モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会(第4回)議事録

1.日時

令和4年7月13日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 医学/歯学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

出席者:伊藤委員、江藤委員、小川委員、北川委員、北村委員、栗原委員、齊藤委員、嶋田委員、永井座長、釜萢委員、前田委員、俣木委員、三浦委員、南委員、門田委員、柳川委員、山口委員

5.議事要旨


【永井座長】  それでは,定刻になりましたので,ただいまからモデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会第4回を開催させていただきます。本日の有識者会議は,傍聴者にYouTubeにてライブ配信をしております。
 では,事務局から本日の出席状況,配付資料等の確認をお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。
 本日,奈良委員,福井委員より欠席の連絡を受けており,委員17名の出席となっております。オブザーバーとして,薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会の副座長である本間先生,厚生労働省医政局医事課より山本課長,歯科保健課より小椋課長に出席いただいております。また,説明者として,医学調査研究チームの座長である小西先生,歯学調査研究チームの座長である河野先生に御出席いただいております。
 続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。配付資料については,会議次第に記載のとおりです。事前にメールにてお送りしておりますが,不足がある場合は,事務局にお知らせください。なお,資料につきましては,文部科学省のホームページでも公表しております。
 また,本日の議題は,議事次第にありますとおり,1,医学/歯学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について,2,その他となっております。
 事務局からは以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございました。
 それではまず,議題の1,モデル・コア・カリキュラム(案)について,医学教育と歯学教育各チームからそれぞれ御説明いただきたいと思います。質疑応答の時間は,両チームの説明が終わった後に時間を取らせていただきます。まず,医学教育について,調査研究チームの座長であります小西先生から説明をお願いいたします。
【小西調査研究チーム座長】  座長,ありがとうございます。
 それでは,スライドをもう出していただきましたので,このスライドに沿って御説明をいたします。
 医学調査研究チームの小西靖彦です。5月の委員会では,改訂の素案をお認めいただきました。この会議では,医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂案の概要をお示しいたします。
 コアカリ改訂の基本方針の7点は,前々回の委員会からお伝えしておりますので,改めての説明は省略をさせていただきます。
 医学のコアカリ本体,少し薄字にしておりますが,このスライドにお示しする12の項目から成っております。5月の連絡調整委員会では,主に,丸3の第1章,資質・能力と丸4の第2章,学修目標について御説明をいたしました。本日の資料1-2には,1から7までと10,11の略語集などが掲載されております。本日は特に,丸4,学修目標について前回から修正した部分についての若干の説明をした後に,主に,丸5の方略と評価,丸6の診療参加型臨床実習実施ガイドラインについて,御説明をしたいと存じます。
 第1章,第2章に幾つかの修正を加えました。具体的には,別表が1から26となっておりましたのを,名称を1から7に整理し見やすくしたことが1点です。それから,主要症候に記載した鑑別診断の順番が不同で統一性がないという御指摘から,基本は,Head to Toeの順として,病態は,コリンズのVINDICATE鑑別診断法の順番,これについて全ては申し上げませんが,VはVascular,IはInflammationというような順番が決まっており,この順番を準用いたしました。次に,コモンな疾患である変形性関節症を疾患に加えました。それから,主要な臨床・画像検査に超音波検査を追加しているところでございます。また,別表2-19にありました腫瘍の症候を37症候と整合して,発熱,全身倦怠感,食思不振,体重減少,リンパ節腫脹に変更いたしました。
 平成28年度版のコアカリで感染症に関する記載が散在しておりまして,微生物の記載が主体で,実臨床での思考プロセスの順序と違っていたということを本チームの調査,昨年2月の調査で報告しておりました。ここを受けて,感染症の記載を大きく改定しております。具体的な改定の根幹をお伝えします。包括的に市中感染症と医療関連感染と記載して,含まれる個別疾患で高頻度,また,重要なものを厳選して別表に提示することにいたしました。次に,実臨床で必要な考え方のステップを提示するために,感染症の総論の部分で,その微生物が起こす感染症の疫学,感染経路,リスク因子,臨床症状,身体所見,診断,治療を包括的に学修できるように掲載したところでございます。
 方略・評価について,全国の大学におけるカリキュラムの参考となるということを考慮いたしまして,コアカリに初めて学修方略と学修者評価の章を立てることといたしました。方略と評価は対となることが多いということで,一つの章にまとめております。学修方略を考える際に参考となる教育学の理論を示しました。例えば成人学習理論,あるいはKolbの経験学習モデルなどでございます。また,有用な教育方法のモデルを記述するとともに,教員や学生になじみの少ない内容の紹介も行いました。これは例えば,そこに書いてありますが,SPICESモデルとか,反転学習とか,Significant Event Analysis,SEAと呼ばれるようなものがそれでございます。また,近年飛躍的な発展を遂げている情報通信技術,ICTを利用した学修方略についても触れております。なお,臨床実習での方略は,臨床実習ガイドラインに掲載しております。
 学修者評価においても,評価の重要な概念と考え方を示しました。これは,記載しておりますようなMillerのピラミッド,あるいは資質・能力ごとの評価,形成的評価と総括的評価,評価の妥当性・信頼性と実務的な要素などでございます。次に,評価の方法についても記述しました。具体的には筆記試験を含め,Workplace-based assessment,観察評価,OSCE,ポートフォリオ評価などでございます。重要な評価の一つである共用試験と医師国家試験については,独立して記載をしております。
 方略・評価を含めまして,第3章の大方針としては,方略・評価と共に特定の方法を推奨・指定するものではないということを大きな方針としております。これは,大学の自由なカリキュラム設定を促す方向性を重視しているという考え方にのっとっております。よりよい方略・評価の観点を提供する問いを設けまして,その問いの答えは一つではなくて,各大学の実情に合わせて参考にするという構造として方略・評価の章を立てました。
 ここからはイメージですが,時間的な制約がございますので,資料1-2の一部のみ,イメージとなりますが,お示しいたします。例えば学修方略を組む際に役立つ教育学理論というところからは,コアカリの1-2のところの94ページに成人学習理論について,99ページのオンライン教育における同期型か,あるいは非同期(オンデマンド)型かというようなところを抜粋して,今ここに貼り付けてお示ししました。このように短い数行の記載で教育方略を簡潔に解説して,現場の教育者がカリキュラム作成を行う場合に理論的な背景を学ぶことができるという記載をいたしました。さらに,コアカリを当事者である学生が読むということも想定して作ったところでございます。
 評価もイメージスライドで恐縮ですが,評価を学ぶときによく使用されるMillerのピラミッドを含め,105ページにあります,この上段にある評価の妥当性・信頼性と実務的要素,また,107ページでは臨床実習など評価で使用されることの多いポートフォリオ評価についても解説をいたしました。これ以外には世界的な趨勢としてのProgrammatic assessmentやKey Features問題などについても,いわゆる囲み記事という形で掲載をしているところでございます。
 方略と評価については,教科書的な総論だけでは,現場の指導医に役立ちにくいものとなると思います。より実践的な方略と評価のいわゆるGood Practiceを掲載するということにいたしました。これも繰り返しになりますが,Good Practiceの原則は,各大学でこうしなさいという意味ではなくて,あくまで参考例とすることといたしました。方略と評価のありようはそれこそそれぞれの大学の大学教育において根幹をなすところでございますので,大学の自律性を損なうのはコアカリの本質ではないと考えたところでございます。
 令和4年度版から,今版から,10個の資質・能力ごとの記載となりました。旧版のような医学知識中心の記載とは少し変わりますので,どのような方略・評価をすればよいかについて教育現場でやはり参考となるということが重要ということで,このGood Practiceを充実させたというところでございます。コミュニケーションとかいろいろな資質・能力ごとに一,二個のトピックを選んで,方略と評価のGood Practiceを例示しました。これについては,コミュニケーションでは医療面接,ライフロングラーニング,生涯にわたって学ぶ姿勢ではPeer-assisted learningを選びましたが,これは次のスライドでお示しいたします。お願いいたします。
 ここも抜粋イメージで大変失礼いたします。コアカリの112ページで,資質・能力のうちコミュニケーションにおける医療面接の方略についてよい例を示しました。赤線のところだけをちょっと抜粋いたしますが,1・2年生,3・4年生,プレのOSCEを控えた医療面接実習など,学修段階における方略を考えて,方法として,講義とか動画視聴とグループ討議あるいはロールプレイなどと多彩な学修方略をGood Practiceとして提示しております。
 同じく,生涯にわたって学ぶ姿勢の資質・能力の中では,トピックとしてPeer-assisted learning,同僚と協働して学ぶということのGPを挙げております。PALと呼ばれる同僚と協働して学ぶという中で,学修者評価の手法として,ルーブリックを紹介して,学修項目と評定尺度1から5,ちょっと右のほう小そうございますが,の評価基準を例示いたしました。なお,このPALのGood Practiceでは4ページにわたっておりますが,そこには評価だけではなくて,方略と評価が一貫して記載されております。項目だけを申しますと,概要,それから,カリキュラム開発の背景,どんな方法で教えるのか,誰が教えるのか,講義と実習の場所はどこで行うか,形成的評価と総括的評価をどうするか,誰が誰を評価するのか,どのくらいの時間をかけて評価するのか,合否基準をどのように設定するか,ここではルーブリックを示すというようなことの構成としております。
 さて,診療参加型臨床実習実施ガイドライン,少し長いですので,以下,臨床実習ガイドラインと省略いたしますが,このガイドラインは,主に医学生の5・6年次を中心とした,卒業生のアウトカムに近い資質・能力が求められる時期のものでございます。そのため,今回の改訂でも充実を図りました。1に序章,2,実施体制・実施環境,3,学修目標,4,方略,5,評価,6,学修と評価の記録,最後に,アペンディクスとして,EPAを章立てしています。
 細かくなりますが,序章では,診療参加型臨床実習の意義を記載して,スライド右にありますような図を掲げて,参加型とすることで臨床実習中に臨床能力を高めて,臨床研修につなげる意味というものを図示いたしました。2の実施体制・実施環境では,厚生労働省がおまとめいただいた,医学生が臨床実習で行う医業の範囲に関する検討会の報告書との整合を図って,医学生が臨床実習を行う医業の範囲を定める際の指針,患者同意取得の指針について,旧の版から改定を加えました。また,その報告書の内容に従って,患者相談窓口に設置についても記載いたしました。医学生に守秘義務が発生することも追加記載いたしました。3の学修目標のところでは,学生の安全管理について,関係官庁とも協議を行って,放射線被曝管理の指針を新たに記述いたしました。
 臨床実習ガイドラインの目標・方略・評価については,186ページからの記載がございます。旧(平成28年度)版にありましたFとGに記載されていた学修目標をここに移動させるということになりました。今回,資質・能力ごとの学修目標にそろえた記載となっているのは御承知のとおりです。
 医療面接,身体診察,診療録記録などのクリニカルスキル,CSの部分は,コアカリ本体の別表3というのがあるのですが,そことそろえて記載しまして,この中で臨床実習の修了時の目標レベルも示しております。これが198ページにございます。臨床推論については,これも本体の別表5にそろえた記載といたしまして,臨床手技,これはコアカリの別表7に記載しておりました。ここでも,卒業時の目標レベルを丸という形で示しております。
 方略においては,ローテートする診療科について図で示しました。基本診療科については,次のスライドで述べさせていただきます。コアカリ本体の方略と同様に,例示として,例えばメインとサブの方式での臨床実習やクリニカル・クラークシップのスケジュール案など,いわゆるGood Practice例を記載しております。臨床実習現場での観察評価として,旧の版であったmini-CEXやCbD,Case-based Discussionに加えて,直接観察による臨床手技の評価,DOPSと言われておりますが,これも今版から付け加えてまいりました。実習活動の評価は,自己評価と指導者評価という構造にしています。この構造は,卒前実習のCC-EPOC,今は卒後でもEPOC2が使われておりますが,このイメージと整合を取っております。
 先ほど申しましたが,臨床実習における診療科については,平成28年度版のコアカリの診療参加型臨床実習ガイドラインの中で,必ず経験すべき診療科という記載がございました。一方当時のJACMEの評価基準の日本版注釈には重要な診療科という記載がございました。学修者や大学でのカリキュラム作成者に混乱をきたさないように,JACMEと協議の場を今も持っております。それで,内容の整合を図っていこうと考えているところでございます。
 下のほうが令和4年度版でございますが,診療参加型臨床実習を推進するためには,1診療科当たり連続して一定期間以上の配属が必要であるということは明示すべきだというふうに考えております。ただし,全ての診療科で一定期間以上という配属の表現は,大学の自由度の観点からも少し望ましくない点があるとして,診療科を限定いたしました。まずは,日本専門医機構が基本領域に挙げている19の診療科を基本診療科として記載することといたしました。そのうち,上段にあります内科,外科,小児科,産婦人科,精神科,総合診療科の6の診療科を原則1診療科当たり連続3週間以上,救急科を原則3週間以上というふうに記載しております。ただし,下のほうに書いてありますが,全人的な診療能力・態度を涵養する目的で,4週間以上連続して配属する診療科を1診療科以上確保することが重要,また,各大学での十分な実習期間の確保への配慮ということを明示して,JACMEの現在の基準とそごがない推奨を加えているところでございます。学外施設における診療参加型臨床実習も大学での実習を補完するものとして可能とすると右に記載いたしました。
 臨床実習ガイドラインにアペンディクスとして,学生を信頼し任せられる役割,Entrustable Professional Activities,EPAsと申しますが,この概念を説明いたしました。今回の改訂で資質・能力を中心に記載が進んだことを受けて,一つの行為,EPAと10の資質・能力とがどういう関係にあるかというマトリックスを今回ここには示しませんでしたが,文中で表にして示しております。
 また,EPAを評価のために使用するということが考えられますので,その場合を想定して,右の図のように,評価に用いるツールの例,それから,指導監視なしで当該行為を実施するために必要となる条件,それから,EPAの行為に至るまでのトレーニングなどについても例示を致すようにしました。旧の版でG,臨床実習で簡潔に記述されておりまして,もうそのときからEPAの記載が始まっていたのですが,学生を信頼し任せられる役割というものは,共用試験実施評価機構が定める,臨床実習を修了するまでに習得することというところがございますが,そことして,令和4年度版コアカリの改訂版の第3章の評価という章に移動して記載しております。
 以上, 15分を少し超過して申し訳ありませんでした。駆け足の説明で大変恐縮ですが,御審議のほどどうぞよろしくお願いいたします。私からは以上でございます。ありがとうございます。
【永井座長】  ありがとうございました。続いて,歯学教育について調査研究チーム座長の河野先生から御説明をお願いいたします。
【河野調査研究チーム座長】  永井先生,ありがとうございます。歯学教育の調査研究チームの河野でございます。よろしくお願いします。それでは,歯学のコアカリの概要について御説明をいたします。
 スライドに今回のコアカリの構成を示します。医学と同じように,第1章には資質・能力を,第2章には学修目標,第3章には方略と評価,その後に,臨床実習実施ガイドライン,最後に参考資料を掲載する予定としています。第1章,第2章に関しましては,第3回の連絡調整委員会で御説明をして,多数御意見をいただきました。この後少し,御指摘いただいた点について主な修正点をお話ししますが,今回は主には方略と評価,その後、診療参加型臨床実習のガイドラインを中心に御説明をしたいと思います。
 まず,前回の連絡調整委員会で御指摘いただいた点の主な修正点を示します。B領域の大項目名の歯科理工学の名称について,本委員会で御意見をいただき,国家試験出題基準の名称に合わせて,歯科材料と歯科医療機器と変更いたしました。
 表1の代表的な疾患については,ワーキングのメンバー以外の歯科麻酔学の先生,また,医師の先生の御意見を伺い,カリキュラムの60%ということを念頭に置いて提案していただき,11項目を追加することになりました。
 学修目標の動詞につきましては,これも医学のコアカリに合わせて修正をして,表記についての部分で動詞の解説を追加いたしました。
 番号の振り方ですが,第1章の資質・能力の章においては,略語と到達目標,コンピテンシーの番号の振り方を医学の振り方と統一しております。
 最後に,前回,資質・能力と学修目標の中項目の関係をマトリックスで示しましたが,さらに細かく示すために,資質・能力を涵養するための学修目標の小項目一覧を作成し,参考資料とすることとしました。ただ,ただし書としまして,ここで示した各小項目を身につければその資質能力が身につくという構成を示したものではなく,各大学において独自のカリキュラムを作成する際に対応する学修目標として参考にしていただきたいという文言を加え,これさえ学べばよいという誤解を招かないような配慮をいたしました。
 平成28年度改訂版のコアカリでは,学修目標の掲載が中心であり,次期改訂の課題として,方略・評価の掲載が挙げられていました。方略と評価は,カリキュラムの3要素のうち,学修目標を達成するための重要な2つの要素であることから,今回の改訂において,医学と同様に方略と評価を掲載することとしました。学修評価は,各大学の持つ資源を最大限に利用して,最大の効果が得られるものを採用することが大切であり,特定の方法を推奨するものではないことから,一般論ではなく,歯学教育に利用できることを念頭に置いた構成としました。また,各大学の今後のカリキュラムの編成に参考になるように,Good Practiceとして幾つかの事例を掲載しております。
 スライドには方略の目次を示します。学修方略とは,学修方略の種類,そして,学修方略の構成要素,学修方略作成の考え方を記載しております。
 スライドには学修方略作成の考え方の概要を示しています。一般的な記載になっておりますが,昨今問題となっている著作権保護,個人情報保護などを媒体の選択のポイントの中に記載しております。
 次いで,評価の目次を示します。卒前・卒後の各段階での学修成果の評価の必要性,学修者評価の考え方,評価の種類,主な総括的な評価。主な総括的評価としましては,共用試験,歯科医師国家試験についても概要を記載して言及をしております。
 評価の種類の掲載の概要を示します。認知領域の評価,技能・態度・行動領域の評価,診療能力の評価を記載し,ポートフォリオ評価やルーブリック評価,多面評価として360度評価にも言及をしております。
 各大学が方略を選択する際の参考になるように,プロフェッショナリズム,地域包括ケアシステムなど,比較的新しい学修項目や方略・評価の設定に困難さがあった学修内容を中心に,Good Practiceとして15の事例を掲載いたしました。各歯科大学・歯学部の協力により御提供いただいた実際のカリキュラムを,学修方略と学修評価を中心に表形式で情報収集をして掲載することとしております。情報収集に当たりましては,日本歯科医学教育学会誌に掲載されたもの,ワーキングのメンバーが情報収集をしたものをワーキングで検討してGood Practiceとして選択をしております。
 次いで,診療参加型臨床実習実施ガイドラインについてです。平成28年度改訂版におけるガイドラインは,タイトルに「案」がついたまま現状に至っています。令和3年度の歯科医師法改正により,歯学生が臨床実習で歯科医業を行うことができることが明確に示されたことに伴い,さらなる診療参加型臨床実習の実施を促すとともに,診療参加型臨床実習の位置づけや,歯学生が実施する歯科医業の範囲について記載して,各大学間で共通認識を得ておく必要があることから,臨床実習ガイドラインをコアカリに収載することとしました。
 ガイドラインの中に掲載されている図を示します。歯学教育では,以前より歯学生が患者さんの診療を実際に行う診療参加型臨床実習が行われている経緯があり,この診療参加型臨床実習の充実が臨床研修にスムーズにつながるようになり,以前のような完成教育に近づくことを期待してこの図を入れています。
 歯学教育では,全国的に6年間の教育の中でシミュレーション実習,臨床実習と段階的に臨床能力を醸成するカリキュラムが一般的になっておりますので,このガイドラインでは,診療参加型臨床実習に特化した方略・評価を詳細に記載せずに,第3章の方略・評価にまとめて記載するほうが,本ガイドラインを利用する教員にとっても読みやすいと考えられるため,ガイドラインにおける記載内容を限定しております。
 ガイドラインの内容について,目次をスライドに示します。診療参加型臨床実習の目標,方略,評価,そして,実習実施に当たっての留意事項となっています。留意事項においては,学生が臨床実習を行う歯科医業の範囲、アンプロフェッショナルな行動を取る学生への対応,学生の歯科専門職との関わりの項を新設し,さらに学生の安全管理の部分の記載を充実させています。
 スライドには新規に追加した学生が診療参加型臨床実習で行う歯科医業の範囲の記載を示します。無数にある歯科医行為の中から,学生が行うべきでない行為を個別に列挙することは,歯科医学的な観点からも困難であること。歯学生が診療参加型臨床実習の中で歯科医業を行うに当たっては,今回新たに改訂された,あとでお話しします診療参加型臨床実習の内容と分類に基づき,各大学で定めた歯科医行為の範囲を遵守することとして,さらに歯学生がその定められた歯科医行為を実施するかどうかについては,現場で直接指導監督を行う指導歯科医が,患者の状況や難易度,歯学生の習熟度を勘案し,決定する必要があることを記載しています。
 さらに新たに追加したアンプロフェッショナルな行動を取る学生への対応の記載を示します。診療参加型臨床実習では,一般的な大学生として求められる行動以上の社会性や倫理性が求められ,将来,歯科医師として歯科医療に従事させることができないと考えられるアンプロフェッショナルな行動を取る学生への対応が必要となる場合があります。そこで,アンプロフェッショナルな行動とその対応の例示をこの項では示しています。
 歯学生の歯科専門職及び他の歯科関連職種との関わりの記載を示します。今まであまり重要視しなかったところですが,今回強調して,歯学生が診療参加するに際し,主として歯科診療補助を通じて歯科衛生士や歯科技工士との連携を学ぶことが望ましいと記載をしております。
 最後に,診療参加型臨床実習で経験すべき症例や課題を診療参加型臨床実習の内容と分類の一覧表としてまとめ,これをEの診察・診断と治療技能の学修目標の後ろに収載を行うことを考えています。今回の改訂に当たり,令和3年度に5大学の臨床実習実施責任者に対して,診療参加型臨床実習ガイドラインと臨床実習の内容と分類についてのインタビューを行い,現行の分類3と分類4の区別が分かりにくい,表を見やすくするという意味で簡素化が望ましい,臨床実習,臨床研修の到達目標が整合するように整理することが必要であるとの意見をいただき,これらの意見に基づき,臨床実習の内容と分類の改訂を行いました。
 スライドには表の横軸の分類を示しています。平成28年度改訂版では4つに分類をされていましたが,今回は大きく,指導医の下で実践する課題と,経験が望まれる課題と2つに分けております。前者は,自験を求めるものと,自験が望まれるが,できない場合にはシミュレーションで補完するものとに分類をしております。
 一方,縦軸は,第2章のEの領域の項目に従った構成とし,E領域の学修目標との整合性を取っています。
 これが新しい診療参加型臨床実習の内容と分類になります。平成28年度改訂版では,ラバーダムや根管長の測定など診療の一部を切り出したものがありましたので,それは整理いたしました。黄色のマーカーの部分が新たに追加した項目で,患者安全や感染予防の課題,小児への対応,小児の口腔内診察が新たに追加されます。オレンジの分類が,変更した部分を示します。自験する部分が多くなっています。
 患者の安全確保にも影響しますが,診療の体位やポジショニング,清潔操作など,診療の基本中の基本の行動や,小児の歯科治療,高齢者の歯科治療として生体モニターの装着や高齢者の口腔機能管理,また,在宅で使用する機器の使用法の学修や,摂食嚥下リハビリテーションなど,本年度から実施している臨床研修プログラムで重視している訪問歯科診療につなぐ課題も取り上げています。
 以上のことから新しい診療参加型臨床実習の症例と分類では,安心,安全な医療を提供するための手技,診察,検査の手法,診療情報の整理と治療計画の立案,インフォームドコンセントなどがE-1,E-2に示されています。
 さらに,E-5の基本的手技では,歯科保健指導,高頻度治療,不正咬合患者の診察,検査,診断,小児の歯科治療,高齢者の歯科治療,障害者の歯科治療を並列に記載して,自験すべきもの,また,自験が望ましいが,できない場合にはシミュレーションで補完できる課題など,臨床実習で経験すべき症例を多数示しています。E-6の多職種連携,チーム医療,地域医療では,高齢社会に対応する多職種の連携や訪問診療をはじめとする地域包括ケアシステムへの参画の課題が示されています。地域包括ケアシステムに関しましては,地域の自主性や主体性に基づき,地域の特性に応じてつくり上げていくことが重要とされていますので,全国的に統一の方法がないため,各大学が地域の特性に合わせて方略を考える必要があることから,ここでは詳細に記載せず,Good Practiceとして事例を提供し,各大学の教育に生かしてもらうようにしております。
 以上,簡単ですが,今回新しく提示しました第3章の方略,それと診療参加型臨床実習のガイドライン,診療参加型臨床実習の症例と分類についての概要を御説明いたしました。御審議のほどよろしくお願いいたします。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございました。それでは,これから1時間ちょっとの間,ただいまの御説明に対する意見交換をしたいと思います。御質問等ありましたら,御発言をお願いいたします。オンラインですので,御発声いただくか,あるいは「手を挙げる」機能を使って御発言いただければと思います。最初に山口委員,その後,釜萢委員,お願いします。
【山口委員】  ありがとうございます。私は医学教育のコアカリのところで,感想,意見と質問がございます。
 まず方略・評価のところを,改訂版を読ませていただきましたけれども,非常に具体的な例が散りばめられていて,素人である私が読んでも非常に分かりやすかったです。Good Practiceも入っていて,各大学が独自性を出しつつ参考になるような例がたくさん散りばめられているのではないかなと思いました。また,医学生が読んだとしても,こういうふうにこんなことを求められているのだなということが分かるのではないかなというふうに感じました。
 質問としては,今の資料の1-1の13ページのところに診療参加型臨床実習実施ガイドラインがあって,実施体制・実施環境の中に,医学生が臨床実習を行う医業の範囲を定める際の指針並びに患者同意取得の指針を改定したというふうなことが書いてあります。診療参加型臨床実習が始まると,今までの見学と違って,患者にとっては非常に大きな変化だというふうに私は思っているのですけれども,改訂版のコアカリを見ていると,医学生が臨床実習を行う医業の範囲を定める際の指針というかその内容については書かれているのですが,患者同意取得の指針というのは,ガイドラインの中には私が見た範囲では見当たりませんでした。これは別に作られているのか,このガイドラインの中に書く必要がないのか。
 というのも,歯科の改訂版を見ていますと,歯学生の臨床実習への御協力のお願いという包括同意の例示と,それから,侵襲のかなりある場合の個別同意の例示が具体的に中に書いてありました。医学教育でもそういったものが必要ではないかと思ったのですが,その辺りはどんな状況になっているのかということをお聞かせいただきたいというのが私からの質問です。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。小西先生,いかがでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございます。まず,御意見のところで特に方略についての御評価をいただき,ありがとうございます。
 御質問の指針のところでございますが,恐らく180ページ台ぐらいのところに患者同意のまず必要性というところ,その前に院内掲示とか具体的なものを出した上で,必要性を書き,その後で包括同意の文書説明の例というようなところが書いてあるところでございますが……。
【山口委員】  すみません,では,私が見つけられていなかった。
【小西調査研究チーム座長】  ごめんなさい,私どもも改定に改定を今頑張っているところで,ひょっとすると資料のところで私どもの不備があったかもしれません。ただ,ここも,一つの文例として出しているところでございますが,ここも同意書の例としてやはり出しておきませんと……,ありがとうございます。そのもう少し下のところですね。これが院内掲示の例で,その後,必要性,これは一般論でございます。その下に,囲みになって,この辺りから包括同意の説明文書の例等が書いてあります。これをもう少し文書らしく,先ほどの掲示物のように書いておいたほうがいいかなということも少し今お聞きして思いました。
【山口委員】  指針そのものはここには書かれないですか。
【小西調査研究チーム座長】  分かりました。例の検討会で話し合われた指針をということでございますね。
【山口委員】  指針の改定をしたと書いてあったので,指針がどんなふうになったのかなということを見てみたいと思ったのですが,この中には含まれていなかったので,別途あるのかなと思いました。
【小西調査研究チーム座長】  分かりました。ここは検討して,改訂をいたします。ありがとうございます。
【永井座長】  よろしいでしょうか。それでは,釜萢委員,どうぞ。
【釜萢委員】  意見を申し上げます。資料1-2,医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂版の案でありますが,48ページ,SO:社会における医療の役割の理解のところの01,社会保障ですが,憲法で定められた「生存権」を守る社会保障制度,公衆衛生とは何か,地域保健とありますが,その後に,母子保健,それから,学校保健を加えていただくことを提案申し上げます。この社会保障の項目ではまず公衆衛生が挙げられていますが,公衆衛生を取り上げるのであれば,ライフサイクルの視点と,家庭,学校,職場,地域社会といった場所の視点を網羅しておく必要があると考えます。そのため,ここに母子保健,それから,学校保健を加えるのが妥当だと考えます。2019年12月から成育基本法が施行されておりますし,来年4月にはこども家庭庁が発足されます。このような背景からも,母子保健,学校保健の追加につきまして御検討お願い申し上げます。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  医学の小西でございます。釜萢先生,貴重な御意見をありがとうございました。この社会における医療という,SOという部分に関しては,公衆衛生あるいは社会医学をやっておられる先生方を含め,医師会の先生方も含めて考えてまいりましたが,今の御指摘を受けて,私どもで少し練り直していきたいと思います。御意見を受けて考えたいと思います。ありがとうございます。
【永井座長】  よろしくお願いいたします。そのほか,いかがでしょうか。
 江藤委員,どうぞ。
【江藤委員】  江藤でございます。2点ございます。
 1点目は,共用試験実施評価機構では,2020年から臨床実習後客観的臨床能力試験を正式実施しております。臨床実習前の共用試験,これは令和5年から医学が,令和6年から歯学が公的化されることは御存じのとおりでございますが,臨床実習後の共用試験の公的化も想定されますことから,臨床実習後客観的臨床能力試験の出題基準の基となる,臨床実習の修了時までに習得することの項目の整備が必要であると思われます。今回,歯学のほうも診療参加型臨床実習実施ガイドラインの中にその項目が入れられましたたことは,誠に時宜を得たものであるということで,どうもありがとうございました。それが1点目でございます。
 2点目は,臨床実施の時間数,ミニマムなものでございますけれども,医学のほうは,それが週単位で規定されておりますが,歯学のほうは,実はアンケート調査によりますと,大学間で非常に大きな幅があると。そのために,臨床実習の内実化が遅れているという実情がございます。そういったことから,臨床実習の実施ガイドラインの中に臨床実習の時間数を医学のように,ミニマムのものでも結構でございますから提示すべきではないかというのが私の意見でございます。
 以上でございます。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【河野調査研究チーム座長】  河野です。江藤先生,ありがとうございました。
 1番目につきましては,Post-CCをにらんだ学修目標をガイドラインの中に組み込んでおります。これは,機構のほうと相談しながら決めさせていただいた経緯がございます。
 2点目の臨床実習の時間数に関しましては,なかなかミニマムの時間数を明示することが難しいですので,この部分に関しましては,配慮事項という形で現在のところ記載しているところでございます。引き続き検討はさせていただきたいと思います。
 以上です。
【永井座長】  いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 齊藤委員,どうぞ。
【齊藤委員】  よろしいですか。ありがとうございます。医学系のほうで御質問させてください。最後のところに診療参加型臨床実習実施ガイドライン,この中身は相当詳しく書いていただいているので,これ自体はすばらしいものが出来たと思っています。
 それで,質問は,コアカリとこのガイドラインの位置づけみたいなものはどうなっているのかという部分です。一体としてコアカリに入っているのか,それとも,例えばガイドラインのほうは場合によってはもうちょっと臨機応変に改訂するようなことが可能なのかとかその辺の位置づけがちょっと教えていただければと思います。
【小西調査研究チーム座長】  これはまず私からお答えいたしますが,必要に応じて,医学教育課からということでも続けていただければと思います。
 基本的にガイドラインを含めたものがコアカリ全体というふうになっておりまして,第4章という書き方はいたしませんでしたが,先ほどの第1章,第2章,第3章と並ぶようなもので,コアカリの中で全体のところにガイドラインがあるというふうな位置づけになっていると思います。
 それと臨床実習ガイドライン,詳しくは診療参加型臨床実習実施ガイドラインでは,目標といいますよりは臨床実習の場ですので,方略と評価が中心となった記載となっているというところでございます。ですから,齊藤先生がおっしゃるように,確かに,この部分というのは時代によって変わるということもありますので,臨機な書換えということはあり得るとは思いますが,コアカリという文書が何年かに1回の改訂ということになりますので,途中で変更するかどうかというようなことに関しては,若干私がお答えすべきこととは別かというふうに思います。
 一旦,医学教育課にお返ししたほうがよろしいかと存じます。
【永井座長】  事務局,お願いします。
【事務局】  事務局でございます。小西先生がおっしゃったように,コアカリとガイドラインというのは一体化として考えているところでございまして,基本的に,ガイドラインのみの改訂というわけではなくて一体化でございますので,ガイドラインだけを随時改訂するということはあまり想定しておりません。よろしくお願いいたします。
【齊藤委員】  分かりました。位置づけをお尋ねしただけですので。ありがとうございます。
【永井座長】  柳川委員,どうぞ。
【柳川委員】  ありがとうございます。日本歯科医師会柳川です。
 河野先生,大変丁寧な御説明ありがとうございました。今御説明になった資料の15ページのところに,学生の歯科専門職種との関わりが書いてございます。それで,歯科の場合は,関連職種は少ないのですけれども,ここで歯科衛生士と歯科技工士に記載があります。歯科衛生士と比べて歯科技工士のところ,確かに法律上は歯科技工指示書というものと歯科技工物を介しての連携ということになるのですが,いささか杓子定規で限定的な印象です。つまり,個々の歯科の症例に当たって,しっかり嚙めるであるとか,発声がしっかりできるとか,そういうところにも歯科技工士は関わりがありますので,例えば,「歯科技工を介して行われるものとなる」と書いてありますが,「ものが主となる」とか,少し幅を持たせた書き方になるとよろしいかと思いました。歯科技工について、です。
 それから,いささか細かい,医療関連職種との連携で,具体的に職種の名前があって,看護師から始まるのですが,一番,最も連携を取る職種は医師でございますので,あえて医師はそういう意味で書いてないのか,どのような御判断だったのか。この看護師の前に医師が入ると分かりやすいのかと感じたものですから,この辺りはいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
【河野調査研究チーム座長】  ありがとうございます。歯科技工士さんとの関連に関しましては,最近では,シェードテイキングのような診療室での役割も入ってきますので,そういうところで歯科技工士さんとの関わりというものを新たに追加したところです。先生のおっしゃるとおり,技工指示書と技工物が主体となっておりますので,そういうところも含めた文言に変えさせていただきたいと思います。
 それと,医療関連職種に関しましては,別立てで第2章のコアカリの中に,医師の連携という,医科・歯科連携というところがありましたので,あえて記載をしてないというところでございます。必要かどうか判断しています。ありがとうございました。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
【柳川委員】  ありがとうございます。座長,もう一点よろしいでしょうか。
【永井座長】  はい,どうぞ。
【柳川委員】  恐縮です。手直しが進んだバージョンのほうをまだしっかりチェックできてないのですけれども,学修目標のところに2つございまして,1つは,災害時に避難所等で行う口腔健康管理,いわゆる口腔ケアであるとか,あと,学童・生徒のスポーツ外傷が多いのですが,結局,スポーツで怪我をするケースがとても多いのです。そうすると,それを防ぐためのスポーツマウスガードがあるのですが,災害時の口腔健康管理だとか,スポーツマウスガードについては,かなりアベレージで必要な知識や技術になっておりますので,学修目標のところに入れていただけないかということを考えてございます。
 以上です。よろしくお願いします。
【河野調査研究チーム座長】  御意見ありがとうございます。マウスガードに関しましては,C-5の予防健康管理というところがありますので,そこに入れることは可能だと思っています。災害時に関しましては,法医学,法歯学という感じにまとめていますけれども,先生がおっしゃるように,避難所での口腔管理というのも非常に重要な歯科医師の役割だと思いますので,少し項目を精査しまして,必要なところに追加したいと思います。
 どうも御意見ありがとうございました。
【柳川委員】  よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【永井座長】  北村聖委員,どうぞ。
【北村委員】  地域医療振興協会の北村です。2点あります。
 まず,小西先生がお使いになったスライドの最後から2枚目の3週間の臨床実習スケジュール等のことです。内科とか外科とかにおいては,3週間連続を,内科が3週間であればいいということで,例えば,循環器,消化器,呼吸器1週間ずつのような使い方をされる大学があると聞いています。よりひどいところだと,小児科が毎週違って,循環器グループ,腫瘍グループ,メンタル・精神グループに分かれるというようなことがあり,診療参加型臨床実習の意図としては,1つの診療チームに3週間以上配属することということを強くお願いしたいなと思うのですが,それが1つの提案です。
 もう一つ,この総合診療です。総合診療専門医機構の専門医の数でも,総合診療は増えていません。200人未満です。その理由にロールモデルに触れることがないと。総合診療を実践している医師に学生時代に触れることが少ないというような意見があります。
 永井先生の自治医科大学ですと,必ず自分の県で行っているということを聞いたことがありますが,普通の大学ですと,内科の先生,外科の先生,いろいろな先生が代わる代わる出てきて,それを全部学んだら総合診療医だというようなこともあると聞いていますので,総合診療の実習の形態,そういうことも指示していただけるとありがたいかなと思います。
 以上,たくさん言いましたが,これが1点です。
 前回のバージョンを作った経験から,2つ目の提案ですが,mini-CEXやDOPS,あるいはEPAなど,実習の方略をお示しいただいて,本当によかったと思います。先生の御発言の中に,このコアカリを学生が読むということも想定されているということで,それは本当にすばらしいと思います。実は,前の前の班で診療参加型臨床実習を初めて取り入れたときに,それって何という意見が多かったので,実は公表後,ビデオを作って,動画にしました。診療参加型臨床実習はこういうものだというのを医科歯科大学の協力で,結構長いものを作りました。きちんとは撮ってはいないのですが,非常に評判もよかったので,このmini-CEX,DOPS,EPA,その他いろいろな方略に関して,浸透を図る意味で動画などを作っていただけるとありがたいかなと思います。
 それぞれ紙だけ,評価票だけ見ても,何か違う実践が行われているように思うので,動画で見ると,特に学生諸君はこういうことをやるのだというのが分かりやすいのではないかと思います。
 以上です。
【永井座長】  小西先生,今の点いかがでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  ありがとうございます。2点の御指摘,御意見ありがとうございました。順番を変えて大変恐縮ですが,2点目から先にコメントをさせていただきたいと思います。
 診療参加型臨床指針に関しては,前のバージョン,前の前のバージョン,北村先生のバージョンを大変参考にさせていただきました。今,この10年ほどの間に,診療参加型臨床実習ということは,この言葉の説明をしなくても,かなり通るようになってきました。実質がどうなっているかというところは,まだかなりの課題があることは存じ上げていますが,ここまで来ているのはこの10年のおかげだと思っております。
 その中で,こう言っていいのかどうか,先生が患者になっているビデオを私も拝見いたしまして,動画が持つ力というのは,おっしゃるとおりだと思います。このmini-CEXだけを出しておくというよりは,どう使うのかというところに関しては,今,ここまで作って,これをブラッシュアップしているところですが,今日の御意見を得て,コアカリのブラッシュアップをいたしますが,パブコメなどを経て,また,先生方の委員会,また,次の委員会を経て,恐らく年明けぐらいには,これをどういうふうにインプリメンテーションしていくかというところになります。
 なので,私どもは,夏以降の仕事は,シンポジウムを開くというのも1つかもしれませんが,特に,大きな表現を変えたコアカリがどのように大学で使われていくかということに非常に大きな課題といいますか,ことだと考えておりまして,次はそこに注力しようというふうに考えています。
 その中で,動画の御提案は大変そのとおりだと思いました。ここで言うと,やらなければならないということになりますが,動画の力というのは大変あると思いますので,参考にして進めたいと思います。2点目から先にお答えいたしました。
 1点目のところは,おっしゃるとおり,内科の中を3つ回って3週間というのは,これはあまり意味がないと思います。一方で,まだ幾つかの大学で,第1内科,第2内科,第3内科みたいになっているところで,その中で病棟は一緒でやるみたいなところがあって,この辺りは大学によっての差もあるかと思います。北村先生の御指摘のとおり,実は,意外と最も中がばらけているのは,ここで議事録に残すのがいいのかどうか分かりませんが,小児科というところは広いのですが,たくさんの部門があるので,実はローテーションになっている可能性も高いように私も思っております。
 ここでは,下のところに,原則1診療科当たり3週間以上と書いた中で,この全人的な診療能力を涵養するということで,4週間以上連続するのを必ず1つ以上は取ってくれと書いたのは,先生方のJACMEの基準との整合も考えてですが,心は同じでございます。
 それをどうするかというところですが,コアカリにどこまで書くか,あるいは,それこそJACMEの基準でどこまで書くかというところは,恐らく,少しすみ分けといいますか,向いている方向は恐らく全く同一だと思いますので,コアカリにかなり強く書くと,これはこれで,先ほど申しているとおり,それぞれのところの自由度を下げるという構造にもなります。
 ですから,評価のところを受け持たれるJACMEのところに書いてあるほうが,実は効力は強いみたいなところがありまして,この辺り,どちらがどう書くかということについては,引き続き,少し調整を続けさせていただければというふうに思います。
 もう一点は,同じ1つ目の御質問の中で,総合診療医の問題が出てきたと思います。研究大学院大学が増えていく中で,総合診療がなかなか大学の中で難しいということになっているというところもあるかと思います。これはコメントでございます。
 そのことも併せて,「学外施設における実施も可能」と書いたこの1つの考えが,大学の外で学ぶということを含めて,総合診療のリソースはあるのではないかというふうに考えるところもございます。私の昨年度までおりました大学は,そのように努めておりました。学生は外の総合診療の施設で,クリニックの中で,非常にたくさんのことを学んできているという結論も出ております。
 この辺り,グッドプラクティスの中で総合診療のことは触れております。総合診療をどうしろという書き方は,なかなかコアカリの中でどこまで書くかというところは難しいですが,今のところ,私どもの考えでは,グッドプラクティスの中で展開しているというところでございます。
【北村委員】  小西先生,御丁寧な回答ありがとうございました。
【永井座長】  よろしいですか。
【北村委員】  はい。
【永井座長】  では,前田委員,どうぞ。
【前田委員】  新潟大学の前田でございます。4点ほど意見を言いたいと思います。
 まず,1点目は,先回の改訂から,医科と歯科のコアカリがかなり近づいて改訂をされてきたと思うのですけれども,今回見せていただきました,今日お話があった第3章の学習方略と評価というところが,医科と比べて歯科がかなり内容的に貧弱になっているので,こういうところは,ある程度の医科との整合性を持ってボリュームを増やすなりして,そして,歯科の特性を出していくというような書き方にしたほうがよろしいのではないかということがまず1点目です。
 2点目。これは前から気づいていたのですけれども,臨床の知識のところに口腔とか歯の性状構造とか機能というものが入っています。しかし,生命科学としての歯学を考えるのならば,口腔とかは勉強していくためには,全身のことを知っていますよということで,生命科学の中で歯とか口腔を勉強していくという形に章分けをしたほうがいいのではないでしょうかというのが2点目です。実際問題,CBTなんかでは,基礎科目の中で出題されているということがあります。
 その次,本日の話題で出てきた臨床実習の内容と分類でございますけれども,私の持っている63ページ,64ページに表がございますが,例えば,矯正,不正咬合の診察,検査診断とか,小児の歯科治療というのが63ページにございますけれども,ここを見ると,口腔衛生指導にしかないのです。となると,上のほうにも歯科保健指導があって,これとどこが違うのかということになって,かといって,これを外しますと,次ページに行くと,ここは何もやることはないというふうなことになっています。また,64ページを見ていきますと,地域包括ケアシステムとか,摂食嚥下リハビリテーションは非常に包括的な内容が書いてあって,じゃあ,学生はこの臨床実習のところで何を勉強させたらいいのかというのがこの表でよく分からないということでございます。
 そして,4点目は,これは何回か臨床推論のところで意見を述べさせたと思いますけれども,医科に合わせて臨床推論の学習課題は変わってきて,その結果,67ページに表2ということで鑑別診断等々の疾患名が出てきました。でも,これを見ますと,例えば,67ページの④のところに,症候で口腔乾燥が出てきて,裏を見てみると,68ページの味覚異常のところの疾患名で口腔乾燥が出てくる。69ページの下のほうで,疾患名で外傷・炎症があってきて,症候のところにも外傷・炎症が出てくるというふうになっていて,非常に整合性が取れていない表になっています。
 こういうことをパブコメに出す前にきちんと直していく必要があるのではないでしょうかということと,最後に,今回の改訂でかなりボリュームが増えたと思うのですけれども,それに関してはいかがでしょうかということでございます。
 長くなって申し訳ございませんでした。以上でございます。
【永井座長】  河野先生,いかがでしょうか。
【河野調査研究チーム座長】  御意見ありがとうございます。
 1番目,第3章の方略と評価について,医学のほうと整合性を取るべきだという御意見です。それはワーキングのほうで検討して,対応するように考えていきたいと思います。
 2番目の口腔の正常機能は,本来,生命科学のところにあるべきではないかという御意見だと思います。これは平成22年度改訂版,平成28年度の改訂版でも,同じように口腔を特出しして記載されている状況です。私たちが検討するときに,口腔領域を特出しするほうが,基本的な解剖生理学を学んで,これから歯学の学習にどのように関連して展開していくのかということが学修者,教育者に分かるようにこういう構成にしていると理解をしておりました。そういう意味で,平成22年度改訂,平成28年度版の改訂を引き継いで,こういう構成にしております。
 前回担当した嶋田先生,前田先生がいらっしゃるので,前回はどうしてこのような状況になったかというところを御意見いただければと思いますが,いかがでしょうか。
【永井座長】  どうぞ。
【前田委員】  これは前,直そうと思ったのですけれども,ここまで直せなかったのです。実際問題,国家試験の出題基準等々の改訂に当たってくると,やはり口腔と全身は切り離せない。口腔が全身の1器官という考え方ですれば,口腔のところに直していくということと,そうしないとこれは結局,今も見てもかなりダブっているような項目が非常に多いということと,各大学での教育実態を考えると,口腔のほうは基礎のほうに,生命科学のほうに戻していったほうがいいのではないかということになると思います。
【河野調査研究チーム座長】  ありがとうございます。
 私たちは,先ほど言いましたように,これからの学習でどのように正常的なものが歯科とか臨床に発展していくかというのが分かりやすいかなというふうに考えて,このようにしております。御意見を伺いましたので,少し検討したいと思います。
 3番目に,参加型臨床実習の内容と分類に関しましては,口腔衛生指導に関しましては,対象者が異なるということで別途しております。1つの項目にまとめるのは簡単ですが,我々の意識としては,それぞれ思いがあってこういうふうにしているのが状況です。
 地域包括ケアシステムに関しましては,先ほど言いましたように,地域の自主性や主体性に基づいて地域特有のものをつくっていくのが地域包括ケアシステムですので,ここで特定の項目を挙げてというのはなかなか難しいかなと思っております。摂食嚥下に関しましても,各大学でどのような教育をしているのかという調査がまだできておりませんので,具体的な取組,グッドプラクティスを追加して,その部分を各大学で埋めていただこうというふうに考えています。
【前田委員】  診察,検査,診断と書いてあるのだけど,それが全くないでしょう。口腔衛生指導だけで。あと,訪問歯科診療と地域包括ケアが並列で書いてある。各大学で今やっている実習というと,多分,訪問診察にとか,いろいろ介護施設に一緒に行って訪問診察のことをやっていくというようなことと結局一緒のことじゃないのかと。では,何をやったらいいのかというようなことになるので,ここら辺はもう少し具体的なほうを書いたほうがよろしいのではないかなということです。
 最後お願いします。
【前田委員】  臨床推論のところで,67ページから症候と疾患が同じような,症候に書いてあるものが疾患名に書いてあったり,疾患に書いてあるものが症候に書いてあったりしていて,医科の症候のあれと全然違って見えているので,ここら辺も,もう少しきちんと見て検討しないと駄目なのではないかなというふうに思っています。
【河野調査研究チーム座長】  御意見ありがとうございます。もう一回1検討してみます。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
 それでは,三浦委員,どうぞ。
【三浦委員】  私立歯科大協会の三浦でございます。
 今回のモデルカリキュラムの中に,できましたら,スポーツ医学,あるいは歯学という項目を追加していただきたいと思います。といいますのは,近年,スポーツ医学,スポーツ歯学を専門とする職域を目指す学生さんも増えてきておりますので,ぜひこの項目を学生時代にきちんと学んでいていただきたいと思います。例えば,医科のほうですと,SO-06に,社会科学の視点から捉える医療というところに,スポーツ医学に関する項目を追加していただければと思います。
 それから,歯科のほうですと,口腔外傷という項目があるのですけれども,先ほど柳川先生からも御質問,御追加があったように,小児の歯科治療の項目にマウスガードと,これがきちんと入っていったほうがいいのかなと思います。
 それと,もう一つ,歯科のほうのB-3のほうに,予防と健康管理,予防の概念というところがありますが,ここに口腔外傷の特徴と予防について説明できる項目を追加していただければと思います。
 以上,よろしくお願いいたします。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【河野調査研究チーム座長】  三浦先生,ありがとうございます。歯科のほうはスポーツ歯学という視点が抜けておりましたので,御意見を参考にさせていただいて,追加する方向で検討したいと思います。
 ありがとうございました。
【小西調査研究チーム座長】  よろしいでしょうか。
【永井座長】  はい。お願いします。
【小西調査研究チーム座長】  医科のほうでございます。医科のほうでは,前任の医師会の羽鳥先生からの話もございました。スポーツ医科学というものをコアカリの中に追加しているというところでございます。また,方略のところでも,スポーツ医学というものに関して御提案がございまして,今,それを入れているところでございます。
 以上でございます。
【永井座長】  三浦先生,よろしいでしょうか。
【三浦委員】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。小川委員,どうぞ。
【小川委員】  2点ございますけれども,全体的に見ると,各論に関しましては大変労作で,すごく頑張っていただいたなと思います。
 ただ,先ほどどなたかが申し上げた件ですけれども,内容が増えたことで,コア・カリキュラムというよりは,かなり量が増えて,学生の負担が増え「コア」になっていないのではないかなと危惧します。どのような形にすればよろしいのか分かりませんけれども,ぜひ学生の負担増を軽減するような方策を取っていただきたいなと思っております。それが1点。
 それから,もう一点は,歯科調査研究チームのほうから出ている概要版の14ページ,アンプロフェッショナルな行動を取る学生への対応という項目がございます。やはり,時に,こういうようなお医者さん,あるいは歯科医師には診療していいただきたくないと思うような方が中にはいらっしゃるわけで,これを教育の中でどういうふうに修正をしていくのかという観点が必要ではないかなと思います。やはり人間でございますから,人間性が問題だというような方もいらっしゃらないわけではない。専門教育以前に,人間教育が必須だと思います。
 両方のモデル・コア・カリキュラムの目次を見ますと,恐らく第1章のGE「総合的に患者・生活者をみる姿勢」というところにこれが入っているのだろうと思います。歯科研究チームのほうから出された14ページのアンプロフェッショナルな行動を取る学生の対応については,この医学教育モデル・コア・カリキュラム,あるいは,歯科教育モデル・コア・カリキュラムの改訂版のほうではどこにこれが入っているのか教えていただきたいということがもう一点でございます。
 そして、このアンプロフェッショナルな行動を取る学生をどのように教育していけばいいのかという視点がどうしても必要なのではないかなと思いますけれども,この辺に関しまして,医学教育モデル・コア・カリキュラム,あるいは歯科教育モデル・コア・カリキュラムの観点から教えていただければと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【永井座長】  いかがでしょうか。小西委員,どうぞ。
【小西調査研究チーム座長】  それでは,医学のほうからお答えしますというか,コメントをいたします。
 まず,1つ目のところからですが,各論はよく頑張ったとお褒めの言葉をいただき,恐縮でございます。内容が増えているのではないかというところに関してのコメントは,前回,前々回のこの委員会でも話題になっていたところで,医学・医療が進歩していく限り,どうしても増えそうになるというのがコアカリの特徴ではあると思います。今回,私ども,学修目標の羅列というところから離れた――羅列と言うと少し言葉がきつ過ぎるかもしれませんが,離れたのを機に,かなり整理をいたしました。
 一方で,増えるというところは,今,最後にコメントいただいたアンプロを含めて,態度領域というようなところに関してあまり記載が少なかったので,資質・能力ごとにすることによって,やっぱり医学は知識だけじゃないのだよというところを表に出したところです。その意味では,そこは増えたということは否めないかもしれません。
 ただ,全体の量としては,1つに見せ方の別表かというようなところもありますが,かなり重複して書かれていたところがスリムになったというふうに思っております。前回,前々回にも申しましたが,今回,コアカリの改訂に関して,このチームはスリム化チームというのを独自に立てまして,かなり検証を行いました。それとともに,見た目のスリムだけではなくて,特に一番大切なところは,各論で学ぶべき疾患をどのくらい卒業時には必要かということで,かなりここは突っ込んだところをいたしました。
 今後,恐らく,これは私が申し上げることでありませんが,私は昨年,国家試験の委員長をしていた立場もございまして,国家試験の改善検討委員会も開かれると思います。ここらとよく協調しながら,いろいろなことを考えていこうというふうに考えております。
 今回,コアカリの中では,病名に関してはかなり重要度あるいは緊急度などを軸に絞り込みといいますか,ことを行ったところでございます。
 次のアンプロに関して,あるいはプロフェッショナリズムということに関して,ここはなかなか,総論で答えることとコアカリに何を書くかというのは難しいところがございます。先生がおっしゃるように,パーソナリティというようなところまで行きますと,これはどういう学生を選択するか,あるいは,入試のところのほうが大きいのかもしれません。入ってきてから性格についてどうなるかというところは,なかなか難しいところも,精神科の先生とかに相談してもあるかもしれません。
 一方で,私どもの表現は,アンプロフェッショナルな評価というのは前回から医学は導入しておりましたので,特に臨床実習におけるアンプロフェッショナルな行動,今は,臨床実習前でもアンプロフェッショナルな行動ということについて少し記載を入れたところ,それが,例えば,方略の評価のところを含めて記載がございます。こういうところで記載をしたというところになります。おっしゃいますように,ジェネラリズム,総合的に患者を診るというところでも触れておりますが,主にはPR,プロフェッショナリズムというところでの記載になります。
 方法的には,これを方略的,あるいは評価として使うようなときには,これは少し学問的な言い方になって恐縮でございますが,常々の態度評価をしていてアンプロを見つけていくということが基本だろうとは思いますが,こういうところで世界をリードしております,例えば,マギルとかの例を見ておりましても,導入はP-MEXというのを導入したりしているのですが,導入してもなかなか現実に動いていないというところがございます。
 そこで,2005年のバボダッシュの文献などをもとに,アンプロフェッショナルという基準で評価,あるいは学習方略の運用しようというふうに1つ前回から改訂,北村先生が座長のところから改訂をいたしました。この辺り,まだ検証は完全に終わっておりませんが,1つの流れとしては,動き出しているかなというふうに考えております。
 先生への真正面からの答えになっておりませんが。コメントベースになって恐縮でございます。
【河野調査研究チーム座長】  歯学の河野ですけれども,よろしいでしょうか。
 御意見ありがとうございます。内容が増えているのかという点に関しまして,先ほど前田先生からも御意見をいただきましたが,この項目数からすると,40項目ほど増えております。ただし,平成28年度改訂版では,1行に3つの動作が書いてあるなど,抽象度が大きくて,どこまで教えたらいいのかということが不明確な学修目標がありましたので,それを整理したというところで,項目数が増えております。
 ただ,情報関係の学修目標が増えたということがありますので,必ずしも少なくなったとは言えません。むしろ少し増えているのが現状だと思いますが,すごく増えたという感覚はありません。
 プロフェッショナルな行動に対するものですけれども,歯学のほうでは第1章のところに,20ページに,アンプロフェッショナリズムということで,卒業時の到達する能力というものを記載しております。これが1つの目安になって,アンプロフェッショナルな行動をきちんと修正をしようというか,なくなるような学修をしていただきたいという学修目標として勧めているところです。
【小川委員】  ありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。まだ時間はございますので。よろしいでしょうか。
 それでは,嶋田先生,前回御参加ということですが,何か御発言ございませんでしょうか。
【嶋田委員】  嶋田でございます。前回の連絡調整委員会で質疑や指摘があった部分について,わかりやすく修正していただいて非常によかったと思います。
 それから,他の委員からもご指摘がありましたが、できましたら、医学教育ならびに歯学教育モデル・コア・カリキュラムに「スポーツ医学」と「スポーツ歯学」の項目を追加していただきたいと思います。ご検討よろしくお願いいたします。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。栗原先生,何か御発言ございませんでしょうか。
【栗原委員】  特別ありませんが,今度,例の共用試験が法的に位置づけられたということで,171ページのところに,医学生が臨床実習で行う医療の範囲というのをきちんと明記していただいて、これは非常によかったのではと思います。この記述で,監督・指導者の下で適切に臨床実習を行うということがはっきりしてきたと思います。
 それから,先ほど来話題になっていますが,非常に多岐にわたって内容が増えているというところは致し方ないと思いますが,今後適宜,現場で取捨選択しながらやっていくしかないのではないかなと思っております。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【齊藤委員】  そうしましたら,齊藤ですが,1つよろしいでしょうか。
【永井座長】  お願いします。
【齊藤委員】  今のガイドラインの部分ですが,イのほうのですね。少し詳細は説明が時間的に難しかったと思うので,御質問なのですが,行為に関する同意については,包括的に同意を取るようなそういう形式になっているという理解でよろしいでしょうか。
【小西調査研究チーム座長】  私が答えるべきかどうかちょっと迷うところもあるのですが,これは厚生労働省の検討会の報告書を受けて,コアカリが独自に判断するというものではないものですから,記載をしたというところでございます。
 幾つかの御意見がございまして,原則包括同意で,侵襲的なものの場合には個別ということになっておりますが,医科の場合,歯科と少し文脈が違いまして,どのくらい侵襲的な行為あるいは不可逆的な行為をするかというところもございます。医科は国から,特にスキルの部分は,幾つか,5つほど具体的に明示をしているのですが,例えば,医療面接をするとか,カルテを記載するとか,こういうものを含めて国からスキルとしておりますので,こういうものに関しては包括的な同意で普通は行けるというふうに考えています。
 これは少し意見も入りましたので,厚生労働省の報告書を受けて記載しているというところがコアカリの立場でございます。
【齊藤委員】  ありがとうございます。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
 そのほか御発言,御意見ございませんでしょうか。
 もし御発言がないようなら,今日の御意見,よろしければ座長預かりで,少し調整が必要なところもございますけれども,預からせていただければと思いますが,よろしいでしょうか。また,小西先生,河野先生,先ほど幾つか御意見ございましたので,あの辺りの表現をどうするか御相談させていただければと思います。ありがとうございます。
 それでは,その他でございますが,これは事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。
 参考資料の6を画面共有させていただきます。今後のスケジュール案ということで,お示しをさせていただいております。令和3年度は,2回ほど連絡調整委員会を開催しておりますが,令和4年度,今回,第4回連絡調整委員会で,コアカリの案について議論をしていただきました。
 その後,夏頃予定というふうに記載しておりますけれども,7月中を目途にパブリック・コメントのほうを実施したいと考えております。
 その後,文部科学省主催の医学・歯学教育指導者のためのワークショップが7月27日にございます。こちらは調査研究チームの河野先生,小西先生のほうから,検討の方向性等について,大学に対して周知・報告をしたいと考えております。
 その後,令和4年度の冬頃に,連絡調整委員会の第5回を開催いたしまして,こちらで連絡調整委員会として,モデル・コア・カリキュラムの決定を行っていただきます。
 その後,コアカリを公表,大学等へ周知し,令和5年度の1年間は周知期間,さらに,令和6年度の入学生からコアカリを適用といったスケジュール感でございます。
 事務局からは以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 今後,パブコメが始まるということでございますので,また,その場でもいろいろ御意見おっしゃっていただければと思います。何か御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,本日,少し時間は早めでございますけれども,今日の会議はこれで終了いたします。どうも熱心な御討論ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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