大学入学者選抜協議会(第20回)議事録

1.日時

令和7年12月17日(水曜日)10時~12時

2.出席者

委員

川嶋座長、内田委員、梅原委員、大橋委員、小方委員、小川委員、沖委員、川上委員、澤辺委員、柴田委員、島田委員、田名部委員、長塚委員、西郡委員、松田委員、安井委員、山口委員、渡邊委員
 

文部科学省

石橋大学振興課長、橋田参事官、田島大学入試室長 他

3.議事録

【川嶋座長】  皆さん,おはようございます。予定の時刻になりましたので,ただいまより大学入学者選抜協議会の第20回を開催したいと思います。委員の皆様におかれましては,御多用の中,お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日の議題は,1つ,最近の大学・高校教育政策の動向について,2つ,令和9年度大学入学者選抜実施要項について,3,その他となっております。まずは事務局から資料の確認等をお願いします。
【田島大学入試室長】  おはようございます。まずは,本日,委員の変更がございましたので,そちらを私から名簿で御紹介させていただきます。
 国立大学協会から御選出いただいている委員といたしまして,佐賀大学の児玉先生から横浜国立大学の梅原先生に交代をしていただいております。
 また,国立大学協会,東京外国語大学の春名先生から室蘭工業大学の松田先生に交代をしていただいてございます。
 また,私立大学連盟,同志社大学の圓月先生から法政大学の川上先生に交代をしていただいております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局につきましては,この夏に人事異動がございまして,高等教育局長が合田,大臣官房審議官高等教育局担当が先﨑,そして大学入試室長が私,田島に交代しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて,本日の資料につきまして確認させていただきます。事前に事務局からお送りしておりますけれども,足りないなど,御不明点がございましたら,おっしゃっていただければと思います。
 議事次第の下のほうに配付資料として書かせていただいておりますが,資料1-1として,「知の総和」答申,それから資料1-2として,将来を見据えた人材育成について,資料1-3として,高校教育改革の動向について,資料2-1といたしまして,令和8年度大学入学者選抜実施要項について,資料2-2といたしまして,大学入学者選抜実施要項の趣旨を踏まえた適切な大学入学者選抜の実施について(意見書)をつけさせていただいております。また,参考資料といたしまして,参考資料1,大学入学者選抜協議会の設置について,参考資料2,大学入学者選抜における総合的な英語力評価を推進するためのワーキンググループでの議論について(報告),参考資料3といたしまして,教学マネジメント指針(追補)をつけさせていただいております。何かございましたら事務局にお申しつけいただければと思いますが,よろしいでしょうか。
 では続きまして,本会議運営に関する留意事項をお伝えさせていただきます。本日は,ハイブリッド方式での開催とさせていただいております。オンラインで御出席の委員の皆様におかれましては,御発言の際は挙手ボタンを押していただきまして,座長からの指名の後に御発言をお願いいたします。
 また,聞き取りやすい御発言,また資料参照の際には該当ページをおっしゃっていただきまして,事務局のほうでそちらお示しするということにしたいと思っております。また,ハウリング等を避けるため,指名後にミュートを解除していただき,発言が終わりましたらミュートを戻していただくという形で,円滑な会議運営に御協力いただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【川嶋座長】  それでは,早速ですが,議題1に入りたいと思います。
 次年度の要項に関する議論に先立ちまして,中長期的な大学入試の在り方について検討する前提としまして,最近の大学教育と高校教育の大きな動きについて,事務局より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【石橋大学振興課長】  大学振興課長の石橋でございます。事務局の異動が多くございましたが,私は残っておりますので,よろしくお願いいたします。今日は,私とこの後,高校担当の橋田参事官の2人で,大学・高校の今の状況を御説明させていただければと思っております。
 まず,資料1-1を御覧いただければと思います。これは,2月21日に中央教育審議会がおまとめいただいた「我が国の「知の総和」向上の未来像~高等教育システムの再構築~」という答申の御紹介でございます。大学関係の皆様はもう何度も御覧いただいているところではあると思いますけれども,今日は,高校関係の方々,それからPTAの関係の方々もいていただいていますので,少し状況を説明させていただければと思います。
 めくっていただきまして,まず,今の社会状況ということも含めてでございますが,高等教育の目指すべき姿というところを書かせていただいております。大学進学者数の推計というものが,これまでは進学率の上昇もございまして,実際に今62.7万人ぐらい,2021年ということで推移しておりますけれども,実は2035年から2040年というところで大幅な大学進学者数の減少ということが起こりまして,現時点から考えますと約27%減少するという状況でございます。
 これに関しては,大学界,高等教育界全体で大きな危機感として捉えておりまして,これに対して何にどういう手が打っていけるのかということで,特に2035年を目指したここ10年が大きな改革の期間であると認識して,我々高等教育局,そして高等教育関係の皆様と日々新しいことにチャレンジしていこうと今,取り組んでいるところでございます。そのときのポイントが,右側でございますが,質の向上,規模の適正化,アクセスの確保という3点のキーワードで整理させていただいております。
 その下を御覧いただければと思いますけれども,質というところですが,学習者本位の教育のさらなる推進ということで,これは前の答申から引き継いだ議論をさせていただいてきておりますけれども,出口における質保証,それから教育の質を評価する新たな評価制度,これは認証評価の見直しというものに今議論を進めていただいているというところでございます。
 また,多様な学生の受入れということで,例えば留学生,それから通信教育の在り方,ここも,通信教育が,これまでの社会人をということではなく,18歳から通信制の大学に入ってくる高校生が増えてきたということも踏まえた議論をしているところでございます。
 また,大学院教育の改革,それから研究力,そして情報公表の推進。ここは特に高校生,それから高校側の進路指導をしてくださる先生方にとって有益な情報をしっかりと出していこうということを前提に議論させていただいております。
 それから,規模でございますけれども,今800余りある国・公・私の大学というものがこの27%減という世界が来たときにどういう規模で存在するべきかということを議論しているところでございますけれども,ここと右側のアクセスは表裏一体の議論でございまして,都市部には学生が集まっているけれども,地方部においてなかなかつらい状況があるというのはもう今実態として進んできておりますが,どの地域に生まれても,そこに学びたい学びがきちんとある,その機会があるということをしっかりと取り組んでいかなければならないと思っておりまして,この両面を見ながら,規模の在り方,再編・統合,縮小,撤退ということもしていきますけれども,一方で,地域構想推進プラットフォームなどで,地域にとって真に必要な高等教育機関をどう残していくかという議論もしているところでございます。
 あと,3のところでございますけれども,設置者別の役割とか機能というような整理,また高等教育改革を支える支援方策の在り方というところがまとめとなっております。
 この後の資料は,今申し上げたことを細かく説明させていただいておりますので,割愛させていただきます。またお時間のあるときに見ていただければと思います。
 7ページ目でございますけれども,大学入学者選抜に関して答申が何を書いているかというところでございまして,ここも青字のところを少し読み上げさせていただきます。大学と高等学校との架け橋となる大学入学者選抜においても,大学入学共通テストの導入や総合型・学校推薦型による入学者の増加等,大きな変化を遂げておりまして,この在り方については,この協議会がまさにその場ということにはなりますけれども,大学・高校関係者も含めた議論をしっかりと進めていく必要があるということで,これからの時代に求められる在り方とは何かということについては,引き続きの議論が必要ということが言われているところでございます。
 あと,加えて,大学進学者数が大幅に減少することに伴い,入学者選抜における選抜機能も低下する中,どのような方法で受験生を丁寧に見るべきかというところも書かれておりまして,まさに今,学習指導要領の見直しが進んでおりますので,高校段階における教育課程等の見直しの動向を踏まえつつということを書かせていただいているところでございます。
 めくっていただいて,8ページ目でございますけれども,ここにおいては,大学入学者選抜における負担軽減の話も研究力の強化という項目の中に入れておりまして,どういう形で大学の先生方のエフォートも考えながらやっていく必要があるかということでございますが,一方で,丁寧に高校生が大学に進学してくるというところを見ていけるかというところについては,バランスをもって考えていかなければいけないと思っております。
 それから,資料1-2に移らせていただきたいと思います。「将来を見据えた人材育成について」ということで,めくっていただきまして次のページでございますけれども,2040年問題ということで,職業間・学歴間のミスマッチについて,これは経済産業省が整理したデータになります。現在の状況を踏まえながらということになりますので,もし今のような労働需要,供給とのミスマッチということを考えると,専門的技術的職業人というものが相当程度足りないのではないかということと,生産工程,輸送・機械,運搬・清掃,このようなところもエッセンシャルに近いと考えるべきかと思いますけれども,こういう方々も供給とのミスマッチが起こってくるということが書かれております。これが,学歴というところで考えますと,実は高卒人材,それから短大・高専人材も足りない,大学の理系,特に大学院卒,両方とも足りないということが一つのデータとして示されているところでございます。
 これに関しては全体のデータでございまして,経済産業省さんにおかれましては,今,地域別のこのようなデータを整理する必要があるのではないかということで,作業をしてくださっているという状況でございます。
 このようなデータを見てみますと,では今の高校・大学の教育システムの中でそれに対応できているのかということが,次のページの11ページのところになります。
 これは高校の先生方には当然御理解いただいている部分なんだろうとは思うんですけれども,OECD/PISAの高校1年生の状況を見ますと,レベル5以上,それから4以上という方々がこれだけの割合いらっしゃるということで,特に女性の場合は,学年女子の37%,また39%という方々が,科学・数学のリテラシーを非常に高い状況で維持されているということでございます。ただ,そこから実際の高校,大学へどう進んでいきますかと見ていきますと,高校段階では普通科の理系が2割,大学入学時には理工農系学部の学生が約1割になっていくということで,当然,修士,博士と進みますと先細るという状況でございます。これに関しては,そのシステムとして十分に子供たちの,特に高校生のこういう能力に対応できていないのではないかという議論を文科省のほうではさせていただいているところでございます。
 めくっていただきまして,2024年と2040年を比較してみると,ということなんですけれども,実際,高校生が約95万人から約65万人,学士が約63万人から約46万人と減っていくときに,このままやっていくと,結局そのままの形でどんどんシュリンクするわけになるんですけれども,理系人材のパイというものを一定程度維持していく必要があるのではないかということ,それから大学においてはむしろ増やすという方向で考えていく必要があるのではないかということのイメージを書かせていただきました。
 設置者別に御覧いただきますと,これは大学でございますが,国・公・私。当然,私学はこれまで,特に大学進学が急増してくる中で,大学を創り,日本の高等教育を支えてきていただいたわけですけれども,ここに関しては人社系の割合が高いという結果になっているという状況でございますので,ここに国としてどのような御支援をしながらこのシステムの改善ということができるのかということを今,議論させていただいているところでございます。
 次のページで,日本の高等教育の構造ということを御覧いただければと思います。恐らく高校生がよく目にするというのは第1世代の大学ということになるのかなと思いますけれども,ここで申し上げますと,主に大都市圏に位置しており,高所得層出身の学生が比較的多い。理工農・保健系比率が比較的低いというのが第1世代の大学ということになりまして,伝統的な大規模校ということでございます。一方で,第3世代,第4世代というのが1975年以降に創られた大学ですけれども,実は大都市圏以外にも立地していたり,規模が比較的小さい,理工農・保健系比率が比較的高く,保健等の地域を支える人材に関する資格関係分野で人材を育成しておりまして,女子学生が比較的多いという形になります。大都市圏以外に立地ということを考えていきますと,さきに申し上げた人口減を加味していきますと,要すれば,そこから,地方から大学,このような第3世代,第4世代の大学から消えてしまうということが起こり得ますので,ここに関してどのように政策を打っていくかということが重要と我々としては考えているところでございます。
 次のページを見ていただきますと,先ほど申し上げました,どのようにこの理系・文系──理系・文系というよりは本当は文理融合ということを進めていかなければいけないと思いますが,一つの整理の仕方として申し上げますと,このリバランスをどう考えていくのかというところでございまして,実は右側を見ていただきますと,高校の改革に関しては,橋田参事官のところで3,000億円に近い数字の基金がこのたびの補正予算で造成されるということになっておりますし,大学に関しましては,成長分野転換基金ということで,既存分の800億円と合わせて約1,000億円の規模ということで,強力に後押しさせていただければと思っております。
 15ページは,理工・デジタル分野の人材育成と文理分断からの脱却に向けた対応方針ということで,今申し上げた予算もしっかりと活用しながら,各大学と高等教育局はしっかりと議論をし,また高校においては都道府県としっかりと議論をしながら,どのようなことが子供たちの将来,それから日本という国を支えていくために必要かということで議論を開始していくというのが今の状況でございます。
 次のページは,地域のほうで先ほど申し上げましたプラットフォームのイメージでございますので,また後で御覧いただければと思いますが,ここも,高校改革と連動したということが非常に重要と考えておりまして,これまではややもすると大学と自治体と産業界というところでございましたが,ここにしっかりと高校の関係者の方々にも入っていただいて,まさに人材育成は,小中義務が終わった後からは,社会に出ていってもらうという意味の人材育成が高校からスタートしてまいりますので,一緒に考えていくということが必要かなと思っております。
 あと,御参考でございますけれども,17ページには,この後,デジタルとかAIとかが重要になってまいりますけれども,大学入学共通テストにおける数学の受験率なども参考に入れさせていただいております。
 私からの説明は以上でございまして,この後,橋田参事官に譲りたいと思います。
【橋田参事官】  失礼いたします。文部科学省の高校担当参事官の橋田でございます。よろしくお願いいたします。私事になりますけれども,かれこれ10年ほど前,大学入試室長として仕事をさせていただいておりました。当時,川嶋座長をはじめ,本日御出席の多くの皆さんにお世話になりました。本日こうした形で再会できる先生もおられまして,私自身大変うれしく思っているところでございます。お初にお目にかかる先生を含め,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,資料1-3,20ページを御覧ください。現在,文部科学省では,松本文部科学大臣の下に人材育成システム改革推進タスクフォースを設置いたしまして,高校から大学・大学院までを通した人材育成システム改革をはじめ,高校教育,高等教育,リ・スキリング,科学技術人材育成等について,トータルに議論を進めようというところで進めているところでございます。
 次の21ページを御覧ください。このタスクフォースの課題,方向性のイメージでございますけれども,先ほど石橋課長からも説明がありましたけれども,今後の労働人口減少,産業構造転換に対応するために,産業イノベーション人材の育成が急務という中で,産業界の参画を得て,高校・大学・大学院を一体的に改革していこうと,「人への投資の好循環」の実現を目指していこうということで,この下のほうにございますように,社会変革を見据えた徹底した高校教育改革,大学教育の構造改革,またそうした産業イノベーション人材の育成を強化する仕組みの創設,こういったものにトータルに取り組んでいこうというところでございます。
 そこで,資料の22ページを御覧ください。こうした中,高校教育改革の取組のところでございますけれども,実は背景といたしましては,現在,いわゆる高校無償化ということで,来年の4月から私立の授業料支援が拡充されますけれども,そうした中,自民党,公明党,維新の会の3党の議論の方向性の中では,高校の無償化と併せて,公立高校支援,高校改革,これに関わるグランドデザインの策定が盛り込まれているというところでございます。そうした中,私どもとして,先月末,高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン(仮称))の骨子を公表したというところでございます。今後,各方面の御意見を頂戴しながら,年度内には確定したいと考えております。
 その上で,資料の22ページの1ポツの「グランドデザインの背景」の部分でございますけれども,社会状況の大きな変化,いわゆる2040年問題ということで,少子高齢化とか,労働力需給のギャップ,理系人材の不足の可能性という中で,今後,高校から大学・大学院に至る一貫した改革によって,強い経済や地域社会の基盤になる人材育成を実現していこうというところでございます。
 視点については大きく3本,柱を立てております。視点1については,不確実な時代を自立して生きていく主権者として,AIに代替されない能力や個性の伸長,視点2としては,我が国の経済・社会の発展を支える人材育成,視点3については,一人一人の多様な学習ニーズに対応した教育機会・アクセスの確保ということで,この3つの視点を基盤としながら取組を進めていくというところでございます。
 2ポツの「高校改革の方向性~2040年に向けた高校の姿~」というところでございますけれども,視点1のAIに代替されない能力や個性の伸長のところでございますけれども,義務教育の成果をさらに発展させるとともに,知識の理解の質をさらに高め,確かな学力を育成していくという前提の下に,言語能力,情報活用能力,他者と協働する力などを育成していくということ,また生徒一人一人の能力の伸長,主体性の涵養を図っていくというところでございます。
 それを実現するための取組の方向性ということで,個々の生徒の学習ニーズへの対応に向けた教育課程の柔軟化やデジタル技術の活用というところでございますけれども,現在,次期学習指導要領の改訂に向けた議論もなされているところでございますので,そうした状況も踏まえながらこの取組を進めていくというところでございます。
 また,高校の教育の質の保障に関わって私どもが重視しておりますのが,校長のリーダーシップの下でのスクール・ミッションやスクール・ポリシーに基づく学校運営や教育活動の具体化,生徒の学びの成果・課題の把握と教育活動の改善への反映,公表の仕組みの構築というところでございます。あわせて,高校入試における多様な背景を有する生徒の特性等の多面的な評価にも取り組むことにしております。
 その上で,次の23ページの上側のところでございますけれども,ここの部分は高等教育局ともいろいろ相談して盛り込んでいる内容ですけれども,高校までの学びの成果を適切に評価できる大学入試の検討や,主体的・自律的に学修するための環境構築,「出口における質保証」への改善を大学に促し,高校教育から大学教育までを通した一貫した改革に取り組んでいくという内容も盛り込んでいるというところでございます。
 視点2の我が国の社会・経済の発展を支える人材育成というところでございますけれども,理系人材の不足,地域の経済社会を支えるエッセンシャルワーカーの圧倒的不足が懸念されるという中で,今後の方向性といたしましては,理数系やDXに関する関心の向上,探究・文理横断・実践的な学び,専門高校における指導運営体制の充実と,さらに少し下のほうへ行っていただきまして,理数・デジタル系の素養,文系的な素養の双方が重要であるといったところ,普通科に偏った学科構成の見直し,専門高校の機能強化,さらに大学教育における理工・デジタル系人材育成の強化等の取組を有機的に連携・連動という内容も盛り込んでおります。あわせて,国内外の大学等とも連携しながら,グローバル人材を育成していくというところでございます。
 視点3は,一人一人の多様な学習ニーズに対応した教育機会・アクセスの確保というところでございますけれども,少子化が加速する地域における高校教育の維持や学びのアクセスの確保等が重要という中で,取組の方向性としては,一定規模の確保,小規模校を含む学校間連携や遠隔授業の推進,通信制高校の管理運営の適正化,個々の生徒の教育的ニーズに対応した特別支援教育,また日本語指導等に関する内容も盛り込んでいるというところでございます。
 下の米印のところでございますけれども,視点1から3を踏まえて,例えば,いわゆる理系人材の育成や専門高校における人材育成等に関する目標設定を検討することにしております。年度内の確定に向けては,何かしらこういった目標も設定できるようにしたいと考えております。
 続いて24ページを御覧ください。3ポツの高校教育の充実に向けた支援,(1)のところでございますけれども,基本認識にございますように,公立高校は,地域における高校教育の普及や機会均等を図る重要な存在であるということで,修学支援金制度の見直しによる専門高校を含む公立高校への影響を考慮して,公立高校への支援の拡充をしていくというところでございます。
 今後,本グランドデザインを踏まえ,都道府県において実行計画を策定し,安全財源を確保した上で,令和9年度に新たに創設する交付金等により支援するという内容を盛り込んでいるということが一つでございます。
 さらに,こうした計画の策定に当たっては,都道府県知事等の首長や関係部局,地域や産業界との連携・協働ということを盛り込んでおりますけれども,例えば先ほどありました地域構想推進プラットフォームとの連携を含めて,ぜひ大学関係者とも連携いただきながら取組を進めていきたいと考えております。
 また,実行計画については,主として公立高校の取組を記載することを想定しておりますけれども,都道府県の判断により,私立高校の取組を記載することも可能ということで整理しております。
 さらに,こうした交付金の創設に先立ちまして,パイロットケースとして,今回,都道府県に基金を設置し,改革を牽引することにしております。これについては,また後ほど詳細を説明させていただきます。
 その上で,高等専門学校の新設については,国の「大学・高専機能強化支援事業」等の支援により促進していくということで,高専の課題を盛り込んでいるというところでございます。
 さらに,交付金の対象となる取組といたしましては,3本柱,専門高校の機能強化・高度化,普通科改革を通じた高校の特色化・魅力化,地理的アクセス・多様な学びの確保ということで示させていただいております。
 続いて25ページを御覧ください。こちらのほうは個人支援の充実でございますけれども,いわゆる高校無償化の詳細な制度設計,さらに低中所得層への奨学給付金制度でございますけれども,その拡充については,その具体化を検討するという内容でございます。
 その上で,続いて資料の26ページを御覧ください。高校教育改革促進基金の創設ということで,昨日,補正予算が成立しましたけれども,約3,000億円規模の予算が確保できたというところでございます。背景といたしましては,先ほどの無償化に併せて公立高校等への支援が重要であるという中で,グランドデザインに沿った緊要性のある取組について,先行的に支援するというものでございます。
 中ほどにございますように,各都道府県に基金を設置し,類型に応じた改革を先導する拠点のパイロットケースを創出し,取組・成果を域内の高校に普及するという内容でございます。
 大きく3本柱がございます。アドバンスト・エッセンシャルワーカー等の育成支援ということで,技術革新のスピードが加速する時代に適した課題解決能力の獲得に向けて,探究的・実践的な学びの積み重ね等を実現するというものでございます。
 さらに,中ほどの理数系人材育成支援については,先進的な新たな知を生み出す力を育成するため,理数的素養を身につけつつ,自ら問いを立て,解決する研究を行う高等教育を見据えた文理融合の学びを実現するというものでございます。
 右側については,多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保というところでございますけれども,地域の教育資源を活用した学びや遠隔授業を活用した学びの提供を実現するというところでございます。
 あわせて,取組内容例にございますように,学校と地域の連携による学力向上・学習支援のための取組,探究活動の深化による多様な進路に向けた支援を行うというところでございます。
 また,学科・コースの再編等のほか,高等教育機関・地域・産業界との連携,外部人材の登用,域内の教育環境向上に関する取組等に関する支援ができるようにということで,予算を何とか計上しているというところでございます。
 今回の予算成立に当たりましては,高校・大学関係者の,とにかくここを変えていく必要があるという声が大きな後押しになったというところでございます。またあわせて,合田局長をはじめ高等教育局の皆さんが,とにかく高・大一緒に変えていくんだという不退転の決意の下に知事会,また関係議員に御対応してくださったというところがこの成果にもつながっているところでございます。今後,この広報等に向けた準備を進めていきたいと考えております。
 最後,28ページを御覧ください。DXハイスクールでございます。こちらは補正予算で52億円を確保しているというところでございます。こちらも,大学教育段階でデジタル・理数分野への学部転換が進むという中で,高校段階でのデジタル人材育成に取り組んでいくという内容でございます。令和5年度補正から取り組んでおりますけれども,既存の1,200校分と併せて,今回新規100校分を確保しているというところでございます。ICT機器の整備とか,専門人材を活用できることになっておりますけれども,情報II等の科目開設,さらには高校の学びの変革につなげていきたいと考えております。
 既に大学関係者の皆さんにも縷々御協力いただいているところでございますけれども,一層,こうした観点からも御協力をよろしくお願いできればと考えております。
 私からの説明は以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。
 ただいま,石橋課長,橋田参事官から,大学教育の改革の方向性,高校教育改革の方向性について丁寧に御説明いただきました。
 ただいまの御説明について,その内容について御質問や御意見,また大学教育と高校教育の今後の方向性の御説明の中でありましたように,今後,大学入試についても中長期的な在り方を検討する必要があるかと思いますけれども,その今後の在り方についても,もしこういう点から検討したほうがよいのではないかという御意見があれば承りたいと思いますので,挙手ボタンあるいは画面で手を挙げていただければと思います。
 小川委員,どうぞ。
【小川委員】  小川でございます。本日は少しお時間をいただき,産業教育の視点から大学入学者選抜の在り方について意見を申し上げます。まずは,受験生を丁寧に見るという方針や,方向性について,御配慮いただいていることに感謝申し上げます。
 
【川嶋座長】  どうぞ。
【小川委員】  すみません。ではよろしくお願いします。
 冒頭,方針として,受験生を丁寧に見るという点,産学連携,あるいは専門高校の機能強化という点で,御配慮いただきましてありがとうございます。本日は,産業教育の視点から大学入学者選抜の在り方について少しお話をさせていただければと思います。
 まず,高校教育の多様化が進む中で,産業教育に関わる生徒の学びは年々高度化しております。商業,工業,農業,水産,家庭,看護,情報,福祉といった8つの分野では,高校段階から専門的な探究活動や実践的な課題研究が進みまして,共通教科だけでは計り知れない能力がそこでは育成されております。特にAIやロボティクス,デジタル産業での発展が急速に進む現在,生徒が高校段階で身につけている能力はAIに代替されにくい領域に強みがあると思っています。
 例えば,実践的なデータ分析,コンサルティング型の課題解決,水中ドローンや自立型ロボットの開発,地域産業企業との共同研究など,普通科では得にくい高度な専門性と創造性を既に獲得している例も多く見られます。
 例えば,商業では,佐賀県の高校が,タクシー会社の配送業務における巡回セールスマン問題を解決するウェブアプリを自作して,生徒たちがPythonやJavaScriptを操り,遺伝的アルゴリズムを用い,プロのドライバーの勘に迫る最適ルートを導き出しております。
 また,岐阜県の商業高校では,地元のアパレル企業の経営改善コンサルティングを行い,在庫管理の不備に対して,クラウドサービスのkintoneを導入してDX化を推進し,さらには正味現在価値法を用いて投資対効果を社長にプレゼンして,実務への投資を引き出しております。もはやこれは大学の経営学部で行うゼミ活動と同等かそれ以上の実践であると思います。
 工業や水産の分野でも同様でございます。北海道や福島県の水産の高校では,漁業の担い手不足や環境調査のために,安価で高性能な水中ドローンや,スマートセンサーブイを開発しております。これらを既製品の10分の1のコストで製作しまして,Google Apps Scriptを用いて海況データをラインに自動通知するシステムまで構築しております。
 工業高校生が挑むロボット相撲やマイコンカーラリーでは,高度センサー制御等プログラミングの技術が競われており,これらの技術は日本のものづくりを支える基盤そのものとなっています。
 これらの事例から分かることは,彼らが専門高校生だからといって基礎学力が不足しているわけではないということです。彼らは,直面した課題を解決するために,数学を道具として使い,英語の技術書を読み解き,情報を駆使しています。つまり,大学が求める主体的に学ぶ力を既に獲得しているわけです。これらの生徒は共通教科についての基礎学力をしっかり身につけており,大学進学後の学習に全く不安はございません。高校時代からむしろ興味と目的意識を持って専門分野に向き合ってきた経験が,大学の4年間,さらには高大接続を意識した7年間の体系的な教育により,大きな力を発揮していくと思います。DX人材の育成など,社会が求める基盤となる人材を養成する上で,産業教育の学びは今後も重要な役割を果たし得ます。
 一方で,大学入試の多くが依然として共通教科中心の学力を重視,もしくはそれを意識せざるを得ないところがあり,今までは専門高校・専門学習の成果が十分に評価されない事例もございました。原因として中学校・高校の多くの教員が普通科出身であることも相まって,産業教育の価値が適切に伝わりにくいという構造的な課題もあるのではないかと思っております。こうした状況を踏まえ,今後御検討いただきたい点について,3点,最後に述べさせていただきたいと思います。
 第1に,令和5年度にありました「専門学科・総合学科の卒業生選抜」という枠組みの復活についてです。
 第2に,資格取得,探究活動・課題研究,全国大会の成果発表,プレゼンテーション能力など高校3年間で積み上げた学びを,今も評価していただいていると思いますが,より正当に評価していただく選抜方法を拡充していただきたいという点です。これらは大学教育や将来の専門人材育成に直結する資質でありまして,入学段階で既に高い学習とポテンシャルを備えております。
 最後になりますが,地域に根差した大学が,地域産業の担い手を育てるという使命の下,産業教育に取り組む高校生に対して,より広く門戸を開いていただきたいという点です。地元の大学が地域の高校生を積極的に受け入れることで,地域に貢献する学びの循環が生まれ,その結果,首都圏への人材流出の抑制にもつながると考えております。産業教育を履修した生徒は,高い意欲と専門性をもって大学での学びに臨む準備が整っています。ぜひ,多様な学びを受け止め,未来の産業を担う人材を育成する観点から,大学入学者選抜において,産業教育の成果が適切に評価される仕組みの整備について,御検討をお願い申し上げます。 
 以上でございます。ありがとうございました。
 
【川嶋座長】  貴重な御意見,ありがとうございました。今でも多様な背景を持った高校生を積極的に受け入れるようにという方針も出ておりますし,各大学にあっても一般選抜以外のところで専門高校卒業生の受入れを進めているところもありますので,今いただいた意見を基に,またさらに検討を進めていければと思います。ありがとうございました。
 ほかの委員の方々,今,大学教育改革,高校教育改革について,何か御質問,御意見があれば,あるいは今後の入試の方向性について御意見があれば承りますが,いかがでしょうか。
 小方委員,どうぞ。
【小方委員】  既に私自身,今御説明のあった答申の方向性からずれている可能性もありますが,全体としてはおおむね賛成しつつ,若干違和感を覚える点がありますので,少しお話しさせてください。1つは,問題設定が人口減少を起点としている点です。その必要性は理解していますが,既存の産業側の都合にやや寄り過ぎているように感じます。社会が必要とする人材像が先にあり,教育がそれに対応するという考え方は理解できますが,高等教育には社会の在り方そのものを考えていく役割もあるはずです。社会が求める人材像をあらかじめ固定し,小・中・高・大学すべてをそれに合わせていくという方向だけでよいのか,という違和感があります。理系・文系の構成についても,人文社会系が多過ぎるという議論自体は理解できます。ただ,AIの進展などを背景に人文社会系の教育内容も変化していますし,工学部や理学部など,いわゆる理系分野の中身も大きく変わっています。そのため,単純に文系を減らして理系を増やせばよい,というメッセージとして伝わることには懸念があります。理系も文系もそれぞれ再編が必要であり,その上で全体の構成をどう考えるかという議論が必要です。また,今後は理系と文系の中間に位置するような分野も増えていく可能性があります。人文社会系を擁護するということではありませんが,単純な文系縮小・理系拡大という説明に聞こえる点には違和感があります。もう1点は,若者の進路選択についてです。理系を選ばない理由が,社会や企業の在り方ではなく,本来は進めるはずなのに進んでいないという形で,教育機関側の責任にかなり寄せられているように感じます。高大接続を含め,小・中・高・大学を通じて教育改革を進める必要があること自体はそのとおりです。ただ,高校生や大学生がある分野を選ばないということは,言い換えれば,その分野やその先の社会・産業に十分な魅力を感じていないという面もあります。社会や産業自体がどのように変わっていくのかという議論が十分でないまま,教育側だけに事後的な反省や改革を求めることには違和感があります。全体として答申の方向性にはおおむね賛成していますが,この分かりやすい整理の中にこうした論点が残ったまま,入試改革や教育内容の改革を進めてよいのかという点については,少し慎重に考える必要があるのではないかと思います。
【川嶋座長】  ありがとうございました。大学教育の理系の分野,文系の分野も,現在大きく変わりつつあるので,その現状をしっかりと踏まえて今後のことを考えてほしいという御意見や,あるいは大学を含めた教育機関に対して,かなり過大な負荷がかかっているのではないかという御意見だったと思います。ありがとうございました。
 ほかに御質問,御意見のある方はございますか。特にございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは,貴重な御意見をありがとうございました。
 石橋課長からコメントがあるそうです。失礼しました。
【石橋大学振興課長】  小方委員,ありがとうございます。私も長くこの世界をやっておりますと,気持ち悪さは共通に私自身も共有するところもありましたので,今少しコメントさせていただこうかなと思いました。
 私の説明が少し抜けていたところもあったかなと思うんですけれども,まさに経産省のデータというのは現在の産業構造をベースにしておりまして,産業界がどう変わっていくのかまでがこのデータの中に盛り込まれているわけではないというのは,御指摘のとおりだと思っております。現在,経産省とも我々は議論をしながら,どう変わっていくのかも一緒に議論をしていかないと,まさにそれが,高等教育が提供してくる社会の在り方がどう変わっていくのかをむしろ高等教育の世界の中でしっかりと議論をして,それに対して社会にも提言をしていけるというのが高等教育の在り方だと思っておりますので,そこはしっかりと我々もそこにコミットしながらやっていきたいなと思っております。
 また,理系・文系も分かりやすさと,まさにおっしゃってくださったとおりで,分かりやすさが大分前面に出ておりますので,問題意識を皆さんと共有するための最初のステップとしては,こういう説明もあり得るとは思ってはいますけれども,こんなに簡単に話が分かるわけではないというのもおっしゃるとおりだと思っておりますので,今の高等教育の変化,それから学問の在りようというものもしっかり見ながら,大学関係者の皆様とは御議論を進めていければと思っております。ありがとうございます。
【川嶋座長】  ありがとうございます。
 それでは続きまして,本日,スケジュールの都合上,先だって開催された大学入学者選抜における総合的な英語力評価を推進するためのワーキンググループでの議論の概要を簡単に御報告していただきます。
 まず,事務局より資料の説明をお願いします。
【田島大学入試室長】  失礼いたします。それでは,参考資料2,参考資料の3ページ目になりますけれども,こちらを使いまして簡単に御報告させていただきます。
 今年度,英語の資格検定試験におきまして不正事件が明らかになったということがございまして,この英語の資格検定試験というのは,大学入学者選抜においても利用していただいているという状況もございますので,各試験団体において講じている不正防止対策等につきまして知見を共有するということを目的に,大学入学者選抜における総合的な英語力評価を推進するためのワーキンググループ第5回を11月12日に開催させていただいたところでございます。
 この場では,今般明らかになった不正事件の概要の御説明と,また各試験団体においてどういう取組をしてお互いに防止対策をしているかということを御発表いただきました。各試験団体によりまして試験の態様が大きく異なっておりますので,完全に同一の対策がそのまま適用可能ということにはなりませんけれども,大規模な試験会場でペーパーベースでやる試験,あるいはある程度限られたコンピューターベースのテストセンターで行っている試験,あるいは高校などの学校でやっていただいている試験,あるいは自宅で受験生が自らパソコンで受けるような試験,いろいろな形態がございますので,こういう形態それぞれのリスク等も踏まえつつ,各団体で現在様々な工夫をしていただいているということでございます。
 その場で御発表いただいた内容の概略を資料に抜粋させていただいておりますが,まず試験実施前の対策といたしましては,疑義のある申込み,あるいは本人確認,この辺りを特に厳重に行うということを現在気をつけているという御発表がございました。
 試験当日に関しましては,自宅で受験する場合は,試験を受けるパソコン以外のスマートフォンなどでセカンドカメラを使って,周囲に不正に関与しそうなものがないかどうかということをチェックしたり,画像をAIでチェックして,怪しいところにアラートを鳴らすような様々なテクノロジーを導入しているという御発表がございました。
 また,会場で受験する場合は,特に生体認証等も使って本人確認を行うとか,あるいは電波探知,セキュリティカメラ,またリアルタイムでの映像監視という技術的な対応というものを行う。あるいは受験者ごとに問題が違うとか,あるいは試験会場への持込物を制限するということで,ある程度,仕組み的に不正対策を行っているという事例の御発表がございました。
 試験後につきましては,現在,資格検定の試験の結果について,紙ベースでやり取りをするということもまだ多いようではありますけれども,むしろデジタルで直接試験団体から大学等に送付するという仕組みを設けていて,こういうほうが改ざんが防止できる,あるいは何か問題があったときに直ちに大学側に通知ができるという仕組みを構築しているというお話がございました。
 次のページへ行っていただきまして,改ざんの防止加工等の取組も行っているということでございました。
 その後,参加いただいた委員の方を含めての意見交換の中では,本人確認を厳格にするということになりますと,確認時間が長くなったり,あるいは個人情報の取扱いをどうするのかという辺りが問題にならないでしょうかという御指摘もありまして,これについては,実際上,ある程度試験の前のチェックの時間が長くなったりするということはどうしてもあるという実態の御発表もありました。しかしながら,しっかりと本人確認をやるということの重要性から,そこはやむを得ないということで,ある程度の対応をしていると,あるいは全体の試験時間を含めて,過度に長くならないような工夫等も行っているというお話もございました。
 それから,個人情報については,関係の様々な標準がございますので,そういう標準にきちんと則って取り扱うということを徹底しているということでございました。
 それから,サイバーセキュリティが特に最近大きく問題になる中で,何らかの事案があるのかという話がありましたけれども,現時点で我が国でサイバーセキュリティの問題で何か大きな不正事案があったという御報告はございませんでした。ただし,古いシステムから新しいシステムへセキュリティ対策を講じていくということについては,一定のコストがかかっていくということや,一方で,一部のベンダーあるいはサービスに依存していると支障を来すということもあり得るので,そこはどうしても分散対応などをしていかないといけないということで対応が進められていますという御発表があったところでございます。
 私からの御報告は以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。
 続きまして,このワーキンググループの座長を務められております沖委員より追加のコメントをお願いします。
【沖座長代理】  沖でございます。よろしくお願いいたします。
 今の田島室長からの説明の内容でほぼ尽きてはおりますけれども,主査として見ておりまして,大きく4点,確認をするべきかなと,今後の課題も含めて,考えております。
 1点目は,確かに今回は直接的には報道されたような大きな事件があったということから,必要に応じてこのワーキンググループを開催したということにはなりましたけれども,その後の対応も含めて,相当丁寧に行われている。また,そうではない団体も非常に丁寧にチェックをしている,不正防止をしているということ,また事件をきっかけにさらに丁寧に行っているという報告が聞けたという点は,我々としても一安心ということかと思います。
 一方で,不正を試みようという人がゼロになる見込みは多分ないわけなので,常に新しい状況,新しい機器などを使ってのいたちごっこのような様相を呈していて,いきなり新しいことが起こらないとも限らないというリスクはどうしてもある。現時点では最善を尽くしていてもさらに乗り越えてくるということは,我々としてもある程度意識,覚悟しておかなければならないなということも改めて認識いたしました。
 なので,結局万一のときに,特にこれは直接的には大学側の課題ということになると思いますけれども,どのような対応をしていくのかということも,個別の大学,特にこういう試験を使っているような大学が,どのタイミングで不正を把握するかということで,もし不正を行った方が入学してしまっているような事態に対してどのように対応するかなども,一通りそれなりにきちっと個々の大学でもう既に検討していると思いますけれども,改めて確認をしておく必要があるかなと思っております。
 最後に今,田島室長からも言及があったんですけれども,こういう不正防止はやればやるほど,やはりコストの問題に跳ね返るリスクがあるなということは共有されたのかなと思います。この辺りをどう考えていくかは,ちょっと答えはないんですけれども,我々として今後の課題として共有しておいたほうがよいかと思いました。
 私からは以上です。
【川嶋座長】  沖委員,ありがとうございました。
 それでは,ただいまの田島室長と沖委員から御説明がありました英語の外部検定試験における不正に関する御報告について,何か御意見とか御質問があれば承りたいと思いますが,いかがでしょうか。
 特にございませんか。
 それでは,沖委員,ありがとうございました。
 それでは,この問題についてはこれにて終わりにしたいと思います。
 続きまして,議題2に入りたいと思います。令和9年度大学入学者選抜実施要項についてでございます。
 まず,事務局より資料の御説明をお願いします。
【石橋大学振興課長】  ありがとうございます。資料2-1は,令和7年6月3日に通知させていただきました,令和8年度の大学入学者選抜実施要項でございます。新しく入られた方々も何人かいらっしゃいますけれども,多くの先生方はこれの策定に関わっていただきまして,本当にありがとうございました。
 そういう意味では,基礎学力の確認は大事であるということを一つ認識した上で,多面的・総合的な入試方法を行うべきということが今回の改定の趣旨であったわけですけれども,我々としては,その趣旨を各大学に対して徹底してきたつもりではあったわけですけれども,不十分な点があって,この改定の趣旨を換骨奪胎するような入試が現在行われているのではないかということについて,高校側からも懸念が提言されておりますし,我々としても極めて遺憾であると思っております。
 年内学力入試による大学入学者選抜の早期化ということが高校教育に大きな影響があるということについては,今日御出席の委員の先生方には当然のこととして受け止められているのではないかと思いますし,我々としてもそれは看過できないと考えております。
 他方,総合型選抜の評価は,志願者を多面的・総合的に評価するという側面と,高校の学びの成果,先ほど専門学科のお話はございましたので,基礎学力のみということではないんですけれども,この学びの成果を適正に評価するという側面のバランスを取る必要があると思っておりまして,これは高校・大学どちらかで解決できるわけではなく,高校教育・大学教育にまたがってしっかりと考えるべき難しい課題でもあると我々としても認識しております。
 その中で,高校における基礎学力を含めた学力の定着ということの努力は日々行われているというところで認識しておりますけれども,実際どのように定着しているかということを大学入学者選抜において確認するのかと,この点においては,ぜひ今日御出席の委員の先生方から知恵をいただければと思っておりますし,この点についてまさに川嶋座長の下に皆様で御議論をしていただければ大変ありがたいなと思っております。
 先ほどの説明の中で,我々高等教育局と,今日は橋田参事官に出席いただいておりますけれども,初等中等教育局は非常に強い連携の中で進めておりますけれども,この中で高等教育・大学教育の一体改革,特に高校においては専門学科であったり,普通教育の充実,また大学においては文系・理系というのを簡単に分けられないというのはもう先ほどの御説明のとおりでございますけれども,理工農系をどう考えていくのか,また文系の教育環境としてのST比をどう考えていくのか,AI・デジタルの中で理数というものをどう学んでいくのかということについては,しっかりと取組を進めていきたいなと思っております。
 そういう意味でおさらいをさせていただきますと,資料2-1を御覧いただきますと,32ページのところに,まさに第3の入試方法(2)の総合型選抜のところで,「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせつつ,以下の点に留意して評価・判定する入試方法」ということが書かれておりまして,その②のところに,「入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する」ものであるということでございます。
 それから,33ページの第4の試験期日等のところを御覧いただければと思いますが,2の(1)試験期日のところのなお書きというところにも,まさに「個別テストを実施する場合には,丁寧に評価」というところを書いていただいたというのが改定の趣旨でございますので,おさらいをさせていただきました。
 私からの説明は以上でございます。
【川嶋座長】  御説明ありがとうございました。
 続きまして,この点に関して,全国高等学校長協会から本協議会の座長宛てに意見書が提出されております。つきましては,内田委員より意見書の内容などについて御発言をいただきたいと思います。
 内田委員,よろしくお願いします。
【内田委員】  ありがとうございます。全国高等学校長協会会長,東京都立三田高等学校長の内田でございます。本日は,早期にこの大学入学者選抜協議会を開催していただいてありがとうございます。
 私どもといたしましては,一部大学につきまして,選抜実施要項の発表前に高校の進路担当の教員を集めた入学選抜の説明会を実施した折に,その大学が調査書,それから小論文,学力検査の組合せによって総合型選抜を実施する。その点数割合については,10点,10点,200点,もしくは10点,10点,300点という形の非常に学力重視の形。ほぼ一般選抜と同様の入試を実施するということが明確に示されておりましたので,それは令和8年度大学入学者選抜実施要項の趣旨,多面的・総合的に合格者を決定するというところから外れているというところがございましたので,前任の大学入試室長に対して,これは明確な要項違反ではないかと申し上げ,実際にこの要項の発表前でもあったものですから,全高長としては,一度合意した内容についても合意を破棄することにつながると申し上げてまいりました。
 しかしながら,既に要項を決定する手続きが終わっていたため,今年についてはやむなくそのまま入学者選抜を進めていただくというところに至ったわけですけれども,現状として,その大学が他大学に対して,あるいは受験産業に対して,あるいは受験者に対して,共に取り組みましょうという呼びかけもされているという情報もありました。実質,首都圏の大学で実施校が27校に広がっているという話もありまして,私どもとしては,この学力検査を中心とする一般選抜の前倒しの形の入試が行われるということについて非常に危惧したわけでございます。そういったことも踏まえまして,6月20日,川嶋座長に対しまして意見書という形で,今,画面に映っております資料の意見書を出させていただきました。
 高校教育改革,高大接続改革の中,高校としては,単に教科・知識偏重の教育から,主体的・対話的で深い学び,教科横断型の授業展開ということで,様々工夫してまいりました。そういった授業での工夫,指導での工夫を図っていただける。また,先ほど小川委員からお話がありましたけれども,専門学科を含めた非常に多様な学びを実践している学校の生徒の力を総合的に把握し,入学選抜に生かすという意味では,非常に意味のある入試制度ではないかと考えている中,こういった一般選抜の前倒しは,高校教育の基本を阻害することにつながりかねないと危惧しているわけでございます。
 本日参加の委員の先生方におかれましては,それぞれの大学で総合型選抜の工夫をされていて,こういった大学とは異なる多面的な力を図っていらっしゃると思いますので,この入試方法について委員の皆様がどうお感じになっているのか,御意見をいただいた上で,どういった入学選抜が適切なのかということを改めてお伺いして,今後の方向性を探ってまいりたいと思います。
 こちらのほうでお許しいただければ,画面共有をさせていただいて,一連のところについて若干説明を加えさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
【川嶋座長】  どうぞ,お願いします。
【内田委員】  こちらが先ほどの資料の意見書でございます。様々な機関,私どもの全高長でもアンケートを実施しましたけれども,様々な受験産業も含めたところでアンケート調査が行われております。毎日新聞等でも報道されておりますけれども,「年内学力入試否定的」というところで,高校教員へのアンケートの中では,実際の高校のカリキュラム,教育課程に影響が出るということで,反対意見が多いということが出ております。
 3月13日に実施されました協議会で,私大連様から御提案をいただいた実施要項を遵守した入学者選抜の実施を徹底するということでお示しいただいて,私どもも含めまして,また中高連の合意も得まして,学力検査について,学力の部分について,高校での学びに十分配慮した上で実施するということで合意させていただいたわけですけれども,それが実質,守られず,今,画面に示させていただいたとおり,一部のある大学ですけれども,このような形で学力検査の得点,それから調査書所見,さらに事前課題ということで小論文ということの割合,実際には学力検査が9割を超えるという状態が展開されております。
 進路担当の教員が一部大学側に質問したところでは,小論文はあまり重視しませんという話,またこの大学は総合大学ですので,様々な学部学科がございますけれども,全てが共通問題で実施され,さらには小論文についても共通の課題で実施されるという現状がございます。これを総合型選抜とみなしていいのかというところは,我々としては甚だ疑問と考えております。
 先日12月9日には松本文科大臣から懸念が示され,これについても是正していく方向性がこの会議体の中で話し合われるだろうと言っていただいて,非常に心強く思っておりますけれども,正しい入試が行われますよう皆様方の御協力をお願いする次第でございます。
 そういった中,私どもといたしましては,改めて実施要項の遵守と実施要項の趣旨を尊重した入学者選抜の実施を求めたいと思います。そして,高大接続改革における議論も踏まえまして,総合型選抜や学校推薦型選抜については,多面的・総合的な評価を実施するという基本原則に立ち戻り,その上でこのように提案をしたいと思います。
 今般の一部の大学による一般選抜と変わらない学校推薦型入試及び総合型選抜の実施に鑑み,年内入試での教科・科目に係る基本的な知識を問うテストで基礎学力を把握することに関する合意について,改めて全国高等学校長協会としてお願いをしたいと思います。
 個別学力検査,各大学で実施する一般選抜における学力検査並びに総合型選抜及び学校推薦型選抜において実施する場合の学力検査の期日については,2月1日以降としていただきたいと思います。
 これは,令和8年度以前,令和7年度の入学者選抜で実証された内容に戻すということで考えておりますので,これを基本といたしますが,既に基礎学力検査について工夫しながら実施されている大学もあると承知しておりますので,こういった大学の工夫が生かされるということでありましたら,大学側の工夫について,具体的に違反する大学が出ないような縛りというところを設定するということも一つではないかと思いますので,御検討をよろしくお願いいたします。
 私からは一旦ここまでとさせていただきます。御検討をよろしくお願いいたします。
【川嶋座長】  内田委員,御説明ありがとうございました。最後のところは非常に重い御意見だったと思います。
 ただいまの内田委員からの御説明あるいは全国高等学校長協会からの御意見につきまして,各委員からその受け止め方等について承りたいと思いますので,挙手ボタンでお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。
 小川委員,どうぞ。
【小川委員】  恐れ入ります。小川です。よろしくお願いします。先ほど内田委員から,関東圏でもう27校に広がりつつあるというお話で,私も専門高校の立場でいろいろな大学に回らせていただくときに,今は遵守しているけれども,大学の経営のほうもあるので,今後は分からないという回答が多くなってきております。非常に危惧を感じておりますので,どうぞよろしくお願いします,御検討を。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございました。
 今度は渡邊委員ですかね。お願いします。
【渡邊委員】  よろしくお願いいたします。同じく全高長で大学入試の対策委員会の委員長を務めております東京都立上野高等学校の渡邊と申します。本委員会での議論も踏まえまして,先ほどありました内田委員と同じ趣旨で2点意見を述べさせていただきます。
 まず,大学入学者選抜実施要項の遵守ということです。言うまでもなく,この要項は国公私立大学及び高等学校関係団体の代表者で構成されるこの協議会で協議して合意した内容です。かつ,大学入学者選抜は,高等学校における教育と大学における教育を継続する教育の一環として実施されるものであり,高等学校における適切な教育を阻害することとならないように配慮することが求められているものです。ですから,協議し,合意した内容を遵守することは当然のことであり,関係団体の信頼の上に立っているものであることを再度認識するべきと考えています。
 また,この合意は,関係団体の皆様の意見を十分に踏まえ,今年,去年だけではなく,これまで長い時間をかけて積み重ねられてきたものであり,そうしたこれまでの議論の積み重ねをまた併せて尊重すべきものと思います。
 今,内田委員からもありました,今般の一部の私立大学におけるいわゆる基礎学力テスト型の総合型選抜は,教科・科目の個別テストや小論文等のいずれか一つを必ず活用するという要項における合意をまさに形だけ取り入れたもので,基礎学力テストの配点割合が9割以上であることからも分かるとおり,要項が定める総合型選抜の趣旨を踏まえたものではなく,単なる一般選抜の前倒しであるという認識を我々は持っているところです。
 そもそも総合型選抜は,詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接を組み合わせる選抜方法でありまして,そのためには秋口から丁寧に時間をかけて行われるために,少し早い時期に行われるということで定められていたものでありますし,旧AO入試の反省などから,教科・科目に係る個別テストの活用が取り入れられたものであって,単なる一般選抜の前倒しのためではなかったということであります。そのため,これまで試験期日の遵守等が文部科学省から繰り返し求められたものであり,わざわざこういったテストを実施する場合には,先ほど述べたように,必ず組み合わせる,丁寧に評価するということが追加されたというのは皆さん御承知のとおりだと思います。
 また,本協会が今年8月に実施した全国の校長を対象としたアンケート調査でも,総合型選抜や学校推薦型選抜で,調査書以外に,こうした個別テストや共通テスト,小論文面接,資格や検定試験の成績のうちいずれか一つを活用するということについては,全国の校長の9割以上が評価をしています。今般の一部私大による総合型選抜に対する,去年は学校推薦型選抜ということではあったんですが,自由記述に対しても,7割を超える校長が,いわゆるルール,要項を逸脱している,遵守していないことそれ自体や,選抜時期の早期化など,高等学校や受験生への影響を懸念する否定的意見が大変多かったと思います。総合型選抜による入学者選抜の早期化には6割以上が,多様な選抜に対応する教員の負担感の増大に関することについては実に8割を超える校長が,課題として指摘されています。先ほど内田委員からも御紹介があった大手予備校などの調査でも同様の結果が出ており,高校現場においては懸念が大きいことが伺えます。
 このことについて様々な報道がなされておりますが,その報道でも,ルールの抜け道や形骸化などといった報道がなされ,公正であるべき入試のルール自体が揺らいでいると受け取られかねない状況が続いています。
 受験生である高校生はこの状況を注視しています。まさに形骸化した形だけの総合型選抜がまかり通るのであれば,特別活動や探究学習などの学力だけではない力を見る本来の総合型選抜の趣旨や,多様な入学者選抜に向けて受験生や高等学校の指導者,大学関係者など,これまで多くの方々の努力が色あせてしまうと思います。こうした状況を改善するために,本要項とこれまでの協議の趣旨に立ち返ること,状況の修正に向けた文部科学省の適切なリーダーシップが必要と考えます。
 もう1点ですが,今後,少子化が進展し,高等学校卒業生の減少が加速していく中で,いわゆる年内入試が拡大することによる受験者の学力面及び高等学校教育と大学教育への影響について述べさせていただきます。
 今般の一部私大による基礎力テスト型の総合型選抜の影響は大変大きく,他の私立大学も追随する動きが広がっています。そうでなくても,年内入試は既に大学進学者の半数を超える受験者が利用しており,高等学校教育は今後ますます影響を受けていくことが予想されます。高等学校3年生の授業確保という観点では,影響は大学入学共通テストよりたった1か月半,約40日間前倒しをしただけではないかという意見も聞かれましたが,こうした入試とその利用者が拡大していくと,3年生の授業というのは,こうした入試の対策の演習等,通常の授業以外の対応がより早い時期から必要となり,そうした指導を見越して,3年生の指導計画は実質10月頃まで,つまり半年間の指導計画になってしまうということが懸念されます。
 1年次からの積み重ねである国語,数学,英語であっても影響があるのに,ましてや理科や地理歴史,公民など3年次に配当されることが多い科目,私がかつて担当していた「政治・経済」などの科目は,試験科目として成り立たないという状況が来るのではないかと考えます。せめて3年生の2学期末までの計画的な指導の時間が確保されるべきと考えます。
 また,早期に実施される教科・科目に係る個別テストは,受験者への配慮から,高等学校の学習内容を網羅することができず,基礎的・基本的な内容とならざるを得ず,高等学校の学習成果としての試験問題がこれでいいかということもお考えいただければと思います。結果として,受験者である大学入学者の学力低下にもつながっていくのではないかと危惧されるところです。
 さらには,試験科目が先ほどありましたが,英語と国語,数学と英語のような2科目になる学校が多いですので,理科や地理歴史科,公民科の軽視,試験科目としての選択離れも危惧されるところです。
 さらに,年内入試は併願制をしいているところが多く,こうした拡大も我々は課題と考えているところです。
 大学教育の側面から考えましても,各大学はアドミッションポリシーに基づいた入学者選抜を行うことが求められており,今般の当該大学のアドミッションポリシーも調べたところ,全学部学科ごとに示されており,学部学科の特性が表れているものであると拝見しました。高等学校段階で習得しておくべきことや,入学後に学ぶ専門学科や職業分野にも必要な資質能力が端的に示されているものでした。その中では,高等学校段階での地歴科や公民科,理科をはじめとした各教科での基礎的な学力の必要性,主体的・積極的に学習に取り組む姿勢などが示されていました。今般の総合型選抜でそうした力が見てとれるのかは,疑問を抱かずにはいられません。
 最後となりますが,先ほど御説明にあった「知の総和」答申を私も拝見しましたけれども,大学進学者が約3割減少するという今後の高等教育を取り巻く変化の中で,目指す未来像の実現のために,数掛ける能力の「知の総和」の向上が必要とされていました。質の高い学生を数多く育てていく必要があると考えています。
 さきにも述べましたが,大学進学者の半数を超えるまでになった学校推薦型選抜や総合型選抜の在り方については,「知の総和」に大きな影響を今後及ぼしていくと考えます。その「知の総和」の実現のためには,入試を突破した大学生の質の向上のために,大学教育と初等中等教育との接続の強化につながるこの大学入学者選抜は非常に重要であると考えます。今後,高等教育が目指す姿が大学入学者選抜においても制度的に担保され,実現されることを願うばかりです。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【川嶋座長】  渡邊委員,ありがとうございました。実施要項の原理原則遵守を強調されましたし,また高校教育への影響,さらには今後の日本の人材養成の在り方まで言及していただきました。
 今のところ高校関係者からの御意見が多かったんですが,ほかに。梅原委員,どうぞ。
【梅原委員】  国立大学協会の副会長の梅原でございます。国立大学協会から少し発言させていただきます。
 国立大学協会としましては,総合型選抜あるいは学校推薦型の選抜におきまして,学力検査だけで合否が決まるということがあってはならないと考えてございまして,令和8年度の複数の評価方法を適切に組み合わせて選抜を行うという実施要項の見直しにつきましては,従来から国立大学としての考え方に沿うものであると受け止めているところでございます。
 今後も,各国立大学では,総合型選抜,学校推薦型選抜の学力把握の取組を高校での学習への影響とか受験生の負担に十分配慮した形で実施していきたいと思ってございます。今回,各団体が要項を遵守する表明をした上で合意に至ったという経緯もございますので,国立大学協会としても,高等学校における適切な教育の実施を阻害することのなきよう,引き続き各大学へ実施要項の趣旨をよく理解した上で遵守するということを促していきたいと思ってございます。
 国立大学協会としては以上でございます。
【川嶋座長】  梅原委員,ありがとうございます。
 川上委員,続きまして,いかがですか。
【川上委員】  日本私立大学連盟教育研究委員会委員長を仰せつかっております川上と申します。本件につきまして,多くの御意見をありがとうございました。私立大学の入試をつかさどっている一つの機関として,もちろん私立大学連盟がございますが,これまでの取組のところを少し私自身も前圓月先生から引き継いでいるところですので,自己省察を含めまして振り返りをさせていただきたいと思います。
 日本私立大学連盟としましては,今御意見があったように,まず基本方針としては,実施要項の遵守,それから総合型選抜,それから学校推薦型選抜におけるいい面,すなわち多面的・総合的な評価という基本原則は引き続き重要であると考えてあります。これを徹底するために,6月においては文部科学省からも参加を得たところで,要項改定,それから経緯,趣旨について説明会も行わせていただき,遵守徹底の加盟校にも要請させていただきました。
 また,6月の全学高等学校長協会からの意見書を踏まえたところで,7月に改めて会長名で全加盟校に対して,要項改定の経緯,それから高校関係者の懸念の点について通知をさせていただきました。
 通知では,もう今御指摘のあったところの繰り返しに一部部なりますが,高等学校における適切な教育の実施を阻害することとならないような配慮,当然これは負担のところも入ってきます。それから2つ目として,年内に行う入学者選抜のところで,一般選抜の前倒しとなるようなこと,先ほどの提案のところでも一部,2月1日というのが出ておりました。総合型選抜,それから学校推薦型選抜の趣旨を十分に踏まえた対応,それから出題範囲の配慮というのも入れさせていただきました。それから3つ目のポイントとして,実施要項の一層厳格な遵守。それから最後のところでは,個々に実施する入試方法の趣旨,それから内容に関わるところの受験生,高等学校関係者,社会の理解の醸成のところも入れさせていただきました。
 今回のこれら各加盟校への周知も行わせていただきましたが,加盟校の一部では,総合型選抜について,一般選抜の単なる前倒しと受け取られかねないような選抜が行われたことは事実として受け止めております。
 これを踏まえたところで,昨年から本協議会,私大連盟としても議論が踏まえられていないというところは,改めて丁寧な対応が必要であると考えています。各加盟校に対して,文部科学省とも連携・協力しながら,ヒアリング,それから共通理解をまず徹底していきたい。これを踏まえたところで,改めて私大連盟としても今後の対応を検討したいと考えております。
 現在のところでは,私大連盟としてこのように対応していきたいと考えておりますので,コメントとさせていただきます。
 以上でございます。
【川嶋座長】  川上委員,ありがとうございました。
 続きまして,柴田委員,お願いします。
【柴田委員】  福岡県立大学の柴田でございます。私は,公立大学協会の入試専門委員会の委員でチーフをやっておりまして,本件については,もう昨年から話題になっておりましたので,昨年度の公立大学の学長会議の席で現状等々の御説明をさせていただき,それから過去からの経緯,それから本来の趣旨等を御説明させていただきまして,データ分析によると,どうも総合型選抜あるいはAO選抜というものもいろいろ種類があると。国立大学・公立大学でやっているようなものと別種のものが行われているようなことが統計資料からも分かるということで,要するにこの入学者選抜というのは,定員確保という面もありますけれども,アドミッションポリシーに合わせた質の確保というのが一番重要でございますので,そういうものから分析すると,どうやら2種類あるようだと。決して公立大学は,その質の確保,特色ある生徒さん方に入学していただくという本来のAO入試,現在の総合入試から外れるようなことにはならないようにということは,皆さん方と共通認識ができたものだと理解しておりますし,本年に入ってからも,その旨徹底させていただいております。
 特に,これから少子化時代になりまして,数に得てして目が行くんですけれども,アドミッションポリシーに適合した質の学生さんを採るという本来の趣旨を改めて今後とも公立大学協会としては確認していきたいと思っております。
 まだほかに言いたいことはありますけれども,一応ここのところで止めておきます。
 以上です。
【川嶋座長】  柴田委員,ありがとうございました。
 続きまして,松田委員,お願いします。
【松田委員】  室蘭工業大学の松田でございます。先ほど国大協の梅原入試委員会委員長から御発言がございましたので,国立大学全体の話と,こう考えているというのは,先ほどの御説明のとおりだと思います。その中で,本学室蘭工業大学でも実は教科試験を一部導入しておりますので,その状況などを御紹介したいと思って発言を求めました。
 本学では,基礎学力検定,もちろんそれ以外に面接とか課題研究のプレゼンテーションとともに基礎学力検定というものも導入しています。当然,年度の選抜要項に個別入試の試験を課す場合の意義づけみたいなものが35ページにございましたけれども,そこにも何となくありますけれども,大学に入学した後ついていけないという学生さん,そこのリスクは確認したい,基礎学力は確認したいということで,ただ,あまりそこで分別するということを考えてはおりませんので,これは要項にも出していますけれども,高等学校卒業程度認定試験,元の大検の過去問から出しますということを申し上げて,それ以外のものとの合わせ技でという判定をしております。
 ここで本当に駄目な,これはついていけないなという学生さんがいた場合に,ただその影響を及ぼさなければいけないので,ある程度の比率,具体的には,あまりオフィシャルに言うと何ですけれども,全体の3分の1から半分弱ぐらいのボリュームで課しています。なので,本当にそこで,苦しいという学生がいたときには,ある程度それが反映されるような形にしています。実際問題,ただ,この認定試験というのはかなり難易度としては易しいほうと思いますので,受験生のほとんどの方が8割から9割ぐらい取って,時々,全然取れないという学生がおられるようです。だから,安全弁というんでしょうかね,そういう役割を果たしているなと思います。
 先ほどから内田先生とか渡邊先生のお怒りは確かにごもっともですけれども,多分,そういう趣旨で入れるということ自体は,令和8年度の実施要項の趣旨にも沿っているのかなと思いまして,国立大学でほかにも導入しているところはありますけれども,多分,大体その趣旨で導入して,大体同じ感覚で実施していると思います。この実施要項自体をいかに守っていただくかということに腐心すべきかなと思いました。
 以上でございます。
【川嶋座長】  松田委員,ありがとうございました。
 引き続きまして,田名部委員,御発言をお願いします。
【田名部委員】  全国高等学校PTA連合会の会長の田名部でございます。保護者の立場,そして先生方の立場と,高校生の思いというところを代表して発言させていただきます。
 最近の大学・高等学校教育の政策とか,大学入試についての文科省からの御説明は非常に分かりやすく思いますし,今後もそういう形で改善・改革していただくということに全面的に賛成いたします。
 ですけれども,先ほど内田委員からもありましたとおり,一度決めたルール,いい方向で向かっている授業が,一部のいわゆる私立と言われてしまうと,私も私立の大学の附属の高校のPTA会長ですので,事情はよく分かるんですけれども,多くの方々が守っている中でルールが破られているということで,制度が揺らいではいけない。一番心配なのは,一度決めたことがまた前に戻るんではないかという不安なんです。保護者とか高校生に不安を与えてはいけないなと思いますので,せっかくいい方向に向かっていると。高校の教育の無償化とかも,せっかく公立だけではなくて私立にも適用されてということで,本当に我々は国に対して,文科省に対して非常にいい印象を持っている今だからこそ,しっかり決めたことを守っていただけるような政策をしていただきたいと感じます。
 以上でございます。
【川嶋座長】  田名部委員,ありがとうございました。
 続きまして,安井委員,お願いします。
【安井委員】  日本私立大学協会の安井でございます。私もこの選抜協議会の委員をずっと長くやっておる関係もありますし,高等学校長の意見もずっと拝聴してきておりまして,この新たな入試制度というところで合意をしたものでございます。日本私立大学協会加盟校としては,全加盟校400余ありますけれども,そこにどのような形でこちらの協議会の意図を理解してもらうかということで,まずは各大学が入試の在り方を決定する前にしっかりとやろうということを考えました。6月13日から8月末まで,当時の大学入試室長に来ていただきまして,オンデマンド配信ができるオンラインのプログラムを作成いたしまして,私が事前に,なぜこういうことに説明が必要なのかということを説明させていただいた上で,当時の大学入試室長に解説をしていただきました。
 この解説につきましては,会員の大学の65%に近い大学で約700名の方々に視聴いただきました。実施要項の意図というものはしっかりと説明をさせていただきましたし,また本協会の理事会のほうでも室長補佐に来ていただいて,この協会としての決定事項ということでしっかりと理解をいただくということもさせていただいたところであります。したがって,私どもとしては,この400余校が理解をした上でこの入試に当たっていると考えているところでございます。
 あと,これをどのようにさらに強調するかということにつきましては,協会といたしましても,さらにこの加盟校にはしっかりと意図を確認させていただくということで,事務局も挙げて今話を進めているところでもございます。
 ただ,先ほど連盟さんからもお話がありましたが,私どもの協会がメジャーの私立大学の中では多くの大学が加盟しておりますけれども,実際には私どもの協会にも,それから連盟さんにも加盟していない大学というのが90校ぐらいございまして,こちらについては,文部科学省と一緒にやっていかないと,先ほど内田先生がおっしゃったようなことを全般的に知らしめる,この改革の意図を知らしめるというところにも至らないかとも思っているところもございます。こちらは文部科学省と一緒にやっていく内容であると理解しているところでございます。
 以上です。
【川嶋座長】  安井委員,ありがとうございました。
 続きまして,大橋委員,お願いします。
【大橋委員】  公立大学協会の大橋です。柴田先生からかなり言っていただいたので,少し補足します。もう昨年度になるかと思いますが,今回の実施要項を決める前に,学校推薦や総合型選抜で基礎学力を見てよいかどうかが議論されました。以前はやや不統一なところがあり,公立大学の募集要項を調べたところ,かなりの数の大学が学校推薦等で基礎学力を見ているということが分かりました。もしそれが駄目ということになると非常に困ると思っていたところ,現在の実施要項になり,面接等と組み合わせて基礎学力を見ることに皆さんの了解が得られ,公立大学としてはよい形で今,学校推薦や総合型選抜が進んでいるところです。
 なので,先ほど内田先生の言われた可能性で,もし以前に戻して,基礎学力を見ることは学校推薦等の年内入試では駄目ということになると,加盟校は相当大きな影響を受け変更を迫られます。公立大学としては,現在の要項を皆さんが遵守し,高校の教育にも配慮して進めるという形で結論が出ることが望ましいと思っているところです。
 以上です。
【川嶋座長】  大橋委員,ありがとうございました。
 引き続きまして,澤辺委員にお願いします。
【澤辺委員】  短大協会の澤辺でございます。短大協会といたしましては,以前より多面的・総合的な評価というのを実施しておりますので,学力はもちろんですけれども,選抜実施要項に沿ってどの短大も対応しているということでございますので,この会議で決まった内容にまた沿って実施していきたいと考えているところです。
 次の令和9年度の選抜要項に関しまして,短大協会としては,今までの話とは少しずれるところですが,意見を述べさせていただきたいと思います。
 今回の会議の参考資料に,令和8年4月1日から施行される改正学校教育法,こちらの資料が添付されていなかったということに関しましては,私としては非常に不満に思っているところでございます。
 といいますのも,次の4月1日から施行されます学校教育法につきましては,専門学校の位置づけが大きく変わります。高校卒業後の進路といたしまして,現在24%ぐらいが専門学校に進学するという状況の中,専門学校は単位制という形に変わりますし,また入学資格につきましても,「大学の入学資格と同様」と文章のほうが改定されます。また,大学院にも進学できるように専門学校を卒業して単位制になりますので,そのように変わっていくと。そういう中で,この大学入学者選抜実施要項の対象となっていない,むしろ6月ぐらいからもうどんどん進学というところで高校生のほうを確保していっている。そういう中で,果たしてこの協議会で議論しているところが全ての高校生に当てはまってくるのか,ここのところはしっかりと考えていかなければならないと思っております。
 ぜひ,修学支援の対象にも専門学校になっております。高校生の進路というところを考えたときに,この選抜実施要項の対象になりますように,この部分につきましても,ぜひ御議論,御検討を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上になります。
【川嶋座長】  澤辺委員,ありがとうございました。
 続きまして,西郡委員,どうぞ。
【西郡委員】  佐賀大学の西郡です。私は,入試担当の副学長ということで,入試の現場の視点から少し発言をさせてもらいたいんですけれども,今回,教科・科目に係る個別テストという形で,基礎学力のところがかなり明確になりました。それに伴って高校向けにどういった部分をしっかりやってきてほしいかということで,高校教育の負担を考慮する形の情報発信がしやすくなっています。これが以前のような曖昧な基礎学力に戻ってしまいますと,また何か分からないような情報発信ということで,逆に高校教育に負担をかけてしまいかねないということも考えております。多面的に丁寧に評価するということが前提になりますけれども,現場的な視点からすると,ルールを重視するといっても,丁寧にというのがどういった程度の丁寧なのかというのが分かりませんので,4月のこの協議会でも少し発言させてもらいましたが,そういったところの一定の理解を得るための何らかの工夫というものが必要になるのではないかと思っています。
 以上でございます。
【川嶋座長】  西郡委員,ありがとうございました。
 引き続きまして,島田委員,どうぞ。
【島田委員】  筑波大学の島田です。こちらの協議会も少し長くなりまして,議論に加わってきた立場から一言申し上げます。いろいろな先生方の御発言の中で,私がおやっと思ったこともあったので,まずそのことからお話ししたいんですけれども,大学入学の時点で受験生の学力を確認することが必要であるということは,高校・大学全ての関係者が認めるところであろうと考えています。ただし,それをどのように確認するかということについては,学力テスト以外にも多様な方法があるということで,それを工夫するというのが総合型選抜の一つの趣旨であったと思います。そのことをまず共有させていただきたいと思います。
 それを踏まえて,少し乱暴な提案かもしれないんですけれども,実際に今のルールを守っていない大学があるという認識であるということであれば,そうした大学については,文部科学省によって実効性のある,ある程度強い指導というものが求められてもいいのではないかと私は考えます。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございました。
 ほかに御意見はございませんか。各団体関係者から,あるいは有識者,あるいは実際に大学で入学試験に従事されている委員の方々からいろいろな意見をいただいたところですが,大学関係団体の関係者からは,それぞれの団体でしっかりと選抜実施要項の意義を加盟校に周知しているところであるということ,それから昨年度改定されたいわゆる総合型選抜・学校推薦型で基礎学力を確認できるということは非常に重要なことではないかと。ただ,これを高校側のようにまた急に旧に戻すのは,せっかく多面的・総合的入試ということでいい方向に向かっていたのに,それを元に戻すのはいかがなものかという御意見もいただきました。ほかにいかがでしょうか。
 なかなかおまとめするのは難しいんですけれども,まずは各大学・団体の中でしっかりと趣旨を徹底していただくということと,最後に島田委員からは,文部科学省からきちんと指導してほしいという御意見も出たところでございます。
 先ほど途中で校務により退席された沖委員からは,皆様も確認できると思うんですが,チャットで御意見をいただいておりまして,短期的に解決すべきものと,もう少し時間をかけて議論し解決すべき問題に分けて議論してはどうかという御意見をいただいております。
 本日いろいろお伺いしていますと,短期的というのはもう言うまでもなく,しっかりと選抜実施要項の趣旨を徹底していく,遵守を強く求めるということかと思いますが,それはもちろん,来年度ですか,令和9年度入試でいきなりまた元に戻すというのは,受験生や高校に対する混乱が予想されますので,まずは短期的には,この選抜実施要項,我々が議論してきた内容についてしっかりと趣旨を説明し,議論していくということかと思いますが,内田委員,お手が挙がっております。
【内田委員】  大学関係者の皆様から様々御発言いただきまして,ありがとうございます。私どもが説明した,一部の大学の入学者選抜がこの趣旨に基づいていないというところについては,皆様の御異論がないように思われるのですけれども,これに関してはいかがでしょうか。
【川嶋座長】  特に大学関係団体の委員からは,いかがですか。先ほど繰り返し意見を表明していただいたと私は理解しておりますが,一部の大学にルール違反をぎりぎりのところで擦り抜けている大学があるという認識は共通理解だと思いますが,いかがでしょうか。そういう理解だと思いますが,内田先生,いかがですか。
【内田委員】  ありがとうございます。それを踏まえての今後の議論だと私は思っております。実際に決めて,しかも大学入試室から加盟団体及び該当大学も含めて説明をした上で,意図的・計画的にルール違反を行っているということに対して,どういった規定を設定すればそのルール違反が行われないかというところ,また趣旨が実施され,正しい選抜につながるかというところだと思います。
 戻すことで混乱が生じるというお話もありましたが,実際,総合型の部分について年内に丁寧に行って,例えば2月以降の学力検査で大学で学ぶ力に及ばないところについては,また指導を行うとか,あるいはそこで場合によっては合格に至らないところがあるという形は,何ら支障がない。場合によっては,国立大学・公立大学等では,総合型選抜については必ず大学入試共通テストを課した上で合否判定につながるというところもありますので,令和7年に戻すというのは,そういった形に戻す,つまり,検査を実施する場合,学力検査の場合には2月1日以降に行うというところであって,何も学力検査をやってはいけないということではないということだと思います。
 ただ,それをないがしろにしていた大学が多いので,現状に合わせて御提案をいただいて,こういった形ではいかがだろうかということについて合意を私ども全高長と中高連側でしていったということで考えておりますので,もし新しいこの要項にしても守らないということであれば,そこの部分についてどう工夫をしたらいいか。今の現状として基礎学力検査の点数順に合否が決定されているということは問題なわけですから,その問題をどう解決するかというところについて,大学側から御提案をいただくというのがよろしいのではないか,あるいは文科省から御提案をいただくのがよろしいのではないかなと思っております。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】  要するに一般選抜の前倒しに極めて近い大学入試があるのではないかということなんですけれども,大学側からすると,ある程度大学で学ぶための基礎学力の確認は非常に重要であるという,ただそこに現在の選抜実施要項ではそこの徹底というところが少し欠けているというか,そこでいろいろな抜け道を通る大学が出てきているということで,800大学全てがそういうことをやっているわけではないということで,どうやったらちゃんとルールを遵守できるように選抜実施要項を改定できるのかということで,大学側に投げかけられていると思うんですが,大学関係者の方,高校側からのコメントについては何か御意見はございますか。
 柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】  期日の遵守というのは,総合型,それから推薦型だけではなくて,一般入試においてもかなり1月からもう既にやっているところが前からあるんです。これをどう指導するかというのと併せて考えないと,なかなか解決しないんではないかな。先ほど島田先生から,文科省から強い御指導をというお話もございましたが,その辺りまで踏み込まないと,完全な遵守というのはなかなか難しいんではないかなという印象は持っております。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございます。太陽作戦より北風作戦がいいということなんですけれども。安井委員,どうぞ。
【安井委員】  大学側に,この総合型あるいは学校推薦型における学力検査の意義,意味というものを明確に知っていただくためには,試験をする大学がどのような意図をもって実施するかという内容を入学試験実施要項に明確に記載することを求め,各大学は絶対考えなければいけない状況を作ることも大切です。その基礎学力というものが, 自分が入学を希望する学科に合っているかどうかということを受験生が知ることは,受験生にとっても間違った学部や学科の選択を防ぐためにも,ぜひやっていただいたほうが私はいいと思います。
 先ほどちょっと御説明いただきましたけれども,配点がすごく高いとか,そういう話ではこの総合型選抜の意味がないと思いますので,大学がそれぞれのアドミッションポリシーに合わせて,どういう学力を知りたいのかということを事前に試験の内容を出すときに明示していただくと良いと思います。そうすれば当然,配点がそこだけ高くなるなどということはあり得ないわけですし,そういった配点に関するチェックというのもできるのではないかとも考えます。大学側として受験生のの適性をしっかりと知りたいということであれば,自分のところの試験の実施要項にそこを明記していただくということをまずやっていただいたらいかがかと思います。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございました。
 長塚委員,どうぞ。
【長塚委員】  私立の中高連からも一言申し上げたいと思います。高校側としては,全高長さんのほうからお話があったとおりで,同じ意見でございますが,というのも,大学入学者選抜は高校教育に求められている資質能力を多面的・総合的に評価するものとして行われるということ,その原則,基本姿勢を後退させてはならないと思います。ですから,総合型選抜,とりわけここに期待されている選抜方法というのは,高校教育に期待されていることを,またそれを実現するためのものでございますので,一部の大学の理解不足によるものだと思うのですが,その辺をしっかり改めて受け止めてほしいと思います。
 ちなみに,高校入試においても,例えば東京では都立高校,私立高校がそれぞれ全体としての実施要項を持っていますけれども,その要項から外れているような場合には,各中学校から高校の団体宛てに具体的に問題点の指摘があります。それを受けて団体として各高校にそういうことがないように指摘をするという具体的な動きがあるんです。ですから,このようにやってほしいという一方通行だけではなかなか理解が十分でないような場合がありますので,それに対応していく具体的なアクションも必要ではないかなと感じたところです。
 もう1点は,各高校が生徒に求める資質能力,これは高校によって異なるというのが今の高校教育の立てつけです。ですから,大学が求めている資質能力に合致しているかどうかという各アドミッションポリシーは学部によってもそれぞれあるということですが,それを本当にマッチングさせるような見極めをするには,大学側に相当な専門組織が必要であって,大学のほうに総合型選抜に対応できるような専門家とか組織というのがまだ未成熟なのではないかなと。そのこともあって,こういうペーパー試験だけを,一般入試に近いような形でしてしまうようなケースも生まれているのではないか。もし,そういう専門的な組織があれば,9割をペーパーだけで見るということを認めるようなことが大学の中で起きることはないのではないか。少なくとも教育ということで行っている入学者選抜で,決まりがこうなっていても,実態は違うよというようなことを,生徒たち,子供たちに伝えてしまう入試制度になってはいけないと強く思っているところでございます。
 具体的に,最後にすみません,例えば9割ではなくて,それをどのぐらい丁寧なものにするかというときに,例えばですけれども,2分の1までにするとか,その具体的な物差しも必要になるのだろうと思います。2分の1のところをまた満点にして,2分の1の残りをペーパーだけで見るなんてなると,これは実質同じようになってしまいますけれども,本当に本質のところで多面的・総合的な入試に近づけていってほしいと期待しております。よろしくお願いします。
【川嶋座長】  ありがとうございました。
 最後に,内田委員,お願いします。
【内田委員】  時間が過ぎたところで申し訳ありません。最後に一言申し上げたいと思います。今回のこちら全高長のほうから提案をさせていただきましたけれども,腹案については,田島入試室長にいらっしゃったときに御説明をさせていただいております。
 今回,公立大学協会のほうでの試験の実施について御紹介をいただいたときに,基礎力を問う試験を行う,それをどう図っていくかという事例についてもお話をいただいたことかと思います。そこがまさにヒントかなと思っておりまして,長塚委員からも話がありましたけれども,単純に点数で扱いますと,全て満点で,見ませんよみたいなことをやりかねない現状が実際にあります。実際の進路担当者に,この小論文はどの程度重視されますかというときに,あまり重視しませんよという返事があるような入試が行われますと,それこそ要項そのものの信頼性が崩れることになりかねません。
 そうならないようにするためには,基礎学力テストを実施した場合に,どうそれを見るかというところについては,室長には申し上げているところですけれども,大学側の様々な御都合もあるかと思いますので,ちょっと今後の協議会の場で検討できるように,御準備,調整をしていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】  ありがとうございました。最後のほうに何名かの委員から今後の方向性を指摘していただきまして,各大学の入試要項でしっかり情報公開するようにというお話とか,入試の専門家の必要性も指摘されまして,これは「知の総和」答申でも,大学教員の負担を下げるために必要な方策かと思います。
 今,内田委員からも御紹介がありましたし,公大協の話も出ましたので,本日の時点でどうのこうのというわけではなくて,短期的・中長期的に大学入試の在り方を考える際には,入試のあり方会議でも,きっちりとエビデンスに基づいて議論するようにという提言もありますので,大学入試室のほうで,実態がどうなっているのか,特に基礎学力の把握の仕方について,あるいは配点の在り方について,各大学がどんな工夫をしているのか,まずは実態を調査していただきまして,それを整理した上で,次回またこの協議会で議論を進めたいと思います。特に中長期的な課題については,先ほど短大協会のほうからは専門学校,あるいは産業教育関係団体からは専門高校の入試の在り方について工夫していただきたいという御意見もございましたので,次の機会にかなうかどうか分かりませんけれども,実態を明らかにした上で,引き続き議論を進めたいと思っております。
 それでは最後に,事務局のほうから,今後の予定等について,お願いします。
【田島大学入試室長】  活発な御議論をありがとうございました。本日は令和9年度大学入学者選抜実施要項に向けての初回の協議となりました。次回は,各大学における入試が落ち着いた3月頃の会合を予定してございます。
 本協議会は,その開催日,また開催している,していないということを含めまして,審査の過程は非公開とさせていただいております。未決定の情報が報道されることにつきましては,受験生にも混乱を招くおそれがありますので,今回の協議会の審議において知り得た情報につきましては,くれぐれも漏えいすることがないよう,委員限りとしていただきまして,情報の取扱いに御留意いただきますようお願いいたします。本日,各団体では,傍聴いただいている事務局の方もいらっしゃるかと思いますけれども,同様に情報の取扱いには十分御留意いただくようにお願いいたします。
 会議の資料につきましては,議事概要と併せまして,実施要項が通知されました後に文部科学省ウェブサイトにて公表することを予定してございます。
 その他,お気づきの点や追加の御意見等がございましたら,メール等で事務局に御連絡いただけますと幸いです。
 以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。リマインドさせていただきました。
 もう時間も超過しておりますので,これにて本日の協議会は締めたいと思いますが,個人的には,悪貨が良貨を駆逐しないような質の高い大学入試に今後改善していければと思います。
 本日は予定を超えてしまいましたけれども,皆様方,年末のお忙しいときに参加していただきましてありがとうございました。
 また,室長からもアナウンスがありましたように,来年またございますので,そのときにはよろしくお願いしたいと思います。
 それでは,本日の協議会はこれにて終了したいと思います。ありがとうございました。
 

── 了 ──