大学入学者選抜協議会(第13回)議事録

1.日時

令和4年9月15日(木曜日)10時~12時

2.出席者

委員

川嶋座長、石崎委員、圓月委員、大林委員、大山委員、沖委員、空閑委員、兒玉委員、柴田委員、髙田委員、竹中委員、田中委員、長塚委員、安井委員、山口委員、山田委員、柳元委員

文部科学省

池田高等教育局長、伊藤文部科学戦略官、古田大学振興課長、平野大学入試室長 他

3.議事録

【川嶋座長】  皆さん,おはようございます。所定の時刻より多少早いのですが,今日,出席予定の委員の方々,全員お揃いということで,これから大学入学者選抜協議会の第3回を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては,御多用中お集まりいただき,誠にありがとうございます。
 本日の議題は,式次第にございますように,4つございます。1つは,令和5年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの追試験の試験場の規模について。2つ目は,大学入試のあり方に関する検討会議の提言のフォローアップについての報告。3番目が,大学入試のあり方に関する検討会議提言を踏まえた入試情報の公表について。4番目が,その他,となっております。
 まず,本協議会委員及び事務局に変更があったということですので,事務局から御紹介いただくとともに,併せて資料の確認等もお願いします。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。大学入試室長でございます。
 まず,委員の変更について御紹介をさせていただきます。全国高等学校PTA連合会会長として,これまで泉委員に御就任をいただいてございましたけれども,本日より,山田委員に御就任をいただくことになったところでございます。よろしくお願いいたします。
 また,事務局においても9月に人事異動がございました。高等教育局長が池田に交替してございます。また,文部科学戦略官として伊藤が着任してございます。
 それでは次に,本日の資料について確認をさせていただきます。資料については,資料1から資料4,これが会議本体の資料でありまして,参考資料1としてこの協議会の設置紙,参考資料2として関連する資料集を配付してございます。資料は以上でございます。
 会議運営上の留意事項についても,お知らせをさせていただきます。本日もウェブ会議方式ということでございます。御発言の際には挙手ボタンを押していただき,指名された後に御発言をいただきますようお願いします。また,聞き取りやすい御発言,資料を参照する際には該当ページ,場所のお示しをいただくこと,ハウリングなどを避けるために,指名後にはミュートを解除していただき,発言後にはまたミュートに戻していただく,このような円滑な会議運営に御協力をいただければ幸いでございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。それでは,山田委員,一言,御挨拶いただけますでしょうか。
【山田委員】  皆さん,おはようございます。私は,この6月末から全国高等学校PTA連合会の会長に就任させていただきました山田と申します。出身は和歌山でございます。前任の泉前会長が2年間,この連合会の会長をしていただきまして,今年度から私が選任されました。先日,いろいろとレクチャーを受けたのですけれども,まだなかなかいろいろと分からないことが多いので,また皆さんと一緒に勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【川嶋座長】  よろしくお願いします。伊藤戦略官も一言,よろしくお願いします。
【伊藤文部科学戦略官】  文部科学省の伊藤でございます。前任,森田の後を受けて,この入試の担当もさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
【川嶋座長】  よろしくお願いします。それでは,議題(1)番目に入りたいと思います。令和5年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの追試験の試験場の規模について,でございます。事務局から資料等の説明をお願いします。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。資料1を御覧ください。これは,通知文の案文ということで,既にお示しをさせていただいてございますけれども,タイトルが令和5年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの追試験の試験場の規模について,というものでございます。本年度頭に、協議をいただいた令和5年度大学入学者選抜実施要項においては,追試験の会場数については,今後,新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえて秋頃をめどに決定し,周知する予定であるということとしていたところでございます。現在の感染状況というものを踏まえまして,私どもとして御提案差し上げたいのは,大学入試センターで実施する共通テストについて,試験場を引き続き全都道府県に設置をするということでございます。御了解いただきましたら,この通知案文をもって,決済等に少々時間はかかりますので,少しお時間をいただいての後ということになりますけれども,各大学に周知をさせていただく,また関係する教育委員会,学校等にもお知らせをするということを考えているところでございます。議題(1)について,説明は以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。ただいまの御説明,資料1につきまして,何か御質問,御意見がございませんでしょうか。山口理事長,何かございませんか。
【山口委員】  特にございません。
【川嶋座長】  ありがとうございます。ほかの委員の方,いかがでしょうか。よろしいでしょうかね。各都道府県に設置するということでございます。
 柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】  どなたも御発言にならないので,私からもサポート説明です。コロナが今,第7波が大分落ち着いてきましたけれども,今後どう推移するのか分からないというのと,もう1つ,医療関係者の中で危惧されているのは,インフルエンザが3年間ほとんど流行していなかったのでどうなるかという危惧もございますので,こういう措置というのが妥当であろうと考えております。ぜひこの線でいっていただければと存じます。
 以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。インフルエンザのお話も出ましたので,せっかく今日,臨時協力者でお二人の先生に参加していただいておりますので,何か今後の見通しについて御発言はございますでしょうか。どうぞ。
【柳元委員】  では,簡単に申し上げます。インフルエンザのお話ですが,従来は南半球,北半球,交互に流行が来ましたので,それをもとに今年度というか,これから来るシーズンがどうなるかを予測するというようなことも,1つの方法になります。そうしますと,オーストラリアなどでは昨年,一昨年はほとんど患者が出ませんでしたが,かなり早い時期から,急にインフルエンザの患者が増えるということが観察されましたので,同じようなことが日本でも起こる可能性があるのかなとは思っています。
 ただ,現地のマスクの着用や,手指の消毒などの状況は,日本に比べるとかなり緩和された感じがありますので,日本で同じようにまた感染が戻ってくるのかは難しい。ただ,発熱だけだとコロナかインフルエンザか分かりませんので,医療現場あるいは試験会場も含めてだと思いますが,いろいろ対応で苦労が生じるのかなということは懸念しております。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございました。そのほかに,ございませんでしょうか。
 それでは,先ほど平野室長から御説明いただいた案にて決定をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして,議題(2),大学入試のあり方に関する検討会議提言のフォローアップについての報告でございます。では,事務局から資料等の説明をお願いします。
【平野大学入試室長】  続きまして,議題(2)について,フォローアップについて御説明をさせていただきます。資料2でございます。
 最初にお断りで恐縮ですけれども,本日,出席しているのは大学入試室の担当官のみということになってございます。担当を直接していない部分というものについては,簡単な概略の説明にとどまるというところ,また,項目の紹介のみにとどまるところがあるということについても御承知おきいただければと思います。
 各項目が挙げられてございまして,これが全部で10ページにわたってございます。資料の項目としては,構造としては,まず項目があり,既に終わったと目されるものについては完了時期を入れている。令和4年8月までに一体どのようなことをしたかということが真ん中の列でございまして,今後の予定というところが一番右ということでございます。
 1-1,令和6年度実施の入試者選抜の予告,これについては,既に行われているということでございます。1-2,施策の実現状況のフォローアップ,協議会への報告が,まさに今この議題で行わせていただいているということでございます。今後も半期に一度程度については,進捗状況取りまとめを行っていきたいと思ってございます。1-3,4-1ということで,中長期的課題についての継続的な検討ということについては,引き続き,適宜取り扱っていく予定でございます。1-4,3つのポリシーの策定及び運用に関するガイドラインの見直しということでございます。こちらについては,先だっての大学分科会,中央教育審議会でも教学マネジメントの在り方について見直しを図っていく,この観点から教学マネジメント指針というものの充実,入試部分の追補というのを策定するという方向で今,作業が始まっているところでございます。こういった中において,アドミッションポリシーに関する各大学の見直しというものを,ディプロマポリシー等と一体で行っていただけるような形で追補というのを示していく予定でございます。また,この内容については適宜のタイミングで,協議会にも情報提供を差し上げたいと思っております。1-5,1-6,これは募集区分ごとの改革進捗状況,また好事例ということでございます。好事例については,8月に好事例集というものを公表させていただいてございます。また,実態調査というものを現在,実施を行っているというところでございます。
 ページを変えていただきまして,2ページ目。1-7でございます。認証評価や修学支援新制度に関する情報公表,大学ポートレート等におけるところでの情報公表,こういったものを促進していくという内容でございます。認証評価機関や大学ポートレート,関係団体の出席会議において,あり方検討会の提言についての周知を行いました。また,修学支援制度というものについても,確認申請書において任意記載事項ということで,記載することができるということになっておりまして,確認申請書については公表すると。この中で入試についても盛り込む余地が出てきているということでございます。
 2ポツで,記述式でございます。採点の効率化や工夫,ノウハウの共有ということについては,好事例集の中に記述式の内容というものも入れ込んでいるということでございます。また,次の好事例集というところ,またその他の記述式の出題状況といったところも見据えまして,今,実態調査を行っているところでございます。
 過去問の利用についての大学関係者の相互理解,また過去問の利用についての理解が得られるような発信ということが盛り込まれてございます。私どもから,岐阜大学さんには少しお話は聞かせていただいてございます。過去問の利用については,先ほど申し上げた教学マネジメント指針の追補の中で取り扱うことを,今,検討しているところでございます。
 続きまして,3ページでございます。3ページ,2-7については,初等中等教育局の取組ということでございます。高等学校の指導や生徒の学びの実態のデータ把握ということ。これは記載のとおりでございます。2-8,高大連携プログラムのプロセス,成果を入試で活用する取組の充実,こういった高大接続の特徴的な事例というものについても,好事例集に盛り込んでいるところでありますし,また来年も引き続き調査,好事例の収集を行ってまいります。2-9,早期履修制度(アドバンストプレイスメント)の適切な推進と。これまで,制度としては高校生が大学の科目等履修生として科目を受けることは大学の判断で可能と。単位を取得することも可能ということでありましたが,その取った単位をもって修学年限というものを通算するということは認められていなかったと。大学入学資格を得た後に修得した単位というところのみがそれに効いてきたということでありますけれども,ここを制度改正いたしまして,当該大学の入学前,入学資格を有さない段階で修得した単位についても修業年限の通算というものに生かすことができると,このような制度改正を令和3年の10月に行ったところでございます。また,大学の記述式問題の充実というところは,先ほどの調査と好事例というところで後押しをしていくというのが2-10でございます。
 総合的な英語力ということでございます。3-1,共通テストの英語の不断の改善は大学入試センターにおいてしっかりと専門的な観点から取組,検討をしていただいているところでございます。
 4ページに行っていただきまして,今日の最後で御紹介することになっておりますけれども,試験検定実施団体と高大関係者による協議体ということで,英語ワーキングというものがございます。これを先日開催したところでございます。英語4技能の総合的な育成という3-3からALT,外部人材の活用3-4,パフォーマンステスト3-5,3-6,教科横断的な学習・探求を生かした英語交流の機会の充実3-7,ここら辺りは初等中等教育の取組ということで,記載のとおりでございます。
 4ページから5ページにかけてが,大学入学後と大学入試というものを有機的に連携させた取組の促進ということでございます。ここについても,好事例というものを挙げるとともに,後で出てまいりますけれども,私立学校に関する助成とか,国立大学の運営費交付金,こういったものについても支援してくということで,後押しを行っているところでございます。社会で求められる英語力の基準の公表ということについては,私ども文部科学省で実施した,総合的な英語力としてどのようなものを求めているのかといった企業に対する調査,こういったものについて8月に調査結果を公表したところでございます。また,こういった調査結果については経済団体にフィードバックをいたしまして,企業としても大学生に期待する英語力等について,積極的に情報発信をするということをお願いしているところでございます。
 4ポツでございます。これは,地理的・経済的事情,障害のある受験者への合理的な配慮の実施というところでございます。続きまして,4-2,これはオンラインの具体的な留意事項。これは配慮事項について要項に加えております。特別選抜の取組の普及の観点から留意事項を提示するといったこと,また,障害の有無などに対して受入れ上の配慮についての記載を充実するというところでございます。これについては,要項をつくるときに御議論いただきましたが,令和7年度の予告に盛り込んでいる内容を既に今年度の要項に取り込むという議論などを行ったところでございます。
 6ページ,4-3,これは特別選抜の好事例ということで,好事例集で対応してございます。4-5は入学時の学生納付金の納付時期配慮措置というものについて,各大学の取組を把握していくということでございます。ここについても既に,令和3年11月に対応,調査済みということでございます。その他,4-6,こちらについては,入学時の特別増額貸与奨学金や生活福祉資金貸付制度に対する周知ということで,既に令和4年3月に通知または文部科学省のホームページの上で対応しているところでございます。4-7,高校生の学びの基礎診断の活用状況。4-8,高等学校の奨学金などの実態把握,優れた取組の把握,こちらについては,初等中等教育局で適宜,記載のとおり取り組んでいただいているところでございます。
 7ページでございます。母語別の高等学校・大学進学率や外国にルーツを持つ者を対象とした特別選抜の実態調査でございます。こちらについても,令和3年度に必要な調査を行うとともに,好事例集,私どもの調査というものでも把握を進めていくということにしてございます。4-10,こちらについては自治体や大使館等の連携を含めた日本語指導が必要な生徒に関する取組の推進ということで,こちらも適宜,関係する局において取組をいただいでございます。障害のある学生の実態調査,これについては令和4年8月に調査というものを紹介してございます。4-12,こちらについては合理的配慮という部分でございますけれども,JASSOのウェブサイト,またオンラインセミナー等において対応してございます。4-14についても学生支援機構を中心に対応をいただいているところでございます。
 8ページでございます。ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜ということでございます。秋入学に関する在り方については,以前,御説明しましたけれども,文部科学省の中にタスクフォースを設置いたしまして,ヒアリングなどを実施しました。その結果を踏まえて,今年度の要項にも秋入学については,春の入学とは違ったもので評価をするということを考えてくださいということを盛り込んでいるところでございます。アドミッションオフィスの役割・機能の強化については,大学入試センターにおいて育成支援という形で研修等を実施していただいているところでございます。大学入学共通テストの出願の電子化ということにつきましては,今,準備を進めているところでございまして,本年11月に開札が行われて,契約をすると。その中で進めてくというということにしてございます。成績通知時期については,引き続き検討していくということでございます。調査書についてでございます。調査書の電子化ということは後で出てまいりますけれども,まだ観点別評価をどのように扱うか,このようなテーマというのも残っておりますので,これらはまたしばらくして考えていくということになるかと思います。オンライン面接については,先ほどあったように留意事項を示しているところでございます。
 9ページでございます。大学入学者選抜のCBT化というものに対する調査研究でございます。こちらについては,委託事業というものも文部科学省で今,令和4年度から3年事業でということで,今,関係する事業者の選定中という状況でございます。また,大学入試センターにおいても,CBTについては成果というものを6月に公表いただいたというところでございます。志願者の大学選択に関する情報公表というものについては,この後の議題にさせていただくことにしてございます。5-10,5-11は国立大学法人運営費交付金または私立学校の助成というところにおける後押しということでございます。それぞれ必要な対応というのを行っているところでございます。私学については,私立大学等改革総合支援事業の評価項目というものについて見直しを行っているところでございます。5-12でございます。公立大学については,各公立大学,公立大学協会に試行的な好事例というものをお知らせしたところでございます。こういったものについては,設立団体,設置者等に参考にしていただきたいと考えてございます。大学入試センターの業務の見直しというものは,適宜,今,行っているところでございます。また,研究開発という部分についても,いろいろな協議大会の開催などで引き続きセンターに御尽力をいただいているところでございます。中央教育審議会における定員管理の在り方というものについても,今後,具体的な改善というところを検討していくことにしてございます。
 あっさりとした説明で恐縮でございますが,また引き続き,半期に一度程度は御報告をしていくということを考えているということを改めて申し添えて,説明とさせていただきます。ありがとうございました。
【川嶋座長】  ありがとうございました。非常に多岐にわたる進捗状況の御報告でございましたので,いろいろ御質問,御意見あるかと思いますけれども,まず順番に,1項目ずつ,もし御意見,御質問があれば承りたいと思います。まず1ポツの総論の進捗状況の内容について,何か御意見,御質問おありでしょうか。挙手ボタンでお知らせください。特にございませんか。
 それでは,2ポツの記述式問題の出題の在り方についての進捗状況について何か御意見,御質問はございますか。次の項目もそうなのですけれども,今,実際に各大学の実施状況,出題状況を文部科学省に調査していただいているということで,またその状況については,いずれ御報告があるかと思います。
 それでは,3ポツの総合的な英語力の育成・評価の在り方についての進捗状況について,何か御意見,御質問はございますでしょうか。石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】  これは,資料4の説明の前に話をしてしまっていいですか。
【平野大学入試室長】  英語ワーキングの話が後であるのでという御趣旨だと思いますけれども,そこはどちらでも。
【石崎委員】  今お話ししても,いいですか。
【川嶋座長】  はい。
【石崎委員】  この問題については,いろいろな問題があったと思うのですけれども,その1つが地域格差,経済格差といわれていたものです。この間,英語ワーキングのときに,各検定団体でいろいろオンライン受検ができる,安いオンライン受検版みたいなものが大分出てきて,それが地域格差等を解消する1つの材料にはなるのかなと受け止めたのですけれども,一方で,地域格差,経済格差ということについて安いオンライン版で解決しようとしたときに,後で出てくるのですけれども,各社本体の試験と安いオンライン版みたいな,乱暴な言い方なのですけれども,そういうものが出てきたときに,試験の種類がほとんど倍に増えるような状況になっています。ただでさえ異なる試験間をどう比較すればいいかという課題があったのに,試験の種類が増えている状況になっているという課題が生じているということです。
 もう1つは,1回当たりの試験を安くすればいいという問題ではなくて,何回も練習して受けられる子と,1回しか受けられない子では,当然条件が違うわけです。英語成績提供システムのときには,高3のときに2回というルールがあったのですけれども,それはある意味見識だったとは思うのですけれども,それがなくなった今,何回でも受けられる状況というのが,経済格差の問題として生じているのではないかというお話を,ワーキングのときにさせていただきました。ワーキングの主査でしたか座長でしたか忘れましたけれども,それはここではなくて,もっと大きい場所で話しましょうというようなことをおっしゃられたので,どこで話せばいいのですかというのが質問の趣旨なのです。その辺りを含めて,議論をしていく必要があると考えているということをお伝えさせていただきます。
 以上です。
【川嶋座長】  御報告ありがとうございました。各検定団体,それぞれある意味で競争相手なので,共通で何かを進めていこうということは,なかなか難しいのかもしれません。ここに3-2,4-13のところに,引き続き,例えばスコアの比較をどうするかとか,あるいは各試験の質保証について,この協議会の中で調整というか,さらに検討を進めていただければと思います。
 もう1つは,次の4ポツの経済格差,地域格差の問題について,どこで議論すべきかということなのですが,英語だけではなくて,大学入試に絡んでは様々な格差の問題がこれまでも指摘されてきております。文科省の考え方は平野室長から御説明願えればと思いますが,あり方会議の提言に基づけば,まずはこの協議会が議論の場になるかと思いますが,さらに協議会だけではなかなか最終的な解答を出すのは難しいとは考えております。文部科学省あるいは関連するようなところで,もう少し大所高所から格差の問題は議論する必要はあるのかなとは思いますが,まずはこの協議会でいろいろな御意見を賜ったうえでということに,私自身はそう考えておりますが,平野室長,いかがでしょうか。
【平野大学入試室長】  また後ほどの議題でもありますけれども,英語の入試という局所の部分というのは当然,選抜協議会で扱うことが正しい話題である一方で,経済格差といった問題や,英語以外の試験検定の在り方そのものは入試以外にも使われているというところもあったりしますので,そこを入試だけで議論するというわけにもいかないといった問題もございます。
 英語のワーキングというところについてもそうでございますけれども,あり方検討会の部分というのは,いろいろな御提言が含まれておりますけれども,今日や明日に結論が出るようなレベルのものではないというものも含まれてございます。こういったものについては,ある程度時間をかけて,関係者というものもしっかり意識を喚起していくということが必要な,地道なものというのもございます。また,英語というところについては,経済的,地理的な格差というものを踏まえて,選抜区分としてそういったものを活用しないものを用意するなどの配慮が必要であるとされているところでございます。
 こういったものとしっかりと両立をさせながら,議論を継続していくということが必要かと思います。ワーキングの概要は,ほかの先生はまだ御存じないと思いますので,また後ほどの議題で取り上げさせていただきます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。今は3と4を合わせて御意見,御説明がありましたけれども,ほかの委員の方々,いかがでしょうか。沖委員,どうぞ。
【沖座長代理】  沖でございます。よろしくお願いいたします。今の話は,石崎先生の御指摘はごもっともで,まさにここでという,回答も当然そうなるであろうと理解しておりますし,今,説明の中にありましたとおり,まさに入学者選抜の問題だけに絞りすぎると,そもそもの英語教育の理念とどんどん乖離するというリスクや,場合によってはこういう検定試験を利用するというのは,従来の入学者選抜とは少し考え方を変えていくというもう少し大きい話で,場合によってはこの会議体を超えたところである程度指針を出さないと,何か大幅な変更というのをここで決めるというのは難しいだろうとは思っております。逆に,現時点ではそうした課題をできるだけ繰り返し確認をしながら,全体の方向性を少しずつ変えていくというようなこと,よりよいものに改善していくための意見交換の場と理解して進められればと,私としても考えているところです。これは先ほど出ましたワーキングの座長としても,一言申し上げました。
 そのうえで,少し離れた質問ということになりますので,文科省の皆様に確認をしたいのですが,今のこの3番の中で,検定実施団体に関する3-2,4-13のところで,各試験の質や水準等に関する第三者評価の在り方や,調査研究の実施というのが入っております。これは実際のところで,ワーキングでも議論をしかけているわけですけれども,実際には多分入試の話だけではないということになりますので,この会議体を超えたどこかで,この検討について文科省の中で行う予定があるのかどうかということについて,少し現状について,団体の取組の状況についてという回答になっているので,この辺り,もう少し御説明いただければというのが1点です。
 もう1つ,この3ピリの一番最後のところで,社会で求められる英語力の基準等の調査・公表ということについても,これは実はまさに,この会議体でいくら議論をしても,出口のところで企業側が採用試験や実際の業務の中で英語力を使わないので,実際に採用においてもあまり英語力を見ていないという結果が,あちこちの調査結果で出てきています。実際の業務の中で使わないとするならば,あえて中等教育,高等教育で英語力を高めなくてもいいではないかというような,学生側の合理的な行動を促してしまうというような問題が出口であるわけなので,この問題に対してどう対応したらいいかと。いくら高校,中学あるいは大学で英語力が必要だと太鼓を叩いても,学生側がそれを受け止めて積極的に学んでもらえる学生,生徒だったらいいのですけれども,そうではない学生が,特に出口で現実に英語力いらんという話になってしまいかねない。あるいは,実際そうなっているということを,どう受け止めて改革をしていくのかという,その辺りを文科省としてどう受け止められているかと。答えは簡単に出ないと思いますけれども,結構大きな問題ではないかと思いますので,この辺り,ぜひ現在の認識,あるいは今後の可能性についてお答えいただければと思います。
 私からは以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございました。2つ目について,まず,私から簡単に状況を補足したいと思います。昨日,大学分科会大学振興部会がありまして,昨日とその前回と,企業側のヒアリングもしながら議論を進めているところでございますが,今後もっと企業側と大学を含めた教育界との意見交換を密にしないと,なかなか相互理解が進まないのではないかというような趣旨の発言が,最後のほうで永田分科会長から出ておりました。ということを,私の知る限りでの情報でございますが,平野室長,英語の団体の質保証等の方向性と,今のお話について何か補足はございますか。
【平野大学入試室長】  なかなか大学入試室長という立場では答えにくい,かなり枠の大きい話だと受け止めてございます。各試験の水準に関する第三者評価の在り方や調査研究の実施ということは,あり方検討会で挙がったわけでございます。一方で,これらの団体というのは,必ずしも文部科学省が直接的に監督をする団体ということではなくて,それぞれ自主性というものを持って活動している団体であるというところでございます。こういった団体というものに対する評価の在り方というものについて,これは一方的に国が押し付けてどうこうというようなことは考えにくいと考えておりますので,各関係団体に,後で出てまいりますけれども,これは高校ということのみならず,大学もそれは入試ということではなくて,学修成果の可視化という観点でこういったものを使っていくということもあるわけでありますので,そのニーズというものも含めて,評価がしっかり行われているかどうかを気にしているのだよというメッセージを業界にしっかり発信していくということ,まず,これがなくしては話が進まないのだろうと思っております。
 そのような意味においては,ワーキングの議論の中で,実はこの大学入学者選抜協議会ということになっていて,高大接続を見据えているわけですが,この会議の権能というのは,基本的には毎年度の大学入学者選抜の在り方というところを議論するというところで,少し隙間があるというところではございますけれども,先だってのワーキングの中では,大学の側からも,こういうものを活用するうえで気になるといったような話があったわけであります。こういったところも含めてしっかりと議論をやる中で,大学が全体のニーズというものについても国公私を超えて明らかにしていく,こういったことが必要なのではないかと思っております。ですので,これについて当座,取り上げて議論する場がほかにあるというわけではありませんので,しっかりと大学入学者選抜協議会,関係団体に求める大学関係者,高校関係者内で統一的な方向性というものを見出していけるような議論というのを,事務局としてもしっかりと進めていければなと思っております。
 3-9の社会で求められる英語力の基準でございます。これは少し大学入学者選抜協議会の所掌を超えるかもしれませんけれども,ここは企業の側が英語に限らず,大学の学修成果というものについてしっかりと認識をして,それを期待するのかどうかということでございます。昨日の大学振興部会でも少し議論があった,日立の迫田委員のペーパーというのが出ていて,関係する方は見ていただければ結構なのですけれども,企業の側が学修成果というものに着目するのか,それとも元気がいい学生が欲しいといったところになっているのか,そこは企業の中でもまだ分かれていると,こういうような話がございました。英語力というのは,非常に大事な大学の学修成果の1つでありますけれども,大学自身がまず学修成果というものをしっかりと見える化していく。そして,企業の側がそうしたものをしっかりと,大学の教育というものを尊重しながら選考というのを行っていく。こういった中で,英語力というところについても当然,おのずと意識されてくる部分があると思っております。調査結果というものについては,経済団体に広く周知をしているところでありまして,これをすることによって,意識をしている企業さんというのはもちろん知っているわけでありますけれども,なるほど,他社はこう動いているのかと,うちのところもこういうところを考えなければいけないのではないかと,こういったところの効果を狙ってお知らせをして,また,経済団体内部での議論を喚起したいということで考えているところでございます。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございました。沖委員はワーキングの座長ということですので,今,平野室長からもお話がありましたけれども,ぜひそこで検定団体等に対する大学と高校の両方の意見を集約して,それを関係団体に投げていくというようなことが今後,必要なのかなと私は感じておりました。
 ほかに,この総合的な英語力については何か御質問,御意見はございませんでしょうか。なければ,4ポツの先ほども少し御意見が出ておりましたけれども,地理的・経済的事情,障害のある受験者への合理的配慮等への対応についての進捗状況の御報告などについて,御意見,御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,最後,5ポツの,まさに現在も感染が収まっていないのですが,ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜についての様々な取組内容について,御質問,御意見はございますでしょうか。特にございませんでしょうか。
 それでは,これで議題(2)の大学入試のあり方に関する検討会の提言のフォローアップについて御報告は終わりにしたいと思います。先ほども平野室長から御発言がございましたけれども,定期的に進捗状況については御報告いただけるということでございます。ありがとうございました。
 それでは,次に,議題(3)大学入試のあり方に関する検討会議提言を踏まえた入試情報の公表についてでありますが,まず事務局から資料等の説明をお願いします。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。資料3でございます。あり方検討会議の提言を踏まえた入試情報の公表についてでございます。あり方検討会,抜粋をしてございますけれども,志願者の大学選択に関わる様々な情報の適切な公表というものを求めていくと。一定のものは省令上の情報公表の対象とすることが求められているわけであります。具体的にいうと,黒丸の2つ目でございますけれども,合否判定の方法や基準,試験問題,解答,解答例や出題の意図,受験者数,合格者数,入学者数や学部ごとの男女別入学者数などの属性別の内訳,障害のある学生への合理的配慮の提供状況,多様な背景を持つ学生の受入れ状況や関連の支援制度をはじめと,様々な情報の適切な公表を各大学に求め,一定のものが省令上の情報公表の対象とすべきであるということが提言として含まれている。この情報公表についての扱いというものについて,現在,検討を行っているところでございます。
 対応方針という部分でございますけれども,提言を踏まえまして,学校教育法施行規則第172条の2というところの情報公表の対象に,入学者の選抜に関することというのを追加してはどうかということでございます。資料の4ページを御覧ください。学校教育法施行規則というところに,「大学は,次に掲げる教育研究活動等の状況についての情報を公表するものとする。」ということで,1号から9号まで掲げられています。ここに大学入学者選抜に関することというのは,今,ありませんので,ここに大学入学者選抜に関することというのを加えるということでございます。
 1ページ目に戻っていただきまして,ただ,一方で,入学者の選抜に関することというだけでは一体何のことやら,大学の側もこれは判断しかねるところではございます。具体的にどのようなものについて,それを内容とするかについては,施行通知という形で内容を示してまいりたいと思っておりますけれども,その内容については,これまで関係者間の議論で積み上げられてまいりました大学入学者選抜実施要項で公表を求めているもの,これを原則にしたいと考えております。このような形で,施行通知で対応することによって,また社会のありようが変わって,公表の中身という部分が動いてくればそれに応じて柔軟に対応することができると,このようなメリットがございます。
 公表事項を整理するに当たっては,大学入学者選抜協議会の意見もお伺いして決めてまいりたいと思います。また然るべきタイミング,省令改正をするときには,大学関係者などで構成される中央教育審議会,こういったところにも御報告をすることになると考えてございます。後で説明しますが,大きな変更点というのを予定しているわけではありませんけれども,大学入学者選抜実施要項というところとも適宜反映させながら,考えていくということでございます。
 具体的な内容でございます。2ページでございます。この,まず上の表でございます。提言においては,大きく分類すると8個の事項について公表を考えてはどうかということでございます。一方で,実施要項上,既に対応しているものと対応していないものということがあるというところでありまして,このずれている部分というものをどう考えるかということになってまいります。
 まず,丸1番でございます。合否判定の方法基準については,これは今までの要項上も,この点囲みでありますけれども,公表ということになっていますが,これは公表していただくということを考えてございます。省令上の公表という意味でございます。一方で,丸1番に関連する事項として,合否判定の方法基準ではなくて,試験の評価・判定方法というのがあります。これは,意図としては,合否判定というのは全体としてどうやって合否判定するのかという話ですが,試験の評価・判定方法というのは,個別のパーツというものについてどのように評価・判定するかといったような情報と解釈しておりますけれども,これについては可能な限り情報開示に努めるとされているところでございます。これについては,引き続き,取扱いを維持したいと考えております。
 丸2番と丸3番,試験問題,また解答・解答例や出題意図というところについては,原則として公表ということで,要項上の整理をされております。この取扱を踏襲したいと考えてございます。著作権や再利用するケースなど,公表できないケースというのもあるということを踏まえて,原則として,という記述になっているものと理解しております。
 続きまして,3ページの丸4番でございます。入試区分に応じた受験者数・合格者数・入学者数。また,過去の年度の同様のものというものについては,これは関係者間のこれまでの議論の積み重ねの中で,情報の提供に努めるということにされているわけであります。これは省令上も公表に努めるものということで処遇するということを考えてございます。
 丸5番と丸7番でございます。先ほどの表がございましたけれども,丸5番というものについては,実は今の要項には盛り込まれていない内容でございます。属性別の入学者数ということでございます。
 また,丸7番が,多様な背景を持つ学生の受入れ状況ということで,多様な,どのような背景を持つ人がどれぐらい入ってきているのかということを,属性ごとに出してはどうかということでございます。まず,属性とか背景とかいう中で,性別という部分については,実はここで取り扱うまでもなく,既に学校教育法施行規則172条の2第4項に,入学者の数というところが書かれております。この入学者の数については,既に私どもから平成22年に出された通知の中で,学校基本調査における大学の回答に準じて公表してくださいとしているわけでありまして,学校基本調査については当然,性別という内容が現在のところ含まれてございますので,男女の入学者数といったものとか,こういったものについては,公表されるということが既にほかの部分で前提になっているということでございます。それとは別に,不正入試というところで医学部の問題がございましたので,こちらについては丁寧に男女別入学者数等をフォローアップしていくということにしているわけであります。
 そのうえで,男女以外の属性ということ。例えば,要項の中にもありますけれども,地域とか家庭の状況とか,もしくは障害の有無とか,こういったものなどが多様な背景としては考えられる例でありますけれども,こういった部分については,個人の情報というところでありますし,またこれを大学というものが把握することができるかどうかという部分についても,大学の実情に応じて異なる部分があるのではないかと考えております。男女について以外の部分というものについては,大学の実情に応じて行っていただくということが適当ではないかということで,考えているところでございます。
 丸6番でございます。合理的配慮の提供状況でございます。これについては,既に要項上,入試における配慮の内容や受入れ実績については,広く情報を公開することということにされているところでありますので,公表をしていただくということを考えているところでございます。
 丸8番でございます。丸8番は,これは要項には含まれていない新しい話でございます。多様な背景を有する者への支援制度ということでございます。例えば,障害のある方に対して,どのような支援制度というのがあるのか。例えば,地方出身者に対して,何か支援制度があるのか。例えば,助成について特有の何かがあるのか。このようなことでございますけれども,丸5番,丸7番というところについては,大学の側が学生の属性というものを把握するということが求められる一方で,丸8番は,これは大学みずからが行っていることでありまして,改めて把握する必要がない。大学としては既に把握している情報であるということから,丸5番,丸7番とは違って,ここは公表を求めても差し支えない部分なのであろうと。ただ,一方で,この話というものについては,これまで全く位置付けがないものでありまして,まずはしっかりと大学というところが,このような支援制度というものを持っていることをしっかり世の中に説明していただくというアピールの観点も含めて,公表に努めていただきたいということで,努力という形で定義してはどうかと考えております。
 このような形で,要項に従って基本的には処遇していくわけでありますけれども,丸5番,丸7番については,先ほど申し上げた事情に従いまして,実情に応じて公表。丸8番については,公表に努めるものという形で,改めて整理をするということでございます。
 そのうえで,省令改正のスケジュールでございますけれども,現在のところ未定でございます。学校教育法施行規則というものの改正などのタイミングというところを見据えて,他のものと合わせて改正するなどというところも考えられるものでございますので,これについては適宜,文部科学省で判断をして,改正をしてまいりたいと思ってございますけれども,あらかじめ選抜協議会のメンバーの方にはお知らせをしておくという趣旨でございます。
 以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。ただいま御説明がございました大学入試に関する情報公表の項目等について,省令上,学校教育法施行規則第172条の2に,新たに追加するという内容でございましたが,これについて御意見,御質問のある方は,挙手でお知らせください。特に御意見ございませんでしょうか。既に先ほど御説明があったように,選抜実施要項で公表することになっています。沖委員,どうぞ。
【沖座長代理】  たびたび失礼いたします。1点確認をしたいのは,多様な背景を有する者の,その多様な背景というのが,先ほどからいくつかは御紹介いただいていますけれども,少し大きな文脈で,あるいは先ほどから出ている話も総合すると,地域間の格差といったようなものというのが考えられるのですが,この辺りは文科省として何かお考えになっていることがあるのかどうか。差し当たりは,今回出ているようなものが特に社会的には注目されているかと思いますので,この内容そのものは私は異議があるわけではないのですけれども,この多様な背景という問題を本気でよりきちんと考えていくということであれば,現在,実際に存在している,例えば都道府県格差といったようなものまで問題にするのかどうかというのが,まだ現時点では見えていないと。もちろん,そうした格差が生じている,格差というか数字の違いが出ているという理由についても,相当いろいろな背景があるはずなので,そんなに簡単に改善できるわけではないという中で,しかし,世界的な文脈で見ると,実は地域間の問題というのは決して軽視されていないということもありますので,この辺りを文部科学省の考え方をぜひ伺えればと思います。
 以上です。
【川嶋座長】  出身都道府県別の入学者等は,既に多くの大学が公表はしていると思うのですが,さらにその先,もっと細かい単位ということなのでしょうか。それとも,例えば,都道府県ごとの高校生数を分母にしたうえで,どれだけ入学しているとか,そういう視点での格差ということなのでしょうか。
【沖座長代理】  今の川嶋先生の整理というのは,まさに多くの大学で公表しているはずですけれども,一方で,それは自発的に行っているに過ぎないということになりますので,例えば,この中にそうした内容が入るのかどうか。差し当たり,都道府県レベルの話ですよね。もちろん学校によって,とりわけ公立大学は,そもそも私立大学,国立大学と性格が違うわけなので,同じ文脈で議論できないだろうと思いますし,私立大学でも規模であるとかいろいろな社会的な,それぞれが決めているミッションとの兼ね合いで,そんなに簡単に均等にするのがよいとか,そうではないとかという話でもないわけなのですけれども,少なくとも,現在はある程度の大学では公表している一方で,していない大学もあると。単純に情報公開の話で議論をするのか,いや,そこに格差があって,それを是正することが問題なのだと認識していくかどうかというのが,多分,現時点ではまだよく分からないと。
 もちろん,川嶋先生もよく御存じのとおり,例えば,イギリスのように,より細かい都道府県レベルというよりは,もっと細かいレベルまで落として進学率を改善していくというような取組を,国レベルで行うというような事例もあるわけなので,そこまで日本が行くとも思いませんけれども,少なくとも何らかの多様な背景というものを,今,議論している枠の中だけでよいのか,もう少し広げるということを考えるのかということは,少なくとも議論の方向性としては確認できればということで申し上げた次第です。
【川嶋座長】  分かりました。今,沖先生が言われたとおり,大学の実情に応じて公表と書いてありますけれども,いかがですかね。都道府県単位での入学者数の公表の現状は。
【平野大学入試室長】  基本的には,今,川嶋先生からおっしゃっていただいたように,この多様な背景という部分については,大学の御判断で公表の有無は判断していただくという整理になります。多様な背景というところは,今の要項上は,家庭環境,居住地域,国籍,性別等の要因により進学機会の困難があると認められるか。あとは,それとは別の観点で,入学者の多様性を確保する観点から対象となる者などがあります。地域については,非常に進学がなかなか難しいという地域性という問題だけではなく,様々な出身者というものが集まることでキャンパスが活性化するといった,その意味での多様性というところもあるわけであります。
 実はこの多様性という言葉は,一体,何が多様なのか,いくつか例示は挙げておりますけれども,それは各大学のミッションとか,各大学の置かれた環境というものに応じて,何が多様性として足りないものなのかというのは,多分,かなり違ってくるのだろうと思います。理工系女子という文脈は,理工系において男子が非常に多くて女子が少ないということで,女子が多様性を確保するようなキーワードになってくるわけですけれども,また逆の状況というのは,特定の分野においてはあるかもしれないということもあります。
 ここについては,現段階において,当然,文部科学省として教育格差を是正するという観点から,様々な支援制度というものを充実していくということについては不断に取組を行っているわけでありますけれども,この情報公表という文脈に限って申し上げれば,そこは当面は国として一律にこれを求めるという段階というところではないのだろうなと思っております。
 以上です。
【川嶋座長】  いかがですか。沖委員。
【沖座長代理】  回答を了解しました。まさにここだけではなくて,相当大きな文脈の問題だと理解しております。ただ,少なくともこの問題を今後,継続的に考えていく場合に,まさにこうした大学側の自律性の問題として捉えている一方で,公開をほぼ公表に努めるであろうとも,実際に公表義務にしようとも,いずれにしても何らかの枠を決めるということになりますので,そのときに何が問題なのかということは,継続的に考えていく必要があるのではないかということで,あえて申し上げた次第です。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございました。ほかの委員の方は,いかがでしょうか。情報公表の内容案について,特にございませんでしょうか。
 それでは,本日,事務局より御提案いただいた内容で,今後の省令改正に向けて調整をしていただくと。先ほど平野室長からもございましたけれども,いつ改正するかについては,省内でのいろいろな調整を経たうえでということになろうかと思います。ありがとうございました。
 それでは,最後の議題ですが,その他ということになっております。資料4をいただきながら,事務局からの御説明をお願いしたいと思います。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。先ほど石崎先生の御質問の関係で,少しお話が出てまいりましたけれども,英語力評価のワーキングというものを9月2日に開催したところでございます。このワーキングはもともとの趣旨といたしまして,英語検定試験については地理的・経済的事情への配慮が必要なのではないか,といったところが大きな課題として挙げられていたわけであります。それに加えて,さらに前向きにどう進めていくことができるのかというところについても議論をするというたてつけでございます。
 第2回の会議については,あり方検討会議,また第1回のワーキングというところでも話題になった,高校会場の拡充や検定料の減免,オンライン受検というところも含めた地理的格差というところもあったわけでありますが,これに加えて,最近少し話題になっているところのオンラインにおける不正防止対策,こういったところについても事例の共有をいただいたところでございます。
 石崎委員かららは,先ほど少し御紹介いただきましたけれども,おおむね,各団体から現在の取組というものを御紹介いただく中で,試験というものについてオンラインというものを活用することによって,離島においても受検を可能にしたケースであるとか,また,受検生というものに対しては,一律でディスカウントした価格というのを用意するなど,第1回に比べて,いくつかの団体で進捗というものの報告がされ,また,ほかの団体についてもそういうことについて話を聞いていただいたという状況でございます。
 この場で何か結論を出すということではないわけでありますけれども,一番下に,主な意見というところがございます。各団体の御意見としては,大学入学試験で利用を目的とした受検者全員に対して検定料を減免することは難しい。ただ,一方で,本当に困っている人については減免というものをする余地はあると考えている,こういったような団体もございました。ここは,こういうところの団体,当然,試験を実施するうえで経費というものがかかっているわけでありまして,その経費をどう賄うのかという観点から,試験に要する経費の設定という部分は当然,慎重な検討というのが必要だということはあるわけでありますけれども,その対象者というもののセグメントというものについてどのように考えるのかと,ここを少し議論しなくてはいけないのではないかといった議論がありました。
 また,先ほど石崎委員から御紹介いただいたところでございますけれども,試験の種類が増えている中で,高校生がどの試験を受ければいいのか戸惑うことがないように,異なる試験の関係というところをどうすればいいか。あとは,ここに書いてございますように,先ほど御紹介いただきましたけれども,2回といった話も含めてどう考えていくのかということは,根本的な議論ではないかということもございました。
 3つ目というものについては,しっかりこれらの試験が行われているのかどうかということを平たく申し上げれば,自分たちがそう言っているということだけではなくて,誰かが確認してくれれば,もっと安心して大学としても使うことができるのだというような趣旨の御発言がございました。こちらについて,非常にどれも重要な御意見でございます。一方で,先ほどの回答でも申し上げましたけれども,各団体というのは個別の,まさに経営判断というものを持った独立した団体でございます。そういった団体の方々に,大学入試というところでこの英語力を評価する1つのものとして,検定試験というものを使っていくうえで,どのようなところを改善していっていただきたいのかというところについては,あくまで自主的,自発的に取組を進めていただくことが必要であると考えてございます。もちろん,それをどう後押ししていけばいいのかというところは議論になるわけであります。
 そのような観点で申し上げると,今後,減免の対象者というところについては,まだ具体的な検討を着手していないところですけれども,文部科学省においても,類似の制度において,どのようなものについて何か減免を行っているケースがあるのかどうか。その際,どのような方法で確認をしているのかどうか。こういったことは1つのノウハウとして提供できる部分というのがあるかもしれませんし,また,2つ目という部分については,これは大学の側,高校の側からすると,一体どこがどうと。もちろん試験を課すのは大学でありますので,大学の側がこういった試験というものをうちは採用するというところ,そして,それぞれの試験については点数上,こういう取扱いにするということをしっかりと明示するということが大前提でありますし,また,それを離れて単に比較だけということで,また大学の判断を羈束するというのもおかしな話かと思いますけれども,こういったところについては,大学の側の情報提供という部分というものをどのように改善していくのか。また,業界全体として何かできることがあるのかということを考えていくということが1つの方向になるかもしれません。
 また,最後の部分というのは,先ほどの回答とかぶりますけれども,これこそまさに各団体の自主性,自律性に大きく関わる部分でありまして,これは関係者間で,英語の大学入試で関わる試験というカテゴリーということが本当にふさわしいのかどうかというところも含め,試験というものについてどのような形で質を担保されているのかどうかということについては,しっかりと説明していただくということというのが1つの安心材料ということになるのだろうと。これは必ずしも,1つの何か統一的な団体が,各団体を統一的に見ているということまでを求めているというよりは,何かの裏づけというものがしっかりと確認したいという趣旨かと受け止めておりますので,こういったところを各団体のしっかりとしたレビュー,外部評価というものを取り入れているということはあるかと思いますので,こういったところについての情報発信を強化していっていただく。こういったところは1つの方向性としては考えられるのではないかということは,私個人の感覚としては持っているところでございます。
 次回の開催というものについて,今の段階で確実なものというのはないわけでありますけれども,今,申し上げたようなところも含めて,関係団体というものが大学,高校というものとコミュニケーションを図りながら,試験にまつわる様々な課題というものの解消に1つ1つ,少しずつでも取り組んでいけるような形で検討を後押ししていきたいと考えております。
 説明は以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございました。このワーキングに関わっておられる沖委員とか石崎委員,何か補足はありますでしょうか。特にございませんか。
 それでは,この報告内容について何か御質問,御意見ございましたら,挙手ボタンでお知らせください。長塚委員,どうぞ。
【長塚委員】  長塚です。今,先ほどの議論と重なるような御報告があったのですが,この議題に書いてあるところの丸3に,社会で求められる英語の調査結果についてということなのですが,社会で求められるということで教育が行われているということは,それ自体は正しいだろうと思うのですが,社会が求めて,ニーズに応えるという教育の役割と,社会をつくっていくという役割,その2つが教育にはあるのだろうなと思うのですね。特に,中等教育までは,そこのところは非常に大事なことで,ニーズがあるからだけではなくて,さらに社会をつくっていくという側面でやっている。とりわけ,その中で大学入試が中等教育でやっているものを求めない,結果を求めないとなると,中等教育の学びも少しトーンダウンしてしまうということがあるわけです。英語教育を大学入試でしっかりと,中等教育の成果として捉えていただくということは非常に重要だろうと思います。
 またその先に,先ほど沖先生から,企業が英語を必要としていないのではないかという調査結果もあるとお話がありました。以前からそれは,大学の教育,学習成果そのものもあまり求めていない,で,ましてや英語も,というような話です。どうもその辺は,以前から不自然な現象であることは承知していたのですけれども,高校側からすれば,社会が求めるという観点からだけではなくて,社会をつくっていくという必要性から,大学もそういう意味で入試においてこれを求めていくという,中等教育と高等教育のつながりを,大学入試が非常に重要な役割を持っているという観点から,このグループでもいろいろと議論してほしいなという思いで意見を言わせていただきました。
 以上でございます。
【川嶋座長】  貴重な御意見をありがとうございました。教育未来創造会議とか,先ほど御紹介した大学分科会の大学振興部会でも,高大接続の点もかなり論点となっているようでございますので,それぞれの教育段階での成果を,次の段階がきちんと評価をしていくということは,非常に真っ当な御意見だったと思っております。
 ほかの委員,何か御意見がございますか。それでは,その他の御報告については,これで終わりにしたいと思いますが,全体を通じて何か御意見,御質問がございますでしょうか。特にございませんでしょうか。
 それでは,冒頭に文部科学省の人事異動のお話がありまして,局長の池田さんが御到着されていますので,一言,御挨拶をお願いします。
【池田高等教育局長】  遅参して申し訳ございませんでした。9月1日付で高等教育局長を拝命いたしました池田でございます。私も10年ほど前に大学振興課長として,今の形になる前の協議会などを担当しておりましたので,いろいろ課題も多いかと思いますが,どうぞよろしくお願いいたします。
【川嶋座長】  ありがとうございました。それでは,本日の協議は以上としたいと思います。
 最後に,事務局から今後の日程等について,御説明をお願いします。
【平野大学入試室長】  本日も,多岐にわたる議題について御議論いただきまして,ありがとうございました。次回の日程については,改めて設定をさせていただきます。いろいろと入試のシーズンが近づいていく中で,議論を要する点もまたございますし,先ほど申し上げたような教学マネジメントの動きというものについても,どこかのタイミングで共有をさせていただきたいと思っております。
 いつものお願いでございますけれども,この協議会の審査の過程は非公開になってございます。審議において知り得た情報については,くれぐれも漏えいすることがないように,本日の議事内容,資料につきましては,委員限りとしていただくこととともに,取扱いをくれぐれも御留意いただければと思います。外部の方から問い合わせがあった場合には,文部科学省で回答いたしますので,文部科学省に回送していただければと思います。
 その他,お気づきの点,追加の御意見等については,いつでも受け付けてございますので,事務局までお知らせをいただければと思います。本日はありがとうございました。
【川嶋座長】  それでは,これにて閉会にしたいと思います。本日は御参加いただきまして,ありがとうございました。失礼します。
 

―― 了 ――

(高等教育局大学教育・入試課)