モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会(第5回)議事録

1.日時

令和4年11月7日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 医学/歯学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

出席者:伊藤委員、江藤委員、小川委員、北村委員、栗原委員、齊藤委員、永井座長、奈良委員、福井委員、前田委員、俣木委員、三浦委員、南委員、門田委員、柳川委員、山口委員

5.議事要旨


【永井座長】  それでは,ただいまからモデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会第5回を開催させていただきます。
 本日の有識者会議は傍聴者にYouTubeでライブ配信をしております。
 それでは,最初に事務局から本日の出席状況,配付資料等の確認をお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。本日,釜萢委員,北川委員,嶋田委員より欠席の連絡を受けており,委員16名の御出席となっております。オブザーバーとして,薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会座長である井上先生,厚生労働省医政局医事課より山本課長,歯科保健課より小椋課長に出席いただいております。また,説明者として,医学調査研究チームの座長である小西先生,歯学調査研究チームの座長である河野先生に出席いただいております。
 続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。配付資料については会議次第に記載のとおりです。事前にメールにてお送りしておりますが,不足がある場合は事務局にお知らせください。なお,資料につきましては,文部科学省のホームページでも公表しております。
 また,本日の議題は議事次第にありますとおり,1.医学/歯学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について。2.その他となっております。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 では,議題の1,モデル・コア・カリキュラム(案)について,医学教育と歯学教育の各チームからそれぞれ御説明をお願いしたいと思います。質疑応答は,両チームの説明が終わった後にお願いいたします。
 では,まず,医学教育について調査研究チームの座長であります小西先生から説明をお願いいたします。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございます。それでは,医学からまず御説明を申し上げます。
 医学の調査研究チームの小西靖彦です。コア・カリキュラムの令和4年度改訂版について,前回のこの委員会での御指摘や,パブリックコメントを経て修正を加えたコアカリの最終案の概要を提示したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,このコアカリ改訂の基本方針については,もう何度かお伝えしましたので,本日はお示しするのみにとどめます。
 改訂版コアカリの構成は,これも繰り返しに若干なりますが,コアカリの考え方,次にコアカリ改訂の概要を前に置きまして,第1章から第3章に資質・能力,学修目標,学修方略と評価,最後に診療参加型臨床実習実施ガイドラインという構成になっております。
 前回のこの連絡調整委員会からの御指摘を受けまして修正を行っております。これについてまず御説明をいたします。
 3つの四角がございます。まず1つ目,診療参加型臨床実習ガイドラインに,医学生の医業の範囲を定める際の指針の掲載が必要であるという御意見を受けました。これを受けまして,同意取得について詳細な記載として同意書の例も掲載をしているところでございます。
 2つ目として,S0-01社会保障という部分に「母子保健」や「学校保健」を加えてはどうかという御意見がございました。これを受けましてSO-01-03-05及びSO-01-03-06に,スライドに示しますように下線で示した記載を追加したところでございます。
 最後に,「方略」という言葉で,過程を記載したほうがよいという意見がございました。これを受けまして,第3章の学修方略・評価の冒頭の部分に,教育方法と教育戦略を合わせて「学修方略」とするという,もう少し詳しくスライドに記載しておりますが,こういう説明を記載したところでございます。
 7月から8月にかけて行われましたパブリックコメントでは,四百数十件のコメントをいただきました。中には重複もございます。専門医レベルからの御意見というのもございました。6年次の卒業時の能力に見合った目標であるかという観点で,調査研究チームで検討をしたところでございます。重複を含めますが,約3分の1の御意見に対応してコアカリに反映をいたしました。
 ここから後,11枚のスライドを用いまして,パブコメを受けたコアカリへの反映について御説明をいたします。
 まず,このスライドでございます。コアカリ改訂の概要,最初の2番目のパートで,コアカリにおける資質・能力の言葉の考え方,アウトカム基盤型教育におけるアウトカムとの関係について追記をいたしました。下のところに,11行にわたって書いてございますが,これをコアカリ改訂の資質・能力のところの欄外に注記として入れております。
 また,コアカリの概要,改訂のスケジュール,改訂版の章立ての概略図を作成して,20から22ページに追記をいたしました。
 改訂された資質・能力のうち,1のプロフェッショナリズムについて丁寧な説明を加えました。プロフェッショナリズムという言葉は,広い意味,広義では,医師に求められる能力全てを指すことを述べて,その後に,本コアカリにおいては,主に態度や医師の職業倫理に関する内容,また,GEの総合的に患者・生活者をみる姿勢や,LL:生涯にわたって共に学ぶ姿勢など,ほかの資質・能力で記載されたもの以外の項目・内容を記述したものであるということを明示いたしました。具体的に,このスライドに示した文言をコアカリの11ページの脚注に記載したところでございます。
 学修目標の変更でございます。以前,医の倫理としておりました学修目標について,御意見をいただきました。PR-04のタイトルを「生命倫理」と変更した上で,第2層のPR-04-01を「臨床倫理」と変更しました。その内容については,記載のとおりでございます。
 また,GE-01-06の緩和ケアでは,緩和医療の対象が疼痛だけではないという御指摘を受けまして,「がん・非がんの身体症状緩和の薬物療法や非薬物療法の概要を理解している。」と表現を改めるとともに,麻薬性鎮痛薬の表記をオピオイド鎮痛薬に修正をいたしました。なお,下から3行目の身体症状緩和としましたところは,後にもう一度議論がございまして,身体だけではないということで身体という言葉は除いて,症状緩和という文言に変更しようと考えております。
 基礎医学では,改訂版では消えておりました「エピゲノム」の文言を復活いたしました。PS-02-17の精神系では,もともと「精神系の構造と機能について基本的事項を理解している」と書いてありましたが,これが分かりにくいという指摘がございましたので,同文を「脳とこころの働きについて基本的事項を理解している。」と,日本語としても分かりやすいものに変更いたしました。
 PS-03-05の救急系,もともとは(中毒・環境因子を含む)とされていました第3層の表記を昨今の医療状況を受けまして,「救急・集中治療」と変更いたしました。そこに集中治療で医学生が学ぶべき事項を整理して,追記いたしました。
 IT-01-01-03,「デジタルデバイド」という表現をコアカリに使っておりましたが,表現が分かりにくいという指摘がございました。本コアカリでは,できるだけ英語のカタカナ表記を避けるように考えております。そのため「デジタル情報や科学技術の活用における社会的格差」という表現に修正をいたしました。
 CS-05-06の患者安全の実践における「インシデント」という文言の定義について指摘がございました。インシデントは狭い定義と少し広めに定義するやり方がございますが,私どもとしては,国立大学病院長会議の定義「医療を提供する過程で本来の状態から外れた全ての事象」と取ることといたしました。言い換えますと,インシデントという言葉を医療事故を含めた広義のものとする表現でございます。
 S0:社会における医療の役割の理解におきましては,保健所などの役割,精神保健,精神障害者福祉に関する項目を御指摘を受けて設けました。また,社会的公正に関する学修目標を追加しました。
 コアカリの60から74ページに記載した学修目標の表の1(疾患)というところに関しては,今回大きく整理をして見やすくいたしました。
 器官系によって使用したり使用しなかったりが統一されていなかった「サブカテゴリー」という欄がありましたが,これを廃止いたしまして見読性を向上しました。
 また,精神系,神経系のところで,「心身症」が前回精神系のカテゴリーに入っておりましたが,心身症は精神系のカテゴリーではないという御指摘がございまして,この意見をお受けして,心身医学的疾患という新たなカテゴリーを設けました。
 また,ワクチン予防可能な疾患にHPV,「ヒトパピローマウイルス」を追加したところでございます。
 表2-16の精神系では,脳波画像検査を検査に追加いたしますとともに,文言の修正,「精神療法」「精神科薬物療法」,下線が引いてあるものに変更,修正を行っております。
 再び表の1に戻って恐縮でございます。ここに記載しました幾つかの疾患,下線を引いたもの,中毒性表皮壊死症から急性脳症,急性肝不全までございますが,この下線を引いたものの幾つかの疾患について,追加修正を行っております。
 また,基本となる疾患としての黒丸をつけたものについて,若干の13疾患でございますが,追加を行ったところでございます。
 基本的臨床手技も比較的大きな修正を行いました。手技と身体診察で前回提示した案では「実践できる」と「実演できる」のレベル分けを行っておりましたが,門田レポートとの乖離が大きいという指摘がございました。これを受けまして,コアカリ101ページの表の7,基本的臨床手技での目標のレベル分けを削除いたしました。それとともに門田レポートと合わせて追加と修正を行っております。具体的に申しますと,皮膚消毒,外用薬の貼付・塗布,ネブライザー,尿検査(妊娠反応検査を含む)を追加いたしました。
 一方,動脈血採血や腰椎穿刺は,さすがに学生レベルでは少し難しいと考え,表から外しました。ほかの基本的臨床手技についても,適切な準備・監督下で行っていくことは妨げないという記載を門田レポートと合わせて追記いたしたところです。
 この別表7の修正に合わせて関連いたします表の3,身体診察の目標のレベル分けも削除をいたしました。
 方略と評価の第3章では,1.プロフェッショナリズムの引用文献の表記,4のスポーツ医学での記載の修正,5.Peer-assisted learningとしていた表現を先ほど申し上げましたように直訳の英語を避けて,「共に学ぶ姿勢」という事例名に変更しております。
 診療参加型臨床実習実施ガイドラインにおきましては,178ページの2-7の(4)臨床実習で関わった診療における記録の位置づけについて一部修正をいたしました。
 同じく2-8の(2)厚労省の医業に関する報告書を受けまして,包括同意の説明文書の例に患者相談窓口の説明を追加いたしました。
 3-2,目標のところですが,203ページにあります3-2では,医療面接・身体診察・診療録の記載にバイタルサインと高齢者総合機能評価・CGAを追加しております。
 203ページの3-4では,基本的臨床手技の記載に,門田レポートを参考に項目を追加しました。これは先ほどと対応したものでございます。
 また,4-3,コアカリの本体やガイドラインの修正に合わせて,各種実習診療科のマトリックス表を修正いたしました。
 最後に,6の学修と評価の記録の例示では,コアカリの本体やガイドラインの修正,先ほどまで申しました修正に合わせまして,臨床実習の到達目標の各種評価表を修正したところでございます。
 以上,修正点について御説明申し上げました。なお,最終案が固まり次第,私たちの調査研究チームはコアカリの英訳,コアカリの電子化,来年1月20日に予定しておりますオンラインでのシンポジウムの3点について,引き続き活動をしてまいりたいと思います。
 以上,連絡調整委員会からの御意見及びパブリックコメントを受けたコアカリ改訂案の修正点について御報告をいたしました。御審議のほどよろしくお願いします。
 最後に,恐縮でございます。調査研究チームの座長として御指導いただきました連絡調整委員会の皆様に感謝を申し上げます。共に改訂に取り組んでいただいた文部科学省,厚生労働省の皆様に対して,また,献身的とも言える改訂の作業に当たっていただいた日本医学教育学会の会員を主とする20名のメンバー,30数名の協力者の皆さんに心からの御礼をお伝えして,御報告といたします。ありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございました。続いて,歯学教育について,調査研究チーム座長の河野先生から説明をお願いいたします。
【河野調査研究チーム座長】  永井先生,御紹介ありがとうございます。
 歯学の調査研究チームの座長の河野でございます。よろしくお願いいたします。それでは,スライドお願いをいたします。
 これは以前にもお示ししましたが,今回のコアカリ改訂の基本方針を示します。詳しくは御説明しませんが,この6つの方針を基に改訂作業を進めてまいりました。
 スライドには新しいコアカリの構成を示しています。資質・能力とそれを涵養する学修目標,方略・評価の3章からなり,その後に,診療参加型臨床実習に関するガイドラインを収載し,参考資料として,これまでと同様の資料に加えて,資質・能力を涵養する学修目標の主な小項目と,新しいコアカリに出てくる略語をまとめた略語集を収載することにしております。
 スライドには,第1章の新しく見直された歯科医師として求められる資質・能力と,各資質・能力の卒業時に求められる能力の数を示しています。各々の能力に対して,卒業時に求められる能力を4から12項目の評価可能な形で,臨床研修に進む歯科医師として必要な能力を全て網羅しました。
 これから第4回の連絡調整委員会及びパブコメでいただいた御意見を基に修正をした点について御説明したいと思います。
 第4回の連絡調整委員会で御指摘いただいた点への対応といたしまして,第2章では,臨床歯学に含まれていました頭頸部領域の正常構造と機能の項目をAの生命科学に移動し,赤字で示しました「口腔,顎顔面領域の発生と加齢変化」「頭頸部の基本構造と機能」「口腔領域の構造と機能」「歯と歯周組織の構造と機能」の小項目を設けて,学修項目を移動するとともに整理を行い,集約を図りました。
 また,スポーツ歯学も学修目標に含むことも検討するようにと御意見をいただきましたので,「C 社会と歯学」の中に,今回は外傷予防としてマウスガードに関する学修項目を追加いたしました。
 7月22日から8月21日にかけて行われましたパブリックコメントでは多くの建設的な意見をいただき,その意見を調査研究チームで検討して修正を図りました。
 第1章の資質・能力のうち,プロフェッショナリズム,PR-06 自己省察し,改善につなげることができるが,PR-04の内容と類似しているのではないかとの指摘があり,検討の結果,「同級生や同僚,チーム構成員に対して協調的にふるまうことができるとともに,必要に応じて助言や指導ができる」とPR-04と明確に区別をいたしました。
 また,医学のコアカリの表記との統一を図るために,動詞の「実施する」を「実践する」に変更いたしました。
 Cの「社会と歯学」の大項目では,法歯学と保健医療情報リテラシーの表記の見直しを行いました。医療・保健・福祉・介護制度に関しましては,産業保健の視点が抜けているとの指摘があり,Cの4-1に「職場」を追加し,産業保健の視点を含めました。
Dの「臨床歯学」,Eの「診察・診断と治療技能」では,一つは摂食嚥下障害の項目で,成人中途障害の学修目標が必要ではないかとの御意見をいただきましたので,検討の結果,高齢者の歯科治療の中の,摂食嚥下障害に「成人の中途障害を含む」という文言を追記いたしました。また,歯周病の治療については,保険診療の中に含まれていますSPT,サポーティブペリオドンタルセラピーを追加いたしました。
 これに伴いまして参加型臨床実習の内容と分類の自験項目に,このSPTを追加しています。
 続いて表1ですが,表1の代表的医科疾患病態の認知症の項目に,4大認知症のLewy小体型認知症が記載されていなかったため,それも追記することとしました。
表2 主な症候に関しましては抜本的な見直しを行いました。1つは,症候の項目の見直し,2つ目としてカテゴリとサブカテゴリの追加。3つ目として,鑑別すべき疾患の統合と整理を行いました。
 修正した表2の一部を示します。もともとカテゴリとサブカテゴリを設けていましたが,医学と合わせるために削除した結果,非常に分かりづらくなったという経緯がありますので,再度カテゴリとサブカテゴリを追加し,鑑別すべき疾患等を記載し直しました。このため疾患名の重複が見られますが,今回の改訂で新たに導入した臨床推論ですので,コアカリを利用する教員,学生にとっては非常に分かりやすくなったと考えています。
 カテゴリとサブカテゴリを設けたことにより,症候を統合することが可能となり,スライドのように統合することにいたしました。
 表2にはスライドに示す説明文を追加し,臨床推論のプロセスの学修のために用いることと,原因疾患を単純に全て暗記する必要がないということを明確に示しました。
 「方略・評価」の章では,今後,各大学のカリキュラム編成の参考になるように,Good Practiceとして事例を掲載しております。7月に行われました文部科学省主催の「医学・歯学教育者のためのワークショップ」において,テーマ別グループ討論における各大学の取組事例の中から3つを選択し,前回の提示の15項目に加えております。また,Good Practiceは2ページに収まるように,内容のブラッシュアップを図っています。
 以上が,第4回連絡調整委員会以降のコア・カリキュラムの修正です。
今後の活動としまして,コアカリの英訳を進めるとともに,コアカリ周知のためのシンポジウムの開催を1月中に予定しております。
 以上が前回の連絡調整委員会以降のコアカリの修正点でございます。
 最後に,いろいろと御指導いただきました連絡調整委員会の先生方,また,文部科学省の医学教育課の皆様に感謝いたしますとともに,日本歯科医学教育学会のメンバーの方々にも,最後にお礼を申したいと思います。
 以上,簡単でございますが,御報告とさせていただきます。
【永井座長】  河野先生,ありがとうございました。
 それでは,これから医学/歯学コアカリ案に関する説明につきまして,御質問等ありましたら御発言をお願いしたいと思います。
 各委員におかれましては,オンラインですので,まず初めに御発声いただき発言に移っていただくか,あるいは手を挙げる機能を使ってリアクションしていただければと思います。山口委員,どうぞ。
【山口委員】  ありがとうございます。山口でございます。
 医科のほうで,一つだけ質問がございます。改訂され,書き直された後の本文が今回お送りいただいた資料の中に見当たらなかったので,一つ確認なのですが,9ページのところで,インシデントについて,広義の意味を取るようにして文言修正したと御説明いただきましたが,実際,本文にはその広義の意味を取るということがどのように分かる書きぶりになったのでしょうか。そこが少し気になりましたので,教えていただければと思います。
【小西調査研究チーム座長】  よろしいでしょうか。
【永井座長】  お願いします。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございます。ここではどちらの意味なのですかというパブコメを受けまして,こういうふうにしたということで今回のスライドにいたしましたが,コアカリ本文にインシデントの定義はこうであるという確かに山口委員がおっしゃるような定義のようなものは,特にこちらからはお書きしませんでした。どちらがよいかということで,表記の問題として私たちは国大病の基準を取ったというところでございますが,今御指摘を受けますと,インシデントとはというようなことをコアカリの中に書くことが必要ということも考えられますので,少し検討して,記述について考えたいと思います。
【山口委員】  ありがとうございます。人によって受け止め方が異なるのであれば,少し分かるように書いていただいたほうがそれを反映していけるかと思いましたので,ぜひ御検討いただければと思います。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございます。
【永井座長】  福井委員,どうぞ。
【福井委員】  私,前回欠席して申し訳ありません。もし,前回の議論と重複していたら申し訳ないのですが,3点ほど。
 最初に,小西先生が説明されたパブコメを受けたコアカリへの反映の最初のページの資質・能力という言葉のところです。そこの欄外に追記したというところで,確かにコア・カリキュラムの,資料1-2でも11ページから12ページの欄外に書かれている文章の最後のところに,この資質・能力は,アウトカム基盤型教育における「アウトカム」に相当するという文章がございます。真ん中付近です。医学教育の専門の先生方の間でのコンセンサスであるかどうか,私には,少し分かりませんが,資質・能力という言葉を私たちが卒後研修のことで随分ディスカッションしたときに,どちらかというとコンピテンシーという言葉の翻訳というか,それに相当するのが資質・能力かなと考えました。
 それで,そのアウトカムという言葉は教育とは無関係のいろいろな場面で,例えば投資した結果とか,それから,戦争の結果とかというときもアウトカムという言葉を使いますし,この教育の中でアウトカム基盤型教育というときのアウトカムというのは,どちらかというと一般的なアウトカムという目的とする最終状態くらいの意味で使っていて,この医学教育における資質・能力はどちらかというとコンピテンシーという言葉が相当するのではないかなと少なくとも私はそう考えておりまして,例えば日本語の医師として求められる基本的な資質・能力という言葉がありますが,そこにもし資質・能力というところにアウトカムを入れると,医師として求められる基本的なアウトカム,それから,医師として求められる基本的なコンピテンシーというときに随分内容が,訴える内容が違うのではないかと思いました。長くなってしまいましたがそれが1点です。
 それから2つ目が,その資質・能力10項目ございますが,この10項目の順番は十分検討された上でこのような順番になっているのでしょうか。プロフェッショナリズムが最初に来て,それから,General,総合的に患者・生活者をみる姿勢と順番がなっていますが,卒後研修のときのカリキュラムを考えるときには,どちらかというと医学的なことをプロフェッショナリズムの後に,医学にかなりスペシフィックなところを持ってきたほうがいいのではないかなというディスカッションもあったものですから,何かこの順番について意図したところがあるのかどうか,もしありましたら伺いたいと思いました。
 それから,3つ目のLLの生涯にわたって共に学ぶ姿勢のところですが,ここはほとんど医師,医学生の間での,確かにピアの間での共に学ぶ姿勢という内容になっているように見受けられます。説明文の最初の1行目のところに「他の医師・医療者と」とありますので,他の医療職も含めているとは思われますが,その下の文章は他の医療職がなかなか言葉として反映されていないのではないかなと思われました。必ずしも医師だけの間ではなくて,いろいろな職種の方々を含めて共に学ぶ姿勢というのがもう少し明確になったほうがいいのではないかなという印象を持ちました。
 長々と3点,よろしくお願いします。
【永井座長】  いかがでしょうか,小西先生。
【小西調査研究チーム座長】  御指摘ありがとうございました。最後の部分は私がうまく聞き取れていなかったかもしれません。先に3点目から私のほうが聞いて申し訳ないですが,福井先生が今おっしゃったLL:生涯にわたって共に学ぶ姿勢のところは,今,本文のところの記載についておっしゃったのでしょうか。それとも学修方略・評価に出ている事例のところでのコメントだったでしょうか。
【福井委員】  両方に目を通したのですが,最初の僕がいただいた資料だと31ページのLLの生涯にわたって,そこの1行目には他の医師・医療者と書いてあるのですが,それより下にはなかなか他の医療者というのが必ずしも分からないのではないかなと思った次第です。
【小西調査研究チーム座長】  なるほど。
【福井委員】  つまり後輩とか同僚というのは,皆さん,医学部の学生であったり,医師であったりのようにも見受けられるものですから。
【小西調査研究チーム座長】  分かりました。この他職種の部分,これをそれぞれのコンピテンスに重なりがあるのは当然でして,これをどこに,どっちに入れようかというところは前回も申し上げたかもしれませんが,これは切り分けのところが出てまいります。例えばコミュニケーションに入れるのか,多職種のところに入れるのかとか,知識いわゆるPSに入れるのかクリニカルスキルに入れるのか,どっちに入れようかというところで,どちらかに決めなないといけないというところが出てまいります。
 今回に関しましては,このLLに入れるのかあるいは多職種でというところに入れるのかということで,ライフ・ロング・ラーニングが他職種・・・他職種というのはほかの職種は関係ないよというメッセージを出したかったわけではないのですが,主にほかの職種でという部分では,多職種LLでというところに入ったというところが2つ目,3つ目のところのお答えになろうかなと思います。これについては御意見があることはよく分かりました。
 1番目の資質・能力がこのアウトカムというところとは,ここもやはりいろいろな考え方があるかと思います。コンピテンシーと福井先生がおっしゃるものと,あるいは言葉の定義的にコンピテンスと言われる方もおいでになります。どちらかというと10の項目はコンピテンスという言い方のほうが近いのかもしれません。
 その中で,一方でアウトカム基盤型教育という言葉も現に動いておりまして,前の平成28年度版のコアカリでもアウトカム基盤型教育をという考え,それから,それを受けて今回の改訂でもアウトカム基盤型教育をさらに意識した書き方に変えるというようなことを申し上げており,アウトカム基盤型教育というのは前の平成28年度版から既に使われておりましたので,それとの関係というところを少し示したかったというのがこの脚注の内容でございます。
 ですので,表記の仕方としてアウトカムに相当するという言い方を取ったというところでございました。ここにはいろいろな考え方が入るかと思います。今日は随行に副座長の錦織も来ておりますので,この辺りまた発言があればと思います。
 それから,2番目の10項目の順番を聞かれて今即答ができません。これは医学教育課と結構考えてこの順番にしようと実はしたのですが,もう十数か月前のことですので,すぐに思い出せなくて今困っておりまして,申し訳ない,このような公式な場でこのような返答では怒られるのですが,今少し思い出しております。恐れ入ります。
 もし,委員長よろしければ,副座長にも発言のお許しをいただければと思いますが,いかがでしょうか。
【永井座長】  では,錦織先生,お願いします。
【錦織調査研究チーム副座長】  ありがとうございます。錦織です。
 福井先生,貴重な御指摘ありがとうございました。私たちのチームの中でもアウトカムとコンピテンシーの使い方に関しては議論を重ねてきています。資質・能力という言葉の直訳でいくとコンピテンシーという言葉がよりふさわしいというふうにも考えます。先ほど座長から説明のあったとおり,前回の平成28年度版でアウトカムという言葉を使ったことがかなり大きな理由だと私も認識しています。また,北米でコンピテンシー,それから欧州ではアウトカムという言葉がより使われる傾向があるなというふうにも少し私たちの中では議論をしまして,特段何か大きなこだわりなく,現在の立ち位置,言葉になっているということを申し添えさせていただきます。
 以上になります。
【福井委員】  よろしいですか。
【永井座長】  どうぞ。
【福井委員】  すみません。アウトカム基盤型教育とか,そういうところで使われているアウトカムは何ら問題ないのですが,この欄外の注釈では,「この資質・能力は,アウトカム」という書き方になっていますよね。ですから,資質・能力をアウトカムと翻訳しているように見えてしまうのですが,これはアウトカムの一つではありますが,資質・能力のことを常にアウトカムとみんなが言っているかどうかと言われてしまうと,そのようには必ずしも言っていないのではないかと思うのですが,すみません,意見です。
【小西調査研究チーム座長】  小西でございます。今,脚注の部分見ておりますが,分かりました。そう読めるところはあるなと思います。ここの辺りは少し表現の検討をさせてください。福井先生のおっしゃることはよく分かりました。
 私たちも通常,一般に言うアウトカムだということを言いたいわけではございません。アウトカム基盤型教育における,このアウトカムというところがそれに当たるのだということですので,ここはもう少し誤解のないように書き直しをいたします。
【永井座長】  よろしいでしょうか。ほかに御発言いかがでしょうか。
 歯学についても御質問いただければと思いますが,そうしますと,ただいまのアウトカムという表現については,もう一度練り直すということでよろしいでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  若干の修正をこちらで考えたいと思います。脚注のところですので,あまり大きなものにはならないかと思いますが,表現の修正ということになろうかと思います。
【永井座長】  ありがとうございます。俣木先生,お願いします。
【俣木委員】  歯学系について,教えていただきたいことがあります。
 前回に比べまして方略・評価の項目について,医学系を参考にされて大幅に改善されたと思います。その中で内容的には問題ないのですが,P.84にⅢ「方略の事例」として説明があって,P.85からGood Practiceの事例が①から⑱まで提示されています。その各表題が「方略・評価の事例」となっていますので,P.119に記載されているⅣ「の評価の事例」の説明文は,このGood Practice の事例が提示される前の部分に入れたほうが、より収まりがいいのではないかと思いました。
【河野調査研究チーム座長】  歯学の河野です。御指摘ありがとうございます。
 事例を示すときに,方略と評価を一体に示すほうが見る側が分かりやすいということで,そのような表現になっております。先生が言うように,事例の前に評価の項目というのを示すのがいいか,検討させていただきたいと思います。先生の意見,参考にさせていただいて,順番を考えたいと思います。ありがとうございました。
【俣木委員】  細かいところで恐縮ですが,70ページの最初のところの片括弧は,1から始まるべきところ、7から始まっていますので,訂正をお願いします。
【河野調査研究チーム座長】  ありがとうございます。
【俣木委員】  P.70の「学修者中心か,教育者中心か?」のところです。
【河野調査研究チーム座長】  ありがとうございます。確認して修正したいと思います。
【俣木委員】  よろしくお願いします。ありがとうございました。
【河野調査研究チーム座長】  ありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。小西先生,先ほどのアウトカムという言葉ですが,何かよい表現ございますでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  もともとの文章は「この資質・能力は,アウトカム基盤型教育における『アウトカム』に相当する」となっているわけで,もう少し考えさせてください。恐れ入ります,ここで言えれば。ありがとうございます。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。
【福井委員】  それでは,少し今のことでよろしいでしょうか。
【永井座長】  どうぞ,福井先生。
【福井委員】  本文のほうを読みますと,いわゆるアウトカム基盤型教育の中で出てくるボキャブラリーが結構説明されていて,例えばEPAという言葉も出てきますので,何かコンピテンシーをあえて避けているようにも思えて,確かに定義,いろいろ意見があるのは承知していますが,何かコンピテンシーが出てきてもいいような,何となく雰囲気なのにそれをあえて避けているのはやはり難しい問題を抱えているからというのは重々承知していますが,外国の文献読むとやはりコンピテンシーという言葉はもう普通に出てくるので,どこかに書いていてもいいのではないか。人によって考え方が違うというのはプロフェッショナリズムからもうみんなそうですので,もう全然違う考え方,項目を挙げる人も世の中たくさんいるわけですので,少しコントロバーシャルなところがあっても,これだけ医学教育の用語を説明されていますので,私は入っていてもいいのではないかなと思いました。
 以上です。
【永井座長】  今の点にかかわらず,いかがでしょうか。
【奈良委員】  JACMEの奈良でございますが,よろしいでしょうか。
【永井座長】  どうぞ。
【奈良委員】  奈良でございますが,実はアウトカムという言葉は,JACMEが使っている基準にもございます。それでアウトカムというのを最初はカタカナにしようかなと思ったのですが,やはりこれは福井先生も御懸念したようにいろいろな意味を包含していますので,よく分からない。これはもうまさに資質と能力ですが,どちらかというと学生が卒業する時点までに身につけておくべきアウトカムということで,JACMEの基準では学修成果という言葉で使っております。その学修というのは,学んで修めるのほうの学修ですけど,それを日本語として使っていますが,ただ,それでも本当に資質・能力でいいかどうかというのは議論がありますが,一応JACMEとしては学修成果ということで使用されたことを申し添えたいと思います。よろしくお願いします。
【小西調査研究チーム座長】  これはなかなか,この時点でこの議論が大きくなってきてここはこれで大変重要なことなのですが,少し私どもがこう考えたというところを示します。
 一つには,コンピテンシーという言葉はかなり認知差,少なくとも教育の人たちの間にはもう認識されていると思います。
 一方で,まだ先ほど申しましたようなカタカナ英語のところが通じないかもしれないなということで,どういう言葉にしようかというのはこの会議の冒頭のところで随分話合いがされました。そこで資質・能力という,先生方も以前のコアカリもしくは臨床研修の到達目標のところで書かれたことと,揃えたということになります。
 また,そのアウトカムが,JACMEが卒業までということでお考えのところもこれもよく分かっています。一方でアウトカムというのはいろんなものを含んでしまうので,ここら辺が難しいというところです。
 そうしますとcompetency-basedという書き方,CBMEという表記もできるのですが,この辺りcompetency-basedとなりますと,卒業時じゃない意味を含んでくるというところもかなり大きくなってまいりまして,今日も御参加していた,医学以外の領域ではそういう考えも強いとかいろいろなことがありまして,いろいろなことがあったからお許しくださいとかこういう文脈にはいたしませんが,最終的にこの私どもの表現になったというところでございます。
 competency-basedとoutcome-basedがその2つも少しずれているということは認識した上で,今回,前回から,28年から使っていたoutcome-based educationという言葉を先ほども錦織先生からありましたように,欧米の中でどちらかというと欧州型のところでこの言葉を使ったというところです。ただ,やはりここにいろんな考えが入るということは今回のことでも分かりましたので,まだ座長に指示されて即答ができておりませんが,アウトカム基盤型ということについてもう少し記載がいるのかなと思いました。1点目はそれでございます。
 2点目はかなり頑張って思い起こしておりますが,資質・能力の順番について先ほど福井先生にお答えをしませんでしたが,あの頃の話では,いわゆる非認知領域から認知領域にということも一つの流れとしてこの順番にしました。その中でどんな順番をつけるのかというところは,プロフェッショナリズムをやはり一番上に持っていった上で,今回非常に大きな問題として捉えていた総合的に患者をみる力,生活者をみる姿勢というのを2番目に等々,非認知領域をまず記載した上で,専門知識あるいは情報・科学,患者ケアの技能とか認知領域から技能のほうに流れをつくったというところで並べたというところです。ここら辺もどう並べるかという,それぞれ異論は出てくるところがありますが,一応このような考えで進めたということを今思い出してお話しいたしました。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか,今の点でもそのほかでも結構でございます。そうしますと小西先生のお考えとしては,できたらこのままにして説明を少し加えるということを考えたということでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  そのことを考えております。
【永井座長】  そのほか御質問,御意見ございませんでしょうか。今日はたくさん時間が取ってありますので,どの点でも結構でございます。御質問,御意見いただければと思います。福井先生,今の点はいかがですか。
【福井委員】  何しろいろいろ意見がございますので,お任せしますとしか言えませんので,よろしくお願いします。
【永井座長】  なかなかここで言葉の使い方を変えるのは難しいとは思うのですが,説明は必要だろうと思いますので,何とか上手にそこの説明をお願いしたいと思います。
【福井委員】  実はその卒後臨床研修の到達目標との整合性が少し頭にありまして,大変申し訳ないのですが,できるだけ内容がずれないようにそれだけ願っております。
【永井座長】  かしこまりました。
【福井委員】  それともう一つ,もし時間あったら申し訳ないのですが,モデル・コア・カリキュラムも随分前から作成されていますが,実際にこれがどれくらい使われていて,役に立って,こういうふうに医学教育が改善されたとか,何かそういうモデル・コア・カリキュラムの活用についての,何か研究班とかそういうのがあって,そういう評価はされているのでしょうか。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございます。この件に関してはこの調査研究チームが立ち上がった一昨年のちょうど今頃,10月過ぎぐらいだったかと思いますが,モデル・コア・カリキュラムがどのくらい使われているのだとかいうような調査はいたしました。
 その中で,いろいろな意見が出てまいりまして,コアカリは3分の2とはいえ,もういっぱいいっぱいだとかいうようなお答えもございました。我々にとってもこの調査が以前のことはもとより,これから,作られたコアカリがどうインプリメンテーションといいますか,使われていくかということのほうが重要だというふうには考えております。
 そのために,先ほど申しましたシンポジウムとかあるいは来年1年,周知期間と呼ばれるものがございますが,この辺りで文部科学省医学教育課とも共同して,各大学にどういうふうにこのコアカリの内容を盛り込んでいくかということに関して,今回方略の例示とかを出しましたが,具体的に大学と話し合う機会等を作っていきたいというふうに,私が答えるべきことかどうか分かりませんが,これが一つの道かと思います。
 それとこれも私が答えることではありませんが,今回,奈良先生を差し置いて発言するのは失礼でございますが,コアカリの書き方と,いわゆるJACMEの認証のところの書き方がかなり私は整合が取れたと思っております。コンピテンス,先ほどのアウトカム基盤,またこの話になりますと難しくなりますが,アウトカム基盤型という書き方は両者とも同じ書き方になりました。ということになりますとコアカリに書いてあることがどのように行われているかということを私たちも評価することになりますし,あるいは大変失礼な言い方ですが,JACMEの行っているこの認証評価そのものが,コアカリがどのくらいということを見る一つのポイントになるかなと思います。これは少し僣越な発言をいたしました。
【奈良委員】  奈良でございます。JACMEは各医学部におけるカリキュラムを検証させていただいています。その折に,実際コアカリがどのくらい採用されているかどうか,影響があるかどうかということも確認しています。なかなかエビデンスは難しいのですが,平成13年にコアカリを作成した当初、オロジーを排して,むしろ統合型教育にしようという基本方針がございました。基礎医学間の水平統合,あるいは臨床医学間の水平統合,さらには基礎,臨床,社会医学との垂直統合教育を目指しました。この統合型教育は、JACMEの基準にも明記されており、,その観点から統合型教育の実状を確認しています。
 JACMEの評価を通してみますと、パーフェクトな統合型教育が実践されている医学部は極めて少ないのが現状です。しかしながら、特に解剖学と生理学を一緒に教育するとか,あるいは生理学や生化学を臨床医学教育に組み入れるとか,部分的とは言え、統合型教育が取り入れられている医学部は少なからず見られます。このため、コアカリが導入されたことによるインパクトは,少なからずあるのではないかと考えております。
 それからもう一つ,診療参加型の臨床実習ですが,これはなかなか日本では充実されているとは申せません。ただし、過去10年間,これは全国医学部長病院長会議のカリキュラム委員会で調査した結果でございますが,明らかに臨床実習期間は延びてきていますし,各医学部でも診療参加型,いわゆる屋根瓦方式を意識しているのは間違いありません。この点もコア・カリキュラムが導入されて,影響を与えているのではないかと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【永井座長】  北村委員,どうぞ。
【北村委員】  前回のものを作った立場から,今,小西先生,奈良先生がおっしゃったことに追加でもないですが,全く同じですが,ざっくり今までのコア・カリキュラムで何が変わったかということを言うと,1つはCBTの出題基準としてコアカリが使われているということがあります。
 それから2つ目は,今議論になっているoutcome-basedの教育に変わったことです。単位の積み重ねだけではなく,プロフェッショナリズムとかいわゆる診療科では教え切れない横断的なことはもうアウトカムで書くことによって,かなり浸透したのではないかなと思っています。
 3つ目は,奈良先生がおっしゃったとおり診療参加型臨床実習・EPAをはじめとして,研修につながる教育というのがある程度できているのではないかなと思っています。これに関しては,臨床実習後のOSCEとか新しい試みがあるので,そういうので検証していくことになると思いますが,以上3つ,CBT,アウトカム,それから診療参加型臨床実習,この辺りが大きい変化だと思います。ありがとうございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
【河野調査研究チーム座長】  永井先生,歯学のほうも御説明させてください。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【河野調査研究チーム座長】  歯学のほうも,先ほど小西先生の御説明がありましたように,令和2年の11月にアンケート調査をしております。歯学のほうは29大学ありますが,29大学のほとんどがコアカリを基にカリキュラムをつくっている状況です。特にシラバスの中にコアカリの番号を記載している大学が3分の2ぐらいあるということで,コアカリが大分浸透しております。
 北村先生の御説明にありましたように,共用試験のCBT,それとOSCEに関しましてもこのコアカリの内容から出題するという,いわゆるブループリント化されておりますので,多くの大学でこのコアカリがきちんと共有されている,利用されているということが言えます。
 それと歯学にはJACMEのような組織が今はありませんが,今ちょうど歯学教育評価が今年から始まったところです。その中でも,コアカリに準拠していますかとか,どれぐらいコアカリの内容をやっていますかとか,臨床実習でどれぐらいコアカリの内容を行っていますかというような評価項目がございますので,今後,歯学教育評価の中で,コアカリの活用というのが評価されると考えています。
【永井座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。医学,歯学全体通じてどの点でも結構でございます。よろしいでしょうか。
 御発言ございませんようでしたら,ただいま幾つか御意見が出ましたが,最後の調整は,座長にお任せいただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 当事者の方にはできるだけ御意見伺うようにいたしますが,最終的なまとめは座長預かりとさせていただければと思います。
 それでは最後,議題の2,その他でございます。事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。今後のスケジュール,参考資料4について,御説明させていただきます。
 令和3年度の8月に第1回の連絡調整委員会を開催したところでございます。その後,5回ほど連絡調整委員会を開催いたしまして,今回の11月7日の連絡調整委員会が最後の連絡調整委員会となってございます。
 本日,意見が幾つか出ましたので,永井座長と調整をさせていただきまして,令和4年度冬頃予定と記載をしておりますが,今年中に改訂版のモデル・コア・カリキュラムを公表して,大学等へ周知を行いたいと考えております。
 その後,令和5年度1年間が周知期間,令和6年度の入学生から改訂版コアカリが適用といったスケジュールになってございます。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。ただいまの御説明に何か御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それではこれで終了いたしますが,本日は文部科学省,西條審議官に御出席をいただいております。ここで一言お言葉をいただければと存じます。西條審議官,よろしくお願いいたします。
【西條審議官】  永井先生,ありがとうございます。文部科学省の高等教育担当審議官の西條です。
 モデル・コア・カリキュラムの取りまとめに当たりまして,永井座長をはじめ委員の先生方,またオブザーバーとして参加をいただいた方々におかれましては,昨年8月から精力的に御審議いただきまして,本日,連絡調整委員会として医学教育と歯学教育のモデル・コア・カリキュラムの4回目の改訂内容,こちらを議論いただき,主査一任ということでいただきましてどうもありがとうございます。
 この間の御尽力に対しまして,感謝を申し上げたいと思います。また,厚生労働省医政局医事課,また歯科保健課からも多大な御協力をいただいたことに改めて感謝申し上げたいと思います。
 未来の社会や地域を見据え,多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成という,医学歯学共通のキャッチフレーズの下,新型コロナウイルス感染症の流行や,人工知能等の情報科学技術の活用等による医療技術の高度化,また,超高齢社会での多疾患併存患者の増加などによる医療の在り方の変化等を踏まえた,大変重要なテーマに御対応いただいたものと認識しております。
 委員の先生方におかれましては,これで一つの区切りをつけさせていただくということではありますが,本日も御意見や御議論ありましたように,コアカリを現場でどう活用してもらい,実際の成果につなげていくのかと,こういった点,非常に重要な点でございます。引き続き御協力をいただきまして御指導,御鞭撻を賜りたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございました。
【栗原委員】  永井先生,よろしいですか。今朝,機構の広報委員会があったのですが,先ほども出ていましたように,ぜひこれを英文化してほしいというような要望が出ていました。英文化するのには相当な労力が必要だと思いますので,これは文科省を中心にやっていただけるとありがたいというような意見がありましたので,お伝えしたいと思います。
【永井座長】  ありがとうございます。ぜひその方向で進めたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは,昨年8月以来5回にわたりまして,先生方には,委員の皆様には積極的な御審議ありがとうございました。それでは,これで本日の連絡調整会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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