「全国学生調査」に関する有識者会議(第6回)議事録

1.日時

令和4年9月16日(金曜日)16時30分~18時30分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 令和3年度「全国学生調査(第2回試行実施)」の結果公表について
  2. 第3回試行実施に向けた課題・論点について

4.出席者

委員

河田悌一座長
奥明子,小林浩,小林雅之,高橋哲也,竹中洋,服部泰直,両角亜希子,山田礼子の各委員

文部科学省

(事務局)山下高等教育企画課長,柿澤高等教育政策室長,髙橋高等教育企画課課長補佐,渡辺高等教育政策室企画審議係長ほか

オブザーバー

 濱中  義隆氏

 

5.議事録

【河田座長】  時間になりましたので、本日の「全国学生調査」に関する有識者会議、第6回目であります。前回、5回目は、今年の1月にいたしましたが、今日はお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。12人の委員の中、今日は9名の御出席ということでございます。
 本日も非公開の情報でありますために、今回の令和3年度の「全国学生調査」第2回目の試行実施の結果について議論するために、この有識者会議は運営規則の第2条第2項に基づいて、非公開ということでさせていただきたいと存じます。
 本会議は、新型コロナウイルス感染症対策ということで、今回もウェブ会議ということでさせていただきます。
 それでは、まず、議事に入ります前に、事務局の髙橋課長補佐から注意事項、連絡事項をお願いいたします。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  事務局でございます。
 本日は、ウェブ会議を円滑に行う観点から、御発言の際、端末等を操作して、挙手のボタンを押していただきますようお願いいたします。その後、座長から指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言いただければと思います。また、発言後は挙手のボタンを消していただくというのを忘れずにお願いいたします。また、もう既に皆さん慣れているかとは思いますけれども、発言以外はマイクをミュートにしていただくなど、御協力いただければと思います。会議中、不都合が生じることもあるかと思いますけれども、御協力よろしくお願いいたします。
 また、本会議について、任期について各委員の方々にいろいろお願いを申し上げたところでございます。本会議、当初令和4年7月末までを皆様の任期として、それまでに議論すべき事項を終えようと予定していたところですけれども、御承諾いただきまして、皆様の任期自体を2か月延長させていただいて、9月30日までということでやらせていただいております。御承認いただきましたこと、改めて御礼申し上げます。それで、新たな委員名簿は、参考資料2として、本日の資料として配付させていただいております。
 また、会議資料につきましては、議事次第にも記載ございますけれども、メール等で御案内し、お手元に届いているかと思います。御確認ください。
 以上でございます。
【河田座長】  言い忘れましたが、オブザーバーとして、国立教育政策研究所の副部長で総括研究官の濱中委員にも参加していただいております。
 それでは、議事に入りたいと思います。最初の議事は、「全国学生調査」の結果発表についてということで、どういう形でそれを結果発表するのかということで、第2回の試行実施の結果発表、調査結果取りまとまりました。非常に御努力の下で分厚い資料ができましたので、それについて論議をすると。それから、後半で、今回の調査で浮かび上がってきた課題を踏まえながら、次回の第3回の試行調査をどのように進めるべきか、そういうことを議論していきたいということでございます。
 それでは、事務局から公表資料(案)についての御説明をお願いいたします。ここからは渡辺政策室係長から、資料1に基づいて御説明ください。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  事務局でございます。お手元に資料1ございますでしょうか。こちらに基づいて、令和3年度「全国学生調査(第2回試行実施)」の結果について御報告をさせていただきたいと思います。
 河田座長からも冒頭御発言ありましたとおり、前回の有識者会議が1月でございましたので、簡単に内容をおさらいしながら御説明をさせていただければと存じます。
 まず、本調査、第2回の試行実施ということで、第1回と同様に、適切な調査方法や質問項目などを整理・検証することを目的として行っております。調査の実施期間につきましては、冒頭の箱にございますとおり、令和4年2月1日~2日28日、2月に行わせていただきました。
 2ポツのところに行きまして、調査内容でございます。
 まず調査対象としては、前回に引き続き、国公私立大学、それから、今回新たに短期大学を加えて行いました。対象の学年としては、第1回は大学3年生のみとしていたところ、学部の2年生と学部の最終学年生、それから、短期大学の最終学年生を対象に行ったところでございます。
 調査方法につきましては、前回と同様、インターネットのウェブ調査としました。
 質問項目でございますが、前回36問であったところ、今回は最終学年を対象に含めたことから、学びの振り返りの項目とか、今回のコロナ禍におけるオンライン教育等についての項目を追加したことから、全60問とさせていただきました。
 1枚おめくりいただきまして、結果の概要でございます。
 (1)に表がございますが、まず大学の一番右端を御覧いただきますと、回答率11.8%となってございます。こちら、前回の調査が27.3%であったところから、11.8%と、かなり回答率が落ちたという結果でございます。また、短期大学につきましては、27.6%、前回の大学とほぼ同様の回答率であったというところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、3ページでございます。大学の規模別や学部の規模別の回答状況については、規模が小さくなるほど回答率が良くなるという傾向がございまして、やはり大規模な大学ほど、あまり今回の調査においては有効な回答を得られていないというような状況でございます。
 2ページおめくりいただきまして、ここから各質問項目の回答選択割合について御説明をさせていただきます。円グラフのある5ページを御覧いただけますでしょうか。
 問いの1番目としまして、大学に入ってから受けた授業で、次の項目がどれくらいあったかというようなことを問うております。
 授業の内容の意義や必要性の説明とか、小テストやレポートの課題が出されたかどうかということにつきましては、「よくあった」とか「ある程度あった」という回答が多く、90%程度を占めていたところでございます。
 逆に、この小テストやレポート、課題は多く出されていたにもかかわらず、適切なコメントが付されて提出物が返却されたという項目につきましては、46%しか「よくあった」もしくは「ある程度あった」という回答がなく、課題に対して適切なコメントの付いた返却がなされていないというような実態が浮かび上がってまいりました。
 また、Q13にあるように、主に英語で行われる授業については、そうしたことを実施している大学があまりない、約22%でしか「よくあった」もしくは「ある程度あった」という回答が得られていないという状況でございます。
 また、おめくりいただきまして、6ページ、問2でございます。ここの問いでは、大学に入ってからの学習方法などについて、どのような経験をしたのか。その経験は有用であったかということを問うています。
 研究室やゼミでの少人数教育とか、図書館等を利用した学習については、「有用だった」とか「非常に有用だった」という回答の割合が高かったのですが、一方で、7ページにグラフがございますとおり、インターンシップとか、海外留学、オンライン留学等の海外に関する項目で、「経験していない」という割合が9割程度と、かなり高くなっていました。こちらはやはり新型コロナウイルスの影響で、海外との交流の機会が大幅に制限されてしまったものが影響していると考えられるかと思います。
 おめくりいただきまして、8ページでございます。次の問3では、大学教育を通じて、以下のQにあるような知識や能力が身に付いたかということを問うています。
 専門分野に関する知識や、幅広い知識やものの見方という点では、「身に付いた」や「ある程度身に付いた」などポジティブな回答の割合が高かった一方で、外国語を使う力とか、統計やデータサイエンスの知識・技能については、「身に付いていない」もしくは「あまり身に付いていない」という回答も多かったというところです。
 続きまして、問4でございます。ページは9ページでございます。こちら、新たに追加された質問項目でございますが、これまでの大学での学び全体を振り返って、次の項目についてどのように思うかということを問いました。
 結果としては、知識やスキルを組み合わせて一つのものを作り出す力とか、卒業後も主体的に学び続けていくことが大切であるという問いに対しては、「そう思う」もしくは「ある程度そう思う」という割合が9割を超えるような回答でした。一方で、授業アンケート等の回答を通じて大学教育がよくなっているというQ41については、「そう思う」もしくは「ある程度そう思う」と答えた割合は4割程度にとどまっていたという状況でございます。
 全体としては、振り返りについては、ある程度ポジティブな回答が多かったと捉えております。
 続きまして、10ページ、問5でございます。こちらでは、令和3年度の後期の授業期間中の1週間の生活時間について問うています。授業への出席とか、予習・復習などに使った時間、もしくは、アルバイト、サークル活動等について問いました。
 結果としては、今回、2年生と4年生、別の学年に問うていますので、ここでは回答の結果の表示の方法も、2年生と4年生を分けるような形にしてございますが、まず2年生につきまして、授業への出席というのは、16時間以上出席していた学生が、2年生では3分の2、約66%と、1日にすれば約3時間以上出席している学生が多いという状況になりました。
 一方で、4年生以上については、5時間以下が62%ということで、あまり授業に出席していないという状況が見てとれます。
 それから、卒業論文に関しては、2年生はまだ卒業論文の対象になっていないということで、ほとんどが0時間という回答でしたが、4年生については、16時間以上が42%という状況でございました。
 また、授業に関する学習については、2年生で6時間以上が58%、一方で、約4割の学生が週5時間以下、つまり、1日1時間以下しか勉強していなかったという見方もできることになります。
 それから、授業以外の学習、資格の勉強とか、本を読んだりというところも、5時間以下の学生さんが70%であったということで、全体的に学生さんの学習時間が短いという傾向が見てとれました。
 また、部活動やサークル活動は、0時間、全くやっていないという方が69%いらっしゃいました。ということで、ここはコロナの影響で部活等ができなかったというところが見てとれます。
 こちらが生活時間に関するものでございます。
 また、1ページおめくりいただきまして、問6でございます。こちら、令和3年度の授業期間中にキャンパスへ通った日数を問うています。こちらは前期も後期もあまり回答結果に差がなく、3日以上大学に通えていたという学生さんが約6割でございました。
 またページをおめくりいただきまして、12ページでございます。こちらは、新型コロナウイルス感染症の影響によって、各大学でオンライン授業が進んできた中で、次のように問うています。同時双方向型オンライン授業とオンデマンド型オンライン授業を、令和2年度と令和3年度においてどれくらい受けていたのかということを問うています。
 こちら、まず同時双方向型につきましては、令和2年度、あまり同時双方向型の授業を受けていなかったという学生が53%だったところ、令和3年度においては65%と、あまり同時双方向型を受けていない学生が増えたということでございまして、結果としては、同時双方向型ではない、基本的には対面授業という方向に移行していったということが言えると思います。
 また、オンデマンド型オンライン授業についても、あまり受けていない3割以下という学生さんが48%だったのが、令和3年度においては69%となったことで、こちらもオンデマンド型ではなくて、同時双方向型や対面型に移行していったということが見てとれるかと存じます。
 おめくりいただきまして、13ページでございます。問いの8番では、これまでに受けたオンライン授業(同時双方向型/オンデマンド型)が、それぞれ対面授業と比較して良かった点もしくは悪かった点を問うています。
 まず、対面授業と比べて良かった点について、同時双方向型においては、やはり「自由な場所で授業が受けやすい」というのが最も多い回答であって、オンデマンド型では、「自分のペースで学習しやすい」、「自由な場所で授業を受けやすい」、「レポート等の課題に取り組みやすい」といった順で回答が多いことになりました。
 一方、対面授業と比べて良くなかった点については、同時双方向型では、「他の学生とのやりとりがしにくい」、「映像・音声や通信環境の影響で授業が受けにくい」、「疲労を感じやすい」という回答が多く、オンデマンド型では、「教員とのやりとりがしにくい」、「学生とのやりとりがしにくい」、「レポート課題が多くなる」という回答が多く見られました。
 3ページおめくりいただきまして、16ページでございます。これまでのものが大学に関する調査結果をまとめたものでございますが、ここから短期大学についてまとめたものでございます。
 短期大学につきましては、大学と概ね同様の回答傾向でございまして、中でも、例えば、問3、問4の部分、知識や能力が身に付いたと思うかといった問いですとか、大学での学び全体を振り返って、学習実感が得られたかどうかといった問いについては、大学よりもさらに5~10ポイントほどポジティブな回答が高かったという傾向が見られました。
 また、先ほど御説明しました問いの8番、オンライン授業が対面と比べて良かった点・悪かった点というところは、大学とほぼ同じ傾向のグラフになりまして、大学でも短大でもオンラインの良いところ・悪いところは変わらないということが見てとれました。
 ということで、短大については少し割愛させていただきまして、ページ飛びまして、26ページでございます。ここまで御説明させていただきましたのが、大学全体もしくは短大全体の状況でございまして、さらに、その状況の把握・分析に資するように、(2)から(6)、ここにあります項目について、別添の資料編、今回の参考資料1、かなり分厚いものでございますが、こちらに示してございます。
 具体的な中身としましては、設置者別、学部の規模別、学部・学科の分野別、学年別をまず細かく集計しておりまして、また、設置者と学部の規模別については、クロスをさせて集計してございます。
 この集計の際には、集計基準を設けておりまして、こちら、下にございますとおり、学部単位での人数に応じて、有効回答者数が一定に満たなかった場合には、基準を満たさなかったということで、回答から除外してございます。
 ここでは、集計基準の中のマル5、60人未満のときに、有効回答率が50%以上ということを設けておりまして、すなわち、60人であれば30名以上の回答が必要ということになって、小さな規模の短大や学部においては、なかなかこの基準を満たすことが難しかったというようなところを集計している過程では見てとることができました。
 続きまして、27ページでございますが、ここからは、結果を踏まえた課題等ということで、調査自体の課題ですとか、各項目で見られた特筆すべき事項を挙げております。
 ここで、委員の皆様にお送りさせていただいたものから少し追記させていただいたところがございますので、画面共有で御紹介させていただければと思います。少々お待ちいただけますでしょうか。
 画面確認できますでしょうか。結果を踏まえた課題等としまして、最初に、調査対象・時期・回答率について申し上げます。
 第1回の調査では大学3年生のみを対象としていたところですが、冒頭申し上げましたとおり、2年生と修業年限の最終学年、4年生以上、また、短大の学生を対象に調査を実施しまして、また、調査時期につきましては、前回11月のところを2月にしたというところでございます。
 それが影響してというところもございまして、回答率、短期大学は27.6%で前回と同程度でありましたが、大学については11.8%と、大きく下がるという形になりました。また、先ほど申し上げた集計基準を適用した結果、参加大学の3割、また、学部にあっては6割から集計基準に達する回答を得られないという形になりました。
 この回答率の低下については、質問項目が第1回の36問から60問に増えたというところもございますし、また、調査時期がどのような影響を及ぼしたのかというところについても考慮して、今後検討していく必要があると考えております。
 また、回答方法につきましては、今回、新たに海外の留学生等も回答できるように、英語表記の回答フォーマットを用意させていただきました。その結果、約300件の回答が見られたところでございます。
 続きまして、質問項目についてです。先ほど申し上げましたとおり、36問から60問に増やしたというところで、平均回答時間について、前回よりも長くなる傾向が見られました。「項目は適切」という意見もあったところですが、やはり「質問数が多い」という自由記述がかなり多く見られたことから、学生の負担や、回答率に及ぼす影響というところも踏まえて、質問項目数は精選していく必要があると考えてございます。
 続きまして、各項目の回答状況、(4)のところでございます。
 こちら、まず特筆すべきところとしまして、Q10、資料でいきますと、5ページでございますが、「課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却された」というところ、先ほども申し上げましたが、「あまりなかった」、「なかった」という回答が54%と半数を超えておりまして、この項目については、自由記述の中でも、「課題を提出したがフィードバックなどがなく、どこまで自分が理解できているのか、何が間違っているのかがわからない」という意見が散見されました。こちらは、学修の成果を学修者が実感できる「学修者本位の教育」の実現という観点から、非常に課題であると認識してございます。
 続きまして、Q11、12についてでございます。「グループワークやディスカッションの機会」、また、「教員から意見を求められる等の、質疑応答の機会」、こちらも「なかった」、「あまりなかった」という回答が約3分の1を超えておりまして、教員が一方的に講義をする一方向性の講義を多く履修する学生が一定数いるということが指摘できます。
 続きまして、Q32、「外国語を使う力」でございますが、こちらは、多くの大学において外国語が必修科目とされている中で、「身に付いていない」、「あまり身に付いていない」と回答する割合が70%となっておりまして、多くの学生が学修成果を実感できていないということが明らかになりました。
 続きまして、Q33でございます。「統計などデータサイエンスの知識・技能」についても、こちらは約半数が「あまり身に付いていない」、「身に付いていない」という回答をしてございます。こちらの分野は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2020」の中で、「全国の大学等において、AI・データサイエンス・数理等の教育を強化し、文系、理系を問わずこれらを応用できる人材を育成する」ことが盛り込まれるなど、現代の読み・書き・そろばんとして重視されている分野でございますが、それを身に付けたと実感している学生があまり多くないということが明らかになりました。
 続きまして、Q40でございます。「大学が学生に卒業時までに身に付けることを求めている力(ディプロマ・ポリシー)について理解している」、こちらも約3分の1が「あまりそうは思わない」、「そうは思わない」と回答しており、こちらも学修者本位の教育を実現する上で重要であり、改善が望まれる項目でございます。
 Q41、こちらは先ほども申し上げましたが、「授業アンケートの回答を通じて大学教育が良くなっている」、これは「そうは思わない」、「あまりそうは思わない」という回答が6割程度になってございまして、授業アンケートが大学改善に生かされていないという実感を学生が持っているということが分かりました。
 また、こちらは数値だけの御紹介にとどめさせていただきますが、「大学での学びによって自分自身の成長を実感している」と回答した割合、こちらは約78%となっておりまして、約8割の学生は大学教育を経て自らの成長を実感していることが分かりました。
 続きまして、29ページでございます。同時双方向型オンライン授業とオンデマンド型オンライン授業、今回のコロナ禍の中で出てきたこうした授業形態でございますが、この授業を受けている割合によって、ほかの項目の回答にどのような差異が出てきたのかということを調べるために、ここにありますとおり、問1、問3、問4、問5についてクロス集計を行いました。このうち、回答に顕著な差が見られたものについて御紹介させていただきます。
 具体的には、Q11、Q12、Q43でございまして、「グループワークやディスカッション」、「教員から意見を求められるなどの質疑応答の機会」、あとは、「成長実感」の部分について、同時双方向型オンライン授業の割合が高いグループよりも、オンデマンド型オンライン授業の割合が高いグループのほうが、ネガティブな回答の割合が高いという結果になりました。
 例えば、Q11につきまして、下の表を御覧いただきますと、同時双方向型を9割以上受けていた学生がネガティブな回答をしたのが28%だったのに対し、オンデマンド型では49.9%ということで、20%以上も乖離が見られる結果となってございます。
 それから、学生生活の時間につきました問うた項目について、事前にお配りした資料が追記をさせていただいてございます。Q47、48、49の部分でございます。
 大学2年生は、授業への出席について、約3分の2の学生が週16時間以上、38%の学生は週21時間以上であるなど、授業へはかなり出席されている一方で、予習・復習などの授業に関する学習については、週5時間以下の学生が42%を占めております。このように、授業への出席時間に比して学習時間が短いことが見てとれるのですが、この背景としまして、学期末の試験結果のみで単位認定が行われるなどの理由から、学生が過剰に単位登録をしており、キャップ制が実質的に機能していないということが考えられますが、設置基準の1単位45時間の学修を必要とする内容をもって構成されることを標準としている単位制度の趣旨に鑑みて、こちらは課題であると考えられます。
 また、最終学年、4年生については、週5時間以下しか授業を取っていない学生が6割以上で、授業に関する学習をほとんどしていない学生が75%を占めており、授業への出席や学習時間が短い一方で、卒業論文や卒業研究には週21時間以上を割いている方が3分の1、4分の1が週31時間以上と、多くの時間を費やしています。しかしながら、最終学年の学生であっても、約3分の1は卒業研究等を行う時間が5時間未満であり、実質的に学習をほとんど行っていないのではないかという学生も一定数いることがうかがえます。こうした状況の背景には、就職活動等の影響やキャップ制が実質的に機能していないというような課題も考えられると考えております。
 こちらは、まだ短期大学について分析等ができておりませんので、こちらは今後追記させていただければと存じます。
 最後に、調査結果の取扱いにつきましては、今回御紹介させていただいたもの、それから、参考資料として今回付けさせていただいたものを公表させていただくこととしてございます。
 長くなってしまいましたが、以上でございます。
【河田座長】  ありがとうございました。
 今、渡辺係長から非常に丁寧な御説明がありました。それにつきまして、その結果の公表内容についての先生方の御意見、御感想、あるいは御質問などがありましたら、自由に意見を交換したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。御意見があります場合、手を挙げていただくというふうにお願いいたします。いかがでしょうか。
 山田礼子委員、いかがでしょうか。
 では、高橋委員が手を挙げておられるので、高橋委員からどうぞ。
【高橋委員】  最初に口火を切らせていただきます。
 今回の結果なんですが、2年生と4年生の2学年の集計がされていて、例えば問2とか、このあたりの問いはかなり学年の差が大きい、さっきの少人数教育の機会とか、あるいは、キャリアに関する科目とか、インターンシップとか、こういう学年差が非常に大きいようなものをここで一緒に集計してしまうのはあまり好ましくないのではないかと思うのと、問3でも、やはり学年での差は大きいのではないかと思うので、幾つかの問いに関しては、学年ごとに出すことはできないでしょうか。
【河田座長】  その辺いかがですか。問2なんかの回答について、学年の差が多い、すなわち、2年生か4年生かによって違うんだという、そういうことがありますけれど。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  お答えいたします。
 学年別というのは、非常に大部になっているんですけれども、資料編のほうの例えば138ページからというところが、学年別の集計として、学年ごとにこの問いがどうなっているかというのを分けて示したものでございます。
【高橋委員】  ありがとうございます。これも公表されるんですね。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  これも、もう見てのとおり、非常に細かいので、公表資料の調査概要みたいな部分には、ここの部分までは入れ込まないんですけれども、ここも併せて、前回の調査と同様に、資料編として公表させていただくということを考えてございます。
【高橋委員】  分かりました。
【柿澤高等教育政策室長】  高等教育政策室長の柿澤でございます。
 補足いたしますと、資料1のほうで紹介しているものの中でも、一部については、例えば、問5の学習時間の部分とかについて、学年で分けているところがございます。といいますのも、学習時間、基本的に大学2年生が多くの授業を履修している一方で、4年生はそうではないとか、一方で、卒業論文・卒業研究・卒業制作については、基本的に4年生だろうと。例えば、10ページのあたりですね。
 ただ、これを全ての項目でやりますと、逆に、概要的に示しているところとしては、いささか細かくなりすぎるというところで、私どもも、これ、2年生と4年生で本当は全部ブレークダウンしたほうが分かりいいけれど、そうすると、これ全部チャートが2倍の量になってしまうよねというところで、一旦、学習時間とか、一部の項目についてだけは学年別で示させていただいて、ただ、データとしては全部公表されるというような形を取っております。
【河田座長】  ということですので、その辺のことは気をつけて発表するということで、誤解を生まないようにしたいということでございます。
 山田委員、どうぞ。
【山田委員】  先ほど御指名いただきましたので、課題のところで挙げられている解釈、これ、どうなのかなと思うところが幾つかございまして。
 まず1点目に、データサイエンスとか統計のところなんですね。これは本当に今のSociety5.0社会を実現するためにも、あるいは、第4次産業化区名というような中で、非常に大切な知識や技能というように分類されていて、大学も意識しているところではあるかと思います。ただ、これ、すごく新しいことなので、大学が果たしてこれを科目として充実させるようにここまでしてきているかということは、ちょっとウォッチしなければ言えないところがあるのではないかと思うんですね。
 つまり、私が所属している社会学部などは、当然ながら社会調査とかをしますので、統計といいますか、こういう社会調査、統計・データサイエンスのさわりみたいなところは、科目として、既にディプロマ・ポリシーとかで入れておりまして、実際にカリキュラム・ポリシーの中でもしっかりとこれを学ばせるような構造はできているんですが、そうでない学部で、果たしてこれをこの調査の時点でどれぐらいできているかというのは、非常にプロブレマティックかなというようなところがあります。
 だから、当然ながら、学生たちがこういうような回答をするのは仕方がないのかなと思ったりしますし、もちろん、これからこれを充実させていくということはそうだと思いますし、そうしていかなければいけないでしょうけれども、2022年の時点で、共通教養教育で実際に統計の授業とかをするといって、大教室でできるような問題とは私は思いませんので、かなり手当てが必要になってくるのが、この統計とかデータサイエンスの授業だと思うんですね。恐らく少人数から中人数でなければできないような構造があると思います。これが1つと。
 それから、もう一つは、授業アンケート等の回答を通じて大学教育は良くなっているというのは、これ、比較的否定的な回答で、それはそうだと思います。しかし、一つの塊の中で教員が真摯に対応しているとか、それから、自分たちが学んできたことというのは肯定的になっているので、これとの関係が何か不思議な気もしていて。基本的に学生たちは学びの振り返りで肯定的なところがあるけれども、それが授業アンケートを通じて大学教育に反映されているかどうかというように意識しているのかどうかということ、解釈のところ、これもどうなのかなというようなところもあったりして、ちょっと疑問に思ったところがございます。
 あと、これはコロナ禍の中での経験というものが入ってきますので、短期留学であるとか、オンライン型の留学であるとか、そういうところは当然ながら低いんですが、そこはやっぱり注釈を付けておいたほうが、解釈としても安全かなというようなところがありました。
 以上でございます。
【河田座長】  ありがとうございました。
 特に最初に言われたデータサイエンスとか統計は、学部間の格差というんでしょうか、それから、授業の規模という、大規模教室ではできないという、そういうことがあるから、その辺は注釈が可能ではないんでしょうか。
【柿澤高等教育政策室長】  まず、今、山田委員、大変重要な御指摘、ありがとうございます。
 統計などデータサイエンスの知識・技能というところは、今回、これまで統計・数理の知識・技能というのは第1回のときに聞いたわけですけれども、今、政府全体としても、数理・AI・データサイエンスについて、新たな読み・書き・そろばんということで、リテラシーレベルといったところの認定を受けているような大学も増えてきているということで、今回質問項目として追加をさせていただいたので、その数字がこうであったということを入れております。
 ただ、確かに、この49%というところを低いと捉えるのか、高いと捉えるのかというところは、なかなか難しいところでございまして、まだリテラシーレベルのプログラム認定を受けている大学が、今増えつつあるとはいっても、令和3年度の時点でというところで言いますと、やはり捉え方として、この49%、逆に言えば、51%はある程度身に付けているということ自体を肯定的に捉えることもできるのかなと思っております。
 ですので、ここは28ページのところで、Q33と入れていて、ここは割と淡々と、「統計などデータサイエンスの知識・技能」を身に付けたと実感と実感している学生は多くないことが明らかとなったと入れておるんですが、ちょっとミスリーディングになる可能性もありますので、ここに入れるかどうかも含めて、改めて検討したいと思います。
 その上で、今まさに河田委員おっしゃいましたとおりで、ここはかなり分野間の差がございます。資料編の別添資料1、こちらの106ページのところに分野の差というものが出ておりまして、大部なので、なかなかそのページまでというところはあろうかと思いますが、それを御覧いただきましても、「身に付いた」、「ある程度身に付いた」というところが、理学・工学分野だと65%であると。一方で、人文だとここは40%ということで、25%の差があるといった形で、分野間の差が相当ございます。
 なので、ここの「統計などデータサイエンスの知識・技能」の部分は、それぞれの学部教育の専門科目の中で身に付く部分もあれば、今、政府の取組で認定をしているようなリテラシーの関係で、全学共通科目でデータサイエンスを入れる取組も広がっているので、そこで身に付けるものもあればというものが全部ごちゃっとここに入っているという格好になりますので、今回の調査結果を踏まえた課題というような中で、この半分というところの受け止めが少し難しいところもございますので、取扱いを再検討したいと思います。
【河田座長】  ありがとうございます。
 あと、先生方から何か。高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  すみません、今の部分なんですが、数理・データサイエンスの教育というのは、結局、日本の高等教育の中で、特に文系向けのそういう教育が非常にできていないということは、国としての課題ですし、現実問題として、今回の国の数理・データサイエンス・AI教育の必修化とかはこれからのことかと思いますが、そういった部分の今後に期待するみたいな記載はあってもいいんですが、やはりここは課題だという認識自体は持っておくべきだと思っていますし、山田委員よく御存じのように、IRコンソでやっていると、数理・データサイエンスのところは、伸びているかというと、伸びていないという答えが一番多い質問項目なんですね。今回、「身に付いている」と言っているんですが、入学時から伸びているかと聞くと、伸びていないというような、高等教育機関の中でどう身に付いているかというと、ここは非常に大きな課題の部分だと思っています。
 ということで、その部分は、記載は、今後の大学教育、今のところの数理・データサイエンス・AI教育のこれからの必修化、リテラシーレベルや応用基礎レベルという部分の認定というのが進むということに対する期待というような文面はあってもいいと思うんですが、やはり項目としては残していただきたいと考えております。
 以上です。
【柿澤高等教育政策室長】  ただいまの高橋委員からの御指摘も踏まえまして、また、山田委員からの御指摘も踏まえますと、ここは分野間での違いが相当あるといったことの言及とともに、ただ一方で、まさに政策的にも、リテラシーレベルというところの認定等も含めて、大学で実際に授業科目を開設する例も増えてきているので、そこの今後の向上というものが期待されるというような形で、記載を改めるような検討をしたいと思います。
【河田座長】  ということですが、あと、何かありませんか。
 小林委員、お願いいたします。
【小林(浩)委員】  小林でございます。御説明ありがとうございました。
 この中で、これは最初の全体の調査の中での課題なんですけれども、250校がいわゆる対象に満たなかったということで、これは2ページのところで全体の回答状況である中の、対象校数が、大学582校で、うち基準合致が328で、このデータに出ているのは、この328校のみという形になるんでしょうか。250校のデータはどういうふうに扱われているんでしょうか。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  調査の扱いとしまして、データとして、この概要に付けている全体版の集計の中では、基準に満たないもの、総回答数11万9,372という全数を使って集計をさせていただいております。
 ただ、これが、集計基準が必要になるのが学部等の代表性を担保するためという目的でございますので、分野であるとか、規模であるとかというような、資料編で使っているような分類……。
【小林(浩)委員】  なるほど。セグメンテーション。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  切るときには、この基準に合致したものを使うというふうに使い分けてございます。
【小林(浩)委員】  ありがとうございます。
 もう1点なんですけれども、先ほどいろいろ、データサイエンス等もそうなんですが、外国語のところでも同じようなことがあると思っておりまして、やはり見ると、学部系統・分野系統別に大分差が出てきているので、できれば、私どもで調査するときも、やはり分野別というのがかなり大きな影響がありますので、細かいところではないところで、もうちょっと分野別が分かるようになると、先ほど柿澤室長がおっしゃっていた、専門教育の中でやっているのか、まだ共通教育でやっているのかが分からない中で、この辺のところがごっちゃに出てきているところがあると思いますので、分野別を一緒に出していくと、見る方の納得度というのが高まるのではないかと思いますが、こちらはいかがでしょうか。
【柿澤高等教育政策室長】  ありがとうございます。
 外国語を使うというところも、まさにポジティブな回答が人文で46%というところが、例えば、保健とかだと15%とか、家政でも15%というところで、確かに大きな違いはございますので、全体の分量感のところはございますけれども、少なくとも先ほどの資料でいうところの、総括的に見てというところで、4で結果を踏まえた課題等で言及している部分というのは、やはり全体で見たときに、ここは課題ですよねというところで、抽出して述べている部分になるので、そこについては、分野間の違いが非常に大きいものとかについて、そこを言及していくというようなところもして、分かりやすく伝えていきたいと思います。
【小林(浩)委員】  ありがとうございます。
 もう1点だけ、研究論文とかのところがあったと思うんですが、これ、法学部等で司法試験を受けるために、そういった卒業論文を書かないところとかがあったりする大学もあると思うんですが、そこら辺というのは、分野を見れていなかったんですが、何か違いみたいなものは出てきたりしていたのでしょうか。
【柿澤高等教育政策室長】  基本的には、そもそも卒論等を必修化しているかどうかというところが、分野間で大きな差がございまして、やはり理工農は基本、卒業論文・卒業研究が一般的に行われていると。
 まさに今先生が挙げられた法学部などについては、ゼミがそもそも必修化されていないとか、あと、法学部の場合は、卒業論文を書くということが一般的ではないといったことがございますので、そこもやはり分野間のところで差が出てくるだろうとは思っております。
【小林(浩)委員】  ありがとうございます。
 そこら辺が、全体のところと分野のところが、総括で言うとごっちゃに見えてしまうところがあるので、ある意味、突っ込まれやすいというところだと思うので、出すときに注意があるといいかなと思います。
【濱中オブザーバー】  それに関連してよろしいですか。濱中です。
 資料の作り方の問題で、それが可能か、文部科学省的に良いのか分からないんですけど、今言ったように、学年別であるとか専攻分野別に違いがものすごくあるということがあらかじめ分かっているときは、資料編もあるので、資料編の該当ページとかを指示しておくとか、読む人が分かりやすく参照できるような工夫はあってもいいのかなと。
 さっきおっしゃったように、全部のグラフを学年別とか分野別とか載せるのは非常に大変だけれども、学年別に差があって、それは何ページにありますというような資料の作り方にすれば、そういう集計もあるんだということは伝わるので、誤解が少し減るかなと思います。
【柿澤高等教育政策室長】  ありがとうございます。
 全ての項目ということではないですけれども、今言ったような、あえてピックアップしてメンションしていたような部分について、それがとりわけ分野別での違いがあるといったところを、ちゃんと資料編ともひも付けるような形で改善をしたいと思います。
【濱中オブザーバー】  特に、問3、どういう知識・能力が身に付いたかという項目は、以前から私どもが国立教育政策研究所でやっている調査でも、学年によってだんだん上がっていく。この点は、やっぱり大学できちんと何かを身に付けているという証拠ではあるので、そのあたりはもうちょっとアピールもできるでしょうし、2年と4年を比べれば、やっぱり4年がほとんどの項目について高いとか、一方で高くならない項目というのもあって、外国語とか、下がってしまうものもあったりすると、そういったところも多少言及して、大学で学生は学んでいるということが分かるような資料にすると良いかなと思います。
 以上です。
【柿澤高等教育政策室長】  ありがとうございます。
【竹中委員】  府立医大の竹中といいますが、よろしいでしょうか。
【河田座長】  竹中委員、どうぞ。
【竹中委員】  私が見落としているのかもしれないんですが、このアンケートの継続性という問題もありますが、学生の意見がカリキュラムに反映する機会がありますかという質問はあるんでしょうか。というか、そういう形での捉え方というのは。
 すみません、医学部という非常にスペシャライズされたところなんですけれども、学生の意見が反映する余地があるのかないのかというふうな設問というのは、どういうふうに。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  竹中委員、それに近い問いということで、Q41、「授業アンケート等の回答を通じて大学教育が良くなっているか」という設問はございます。ただし、学生の意見をカリキュラムに反映するかという形でダイレクトに聞いているという設問は、これはありません。
【竹中委員】  そうしますと、4回生、はそういう経験があったのかという設問はしないですか。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  それは、カリキュラムの改善について意見を求められたことがあるかと。
【竹中委員】  カリキュラムでも、いわゆる自分たちの意見が反映した経験があるのかという、そういう設問はないという。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  そうですね。経験の有無というよりは、授業アンケート等を通じて大学教育が良くなっているかどうかという実感を問う問いとして、設問を立てています。
【柿澤高等教育政策室長】  この部分については、恐らく次回以降の設問を考える上での1つの論点かと思いますけれども。よく諸外国の大学の質保証の取組、あるいは、認証評価における評価のポイントの中でも、学生自身が大学教育の改善のサイクルの中に参画しているのかということを、諸外国の認証評価等においても重視しているようなケースがある中で、そうした取組は、日本の大学においては必ずしも一般的ではないだろうと思っております。
 今回、調査項目、36から60問と増やしましたけれども、ここの部分も、学生の参画みたいなところを、授業アンケートという形の設問で引き続き聞いていくのか、もう少し広い形での学生の参画みたいなところで聞いていくのかというところも含めて、第3回試行調査に向けた検討課題かなと思っております。
【竹中委員】  設置基準の改定等々を見ていても、やはり学修者主体のという言葉が随分いろんなところに出てくるので、そこをうまくつなげるような、後ろの文章でもいいんですけど、全体のまとめになるときに、そういう配慮がどうなのかなと思っていました。
【河田座長】  小林雅之委員、いかがでしょうか。
【小林(雅)委員】  ありがとうございます。
 言おうか言うまいか、いろいろ迷っていたのですが、単純なことからまず申し上げると、前回と同じ大学というのはどれぐらいありましたか。特に集計していないですか。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  そうですね。どれくらい同じ大学がかぶっていたかどうかというのは、今のところ集計はしていませんでした。
【小林(雅)委員】  公表する必要はないとは思うのですが、やはりこの調査、できるだけ方向性として、試行を3回ぐらいやって義務化するという話になっているので、どの程度同じ大学が参加しているかということは、1つの情報として重要ではないかと思ったのです少々面倒な話なので、集計されていないのでしたら結構ですけれど。
 それから、少し気になるのは、社会調査の方法の問題で、言い出すと切りがないので、どうしようかなと思ったんですが。2つに分けて、全ての回答と、それから、基準に合致する回答を集計するというやり方は、前かなり議論して、こういうやり方にするということになったのですが。例えば、国公私別のところで、参考資料のほうにそれぞれの回答数は出ているので、割合は分かるのですけれど、全体集計のほうは、基準合致ではなくて、全部をとにかく合算しているわけです。そうすると、この国公私別の回答者数がない。これはやはり付けておかないと、どの程度のウエートで国公私別になっているかというのが分からないのです。
 合致で見ますと、国立が2万2,000で、私立が5万6,000なので、明らかに国立が多い。ですから、これは全体として見た場合、かなり国立に寄った回答になっている可能性が高い。それから、先ほどの回答率というと、私立の大規模校が明らかに少ないという、そういうサンプルになっていると思われるのです。
 これは、集計をやり直せとか、そういうことを言っているのではなくて、そういう基本的な情報がないと、非常に間違えやすい。だから、この調査は、国立、あるいは、見ていないと分からないのですけど、公立がオーバーサンプルになっていて、私立の大規模校が少ないのではないかというようなことは気をつけたほうがいいということは、どこかで言ってもいいような気がするのです。
 非常に細かく集計していただいてありがたいのですけれど、多分、これから人口に膾炙するのは全体の数字だけです。だから、そのときに、これは日本の学生全体の今の姿とは少しずれているところがあるというのは、気をつけていただきたいということです。それが1点目です。
 同じ問題ですけれど、規模別のところを800と400と400以下というふうに切っているんですけど、これは同じ推移をするということですか。大体サンプル数が同じですけど。大体2万7,000、3万1,000、2万5,000ぐらいに切っているので。
【渡辺高等教育政策室企画審議係長】  そうですね。前回、第1回調査のときにも、大学3年生を対象にして、400、400~200、200人未満という形で集計していたので、今回、2年生と4年生になったので、単純に倍にさせていただいたというようなところでございます。
【小林(雅)委員】  これも、ですから、どういう基準で切ったかということは少し言っておいたほうがいいのかなという気がします。
 ただ、これは非常に微妙なところで、例えば、400人未満は明らかに小規模校だというのは分かるのですけど、400~800というのは、中規模と言えるのかどうかということです。回答を見ていますと、小規模校のほうが全体にいいわけですよね。短大がさらにいいというので、短大の場合、小規模になりますから、大学の場合にも規模の要素も入っていると思います。ですから、そこのところも、この規模別のところでいろいろな結果が出ていますので、そこも少し、なぜこういう基準で分けたかというのは、回答数が同じになるような割合にしたとか何とか、そういう注があるといいなと思いました。
 これは必ずしもここに記入する必要はないかもしれませんが、これは濱中委員が専門家ですから、濱中委員にぜひ、どういう注記を付けておくと誤解しにくいのかというのは少し出していただくと、全国学生調査を間違って読まないというために必要だと思いますので、そういう意味で、ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
【河田座長】  私のあれですけど、ここへきて、日本大学はちゃんと回答を出しましたかと言ったら、日本大学は出していないということなんですね。ですから、やっぱり問題なのは、大規模の都市にある私立大学が問題だと、私もそういうところに属しておりましたけど、思いますので、そこのところは、田中委員もおられるし、ぜひ、私大連なんかで、こういうのがあって、自分も委員だけれど、私立大学の都市の大規模大学がそれにちゃんと答えていないから、ちゃんとしてくれということをちょっと念押してもらったらいいのではないかなと。これは勝手な意見かもしれませんが。何かそういう工夫が、次回やるときにはぜひ前もってしておいたほうがいいかもしれませんね。
 あと、先生方のほうで何か御意見ございませんでしょうか。まだもうちょっと時間がございますが。
【服部委員】  ちょっとよろしいでしょうか。島根大学の服部ですけれども。
【河田座長】  どうぞ。
【服部委員】  問3の回答、それから、データサイエンスも含めてなんですけれども、問4とか、学生自身が自分の学びというものを考えたときに、私が考えていたよりポジティブな回答が多いように思います。これは自己肯定感があり、良いことだと思うのですが、一方で、問5の学習時間の結果を見ると、自学習時間がそれ程増えていない。1週間で5時間という学生が結構多い中で、本当に学習が身に付いているのかどうか。ひょっとしたら、データが表面的になってをしまっているのではないかというような危惧を感じました。
 オンラインの授業、オンデマンドの授業が多くなり、課題が多くなったと学生は言っている。課題が多くなった中で、学習時間がコロナ前と比べてどうか、1日1時間未満の学習時間で、課題をこなしていくというのは、なかなか難しいのではないかと思います。このことを考えると、学習の成果を調べてみることが必要かと感じました。、ただ、これは各大学でやることだと思います。
 また、問4のQ44で、デザイン力について、ここも結構ポジティブな回答です。「知識やスキルを組み合わせて一つのものをつくり出す力が必要だと感じている」、この設問に「そう思う」、「ある程度そう思う」が90%を超えている。これはすごく良いことなのですが、逆に本当かなという不安を感じたりもします。
 学生が持っている自己肯定感は素晴らしいのですが、大学側としてはもう少し学生個々の学習内容について、各大学でしっかり中身まで押さえていくことが必要なのかなと思いました。
 第2点は、数理・データサイエンスについてですけれども、本学も昨年度から必修化をしました。必修化された学生は2年生までで、4年生については、数理・データサイエンス教育の強化がまだ取り組まれる前の段階です。それを考えると、50%という数字が出てきたということは、良い意味で驚いています。
 ただ、これも先ほど言ったように、検証というのは、各大学でしっかりと取り組んでいく必要があるように思っています。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。
 あと、先生方のほうで何かございませんでしょうか。
 奥委員、ちょうどお願いしようと思っていました。
【奥委員】  すみません、短大のほうから参加させていただいております。
 今回、短大のほうで初めて参加ということで、私自身も日本私立短期大学協会のほうで、各大学へ積極的にアンケートに回答してほしいということを大分PRさせていただきまして、結果的には、いいパーセンテージが出ているのではないかと思いました。
 私の大学も、私が強く言ったために、100%近い回答率になっておりまして、今後これが続けばいいなという、そういう気持ちはあります。
 前に私が、短期大学も海外留学のほうに入れてほしいとか、3か月未満の海外研修も入れてほしいということをお話しさせていただいたかと思います。Q21、22、23、24、25あたりがそのアンケートだと思いますけれども、あいにく残念なことに、コロナで全く実施できなかったという大学が結構多かったようです。私の短期大学も、毎年夏季短期留学や海外研修等はしていますが、ここ2年ほど全く実施できていないという状況の中で、こういうアンケートを取るのはもちろん必要ですが、先ほど山田委員がおっしゃったように、注釈をちょっと付けたほうがよろしいのかなと思いました。コロナの関係で、なかなか実施できない大学が多かったとか、そういう注釈を付けたほうがいいのではないかなと思います。
 それから、28ページのQ40の「大学が学生に卒業時までに身に付けることを求めている力(ディプロマ・ポリシー)」の件ですが、「あまりそう思わない」、「そう思わない」と回答した割合が32%ということついて。このディプロマ・ポリシーは、今、文部科学省のほうでも質保証の向上のほうで、大学の卒業要件に関しても厳しくやっていかなければならないということを出しているかと思いますので、ここのところをもう少し詳しく、質問の内容もちょっと変えたほうがいいのかなという気はいたしました。
 どういう質問内容にするかは難しいかとは思いますが、卒業が一番の目標でございますので、資格取得、また、力を身に付けて卒業するということが一番の大学生活の目標だと思いますので、その辺のところをもう少し、質問のところを検討していただいたほうがいいのかなと思いました。
 それから、ちょっと前後しますが、24ページ、オンライン授業の対面授業と比べて良かった点等々のところですけれども、この内容に関しての感想で申し訳ないですが、自由な場所で授業が受けやすい、また、自分のペースで学習しやすい、これ、学生がアルバイト中にオンラインで授業を受けたりとか、そういうケースも結構聞いているんですね。ですから、この辺のところを、これで良かったというふうに判断するのはちょっと早いかなという気はいたしました。
 まだありますが、その辺のところが今現在感じているところでございます。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。
 私学の場合、私も属しておりましたけど、短期大学の私学の連盟、関口先生という方が会長さんをずっとしておられまして、非常にまとまりが良くて、こういうのを奥委員もおっしゃって、ぱぱっとそれに乗られる。それに対して、またあれですけど、大型の都市にある私立大学はそういう意識がなくて、それも表れているのではないかなというのが私の感想でございます。
 あと、何かございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、ありがとうございました。今、先生方から出ました御意見を踏まえながら、公表に向けて、文部科学省のほうでも、きちっとした、さらに細かな準備をしていただければと思います。
 それでは、第2番目の問題でございますけれど、今回の第2回の課題を踏まえながら、次の年の第3回の進め方として、どういうふうにしていけばいいのか、様々な問題点を指摘していただきましたので、この2回の試行実施の結果を踏まえながら、どういう方向で、どういうテーマを増やしたり減らしたりしながらやっていけばいいのか、このことについて、まず髙橋課長補佐から、資料2に基づいて御説明いただきたいと思います。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  髙橋でございます。資料2を御覧いただければと思います。
 こちら、調査実施上の課題等について、資料1の27ページ以降で、既に公表資料の中にも入れ込む部分は御覧いただいたところでございますけれども、改めまして、この辺について、考え方について御意見をいただきたいということで、別資料として整理をさせていただきました。
 まず1つ目としましては、調査の実施について、(1)で、調査対象についてでございます。第1回と比べて、第2回のほうでは、大学の2年生及び最終学年、短期大学の最終学年ということで、対象を拡大いたしました。それによって、先ほどから議論に供されました学年別の違いであるとか、そういう回答の差が調査できたという点は、今回実施した上でのメリットと考えてございます。
 その上で、第3回を進めるに当たっては、この調査対象については踏襲でよろしいのではないかと考えているところでございます。
 2つ目、調査時期についてでございます。時期については、第1回の調査では11月~12月中旬に実施しましたが、第2回においては2月の実施でございました。これがどのように影響しているのかというようなところが、詳細までは分からないんですけれども、回答率が第1回と比較して低下しているという点について影響を与えているのではないかと。そのため、調査時期については、第1回と同じ時期に行うとするか、あるいは、11月~12月でも2月でもない別の時期とするかということが考えられるかと思います。
 ここの点については、過去の有識者会議においては、実施時期は11月~12月中旬ということで、引き続きやりましょうという結論は出ていたんですけれども、2回目、コロナの影響で後ろにずれ込んでしまったという形で、時期がずれたというものでございます。なので、ここは実際11月に実施していたときのほうが回答率は良かったものですから、11月~12月というようなところでの実施としてはどうかと考えているところでございます。
 3番目、質問項目について、質問数でございます。第1回は36問で実施させていただいたんですけれども、今回、コロナの影響の調査とか、オンラインの比較とかということで、やっぱり取らねばならないということで、60問まで増えてしまいました。質問数の増が回答率の低下にはつながったんだろうなとは考えているところです。
 加えて、先ほどの27ページの中でも記載しましたが、平均回答時間が長くなる傾向が見られたと。でありつつも、自由記述とかをもうちょっと書きたいというような御意見をいただいたりしているところではございますけれども、基本的には、精査していくというような方向で検討を進めたいと思っておるところです。
 また、4番は、この辺はもう本当に逆に御意見いただければと考えているところなんですけれども、周知を頑張るというぐらいしかぱっと思いつくようなものはないんですけれども、回答率の向上に資するような取組とかアイデアとか何かありましたら、頂ければと思っております。
 また、2ポツとしまして、調査自体というよりは、集計のところの話でございますけれども、第3回において、特に今回、小規模の学部において50%という率のみで見ているところが、やっぱり高い回答率を必要とする観点から、基準を満たすことができないというケースが多く見られました。この辺を含めて、規模の小さい場合にどうすればいいのかというのは、これは実際この場で決めるというのは難しいと思うんですけれども、今後、専門の方々等にまた御意見を伺うとして、一番小さいロットのところは見直していってもいいのではないかと考えているところでございます。
 以上のような点を、見直しの点として考えているところでございますけれども、ぜひとも御意見いただければと思います。
【河田座長】  ということでございます。
 それでは、まだ時間がございますので、調査対象、調査の時期、質問の項目、それから、今日問題になった点で、改良点、そういうことにつきまして、先生方のほうから御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  すみません、高橋ですけれども。
 今回の回答率が低いことの多分一番大きいのが時期かなと。2月という時期が、学生に伝えること自体が難しく、また、大学が非常に忙しい、入試等もあり、4年生はなかなかつかまらないとか、いろんな問題もあるので、やっぱり時期としては、11月~12月、もともとこの会議の中でも、その時期しかないのではないかと言っていたので、時期については、そこがやっぱり望ましいのではないかと。今年度でその時期にできるかどうかは、また文部科学省のほうで御検討いただきたいと思います。
 それから、質問項目も、やはり今回の60問はちょっと多いなと。これもオンラインでやる、多分スマホでやるということで、何回画面が切り替わるかとかも考えても、大体元の1回目の36問というぐらいがいいのではないかなと思いますし、もう次は3回目なので、3回目ということは、本格の前の最後の試行なので、大体これでいけるという感じの形での実施としないといけないかなと思いますので、そういうこともあって、できるだけ継続した内容で、そういう形の設問を考えていくのかいいのではないかと個人的には思います。
 特にオンラインのところは、今回、先ほどありましたけど、もう令和3年度から、かなりオンライン自体は減ってきていて、対面に切り替わっていて、これが令和4年度では、もっとその割合が高くなっていくと思いますし、今回の調査で一定のことは聞けたかなと思いますので、そのあたりは今回は外してもいいのではないかなと思っています。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。
 小林委員、お願いいたします。
【小林(浩)委員】  小林でございます。
 今、高橋委員がおっしゃったように、私どももインターネットでウェブ調査をやるんですけれども、1つ大きなのが、やっぱり設問数というところで、オンラインのいいところは、どこで離脱したかが分かるようになっていますので、この60項目の中のどこで離脱したか取れないですかね。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  今回利用したフォームでは、フルで埋めて送信してもらう形になっていますので、途中離脱が取れない形です。
【小林(浩)委員】  そうなんですね。なるほど。
 例えば、私どもでやると、名前を入れるところか、学校名とかを入れるところとか、学部名を入れるところがあると、そこで急に離脱してしまうとかという傾向があるんですけれども。もし今回のところで答えづらいようなところが分かるのであれば、そこの質問項目を変えるとか、順番を入れ替えるということができるのかなとは思いました。
 あと、この回答方法について、ウェブ調査として、回答方法は、スマートフォン・PCがほとんどと書いてあるんですけど、これ、どっちがどっちかって分かるものなんですか。
【濱中オブザーバー】  1回目のときはスマートフォンが多かったという記憶があります。
【小林(浩)委員】  分かれば、スマホだとすると、やはり先ほどおっしゃったように、画面の切り替えの数とかで、ちょっと飽きてしまってというところはあると思いますので、そこのところの離脱状況とかが分かれば、見ていければなと思ったところでございます。
 以上でございます。
【河田座長】  ありがとうございます。
 濱中委員、お願いします。
【濱中オブザーバー】  私からは、集計基準のところに質問というか、提案です。
 もともとこの集計基準というのは、大学別に大学ごとの結果を公表するためにある程度の数が必要だということで設けたものなので、大学別で公表しないのであれば、あえて集計基準に満たないからといって、集計からあえて外す理由はほとんどないんですね。
 ただ、たしか大学に周知するときに、集計基準を満たしたところだけ出しますと言った手前、ここまで2回は、後ろの細かい集計のほうは、集計基準を満たした学校だけを取り出して答えている。だから、学生さんからすれば、せっかく答えたのに、自分の回答が反映されていないという、本当はあまりよろしくない状況になっているので、公表用には、別に少ない数しか答えていなくても、もともと少ないんですから、実はその人たちの結果が影響するということはあまりないので、全体集計のときには、答えてくれた人全部使うほうが望ましいのではないかと。
 それは事前に周知して、そういうふうにやりますということを大学のほうにお伝えした上でやる必要はあるんですけど、そういうやり方のほうが多分望ましいだろうと。
 一方で、3回目の試行になって、結局、この大学ごとの公表というのはどうするのかというのは、ずっとペンディングのままになっているので、それが決まってからでないと、集計基準をどうするかは決められない。もともと大学別公表をするときの集計基準ですから、今の段階では、あまりいじる必要はない。逆に、3回目の結果を出すときには、回答してくれた人は全部使うというような方針で置いておくのが望ましいかなと、そういうふうに考えますが、皆さんの御意見も伺えればと思います。
【河田座長】  その辺、いかがでしょうか。
 小林委員、どうぞ。
【小林(雅)委員】  先ほど申し上げたのも、今の濱中さんの意見と同じような趣旨で申し上げたんですが。今から集計をやり直せというのはちょっと無茶な話なので、全体のところは、全部が使われているので、これでいいかなと思います。
 だから、本来は、国公私立別と専攻別とかでも、別に、今言われたような理由で、基準に合ったところだけにする必要は実はなかったわけですよね。だから、そこは、一番いいのは、そういうことをできるかどうか分かりませんけれど、2つの集計を比べてみればいいんですよ。どのくらいずれるか。基準だけにした場合と全部の集計がどのくらいずれるかということをやってみれば、大体の傾向は分かるんですけど。
 そこまでは第2回まではやっていないということですと、これは私もどっちがいいか難しいんですけれど、先ほどの高橋委員の意見は、もう3回目で、試行としては最後だから、できるだけ完成形にしたほうがいいという、これはごもっともな意見なんです。ただ、逆に、試行なので、いろんなことを試せるのではないかという。これはかなりリスクのある話になっちゃうんですけれど。例えば、先ほど小林浩委員から出たように、途中でどういう質問が飛んでしまうのかというのは、逆に、あえて分かるようにしていくというのも1つですよね。そうすると、回答の結果というのはかなりゆがむと思うんですけれど、どこがどうなっているかというのを見るためには、それは1つのやり方だと思います。
 それから、これは事務局にお伺いしたいんですけど、この調査って、本調査のときには、どのくらいの頻度で行う予定なんですか。
【柿澤高等教育政策室長】  少なくとも現時点で、本調査になったときに、本格実施のときに隔年で行うのかとか、3年に1回なのかとか、そこまではまだ確定しておりません。
【小林(雅)委員】  分かりました。
 1つのやり方としては、これは学生調査ではよく行われる手法なんですけれど、定点観測する必要のある項目、これは必ず毎回やるんですよ。だけど、そのときのトピックに合わせて幾つか、例えば、今回ので言うと、コロナの問題、オンラインの問題とか、そういうのは毎回やる必要はないんですよね。あまり変わらないんですよ。というか、定点観測って、時系列に比較する意味があまりないので、ですから、そういうことをやると、設問数が若干減るということがありますので、その辺は、全然方向性が違う話になっちゃうので、どちらがいいのか議論していただきたいんですけれど、もう完成形に近いものにするのか、それとも、やっぱりトライをやってみるのかというのは、少し議論してもいいかなと思いました。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございます。
 山田委員、どうぞ。
【山田委員】  私も、小林委員の、試行調査のうちに完成形にさるのか、そして、ちょっとテスト部分も入れるのかということに関連して、意見を申し上げたいんですけれども。
 やはり一部の学生がどういうことを身に付けたかというようなことは、ある意味で完成形としていいと思うし、そういうのは完成形で聞いていくべきだと思います。
 ただ、どうしてもちょっと調べてみたいなというような、学修者視点ということで考えますと、オンラインについてなんですね。オンラインのデリバリーについてだと思うんです。これは高橋委員、先ほど、これからも減っていくだろうということをおっしゃったんですけれども、ただ、世界の動向から見たときに、オンラインの授業というのは非常に可能性があるというような見方もしているところもあって、その意味では、日本は今まではオンラインのデリバリーというのはあまり発展していなかったんですけれども、コロナ禍で、質とか、そういうものもかなり前向きになった部分もあるかと思うんです。
 私の研究プロジェクトで、このあたり、アメリカの教員にインタビュー調査を現在していて、本日たまたまコーネル大学にお聞きしたところでは、御存じのようにものすごく学費が高いアイビーリーグの著名大学でございますから、大学としては少人数教育等、もう本当に対面式で少人数で行うために、オンラインは選択しないというような形にしているんですね。
 しかし、そうではない大学もたくさんあって、学生の費用の面から、それから、プロフェッショナルな、働いている人たち向けにオンラインをどんどん使っていこうということで、ある意味で二極分化するということもあって、学生もそこを、やっぱり学修者視点から見たときに、選べるような感じを持っている人たちも多いそうなんです。
 ヨーロッパなんかでもそういうところもあると思いますので、そうやって見ますと、日本の中でも、もしかすると、学生によっては、オンラインデリバリーを肯定的に捉えて、これからもしていってほしい、それから、設置基準の改正なんかもございますから、そういう点での試験的な項目というのは、幾つか残しておいていただけると、学生の学修者目線で、どういうようなデリバリーを望んでいるのかなというところが分かるかなと思ったりするところです。
 もう1点は、時期は本当に11月~12月なんですけれども、たまたまこれが2月だったからこそ、4年生の卒業研究や卒業論文のところで、いいデータが来ていたと思うんですね。人間って、やっぱりし終えたことでないと、なかなかいい回答にならないので、11月と言ったら、まだ学生たちは卒論を提出していないところで、まあ何とかやっているところなので、どういうようなデータが出るのかなと思って、卒業論文や卒業研究に関してのリライアブル、そして、バリュディティのある回答が得られるのかなというのは、ちょっと私も分からないので、そこら辺もぜひ議論していただきたいところで、そこを聞いて、前のような回答になるのかなというような不安もあったりするところでございます。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございます。
 今コーネルの話が出ましたけど、数日前、プリンストン大学の方から聞いたんですけど、プリンストンでは、10万ドル以下の家庭の学生さんは、学費と寮のお金を全部免除するという決定をしたそうなので。いや、余計な話でした。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  すみません、私、オンラインは要らないとか言っているわけではないんですが。オンラインと対面のベストミックス、今後どう考えていかなければいけないかなというのは、高等教育全体の大きな課題だと思います。ただ、対面の授業の中でも、当然、オンラインの要素をどんどん取り入れていくような、いかなければいけないという状況の中で、そこで分けて聞いていくことにどこまで意味があるのかなというのはちょっと疑問で思っています。
 それから、完成形というのは、基本的には骨格は固めていただいて、先ほど小林委員もおっしゃったように、ここは定点的にずっと聞いていこうというものについては、3回目ぐらいでは決めておかないと、本格実施へ行って、その後、試行できないので。ただ、今あったように、2年か3年に一遍やるときに、そのときに新たに加えるとか、そのときに変えるようなものは一定用意しておくというのはあるかもしれませんが、やっぱり骨格的な部分については、3回目のところぐらいでは大体決めておかなければいけないのではないかなと思っています。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございます。
 服部委員、あるいは、竹中委員、いかがでしょうか。
【竹中委員】  竹中ですが。多分、オンラインのオンデマンドは、学修者のいわゆる学修時間を確保するツールになると思います。対面授業でできることが限定的になれば、どこで何をするのかというと、私は医療系しか分かりませんけれども、できるだけ研究者であり教員の時間的負担を少なくして、対面時間をびしっと稼ごうと思うと、いわゆる学修者が学修してくれる、その材料をどう出すんだというのは、多分オンラインとオンデマンドをどういうふうに使うかというところにも、我々のところではなりそうな感じがしています。
【河田座長】  服部委員。
【服部委員】  島根大学の服部です。今、皆さんの御意見を伺って、そのとおりかなと思いました。
 活動が平常に戻りつつある中で、オンラインとかオンデマンド等による授業に関する質問はしなくても良いのかなと思います。一方で山田委員の話を伺うと、これからどのような教育を行っていくかというのは、各大学で差が出てくる。そして、教育内容によって学生が大学を選ぶことになりますと、その傾向が分かるような設問があると、大学側としてはありがたいデータになると思いました。
 それから、参加学部の約6割が集計基準に達する回答数を得られなかったということは問題で、すごくもったいないと感じました。実は、本学でも、1つの学部は、その基準に達せず集計に入らないことになってしましました。それはこちらが悪いのですが、そこはもったいない気はしますので、この基準については再考願えれば助かります。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございます。
【柿澤高等教育政策室長】  すみません、オンライン教育の話がかなり出ましたので、一言だけ。
 実は、今年の3月に中教審の質保証システム部会、小林浩委員にも参画いただいておりますけれども、ここの提言としまして、国として、今後オンライン教育、遠隔授業の質保証のためのガイドラインを策定するという提言がされております。
 こうした提言の前から、例えば、教育再生実行会議の提言等においても、我が国において、オンライン教育ですとか遠隔授業の効果等に関して、十分な効果検証ですとか、研究上の知見の蓄積がないというところで、これは当然必要なんだろうと思っております。
 ただ、オンライン教育の質保証をどう行っていくのかというときには、これって、どういう授業設計の中でICTを活用していくのかとかいったことも含めて、かなり細かく調査研究をしていく必要があるんだろうなという中で、全国学生調査というフォーマットの中で、学生さんの総括的な教育上の経験として、同時双方向こうだったな、オンデマンドはこうだったなといったところを聞いていくという形が、オンライン教育の今後の質保証等を考える上で、どこまで有益なデータになるのか。それとも、この調査とはまた別の形での調査研究が必要なのかというところは、これは文部科学省の中でも、今日頂いた御意見を踏まえて、よく考えていきたいと思っております。
【河田座長】  よろしくお願いいたします。
 あともうちょっと時間がございますが、先生方から何かありましょうか。
 小林雅之委員、どうぞ。
【小林(雅)委員】  学年のことについてなんですけれど、第1回が3年生で、今回は2年生と4年生なんですね。このあたりをどう考えるかというのは、やはり第3回は、それでは、やっていないのは1年生だから、1年生をやるのかとか、そのあたり、かなり意味が違ってしまうんですね。特に学習時間とか、今日のでも出ていましたけど、2年生に卒論のことを聞いてもほとんど無意味なわけで、そのあたりは、ですから、どこをやるのかというのは、これから議論していく必要があると思うんですね。
 1つの回答は、もう全部の学年をやるというのも1つのやり方だと思いますし、あるいは、逆に、先ほど出て来ていますように、回によって学年も変えるというのも1つのやり方だと思いますし、その辺はちょっと議論していただきたいと思います。
 以上です。
【河田座長】  2日前の朝日新聞に、全国の生協が1年生、2年生、3年生、4年生全部に、コロナの時期で、学生生活は充実しているかということで聞いたのには、やっぱりコロナでしょうけれど、3年生が一番低かったというのが載っておりましたけど、その辺はいかがでしょうか。
 全学年聞くのか、それとも、回を決めて何年生というふうにしていくのか。文部科学省のほうで考えがありますか。
【柿澤高等教育政策室長】  フィージビリティということを考えますと、なかなか全学年調査というものは難しいと思いますし、また、1年生に対して、これこれが身に付いていますかといったところの質問をする意義がどれくらいあるのかということはあるのかなと。
 ただ一方で、これは本格実施になったときに、調査頻度とかとも関わるとは思うんですけれど、例えば、毎年調査するけれども、2年、4年、2年、4年とかいう形で、学年を変えるとかということもあるのではないかと思います。
 おっしゃるとおり、卒論の質問を2年生に聞いても意味がないよねというところで、今後、例えば、2・4で聞くのであれば、2年生と4年生で質問項目を分けるということもあるでしょうし、ただ、一つのフォーマットで分けたりというよりも、もういっそ2年生用、4年生用で、それぞれ隔年になるというようなパターンもあるでしょうから、今日、大分有益な御示唆をたくさん頂きましたので、様々なパターンを本格実施に向けて考えていきたいと思います。
【河田座長】  ありがとうございます。
 小林委員とかは、割としょっちゅうアンケートを学生さんに取っておられて。
【小林(浩)委員】  私ども、高校生とか大学1年生が多いんですけれども。今回の視点で言うと、やはり学修者本位の教育への転換というのが一番大きなテーマで、だからこそ、学生の声を聞くというところがあると思いますので、先ほど出ていたディプロマ・ポリシーですとか、何が身に付いたかとか、それがきちんと説明されているかどうかというところが多分本筋なのではないかと思っていまして、それに伴って、どのような授業が行われていて、学生がどう実感しているかというのがくっついてきて、この調査の意味があるような気がしますので、その観点から、本当は全学年取れればいいんですが、予算の関係とか、パワーの関係も、私どもでもそれがありますので、考えて、多分4年生は必須だと思うんですね。学修成果という点で言うとですね。それがいつから身に付いていったかとか、実感してきたかということを比較する検討というのを、例えば、隔年でもし2年生と4年生をやれば、2年生の子が4年生になっているというようなことも見えると思いますので、そこら辺の考え方のストーリーというのがまずあって、学年があるのかなと考えます。
【河田座長】  なるほど。
 その辺、いかがでしょうか。竹中委員なんか、まさに6年間、ステップ、ステップ、ステップで上がっていく積上げ方式の医学教育でやっておられますけれど。
【竹中委員】  多分、この4大の中でも、10年後には大学院の修士までも含んだような、例えば、理工系の学部の在り方みたいなのも変わってくると思いますし、いろいろ変わってくることを、アンケートがどこまで経時的に追いかけながら、実態を反映させるのかというところの論議がこの時代はとても必要で、だから継続するんだ、だから、ここは継続しないという取捨選択をトライアルの間に決めておかないと、本番になったときに、本当に使えるのかというのが、特に今の高大接続、それから、3つのポリシー、それと、学修者の視点からという、かなり大胆なチャレンジだと思うんですね。
 今まで研究者が、あるいは教育者がカリキュラム管理をしていた枠組を、本当にどこまで残していくんだというふうなところまで来ているので、そこの観点ができれば、フラットに一度、ほとんど医学部はもうフラットになってしまいましたけど、なる必要があるかなというふうな感じはしています。
【河田座長】  なるほど。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  すみません、問題は、学年と時期が結構大きく関係していて、先ほど山田委員もおっしゃっていたんですけど、本学でやっていても、4年生の調査は1月~2月、1年生・3年生は11月~12月にやっています。
 4年生となると、大学全体の学修成果という観点がやはり大きくなるだろうというときに、11月というのはちょっと中途半端かなということが出てくるかなと思います。
 あと、1年生と4年生とは、質問項目はかなり変わってくるかなと。今、IRコンソでも、同じ部分もありますけど、違う部分もかなりありますので。ただ、これもこの全国学生調査でできるところとできないところがあるので、どこに絞るということを考えないといけないかなと思います。これは今後の課題かと思いますが。
【河田座長】  あと、何か先生方のほうから御意見はいかがでしょうか。
 文部科学省のほうとしては、第3回の試行の調査の前に、また有識者会議を仕立てて考えていくという方向ですね。
【柿澤高等教育政策室長】  はい。改めて第3回の試行調査の前に、有識者会議の体制を整えてというふうに考えております。
【濱中オブザーバー】  ということは、第3回は今年度ではないことだけは明らかということですか。それもまだ決まっていないということでしょうか。
【柿澤高等教育政策室長】  そこも早急にやらないといけないというところではあるんですが。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  まだ間に合う可能性はあると思います。
【柿澤高等教育政策室長】  まずもって、今回の公表に向けた作業をするというところと併せて、この第3回試行実施に向けた新たな有識者会議の下でのというところも準備をしなければいけないので、今日お話を伺いながら、調査時期のところは、11月~12月というお話もございましたので、鋭意、ここが逆算するとなかなか厳しいということは重々承知しておりますけれども、ちょっと巻きで進めていきたいと思っております。また先生方、よろしくお願いいたします。
【河田座長】  小林委員、どうぞ。
【小林(雅)委員】  それに関連してなんですけど、今回はインナーで非公開でやっているわけですよね。そのあたりはどういう感じで、やっぱりこの調査は大学によっては非常に関心を持って見ていますので、1月にやったのをいまだに公表されていないというのは、問合せが来たりもしているんですね。ですから、そのあたり、どういうふうにするのか。まず、今日のを公表するということだと思うんですが、その後は、私たちの任期の問題もありますし、どういうふうな感じでやっていくかということのロードマップを、簡単なものでも提示していただけるとありがたいんですけど。
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  おっしゃるとおりでございまして、原則的には、非公開でやるというのは、公表前のデータを扱うところは非公開にならざるを得ないということで、そういう扱いとさせていただいておりますけれども、それ以外のところ、例えば、調査の実施をこれからやりますというような1月の会議なんていうのは公開でやったというように、原則公開で、調査の公表前のところだけ非公開になるというような形で会議の運営はしているところです。
 長期的な部分は、先ほど柿澤のほうからも言いましたけれども、なるべく早急にいろいろ整理して、まさに公表で、次の3回のものに対して、任期も切れますので、有識者会議も新たに立ち上げて、次に向かって準備を進めるというようなスケジュール感になると思います。
【河田座長】  では、そういう形で、早期に結論、今回のものを公表して、そして、こういう効果がありましたよということをやっぱり多くの方々に、高校を含めた方々に示し、そして、次どうするか、どこまでやるのかということも決めていくという、そういうロードマップをぜひ作っていただいて、これは大事な国としての施策の一つでしょうから、頑張っていただきたいと思います。
 それでは、よろしゅうございますか。
 この有識者会議、最後ですので、事務局のほうから一言。
【山下高等教育企画課長】  すみません、課長の山下でございます。
 本日は約2時間にわたりまして御検討いただきまして、どうもありがとうございます。
 令和3年度調査、今回の公表しようとしております試行調査に係ります「全国学生調査」に関する有識者会議につきましては、先ほど座長からも言及いただきましたけれども、今回最終回ということでございますので、簡単に一言御挨拶をさせていただければと思います。
 本会議におきましては、令和元年度の学生調査の試行の1回目の結果を踏まえまして、第2回試行実施の具体的な調査項目を御議論いただくとともに、本日、その結果公表や次回試行実施に向けての課題等について、いろいろと御提言を頂戴いたしました。
 第2回施行実施は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、高等教育を取り巻く環境が大きく変動し、学生が置かれる状況も一変する中で行われました。今回御議論いただきました調査結果をもとに、この激動する環境の中で、学生が大学での学びを通じて何を身に付け、成長していると感じているのかを把握し、大学教育の改善につなげていくことは、非常に重要なことであると認識しております。
 このような重要な調査について、委員の皆様には、その専門的見地から御議論を重ねていただき、調査の実施から結果の公表まで方向性を示していただきまして、誠にありがとうございました。
 河田座長をはじめ、委員の皆様の御尽力に感謝を申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【河田座長】  どうもありがとうございました。
 この委員会、私なんかが座長をさせていただきましたが、先生方が非常に積極的に前向きの発言が多くて、座長として非常にありがたく思っております。
 では、そういうことで、今回、我々の任務が終わるということですので、今後とも頑張っていただきたいと思います。
 本当に、先生方、ありがとうございました。失礼いたします。
 
―― 了 ――
 

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