商船系大学における海事人材育成に関する懇談会(第4回)議事概要

1.日時

令和4年1月17日(月曜日)10時00分~11時30分

2.場所

文部科学省内会議室及びオンラインのハイブリット方式

3.議題

  1. 意見まとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

竹内俊郎座長、庄司るり委員、内田誠委員、乾眞委員、春名史久委員、塩川達大委員

オブザーバー

国立高等専門学校機構、内閣府総合海洋政策推進事務局、日本船主協会

5.議事概要

(1) 意見まとめ(案)について
 
資料1(PDF:1.8MB)に基づき、事務局から説明。

○以下、自由討議。

【竹内座長】
○原案の作成にあたり、各委員からもご意見を頂戴しており、基本的にはこの内容でとりまとめさせていただきたいと考えている。意見、修正等あれば伺いたい。
 
【春名委員】
○懇談会における意見をまとめていただき、皆さまに御礼申し上げたい。2点微修正の検討をお願いしたい。一つは、2ページ目の2ポツ目において、「この際、適宜、制度を所管する国土交通省における運用面での理解と協力が期待される」とあるが、懇談会が主語のようになっているため、「この際、必要に応じ、制度を所管する国土交通省において運用面での検討を行う」という表現に修正できないか。実際に神戸大学と意見交換をしていく中で、運用面における検討の必要性があるかどうか、ということも出てくると思うので、このような表現に修正をお願いしたい。
○また、(2)の一つ目の〇について、「JMETSの所管である国土交通省の積極的かつ柔軟な協力のほか」とある。国土交通省として「積極的な協力」はしていきたいが、条約を厳正に見ていかなければならないところもあるため「かつ柔軟」という表現は誤解を与える可能性があることから削除をお願いしたい。
 
【竹内座長】
○今のところで事務局から何かあるか。
 
【文部科学省事務局】
○2ページ目の2ポツ目について、主語が国土交通省であるため、「必要に応じ、制度を所管する国土交通省において運用面での検討を行う」としたい。
 
【竹内座長】
○内田委員はどうか。
 
【内田委員】
○問題ない。
 
【竹内座長】
○2ページ目の2ポツ目について、「必要に応じ、制度を所管する国土交通省において運用面での検討を行う」に修正する。
○次に、(2)一つ目の〇について、「JMETSの所管である国土交通省の積極的かつ柔軟な協力のほか」とあるが、「かつ柔軟」を削除したいという申出について、意見等あれば伺いたいがどうか。
 
【内田委員】
○「積極的な協力」という観点では、極めて期待するところである。一方で、「柔軟な協力」の意図を春名委員がどのように捉えて削除を申出られたのか伺いたい。
 
【春名委員】
○条約の趣旨に鑑み、また、運航の安全といった面からは、制度については厳正に検討していく必要がある。例えば、その条約の趣旨を違えて制度改正をしてしまった場合に、日本の海技資格保有者が当該国の船舶に船舶職員として乗船できなくなる、といった事態を招きかねないという危惧があるためである。「柔軟な」という解釈も様々に捉えられることから文言としては削除をお願いしたいというもの。
 
【内田委員】
○最後の懇談会であるため、あえて確認させていただきたい、神戸大学から国土交通省に対しては、「柔軟な協力」ということを強く要望してきたところである。我々の意図としては、条約遵守は当然であり逸脱などは全く考えていない。一方で、条約とは、全てを詳細に規定しているものではなく、主管庁による裁量の範囲が広く認められているような表現になっているため、その辺りで柔軟な判断に基づいた積極的な協力をしていただけると有難い。
 
【竹内座長】
○本会議でも、条約の中で日本がイニシアティブを発揮することや積極的にアピールすることの重要性といった意見もあったかと思う。本会議には、文部科学省、国土交通省及び内閣府の関係省庁からも出席いただいており、関係機関においても本件に関し十分にご理解をお願いしたい。
○それでは、(2)一つ目の〇については、「JMETSの所管である国土交通省の積極的な協力のほか」と修正する。
 
【内田委員】
○事務局ほか関係各位におかれては、丁寧に意見まとめ(案)として提案いただき、御礼申し上げたい。修正提案は特にないが、関係者間で理解すべき点、あるいは、これまでの作業部会において意見交換した詳細な点について、念のため確認させていただきたい。
○まず、1ページ目の(1)一つ目の〇について、「速やかに」ということを最優先に、「現行制度の範囲内で可能な乗船実習の配乗時期等の見直しを段階的に進めることで合意した」ということであり、結果として、付随する新たな課題が表面化してきている。春名委員からご発言いただいたように、国土交通省において行政面から積極的な関与、裁量の範囲内における柔軟な判断等によって、より良い改善を図ることが必要であると思っている。
○そのため、現行制度におけるJMETSの配乗見直しによる提案で完了という意図ではない、ということを改めて確認させていただきたい。それが、事務局から説明のあった二つ目の〇にある「関係者間で十分な連携を図り」に協議、調整が必要ということが現れていると理解している。
○次に、1ページ目の黒ポツについて、「6級海技士の乗船実習についても多科・多人数配乗に配慮して実施する」とあるが、作業部会におけるJMETSからの説明では、「余裕のある範囲で」というような表現があったかと思う。記載内容を否定するものではなく、この点に関し説明をお願いしたい。
 
【乾委員】
○まず、今回のとりまとめについて、JMETS練習船における教育環境改善に向け、ご努力、ご検討いただいたことに深く感謝申し上げたい。
○次に、内田委員からご発言のあった6級海技士の乗船実習については、内航業界からの強い要望がある。したがって、JMETSとしては、このようなかたちで実施することを前提にしつつも、「多科・多人数配乗に配慮して実施する」という表現に整理されたと理解する。
 
【内田委員】
○内航業界の要望という理解でよろしいか。
 
【乾委員】
○問題ない。
 
【内田委員】
○続けて、2ページ目の上から二つ目の黒ポツについて、「運用面での理解と協力が期待される」とあるが、これは学士課程教育と海技士資格教育の両立に加えて、双方をさらに発展させるためには、神戸大学の学事暦である第3クオーター及び第4クオーターの跨りについて解消していく必要があると考えている。現行制度の厳格な運用の範囲内においては、JMETSと大学間の調整だけでは解決が困難なところもあるため、是非、国土交通省においても検討いただくことをお願いしたい。
○本件を実現するためには、国土交通省のご理解とご配慮が必要であり、JMETS及び大学から改めて行政としての協力を求めたいと考えている。
 
【春名委員】
○国土交通省として検討が必要なことがあるのであれば、検討してまいりたい。
 
【内田委員】
○最後に、2ページ目の「論点の例」にかかる一つ目の黒ポツについて、「JMETSの教育体制の強化に向けて教育資源の充実を図ること」とあるが、この教育資源は、予算及びJMETSの教員における教育資源と理解したが、相違ないか。
 
【竹内座長】
○本件については、本懇談会や作業部会においても議論がなされたと理解している。この場であえて話題に挙げたことと思うが、事務局からコメントはあるか。
 
【文部科学省事務局】
○JMETSの「教育資源」には、予算をはじめとする様々なものが含まれるため、ここでは「教育資源」という事項として整理しており、具体的な事例の列挙はしていない。
 
【庄司委員】
○明記する必要はないが、「教育資源」には、「予算」「教員」「施設」などが含まれることを関係者間において共通理解することが必要である。
 
【春名委員】
○本懇談会及び作業部会において、何度か申し上げてきたところだが、国土交通省としてはJMETSに関する予算要求をしっかりとしてきている。一方で、国の財政状況の中で厳しいということが現実としてある。そうした制約の中で、JMETSの予算を何とか確保してきているということは、繰り返しになるがご理解いただきたい。
 
【竹内座長】
○予算確保は政府全体で取り組んでいくことが必要と考える。総合海洋政策本部参与会議のPTを所管する内閣府からも発言をお願いしたい。
 
【オブザーバー:内閣府総合海洋政策推進事務局(久保寺参事官)】
○厳しい財務状況の中で、予算獲得の難しさは、当然承知している。内閣府のPTにおいても、新たにJMETSの教育環境の改善にかかる議論を進めており、その中でも教員の確保が最も難しい課題であるということは、共有しているところである。
○それから、予算を有効に使う、あるいは国以外の支援を得るなど工夫次第で教育環境の充実を図るという考え方も示されている。このように、様々なかたちで教育資源を充実させるための議論をしているところである。
 
【庄司委員】
○本件は、国土交通省、内閣府や国だけに求めるものではなく、業界や大学においても求められることだと理解している。今、ご発言があったように、教員の問題も含め大学においても同様の問題を抱えている。ある部分に限られた教育ではなく、広い範囲での教育が必要であると認識して我々は取組んでいるので、是非、そういった面での協力をお願いできればと考えている。
 
【竹内座長】
○今の話題は非常に重要なことであり、人を育てる人材も重要であるというご発言だと理解している。
 
【内田委員】
○2ページ目の「論点の例」にかかる二つ目の黒ポツについて、これは国土交通省において制度の解釈の見直しや整理をするなどといった検討を進めることであり、当然、検討結果の速やかな反映が含まれるとの理解でよろしいか。
 
【春名委員】
○神戸大学において具体的に取組みたいことを相談いただいた上で、制度改正あるいは運用による対応といったところを整理していくということだと思っている。
 
【庄司委員】
○我々のこれまでの議論を綺麗に、そして非常に的を射た内容で簡潔にとりまとめていただき、感謝申し上げる。また、この議論において様々なご助言をいただいた関係各位に御礼申し上げたい。
○例えば、2ページ目一つ目の〇について、「今後の具体的な調整」とあるが、元々は多科配乗の解消を目的に議論を進めていく中で、乗船率や多人数という話が挙がってきた。資料別添1をみると、多科配乗に加え乗船率が緩和されていることが見受けられるが、ここで先程の6級や4級の話題が加わると、元の木阿弥状態になり、多人数や配乗率が高くなってしまうという問題もあるため、議論を止めるという意図ではなく、しっかりと検討いただくとともに、本来は練習船の定員の見直し等を含めて進めてほしいという話があったことを、共通認識いただければと考えている。
 
【竹内座長】
○今のご発言は、懸念する点についてのお話だろうと思う。今のご発言について、乾委員からご発言をお願いしたい。
 
【乾委員】
○ご指摘のとおり、練習船には定員が定められている。したがって、引き続きJMETS校における4級養成の実習期間や人数等についても、検討していきたいと考えている。
 
【竹内座長】
○6級や4級の話はともかく、その範囲内で検討していくということになると思う。当然、効率的な運用は非常に重要であるため、是非よろしくお願いしたい。
○委員からは、他に意見はないようだが、オブザーバーも含め意見まとめ(案)についてご意見等あればお願いしたい。
 
【オブザーバー:日本船主協会(井上副会長)】
○関係各位におかれては、これまでの懇談会、作業部会への協力に感謝申し上げる。補足説明と状況共有という観点から、発言させていただきたい。
○まず、3ページ目の3ポツ目について、「これまでに実施されてきた協力の実績に加えて」とあるが、これまでの実績を具体的に紹介したい。既にご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、大学に対し寄附講座として船協の会員会社が半期に1コマ程度授業を行っている。さらに、夏休みを利用し、インターンシップを実施し、学生に対して就業体験の場を与えている。また、JMETSに対し現状5名の教官を派遣している。このような協力の実績があることを業界として明確にしたい。
○それから、同じく3ページ目の3ポツ目について、「産業界等からJMETS及び商船系大学への教員派遣等の協力を検討すること」に関連し、日本人海技者の状況について、情報共有させていただきたい。作業部会でも申し上げたとおり、日本人海技者は不足している。本船の運航自体は、海技ノウハウの習得・伝承という面を除いては、そのほとんどを外国人船員に任せており、我々が日本人海技者へ期待するものは、主として陸上での船舶管理、安全運航、外国人船員の確保及び育成といったことであり、日本人海技者の大きな役割となっている。さらには、本協会を含む業界団体や船社の営業部門からのニーズもあり、非常に守備範囲が広いということが日本人海技者の現在の状況である。
○今後の動向を見ていくと、脱炭素社会への動きとして、例えば、新たな海洋事業として洋上風力発電が挙げられる。それから、船舶自体のゼロ・エミッションに向けての取組をはじめなければならないという重要な課題もある。また、自動運航船の問題・導入への取組も行われている。こうした多くの課題がある中で、日本人海技者の需要は今後ますます高まることが予想され、業界内においても日本人海技者の一層の不足を非常に懸念しているところである。「産業界等からJMETS及び商船系大学への教員派遣等の協力」については、このような状況を踏まえた上で検討せざるを得ないということをご理解いただきたい。
 
【竹内座長】
○日本船主協会において、既に様々な教育実績があることをお話いただいた。また、教員派遣についてはPTにおいてもお話があったが、中長期的な枠組の中で今後検討していくことになると思っている。業界団体としても引き続きの取組をお願いしたい。
 
【竹内座長】
○それでは、これまでの意見を踏まえて修正する。修正内容等については座長に一任をお願いしたい。
○この後、懇談会の意見まとめとして、1月19日(水)開催の総合海洋政策本部参与会議PTへ文部科学省よりご報告いただくことになるのでお願いしたい。
 
(2)その他(自由討議)
 
【竹内座長】
○懇談会でお集まりいただくのも最後になるため、これまでの意見交換をとおして、委員だけではなく、オブザーバーを含め関係各位から自由にご発言いただきたい。
 
【内田委員】
○まず、このような貴重な機会をいただき感謝申し上げたい。これまでも、懇談会あるいは作業部会において情報交換させていただいた。また、第1回作業部会のときだったかと思うが、国土交通省及びJMETSに対して3~4つ程度質問をし、双方からメールあるいは文書にて回答いただいた。本件についても感謝申し上げるとともに、今後も協議させていただかなければならないところが多く残っているため、引き続きよろしくお願いしたい。
○一点、春名委員へお伺いしたい。神戸大学は勿論のこと、おそらく東京海洋大学、国立高等専門学校機構においても同様かと思われるが、国内法に基づき船舶職員養成施設あるいは免許講習等の実施施設として登録し、その制度の下で実施しているところに対し、産業界、海運会社等から、STCWに則ったプログラム修了認定証を示してほしいという要望が届いている。外国籍船舶へ乗船する際のPSC等への対応で、最近多く求められており、我々は地元の神戸運輸監理部から助言を頂戴し、試行錯誤しながら対応している。ところが、ここ1~2年対応してきたことの一部について見直す必要が生じているようで、これは、STCW Reg.Ⅱ/1やⅢ/1でのプログラム修了認定がほしいという要望に対し、養成施設として一部満了していないというものである。幾つかの講習やプログラムをすべて合わせて口述試験を受け、一定の講習または研修を受けた上で条約を満足することになるようだと私は解釈しているが、大学として認定証の発行はできないというような助言も頂戴しているところである。我々は、国内法に基づき厳格に対応し説明責任を果たしてきていると考えており、その範囲内での証明書は発行できる。ただし、それ以上のことは、例えば運輸監理部や国土交通省海事局海技課といったところが、すべて集約しSTCWの規則に基づいた証明というように書き換えるなどといった対応が必要ではないかと思っている。今日この場での回答をお願いするものではなく、国内法と国際法との対応や、登録養成施設と所管庁としての関係といった、今後も協議、検討を必要とするところが明らかになりつつあると感じており、問題提起ということで発言させていただいた。
 
【春名委員】
○本件については、具体的にどういうことか、という部分の意見交換を今後させていただければと思う。
 
【竹内座長】
○まだ様々な問題があるとのことで、本件については国土交通省に鋭意努力いただきたい。
 
【国土交通省事務局】
○仮に、今のご発言の内容が事務取扱的な問題なのか、現状では判断できかねるが、関係するのが条約か国内法かといった部分ではないかとも思われる。改めて詳細を伺い作業を進められればと考えている。
 
【内田委員】
○本件は、おそらく船社あるいは日本船主協会が、どのような証明をどのような目的で必要なのか、というところにも関係するため、今後も発展的かつ継続的にコミュニケーションを図っていきたい。是非よろしくお願いしたい。
 
【竹内座長】
○本件について、関係者間でコミュニケーションを図るとともに、その結果については、一度関係者が集まる場で報告するとか、あるいは関係機関すべてに情報共有いただくことなどして、できる限り認識の違いをなくし、同じ歩調で進めていければと思うので、是非ともよろしくお願いしたい。
 
【庄司委員】
○今回の懇談会及び作業部会では、多くの方のご意見を伺わせていただいた。また、文部科学省におかれては、とりまとめまでご尽力いただき、感謝申し上げたい。
○東京海洋大学としては、今回の意見まとめの中で、本学のカリキュラム改正において非常に大きく関わる部分がある。そのため、本懇談会は広く公開されていることから、傍聴している本学教員を含め、改めて本学の考え方をお伝えさせていただきたい。
○本懇談会は、内閣府の総合海洋政策本部参与会議PTにおける提案によって立ち上げられた。当初、商船系大学における12か月の乗船実習を大学教育から切り離すことや、外航船の実習を1隻にまとめることといった提言があった。この提言の背景には、JMETSにおける多科配乗の問題が、JMETSの教育水準の保持において非常に大きな負担となってきており、これを解消したいという目的があった。この目的がはっきりしたことで、以降、議論が進んだと理解している。
○今回の意見まとめにもあるように、本学はこれまで、50年以上続けてきた1年次~3年次までのサンドイッチ教育について、学生が船を知り興味をもつ機会とすること、座学と実習の繰り返しによる知識の定着を図ること、現場を知ることで学生自身の将来やキャリアパスを考えることにつながるという観点から、低学年における乗船実習の意義の高さを主張してきた。
○しかし、本懇談会等を通じて議論を重ねていく中で、サンドイッチ教育の利点を多少諦めても、JMETSの多科配乗を解消することが、今まで以上に高度かつ効果的な乗船実習の実施につながり、結果として本学の学生のためにもなるのではないかという理解に至った。
○それから、エビデンスはないものの、ミスマッチを避けるため就職活動前に連続した3か月の乗船実習が必要であると、船社の総意ともいう日本船主協会からの要望もあった。これらを受けて、本学としても現状で可能な限り対応するため、本学の乗船実習を1年次~2年次で1か月、3年次で2か月という計画で、ある四半期に3か月連続でまとめるというかたちに検討を開始したいと考えている。
○ただし、本学はディプロマポリシー、カリキュラムポリシー及びアドミッションポリシーに基づき、カリキュラムを構築し学生に対する教育を行っていくため、本件への対応はカリキュラム体系の全学的な見直しから着手する必要があると考えている。そのため、多少時間を要することから、先程の意見まとめにある2024年度入学生から実施することで提案させていただいたところである。
○今回の見直しをより効果があるものとしていくためには、意見まとめにもあったように、JMETSからのご協力は勿論のこと、船社からもこれまで以上のご協力を是非お願いしたい。先ほど、井上副会長から日本人海技者の不足についてご発言があったところだが、中長期的な視点で、次世代の海技者を育てること、そして、足りていないということであれば、是非とも採用人数を増やしていただきたいと思う。今後も、産学が一体となって海事人材として望まれる学生を教育していくためにも、是非ともご協力をお願いしたい。
○最後に、この度の懇談会、作業部会に対し御礼申し上げるとともに、今後のさらなるご支援ご協力についてお願いしたい。
 
【竹内座長】
○庄司委員から東京海洋大学の乗船実習を1年次~2年次で1か月、3年次で2か月という方向性で検討することと、その背景も含めてご説明いただいた。関係各位及び本懇談会をご覧の多くの方々にご理解いただいたのではないかと思う。
 
【オブザーバー:日本船主協会(赤峯日本船主協会前副会長・日本海洋科学代表取締役社長)】
○関係各位におかれては、約半年の間にわたるご尽力に感謝申し上げたい。
○庄司委員からご発言があったように、令和2年12月に日本船主協会副会長として業界からの提言をさせていただいた。この中で、現状の多科配乗問題の解消に向け、一案として、大学4年間の中で実施されている6か月の乗船実習を卒業後に外出しし、JMETSへの集約を提言させていただいた。本懇談会の議論の過程で、大学側より座学の中での乗船実習が非常に有益であるというご意見がを尊重し、一方で、意見まとめのとおり、現行制度の下ではできることに限界があることや、時間が非常に限られている中スピードを優先し、JMETSのご意見である、効率的に教育効果が期待できる3か月ユニットにまとめられないかということで、議論を進めていただいたと思う。結果として、神戸大学は3年次3か月の乗船実習を実施し、東京海洋大学は現行の1+2か月の乗船実習を優先したいとのことで、意見まとめのとおりとなったということで、この間の関係各位の努力は重々承知しているところである。
○先程の意見まとめの中で、今後の検証ということがあった。現在、大手3社において約70名の海技者を採用していると理解している。また、今の大きな流れとして、2006年度に始まった新3級の卒業生の方が両旧商船系大学からの総数より多くなっている。今回の見直しにより、これまでの採用の傾向や質の底上げなどが今後どのように変化していくのか、その辺りの数字を見ていく必要もあると考えている。
 
【竹内座長】
○前回、前々回も含めて赤峯様から様々な観点からご発言をいただいた。PTを含めた中での貴重なご意見であり、大変有難く思っている。
 
【内田委員】
○懇談会は公の会議であるため、誤解のないように念のため確認させていただきたい。本学の乗船実習について、2020年度入学生までは2年次1か月、3年次2か月の実習を、2021年度の海洋政策科学部入学生から、1~2年次ではJMETS練習船での実習を行わず、3年次3か月実施するという本学としての意思決定は、海洋政策科学部設置における議論の際、すなわち本懇談会の以前から決定していたものである。ただし、実施時期についてはまだ関係者間において調整を必要としているところである。
 
【竹内座長】
○今のご発言に加えて、赤峯様から東京海洋大学が1+2か月の乗船実習というご発言があったが、現行の乗船実習は1~3年次に各1か月実施しており、これを1~2年次に1か月、3年次に2か月を連続した3か月の中で実施することに変えていくということであるため、皆様にもご理解いただければと思う。
 
【内田委員】
○意見まとめ3ページ目最後の〇について、「商船系大学の教育研究活動が発展することを期待したい」とある。神戸大学では、4年間の構想・検討期間を経て、ご承知のとおり昨年春に新たな学部として海洋政策科学部が設置された。2025年度を想定して、現在の大学院海事科学研究科を海洋政策科学部に対応した新たな研究科へ発展的に改組する検討が始まった。是非、ご期待いただくとともに、本件に関しご要望があれば遠慮なく提案を頂戴したい。
 
【乾委員】
○今回の議論において、JMETS練習船における乗船実習について様々な視点でのご意見、アドバイスを頂戴した。それを受け、改めて期待と責任の大きさを痛感した次第である。これから、いかに効果的に、かつ、良質な乗船実習を実習生に対し提供していくかが大きな問題になってくるかと思う。また、いただいた提案や方向性の実現に向けて、あるいは、さらにより効果的な実習改善に向けて進まなければならないと考えている。
○JMETS単独では解決が困難な課題等も多い状況であるため、引き続き関係各位のご協力、ご支援を賜りたいと考えている。
 
【庄司委員】
○乾委員のご発言のとおり、今後、大学とJMETSの間において今まで以上に協力し合いながら、教育内容の分担の見直し等といった様々な議論を進めていければならないと考えている。
○ただし、JMETSから作業部会当初にご発言があったとおり、JMETSは船員養成の訓練機関であり、船員教育とは異なるという立場もあろうかと思う。大学は人材育成の教育機関であるため、その辺も含めて調整しながら、協力関係を築いていきたいと思うので、よろしくお願いしたい。
 
【竹内座長】
○それでは最後に事務局も担っていただいた塩川委員より一言お願いしたい。
 
【塩川委員】
○JMETSの皆様方、東京海洋大学、神戸大学の先生方、そして国土交通省の皆様、ここまで議論が進捗したことに関して事務局を代表して御礼申し上げたい。併せて、多科配乗の解消が今回の最大のテーマであったため、本件について進捗したことについても、感謝申し上げる。それぞれが現場を持っている中で、会議を通じてその現場の大切さというものを関係者間で理解できたことが、効果として非常に大きかったと思っている。
○一方で、大学の教育課程の見直しは非常に難しいものであり、特に東京海洋大学については大きな一歩を踏み出していただいたと理解している。文部科学省という立場からではあるが、是非とも関係各位において協力し合うことでご支援いただければ有難く思っている。
○また、我が国の海事クラスターがどうあるべきか、今後の社会情勢に合わせて変化していくものと思っている。議論の方向性としては、海事クラスターについての持続可能性を考慮しつつ、それを大切にしながら柔軟に議論を進めていただければと考えている。文部科学省としても、できることを支援してまいりたいと思っている。本日の懇談会をもって一つの区切りとなるが、この後、具体的な調整を経て実行していくことこそが大事だと思っている。引き続きご支援をお願いしたい。
○最後に、関係各位に御礼申し上げるとともに、竹内座長にも改めて御礼申し上げ、会議の最後にあたっての挨拶とさせていただく。
 
【竹内座長】
○議題は以上である。本日、最後の懇談会になるため、私の方から一言ご挨拶をさせていただきたい。本懇談会は、海事クラスターが求める人材育成に向けて、内閣府の総合海洋政策本部参与会議海洋産業の競争力強化に関するプロジェクトチーム(PT)での議論を踏まえ、商船系大学における海事人材育成のあり方について、これまで検討を進めてきたところである。昨年7月以降に、本日を含め懇談会を4回、そして作業部会も4回実施し、意見交換を行ってきた。ご出席いただいた委員及び関係各位におかれては、ご多用のところご協力いただき、まずは心より御礼申し上げたい。本懇談会では、様々な立場から多くのご意見をいただいたが、一定の方向性として、意見まとめが整ったことは、東京海洋大学、神戸大学、JMETS、日本船主協会そして文部科学省、国土交通省の間での連携が図られた結果であり、今後の議論の進め方を示すことができたのではないか自負しているところである。
○まず、PTのご提案の中で日本人海技者の乗船実習教育について、より効果的・効率的に実施するための方策が挙げられていたが、今回、多科配乗の緩和と解消に向けた認識を共有できたことは、大きな前進であったと思っている。この取組の過程で、関係各位の現状と課題をお互いに理解し合えたことは、今後の議論における礎になったのではないだろうか。産業界等のニーズとともに当事者である学生・卒業生の声を把握する大切さも再認識できたのではないかと考えている。
○特に、大学において教育課程を見直すことは、大変困難であることも関係各位にご理解いただいたところであるが、そのような中で、商船系大学においても様々に学内の調整を行い、意見まとめに至ったことについて、両大学及びJMETSに対し心より厚く御礼申し上げたい。
○本日の会議でもご意見があったが、乗船実習教育を担うJMETSの教員や予算など、教育資源の充実に向け、国土交通省からの支援を期待したい旨の発言を、是非、重く受け止めていただきたいと思っている。商船系大学の高度化として、人材育成の高度化に向けては、大学の改革は勿論のこと、産業界等からの協力も不可欠であることもまた事実である。
○今回の懇談会では、十分な議論ができず、引き続き検討を要する点も少なくない。この意見まとめはファーストステップであり、時代の変化や社会のニーズに応じてより優れた海事人材の育成について引き続き関係各位が密に連携し、議論を交わすことが大切だと思っている。
○また、春名委員をはじめ、国土交通省の皆様におかれては、四方を海に囲まれた我が国の海洋政策、海洋産業の発展を担うキーパーソンである。本懇談会での意見を参考にしていただき、今後の国際社会をリードする海技士、船員養成に向けて率先して改善検討に取り組んでいただくことを切にお願いする次第である。
○最後に、委員各位及びオブザーバー各位におかれては、本懇談会の趣旨を踏まえて有意義な議論を進めていただいたことに、改めて感謝し、私からの挨拶としたい。
 
【竹内座長】
それでは以上で懇談会を終了する。
 

お問合せ先

高等教育局専門教育課
電話番号:03-5253-4111(内線2485,2502)

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