令和6年5月22日(水曜日)10時半~12時
川嶋座長、浅井委員、内田委員、圓月委員、小方委員、小川委員、沖委員、兒玉委員、柴田委員、島田委員、長塚委員、林委員、日吉委員、安井委員、山口委員、山田委員、渡邊委員
池田高等教育局長、伊藤審議官、古田大学教育・入試課長、平野大学入試室長 他
【川嶋座長】 皆さん,おはようございます。それでは,所定の時刻になりましたので,ただいまより大学入学者選抜協議会第15回を開催したいと思います。委員の皆様におかれましては,御多用の中,お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日の議題は,議事次第にございますように,1つ目は令和6年度大学入学者選抜等についての報告,2つ目は令和7年度大学入学者選抜実施要項について,3つ目は令和8年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱についてとなっております。
会議に先立ち,まず,本協議会委員に変更があったということですので,事務局から御紹介していただくとともに,併せて本日の配付資料について御確認等もお願いします。
よろしくお願いします。
【平野大学入試室長】 大学入試室長でございます。
委員の変更について御紹介させていただきます。
まず,国大協の空閑委員でございますが,林委員に交代しております。全高長の石崎委員でございますが,渡邊委員に交代してございます。産業教育振興中央会の石山委員が小川委員に交代してございます。全国都道府県教育長協議会の髙田委員が日吉委員に交代されているところでございます。参考資料1のほうに協議会の名簿をつけさせていただいてございますので,そちらを御覧ください。
続けて,本日の資料について確認させていただきます。議事次第を御覧ください。資料について,配付資料といたしまして資料1から資料4,参考資料は参考資料1から参考資料10でございます。会議では主として配付資料を使ってまいりますけれども,場合によって参考資料を少し参照していただくということもあるかと思います。特に参考資料5は今日の要項の新旧対照表になっておりまして,こちらは画面投影もさせていただきまして使用することになると思いますので,よろしくお願いいたします。
資料の確認は以上でございます。
本日もウェブ会議方式での開催になっております。発言の際は挙手ボタンを押していただき,指名された後に御発言いただきますようお願いします。また,聞き取りやすい御発言,資料参照の際には該当ページをお示しいただくこと,ハウリングなどを避けるために指名後にミュートを解除していただいて,発言後にはまたミュートに戻していただくこと,このような形での円滑な会議運営に御協力いただければ幸いでございます。
以上でございます。
【川嶋座長】 ありがとうございました。会議の円滑な進行に御協力のほど,お願いしたいと思います。
それでは,早速,議題の1に入りたいと思います。令和6年度大学入学者選抜等についての御報告でございます。
事務局から御説明をお願いします。
【平野大学入試室長】 失礼いたします。
それでは,1つ目の議題でございます。昨年度の大学入学者選抜などに関する御報告をさせていただきます。
まず,資料1でございます。1ページ目が令和6年度の大学入学共通テストの実施概要でございます。概要といたしまして,まず1つ目,追試験については,コロナ禍と同様2週間後に実施したということでございます。
2つ目でございます。追試験場については,後ほど御説明いたしますが全国2会場に戻すということで東日本,西日本という形にいたしましたが,石川県の金沢大学(角間キャンパス)に追加で措置をしたというところでございます。
共通テストの利用大学は864大学でございました。
真ん中の辺り,共通テストの本試験でございます。志願者数49万1,914人,昨年比2万667人の減少,受験者数45万6,523人,1万4,790人の減少でございます。
実施の状況でございます。交通機関の遅延などによる試験開始時刻の繰下げが586人,英語リスニングの再開テストが55人,監督者の対応誤りなどによる再試験受験対象者数が50人,不正行為,ここで言う不正行為というのはカンニングペーパーの使用とか定規の使用,「解答やめ」の指示の後に解答を継続したという者が4人ということでございます。
共通テストの追・再試験者でございます。受験予定者数が1,638人ということで,追試験許可者数が1,629人で前年度比2,264人減と大幅に減少しております。再試験のほうが9人ということで,こちらも59人の減少でございます。
追試験許可事由別人数が右側のほうでございます。一番多かったのはインフルエンザということで495人,新型コロナウイルスとその他疾病というのがそれぞれ367人ずつでございます。風邪が205人,胃腸炎が148人,令和6年能登半島地震での被災という一番下でございますが19人,その他やむを得ない事由が18人,負傷が8人,交通機関の遅延または予定外の運休で2人ということで,合計1,629人ということでございます。コロナというものが大多数を占めるという状況はなかったということでございます。
実際の受験者数が1,435人ということでございます。
続きまして,1枚おめくりいただきまして,令和6年度大学入学者選抜においては,能登半島地震への対応ということが大きな課題になったというところでございます。先生方御存じのとおり1月1日,元日でございますけれども,午後4時10分頃,石川県能登半島で最大震度7の揺れを観測する地震が発生いたしました。
私どもとしては1月3日水曜日に共通テストについて,1月13日,14日の本試験を受験できない受験生については27日,28日に実施される追試験を受験できるような特例措置を講じるということ,また追試験場を追加で設置するということについて,大臣メッセージという形で文部科学省のホームページに掲載いたしまして周知を行いました。また,大学入試センターにおかれても,理事長メッセージを大学入試センターのホームページに掲載いただいたところでございます。
1月5日でございます。各試験場の状況を確認した結果,石川県に設置されている試験場は共通テストの本試験を実施するにあたっては影響ないということが確認できましたので,これについては行うということ。
また,1月3日に発表していた追試験場の設置というものについては,これは石川県に設置するんだということについて,センターのほうからもまた公表していただいたということでございます。
個別入試については,被災した受験生への出願期間の延長,別日程への受験の振替など各大学の事情に応じた柔軟な対応を講じるということについて,文部科学省のほうからお願いさせていただきました。
週が明けて1月9日でございます。1月5日に追試験場は石川県ということで公表していたところですが,金沢大学の角間キャンパスに設置するということを公表するとともに,特例措置の内容,対象者,受験申請の方法等についても公表したということでございます。
個別入試については,まず,各大学と相談していただくということでありますけれども,その上で,大きな問題が生じた場合には文部科学省に相談できる電話相談窓口というものを設けたところでございます。
これらの公表事項については,従来どおりホームページでも公表いたしましたけれども,SNS,X(旧ツイッター)でありますとかこういったものでも情報発信して,かなり御覧いただいたというようなことが分かっているところでございます。
石川県内の本試験,追試験についても,当日については余震等で中断するといったこともなく無事に終了したということでございます。
これが令和6年能登半島地震への対応関係の流れでございます。
その上で,次のページでございます。個別選抜について,1月5日付けで高等教育局長通知を発出しております。これについては,今回このようなことを行わせていただいたという報告でありますけれども,また今後こういった対応を行うに当たっての一つの参考となるものと考えております。
1の出願手続ということで,(1)被災した受験生の中には出願が難しいとか,書類をなくしてしまったとか,必要な書類を入手できない,インターネットによる出願ができないといった者が想定されるので,各大学においては,被災した受験生の出願手続について,出願期間の延長,方法の弾力化などを求めたということでございます。
(2)は特にということで,調査書や卒業証明書を入手することができないケースなども想定されたわけであります。こういった書類については,事後的に提出させるなどの柔軟な対応というのをお願いしたということでございます。
(3)は入学検定料の納入期限の延長や,入学検定料の減免等について,ぜひ御検討いただきたいというお願いをしたところでございます。
受験日程については,受験機会を確保するため別日程への振替と,この時期でございましたので私学さんなど多様な区分で行われているケースなどもあるわけでありますから,別日程への振替などの柔軟な対応についてお願いしたということでございます。
次のページでございます。こちらは大学入試センターから1月9日に公表していただいた特例措置でございます。対象者としては,まず,石川県に本試験場を指定された者については,これは全員を対象にするということにしました。
丸2のほうは石川県以外の都道府県の本試験場指定ですが,被災など特別な事情がある者を対象者とする,石川県は包括的に対象者にしたということでございます。
2ポツの特例措置の内容の(1)でございますが,角間キャンパスに試験場を置きましたということ。
(2)は追試験場の指定については,石川県に本試験場を指定された者は原則として角間キャンパスに指定すると。ただ,特別な理由がある場合には東京,京都で受けることができるということを認めるということでございます。
丸2の新潟県,丸3の富山県,福井県というところは,それぞれ東・西に配置すると。ただ,丸4で,ほかの都道府県であっても特別な事情がある者については東・西に指定するわけですが,特別な場合には金沢に変更できるといったことをしたところでございます。
(3)の丸1,石川県に本試験場を指定された者については,いろいろな準備というものが非常に逼迫するということが想定されたということもありまして,追試験の申請事由を問わずに申請に当たって証明書類の提出は不要ということで措置をしました。
その他については,被災するなど特別な事情がある者については原則として不要ということでさせていただきました。また,申請時期についても弾力的な対応を行ったということでございます。
こちらが能登半島地震について個別入試,共通テスト,それぞれについて講じた措置のあらましでございます。今回,特に会場校である金沢大学の御協力などもいただきまして速やかに追試験場を設置し,またそのようなところで被災した方が受験することができたということでございます。私どもとしても,今回の対応というものについては十分しっかり整理をした上で,また今後,不測の事態が発生したときには十分踏まえた対応というのをしていかなければいけないと思っているところでございます。
資料1については以上でございます。
続きまして,昨年度文部科学省で行った調査研究について2点御紹介し,御共有させていただきます。
1点目については不正行為防止対策に関する調査分析ということで,私どもから大学入試センターに委託して行っていただいた調査ということでございます。大学入試における情報通信機器,これは数年前に不正行為が起こったということを踏まえまして調査を行っていただいたということでございます。
大きく2つに分かれております。1点目が海外の事例調査です。全国共通の統一試験を実施するという意味では中国,韓国が共通するところがありますので,これについて関連の文献等を調査していただいたというところで,これに加えて,韓国については現地調査を行っていただきました。
左側は中国でございます。いわゆる高考というものでございますけれども,このようなものを行っている中国ということで,まず,試験場への電子機器類の持込みは禁止するということ。
2つ目,教育部,いわゆる文部科学省に当たるわけですけれども,その指導の下,各省,各省というのは地方の行政単位ということで,そこに委ねられているわけですが,その中には試験場の入り口に金属探知機やセキュリティゲートによる携帯端末,電波受信発・信機の持込み防止や様々な本人認証,会場内監視カメラやAI搭載カメラ,こういうものによって試験中の不正行為を防止するほか,電波信号の遮断装置や観測車を巡回させる,このような技術を導入しているということは報道,文献で確認できると。ただ,これらが本当にどれぐらい効果を上げているかというところまでは,なかなか文献では分からないところもございますということでございます。
3つ目でございます。スマートフォン等の情報通信機器を用いたものも含めて,不正行為を重大な刑法犯罪として直接位置づけているということでございます。
最後のポツですが,試験監督者のいろいろな研修,人員の増員や警察との連携なども行われているということでございます。
続きまして,韓国でございます。修能試験というものが行われているわけですが,試験場への電子機器の持込みは禁止されていると。ただ,Wi-Fiがかなり普及していて遮断等の対応はしていないと,後でちょっと関係してくるところがございますけれども。
ポツの2つ目,各試験場に金属探知機などを配布していますが,全員を必ずしもやるというやり方ではないようです。
ポツの3つ目,法令により不正の類型,処罰が明確化されている。
ポツの4つ目,徹底したモラル面での規律化,高校でのふだんの定期試験段階から様々な対策を行っているということ。
最後のポツでございますが,シャープペンシルや修正テープも支給しているということでございます。
2点目でございます。電波識別や電波遮断(抑止)に関係する調査でございます。その上で,電波識別と電波遮断ということについては,数年前にもこの協議会の方ではワーキングなどで議論していただきましたが,電波識別というのはどこから電波が発信しているか分かるというもので,電波遮断はコンサートホールなどでもございますけれども,同じ周波数帯の電波をぶつけて打ち消して圏外にしてしまうという技術でございます。電波識別技術については,現状,理論上可能であると目されておりますが,国内において製品化されたものがないということ。
2つ目が,通信の進歩というのも非常に早いものでございますから,これについて技術開発に要するコストというのが多大になるのではないかという想定。
また,発信源の位置を推定・特定する技術については,あらかじめ端末固有の情報というものについて学習させておく必要があるので,全受験者から提示や申告というのが必要になるということでございます。
最後です。実際にこれを使うとして,どの受験者が本当に使用しているのかということの精度,また試験場の大きさや形状の違いというところについても考慮するということが必要でございます。
電波遮断のほうについてでありますけれども,こちらについてはコンサートホールなどで行われているわけでありまして,製品化はされていると。一方で,試験会場ごとに無線局を開設する手続や有資格者の配置が必要になってくるということ。
経費面ということについてでありますけれども,1試験室当たり72万円という試算もありましたが,大規模かつ実施回数の限られた試験でコストが見合うのかと,大多数の受験生の方が真摯に試験に取り組んでいただいている中でということでございます。
最後が抑止できる電波というものについて,これは各携帯電話事業者の同意が必要なわけですが,それだけではなく,その対象にはならないWi-FiやBluetoothがあって,全ての電波というのを遮断(抑止)できないと,これは韓国のところで申し上げましたが,試験場の周りには携帯電話会社の電波以外にも様々な電波が飛んでいるということでございます。
このようなところを踏まえまして,このペーパーにははっきりと書かれていないわけでございますけれども,やはり中国,韓国というところについては非常に共通試験というものの位置づけが,我が国の共通テストに比較して非常に重いという位置づけがある中で行われているということ,試験に対する文化の異なる面があるということです。共通テストというものが,中韓ではしっかり高得点を取らない限りいわゆる選抜性の高い大学には進学できないということになっているということに対して,我が国においては個別学力検査というものが存在するとか,また共通テストというものを経由しない進学の道というのが十分あるという国情の違いというようなことがある中で,どこまでのことができるのかということ。
また,電波遮断,電波抑止というものについては先ほど申し上げたようなコストの問題,またいろいろな大学の負担といった問題ということ,また技術的に対応できない要素というものがどうしてもあるということ,このようなところについて考えると,なかなか直ちにそういうことは難しいのではないかといったような調査研究の概要でございました。
ここで申し上げさせていただきますけども,最近報道等でされていますとおり個別学力検査というところで不正行為,スマートグラスを使った不正行為などが行われたということでございます。文部科学省といたしまして,この点はまだ事態の推移というのがあり得るというところでありますので,その辺を十分見計らいながら今回起こった事案の状況を把握いたしまして,この内容に応じてどのような形で抑止することができるのかというところの分析を進めまして,必要に応じて御相談させていただきたいと思っています。まずは内容を把握するということが重要と思っております。
こちらについては以上でございます。
もう一点ございます。資料2-2でございます。大学入学選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究ということで行ったものでございます。こちらについては,概要ということで数枚つけさせていただいてございます。大学入学者選抜における多面的・総合的な選抜の重要性,またその想定される効果というものについては,これまでも中央教育審議会その他において整理されてきたということでございます。
また,近年の新聞報道,メディアの報道なども拝見いたしますと,総合型選抜のメリットというものについて言及するものが増えてきているといったような実感はあるわけでございますけれども,文部科学省として,このことについて大学がどう捉えているのかということを網羅的に調査したということはあまりなかったものですから,今回このようなものを行わせていただいたということでございます。
1ページめくっていただいて,右下のページは途中から始まりますけど,この7という部分については調査の概要ということでございます。回答率は98.3%でございます。
1枚めくっていただいて,8という後に9でございます。総合型選抜の導入率でございます。これについては大学全体で85.6%,短大で95.1%であります。公立大学が43.6%ということで低めと,公立短大も64.3%ということで,ちょっとほかのところとは違った特徴があるところでございます。
規模別の導入率ということでありますけども,大規模校,中規模校,小規模校ということでありまして,小規模校になればなるほど導入率が低いということでございます。
次でございます。総合型選抜の導入の目的ということで各大学にお伺いしています。ここからは時間の都合上,大学全体というところで触れさせていただきますが,短期大学も大きな傾向の違いはありません。
上のほうでございます。目的として一番高かったところは,学力ということではなくて多面的・総合的に評価する選抜を行いたいでありますとか,アドミッション・ポリシーに沿った入学者をより丁寧に選抜したい,主体性・多様性・協働性を持って学ぶ姿勢や態度を持つ入学者を選抜したい,このような動機というのが非常に高くなっているということで,それに比べると,下のほうにあるような年内入試の実施とか,入学定員を充足するよう早期に入学者を確保ということは傾向としてはありますけれども,それよりは一段落ちるという状況でございます。
次のページでございます。総合型選抜導入の効果でございます。こちらについても,ほかの選抜方法に比べて受験者を多面的・総合的に評価する選抜ができた,また,その下,個性や特性を評価する選抜を実施できたということ,あと,一番上から2つ目ぐらいですけれども,学力検査とは違った資質を持つ入学者を選抜することができたと,この辺りについては評価が高いということでございます。
12ページでございます。一方で,課題は何なのかということでございます。ここら辺りは上の2つ,評価する観点の設計,評価結果の点数化が難しい,下から3つ目,十分な実施体制を整える負担が大きい,実際の業務負担というものが大きいということでございます。丁寧な書類選考,面接などでありますと,どのような形でそれを評価するのか,また実際に面接官の数というものについても十分確保する必要がありますし,事前の研修等も必要だということなどが想定されるわけであります。
13ページでございます。総合型選抜の推奨度ということで,ほかの大学にお勧めしたいかということでいいますと,「どちらでもない」というのが緑からで,黄色ぐらいまでがお勧めしたいかなというところですけど,各大学の中でお勧めしたいという割合というものについては,特に私学というところについては増えてきているということでございます。
14ページでございます。今後の導入予定ということであります。導入を決定しているというところ,また導入の検討を実際にしているというところ,この割合というのはまだあまり多くないと,私学さんは少し多いところがありますけれども。灰色とかオレンジというところはまだ検討してないというようなことでございます。やっていないところはやっていないということです。
15ページを見ていただくと,何でやっていないのかということを未導入機関対象で聞きますと,一番高いのは「現在の入手方法に特に問題を感じていないから」ということでございます。それに次ぐレベルで設計の難しさや体制の難しさ,負担の大きさ,このようなことが挙げられているということでございます。
最後の17ページは全般的傾向ということでまとまっておりますが,総じて申し上げますと,総合型選抜に期待されていることということについて、試験を実施した大学さんは一定満たしているという評価をされている一方で,観点の難しさや負担の大きさということが問題になってきていると。
そのようなことを考えますと,観点という意味で入試に関する専門的な知識・技能を有するような職員や教員というものをどのように学内においてしっかりと育成,確保していくかという問題につながってまいりますし,また体制の問題という部分については,入試全体というものを総合型でリソースを割くのであればどうやって業務を軽減していくのかといった問題,それは事務職員や大学院生の活用など,また作問自体の負担の軽減というところもあるかもしれませんけど,こういったものと併せて考えていく必要があるというような示唆ということが,大体想定どおりの結果というところもあるかと思いますけれども,このようなことが改めて明らかになったということは重要なことだと考えております。今後の中央教育審議会の検討などにこの結果を生かしていくということを考えているところでございます。
説明が長くなりましたが,以上でございます。
【川嶋座長】 御説明ありがとうございました。
3点,報告事項がございました。どなたからでも結構ですので,挙手ボタンあるいは手を挙げてお知らせいただければと思います。どの報告に対する御質問かをまずあらかじめ明示していただいて御意見,御質問を伺いたいと思いますが,いかがでしょうか。
柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】 公大協の柴田でございます。大変貴重な御報告,どうもありがとうございました。
最後の総合型選抜についてなんですが,私は以前,AO入試と言われているものも同じようなものだと思うんですけども,これの性格を分析したときになるほどなと思ったのは辞退率というのが極めて低かったんですけれども,その辺りのデータは確認されておられるでしょうか。現在どうなっているのかというのがちょっと気になるところでございます。
【平野大学入試室長】 ありがとうございます。辞退率そのものはこの調査で確認しておりません。確認しておりませんが,上のほうの調査の目的とか,実際達成できたことを見ますと,しっかり学生を確保できたといったような回答がありますので,やったけどほとんど学生が結局来てくれなかったという認識は,多分大学さんは持っていないんだろうというふうに伺っております。
【柴田委員】 ありがとうございました。私もちょっとびっくりしたんですけれども十数年前,まだ導入の初期だったんですが,私学においても学校推薦型の辞退率が2割以上あったところ,AOの辞退率は1割を切れていて9割以上の方が入学されているということで,ああ,なるほどなと,マッチングとしては非常に有効なやり方なのではないかなということを確認したことがあります。
それからもう一点,これは非常に瑣末なので恐縮なんですけども,14ページの図表です。未導入機関に対するアンケートの一番下の大学全体n=110というのは合っているんですけども,その下の種別がずれていて誤植ではないかと思うので訂正を御検討いただければと思います。
以上でございます。
【川嶋座長】 ありがとうございます。最後の御指摘については事務局で確認していただきます。
ほかに。
沖委員,どうぞ。
【沖座長代理】 ありがとうございます。貴重な情報をいただいて,非常に参考になるものかと思います。
追加的に,総合型選抜はもちろんなんですけれども,恐らく学校推薦型選抜についても必ずしもうまくいっているか,いないかということも含めて何らかの調査が必要になるのかなと感じましたが,文部科学省あるいは関連するところで何か検討があるかどうかについて教えていただければと思います。
【平野大学入試室長】 学校推薦型選抜について調査などを行う予定は,今のところございません。ただ,いわゆる一般選抜に対する多面的・総合的な評価という観点では,学校推薦型選抜というのも重要な一翼を担っているわけであります。来年度の要項の話をさせていただきますが,一般選抜,学校推薦型選抜,総合型選抜の3つに方式としては今度変わっていくということになりますけれども,また最近ちょっと感じるところは,非常にそれぞれが相対化してきているようなところというのもあるかということを感じております。
この要項の定着状況を見ながら,この区分が本当に未来永劫これでいいのかという議論が出てくるということはあるかと思いますので,その際には統合型選抜と学校推薦型選抜の差異という部分が実際どれぐらい本当にあるのか,ないのかというところも多分論点になってくるんだろうと思います。必要に応じてしっかりと向き合っていきたいと思います。
【川嶋座長】 ほかに御質問,御意見はございませんでしょうか。
小方委員,どうぞ。
【小方委員】 貴重な資料,ありがとうございました。資料2-1で不正行為防止の調査をしていただいて,私のほうとしてもいろいろ勉強になりましたし,考えるところもありました。
これは2点あって,1つは中国と韓国も日本と同じように全国レベルの試験が行われていて,そこでの対策ということなんですけども,恐らく個別大学でも,日本に限らないんですけどいろいろな工夫が実はされているのではないかと思いますので,これは全国試験型の国だけではなくて,いろいろな国あるいは個別大学でどういう対策が取られているのかということについても引き続き情報提供を行っていただけるとありがたいという,これはお願いでございます。
もう一点は,実際にこの実効性,効果については確認できなかったというお話もありましたが,他方でコストがかかるというのはよく分かるんですけども,効果については何をもって効果とみなすのかという点については今後議論していかなければいけないと思うんですけど,その点について何か,調査の過程で効果についてはどう考えたいということがもしあれば教えていただきたいと思います。
以上です。
【平野大学入試室長】 2点目でございます。この調査そのものは文部科学本省のほうで行ったものではないので,分析自体は大学入試センターさんのほうになるということの前提でお答えさせていただきますけれども,これらの技術の実効性,効果といったときに,我々の立場として,これまで議論を積み重ねてきたものとしてどのようなことということで考えれば,もちろん不正が行われなかったと,行われなかったということは認知されなかったということと近似されることが一番望ましいわけでありますけれども,中国のこういったものについて効果を把握できなかったというものについては,これによって未然に防止できたといったような事案というものがどれぐらい確認できたのかとか,実際に行われているというところをその場で阻止できたものがあったのかとか,あとは,実際に誰もこういうことをもはや行おうと思わなくなったのでそういうことがなかったのかとか,多面的な効果の測定というのはあるんだと思いますが,その辺りの情報については,こういう文献の調査でははっきりと確認できなかったというものだと受け止めております。
【小方委員】 ありがとうございました。
【川嶋座長】 よろしいでしょうか。
多分参考資料には報告書の本体ががついていると思いますので,詳細についてはそちらのほうを御覧いただければと思います。
【平野大学入試室長】 参考資料8でございます。
【川嶋座長】 参考資料8です。
ほかに御意見,御質問はございますでしょうか,3件の報告に関して。
ないようですので,議題の1はこれにて終わります。ありがとうございました。
続きまして,議題の2に移りたいと思います。令和7年度大学入学者選抜実施要項についてでございます。事務局から資料の説明をお願いします。
【平野大学入試室長】 資料3-1を御覧ください。入学者選抜実施要項の見直しの概要でございます。今度,令和7年度の見直しの概要については2年前に既に予告されているということでありまして,その予告の内容がそのまま溶け込んでいるということが大部分でございます。ただ,予告ということと離れて,幾つか今回まだ議論が行われていないというステータスになっているものがありますので,その点を中心に御説明させていただきます。
1点目が大学入学共通テストの日程でございます。昨年度の協議会でもこの点について触れていたことを御記憶の先生はいらっしゃるかと思いますけれども,試験期日については,昨年度追試験と本試験の間は2週間ということで激変緩和措置ということでしておりましたが,これはコロナ以前の姿に戻すことを基本としていくということを昨年度お話しさせていただきましたので,今回は1週間後ということでさせていただくということの提案を含んでいるところでございます。これが大学入学共通テストでございます。
2つ目が予告以外の見直しということで,幾つかございます。実は予告段階での意図というものが必ずしも本文に溶け込んでいなかったというものが最初の2つでございます。1つ目は帰国生徒,社会人の試験日程について,願書の受付期間や合格者の発表というものについても,一般の受験生の方が受ける日程というものに拘束される必要はないということは当然なんですけれども,そこが予告の中ではっきり見えていなかった部分がありましたので,それを反映しております。後で御覧いただきます。
2つ目が,入学志願者本人が記載する資料や高等学校等に記載を求める資料等の活用ということで,これについてもどのような記載資料について留意事項を設けるかということを,予告のタイミングでは協議会で議論していただいていたんですが,予告のほうに盛り込む際にそれがはっきりと盛り込まれていなかったという現状がございます。これについても,当時議論されていた内容というものを今回盛り込ませていただいています。これについても後で御覧いただきます。
3つ目は調査書を活用する場合の留意事項でございます。昨年度の協議会において,女性特有の月経随伴症の問題なども含めて調査書については様々な議論があるところを御紹介させていただきました。今回,調査書そのものの内容については何か行うというものでありませんけれども,これまでも入学志願者の健康状況については原則として入学選抜の判断資料としないということでありました。この後で御覧いただきますけれども,出欠状況というものを推薦要件や合否判定の材料の一つとして活用する場合には,志願者御本人に帰責されない理由によるやむを得ない欠席日数があるんだということを志願者御本人からの申出や調査書から把握した場合には,大学のほうで配慮していただくということを書いているということでございます。
最後は,合理的配慮について幾つか記載を充実しているということでございます。この辺りは,後で参考資料で御覧いただきます。
下のほうは見直し予告の反映ということで簡単に触れるだけにさせていただきますが,「第1 基本方針」についてということで,あり方検討会議の3つの原則というものを盛り込んだこと,多様な背景の例示に障害の有無と居住地域を追加したこと。
先ほど少し触れましたが,入試方法についてはこれまでの形から,方法は一般選抜,総合型選抜,学校推薦型選抜という形にした上で,対象者をそれぞれそこにぶら下げていくと,今までは社会人選抜とか一つの選抜方法という位置づけでしたが,これからは社会人向けの総合型選抜,社会人向けの一般選抜といったものに整理が変わっていくということでございます。
19ページでございますが,「第6 学力検査等」についてでございます。「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断能力」や「思考・判断した過程や結果を的確に、更には効果的に表現する能力」の評価を充実させる,記述式の文脈ということであり方検討会議で触れられたものを今回盛り込むということ。
外国語の資格・検定試験の活用に際して,受験機会の公平性・公正性の確保に当たっての配慮の例を追加すること,これは英語の検定試験の関係でございます。
高校の専門学科,総合学科の卒業者,卒業見込み者に対する適切な評価・判定の観点から,資格・検定試験の活用といったものについても予告どおり盛り込んでおります。
一番下に参考という部分がありますけれども,これは令和7年の予告で令和7年から盛り込むとしていたところでありますけれども,入試方法,いわゆる理工系女子枠も含めた多様な選抜,調査書の活用,障害のある者に対する合理的配慮については,令和7年の予告というのを待つことなく昨年度までに既に溶け込ませているということでございます。ここはもう既に溶け込んでいるということの御報告でございます。
その上で,参考資料5を画面投影もさせていただきながら御覧いただきます。一番左側が令和6年度の要項,真ん中が見直しの予告,令和7年度の今回の要項が右でございます。複雑ですが,黒の実線の下線と点線の下線というのは,既に予告というものを踏まえて今回溶け込ませるもの,既にもう溶け込んでしまっているもの,こういうことでございます。青い部分というのは,予告の内容を踏まえてはおりますが,ちょっと変えている部分。黄色というのが予告の内容と無関係に今回改訂している部分ということになります。ちょっと駆け足ですが,参ります。
2ページ目でございます。この辺は用語の整理を,「第6に掲げる学力検査」などひもづけの範囲をしっかり見ていただくという修正でございます。
3ページについても上半分は同様でございます。真ん中の辺りについては,専門学科の選抜とか社会人の選抜は先ほど申し上げたように今後は対象者ということになっていますが,予告のほうが,真ん中を見ていただくとまだ社会人選抜とか専門学科・総合学科卒業生選抜といった選抜という名前が残っていることによって,先ほどの方法は3つだと,対象者をこれからそこに分けていくんだという話と矛盾しておりましたので,ここを直しております。
4ページでございます。本試験の日程,追試験の日程についてということ。あとは,下のほうの6については,帰国生徒,社会人を対象に募集区分を設ける場合の「試験期日,入学願書受付期間及び合格者の決定発表は,上記2から5によることを要しない」ということでございます。これはもともとのものが試験期日しか触れてなかったということで,少し不足していた部分があったという理解でございます。
5ページは何もなしでございます。
6ページは告示の番号の付け替えなどの技術的な修正でございます。
7ページでございます。黄色の部分は番号の付け替えですが,真ん中あたりについてはもともとの予告が「小論文、面接、実技検査等を活用することが望ましい」として「等」となったんですけど,実はほかの部分にこの「等」が何なのかということはかなり具体的に明らかになっている部分がありまして,その部分についてしっかりと書き下したということでございます。その上においてまた「等」はついておりますので,いろいろな方法はできるということは変わりがございません。
8ページでございます。8ページは,既に2年前に議論していたものが予告の内容のほうには溶け込みができてなかったという部分であります。活動報告書を活用する際の留意点等について触れております。例えば(1)でありますと,どのような内容の記載を求めるのかということで丸1,「総合的な探求の時間」や理数探求等において取り組んだ課題研究等。丸2,学校の内外で意欲的に取り組んだ活動といったものについてしっかりと活動報告書に書こうと。
(2)は,こういった書類というものを活用する際には各大学が,入学志願者に対して,入学後に学びたい内容や,卒業後を見据えた目標を書いてもらいましょう。
(3)と(4)は,様々な選抜においてこういったものを積極的に活用しましょうと,このような内容でございます。これについては,実は2年前に議論済みということでございます。
9ページについては日程的なものでございます。上の部分には,この要項が実際に発出されるタイミングというものが入ります。
10ページは何もなしでございます。
11ページでございます。こちらの上のほうについては,健康状況については合否判定事由にしないという後に,先ほどの調査書の配慮ということについて加えていただいているところでございます。
11ページの下のほうからが合理的配慮でございます。ここの下の部分は,「事前相談体制の構築・充実に努めるとともに,申請手続を明確に示しておくことが望ましい」と,どのような形で申請していただくのかということを要項に示していただいている大学さんがほとんどではないかと思いますが,改めてこのようなところの分かりやすい表示をお願いしたいということでございます。
ページが飛んでまいりまして14ページでございます。ここの(4)です。ここの上の部分は合否判定の方法や基準を明確に定めて,公表して遵守してくださいということでございます。もともと合否判定にあったようなペーパーテストをやります,面接をやります,実技をやります,こういったレベルの方法というものが記載されていて,それを組み合わせて配点などが示されているケースがほとんどではあるかと思いますが,合理的配慮を行う際にはどの方法がどの方法に代えられるのか,御本人にとって,例えばその方については実技は免除するけども,その分はペーパーテストをもって代えるとか,こういったような方法が本人にとってどう代わって判定されるのかということを分かりやすく伝えてほしいということでございます。ここの記載だけだとそれがちょっと分かりにくい部分もあるというような話もあるかと思いますので,この点についてはQ&A等を付随して出させていただいたり,説明会で丁寧に触れさせていただきたいと思っております。
丸3でございます。これは言わずもがなのことでありますが,合理的配慮を行っていることを理由に入学試験の結果を減点するとか,特定の科目が免除されているにもかかわらず,そのことを考慮せずに一律に合計点を比較するなどの不利な扱いをしないことということでございます。当然の話かと思います。
大きな修正は以上でございます。
17ページとかこの辺りは技術的な修正でありますし,調査書のほうで幾つか記載方法というところで書かれているところもあります。この辺りも技術的な修正でございますので御覧いただければと思います。
要項の改訂の内容については以上でございます。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】 説明ありがとうございました。令和7年度の入学者選抜実施要項の御説明がありましたが,予告等を踏まえて,なおかつ漏れていたものについては加筆したというような御説明でした。
この選抜実施要項案に関して御意見,御質問のある方は挙手ボタンにてお知らせください。いかがでしょうか。
柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】 柴田でございます。詳細な御説明,どうもありがとうございました。特に参考資料5というのは非常に分かりやすかったと思います。
その上でお尋ねするんですけれども,募集要項についての記載は本文のほうでは27ページ,それから先ほどの参考資料5では9ページにございます。先ほどの御説明でしたら従来は一般選抜というのがメインといいますか,それが主であって,それの募集要項については12月15日までに発表するということで筋は通っていたと思うんですけども,来年度からは一般選抜,総合型選抜,それから学校推薦型選抜と並列しているわけでございまして,それぞれにおいて12月15日まででいいのかなという気がしないでもないところでございまして,それぞれ募集する時期が9月1日とか11月1日以降ということになっていますから,例えば募集を実施する前の1か月前とか2か月前とか,それを少し配慮した記述を御検討になったらいかがかなという気がいたしました。
以上でございます。
【川嶋座長】 ありがとうございます。
【平野大学入試室長】 今いただいた点については,3つ併存するという説明をいたしましたけど,一般選抜のほか,各大学の判断によりということで,まだちょっと段差はあるということにはなっております。ただ,今柴田先生からいただいたように12月15日と,お尻としてそこまでというのは当然そうなんですが,各大学でそこは適切に予告という要項を示していただいているので行われているとは思いますが,これはまた今年の状況を見ながら,来年に向けて少し考えさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
【柴田委員】 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
【川嶋座長】 一般的に12月ということなので,それまでに大学がいろいろ工夫されて選抜方法ごとに発表時期を変えられている可能性はあるということで,そのような状況を見ながら実施要項に入れるかどうかを考えていくということになろうかと思います。
ほかに御意見,御質問がある方はございませんでしょう。
渡邊委員,どうぞ。
【渡邊委員】 恐れ入ります。私,全国高等学校長協会大学入試対策委員会の委員長で東京都立墨田川高等学校の校長,渡邊と申します。全国高等学校長協会の意見ということで2点,お伝えさせてください。よろしくお願いします。
1点目です。追試験の実施会場及び期日についてですが,追試験会場の設置箇所について,今回のアンケート調査において全都道府県に設置するべきという意見が約6割,6つ程度でもブロックごとに設置するべきとの意見が約3割で,合わせて9割以上がせめて6つ以上のブロックごとの設置を望んでいるという結果が出ました。期日が従来の本試験の1週間後となったこと等も考え合わせますと,地方受験者の負担は大変大きいものがあると考えられます。今後の感染症の感染状況なども踏まえるということではあろうと思いますけれども,引き続き設置箇所の拡大について御検討をお願いしたいと,これが1点目でございます。
2点目です。入学志願者本人が記載する資料及び調査書等の活用についてということでございますが,一般入試以外の選抜方法の多様化については,主体的・対話的な深い学びを目指した指導方法の工夫や改善に向けて,高等学校においてはある程度対応しているという意見が多いのではありますが,一方,多面的・総合的な評価の活用に当たっては,評価の対象となる学習活動が生徒の居住する地域や学校の教育力による格差を懸念する声も一定程度あるというのも事実でございます。特に家庭の経済力による教育機会の格差への懸念が強いという結果がありました。
その上で,入学志願者本人が記載する資料及び調査書等の活用に当たって,健康状況や志願者本人に帰責されない理由等による事柄への配慮が明確化されたということについては大変評価できるところではありますが,今後も記載や指導における教員の負担感が大変強いということも踏まえていただき,活用に当たっての明確な基準が示されることによって公平性が確保できるようお願いしたいと思います。そのためにも募集要項をよくしっかりと読んだ入学志願者と指導する教員が理解しやすい明確な基準となるよう,各大学にはお願いしたいと思います。
私からは以上です。
【川嶋座長】 ありがとうございました。
1点目はどうですか。
【平野大学入試室長】 ありがとうございました。
1点目でございます。今日御紹介させていただきましたが,私ども,もともと東・西2会場というところでありましたけれども,能登半島の件については会場校の多大な御協力をいただいたということではありますけれども,追試験場の設置ということについては必要であるという判断で速やかに対応を行ったところでございます。
現状,この状況という中では2会場ということで提示させていただいておりますし,それでいかせていただきたいと思うわけでありますが,今後も様々な不測の事態ということがあるときに,まず考えるべきは現地の高校生の方々がしっかり不安なく受験に臨むことができるということは重要なことであると思っておりますし,また全高長のほうからそういうお声をいただいたということも踏まえてしっかりと対応していくということになろうかと思います。
2点目については,私どもとしてもこの要項でお示ししているように,判定の方法ということについては明確に示していただきたいということをお願いしているところでございます。各高校のほうはしっかりと準備して臨んだものというもの,またこれは生徒さんもそうだと思いますけども,どのように使われるのかというところについては,本日,各大学の方が今のお話を聞いていただいていると思いますので,ぜひ工夫して分かりやすい形で伝わるような,それが書く側にとってもやる上でのやりがいといいますか,そういうことにつながってくるかと思いますので,善処をお願いしたいと思います。
以上でございます。
【川嶋座長】 ありがとうございました。
2点目については,本日の協議会には各大学団体の代表の方が委員として参画されておりますので,大学団体等を通じて個別の大学にも今の高校側からの御意見をお伝えいただければと思います。
それ以外にこの件について御質問,御意見はございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは,特段修正等が必要な御意見はなかったと思いますので,令和7年度大学入学者選抜実施要項についてはこの案で決定させていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは,3番目の議題に参りたいと思います。令和8年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱についてです。
まずは,事務局から御説明をお願いします。
【平野大学入試室長】 失礼いたします。
資料4でございます。次の次の大学入学共通テストの実施大綱というものを文部科学本省のほうからお示しするということになっております。
こちらのほうは,ぱらぱらとめくっていただくとお気づきになっていただけると思うんですが,令和7年度の共通テストは御存じのように新教育課程と旧教育課程が併存する形で出題されるということでございますが,旧教育課程履修者等に対する経過措置というのは令和7年度限りの措置ということでございますので,令和8年度からは現行の学習指導要領に基づく問題だけが出題されるということになります。それを踏まえた修正ということが今年の修正のほぼ全てでありまして,それ以外の修正については,特段ここで御説明することはないということでございます。
雑駁な説明ですが以上でございます。
【川嶋座長】 御説明ありがとうございました。
令和8年度の大学入学共通テストの実施大綱について,令和7年度の移行措置に関する部分を削除したという御報告でした。この件について御意見,御質問はございませんか。
実施組織である山口大学入試センター理事長,何か御意見,御質問,追加の御説明はございますか。
【山口委員】 ありがとうございます。特にございません。御説明のとおりでございます。
【川嶋座長】 ありがとうございました。
ほかの委員の方々はいかがでしょうか。
特段の御意見はないようでございますので,この資料4にあります令和8年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱を決めさせていただきたいと思います。御審議ありがとうございました。
以上で本日用意した議題は終わりなんですが,委員の方々から何か全体を通して御意見,御質問がございましたら,まだ時間がございますのでお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。特段ございませんでしょうか。
それでは,ありがとうございました。円滑な協議に御協力いただきまして,ありがとうございました。
それでは,最後に事務局から今後の日程等について御説明を,それプラスですね,お願いします。
【平野大学入試室長】 ありがとうございます。今日,おおむね議論について一致を見ていただいたということでございます。もともと来週の水曜日に予備日というものを確保させていただいておりましたが,こちらの開催は見送らせていただくことにさせていただきたいと思います。
次回の日程については,改めて事務局より照会させていただきます。引き続きよろしくお願いします。
それで,今後の開催ということで,まだ決定しているわけではないんですが,通常この春のシーズンでの開催というものが定例ではあるんですが,参考資料10を御覧いただきたいと思います。博士人材活躍プランというものを文部科学省から出させていただいている中で,その中の通し番号でいうと462で12ページになるんですが,これは大学院のことでございます。大学院の入学者選抜についても,3つの方針を踏まえた選抜の充実をしていくということが盛り込まれております。
少し申し上げさせていただきますと,大学院の入学者選抜実施要項というのを御覧になったことがある先生はあまりいらっしゃらないと思うんですけれども,A4でいうと数枚ぐらいのものがございます。長い間の改正されていないという状況であるんですが,大学院のほうにもアドミッション・ポリシーのみならず,ディプロマ・ポリシーやカリキュラム・ポリシーの策定が義務化されたというのが恐らく数年前でございます。そのようなことを考えてまいりますと,大学院の入学者選抜というものについても3つの方針を踏まえた選抜というものを行うということは当然想定されているわけでありますが,要項のほうにそれが反映された状態になっておりません。
また,それと関連して,大学院の入学者選抜というものについても多様化してまいっておりまして,例えば昔みたいに第二外国語まで問うて,専門の論述を書かせて,口頭試問があるといったパターンだけではなく,近年のリーディング大学院や,また卓越大学院プログラムで行われているような様々な多様な方法の入学者選抜というものも進んできている一方で,要項のほうは必ずしもそのような多様な方法というものを想定したものになってないと。これは事細かにそういったものを位置づけていくというものではなく,大学院入学者選抜であるということの実態,状況というのを踏まえた上で,骨組みになる部分については,一方でしっかり加えていく必要があるんだろうと思っております。こういった内容について,また少し事務的に検討させていただいた上で協議会にお諮りさせていただくというタイミングが今後あろうかと思いますので,その準備が整いましたら,また各委員の先生に御相談させていただきたいと思っております。時期的には夏とか秋とか,入試の本格的なシーズンに入る前にできればと思っておりますが,まだ未定ということで受け止めていただければと思います。
今後の日程については以上でございます。
最後でございます。情報の取扱いというものについてでございます。本協議会の審査の過程というのは非公開でございます。後ほど議事録は適切なタイミングで公表されますけれども,審議において知り得た情報については漏えいされることがないよう,本日の資料内容については委員限りとしていただくと,傍聴されている事務局の方とかについても各団体の責任でしっかりと管理していただきたいと思います。
万が一その内容について問合せがあった場合については,文部科学省のほうに御連絡するようにということで言っていただければと思います。開催の有無も含めて非公表ということでございます。そのステータスについては十分御配慮を賜りたいということでございます。
また,追加で御意見等がございましたら事務局のほうまで御連絡をお願いします。ありがとうございます。
【川嶋座長】 ありがとうございました。最後に大学院の入学試験について今後の検討の予告がございましたが,これについて何か御意見,御質問はございますか,日程も含めてですが。特にございませんでしょうか。
それでは,本日の第15回の大学入学者選抜協議会はこれにて閉会としたいと思います。本日は誠にありがとうございました。
── 了 ──