「国立大学法人ガバナンス・コード」に関する協力者会議 議事要旨

1.日時

令和3年3月29日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 令和2年度「国立大学法人ガバナンス・コード」への適合状況等の報告の確認について
  2. その他

4.出席者

委員

上山委員、江戸川委員、里見委員、武井委員、増江委員

オブザーバー

内閣府、国立大学協会

5.議事要旨

○里見委員
・事例集で良い例や悪い例を示したため、各大学が好事例に似た形で報告の仕方を変えていくと思う。これにより、皆が似たような大学になってしまうのではないかと懸念している。各大学のミッションやあるべき姿に対して、どれほど近づいて行けたかという観点から良い事例を取り上げることによって、各大学が特色を出すことが出来るようになると思う。是非そういう視点を取り入れてほしい。


○文部科学省
・各法人のミッションやあるべき姿を捉えた形で事例を収集し、お示しできればと考えている。


○上山委員
・「トップ研究大学」「ローカル大学」等、各大学のミッションに応じたガバナンス・コードの在り方について、ガバナンス・コードの見直しの際には考えていくことになると思う。
・ガバナンス・コードは、イギリスの例を見ても大学が自律化していく過程の中で、社会の負託に答えようとしない大学が出てきた時に、大学の自律性を保ちながらどのように行動の変容を促していくかということを導くためのもの。このため、原則に適合していない事例は公表していくことが重要であると思う。
・ガバナンス・コードは確認のプロセスを通じて、それぞれの大学のガバナンスについて、内部から意見を呼ぶこむメカニズムを有している。今後、ガバナンス・コードが守られているかどうかによって、各大学の経営協議会や理事等がどのように機能しているのかという視点でチェックしていくべきであろうと考える。
・(文科省からの報告において、)比較的多くの大学があまり上手く出来ていないと報告されているが、どの程度の大学が出来ていないかよく分からないと思った。一回目なので、うまく適合出来ない大学もあったと思うが、問題はそのような大学にどのようなプロセスで周知をしていくかということ。
・ガバナンス・コードは文部科学省、内閣府、国立大学協会がタッグを組んで作成した。特に国立大学協会は国立大学全体と意見交換をする機関であるから、国大協が今回の結果をどのように受け止めて、大学の自治・自律性を認める中で、ガバナンス・コードの役割や今後の方向性をどのように考えるか問われていると考える。


○文部科学省
・ガバナンス・コードに完全なものはないと考えている。国立大学法人は第4期に向けて、様々な検討を進めており、今国会でも国立大学法人法の改正案を提出しているところ。今後、法案の状況や大学ファンドの在り方も踏まえて国立大学に求められるガバナンスも変容していくと考えるので、それらも踏まえてコードの見直しについて考えていきたい。


○江戸川委員
・報告書の冒頭に経営協議会・監事による確認の結果を書くのは、ユニークな取組。監事が監査報告書の手前で色々な意見を述べたことを公表するのは他の制度には見られない。心配もしていたが、結果的には良い形で機能したと感じた。
・事例集について、適合状況等の報告の書き方の事例集になっている。重要なのは各大学の取組の中身について、好事例を記していくことであると考える。
・特に各大学が悩ましいのは補充原則1-4②「経営人材の育成」であるとか、補充原則3-1-1①「経営協議会の審議をより充実させるための取組」等があると思う。これらは、今後のガバナンス強化や大学のミッション達成のために重要なポイントになると思うので、今回の事例集にも東京大学の事例があるが、こういった原則に対する具体的な記載に関する事例がもっとあると大学が参考にしやすいと思う。
・事例集に取り入れるかは検討の余地があるが、各大学のコンプライ・エクスプレインの状況を統計的に見ていくのも良いのではないか。例えば、原則ごとのコンプライ状況を示すことで、各大学がどこで適合が難しいと考えているのか見えてくると思う。


○文部科学省
・今回は第一回として、短い期間の中で、各法人には、今できる範囲の議論をいただいたものであることは御理解いただきたい。今後、各法人の中で議論を活発化していただくための一助として、今回の参考資料等を使っていただければと思っている。
・事例集の改善については、次年度以降、御指摘の趣旨を踏まえ対応を検討させていただく。コンプライの状況についても、ガバナンス・コードの見直しを検討するに当たって必要になると思うので、情報を分析した上で、御相談をする。


○増江委員
・事例集を示すと次の報告の際には事例集を参考にして作成するため、報告書は綺麗になると思うが、実際にガバナンスが足りていないところを議論するエンジンをどう作るかが重要。
・学内で議論は行うことが前提だが、学外で大学と国立大学協会や文部科学省が議論をする場があったほうが良いのでないか。コーポレートガバナンス・コードでは機関投資家が報告書を元に企業と議論をする場がある。


○文部科学省
・御指摘のとおり、綺麗な報告書を作ることが最終目標ではないと考えている。また、経営協議会や監事における議論を活性化することが重要であると考えており、監事協議会と意見交換させていただく機会があるので、その場でも監事の皆様にお願いしたいことを率直に伝えていきたい。学外での議論の場については、国立大学協会と相談をしながら、やり方について考えさせていただく。


○武井委員
・今回、85の各大学がご自身でいろいろと考えて頂いたことの意義は大きい。今回はコロナ等もあって大変な時期があっての初回で、次回もまだ2回目なので、次回の確認も今のやり方を大きく変えるというより、各大学で色々と考えてお答えを出していただくということが基本になるのだと思う。
・事例集のうち、課題のある事例において、各大学で考えた過程をより書き下してもらうよう指摘しているが、そのようなメッセージを送ることは重要。経営協議会や監事の確認に関する記載部分をより深めていただくことも考えられる。
・いくつかの原則には「コンプライ・アンド・エクスプレイン」という選択肢があるものもある。「コンプライ・アンド・エクスプレイン」として追加すべき原則や補充原則があるか今後検討することはあり得るかもしれない。たとえばご指摘のあった経営協議会の実効性について、たとえば原則3-1-1②を「コンプライ・アンド・エクスプレイン」の対象に追加するか議論する余地があるかもしれない。
・また、コロナの状況下でいかに良い教育するか等、大学を取り巻く諸課題に対する前向きな取組みについても、今後さらに検討を深めることがありえるのかもしれない。


○文部科学省
・経営協議会や監事の意見を記載するのが「国立大学法人ガバナンス・コード」の大きな特徴。それだけ、経営協議会や監事の役割・期待が更に高まっていくものと考える。今後、経営協議会や監事にどのようにアプローチしていくのか考えていきたいと思っている。
・ガバナンス・コードの見直しについては、第4期中期目標期間が令和4年度からとなっており、その間様々な制度改正も予定されている。このため、第3期中期目標期間の最終年度となる来年度は現在のガバナンス・コードを基本としながら進め、その先にどうあるべきかということは先生方の御意見をいただきながら改めるべきことは改めていくことになる。その際に「コンプライ・アンド・エクスプレイン」の項目に追加すべき原則についても検討していきたいと考える。


○国立大学協会 山崎副会長
・金沢大学は全項目について、どうコンプライしているかを別の様式で説明した。
・ガバナンス・コードは、義務感で守らなければならないからやっているということが重要なのではなく、これを機に各大学がそれぞれのミッションに応じてどう変わるか、どう活用するかが重要であり、そうなるように導いていただきたい。
・事例集を見て、書き方を真似するのではなく、皆が守れていない原則について、各大学が検討するためのQ&Aのようなものを文部科学省に作ってもらいたい。その際に、各大学の独自性を潰さないことが重要。国立大学協会も努力するのでお願いしたい。


○文部科学省
・国立大学協会とも協力して各大学にとって、意味があるメッセージを出せるか考えていきたい。


○内閣府
・大学ファンドの検討を専門調査会で進めている。そこでもガバナンスの在り方について議論をしているところ。新しいガバナンスの在り方が示された際にはコードの見直しが必要になってくると思う。今ある形を変えるのか、別に作るのかなど、皆様と議論をしていきたい。
・受け手にとってわかりやすいという観点と大学の負担も考慮しながら、大学ファンドを踏まえたコードの在り方については検討していきたい。


○文部科学省
・負担をかけず、分かりやすくということが重要であると考えるため、その点も心に留めながら各大学に活用いただける良い方法を検討していきたいと考える。

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