「全国学生調査」に関する有識者会議(第13回)議事録

1.日時

令和7年7月30日(水曜日)13時30分~15時30分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 令和6年度「全国学生調査(第4回試行実施)」の結果公表について
  2. その他

4.出席者

委員

河田悌一座長
安達 励人、大野博之、大橋隆哉、小方直幸、小林浩、 小林雅之、高橋哲也、田中正弘、福田眞作、山田礼子の各委員

文部科学省

(事務局)安井高等教育企画課長、寺坂高等教育政策室長、花田高等教育企画課課長補佐ほか

オブザーバー

 濱中 義隆氏

 

5.議事録

(1)報道発表資料について
【河田座長】  それでは所定の時間になりましたので、全国学生調査に関する有識者会議の第13回目を開きたいと思います。御多忙の中、また今日は、私は京都から来たんですけれども、猛暑で、しかも津波のアラートが出たりして大変な中ですが、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日は、現時点での非公開の情報であります令和6年度の全国学生調査(第4回試行実施)の結果について議論するため、全国学生調査に関する有識者会議運営規則の第2条第1項第2号に基づいて、非公開で行いたいと思います。
 本日は、対面出席とウェブ出席のハイブリッドの形式で開催させていただきます。
 それでは、議事に入る前に、事務局の土田企画審議係主任のほうから御連絡事項をお願いいたします。どうぞよろしく。
【土田高等教育政策室主任】  ありがとうございます。本日は、対面とウェブのハイブリッド形式の会議を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手のボタンを押していただき、座長から指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言ください。また、御発言後は再度挙手のボタンを押して、表示を消してくださいますようお願いいたします。また、発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど、御配慮いただけますと幸いでございます。
 また、7月15日付で事務局に人事異動がありましたので、御報告いたします。
 高等教育企画課長として、安井課長が着任しております。
【安井高等教育企画課長】  安井でございます。よろしくお願いいたします。
【土田高等教育政策室主任】  また、高等教育政策室長として、寺坂室長が着任しております。
【寺坂高等教育政策室長】  寺坂でございます。よろしくお願いいたします。
【土田高等教育政策室主任】  事務局からは以上でございます。
【河田座長】  はい、ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと存じます。
 本日は第4回の試行実施、その調査結果がまとまりましたということでございますので、前半で調査全体の公表資料案について議論をいたしたいと思います。それから後半では、各質問の事項において、参加大学の上位の学部、あるいは学科を一覧化したポジティブリストというのをつくっていただいたので、それについて議論を行っていきたいと存じます。
 それでは、事務局のほうから、公表される資料案についての御説明をお願いいたします。
【土田高等教育政策室主任】  ありがとうございます。事務局から御説明させていただきます。
 御手元に資料1を御用意ください。
 資料1は報道発表資料の案でございますが、簡単に内容を御説明させていただきます。
 1ページ目の上のほうにありますとおり、第4回試行実施は令和6年10月28日から令和7年3月7日まで約4か月の期間を設け、各大学が開催しやすい時期を選んで実施するという形を取っております。
 調査の対象等について、1ページ目の中ほどにございますが、参加したのは540大学及び132の短期大学で、対象となった学生は、学部の2年生、それから標準修業年限における最終学年生、すなわち、4年制大学であれば4年生、医学部等であれば6年生、それから短期大学の2年生です。
 調査方法としましては、第3回試行実施と同様のインターネット調査に加え、参加大学が実施する学生調査の中に、本調査の質問項目を設定する方法を新たに設け、参加大学が調査方法を選択できるようにしておりました。
 2ページ目を御覧ください。質問項目につきましては、大学で受けた授業の状況ですとか、大学で経験したことの有用さ、大学教育を通じて知識や能力が身についていたかどうか、それから授業に出ていたか、どのくらい出ていたかというような1週間の生活時間等、合わせて全33問という構成になっておりました。
 続いて、2ページ中ほどにあります、全体の回答状況について御説明いたします。まず、回答率については、大学の回答率が13.1%、短期大学のほうは38.0%となっております。大学、短期大学ともに、前回の第3回試行実施から回答率が上昇いたしました。大学の回答率が依然として低い状況にはございますが、13%ということで、一定の回答数というものは確保できたと考えております。集計基準に合致した学部数については、大学は811学部、短期大学は106学科となっており、3割から4割しか集計基準を満たさなかったという状況です。学部別の回答状況等の分析に当たっては、本格実施では、さらに全体として回答率を上げていく必要があると考えてございます。
 また、3ページ目から5ページ目は、大学、短期大学、それぞれ設置者、規模別の回答状況を掲載しております。後ほど御覧いただければと思いますが、第3回試行実施と同様、規模が小さいほど回答率が高いという状況でございます。
 6ページ目を御覧ください。今回から、参加大学において調査方法を選択できることとしておりましたので、調査方法ごとの回答状況を掲載しております。調査方法の2、大学独自の学生調査の中に本調査の質問項目を設定するという方法を選択した大学の回答率は、従来実施しております調査方法の1、すなわちインターネット調査の回答率を上回っている状況となっております。また、回答者数は前回から約3万人増加していることから、回答者数の増加及び回答率の向上の効果があったのではないかと考えております。
 なお、大学、短期大学の両方において、調査方法による大きな差異はほとんど見られませんでしたので、御報告させていただきます。
 それでは、7ページ目からは、個別の質問項目の回答状況について、ポイントのみ御報告をさせていただきます。
 問1は、大学に入ってから受けた授業で、次の項目はどれくらいありましたかという項目です。Qの6、「課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却される」という項目については、「よくあった」「ある程度あった」というポジティブな回答が約半数となっております。こちらの質問項目については、自由記述でも、第3回試行実施と同様、課題を提出したがフィードバックがなく、何が間違っていたのかが分からないというような記述が見られました。この点は前回も指摘している点であり、依然として課題だと考えております。
 続いて、8ページ目の問2を御覧ください。こちらは「大学在学中に経験した以下の項目はどの程度有用だったと感じますか」という質問です。Qの10、11のインターンシップや海外留学については「経験していない」という割合が高くなっておりますが、この割合については、前回調査からは僅かですが減少しております。
 続きまして、8ページ目、問3を御覧ください。こちらは、大学教育を通じて知識や能力が身についたと思うかどうかという質問です。Qの13、21、22など、専門分野に関する知識や幅広い知識、ものの見方等の質問はポジティブな回答が多くなっておりますが、Qの18、外国語を使う力の項目では、「身に付いた」もしくは「ある程度身に付いた」というポジティブな回答が約4割となっております。
 続きまして、9ページ目の問4を御覧ください。これまでの大学での学び全体を振り返って、どのように思うかという質問です。
 10ページ目にグラフがございますが、Qの27、大学での学びによって自分自身の成長を実感しているという項目について、「そう思う」もしくは「ある程度そう思う」と答えた学生が85%となっております。前回からも増加しており、自身が成長を実感できているという点で、一定程度、大学教育の意義があるのではないかと考えております。
 続いて、10ページ目中頃、問5を御覧ください。こちらは授業期間中の平均的な生活時間についての質問となっており、授業への出席や卒論の執筆と、学年によって状況が異なりますので、2年生と4年生を分けて掲載しております。まず、2年生のQの28、授業への出席に関する質問については、週16時間以上の学生が67%という結果になっております。一方で、Qの30、予習、復習、授業に関する学習の時間については、5時間以下の学生が59%であり、週5時間、すなわち1日に1時間も勉強していない学生が約6割おり、授業に出ているけれども、予習、復習等の勉強をしていないという状況になっております。
 11ページ目を御覧ください。4年生については、Q28で、授業への出席が週5時間以下という学生が64%であり、Q30の授業に関する学習時間は、79%が5時間以下という状況になっております。
 以上、大学に関して御報告させていただきました。
 続いて、短期大学の結果について御報告させていただきます。
 12ページを御覧ください。短期大学については、大学と傾向は似ているようではありますが、前回の調査と同様に、大学よりさらにポジティブな回答が多かったという状況でございます。ポジティブな回答が多かった箇所について、簡単に御紹介をさせていただきます。
 12ページ目を御覧ください。問1では、全体的に「よくあった」「ある程度あった」の回答割合が高いという状況です。Qの6、「課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却される」について、「よくあった」「ある程度あった」が72%となり、大学より18%高いという結果となりました。
 13ページにございます問3では、Qの14の将来の仕事につながるような知識、技能が「身に付いた」「ある程度身に付いた」が合計95%であり、職業教育の成果が学生から評価されていると捉えることができるのではないかと考えております。
 14ページ目にございます問4では、Qの25、「授業アンケート等の学生の意見を通じて大学教育が良くなっている」では、「そう思う」または「ある程度そう思う」と回答した割合は72%と、大学よりも20%高く、大学と比較して、より学生の意見を踏まえた教学の改善を学生が実感できていることが見てとれると考えております。
 以上が、短期大学に関する御報告です。
 続いて、これまでの試行実施との比較についてでございます。19ページに、下半分辺りに文章で記載しておりますが、問5の学習時間に関する質問で、第2回、第3回試行実施から比較しますと、授業以外であまり学習をしていない学生が増加している傾向でございます。Q30にあります、予習、復習、課題など授業に関する学習(卒業論文は除く)の学習時間について、大学2年生で週5時間以下の学生の割合は、第2回が41%、第3回は49%、今回の第4回では59%であり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大期に増加していた学習時間が、減少している状況がうかがえるところです。このことについては、授業外の学習時間が減少している反面で部活やアルバイトが増えていること、また、人文分野、社会分野、教育、スポーツ分野が特に減少していることが分かりました。これらのことにも言及すべきかどうか、後ほど御意見をいただければと存じます。
 短期大学については、前回、前々回と比較して、問4のQの25、「授業アンケート等の学生の意見を通じて大学教育が良くなっている」について、「そう思う」「ある程度そう思う」の割合が高くなっております。このことについては、全分野において令和3年度の値以上となっておりますので、この点について、資料ではアンケートを通じた教育の質向上の取組が進んでいることが見てとれるとしております。
 以上が、今年度の結果に関する御報告でございます。
【河田座長】  はい。ありがとうございました。資料1に基づいて、細かな御説明がありました。
 ただいまの御説明を踏まえまして、まず第1番目に、調査結果全体の公表内容について、御意見、あるいは御質問がございましたら、委員の先生方からお願いをいたします。いかがでございましょうか。
【小林(雅)委員】  小林雅之のほうです。大学との併用で大幅に回収率が上がっているということですが、これの大学ごとの調査方法というのは分かりませんか。つまりウェブ調査なのか、紙調査なのかで大分違うと思うんですが、その辺りは何か情報はありませんでしょうか。
【花田高等教育企画課課長補佐】  恐れ入ります。その点については特段情報を取っておりません。
【小林(雅)委員】  分かりました。
【河田座長】  あと何か御質問、御意見ございませんか。
 はい、山田先生、どうぞ。
【山田委員】  ちょっと授業外学習時間について、私も先日日経新聞に書かせていただいたことがあるんですけれども、授業外学習時間が減少しているというようなデータが今回出ておりました。ただ、この5時間以下というのをどう見るかということになるかと思うんですが、実は私ども、2022年、2024年と、5か国地域の大学生の学習時間の調査もしたところ、決して、日本の平均というのは4.28という、これちょっと時間とは違うんですけれども、大体5時間程度なんですが、ほかの国と比べても低いことはなかったんです。ですから、基準をどこに持っていくかということがすごく曖昧なところになるんですけれども、ただし、例えば日本は、もちろん授業への出席時間とか、そういうものが他国と比べても極端に多いので、そうすると授業に出ていて、授業外学習時間が低いということは、確かに単位制からいったらそうなってくるんですが、他の国々はオンラインでの授業が多くて、多分オンデマンドなども多いと思うんです。そういうものを含めると、結局授業外学習時間というものをどういうふうに捉えるのかなというのが、日本が決して5か国地域と比べても低いことはなかったものですから、ちょっと悩むところなんですけれども、どうなんでしょうかということです。
【河田座長】  その辺について。濱中先生、何か。
【濱中オブザーバー】  その話は、先日もどこか別の場所で伺っております。金子元久先生に相談したら、そんなことはないんじゃないかと言っていました。特にアメリカについてですか、もう少し最新の調査の状況を見ないと何とも言えないですけど、むしろ今まで多かった諸外国のほうが減っているがゆえに日本と同じぐらいになってしまった、なっているというのが正しいところではないかと思うので、その辺についてはもう少し情報収集をしないといけないかなというふうには考えております。
【山田委員】  ありがとうございます。そうですね。他国が減少しているというのが事実だと思います。2022年からそういう傾向はありまして、ただ豪州は、オーストラリアは今回増えているんですけれども、米国はずっと減少傾向にあることは間違いないです。
【河田座長】  はい。ありがとうございます。ほかの先生方、いかがでしょうか。
 リクルートの小林先生、いかがですか。何かお気づきの点とか、疑問とか。
【小林(浩)委員】  ありがとうございます。この資料を見ていて、中身というよりは、私はこれを受け取った記者側はどういうタイトルをつけるんだろうなというのが非常に気になりまして、つまり、我々は調査をしている側からして、どういうメッセージをこの調査を通じて出しているんだろうかというところが、ちょっと今考えていたところです。山田先生のように、やっぱり授業時間がどうなのかという、世界と比べて出していく形なのか、それとも、やはり授業は満足度は高いけれども、フィードバックが足りないので、きちんとした、そういったフィードバックをもっとやっていくべきなのか、どういう視点に立って、この調査結果を我々は社会に向けて発信していけばいいのかなというのがちょっと気になりましたので、もし濱中先生とか、どういう視点でこれメッセージを出していくのかという視点がありましたら、多分これがひとりでにこう流れていくというのも、政策的な効果を考えたら考えていかなきゃいけないと思いまして。どうなんでしょうか、濱中先生。
【濱中オブザーバー】  答えるのはかなり難しいですけれども、同じ調査は何度もやっていて、しかもあまり結果が変わらないので、そういう意味では、一般的なインパクトは確かにちょっと薄れてきています。学習時間が少ない話も、最初に出した10年、もう15年ぐらいになるんですか、そのときのインパクトに比べると、結局少ないのかというぐらいでしかない。ただ、今日多分後半でポジティブリストの話をすると思うんですけれども、大学の序列というか、何となくみんなが、大学のブランドみたいなものとか、偏差値みたいなもので持っている序列と、実際調査で得られている学習経験に対する学生の受け止めみたいなものによる序列は、結構大きく異なっているんだということが、多分後半に出ると思うんです。むしろそちらのほうが社会的にはインパクトが大きい。ポジティブリストを見ると、確かに、ちまたで言われている教育改善に熱心な大学というのは、ちらほら名前が上のほうに出てきたりとか、専攻分野によって、どこに力を入れているかという特徴なんかはかなり明確に出ています。やはり具体的な個別大学名とセットで、どういう大学が努力しているのかということを情報発信していくところに、この調査の、もともとそういう意図があったと思うんですけれども、意義があるんじゃないかと、そういうふうに私は考えております。
【小林(浩)委員】  承知しました。多分この委員の先生方にも、もしかしたら取材が来るかもしれないので、そのときにどういうふうに私たちは社会に向けて発信していくんだろうなというのを、ちょっと違う視点ですが、聞きながら考えておったところです。ありがとうございます。
【河田座長】  この中で説明していただいた中で、短期大学の教育のパーセントが、4年制より何か高いような印象を受けますけれども、短期大学の教育の質が向上しているというふうに言っていいものかどうか、その辺、倉敷市立短期大学長の安達先生、いかがでございましょうか。
【安達委員】  ありがとうございます。安達でございます。
 私は素朴にこれを喜んでおりまして、まずは小規模で教職員と学生の距離が近いことや、職業教育を重視する、そういう短大の特徴がよく表れているんだろうなと。学生の評価はそういうことだろうなと思います。ただ一方で、先ほどの話とも関連しますが、社会の方はどうこれを受け止められるのかと。それは教育内容としては4年間のほうがはるかに充実していると考えるのが当然なところ、このような数字が出ているということについては、何らかのコメントがあったほうが本当はいいのかなと思いながら、今この結果を読ませていただいておりました。
 ちょっと雑駁な感想になりますけれども、以上でございます。
【河田座長】  ありがとうございます。
 それから回答率の問題、2ページのところにありますけれども、前回の3回の試行実施と比較して、回答率が上昇していたが依然としてパーセントが低いという、この辺りはいかがでございましょうか。何か先生方、お気づきの点がございましたら。
 大野先生、いかがでございますか。
【大野委員】  ありがとうございます。回答率を上げるのは、本当に本学、自分のところでやっているのにも苦労するんですけれども、やっぱりウェブで聞くというのは、一見慣れているようですが、よっぽど適切に学生にアプローチしないと、学生中心に考えると、様々なアンケートがたくさんありますので、ちょっとやっぱり回答疲れにならないようにすべきというふうに考えています。
 それから、短期大学関係者として、さきに安達先生のお話のとおり、大変丁寧に教育していることを学生が感じ取ってもらってありがたいと思っていますが、他方、やっぱり短期大学生が受ける受け止め方、ちょっとうまく表現できないんですけれども、それから学部生が受け止める受け止め方というのは、単に修業年限の違いだけではなくて、多分もっと違うファクターが入っているんじゃないかということを考えると、ちょっとにわかにもろ手を挙げて喜ぶことはいけないなというふうに反省をしているところでございます。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございます。
 あと設置者別で見ますと、国立大学、対象大学は82大学あるんです。そのうち回答率が15.2%ということなんですけれども、この辺り、国立と公立と私立と見ますと、公立は70大学、206学部で、回答が15.6%、ですから国立の82大学と公立70大学は大体15%台ですが、私学になりますと、388大学、対象大学あるんですけれども、そのうち回答率が12.3%で、私学がガクッと落ちちゃっているんです。この辺はどうしてなのだろうか、ちょっと私も長年私学におりましたけれども、この辺何か、誰かお気づきの点がございましょうか。
 東京都立大学の大橋学長先生、公立は……。
【大橋委員】  うちは公立ですが、うち自身これまで参加していなくて、本番でやっと参加することになるのですが、うちで見ていてもちょっと、先ほど大野先生言われたように、アンケート疲れ的な傾向は見られます。卒業生アンケートなどもウェブで楽に回答できるようにしたのですが、逆にいつでもやれるからというので何となく回答しないままほっておかれるようです。これで1つ気がついたのですが、この1と2、6ページにある調査方法を見ると、文部科学省のウェブで回答すると10.9%の回答率なのが、大学が実施する学生調査と組み合わせると34.9%と高くなっています。そういう意味でも、質問の数をある程度少数に絞って、まとめて回答してもらうというやり方は、結構回答率を上げるのに効いているのかなという気がします。
 取りあえず以上です。
【河田座長】  ありがとうございます。
 私立、私学が回答率が12.3で、ガタッと3%以上悪いんです。この辺、山田先生、私学に属される方としてどんなふうに感じられますか。同志社大学とはちょっと、もっと違う私学もありましょうから、一概には言えないですけれども。
【山田委員】  自分の、結局所属しているところも含めて考えてみたときに、私学、そうですね、だから、やっぱり熱心に教育改革を、小規模だったら小規模で、先ほど濱中先生もおっしゃいましたけれども、例えばトップダウンでできるような構造を持っているところというのは、非常にやっぱりそういうメッセージが学生にも、そして教員にも届きやすいところはすごくあると思います。ですから、それがやっぱり日々の活動の中に浸透していて、回答率の高さであったり、そして実際にアンケートをどう受け止めているのかとかいうところにも反映するんですが、やっぱりうちなんか大規模に入るんですけれども、大規模の中でそれを何百人もいる先生や、それから、もちろんマネジメントとしては必要なんですが、学生に浸透させる難しさみたいなものは、やはりあるのではないかなと思ったりいたします。
 だからポジティブリストを見たときにも、そういう印象をやっぱり受けたところございますから、その辺りはどうやって改善していけばいいのかなと思いますが、先ほど大橋先生がおっしゃったように、学生がウェブで自由に回答するということは絶対下がる傾向があると思うんです。ですから、大学の中の調査に組み込んで、それを上げていくというようなことが、一番大規模大学なんかでもできることかなと思ったりいたします。
【河田座長】  そうですね、私もそんなふうに感じております。
 はい。あと何か先生方から御意見ございましょうか。
 高橋先生、どうぞ。
【高橋委員】  結果としてはこの公表でいいかと思うんですが、まず回答率については、とにかく今回まだ試行というのはどうしても大きくて、各大学が、さっきもありました、自分のところの調査に質問項目を取り込むにしても、試行の段階ではなかなか取り込めないというところもあるので、そういう点では今後本格実施になって、私、大学IRコンソーシアムの一応理事とかをしているんですが、コンソーシアムのほうでも、今回本格実施に合わせて、全ての質問項目を文部科学省の全国学生調査に合わせて、回答、選択肢も全て合わせたので、コンソの調査に参加すれば自動的に全国学生調査に参加した形になるという形に変更しました。そういう点では、恐らくコンソ加盟大学の回答率は、40とか、50とかというレベルで、今回の全国学生調査のほうも回答率は上がると思います。ということで、多分これ本格実施になると大きく上がるとは思うんですが、ただ、とはいって、一方ではそれが30%あったらそれでよいのかというのはまた別かなというところなので、そこがどこまで上がれば、全国学生調査としてふさわしいというか、目指しているものなのかというのは、またちょっと議論が必要なのかなとは思います。
 それから学習時間のことは、はっきり言うと元に戻ったわけです。コロナ禍で、コロナ禍のときに、後ほどありますように、コロナ禍のときに部活動やサークル活動もあまりできなくて、アルバイトもできなくてというときに、授業外学習時間は増えていた部分が、その他の活動が当然増えた部分で授業外学習時間は減って、元に戻ったというのがこの状況かと思います。なので、ある意味でこれが日本の高等教育の中では、数字としてはこういうものなんだなと。これはコンソでやった調査でもずっと同じ傾向で、コロナ禍のときにかなり大きく増えたんですけれども、実際に今はもう戻っているかなというところです。
 それから、もう1個ありましたように、今後これをどう発信していくかのところは、濱中先生もおっしゃったように、ポジティブリストがついて個別大学の名前が出てくると、社会的な関心は非常に上がるだろうなと思います。これもこの後の議論だと思うんですが、その一方で、このポジティブリストが出てきて、そこに注目が集まるとなると、何かそこの結果を求める大学が増えてくるかなということはちょっと危惧があるかなと。そこはまた、ちょっとポジティブリストの出し方等については、またこの後議論いただければと思いますが。はい。大学、多分、恐らく個別大学のデータが出ないと、社会的注目はこれ以上集まらないかなとは思います。
 はい。以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。
 ということで、一応先生方の御意見を踏まえながら、公表に対して準備を文部科学省としてはやっていただくということで、修正する場合には一応先生方にも御連絡をして、そういう形で修正しますよということで、私のほうに責任というか、御一任をさせていただくということでお認めいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【河田座長】  それでは、そういう形でやらせていただきます。ありがとうございました。
 
(2)ポジティブリストについて
・ポジティブリストについて、事務局より資料2-1、資料2-2に基づき説明の後、審議を行った。また、資料の修正については、座長に一任とすることが了承された。

―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)