大学入学者選抜協議会(第6回)議事録

1.日時

令和3年9月7日(火曜日)17時~19時

2.出席者

委員

川嶋座長、沖座長代理、石崎委員、泉委員、今岡委員、圓月委員、大林委員、岡委員、柴田委員、島田委員、杉本委員、髙田委員、田中委員、長塚委員、安井委員、山本委員

文部科学省

伯井高等教育局長、森田大臣官房審議官、新田大学振興課長、前田大学入試室長、中村大学入試室室長補佐、安彦初等中等教育局参事官(高等学校担当) 他

3.議事録

【川嶋座長】
 皆さんこんにちは。聞こえますでしょうか。定刻より多少早いのですが,全ての委員の方がおそろいということで,ただいまより大学入学者選抜協議会の第6回を開催したいと思います。皆様におかれましては,御多用の中,御参加いただきありがとうございます。
 本日の議題は大きく2つございます。1つ目は令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト試験日程及び試験時間について。2つ目は令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの経過措置について。3はその他となっております。
 まず,事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【前田大学入試室長】
 大学入試室長の前田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 配付資料は資料1から資料3までございまして,資料1,資料2から枝番号を振ってございまして,資料1から資料3-7までが大学入試センターから提出されている資料でございます。資料3-8が事務局のほうで作成した資料でございます。
 なお,本日もウェブ会議での開催でございますので,御発言の際には挙手ボタンを押していただきまして,指名された後に御発言をお願いできればと思います。また,聞き取りやすい発言,資料参照の際の該当ページのお示し,ハウリングを避けるため指名後のミュート解除,発言後のミュート戻しなど御協力をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。それでは,本日の議題に入りたいと思います。
 まず1番目の議題でございます。令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの試験日程及び試験時間について,本協議会に先立ち大学入試センターにおいて検討いただいたということですので,その検討結果を大学入試センターから御説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
【山本委員】
 大学入試センターの山本です。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず,令和7年度の共通テスト実施大綱の予告が1月30日付で文部科学省から発出されまして,令和7年度以降の出題教科・科目が示されたところでございます。
 令和7年度共通テストの実施に向けましては,受験者が学習の見通しを持ちやすくするとともに,各大学の利用方法の検討に資するためには,試験日程及び試験時間,そして経過措置の対象とする教科・科目等につきまして,早い段階で議論する必要があると考えております。本日は,それらの対応案についての大学入試センターの考え方をお示しさせていただきます。
 通しページでこれから申し上げますが,1ページから5ページの資料1が,現時点での考え方でございます。これは,センターに設置しております入試に関する専門的知見を有する有識者をメンバーとする大学入学共通テスト企画委員会で御議論いただきまして,方向性並びに委員から出された意見を取りまとめたものでございます。
 まず私のほうから,この資料1のうち,試験日程と試験時間をこの後示します資料2-1で,そして,後ほど議題になります経過措置につきましては資料3-1を用いて説明した後,試験企画部長の小野から,それぞれ少し詳細に説明をさせていただきたいと思います。
 それでは,まず試験日程と試験時間について説明をいたします。6ページの資料2-1のスライドを御覧ください。
 まず試験日程ですが,現行と同様に2日間といたします。理科①,②の,現行2コマでやっておりますが,これを1コマに集約しまして,情報Ⅰを実施する時間帯を確保することによって,全体の日程を2日間ということで維持したいと考えております。
 次に,試験時間でございます。国語は現行から10分延長して90分に。そして数学②(『数学Ⅱ,数学B,数学C』)につきましても10分延長して70分に。そして新たに出題することになります情報Ⅰは60分にするのが適当だろうと考えております。後ほど小野部長のほうから,国語と数学の時間延長,そして情報Ⅰを60分とする考え方について説明いたします。
 7ページのスライドですが,この時間で最終的な決定をしたわけではございませんが,ただいま申し上げましたような時間につきまして,これは現時点での時間割のイメージとして示しています。
 6ページのスライドに戻っていただきたいと思います。参考として,中ほどに示しております出題方法・問題作成方針ですが,この先も専門家による検討を重ねまして,最終的な問題作成方針を令和5年6月までに公表する予定にしております。
 また,科目構成や内容等が大きく変わる地理歴史,公民,数学,そして新たに出題する情報につきましては,各科目の問題の全体構成等が分かる試作問題を,配点もつけた上で,来年,令和4年の秋冬を目途に公表したいと考えております。
 一番下のアスタリスクの部分ですが,受験者の負担や大学の負担,また安定的な実施に十分配慮することが必要という意見が複数,先ほど申し上げました大学入学共通テスト企画委員会で出されましたので,特記してございます。
 それでは,小野部長のほうから試験時間等の考え方について御説明をさせていただきます。
【小野部長】
 ただいま理事長から御説明させていただきましたアウトラインに沿いまして,御説明をさせていただきたいと思います。
 まず,通しページ1ページ目,資料1に沿いまして,試験時間の変更を提案させていただいている科目の理由につきまして御説明させていただきます。
 まず国語に関しましては,大学入試のあり方検討会議の提言も踏まえまして,多様な文章を提示し,より思考力・判断力・表現力等を評価する観点から,問題数を増やしつつ解答時間を増やすということにさせていただきたいと考えております。
 通しページ8ページ目,資料2-2というところに,あり方検討会議の提言を抜粋しています。マーク式問題の中での出題の工夫として,現在,複数の題材による出題,言語活動の過程を設定に取り入れた出題の工夫などを行っております。こうした工夫を今後とも持続的に質の高い問題作成として続けていくためには,試験時間を増やして出題問題数を増やすということをさせていただきたいと思います。
 それから数学②につきましては,通しページ9ページ目,資料2-3に示しておりますように,今般の学習指導要領の改訂によりまして,これまでの「数学B」,「数学Ⅲ」の内容の一部を集めた「数学C」という科目が新たに設定されています。
 大学関係者からは,この「数学C」も共通テストの範囲に含めてほしいという御意見もいただいております。共通テストの出題科目としましては,「数学Ⅱ」「数学B」「数学C」を試験範囲として,「数学B」数学C」というのは選択的に内容を学ぶという項目になっております。この数学B・Cの項目4つのうち,3つを選択回答するという形としたいと考えております。
 そうしますと,現在,「数学B」までの範囲の中で解答する問題に比べて,問題の量が増えるということになりますので,個々の問題の質あるいは深さを維持したまま解答項目を増やすためには,受験生に10分程度の解答時間を増やすことが必要ではないかというふうに判断した次第でございます。
 続きまして,「情報」でございます。10ページ目,資料2-4に,補足的に説明を入れさせていただいております。
 新しく出題科目とします『情報Ⅰ』は,文系・理系を問わず,小学校,中学校,高校までで培っている情報活用能力を大学でさらに伸ばしていくという役割を担うために、非常に重要な位置づけの科目と考えております。
 この科目の内容を考えますと,非常に幅広い内容を含んでおり,特にプログラミングやデータの活用という領域に関しましては,問題発見・解決の過程を通した出題ということが必要になってきます。そうしますと必然的に,回答の時間を確保するということが必要になると考えております。
 現在,専門学校の生徒を対象に,数学②の選択科目として『情報関係基礎』という科目を設定しております。この『情報関係基礎』は,『情報Ⅰ』よりも出題範囲が狭く,例えばデータの活用やプログラミングというのも必須ではないということになっておりますが,数学②の『情報関係基礎』が60分,それよりも『情報Ⅰ』は広い範囲ということになりますので,この60分よりも下回ることはできないのではないかと考えております。
 また,共通テストあるいは過去のセンター試験等を顧みましても,これまで独立した教科としまして60分を下回った設定をしているものはないということになります。
 こうした,新しく『情報Ⅰ』を設ける趣旨を総合的に鑑みまして,「情報」を独立の教科として60分の試験時間とすることが適当ではないかというふうに考えた次第です。
 なお,このように国語,数学の10分の時間増ということに関しまして,センターの大学入学共通テスト企画委員会に御意見をいただきました。センターの大学入学共通テスト企画委員会で特に御意見をいただきましたのは,受験生の負担,特に合理的配慮,障害のある受験生への配慮としまして,試験時間を最大で1.5倍延長するというような対応をしておりますが、こうした受験生の負担の配慮,あるいは運営に当たる大学の負担への配慮を求めたいという意見をいただきました。
 こうした意見を踏まえまして,資料を行ったり来たりで恐縮ですが,通しページ2ページ目,資料1の2ページ目でございますが,こうした出題方針を踏まえた時間の変更等に伴いまして,枠囲みで示しましたように,受験生への配慮等の視点から,今後の問題作成の検討に当たって留意する事項ということをまとめております。
 先般の本協議会でも御指摘をいただきましたように,受験者の方には全ての教科を受験する受験生もいれば,必履修科目を中心に受験するという受験生もいて,非常に多様な受験者の選抜のための試験という役割を持っております。こうした役割を果たしつつも,受験者に活動に負担にならない状況という観点から,配慮を行った出題ということを検討してまいりたいと考えております。
 特に枠囲みの3つ目のポツにありますように,共通テストでは,思考力等を問うための工夫としまして,様々な資料を掲示したり,問いかけの工夫などをしたりしております。様々な受験者の困難さを考慮した上で,資料や問いかけの方法,あるいは分量について配慮するということを重視して検討していきたいと考えております。
 また,今般このような形での試験時間の増ということを考えておりますが,中長期的には,10年,20年程度をかけて,共通テスト全体を,個別選抜との役割分担などを考えながら,よりシンプルなものとしていく方向ということは,改めて確認のために示させていただいております。
 このような形で大学入学共通テスト企画委員会での審議を受けた上で,今般このような時間設定をここでお諮りさせていただきたいと思っております。
 私からの説明は以上です。
【山本委員】
 大学入試センターからは以上でございます。
【川嶋座長】
 御説明ありがとうございました。それでは,これから質疑応答に移りたいと思います。ただいまの大学入試センターからの御説明にあった内容について,御意見,御質問等がございましたら,どなたでも結構ですので御発言を願いたいと思います。挙手ボタンを上げていただければ,こちらから御説明させていただきます。
 柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 福岡県立大学の柴田でございます。順番として,まず国語を90分に延長するということについて,賛成の意見を述べたいと思います。
 従来から国語は80分で200点満点の出題をしておりましたが,後での点検等もございましたが,配点が例えば1つの問いに対して9点とか,非常に大きな点数がございました。
 そういうことは,やっぱり改善の余地があろうと思いますし,今回はさらに密度の濃い出題ということになると理解しておりまして,そういうものに対応するためにも,やはり時間延長が適当ではないかと考える次第でございます。
 以上です。
【川嶋座長】
  ありがとうございました。センターの提案については賛成という御意見でございました。
 続いて杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 ありがとうございます。一部,企画委員会での発言の繰り返しの部分もありますが,試験時間について,全高長としての意見を述べさせていただきます。
 まず,単純な算数の問題で恐縮なのですが,令和2年度のセンター試験における文系5教科8科目型,理系だと5教科7科目型の受験者の試験開始時間から終了までの2日間の合計というのは,ともに13時間50分でした。
 しかし,仮に令和7年度が,7ページにあるように,共通テストがこの時間で課された場合,情報をプラスして計算した場合は,2日間の合計が16時間10分。すると,2時間20分も拘束時間が長くなるんです。2日間の長時間にわたる緊張感を強いられる受験生の負担という意味では,大きな影響があるんじゃないかなと考えます。
 先ほど配慮の必要な生徒についての説明がありましたが,まして1.5倍の試験時間を要する視覚障害者の場合は,その負担はかなりのものだろうなと思いますので,単純に時間を延ばすだけでよいという問題ではありませんので,適切な配慮をお願いしたいと思います。
 個別についてお話をしますと,国語の試験時間については,大学入学共通テストの果たす役割の1つである思考力・判断力・表現力を問う問題作成という意味では,時間を延ばすという考えについては一定の理解を示します。
 単独の教科で時間設定されている「情報」については,他教科の時間を踏まえてという理由はちょっと説得力に欠けると思います。ほかとの影響がありませんので,50分の可能性もあるのではないかなという気が今でもします。
 また,「数学C」の新設に伴う新しい出題科目,「数学Ⅱ,数学B,数学C」ですが,ちょっと古い話ですが平成11年告示の学習指導要領では,数学は「数学基礎」,「数学Ⅰ」数学Ⅱ」「数学Ⅲ」,「数学A」「数学B」「数学C」の7科目で構成されていました。この間のセンター試験では,数学Cは試験科目には含まれていませんでした。これは皆さん御存知だと思います。
 高等学校の現場では,「数学C」は基本的に理系進学者の選択科目として履修させていました。今年の3月に入試センターから公表された令和7年度の出題科目の影響で,文系進学者に対しても「数学C」が選択できるようにと考えた学校は,編成中の教育課程の変更を行ったところも少なくないと思います。
 資料の9ページにありますように,今回の改定で「ベクトル」が「数学B」から「数学C」に移行されました。きっと多くの大学での,文系でもベクトルを学習してきてほしいという声が,この対応になったのではないかなと推察します。
 もしそれならば,あまりにも今回の学習指導要領の立てつけがうまくなかったのではないかなというふうに考えます。今回の試験時間の設定の理由が作成者並びに利用者側の論理で説明されていたので,受験者の代弁者の1人である全高長から意見を述べさせていただきました。
 また,令和7年度に向けて検討する余地がもしあるならば,部分的にでも再考していただきたい。負担の軽減を図っていただきたいと考えます。
 また,次の学習指導要領改訂の際には,学習内容等を十分御留意いただければ幸いです。
 最後に,資料6ページの米印で,「受験者の負担を考慮する」とありますが,具体的にどのような内容を指すのか教えていただければ助かります。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。御意見と,あと御質問があったと思いますが,最後のアスタリスクの「受験生の負担を考慮する」というところについて御質問があったかと思うのですが,入試センターのほうはいかがでしょうか。
【小野部長】
 杉本先生,ありがとうございました。最後に御質問でいただきました点は,配慮事項としては,先ほどの資料1の2ページの枠囲み内に記しているようなことでございますが,具体的な話としては,やはり時間的な負担というのはあるのですが,それだけではなく,特に視覚に障害がある受験者の場合には,読まなければいけない問題文,あるいは問いかけの文の問いかけ方で本当に負担が変わってくるというような指摘をいただいております。これは必ずしも障害のある受験生だけではなくて,全ての受験生にとって,本質的に考えなければいけないところ以外の形で負担をかけないようにするということは,全ての受験者に対して力を発揮していただくために重要なことかと思います。
 これから新課程の各問題を考えていくに当たりまして,全ての教科においてこの点を十分留意した上で検討を進めることができればと考えております。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 石崎委員,お手が挙がっていますけれども。お願いします。
【石崎委員】
 1点質問させていただきたいのですが,今の試験時間絡みのところの資料2-1のところでございますが,国語については,10分延長のところで,問題量を増やす,大問を増やすということが書かれているのですが,『数学Ⅱ,数学B,数学C』については大問の数とかそういうところは言及がないのですが,その辺りはどのように,時間を増やすに当たってお考えなのでございましょうか。
【川嶋座長】
 センター,いかがですか。
【小野部長】
 石崎先生,ありがとうございます。数学②につきましては,これからまた具体の問題構成を検討いたしますが,基本的には選択する部分の項目が「数学B」から「数学B・C」まで広がりまして,解答する項目が3項目中2項目だったものが4項目中3項目に増えます。この場合,基本的には解答すべき項目が増えると考えております。
 その上で,受験者の負担や出題のことを考えますと,やはり時間を増やさないと十分な対応はできないのではないかということで,10分の増ということで考えております。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。まだ大問を増やすか増やさないかということは今後の検討のところですね。
【小野部長】
 ありがとうございます。国語の場合と数学の場合で,少しテクニカルな話になりますが,国語の場合には大問ごとに提示する文章があり,一連の問いがあるという形になります。数学の場合には,若干問いの組立て方が違いますので,国語とはまた大問という意味が変わってまいりますが,いずれにしても,今回この方針でお認めいただけましたら,新課程の内容を具体的に検討する部会のほうで,問題の構成を専門的に考えて,またその方針あるいは試作問題の形で公表できればというふうに考えてございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。大問云々よりも,そもそも問題数が増えるということで,時間も延長するという御説明だと。
 柴田先生,手が挙がっていますが,御意見ございますか。
【柴田委員】
 ほかの数学とか情報等については,やはり作問内容との関連で時間というのは決められるべきだと思うので,この現状ではよく分からないというのが正直なところでございますので,これから試作例題なんかを見た上で意見を申し上げたいと思います。失礼いたしました。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。試験の内容と時間と関係しているので,今,正確には判断できないという御意見かと思いますが,先ほどの御意見では,提案については基本的には賛同するということでございます。
 ほかの委員の方々,何か試験時間の件で御意見,御質問ございませんでしょうか。
 杉本委員は,数学については学習指導要領の,言い方は悪いですが,つくりが悪いというような意味だったと思うのですが,それはもうしようがないということなので,そのような御意見は次期の学習指導要領の作成の際に,また御意見をいただければと思います。
 特にこの件についてはほかにございませんでしょうか。
 特に強い御意見,反対意見等はなかったと思いますので,センターからの御提案どおりに時間をさせていただいて,今後,より具体的な設問の内容とか,検討が進みましたら,また改めて協議会等に,あるいは各関係団体にも,センターのほうから情報提供していただければと思います。ありがとうございました。
 それでは,事務局におかれましては,各委員等から出た意見を踏まえて,令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告の補遺の案文の検討を進めていただければと思います。
 それでは,次の議題に入りたいと思います。本日の2つ目の議題は,令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの経過措置についてでございます。
 先ほどと同様,本協議会に先立ち,大学入試センターにおいて検討していただいたということですので,その検討結果をまずは大学入試センターのほうから御説明していただき,その後質疑応答に入りたいと思っております。
 それではセンター,山本理事長,小野部長,お願いします。
【山本委員】
 山本です。ただいま座長からございましたように,経過措置につきまして現状報告をさせていただきます。私のほうから概略を申し上げて,詳細な点については先ほどと同様,小野部長のほうから説明をするようにいたします。
 それでは,まず11ページの資料3-1を御覧ください。
 最近のセンター試験では,全受験者の約2割,10万人が過年度卒業生でございます。今年の1月に実施しました共通テストではいわゆる浪人が少なくて8万人余りでしたが,例年大体2割,10万人というのが過年度卒業生になってございます。
 したがって,これまでも学習指導要領の改訂時には,旧教育課程履修者のみが受験可能な試験問題も併せて出題してまいりました。同様に令和7年度共通テストにおきましても,内容的に大変大きな改定があった地理歴史,公民,数学①・②につきましても,経過措置問題を提供することとしたいと考えております。
 なお,理科につきましては,新学習指導要領及び教科書での扱いが異なる内容につきましては,必要に応じまして旧教育課程履修者が選択回答可能な問題を出題するというようなことも,可能性としてはあると考えております。
 ただし,『情報Ⅰ』につきましては,現在の教育課程には対応する科目がありません。教科「情報」というのがございますが,こういった科目がなく,経過措置問題を作成する,あるいは作成しない,いずれについても考慮すべき課題があるということで,作成するというA案,それから作成しないというB案,このA案・B案として,34ページから40ページの資料3-5のとおり,大学・高等学校など関係団体に意見照会をいたしました。各団体におかれましては,大変短期間で申し訳なかったのですが,全て御回答いただき誠にありがとうございました。
 41ページから64ページの資料3-6が各団体からの回答文書,そして65ページの資料3-7が,これらの御意見を整理してまとめたものでございます。
 これらを基に当センターの大学入学共通テスト企画委員会で議論をいたしまして,そこで出された意見を,テーマごとに冒頭の資料1の4ページ,5ページに整理してございます。
 御意見の中には,A案とする場合またはB案とする場合,このような課題をクリアする必要があるのではないかといったことを示してくださったものもございます。頂戴しました意見につきましては,本日この協議会で御議論いただく必要があると考えまして,資料3-1,今共有してございますが,この下側に,各団体の意見を踏まえた論点ということで示しております。
 まず,作成するというA案につきましては,全高長のほうから,令和7年度試験においては,アドミッション・ポリシー等に照らして『情報Ⅰ』の受験を特に必要性が高い大学に限定してほしいといった御意見。また国大協や都道府県教委連合会からは,旧教育課程を履修している受験生に対し,それまで出題されていない「情報」の科目を受験するということになることについて十分な理解を得る必要があるという御意見や,経過措置問題と『情報Ⅰ』の問題は同等の難易度であり,必要に応じて得点調整が実施されるべきなどの御意見がございました。また,公大協のほうからは,過年度卒業生に対する配慮の指針がなければ受験生が混乱するということが,A案を支持する主な理由でございました。
 一方,作成しないとするB案につきましては,私大連から,『情報Ⅰ』を課すとした場合,過年度卒業生への配慮に関する指針が示されることが考えられるといった意見をいただいております。また,私大協からは,アラカルト方式が多く,各大学において何らかの配慮が必要との御意見でございました。
 また,A案・B案,それぞれのメリット,デメリットの両論が併記された回答を御提出いただいた団体や,現時点では不明な点が多いが,受験生に不利益を生じず,大学に過大な負担や混乱が生じることのないよう十分に検討すべきといった御意見をいただいた団体もございます。
 国大協や都道府県教委から示されております,先ほど申し上げました同等の難易度,得点調整ということについては,この後,小野部長のほうから詳しく説明いたしますが,過去の学習指導要領の変更時の経過措置,あるいは今回の地理歴史,公民,数学の経過措置と,この「情報」の経過措置は事情が大きく異なることを御理解いただく必要があろうかと思います。
 このことにつきましては,11ページの資料3-1の中段囲みの中に記載しております。まず,教科「情報」の目標や内容が,旧教育課程と新教育課程では著しく異なるという点でございます。内容やレベルが大きく異なる科目について,難易度が同等になるように試験問題を作成することは大変難しいのではないかと,センターでは考えております。
 さらに言いますと,センターには,これまでの試験科目についての難易度調整に関しては一定程度の経験がございますが,今回の「情報」につきましては全くございません。
 また,先ほど説明いたしましたこの資料3の下側の各団体の意見を踏まえた論点にもありますが,旧教育課程履修者は,共通テストに「情報」が課されるということを前提には学んでいないということにも留意する必要があろうかと思います。
 それでは,ただいま申し上げたことに関しまして,小野部長のほうからもう少し詳しく説明いたします。
【小野部長】
 試験企画部長の小野から,引き続き,理事長から御説明申し上げたアウトラインに沿いまして,経過措置問題につきまして資料を基に報告をさせていただきたいと思います。
 通しページの3ページ目でございます。まず,「情報」以外の各項目につきましては,ただいま理事長から御報告申し上げたとおりでございます。
補足しますと,数学②の経過措置問題の中には,新教育課程では出題しないということで決定しております『数学Ⅱ』,『情報関係基礎』,『簿記・会計』の科目も,令和7年度の経過措置としては出題させていただくことを考えております。
 今回,特にお諮りしたいのは,この「情報」の新設というところについてでございます。
 「情報」につきましては,共通一次試験,センター試験,共通テストを通じまして,全く新しい出題教科が設けられるということは実は初めてのことでございます。
 高等学校の教育におきましては,既に平成11年告示の高等学校学習指導要領から教科「情報」は設けられておりましたが,新課程の「情報」の内容あるいは目標のレベルということが旧課程と大きく異なっているというところが,今回,特に御議論いただきたい問題意識でございます。
 資料3-2,通しページ13ページを使いまして,学習指導要領における「情報」の新旧科目間の違いにつきまして,少しお話をさせていただきたいと思います。
 最も大きく違うのは,そもそも目標として目指すレベルが違うという点でございます。旧課程の高校生は,選択科目として「社会と情報」,「情報の科学」を選びますが,およそ8割が「社会と情報」を履修しております。
 「社会と情報」は,言わば情報や情報技術のよさや注意点を学ぶというレベルでございますが,新課程の「情報Ⅰ」につきましては,旧課程でやっていたことはある程度小学校や中学校でやってくるということを前提としまして,プログラミングやデータサイエンスの基礎的な内容を使って,問題の発見や解決を目指すというレベルを目標に掲げているという違いがございます。
 また,内容面で見ますと,あくまでざっと対照させたものではございますが,「社会と情報」と「情報Ⅰ」で対応している項目はおよそ半分程度という形になります。
 また,項目としては対応しているような形になるのですが,実際に学ぶ内容の深さや高度さには大きな違いがあるという項目もございます。例えば「ネットワーク」や「コミュニケーション」というものが「社会と情報」に含まれておりますが,この内容としては,例えばメールやウェブブラウザを使ってみるというレベルになっています。
 一方で,「情報Ⅰ」で「ネットワーク」と言っている部分に関しましては,ネットワークのプロトコルを理解して小規模のネットワークを構築してみるというようなレベルが目標として掲げられているというような違いがあります。
 次に資料3-3,14ページ目以降を使わせていただきまして,こちらは本年3月に公表させていただきました,新課程の『情報Ⅰ』のサンプル問題です。100点分の内容,フルセットではないのですが,『情報Ⅰ』に対応した問題を作るとこういうイメージかなということでお示ししたものとなります。
 まず,15ページ目からの大問1は,情報技術についての理解を問う様々な問題を入れております。問2の情報デザインに関する部分を除きますと,おおむね旧課程の科目でもカバーしている共通的な内容ということが言える部分だと思います。
 続きまして大問2,21ページ目からの問題は,いわゆるプログラミングに係る部分です。比例代表選挙の当選者の決定というものについて,プログラムを活用して求めるというような問題になっています。
 25ページ目,26ページ目にありますように,独自のプログラミング言語を用いた問題というのを含め,こうした内容は旧課程の約8割が学んでいる「社会と情報」ではカバーしていないため,出題できないという範囲になります。
 また,27ページ目からの大問3は,サッカーの大会における試合のデータを基に考察する問題です。このデータ活用の問題は,新「情報Ⅰ」の大きな特徴の1つとなっている部分ですが,旧課程の「社会と情報」,「情報の科学」ではカバーしていない,出題できないということになります。
 こうした点をまとめますと,33ページ目にざっくりとした対照表をまとめさせていただきました。
 このサンプル問題のうち,旧課程の「社会と情報」でカバーできると言えるのはおおむね3分の1弱程度という形になります。これまでの学習指導要領改訂の際には,一般的な経過措置としまして,各大学で個別選抜で行われる場合にも,新課程と旧課程で共通する部分で出題しますということがよく行われていたかと思います。
 ここで御覧いただきましたとおり,新課程と旧課程で共通する範囲というのがおおむね3分の1弱しかないというところが,一つ今回,この「情報」に関する経過措置を考える際に,今までと同じ対応が難しいということになります。
 こうした,前例のない形のものになりますので,センターの大学入学共通テスト企画委員会で検討するに当たりましては,作るとしたら経過措置はどういう形になるか,作らない場合にはどういう対応になるかという,言わば両論併記という形で御意見をいただいております。
 センターの大学入学共通テスト企画委員会で御意見をいただくと同時に,並行しまして関係団体の意見照会というものもさせていただきました。
 いただいた御意見を当方において便宜的に整理させていただいたものが,65ページ目の資料3-7になります。団体からいただきました意見をこちらで便宜的に整理をしておりますので,もしかしますと各団体の御意見を適切に表せていないという部分があるかもしれません。ぜひ,ここのニュアンスはこういうことだよということがありましたら,御意見をいただけたらと思います。
 こちらの表にまとめましたように,A案についてもB案についても多岐にわたる御指摘をいただいておりますが,大学入学共通テスト企画委員会で御議論いただくに当たりまして,少し論点を整理させていただきました。
 行ったり来たりで恐縮ですが,11ページ目,資料3-1にお戻りいただければと思います。
 先ほど理事長から,A案・B案の論点に関して少しお話をさせていただきました。各団体からいただいた御意見,A案とする場合,B案とする場合の意見のどちらについても,やはり課題が指摘されています。
 特に団体からの意見で,A案とすることがいいと思うけれども,こういう点が条件となるというような御指摘をいただいております。主に,この条件として意見がついたところが論点となるかなということで,まとめたものがこちらです。
 この論点に関しまして,大学入学共通テスト企画委員会でいただいた御意見を,また行ったり来たりで恐縮ですが,資料の4ページ目と5ページ目にまとめております。こちらに基づきまして,少し議論を紹介させていただければと思います。
 まず1つ目の点としまして,経過措置をつくるということに関しまして,A案に関して,経過措置をつくるという点につきましては,国立大学協会,公立大学協会からは,より多くの大学で令和7年度から『情報Ⅰ』を活用できるようにするという観点から,統一的に経過措置をつくった対応を取るべきであるという形から,A案がいいという御意見をいただきました。
 一方で,全国高等学校長協会からは,令和7年度というこの1年間に関しては,『情報Ⅰ』を課す大学を限定した上で経過措置を設けるべきというような,条件付のA案という御意見をいただいております。同じA案がいいという意見でも,少し前提とするところが違っているということになっています。
 共通テストの科目の使い方につきましては,これまでの実施大綱で示されておりますとおり,各大学がそれぞれの判断に基づいて活用いただくというものでありますので,センターのほうから,『情報Ⅰ』はこういう形で使ってくださいということを申し上げるものではないということになりますので,ぜひ大学側,高校側,それぞれからの御意見をいただければと思います。
 それから2つ目の点としまして,これまで出題されていなかった科目を経過措置として課すことにつきましてです。
 旧課程の一番最後の世代は現在の高校1年生になります。これまで,恐らく入試では課されないという前提で「情報」の科目を履修中,あるいは2年生以上だと履修し終えているという状況かと思います。言わば履修し終わった後に,これを経過措置として受けることになるということを申し上げるということになります。
 経過措置の趣旨としましては,旧課程の受験者に不利益を生じないようにするというのが経過措置をつくる趣旨ですが,言わば現役のときには存在していなかった科目を,浪人すると受けなければならないということが,果たして経過措置の趣旨として適切と言えるのかという点が大きな論点かと考えております。旧課程履修者にとって負担が大き過ぎないかという点について,特に御意見いただければと思っております。
 また,令和4年度からの「情報Ⅰ」履修に向けまして,各都道府県教育委員会では急ピッチで,この情報教育の指導環境や,一人一台端末の整備などを進めておられるというふうに伺っていますが,これまでの情報教育に関しましては,指導体制に地域差や学校差があるという指摘がされてきているところでございます。
 また,共通テストの試験科目でなかったものが経過措置になるとなりますと,当然過去問も問題集もないという状況ですし,また,既卒者が皆予備校等に通うわけでもないということも前提する必要があろうと思われます。
 こうしたことを考えますと,事前に周知する,広報をするというだけではなくて,不満や不安がないよう,あらかじめしっかりと理解を得ることが必要ではないかと考えております。
 大学入試センターとしましては,試験の難易度,内容という以前に,やはり受験生,保護者,社会全般に,この点について理解が得られるかということが,A案とする場合の大きな論点というふうに考えております。
 最も心配していることとしましては,本番が近くなってから批判の声が上がって,受験生が不安になってくるということはぜひ避けたいというふうに考えております。
 また,次の点としまして,新課程と旧課程で内容や難易度が違うというものをどう扱うかという点でございます。
 この点につきましては,大学入学共通テスト企画委員会の中でも事務局から具体的に問題点を御紹介させていただきました。新旧課程間の内容の違いは,先ほど学習指導要領やサンプル問題で御紹介をさせていただきました。内容だけではなくて目指すレベルが違うというところが大きなポイントと考えております。
 また,試験の難易度という点に関しましては,例えば試験の平均点ということで見ますと,試験の問題の難しさだけではなくて,受験者層,受験者の学力水準によっても変わってくるという点がございます。
 理事長からも申し上げましたとおり,今回最も難しい点は,この「情報」に関しましては,これまで出題をしておりませんでしたので,例えば『物理』であればどういう受験者が受けている,『生物』であればどういう受験者が受けているというような,これまでの蓄積による受験者層の予測や学力水準等の予測ができないということがございます。
 さらに,現時点ではどのくらいの大学がこの『情報Ⅰ』を利用するのか,そのためにどれぐらいの受験生が受けるのかというところの予測がではできないということもございます。
 このように,科目の内容やレベルが大きく異なり,各受験者集団の予測ができないという中で,難易度に差ができないように,しかも,ただ出題することが目的ではなくて,やはり『情報Ⅰ』を課す趣旨を損ねないような出題をするということが必要になろうかと思いますが,この点については極めて難しいというふうに,センターとしては考えております。
 また,1年限りの経過措置ではございますが,当事者だけではなく,例えば第三者のテスト理論の専門家などの方から御批判をいただいたときに,しっかり御説明できるような,堪えられる問題でなければ,共通テストそのものへの信頼を失うことも懸念されるところであります。
 こうした点を前提としまして,ぜひ,このA案についての適否を御議論いただければと考えております。
 また,得点調整についてでございます。これまでも,経過措置問題と新課程の問題で得点調整を行ってきたことがございます。ただ,これまでの得点調整は,同等の難易度となるべき科目間の差を比較して調整するということが,得点調整の趣旨でございます。
 このため,例えば地理歴史のA科目・B科目の間,あるいは理科の基礎科目と4単位の科目の間で調整するということは行っておりませんでした。また,統計的には,一定の受験者数がいないと調整できないことも論点となると考えます。得点調整を行うとした場合でも,どのような方向にしたらよいかということはかなり丁寧に慎重な検討をする必要があろうかと考えております。
 こうした点に関しまして,大学入学共通テスト企画委員会で御意見をいただきましたところ,主にテストや統計の専門家である委員からは,内容や難易度に差がないように問題作成することは大変難しいのではないかというような懸念ですとか,また,過去のセンター試験でも実際に,新課程と旧課程の難易度差が,言わば社会問題になったこともあったというような御指摘もいただきました。
 経過措置問題を作成する場合には,こうした課題・論点をクリアする必要がありますが,大学入学共通テスト企画委員会の議論では,結論というところまでは至っていないというような状況でございます。
続きまして,経過措置をつくらない場合の対応という点についてでございます。 
 経過措置をつくらないB案に関しましては,各大学に委ねてばらばらな対応にならないよう,統一的な指針を示すべきという点について御指摘をいただいております。
 また,企画委員会の中での御意見としまして,B案を仮に採る場合には,新旧の課程の受験者間で受験科目が異なることになった場合に,各大学のアドミッション・ポリシーとの関係で妥当と言えるのかどうかという点が課題として挙げられております。
 こうした御指摘もありましたので,例えばどういう指針が考えられるのかということにつきましては,例えばの例を文部科学省のほうで作成していただいていますので,後ほど御紹介いただけたらと思います。
 最後に,センターとしましては,まずは先の大綱の予告で,出題することを決定いただいたこの『情報Ⅰ』を,令和7年度以降,文系・理系を問わず多くの大学・学部で活用しやすくなるように,しっかりとした出題をしていくことがセンターの役割と心得ております。
 大学入学共通テスト企画委員会では様々な御意見がありましたが,令和8年度以降に,『情報Ⅰ』を共通テストの科目として多くの大学が積極的に使っていくことの意義については,基本的には議論はなかったというふうに捉えております。あとは,この切替えに当たる令和7年度の1年間の対応をどうするかというところだけが,問題として残っているということかと考えております。
 初年度から,できれば多くの大学で『情報Ⅰ』が活用されればという期待もございますが,新しい教科を入れるという理念が先行して,それに伴う実務的な課題を先送りするということもできないということかと思います。
 A案・B案ともに様々解決しなければいけない課題はありますが,ぜひ,受験者のことを第一に考えた,慎重な御議論を賜れればと思っております。御審議のほどよろしくお願いします。
【川嶋座長】
  御説明ありがとうございました。ただいま,令和7年度の大学入学共通テストの経過措置について御説明がございました。
 まず,便宜上,2つのパートに分けて意見交換を行いたいと思います。前半の御説明にございましたように,地理歴史,公民,数学は経過措置の問題を作成すると。それから理科の1と2については,必要に応じて選択問題を出題する案ということで,大学入試センターの大学入学共通テスト企画委員会ではそのような案が決まったという御説明でございました。
 この地理歴史,公民,数学及び理科の経過措置に関するセンターの考え方について,御意見ございましたら御発言をお願いしたいと思います。
 石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】
 お願いいたします。数学②の経過措置問題についてお伺いしたいのですが,先ほど新しい数学②のほうは,項目が増えるから10分増やして70分にするという御説明があったところなのですが,この経過措置問題については,項目が増えないので60分でやるという理解でよろしいのでしょうか。
 その場合に,経過措置問題と新しい教育課程の問題との間の公平性ですとか,内容や難易度について,受験生にどのように御説明されるのかというところをお伺いさせていただければと思います。
【川嶋座長】
 いかがでしょうか。経過措置受験者等の試験時間のことなのですが。
 お願いします。
【小野部長】
 センターからお答えします。石崎先生御指摘の点につきましては,おっしゃるとおり,新課程においては70分の時間増ということをした場合の扱いなのですが,この経過措置を行った場合の全体の試験の運営のこと等を考えますと,この年の経過措置で数学②を受ける受験者に関しましては,イレギュラーな対応にはなってしまいますが,新課程と同様の時間,70分で旧課程の受験者も受験するという形を考えております。
 これは,『数学Ⅱ・数学B』だけではなく,『情報関係基礎』などの旧課程にしかない科目についても同様でございます。
 これはぜひ,また御意見をいただければと思いますが,確かに新旧での比較は難しいところではありますが,そもそも『情報関係基礎』や『簿記・会計』については新課程にないという中でも,あえてそういった科目で受験しないと共通テストの受験が難しいという,例えば職業系専門学科の受験者もいると聞いております。
 そういった観点から,こういった経過措置を設けさせていただきたいと思いますが,その点も含めて,また御意見をいただければ幸いです。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。今のセンター,小野部長からの御説明について,何かございますか。基本的には同じ時間にしたいということです。よろしいですか。
 柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 福岡県立大学の柴田でございます。地理歴史,公民の経過措置についてちょっと確かめておきたいのですが,科目構成や選択方法が,新しいものでは異なっております。これ,アラカルトといいますか,そういう具合での選択になるのか,それとも問題の選択の仕方も旧課程,新課程で全く変えるのかというところは,少しはっきりしておかないと混乱が起こるのではないかなという気がしますが,いかがでございましょうか。
 以上です。
【川嶋座長】
 具体的な方法については追って公表するというふうに括弧書きがされていますけれど,現時点で何かございましたら,小野部長,よろしくお願いします。
【小野部長】
 柴田先生,ありがとうございます。地理歴史,公民につきましては,新課程,旧課程でも,科目ごと丸ごと旧課程と新課程で違う形になるということを考えております。
 具体的な立てつけ等は,またこれから詰めていかなければいけないところではございますが,いずれにしましても,新課程の受験者,旧課程の受験者が解答するときに戸惑うことがないように,試作問題を公表させていただくときには,できればより本番に近い形での冊子の形態や,できれば解答の形式ということも併せてお示しして,新旧受験生の皆さんが混乱なく受けられるように配慮していきたいと考えております。
【柴田委員】
 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【川嶋座長】
  試験のマネジメントでいくと,同じ冊子の中に新課程用と旧課程用ということになるんですか。それとも――まあそうですね,別々に配布するとかえって混乱しますよね。
【小野部長】
 冊子の形も,具体にはまだ詰めなければいけないところはありますが,基本的には旧課程の科目と新課程の科目を混ぜて受けるということがないように,旧課程を選んだ受験生は全て旧課程の科目から選ぶようにという形で,冊子等も完全に分けた形でということを基本に考えています。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 「情報」について話してもよろしいですか。
【川嶋座長】
 「情報」については後ほどまとめて。
【岡委員】
 それでは,後ほど発言させていただきます。
【川嶋座長】
 地理歴史,公民,数学,理科の経過措置について,そのほか御意見,御質問ございますでしょうか。
 特にないようであれば,センターでの御提案ということで,情報Ⅰ以外の経過措置の対応については,今幾つか御質問ございましたけれども,センター提案について特に御異議はなかったと思いますので,事務局におかれましては,各委員等から出た意見を踏まえて,令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告の補遺の案文の検討を進めていただければと思います。
 沖先生。
【沖座長代理】
 すみません,質問というよりはお願いですが,先ほどの御質問,あるいは御回答の中にあったとおり,特にこの地歴の問題については,問題冊子の分厚さが並大抵ではないということから,ロジスティックといいますか,試験会場で本当にトラブルが起こる。受験生側が選ぶ,選ばないという問題と,配付に当たってのトラブルが起こる,起こらないという問題が非常に難しい問題になりそうですので,その点も含めて,ぜひ慎重に御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。今後センターで,トラブルが起きないように,問題冊子の在り方や解答用紙の配付等については御検討いただけると思います。
 沖先生の今の御意見も踏まえて,事務局におかれましては,令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告の補遺の案文の検討を進めていただければと思います。
 続きまして,大学入試センターの共通テスト企画委員会でも結論は出なく,両論いろいろ御意見があったという情報Ⅰの経過措置について,事務局で論点と対応を用意していただいておりますので,まず事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。
【前田大学入試室長】
 資料3-8,通し番号で申し上げますと66ページでございます。情報Ⅰに関する旧教育課程履修者への経過措置についてと題する資料で,今,画面共有させていただいております。
 こちらは事務局で御用意させていただいた資料でございますが,まず,対応案の前に,これまで議論をいただいたことの前提というものをつけさせていただいております。
 1つが,高等学校では来年度から情報Ⅰが必履修科目となる。そして大学では,学生がデータを基に事象を適切に捉え,分析・説明できる力の修得に向けた取組を着手しているということでございます。
 こうした背景の下,大学入学選抜においても能力を評価・判定できるように,令和7年度の共通テストから情報Ⅰを出題するということは,7月30日,この選抜協議会においても御決定いただいているところでございます。
 また,本日の議論にもございましたように,情報Ⅰの試験時間については,大学がそれを活用しやすいように,単独の試験時間の設定を想定しているということでございます。
 その上で,論点としましては,情報Ⅰに対応していない現行の「社会と情報」「情報の科学」を学んだ旧教育課程履修者への配慮をどうするかということでございます。
 対応案を2つお示ししてございまして,大学入試センターのほうから御説明がございましたように,まず,経過措置問題を作成する場合でございますが,1つ目の黒丸,「社会と情報」「情報の科学」と新教育課程履修者が履修する情報Ⅰには内容に大きな差があり,難易度の調整が可能か検討が必要。もう1点が,旧教育課程履修者は,情報に関する科目を浪人すると試験として課されることについて,十分な説明ができるか検討が必要ということでございます。
 それから,経過措置問題を作成しない場合でございますが,幾つかの団体様のほうから,情報Ⅰを利用する大学が新旧の教育課程履修者の共通テストの成績をどう扱うか,統一的な指針を示したほうがよいという御意見がございましたので,議論に資するように,以下のような指針の例について,事務局のほうで4つ考えてみたものでございます。これは例示でございますので,これで行くという場合には選抜協議会の合意が必要なものとしての位置づけでございます。
 ①から④でございますが,①から③は,共通点は新旧の履修者の科目を同じにするという案でございまして,④番は新旧の履修者の得点を換算して同じにするという案でございます。
 ①番を御覧いただきますと,新課程履修者は情報Ⅰを受けると。受けはするのですが,情報Ⅰと,当該大学が指定する他の科目のいずれか点数の高いものを合否判定に用いて,旧課程履修者と科目数を同じに合わせるという案でございます。例えば情報Ⅰと数学の1科目のいずれか高得点のほうを合否判定に用いる。
 ②番といたしまして,新課程履修者には情報Ⅰを課して,今度は旧課程履修者が新課程履修者に合わせるという形を取って,当該大学が指定する他の教科の1科目を加えて,旧課程履修者と新課程履修者の科目数を同数にするという案でございまして,例えばといたしまして,旧課程研修者が理系の方であれば地理公民,または文系の方であれば理科の科目をもう1科目,浪人になると課すという案でございます。もちろん,浪人してから自分で学習して情報Ⅰを選択することを妨げるものではないという案でございます。
 それから③番は,情報Ⅰを含めて当該大学が指定する科目から受験する科目を選択するということでございますので,情報Ⅰも含めた選択でございますから,情報Ⅰを必ず取るかどうかというのはアラカルトというような示し方でございます。例としましては,情報Ⅰと数学2科目の3科目の中から2科目を選択して解かせるというものでございます。
 最後に④番でございますが,これは新課程履修者には情報Ⅰを課して,旧課程履修者の得点,受験科目が少ないものですから,得点を比較できるように換算するという案でございまして,教科,例えば数学の1科目の得点を100から200点に換算する。あるいは総得点900点の旧課程履修者の点数を,新課程履修者に合わせるために1,000点に換算するといった案でございます。
 こちらはあくまで例示でございますので,御議論いただきたいと思いますし,また,ほかにもいい案があればお示しいただければと思いますし,それから,経過措置問題を作成する場合についても御議論いただければと思います。
 事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。情報Ⅰの経過措置につきましては,本日は委員の方々から様々な御意見をまずお聞きしたいと思いますが,その前提としては,事務局のほうから御説明ありましたように,本選抜協議会としては,既に令和7年の共通テストにおいて情報Ⅰを出題するということは決定済みでございます。また,それに基づき,既に大学・高等学校等へも周知しておりますので,このことを前提とした上で,どのような形での経過措置が適当であるかという観点から意見交換を進めてまいりたいと思います。
 それでは,意見,御質問等ありましたら御発言願いたいと思いますが,先ほど岡委員のほうから意見を申したいという御発言がございましたので,まず岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 大変恐縮です。国大協としての意見を申し上げます。
 そこに既に回答しているところですが,いわゆる受験生,それから保護者,それから社会という,どういう形態か分からないのですがマスコミを含めて社会というのがありまして,いろいろなステークホルダーがこの試験について注目をしていて,先ほどありましたように,前回のようなことがないように,理解を十分求めて進めていくということが重要なことは,言うまでもないと思っております。
 それで国大協としては,やはり,先ほどなかなか作問が難しいとおっしゃいましたけれど,A案として,新課程の新たに卒業する者については情報Ⅰを,そして旧課程の者には以前学んだ中から問題を作っていただきたいと思います。
 先ほど例示を見せられましたが,いろいろ工夫をしていただいて,できるだけあるレベルに近づけていただいて,そして実際にこのレベルを,同じものはなかなか難しいのだけれど,できるだけ努力をしたのだけれど,その中で得点調整をするということを明示すれば,B案のような混乱するような状況ではなくて,理解が得られるのではないかということで,ぜひともA案がよろしいのではないかという結論を出したわけでございます。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 確認ですが,先ほどの試作問題は情報Ⅰですよね。新課程向けの。
【小野部長】
 はい。新課程の情報Ⅰをベースに作ったものに対して,旧課程を対象としていたということになります。
【川嶋座長】
 分かりました。
 柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。確かに,各委員会等々で御議論になられましたように,経過措置問題を作るというのが非常に困難だというのは重々承知しておりますが,作らなかった場合のB案というのが,いかにも,もうちょっと知恵を出さないと,これだと情報Ⅰを選択にするというのとそれほど変わらないような気がいたしまして,せっかく情報化時代でこういう教科が出題されるという状況になったときに,これで継続的に,初めの年度だけこれで行くということで通用するのかなという気がしましたので,A案の,なかなか難易度調整が難しいというところを,やはり先ほど国大協の方がおっしゃったように,ステークホルダーさんにどういう具合に理解していただけるかというところを,やっぱり我々は考えておかなきゃいけない点であろうと思っております。
 当然ながら範囲が違いますので,難易度の違いがあるではないかと言われたらなかなか苦しいところなのですが,考え方の1つとして,今までも既に,例えば地歴,公民とか,大きな教科の中からいろいろな問題を選択して取っていただいているわけですよね。その中の平均点などを見ますと,かなり差が生じているわけでございます。
 だから今回も,時系列として旧課程・新課程でありますが,広い意味で「情報」という教科という具合に見なして,その中での科目が,範囲が違っているというようなみなしで,できるだけ不公平が生じないような作題をお願いするということで,「情報」の受験を促進する,推進するため御努力いただけないかなという具合に考える次第でございます。
 まとまりのない話ですが,お願いしたい点でございます。以上です。
【川嶋座長】
 A案でお願いしたいと。B案についてはもうちょっと知恵を出せと。
【柴田委員】
 B案では逆に,新課程受験生と旧課程受験生で別の不平等といいますか,そういうことが生じかねないのではないかと。これも社会的にいろいろ突かれたときにはなかなか説明が難しいのではないかなという気がいたします。
【川嶋座長】
 センターで精いっぱい,経過措置問題を旧課程履修者にも作って,それをきちんと社会に説明したらどうかという御意見ですかね。
 では杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 全高長のほうの意見を述べさせていただきます。「情報」の経過措置については,センターからの照会を受けて,都道府県の協会長窓口に意見聴取をしました。
 他の団体の意見にも書かれておりますが,A案・B案いずれの案についても一長一短があり,難しい選択ではありましたが,全高長としては,新旧の教育課程履修者の受験科目数が一致しなければ双方の公平性が保てないという理由から,A案を原案とし,さらに「情報」を課す必要性が特に高い大学に限定するという条件を付した上で賛否を採りました。
 結果としては,賛成あるいはやむを得ないという回答が8割以上ありましたが,その中には,そもそも「情報」を大学の共通テストに追加することには反対だという意見も根強くありました。積極的な賛成,同意ではないということが,そういった意見として添えられていました。
 これは文科省の調査,「高等学校情報科担当教員に関する現状について」という資料を前回提示していただきましたが,この情報科を担当する教員の中で,臨時免許状,免許外教科担当の割合が半数を超えている県が8つあり,また,専任教員の配置が進んでいない地域が少なくないという現状を反映した回答だと,我々は理解しています。
 この点については,文科省には,情報教育の現状を打開するために,新学習指導要領の円滑な実施に向けたさらなる実施体制の充実を支援していただくとともに,取組が遅れている都道府県・指定都市への個別継続的な相談・働きかけを強く実施していただきたいと思います。
 繰り返しになりますが,新教科の導入はこれまでに前例がなく,新旧の教育課程履修者が混在する導入初年度においては,旧課程への影響を最小限にとどめるために,「情報」を課す大学を真にその教科の学習が必要な大学のみとしていただき,初年度から一律一斉に導入するのではなく,段階的な導入を強く希望いたします。やはり浪人生の8万から10万という数が全て受験するとなると,なかなか厳しいものがあるかなと考えます。
 なお,資料66ページにあります,経過措置問題を作成しない場合の4つの指針例がありますが,これはいずれの場合についても,新旧の履修者双方の公平性・公正性という点では,やはりまだ課題があると思います。
 今さらですが,「情報」の導入を1年間先送りすることが最も影響が少ないというふうには個人的には思いますが,全高長としては前半の部分が意見としてあります。
 以上です。
【川嶋座長】
 確認ですが,A案・B案という点ではどちらを採られるという。
【杉本委員】
 基本的にはA案を考えておりますが,国大協の意見に加えて,受験する浪人生並びに現役生の数を限定的に絞ってほしいというのが全高長の意見です。
【川嶋座長】
 分かりました。ありがとうございます。最後のほうで,情報Ⅰを出題というのは1年延ばしたらという御意見でしたが,出題することは既に先ほど事務局からも御説明がありましたが,私からも繰り返し御説明したように決まっておりますので,それを大学がどのように使うかということで,公平性・公正性という観点から,A案・B案というのをセンターでいろいろ御議論していただいて,ここでも御意見を伺っているということになります。
 高田委員,どうぞ。
【高田委員】
 ありがとうございます。埼玉県の教育長の高田でございます。教育委員会連合会を代表してこの会議に参加をさせていただいていますが,連合会としてもA案・B案,非常に難しい問題でありまして,どちらがいいかということの結論が出ないまま,両案についてのコメントをさせていただいているという状況にございます。
 事務局でお作りいただいた65ページの資料のまとめのところにもありますが,私はやはり入試というのは受験生にとって公平性が確保されているということと,それから分かりやすいということ,あとは負担の問題ということがあるかと思いますが,今お示しいただいた資料の,A案のほうのポツの2つ目ですが,やはり同じ科目を受験するということになって,現役生と浪人生が外形的には同じ枠組みの中で受験が迎えられると。もちろん旧課程の受験生,浪人生にとっては,これまで受験に使われるということを意識しながら勉強はしてこなかったわけですが,しかし,入試という土俵の上では同じ枠組みの中で受験を迎えられるということでは,外形的にも公平性が確保されるし,分かりやすいということがあるかと思います。
 それから大学にとっても,同じ科目を受けてもらえるということですので,この「情報」の科目の扱いについて,大学そのもので悩む必要がないと。大学にとっても非常に分かりやすいのではないかと思っています。
 それから高校側にとっては,指導のしやすさということも非常に大事な点でありまして,B案としたときに,大学がどういう配慮をしてくれるのかということが大学によってまちまちだということになりますと,非常に浪人生に対する指導がやりにくくなるのではないかと思っています。
 ただ,他方で,受験生の負担ということを考えますと,先ほど私も申し上げましたとおり,これまで受験に課されるということを意識しないまま勉強してきた「情報」が受験科目になるということでは,新たな負担がそこで生じますので,浪人生の負担ということで考えれば,B案で何らかの配慮はされた上で,自分たちは受験をしなくても済むということも一定の考え方はあるのかなと思っております。
 なかなかどちらがいいという考え方に統一できずに,両論併記するような形での意見ということにさせていただきましたが,私個人的に申し上げますと,やはり問題を作っていただいて,内容・目標に差があって問題を作るのは非常に困難だということはよく分かりますが,得点調整をするなどの工夫をしていただいた上で,同じ枠組みの中で受験をさせるということが分かりやすいのではないかと思っております。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。個人的にはA案でお願いしたいと。
 石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】
 石崎でございます。先ほど杉本委員のほうから話があったとおり,全高長としては同じ意見なのでございますが,特に強調しておきたいところが,経過措置問題を作るので,みんな受ければよいではないかという話ではないということです。
 と申しますのは,実際に受験するのは今の高校1年生になるわけです。過年度生として,既卒生として受験するのは今の高校1年生になるわけなのですが,既に高校1年生の学習というのは4月からスタートしていまして,7月になってから「情報」が科目に入るということが正式に決まったわけですが,もう4月の段階から,ある意味,「情報Ⅰ」が受験科目として意識されないまま授業がスタートしてここまでに至っているわけです。
 そういう意味では,真に必要なところにとどめていただきたいというのはそういうニュアンスを含んでおりまして,本当に真に必要なところは『情報Ⅰ』をやるのはしようがないのですが,経過措置問題はやはり使うのは最小限にとどめていきたいというのは,そういう背景があって,既に学習がスタートしている中で決まったことだというところにあるというところを,ぜひ御理解いただければと思います。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。経過措置問題を作成しても,課す大学はできるだけ少なくしてほしいという御意見ですね。
 ほかの委員の方,御意見ございませんでしょうか。
 今岡委員,どうぞ。
【今岡委員】
 奈良女子大学の今岡といいます。私は国大協のほうから出ておりますが,先ほど全高長のほうから現場の話を聞いて,なるほどと思ったところもあります。一方で,これは非常に判断が難しいところですが,配布資料の通し番号40ページのところに,CSTIが決定した4 AI戦略2019のポチの2つ目を見てください。文系・理系等の学部,学問分野を問わず入試に採用していきなさいと書いてあります。
 大学側からすると,卒業において文系・理系関係なく初級レベルの認定というのを目指して,いろいろな大学がリテラシーレベルとかプラスレベルというのを提案しております。情報として,あるレベルの人がどんどん出ていって,やはり大学を卒業している人というのは,情報に関しては議論ができる人ですよねというところまで持っていかないと,強い言葉で言うと日本がもたないという危機感から来ているのではと思います。
 そういう意味では,大学も努力して情報発信をしたり,このレベルをどういうふうに考えるかというところの調整もしたり,あるいはネットで勉強できる環境とかレベル問題というところも考えていかなきゃいけないのですが,そこで国の全体の動きとして,こういう形で人材育成をするのだというところから説得していくというのが,一つの王道といいますか,やり方なのかなと思います。
 ただ,全体に理解を得なきゃいけないので,ほら,やっていくぞ,ということじゃなくて,そういう情報技術が必須の世界になっているということを,高校と一緒に伝えていくというのが大事なのではないかと思います。
 A案・B案という意味では,私もA案という形で,すっきりさせて,自分が勉強したことに対して,やはりしっかりと入試でフォローするというところを説得するのが良いかと思います。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。令和7年についてはA案で,情報というのはこれも重要な資質能力なので,できるだけ多くの大学で課すようにしていくべきだ,そのためには関係者に理解を得るように努力をしなきゃいけないというふうに承りました。
 杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 誤解のないように一点だけお話をさせてください。今岡先生の今のお話については,全高長としても全く理解しています。同様の考えでいます。
 ただし,令和7年度についてはということで,限定をかけてお話をさせていただいております。
 また,高校の側としましても,GIGAスクール構想も小中でスタートしていることを十分理解しております。来年度からは1人1台というパソコンも高校で順次導入されていきますので,こういう情報教育をやっていかなくちゃいけないということは十分理解しておりますし,小中学校でプログラミングを学んできている生徒が入ってくるということも十分分かっています。
 ただし,この1年間だけはというふうなつもりでお話をしていますので,その点も十分御理解ください。よろしくお願いします。
【今岡委員】
 了解しております。ありがとうございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。ほかに御意見ございませんか。
 今のところはA案に賛成の委員の方が多いようでございますが,委員の方々の御意見,A案,B案,あるいは何かウルトラCのC案というのがあれば御提案いただきたいのですが,いかがでしょうか。
 山本センター理事長,どうぞ。
【山本委員】
 今までのところで出た意見について,ちょっとお伺いを。とりわけ高校サイドの先生方,高田先生,それから杉本先生,石崎先生から御発言がありまして,公平性ということについては,これは十分理解しているつもりですが,公平性といっても非常にいろいろな見方の公平性があろうかと思うんです。ただ外形的に同じ科目を受ければ,それが一番いいんじゃないかという御意見もありました。
 それからもう1つは,これは石崎先生がおっしゃったことですが,過年度生として,令和7年度共通テストを受験する人は,今の1年生がほとんどなわけです。そういうことになると,もともと受験にないと言っていた,試験を受けるという前提で今勉強をしていない。それから,随分内容も違うし,レベルも違うものしか勉強していない。そうしますと,実際に受けるときには,経過措置問題を仮に作ったとしても,どういう勉強をしたらいいのか分からない。過去問もないわけです。
 そういう中で,高校生に対して事前に十分な説明が必要,あるいは広報が必要というふうにもおっしゃっていただいていますが,広報できるのでしょうかということ,そういったことを納得していただけるような説明の仕方ができるのかなということが1点と,それからもう1つは,外形的な科目数が同じであれば公平性がある程度保たれるという点です。ほかの公平性についてももろもろありますよね。
 そういったことについては,外形的な公平性が保たれるのが一番社会に対して、社会というよりも受験生に対してですね,それは説明できるのかどうかという,その辺についてはいかがでしょうか。取りあえず高校の先生方お三方から今,御発言がありましたので,ちょっとお伺いしたいなと思いました。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。まず,きちんと理解を得るということについて,具体的には今の高校1年生が該当するわけですが,これについて,理解を得る方法等があるかどうかということで問いかけでしたけれども,杉本委員,石崎委員,長塚委員,いかがでしょうか。
 杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 浪人生に対して説明ができるかと言われると,やはり8万なり10万を対象とした浪人生が受ける,その浪人生に対して全てに納得性が得られるかというと,それはやっぱり得られないと思います。
 しかしながら,「情報」が必要な学部・学科について,ここが必要だから受けてほしいということについては,ある程度納得した上での受験はできると思います。
 そういった意味で,受験する対象を絞り込んでいただきたいというふうに,意見として申し上げました。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。
 引き続き石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】
 基本的には杉本委員と同じ意見でございます。広報に関して御発言があったのですが,だからこそ,経過措置問題についてもサンプル問題を示してほしいというのが一つの提案でございます。
 それから,やっぱり科目数が違うというのは一番,何というか不公平だなと感じる第一歩じゃないかなと思うので,科目数をそろえた上で,中身はこうなんだけれども,本当に必要なところだけは受けてほしいという言い方しかないのかなと思います。
 先ほど数学の話をしましたが,数学も実は内容が1項目増えていて,じゃあそれも公平なのかと言えば,それもある意味外形的な公平性はどうなのかということになると思うのですが,そういった全体の統一性も踏まえながら検討していけばいいのかな,説明していけばいいのかなと考えます。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 長塚委員,どうぞ。
【長塚委員】
 私立中高連の長塚です。中高連としては,事前の照会に当たって,私学はいろいろな考え方があるだろうということで,なかなか取りまとめにも至っていなかったのですが,そもそもこの情報Ⅰを出題するということが決まった時点で,情報Ⅰを出すということになれば当然,経過措置のような問題を作成するというのはある意味自然なことで,当然なことだというふうには受け止めていたわけです。
 しかし,よくよく考えると,この経過措置問題そのものを含めて,今,センターの理事長さんからもあったように,高校生,今の高1生は,そういうつもりでまだ学んでいないよという段階だと思うんです。
 高1生ですから,まだ修正可能な時間があると言えなくもないのですが,情報Ⅰという問題を基準に考えたときに,その落差が相当あるということについては,3年前に予告するという入試の仕組み全体のこと,それは大学側に対しても,高校の教育する側に対してもですが,何といっても高校生,志願者本人に対して早く予告するということが必要なので,その学習がスタートする前に予告されているべきであったということだと思うんです。
 仮に経過措置の問題を出すといっても,そのサンプル問題のようなものまで作成していくのか,なかなか大変なことだと思っています。
 一方で,新課程で学んでいく来年からの高1生ですが,その生徒からすれば,逆に旧課程の経過措置の問題はレベルが易しいぞということになれば,そちらのほうが有利だな,なんていうことも言えなくはないわけですよね。
 そういう,いずれにしても公平・公正感というのはなかなか難しいなと感じています。
 私は,団体としてというよりも個人的には,どちらかといえば私大連でしたかね,そこから出されているようなB案のほうが,むしろこの制度の仕組み上は,事前に予告して学習していくというプロセスからすれば,ある意味当然のことじゃないかなと。
 これまで起こった,直前にひっくり返ってしまうようなことになりはしないか,公平・公正じゃないというような意見が何よりも志願者から出たときに,どこまで我々が責任を持ってそれを納得させられるかについては,あまり自信が持てないなという気がしております。
 経過措置を含めて,各大学が実際に用いるのかどうか,そこにかかってくるとは思うのですが,これは各大学が早めに出せるのかどうかも含めてなかなか難しい問題で,出せない,いつまでも迷っているようなことであるならば,さらに受験生は混乱してしまうということを申し添えておきたいと思います。
 ちなみに,旧課程でやっている今の高1生の学習の内容というのは,現場ではコンピューターベースで,そして,多くは基礎的な使い方の学習をしているというのが現段階だと思うんです。新課程のほうはさらにプログラミングとかが入ってくるということで,相当違ってくるとは言えますが,ペーパーベースの共通テストで行うという限定の試験として,今の高1生が学んでいるものは相当違うもののように,私は感じてしまうところでございます。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 続きまして高田委員,どうぞ。
【高田委員】
 ありがとうございます。センターの山本理事長さんが御心配のことはそのとおりだと思いますが,今まで受験に課されるということを前提としないで既に勉強が始まっているということからすれば,導入した途端に科目を受験しなくちゃならないよと言われることの混乱というのは当然あるだろうと思います。
 ただ,その一方で,事務局でまとめていただいた66ページの,経過措置問題を作成しない場合の①から④などがありますが,例えば②のように,旧課程の履修者には地歴,公民または理科の科目をもう1科目多く課すということのほうがより公平に見えるのかどうかという,そこの納得性の問題,どちらが納得性が高いのかということを考えざるを得ないのではないかなと思います。
 どちらを取っても受験生にとっては負担であることには変わりがないのですが,ただ,過年度卒については旧過程の「情報」について課されるので勉強をしっかりしなさいよということのほうが,理科や社会をもう1科目余計に受けなさいよというよりは納得性が高いのではないかというふうに,個人的には思います。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは圓月委員,どうぞ。
【圓月委員】
 圓月です。私立大学連盟のほうのいろいろな意見などを少し言わせていただきたいと思います。
 高校側の先生方の委員の御意見を聞いていて,十分に指導の問題,また現状の問題等もよく理解できます。あえて大学のほうから申しますと,やはり大学の入試科目に採用するということは,アドミッション・ポリシーとの整合性のある入試を実現するという目的がございます。すなわち,各大学・学部等が求めている学力というものを明示し,それに基づいた科目を設定するという基本がございます。
 今回,A案の場合,難易度が調整できるかと書かれています。難易度は専門家の方はいろいろな形である程度調整なさるのだと思うのですが,目標や内容の違い自体を調整することが可能なのかどうか。それについては,大学側としては,入試科目として採用するときに少し考えたい問題だなとは思っています。
 それともう1つ,いろいろな御意見を聞いていて,この経過措置というのが1年限りということになるのか,それとも,限定付のいろいろな条件の下で今後も行うのか,よく理解できませんでした。今回この経過措置を決めたとき,それが前例になって1年2年と続いていくのかどうかという点も確認しておかないと,議論がいろいろなところで少しぶれるんじゃないかなと思いながら拝聴していました。
 私立大学連盟としては本当にいろいろな御意見がありまして,A案・B案どちらも一長一短があるということ,そして高校の事情も非常によく分かるということを踏まえた上で,少し意見を述べさせていただきました。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。今,圓月委員から御質問のあった経過措置の期間について,センターのほうから何かお答えがあればお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。
【山本委員】
 山本です。これは,これまでも学習指導要領の変更があった該当のセンター試験時代,直近では平成27年度試験ですが,その前も含めて,これまで経過措置問題を作ってきましたが,これは1年限りの話です。
 そうすると2浪すると駄目じゃないかとか,3浪すると駄目じゃないかという話になりますが,これまでもやってきたとおり,今回も,仮に経過措置問題を作らなければならないということがこの協議会で決まれば,1年限りでそういった経過措置があるということになろうかと思います。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 ありがとうございます。島田です。私はセンターの御説明を聞いている限り,大方の納得が得られるような経過措置問題というのができる可能性というのは非常に低いんじゃないかと感じる次第です。
 それでもやはり経過措置問題を作るということであれば,高校さんから御意見があったように,令和7年度は一律に課すのではなくて,アドミッション・ポリシーに即してどうしても必要だという試験実施単位が,それに限って『情報Ⅰ』を課すということをどこかに書いておけるといいのではないかと考える次第です。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 安井委員,どうぞ。
【安井委員】
 恐れ入ります。私は私立大学協会から出ているのですが,協会の中でもいろいろ,A案・B案,意見が出ておりました。
 一番重要なのは,ステークホルダーに対して影響があるのはやっぱり受験生の声ということだと思うのですが,A案とB案を比べてみると,どっちがクレームをつけやすいかといえば,やっぱり習っていないものを出されたというA案のほうが,やはり受験してみたら大分難易度が違うとか,あるいは全く違うところが出てきたというような意見が多く出ると,今後の「情報」という試験全体に大きな汚点を残す可能性がなきにしもあらずという声が結構ございました。
 経過措置問題を作成しない場合にあっては,これまでに自分たちが習った科目について,例えば③のように,『情報Ⅰ』を含めて,この『情報Ⅰ』とほかの科目を選択してということであれば,勉強してきた科目の中から選択ができるという観点からいくと,そこにクレームといいますか,問題提起をすることのリスクというのは低くなるのではないかというようなこと,アラカルトではありますが,そういう意見もあったと思います。
 大学といたしましても,やはり「情報」と言ってもそれぞれの大学の中で,情報の領域でどういう領域の知識を持っている人が必要なのかといった観点を含めていくと,これからどのように情報Ⅰのテストを利用するかというのは,私立大学としては個々に考えていくところではありますが,高等学校での「情報」の学習ということについてもいろいろ差がある,教員も含めて問題点があるという御指摘もございますので,1年間の中で,何が一番社会的に問題が大きくならないかということを考えると,無理やり経過措置の問題を作成するというよりは,今まで勉強してきた中の科目が,科目数を合わせるのにどうしても必要だよといった方向性のほうがベターではないかということで,私立大学協会としては一応B案を選択しているということでございます。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。ほかの委員の方々,御意見は。
 非常に難しい問題で,センターの役員会でも結論が出なかったという問題ですので,今日のところでA案・B案,あるいはC案ということは出ないと思いますので,今日のところはいろいろ御意見を伺いたいと思いますが,ほかの委員の方々,特に今日,御発言しておきたいことはございますでしょうか。
 大林委員,どうぞ。
【大林委員】
 なかなか難しい問題だと思います。私のほうは高校ではあるのですが,産振中央会のほうの母体で出ているので,今日はちょっと,話すと個人的な話になりますので意見を差し控えていました。
 これは質問なのですが,いつまでにこれを決めなきゃいけないのかなという,リミットを教えていただきたい。どこかでA案またはB案に絞らなきゃいけないのですが,もうどっちに決めてもかなり厳しい状況だと思います。なるべくいろいろな条件を出して,その中でリスクが低いほうを選ぶしかないのかなというふうに思ったものですから,教えてください。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。それでは事務局から御説明願えますか。
【前田大学入試室長】
 今日の選抜協議会と,それから来週また月曜日に予定させていただいておりますが,可能であれば,もちろん2回でまとまればと思っております。
 ただ,今,先生から御指摘ありましたように,もしまとまらない場合ということでございますが,予告をしておりますので,補遺という形で受験生や高校,大学になるべく早くお示しする必要がございます。
 ですので,年内には何かしらの結論を得ておきたいというのが事務局としてのスケジュール感でございます。
 ただ,まとまれば,来週月曜日ということであれば一番いいかなというふうに思っております。
 以上です。
【川嶋座長】
 よろしいでしょうか。今の議論をお聞きしていると,拙速は避けるべきかと思いますが,受験生に対しての情報提供という点でいえば,そんなには時間はないのかなということだろうと思います。
事務局としては,遅くとも年内までには補遺として公表したいということでございます。
 岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 B案について議論をしたところは,やはり全大学でできるだけ差がない,受験機会が失われないということは大前提ですので,そうすると大学によって随分いろいろ変わってくると,それで良いのかという話が非常に強いです。
 我々としては,大学ごとに決めていくというやり方,それから,もちろん文科省がルールを決められて,そこでやれと言われればそれでいいのかもしれませんが,アドミッション・ポリシーとかいろいろ話が出ていますが,それを考えると,B案というのはとても受験機会を均等に与えるということにはならないというふうに私たちは考えているところを,少し述べさせていただきました。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 センターのほう,何か今日の御議論をお聞きになって,御発言ございますでしょうか。
【山本委員】
 先ほど説明いたしました小野部長のほうから,何点かお聞きしたいことがあるようです。
【川嶋座長】
 分かりました。お願いします。
【小野部長】
 すみません。センターの小野でございます。また次回も御検討をいただくに当たりまして,少し先生方のお考えを教えていただきたい点が幾つかございます。
 1点は,そもそもこの経過措置というものの趣旨としまして,浪人した場合に,現役のときと基本的には同じ形で受けられるようにするというのがこれまでの経過措置の在り方でございました。形式的に新課程と旧課程でできるだけ同じほうがいいということはございますが,それだと浪人生,旧課程のほうが不利益になるということに対応するものが,基本的に経過措置ということでございます。
 この考え方が今回大きく変わってしまっていいのかどうか。今までと違う形になるということについて御意見をまた教えていただければというのが1点でございます。
 2点目は,A案に関する課題について,センターで何とか頑張れないかという御指摘をいただきました。
 我々もいろいろ考えましたが,なかなか知恵が及ばずというところもありますので,ぜひ,こうすれば問題が解決できるのではないかという具体の御提案をいただいて,また我々も検討させていただきたいと思います。
 仮にですが,例えばさきに見ていただきましたサンプル問題でいうと,大問1の知識を問う問題だけで作れば,両方とも共通な内容にできるという考え方ができるかと思いますが,その場合,本当に『情報Ⅰ』を課すという趣旨に合うのかどうかというところとのトレードオフになってくるかと思います。
 ぜひ,我々も大学入学共通テスト企画委員会でいろいろ御意見をいただきましたが,今までどおりのやり方,考え方ではできないという結論から,どうすればできるかというところにつきまして,またぜひお知恵をいただければと思います。よろしくお願いします。
 もう1点,柴田先生から,今までもA科目・B科目のように難易度が違うものを同じ教科の中に入れていくということがあったという御指摘をいただきました。
 これは大変重要な点かと思いますが,その場合,A科目とB科目はもともと難易度が違うことを前提に,各大学が使うかどうかを御判断いただいております。A科目をうちの大学では使わないと決めている大学もあれば,大学によりましては,地理歴史,公民のA科目とB科目を,違う目標・内容のものだと分かった上であえて使われるという仕方をされている大学もあると思います。
 この場合,「情報」に置き換えて考えたときにどう考えればいいのかというところを,ぜひ教えていただければと思います。難易度が違う前提で使うということで御理解がいただけるということなのかどうかという点で,ぜひ教えていただければと思います。
 すみません,御質問を投げるような形で申し訳ありませんが,ぜひそういった点,具体のアイデアをいただいて,我々もさらに考えを深めていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 今,私の問いかけに対して御質問がございましたので。私が想定していたのは,例えば数学②において,現状でも専門高校の卒業生には『情報関係基礎』とか『簿記・会計』というのを課して,大学によってはそういう背景のある生徒さんを同等に集計しているということもあるので,現状でもそういう見なしは行われているんじゃないかなと思った次第でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。ほかの委員の方はいかがですか。よろしいですか。
 長塚委員,手が挙がっていますけれど。どうぞ。
【長塚委員】
 すみません。長塚です。経過措置問題を作成するしないという論点で我々は論じて,そういう照会なのでそれで論じているのですが,志願者というか生徒にとっては――今の特に高1生ですよね,そもそも情報Ⅰという教科目だったら自分たちには関係ないと言えるのか。
 つまり,試験科目の対象にならないということがあるのかどうかがまだ見えないわけですよね。情報Ⅰとは違うものを学んでいるのだから,自分たちには関係ないだろうと思っている可能性はまだあるわけで,そうすると,このことが早く決まらないと,生徒たちにとっては今の科目,経過措置問題を作成したとしても,今学習している範囲の中で出るのだという,そういうことも早くはっきりしないと,生徒たちにとっては非常に重要な予告になるだろうと思います。
 経過措置問題を作成しないといった場合には,それでも難しい問題をやるのかという,むしろ逆のことのほうにも考えられるわけですので,作成しないということは受けなくていいのか,そもそも試験科目から外されるのか,『情報Ⅰ』の難易度の高いほうをやらなくちゃいけないのかという選択になってくるような,現段階では印象が強いと思うんです。
 そういう意味では,早くこれは結論を出していってあげないといけないと思っております。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 大林委員,どうぞ。
【大林委員】
 皆さんが,A案の場合には経過措置問題が何らかの形で満足のいくものを,大学入試センターのほうで作成していただけるものというのが大前提で進めているのですが,今,最後にセンターのほうからの御説明では,なかなかそれは厳しいのではないかというように私は聞こえたのです。
 ですから,やはりこの問題は,経過措置問題が作れるか作れないかというのが大きく作用してくるので,それで先ほどリミットはいつなのかというお話をさせていただきました。
 問題自体はもう少し時間がかかるのかもしれませんが,そこら辺のめどがつくのか,つかないのかがはっきりしないと,これは後になってA案を選んだときに,さらなる課題に発展しないかという心配はあります。
 個人的には,先ほどの問いに対しては,経過措置問題は,もともとそれを想定して学んできていない浪人生にとっては,どう考えても新たな負担になると思います。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。同等の問題ができるかどうかというのが一番重要だという御質問でしたが,ちょっとセンター側にはなかなか今,御回答は難しい。そこができればこんなに議論する必要もないのだろうと思うのですが。
 ほかに,今日何か御発言なされたい委員の方はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そろそろ今日の予定した時間も迫ってきておりますが,御発言を御希望される方はございませんでしょうか。よろしいですか。
 今日,A案・B案で,いろいろ団体あるいは個人の御意見を承りました。全体としては,やはりまだA案・B案,どちらが多い少ないとも言えませんでしたし,またセンターのほうからも,最後に小野部長から3つほど,お考えを聞きたいという御発言もございました。
 ということで,次回は13日に予定しておりますが,時間も限られておりますが,今日のやり取り並びにセンターからの問いかけも含めまして,一度出身団体に持ち帰っていただいて,改めて御意見を集約していただければと思っております。
 ということで,本日の協議会はこれでそろそろ締めたいと思いますが,今後の日程等について,事務局のほうからアナウンスをお願いします。
【前田大学入試室長】
 先生方,長時間ありがとうございました。次回でございますが,9月13日の5時から7時にて,今の議論の続きでございますが,『情報Ⅰ』の経過措置に関する議題について御審議いただきたいと考えております。
 また,6月に令和4年度の共通テストに関する通知を,この協議会の中でもまとめていただきましたが,追試験場につきまして,今後の感染状況の見通しを含む様々な状況を判断し決定するということで,浮かせた状態でございましたが,次回の会議において,追試験場のことについても議題にできるように調整をしたいと思っております。
 最後に,これまでもお願いさせていただいておりますが,審議途中の情報でございますので,不確定情報が提供されますと社会的に大きな影響を及ぼすということで,厳重な情報公開のほどを改めてお願い申し上げます。
 また,もしお問合せがあれば,先生方からこちらの事務局のほうに聞いてくださいということで御対応いただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。改めてお願いですが,本日の委員の方々の御意見等,またセンターからの御発言等を踏まえまして,一度,非常に短い期間でございますが,次回13日の協議会までに,改めて各団体での御意見をお寄せいただければと思っておりますので,御協力のほどお願いしたいと思っております。
 それでは,本日の協議を終了したいと思います。引き続き,委員の皆様におかれましては当協議会の審議に御協力いただきたいと思います。本日も遅い時間まで御出席いただきましてありがとうございました。

―― 了 ――