってくるというところが一つずつ学んでいかなきゃいけないのかと。
 そんな意味で,Cの解剖のところをあまり徹底的に解剖だけやっても,それが薬や病気につながらなければ,診断を主としない薬剤師にとってはつらいと思うので,そこをつなげて,CからD,そして薬と病気と解剖,生理がつながる,そしてその引き出しを持って目の前の患者さんに対して,そこから必要なものを使っていくという,そんな流れを意識したので,これでも随分スムーズに,スマートにしたつもりです。
 ただ,ほかがもっとスマートになったので,突出しているようですが,その辺は御理解いただけたらいいかと思うのですが,もちろん新しい御意見があれば,そこに参考にして考えていきたいと思います。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。例えば角山先生,何かDの辺りでコメント等ございませんでしょうか。よろしくお願いします。
【角山委員】  Fのところを私,この前のところで検討させていただいたときにも,細かい疾患をたくさん挙げるのが本当に必要か,みたいな議論が出たのですけれども,可能であれば,このD-2の非常に詳しく出ているところがもう少しCの解剖のところとリンクしやすいようになっていると,つなげて教えていくというか,教育していく中で取り組みやすいかとは思いました。
 がんとかそういったところは全般に関わるので,外に出さないかもしれないですけれども,神経系のところとかがすごく細かくて,中に出ている事例の,例示のほうも結構細かいのが,そこは多分これから詰めていくところになるとは思うのですけれども,正直なところは,細かいなとは思いながら見せていただいたというのが正直な感想です。
【井上座長】  ありがとうございます。石井先生。
【石井委員】  私も同じように細かいと思います。薬物,いわゆる医療薬学という言葉の表記というのは,実は明確に定義されていないので,何をというふうに追及できなかったのかなと思いますが,書きぶりというか何か統一感があったほうがいいかと思いました。
 あと,薬物治療を最終的に理解するのか,その辺りも何かもわっとなってしまっているので,整理が必要だとは考えております。
【井上座長】  この領域ですと矢野先生,どうでしょうか。
【矢野委員】  ありがとうございます。あともう少しまとまりができるのかもしれないですが,ただの病気のこと,薬理作用のことを書こうとしたら,こういうことになるのかとも思いながら見せていただいています。
【井上座長】  ありがとうございます。ほかになにか。
【小佐野委員】  小佐野です。いいですか。いろいろと貴重な意見をありがとうございます。細か過ぎるという意見も分かります。
 ただ,現行のカリキュラムを見ながら,あれが全く同じ文章で疾患だけ変わっているという状況も,僕らはあそこに対しては何らかの形で改善しなきゃいけないと感じたのですね。だけども,やってみると,今,御意見いただいたように,やっぱり細くなってしまう。それはそもそも横に並んでたくさんの病気を学ばなければいけないからで,矢野先生がおっしゃるとおりで,そうなってしまうところもあるのですが,ただ表現を変えて,つながりをつけて,先ほど角山先生から意見がありましたけれども,できる限り,解剖とつなげ,そして有機化学とつなげたというところは,このねらいのところに書いてあります。
 ここはもう今までの,あそこだけで独立していて,Eだけがいきなり増えて,ほかはスリムにしたのに何であそこだけ膨れるのだということは解消されているような気がしますので。ここは僕らが,もしかするともっと考えていかなければいけない,薬剤師が薬学の,薬物治療をやるときに,ベースとしての知識をどうやって持っていったらいいかということは,これから先生方と初めて考えていかなければいけないところです。
 網羅的に一生涯にわたって一度も会わないような病気に対して,国家試験で出題されたり,あるいは僕らが勉強したりすることとは違う,6年次の卒業時と生涯学習の区別をつける時期に来ているような気がしています。
 以上です。
【井上座長】  現役の薬剤師としての立場からだとどうでしょうかね。長津先生,何かありますか。
【長津委員】  ただ,ここは書いてある内容に関しては全く私も口を挟む余地がないのですけど,こういうのというのは,恐らく教育する側の方の読み取り方がうまくいくかどうかという書きぶりが重要になってくるのかと思います。最初のところでもお話がありましたとおり,これをまた細かく,細かく考えて全部やろうとするのは,いささかよろしくないとは思いますので,ここは教育の現場の先生方の御意見のほうが重要かとは思います。私は内容に対しては全く問題ないと思います。
【井上座長】  ありがとうございます。
【長津委員】  ただ,もう一点ですね。臨床につながるということ,小佐野先生の最初の,前段の話では,これはベッドサイドという御意見でした。ベッドサイドというのは,どのベッドなのかというところが私はすごく気になっていて。
【小佐野委員】  小佐野です。それは患者さんから学ぶという,そういう意味だったら薬局でも病院でもあるのではないかと。
【長津委員】  そうです。そこがすごく気になりました。ありがとうございます。
【小佐野委員】  要するに臨床からベッドサイド,イコール病院という形ではなくて,臨床というものを患者さんから学べる,大学が持っていない唯一のソースというのは患者さんですから,現場に行っても何か調剤しかさせてもらえないというのは,悪いことじゃないのですけども,将来を考えたときには,患者さんから学ぶことが多い。だから臨床イコール患者さんから学ぶような学問だというイメージがあるといいという,そんな願いがありました。御指摘ありがとうございます。
【長津委員】  ありがとうございます。
【井上座長】  平井先生,どうぞ。
【平井委員】  ありがとうございます。この部分がすごく長くなるというのは,解剖の生理のところもそうですけど,薬学がこの分野に関してあまり慣れていない,だから要するに教える先生がまだ十分慣れていないということがあって,こういう形を取らざるを得ないのだと思うのですけど,次のときには,もう少し整理できる,矢野先生もおっしゃっていたように塊にできるはずですし,それであと,疾患がたくさんあるというのですけど,それは病理学の基本的な考え方で,臓器とそれから症状から合わせると,一個一個の疾患をばらばらに覚える必要はないわけですよね。
 だから,そういう考え方を取り入れる必要がぜひともあるというのを,私はコメントを書かせていただいたと思うのですけれども,お考えいただいたらいいと思います。
 それで,そういうのは,一個一個は,もうそれこそ小澤先生がおっしゃっていたように,それこそ目標のところだけでよくて,あとのは,ガイドラインをつくろうとかいう話になっていたじゃないですか。だから,実際は教える先生を教育するというのがすごく大事で,そのシステムをつくるというのをこの次年度に考えたらいいかと思っています。よろしくお願いいたします。
【井上座長】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
【小佐野委員】  小佐野です。平井先生の今の意見はごもっともで,本当は手を入れられなかったところがあるのですが,教える側としても,今,先生がお話ししているように,これでそれぞれの疾患以外は,俺は知らないよ,だから教えないよという,そんなシステムではなくて,薬学部の教員が薬剤師である以上,全部の疾患に対して今の平井先生の考え方で授業を構築していけば,これはあくまでどういう順番でやってもいいわけなので。そういうところからのアイデアをもらって次につなげたいという気はしています。どうもありがとうございました。
【高田委員】  高田ですけれども,よろしいでしょうか。Fのところなのか,このDのところなのかというのはよく分からないのですが,ライフサイクルというか,実際には患者さんの年齢ですとか,そういうことによって,お薬というのはかなり変わってくるというか,量ももちろんそうですし,飲み方の指導だとかというところも相当程度変わってくると思うのですが。
 例えば,最後のほうの個別最適化という表現で出ていた,これは中項目ですかね,小項目か何かあったと思うのですけど,この個別最適化のところも,剤形だとか,そういうお薬の側のことはすごく出てくるのですけれども,患者さん側の個別条件と言ったらいいか,先ほどからの議論で患者中心とか患者主体とかいうのが,総論的なところにはたくさん出てくるのですが,実際の中身になると,患者さんを中心にしたというときに,具体的には年代ですとか,その家族背景だとかということが考慮されて初めてセルフメディケーションだとかそういうことに役立つような,薬剤の支援とか相談とか指導というのが成り立つのかと思うので。その辺の要素が,若干弱いというか,もうちょっと必要ではないかというのを,これは私が看護の人間なので,看護師として患者さんに関わるときというのは,どうしても出てくるのはそういうところですよね。なので,ぜひぜひその辺りをもうちょっと強化していただけたらと感じました。
【井上座長】  ありがとうございます。
【長津委員】  よろしいですか。どこがそれにはまるのか,僕も分からないのですけど,現状,我々の卒後教育もそうですけども,薬学部の教育においても,今,成育基本法が成立して,小児の非常に難しい病気に対して対応していくという薬剤師もかなり少なくて困っている現状があって。そういった,がんの領域も非常に大事ではあるのですけど,その小児の特定の疾患というか,医療的ケア児のこととか,僕が見つけてないだけかもしれないのですけど,そういったところもどこかに露出しておかないと,どうしても高齢者ばかりの頭になってしまうと嫌だなという気がします。その辺りというのはどこかに書いてありましたかね。見つけていなくて申し訳ないのですけど。
【小佐野委員】  小佐野です。ありがとうございます。D-3-5の患者情報にちょっと触れてあるところがあるのですね。今の高田先生の指摘もあったのですけども,学習事項にちょっと触れているだけですが,要するに高齢者,小児,そういうところの,まずは患者さんの情報はここで学ぶ,そして御指摘があってD-6では,薬剤としてはここで学ぶという,どちらも一般論としてやっていく。そしてFに行きますと,そういう例えば本当の小児であれば,その小児についての事例を学ぶ。
 すなわちこのDのところというのは,一般論として,言ってみればある程度再現性のある知識を与えていかなければいけない。ところがFのところは多分,患者さんで同じ人は二人といませんから,ここはどちらかというと,そういう今までの頭の中に入れた引き出しの中の知識を使わせていただいて,全部は網羅できないけれども,6年間でここまでという,そんな感覚につながるような構成を取っています。ただ,今お話しされたように,看護師さんと一緒にやる意味では,ちょっと患者情報のところがもう少し厚いといいかということは十分に感じました。ありがとうございました。
【角山委員】  角山です。よろしいでしょうか。
 私も看護学部の学生さん等と一緒に教育させてもらうときにすごく感じるのが,患者さんというか,人のライフサイクルの中でどんなふうに成長していくかとか,どういうふうに関わるといいのかみたいのをすごく考えますよね。そういうのが薬学は本当にないというか,不足しているというか,もっともっと充実してきたらいいと思っていまして。どこにそれを入れられるのだろうと。この下のワーキングで,Fの臨床薬学を考えるときにもすごく気になっておりまして。
 今,小佐野先生とかがDのところとかの患者情報のところで,というお話をしてくださったのですけれども,患者情報を今現行のコア・カリにのっとって教えている身としては,そこだけでもないような気がしまして。現行であれば,Aの辺りに,人と発達過程みたいなところを入れることができるのかもしれないのですけれど,今回Aが完全に資質の形になりまして,Bのところでそういったその人の発達段階を理解するというようなところは入れ込めるのかどうかというのが少し疑問に思っているのと,もしそこで触れないのであれば,その発達過程,人のライフサイクルみたいなのをどこかで学習することができるといいのではないかとは個人的にすごく思っていたので,発言させていただきました。
【井上座長】  ありがとうございます。鈴木先生,お願いします。
【鈴木委員】  Fのほうをずっとつくらせていただきました鈴木です。今,高田先生がおっしゃられたことは非常に重要なことで,それはどちらかというと,コアカリが積み重ねていく,Aはちょっと置いておいて,BCDと積み重ねていったFのところで,高田先生のおっしゃられたことをきちっと勉強しようという形で私たちはつくっているつもりです。
 ただ,今,角山先生,それから長津先生が言われたとおり,ひょっとするとBのところというか,そういう根幹なところで薬剤師の関わり方という,例えばコミュニケーション能力だとか人間関係の形成能力とか,そういうところにも関わってくる話です。
 つまり,ただ知っていればいい,今のDは知識ですので,こういうことが分かっていればいいということから,Fで本当にできるという方向を目指してつくっていますので,その辺りにもう少しDと連携をしまして,実際言葉なんかも,セルフメディケーションとかセルフケアとか,疾病の呼び方なんかもちょっとずつそごがありますので,その辺りはDとよく連携をして,これからつくっていくべきじゃないかと思っています。ということで今後の課題じゃないかと思います。
 イメージは,Dは物から人へというところの物のほうは,だから今回Dのほうに調剤のほうは入れさせてもらいました。いわゆる物のほうを担当するものはDのほうで,人を担当するFという,そういうイメージのほうに考えております。
 以上です。
【井上座長】  石井先生,どうぞ。
【石井委員】  今のことではないのですけど,Dの項目が先ほど多いと申し上げましたが,将来的に,これは近未来のことを考えますと,今後,歯科領域とかも意識した薬物治療が必要になってくると思いますので,その辺りも次期考えていかないと,恐らく今,薬局さんは物すごく歯科に頑張っていただいて,介入していただいているようなところが多いと思いますので,知識と学習項目ということであれば,加えてもいいのかと思っております。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。河野先生,せっかくですのでよろしくお願いします。
【河野委員】  ありがとうございます。今,コアカリを見てみますと,ちょっとその話と違うのですけれども,発達とか発生・発達,それと老化という項目が少し学習項目の中にないような気がします。だからライフスタイル云々という話があるのだったら,そういうところもどこかで学ぶ必要があるかと思います。
 それと歯科に関するところはもうぜひ入れていただければ助かると思います。抗生剤と鎮痛剤というのが主ですけど,口腔がんとか,そういう領域もありますので,ぜひそういうところも対応していただければと思います。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございました。
【小佐野委員】  小佐野です。アンケートを取ったときに,歯科医師さんからは,非常に強い薬剤師への協力の要望が書いてありましたので,そういう意味ではぜひ入れていかなければいけないと思いました。
 以上です。
【井上座長】  これから先の検討で,ぜひそれを付け加えていくということだと思います。よろしいでしょうか,Dまで。
 そうしましたら,次はEに行きたいと思います。Eは公衆衛生が新たに加わったということ,あるいは感染症等に関してもかなり書き込まれているかと思います。いかがでしょうか。E領域。これまでの衛生薬学とはかなり加えたものが多いという感じがします。感染症等に関して少し詳し過ぎるのではないかというようなお考えもあると聞いてはいるのですけども,いかがでしょうか。特に何かございませんでしょうか。小澤先生,まずはどうですか。
【小澤委員】  ありがとうございます。ここのところは随分,医学での衛生領域といいますか,疫学的なものも随分,加えていただいていて,これからいろんなことに,今のまさにCOVIDのこともありますけども,対応できるという点で,いいかと思います。ただ,ここの学習事項にこだわるわけじゃないですけど,ほかと書きっぷりが違うなというのは感じたので,案外こっちのほうがいいのかと思いました。
 以上です。
【井上座長】  この辺のことに関しては長津先生。薬剤師として,これはいかがですか。
【長津委員】  感染症に関してのところを十分盛り込んでくれというのは,本会からも強くメッセージとして出させていただいているところですので,もう細か過ぎるかどうかというところに関しては,私も判断つかないところです。ただ現状の学生さん,我々現役もそうですけど,感染症というものに関しては,ある程度知識は積むわけですけど,ただ,こと今回のワクチン云々の,学問としての,メカニズムとしてのワクチンの知識というのは,非常に希薄であるというのが結構露呈されてきています。
 まして新しい形のワクチンができたりとか,今後ワクチンの業界というのは様々,今みたいにプスッと打ってキュッと押すみたいなのじゃないものが,恐らくどんどん出てくる中で,学生さんにはそういった,感染予防を含めての具体的なものを,しっかり学んでいただけますと,僕ら現場の薬剤師としては大変期待するところだと思います。充実していただくのは本当に歓迎するところです。
【井上座長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうかね。そうしましたら,次にFの臨床薬学。
【平田委員】  平田です。まとめさせていただいた立場でありますが,感染症のところというのは,結構ほかでもあったのですけど,治療薬は当然,薬物治療のところで出てくるのですけど,ワクチンとか予防の概念が非常に重要ではないか,あるいはそこに対する薬剤師の貢献というのが非常に重要じゃないかという視点で書かせていただいたので,だったら感染症を知らないといけないというのは,割とここに集中的に入れました。むしろほかのところに散らばっているのが割とここにまとめたというのは,ほかの領域の理解も得て,ここに持ってきたというのがありますので,一連の感染症というのはここでしっかり,しかも公衆衛生の中ですから,少し治療とは違うので,薬剤師が活躍する部分がそこにあればというようなところでまとめたのです。
 だから,今までの法律を覚えて,ものを覚えてというのではなくて,実践しないといけないというところをかなり意識して書き込んだので,将来的にはもう少し緩くなるかもしれません。
 あと,1点意見ですけど,さっきいわゆる臨床につながるとか,基盤になるとかという,何か多分,領域それぞれに思い入れがあって,先ほど改定の方針を言っていただいたのですけど,少し副題のような,キャッチフレーズのような1文があれば,割と分かりやすいのかと思うのです。今のつけ方だったら舌足らずというか,誤解を招くところもあるので,もう少しだけ各領域のところを一言下に,もちろんつながりとかは学修目標に書いてあるのです。その辺りは全体の構成があって,その中の位置づけというのは,少し文章を足したほうが分かりやすいのかと。
 それぞれ領域で多分そうだと思うので,今CとDが問題になっていますけど,だったらもうそれぞれ簡単にタイトルだけつけておいて,1文をそれぞれの領域でつけたほうがいいのかと思いました。BもAと一緒になったので,今までのBと違うので,その辺りも含めて少しまとめたほうがいいのかと思いました。それは意見です。
【井上座長】  ありがとうございます。今の平田先生の御発言は,今後,先につなげて,ぜひ考えていきたいと思います。
【平田委員】  もちろん今後,全体を見て,それぞれのタイトルで考えないといけないと思うので,今後の議論だと思います。
【井上座長】  たしかに「臨床に繋がる」とか,「科学的根幹として」とかという言葉があったりなかったりというのは問題なので,ここはタイトルそのままですっきりとさせてしまって,平田先生の言うような補助的な短い説明みたいなものを加えたほうがすきっとするのではないかというお話だったと思いますので,今後,検討していきましょう。
 いずれにしても,DとEと今までの順番をひっくり返して,E,それからFが後ろのほうに行っているというのは,今,平田先生がおっしゃったように,行為の部分が濃厚にあるということで,Dの後にEを持ってきたという,そういういきさつだと思います。
 それではF,臨床薬学についてコメントがございましたらぜひお伺いしたいと思います。臨床につながってきますので,石井先生から行きましょうか。石井先生,何か。
【石井委員】  これ,実は一緒につくっているので,むしろ鈴木先生からまず御解説いただいたほうが,ほかのところと違うような雰囲気もありますので,そのほうがいいと思います。
【井上座長】  鈴木先生,まずは。
【鈴木委員】  ありがとうございます。先ほど少し説明しましたけれども,今までですと,いわゆる(前)という形で,大学でここまでやって,その後,実務実習とか,卒業時までにここまでやってねということで,イメージとしては実務実習とか事前学習で学ぶという形が非常に強かったのを,いよいよ本格的な臨床薬学という領域としてつくってみようということでつくってみたものです。これがOBEというか,outcome-based educationに近づけているのではないかという気持ちでつくりました。
 ですので,ここに書いてあるとおり,大きな根幹は薬物治療を,先ほど高田先生が言われたみたいに,個別に最適化する,そこのところができる能力,それから医療マネジメントができる能力,それから地域医療に貢献する能力と,大きくそこで分けてつくりまして,さらに最後に,本来これはBにあるべきものなのかもしれませんけど,先ほど石井先生が言われたAからの流れで,実際に今度は行為として,いろんなことを知っていて,知識を使えただけじゃ駄目で,実際に医療人としてこういうふうに行為をしなければいけないという規範を少しつくってみた,新しい並びでつくってみたものです。
 ですので,先生方からまた御意見をいただきながら変更していく必要はあるかと思うのですけれども,大きく違いますのは,今までのように調剤ですとか,そういうものはもちろんDに行っていますし,あるいは学校薬剤師のような,そういう公衆衛生のものも行っています。実際にFでは,対人で実際に社会や臨床で,医療現場で行うということの能力ということをつくってみたつもりです。まず,ここまででいかがでしょうか。
【石井委員】  私から少しイメージの補足ですけれども,Fというのは,今まで全てのことの統合的意味づけといいますか,薬学が学んできたことの全体を統合するという場を学生さんが実践するという意味合いでつくってございます。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。全てを統合して実践するというイメージだったというお話しだと思います。長津先生,どうぞ。
【長津委員】  ここはまさしく私たちのフィールドかと思うのですけれども,これはまた別な議論にはねると嫌ですが,そもそも,例えば言葉の使い方の問題ですが,87ページの学習事項例示の(2)です。例示がいいか悪いかというのはまた別なわけですけど,薬物治療に必要な患者情報というところは,我々からすると薬剤師は患者の服薬管理を行うのだという,まずその主張があります。その服薬管理というのは,そもそも薬学的管理の中の服薬管理という階層があって,その服薬管理は何かというと,その上の学習目標のところの,5)の患者の服薬行動や云々というところがまさしく服薬管理というところにリンクしてくるのかと思います。
 可能であれば,私たち薬剤師は,服薬管理という薬学的管理の中,薬学的管理というのは薬そのもののいろんなことがありますけども,患者さんの服薬行動云々というのはまさしく服薬管理を行うのだというのが薬剤師としてのミッションですので,どこかでその服薬管理という言葉を入れていただけますと,我々としても,すごく目がなじんでくるので,鈴木先生,その辺は可能でしょうか。
【鈴木委員】  承りました。これはまだ試案で,この患者情報については,実は物すごくいろんな意見が出て,ワーキングの中でも相当もめた事項で,もう消してしまおうかと考えたこともあったのですけど,今言われたみたいに,これからの薬剤師が何をすべきかを考えて,必要な事項は入れていったほうがいいかと思いますので,服薬管理ということも,きちっとどこかに明示するということは考えてみたいと思います。また先生からも御意見いただければと思います。
【長津委員】  承知しました。
【井上座長】  ほかにはいかがでしょうか。
【矢野委員】  矢野です。先ほど来もお話がありましたが,このタイトルですが,Fの臨床薬学というところは少し再考していただけたらと思います。
 理由は,私たちは医療薬学イコール臨床薬学というようには思っていたのですけれども,こうすると全く別のものになってくるということがあって。前は薬学臨床ということが今回,臨床薬学にされたということですが,そこの辺りと,むしろ前の薬学臨床のほうがイメージに合うかということとか,あるいは,臨床で実践する薬学とか,何かもうちょっと言葉を入れたほうがいいのかと思います。
 以上です。
【井上座長】  これも検討事項ということにさせていただくと。
【鈴木委員】  井上先生,ぜひいろんな先生からそれについては御意見いただければ。
【井上座長】  ほかにいかがでしょうか。
【高田委員】  高田ですけれども,よろしいでしょうか。
 今,本当に病院から地域へという,いわゆる地域包括の動きというのは,かなり目立ってきているというのも変ですけれども,がんの患者さんなんかも相当程度もう,要するに御自宅で相当悪くなるまでという言い方がいいかどうか分からないのですが,療養生活を送っておられて,そこへの訪問支援というのは,どの領域を問わずすごく重要になってきていると思うのですね。今のCOVIDの問題もあるのですけど。
 という,そこの地域というと健康増進のほうは出てくるのですけれども,むしろ地域在宅でかなり厳しい療養生活を送っておられる。これは本当に,先ほどお話に出ていたお子さんもいらっしゃるし,それからお年寄りまで,相当程度幅広い年代層でおられると思うのです。そういうところへの支援,それから病院から御自宅に帰るというときの退院支援などにも相当程度力を入れてきていると思うのですが,そこへの薬剤師の関与と言ったらいいか,もうちょっと前に出てきてもらいたいと思うような場面も時々お聞きするので,将来を見据えたということであれば,この分野は非常に薬剤師さんの活躍が期待される。
 特にがんの患者さんで,例えば緩和医療というのは別なところにもあるのですけれども,入院されている方は何の問題もないかどうか分かりませんが,かなり手厚い支援を受けられるのですが,在宅で本当に終末期を過ごされる方の緩和的なケアというのは,もう本当に力を入れていかないと,とても不安や苦痛が強いという。そういうところで,それこそ看護師が例えば薬剤師さんに相談したりとかというような場面もすごくたくさんあると思うのですね。なので,この辺りにもうちょっと力を,力というか,内容を濃くしていただけたらというのを感じました。
【井上座長】  ありがとうございます。
【鈴木委員】  高田先生,ありがとうございます。私は,その領域は自分自身が専門ですので,そっちのほうはもちろん力を入れていきたいとは思うのですけども,88ページにあります,F-1-3の多職種連携による薬物治療というところに,病院の中からシームレスに,要するに在宅まで,それでみとりまでということを考えてつくりましたが,それが見えにくいということが分かりましたので,そういう御期待に沿えるように,もう少し考えます。ありがとうございました。
【高田委員】  十分吟味して全部に目を通せていないところもあるかもしれませんので,的外れだったかもしれません。ありがとうございます。
【鈴木委員】  いえ,とても大事なことで,そういうふうに,そういうエールを送っていただけたことそのものが私にはとてもうれしいです。もう少し皆さん方や学生にもそういうことが分かりやすいように考えてみます。ありがとうございました。
【井上座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。専門外の立場から,小澤先生,何かコメントありますか。
【小澤委員】  一応私も専門といえば専門ですけど,先生に口答えをしたいわけじゃなく,言っておいたほうがいいかと思っただけで申し訳ありません。
 今おっしゃったことはまさにそうで。実は海外の方から指摘を受けたときにいつも出てくるのが,日本のコアで弱いのが,小児と救急と栄養であるということをよく言われるんですよ。ですから,先ほど歯科も加えた形で,そういうふうなところというのは,今,随分加えていただいていますので,これは御苦労されたし,あと薬物治療が前面に出ているというのは,私は非常にいいことだと思うのです。今までどちらかというと,ここの部分は業務を順番に流れていた感があって,その結果,実習がそうなっていたというところがありますので,非常にいいものをつくっていただいたと思っております。
 ただ,まだまだ例示の学習項目とか目標とかのブラッシュアップはもちろん必要だと思っております。特に書きっぷりで,深いものと浅いものが一緒に並んでいたりとか,そういうところがありますので,その辺りはそれぞれのチームでやっていただければここはいいのかと思います。ありがとうございました。
【井上座長】  ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。小西先生,医師の立場から何かコメントございますでしょうか。
【小西委員】  あまり差し出がましいコメントはできないのですけれども,1点コメントすると,この臨床薬学の部分は,既に御説明がありましたように,少し高いレベルといいますか,少なくともコア・カリ,基本は6年間でしょうけれども,この部分は6年間を少し超えて,薬剤師としての何かコンピテンシーというか,これが強く実践するというようなことはもう多く出ております,というふうに思いました。これはコメントでございました。
【井上座長】  ありがとうございます。鈴木先生,そういう思いで。
【鈴木委員】  先生方からいただいた思いは,みんなと一緒にまたこれから検討しまして,少しでもよいものにしたいと思います。ありがとうございました。
【井上座長】  よろしいでしょうか。大体Fについては。
 そうしましたら最後が薬学研究,Gですね。いかがでしょうか。この辺に関しては,薬剤師会の要望等からも,研究マインドというのもしっかり養ってほしいというお話でしたし,特に問題はないかと思いますけども,長津先生,これはいかがですかね。
【長津委員】  大変満足しております。先ほどの基礎薬学の話からここにつながってこないと,サイエンスがない人というのは,薬は理解できなくなってしまいます。サイエンスの先に研究というものが当然あるわけで,基礎科学だけで終わらない,研究マインドがある人間というのも,薬剤師の免許を持つ研究者というのも,世の中には絶対に必要で,これがいなくなってしまうわけにいきませんし,これを大学教育の中でしっかり触れていただくというのは,本会としても大変望ましいと思っています。ありがとうございました。
【井上座長】  ありがとうございます。ほかにはどうでしょうか。小澤先生。
【小澤委員】  恐れ入ります。すごく細かなことですけど,海外の方から指摘されたことですけども,Pharmacist-Scientistと書いてありますと,Scientistがいわゆる重きを置くのだそうです。ですから,できればScientist-Pharmacistとされたほうがいいよと言われたことがあります。もちろん日本側のScientistを,重きを置くのであればそれでもいいけども,海外では誤解される可能性があるよと言われたことがあるので。
 例えばこれは,もう日本ではこの形で動いてしまっているので,すごく有名になってしまっている言葉ですので,このままでいいのですけど,海外に出されるときには順番を逆にされるといいかと思います。これは私がアドバイスされたことでございます。
【井上座長】  ありがとうございます。
【平田委員】  いや,私自身Pharmacist-Scientistで,薬学でよく使われているのですけど,ここでは使いたくなかったのです。いわゆる研究能力を持った薬剤師という表現でいいのかと思ったのですけど,研究能力と立てるのが全体の流れとしてはばかられたので。いわゆる,さっき長津先生がおっしゃったように,研究能力を持っていないといけないよというところだと思うので,そう書けばもう即それでいいのかと思うのですけど。
 いろんなところでPharmacist-Scientistと薬学では使われていたので,これを持ってきましたけど,ここであえてそれを。全体的にはそれはいるかもしれませんけど,特にここで取り上げるのだったら,研究能力を持った薬剤師としたほうがいいのかとは個人的には思ってつくりました。
【小佐野委員】  小佐野です。僕もこの言葉に思うのは,PharmacistはScientistじゃなかったのかという,そういうのに対する説明にもなってしまうので。研究能力を持った薬剤師というのと,Scientistとはちょっと違う気がしますので,Scientistのほうが広いのではないかという気はするのですよね。PharmacistはScientistで今までもあったはずなので,そこに研究能力だけを強調するという日本語のほうがすっきりいくのかと今,聞いていて思いました。
 以上です。
【平田委員】  また議論していただいて,検討したいと思います。いろんなところでもう結構使われていますので,すっと入る言葉ではあるのかと思いますけど,まさに訳したら,薬剤師をあれとすると,研究能力を持ったというふうに引用したほうがいいのかと個人的には思っています。
【井上座長】  広く使われているとしても,我々としては思いを込めて,小澤先生が言うようにひっくり返しちゃってもいいかと思います。これは今後検討してください。よろしくお願いします。
【平田委員】  ひっくり返すと誤植に思われるかもしれませんけど。そこら辺,どこまでPharmacist-Scientistが広まっているのか,よく自分としても意識していなかったのですけど,確かにかなりいろんな,しっかりした文章の中でも使われている表現だったので,ということです。そこら辺りも多分英訳のときは,いずれ来るでしょうから,そのときは少し表現を変えたほうがいいのかと思います。
【井上座長】  ありがとうございました。
【平井委員】  このPharmacist-Scientistの前に,Physician-Scientistという言葉があったと思うのですよ。その辺は小西先生に教えていただいたほうがいいのではないかと思うのですけど。
【小西委員】  教えるほどは分かりませんが,scientificなバックグラウンドを持った医師という意味ではないと思います。Physician-Scientistは科学者であって,医師のバックグラウンドを持った科学者という形で使っているのが通常だと思います。
【平井委員】  そうすると,今一般的にPharmacist-Scientistと言っているのとはちょっと違いますよね。むしろ科学者という。
【小西委員】  流れが違うので,訳のことまでは細かく分かりませんが。
【平井委員】  分かりました。
【小西委員】  特に日本では,基礎医学者の中でMDを持っているのがもう3割というような状況になってきている。こういうことも含めて。あるいは欧米でもドクター,医師としての科学者という意味で使われていると思います。
【平井委員】  ありがとうございます。よく分かりました。
【井上座長】  そうしましたら,これで各論のところは終わりまして,全般,全てを通じて何かコメント,あるいは複数の領域にまたがるとかいろんなことがあると思いますので,自由に御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
【鈴木委員】  鈴木です。よろしいでしょうか。
 最初に石井先生が言われたとおり,このA領域というのが,ぽこんと独立しちゃって,突出して何の説明もないわけで。ここのところを実際に私も私大協の,井上先生のところの下でつくってきましたけども,これをコア・カリの中にどう位置づけるかをきちっと,まず位置づけをきちっと決めて。ここで解説をつけるか,前文をつけるかをAの中でつけないと浮いてしまうのと,できればFなんかはつながりやすいのですけども,各領域にどうつながっていくか,あるいは各領域が,Aの中のそれを引っ張って,これにつながるので書くか,その辺りはきちっと決めて書いておかないといけないような気がします。最終的に深さを決めるのは,大学であったりだとは思うのですけれども,どういうつながりなのかということは何か書く必要があるかと考えています。
 以上です。
【本間副座長】  本間ですが,おっしゃるとおりで,これは大きな課題として残っていることだと思っています。それは次にも引き継いで。先ほどの御質問にあったとおり,前文がいいのかどうか分かりませんが,色づけするというか,飾りつけすると言っていいのか,少しぶっきらぼうな感じが今,Aではありますので,それはそういうふうにしていただきたいと思っております。ありがとうございます。
【井上座長】  平田先生,どうぞ。
【平田委員】  その点ですけど,今のカリキュラムも一応構造があって,どこからどこにつながるかという。今回はそれをすごく強調したところですけど,コア・カリの前文でそれがしっかり領域の間の関係というか,位置づけがあって,そうしないと,単に例えば丸バツでAとくっつけても,各領域の,例えば位置づけが違うので。領域がどう構成され,さっき1文で加えるというのがあったのですけど,それがあって,その上でAがあって,それでどうつながっていくかというか,どう見るかということがないと。
 今までの作業自体がかなり領域ごとで,大項目ごとでやってきたので,全体を一回構成してみて,それでのAの位置づけ,それからあとBからGをどうつなげるかというような。Gなんかは懐疑的な話につながるのですけど,でも倫理とかプロフェッショナリズムとか出てくるので,上の領域というのは,どうしてもそれがかなり統合的になってくるというか,大きくなるので。
 さっきのCと例えばDの関係とか,DとFの関係なんかで考えないと,単にAにそれぞれの領域をつなげても,何か分かりにくくなってしまうので,少し,今までそこが十分じゃなかったように思うので,領域大項目間の関係,いわゆる全体のカリキュラム構成というのをしっかり考えて文章にして,そうするとAがあって,その次がと読めるのではないかなと思うのです。その辺りはもう議論はされていると思うのです。明文化したほうがいいように思いました。
【井上座長】  まさにおっしゃるとおりだと思います。医学のほうは,今みたいな我々のような呼び方じゃなくて,資質・能力にダイレクトにつなげると。コア・カリの項目をつなげていくという全く新しい新規なカリキュラムでやっているのですけど,薬学はまだそこまでは踏み切れないということで,今回はこういう形。しかしながら,できるだけ近づけるというふうにはしたいと思っておりますので,今,平田先生がおっしゃったような方向もしっかり考えていきたいと思います。
 いかがでしょうか。大体時間的には,もう詰まってきてしまったのですけれども,いかがでしょう。もうよろしいでしょうか。
 そうしましたら,もう特に御質問,御意見等がないということでしたが,議題のその他ということで,これは事務局から今後のスケジュール等について御説明よろしくお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。
 資料3を御覧ください。令和4年度春頃に本委員会の第3回を開催し,コア・カリの素案の報告及び意見交換を行います。次に,夏頃に第4回を開催し,同じくコア・カリ素案の報告及び意見交換を行います。次に,夏頃に本委員会の親委員会である,薬学系人材養成の在り方に関する検討会において,コア・カリ改訂の経過報告を行います。次に,秋頃に第5回を開催し,コア・カリの案について意見交換を行います。その後,コア・カリ案のパブコメを実施いたしまして,冬頃に第6回を開催し,パブコメを踏まえた意見交換を行います。次に,冬頃に薬学系人材養成の在り方に関する検討会において,コア・カリ改訂版を決定する予定となっております。
 また,必要に応じて,メールによる審議と持ち回り開催で実施することもございます。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございました。ただいまの文科省からの説明で,何か御質問等がございましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 今のスケジュールでいくと,秋というのは11月頃に,かなりファイナルに近い形のものを持っていって,それをパブコメにかけるという段取りだと思いますけども,大体イメージとしては,そういうイメージでよろしいでしょうか。
【事務局】  はい,おっしゃるとおりです。
【井上座長】  そんなに時間が潤沢にあるわけではないですけれども,今,先生方からもいろいろな御意見をいただきました。そういう意見をうまい形で反映させながら,できるだけ皆さんが納得できるような形に持っていきたいと思います。
 ということで,次回開催の時には,先生方のコメント等が少しずつ反映されるような形になってくればいいと期待する次第です。大体以上でよろしいでしょうか。
 そうしましたら,以上で本日の会議は閉会といたしたいと思います。どうもありがとうございました。
 
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