「全国学生調査」に関する有識者会議(第8回)議事録

1.日時

令和5年6月23日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 令和4年度「全国学生調査(第3回試行実施)」の結果公表について
  2. 今後の全国学生調査の実施方針について

4.出席者

委員

河田悌一座長
浅井 清文,安達励人,奥明子,小林浩,小林雅之,高橋哲也,服部泰直,両角亜希子,山田礼子の各委員

文部科学省

(事務局)柿澤高等教育政策室長,花田高等教育企画課課長補佐,渡辺高等教育政策室企画審議係長,平野教育政策室企画審議係専門職

オブザーバー

 濱中  義隆氏

 

5.議事録

【河田座長】  時間より二、三分早いですけれど、それぞれ先生方、御参加いただきましたので、全国学生調査に関する有識者会議の第8回目を開催したいと思います。皆様、御多忙の中、出席いただいて、ありがたく思っております。
 本日は、非公開の情報でありますため、この令和4年度、昨年度の全国学生調査第3回の試行実施になりましたけど、その結果について議論するために、この会議は、有識者会議の運営規則の第2条の第2項に基づいて非公開ということでさせていただきたいと思います。
 去年の10月にありましたので、ちょうど8か月たちますけれど、その間に調査も進みましたので、こういう形で今日は対面出席の先生方とウェブ出席の両者、すなわちハイブリッドの形式で開催いたしたいと思います。
 それでは、議事に入ります前に、事務局のほうから連絡事項についてお願いをいたします。渡辺係長、よろしくお願いいたします。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  事務局でございます。本日は御出席賜りまして、ありがとうございます。
 本日は、先ほど座長からもありましたとおり、対面とウェブのハイブリッド形式で行います。その会議を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手のボタンを押していただき、座長から指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言いただくようお願いいたします。また、御発言後は再度挙手のボタンを押していただき、表示を消していただきますようお願いいたします。また、発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど御配慮いただけますと幸いでございます。会議中不都合を生じることもあるかと存じますが、御協力のほど何とぞよろしくお願いいたします。
 また、今回の会議より、竹中洋前京都府立医科大学長が離任をされましたことに伴いまして、浅井清文名古屋市立大学長に、委員に御就任をいただいております。新しい名簿につきましては、事前にお配りしていますとおり参考資料4にございます。その他会議資料につきましては議事次第に記載のとおりでございまして、事前にメールでお送りしておりますので、御確認いただければと思います。
 以上でございます。
【河田座長】  ということで、よろしくお願いをいたします。
 今回の議題は2つであります。令和4年度の全国学生調査第3回目の試行実施、その結果の公表についてということ、それから、それを基にしながら、今後の全国の学生調査の実施をどういう方針でやっていくかという、その2つのことについて、先生方と議論をしたいと思います。
 それでは、第1番目の議事ということでございます。本日は第3回の試行実施の調査結果が取りまとまったということですので、まず、前半でその公表資料の案について議論をすると。それから、その後半においては、これまでの調査で浮かび上がってきた、いわゆる課題といいましょうか、それを踏まえながら、今後の将来的な全国学生調査の進め方などについて議論をしていきたいと存じます。
 それじゃ、また渡辺係長のほうから、公表資料の案について御説明をいただきたいと思います。大体15分ぐらいお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  改めまして、文部科学省の渡辺でございます。
 お手元に資料1を御用意いただければと思います。
 こちら、報道発表資料でございますが、簡単に内容を御説明させていただければと思います。
 今回の第3回試行実施につきましては、昨年令和4年11月28日から令和5年の1月20日まで、約2か月の期間を設けまして、高橋委員からも御指摘をいただいたとおり、大学が開催しやすい時期というものを1か月以上選んで実施をしていただくという形を取ってございます。
 それから、調査の対象等について簡単に御報告をさせていただきます。参加したのは、532大学及び148の短期大学で、対象となった学生は、学部の2年生、それから標準修業年限における最終学年生、すなわち4年制大学であれば4年生、医学部等であれば6年生、それから短期大学の2年生ということでございました。調査方法としましては、インターネット調査でございまして、スマートフォンやパソコン等で回答をいただきました。8割方の学生がスマートフォンから回答をいただいているという状況でございました。
 また、質問項目につきましては、そちらにございますとおり、大学で受けた授業の状況ですとか大学で経験したことの有用さ、大学教育を通じて知識や能力が身についていたかどうか、それから、授業にどれくらい出ていたか、どれくらい学習をしていたかといったような、1週間の生活時間等、合わせて全45問という構成になっておりました。
 それでは、1ページをおめくりいただきまして、こちら、回答状況でございます。
 まず、着目いただきたいのが、2ページの右上にございます回答率のところでございます。大学のほうの回答率が10.6%、短期大学のほうが27.9%となってございます。短期大学につきましては、前回第2回の試行実施とほぼ同等の回答率でございましたが、大学につきましては、前回11.8%だったところ、また初回の試行実施においては27%前後であったところから比べますと、回答率が下がっているというところでございます。ただ、10%ということで一定の数というものは確保できたと考えております。さらに基準合致の対象学部数を見ていただきますと、660学部、短大においては93学科となってございまして、どちらも3割ちょっとしか基準を満たさなかったというところでございます。学部別の回答状況等の検討を進めるに当たっては、こちらが上がってこないとなかなか有用な分析ができないというところでございますので、全体として回答率を上げていく必要があるというふうに考えてございます。
 また、1ページおめくりいただきまして、ここからは大学、短期大学、それぞれ設置者であったりですとか規模別の回答状況を掲載しています。
 基本的には、後ほど御確認いただければと思いますが、規模が小さくなるほどやはり回答状況が少しずつよくなっているというような状況でございます。
 それでは、少し飛びまして、6ページ、これから個別の質問項目の回答状況について御報告をさせていただければと思います。
 まず、問1番、大学に入ってから受けた授業で、次の項目はどれくらいありましたかということで、簡単に注目すべきポイントだけ御報告をさせていただければと思います。
 まず、Qの6を御覧ください。こちら、課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却されるというところでございますが、「よくあった」「ある程度あった」というポジティブな回答が約半数となってございます。こちら、学生さんからの自由記述でも、課題を出したのだけれども、それに対するコメント等がなくて何を間違っていたのかが分からないですとか、点数だけが返ってきていて、どうしてこのような点数になったのかが分からないといったような自由記述が多く見られましたので、やはり学生の学習を深める意味でこのような結果になったことは、前回もそうでしたが、課題だというふうに考えてございます。
 それから、おめくりいただきまして、問2でございます。こちら、大学在学中に経験した以下の項目はどの程度有用だったと感じますかというところで、まず、Qの12、卒業論文・卒業研究のところでございますが、こちら、10%の学生さんは経験していないというところであったのですが、その他卒業論文・卒業研究等を経験した学生のうちの77%が、「有用だった」もしくは「ある程度有用だった」ということで、やはり卒業段階においての最後のキャップストーン的な意味での学習ということで、卒業論文や卒業研究は意義があるものというふうに考えられます。
 また、Q15からQ17、18のところまでですが、インターンシップや海外留学につきましては、こちらは新型コロナウイルスの影響によってやはり経験していないという学生が8割から9割いるという結果になってございまして、前回調査同様、コロナで海外に行けていないとかインターンシップを経験できない学生が多かったということが明らかになっております。
 続きまして、問3でございます。こちらは、大学教育を通じて知識や能力が身についたと思うかという問いでございます。こちら、大学の教育ですので、専門分野の知識であるとか将来の仕事につながるような知識のところはかなりポジティブな回答が多くございましたが、Q26、27のところでございます。外国語を読む力・書く力、外国語を聞く力・話す力のところでは、「身に付いた」もしくは「ある程度身に付いた」というポジティブな回答が約4割ということで、英語は多くの大学で必修とされているところではございますが、なかなか身についたと実感をできるような状況にはなっていないということがうかがえます。
 続きまして、問4でございます。これまでの大学での学び全体を振り返ってどのように思うかというところで、こちらは、10ページでございますが、Qの38、大学での学びによって自分自身の成長を実感しているというところですが、こちら、「そう思う」もしくは「ある程度そう思う」と答えた学生が8割を超えるような状況になってございます。やはり、大学教育、高等教育を通じて自身が成長を実感できているというところでは、その大学教育の意義というものは一定程度あるのではないかというふうに考えてございます。
 続きまして、問5でございます。授業期間中の平均的な生活時間について問うたものでございます。こちら、2年生と4年生では、授業への出席状況ですとか卒論の執筆等、状況が違いますので、2年生と4年生、分けて掲載をしているところでございます。
 まず、2年生のQ39、授業への出席のところでございますが、週16時間以上の学生が69%ということで、多くの学生が授業をそれなりに取っていらっしゃるというところが、状況として浮かび上がっています。その一方で、Qの41、授業に関する学習の時間ですが、5時間以下の学生が49%ということで、週5時間、すなわち1日に1時間も勉強していないような学生というのが約半数いるということで、授業にも出ているけれども勉強をしていないという状況が浮かび上がってきました。
 また、4年生につきましては、そもそも授業に出ている学生さんが少ないということが分かってきています。こちらも御覧いただきますと、授業への出席が週5時間以下という方が63%ということになってございます。そのため、授業の学習時間というところも、77%の学生が5時間以下という状況になってございます。
 学習時間というところで見ますと、前回調査よりも、あまり学習をしていない学生というのが若干増えているというような状況でございます。こちら、考えられることとしましては、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業というものが増えて、そのときには課題等も増えたというような状況で、学生は宿題課題等をやる時間がある程度あったというところで、それがまた対面授業が戻ってきまして、その結果、学生の学習時間が少し短くなった可能性があるということが考えられるかと思います。
 また、おめくりいただきまして、12ページでございます。
 今少し申し上げましたが、オンライン授業と対面事業の関係を学生の授業の受講形態ということで問うています。
 こちら、結果としましては、対面授業の比率というのが77%ということになってございまして、コロナで増えたオンライン授業というものもまだ残ってはいるものの、対面授業を受けたという学生さんが多かったという状況になってございます。
 以上が、大学についての結果の御報告でございます。
 短期大学につきましても同様の傾向ではあって、さらにポジティブな回答というのが基本的には大学よりも多かったというところでございます。簡単に申し上げますと、短期大学ということで、職業教育ですとかキャリアに関する教育といった項目で、大学に比べて約10ポイントから20ポイント、ポジティブな回答が多くございました。
 以上が、今年度の結果に関する報告でございまして、最後に1点だけ申し上げますと、今回、45問ということで質問項目を御用意させていただいて調査を実施したところなのですが、学生さんからの自由記述で、まだまだ質問項目が多いというような自由記述ございましたので、さらに質問項目は精選していく必要があるかというふうに考えてございます。
 以上、簡単ではございますが、御報告でございます。
【河田座長】  ありがとうございました。丁寧に結果を報告いただいて、それぞれ数字もきちっと出ているということでございます。このことにつきまして、その公表する内容、その結果、あるいはいろいろ御質問もあると思いますので、御意見、御質問を自由に、40分程度出していただければと思います。いかがでしょうか。
 両角先生、いかがでしょうか。
【両角委員】  ありがとうございます。時期とかを少し長くして、大学が1か月とか選べるようにしたのですけれど、あまりそれによって回答率が上がったりしなかったなと感じました。その理由のようなことをどんなことが考えられるのかなという点については聞きたいなと思いました。
 もう1点は、コロナで課題が大変だという声が出たほど、授業外の学習時間が増えていたのが今回の調査では以前に戻った印象を受けましたが、その理解でよいのでしょうか。私たちが教員調査していたときはコロナ後も課題出すのがいいから続けよう回答が多かったので、授業外学習時間はもう少し多いのかなと予想していたのですが、意外にそうではなく、以前に戻ったというふうに私には見えたのですが、そういう理解でよいのか。以上の2点、教えていただければと思います。
【河田座長】  いかがでしょうか。時期を大学に任せたけれど、要望に応じるようにしたけれど、回答が大して増えなかったじゃないかということと、もう一つ、学生諸君の学習時間がコロナの前に戻ったんじゃないかということですけれど、そのことにつきまして、文科省のほうから何か御回答いただければと思います。
【花田高等教育企画課課長補佐】  1点目について回答させていただきます。全ての大学に伺ったわけではないんですけれども、幾つかの大学に確認させていただきましたところ、おおむねメールとかウェブサイトで周知されている大学がほとんどでございまして、特に工夫をしている大学というのは、後ほどこれはまた御相談するんですけれども、なかなか回収率が高まるような取組というのが、回収率が高い大学ではそこをやられているんですが、例えば学生を集めてそこで書いてもらうとか、入力してもらうとか、あるいはラーニングマネジメントシステム、LMSを通じて学生に周知をして回収率を高めるといったことをやっている大学もございます。そういったグッドプラクティスを各大学に今後周知していくということが必要かなと考えております。
【河田座長】  それからもう一つ、学習時間について、コロナ前に戻っちゃったんじゃないかということですが、それはいかがでしょうか。
【濱中オブザーバー】  濱中からお答えします。両角先生は御存じだと思うんですけど、5時間未満もしくは5時間以下という方が6割ぐらいになるのが、これまでの調査では大体そんな感じでした。コロナ禍で一番オンライン授業が多く行われた頃は、それが4割ぐらいまで減って、今回の結果、5割ぐらいなので、完全には戻っていない。学習時間はまた少なくなりだしていますけど、あの期間の経験で課題とかを出し続けている先生たちが多分それなりにいて、ちょうどコロナ前とコロナの真っ最中との中間ぐらいが今の状況だと。それは、この3回の試行実施の調査でも、おおよそそういう傾向が見てとれるというふうに思います。という感じでよろしいでしょうか。
【両角委員】  ありがとうございます。
【河田座長】  山田先生、どうぞ。
【山田委員】  参考までになんですけども、学習時間に関して言えば、実は私どもの研究グループ、国際比較をずっとしておりまして、2022年の7月に、日本、米国、韓国、台湾、オーストラリアの大学生、大学院生に対して、授業外学習時間、1週間で聞きました。その結果、意外に日本の学生さんは、5か国の中でも決して悪くないという結果が出たんです。
 例えば、濱中先生がさっきおっしゃったように、5時間までというのは、やはり50%をどの国も超えているんですが、ゼロ時間というところを見てみた場合、アメリカが18.6%、オーストラリアが12.9%、日本が8.6%、韓国7.8%、台湾5.1%となっていて、意外にゼロ時間というところに着目した場合、米国やオーストラリアの学生さんの学習時間が、2022年の7月ですから、ほぼコロナ禍で戻ってきているときを考えても、減少しているんです。
 一方、31時間とか非常にたくさん勉強する学習時間の数というのは、5か国、日本が低いというわけではなくて、台湾よりも高く、韓国よりちょっと低い1.8%ぐらいなんですけども、ほかの国のオーストラリアや米国と比べても高いほうに入るんです。
 ですから、ある意味で、もう5時間までというところで見ているというところで見ると減少しているのかもしれませんけど、ポジティブな面で見ると、学習時間がゼロというところは、5か国と比べても低くなっているというのが1つの特徴かなと。私どもの調査ではそういう知見が得られております。
【河田座長】  それなりに勉強しているということなんですか。
 あと、何かさらに、小林先生、どうぞ。
【小林(浩)委員】  小林でございます。御報告ありがとうございます。2点ありまして、やはりこの10%の回収率、私たちが民間で個別にやっても10%超えてくる感じなので、若干この大学を通じてやる調査ではもうちょっと欲しいなというところが本音のところだというふうに思います。その点では、多分この後の分析になるんでしょうけど、どこで離脱しているのかとか、問題数が多過ぎるのであれば、結構入り口のところでもう離脱しちゃうとか、名前入れるところで離脱するとか、そういうことも結構考えられるので、そこの手法を磨いていく必要があるのかなという1点と、もう一つは、今の山田先生が、ほかの国の調査と比較していただいたりとか、オブザーバーの濱中先生が、以前と比べるととおっしゃっていただいたんですけど、このデータ自体を何と比較して見ていくのかというのが重要なのかなと思っていまして、これが増えている傾向なのか減っているのかという経年の見方と、ほかの国とかと見るとか、企業なんかでもデータを過去と比較する、横と比較するというような三比主義みたいな3つの比較というのがあるんですけども、何かと比較して見ていかないと、なかなかこのデータだけを見て評価がしづらいんじゃないかなというのをちょっと感じました。
 以上でございます。
【河田座長】  ありがとうございます。どうぞ、濱中先生。
【濱中オブザーバー】  回収率については、10%が高いか低いかというのは結構難しくて、小林先生がおっしゃっているのは、配付した数に対して10%返ってくるという意味ですので、今回これが、対象学生数というのはそこの大学に在籍している学生をただ積み上げているので、実際に学生の下にこの依頼がわたったかどうかというのは確認のしようがないんです。
【小林(浩)委員】  なるほど、そこからなんですね。
【濱中オブザーバー】  恐らく依頼が行きわたっていない大学は結構あるだろうというふうに思われるので、調査の依頼が自分のところに来た人で回答してくれた人の割合というのは、実は倍ぐらいいても全然おかしくはなくて、通常行う社会調査の類いと、いわゆる有効回答の率というのは、そんなに変わらない可能性がある。むしろ届いていないところにかなりネックがあるのではないかと。
【小林(浩)委員】  なるほど、承知しました。これだけ見ると、ほかの調査を比較すると低いなというふうに見えてしまうところがあるかなと感じました。ありがとうございます。
【高橋委員】  よろしいでしょうか。2点、1つは、参加大学が、前回が、第2回が582で今回532と50減っているので、まず、これがなぜかというところが1つです。
 それからもう一つは、今、未達の話があったんですけど、多分、ログを取られているので、ユニークユーザー数、IPアドレスとかMACアドレスとかで、アクセス数は多分分かると思うんです。そうすると、全体の回答の数と比べて、ある程度は、途中でやめたという数も分かると思うので、それは出してもらったほうがいいかなと思うんですけどという2点です。もしそれが分かるなら、教えていただきたいと思って。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  事務局から簡単に御報告させていただきます。
 まず、582大学から532大学に減ったところにつきましては、これは前回の試行実施が令和4年2月の1か月間で行っていまして、今回、第3回が令和4年11月末からということで、大学にとっては9か月後に調査をやったということで、調査のスパンが短く同じ年に2度の調査の結果は必要ないというようなところを御判断されたものかなというふうに考えてございます。
 それから、アクセス数につきましては、こちら、データ自体は取っておるんですが、個別の大学ごとでしかなくて、集計にお時間をいただければと思います。
【高橋委員】  大学ごととのことですが、これは基本、大学が個人に配って個人が回答しているので、ウェブのアクセスを見ると、それぞれのIPアドレスとかMACアドレスというのが残っているはずで、違う人がやったら違うアドレスになっています。だから、今すぐは分からないと思うんですけど、少し分析していただければ分かるのではないかなと思いますので、どんな形でログが残っているかによってなんですけど、普通は分かるはずなので。
【河田座長】  文科省からお願いするときに、各大学は文科省からの依頼やということを大事だと思って、ちゃんと応えないのかな。あるいは、教育実習の時間とか職業指導の時間とかに学生を集めて、じゃ、これ、10分でみんな回答してと、そういう形での、そこまで細かに依頼はできないわけ。
【高橋委員】  大学の実態でいうと、恐らく多くの大学が、今、学生のポータルがあるので、そのポータルに載せて、途中で回答率とかも連絡来るので、それでまた、もう一遍リマインダー出したりとか、そういう形はどこもやっていると思うんですけど、個別の授業でとかになると、結局、誰か回答しているかも分からないので、何回も言ってしまったりもするのが分からないですし、そういうところは結構難しいかなと。
 あと問題なのは、そのポータル自体が恐らく学生がそんなに見ないという現実がありまして、そちらが多分課題なのかなと。大学も学生全体に対する通知というのをなかなかやり方が難しく、今、多くの大学がポータルに載せて通知して、ポータルを見るようにといってるのですが、学生は結構、もう今は自分だけに飛んできたものはちゃんと見るんですけど、全体に対してお知らせとかは見なかったり、毎日ポータルに入っていれば分かるんですが、二、三日しちゃうと画面の下のほうに行って見えなくなってしまいます。そういうところで、なかなか届いていないのかなというのが、大学の現場から見るとそんな感じです。
【柿澤高等教育政策室長】  高橋先生、ありがとうございます。恐らく、次の議題にもちょっと関わりが出てくるんですけれども、今高橋先生おっしゃったとおり、学生は一般的な周知のほうはなかなか見ないんじゃないか、自分に個別に来ればというところで言いますと、この全国学生調査自体は、実は調査に参加している大学も、自分の大学でどの学生が回答したとかということを分かっている状況ではないと。何%集まっているみたいなことも分かっているわけじゃないということなので、各大学が独自の教学IRのための調査であれば、どの学生が答えてどの学生が答えていない、じゃ、あなたたち、もっと答えてくださいとか、あるいは回答率が低い学部に発破かけるとかというのはできるんですけれども、今の全国学生調査の試行実施のフォーマットだと、それができないというところがございますので、次の議題にも関わってくるんですけれども、それができるような形にしていくということも改善点の1つかなということは、今の御指摘を踏まえて思った次第でございます。
【河田座長】  ありがとうございます。それじゃ、あと、桜美林の小林先生、いかがでしょうか。
【小林(雅)委員】  ありがとうございます。今話題になっていた、どういうふうに変化したかを比較するかという問題なんですけれど、私は第2回と第3回を比べるのはそれなりに意味があると思っていまして、この場合、先ほど話題になりましたように、若干大学数が減ったりとか性格が変わっているところはあるんですが、10万人も調べていますので、少なくともこの10万のオーダーでいうと、そんなに大きくは変わらないんです。かなりいいかげんな言い方になっちゃいますけど、大数の法則が働きますから、よっぽど変なことをしない限り、そんなおかしな結果にはならないんです、これだけ数を取ると。
 サンプルが変化しているということもないわけじゃないかもしれないけど、方法的には同じ形で取っていますので、何らかのバイアスが働いたとしても、同じような傾向のバイアスが働いて、そこはあまり考えなくていいのかなという気がいたします。ただ、これ、あくまで全体だけの話であって、数が少なくなってくると当然大きな問題になってきますので、その辺はもう少しきちんと見なければいけないと思っています。それが第1点です。
 その上で、それが正しいという前提で言いますと、出席とか自主的な学習とか、先ほど問題になっていましたけど、そういうのはあまり変わっていないんですけれど、明らかにアップしている項目が多いんですよね。これは、例えばコメントをつけられているのかとか、グループワークがとか、質疑があったとか、図書館とか、みんな第2回に比べると数%ずつアップしているんです。これがあまり、今言いましたサンプルの集団の変化というのはちょっと考えにくい。身についた能力も大体数%ずつアップしているんですよ。
 そういうことを考えると、大学はそれなりにコロナの中でいろんな学習方法を取り入れていくということもあって、素直に見れば、教育の効果がちょっと上がってきているのかなと見れないことはないと思うんですが、ちょっとこれは言い過ぎかもしれませんので、ほかの先生方の意見を伺えればと思っています。
 以上です。
【河田座長】  その辺、いかがでしょうか。特に短期大学は、4年生よりずっと回答率も、それから実学的といいましょうか、そういう意味でも、数値がよかったように思うんですけれど、その辺のこと、倉敷の安達先生、いかがでしょうか。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  奥先生、手が挙がっています。
【河田座長】  奥先生、どうぞ。
【奥委員】  ありがとうございます。私のほうも、今回の第3回の試行調査について、大枠のほうからお話しさせていただきますと、1回目、2回目、3回目の試行調査で、1回目のパーセンテージが一番大きかったんです。コロナ関係もあるので多少は減ったのかもしれませんけれども、まず、時期的にアンケートを取る、その時期を検討する必要があるのではないかなと思いました。大学4年生はもう1月になるとほとんど学校に来ませんし、自分にあまり関係ないと思ったらそれも無視する傾向がありますので、やはり1回目に取った11月から12月の20日ぐらいまでにかけて、学生たちが比較的大学に来るときを選んでやったほうがいいのかなと、時期的なものは思いました。
 それから、短大のほうは、回答率が比較的高いですが、小規模なところ、私のところも小規模短期大学ですが、この全国学生調査をするに当たって、Teamsで学生たちとは連絡を全部やっていますので、Teamsで何回も発信して、授業が終わってからできる人はやるということでやってきましたので、パーセンテージが、本学の場合、90%を超えて良い傾向にあるのかなとは思いました。やはり時期的なものをもう1回検討をしていただく必要があると思いました。
 それから、質問の内容に関しても、質問内容が多かったというアンケートが結構ありましたので、どういう質問に関して、あまり効果がなかったとか、あまり勉強にはならなかったとか、いろいろ意見がありまして、それもピックアップしましたので、またそれに関して、審議するときにはお話しさせていただきたいと思います。あと、授業評価アンケート、ちょっとこれだけはお話しさせていただきたきたいのですけれども、授業評価アンケートを各学校で慣例のようにやっている大学が多いと思いますが、この回答を通じて大学教育がよくなっているというアンケートの質問に関して、あまりそうは思わない、またはそう思わないと回答した割合が51%とありました。授業評価アンケートを取ったら、やはり教員のほうに評価内容を話して、また教員から学生たちにフィードバックして、授業の内容の改善するところは改善するという、そういうことでこれは始まったと思っています。また大学のほうでは、大学自体、特色を出すとか大学の強みを出すとか、先生方のレベルアップというと語弊がありますが、そういうことで改善方法を考えていただくと認識していました。授業評価アンケートというのは、そもそもの始まりはそういう目的だったのではないかと思います。学生たちに返ってこないという、そういうアンケートの回答が結構あったものですから、その辺のところも、大学の先生にちゃんと大学が渡してそれを学生にフィードバックしてとか、そういう方法を取っていただくという内容の質問も必要と思いました。
 いろいろありますけれども、あまり長くなるといけませんので、ありがとうございます。また、お話しさせていただきます。
【河田座長】  ありがとうございます。
 それに付け加えて、安達先生のほうから何かございますればよろしくお願いいたします。
【安達委員】  倉敷の安達でございます。ありがとうございます。今回、全国の調査の結果を頂く前に、本大は独自のデータを送っていただきまして、本大の担当者が、大変これは役に立つといって非常に喜んでおりますことを、まずお礼申し上げたいと思います。
 先ほどの教育効果のことについて簡単に申し上げますと、短大というか本学は実習とか演習の授業がかなり多いわけでございまして、例えば保育学科、幼児教育なんていうところを見ますと、実際にピアノを弾くとか、それから実際に赤ちゃんのお人形を抱いてみるとかいう体験が非常に大事でして、そうした五感を通した教育というのが、特に短大の場合ですが、うちの場合は非常に大事でした。コロナの頃、遠隔でやっていた場合、学生たちは、卒業後、そういう経験を経ずして現場に行くのを怖がっておりまして、でも、今はそういう体験できますので、先ほど小林先生がおっしゃっておられたように、対面が増えて、そういう意味では教育成果というか効果は高まったという、肌感覚のようなものは持っております。まだ細かい分析はできておりませんけども。
 ちょっと2つほど、御意見というか御質問をさせていただいてもよろしいでしょうか。
【河田座長】  もちろん、どうぞ。
【安達委員】  私、前回からこの会議に参加させていただいておりますので、いろいろ分かっていないのかもしれませんが、1つは、対象学生数についてでございます。先ほどの資料1の中で、対象学生数、短期大学ですと2万4,000人少々ということになっております。別の資料、参考資料というのが別途に付けてありまして、参考資料の1の中に、ずっと参加大学一覧、参加短期大学一覧というのがあって、そこにも対象学生数というのが出ておりまして、ぱっと見、数字が両方が違っておりますので、同じものでないんであれば、名称を工夫して変えていただいたほうがいいのかなというふうに感じております。短大のほうは、資料1のほうは2万4,000人ですけども、参考資料のほうは半分強ぐらいの数になっていると思いますので、そこら辺がちょっとどうなっているのかなというのが1つ、混乱を避ける意味でも、そこを変えていただければありがたいというのが1つです。
 それから、すいません、もう一つだけ、これは申し上げてもせんないのかもしれませんが、私どもが所属しております公立短期大学というのは非常に数が少ないわけでして、こういった資料で調査をしますと、サンプルが1というふうなケースが今回もございました。それは、クロス集計をしていただいている参考資料の中なんですけれども、設置形態別とそれから規模のクロスをした中で、公立短大はサンプル1ということになっておりまして、大学が特定されてしまうということが起きます。前回のを見ますと、前回の施行の2回目のときも同じことが起きておりましたので、これで仕方がないのかなと思いますけれども、大学名は公表しないというか、個別の発表をしないという原則がありましたので、どういうふうに考えればいいのかなというのを……。
 以上でございます。ありがとうございます。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  安達先生、失礼しました。
【河田座長】  ちょっと混線していた。
【安達委員】  お尋ねしたかったのは、対象学生数の中身といいますかと、それから、これはしようがないのかもしれませんが、大学が特定できてしまうようなケースがありますので、どう考えればいいのかなというのの2点でございました。失礼いたしました。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  すいません、短期大学のほうの対象学生数については、もしかしたら参考資料のほうは不備があったかもしれませんので、改めて確認させていただければと思います。申し訳ありません。
【安達委員】  ありがとうございます。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  それから、クロス集計等で対象となる大学が1つになってしまうというようなところなんですが、こちらは基準を満たす大学、短期大学がどうしても少なくなってしまうというところが原因としてあるんですけれども、最初に申し上げましたように、基準を満たす大学学部数というものを増やしていく、学部学科というものを増やしていくというのが私どもとしても重要だと感じておりまして、この今の回答率10.6%、短大の27.9%を上げていくときに、特定の大学、短期大学さんの数を伸ばすということではなくて、ボトムアップといいますか、それぞれの各大学が回答率を上げる、各学部学科が回答率を上げていくことによって基準合致する学部学科というものを増やしていく、そうしたことによって、先ほどおっしゃっていただいたような1学部1学科しか対象となる学部学科がないというような状況は避けられればというふうに考えているところでございます。
【安達委員】  ありがとうございます。
【河田座長】  もうちょっと時間がございますけど、あと、いかがでしょうか。浅井先生、すいません、どうぞ。
【浅井委員】  よろしいでしょうか。名古屋市立大学の浅井でございます。今回から初めて参加させていただきます。なかなか要領を得ないところがあるかと思うんですけども、アンケートを取っていただく時期のことで、たしか第2回は2月ぐらいだったと思うんですけども、やはり2月ですと、私ども医療系の学部が多いと国家試験と重なって、実は医学部ですと第2回のときは回答率が15%で、薬学部だと18%でした。自学の例ですけど。今回、期間を長くしていただいたことで、医学部が54%で薬学部48%という形で、少し時期を考えていただいたことで、数としてはそんな多くはないわけですけども、やはり回答率上がっておりますので、その辺り、今後配慮いただけるとありがたいのかなと思った次第です。
 すいません、私からは以上でございます。
【河田座長】  その辺はまた、時期の問題はこちらのほうでも考えさせていただくということで、ありがとうございます。
 あと、先生方の中で、島根大学の服部先生、いかがでございましょうか。
【服部委員】  服部です。ありがとうございます。今話題になっている回答率の件ですけども、実は本学も低くて、どうしてこういうことになったのか考えているのですが、結局この調査の有用性を学内に周知し切れなかったことが原因かなと。先ほど安達先生から、この調査大変役に立ったというお話いただきました。そういう感覚が肌感覚として各教員に伝わって、教員からも学生に伝われば回答率が上がるのかなと思って、そこの取組ができなかった。先ほどありましたように、メールとかポータルサイトで連絡するだけ、それだけだと、なかなか学生は動いてくれない。学生自身にメリットが見えることが必要と思います。
 こう考えると調査が軌道に乗るのに時間がかかると思います。調査結果が教員に渡る、大学本部が全学の状況を理解する、それによって教育改善がされて学生に返っていく。調査の効果が学生にダイレクトに届かないが、教育が改善されて、学生のメリットになることを理解してもらうことが大切。教員や大学執行部が、本調査の目的・効果を周知しきれなかったと反省しています。実際に調査結果を見ると参考になることは間違いないんです。これを各教員どこまでフィードバックを私たちができるか。教授会でこの結果を報告しただけではダメで、教育改善に対する学内の意識改革が大切と思っています。今までの議論を聞いていて、調査時期や、設問の数や仕方など、かなり考えて試行を3回実施してきました。それでも回収率が上がらないというのは、大学側の問題かと思ったところです。
 少し調査から外れてしまうのですが、Qの12で卒業論文について聞いていますよね。ここで77%の学生が「有用だった」「ある程度有用だった」と答えている。これは、ある程度理解できる数字と思います。ただし、そこからの結論が、文科省から今説明されたように、だから卒業研究は有効だった、これは大切だという結論は、私の中でちょっと違うんです。
 卒業研究が大変有効なアクティブ・ラーニングであることは間違いないと思います。先ほどの授業時間のことも考えると、すごく粗い言い方ですが、3年生まではあんまり勉強しなかったけれど、4年生になって、卒業研究ということで教員とフェーストゥフェースに近い環境で指導をいただく場になって、そこではもうある意味逃げられない状況で真面目に勉強する。そうすると、その真面目に勉強したということが、学生にとって肯定的なイメージを与えているのではないかと思います。
 だから、私も卒業研究は、典型的な主体的学習であり、すごく有効だと思っています。一方、ネガティブな面もあって、卒業研究があるがゆえに、教員が、卒業研究をするために必要な専門知を3年次までに教え込もうとする傾向があります。大学がタコつぼだといわれますが、先生方の研究のタコつぼ化もあるけども、実は教員個々による教育のタコつぼ化が深刻な課題ではないかと考えています。卒業研究についても一長一短があり、その在り方(大学の教育の質保証の根幹)の議論が必要と考えています。
 一つの考え方として4年目に卒業研究をしなくても、学部4年間しっかり幅広く学んで、6年一貫で学位プログラムを組み立て、大学院で専門的学びをするということもあるのではないかと考えています。従って、私はこのQの12の答えというのは、単純に卒業研究に対するポジティブな回答というよりも、卒業研究の中で体験した自分の学習に対する肯定的な気持ちだと捉えたいと思っています。
 この学生調査に関する議論とは外れますけども、この結果を見て、私の最近の悩みを話させていただきました。失礼いたしました。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。今の卒論の問題、卒業演習の問題、あるいはレポートをまとめて出す問題、この間、現場の先生方と話をしていると、このチャットGPTというのができて、最善の答えが出てくるんだったら、いわゆるレポートでテーマを与えても駄目じゃないかとか、それから卒業論文もチャットGPTに書かせたらどうするんだという話が出ましたけど、現在まだそれは問題になりませんけど、卒業演習があってよかったというのが、普通の我々人文科学やっている者にとっては、卒業してから会うと、あのときに初めて勉強したという学生も少なくないので、それぞれの分野によって違うかもしれません。余計なことを申しました。
 あと、先生方のほうから何かございませんでしょうか。小林先生、どうぞ。
【小林(浩)委員】  1つよろしいでしょうか。私、大学の外の人間なものでちょっと分からないことがありまして、先生方に教えていただければと思うんですが、問2の、Q14、15、16で、いろいろキャリアとかインターシップとか海外留学とかで、コロナの中でそういった経験ができなかったというのは明らかに全体で出ていると思うんですけど、このQ14の、キャリアに対する科目、キャリアカウンセリングを経験していないという子が4割近くいるというのは、これはどういうふうなことなんでしょうかという聞き方がちょっと分からなくて申し訳ないんですが、キャリアの科目とか授業とかというのは、ない大学がこんなにあるのかというというふうに読めばいいんでしょうか。教えてください。
【高橋委員】  これも大学によっても違うんですけど、科目がないことはないんですが、選択科目であって、必ずしもそれを取らないと卒業できないということはないというパターンが今非常に多いと思います。
 なので、関心がある学生はそういう科目を、いわゆる教育科目等でキャリアデザインとかそういった名前の科目を取っていくという学生はいますが、そうでなくて、結局、キャリアに関する科目なので、そういうのは取らずに単に就職活動だけやっていくという学生は、こういうところが全く、だから、この割合としては、こんなふうになってしまうというのは、そういうこともあり得るかなというふうに。
【小林(浩)委員】  そういう子は、キャリアカウンセリング自体も自ら動かないので、受けずに終わってしまうという形になるんですか。
【高橋委員】  それも場合に、これも理系とか文系とかでかなり違うと思うんです。理系のところは、割とキャリアカウンセリングをしなくても就職自体は問題なかったりもして、そういう人たちはそういうところにもあんまり行かないであることもあり得ます。ただ、昔に比べれば、そういうことは大分減ってきてはいるんですけどもというところかなと。
 その辺り、この辺は多分学部とかの中身で見ていくと、もう少し今言ったようなことが分かっていくかなと思います。
【小林(浩)委員】  分かりました。特徴的に、感覚的に多いなと思ったものですから、ありがとうございます。
【濱中オブザーバー】  追加してよろしいですか。確かに今回の試行実施は、1回目のときは経験なしが24%なので、ここ数年増えているんです。実は、この質問、もともと何でこれが入っているかというと、15年ぐらい前はもっと少なくて、平成何年でしたか、大学設置基準に、キャリア教育とは言っていないけど……。
【小林(浩)委員】  2011年ですね。社会的職業的自立という。
【濱中オブザーバー】  それを必ずやりなさいというふうに設置基準が変わった後に、この回答の「あった」という比率がぼんと増えたんです。要するに、経験していないという学生がうんと減ったんだけど、コロナのせいですか、また、ここはかなり初回の試行の結果と比べると変化しているので、少し何があったのかを調べてみる必要はあるかもしれません。
【柿澤高等教育政策室長】  ちょっと補足で、こちらの参考資料1に入れております資料編を御覧いただきますと、まず、学年によってかなり違うというところが、96ページなんですけれども、キャリアに関する科目、キャリアカウンセリングで経験していないという割合が、96ページの下から2つ目のところなんですけれども、2年生だと経験していない割合が48.8%、でも4年生以上だと経験していない割合が23.1%ということで、学年による違い。あと、今高橋先生がおっしゃられた分野による違いというものもかなりございまして、これについては164ページを御覧いただければと思います。164ページに、キャリアに関する科目、キャリアカウンセリングで経験していないというところを御覧いただきますと、人文で4.8%、母数が大分少なくなってきますけど……。これは短大のほうか。これは短大のほうです、すいません。大学のほうだと何ページ。62ページ、すいません、失礼いたしました。
 62ページのほうを見ていただきますと、いずれにしても、ここも経験していないというところが、キャリアに関する科目、キャリアカウンセリングのところで、学部によっても差があるというところが、当然医学なんかは経験していないの割合が高くなってきているというようなところあるのかなというところでございます。
【小林(浩)委員】  ありがとうございます。
【柿澤高等教育政策室長】  ほかに何かあれば。
【河田座長】  それじゃ、次のテーマ、今後の全国学生調査の実施方針についてということに進みたいと思います。
 事務局のほうで、これまでの3回の試行実施を踏まえて、議論するポイントを整理してくださっていますので、まず、そのことにつきまして、花田課長補佐のほうから御説明ください。
【花田高等教育企画課課長補佐】  失礼いたします。それでは、資料2のほうを御覧ください。
 これまでの試行実施を踏まえた改善案(論点)としてございます。
 先ほどから御指摘いただいている回答率というところが1点目、2ページ目以降に、大学独自の学生調査との整理・調整が2つ目、3つ目に対象学年及び実施頻度という形で、3つの観点で改善案としてまとめさせていただいてございます。
 まず、1ページ目に戻っていただきまして、回答率の向上でございますが、先ほどの説明ともちょっと重なりますけれども、試行調査の各回で、いずれも10%以上の回答率を確保できたと。これは、全国調査として97万人の学生から回答を得ているということで、一定程度、大学における学びの特徴や傾向といったものを把握できているんじゃないかというふうに考えてございますけれども、ただ、第2回以降、大学、短大ともに集計合致学部が30%程度ということで、下の表でございますけれども、1回目は65.3%ということで、回答率については27.3%でございましたが、2回目以降は、大学、短大ともに30%程度ということで、基準合致学部の割合も30%程度ということで、回答率も大学は10%、短大は27%程度という形になってございます。このことを踏まえて、全国調査としての、他大学の類似学部といったことも比較するといったことも、全国調査としては、そういった有用性を確保するということも求められていくということでございますので、全体としての回答率というのを、向上を進めるべきだということで、丸1から丸3までまとめさせていただいてございます。
 まず、丸1でございますが、学生の回答負担というのをやはり軽減するということで、質問数を一層削減するという形でございます。一部の大学からは20問から30問程度に精査してほしいというような声もございます。この下の表のとおり、1回目は36問ということで27.3%でございました。2回目は、新型コロナの影響を確認するために60問ということで増やさせていただきまして、回答率も11%ということで低下したということでございます。第3回では、質問数を削って45問にしたんですけれども、今回、時期的な、先ほど説明しましたけど、時期的な問題もございまして、10%程度に低下しているということでございます。この45問というのを、さらに、先ほどもあったように、学生からもまだ多いというような声をいただいているところでございますので、これをさらに削っていくということでございます。
 2つ目、丸2でございますけれども、実施時期について、先ほど御意見いただいてございますけれども、年度後半に幅広に期間を設定して、例えば11月から2月というふうに設定した上で、各大学において学生から回答が得られやすい時期に短期間で集中的に実施することを推奨してはどうかと。今までの下の表でございますが、おおむね1か月程度で実施してきていったということで、年度後半の11月から2月の間で実施してきてございます。多くの大学で1月末までがその事業期間というふうに設定されておりますので、基本的には1月を中心に期間設定してはどうかと考えておりますけれども、1月以降は入試業務ですとか学生の卒業研究の対応等で、年明け以降は忙しいということで、年明け前の11月から12月を希望する大学さんもいらっしゃいますし、医療系のほうでは、先ほどもありましたけれども、2月中旬に国家試験があるということで、それまでちょっと学生が忙しいということで、その後、2月末までを希望する大学も中にはございました。このように幅広いニーズございますので、11月から2月という形で幅広に設定させていただいて、その中で各大学に選んでいただくという形を取ってはどうかと考えてございます。
 丸3でございますが、学生への周知方法について、回答率が高い大学では、一般的な学生に対しての学内ポータルですとかメールといった周知だけではなくて、ゼミとか説明会といったのを設けていただくとか、そのように集まる機会を設けていただいて、教員から呼びかけていただくと。あるいは、学習管理システムLMSに専用コースサイトをつくっていただいて、そこに文科省が送っておりますURLを貼りつけて学生に周知すると。その専用コースサイト上であれば、アクセスしていない学生というのがログが残るという仕組みをつくっているような大学もございまして、アクセスしていない学生に対して催促をすると、そういった工夫がなされてございます。これ以外にも、様々な取組があると思いますけれども、そういったいい事例を各大学に例示してはどうかというふうに考えております。
 続いて、2ページ目でございます。
 (2)の大学独自の学生調査との整理・調整ということでございます。全国学生調査の質問項目というのは、既に多くの大学で、下の表にございますとおり、独自に調査把握が進められているということでございます。また、全国学生調査に参加していない大学では、こういった類似の調査がもう既にあるということを理由に不参加というふうにしている大学もございました。このことから、試行調査を実施した文科省が直接学生から回答を得るような方法も残しつつ、大学独自の学生調査において、全国学生調査の質問項目をそのまま入れていただくといった形で、全国調査としての共通性を確保しながら、大学がその調査結果を取りまとめていただいて文科省に回答すると、そういった方法も認めて、全国学生調査を今までの従来の方法と新しい方法ということで大学が選択できるようにしてはどうかと考えてございます。この場合、全国学生調査の共通設問という形で調査をした上で、イギリスでも行われている、NSSでも行われておりますけれども、大学独自の設問も設定するというような対応も考えられると思っております。ただ、その場合、全国学生調査としての共通部分の質問数やその内容というのは、精査が必要じゃないのかと考えてございます。また、全国学生調査と、こういった形で各大学の学生調査を一本化するということで、各大学の教学IRと一体的に運用するということも可能になります。それによって、回収率の向上といったことも期待できるんじゃないのかなと考えております。
 続いて(3)でございますが、対象学年、実施頻度でございます。第2回以降の試行路調査では、大学の学びを総括できる最終学年の4年生を対象にさせていただきました。ただ、当初は、この委員会においても、最終学年、なかなか回答率上がらないのではないかといった懸念もいただいてございましたが、大学4年生の回答率は、下の表にもございますとおり、2年生と比較しても著しく低い結果とはならなかったということから、本格実施においても、大学における最終的な学習成果を把握するため、大学の2年生、4年生を対象とするということでどうかと考えております。また、この場合、実施頻度というのは、調査に係る各大学のコスト、また、同じ対象学年を比較分析するということなども考慮して、隔年実施としてはどうかと考えてございます。
 こういった改善点を、どういった形で今後実施していくかという今後の予定でございますけれども、下でございますが、特に改善点の2つ目の(2)については、質問数や内容を精査するということも求められますし、また、今年度は既にもう各大学の独自調査、学生調査というのも進んでございますので、各大学における学生調査のシステム仕様の変更などにも対応するための周知期間をやはり十分に確保すると。その上で、全国調査として支障がないか確認する必要があるということで、来年度、令和6年度に改めて第4回の試行調査という形で行わせていただきたいと考えてございます。この第4回の試行調査という点については、この(2)に関してはかなりこれまでの調査方法を大きく変えるようなチャレンジングなものでございますので、本格実施の前にもう1回、試行調査という形で実施させていただければというふうに考えてございます。
 私のほうからは以上でございます。
【河田座長】  ありがとうございました。今、御説明いただいたように、改善案として、まず第1番目に回答率を向上させる、これが必要だろうということであります。その中で、回答の数をもうちょっと減らしたらどうかということ。それから、その時期において11月から2月ということでやっていますけど、これをどうしたらいいのかということ。3番目に、回答率の高い大学だといろいろきめ細かな説明をして率を上げているという、そういうことがあると。2つ目が、大学独自の学生調査を各大学でやっておられるので、そういう類似のものをどうするのか。これを取り込みながら独自のものもやっていただくようにすればいいかということです。それから3つ目が、対象の学年、最初は3年生でやったんですが、ここ2回は2年、4年、2年、4年でやってきたけど、それでいかがだろうか。そして、1年おきの隔年の実施をしたらいかがだろうか。そういうことでございますけど、このことにつきまして、先生方から、現場におられる先生方からもぜひ御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。約40分ほど時間が取れますので。両角先生、いかがでしょうか。
【両角委員】  ありがとうございます。いろいろ思うところありまして、回答率の向上のところは、もちろん質問数も大事なのですが、質問数が多くて脱落しているのというよりも、まず学生さんが回答するまでに至っていないんじゃないかと考えていて、質問数がそれほどクリティカルな問題ではないように思いました。この検討事項の中で一番本質的なのが(2)のところかと思います。
 東京大学の中でもいろんな独自の調査をしており、一部に関わっていて、この調査のことを聞かれることがあります。どの大学もそうではないかと思うのですが、自分の大学で独自にやっている調査について言えば、すごい回収率いいのです。大学側が本気で分析しようと思っているから必死に、いろんなルートを使って一番回収できる方法で実施する。だから、どの大学も本当は本気でやろうと思えばできるんだけれど、そこまでの意義をこの全国学生調査に見いだしていないというところが基本的な課題というか、難しさとしてあるのかなと思います。
 また、実際に独自調査をやっている大学がかなり増えてきているということを前提に考えないと、成り立たないなという気がしています。たとえば東京大学の場合は、調査項目もかなり似ているので、それを代替というか、それを入れるような形であればむしろうまくいくかもしれないと個人的には思います。例えば今回であれば、11月とか1月に、この調査で似た質問をされてしまうと、大学として継続的に実施している3月の卒業生のときに、学生さんが「あれ、似たような調査に回答したな」と思って、回答しなくなってしまうというようなことが起きてしまうと、大学独自でもっと網羅的に考えて実施している調査の回収率が落ちる可能性も考えられます。そのような警戒感があるから、文部科学省の行う調査だから参加を検討したいと思う大学があっても、独自で継続的に行っている既存の調査でいいデータが取れなくなることは避けたいという理由で悩んで参加しない大学が一定数、存在しているように感じています。ですから、そういった大学がこの調査に参加しよう、参加できるというような枠組みを考えていかないと、多くの大学は既に自分のところで必死にデータを集めていますので、そういう理由で乗れないのかなというふうに思っています。
 調査期間であったりとか、追加の項目を入れるのかとか、どちらの方式を採用する可能性もあると思いますが、御提案にも書いてあったように、どのような方式で行うのかも含めて、かなり早めにアナウンスしないと、それも含めて各大学設計をすることもできないと思います。各大学は計画的に調査のスケジュールを組んで実施していますので。いろいろ申し上げましたが、(2)のところが一番のネックなのではないかなというのが私の感覚です。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。私学のほう、奥先生、いかがでしょうか。手が挙がっています。
【奥委員】  大学独自の学生調査の整理・調整というのは非常に難しい問題で、本学でも大学独自の調査はしておりますけれども、ただ、様々な調査に対して、できるだけ学生の意識を高めるためにも協力しようという姿勢で、本学は、種々の調査に、基準協会の調査とかに、参加しています。ただ、文科省のこの調査も、ほとんど全員の学生に参加させたという状況ですけれども、かといって、大学の独自の調査が、それでちょっとマイナスになるというふうには考えたことはなかったものですから、むしろ私が問題なのは、調査そのものは実施するとしても、対象の月、いつ実施するかというところだと思います。それぞれの大学がそれぞれの事情を抱えていらっしゃるというのはよく分かりますが、医学部は国家試験が終わってからとか、また、経済とか法学、文科系の学部は、1月になるとほとんど学生が大学に来ないから、ただこういう質問項目を見ると、考えるのが嫌になって忍耐力がいるとか、いろんな問題が出てくると思います。全体的に、どういう形、どういう時期がいいかというのを学部によって変えることができないということであれば、今回の11月から1月末にかけてという幅広い期間を設けるのは1つの方法ではあると思います。しかしむしろ忘れ去られてしまうかなという、そういう危惧もあります。
 時期的なことももう少し検討する必要があると思いますし、その他いろいろありますが、私は、この調査すること自体は、特段大学にとってマイナスとは考えておりません。むしろ、調査の内容をもう少し精査を実施する必要があると思います。初めからやり始めても途中でもう疲れた、もうやめよう、そういうふうに考える学生もいると思いますし、考えること自体がもう忍耐力になってきていて最後まで到達しなかったとか、そういうケースもあると思いますので、それでパーセンテージが出てくるというのは、ちょっとどうなのかなというのもあります。内容のことも、もしまた次回参加させていただくということであれば、私は英語教育が専門ですので、英語教育に関してのアンケートの結果があまりよくなかったので、その辺のところをお話しさせていただければと思います。
 申し訳ございません、大した内容じゃなくて。失礼いたします。
【河田座長】  いえいえ、ありがとうございます。浅井先生、どうぞ。
【浅井委員】  浅井でございます。今時期のことが話題になっているかと思いますけど、本学は毎年学生に調査していますが、新学期始まってすぐに、卒業生以外は新学期が始まってすぐの時期に調査、前の年を振り返って書いてくださいということでアンケートを取っていると、意外に回答率が上がるかなと思って、最近はそれで行っていますので、そういう時期もあるのかなというふうに思ったりはしました。
【河田座長】  ありがとうございます。どうぞ。
【高橋委員】  両角先生がおっしゃったように、(2)のところが非常に大きい、今までと大きく変わるところで、これをするためには、最後に書いていますように、かなり事前の周知が必要になります。
 ただ一方、ここの参考にあるんですけど、正直、この調査でやっている内容はほとんどの大学が個別に聞いているんです。45問もあって、その辺りのコロナとかの話は別なんですけど、学習時間の把握とか学習成果とか、そういったことは教学マネジメント指針とかも出て、アセスメントポリシーとかプランとか、みんなほぼつくっていると思うんです。つくろうと少なくともしていて、その中で学生調査はほぼ必須のツールとなっているので、ほぼどこの大学学部でもやっているので、そこと重複というのは、どうしてもマイナスにならざるを得ないと。どうしたって結局同じようなことを2回聞くということになって、なおかつ、文科省のほうは当然個人情報がないのでほかのデータとひもづけができないので、そうすると大学はやっぱり独自で聞かなきゃいけないとなるので、それを重複しないようにするためには、ここの項目を必須の項目にできるだけ絞ってやった上で、各大学はそれに追加の項目を付け加える形で調査をして、文科省には必須の項目、ここの共通の項目を提出するという形を選択できるようにすると、恐らく回答率に関しては格段に向上するかなと思います。
 なので、できるだけそれを何とかできるように、それをするためにはかなり早めの周知が必要になってくるので、そこをちょっと考えないと、令和6年度といっても結構そんなに時間はないかなというふうに思いました。
 以上です。
【河田座長】  分かりました。重複せず、必須の項目だけをして、そして、その後に大学が独自にやると、そういう項目をつくれということですね。あと、いかがですか。
【濱中オブザーバー】  今の高橋先生の意見に基本的には賛成なんですけど、どの大学も類似の調査をやっているのはやっているんですけど、微妙に質問が違う。少なくとも質問が共通でないと、質問の仕方、それから選択肢を含めて共通じゃないと全国的な比較にはならないのですが、それを調整するというのはかなり大変な作業で、絶対こっちの訪ね方のほうがいいんだというふうな大学が出てきてしまうと、もうそれで議論が終わってしまうので、結構調整に時間かかることは確かです。
【高橋委員】  なので、どうしてもというところは独自で、今までやっていた文科省の独自のところで学生には答えてくださいと。だけど、ここでもうこれで合わせましょうという選択した大学は、そこで、全国学生調査の項目に自分の大学の項目を付け加える形で調査をすると。そこは、逆に言うと、どうしてもこだわりがあって変えられないという大学は独自のものをそのまま続けてもらって、全国学生調査もそのまま答えてもらうと。その選択をできるようにしたらいいんじゃないかなと。
【濱中オブザーバー】  なるほど。
【河田座長】  小林雅之先生、どうぞ。
【小林(雅)委員】  ありがとうございます。今の高橋先生のとちょっとかぶっちゃったんですけど、最初の独自質問をつくるというときのイメージは、この全国学生調査のほうに各大学が独自に質問項目を付加すると、そういうイメージだったんですよね。それをやると、今はもう質問数が限られてしまっているから、これ以上増やすのは相当難しい。各大学は、それじゃ満足するようなものにはならないという問題と、今、高橋先生が言われたように、ひもづけできないので、全く独自になってしまうという、そういう問題があるんです。逆のやり方というのも考えられないわけではないんだけど、つまり、各大学がやっている調査に、この全国学生調査を組み込んでしまうということですよね。その場合には、今、濱中さんが言われたように、各大学がそれでうんと言うのかどうかというのが非常に大きい問題になってしまって、それからもう一つの問題は、どうやってデータを、各大学は各大学で集計の仕方は、データの扱い、集計のやり方違いますから、それを全国的にどうやって集めるかという、どちらにしても非常に大きい問題があるんです。
 ですから、その辺り、文科省のほうの御提案はどっちなのかというのがよく分からなかったんで、そこの辺りはどのようにお考えなんでしょうか。
【河田座長】  文科省としては、いかがですか。
【花田高等教育企画課課長補佐】  今の点については、やはり大学に調査をまとめていただくということを基本的には考えてございまして、その際、共通項目、これはほかの大学ともベンチマークをしていくということが前提になりますので、質問の仕方、文言はそろえていただくというようなことが前提になると。それでやっていただけるということであれば、新しい方法を選択いただいて、取りまとめていただいた上でその共通部分を回答いただくと、そういった形で考えてございます。
【小林(雅)委員】  分かりました。ただ、その場合には、東大なんかわざわざ紙でやっているわけです。そのほうが確実だというので、先ほど両角先生言ったように回収率の問題とかいろいろ考えると、そのほうが完璧だということで、今のところはそれでやったりしているので、そうすると、データの集計をどうやって文科省が取りまとめるかというのは、かなり大変な作業になりますから、これはもしそういうお考えでやられるとしたら、その辺りのことは相当工夫する必要があると思います。
 それから、質問を統一するというのは絶対の条件ですよね。ですから、それについて各大学がうんと言ってくれるかどうかという、そういう問題だと思います。
【高橋委員】  ちょっとよろしいでしょうか。
【河田座長】  どうぞ。
【高橋委員】  小林先生もよく御存じだと思うんですが、大学IRコンソーシアムでは、今、そのデータはデータ用システムにアップロードするのは、基本的にはCSVで、各質問ごとに、Q1の1からQ1の2とかのところに、そこに1、2とか回答の番号を全部記入したものを、そのCSVをアップロードするという形になっているので、だから回答を合わせて、そのQを合わせてもらえれば、それに対してもCSVだけ文科省に出してもらうと。そのアップロードする場所とか仕組みだけつくればという形のものは多分できるかなと。それでもう10年以上やっていますので、そのフォーマットを各大学にダウンロードしてもらって、そこに入れてもらっている形でやっていますので、多分それでできるのではないかと。ただ、もちろん合わせてもらなきゃいけないんですけど。
【小林(雅)委員】  すいません、高橋先生、そのとおりなんですけれど、多分隔年でずっとやっていくという話ですよね、今のお話ですと。文科省としても、業者に任せるんじゃなくて、システムというのを持っていないと、とんでもないことになっちゃって、データの保管だとかいろんな問題が起きてくるんです。IRコンソーシアムは、まさしくそれでシステムをつくり上げているわけですから、その辺りどういうふうに考えるかですよね。ただ、文科省としてはIRコンソーシアムに乗っかるわけにはいかないでしょうから、最初からそういう問題になっていたことなんですけれど、結局どういうふうにデータベースシステムを構築していくかということは、よくよくお考えにならないとそういう問題が起きると思います。
【河田座長】  ありがとうございます。貴重な御意見、ありがとうございます。山田先生、どうぞ。
【山田委員】  ありがとうございます。私、小林先生とかなりかぶさっているところなんですけれども、2番の点、大学独自のところに同じ項目を入れてしまって、それを提出してもらうということが考えられることかなと思うんですが、先ほど花田課長補佐がおっしゃったように、ベンチマークという非常に大きな目的が、今回、この学生調査にはあると思うんです。そうしてみたときに、やはり何回も試行調査をしてきて、幾つかの大学をベンチマーキングをするときに、例えばこの領域とここを見てみたいとかというようなことを軽く、軽くというかちょっとやられて発表したりするところもあるかと思うんです。
 今回も7月にそういう関係でベンチマーキングをする大学の発表がございますけれども、そうすると、そろそろそういうことも視野に入れていくのか行かないのかということも、各大学で同じような項目を自分のところのシステムの中に入れていくとすれば、そこら辺、ちょっと考えていかなければいけない問題じゃないのかなと思ったりするわけなんです。実際に各大学、大学の規模にもよって違うんですけれども、IR部門がしっかりやって教学IRをしているところであれば、何のためにこういう学生調査をするかってはっきりとした目的を持って行っているわけですよね。そうすると、今までこの学制調査を文科省の下でやってきたものは一体何のためであるかということを、各大学の中に組み入れていくと、そこの説明みたいなものと、何のために使っていくのかということ、それこそ服部先生がおっしゃっていたように、大学の中できちっと共有しないとし、なかなかそれも進まないと思うんです。
 そうしたときに、各大学のIR部門が行っている場合は、データをひもづけているわけですよね、学生の番号とか。そういうものに対しての扱いも、文科省と一緒にする、共通項目に関してはひもづいたままで提出するのかとか、それはしないですよね、恐らく。だから、そういうところの部分もしっかりと議論した上といいますか、大学のほうに承認を取らないといけませんし、規定なんかもつくっておかないと、何らかの形で担当している者にそこが分からなかったらひもづいたデータがそのまま流れてしまうということもあり得るので、その辺りもしっかりとしておかなければいけないんじゃないかなと思ったりいたします。
【河田座長】  なるほど。貴重な御意見、ありがとうございます。こういうことを言うと、現場の先生から怒られるかもしれないけど、例えば、私学助成金で回答した場合にはこれだけプラスしますとか、僅かでも、運営交付金、国立と公立については、これだけのあれを余分に払いますとかすれば、参加の率はどんと増えると思う。だから、それがしていいのかどうか。だけど、公の仕事として日本の大学生の勉強状況について学習状況についてデータを残す必要があるだろうから、それは公の仕事として大義名分は立つと思うんです。これは私の独白にしてください。そういうような意見を持っているわけじゃない、今ちょっと思いついたんですけど。そうすると、率はすごく上がるし、10%じゃなくて多分50、60に行くと思うし、数が多ければ信用性も増えるだろうし、数字の、そういうこともちょっと文科省のほうでお考えになったらいかがかなと。
 余計なことを言いまして、すいません。
 あと、先生方のほうから、国立大学の場合、いかがでしょうか。服部先生、なかなか学内で同意が取れない云々言っておられましたけれど。
【服部委員】  ありがとうございます。様々なお話を伺いますと、各大学で実施されている同様の調査と、この全国調査とは目的が違う。違うけども内容としての調査項目が類似しており、答え学生側としては同じような設問に複数回答えなければならないことが課題。設問が似てくる。ほぼ似てくるけど、深く読むと微妙に違っていて全く同じではないという、非常に複雑な話かと思って伺っていました。
 私は、初めにこの調査に関する説明を伺ったときには、特に違和感なく、また課題認識も持たずに伺っていましたけれども、今いろいろ、(2)について特に話を伺っていると、各大学それぞれの事情があり難しい課題があることを改めて感じたところです。
 ただし、国として持つべきデータを文科省が持っておかないといけないと思います。各大学の調査結果を単に集めただけのデータでは正確な国際比較ができず、我国にとって難しい時代になってくると思います。国全体としての大学生の学習状況を、責任持ってデータを蓄積することは必要と思います。(2)についてどこまで各大学に説明して、文科省、また国としての大きな立場で理解していただくかということが重要と思って聞いていました。
 国立大学も、本当に多様な大学があって、それぞれの大学が独自にいろいろなことをやっておられるので、いきなり、国立大学全体で同じ調査を行うことは難しいかと思います。個々の大学の事情を理解しながらしっかりと説明していくこと、そのために調査の目的を再確認して、各大学の個別の調査とはこういうところが違うんだということの有用性、意義というのを説明することが大事かと思って伺っていました。
 ほとんど感想ぐらいの意見です。ありがとうございました。
【河田座長】  ありがとうございました。小林先生、どうぞ。
【小林(浩)委員】  今お話伺っていて、やはりこの(2)というのが非常に重い課題なんだなと、大学の外から見て分からないところだったんですが、非常に服部先生の話とかも御苦労が伝わってきて大変だったなと思いました。
 でも、先生おっしゃるとおり、この2018年にやったグランドデザイン投資の一番の根本が学習本位の教育の転換というところなので、それをどのように実現してきたか、いくかということを国がきちんと把握していくというのは非常に大きなテーマでありますし、もう一つは社会に開かれた大学というテーマで見ても、企業でも人事部長とか人事課長なんか見ても、社長もいまだに偏差値しか見ていないんです。そうじゃなくて、大学で何が身についていたのかということをきちんと国が把握して社会に発信していくことで、OECD諸国に比べて教育への投資が少ないというところに対して、日本としてどうやって、どこに投資していくのかというところをきちんと見ていく、大学での成長というのをどう位置づけていくかというためには非常に重要なテーマだと、私は外から見ていて思いますので、どうにかうまくここが調整つけばいいなと思って私は聞いていたところで、大変難しいなと思いましたが、社会に発信するに当たって私は発信したいと思いますので、ぜひうまくいけたらいいかなと思っております。
【河田座長】  ありがとうございます。あと、御発言もありませんでしょうか。奥先生、いかがでしょうか。ちょっと早めに退出ということなので、言い残していってください。
【奥委員】  申し訳ございません。法人の理事会を1時間遅らせたものですから、あと5分か10分で抜けさせていただきたいと思います。
 今いろいろとご意見を伺っていて、そもそも学生生活調査を始めることに至ったその目的、趣旨というのにもう一度帰って、もう一度それを見直して、それで、それに沿った内容を考えていくということが必要なのではないかということを、今、お話を伺いながら聞いておりました。
 ただ、アンケートを取ること自体は、私は決してマイナスになることではなくて、国として、大学生にこういうアンケートを取っているのだというきちっとしたエビデンスがないと、やはり今後なかなか答えにくいことも出てくるのではないかなと思います。国としてアンケートを取るということ、しかもその趣旨はこういう趣旨でこういう目的で実施するのだということを明確に発信して、それが各大学の質問項目と多少かぶったとしても、やはり実施していく必要があるのではないかと思います。
 あまり大したことを言えなくて申し訳ございません。ただ、せっかく今まで3回も試行調査をやっているわけですから、今後も頑張って粘り強くやって、やはり試行を外してちゃんとした調査に持っていっていただくのが国の役目と考えております。私は短期大学のことしかお話はできないですが、ハイレベルなことはあまり言えないですけれども、ただ短大として、私のところも入学時と卒業前にどういう成果、学校の生活でどういうことが得られたかというあらゆる方面からアンケート調査をしていますが、これは国の調査だからということで、きちっと分けて話していますので、やはり大学としての、この調査に関する協力体制、協力姿勢というのも、もう少しあってもいいのではないかと感じました。 
 申し訳ございません、答えになっていないかもしれませんけれども、今後も引き続き継続してやっていくことを私は希望しております。
 以上でございます。大変申し訳ございません。これで私のほうは失礼させていただきます。本日はありがとうございました。
【河田座長】  とんでもございません。それじゃ、あと、初めて今日出られた浅井先生、何かございますか。
【浅井委員】  浅井でございます。まだ十分要領は得ないところはあるんですけども、やはりこれまで自学ではずっと毎年アンケートをしてきて、学生の変化とかそういうのはそれなりにつかめていたんですが、他学との関係とか、そういうベンチマークとか、そういう意味では、全国的なこういう調査があると自学の改善に向けても非常に参考になりますし、やはり全国的なこういう調査というのをしていただく、それで日本の教育全体としてどういう方向に向かっている、どんな状況になっているかというのをつかんでいただくというのはすごく大事だなというふうに、今日、お話聞きながら感じましたので、ぜひとも本格実施に向けてお願いできればというふうに個人的には思いました。
 すいません、感想みたいなお話になってしまいましたけど、よろしくお願いいたします。
【河田座長】  ありがとうございます。あといかがでしょうか。先ほど山田礼子先生から、米国の大学、オーストラリア、韓国、台湾、日本ということで勉強時間、いわゆる新聞報道によると日本の大学生は勉強しないという、それが定説になっちゃっているようですけれど、山田先生の御意見によると、必ずしもそうじゃないということだし、ですから、せっかくこれだけ我々見せていただいた3回の試行調査をして、こういう成果が出ているわけですから、ぜひ、今、日経新聞にもそういう大学の問題が出ていますし、今週の20日でしたっけ、火曜日には、TMIの弁護士さんの大河原さんが、変わる私学ガバナンスという形で、そういうことも書いておられるし、ですから、ぜひもうちょっと日経の方でも、それから先生のところでも結構ですし、広報をもうちょっと上手にしていただいて、これだけの調査を3回、コロナのときもし、かつ、今回もしてこういう成果が出ている。ですから、日本の大学も通説ではなくて、これだけ学生が勉強し始めているんだよとかいう、そういう情報発信をぜひしていただく必要があるんじゃないか。せっかくこれだけ貴重な調査をされて、我々も8回も集まってこういう論議をしているわけですから、ぜひそれをしていただくことが次の段階として必要じゃないかと。
 私は中国研究をしているんですけど、今回もタイムスの大学第2期アジア版が出て、東大と京大がまた順位を下ろした。北京他医学や清華大学や香港大学や香港中分大がどうのこうのと、僕は見ていたら、香港中文大学なんか大したことないと思ってるんですけど、そういう意味で、もうちょっと日本の大学あるいは学生たちが、あるいは教職員の方が教育に力を入れて社会貢献もこういうふうにしているんだよという、それをぜひ、せっかくこれだけの調査をされたわけですから、やっていただければいかがかなというのが、私、この会議にずっと最初から参加して感じていることでございます。
 あと、一応先生方の御意見が出尽くしたようなので、もしさらにありましたら御所御発言いただいて、もしなければ、あとどういう形でやるかということについて、最後御説明いただいたらいかがでしょうか。
【柿澤高等教育政策室長】  河田先生、ありがとうございます。今マスコミ等々への情報発信というところで、第2回の試行実施結果も、かなり記者クラブのほうには丁寧にプレスレク等もしたんですけれども、なかなか思ったほどには取り上げていただけなかったと。どうしてもセンセーショナルな切り口じゃないとなみたいなところがあったものでございますけれども、ちょっと今年度も、この調査結果も、7月の遅くとも中旬までには結果を公表いたしますので、改めて、クラブですとかマスコミの関係者にも、今回の調査結果の特徴なども含めて丁寧に説明をしていきたいというふうに思っております。
【河田座長】  ありがとうございました。それじゃ、事務局にお願いとしては、各大学からの要望とかいろいろ出ているようですので、実施活用しやすいような調査の在り方の、それはやっぱり本日の議論を踏まえながら検討を進めていただくこと。それからまた、次回の学生調査について、実施前に改めてこの会議でもう一遍論議をして御意見を賜ることが必要かというふうに思っております。ですから、ぜひそういう形でしていただければと思います。
 ということで、ちょっと時間早くなりましたけれど、これで論議を終えたいと思います。あと何か、最後申し上げることはありますか。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  事務局でございます。1点、安達先生から先ほど御指摘いただいておりました短期大学の対象学生数につきまして、大変申し訳ございません、こちらの資料編のほうに載せていた数字が、対象学科全てが含まれておりませんで、一部の学科が漏れてしまっていたというところもございましたので、正しくは報道発表資料、メイン資料のほうに載っております2万4,376名というのが対象学生数で間違いございません。こちらは公表までに必ず修正をさせていただきますので、申し訳ございませんでした。
【安達委員】  ありがとうございました。了解いたしました。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  ありがとうございます。
 それでは、最後に事務連絡をさせていただければと思います。
 本日も、非常に活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。全て御意見いただけたかなと思いますが、もし追加で御意見等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
 また、次回の会議につきましては、本日の御議論のいただいた内容も踏まえまして、今後の学生調査の方向性を事務局で検討した上で、改めて開催時期等も含めまして御案内をさせていただければと思います。
 以上でございます。
【河田座長】  ということで、ありがとうございました。非常にいい御意見をいただきました。ありがとうございます。
 それじゃ、この会議、今日は終えさせていただきます。失礼いたします。
 
―― 了 ――
 

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)