大学入学者選抜協議会(第4回)議事録

1.日時

令和3年7月15日(木曜日)17時~19時

2.出席者

委員

川嶋座長、沖座長代理、石崎委員、泉委員、今岡委員、圓月委員、大林委員、岡委員、柴田委員、島田委員、杉本委員、竹中委員、田中委員、長塚委員、安井委員、山本委員

文部科学省

伯井高等教育局長、森田大臣官房審議官、前田室長、中村補佐、安彦初等中等教育局参事官、水間初等中等教育局情報教育・外国語教育課情報教育振興室長 他

3.議事録

【川嶋座長】
 それでは,所定の時刻になりましたので,ただいまより大学入学者選抜協議会の第4回を開催したいと思います。皆様におかれましては,御多用の中,御参加いただき,ありがとうございます。
 本日の議題は,1つ,令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告の内容について,2つ,令和7年度大学入学者選抜実施要項の予告の内容について,3,その他となっております。
 まず,事務局の異動及び本協議会委員に変更があったということですので,事務局から御紹介していただくとともに,併せて資料の確認等もお願いします。よろしくお願いします。
【前田大学入試室長】
 先生方,よろしくお願いいたします。まず,委員の変更について御紹介させていただきます。国立大学協会から御推薦いただいておりました穴沢委員に代わりまして,奈良女子大学長の今岡委員に新たに委員の先生方の変更がございましたので,御紹介させていただきます。国立大学協会から御推薦いただいておりました穴沢委員に代わりまして,奈良女子大学長の今岡委員に新たに御着任いただいております。
【今岡委員】
 今岡です。よろしくお願いします。
【前田大学入試室長】
 よろしくお願いいたします。
 それから,引き続き事務局の異動につきまして御紹介させていただきます。ちょっと今別件で不在にしておりますけれども,7月1日付で大学振興課長として新たに新田が着任しております。
 それでは,本日配付している資料の確認をさせていただきます。
 なお,本日もウェブ会議の開催になりますので,御発言の際は挙手ボタンを押していただき,指名された後に御発言をお願いします。また,聞き取りやすい御発言,資料参照の際の該当ページのお示し,ハウリングを避けるため,指名後のミュート解除,ミュート戻しなどに御協力をいただければと思います。
 議事次第を御覧いただきますと,配付資料の資料1から資料6までございます。それから参考資料といたしまして,参考資料1から参考資料14までございますけれども,本日参考資料の特に3につきまして,後ほど議題2のほうで御説明したいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 資料は以上となります。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 引き続き議題に入る前に,事務局より,6月11日付で本協議会から各大学へ発出した「試験期日等の遵守についてのお願い」について,事務局から御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【前田大学入試室長】
 それでは,参考資料11を御覧いただければと思います。参考資料11は,総合型選抜及び学校推薦型選抜の試験期日等の遵守についてのお願いということで,6月11日に大学入学者選抜協議会の名前で,全ての大学長宛てに発出している文書でございます。
 前回の議論のときに,全国高等学校長協会から総合型選抜,学校推薦型選抜の試験期日について日程を遵守するようお願いしたいということで,文科省に要望が出されまして,それを受けまして協議会で御議論をいただいておりました。日程を守ることについて,出願前のエントリーによって出願時期が実質的に前倒しされていたり,出願可否の通知などによる実質的な選抜や合格発表が行われているのではないかといった御指摘もあったところでございます。
 協議会としては引き続き議論を行っていくこととしておりますけれども,この協議会において合意した日程,令和4年度の選抜期日については,この紙にお示ししているとおりでございますので,これについて日程を遵守していただきたいということをお願いしている文書になります。6月11日にこの文書を受けまして,6月17日に私立大学協会様,それから6月18日に私立大学連盟様から,それぞれ会員校宛てに周知がされているところでございます。引き続きこの試験期日の遵守についての議論は,この選抜協議会の継続ということになっております。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは議題に入りたいと思います。まず,1番目の議題でございます令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告の内容について,本年3月末に大学入試センターから令和7年度大学入学共通テストの出題教科・科目の案が公表されたことから,まずは山本理事長にその内容について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【山本委員】
 大学入試センターの山本です。どうぞよろしくお願いいたします。それじゃ,資料1を御覧いただいて,これに沿って説明させていただきます。
 平成30年に告示されました新しい学習指導要領,来年4月から年次進行で実施されるわけです。すなわち現在の中学3年生から新学習指導要領下で学ぶことになります。現在の中学3年生がこの大学入学共通テストを受験する令和7年1月,令和6年度に実施する試験ですが,この共通テストの出題教科・科目につきましては,先ほど座長からもございましたように,大学入試センターのほうから本年3月24日に公表いたしました資料,資料1でございますが,これに沿って説明させていただきます。
 この内容は,大学入試センターに設置されました,大学,そして高等学校関係者等による委員会におきまして検討を行いまして,検討途中において頂戴しました御意見をも踏まえた形でさらなる検討を経まして,一定の結論を得たということで,大学入試センターの考え方として公表させていただいたところでございます。
 まず,基本方針でございます。この資料1の1枚目,通しページ1ページですが,これが出題教科・科目の一覧表です。左側のカラムが現行,そして右のカラムが令和7年度試験からの出題科目でございまして,2枚目以降,通しページ2ページ以降が,その詳細でございます。
 まず本文,1ページ,すなわち通しページの2ページですが,この(1)から(4)に記載しました出題教科・科目の検討に当たっての観点,これについてお話をさせていただきます。
 (1)にありますように,高等学校における必履修教科・科目を尊重しつつ,大学教育を受けるために必要な学力の測定に資するものとすること,そして(2)にありますように,新学習指導要領の各教科・科目の趣旨を踏まえたものとなるように配慮することを基本といたしました。
 また,(3)にありますように,質の高い試験問題を継続的,そして安定的に出題することも大変重要でございまして,これも重視したところでございます。具体的には,現在,合計で30科目の出題をしてございますが,2年間にわたる問題作成の負担というのは大変大きく,近年この問題作成委員の確保が大変難しくなってきているということ,そしてまた,科目の増加によって試験実施のオペレーションが大変複雑化してまいりまして,実施を担当する大学教職員の負担も増しているということがございます。さらに18歳人口の減少に伴いまして,今後さらなる受験者数の減少が見込まれています。
 こういった状況を踏まえまして,必履修科目については引き続き出題科目として設定しながらも,高等学校によって開設状況の異なる選択科目につきましては,一定の精選をするということにしたところでございます。
 さらに(4)にありますように,受験者への過度な負担とならないよう,現行の共通テストからの大きな変更は避けるというような配慮をしました。
 教科・科目についてでございます。最初の通しページ1ページの一覧表を見ていただきまして,現行試験から変更が大きい教科・科目を中心に説明をさせていただきます。
 まず,地理歴史,公民ですが,これにつきましては,学習指導要領における必履修科目と選択科目を組み合わせた『地理総合,地理探究』,『歴史総合,日本史探究』,『歴史総合,世界史探究』,この3科目を設定いたします。公民につきましては,『公共,倫理』,『公共,政治・経済』の2科目を設定いたします。また,専門学科などでは選択科目が開設されない場合があることを踏まえまして,必履修科目のみで受験できる『地理総合,歴史総合,公共』を設定するということにしております。
 受験者は,地理歴史及び公民から最大2科目を選択いたします。その際原則として,同一の名称が含まれている科目の受験は認められませんが,『歴史総合,日本史探究』と『歴史総合,世界史探究』につきましては,現状でも歴史の2科目受験が認められることを踏まえ,両方を受験することができるようにする予定でございます。
 次に数学ですが,数学につきましては,『数学Ⅰ,数学A』,『数学Ⅰ』,それと『数学Ⅱ,数学B,数学C』を設定いたします。『数学Ⅱ,数学B,数学C』につきましては,学習指導要領で新たに『数学C』が設定されまして,この中でベクトルと複素数平面を学ぶことになり,大学団体からの要望を受け,『数学C』も出題範囲に含むこととしたところでございます。また『数学Ⅰ』は,必履修科目であることから出題を継続いたしますが,出題科目の一定の精選の観点から,『数学Ⅱ』,『簿記・会計』,および『情報関係基礎』につきましては出題しないことといたします。
 次に外国語です。外国語につきましてはこれまでどおり,『英語』,『ドイツ語』,『フランス語』,『中国語』,『韓国語』の5科目を設定いたします。なお,『英語』の試験形態につきましては,7月8日に取りまとめられました大学入試のあり方に関する検討会議の提言におきましても,現行試験と同じマーク式問題及びICプレーヤーを使用して実施する方式とすることとされたところでもございまして,現行試験どおりというふうに考えてございます。
 最後に,情報につきましてです。情報につきましては,必履修科目であります情報Ⅰを共通テストの出題範囲とする各種政府定を踏まえ,情報の1科目を出題することにいたします。なお,3月24日の公表文書では,出題科目の名称を『情報』としておりましたが,文部科学省との調整を経まして,本日の資料では『情報Ⅰ』というふうにされたところでございます。
 なお,各科目の試験時間や時間割につきましては,出題教科・科目の決定後に検討していくこととしております。ただし当センターといたしましては,『情報Ⅰ』が新設されても,試験日程は従来どおりの2日間を維持できるように,現行では別の試験時間帯で実施している,『理科①』と『理科②』の試験を,科目の選択方法は変更せずに,1つの試験時間帯で実施することで,『情報Ⅰ』の試験時間をこの2日間の中に確保するということを考えております。
 最後になりますが,新学習指導要領における新しい共通必履修科目である地理総合,歴史総合,公共,情報につきましては,関係者間で具体的な問題のイメージを共有できるように,サンプル問題を作成いたしまして,これも3月に公表し,センターのホームページに掲載してございます。
 なお,共通テストをCBTで実施するということにつきましては,専門家と協議を重ねてきましたが,現状では数々の課題があることから,令和7年度につきましてはこれまでどおり紙ベース,PBTで行うこととにしております。このCBT活用の利点,あるいは課題につきましては,これも先ほど言いました3月24日の段階で,「大規模入学者選抜におけるCBT活用の可能性について」という報告を,センターで取りまとめて公表しております。これもホームページに掲載しているので御覧いただきたいと思います。
 私からは以上です。
【川嶋座長】
 理事長,ありがとうございました。
 それでは引き続き,事務局から関連資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【前田大学入試室長】
 資料2を御覧いただければと思います。資料2は,あり方検討会議の御提言を踏まえまして,今回の令和7年度実施大綱の予告に関係する部分を抜粋したものでございますので,御説明させていただければと思います。
 第2章,記述式問題の出題のあり方のところでございますけれども,4の(2)共通テストにおける取扱いといたしまして,大学入学共通テストにおいて記述式問題を導入することについては,その実現は困難とされております。
 2つ目の黒丸でございますけれども,中ほど3行目から,マーク式問題の中で,知識の理解の質を問う問題や思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視した出題を,一層工夫していくことが適切だというふうに提言されております。
 次に,総合的な英語力の育成・評価のあり方でございますけれども,1つ目が,共通テストの枠組みにおける資格・検定試験の活用の実現可能性といたしまして,共通テストの枠組みにおいて,英語成績提供システムを介して様々な英語資格・検定試験のスコアを一元的に活用する仕組みについては,実現は困難であると言わざるを得ないとされております。
 それから,4技能試験の開発可能性につきましては,共通テストでのスピーキングテスト,ライティングテスト,その実現についても,技術の飛躍的進展や社会の理解がない限り,困難であると言わざるを得ないとされております。
 2つ目の丸でございますけれども,共通テストの「英語」の試験形態,これにつきましては,引き続き,マーク式問題及びICプレーヤーを使用して実施する方式とし,出題内容としては,「読む」,「聞く」に関する能力を中心としつつ,「話す」,「書く」を含めたコミュニケーション力を支える基盤となる知識等も評価するというふうにされてございます。
 それから,第5章,ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜といたしまして,今ほど大学入試センター理事長のほうから御説明がありました新教育課程への対応として,3月24日付で入試センターから公表されている案がございます。
 11ページでございますけれども,本検討会議においても,大学入試センター案と軌を一にする意見が数多く出されたということでございます。
主な意見といたしましては,1つ目,科目の簡素化,スリム化をどのように実現するかが課題。2つ目,原則として実施教科・科目数は削減すべき。ただし,新たな共通必修科目である『情報Ⅰ』を出題することも必要。CBTは導入コストや技術的課題が多いというような御意見がございます。
 最後に,共通テストを踏まえまして,PBT,紙ベースで行うこととされており,「情報」については,問題の発見・解決に向けて情報技術を活用する力を見る出題を工夫することが期待されるとされております。
 こうしたあり方検討会議での御議論を踏まえまして,資料3でございますけれども,令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告の案として,1つ目,出題教科・科目の一覧をお示ししてございます。
 地理歴史につきましては,『地理総合,地理探究』,『歴史総合,日本史探究』,『歴史総合,世界史探究』,『地理総合,歴史総合,公共』という科目,それから公民教科については,『公共,倫理』,『公共,政治・経済』というのが入ってございます。それから数学丸2につきましては『数学C』,最後,『情報Ⅰ』ということを入れております。
 『簿記・会計』,それから『情報関係基礎』については,令和7年度以降出題しないという整理にしてございます。
 補足の(1)でございますけれども,試験形態につきましては,問題冊子及びマークシート式解答用紙を使用し,紙で実施する。それから外国語の『英語』については,ICプレーヤーを使用する試験も実施する。
 補足の(4)番,地理歴史,公民の選択の方法が書いてございますけれども,先ほど山本理事長から御説明のあったとおりでございますが,文章にいたしております。今回別表という形で,どういう科目の取り方,組合せがあるのか,あるいは取れないのかということを整理したものをおつけしております。通し番号で申し上げますと,14ページでございます。
 こちらを御覧いただきますと,例えば左の欄の最初の『地理総合,地理探究』という科目がございますけれども,これを選択するという場合に,例えば『歴史総合,日本史探究』というのは取れます。あるいは『歴史総合,世界史探究』というのは取れます。『公共』科目も取れますと,こういう見方でございます。
 また,この同じ行の『地理総合,歴史総合,公共』という3つが入っている科目がございます。ここから2つ選択するということになっておりますけれども,例えば「歴史総合」及び「公共」というものを選択した場合には,「歴史総合」と「公共」という名称が入っておりますので,選択できる科目としては『地理総合,地理探究』のみというということになります。
 こういったいろんなパターンがございますので,今回,受験生,それから大学関係者の方が分かりいいように,なるべく別表という形でお示ししたいと思って作成したものでございます。
 それから12ページにお戻りいただきまして,数学でございますけれども,数学のイでございますが,「数学B」及び「数学C」は,「数学B」の2項目の内容(数列,統計的な推測)及び「数学C」の2項目の内容(ベクトル,平面上の曲線と複素数平面)のうち3項目の内容の問題を選択回答というふうにいたしております。これも3月24日の入試センターからお示している案と同じでございます。
 また,13ページでございますけれども,理科は,5の出題科目のうちから最大2出題科目を選択するということになっておりますが,基礎科目,『物理基礎,化学基礎,生物基礎,地学基礎』を選択する場合には,このうちのいずれか2科目の内容の問題を選択回答するということになっております。
 それから,2はこの通知案でございますけれども,これは予告でございますので,整いましたら,令和5年6月に実施大綱というものを予告でない形でお示しするものでございますので,今後,試験実施状況等に応じて変更し得る可能性があることを追記しております。
 また,下の最後の枠囲みでございますけれども,出題科目の試験時間及び現行の教育課程を履修した入学志願者――すなわち現在の高校1年生でございます――に対する経過措置については,決定次第速やかに公表するというふうにいたしております。過去の例では,実施大綱,令和5年6月にお示しするものでございますけれども,情報の新設など,関心,重要度が高いと思われますので,なるべく早く示すことが適当であろうと考えております。
 その際には,先ほどセンター理事長からもお話があった試験日程でございますとか,試験時間,それから経過措置の有無,これについて選抜協議会で御議論いただきたいと思っておりますけれども,その前に大学入試センターの企画委員会等で御議論をいただき,その上で選抜協議会にお諮りしたいと思っております。
 時期でございますけれども,そういった手続は関係団体の皆様方にもよくよくお聞きしたいと考えておりますので,9月以降をめどに公表できればというふうに考えております。
 事務局からは以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは,ただいま大学入試センター,山本理事長及び事務局から御説明がございました内容について,質疑応答の時間に移りたいと思いますが,御意見,御質問のある方は挙手ボタンでお知らせいただければと思います。
 それでは,杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 よろしくお願いします。全高長の杉本でございます。令和7年度の出題教科・科目に関連して,2点,お話をさせてください。
 まず,教科「情報」に関わる各都道府県の指導体制についてお話しします。教科「情報」を担当する教員の配置状況については,かなり厳しい地域があります。高等学校情報科担当教員に関する現状についてという資料で,文科省のホームページに調査結果が掲載されております。現在,全国で情報科を担当している教員5,072人の中の24.3%が,臨時免許状,または免許外教科担任となっています。
 文科省は,情報科担当教員に関する今後の取組について,各都道府県・指定都市の採用・配置における多様な実態を踏まえ,新学習指導要領の円滑な実施に向けたさらなる指導体制の充実を目指すとしておりますが,全国の小中規模の高校では,教職員定数の関係などから配置を進めにくい実態があることを,どうぞ御理解ください。また,配置が進んでいない高校に在籍する受験生には,一切何の責任もありません。そのような受験生を切り捨てることのないように御配慮をお願いしたいと思います。
 次に,受験者の負担増に関する危惧についてお話をいたします。新たに教科「情報」が追加され,『数学Ⅱ』,『数学B』及び『数学C』の内容を出題範囲とする新しい科目が設定されています。最多の場合,6教科8科目を受験する場合の学習上の負担と,今後提案,協議される予定の試験時間を考えた場合,2日間で実施されるテストを受験する際の負担についても十分考慮していただきたいと思います。
 私からは以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。2点ございました。1点目は情報教育について。2点目は受験生の負担増の可能性についてでした。まず1点目の情報担当教員に関して,事務局から何か補足情報はございますか。
【水間情報教育振興室長】
 情報教育振興室長でございます。先ほど御指摘いただいた1点目ということでございまして,私どもといたしましても,情報科につきましては新学習指導要領が来年4月から実施されるということでございますので,これまで以上に指導体制を充実していくことが重要だというふうに考えてございます。
 この参考資料7にもございますけれども,今回,高校の情報科担当教師の配置状況について確認したところ,ほとんどの都道府県,政令指定都市において,情報の普通免許状,または特別免許状を保有していないものの,臨時免許状を授与されたり免許外担当の許可を得たりして情報科を担当している教師の数よりも,情報の免許状を保有しているが,現在はその情報科を担当していない教師のほうが多く存在するということが分かってございます。
 ですので,私どもといたしましてはこういった状況も踏まえて,3月に各都道府県教育委員会に対して通知を出しているところでございます。情報科の担当教員の計画的な採用とともに,遠隔授業を含む複数校配置であるとか兼務であるとか,あとは高校「情報」の免許状を保有する教師の配置の工夫,さらには,私どものほうで作成しております研修教材等を活用して,情報科の担当教員の指導力向上に努めていただくことに働きかけてきているところでございます。
 この件に関しましては,共通テストの採用にかかわらず,各都道府県においてしっかり対応いただくということが必要になってまいりますので,私どもといたしましても,引き続きこの新学習指導要領の円滑な実施に向けて,高校の情報におけるさらなる指導体制の充実に取り組んでまいりたいと思っております。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 杉本委員,追加の御意見とか何かございますか。
【杉本委員】
 御説明ありがとうございました。情報免許状保有教員の6,064人というのも,多分都道府県によって偏りがあると思いますので,その辺の実態もしっかり押さえて,今後も進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 続きまして,大林委員,お願いします。
【大林委員】
 よろしくお願いします。令和7年度の実施大綱において定める出題教科・科目から,簿記・会計が省かれています。これまでも存続を求めてきただけに大変残念に思っています。商業高校をはじめとする専門学科の生徒は,簿記・会計のような専門科目を学ぶために,どうしても普通科目の履修時間が普通科よりも少なくなってしまっています。簿記・会計等を省くことで,共通テストがますます普通科の生徒向けの試験になっていくのではないかという危惧をしているところです。
 各大学に民間の簿記検定試験などの成績を選抜の中で適切に評価,判定していただけるように,ぜひともお願いしたいと思っております。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 引き続きまして,石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】
 よろしくお願いいたします。私も先ほど御説明いただいた,受験者への過度な負担とならないようというところの考え方について,高校の側の立場からお話しさせていただきたいと思いますが,先ほどの資料1の一番初めのところ,現行と令和7年度以降の科目が並んだ表を見ながらお話しさせていただければありがたいんですけれども,今現行と,それから令和7年度以降で大きな負担がないように考えたということで,多分それぞれの科目についてはそういうお考えをされたんだろうとは思うんですけれども,全体のパッケージとしてどれぐらいの負担が増えているのかということを,高校の単位数,勉強する内容の単位数で考えてお話しさせていただきたいと思います。
 国語は単位数は変わらないです。地歴,公民については,現行だと世界史,単位数の多いほうのB,例えば『日本史B』といったB科目は4単位の内容になるんですけれども,令和7年度以降の『歴史総合,日本史探究』ということになりますと,これは歴史総合が2単位,日本史探究が3単位で,合わせて5単位分の内容で1単位分増えるんです。これはほかの世界史探究とかも同じですけれども,4単位分だったものが5単位分になる。しかも地歴の科目を2科目受験する大学もありますから,そうすると1単位分が2つで,2単位分まず内容が増加している。
 それから数学についても,先ほど御説明がありましたけれども,『数学C』の内容が加わる。『数学C』の内容は選択になっているので,1項目を選べばいいことになりますので,『数学Ⅱ,数学B』は現行は4足す2で6単位なものが,『数学Ⅱ,数学B,数学C』になると,4足す2足す1で7単位になるということで,ここでプラス1単位になる。
 理科と英語は単位数は変わらないんですけれども,情報が,これは2単位分の科目で,今までなかった分の科目が増えますので,プラス2単位になる。
 そうすると,例えば社会を2科目受ける文化系の大学で,6教科8科目みたいなフルパッケージで受けることを考えると,地歴,公民で2科目分で2単位,数学で1単位,情報で2単位ということで,全体で高校の単位数で5単位分も受験科目の内容が増えることになるんです。
 もちろん,それは今6教科,8科目を前提にお話ししたので,これがまたアラカルト方式でやるというんだったら話は別なんですけれども,フルパッケージみたいなことを考えると,かなり大きな負担なんじゃないかなと。先ほど大きな変更を避けるというお話がございましたので,もちろん大きいか,小さいかというのは主観の問題なので何とも言い難いんですけれども,私は大きな負担,大きな変更なんじゃないかなというふうに,高校側としては考えています。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 今の御意見は高校側の御意見として承りました。ご指摘に対しては,大学側がどのように今後設定するかだと思います。他の委員の方,御意見はございますでしょうか。令和7年度以降の大学入学共通テストの出題科目の考え方について,何か意見がございますか。
 他にご意見はないようです。皆様,御意見ありがとうございました。それでは,事務局は本日いただいた意見を踏まえて,各大学や教育委員会等へ発出する令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告の原案の作成を進めていただければと思います。
 次に,本日2つ目の議題に入りたいと思います。令和7年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告について,これにつきましては事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【前田大学入試室長】
 よろしくお願いいたします。資料は資料4-1から資料6まで,それから参考資料3も御覧いただきながらと思っておりますけれども,まずは資料4-1から4-3まで御説明させていただければと思います。
 資料4-1,通し番号で申し上げますと15ページを御覧いただければと思います。これは選抜実施要項の見直しに係る予定について,あり方検討会議の提言の関連の抜粋でございます。
 1つが,大学入学者選抜に求められる原則として,検討会議では原則3つがお示しされております。1つが,原則丸1,当該大学での学修・卒業に必要な能力・適性等の判定,原則丸2,受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保,その中でも特に実質的公平性の追求といたしまして,地理的・経済的条件に配慮した受験機会の確保でございますとか,障害のある受験生への合理的配慮の充実,多様な背景を持つ学生の受入れへの配慮など,実質的公平性の追求というのが示されております。それから原則3としまして,高校教育と大学教育を接続する教育の一環としての実施。この3つが示されたところでございます。
 また,第4章の2の地理的・経済的条件等への配慮におきまして,現在の選抜実施要項の基本方針におきまして,年齢,国籍,家庭環境といったものが書いてございますけれども,ここに多様な背景を持った学生の受入れの配慮についての記載の充実を求めるという指摘がございました。
 それから,同じ15ページの入試方法のところでございますけれども,入試システム全体に目配りした総合的な検討の重要性といたしまして,(1)一般選抜と総合型選抜・学校推薦型選抜との役割分担というところでございますけれども,総合型選抜・学校推薦型選抜抜は,より丁寧で多面的・総合的な選抜に向いているほか,採点に時間のかかる選抜方法も実施しやすい等の利点を有するといった利点が書かれております。
 また,多様な価値観を持つ多様な人材が集まり新たな価値を創造するキャンパスを実現する観点から,多面的・総合的な選抜の果たす役割は大きい。総合型選抜・学校推薦型選抜を活用する意義が大きい。
 さらに,選抜時期の分散,面接等のオンライン化も可能であり,感染症の蔓延のような事態や大規模自然災害への耐性が高く,受験機会の複数回化にも資する。我が国の入試システム全体の安定性や柔軟性を高める観点からの意義は大きいとされております。
 同じく第5章,ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜の中におきまして,(1)の1つ目の丸でございますけれども,総合型選抜・学校推薦型選抜は,より丁寧で多面的・総合的な選抜に向いているだけでなく,志願者と大学とのより良いマッチングにもつながり得るものであるいうことが書かれております。
 また,そういったメリットを踏まえれば,実施率の低い分野や学部の選択と卒業後の職業選択との関係が強いなど人材育成上の必要性のある分野において,強い目的意識や高い志を持った者等の選抜を一層重視する観点から,役割は大きいというふうにされております。
 続きまして,第4章の地理的・経済的条件での配慮でございます。特別選抜等の実施と書いてございます。実態調査を文部科学省でさせていただきましたけれども,そこで出てきた様々な取組事例,児童養護施設の入所者を対象とした検定料・入学金・学納金を免除した選抜区分の設定でございますとか,地方出身者・離島出身者の選抜,昼間キャンパスでの勤務を前提とした夜間学部の総合選抜,あるいは難民を対象とした選抜区分の設定と,様々な取組事例がございました。
 また,男性に偏りがちであった電気・機械工学の分野における女性研究者や技術者を育成することを目的として,女子を対象とした学校推薦型選抜を行っている大学もございました。
 最後の丸でございますけれども,実質的な公平性の追求,多様性を生かすキャンパスの実現の観点から,今申し上げたような意義が大きいとされておりますけれども,同時にそういった趣旨・方法について社会に対し合理的な説明ができること,それから志願者の入学後の教育に必要な学力の確保に留意することも併せて提言されております。
 17ページでございますけれども,文部科学省においては,こうした特別選抜の取組の普及を図る観点から,選抜実施要項で留意事項を示したり,他の模範となる取組を促進する方策を講じたりするとともに,好事例を公表することが適当であるという御提言をいただいております。
 続きまして,記述式問題でございますけれども,記述式問題の出題推進の考え方,1つ目の丸,各大学の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)に基づき,試験実施上可能な範囲で受験者に記述させる問題を取り入れ,「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」や「思考・判断した過程や結果を的確に,更には効果的に表現する能力」の評価を充実させることは,「大学入学者選抜に求められる原則1」の観点に沿ったものであると考えられるとされております。
 この点につきまして,各大学の多様性,自主性を尊重して一律の義務づけを行うことは適当でないが,大きな方向性を共有することは重要であり,その出題が推奨されるべきとされております。
 次に英語でございますけれども,総合的な英語力の育成・評価のあり方として,資格・検定試験の活用の場合の具体的な活用について例示がされております。
 例えば丸1,英語の出題個別試験,あるいは共通テストで出題を継続しつつ,資格・検定試験スコアでの代替等を認める選抜区分を設定する方法,丸2としまして,資格・検定試験スコアを必須とする選抜区分を設定する方法など,いろんな選抜の中の例示をしております。
 ただ,地理的・経済的事情への配慮の観点が必要でございますので,スコアを利用しない選抜区分を設ける,あるいは当該大学の定める利用方法において,資格・検定試験と個別学力検査のいずれか有利となるほうを選択的に使えるようにする等の措置の設定が望まれるとされております。
 また,今般のような感染症の拡大でございますとか,あるいは自然災害の影響により実施は困難な場合には,スコア提出が困難でございますので,あらかじめ代替措置について検討していくことが望まれるとされております。
 それから,もう一つが地理的・経済的事情への配慮といたしまして,最後の黒丸でございますけれども,個別試験における資格・検定試験の活用については,例えば,検定料の減免やアクセスしやすい会場の設定等を含め,文部科学省には,関係機関・団体と連携・協力し,必要な措置を講じることが求められるとされております。
 18ページでございますけれども,検定試験を入学者選抜で活用する場合には,受験機会における実質的公平性を最大限確保できるよう,文部科学省,大学,高校,資格・検定試験実施団体をはじめ関係者が連携・協力し,地理的・経済的な事情への配慮措置を可能な限り講じることが必要であるとされております。
 また,2つ目の丸でございますけれども,低所得層への受験料の減免や資格・検定試験を活用する選抜区分における低廉な受験料の設定など,各大学の取組を促進する方策を検討するとともに,資格・検定試験実施団体に対し,低所得者層への検定料の減免,オンライン試験の導入の検討を要請したり,高校会場の拡充への協力を求めたりすべきであるというふうに提言されております。
 こういったもろもろの推進策,推進すべき方向につきましては,文科省のイニシアティブによって,資格・検定試験実施団体と高大関係者による恒常的な協議体を設け,議論をすることが有益であるとされております。
 同じページの,障害者のある受験者への合理的配慮の充実でございますけれども,2つ目の丸,支援を担当する部署を設けて,学生から申出があるときには個別に丁寧に相談に応じ,何ができるか検討することが必要であるとされております。
 以上があり方検討会議の提言内容でございますけれども,続きまして,資料4-2でございます。3月31日に取りまとめております多面的な評価の在り方に関する協力者会議(審議まとめ)でございます。圓月先生に主査をお務めいただいた会議でございますが,ここでの多面的な評価についての提言の抜粋でございます。
 1つ目が留意事項といたしまして,一般選抜については,大学の規模や設置形態,学部・学科等によって,志願者数や入試業務の制約から,「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力等」の評価に比重を置き,学力検査や小論文などが中心の評価方法となることも想定される。その場合であっても,活動・実績を通して身につけた能力・スキルや経験,こういったものを簡潔に記載した資料の提出を求めて,選抜の一部として活用している事例があるというようなことを言われております。
 2つ目でございますけれども,多面的・総合的評価を行うに当たっては,各大学のアドミッション・ポリシーや選抜区分によって,どういった能力を特に重視して評価したいかにより異なり,また評価方法も様々であろうということが言われております。
 現行でございますけれども,こういった各選抜区分の特性に応じた多面的・総合的評価ということがうたわれておるんですけれども,現行の選抜要項につきまして,整理や表記では分かりにくく,実態と合っていないという御指摘がございました。これについて,高等学校・大学関係者による検討がなされることを期待したいとされております。
 それから(3)でございますけれども,経済的な条件に左右されずということで,1つ目の丸の最後でございますが,評価をする際には,志願者本人の努力では解決できない要因への配慮が必要である。
 また,その趣旨や方法について,社会に対し合理的な説明ができること及び志願者の入学後の教育に必要な学力を確保することが前提として求められるとされております。
 20ページでございますが,調査書の様式の議論をいたしました。調査書につきまして,1つ目の丸でございますが,高等学校が大学に提供できる資料は学校の教育活動に限られるため,学校の教育活動外の個々の活動に取り組んだ過程や成果の詳細については,原則として各大学の求めに応じて,志願者自身が活動報告書,大学入学希望理由書などの志願者本人記載資料やポートフォリオなど各大学が定める方法により,直接大学に提出することが適当であるとされております。
 具体的な調査書の在り方については,1つ目の丸でございますけれども,指導要録に基づき作成されるという原則や,学校の働き方改革を受けた教員の負担軽減の観点も踏まえると,新しい高等学校指導要録の参考様式で簡素化された部分はそれに合わせて簡素化する,指導要録の様式と整合性を取る方向で見直すことが適切であるとされております。
 それから様式の見直しの方向でございますけれども,観点別学習状況の項目につきましては,直ちに設けることはせずに,今後の高等学校における観点別学習状況の評価の充実の状況,大学における観点別学習状況の活用方法の検討の進展等を見極めつつ,可能な限り早い段階で設けることを目指して,引き続き高校・大学関係者において検討を行う。ただ検討に当たっては実証研究に取り組んで,その成果を普及していくことが考えられるとされております。
 それから,総合的な探究の時間の記録,これにつきましても指導要録と同様に,生徒にどのような力が身についたかを文章で端的に記述する。
 特別活動の記録につきましては,指導要録と同様に,文章記述を改め,丸印を記入する。
 指導上参考となる諸事項につきましては,要点を箇条書するなど,その記載事項を必要最小限にとどめ,学校外の活動等については,原則として精選して指導要録に記述された内容を基に記入する。
 備考欄につきましては,特に優れた学習成果を上げたことを,現在備考欄に記載するよう大学から求めることができるとされておりますけれども,大学や学部ごとに異なる内容を求められるのは相当の負担であるといった意見が高等学校関係者からあることを踏まえて,これらの事項については調査書以外の資料で,志願者本人から直接大学に提出することを求めるとしております。
 最後の黒丸でございますけれども,大学や学部ごとに異なる内容を求められるのは相当の負担だという関係者からの御意見も踏まえまして,以下の2つの取扱いについても併せて廃止するということでございます。
 学習成績概評の丸Aの標示でございますけれども,これは希望することができるとされておりましたが,これも異なる内容,人物によって変わってきますので,取扱い廃止,それから備考欄についても,高等学校長が特に推薦できる生徒について,能力・適性についてその旨を記載するよう希望することができるとありますけれども,取扱いを廃止するというような報告書のまとめになっております。
 それから最後,資料4-3でございますけれども,いわゆる骨太の方針でございます。6月18日閣議決定文書でございますが,女性の活躍といたしまして,学校推薦型選抜や総合型選抜に女子を対象とする枠の設定,女子学生の割合の向上を促すというようなことが閣議決定されております。
 こうした2つの提言,それから1つの文書に基づきまして,資料5が選抜実施要項の見直しに係る予告の案としてお示ししているものでございますけれども,これは文章でいろいろ書いてございますが,なかなかこれではイメージがつきにくいと思いますので,参考資料3,通し番号で申し上げますと4ページでございますが,見直しのイメージ,これをちょっと御覧いただきながら,あとは資料5もお目通しいただきながらと思っております。
 それから資料6も使いますので,ちょっとそれはまた画面アップさせていただきたいと思いますが,まずイメージ(案)を御覧いただきますと,基本方針を反映しております。検討会議の提言を踏まえて追加的に反映しているものがございまして,1つ目は原則の1,右側がイメージ案でございますので,学修し,卒業するために大学への入口段階で入学者に必要な能力・適性というのを入れております。これが原則の1でございます。
 それから原則の2としまして,中ほど,受験機会や入試方法における公平性・公正性の確保を図りつつ,少し飛ばしまして,「あわせて」以降が,大学入学者選抜は,高等学校における教育と大学における教育を接続する教育の一環として実施するものであるというのを入れております。これが原則3つを反映した案でございます。
 それから中ほど,多様な背景を持った学生への配慮といたしまして,これまでも年齢,性別,国籍がございましたけれども,新たに障害の有無,それから居住地域というのを追記しております。
 続きまして,2ページ目でございますけれども,これも資料6を御覧いただければと思います。通し番号で申し上げますと,画面上共有いたしますが,31ページでございます。今,31ページ,資料6が御覧いただける状態になっておりますけれども,前回の5月のときに,事前の資料ではなくて画面共有でちょっとお示ししたこともあって,やや分かりにくいということでございましたので,改めて,今回あり方検討会議の提言もございましたのでお示ししているものでございます。
 まず枠囲みの中は,先ほど御紹介した多面的な評価の在り方に関する協力者会議と検討会議での御提言の中身が入っております。今現在の実施要項上の整理でございますけれども,1つ目が一般的な選抜(一般選抜)といたしております。これは今,調査書,学力検査,小論文,志願者本人の記載する資料によって,多面的・総合的に評価・判定する方法によるとしておりまして,これは括弧を開いて,一般選抜と言うとされております。
 その下に一般選抜以外の選抜,特別な選抜,入学定員の一部を活用して行う選抜として,総合型選抜,学校推薦型選抜,専門学科・総合学科卒業生選抜,帰国生徒選抜・社会人選抜というのがございます。
 これのまず1つ目の一般的な選抜のところでございますけれども,今ある入試方法の規定でございます。一般選抜はこれ全てをやる,調査書もあり,学力検査もあり,小論文もあり,志願者本人の記載する資料もありということは,そもそも一般選抜の入試日程等から考えますと,もとよりそういうシステムは多分ないと思うんですけれども,これは一般選抜という定義ではなくて,そもそも入試の方法を一般的に書いたものではないか,総論的にまずは示しているんじゃないかということで,見直しのイメージとして,調査書,学力検査,小論文,志願者本人の記載する資料等を,大学・学部等の目的,特色,専門分野等の特性,選抜区分の特色に応じて組み合わせて,評価・判定する方法。これをおよそ入試方法と呼びますというふうにしております。
 その上で,選抜方法,具体的な入試方法として3つ,一般選抜,総合型選抜,学校推薦型選抜と分けてございます。総合型選抜も学校推薦型選抜も,それぞれ選抜の特性がございます。そういった表記を今もしておりますけれども,一般選抜についても学力検査,小論文等を主な資料とし,調査書,入学志願者本人の記載する資料等を組み合わせて,能力・意欲・適性等を評価・判定する方法というふうに改めたいとする案でございます。
 また,3の選抜の工夫でございますけれども,これはあり方検討会議の提言で,多様性あるキャンパスでございますとか,そういったことを踏まえまして,専門学科・総合学科卒業生,それから帰国生徒・社会人に加えまして,その他多様な背景を持つ者として,家庭環境,居住地域,国籍,性別,大学が判断した者,例えば理系女子としておりますけれども,こういった選抜の工夫をすることが望ましいとしております。
 その上で,参考資料3の新旧対照表にお戻りいただきたいと思うんですけれども,新旧対照表の2ページ目,今申し上げたのが右側でございます。入学者の選抜は,調査書の内容,学力検査,小論文,入学志願者本人の記載する資料等を,大学・学部等の目的,特色,専門分野等の特性,選抜区分の特色等に応じて組み合わせて,以下のように多面的・総合的に評価・判定する入試方法によるとした上で,(1)から(3),一般選抜,学力検査,小論文等を主な資料とし,また大学・学部等の目的,特色,専門分野等の特性によっては実技検査等を主な資料に加えつつ,調査書,入学志願者本人の記載する資料等と組み合わせて,入学志願者の能力・意欲・適性等を評価・判定する入試方法としております。
 それから4ページ目でございますけれども,2といたしまして,上記1の(1)から(3),すなわち一般選抜,総合型選抜,学校推薦型選抜の入試方法において,各大学の判断により,入学者の多様性を確保する観点から,入学定員の一部について選抜を工夫することが望ましいとしておりまして,専門学科・総合学科卒業生選抜については,左側にあるもの。ただ現状は学力検査の成績等と書いてありますけれども,実態を見ましたところ,小論文,面接,資格・検定試験の成績,そういった資料を組み合わせて選抜されておられますので,少し加筆しております。
 それから帰国生徒選抜と社会人選抜ということで,これは従来あるものを書いてございます。
 それから,3番目が家庭環境,居住地域,国籍,性別等に関して多様な背景等を持った者として,これが新規でございますけれども,そういった進学機会の確保に困難があると認められる者その他各大学において入学者の多様性を確保する観点から対象になると考えられる者(例えば,理工系分野における女子等)について,努力のプロセス,意欲,目的意識等を重視した評価・判定を行うことが望ましい。その際には,社会に対して合理的な説明,それから入学志願者の大学教育を受けるために必要な知識・技能,思考力・判断力・表現力を適切に評価することに留意することというふうにいたしております。
 それから,新旧対照表の7ページを御覧いただければと思いますけれども,調査書の7ページです。3,4,5とございますけれども,これはいずれも,各大学が調査書に盛り込んでもらいたいことについて求めることができる規定でございますので,3,4,5,いずれも削除といたしております。
 それから9ページ目でございますけれども,これは記述式でございます。今ある規定は,個別学力検査は,各種の客観式及び記述式の検査方法を適宜組み合わせてございますけれども,丸2として,今回のあり方検討会議の御提言を踏まえまして,入学志願者の「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」や「思考・判断した過程や結果を的確に,更には効果的に表現する能力」の評価を充実させるため,各大学のアドミッション・ポリシーに基づき,可能な範囲で記述式の検査方法を取り入れることが望ましいとしております。
 10ページでございますけれども,同じような,今申し上げた記述式の意義について,小論文も記述式でございますので,ここの3番にもかかるように,入学志願者の後ろに括弧を開きまして,今申し上げたのと同じような文言を入れているということでございます。
 それから,英語の資格・検定試験の成績の活用でございますけれども,現行11ページでございますが,こちらを御覧いただきますと,入学志願者の外国語におけるコミュニコミュニケーション能力を適切に評価・判定する観点から,これこれについてを踏まえ,英検,TOEFL等,「聞く」,「読む」,「話す」,「書く」の4技能を測ることのできる資格・検定試験等の結果を活用するとされておりまして,平成13年にTOEFLが入っています。また平成15年には英検を例示しておりますけれども,資格・検定試験のスコアの活用については,既に長年にわたりまして選抜要項に盛り込まれております。現に相当数の大学が選抜をしているという実績がございます。
 その上で,今回のあり方検討会議の提言を踏まえまして,イメージ案でございますが,活用方法を「例えば」として例示としてお示ししております。1つが,共通テストまたは個別学力検査において英語を課しつつ,代替を認める募集区分,それからあるいは資格・検定試験の結果の提出を必須とする募集区分等が考えられる。
 ただ,家庭環境や居住地域により,進学機会の確保の負担が大きいという場合には,資格・検定試験等の結果を利用しない募集区分の設定や,個別学力検査の成績と資格・検定試験等の結果がいずれか有利となるほうを選択的に利用するといったことが望ましいとしております。
 また,丸2番でございますけれども,先ほど議題1でお示しした共通テストの実施大綱予告の案が仮に案どおりだとした場合に,簿記・会計の共通テストを出題しない方向とさせていただいておりますので,その場合,高等学校の専門教育を主とする学科及び総合学科の卒業者及び卒業見込み者の学習歴,活動歴等を評価・判定する観点から,資格・検定試験等の結果を個別において考慮いただきたいということを入れております。
 それから12ページでございますけれども,12ページも先ほど提言で紹介させていただきました大規模災害等発生によって資格・検定試験が実施されない場合には,あらかじめ代替措置等について検討しておくことが望ましいとしております。
 それから最後に14ページでございますけれども,合理的配慮のページでございます。こちらはこれまでもいろいろ規定がされておりますけれども,今回,合理的配慮の相談窓口や支援担当部署等を設置するなど事前相談体制の構築・充実に努めるとしておりまして,これまでも事前相談体制の構築・充実という文言はございましたけれども,支援担当部署といったような方法について規定をしております。
 また,建設的対話という文言が入っておりますけれども,これは現在も,このページの上のほうにも書いておりますけれども,第4次障害者基本計画でございますとか,あるいは文部科学省における検討会のまとめの中にも,この文言は出てきております。すなわち学生本人と,それから大学とがお互いに現状を共有,認識しながら,双方で適切な合理的配慮を決定するための話合いということで,この文言をそのまま使わせていただいております。
 以上が令和7年度の選抜実施要項の資料の事務局からの説明でございます。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】
 御説明ありがとうございました。
【前田大学入試室長】
 すみません。もう一つありました。ごめんなさい。資料5です。5の予告の案を御覧いただければと思いますけれども,今イメージ案で申し上げたことを文字で書いておるのが,第1の基本方針,入試方法,学力検査,それからその他注意事項,これは合理的配慮でございますけれども,調査書が一番下にございます。
 これは様式例でございますけれども,左側が現行,右が新規でございますが,まず観点別学習状況の項目,これは直ちには設けないとしております。
 それから,次の通し番号26ページでございますけれども,総合的な探究の時間の記録について,評価の観点のうち,顕著な事項がある場合には端的に記述する。
 それから特別活動も,文章記述を改め,丸印を記入する。
 それから,指導上参考となる諸事項。現行は学年ごとに6つの分割表がありますけれども,これを取り払いまして,要点を箇条書する,必要最小限にとどめる,学校外の活動については精選して,指導要録に掲載の内容を基に記入するとしております。
 また,備考欄につきましても,優れた学習成果を上げたこと,これらの事項については調査書以外の資料で,志願者本人から直接大学に提出するといたしております。
 最後,27ページを御覧いただければと思いますけれども,調査書記入上の注意事項として左側,今は「なお,枚数は任意とする」ということでございますけれども,令和7年度以降「表裏の両面1枚」ということで,枚数の上限を定めているという案でございます。
 以下11番以下は,今申し上げました表のつくりの中にあるものを文字に起こしたものでございますので,私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【川嶋座長】
 御説明ありがとうございました。令和7年度大学入学者選抜実施要項,論点は非常に多岐にわたりますが,これから質疑応答に入りたいと思います。いずれの観点でもよろしいので,御意見,御質問がありましたら,挙手ボタンを上げていただければと思います。
 それでは,杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 ありがとうございます。全高長の杉本です。入学者選抜の実施要項見直しで,参考資料3の10ページ辺りを見ていただきながら,お話をしたいと思います。第6の学力検査等,4番の資格・検定試験等の成績の活用について辺りです。
 全高長では,令和3年7月9日に都道府県の協会長研究協議会を実施いたしました。会に当たって,事前に大学入試における英語民間試験の利用について,各都道府県の現状や意見等を情報交換資料としてまとめ,研究協議を行いました。情報交換資料の各都道府県の回答から,英語4技能を身につけさせる授業改善の取組について,「改善が見られる」と答えたのは21都県,「改善が進んでいる」が22府県と回答しており,総合的な英語力育成の取組について,学校現場で一定以上の成果が上がっていることが分かりました。一方格差については,地域格差では40道県,85.1%,経済格差では41府県,87.2%が解消していないと回答しています。
 研究協議会の中でも各都道府県協会長から,英語民間試験の大学入学者選抜における利用について様々な意見が出されました。そこで,その中から共通して出された要望並びに懸案事項について4点,資料4-1に関する質問について1点お話をいたします。
 まず1つ目は,総合的な英語力を評価する試験は,大学入試センター等公的機関や各大学の個別試験で作成していただきたいという意見が,なおもありました。
 2番目,英語民間試験と学習指導要領との整合性について説明されておりますが,英語民間試験が学習指導要領に基づいてつくられたものではありません。授業が英語民間試験対策となる,受験競争の低年齢化,受験準備の早期化が加速するなど,英語民間試験の大学入学者選抜における利用が高等学校における適切な教育の実施を阻害することにならないように,十分配慮していただきたいと思います。
 3番目,総合的な英語力評価の推進を図るためには,まずは一定のルールをガイドラインとして定め,地理的,経済的な事情への配慮を明確にし,英語民間試験の実施における地域格差,経済格差の解消に尽力していただきたいと思います。また,英語民間試験を受験していない者,あるいは受験できなかった者が,一般選抜等の受験の際に不利益を被ることがないよう配慮していただきたい。英語民間試験の議論が始まって以来,全高長では,希望する試験を希望するときに希望する場所で受験できることが必要条件であることをお話ししてきました。
 大学入試のあり方に関する検討会議提言,今回は抜粋なので,提言のほうで言うならば,44ページにありますインセンティブの付与に関しては,7月9日に幾つかの報道機関が取り上げておりました。業者側の仕組みを整備する前に,受験者側の環境を整えていただくことが先だと我々は考えております。英語民間試験についてはこの間,受験料が値上げされたものもあり,受験会場の拡大も進んでいません。実際に何人の受験生を受け入れることができ,具体的にどのような配慮を行うのか,国の責任で示していただきたいと思います。
 4点目,特色入試など卓越した能力を評価する入試を除き,大学入試では高等学校の学習の成果を測るのが原則であると考えます。各大学における英語民間試験の活用については,アドミッション・ポリシー等を踏まえた活用とし,英語民間試験の取扱いとして,得点換算や加点など,各大学の利用方法の妥当性などを精査するとともに,利用する全ての大学は,受験生に対する説明責任を確実に果たしていただきたいと思います。また実施に当たっては,受験生にとって公平性・公正性を十分確保願います。
 最後に,大学入試のあり方に関する検討会議提言について質問させてください。7月8日に示された45ページあるこの提言ですが,何が決定事項で,何がこの協議会での検討事項なのでしょうか。大学入学共通テストへの記述問題の見送りと,大学入試英語成績提供システムの見送りは決まったことと認識しておりますが,例えば高3,2回までという内容については,3番の大学入試英語成績提供システムの見送りの段階で指摘された事項ということで,22ページに書かれています。また,高校3年の4月から12月の間に受験した2回までと限定していたが,経済的に困難な生徒が不利との指摘があったということも書かれています。
 また26ページでは,各大学の個別試験の役割,「高校3年時の2回に限るというような一律の方法によるのではなく」云々という形で書かれてあります。提言の第3章,総合的な英語の育成・評価のあり方などは,あり方検全体として了解されたものなのでしょうか。今後の協議会の進め方に大きな影響があると思いますので,教えていただきたいと思います。
 加えて,今回配付された資料4-1がどのような観点から抜粋されたものなのか,教えてください。
 長くなりましたが以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは,今岡委員,お願いします。
【今岡委員】
 今のお話とも関連するのですが,資料の24ページをお願いします。一番上,入学志願者のコミュニケーション能力です。これで資格・検定試験等の具体的な活用方法を例示するとともに,あとは配慮を追加するということで,米印1,米印2にという格好で,2つの項目に分けて書いてございます。
 ですが,17ページ,いわゆるあり方に関する検討会議の文章では,(3)を読んでいただくと,例えば丸1,丸2があって「が考えられるが」ということで,これは例示をしなければ後の文章が成り立たないので,例えばこういうことが考えられると。これに関しては国立大学が慎重に,どれがよくてどれが悪いというのを判定する。これは実際は難しいと思うんですが,文章だけ私はここで言いたいんですが,配慮が必要だということで続いているわけです。これを分断して全体の中で,丸1と丸2の考え方がある,それから配慮もある,という書き方は,あり方検討会議が提案しているものとは少しずれているという印象を受けます。
 この辺は先ほどの参考資料のイメージのところの11ページ,通しで14ページ,ここだとまさにこう書かれていて,最初のアンダーラインが引いてある4行で「また」というふうに切ってある。こういう書き方をされると,大学は何とか一生懸命考えて,民間の資格・検定試験を導入しなさいというふうに取られる。これはあまりよくないことだというふうに思います。
 私の意見は以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは,島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 島田です。ありがとうございます。ちょっと別の話になります。資料,通し番号25ページ,調査書の様式の部分です。既に議論は尽くされているところかもしれませんけれども,一度だけ申し上げます。観点別学習状況の項目を直ちには設けないということについてです。協力者会議の審議のまとめにも記述されておりますとおり,大学においても,観点別評価の活用方法については十分な検討が必要であろうと,そのためにはじっくり時間もかけるべきだろうというふうには考えます。実証研究というのも慎重に行っていくべきだろうと思います。
 そのためには,現物を見ることというのもやはり重要ではないかと思うんです。現物を見ることなしに,活用方法を的確に検討,研究するというようなことが果たしてできるんだろうかということ,ちょっとイメージが湧いてこないんです。現在入試研究の分野では,調査書の研究は相当の蓄積がなされていますけれども,それはやはり現物を見て初めてできていることだろうと思います。
 そこで例えば,当面は入学者選抜には活用しないという約束の下に,調査書に記載してもらうことについて,再度検討していただく余地はないものでしょうか。指導要録に書かれたものを引いてくるということであれば,それほど大きな負担増にもならないんだろうと,つい思ってしまうんですけれども,もう一度御検討いただけないかということを一度だけ申し上げさせてください。
 それから同じく審議のまとめには,観点別学習状況の項目を可能な限り早い段階で設けるとありますけれども,いつ頃を目途としてそれを明示するのかということ,これも御検討いただけないかと思います。3年先なのか,5年先なのか,それまで調査書が活用できないということになれば,大学はほかの評価方法を考える必要があるわけです。活用できない期間がどの程度続くのかによって,具体的な方法や,その開発にかけるコストというのも違ってくるだろうというふうに思いますので,その辺り的確な判断をするためにも,設定時期の目途というのは示されることが望ましいのではないかと考えます。
 譬えはよくありませんけれども,共通テストの記述式問題や英語4技能検定のように,これもそのうち見送りになるかもしれないというふうに捉えられると,現場は消極的になるだろうと思います。観点別評価を推進するんだというその方向性が確実ならば,調査書の項目設定時期というのも明確にしていくのがよいのではないかと考える次第です。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。
 それでは石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】
 先ほどの杉本委員の質問がスルーされているようなんですけれども,それにお答えいただいてから発言させていただければと思います。
【川嶋座長】
 一応全員御質問,御意見をお伺いしてからと思っていますが。
【石崎委員】
 じゃ,お話しさせていただきます。先ほど提言の中の原則として,高等学校教育を尊重する観点から配慮を行うことが重要だという御説明がございました。これまでの大学入試改革,幾つか共通一次のとき,それからセンター試験のとき,AO入試のとき,もう何度も同じことが議論されてきたと思うんです。そのときに高校教育への影響として高校側から常に言い続けてきたことというのが,大きく2つあると思うんです。
 1つは,やはり高校でのしっかり学ぶ期間を確保してほしいということ。そのためにAO入試にしても,推薦入試のときにしても,それからセンター試験,共通一次の実施時期のときにしても,常に高校での学習期間を配慮してほしいということを言い続けてきました。
 それからもう一点は,やはり高校で学ぶことを尊重してもらいたい。これは提言の中でも,原則3のところで後略となっている部分にちゃんと書いてありますけれども,学力検査では,過去あったいたずらに難解な問題を出題しないような配慮,いわゆる難問,奇問の排除というようなことで,高等学校の学習指導要領に準拠してということでやってきた。そういう配慮が一番2つ大事だというふうに思っております。
 その上で,2つお話をさせていただきたいんですけれども,1つは英語民間試験の件で,これは先ほどの質問にもありましたけれども,何が提言されているのかというところがまず分からない部分は置いておいて,やはり実質的公平性の追求というところで,それがどのように追求されているのかと。追求というのは辞書を引くと,それを得ようとどこまでも追い詰めることと書いてあるのもありますけれども,これが英語民間試験を使わない入試区分を設けるということで解決したことになるのかどうか。
 その区分だって,例えば大学によっては,じゃ,入学定員のうち5人だけ英語民間試験を使わない区分を設けますよとか,そんな形式的なもので解決になっては受験生はたまったものではありませんから,そこはどのように担保されるのかということは,やはり全くこの提言からは読み取れません。
 それから,学習指導要領の整合ということについてもこれまでさんざん指摘されてきたことだと思うんですけれども,これは学力試験ではないですが,実質的には英語は教科で学んでいることですから,スポーツ推薦とかそういうのとは訳が違いますから,学校で学ぶこととの整合という点でこれまでも議論されてきたんですけれども,そこが解決できているのかどうか。学習指導要領と関係のない難しい英語の民間試験が,一部の勉強した子だけが受けられるみたいなことが,果たしていいのかどうかというようなことが議論されてきたと思うんです。
 それから,異なる試験の尺度についても様々な指摘があったと思うんですけど,それについてあまり触れられているところがないんですが,大学ごとの入試区分でそれぞれのAPに基づいて基準を設けるというのは,一見聞くと,何かなるほどという気がするのかもしれませんけれども,受験生にとってみれば,あっちの大学はこれ,こっちの大学はこれというのが複数の試験を比較する中で様々に示されて,混乱してしまうんじゃないでしょうか。だからこそ,‎CEFRの基準がいいのかどうかは分かりませんけれども,そういう議論があったんだと思います。その辺りの解決策というのは全然追求されていなくて,どこまでが決まったことで,どこまでがこれから考えることなのかということは,併せて伺っておきたいと思います。
 第2点目でございますが,ちょっと長くなって申し訳ないんですが,入試区分についてでございます。先ほど資料5でしたっけ,それから資料6で御説明がありましたけれども,入試方法を見直して,これまで一般選抜とそれ以外,それ以外は特別な入試なんだということで位置づけられてきたわけです。それを今回,一般選抜と総合型選抜と学校推薦型選抜に整理しますと。整理しますというと一見何か聞こえはいいんですけれども,一番根本的なところは,特別な選抜だから,これはあくまで入学定員の一部としてやってきたんですよと。
 冒頭お話しした,高校の学習期間を確保するという視点,AO入試のときにもその議論はあったと思うんですけれども,でも定員の一部だから9月から試験があっても,ある意味高校側はそれを我慢してきたという部分があるんですけれども,実際それが特別な選抜じゃなくて,一般選抜と総合型選抜と学校推薦型選抜は並列の普通の選抜になって,これが果たして入学定員の一部という部分が担保されているのかどうかというところがよく分からないんです。
 提言の中では,その原則の3で,後略のところに書いてありますけれども,大学・高等学校の関係者の合意によって決められた入試日程や学校推薦型選抜の募集人員の割合は遵守されるべきであるということで,この募集人員の割合というのは重大なことだったはずなんです。
 それについて,何かその「入学定員の一部」という表記がいつの間にかこそっと消えてしまうんでは,高校側としては,2学期のもう9月,10月,11月,12月のところで入試がスタートしてしまって,生徒が落ち着かないというような,高校教育をきちんと行わないまま入試が行われてしまうという状態を迎えてしまうことになると思います。この入試区分についても,その辺りのところをもう少し高等学校側に配慮していただかないと,高等学校側で混乱が起こるのかなと思います。
 以上,2点でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 続いて,安井委員,どうぞ。
【安井委員】
 ありがとうございます。ちょっとまた論点が違って,資料5の23ページの入試方法の黒丸の2つ目のところですけれども,「性別等の要因」という言葉とか,あるいは「例えば,理工系分野における女子等」というような言葉が書いてあるんです。これ多分平成元年だったと思うんですけど,大学入学者選抜の公正確保に向けた方策というのが文科から出されていると思うんですが,そこに合理的な説明ができないと考えられるというところに,性別というそれだけが入っていたと思います。したがって,その合理的な説明ができないと考えられるというふうに出ているものを,この予告の中に入れていいものかどうかということについて御検討いただければと。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 次は,圓月委員,どうぞ。
【圓月委員】
 圓月です。入試区分について少し意見と質問させていただきたいと思います。資料6で,通し番号31,32のところです。こちらに関しましては協力者会議の御提言を受け止めていただき,整理していただき,どうもありがとうございました。先ほど石崎委員のほうから定員との関係の御質問がございましたけれども,見直しのイメージとしてはずっと分かりやすくなって,いろいろ考えていただいたものと思っております。
 協力者会議でまとめるときにもう一つ問題になっておりましたのは,やっぱり学力検査という用語の定義の問題であります。これは次のページにもわざわざ,大学入学者選抜実施要項における「学力検査」というものを用意していただいているところから,十分検討していただいたものかというふうに思いますけれども,31ページに戻りますと,最初の入試方法(総論)のところで,調査書,学力検査,小論文,入学志願者本人の記載する資料等とあります。そうなると,例えば小論文は学力検査ではないのかとか,あるいは多面的評価をするとき,調査書や入学志願者本人の記載する資料では,何を評価し,検査しているのかということが曖昧になってくるわけです。
 今回いろいろな点で変わったのは,学力の3要素というものをどういうふうに評価するか,それがやはり多面的評価の一番大きな問題だったので,最後まで明確な形で共通理解が非常につくりにくかったところでもありますので,今回整理していただいたことに関しては感謝をしますけれども,この学力検査という用語,これについてはもう少し,どのような検討をなされたのかを補足説明していただきたいなと思って発言させていただきました。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 次は,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。改めてたくさんの御意見が出てきて私も戸惑っているところで,なかなかフォローできないところがあるんですけれども,一応私もあり方検討委員会と,それから多面的評価の協力者会議に加わっておりましたので,そこで長期間にわたって検討してきた結果の提言,あるいはまとめ案を,今回は実施要項,見直し予告等に溶け込ませていただいていることについて感謝申し上げたいと思っております。
 その上で,改めて今の先生方のいろいろな御質問について,私も賛同するところも多々ありますけれども,御承知のように長期間にわたって検討した中で様々な御意見が出てきて,それをまたもう一度,復習のように出てきたような気もせんでもないわけですけれども,これからそういうものを受けてこの協議会でどうやっていくのかというところを,改めて確認しておく必要があるんではないかなと感じております。
 もう一度最初から議論をやり直すということ,また予告が遅れることにもなりかねないので,その辺りの整理というのはまず本日,あるいは次回もまたこれはあるのかもしれませんけれども,きちんとおやりになっていただければと思った次第でございます。
 内容については,いろいろな方々のいろんな御意見,また今までの議論の集積というのがございますので,結論としてはどうなるかはまた分かりませんけれども,一応最初にどなたかがおっしゃられましたけれども,ここの協議会で今後どういう具合に進めていくのかというのは,改めて共通認識を我々は共有したほうがいいんじゃないかと思って発言させていただきました。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは長塚委員,どうぞ。
【長塚委員】
 ありがとうございます。私立中高連の長塚でございます。
 先ほど高校側の先生方から随分意見が出ましたが,私ども私立中高連も同じ高校の立場からでございますので,少し意見させていただきたいんですが,全高長さんは在り方協議のほうで,一緒になっておまとめになっていたというふうにもちろん思っていたんです。そしてまとめていただいたものが,この英語の資格・検定のことなどについての方向性であると思っていたんですが,先ほどの御質問などを聞くと,まとめに対して合意をしていなかったのかなと聞いておりました。
 このまとめは在り方協議で相当時間をかけてやっていただいたもので,それでもいろんな課題はありますけれども,基本的にその方向性に沿っていかないと,この協議会でもう一度議論するわけにいかないだろうと思っております。
 実施要項のイメージの10ページですか,資格・検定等の成績の活用について。これはもういろんな実績がある中で,特に英語についてもそうですが,これは活用されているわけですので,大学側が受入れ方針に沿ってこの活用を考えていく。あるいは高校のほうでも私どもは,4技能についてしっかり教えるということ,学んでもらっているということがあるわけですので,これを評価してもらおうというこの方向は,やはり外せないなというふうに思っております。できるだけ大学もその活用をしてほしいなと,私ども私立のほうではそういうふうに以前から思っておりました。
 それから入試全般の区分の整理,これも分かりやすくまとめていただいたと思っておりました。今までの実施要項は非常に分かりづらい表記になっておりましたけれども,そもそも多面的・総合的評価をするのが入試改革の根幹にあるというところから始まっていると思います。
 必ずしも一般選抜が中心であるというふうに私どもは思ってもおりませんでした。現に私立大学は入学者の半分を推薦や総合型で受入れているわけでございますし,むしろ多面的・総合的評価をする入試となれば,一般選抜という限られた時間の中でできるものではないだろうと思えるわけで,そういう議論も随分してきた経緯がありますので,推薦を50%までの受入れということもかねてから決められておりますし,総合型選抜は募集人員の枠は定めていないわけですよね。
 ほぼ全員が総合型になってもいいという流れでこれまでも来ているわけですので,あまりこの一般選抜が中心でそれ以外がごく一部である,そういう認識は持っておりませんでした。ここは御意見があるのかもしれませんが,そういう中で,総合型の選抜が本来の入試改革の在り方ではないか,また高校側の教育の在り方にも合致するんではないかというふうに思っているところでございます。
 もう一点だけ,先ほど観点別評価の問題が出ましたので,この件に関してちょっと触れたいんですが,確かに今回調査書には当面の間記載しないということになりましたけれども,多面的評価の会議の中でも話題になったことです。高校生が,大学に入学後にその指導要録の写しなり抄本を高校から提出できる,例えば中学校から高校へこの抄本が送られてきたりするようにですね。
 上級学校へ入学後に指導要録の写しが送られることは問題ないんだろうということについて,今まで実施はしていなかったけれども,今後,大学側も高校の指導要録の観点別評価を検証するということであれば,入学後にそういうこともできることについてどこかに記載されるようなアナウンスがあれば,そういう検証にも役立っていくんではないかなと思っているところでございます。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。ほかに御意見,御質問ある方ございませんでしょうか。よろしいですか。
 多くの委員の方々から,多岐にわたる御質問や御意見をいただきまして,柴田委員の御意見に関して,この協議会の位置づけということですけれども,私が答えるべきかどうか分かりませんけれども,あり方会議において今後の大学入学者選抜に関する大きな方向性については,大学・高校関係者の間で合意ができた内容というふうに理解しております。その一つとして,毎年検討が必要なこととか,提言にも書かれておりますけれども,より中長期的な入試の在り方についてはこの協議会で検討を深めていく,そういうあり方会議の提言を受けたのが,この協議会の役割だろうというふうに思っております。
 それで私の理解の限りでお答えすると,まず,3つの入試選抜方法の整理ですけれども,これについては石崎委員のほうから,これまでは総合型,学校推薦型は特別な選抜で,全体の入学定員の一部だけれども,全て同列になったんではないかという御意見,御質問がございました。これも提言の中では,全体の入学者選抜の中でそれぞれの入試区分の特色を生かしていくべきだという提言がされております。
 また,一方で長塚委員からも御指摘がございましたけれども,各3つの区分の定員については,学校推薦型についてはこれまでどおり50%を上限とするということ,これはずっと生きているかと思います。国立大学では,学校推薦型と総合型選抜を含めて50%までというガイドラインをつくっているところでございます。これについては今回明示的に実施要項の中に書かれていないという御意見だったと思いますので,また引き続き検討してまいりたいと思います。
 それから,英語の総合的評価とか記述式については,あり方会議がそもそも大学入学共通テストの枠組みの中で実施することについての可能性といいますか,課題について種々御意見を伺う中で,共通テストの枠組みでは難しいという結論に至りました。しかしながら,記述する力とか総合的な英語力というのは学校教育でも大学教育でも社会に出てからでも重要である,これについては御反論される方が一人もいなくて,ただどこで評価するかというと,共通テストでは様々な課題があって,特に格差の問題とかがあって無理だということになりました。
 では,その重要なこの2つの能力をどうやって評価すればいいのかという点に関しては,やはり個々の大学の個別入試でそれぞれが工夫して評価すべきであるということで,共通の認識ができたというふうに私は理解しております。その際,ここに出ておりますけれども,受験生間の格差に対応しては,不公平にならないようそれぞれの代替案を示すということも示されております。これは基本的には各大学のアドミッション・ポリシーに基づいて,使う,使わない,使う場合はどうするのかということを明確にしていただくことになっているかと思います。
 また,英語4技能の試験会場とか受験料の問題については,提言の28ページの(3)に,文部科学省のイニシアティブによる試験団体及び高大関係者による恒常的な協議体の設置ということが提言されておりまして,今後英語の4技能の検定試験団体並びに高校・大学関係者等によって,この資格・検定試験が,できるだけ公平,平等な形で受検できるのかということを検討していくことにもなっているかと思います。
 それから安井委員からの性別についてですが,これは医学部の入試についての御指摘だったと思うのですが,あのときは当該大学の入学者選抜において,性別で合否判定することは合理的な判断の根拠とはいえないということで,性別は合理的ではないという指摘がされたんだろうというふうに私は理解をしております。
 また島田委員の御指摘について,多面的評価に関する協議体の中でもいろいろ御意見があったところですが,今のところは,今日事務局から御説明があったような判断が最終的には圓月主査の下で提言されたということで,それに沿った形で,今回事務局のほうから御提案いただいたということになっております。
 ほかに事務局から何か補足できることがございましたらお願いします。
【前田大学入試室長】
 大学入試室長でございます。先ほどちょっと杉本先生から御質問いただいた件でございますけれども,どこまでどうやって何をこれからやっていくのかということも関係しますが,例えば英語民間試験の活用を,今回各大学に促すということでございますけれども,先ほどいろんな民間試験の検定料という話もございました。今回お示ししたのは,各大学のアドミッション・ポリシーに基づきまして,資格・検定試験を利用しない選抜区分を設けるとか,あるいはそのいずれか有利となる選択をする,不利にならない形で配慮を求めるということが1つでございます。
 ただ,国のイニシアティブも必要でございますので,先ほど川島先生からもお話がありましたけれども,関係者からなる恒常的な協議体の設置,この中には検定料の減免でございますとか,高校会場の設定,オンライン受験システムというようなことで,経済的事情への配慮,これはこの問題として進めていかなきゃならない,そういう御提言をいただいておりますので,そういった意味から申し上げますと,これはこの選抜協議会の下での恒常的な協議体という意味なのか,今後何をやる必要があるかというのは整理してお示ししたいと思いますけれども,あり方会議の御提言につきまして,これは1年半かけて関係団体の先生方に徹底的に議論していただいて,大臣に手交されたものでございますので,実施要項に反映する際の表現の仕方については御議論があろうかと思いますけれども,その精神,内容,本質的なことにつきましては,もう一度議論するような性格のものではないと事務局としては考えております。
 これから,今岡先生から御質問がございました,このイメージ案で申し上げますと,選抜実施要項の14ページのところの英語の「また」,このつなぎの部分でございますけれども,これは提言に忠実な形で再度ちょっと検討を,もう一回考えてみたいと思います。
 それから調査書の様式でございます。島田先生から御質問いただきましたけれども,長塚先生から補足がございましたが,入試に活用せずに調査書に記載するか,そういった議論も中にはございましたけれども,入試に活用しないんであればそもそも調査書に書かないじゃないかという議論もございまして,実証研究ということで,これは私ども国も含めて,どういったやり方があるかというのを事業を立ててやっていきたいと思っております。期限,いつまでやるかについても,これはたくさん議論があったんですけれども,なかなかめどについて現時点で示すことができないんじゃないか,ただ早期にということだけは書くべきだろうということで,そういった提言の報告書になっております。
 それから入定の一部が担保される,これは石崎先生から御質問いただいたものでございます。今の選抜実施要項のイメージで申し上げますと,ちょうど改定部分2ページ,通し番号で申し上げると6ページです。これは「入学定員の一部について」と現行にございます。ですから一般選抜のほか,入学定員の一部でございますので,一般選抜はやるということが前提になっております。
 その上で学校推薦については5割までということになっておりまして,いずれにせよ組合せとしては,一般選抜,学校推薦型,AOであっても,一般選抜は中にはまずやるということでございますので,今,先生が御指摘いただいた,いわゆる入学定員の一部という,こういった歯止めのような規定でございますけれども,少し御意見いただきましたので,また検討して,次回どんな形でお示ししできるか考えてみたいと思います。
 それから,安井先生から御指摘があった医学部でございますけれども,これは今の選抜実施要項には,合理的な理由がある場合を除き,性別,年齢,現役・浪人の別といった属性等を理由として,一律な取扱いの差異を設けてはならないということでございますけれども,今回お示ししたのは,例えばとして理工系の女子でございます。
 これは男女参画の観点でございますとか,実際工学,理学について,入学者の割合がほかに比べて低いというデータがございますので,多様性を図る観点から入れておりますということと,それから医学と違いますのが,医学は特に最初から男女を分けますとか言わずに,もともと入試を普通にやって,後から合格者の入替えとかということをやっておりましたので,そういうのは一律の取扱いの差異にもちろん当たりけれども,合理的な説明はできますかということでそういう表現になっておりますので,少し局面は違うのかなと思っております。
 それから,圓月先生から御質問いただきました選抜方法の区分の整理の中の32ページにございます学力検査の定義でございますが,先生がおっしゃるように小論文,これはもちろん一般的な捉え方で申しますと,もう学力検査ということになるかもしれませんが,今の要項上の整理ですと,学力検査はこの共通テストと個別学力検査であるというふうになっております。
 その他の評価方法として,小論文,面接,それから資格・検定試験,志願者本人が記載する資料ということで,これらを活用して多面的・総合的に評価するという点は同じでございますけれども,要項上,丸3番,丸4番,丸5番,これが学力検査ということは,今まではそういう規定になっておりませんので,そこは要項上整理するとなると,相当大きな議論になろうかと思いますけれども,今回お示ししているのは,あくまでも要項上に沿った整理の案としてお示ししているものでございます。
 それから,柴田先生から御指摘がございました,ちょっと杉本先生の御指摘ともかぶりますけれども,今後文科省で何をするのか,どういったことが中長期的検討課題で,ここで何を議論すべきかというのは,整理してお示ししたいと思っております。例えばあり方検討会議で御指摘いただいておるのは,将来的な入試日程の在り方でございますとか,秋入学の選抜方法についてといったことも御提言されていますので,整理をしてお示ししたいと思っております。
 事務局からは以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。柴田委員,石崎委員,手が挙がっていますが,何か御質問,御意見ございますでしょうか。
【石崎委員】
 どちらがしゃべる。私,しゃべっていいですか。
【川嶋座長】
 柴田委員も手が挙がっていますけど。
【柴田委員】
 石崎先生,どうぞお先に。
【石崎委員】
 ありがとうございます。今御説明いただいた会議の審議についてなんですけれども,あり方検の提言を尊重するということは私も一定程度理解はしておりますが,第1回のこの会議のときに,私は最後に,このあり方検討会議とこの会議の関係について御質問させていただいたので,議事録を確認していただきたいんですけれども,そのときに前田室長がお答えになっているのは,「あり方検討会議でございますが,今まだ審議中でございます。これはいずれ結論を得ることになろうかと思いますけれども,令和6年度,つまり令和7年1月の共通テストでございますとか,そういったものの予告の通知は,この選抜協議会において御議論いただく必要がございますので,あり方検討会議の審議を踏まえまして,また再度,この選抜協議会のほうでお集まりいただきまして御議論いただくことになろうかと思います」と御説明いただいたので,私はそういうふうに理解していたんですけれども,今の説明だと,決まったことだからもう何も言うなと聞こえるんですが,それでは何かだまし討ちにあったような気がしてしようがないんですけれども。
【前田大学入試室長】
 よろしいでしょうか。
【川嶋座長】
 どうぞ。
【前田大学入試室長】
 先生がおっしゃるように,あり方会議の提言は提言でございます。ですので,あり方会議の提言をどのように選抜実施要項に書いていくのか。あり方会議の提言の文言をそのまま書くと,入試の選抜要項としてふさわしくないもの,あるいは内容として適当でないものがあろうかと思いますので,そういった意味であり方検討会議の提言を踏まえて,大学入試選抜実施要項の中でどのようなことを考えることができるかを御議論いただきたいということを申し上げております。したがいまして,あり方検討会議の議論をもう一度ここから差し替えるという趣旨ではないことは御理解いただければと思います。
【川嶋座長】
 柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 先ほどから度々出ております学力検査の定義でございまして,先ほども32ページに分かりやすいスキームが出ておりましたけれども,度々話題になっているんですが,この学力検査と言ったときの学力が,いわゆる学力の3要素といったものとはまた別種の非常に限定的なものになっているという具合に私は考えております。
 極端に申しますとこれは,学習指導要領に定義された教科・科目の到達度を見るのが,ここでいう学力検査という具合に読めてしまいまして,現在我々が多面的・総合的で見る3つの学力というものとは,ちょっと違和感を感じているところでございますので,その辺りも押さえておく必要があるんではないかと。以前たしか山本大学入試センター理事長とも,少しこういうやり取りがあったような記憶がしておりますので,今後の理解といいますか,議論を整理するためにも必要なのではないかと改めて感じた次第でございます。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 それでは,杉本委員,どうぞ。
【杉本委員】
 先ほどの資料4-1の観点の抜粋についてのお答えがないので,重ねてお伺いしたいことがあるんですけれども,高校3年時の2回に限るという英語民間試験の利用の仕方について,繰り返しますが,提言の22ページでは,英語成績提供システムの見送りの段階では2回までと限定していたけれども,経済的に困難な生徒が不利との指摘があったという話をしていて,これに対しては否定的に書いてあるんじゃないかなというふうに読んでいます。
 しかし,26ページのところに書いてある,高校3年時の2回に限るというような一律の方法によるものではなく,分かりやすい形で受験者に示すことが適当であるということは,この高3,2回ということは関係ないよというふうに読めるんです。相反することが2つ書かれているので,2回ということを外している,あるいはどのような形で英語民間試験を使うかということについては,これから議論するという認識でよろしいでしょうか。
【川嶋座長】
 すみません,この22ページに書いてあるのは,共通テストの枠組みの中で2回,4月から12月まで,これはよろしくない,ですからもうこれは除きますといいますか,そういう考え方はしないということです。26ページは各大学の御判断でというので,2回に限定するものではない,そういうことは一律に決めることはできません,各大学の合理的な判断でという趣旨で書かれていると思います。
【杉本委員】
 じゃ,もう一度よろしいですか。では,提供システムの枠組みでないならば,これを外しても先ほどの課題は解決されていないと思うんですが,そこのところの議論はもうしないということなんですか。これはもう大学任せにしてしまうと。
【川嶋座長】
 提言としてはそういうことです。各大学のお考えで,なおかつ合理的な説明をした上で,受験できない受験生については別の代替案を示すなどして,できるだけ不公平にならないように検討をお願いしますというのが,この検討会議の提言の内容だと思います。
 ほかに。柴田先生,お手が挙がっていますけれども。
【柴田委員】
 その点につきましては,国を含め,実施団体等でいろいろ協議して,格差が広がらないようなシステムを模索するという提言が入っていたように思いますので,恐らくそちらのほうで不平等が起こらないような措置を御検討になるんだと思いますけれども,それが実効性があるようなものになるまでは,各大学でやはり配慮して対応するしかないんじゃないかなという具合に私は理解しておりました。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。先ほど私も指摘しましたように,28ページの(3)に,今後,文科省のイニシアティブで設置されるであろう協議体,これは先ほど前田室長も御説明になったとおりです。
 石崎委員,どうぞ。
【石崎委員】
 入試区分の話なんですけれども,先ほど総合型選抜は書いていないから100%になってもいいんだみたいなお話もあったんですが,それが果たして高等学校教育を尊重していることになるのかどうかということは,ぜひ原則に立ち返って考えていただきたいと思うんです。
 もう一つ公平性という観点でまた言わせていただくなら,総合型選抜が9月から始まるわけで,高等学校の中でも中高一貫校のように,もう高校2年生,それから高校3年生の夏休みまでに全部終わっちゃって受験できますよというところと,それから,高校1年生から入学して,高校3年生で新たな科目の勉強を始める学校とあるわけですけれども,そこの学校間でも不公平が生じるということになりかねないんです。
 9月のときに受験できる学校なんて,高校から入学した学校ではないですよ。2年半で高校の勉強の内容を全部終わらせろということですから,それが果たして高等学校教育を尊重することになるのかどうかということをよく考えていただいて,書いていないから100%でいいんだという乱暴な議論が行われては,とても高校側は納得できるような話ではないと思います。
 以上です。
【川嶋座長】
 ありがとうございます。
 これは私の考えですけど,そういうところも含めて大学が志願者のいろんな背景を考慮して評価しなさいというところにかかってくるんだろうと思います。だから一般選抜ですと試験の点数だけで決まってしまうけれども,総合型選抜だと様々な観点から大学が志願者を評価して,自分のところの大学にふさわしい学生を選抜できるというのが趣旨だろうと思います。
 長塚委員,どうぞ。
【長塚委員】
 すみません,私が申し上げたことで刺激を与えてしまったようですが,国立大学などは共通テストの結果まで見て,総合型選抜,あるいは推薦型選抜をする大学も多いわけですので,9月に決めてしまえばいいということではなくて,共通テストまで視野に入れて,多面的・総合的に評価するという入試が望ましいんではないかと。そういう意味では,筆記試験などの学力検査を含めたものまで入れたということにおいて,高校の学びの全体を評価してくれるような入試が望ましいと考えられますので,そういうふうに意見をしておりますので,念のため申し上げました。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。
 杉本委員,どうぞ。手短にお願いします。
【杉本委員】
 いずれにしても受験の早期化が加速するというふうに私は受け取りましたので,その点の懸念を十分御理解ください。
 以上です。
【前田大学入試室長】
 よろしいですか。
【川嶋座長】
 じゃ,前田室長,どうぞ。
【前田大学入試室長】
 すみません,入試方法,今画面に映っているものでございますけれども,石崎先生の御質問に対して申し上げました,一般選抜のほかという規定が今ございますので,この改正案のイメージは,それを取り払おうという意図ではございません。
 ただ,今ある現状の一般的な選抜というのはこうなっていて,こういうふうに入試方法(総論)と具体的な入試方法に分けたほうが,分かりよい実態になっているんじゃないかということでお示ししているものでございます。ですので,ちょっと石崎先生から御指摘いただいたのは考えてみたいと思います。
 一方で総合型選抜,学校推薦型選抜が重要だということは,それはそれで提言からもいただいておりますので,そういった趣旨も総合的に考えますと,こういった一般選抜とそれ以外ではなくて,こういった併記するような形でやるのも,それに応える形になるのかなと思っております。
 それから,杉本先生から御質問いただいた,何をもってこの資料4-1を作成しているかということでございますけれども,基本的にはまず要項を見て,提言の中身が全て要項に入れるべきものと反映しないほういいんじゃないかというものがございますので,つまり例えば文科省のイニシアティブで会議をつくるとか,そういうのは要項に書くことではないものですから,要項を見ながら今回の提言を見たときには,3原則,これは要るだろうなということでございますとか,記述式,それから英語の民間活用,地域,経済的な配慮といったものが必要だろうということで,抜粋してお示ししているものでございます。
 以上でございます。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。本日はいろいろ多様な御意見をいただきましてありがとうございました。
 予定した時間も過ぎておりますので,本日の会議はこれにて閉めたいと思いますけれども,様々な御意見をいただきましたので,事務局におきましては今日いただいた意見を踏まえて,各大学や教育委員会等へ発出する令和7年度大学入学者選抜実施要項の予告の原案の作成を進めていただきたいと思います。
 最後になりますけれども,今後の日程についてアナウンスをお願いします。
【前田大学入試室長】
 次回でございますけれども,7月26日月曜日,また夕方になってしまって恐縮でございますけれども,5時から7時ということで,今回先生方に,取りわけ実施要項でございますが,たくさん御意見をいただきましたので,一旦こちらで整理いたしまして,御審議をお願いしたいと思っております。
 それから,これは本日の御意見を踏まえまして,先生方にももちろん事前にお送りいたしますし,関係団体のほうにもお送りさせていただきたいと思いますので,団体推薦の先生方におかれましては,推薦団体との御調整をお願いできればと思っております。
 また,これは非公開で今回もやってございます。審議途中の情報でございますので,不確定情報が提供されますと大きな影響がございますので,前回同様情報開示についてはよろしくお願いしたいということと,あとはプレス等から問合せがございましたら,文科省のほうに聞いてくれということで回していただければと思います。
 以上,事務局からでございます。よろしくお願いします。
【川嶋座長】
 ありがとうございました。次回も17時から開催ということで,本日も予定の時間をオーバーして,遅くまで御審議いただきましてありがとうございました。引き続き御協力のほどお願いしたいと思います。
 本日の協議会はこれにて終了したいと思います。ありがとうございました。

── 了 ──