大学入学者選抜協議会(第12回)議事録

1.日時

令和4年5月30日(月曜日)14時半~16時半

2.出席者

委員

川嶋座長、石崎委員、泉委員、圓月委員、大林委員、大山委員、沖委員、空閑委員、兒玉委員、柴田委員、島田委員、髙田委員、竹中委員、長塚委員、安井委員、山口委員、鈴木委員、柳元委員

文部科学省

増子高等教育局長、森田大臣官房審議官、角田文部科学戦略官、古田大学振興課長、平野大学入試室長、中村大学入試室室長補佐 他

オブザーバー

板橋委員(大学入学者選抜における試験運営に関するワーキンググループ)

3.議事録

【川嶋座長】  所定の時刻になりましたので,ただいまより,大学入学者選抜協議会第12回を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては,御多用の中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日の議題は,1つ,令和5年度大学入学者選抜実施要項について。2つ,令和6年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱について。3つ,大学入学者選抜協議会新型コロナウイルスに対応した大学入試ワーキンググループの設置について,となっております。
 まず最初に,事務局より資料の確認等をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。大学入試室長でございます。
 それでは,まず初めに本日の資料について確認をさせていただきます。議事次第に記載のとおりでございます。配付資料が資料の1-1から資料の3までの4種類でございます。参考資料が参考資料1から参考資料8まででございます。
 本日,ウェブ会議方式での開催でございます。御発言の際には挙手ボタンを押していただき,指名された後の御発言をお願いします。また,聞き取りやすい御発言,資料参照の際の該当ページのお示し,ハウリング等を避けるため,指名後のミュート解除,発言後にはミュートに戻していただくということなど,円滑な会議運営に御協力をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】  それでは早速,議事の1に入りたいと思います。令和5年度大学入学者選抜実施要項についてでございます。
 まずは事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。資料は,1というものと1-2というものがございます。今,画面に出ている1のほうは,前回御議論いただいたものとほぼ変わってございませんので,本日は資料の1-2のほう,要項の本体の見え消し版を御用意しておりますので,こちらのほうで説明をさせていただきたいと思います。
 いろいろと見え消しがありますけれども,軽微な修正,すなわち日程をちょっと変えているとか番号が少しハネで変わっているとか,そういうところは飛ばさせていただきます。
 それでは,大きな改正のまず1個目,3ページでございます。(5)番ということで,多様な背景を持った者を対象とする選抜というものについて,前回御説明させていただいた令和7年度の前倒しというところで入れさせていただいているものでございます。
 こちらのほうを,今までの専門学科・総合学科卒業生選抜,帰国生徒選抜,社会人選抜と並ぶ選抜方法として位置づけるというものでございます。
 家庭環境,居住地域,国籍,性別等の要因により,進学の機会の確保に困難があると認められる者,その他各大学において入学者の多様性を確保する観点から対象となると考えられる者(例えば理工系部における女子等)を対象として,入学志願者の努力のプロセス,意欲,目的意識等を充実し,評価・判定する入試方法ということでございます。予告の内容をトレースしてございます。
 留意事項といたしまして,この方法による場合は,こうした選抜の趣旨や方法について社会に対して合理的な説明を行うことや,入学志願者の大学教育を受けるために必要な知識・技能,思考力・判断力・表現力等を適切に評価することに留意することということを書かせていただいてございます。
 続きまして第4の部分,これは試験日程の関係でございます。共通テストの本試験と追試験,2週間間隔でやるということについて触れているものでございます。
 続きまして,内容のあるところの修正といたしまして,ページで申し上げますと6ページの下でございます。出願資格という部分でございます。大学に入学を出願することができる者は,学校教育法第90条の規定により云々とされていたところでございます。
 実は90条のほうは,これ省令に落ちて,省令から告示に落ちてといったような構造があるわけでございますけれども,今回,「並びに同法施行規則第150条及び第154条」ということで,省令の記載を加えさせていただいてございます。
 これは一部高等専修学校の関係者のほうから,各大学が高等専修学校,つまり専修学校の高等課程の卒業者に対する入学資格というか出願資格の取扱いというところについて,誤解に基づいた取扱いがされているのではないかという指摘があったところでございます。
 このため,要項においてしっかり書くことによって,各大学に注意を促すというものでございまして,内容面についてこれまでと取扱いが変わるものではございません。
 続きまして,第8ページを御覧ください。こちらについても,令和7年度の予告の前倒しという観点でございます。
 「合理的配慮の内容を決定する際には」ということで,建設的対話を行うこととし,十分配慮しつつ,窓口や支援担当部署を設置するなど事前相談体制の構築・充実に努めると。このような内容については,7年を待たずに進めていくことがふさわしい内容だろうと。障害者差別解消法の取扱いの変更というところも踏まえまして,入れさせていただいたということでございます。
 続きまして10ページ,11ページについては,これまで御議論をしていただいた,いわゆる不正行為の防止対策,また安全対策,これについて要項のイメージというものでお示ししていたところでございますが,これを要項上に溶け込ませたものというふうに御理解いただきたいと思います。
 1点だけ,少し変更がございます。10ページのほうの(3)番の丸2,ここに,「また,試験時間中に使用することを認めていない通信機器の試験場への持込みを認める場合には,試験開始前に電源を切らせるとともに,大学の必要に応じて,例えばかばんに収納させること等についての説明を行うこと」ということで,これは机の上に置いておくといったことも含めて記載をしていたわけでございますけれども,やはり机の上に置いておくということによって,巡視の方が通り過ぎた後にぱっと通信機器を触るなど,やっぱりリスクがあるのではないかとか,そのような議論もあったものですから,ここに積極的に例示する対象としては,載せないことにいたしました。
 そのような取組自体を各大学を行うということ自体は,適切な試験環境が確保できるのであれば,これは差し止めるものではございませんけれども,全大学向けのこういうところの例示としてはやめたということについては,御報告をさせていただきます。
 続きまして12ページでございます。こちらの(4)番については,秋入学でございます。
 まず記載としては,「秋入学等,4月以外の入学時期に係る大学入学選抜の実施に当たり,募集人員の規模,選抜時期,募集対象者については,本要項を踏まえて各大学において適切に判断するとともに,各大学が広く入学志願者の能力・意欲・適性等に応じた選抜がなされるよう,主として書類審査,面接等を組み合わせるといった方法を用いるなど,入試方法の多様化,評価尺度の多元化に努める」ということで記載してございます。
 ここは前回概要で御説明したときに,在り方検討会では専門的な検討を踏まえてということになっていたところ,どうなのかというようなお話をいただいたところでございます。
 参考資料のほうの最後でございますけれども,7でございます。文部科学省のほうで学事歴・修業年限の多様化・柔軟化の推進に関するタスクフォースというものを設置いたしまして,森田大臣官房審議官をリーダーとして関係各課長が入る形で,これは入試のことのみならず,学事歴・修業年限の多様化・柔軟化という観点から検討を行ったということでございます。
 入学者選抜についてもそうでございますけれども,国公私の各大学にヒアリングを行って,秋入学というものに向けた選抜ということについても実態を確認いたしました。
 その結果,やはり各大学共,いわゆる4月入学,普通の時期の入試というものとは違った方法,違った対象者を念頭に入試を組み立てていらっしゃるといったような実態というのも確認できたところでございますので,在り方検討会の提言というものについて,これを改めて差し替える,書き換えるといったことの必要性というのは認められなかったというところでございます。
 このようなことも踏まえまして,在り方検討会議の方向性というものを踏まえた記述というものを追加したというのが,12ページでございます。
 続きまして,14ページを御覧ください。こちらについては少し説明を要する部分でございますけれども,いわゆる,昨年の段階では通知で対応していたものを,一部要項にしっかりと盛り込むということと,新しい話の2つがございます。
 まず(2)でございます。これは通知上お願いをしていたところでございますけれども,出欠の記録に関する記載事項のうち,出席停止・忌引等の日数は記載しないということ。出席停止・忌引の日数が推測できる授業日数も同様に記載しない。「ただし」ということで,システムがどうしても自動的にそこの部分も入れ込んで出しちゃうようなケースというのも考えられますので,そういった場合には記載した状態で調査書を作成することができるというのが(2)番でございます。
 (5)番に,ちょっと先に飛んでいただいて,「上記(2)のとおり」でございますけれども,調査書の扱いについては,記載方法が統一されていないことなどが予想される。書かれているところもあれば書かれていないところもある。こういったところから,授業日数・出席停止・忌引の日数については,その有無によって特定の入学志願者を不利益に取り扱うことがないようにすると。ここまでは去年と同様な扱いで,それを要項に格上げしたということでございます。
 もう1個は(3)番でありまして,(3)番も,これは通知上お願いをしているところでございますけれども,指導要録の出欠の記録における記載事項として,備考の欄に,オンラインを活用した特例の授業の参加日数を記載することとされたということを踏まえて,調査書においても,備考欄にはこのオンラインを活用した特例の授業参加日数について記載するということを従来お願いしておりまして,ここの取扱いは去年と変わるものではございません。
 ただ,(5)番でございますけれども,こちらのほうのところについては,調査方法の記載方法ということを超えて,後でちょっと事情は説明しますけれども,オンラインを活用した特例の授業の参加日数等の記載の有無によって,やはり特定の入学志願者を不利益に取り扱うことがないようにということを申し上げさせていただければと思ってございます。
 その背景といたしまして,文部科学省のほうで調査などを行っておりますと,いわゆる5日間以上学校がお休みになった場合に,高校のほうでどのような対応をされているかということを調べてみますと,いわゆる「オンラインを活用した特例の授業」というのは,一定の双方向性というのが確保されているということが前提でございますけれども,必ずしも全ての高等学校においてそのようなことが行われているという実態になかったということ。オンラインというものが行われている場合であっても,双方向性が十分確保されるようなやり方ではなかったというケースもございます。
 このようなことを考えますと,いわゆる「オンラインを活用した特例の授業」の参加日数が多いことをもって評価されると。少ないことをもって評価されないという事態が生じてまいりますと,これは入試でありますので,どなたかが浮かび上がればその他の方が沈むということも相対評価的には起こり得るという中で,受験生本人の帰責事由というものによらない形で,そのような数字が出てきてしまうということがあるということもございます。
 また,もう少し根本的に立ち返れば,当然,家庭の御環境といったものも含め,オンラインの授業の参加が可能か可能でないかという論点は引き続きあるということも予想されるわけでありますので,オンラインを活用した特例の授業の参加日数について記載していただくことは結構であるけれども,これを入試において直接評価の対象とするということは避ける。特定の入学志願者を不利益に取り扱うことがないように。また逆に言えば,特定の入学志願者を有利に取り扱うということも,これは駄目だということでございます。
 今,私が申し上げたことについては,要項上,なかなか書き尽くせない部分もございますので,こういった趣旨のことについては,Q&Aなどをまた出す機会がございますので,そういった中で,こうした判断に至った帰結というものについては丁寧に御説明をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
 要項の修正は以上でございます。
 調査書関係についても,少し技術的に修正がされているところがございます。こちらのほうについては,先ほどの調査書の記載事項というところに加えて,スーパーサイエンスハイスクールとかスーパーグローバルハイスクールといった文言を一般的な言葉に変えるといったようなことも,今の時代に対応するということでやっているところがありますけれども,詳しい説明は省略をさせていただきます。
 一旦,選抜実施要項についての説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】  ありがとうございました。前回で,頭出しというか,変更点等について御説明があったところでございますが,今回,最終的には多少,修正の箇所もあったという御説明だったと思います。
 どなたでも結構ですので,御質問,御意見があれば挙手サインを出していただければ,こちらから御指名させていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
 兒玉委員,どうぞ。
【兒玉委員】  前回に引き続きまして,今後の追試験・振替受験の設置について,発言させていただきます。
 コロナ禍での特別な措置として,追試験・振替受験を設けることについては,受験生が受験機会を失わないために重要であると認識しております。
 その一方で,追試験準備に伴うコストや問題作成にかかる負担が大きく,特別な措置が恒常化することに対して大きな懸念もございますので,恒常化することがないようにしていただきたいと思います。
 また,どのような基準で特別措置を設けるのか否かを決めているのかをお示しいただきたいと思います。もし定めていないということであれば,大学入学者選抜協議会として定めておいたほうが,特別措置を設けることをやめる際も,どのような基準で判断したのかを説明しやすく,受験生・高校など社会の理解が得やすいのではないかと考えております。よろしくお願いします。
【川嶋座長】  ありがとうございます。追試験・振替受験等については,年度年度ではなくて,あらかじめ一定の基準を設けておいたほうがいいのではないかとの御発言だったと思いますが,平野室長,いかがでしょうか。
【平野大学入試室長】  ありがとうございました。2点御質問,御意見いただきました。追試・振替の準備についてでございます。コスト・負担ということが一定かかると。これが恒常化ということにならないようにということでございます。
 これは文部科学本省といたしましても,大学入試センターといたしましても,これはあくまでコロナ禍における特例的な対応ということで取り組むということが大前提でございまして,平常時に復したときに,これが当然の権利として予定されているという捉え方はしてございません。
 ただ,2つ目の質問というところに非常に関わってくるわけでありますけれども,実はまだコロナ禍が始まって数年という中で,おととしと去年の様相というのも大分違うわけでありまして,実はまだ予測可能な範囲という部分が,いわゆる定常化しているといったところに至っていないというところがあるとは思ってございます。
 ただ一方で,過去2年間の経験というものに学ぶということも非常に重要なことだと考えておりまして,どうしても不意にいろんなことが起こって,すぐにということになってしまったというところが過去はあるわけでありますけれども,どのようなときにこのようなものを続けるのか,逆にどこまで行けばそれは続けなくてよいのか,これは入試の問題のみならず,社会全体のコロナに対する対策と調和していく中で考えていくという意味においては,かなり難しい課題でございまして,おっしゃることはごもっともでございますので,我々としても恒常化するというつもりはないという上で,どのようなところで発動するかということについては,過去の経験に学びながら,一方で,どうしても平準化するというところというのがある程度見えてこないと,なかなかルール化はしにくいんだろうなという,この難しさがあるということは御理解いただければと思います。
 以上でございます。
【川嶋座長】  兒玉委員,よろしいでしょうか。
【兒玉委員】  承知しました。
【川嶋座長】  当面は毎年度毎年度,この入学者選抜協議会で対応を決めていくということになろうかと思います。よろしくお願いします。
 続きまして,板橋委員。
【板橋委員】  今回,臨時委員として参加させていただきました板橋でございます。安全対策の視点から,ワーキングから参加させていただいたわけでありますが,一言コメントをさせていただきたいと思います。
 まず,今回,適切な形で大学入学者選抜実施要項に安全対策を盛り込んでいただいたと考えております。感謝しております。
 従来から,この大学入学者選抜試験に携わる方々は十分に安全に配慮されていたと考えておりますが,今回は東京大学前で起きました刺傷事件,並びに東大駅前での放火事件等を契機として,改めて安全対策について検討しようということでこういう場が設けられたと承知して,ワーキンググループが設けられたと承知しております。
 日本語の「安全」という言葉には2つの概念が含まれておりまして,1つはセーフティー,自然災害や事故からの安全という概念と,セキュリティー,悪意を持った者からいかに守るかというセキュリティーと,2つの概念が含まれていたわけでありますが,従来は,恐らくセーフティー上の安全ということは十分配慮されてきたと思いますが,セキュリティー,故意に悪意を持って何かする者からのセキュリティーというものは,あまり日本の社会では考えられてこなかった。
 同様に,こうした大学入学選抜試験においてもあまり考えてこられなかったのではないのかなとちょっと感じた次第でありますが,今回こういった形でセキュリティーの要素を取り入れていただいた,明記していただいたということは,非常に大きな意味を持つと考えておりますので,ぜひ,セーフティーだけではなくてセキュリティーも考えた安全対策というのを,引き続きお願いできればと思っています。
 以上,ちょっとコメントまでです。
【川嶋座長】  ありがとうございます。御協力を感謝いたします。
 続きまして圓月委員,どうぞ。
【圓月委員】  それでは,今回新しく加えていただいた通し番号9ページの(5)多様な背景を持つ者に対しての配慮のところで,質問及び確認をしたいと思います。
 その中に,括弧の中で,「理工系分野における女子等」というふうなものが明記されています。これにつきましては,十分趣旨というものは理解していて,理工系における女性に対する教育を推進するというのが非常に重要だということはよく理解しております。
 その上でですけれども,以前も少し話題になったんですけれども,現在,皆さん御存じのとおり,ジェンダーに対する考え方というものが非常に揺らぎを持っていると。
 こういう中で,「女子」というふうな言葉で,性別を限定するようなものを例示として挙げるということが,この入試要項の中でふさわしいのかどうか,もう一度御説明及び確認をしたいと思い,質問させていただきました。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございます。最近SOGIとかいろいろ言われていますけれども,この点についていかがですか,入試室長。
【平野大学入試室長】  失礼します。本日の参考資料3のほうでお配りしてございますけれども,令和7年度大学入学選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告及び令和7年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告ということを,令和3年の7月30日に高等教育局長から,在り方検討会議というものを踏まえ,また様々な会議体というものを踏まえて予告をしているという中で,既に,「例えば理工系分野における女子等」ということについては,まず明示がされているというところでございます。
 これは経緯論でありまして,既にこのような形で各大学にはお知らせをしているということでございます。
 もちろん,「女子」という言葉というところについては,いろいろな受け止めがあるということもございますけれども,参考資料のほうで,4とか5とかいったところも含めて,今の政府のほうでまとめている文章なども参考につけさせていただいてございますけれども,こういった中においても,いわゆる理工系における女子学生の割合が少ないといったことを踏まえて取り組むべきであると。こういったような政策的な背景というものについても,これは政府のほうがある意味裏書をしているといったような状態でございます。
 ですので,ここについては,また参考資料5のほうでは大臣からのメッセージというものについて,5月10日にまとめられた未来創造のものをまとめて出させていただく中でも,女性の皆さんが理系の分野で大きく活躍する社会ということを入れていると。
 こういったようなところからすると,昨年7月にこういったものについて公式の形で予告をして,また,その後の政策的な背景というものも含めて,こういったものについてしっかりと政府として,しっかり理解がいただけるように努力をしているといったようなことでございますので,これは要項に入れると。それを高等教育局長として通知を行うということについては,しっかりと我々としても確固たる背景というものを持って行う。こういうものとして御理解をいただければというふうに思います。
 以上でございます。
【川嶋座長】  圓月委員,よろしいでしょうか。
【圓月委員】  はい,了解いたしました。ありがとうございました。
【川嶋座長】  続きまして柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】  柴田でございます。調査書の書きぶりの説明のところで,御説明がございました14ページの(2)のところでございまして,出欠停止・忌引等の日数は記載しないと。これは明確なんですけども,その次のくだりへ行って,出席停止・忌引等の日数が推測できる授業日数も同様に記載しないということが書いてありますが,これ,ちょっと曖昧なような。私が受け取るのは,これは授業日数を記載しない条件なのか。推測できる場合の。それとも,推測できるから授業日数も一律に記載しなくていいよという記載なのかというのが,ちょっと分かりづらいんじゃないかなと思いまして,もし前者の場合だったら,「推測できる場合」とかいうのを書いていたほうが通りがいいんじゃないかなと思っております。
 すなわち,通し番号の23のところにございます出欠の記録のところの欄を見ますと,恐らく出席日数・欠席日数というのは従来どおり記載するということになるのだと思うんですけれども,それ以外のもの,出席しなければならない日数とかいろいろあるんですけども,この欄の2番目は書かなくていいというのは分かるんですけど,1番目の欄を書かなくていいのか,2番目のケースがある場合は書かなくていいのか,その辺りがちょっと曖昧じゃないかなという気がして,お尋ねする次第でございます。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございます。じゃあ平野室長,お願いします。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。この出欠の記録の関係というのは,授業日数から出席停止・忌引等の日数を減らすと,出席しなければならない日数になるというのが基本的な考えでございます。
 であるがゆえに,出席しなければいけない日数というもののうち欠席・出席を書くということは,これまでもこれからも書いていくわけでありますけれども,授業日数を書くと,出席しなければいけない日数と差引きをすると出席停止・忌引等の日数というのが分かるという構造になっているわけでございます。
 ですので,出席停止・忌引等の日数というものに,当然,いわゆるコロナでお休みになってしまった時期とか,もしくはオンラインに参加している時期もこういうところに入ってくるわけでありますけれども,その出席停止・忌引等の日数というものが多いことによって,不利益に取り扱われるのではないのかという心配というのがあるということから,こういう取扱いにしているものでございまして,授業日数を書いてしまうと,その差引きの関係から出席しなければならない日数が残っている以上,ほぼ出席停止・忌引等の日数が分かってしまうという,こういう構造だというふうに御理解いただければと思います。
【柴田委員】  御説明は分かるんですけれども,だから授業日数というのは一律に書かなくていいのか,それとも推測できる場合のみ書かないのかというところを明確にしておいたほうがいいんじゃないかと考えた次第です。
 以上です。
【平野大学入試室長】  その意味においては,こういう構造なので,書いてしまうと多分自動的に推測されてしまう――それは推測されてしまう場合に当たるということだと思うんですけど,実質上,留学中の授業日数というところ以外の差はありませんので,書くと推測されてしまうというふうに,我々としては考えているところでございます。書かなくていいということです。
【柴田委員】  そういうことであれば,「推測できる場合」とか,そういうのを入れていたほうが分かりやすいんじゃないかということなんですけども,いかがでしょうか。
【平野大学入試室長】  「推測できるため,授業日数も同様に記載をしない」と,こういうことであればよろしいでしょうか。
【柴田委員】  じゃあ,一律に書かないという理解だと思っていいわけですね。
【平野大学入試室長】  そのとおりです。
【柴田委員】  はい,分かりました。それ,もうちょっと明確なほうがいいんじゃないかなと思いました。どうもありがとうございました。
【平野大学入試室長】  はい,工夫させていただきます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。
 続きまして島田委員,お願いします。
【島田委員】  島田です。よろしくお願いします。通し番号の9ページの(5)多様な背景を持った者を対象とする選抜というところです。
 これ,(5)というふうに位置づけられているということは,新しい入試を導入するということかというふうに思うんですけれども,(5)多様な背景を持った者を対象とする選抜が,一般選抜以外の入試方法の一つとして総合型選抜や学校推薦型選抜と並列的に位置づけられるということには,少し違和感があります。
 ここに書かれている評価・判定方法としては,「志願者の努力のプロセス,意欲,目的意識などを重視する」という以上のことがなくて,これだと総合型選抜との区別というのがつきにくいんじゃないかと思います。
 一方,総合型選抜の丸3とか推薦型の丸1にあるような学力担保のための注意書きというのもここにはなくて,ちょっと統一感に欠けているように思います。
 そのように考えますと,この内容を新しい入試方法として,殊さらに取り立ててここに記述することがふさわしいのかということが少し疑問に思えます。
 それよりはむしろ既存の入試の中で,社会的な理解の浸透の具合,状況などを見極めながら,じっくり時間をかけてこうした配慮に取り組んでいくというような注記のほうが,むしろよろしくないかなという,そういう意見を持ちました。
 こういう配慮の重要性というのはもちろん理解はするんですけれども,しかし,そもそもこのように特別に設けた枠で出願したり入学したりするということを,当事者は歓迎するのかということについては多少疑問もあります。
 以上です。
【川嶋座長】  ありがとうございます。学力担保については,2つ目のパラグラフの「この方法による場合は」というところ,「知識・技能,思考力・判断力・表現力等を適切に評価することに留意すること」と,総合型選抜や学校推薦型選抜同様の留意事項が書かれておりますが,その上で,新たに(5)で記載された選抜についての背景等について,平野室長から御説明をお願いします。
【平野大学入試室長】  ありがとうございました。ここについては,令和7年において,方法については3つに整理をして,対象と分けるといったような取扱いというのが予定されている中において,今回の追加は言わば過渡的な扱いというところになっていくわけでございますけれども,いわゆる一般・総合・学校推薦ということに併せて,専門学科・総合学科卒業生選抜,帰国生徒選抜・社会人選抜というのが行われている中で,こうした多様な背景を持った者を対象とする選抜というものについては,各大学で行われつつあるような現状というのが,昨年度以降の調査等で分かるところでございまして,こういったものにしっかりとした根拠を与えるということでございます。
 令和7年に至る中においては,当然,既定の方針どおり一般・総合・学校推薦型という方法の部分と対象者の部分というのがしっかりと分かれた形で記載していくということになるわけでございますけれども,先ほど申し上げたように,令和7年の予告の内容,また政府としてのこういった多様な背景を持った者を対象とする選抜というものについては,これをしっかりと振興していくというところで大学の御理解をいただいて背中を押していくという観点から,こういった記述というのを入れ込みたいと考えているところでございまして,これがまた既存の,その中に少しずつ溶け込んでいくということになりますと,これはこれまでと変わらないというところになってまいりますので,その間,どうやって既存の方法というものと調和しながら,また一方で,こうした新しい大学の意欲的な取組を支援していくのかという観点で,このような記載とさせていただいたというふうに御理解を賜れればというふうに思ってございます。
【川嶋座長】  いかがでしょうか。
 島田委員,いかがでしょうか。令和7年度に向けての過渡的なところで,これは前回も御説明があったと思いますけれども,前倒しで実施できるところはぜひやっていただきたいという,そういう趣旨もあって,ここに開示……。
【平野大学入試室長】  ですので,今,座長からおっしゃっていただいたとおり,これはあくまで各大学がこういうことに取り組む上での後押しになるようにという観点で,また入れさせていただいているというものでありますので,これをもって何らかの,これを必ずやらなければいけないという前提に立つものでは当然ございませんし,各大学が入試の工夫をするという上で,こういった根拠というものがあったところというのが,取組を後押しするというでも非常に重要なんじゃないかと思っているところでございます。
【川嶋座長】  いかがでしょう。
【島田委員】  了解しました。
【川嶋座長】  ありがとうございました。
 それでは兒玉委員,どうぞ。
【兒玉委員】  多様な背景を持った者を対象とする選抜についてお尋ねします。
 入学志願者保護の観点から,入学者選抜における変更等については,入学志願者の準備に大きな影響を及ぼす場合,2年程度前には予告・公表するいわゆる2年前予告が,毎年,文部科学省から実施要項において通知されているところでございます。
 令和5年度実施要項案について,この多様な背景を持った者を対象とする選抜が,入学定員の一部について行う多様な入試方法の一つとして記載されております。これを実施した場合,他の選抜方法による入学定員が削減されることになると理解しております。
 入学定員の削減は,当該選抜方法で受験を検討していた入学志願者にとって,大きな影響を及ぼす事項であります。2年前予告をすべき内容であるのではないかと考えますが,この点については,文部科学省はどのようにお考えでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
【川嶋座長】  室長,お願いします。
【平野大学入試室長】  ありがとうございました。今,まず入定を削減するということは,少なくとも国公私を通じてのルールではないわけであります。一定の枠をつくったからその分増員するということもあるかもしれませんので,それはルールそのものとしては,国公私を通じてはルールではないと。
 その前提の上でお答えをさせていただきますけれども,今回の要項の中にも,2年前ルールというところについては,今日の資料でいうと6ページですね,この要項の6ページに引き続き書かれているわけでありまして,個別学力検査及び大学入学共通テストにおいて,各教科・科目の変更等が入学志願者の準備に大きな影響を及ぼす場合には,2年程度前には予告・公表するということでございます。
 私ども文部科学省といたしまして,いわゆる教科・科目の変更,既存の区分における教科・科目の変更というものについては,これは2年程度前に予告・公表していただくということをお願いしているわけでございます。
 一方で,例えば大学の学科等が届け出て新設されるケースとか,前年度に初めて中身が分かるケースとか,こういったものもある中で,実際2年前にそういった新しくつくる,例えば新しい学科をつくるときに既存の学科の枠を減らして新しい学科をつくる,こういったことは行われていたわけでありますけれども,そこを2年前にやるということまでを必ず求めているわけでございません。既存の教科・科目の変更というところについてはかなり厳密に,我々は2年前でお願いしたいということを申し上げておりますけれども,それ以外の部分,新設の場合に伴うケースとか,もちろん先ほどおっしゃっていただいた定員とか何とかといった部分も,早期に予告をするということは当然,受験する者に対する情報提供としては必要なわけでありますけれども,その部分はまさに文言上,「教科・科目等」という部分が最も厳密なハードルでありまして,それ以外の部分は,届出新設のケースなどを見ていただいても,厳密に2年前ということまでを求めていないと。
 ただ,国立大学として,それをどの程度の説明責任,影響というのを見積もってということを御判断されるかというところは,大学ごとの御判断というものはあるかと考えてございます。
 以上です。
【川嶋座長】  いかがでしょうか,兒玉先生。
【兒玉委員】  ありがとうございます。国大協としては,やはり各大学が2年前予告をせずに,令和5年度の入試から,多様な背景を持った者を対象とする選抜を導入すると,志願者に対して大きな影響を及ぼすことになるのではないかと考えており,令和5年度の実施要項の記載には賛成ができないと考えています。
 もちろん,多様な背景を持った者を対象とする選抜自体は非常に重要なものと考えております。予告の前倒しは行わず,見直しに係る予告のとおり,令和7年度の実施要項から追加する方向で検討いただくという方向はないのでしょうか。御意見を伺わせていただきたいと思います。
【川嶋座長】  どうですか。
【平野大学入試室長】  私どもとしては,先ほど申し上げたように,各大学に多様な取組を行っていただく根拠,背中を押すための仕掛けとしてこういうものを盛り込みたいと考えているところでございます。
 2年前予告は,先ほど申し上げたとおり既存のものの教科・科目の変更という部分にかけるものでありまして,こういった前提で,かつ,こういった多様な背景を持った者を対象とする選抜というものの実施を各大学に義務づけているものではないわけでありますので,こうした枠組みの中で,各大学の性格とか内容というものに応じて,各大学が取り組んでいただけるようにプラットフォームをつくっていくということは大事だと思っておりますので,それは国公私全体のことを考えて,また,国立大学の中での2年前といった我々の申し上げた原則のルールという中に従って,大学の戦略として考えていくということをここであえて差し止めるということは必要ないのではないかというふうに思ってございます。
【川嶋座長】  よろしいでしょうか。ここに書かれたからといって,令和5年度入学者選抜から全ての大学が実施しなければならないという意味ではないと。やる気があるというか,こういうのを取り入れたいという大学は,令和7年度を待たず,令和5年度はなかなか難しいかもしれません,令和6年度からでもこういう選抜実施要項を根拠として,大学が多様な背景を持った受験者を対象とする選抜を行うことができるようになったということかと,私は理解しております。
【兒玉委員】  もちろん,その点については大変理解しているところですが,
今回記載している内容により,多様な背景を持った者を対象とする選抜が迅速に実施されていった場合に,影響が大きいのではないかと懸念しております。
 ところで,この2年前予告が必要な事項について,先ほど,教科・科目の変更と御説明いただきましたが,どこかで検討された統一の基準があるのでしょうか。
 例えば,選抜区分自体をなくしてしまう等,教科・科目を変えない場合でも入学志願者の準備に大きな影響を及ぼすこともあるのではないかと思うのですが,その辺りはいかがでしょうか。
【平野大学入試室長】  すみません,これはまさに文理解釈の世界でありますけれども,「教科・科目等」といって教科・科目がいの一番に上がっているということは,これは伝統的に,教科・科目を変更するという,ここについては,もう文理上読み取れることでマストであると。
 その上で,「等」というところについてはどういうふうに考えるかというところは,各高校生ですね,入学志願者の準備にどれぐらい影響を及ぼすのかというところの中で,ある程度考えていくことでありますので,ここは一律に,これは丸でこれはバツというよりは,例えば数とか方法とか,様々なインパクトというものも含めてどう考えていくのかというところで,幅があるものだと思っております。
 ですので,これは多分,これはこうだよという機械的な部分は,まさに前者,申し上げた教科の変更でありますけれども,それ以外の部分は,それは各大学の御判断,そして,それは我々要項を出した立場として申し上げることはあるかもしれませんけれども,コミュニケーションの中で見いだされゆくものなんだろうなというふうに考えてございます。
【川嶋座長】  いかがでしょうか。
【兒玉委員】  承知しました。
【川嶋座長】  教科・科目を変更すると,高校側や受験生が,ある意味受験勉強する科目に大きな影響を与えるのでということで,ここが書かれていると思うんです。
 逆に出願要件を幾つかなくしてしまうということは,むしろ受験生にとっては不利にはならないので,それは必ずしも2年前じゃなくても,1年前告示でもいいと。この辺は各大学の御判断かと思います。
 よろしいですか。ほかに手を挙げていらっしゃる方は。
 じゃあ石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】  お願いいたします。先ほど出た話,2つお話しさせていただきたいんですけど,1つは追試験会場の件でございますが,昨年は47都道府県に,感染状況を見て会場を設置してほしいみたいなお話を,高校側からは要望させていただいたと思います。
 現在,当然,感染状況は分からないですから,今の段階で決めることもできないでしょうし,早く決めてほしいという事情も分かりますし,それからコストの面も理解できるんですけれども,47都道府県でやる準備をしておいて減らすのは簡単かもしれないんですけども,最初からやらないつもりでいて,新しい株が出てきて,やっぱり47都道府県でとなるのもなかなか厳しいかと思いますので,47都道府県でやるつもりだけは,ぜひ準備はしておいていただきたいなというのが1点目の要望でございます。
 それからもう1つは,先ほど,出席しなければならない日数の議論があったかと思うんですけど,もし可能だったら,ちょっと画面の共有というのを使わせていただいてもよろしいでしょうか。
【平野大学入試室長】  先生が出されるという意味ですか。
【石崎委員】  私が出すという意味です。許可していただけますか。
【平野大学入試室長】  では,ちょっと事務局のほうで操作しますのでお待ちください。
【石崎委員】  よろしいですか。指導要録の記載例というのが出ていますでしょうか。
【平野大学入試室長】  はい。
【石崎委員】  それを見ていただければと思うんですけれども,結局この例1と例2というのは,これは初中局のほうから出たものを基に都で作った資料だと思うんですけども,こういう形で指導要録が記載されるんです。
 結局,出席しなければならない日数のところを書かなくても,欠席日数と出席日数を見れば分かるんですよね。
 例2のところを見ていただければ,出席ゼロ・欠席ゼロですから,結局足せば分かるという仕組みになっているので,これは私,去年も申し上げたと思うんですけども,あんまり,出席しなければならない日数だけ隠しても,出席日数と欠席日数を足すと出席しなければならない日数になるということだけ理解しておいていただいて,要は不利に取り扱わないということだけを確認しておけば,記載のところはそんなに――欠席だけにするというのは別なんですけども,さっきの議論というのはあんまり意味がないのかなというふうに思ったので,ちょっと御参考までに提示させていただきました。
 以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございます。
【平野大学入試室長】  よろしいですか。47会場の件については,これは大学入試センターともよく御相談させていただきながらになりますけれども,先ほど来議論があるように,2年間の経験というものをどれだけ踏まえて対応するかということは,私どもも大学入試センターさんのほうも同様でございますので,しっかりと,あらゆるところに柔軟に対応できるように,頭は考えていきたいというふうに思ってございます。
 後者のほうは,すみません,ちょっと私の説明が悪かったかもしれないんですが,出席しなければならない日数は残るんです。
 消えるのは,授業日数と忌引等でありますので,出席すべき日数は残ります。
 ただ,いずれにせよ何が残ろうと残るまいと,そこを不利に扱わないということはそうなんですが,これは過去の初等中等教育局の要録のほうに係る通知とか,こういったものとの平仄を合わせる範囲でこうなっているということであります。
 これも,いわゆる,いつ平常に復するのかというところもありますけれども,調査書についてはもともと大きな議論すべき点というのが幾つもありますので,また継続的に議論をさせていただければというふうに思ってございます。ありがとうございます。
【川嶋座長】  ありがとうございます。
 それでは次,空閑委員,どうぞ。
【空閑委員】  ありがとうございます。兒玉先生の意見の繰り返しになってしまいますが,通し番号9ページの(5)の,多様な背景を持つ者を対象とする選抜の2年前予告について発言させていただきます。例えば,本学をはじめとする理工系の大学等にとっては,女子学生枠を早めに増やしていきたいという方針は,ありがたいと考えます。一方で,例えば,学校推薦型選抜や総合型選抜の中で実施したとして,女子学生枠を増やしていくと,入学定員は変わらないため,性別の制限がない一般選抜の定員を振り替えることになり,極端なことを言うと,その分,男子生徒が減っていくということに繋がると考えます。大学の判断ということですが,2年前予告に関係なく迅速に行っていくのは,かなり厳しいのではないかと懸念しております。
【平野大学入試室長】  ありがとうございます。空閑先生におっしゃっていただいたことは,まさに,どういうふうに御自身の大学の置かれた環境というものをお考えになって,どの程度,その理解を得る必要があるのかというのは,かなり個別性が強い話でもありますし,また,国立大学の中でも個別の国立大学の戦略という部分が影響してくる部分なんだろうと。
 大前提として,この記載というものを書いたからといって,これをやらなければならないわけではないと。その上で,2年前という部分については,先ほど申し上げたとおり,クリティカルな部分と,各大学の置かれた状況や説明責任をどこまで果たすべきなのかといったところに存する部分があるということでございますけれども,これを一律なくすことによって対応できる大学の背中を押すというところまでを削ってしまうということになるのはあまりよろしくないかと思っておりますので,それは国立大学さん全体もそうですし,各国立大学の戦略という中で,何をどこまでされるのかということについては,これはこの要項というところから少し離れた話として,我々としても場合によっては御相談に丁寧に応じていかなければいけない部分だろうなというふうには考えてございます。
 ただ,この要項自体は,それは国公私全体を通じての要項という性格であるということについて,御理解を賜れればというふうに思ってございます。
 以上です。
【川嶋座長】  よろしいでしょうか。
 圓月委員,どうぞ。
【圓月委員】  2回目で失礼します。それぞれ関係があると思いますので,2点について質問させていただきたいと思います。
 ちょうど今出していただいている,やはり(5)のところですけれども,最後のところで,知識・技能,思考力・判断力・表現力等ということで,学力の3要素の最初の2つは明記してありますけれども,最後の3番目のものについては明記することを避けておられると思います。その理由についてお伺いしたいというのが1つであります。
 もう1つは,通し番号18ページの秋季入学についてのところのものであります。ここにつきましては,「入試方法の多様化」あるいは「評価指標の多元化」という言葉が使われています。
 入学者選抜のこれまでの議論において,もう一つ大きな話題になっていたのが,「多面的評価」という問題をどうするかということです。これにつきましては,調査書の電子化やポートフォリオの活用方法などについて,いろいろな議論がまとまり切らないところがあるんですが,継続の議論というふうになっているかと思います。
 多様な背景を持った学生の方の入試,あるいは秋季入学においてこそ,この多面的評価の問題というものをさらに深めていって,議論して位置づけていくことが必要なのではないかなというふうに思っています。
 以前,多面的評価のほうの議論に加わらせていただいていたこともあって,できればその議論の継続性も含めて,「多面的な評価」というふうな文言を入れていただきたいというふうには思っているんですけれども,その辺りについてはいかがでしょうか。
【川嶋座長】  ありがとうございます。3ページのところは,主体性のところですかね。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。この3ページの部分で,主体性というところについては,要項の性質上,何をどこまで細かく書くのかというところもある中で,我々としては,こういう特定の多様な背景を持った者を対象とする選抜をやる上で,意欲というのは当然ある上で,それ以外の部分でここをしっかり判断してねと。
 つまり,ここは意欲だけではなくて,その入学志願者の努力のプロセス,意欲,目的意識等を重視し判定することで上に書いているものですから,あえて重複する記述は入れなかったと。
 なので,最初の1段落目に「意欲,目的意識を重視する」ということはもう触れている上で,ただ,それだけじゃなくて,残りの要素というのもしっかり確認してねという,なお書きで入れているということなので,書いても別に差し支えはないんですけど若干重複感が出てくるというのが,前者に対するお答えでございます。
 ですので,前の部分に入学志願者の努力のプロセス,意欲重視と書いてあるので,言わずもがなであるという理解で,あえて書くと,ちょっとそれは重複感が出てくるかなというところでございます。
 後段の多面的評価の部分についてでございます。非常に重要なテーマでございます。
 重要なテーマですので,そこは少しどうするかというところは相談させていただきたいと思っております。
 ただ,一方で秋入学の部分については,これは後ろの部分に,「主としてこういう方法で努める」という,いわゆる各大学に期待する部分と,「ルールとしての規模,時期,対象者については大学によって適切に判断する」といった義務的な部分と表現が分かれている中で,多面的な評価という部分をやるとすると,この後ろの部分に入れていくということになるわけですけれども,ちょっと落ち着きがいい形で入れられるかどうかというのは,今にわかにお答えが難しい部分がありますので,少し相談させていただきたいと思います。
【川嶋座長】  圓月委員,よろしいでしょうか。
【圓月委員】  ありがとうございました。ちなみに,もう御存じなんだと思うんですけれども,主体性評価と多面的評価が同義語かどうか。多面的評価の場合には3つの学力を多面的に考えていくというふうな意味もございますので,その辺りについても含んだ上で,最も適切な文言というものを考えていただいたらうれしく思います。ありがとうございました。
【川嶋座長】  ありがとうございました。
 ほかの委員の方,議事1について,御意見,御質問ございませんでしょうか。
 ありがとうございました。二,三,ちょっと御意見に対応して文言の修正等をさせていただきますが,最終的な表現については座長の私に一任していただければと思います。ありがとうございました。
 それでは,続きまして議題の2番目でございます。令和6年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱についてでございます。
 これはまず,資料について事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。続きまして資料の2,大綱の改定案でございます。
 大学入学共通テストというものについて,基本的な事項ということについては文部科学大臣が決定することとされてございまして,このような実施大綱を作らせていただいてございます。
 ただ一方で,説明する前から何でございますけれども,見ていただきますと,内容としては昨年から大きく変えている部分はございませんで,基本的には年限が変わった,年度が替わったということに基づく日付の修正,また用語の整理といったものになってございます。
 ですので,昨年来と盛り込んでいる内容は同じというふうに捉えていただければ幸いでございます。
 説明は以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございます。日時等の変更に限られているということですが,この大学入試共通テストの実施大綱について,何か御質問,御意見ございませんか。
 山口理事長,何か補足がございましたらお願いしていいですか。
【山口委員】  ありがとうございます。特にないのですが,皆様御存じのとおり,令和7年度入試から,新しい学習指導要領の下の入試が始まるわけですが,その前の最後の年になりますので,そういう意味では粛々と今年度のものを引き継いでいくということと理解しております。
 以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。ほかの委員の方々,御意見ございませんか。
 それでは,これで確定ということにさせていただきます。
 それでは3番目でございますが,3番目は,昨年度に引き続きですが,大学入学者選抜協議会新型コロナウイルスに対応した大学入試ワーキンググループの設置についてでございます。これについても資料を事務局のほうから御説明お願いします。
【平野大学入試室長】  失礼いたします。続きまして資料3でございます。大学入学者選抜協議会新型コロナウイルスに対応した大学入試ワーキンググループの設置についてということでございます。
 こちらについては,昨年,一昨年度において,ワーキングについては各年度に実施する入学者選抜に係る新型コロナウイルスの感染症対策のために,年度ごとに設置をしてきたところでございます。
 この状況,現下の状況というところを踏まえますと,引き続き感染状況の見通しも含め,様々な状況に応じましてガイドラインの内容を検討して,必要な更新・修正等を行う。その他,コロナウイルスに関する入試の在り方というものを専門的に検討していただくという必要性が認められるところでございますので,ワーキングというものの設置をお願いしたいというものでございます。
 設置の目的,検討事項,実施方法については記載のとおりでございます。専門的な調査・審議を行うために,協議会構成員の中から入れていく。また,必要に応じて上記の者以外の者にも協力を求めるということでございます。
 設置期間については,今年度末ということでございます。
 また,ワーキングについては協議会本体と密接に関わり合いを持って行っていくということは当然でございます。
 また,メンバーについては事前に御連絡をさせていただいているところでございますが,次のページに委員の名簿ということで,臨時協力者のお名前も含めて記載をさせていただいているところでございます。
 説明は以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。ただいま室長からの御説明がありましたが,資料3の3ポツの実施方法,(1)ワーキンググループの主査及び構成員は協議会構成員の中から協議会座長が指名するものとすると。それから(2)ということで,必要に応じ上記の者以外の者にも協力を求めるほか,関係者の意見等を聞くことができるということで,資料3の裏側にあります本協議会の委員の方々,並びに臨時協力者として3名の先生方を,座長から御指名させていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
 また,主査につきましては,昨年度と同じく柴田委員にお願いしたいと思いますので,柴田委員,よろしくお願いしたいと思います。
 この件につきまして,何か御意見,御質問ございますでしょうか。よろしいですか。
 またいろいろ,状況によっては何回も開催が必要になるかもしれませんけれども,よろしく御協力のほどお願いしたいと思います。
 それでは,こちらで用意した3つの議題は全て終わりましたが,何か全体を通して御意見がございましたらお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。
 特にございませんでしたら,本日の協議は以上とさせていただきたいと思います。
 最後に事務局から,今後の日程等,御説明をお願いしたいと思います。
【平野大学入試室長】  ありがとうございました。本日も熱心に御議論いただきましてありがとうございました。
 この大学入学者選抜実施要項については,本日の意見も踏まえた修正について,川嶋先生とも御相談させていただき,内容を固め,また,なるべく速やかに大学に対してお知らせをしていきたいというところでございます。
 また,協議会そのものの日程については,また次回以降については改めて御相談をさせていただきたいと思っておりますので,また御協力をお願い申し上げます。
 情報の取扱いについてでございます。本ワーキング,審査の過程は非公開でございます。審議において知り得た情報については漏洩することがないように,内容・資料についても委員限りとしていただくとともに,情報の取扱いについては御留意いただきたいと思います。
 また,各外部の方から先生のほうにお問合せなどがあった場合には,私どものほうに御連絡をいただけると大変助かります。
 また引き続き,会議の開催の有無というところによらず,入試に関して御意見等がございましたら,事務局まで御連絡をいただきたいと思います。本日はありがとうございました。
【川嶋座長】  それでは,本日の会議は終わりとしたいと思います。御多用の中,御参加いただきましてありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。


―― 了 ――