学校法人ガバナンス改革会議(第11回) 議事要旨

1.日時

令和3年12月3日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 学校法人ガバナンス改革会議報告書案について
  2. その他

4.出席者

委員

増田座長,安西委員,石井委員,岡田委員,久保利委員,酒井委員,戸張委員,西村委員,野村委員,八田委員,松本委員,本山委員

文部科学省

義本事務次官,森高等教育局私学部長,滝波高等教育局私学部私学行政課長

5.議事要旨

<議題1 学校法人ガバナンス改革会議報告書案について>
・増田座長から配布資料について説明。

【増田座長】
 それでは,議題1に入ります。まず,資料の報告書案につきまして,私から説明いたします。その後,委員の皆様から御質問,御意見をいただき,本会議の取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。
 それでは,今回の原案に御質問,御意見等いただきましたものについて御説明をしたいと思います。
 まず,1ページ目なんですけれども,安西委員から,「学校法人ガバナンス体制を再構築し、教育・研究の特性の下で他の公益法人と同等のガバナンス機能を発揮できる体制」の,「特性の下で他の公益法人と同等の」というところの部分を「学校法人ガバナンス機能を再構築し、教育・研究の責任を十分に果たし得るガバナンス機能を発揮できる体制」という記述に修正してもらえませんかというお話がありましたけれども,これについては修正をしたらどうかということです。これはまだ修正はしてないと思いますけど,確認ですがお手元の資料はまだ修正してないですね。これは今日いただいたのですかね。今日いただいたようなので,まだ元のまま,「特性の下で」と書いてありますけど,ここのところの「同等の」までを消して,「研究の責任を十分に果たし得るガバナンス機能を発揮できる体制」というふうにしたいと思います。
 それから次に,3ページをお開きいただけますか。3ページは,酒井委員のほうからの御意見でございます。時計文字の2番の「新法人制度の改革案(新たな学校法人の機関設計)」の上から6行目のところですけれども,本記載は,会社における執行と監督の分離の方向性を踏まえたものだと思うが,これは会社では従来,取締役会が経営にどっぷり漬かっていて監督機能が希薄だったことから,その是正のためにあえて強調されたものである。現にCGコード(コーポレートガバナンス・コード)基本原則の4でも,取締役会の第1の役割については,企業戦略の方向性を示すこととされている一方,監督は第3に書かれ、実際の取締役会もそのように運営されており,監督機能が明確に分離されているということはない。今回の報告書でも,学校法人の評議員会の重要な権限の1つは,中期計画,事業計画の策定とされているところ,本報告書では,評議員の法人経営の基本計画の策定と執行の監督というように記述すべきではないか。そうすることで,報告書冒頭の,なぜ今回の改革が学校法人の経営力の強化につながるのか明らかになると考えると。
 これにつきまして,お示しいただいた改革の趣旨がよく分かるように修正させていただくということで,修正させていただきました。それが3ページの2番の7行目ですかね。「がなされるべきであり,学校法人経営は「評議員」による学校法人の業務の基本方針の決定の役割と」というふうに入れまして,あと「「理事・学長等」の業務執行の役割,「評議員・監事・会計監査人」による監視・監督の役割を明確にしたガバナンス体制を確立することが求められる」というふうに修正をさせていただきました。
 それから,次に6ページですけれども,西村委員からの御意見です。評議員の「(5)義務、責任」について。評議員の権限強化が整う体制が構築された場合でも,評議員における情報の非対称性の問題,評議員が判断するための情報が圧倒的に少なく,ガバナンス機能が発揮できるのかは懸念されます。情報を把握するための仕掛けとして,③の「評議員は計算書類等の謄写の請求をすることができる」の提案に加えて,組織の実態や課題を把握するため,スタッフ委員会などの仕組みを設置する仕組みの設置を可能とすることの追加をしてはどうか,御検討を希望していたしますという意見をいただきましたが,これについては,法制化をしないでガバナンス・コードなどで取り扱うということにさせていただきたいと思います。
 それから,次に8ページ。これも酒井委員の御意見でございますけれども,4の監事,「(3)権限、義務等」の②について。監事の権限として,②会計監査だけが挙げられていて,業務監査が入っていない。③で子法人の業務監査を行うとされていることから,整合性が取れていないのではないか。これにつきましては,酒井委員のコメントを踏まえまして,括弧書きで「業務及び」というのを入れさせていただきました。「(「業務及び財産の状況の監査」の趣旨・対象を明確化する観点から)財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書を監査する」というふうにさせていただきました。ありがとうございました。
 次に,9ページです。岡田委員から御意見いただいたものですけれども,6の「内部統制システム」の①ですけれども,監事に関連する体制の整備,補助使用人の設置や監査費用などはこちらに含まれるという認識でよいか。それから,同じく西村委員からも,会社においても情報の非対称の問題対応は考えられているようで,監査役にスタッフをつけるなどの仕掛けがある。あるいは,欧米の会社法では,近年ガバナンス体制において,株主以外のステークホルダーの重視・参加という転換が生じているようです。こうした新たな転換については,今後拡大するのか注視する必要があると考えられますが,ガバナンス機能を発揮するためには,情報の非対称性の問題について,報告案に何らかの仕掛けについて提案が必要ではないかと思いますというご意見を頂いています。
 これにつきましては,岡田委員と西村委員の御趣旨のとおりだと思いますけれども,このところは一部修正させていただきまして,①の最後の行に「監事の職務を補助すべき使用人に関する事項等」というのを入れさせていただきました。一部はやはりこれからのガバナンス・コード等で,もう少し情報の非対称性についてはどういうふうな形でカバーしていくかといったことについても,議論をいただきたいと考えております。
 次に,10ページ目でございます。これも酒井委員からの御意見でございますが,7の「事業活動実態に関する情報開示」,②について,財務情報のセグメント別記載については望ましいと考える一方,そのために大学の基幹システムの大幅な見直しが必要だということになると莫大な費用がかかるため,法律で義務化するのはいかがなものかという御意見をいただきました。
 これも事務局と相談したのですけれども,努力義務規定ということにしたいということで,ここのところは細かく法律に書かないということで,内容については政省令のところで考えるということに一応したいとしております。②のところに,「財務情報は、セグメント(学校、附属施設等の部門)に分けて記載するように努める」として,括弧書きで「(具体的内容は政省令において定める)」というふうにさせていただきました。
 一応,この2日ぐらいの間ですけれども,いただいた御意見については,こういうふうな対応をさせていただいたわけです。今まで申し上げた中で,御意見いただいた先生方はじめとして,御質問,御意見があれば受けたいと思いますので,よろしくお願いします。今,御説明申し上げたところについて,御質問,御意見等ございますでしょうか。
【松本委員】
 最後の情報開示のところなんですが,情報開示の②,「財務情報は、セグメントに分けて記載するよう努める」というふうに書いてあって,酒井委員から御指摘をいただいたということなんですが,まず,フルでやるべき大学,大学を持っている法人が,セグメントに分けたもの,財務情報を持っているか持ってないかというのが分からない時点で,わざわざ「努める」というふうにしていいのか。普通,経営体としては,セグメントに分けた情報を持っているのではないかというふうに考えて,最初「記載する」としたのですが,わざわざトーンダウンするような,きちんとガバナンスを効かせるべきというふうに発信しなくてはいけない最終まとめを,トーンダウンさせるような記述を入れていいのか。
 安西委員がおっしゃっていらっしゃった,教学の責任を果たすためにとなれば,ガバナンスがきちんとしているということを証明する1つの方法なのに,わざわざ曖昧にする方法をこちらで提示していいのかという疑問はあります。
【戸張委員】
 会計的なことで言わせていただきますと,収支については内訳表というものは多分つくっていらっしゃるので,そちらのほうはセグメントに分けるのは問題ないと思うのですが,貸借対照表項目については,各学校が例えば,学校別とかで貸借対照表までつくられているかどうかというのは分からないので,すぐに対応できるかどうかまでは,ちょっと今は難しいかなというのが私の感覚なんですけれども。
【増田座長】
 会社でもセグメントに分けるのは,会社の方針といいますか,マネジメントアプローチといいますが,そういう意味で分けているわけで,やり方が幾つかあると思いますよ。事業会社の場合は,事業別ももちろんありますけど,地域別に分けるとかいろんなアプローチの仕方があるんで,必ずしもこういう書き方がいけないということでもないかと思うですけど,いかがでしょうか。岡田さんなんかはこれに詳しいと思うんですけれども。
【岡田委員】
 今おっしゃったように,会社の場合もセグメント情報の開示というのは,その会社の実際のマネジメントの仕方によって,それに合わせて開示するということですね。つまり,「努める」という表現にするかどうか別として,開示できないとしたら、あるべきマネジメントをしてないということになるわけです。むしろあるべきマネジメントをしてセグメント情報を開示するようにすべきです。システム化というお話が出ましたけど,確かにシステム化に時間とお金がかかるかもしれませんが,ただ法人として必要な情報を管理するシステムをつくるという意味では,お金がかかってもやらなきゃいけないんじゃないかと思います。ここはさっき松本委員が厳しくおっしゃったように,「努める」よりは,まずは開示を原則とすべきであると思います。
【酒井委員】
 私がもともとここはコメントしたんですが,会社はやはりこのセグメント情報というのは,投資家にとっては非常に重要な情報ではあるんですけれども,会社でもどこまでやるかということは,かなり経営判断に委ねられていて,僕は詳しく分からないので会計士の先生方に教えていただきたいんですが,恐らくどこまでのセグメント情報を出すかということまでは法定されていないのかなという感じがしていまして,ここで義務づけてしまうと,会社より先にいってしまうというんですかね。
 それからもう一つは,費用負担というのがよく僕も分からないところなんですけれども,ただでさえいろいろな負担をこの改革でかける形になるので,このセグメント情報を出すために基幹システム等を変えなきゃいけない。要するに,日々の収支,キャッシュフローをフォローできるようなシステムにしていかないといけない可能性があるので,その辺どうかな。そこまで負担をかけるのかなと。しかも会社の先をいっちゃうのかなというのが僕の問題意識です。
【松本委員】
 会社の先を行くことの是非については,私には判断ができません。ただ,やはり学校たるもの,範を垂れてもいいんじゃないかというのは思う。やっぱり先生たちの集まりですから。
 それからもう一つ,総合前文のところで,私立大学の経営が成り立たなくなる事態の到来が予想されるということをあえて振っているということは,そういうことにならないようにするためにも,やはりセグメント情報というのを自分たちがまず把握している。外にも出せるようにする。それは法律に決められた瞬間に,すぐに100%とはいかないかもしれない。でも,移行期間があったとしても,努力義務に逃げるのではなくて,私たちの宝物の私立大学がこういう状態になっているということを,社会の人にも知ってもらいたい。それから,会社と違う,会社と同じか違うか分からないんですが,私立学校には寄附というものが集まってきます。やはり寄附をする,それから,たくさんの子供たちを,未来の人たちを集めるというところの経営状態がやはりクリーンであることは,親の思い,そこに学費を投じる親の思いにはかなっていると考えます。
【久保利委員】
 いずれもごもっともな感じはするんですけれども,私が思うのに,前の原案のときには,括弧書きの具体的内容は政省令において定めるというのはなかったんです。セグメントに分けて記載するというので終わっていたんですけれども,もしそうだとすると,具体的内容は政省令において定めるというのは,先ほど戸張先生もおっしゃった,貸借対照表は無理かもしれないということになれば,損益だけでも明らかにしなさいというふうにすることもできるでしょう。それから,私自身の経験で,ある有名な女子小学校・中学校・高校を持っている学校法人の理事になったんですが,そこは大学も持っていたんです。その大学が非常に収益力がなくて,非常に惨たんたる状況になっている。このときに,大学をやめるかどうかというときに,結局,セグメント情報をしっかり持っていないと,どこの学校が原因になって,オール学校法人としては非常に惨たんたることになっているというのが分からないわけですよね。だからそういうことで,結局その学校は大学をやめたんですけれども。
 私,考えてみるのに,やっぱりここはむしろ「努める」ではなくて「記載する」と。ただし,具体的内容は政省令において定めるというのがありますから,ここは少しマイルドにするなら,一体何についてセグメントを分けるのかと。例えば,事業全体としては,小・中はこうだ,高校はこうだとか,大学はこうなっているというのを事業報告的に書くというなら,今の企業のセグメントとそんなに変わった記載の仕方ではないのかなとなります。どういうふうにやるかというのは,義務なんだけれども,どこまで厳しい義務を負うのかというのについては,若干文科省のグリップがあってもいいのかなという感じがいたします。「努める」よりは「記載する」と言い切って,かつその内容はもう少し,どういうふうにするのが一番いいかはもうちょっと省内で検討していただくという提案をしたいと思います。
【増田座長】
 久保利委員の意見は,「記載する」というふうに言い切って,括弧書きのところの政省令はそのままつけておくということで,そういうことでどうでしょうかという案ですけれども,いかがでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

【増田座長】
 酒井委員,よろしいですか。
【酒井委員】
 私もそれほどこだわってはおりませんので。
【増田座長】
 では,そういうことで元に戻させていただいて,今のところは「記載する」ということで,あと詳細は政省令でということでよろしいでしょうか。
【安西委員】
 所用で遅参しまして,誠に申し訳ありませんでした。そういう意味で,文脈を全く捉えておらず申し訳ございませんけれども,この報告書の案につきまして,不祥事が起こっているのでガバナンスをきちっとしたい,これはよく理解できます。理事長,あるいは理事会の暴走をきちっと止めるためには,評議員会が最終議決機関として,ある限定された重要事項についてですけれども議決権限を持つということは,当初からずっと一貫して理解もできますし,賛成をしてまいりました。
 ただ,やっぱり全般的に,教育,教学への責任を私学が果たしていくことをないがしろにした暴走というんでしょうか,そういうことが多いというふうに見ておりまして,やはり私学のあるべき姿といいましょうか,私学の目標,目的というのは,教育・研究,病院を持っているところは医療もあるわけなんでございますけれども,教育・研究,あるいは医療への責任をやっぱり十分果たす,そのことのためにガバナンスの強化を図るということが,私はやっぱり極めて重要ではないかと思います。
 これは座長はじめ皆様,本当に真摯,誠実に議論しておられるので,私はそれに対してどうというわけではないんですけれども,やはり私立学校,学校法人のあるべき姿ということについて,何らかの形で入れていただけないかと思いまして,ちょっと長くなりますけれども,意見を申し上げる期限は過ぎていたんですけれども,今朝になりまして,私は,1ページ目の前文の下から2行目のところから,「学校法人ガバナンス体制を再構築し、教育・研究という特性の下で他の公益法人と同等の」というところを,「学校法人ガバナンス体制を再構築し、教学の責任を十分に果たし得るガバナンス機能を発揮できる体制」というふうに変えていただけないかと,事務局にメールでお送りしました。
 遅れてしまって申し訳ございませんでしたけれども,細かいですが,いつもだったら送っていただいている私のメールアドレスに今回は来ておりませんで,そんなこともありまして,遅れたことに対する弁解に聞こえるかもしれませんけれども,遅れたということを御理解いただければと思います。
 今申し上げたように,「学校法人ガバナンス体制を再構築し、教学の責任を十分に果たし得るガバナンス機能を発揮できる体制を整備されんことを要望する」というふうにしていただけないか。ぎりぎりのところで誠に申し訳ございませんけれども,こういうやっぱり正面切った学校法人に対する,ある意味経営のガバナンスを超えた大きなメッセージというのはどこかに必要なのではないかというふうに思う次第でございます。
【増田座長】
 そうすると,先ほど事務局からいただいたのとちょっと変わったのかな。「教育・研究の」までは一緒で,「責任を十分に果たし得る」というのをいただいたんだけど,そこのところは変えて,「教学の責任を十分に果たし得るガバナンス機能を発揮できる体制」と,こういうことですよね。
【安西委員】
 そういうことであります。
【増田座長】
 「教育・研究」というのは取るわけですね。
【安西委員】
 教学が,「教育・研究の」でも結構ですけれども。
【増田座長】
 教学というと何となく,中の人は非常に分かると思うんですけれども,外の人に分かりやすいと思って「教学など」としたんですけれども,よろしいでしょうか。
【安西委員】
 大変細かいですけれども,特に大学関係者としては,医学部病院を持つところについては医療も入っていますので,そのあたり非常に細かいですけど,一応ちょっとコメントをさせていただきました。「教育・研究」だけだと医療が抜けるということがございます。
【増田座長】
 教学だと入るわけですか。
【安西委員】
 教学でも,ごめんなさい,ちょっとそのあたりの用語の使い方は,私は。むしろ文部科学省に聞いたほうがいいと思います。
【野村委員】
 私は,安西先生の御発言,非常に重要だと思っております。といいますのは,今回の報告書が出ますと,いわゆる教学側,私もここ30年ずっとそちら側にいるわけなんですけれども,どういう反応が出るかといいますと,1つは経営が強化されることによって,自分たちの研究・教育というものに対して介入が強まるんじゃないかという,非常に強い懸念を持つ人たちが多いわけなんです。ガバナンス強化というと何となくそういうイメージが強くて,自分たちに対する攻撃が始まるということで強く反発する人たちが出てきます。でもしかし,ここで議論したときに何度も私が例として挙げましたように,本来ガバナンスの問題として考えなければいけないのは,理事長が自分のリタイアした友達が,リタイア後に大学の先生でもやってみたいんだけれどもと言ったら,平気で教授会の決議を飛び越えて採用してやるよというようなことができるような学校というのが,これが教学を汚しているということでありまして,本来の教育・研究というのを正しく実現できるような形で,そういった学校運営を健全化させていく。つまり,教学の人たちの味方として,このガバナンス改革はあるんだということはちゃんと明確にしたほうが,無用な反発を招くことにはならないのではないかなというふうに思います。
 そこはやっぱり今回のガバナンス改革は,箱,立派な建物をつくることを一生懸命やっていても,何のために立派な建物をつくるかといえば,そこで暮らす人間が安心安全で豊かな暮らしができるためにあるんだということが書かれていないと,堅牢で地震に強い建物をつくりましょうだけだと,中に暮らしている人たちはそんなものは要らないと言う人たちも出てきてしまう可能性があるので,やはり,学生に対する,学生の教育の充実ですね。さらには先生方の研究・教育というものが不当な介入を受けることなく,しっかりと実現されていくための堅牢な枠組みをつくるんだということを明確にすることはとても重要なことではないかなと思いますので,ぜひそういう趣旨で書き込んでいただければと思います。
 それとちょっと発言機会をいただきましたので,1点お話しさせていただきますと,この間既にいろんな報道等も出ておりまして,あるいは私学連盟の動きなどもいろいろと見えてきていますが,反対している人たちの論点の中に,評議員会に,外部の者だけで運営するという仕組みが出てくると混乱するんじゃないかということが攻撃材料になっていて,そこの部分が結局私たちの改革を否定するロジックとして,もう既にひとり歩きしているという状況があるかと思います。これに対して,この報告書の中で明確に,それは杞憂であるということをしっかりと書き込まないと,この改革は実現できないんじゃないかなということをちょっと思っているところがありまして,どのような形で,むしろ喧嘩するというよりは,言わばガバナンス改革の本質に理解を深めていただいて,そしてみんなが味方となって,なるべくそうだよねと思っていただけるような書き込みができているのかどうか,最終的にチェックしていただければというふうに思います。
【久保利委員】
 また折衷案というか,修正案の修正で申し訳ないんですが,私,本当に安西先生おっしゃっている意味はよく分かるんですが,残念ながら教学という言葉は,必ずしも一般化されていないのではないかと。そこで,例えば「教育・研究等」とやって,「等」で医療も入れて,その後に「等を実践する責任を十分に発揮し得る」というふうにいうと,実践というと,例えば病院なら病院。ただし病院だけに限らなくて,様々な研究を利用して新しいものをつくったりする,大学が始める起業とかいろんなものもあるわけなので,そこで「教育・研究等を実践する責任を十分に発揮し得る体制を整備されることを要望するものである」というふうにまとめると,教育・研究だけではないということを入れた上で,これを実践していくんだということを入れて,その責任を十分に発揮し得るという安西先生のお言葉を頂戴をして,これでまとめると,多分大体概括的には皆さんのおっしゃっていることが全部入るかなというふうに思ったんですけれども,御検討いただけないでしょうか。
【増田座長】
 そうしますと,「体制を再構築し,教育・研究等を実践し得る責任を十分に果たし得る」……。
【久保利委員】
 「体制を整備されること」。
【増田座長】
 ガバナンス機能のところは取っちゃうんですか。
【久保利委員】
 ガバナンス機能のところはもう何遍も。まさに「学校法人ガバナンス体制を再構築し」というふうにいって,早期に強固かつ実効性のある」。もし必要であれば,ここに「公益法人と同様のガバナンス機能」というのを入れてもいいんですが,くどいかなと。
【増田座長】
 そうですね。大分すっきりしますね。「再構築し,教育・研究等を実践する責任を十分果たし得る体制を整備されることを」。
【久保利委員】
 あるいは,「実践すべき」といってもいいですが。
【安西委員】
 用語一つ一つを始めるとちょっと切りがないと思いますが,文科省に今朝お送りしたのは,「教育・研究の責任を十分果たす」,「十分に果たし得る」と,こういうような文章になっていました。実践を入れても結構ですけれども,下手をすると,実践は当然やっているというふうに受け取られる可能性はあるかなと。どこの学校法人でも,研究は大学ですけれども,教育・研究の実践をやっているわけですね。それをやっぱり,教育・研究等全部詰め込んで,本当にしっかりきちっとやってもらいたいということが趣旨でございますので。
【久保利委員】
 それで先生,病院もこだわられたんで。
【安西委員】
 病院は「等」で,「教育・研究等」で。
【久保利委員】
 じゃあ「等」で「実践」カットしちゃっていいですか。
【安西委員】
 はい。
【増田座長】
 じゃあ元に戻すと,「学校法人ガバナンス体制を再構築し、教育・研究等の責任を十分に果たし得る」。
【安西委員】
 案をもう一度申し上げますと,「学校法人ガバナンス体制を再構築し、教育・研究の責任を十分に果たし得るガバナンス機能を発揮できる体制を整備されることを要望するものである」。
【増田座長】
 それでいいですか。
【久保利委員】
 それでいいです,私も。
【増田座長】
 言葉がよく分からないと。
【久保利委員】
 「等」だけの話です。
【増田座長】
 事務方,何度も修正しましたけれども。
【滝波課長】
 分かりました。
【野村委員】
 すみません,最終的には「等」の字が入っているのかどうかというのがちょっと気になったんですが。私は医療もすごく大事だと思っていまして,かつて腹腔鏡の手術でたくさん死亡事例を出してしまった大学というのは,やっぱり大学病院特定機能病院の話なんですけど,あれはみんな大学病院ですが,大学のガバナンスの悪影響がその技術の過剰手術に至っていたというまとめになって,最後は大学の学長の選挙の話まで議論した上でガバナンス改革やっているんです。ですから,やっぱり医療が正しく行われるということも,大学のガバナンスの影響を強く受けますので,やはり「等」の字の中に医療も入るというような意味合いで,「研究・教育等」にしておいていただければありがたいなというふうに思います。
【安西委員】
 私も,医療という言葉がしっかり入ったほうが,ガバナンスという意味ではいいんじゃないかと思いますけれども。本当は「教育・研究・医療」という。ちょっと振れて申し訳ないですけど。
【戸張委員】
 医療の重要性は十分分かるのですけど,あくまでも幼稚園から大学までのことなので,そこにこだわると趣旨がちょっとぼけているような気がするので,「等」なら「等」の中に入っているというので十分かなと思いますけど。
【増田座長】
 確かに切りがないですけれども。もともと全部書き込みたいけれども,ちょっと無理ですよね。
【安西委員】
 私は野村委員の言われたように,ガバナンスが効いてなかった例というのはかなりあるんですね。ただ,ここは皆様の御意見で,「教育・研究等」のほうがいいんだと言われれば,それは「等」の中に入れてもいいかなとは思います。ちょっと振れて悪いですけれども。
【久保利委員】
 すみません,1点だけ。私も「等」にしていただきたいと思います。それから,医療が大事なのは分かるんですけれども,これから10兆円のファンドが大学に入るわけです。そのファンドを使って新しい起業をしようとかそういう話になってくると,これは医療とは限らないわけで,そういう意味でさっき実践と申し上げたんですけれども,これも実践が引っ込めますので,むしろ「等」で,医療であろうと,経営,新しい会社をつくる,そういう創業,あるいは発明,そういうものであろうと,それをまた実施して工業化していくということも含めて,全部ガバナンスがしっかりしないと駄目なんですよという意味で,「等」に盛り込んでいかがでしょうか。
【増田座長】
 じゃあ,そういうことでいかがでしょうか。「等」ということを入れて,先ほど安西先生言われたように入れるということでよろしいですね。

 (「異議なし」の声あり)

【松本委員】
 先ほど野村委員がおっしゃられた,今,メディアで評議員に外部の人ばかり入れることに対する批判,ここが中心になっている。これが杞憂であるということを伝えるというのが,先ほど野村委員から御指摘ありました。これについては,私も全部批判がそこに集中しているので,この4ページの「評議員・評議委員会」の第1パラグラフのところに一言,監督する側と監督される側がごっちゃの組織というのはあり得ないというのを,何かスマートな形で入れ込むというのがいいのではないかということを考えています。
【増田座長】
 4ページのどこですか。
【松本委員】
 「2.評議員・評議員会」のところで,「現行の学校法人における評議員会は」というパラグラフの中に,「理事による業務執行の監督機能を強化するため、評議員会を最高監督、議決機関と定めることとする」,この後です。「現行の学校法人では評議員を理事が兼務する例が多く見られるが,監督機能の実効性を担保するため,現役の理事、監事及び使用人(教職員)との兼任は認めず,その選任も理事又は理事会において行うことを認めないものとする」と,こういうふうにさらっと書いているので,ここに監督機能の実効性を担保するというのをもう少し丁寧に書いていくということで,多くの人たちの御懸念が杞憂であるということを伝えることができるのではないかと考えます。
 例えば,「理事が兼務する例が多く見られる。これはやはり監督する側と監督される側が兼務することは,ガバナンスの鉄則」,何ていうんだろうな,ここがちょっと。監督する側と監督される側が同じ組織にいるというのは,ガバナンスの分立という建前上,ふさわしくないというような言葉にしたらどうかと。ちょっとこなれてないんですが。
【増田座長】
 なかなか難しいですね。
【酒井委員】
 今の御意見は,よく趣旨は分かるんですが,結局は監督機能の実効性の担保というところに全部収れんする話であって,同じ組織でやるのは非常に問題だということになってしまうと,会社法の立てつけですと,監査委員は取締役ですので,監査委員が取締役としてのパフォーマンスも監査するということで,自己監査をするんです。ですから,若干そこまで書いてしまうと,じゃあ会社はどうなんだというような話にもなるので,ここはやっぱり実効性の担保というところでいいのかなという感じがします。
【野村委員】
 私も酒井委員と同じ意見です。「実効性を確保するために」で言い尽くされていると思っていますが,むしろ書かなきゃいけないのは,評議員にも善管注意義務が負わされていて,それでいいかげんな監督を行うことに対しては責任も発生するし,場合によっては文科省のほうから交代を求められるという,そういう装置があるということをちゃんと書いたほうがいいんじゃないかなと思うんです。つまり,株主総会と同じような感じで,株主総会みたいなものが勝手に独断でいろんなことを決めていくという,そういう形だと,株主は結構無責任なんですね。別に責任を負っているわけじゃなくて,株価下がったら自分で損をするという仕組み,メカニズムですけど,この方々はやっぱり善管注意義務を負って監督をしてもらうという仕組みなので,外部だからといっていいかげんなことはできないということもちゃんとセットしているんだということは,明らかにしておいたほうがいいんじゃないかなというような気がします。
【久保利委員】
 僕も野村先生の考え方でよいと思うんですが,あえて付け加えるならば,現役の理事,監事及び使用人との兼任を認めないというのはなぜかというと,彼らが執行者だからなんです。「業務執行者たる」というのを「現役」の前に入れたらば,「監督機能の実効性担保のために、執行者たる現役の理事、監事及び使用人との兼任は認めない」ということだとすると,利益相反関係にあるとまで言わなくても,読む人は読めば分かるんじゃないかなと思うんですが,甘いでしょうか。
【増田座長】
 「現役」の前に「執行者たる」という。要するに,その前のところにいろいろ執行と監督は別と書いてあります。
【久保利委員】
 分かれろといっています。
【増田座長】
 前のほうにね。そういう意味で,「執行者たる」を入れたらどうか。これ,どうですかね。非常にシンプルですけれども。できるだけ今回つくるのは,シンプルにすっきりする形で書いています,分かりやすく。だから,できるだけあまり冗長にしたくないんですよね。だから,そういう意味ではすっきりした形のほうが分かりやすいというのはありますけれども。
【久保利委員】
 じゃあ野村先生,どういうふうにやったら,先ほどおっしゃったような反対する方々の反対を覆すことができる一番いい文章なのか,ちょっと文案を考えてくれませんか。
【野村委員】
 私は久保利先生の意見の最初の,「執行者である」というのを入れるのは,当然私などはそういうふうに行間を読んでいますので,当然そういうふうに思っていたんですけれども,あえてそこをちゃんとはっきり明記すれば,執行している人が監督するのはおかしいという,先ほどの松本委員のお話がそのままクリアになるので,私は文案としては,久保利先生の案で結構です。
 それに加えて,評議員も,経営に対して,監督に対して善管注意義務を負うことにより,相応の責任を負うという体制だということをちょっと付記していただくという形かなと思っております。
【増田座長】
 4ページですね。「執行者たる現役の理事、監事及び使用人との兼任は認めず」というのを入れて,評議員の善管注意義務を入れるということ,最後のところに付け加える。
【八田委員】
 先ほど久保利先生がおっしゃって,それは言葉がちょっときついかなというふうにおっしゃった利益相反という話があります。今の執行云々のところを,例えば利益相反を引き起こす現役の理事,監事とか,あるいは引き起こすおそれのあるというか,つまりこれははっきり分けないと駄目ですよと。そうするとやっぱり今,執行に関わっている方々は無理ですよねと明らかになるわけですよね。どうも論調は,今日の新聞にも載っていましたけれども,何しろ外部の人だけで固めているということで,大学のこれまでの歴史や個性を尊重できないだろうし,逆に経営的な目だけで教育を無視するんじゃないかという,非常にうがった見方の話をされています。したがって,評議員になる方は,実はその学校の本来のミッション,使命をちゃんと熟知した適格者がなるんだよというようなことは本当はどこかに触れたいんでしょうけど,法律条文にはそういうのは書かないですから。この表現など,少し修飾的な言葉を入れてはいかがかと。「執行者たる」でもいいですけれども。
【酒井委員】
 ちょっと八田先生の前の修文意見がちょっと分からなかったんですが,「執行をやる現役の理事、幹事、使用人」というような,「執行」というのを入れるという提案でしたよね。
【久保利委員】
 私が言ったのはそうです。
【増田座長】
 「執行者たる」です。
【酒井委員】
 それはそれでいいんですけど,多分監事って執行ではないですし,法的にいうと使用人というのはおそらく執行補助者になってしまうので,やっぱり執行を行う監事となっちゃうとおかしくて,そこでまた執行を行う理事で,監督を行う監事,それから執行補助者の使用人なんてやると,また何かすごい状況な感じがするのかなという感じがしました。
 それから,利益相反というのは定型的な話なので,それを入れたからといって,先ほどの野村委員の言われた懸念ですかね,批判に対する懸念が解消されるかというと,あんまりそうでもないのかなという感じがしまして,そうであれば,やはり野村委員が言われたように,評議員の善管注意義務という,こちらのほうでしっかりと書き換えたほうがいいような気がします。
【増田座長】
 それでは,評議員のところの責任のところに書きますかね。「評議員は」ということを書きます?責任を。善管注意義務を。どこかに書いてある?
【松本委員】
 書いています。6ページの「義務、責任」のところに入っています。
【増田座長】
 入っているのか。そうですね。「法人とは委任関係であり、善管注意義務を負う」。だから,先ほどの話というのは,どちらかというと外部の評議員がたくさんなっちゃって,全然分からないような経営をするんじゃないのということは全然関係ないんじゃないですか。違うのかな。いかがですかね。ここのところはちょっと別なことを。ですよね。
 これはどちらかというと,評議員を選定するための諮問委員会を設置すると5ページであるけど,そこの意見のところに書いたほうがいいのかな。「評議員を選定するための諮問委員会を設置することが望ましい(選任・解任の透明性を担保するため)」,ここに「多様な人材を」とか何か,そんなの要りますかね。
【松本委員】
 必ずしも野村委員の御発言を代弁しているわけではないのですが,後の6ページのところに責任で,善管注意義務というのがあって,4ページの総合前文のような形のところに善管注意義務,評議員は善管注意義務を負っていて,勝手なことはできないようになっていますよというのが一言触れられていれば,もちろん後にきちんと書いてあるんですが,ここに書き込むことでもう少し,同じなんですけど,後ろに書いてあるか前に書いてあるか,プラス前にも書いてあるかということではありますが,「兼任は認めず、その選任も理事又は理事会によって行うことを認めないものとする」の後に,「評議員会は善管注意を負い」何とかというふうに書くというのもあるのかもしれません。
【増田座長】
 ここのところはどうなっているのかな。「執行者たる」というのと「利益相反を引き起こす」,どっちにするんでしたっけ。これは書かなくていいということになったんだっけ。
【松本委員】
 これは書かなくていいと。
【増田座長】
 書かなくていいという結論でしたっけ。結局話が行ったり来たりになってしまったけど。
【野村委員】
 例えばなんですけど,今,松本委員のほうからお話がありましたように,善管注意義務を後に書いてあることは十分承知しているんですけれども,結局いいかげんな外部の人が全部何も分からないで決めていくなんていうのは愚の骨頂だという,こういう論調だと思いますので,例えば,「その一方で評議員については善管注意義務を明確化することによって、その任に適する人材が確保されることが求められる」とかみたいな,何かそんな文章が頭書きのところに書いてあると,当然善管注意義務を負う覚悟で来る人じゃないとなれませんし,それから,やる業務も不適切なことをやれば,自分が責任を負うということになるんだということがちゃんと書かれていれば,外部のいいかげんな人が適当なことを決めるというロジックにはならないんじゃないかなというふうに思いますので,何かそんな文章を入れていただくとありがたいなというふうに思います。
【増田座長】
 野村先生,早口だからよく分からなかったんだけど。今の文章,どこに入れたらいいですか。
【八田委員】
 先ほど冒頭,松本さんがおっしゃったように,この改革会議で提案している評議員会は,これまでの評議員会とは全く違うわけですよね。そこをまず十分に理解されてないと。そして,新たな役割と権限と義務を負うんだと。それはガバナンスという議論からいくと,当然未来指向というか当たり前の話なんですけれども,旧来とあまりにも違い過ぎるから,ギャップにやはり戸惑っているところが多いと思います。
 そこで,先ほどの4ページの文書ですけど,1行,2行入れるとして,先ほど,第1パラグラフは「認めないものとする」と。この後,「新たな役割を担う評議員については、本来の学校法人の使命や役割を尊重した上で,善管注意義務等それに見合う責任を負うべきである」と。あるいは「負うものとする」とか。ちゃんと,不用意にやっているわけじゃないですよというのが入ったらいかがでしょうかという提案です。
 「新たな役割を担う評議員については、本来の学校法人の使命、役割を尊重した上で、善管注意義務等それに見合う責任を負うべきである」。あるいは「負うものとする」とか。大体「べき」になっているので。「負うものとする」。
【野村委員】
 ここで文章追加しちゃって恐縮なんですけれども,今の前半部分ずっと私はアグリーなんですが,「善管注意義務を負うものとする」じゃなくて,「善管注意義務を明確化することによって、その任に適する人材が確保され、適切な監督が行われることが求められる」というのでは駄目ですか。
 善管注意義務のところまでは八田先生のところと一緒ですけれども,「善管注意義務を明確化することによって、その任に適する人材が確保され、適切な監督が行われることが求められる」。といいますのは,論点となっているのは,いいかげんな人がいいかげんな発言をするということになるでしょうという。だから,それに応えなきゃいけませんので,適切な人が選ばれて適切な監督をしないと,責任を負うことになるんですよということが書かれていることが必要かなと思いまして,ちょっとそのように提案させていただきました。
 あるいは,もしあれでしたら,「善管注意義務を負うべきである。それによって、その任に適する人材が確保され、適切な監督が行われることが求められる」という2文に分けていただいても大丈夫です。
【久保利委員】
 なかなかここで口頭で空中戦やっていてもよく分からないんだけれども,基本的に今みたいに,野村先生みたいな書き方をすると,逆に,だったら現教員だって適材適所の人はいるでしょうという議論をまたどうせ蒸し返してくるから,そういう意見の人に対してここで少々丁寧な書き方をしても,あんまり反対論が賛成論に変わるということは期待できないのかなと,今の議論を聞きながら思ったんですけれども。もうすっきり座長の言うように,簡単明快に言っちゃったほうが。あとはよく読んでくれということでいいのかなという気も実はしてきました。要するに,丁寧に書けば書くほどそこのあら探しというか,それに対する反対論というのはやっぱり出てくるんだろうなと。
 それは何でそう言うかというと,昔,社外取締役を入れろといったときに,会社の業務のやり方も分からないで,何でどんな人物が適切かなんて言えるんだと。社長に誰をしていいかなんてサクセッションプランがつくれるわけないでしょうという議論が物すごくあったわけです。多分今回もそういう考え方でみんな反対していらっしゃるんで,もうそういう時代じゃないとしか,実は言いようがないのかもしれない。要するに,理屈をいろいろ言い合ってみても,どっちも何だか決め手がないような感じはするんですけど。
【酒井委員】
 ありがとうございます。八田委員の修文の御意見の,「本来の学校法人の使命を尊重した上で」という部分については,我々が議論しているのは私立学校法だけど,国立も学校法人であって,学校法人の使命というのは僕らはあんまり議論したことがない上に,私学法を見ても,第1条の目的にも学校法人の使命というのが書かれてなくて,ですから,ここでいきなり学校法人の使命といって,そこでじゃあ何をおまえら考えているんだと言われかねないので,ここはやっぱりやめておいたほうがいいと思います。
【野村委員】
 私はやっぱり善管注意義務を負うということは,非常に大切な今回の枠組みだと思いますので,これは会社法とかの議論とのアナロジーになりませんので,とにかく無責任だと言われている人に,みんなそう思い込んでいるんです。評議員は無責任だって思っていますけど,無責任では成り立たないということだけは必ずメンションしておかないと,これはほかに類例を見ない法制なので,やっぱりはっきり書いておいたほうがいいんじゃないかなとは思います。
【酒井委員】
 私,酒井もその点は賛成です。
【増田座長】
 それはどこに入れたらいいんですか。後に,評議員の善管注意義務について,さっきの文章入れるのかな。
【八田委員】
 実は本来の学校法人って,大上段にかぶったことを描いたわけじゃなくて,最初は当該と思ったんですね,自分が任命される。個々の学校法人,創設の意図,趣旨,あるいはミッションが変わりますので,それをちゃんと尊重したということを言いたかったんで,ちょっと「本来の」と言ってしまったために,一部誤解を招いていますけれども。ただ,全部なくせというならそれでも構いませんが。
【増田座長】
 法定化するんじゃなくて,今のできるだけ理解を得るという意味で入れるということなんですね。そういう趣旨ですよね。
【野村委員】
 確かに動機はそうなんですけれども,この報告書において,やっぱり普通にざっと読むと,四角の括弧書きの中に,「善管注意義務を負う」と書いてあるだけですよね。それが読み切れない人のために前文というのがやっぱりあるわけで,考え方として,今回の評議員というのは,本当に重い責任を持って学校経営に関与してくる人なんですというふうにお伝えしないと,これまでと同じような,名誉を得るために,名誉職で来るような人たちに,いいかげんな学校経営についてああだこうだ言わせるというのはおかしいという議論で終わってしまいますので,やっぱりこれ,責任のある形で,今度は評議員になっていただいて,しっかりと責任を負って果たしていっていただく方にやってもらうんだということを強調しないと伝わらないんじゃないかなという趣旨です。これは批判がなくても書くべきではないかなというふうに思います。それから,他の法制にないので,やっぱりここはちゃんと書いておいたほうがいいんじゃないかなというのが趣旨です。
 もう一度だけ,くどいようですけれども,私の最初の案をもう一度だけ言わせていただけるのであれば,3番目のパラグラフに,「その一方で」というのは,「一方」というのは今まで評議員の資格の話,分離の話を書いていましたので,「その一方で、評議員については、善管注意義務を明確化することによって、その任に適する人材が確保され、適切な監督が行われることが求められる」ということを一応書きました。
【増田座長】
 それでは3パラグラフ?今のところの2のところの,「認めないものとする」の後ですか。それとも一番最後に加えるのかな。どちらですか。
【野村委員】
 2ポツの第1パラグラフの最後の文章です。「認めないものとする」の後です。
 「その一方で、評議員については、善管注意義務を明確化することによって、その任に適する人材が確保され、適切な監督が行われることが求められる」。
【滝波課長】
 事務局でございます。そうしましたら,今の点は4ページの2ポツ,評議員・評議員会のところの第1パラグラフの最後のところ,「認めないものとする。」の後ろに文章を追記していくということだったかと思います。追記する文章ですけれども,「その一方で、評議員については、善管注意義務を明確化することによって、その任に適する人材の確保により、適切な監督が行われることが求められる。」という文章が追記されるということでよろしかったでしょうか。
【野村委員】
 私が述べた文章を,今言っていただきましたとすれば,内容が違いましたが。
【増田座長】
 そういう文章を入れるということでいいですかね。ここは法制化するところではないんですよね。前文のところなんで,要するにできるだけ納得感というか,分かっていただくということのために入れる文章なんですね。だから,そういう意味で,皆さんがよければここに,野村先生からいただいた文章をまた見せていただいて,よければそういうふうにしたいと思うんですけど。
 野村先生,それではメールでも何か送ってもらって宜しいでしょうか。
【野村委員】
 ここでの発言の趣旨を超えない範囲で,きちっとした文書でつくっていただければと思います。
【増田座長】
 できるだけ納得感のあるようなものが入っていますと助かりますので。
【安西委員】
 4ページの2の「評議員・評議員会」の文章の5番目のところです。「使用人(教職員)」と書いてあるんですけれども,使用人という用語は,学校法人,特に私立大学の教員にはなかなか通用しない言葉であります。この使用人という言葉の根拠を何らかの形で記しておいていただかないと,相当誤解を生む可能性があるというふうに思います。
 ちょっと時間がない中で申し訳ありませんけれども,私は,評議員会に教職員がメンバーになれないということに対して,やっぱりなかなか納得できないところがある。もういいんですけれども,納得できないところがあり続けていた。その本当の理由は恐らく,特に近代の私立大学の原点というのが,むしろ組合的な構造でできてきているというところにあるんじゃないかと。やはり教員とか学生とかが,自由に参加してつくられてきたものが大学だという考え方があったわけです。このことと,私立学校法とかの法律を根拠にしたガバナンス改革ということの,やはりある意味精神的なギャップというんでしょうか,そこのところは一応申し上げておきたいというふうに思いますので,使用人という言葉については,御注意いただければありがたい。何らかの根拠を示していただいたほうがいいのではないかと思います。
 それとついでに申し上げますけれども,評議員会に学内の教育・研究の情報がしっかり伝わってほしいんです。そのことがなかなかこの報告書では明文化されておりませんで,それはもちろんそれぞれの学校法人が自分たちでしっかりやることだと思うんですけれども,そのことについて,例えば,5ページの一番最後の「その他の意見、方針は以下のとおりである」というところに,「評議員会に当該学校法人の教育・研究の情報を十分に伝える機能が必要である」とか何とか,そういったことを書き込んでいただくのも1つのやり方かというふうに思います。今の段階で申し訳ありませんけれども,今申し上げた点は,やはり特に私立大学の関係者の考え方としては,大本の考え方としてあるのではないかと思いますので,一応提案させていただきます。
【増田座長】
 そうすると,今のお話の第1点目は,「使用人」という言葉は使っていいわけですか。「教職員」とか名前を変えたらいいですか。そういう趣旨ではない?1点目は。最初の「使用人」というところ。
【安西委員】
 「使用人」,これは結構だと思うんですけれども,ある意味で会社とか,雇用関係からいえばそのとおりなんですね。おっしゃるとおりなんですけれども,特に私立大学関係者,特に私立大学教員にとってはあまり慣れていない言葉だということであります。ですから,使用人という感覚がないので,大学の教員には。そこのところは御留意いただいたほうがいいということでございます。
【松本委員】
 御指摘ありがとうございます。「使用人」という言葉を削除するということを提案したいです。私学法の中に「使用人」という言葉が出てこないんです。これは国立大学法人法でも当然出てきてなくて,学校教育法にも出てきてない言葉なので,5ページの「選任・解任、適格基準」の中には「使用人」という言葉は使ってないんです,枠の中に。「現役の理事や教職員との兼任が認めない」となっていて,この前文のところだけ「使用人」という言葉が残ってしまったので,使用人という言葉を削除し,「監事及び教職員との兼任を認めず」というふうにしたほうが。
【増田座長】
 「使用人」を取っちゃってね。
【松本委員】
 はい。
【増田座長】
 そう思ったんだけど,それでいいんですかね。私はそう思ったんだけど,「教職員」でいいのか。そのほうがすっきりしますよね。
【安西委員】
 お任せしますけど,御留意いただいたほうがいいということです。雇用関係における使用人って。
【増田座長】
 やっぱり我々はそう思って,雇用関係で考えちゃうから「使用人」と言うんですけど。気になるようなら。
【酒井委員】
 全部見て,見直していただけたらと思いますが,私もざっと見ると,7ページの4の「監事」のところにも「使用人」という言葉が使われていますので,もしこれをやめるということであれば,よくチェックして「使用人」が出てこないようにしていただくのがいいと思います。
【増田座長】
 では,もうちょっとここのところは,「使用人」が「監事」のところは何回も出てきますね。「使用人についても同様とする」とか。
【安西委員】
 ただ,申し訳ありません。教職員が評議員会のメンバーにならないということの根拠は,やはり雇用関係において使用人だからなんですよね,これは。
【増田座長】
 そうです。
【安西委員】
 ですから,「使用人」という言葉を外してしまうと,むしろ分かりにくくなるかもしれないなと。いろいろ自分で言うのも申し訳ありませんけれども。
【増田座長】
 そうすると今のは,「使用人」という言葉を括弧書きつけますか。「教職員(使用人)」って。たくさん意見が出ています。順番はどうなっているんだっけ。ちょっと分からないな。
【安西委員】
 さっき野村委員も言われていましたけど,明確にしておいていただかないと,いろんな誤解を生む可能性があるということであります。
【増田座長】
 やっぱりそれじゃ,「使用人」ということはしようがないのかな。教職員で。
【西村委員】
 今の「使用人」の文言のところについて,安西先生がおっしゃられたところで、学内の教育・研究の情報がしっかり伝わってほしいという点,5ページのその他の意見のところでも書き込んではどうかという御意見でした。私もメールで出させていただいて,座長にも反映のところで説明され,ガバナンス・コードでの対応はどうかという,先ほどの御説明がありました。ここも重要な点なので,その他の意見の中であってもしっかり明記したほうがいいと思います。
 組織内の課題や方針などについては学内の教員や職員から情報を得ることがないと難しいと思います。外部の評議員の方々はそうした情報を把握して,判断していただくという形が取れていけば、ガバナンスが機能する予想されます。ガバナンス・コードだけでは、ここの表には記載が出てこなくなってしまうので,その他の意見というところにでも書き込んでいただくのがいいのではないかと思います。
【増田座長】
 西村委員,私は選定事由とかそういうところにそういったものが入ってくると思っていまして,情報の非対称性の話とか。だから,もし西村委員として,ここにどういう文章を入れたらいいか,ちょっと提案していただけるとありがたいんですけど。どういう文章を入れればそれが明確になるか。そういうふうにしないと,ちょっと時間がどんどんたっていっちゃうんで。アイデアは確かに分かるんだけど,私はそういうつもりで申し上げたので。
【西村委員】
 「学内の教育・研究の情報を把握するというような仕組みを置くことが望ましい」などが考えられます。「学内の教育や研究の情報を」,「教職員から」と書いていいのかこの会議の合意があるのかわかりませんが,実態としては現場との協力関係も必要になるとは思います。「学内の教育・研究の情報を把握するために」。
【増田座長】
 そういう意味で書いているんですけど,ここのところはね。
【西村委員】
 諮問委員会とまた違うのかなと思います。この文章に入ってくるということでしたら,ここの中に文章を追加するとよいでしょうか。。
【増田座長】
 非常にいろんなことを入れなくちゃいけなくなっちゃうから。趣旨はよく分かるんです。
【西村委員】
 文案として、諮問とされていますが、とたとえば、「理事の選任や学内の教育・研究の情報を把握する」などではどうでしょうか。諮問委員会という名前でいいのかも検討が必要になりそうです。
【野村委員】
 一旦ちょっと手を下げさせていただいたのは,西村委員と同じ意見で,やはり何らかの形でちゃんと教学の意見が反映できる仕組みというのは必要かなと思ったんですが,教学側のほうから反映させるというよりは,評議員会は学内の情報を十分に踏まえた上で判断するということが確保できるような仕組みになっていることが必要かなと思いますので,ちょっと文案の話になりましたので,一旦手を下ろさせていただいて,今ちょっと思案中だったということです。
 それと余計ですが,「使用人」は平成17年に会社法改正するときには,まだ番頭とか手代とかという言葉もあったんですが,これを排除するときに使用人もやめようという声になっていたんですが,ちょっと実務上,使用人という言葉がいろんな契約書とかいろんなところに残っているので,しようがなく残しているだけの言葉ですので,あまりこれにこだわる必要はないかなと。表現としてはあまり望ましい表現ではないので,そこは表書きで,「教職員」でいいんじゃないかなと思います。
【八田委員】
 西村委員のおっしゃったこともそのとおりだと,私も大学にいて思うんですけれども,そういった大きな議論が,結局,情報と伝達ということで内部統制の大きなくくりの中で入ってきて,大学とか教育機関,そこにおける体制づくりがどうあるのかということで収れんしていくと思います。したがって,やはり内部統制の構成要素とか,あるいは手続のところで,それを政省令で書くのか,それともガバナンス・コードに持ってくるのか分かりませんけど,それはそこで担保できると思いますので,あえてその他の意見のところに特書きする必要はないと思います。
【酒井委員】
 私も書かなくてもいいのかなと思いますが,もし私学側の懸念として,外部の人でできるのかという懸念があるのであれば,やはり評議員がそういった情報を得られるという仕組みがありますよということを書いておくことは有意義なのかなという感じがします。
 書き方については,ちょっと諮問委員会というお話になりましたが,諮問委員会はそもそも選任のための諮問委員会で,ここで話を聞くということにしちゃうと,今度は諮問委員会に教職員を置かなきゃいけないことになりかねないので,ここに置くのは適切ではなくて,やはり今,野村委員が言われたように,「評議員会は必要に応じて教職員その他の参考人を呼んで意見を聞くことができる」というような一文を,法制事項ではなくて入れるのがいいのかなと思いました。
【増田座長】
 そうすると今の酒井委員の御意見は,「評議員の権限」か何かのところに書くんですかね,今のお話は。
【酒井委員】
 そうですね。「評議員の権限」からの話で,監事の場合は理事会に行って発言ができるという,監事からのものなんですが,教職員のほうにそういった権利まで想定するというのはちょっと難しいので,むしろ評議員の情報収集権限の中で呼んで意見を聞くことができるようなものがいいのかなと思いました。
【増田座長】
 なかなか難しい話ですね,これは。先ほど申し上げたように,情報の非対称性の問題,西村委員から御意見いただいたんだけど,やっぱりこれは一括して考えて,この法案以降の議論の中でやったらいかがでしょうかね。思いはよく分かるんですけど,なかなか適切に書いていくというのは難しいような気もするんですけど。ただ,付け加えていくと,何でもみんな心配になってきますよね。だから,どうしてもこれも入れたらいいんじゃないか,こういうふうにしたらいいんじゃないかとなっていっちゃうんじゃないかと思って。いかがなものでしょうかね。付け加えれば確かにいいんだと思うんですけど,ほかのところも多分そういうのがあると思うんです。
 だから,確かにちゃんとした情報が伝わって,ちゃんと意見が通るような話になればいいけど,ちょっと話自体が混沌としているんで,難しいですね,これ。「意見を聞くことができる」という,これは別に法定しなきゃ駄目ですかね。当然意見を聞くことができる訳で,何も書いてないのですが書かなくちゃいけないですか。
【野村委員】
 一応の法解釈だけなんですけど,できる規定を設けますと,善管注意義務を負っている人がやるべきときにやらないと,善管注意義務違反になりますので,できると書いておくことには,一定の法的意味があるというふうに言われています。
【増田座長】
 じゃああまり書かないほうがいいということですか。
【松本委員】
 今,西村委員から御指摘いただいたことは,「その他の意見、方針は以下のとおりである」という5ページの,権限等について書いてある5ページの四角の下,「その他の意見、方針は以下のとおりである」と,もう一つポツをつけて,「評議員は必要に応じて教職員等の意見を聞くことができる」というふうに,ここに入れたらいかがでしょうか。法定義務ではなくて,「その他の意見、方針」ということでここに書いて。
【増田座長】
 だから,ここに書いてあると,野村委員の意見は,書いてあると,善管注意義務でできるのにやってなかったということになるんじゃないかという話ですよ。そういうことでいいのかということですよね。
【松本委員】
 その上の四角に入れると法定義務になっちゃうというけど,「その他の意見、方針」なので。
【増田座長】
 そういう意味ですか。
【松本委員】
 そうそう。こういう意見が出ましたというふうに書くと。
【野村委員】
 私はむしろ積極的にできると書いておいて,やるべきときにはちゃんと聞くべきというのでもいいんじゃないかなとは思っています。ただ,今日の段階でそこにコンセンサスが,今,委員会で取れているのかというのはちょっと分かりませんので,私としては,むしろ「聞くことができる」と書いておけば,多くの人は,ああ,できると書いてあるだけだなと思うかもしれませんけど,やるべきところはちゃんとやらなきゃいけないということが書かれているというふうに,読む人は読むということだと思います。私はそうあるべきだと思っています。
 というのは,先ほどちょっと安西先生からお話あったんですけれども,教員はみんな職員の人と自分たちは違うと思っているんです。これは本当にそんなふうに思っていること自体がおかしいというのは基本だと私は思いますけれども,私たちは従業員じゃなくて,学校を管理しているんだと思っているんです,教員自体は。最初,もともと本当に私学が,ボローニャ大学ができたときから,大学自体は定住してなくて,みんなグループで自分たちが移住しながら学生たちを教えて歩いていたんです。これが私立の発祥だってみんな分かっているので,結局,協同組合みたいなものだと思っているわけなんですよ,教員の協同組合だって。
 だからそうなると,何で俺たちが経営に関与できないんだってみんな言い始めるので,ちゃんと意見が聴取できて経営に反映できるんですよというのをしておくことは悪いことではないと私は思います。ただ,今日の段階でこんな根本的な問題をみんなで議論して書き込むのはやや難しいかなと思いますので,少し慎重に検討していただければというふう
 に思います。
【久保利委員】
 私も野村先生の意見に賛成です。というのは,5ページの下の「その他の意見」という意味がよく分からないんですけれども。「その他の意見」というのは,メンバーの中にはこんなことを言った人もいたという趣旨の意見なのか。その他のテーマについて,この委員会として衆議一決してこういう意見がありましたという,特に項目立てをしないところの意見と委員会の意見という話なのかよく分からないんです。
 したがって,今の「諮問委員会を設置することが望ましい」というのは,多分そういうここに書いてない諮問委員会という問題については,こう考えましたということだと思うんですが,「一体どういう聴取をすべきかどうかという話」,「教員からいろんな意見を聞く」って,誰を選ぶときに教員の意見を聞くんだろうかと。安西先生おっしゃるような教学をどのように持っていくかというのが評議員会の役割なら確かにそうなんですが,教学についてはノータッチだという話なのですから,そうすると一体,研究業績とか何とかをいろいろ調べて,それを聞いて何に使うんだろうかというのを僕もよく分かってないんです。だからそういう点で,今,野村先生おっしゃるとおり,この後に及んでこれを議論してここに書くのかという話になると,個人的にこんな意見がありましたという少数意見として書くなら別なんですけれども,当委員会としてまとまった意見として言うと,ちょっと時期が遅れているかなという感じが僕はしました。
【増田座長】
 そうですね,確かにそのとおりです。それなりの同意を得ないといけないと思いますので,どういうことについて,何のために評議員として聴取を行うのかということになるから,内容だって把握するためということでやるんだけど,どの様な聴取内容か問題になってくると思いますので,これはちょっと今になって書くのは難しいですよね。合意を得るのに時間がかかってしまうから。そういうことで,それじゃあここは触れないでおいていきたいと思いますけれども。
【酒井委員】
 今,久保利委員が言われたところについてちょっと確認をしておきたいんですけれども,「その他意見、方針は以下のとおりである」ということで,理事の選任に関して諮問委員会を置くことが望ましいこと自体は,どうも皆さん,委員の中でも反対されている方はいないので,コンセンサス的な理解はあるのかなと思っていて。ここはそうじゃなくて,法制化すること以外の話ですよということで,こういう書き方をしているのかなというふうに僕は理解しましていますが,それでいいんでしょうか。
 それから,今言っている教職員の意見を聞くという話は,多分,理事の選任だけではなくて,中期計画,事業計画の策定全てについて効いているという話なのかなというふうに思っていまして,それで評議員会が教職員の話を聞いちゃいけないという人は多分1人もいないので,話を聞くことができるということであれば,恐らく誰も反対する人はいないのであれば,今,西村委員でしょうか,言われたように,ここに「意見を聞くことができる」というぐらいで書き込んでもいいのかなという感じはしました。
【安西委員】
 例えば,キャンパスを移転するというような非常に大きな計画があった場合に,教職員といいますか,教育・研究の当該学校法人の内容をほとんど知らずに,もしキャンパス移転を決めてしまうと,むしろ理事会・評議員会が暴走する可能性があるんじゃないかというのをちょっと危惧しておりまして。ただ,その例だけではないんですけれども,私がさっき提案させていただいたのは,評議員会ができるというよりは,やっぱり「その他の意見、方式は以下のとおりである」というところの1つポチがありますけど,2番目のポチをつくって,「当該学校法人における教育・研究の情報を評議員会に伝える機能が必要である」とか「仕組みを置くことが望ましい」でもいいんですけれども,「その他」のところに入れておいていただいて,それはそれぞれの学校法人がお考えになるということにしたほうが広く取れるのではないかということであります。
【増田座長】
 時間はどんどんたってきましたので,それでは,ここに「評議員は」ですか,今の先生のお言葉は。「評議員会は」ですか。
【安西委員】
 「評議員会」のほうができると,評議員会がそういう権限を持つということになりますと,やはりちょっと偏っているなという感じがするということです。これは久保利委員のおっしゃったことで,「その他の意見、方式」というのはどういう意味で言っているのかというのがちょっと分からないんですけど。
【増田座長】
 法制化するまでもないけど,やっぱりこういうのがあったら望ましいというようなものを,これが意見として出たんで。これは確かに何も分からない人が理事を選んだり何かするというのは困るでしょうとか,そういうのがあったんで,それはできるようにしていたらいいんだし,小委員会みたいなものをつくっておいたほうがいいんじゃないかなということでこれを入れたわけですよね。
【安西委員】
 今の座長のおっしゃる意味であれば,私は「その他」というところに,今の案を入れるというのが望ましいと思います。
【増田座長】
 これも決めないと。だから,「評議員会は学内の教育・研究の情報を伝える機能を置くことが望ましい」とか,そんなあれですかね。
【松本委員】
 主語が学校法人内のほうだと思います。「学内の教育・研究等の情報を把握を、評議員会に伝える仕組み、機能が学内に用意されていることが望ましい」。
【安西委員】
 こういうことになれば,「機能を持つことが望ましい」でも結構ですし,さっき申し上げたのは,「機能は必要である」というふうに申し上げたんですけれども,それが強過ぎるということであれば。
【増田座長】
 決めなきゃいけないので,入れることについて反対の方はおられますか。
【久保利委員】
 そもそも学内の誰が評議員会にそれを伝えるのか,その主語というか,機関はどこの機関がやることになるのか。だから,評議員会のほうでそういうことを聴取することができるというのは,それでもちろん問題ないんですが,それを伝えなきゃいけない義務を負わされる人は教職員なんでしょうか,学長さんなんでしょうか,誰なのか。そこをまだ全然議論をしてないので。だから私としてはむしろ,評議員会は何やったっていいはずなんで,いろんな適切な判断,善管注意義務違反に問われないようにいろんなことをやってよくて,それは当然,学内からアンケートを取ったって,キャンパスを変えますよと。変えるとしたらどこがいいですかというのを何やったっていいはずなんで,それは何やってもいいんだけれども,ちゃんとやっていますかというところが善管注意義務だと思うので。
 したがって,あんまり評議委員会が何をしてもいいとか,いけないとか,望ましいとかと書き過ぎないほうがいいと思うんですよね。ここは理事選任のときに諮問委員会というのが法文上あるわけですから,少なくとも前のほうでは,理事の整備に関して諮問委員会を置くことが望ましいというのが,これもその他の意見としてあるので,これと平仄を合わせるために,評議員の選定のときにも諮問委員会を設置することが望ましいというのが出てきているという意味では,理事の選任,評議員の選定という,非常に大事なテーマについての意見だと思いますが,学内からどんな意見,どんな事情聴取をしなきゃいけないかというのはあまりにも曖昧で広過ぎるので,僕はそれは書かないでおいていいのではないかなと。書くとかえって反作用のほうが大きいかもしれないと思ったので,安西先生がおっしゃるのは全くそのとおりだと僕も思うんですけれども,それをここの報告書に書くかなというのは,やや疑問を持っている次第です。
【安西委員】
 一応私の意見も申し上げますけれども,「その他」のところに書くというのは,理由はそれぞれの学校法人がお決めになればいいという意味であります。つまり,評議員会のほうでそういうことができるようにしても結構ですし,あるいはその他のやり方でも結構だという意味ですので,一応申し上げておければと思います。
【増田座長】
 今言われちゃうと結構大変ですよね。おっしゃることはよく分かるので,私も入れたいんだけど,じゃあどこに入れるか,どういう形で入れるか,結構難しいです。許されるのであれば,法制化するところだけを今日は決めたいと思うのですが。そうしないと報告書は今日出せない。そうすると15日の予備日にまたやるかという話になるんですけど,いかがでしょうか。一応,今日はこういうところは法制化の部分だけ決めさせていただいて,これで終わりだというわけじゃないので。まだこの後,1,2とやって,3番目のところは残っているわけだから。
 ちょっとこれは議論になってしまってなかなか難しいと思うし,大事なことだとは思いますよ。ただ法制化するにしても,まだ時間があるわけだから。ということで,今日はこのまま行かせていただくということで,今までいただいた意見は全部入れましたので,よろしいでしょうか。御意見がいろいろあると思うので申し訳ないですけど,そういうことで決めたいと思いますが。

 (「異議なし」の声あり)

【増田座長】
 それでは,一応法制化の部分は決めて,今言われたようなことも次のガバナンス・コードの抜本改革のところで議論していただいて,そこに織り込んでいくようにしたいと思いますので,そのときおっしゃっていただければと思います。
 それでは,一応そういうことでまとめさせていただきまして,今日の審議の結果,一応先ほどの点を修正しまして,了解いただいたということにしたいと思います。よろしいでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

 <議題2 その他>

【増田座長】
 それでは,一応これで本会議としては,報告を取りまとめることになりますが,2つほどちょっと私のほうで皆さんに申し上げて,お断りしておきたいことがございます。
 1点目は,さきのガバナンス会議の設置資料に従いまして,事務次官に報告ではなくて大臣に直接報告するということになっておりますので,その手配を実は事務局のほうにお願いをしております。これは一応,報告でございます。
 それから2点目は,実は私のほうで司会進行のメモに一応書いてあるんですけれども,この後,取りまとめが終わったところでプレスが入りまして,私の挨拶と次官の挨拶がいただけるわけです。ご挨拶いただきまして,事務局のクローズということになっておるんですが,実はこの報告書につきまして,文科省のほうのホームページで公表するということになっております。そこに事務的にパブリックコメントの手続をさせていただきますというのが載っておりまして,私の理解では,パブリックコメントというのは,国や自治体の規制当局が法律や政省令,規則などの規制ルールを決める際に,広く意見を国民からもらって,そのルールの公正性や透明性の向上を図って,国民の権利の保護を目的とした制度だというふうに思っております。
 私どものガバナンス改革会議は,学校法人のガバナンス体制の抜本改革を提言し,報告する役割であり,文科省のほうで法案化するわけでありまして,規制当局としましては文科省ですので,パブリックコメントを取る立場には我々はないというふうに思っております。もし仮にそのようなことであれば,当会議設置の際に御説明いただくべきことだと思いますし,また,パブコメも取るということになれば,その結果を報告書に反映するかどうかの会議を再開催しなければならないことになり,この場合は報告書は提出できないということになりますので,公表はまだしてもらっては困るということになるかと思います。
 いかがでしょうか。私,座長としましては,パブコメを取ることについては反対です。皆様の御意見を伺いたいと思います。
【久保利委員】
 パブコメの性格というのはよく分からないんですけど,僕の理解しているのは,パブコメというものは,基本的には行政手続法の39条に基づいて,まさに命令,これを制定する機関がやると。我々,これは命令でも何でもないし,我々自身が制定を希望するわけでもなくて,あくまでも大臣に報告書を上げるということなんで,多分39条に基づくパブコメではないんだろうというふうに思うんです。
 そうなると,それはパブリックコメントと言うか言わないか,これは文科省がお決めになることなんですけれども,少なくとも私の理解としては,42条で,パブコメやったときにはその意見を十分に考慮しなければならないと,こういう条文になっております。しかし我々としては,この委員の中でかんかんがくがくの議論はしますけれども,パブコメでどういうことが出てくるか分かりませんけれども,それは場合によっては参考にすることがあるかもしれませんけれども,報告書として我々はもうつくっちゃっているわけですから,それをさらに斟酌して,改めて修正するとか訂正するとかということは多分ないんだろうというふうに思います。
 したがって,42条の枠外,埒外のものであって,39条に定めるものでもないということになると,単にホームページに上げるということだけなのかもしれないということになりますので,僕は別にホームページに上げることを反対するわけではありませんけれども,それをパブコメというふうに誤解を招くと,またいろんな団体が,この39条に基づくものだと思って意見を上げてきて,それを斟酌しなきゃいけないと言われると,これはちょっと筋が違うよねということで,座長のお考えに私は同調します。
【滝波課長】
 事務局でございます。久保利委員おっしゃるとおりでございまして,本件は会議としてのおまとめいただいた内容について,任意の御意見を求めてみてはどうかというぐらいの話でございますので,行手法に基づくパブリックコメントではありません。そのことを御報告したいと思います。
【増田座長】
 一応パブコメは取るけど,我々の委員会の報告に対して……。
【久保利委員】
 いやいや,それを座長がパブコメと言うから誤解するわけで,ただ意見を出したい人は出して受け付けますよというだけの話で。
【増田座長】
 これは進行要領にそう書いてあるんです。
【久保利委員】
 進行要領が間違えているんですよ。パブコメじゃないです。
【増田座長】
 広く国民の皆様からの御意見をいただくため事務的にパブリックコメントの手続,「事務的に」がそういう意味なんですかね。
【滝波課長】
 いろいろ不手際がございまして申し訳ありませんけれども,報告書をしっかりまとめていただくということを我々は切に望んでおりまして,その上で,任意に意見を言いたい人がいれば勝手に言ってくるという意味で捉えていただければと思います。
【八田委員】
 勝手に任意だといっても,従来踏襲されているパブリックコメントという用語に対する理解と違うわけですから,逆に国民に混乱をもたらすんじゃないかなと。あくまでも私が関わってきた経験では,あるいは海外を見ても,パブリックコメントの場合は,その前はイクスポージャー,ドラフトとして案文を出すわけですよ。それに対して出てきた,こちらが気がつかなかった案件,あるいは思い違いしている案件,さらにはポジティブな積極的な提言等があれば,当然織り込むべきだということです。こういうのを事務局のほうでまとめながら,そしてこれは今回却下しますとか。それがあって,当然本会議にもう1回上げてこなければ,その案の字が取れないわけですよ。今回はそういう手続を取っているわけではないので。そして,随意勝手にあったら意見くださいというのは,それはそちらがやる,事務局がやる話であって,これは全然私たちが認識するパブリックコメントとは全く違いますから,その用語は使わないようにしていただきたいと思います。
【酒井委員】
 私も同じで,私はこういうものにパブリックコメントを取ったケースというのは聞いたことがないですし,そもそもガバナンス改革会議という我々の構成,存在というものを考えると,やっぱり自由に物を言うということが前提となっているわけで,恐らくこういった改革会議に対するパブコメを取るということは,聞いたことがないですね。ですから,どうしても何かリアクションを取るというんであれば,まずパブリックコメントという言葉は非常にミスリーディングですから,使わないほうが,使わないでいただきたいし,できればやめていただいて,むしろ立法過程においてパブコメを取るのが筋なのかなと思います。
【増田座長】
 私も全くそのとおりで,立法過程で取るのであれば全然問題ないし,法案の問題だとか,政省令の,あるいは規則等のときの案に対してパブリックコメントを取るということも全然問題ないと思うんですけど,こういった報告書にパブリックコメントを取ったって聞いたことがないんですよね。初めてなものだからちょっとびっくりしたんですけれども,文科省さんは常時こういうことをやられているわけでしょうか。
【滝波課長】
 説明が行き届かず申し訳ありません。いろいろ文科省のほうで,いろんな会議で御議論いただいて,いろいろ御意見いただくという場面がございますけれども,本会議につきまして,御意見をまとめていただいた報告書をまとめていただいたということについて,しっかりとホームページのほうに公表していきたいというふうに思っております。その上で,広く国民の皆様から貴重な御意見がいろいろいただけるんであれば,それは我々の今後の検討の参考にしてもいいかなというふうに思いましたので,そのことをここで述べているという趣旨でございます。
【増田座長】
 だから,普通に考えられているパブリックコメントということではないですよね。
【滝波課長】
 ではないです。
【増田座長】
 要するに,国民の意見を広く聞き取って,それを反映させていくという,法律の改正であればもちろんそれは分かるんですけど,報告書の問題については,直すという話ではないということですね。
【滝波課長】
 ではないです。
【増田座長】
 それじゃ,そういう前提でやられるということであれば,分からないこともないんだけど。
【酒井委員】
 一番最初の第1回に戻ると,我々は,学校法人ガバナンス改革会議運営規則というのをつくって了承しているんです。もしこの最終報告に対してパブリックコメントなり公表して意見を求めるということであれば,運営規則に書かなければいけないはずで,ここに書いてない以上,やってはいけないんじゃないでしょうか。それってすごい信頼を損なうことではないでしょうか。
【久保利委員】
 賛成です。全く酒井先生のおっしゃるとおりだと思います。
【増田座長】
 ということなんで,やるべきじゃないかという意見が結構強いんですけど,委員会としては,ちょっとやめてもらいたいというのが総意だと思いますが,いかがでしょうか。
【野村委員】
 文科省に伺いたいんですけど,この私たちの意見書は,例えば法制審議会でつくった要綱のように,このまま法案としてつくられるという理解でよろしいですよね。
【滝波課長】
 文科省でございますけれども,まず,この会議でしっかりとした結論を出していただくということが前提だと思っておりまして,その上で,法制化するということになりますと,法制局とかいろんなところと相談しないといけませんので,そこでいろいろ議論しないといけない点は残っていると思いますけれども。
【野村委員】
 ごめんなさい,私も素人じゃないから,そんな説明されたらちょっとどうかなと思うんだけど,法制局は別に実質的な判断しませんのでね。法文の整合性の問題だけですから。だから,基本的な方針,ここで私たちが述べたことは,そのまま法制化されるという理解でよろしいんですよね。
【滝波課長】
 まず,報告書をまとめていただくことが大事だと思っております。
【野村委員】
 そういう説明じゃ駄目でしょう。だってやっぱり,これからどうなるのかということによって,パブコメを甘受するかどうか決まりますよ。
【滝波課長】
 まず我々としては,報告書をいただかないと,その先に進めないと思っています。
【野村委員】
 そんなこと言っちゃ駄目だって。
【松本委員】
 このまま法制化するという理解でいいのかどうか。
【野村委員】
 そう,1点だけ答えていただければいいんで。我々はもう報告書まとめたの,ここで。だから,今さらまとめていただければなんていう,そんな答弁要らないんで,このまとめたものの取扱いを説明していただきたいんです。
【滝波課長】
 文科省としては,この報告書を受けて,具体的な法制化についてしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
【野村委員】
 いやいや,そんな政治家みたいなこと言わないでよ。だから,基本的にこの法案の,私たちは法制事項をきちっとまとめているので,これをそのまま条文化できる状況になっているんですよね。何ならつくりますよ,条文。それを内閣法制局へ持っていけば,内閣法制局,文言とかいろんなことを差戻しあるのは分かっていますよ。だけれども,それは別に彼らのほうで政策決定は絶対しないので,この政策決定に,中身決まったものどおりにそのまま法制化されるという,そういう作業するということでいいですよね。別に違う内容に書き換えるということはないですよね。違う内容に書き換えることのための大義名分として,この意見聴取を使おうとしているんであれば,絶対反対です。
【久保利委員】
 当然ではないですか。
【森部長】
 この報告を,まとめていただいたものを私ども受け取りまして,それを踏まえて,必要な法制化の手続をとっていくと,そういうことでございます。ですので,先ほどのパブコメという言葉があまり適切でなかったかと思いますので,誤解を……。
【野村委員】
 論点そっちに戻さないで。踏まえての概念の意味を教えてください。
【森部長】
 それはそういうためというよりかは,とにかく私どもとしてこの報告を受けまして,法制化のための必要な手順を踏んでいくと。
【野村委員】
 法制審議会は私もずっと委員やってきましたけれども,部会の委員ですけれども,要綱をつくりまして,要綱でずっと内閣法制局とやり合いながら,実質のところ,法案つくっているんですよね,法務省自体は。私たちは法案見ていませんけれども,最終的には法案の形になって,そこである程度法制化するという項目を要綱の中に書き込んでいるわけですよ。だから,要綱として示されている内容と法文は一致しているんです,基本的に。私たちはそういうつもりでこの法制事項について取りまとめをしているので,このまま条文化していただくという,そういう理解できたんですが,それでよろしいんですよね。
【森部長】
 実際法案を提出するにはいろんな手続がございますので,その手順をとっていくわけでございますけれども,この報告をいただきましたので,それを踏まえて私ども必要な手続を取っていくと。それ以上のことは申し上げることはできないところでございます。
【野村委員】
 例えば,要綱に基づいて条文つくりますよね。その後,自民党だと当然ながら事前にそれぞれの部会のところで法案審査をやって,閣議決定前にいろいろもまれることは分かりますよ。もまれることは分かりますけれども,条文自体,最初に原案として,そこの自民党のところに持っていく原案は,我々委員会,例えば法制審議会で決めた要綱と持っていく条文は,そこの間には齟齬はないですからね,少なくとも。そのような形の信頼関係がなければ,我々何のために会議やっているのかということになりますでしょう。
 そこは我々の会議をただやらせておいて,それでどこかで意見聞いて,皆さんの意見が反対が多かったので私たちは別な法案をつくりましたって,それはないでしょう。それは私たちにこれだけの時間使わせて,ここまで細かく法案の法制化の話をやらせておいて,そのとおり条文つくりませんじゃちょっとおかしいから,そのための,言わばアリバイづくりのためにパブリックコメントをやられるのは困るということなんです。だから,私たちがこの案として出したものを,私たち素人じゃないですからね。当然に条文に書かれていることと,我々の決めたことの間に齟齬があったら,それは文科省が勝手につくった条文ということになりますからね。そこは一致してちゃんとつくっていただけるんですよね。
【森部長】
 繰り返しになりますけれども,報告をいただいて,必要な手順をとっていくと,そういうことでございます。
【増田座長】
 それでは,そういうことだと,皆さん反対ですかね。パブリックコメントを取ることについては反対ということになりますか。だからそうしないと,だってパブリックコメントってそういうもんなんだから,皆さんが理解しているのは。文科省用語じゃ駄目なんです。
【森部長】
 そういう意味でのパブリックコメントはいたしませんので。
【増田座長】
 いやいや,パブリックコメントと言った以上は,普通は常識なんですよ。パブリックというのは国民でしょう。コメントというのは意見じゃないですか。だから,そういうことになっていくわけですよ。
【森部長】
 ですので,いろんな様々な意見を聞くというのは,当然あり得ることですので,あり得ると。法制化の手続は法制化の手続で私ども進めていく,そういうことでございます。
【増田座長】
 そういう話じゃなくて,私が聞いているのはそういう話じゃなくて,この我々の出した提言に対して,パブリックコメントをかけるということについては,どういう意味なんでしょうかと言っているわけですよ。パブリックコメントという言葉は適切じゃなかったが意見は求めると,それはどういうことなんですか。
【森部長】
 それは報告書に対してパブリックコメントをして,それを反映した報告書を修正すると,そういうことを考えているわけじゃありませんので,課長からパブリックコメントって申し上げたのはそういう意味合いではないという,そういうことでございます。報告もまとめていただければ,私どもいただきましたので,これを受けて,法制化のための手順,手続をとっていくと,そういうことでございます。
【野村委員】
 ちょっとお伺いしたいんですけど,私たちのやつはフィックスしましたよね。そうすると,意見聞いても,この報告書には反映されません。出てきた意見は何に反映されるんですか。
【森部長】
 その反映がどうするかというのは,それはもう決まっているわけでございませんので,今後,様々な御意見をいただいたところをどう判断していくかというのは,むしろ今後の成立の過程とかいろんな過程になってございますので,そういうことだとは思いますけれども。
【野村委員】
 いやいや,それは政治がやることで,文科省がやることじゃないでしょう。
【森部長】
 私どもとしては,報告書をいただければ,それを受けて手続を取っていくと,そういうことでございます。
【野村委員】
 それはそれでいろんなことを言っているのは政治だからいいですよ。だけども,ここで行政が一旦意見聞いたら,国民に対して責任を果たさなきゃいけないから,言った人に対しても,今度はアカウンタビリティーが発生しますでしょう。意見聞いたっていっているのに,どこに反映したんですかということになるんじゃないですか。そうしたら私たちの報告書を法案に作成する段階で,その意見を反映しましたということになるんじゃないですか。だったらやっぱり私たちがつくったものどおりにはならないというために,この意見聴取があるということになってしまうので,意見を聴取すること自体をやめていただきたいと思います。
【増田座長】
 普通に関係者,全部ヒアリングやったわけじゃないですか,時間取って。それは御存じですよね,何回もやっているし。前の会議である,有識者会議でもやりましたし,今回も時間を取ってやりましたよ。それに加えてパブリックコメントを取ると,こういう話になっているわけだから,これには私は納得できないです。ほかの皆さんもそうだと思うんですけど,ここに来てそういう話が出てくる。しかも最初のときにそういう話をしていただければと思います。7月19日に第1回があったわけですが、そのときにそういう話は一切なかったんですよね。ありましたか?私,記憶はないんですけど,皆さんありましたか。
【久保利委員】
 いや,聞いてないですね。
【増田座長】
 これでは納得しないですよ。パブリックコメントということは,常識的には,規制当局である,文科省自身の責任においてでやるんです。我々の提言についてそんなもの取ってもらっちゃ困るわけです。十分ヒアリングやっているわけですから。それは御理解いただけますよね。
【森部長】
 初めからの手続で,そういうことを申し上げたわけではございませんので,そういうことに反しないように,私どもしたいと思いますので,これは報告いただいて,私どもとして必要な手順を取っていきたいというふうに思います。
【酒井委員】
 もしそうであれば,我々は公開されること自体は,ずっと会議自体公開しているので,最終報告書も公開していただくのは全くやぶさかではないんですが,そこで終わりにしていただいて,意見を求めるというようなことはやめていただいて。でもそしなくても意見は来ますよ,公開すれば。それでいいじゃないですか。だからそういうことで,意見公募をしないでください。
【森部長】
 酒井先生,それから座長からおっしゃっていただいた,そういうような形で我々も進めたいと思います。
【野村委員】
 私も意見を聴取,これ,パブリックコメントという言葉を下げるというだけじゃ駄目ですよ。意見を積極的に聴取したら,国民に対して行政は責任が発生しますので,その聞いたことを反映させなきゃいけない。反映させるというプロセスがどこにあるのかということを考えると,私たちの報告書を骨抜きにするという方向しかないので,そこは約束が違いますから。だから,もうそれは投げっ放しで,アップしたら御意見が来ても,別に意見聞いているわけじゃないというスタンスにしていただかないと先に進まないと思います。私たちがつくった案どおりに法案を作成して,あとは政治に投げていただければというふうに思います。
【増田座長】
 いかがですか。そういうことでよろしいですか。要するに,意見を取らないということですよ。
【森部長】
 はい。いわゆる意見募集みたいな形は取りませんので,そういうことはいたしません。
【増田座長】
 この報告書についての意見募集はしないということであれば,勝手に来るのは別にしようがないで,それは。そういうことならよろしいかと思います。
【森部長】
 そのとおりだと思います。
【増田座長】
 そういうことでよろしいですかね。
【久保利委員】
 座長の取りまとめのとおりで結構でございます。酒井先生と同意見です。
【増田座長】
 では,そういうことでよろしいでしょうか,皆さん。

 (「異議なし」の声あり)

【増田座長】
 それでは,一応今回で,報告書は取りまとめしましたということで,本年の会議はこちらで終わりにしたいと思います。
 それでは,報告書の取りまとめはこれで終わります。
【松本委員】
 座長,ガバナンス・コードの扱いはどうなるんでしょう。
【増田座長】
 ガバナンス・コードは,我々の任期は3月までと先ほど確認させていただきましたので,今回は基本設計のところである,最初に求められた1番目、2番目改革会議設置の趣旨ののところで求められた新法人制度の改革案,規模に応じた取扱いまでは一応報告をさせていただき、そして,3番目のガバナンス・コードの抜本改革は,1番目、2番目が年内に結論を得た後に検討するということなので,引き続き,バランス・コード等の検討をするということだと思います。これは確認ですけれども。私も挨拶のところでちょっとそれを言おうと思っていたんで,今申し上げなかったんですけど,そういうことでよろしいでしょうか。
【松本委員】
 はい。
【増田座長】
 それでは,会議の閉会に当たりまして,私より一言御挨拶を申し上げます。
 本日の報告書取りまとめに当たり,座長として一言御挨拶を申し上げます。
 本ガバナンス改革会議設置の目的は,報告書の前文にもありますように,きっかけは大学法人等の不祥事の続発でありました。しかし,元来,国の発展の鍵を握るのは,将来のある若者たちの教育と研究者の育成を担う教育・研究機関の強化であり,現状の大学法人等への国や地方自治体の免税措置などの税の優遇措置や多額の助成金の目的もそこにあります。そうした目的に沿って,有限の資源,リソースを有効に投資していくことが求められています。
 また,少子高齢化に伴う定員割れ大学の慢性的な増加傾向など,大学法人を有する学校法人をめぐる経営環境は厳しく,強力なリーダーシップを発揮できる経営体制は待ったなしです。
 こうした観点からも,大学法人を含む学校法人の経営のガバナンス体制の抜本改革,強化と,経営の透明性の確保は焦眉の急であります。こうした認識の下,本年7月19日に始まった本ガバナンス改革会議は,6か月足らずの間,本日までに実に11回開催,鋭意審議を重ねてまいりました。座長補佐をお願いしております八田委員,松本委員,各委員の方々,そして小川法制調査員,文科省事務局の皆様の協力とサポートにより,本日無事に報告書,「学校法人ガバナンスの抜本改革と強化の具体策」をまとめることができました。心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
 この後,本ガバナンス改革会議設置の趣旨に基づき,本報告書は,直接大臣に報告することになっており,その手配を文部省事務方にお願いしております。
 なお,本会議設置の際の本年2021年中に求められた,私学法の抜本的改正に必要な事項を本報告書で提言しましたが,ガバナンス・コードの抜本改革案などは2022年に提言することになっており,御協力のほどよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 ありがとうございました。
【滝波課長】
 ありがとうございました。
 それでは,続きまして,文科省を代表しまして,義本事務次官から御挨拶をいたします。
【義本事務次官】
 文部科学事務次官の義本でございます。着座して御挨拶させていただきます。
 学校法人ガバナンス改革会議の皆様方,増田座長をはじめとする皆様方におかれましては,学校法人の現状,社会的要請,他法人制度などを踏まえ,様々な視点から,本年7月から本日まで御議論をいただき,誠にありがとうございました。
 開催された本会議においては,経済財政運営と改革の基本方針,いわゆる「骨太方針2021」に基づき,学校法人が公益法人として数々の優遇を受けるにふさわしい,透明性や説明責任が果たされるようなガバナンスの在り方について御議論をいただいてまいりました。
 私立学校を取り巻く状況が厳しさを増す中におきまして,学校法人が社会の信頼と支援をより一層得ることができるよう,必要な取組を進めていくことが重要であると考えております。
 本日おまとめいただきました報告書を踏まえ,我が国の公教育に大きな役割を担う学校法人にふさわしい制度となるよう,文部科学省において取りまとめを進め,取組を進めてまいります。
 本日は誠にありがとうございます。
【増田座長】
 ありがとうございました。
【滝波課長】
 おまとめいただきまして,ありがとうございました。
 そうしましたら,半年間にわたりまして数々の御議論いただきまして,本当にありがとうございました。以上でございます。
【増田座長】
 それでは,これにて学校法人ガバナンス改革会議第11回会議を終了いたします。ありがとうございました。

 ――了――

お問合せ先

文部科学省
高等教育局私学部私学行政課

(高等教育局私学部私学行政課)