「全国学生調査」に関する有識者会議(第4回)議事録

1.日時

令和3年2月17日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館15階15F特別会議室(※WEB会議)

3.議題

  1. 「全国学生調査」の本格実施に向けた論点と今後の方向性について
  2. 令和3年度「全国学生調査(第2回試行実施)」について
  3. その他

4.出席者

委員

河田悌一座長
奥明子,岸本強,小林浩,小林雅之,清水一彦,高橋哲也,田中愛治,千葉吉裕,服部泰直,山田礼子の各委員
 

文部科学省

 淵上高等教育企画課長,奥井高等教育企画課課長補佐ほか

オブザーバー

 濱中  義隆氏

 

5.議事録

【河田座長】 おはようございます。所定の時間になりましたので,第4回「全国学生調査」に関する有識者会議を開きたいと思います。御多忙の中,御出席くださいましてありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症対策のために,今回もウェブ会議として開催,その様子をYouTubeでライブ配信して公開しております。
議事に入ります前に,事務局から連絡事項をお願いいたします。

【大和田高等教育政策室企画審議係長】 事務局でございます。本日は,ウェブ会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際は,手のマークのボタンを押していただき,指名されましたらお名前をおっしゃってから御発言いただきたいこと。また,御発言後は再度手のマークのボタンを押して,挙手の表示を消していただきますようお願いいたします。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど,御配慮いただけますと有り難く存じます。
会議中,不都合が生じることがあるかと思いますが,どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
また,会議資料につきましては,議事次第に記載のとおり,事前にメールにてお送りしておりますので,御確認願います。以上でございます。

【河田座長】 それでは議事に入ります。本日は最終回ということで,全国学生調査の本格的な実施に向けての論点,それから今後の方向性について,これまでの議論をまとめていきたいと考えております。
先週2月9日,第159回の中央教育審議会大学分科会において,私から,本日の参考資料2に基づきまして,本会議の検討状況について御報告をいたしました。小林雅之委員,清水一彦委員が中央教育審議会委員として入っておられますが,資料1にまとめてありますけれど,各委員から非常に好意的な意見が寄せられました。それから,産業界の方々からも期待をしているといった賛同の意見が寄せられたと私は感じております。
さて本日は資料1と併せて,資料2,今後の方向性の案に基づいて議論をしていきたいと存じます。それでは,奥井課長補佐から,資料1,資料2に基づいて御説明を頂きたいと思います。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 高等教育企画課の奥井でございます。まず,資料1に基づきまして,先日開催された大学分科会における意見の概要について御紹介したいと思います。
1ページ目の,目的関係につきましては,今回新たに付け加えております目的4で,本調査を通じて,学生一人一人が自分を振り返ることで,学修や大学生活をより充実したものにしてもらうということは非常に大事であり,このような目的が入ったことについては歓迎するといった御意見。また企業目線で,企業からは,あなたは何ができますかといった問いかけをしており,この調査を通じて,学生が社会に出て即戦力として活躍できるという自覚を高めていただきたいという御意見。また,質問項目関係では,学習時間のところで,授業にはよく出るけれども,予習,復習,課題などの授業外での学習時間が著しく少ない状況である。今回,問1の新規項目で,「予習,復習など自主学習について,授業やシラバスで指示があった」という項目が入ることは大変よいことであり,このような質問と他の質問項目のクロス集計で分析をして,どういうことを改善していけばいいかを結果を使って読み取れる方向にしてほしいという御意見。また,コロナ禍を通じて,大学教育が新しい在り方になっているのでそういったものについては,是非質問項目に入れてほしいという御意見がありました。
2ページ目の,調査結果の公表関係では,試行段階でも,自分の大学について結果を公表できることになるのは非常に重要で,調査結果の公表に向けて前進したことを評価する。また,他の大学とも比べることができて,それを自分の大学の中でよりよい工夫をするために活用してほしいという御意見。大学で何を学修して,大学がどういう意味を持っているのかということを社会に理解していただく必要があるといった御意見がありました。
最後に,偏差値で大学を見る習慣から抜け切れていないということが「教学マネジメント指針」でも言われておりますが,そういったことを打破する上でも,こうした取組・情報公表を全面的に進めてほしいといった御意見を頂いております。
続きまして,資料2に基づき,全国学生調査の本格実施に向けた今後の方向性を最終的に整理しております。第3回までの御議論や2月9日の大学分科会の資料から大きく変更している内容はございませんが,ポイントについて,改めて御説明をさせていただきます。
まず,論点1,全国学生調査の目的についてでございます。4点掲げております。本調査を活用して,各大学の教育改善に生かしてもらうこと。また,学生の学修成果や大学の教育効果に関心を持ってもらい,大学に対する社会の理解を深めること。学修者本位の教育に向けた,政策的な資料として活用すること。学生一人一人が本調査を通じて振り返ることで,大学での学びを考え,また,学生目線からの意義というものを目的として加えること,この4点を掲げてございます。
続きまして,2ページ目の論点2,調査対象・時期・方法についてでございます。「今後の方向性」に示しておりますとおり,試行実施の間は全ての大学に対して意向確認を行い,参加の意向があった大学の全ての学部を調査対象とすること。しかし,本格実施の際には全大学が参加できるような調査設計としていきたいということ。また,第2回の試行実施からは,短期大学を対象に加えること。第2回の試行実施では,大学は2年生と最終学年の学生全員,短期大学は最終学年の学生全員を対象とすること。この対象学年については,第1回,第2回の試行実施の回答状況等も踏まえて,改めて学年については検討していくこと。実施の時期については,11月頃とすること。また,各大学を通じて,当該学年の学生に対して回答を依頼するわけですが,その周知方法やより多くの学生に関心を持っていただき,回答いただけるよう,学生に伝わりやすい文言あるいはタイミングなどについて工夫を図ること。
3ページ目を御覧いただきまして,論点3,回答方法についてでございます。回答のしやすさを考慮して,匿名によるインターネット調査の方法を継続すること。
論点4,質問項目について,これは後ほど具体的に御説明しますが,選択式の50問程度とすること。今後,共通的な設問項目として継続的に使っていくということから,工夫を図る必要があるということ。
4ページ目を御覧いただきまして,論点5,公表内容・方法についてでございます。公表内容につきましては,試行実施の間は,全学生からの回答を集計した全体のものに加えて,一定の基準を満たしたものについて集計した,設置者別,学部規模別,学部分野別,設置者別と学部規模別の組合せ,学部分野別と学部規模別の組合せについて公表をすること。第2回の試行実施では,その一定の基準として,例えば60人以上80人未満のときは有効回答数が30人以上,その後,規模に応じて40人,50人。600人以上のときには有効回答者数が60人以上という基準を設定すること。この基準については,第1回の基準と異なっておりますが,第2回の結果も踏まえて今後検討すること。一番下にありますが,本格実施に向けて基準を更に見直す可能性もございますので,試行実施の間は,大学・学部単位での公表は行わず,先ほど申し上げた回答の集計を行う際の基準として用いることとしております。
5ページ目を御覧いただきまして,試行実施の間は,集計したものを公表することとしておりますが,本格実施に向けては,大学・学部単位で調査結果を公表することとしております。その際,回答結果の数値の羅列だけではなくて,結果の見方等と併せて各大学の取組を記載することなどにより,単なる順位づけではなく,各大学の強み・特色の発信につながるよう,工夫を行うこと。この公表・工夫の仕方については,引き続き検討することが必要としております。なお,試行実施の間においても,各大学が自大学の調査結果を自主的に公表することについては認めていくこととしております。
論点6,既存の学生調査との整理・調整についてでございます。調査項目などが固まっていきますと,本格実施に移行していくわけですが,その段階の前に,各大学あるいは大学IRコンソーシアムが行っている独自の調査について,整合を図る必要があると思っております。例えば,その既存の調査に設問項目を入れていただくことなどによって,本調査の全国共通性を確保しながら,学生の負担を減らす方法を引き続き検討していきたいと考えております。また,試行実施の間に,大学の独自質問を入れることで学生の参加を促すことができるのではないかということも考えておりますが,質問項目が過大になるという懸念もあり,どのような形で実施していくかは,引き続き検討していくことを掲げております。本資料の説明は以上でございます。

【河田座長】 ありがとうございました。ただいまの御説明を踏まえまして,今後の方向性への御意見,御質問などがありましたら,挙手ボタンを押していただければと思います。いかがでございましょうか。山田礼子委員,いかがでしょうか。

【山田委員】 中央教育審議会大学分科会のお話も少し伺いまして,全般的に今後の方向性というのは,私も前回のとおりでいいかと思いますが,1点,コロナ禍を経験して,大学教育の新しい在り方も示せるような項目をというような御要望が,大学分科会からあったと思います。この中で,前にたしか田中委員が御指摘されたと思いますが,今回,2年生が対象になるということは,その2年生は,実際に余り大学での対面授業を経験していないという特別な学年です。その意味で言いますと,4年生と2年生を比較することでかなり違った新しい形が見えてくるかと思います。これは,私自身の大学の問題でもあり,いろいろなスーパーグローバル大学でもそうですが,大学教育の在り方として,やはりキャンパスの国際化というのが結構大きな影響があると思っております。この間ずっと,対面式といいますか,自由な移動をベースとして国際移動を行ってきたわけですけれども,それが果たして本当にコロナ禍だけが要因ではなく,新たな感染症やアメリカのように政治的な問題もいろいろございますから,今までのように自由な移動ができるかということも不確定要素であると思うんです。
それを踏まえて,オンライン上でのバーチャルな体験が非常に重要になってくると考えておりまして,今回,私どもの大学も秋学期から,ハワイ大学と共同でオンラインの体験学習を開発してまいりました。その結果,自分の所属学科の学生75人ぐらいに調査いたしましたところ,対面式で実際の経験はできないけれども,グローバルな関心ごとや,知識,相手大学の学生との学び合いは意外に進んでいました。非常に点数も高かったです。これを新たな大学教育という前提の下で考えますと,今の学生たちは,SNSやZoom等を使って,相手大学の学生とも非常に積極的に交流をしますから,シラバスさえきちんとお互いで出来上がっていて,それを見る教員がいれば,十分なプレゼンテーションやペーパーを書くことまでできることが分かりました。ですからリアルな体験はできないかもしれませんが,そのようなことを活用しながら,新たな国際化ということの項目を,例えば2年生と4年生が比較できるような,あるいは今後のためにそれをつくるような項目も考えたらいいかなと思っています。
恐らく多くの大学で留学をしないといけない学部がたくさんできてきておりますから,そういった大学が自由な移動ということができないということも視野に入れた上での新しい方向性の一つのパイロットになるではないかと思っております。以上です。

【河田座長】 ありがとうございました。田中愛治委員,いかがでしょうか。

【田中委員】 ありがとうございます。山田委員のお話を聞いて非常に感銘を受けました。オンラインによる国際的な教育が可能だということは,本当に心強いと思っています。正に山田委員に引用していただきました私の前回の発言について,令和3年度の大学2年生はほぼ1年間オンライン中心で教育を受けた学生が多く,その前の学生たちとは違う経験を持っており,令和3年度に入学する学生とも若干異なるだろうと思います。それで,彼らがどう考えたかをやはり聞いておく必要があるということを前回申し上げております。今回,資料中にもそれを文部科学省事務局の方に入れていただいておりますが,現在の1年生は歴史的に非常に特異な経験をしている学年で,来年度は彼らが調査対象になるわけですから,彼らの気持ちはやはりよく捉えておく必要があると。特に今の1年生は,高校の教育しか知らないで大学でオンライン教育を受けているので,大学における対面教育というものを知らない学年です。その学年が,令和3年度に対面が少し増えてきたときにどう感じるかということも比較できると思いますので,例えば今年の11月の調査でありましたら,昨年と比べて今年の教育をどう思うかということも含めて聞いていただく手もあるかなと思っております。ここのところは,オンライン教育が全部否定されるわけではないということは大分分かってきていまして,いわゆる講義科目に関しては効果があることも分かってきているわけです。それが,ただオンライン教育だけでは大学での学生生活の全てにはならないというわけです。その点の比較を十分していただければと思っております。

【河田座長】 ありがとうございます。服部泰直委員,いかがでしょうか。

【服部委員】 ありがとうございます。山田委員,田中委員のお話を伺って,もっともなことと思います。新2年生につきましては,今回だけでなく,毎年フォローしていくということも必要かと思います。また,今の上級生と新2年生,新1年生との比較も必要かと思います。恐らく来年度からは対面授業が多くなってはくるけれども,オンライン授業も残るだろうと思います。それから,平時におけるオンラインと対面授業のバランスの在り方について,どの程度が適当なのかを各大学が試行錯誤しながら,新しい大学の授業形態が確立されてくると思いますので,その参考になるデータが取れるのではないかと期待しています。
それから,全体につきましては,良くまとまっていると思います。以上です。ありがとうございました。

【河田座長】 ありがとうございました。高橋哲也委員,どうぞ御発言ください。

【高橋委員】 大阪府立大学の高橋です。まず,山田委員がおっしゃっているのはもっともですが,今回,学生調査を全国の大学で,短期大学も含めて行うということですので,今から国際化の設問というのは厳しいかと個人的には感じております。
それとあと,2年生の部分は前回も実施しており,前回は3年生に対して実施しています。今回も同じ設問がありますので,その比較ということで,かなりのことが分かるのではないかと思っております。ということで,基本的には今までの方向で続けていただければよいかなと思っております。
あともう一つの視点は,恐らくいろいろな大学でコロナ禍でのオンライン教育に関する調査をされたと思います。本学でもやっていますが,大学がやるものと学生自治会がやるものでは,結果がかなり違っており,学生自治会の方が厳しめの結果が出ます。今回文部科学省にやっていただくと,実は前回試行実施も大学でやるものよりかは少し厳しめ,特に自由記述等は厳しめの部分が多かったので,その辺りも含めて,今回の調査が意義あるものになるのではないかなと感じております。以上です。

【河田座長】 ありがとうございました。小林浩委員,いかがですか。

【小林(浩)委員】 リクルートの小林でございます。私どももいろいろ調査をしていますが,クロス集計を学部とか学年とかいろいろかけていきましょうといったときに,回答数が少ないと,そのセグメントが評価できなくなってしまうというのと,例えば大学とか学部が特定されてしまうというのが問題になって,なかなか回答数が得られないというのがあります。ですので,できるだけ大学あるいは学生が回答しやすいようなインセンティブ,何か自分たちにフィードバックがあるとか,何か結果がビジュアルで見える等の回答しやすいような環境づくり,わくわくするような,回答したいと思うような環境づくりができると良いのではないかというのが1点目です。
2点目は,先日私も大学分科会を傍聴しまして,清水委員や小林雅之委員も入られていましたが,「教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について」という提言がまとめられています。その中に,教育研究活動の構成員である学生の関与が広く定着することが期待されるという言葉が入っています。なので,学生調査は学生調査でということではなくて,こういった高等教育政策の中で,学生調査をきちんと大学の教育と研究の両輪に反映していくといったメッセージを,これは文部科学省かもしれないし,私たちかもしれないですが,社会に発信していくというのが非常に重要だと感じました。
内容については,いろいろまとめていただいてありがとうございます。特にございません。ありがとうございます。

【河田座長】 ありがとうございます。奥明子委員,いかがでしょうか。

【奥委員】 今いろいろと御説明を伺いまして,また,内容の方も非常によくまとめてくださっていて,短期大学でも十分に回答できる内容ということは,私の方でよく理解することができました。質問の内容に関して,今後はオンラインから対面も多くなっていくかとは思うのですけれども,今度調査対象となる2年生はほとんどオンラインの授業で1年間を過ごしてきたので, 52,3問になったとしてもその辺りの質問は入れた方がいいのではないかと思いました。
これを踏まえた上で,大学ではオンラインと対面のパーセンテージも考えていかなければならないと思いますし,オンラインはオンラインで良い面がたくさんあると思いますけれども,大学生活はこれまでは対面が原則ということでやってきましたので,その辺の兼ね合いも踏まえた上で,今回,令和3年で調査をする場合には,オンラインによる影響は入れた方がいいのではないかなと思いました。御検討いただければと思います。

【河田座長】 今,奥委員から御意見いただきましたが,コロナに関する質問についてはもう少し状況を見ながら,ということであります。質問項目については,また後ほどのテーマにいたします。

【奥委員】 分かりました。失礼いたしました。内容に関しては非常によくまとめてくださっていて,特段申し上げることはございません。

【河田座長】 分かりました。
それでは次のテーマに進みたいと思います。令和3年度の全国学生調査第2回の試行案について,その概要について確認していきたいと存じます。
このことにつきまして,資料2の内容に基づいて,大学等へどのような形で周知徹底していくのか,実施概要のイメージを,事務局から,資料3に基づいて御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 失礼いたします。高等教育企画課の奥井でございます。資料3につきましては,来年11月頃に実施するとした場合,夏前に各大学に意向等を確認するわけですけれども,そのときに周知するような実施概要のイメージとしてございます。先ほど資料2で御説明した今後の方向性で既に申しているところもございますが,簡単に御説明をいたします。
一つ目の背景・目的は,記載のとおりでございます。ここで,学生さんが答えたくなるようなメッセージやインセンティブみたいなことをどこまで書き込めるかは,是非御助言いただきたいと思っております。
二つ目の調査対象としましては,参加意向のあった大学,短期大学の学部等に在籍する2年生及び最終学年生を対象にする。
調査方法はインターネットとし,英語訳も用意することとする。
調査時期は,11月頃の1か月を予定する。
質問項目は後ほど資料4で御説明いたしますが,選択式の50問程度とする。
2ページ目,6.調査結果の取扱いについてですが,文部科学省としては,回答状況の集計結果を文部科学省のホームページで公表する。集計の内容や集計基準は,先ほど御説明したものでございます。
中段の米印にありますが,試行実施においては,大学・学部単位の集計結果の公表は行わないこととし,参加大学に対しては,当該大学に在籍する学生の回答を一覧化したもの及び学部ごとに回答結果を集計したものを調査結果として提供すること。
参加大学は,自大学の調査結果については公表することを可能とすることとします。
その他としては,本格実施に向けて,全ての大学が参加していただけるような形で,適切な調査対象,質問項目などの調査設計を整理・検証するために,試行実施を実施することを記載してございます。説明は以上でございます。

【河田座長】 ありがとうございました。ただいまの御説明,資料3の1から7につきまして,何か御意見がありましたら御発言いただきたいと思います。調査方法で,今までと一緒でインターネットですが,山田委員や田中委員におっしゃっていただいたように,英語も入れた方がいいのではないかと。国公私立大学ともにかなりの外国人留学生が来ておりますので,英語であればアジアの留学生でも答えられるので,日本語と英語も付ける,併記するということにしたいと思いますが,これにつきまして何か御意見がございますでしょうか。田中委員,どうぞ。

【田中委員】 非常にバランスが取れていますし,英語での質問票を作っていただくことは是非お願いしたいと思います。日本の国際化が進められていく中で,多くの学生が必ずしも日本語学位プログラムを履修するわけではないので,英語で授業を受ける学生にとっては大変有り難いと思います。
もう一点,資料3の2ページ目の6については,資料2の中でも,論点5の5ページ目,丸3のところで,先ほど御案内されました。本格実施では大学・学部単位で調査結果を公表する,その際に,結果の数値の羅列でなく,本調査の結果の見方などと併せて,結果に関する各大学の取組を記載することにより,大学・学部間での順位づけではなく,各大学の強み・特色の発信につながるよう特段の工夫を行うと言っていただいています。文部科学省にこのように言っていただくのは大変有り難いのですが,一般のメディアがどうしても数値の羅列をしたがる。学生の満足度が高いところトップ5を並べますとか,私立大学のこことここはこちらが上だというようなこともお書きになりたがります。メディアに対する啓発教育を,文部科学省としても,また各大学の連盟,国立大学協会,公立大学協会,私立大学協会若しくは私立大学団体連合会,全ての大学は強く申し上げる必要があろうかと思います。偏差値から抜け出すと言いながらもランキングを付けるというのがメディアの特徴でありますから。確かにこういう調査によって随分いろいろなことが分かると思いますし,大学の教員が自らの襟を正そうとか,自分たちのここが足りなかったということがよく分かると思います。つまり,ランクを付けるという目的でないのがこの調査の本来の意味だと思います。メディアには扱い方を,文部科学省の事務局が用意していただいている論点5,5ページ目の丸3の趣旨をよく理解していただきたいということを強く申し上げていただければと思っております。以上です。

【河田座長】 中央教育審議会のときも,大学のランキングにならないような形で我々は実施したいと思っていると申させていただき,そのことについては余り発言がなかったのですけれど,やはりメディアに対し,この資料の取扱いについて一定の注意を喚起するということが必要かと思います。その辺りについて,清水一彦委員,いかがでしょうか。

【清水委員】 論点と方向性を踏まえたこの実施概要については全く異論ございません。最終学年というのは何か統一的のようですが,例えば医学,獣医,歯学の場合は6年生になるわけですね。短大も看護の場合は3年生になるでしょうか。その辺りを最終的に統一した方がいいのか,4年生や2年生でやった方がいいか,議論があると思いますが,お任せします。
先ほど河田座長の御説明がありました自学自習について,日本は自学自習の時間が少ないというのは,これまでの東京大学等の調査や山田委員の調査でも明らかになっていますし,各大学が行っている授業評価の中でも共通して言われていることです。本学も調査を十何年間やっていますけれども,一番変わっていないのが,この自学自習の時間数です。大学分科会では,この自学自習について授業やシラバスで指示があったという設問は大変いいという意見が出ていましたが,ごもっともだと思います。この指示があって自主学習が増えれば,日本としては非常に喜ばしいところですが,私はそうならないと思います。後の設問に1週間の自主学習の時間というのがありますけれど,絶対答えは少ないと思います。幾らシラバスで指示があっても,こういう結果が出ると,逆にこれが大学の批判に使われてしまって,政治的にも悪用されるおそれがあると思います。
これは分析作業の方でやるといいと思いますが,授業時間と自主学習を合わせて1週間の学生の学習時間ということで分析すれば,アメリカにも引けを取らないと思います。日本の平均的な授業時間が大体週20時間というのが前の調査で出ています。それに自学自習が例えば2時間であっても,22時間。週に22時間勉強しているということは,これは誇れることです。アメリカでも授業時間は15時間ぐらいで,それに自学自習が7時間とか8時間が加わっているわけです。トータルで言えば多分同じ数字になる。その辺りの分析の仕方によって,今回の調査意義と言いますか,社会にアピールできる部分がはっきりしてくるのではないかと思っています。先ほどの論議と少しずれるかもしれませんが,そこを私は一番強調したいと思います。

【河田座長】 ありがとうございます。小林雅之委員,お願いいたします。

【小林(雅)委員】 ありがとうございます。事務局にお伺いしたいのですが,各大学に,調査の依頼を出して,それに対して回答を求めるということになりますね。その際に,何かほかのことはお聞きになっているのでしょうか。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 事務局でございます。第1回試行実施の際,意向確認調査では,意思確認や学部の名称,学生数について聞いてございました。第2回の試行実施では,参加を見送る大学に対しては,どういう理由で参加されないのかというところも聞き取りをして,本格実施に向けて障壁がなくなるよう意向確認を行っていきたいと考えてございます。

【小林(雅)委員】 私が聞いた理由は,今まではかなり肯定的な意見が多いのです。大学分科会でも,先ほど河田座長からありましたように,非常に肯定的な評価が多いですけれども,先ほど田中委員が言われたランキングにつながるといった批判的な意見もあるわけです。大学のニーズを聞くということがここにも書いてありますから,何かアンケートみたいなものを取られたらいいのではないかと思います。
どこまでやるかは難しいですが,例えば逆に,大学によってはベンチマーキングして,自分の大学でこういうふうに使われていて,良い例があるとか,あるいは公表してもらうと,こういうことで困るかもしれないとか,いろいろな意見が出てくると思いますから,全部を取り入れられるということは難しいと思いますから,御意見を書いていただいても全部は反映するのは,難しいかもしれませんけれども,少しこうした項目を入れて,アンケートを採られたら,少し大学の要望を満たすのではないかと思います。以
上です。

【河田座長】 ありがとうございます。それは是非やっていただいて,まず,そのアンケートを採るということは是非やっていただきたいと私も希望しております。
それでは,高橋委員,どうぞ。

【高橋委員】 高橋です。資料の6.調査結果の取扱いのところですが,集計基準を満たさないものについては集計に入れないという部分は全体の集計にも入れないということでよろしいでしょうか。まず確認です。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 事務局です。全体の集計には入れます。

【高橋委員】 全体の集計には入れるけれども,その学部等の個別の集計には入れないということでしょうか。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 はい,そのとおりでございます。

【高橋委員】 そのようなお考えもあると思いますが,一方では,学部等がたくさん参加していれば良いのですけど,余り参加していないような学部も含まないと,先ほど申し上げたように大学が特定されるとか,非常に少ない大学のものが代表してしまうというリスクもあるかと思うので,もう少し御検討いただいた方がいいと思います。もう一つは,先ほどの資料の論点5にありましたが,前回の結果で見ると,今回の基準を当てはめると44%が基準に達しないということで,それは逆に回答してもらった大学にとっても余り好ましくないと思います。回答率を上げればいい話ですが,ウェブ調査の回答率を上げるのは易しくないので,そこを検討しておかないと,結果的に多くの大学が基準に達しなくなってしまうと非常にまずいのではないかと思いました。以上です。

【河田座長】 なるほど。その辺りはどうでしょうか。 小林雅之委員,どうぞ。

【小林(雅)委員】 これは前にも提案したことがあって,高橋委員の御懸念は私も全く同じです。せっかく第1回の試行調査でやっていますので,今のような集計でどう変わるかということを,国立教育政策研究所でお調べいただきたいと思います。前回のときにも,たしか設置者別,学部別等幾つかでやると大学が特定できるものができてしまったという記憶がありますが,その辺りがどうなっているかも少し調べていただければと思いますが,いかがでしょうか。

【河田座長】 国立教育政策研究所の濱中義隆先生,いかがでしょうか。

【濱中オブザーバー】 濱中でございます。前回この公表基準の検討をしたときに,文部科学省でシミュレーションをしていただいた結果が出ているはずで,それ以上新しいことは多分出てこないですが,高橋委員がおっしゃったように,中規模大学がかなり今回の基準だと落ちます。それはもう明らかで,ただ,全体としてはどうも大規模大学が少し復活するので,トータルでは変わらないという結果になります。気になるのは,大規模大学は前回,統計的な基準だけで判断したので,規模が大きいところは回収率が非常に低くても基準を満たすので,入ってしまうのですね。そうだとすると,まあ前回の調査のときは1割ぐらいというのは,ある程度偏りは出たとしても,非統計的な誤差を考慮すれば,1割ぐらい超えていれば,ある程度代表性があるだろうという発想で,ある意味単純な基準でやりました。今回は統計的にかなり厳密にやっているので,今言った2点,中規模大学がこのままだと公表基準から落ちてしまう。今回は個別大学の公表をいたしませんので,落ちても分からないといえば分からないですが,本格実施になったときに,どうもこの辺りの大学が一斉にみんな落ちてしまっている,公表基準を満たさないから公表されないというときに,大学からどのような反応があるかというのは考えなければいけません。それは本格実施に向けて更に検討することになっているので,そういうものだと了解しています。大規模大学の場合は,確かに80人ぐらい答えてくれているけれど,基準を満たさなくて全部捨ててしまうというのはもったいないので,非統計的な誤差が生じることは避けられませんが,この基準で一回やってみたらどうかと私自身は思っております。以上でございます。

【河田座長】 小林雅之委員,いかがでしょうか。

【小林(雅)委員】 試行ですので,シミュレーションといいますか,集計してそれでどう変わるかということをやっていただいて,その結果を委員会に出していただいて,本格実施に向けていろいろ改善していくということにすればよろしいのではないかと思います。

【河田座長】 ありがとうございました。それでは最後に質問項目案についての議論に移りたいと思います。前回の会議終了後に,改めて皆さまからたくさんの御意見を頂きまして,ありがとうございます。資料4として,皆さまからの御意見を踏まえまして,質問項目案を更に整理しております。事務局から,それにつきまして御説明いたしたいと思います。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 失礼いたします。資料4に基づきまして,質問項目案について御説明いたします。この内容につきましては,既に大学分科会での報告に向けて,各委員の皆様からの御意見を反映したものになっておりますので,繰り返しの説明にはなりますが,前回会議からの変更点のみ御説明をいたします。
まず,問1以降で,選択肢を4択にしておりますが,その表現ぶり,「非常に」や「ほとんど」等の文言については工夫をしているのが共通的なものになります。設問といたしましては,問1の2番については,二つ併記をしておりましたが,「授業内容やその分野を学びたいという意欲がわく内容だった。」にしております。
また,4番についても,「又は」と併記しておりましたが,「予習・復習など自主学習について授業やシラバスで指示があった。」にしております。
続きまして,問2に移りまして,19番は「自分とは異なる文化圏の学生との交流」ということに文言を改めております。
2ページ目に参りまして,問3の23番は「文献・資料を収集・分析する力」としてに問後を改めて,「数量データ」というものを27番の方で読めるようにしてございます。また,33番の考え方については,問4の方に移行しております。
問4の36番,これも「又は」と併記しておりましたが,「教員が学生と向き合って教育に取り組んでいる。」にしております。
38番では,先ほどの33番のものを引用した形で,「知識やスキルを組み合わせて一つのものをつくり出す力(デザイン力)が必要だと感じている。」というものにしております。
39番は,「卒業後に社会で活躍(貢献)する具体的なイメージを持つことができている。又は,大学教育を通じて社会に対する理解が深まっている。」,大学での学びと社会の接続に関する設問については,まだ両論併記させていただいているところでございます。
最後に3ページ目で,コロナの質問については,先ほど座長がお話ししたように,いろいろな変化がございますので,来年度の授業期間が始まった後に引き続き検討してまいりたいと考えておりまして,今回は具体的な提案を控えているところでございます。説明は以上でございます。

【河田座長】 ありがとうございました。では,服部委員,いかがですか。

【服部委員】 質問項目が大分整理されてきていますが,1点気がついたことがあります。菅総理大臣が2050年カーボンニュートラルを宣言し,またSDGsの取組,持続可能性社会の構築が社会的に大きな課題になってきています。各大学もSDGsや脱炭素化に対する教育に取り組んできていると思いますが,例えば問4の大学での学び全体を振り返ってというところで,持続可能性社会の構築やSDGsの取組等に関わる環境問題についての意識がどのくらい育まれたのか確認したい気がしました。質問項目が増えてしまいますので,悩むところですが,お考えいただければ有り難く思います。
そのほかについては結構と思います。以上です。

【河田座長】 ありがとうございます。田中委員,お願いいたします。

【田中委員】 度々恐縮でございます。今も御意見が出てきておりますコロナ禍についての質問項目は,新年度が始まってからということでございますが,質問数が,今48問プラス2問の自由回答で,それにプラスでコロナに関する質問を作っていただけるということでしょうか。多分その必要があるだろうと思いますが。

【河田座長】 はい,そういった形で事務局は考えていると思います。

【田中委員】 何問ぐらい可能ですか。6問とか8問ということでしょうか。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 そこも今後の議論になるかと思いますが,多くておよそ10問かと想定しております。また,この 50問についても,今後共通的に聞くものかどうか,少し多過ぎるのではないかという御意見がもしあれば,御意見を頂戴できればと考えております。以上です。

【田中委員】 また,大都市圏とそうでない地域の大学によって回答の形が変わると思いますが,質問はそろえておいた方がよろしい気がします。難しい判断ですが,オンライン教育が余り比率として高くない地域の大学もおありになると思いますが,大都市圏ではどうしてもオンライン教育の比率が高いと思います。それをどちらにも通用するような質問にしていただいて,設計していただく必要があろうとは思っております。それはまた新年度に設計・デザインをよく考えていただいて,後の分析がうまくできるように,それを小林雅之委員,山田礼子委員,濱中先生といった教育学の御専門の方が何人もいらっしゃるので,お知恵を拝借できればと思います。よろしくお願いいたします。

【河田座長】 その辺りのことについて,事務局の方から何か発言はありますか。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 コロナの質問は非常に難しいところで,また新年度が始まって,全国の状況を見ながら,慎重に検討していくことが必要と考えてございます。

【田中委員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

【河田座長】 他に何か御意見ございませんでしょうか。小林雅之委員,どうぞ御発言ください。

【小林(雅)委員】 今の田中委員の御意見に関連して,問5のところでいろいろ時間を聞いているわけですが,最後にスマートフォンの使用という項目があります。これは「学習のために使用している時間は除く」ということで,これだとスマートフォンの影響を聞くというような,そういう質問になっていますが,今は,オンライン授業をどれくらい受けているかという話になっていますので,これは少し変える必要があるのではないか。スマートフォンだけじゃなくて,例えばPCやタブレットもありますので,ここでは学習のために使用している時間を除くとなっていますけれど,むしろ,学習のためにそれをどれぐらい使っているかということが今焦点になっていると思いますので,これは少し変える必要があると思っています。以上です。

【河田座長】 学習のためにスマートフォンを,ということですね。小林浩委員,どうぞ御発言ください。

【小林(浩)委員】 ありがとうございます。先ほど設問数の話が出ましたが,私たちが若者向けに調査するときには,どこの質問で離脱するか検証するために,いわゆるフィジビリというものをします。これは今後,本調査の前に学生を何人か集めて,実際にやってみて,どこで離脱するかといったフィジビリはやる予定があるのでしょうかというのが1点。もう1点は,結構若者はスマートフォン自体には慣れていますが,面倒な調査にはあっけなく途中で離脱します。なので,これは本当に細かいことですけれども,回答している最中に,今何%まで答えられたかとか,やっと半分まで来たぞ,頑張れみたいなイラストを入れるとか,そういうことを結構工夫してやったりしています。先ほどのインセンティブではないですが,回答画面の中でも,全部回答し切れるような工夫があると良いのではないかということでございます。1点目について教えていただければと思います。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 第1回の試行実施も,生活協同組合の学生団体や各大学の学生40名程度に協力いただき、試験的に答えていただいた経験がございますので,第2回試行実施の前にも,そういったプロセスは入れたいと思っております。
また,本会議に参加いただいている委員の皆さまの,例えばゼミの学生等に,ある程度固まればトライアルを頂くことも含めて,御協力をお願いしていきたいと思っておりますので,是非御了解いただきたいというのが1点目でございます。
あと,離脱率ですけれども,第1回試行実施ですと,途中で回答をやめた数を調査しておりまして,途中でやめた学生さんは大体100名ですので,10万人の回答があって100名ですので,離脱率は非常に低かったと考えています。スマートフォンで回答するときのシステム上で見やすいような設計にしておりましたので,第2回試行実施でも,その辺りについては工夫を図っていきたいと考えてございます。以上です。

【河田座長】 そういうことで,委員の皆さまの大学の学生にも試行でお願いすると思いますので,その節はよろしくお願いいたします。では高橋委員,どうぞ。

【高橋委員】 何度もすみません。先ほどの小林委員の問5,スマートフォンの使用の「学習のために使用している時間を除く」というところですが,ここは42と43のところに,PCやスマートフォンによる学習時間を含むという形にしておけばいいかと思います。スマートフォンの使用はどうしても聞かないと,高校生,大学生は,SNS等を使っている時間が非常に長いことが分かっていて,ここは学習以外の部分で聞く必要はどうしてもあると思いますので,学習の部分に関して,42,43のところにスマートフォンの使用による学習を含む形というのが明確に分かるようにしておけばいいと思います。
それから1点,学生には当該年度ということで答えていただくのですよね。今年度と来年度ではかなり状況が違うということが想定されるので,4年生は余り変わらないかとも思いますが,特に2年生に関しては,恐らく学生が普通にやると当該学年と思うと考えられますが,当該年度の想定で答えていただくということでよろしいですよね。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 想定としては当該年度を想定してございます。今のこの書き方だと,トータルでもし答えるような懸念があれば,どのような文言の工夫があるかを御助言いただければ有り難いと思います。

【高橋委員】 当該年度となると,さっきのコロナのところは今の段階ではなかなか決めにくいなと。4月以降の状況が収まっていてほしいとみんな思っているとは思いますが,そこがまだ断定的なことが分からない状況なので,4月以降の状況を見ながら検討せざるを得ないと思っています。以上です。

【河田座長】 ありがとうございました。小林雅之委員,お願いします。

【小林(雅)委員】 今の高橋先生の御意見ですけれど,東京大学でも同じような調査で,インターネットをどれくらい使っているかということを学生に聞いているんですが,スマートフォンが特に重要だからスマートフォンを聞くということなら,それでよろしいかとは思うんですが,今問題になっているのは,オンラインで授業をどれぐらい受けているか,対面でどれぐらい授業を受けているかということだと思いますので,そういう意味で,コロナ対策としてそちらに入れた方がいいのではないか,場合によってはまた設問を増やす話になってしまって恐縮ですが,42と43を対面授業とオンラインに分けるとか,それくらいのことをやってもいいかと思っています。以上です。

【河田座長】 42,43をまとめてスマートフォンを入れるという御意見と,分けて対面とオンラインを明確にした方がいいという御意見が出ております。奥委員,どうぞ。

【奥委員】 コロナの件ですけれども,令和3年度に調査をするのは,大学2年生,4年生と短期大学2年生ということで,1年間コロナの関係でほとんどオンラインでやってきたとか,対面も少しはあったけれどもという学生が,令和3年度にある程度対面に戻ったとしても,その比較ができるような設問も私は必要かと思います。オンラインでこういうところがよかったとか,あるいは対面だとやはりこういうところがいいといった比較ができる質問も設けた方がいいのではないかと思いました。
私どもの大学もオンラインと,対面も随分取り入れてはきましたが,やはりオンデマンドでやりたいといった御意見等様々あり,今後どのような形で授業を進めていくかということを今検討しているところです。やはり学園生活,大学生活,キャンパスでの生活というのを経験したいという学生が多いとは思いますが,授業に関してはオンラインということも視野に入れて,両方のメリット・デメリットを質問できるような内容も考えていただけたらと思いますけれども,いかがでしょうか。

【河田座長】 またその辺については考えたいと思いますけれど,一応50問にしておいて,コロナ対策のところでそれを入れてもいいと思いますので,その辺りは自由に原案を作らせていただくということで,ペンディングということにさせていただきたいと思います。でも,良い御意見だと思います。濱中先生,御発言をお願いします。

【濱中オブザーバー】 先ほどの高橋委員と小林委員の議論を聞いて気づいたのですが,問5の問題文が今,授業期間中の平均的な1週間となっていますね。今回は4年生対象なので,今学期で考えれば,もうほとんどゼロになります。過去の経験からして,全く授業を取っていませんという人がかなりいるし,その人は何か答えにくいので,この質問だと,4年生は何か過去のことを思い出して答える人と,現在のことを考えて答える人が交ざってしまうと,すごく変な答えになるので,これはやはり今学期のものに限定するなら,それがはっきりするような問題文に替えた方がよいかと思います。
更に言うと,コロナの話は,結局1年前を振り返って答えるような形になるので,どの時点で問題を作るかによってかなり変わってきてしまうというのが一つと,類似の調査はこれからたくさん出てくると思います。JASSOと国立教育政策研究所でやっている学生生活調査も,今年秋になればある程度速報ぐらいの集計値が出てくるでしょうし,文部科学省でもコロナ関係の調査を3月にやるという話も聞いていたりして,恐らくほかのところでもやっているので,令和2年度に事実として何が起こったかというのは,確かにクロス集計とかをする上では重要になってくるのですが,事実を捉えるのかどうかというよりも,もう少し先を見据えてというか,コロナに関連しているけれど,コロナで何が起こったかではないような質問を入れるのか,これは考え方の分かれ道にこれから来ると思います。なので,4月以降に検討するのであれば,その方向性みたいなものを検討の前にある程度議論しておかないと,事実を問う質問と,学生の意見を問う質問と,何か今後こうなったらいいなみたいなものを問う質問と,ごちゃごちゃになって質問が増えるという形になりかねないので,もし議論するのであれば,その辺りを議論しておくことが必要かと思います。以上です。

【河田座長】 根本的な問題が最後に出てきて,その問5についてどういうふうにしていくかと,コロナ禍のことと,その辺りはどうでしょうか,忌憚(きたん)のない御意見をいただければ幸いです。 山田委員,お願いします。

【山田委員】 私も濱中先生と同じようなコメントになってしまいますが,問7というのは,実は私が最初に申し上げたキャンパスの国際化というのも,コロナ禍を踏まえての,例えば今後の方向性というような意味で,例えばバーチャルな体験であるとか,バーチャルな海外研修というようなことを入れてはどうかと思ったわけです。つまりコロナ禍に関しての質問というのは,各大学がかなりしておりますし,私自身が大学基準協会で今正にコロナ禍におけるオンライン学習での経験をお願いしているところでございます。そういうものがかなりたまってきておりますので,それこそ既存の部分を利用できる部分があるとすれば,10問というのを,例えば3問ぐらいはコロナ禍で学生が4月以降どういう経験をしたかというようなことも入れておかなければいけないのかもしれませんけど,あとの7問ぐらいは,今後の大学教育を見据えての方向性につながるようなコロナ禍の経験を生かすような項目として入れていくのも必要かと思ったので,コメントさせていただきます。

【河田座長】 なるほど。ありがとうございます。清水委員,どうぞ。

【清水委員】 学びの実態を明らかにする調査ということで,例えば問5の43番は要らないような気がします。授業の予習・復習・課題以外の学習というのは,アルバイトとかサークル,部活動などですが,これもある意味で学びですよね。社会が即戦力として求めているコミュニケーション力とか主体性というのは,むしろ授業以外の活動で育まれる,こういう結果は山田委員や溝上先生の調査で出ています。だから,学びというのをアルバイト,部活まで広げると考えた方が大学の場合はいいと思います。少なくとも43番はあやふやで,これは不要ではないか思います。

【河田座長】 ありがとうございます。高橋委員,どうぞお願いします。

【高橋委員】 問5のところ,まず,濱中先生がおっしゃったように,これを4年生にやると,授業を受けていないというのはもともと想定されていたけれども,それでもあえてやろうということですので,もう4年生はその学期の中でということで,4年生の実態が分かるということでしようがないかなと。授業を実際受けていない形でもこれで聞くしかないかと思っています。
清水委員がおっしゃった43番は,授業以外といっているのは,自主ゼミとか自分たちが学生同士で授業以外に,本を読んだりとか研究したりとか,そういった活動のことを意味しています。一応これは溝上先生からの助言を受けて,もともとの授業外学習時間のところを二つ分けるということで設計して,大学IRコンソーシアムの質問でも分けて聞くようにしてきました。43は非常に短いですけども,ここで言っているのはそのような意味ですので,クラブとかアルバイトという意味での学習ではないということで聞いていますし,恐らくそういう形で学生からも答えていただいていると思います。以上です。

【河田座長】 43がやはり必要だというのが,高橋委員の御意見ということでしょうか。

【高橋委員】 はい,あった方がいいと思います。

【河田座長】 どうでしょうか。小林雅之委員,どうぞ御発言ください。

【小林(雅)委員】 43につきましては,いろいろ意見があったということは私も承知していますが,例えば中央教育審議会でも,教職の試験を受けるためにピアノを学習しなければいけない,練習しなければいけないと。しかし,それを学生たちは勉強だとは思っていない,学習だと思ってない,という意見がありました。そういう意味で,清水委員の言ったあやふやさは残りますが,これが少ないということが日本で問題になっているということも事実です。ですから,そういうことをかなり長期的に調べないと,いろいろなあやふやなものがあっても,何回もやることによって,その改善が得られたとか,そういうことは分かってきますので,やはり私は入れておいた方がいいと思います。以上です。

【河田座長】 ということで,清水委員,2対1ですが,いかがでございますか。

【清水委員】 そのような意図は分かりました。ただ,大学での学習の在り方を考えた場合,もっと我々は捉え方を考えなければならないと思います。ピアノを弾(ひ)くのも,自分で読書するのも,ある意味で授業に関連したことで,ディプロマポリシーというの は,実質的な学びということで正にそういう幅広いものまで要求しているわけです。そういう意味では余り学びを分解する必要はないと私は個人的には思っていますが。

【河田座長】 濱中先生,どうぞ。

【濱中オブザーバー】 今の議論というか質問に関して言うと,過去のものからいくとこれは長めに答える人というのは,どうも資格試験の勉強とか,大学院の受験勉強とか,あと,今回,医学部の6年生が一番長いですね。恐らくそういう勉強が入っているので,それはそれとして聞いておいた方が,特に今回4年生と,最終学年が対象なので,尋ねておいてもいいと思います。逆に大学の授業がほとんどなくなってしまうので,その他のところで勉強しているという実態がもしかしたらこの質問で明らかになるかもしれないと思います。以上です。

【河田座長】 ありがとうございます。山田委員,どうぞ。

【山田委員】 43番ですけども,私は国際比較をよくするところで,ここが実はアメリカの学生とかでしたら,例えば友人と課題について話し合ったり,例えば寮で一緒に机を並べて話し合ったりすることも全部学習時間に入れてしまうのです。一方,日本の学生の場合,真面目に捉え過ぎていて,机があって,授業とかそういうところでの学習しか学習に入れないために,実際には学生同士で話し合ったりとか,自主ゼミとかは別として,話し合ったり議論したりすることをこの中に入れない可能性があります。ですから,それがかなり大きな要因になってきて,短くなっているところも今までの経験からありますので,そういうものを含めるみたいな注書きがあってもいいと思います。日本の学生は非常に真面目に捉え過ぎて,図書館で自主学習するのも,例えばラーニングコモンズで話し合っているのも実は学習ですが,それは入れないです。だから,そのような時間を入れないことには,いつまでたっても海外と比べて時間が短いのが目立ってしまうという点がございますから,そこを考えてみたらどうかと思います。

【河田座長】 そうですね,確かに,中国の学生もアメリカの学生と一緒で,自分がいかに勉強しているかというのを見せたがるという潜在意識もあって学習時間を多めに答え,日本人の学生は少なめに答えるという傾向は確かにあると思います。ありがとうございます。田中委員,どうぞ。

【田中委員】 ありがとうございます。繰り返しになりますけれども,濱中先生が御指摘のコロナのことですが,令和3年度の11月に,令和2年のオンライン教育はどうだったかということを明示的に聞いていただく必要はあると思います。令和2年と令和3年を比べてもらう必要があると思いますから,例えば最大10問だとしても,もしかしたら5問しか聞けないかもしれない。5問で令和2年と令和3年を比べていただくようなことになるかもしれないと思いますので,全てがそうなるかどうか分かりませんが,少なくとも何問かは両方について聞いていただくというような,そのような設計が必要だろうと思いました。前回も私はそれを申し上げていたのですが,本日の濱中先生の御指摘で,正にそうだなと感じましたので,よろしくお願いしたいと思います。

【河田座長】 そうですね,本当に今年のいわゆるオンライン教育と来年のオンライン教育が明確に分かるような形で比較検討ができれば,非常に役に立つと思います。ありがとうございます。小林浩委員,どうぞ。

【小林(浩)委員】 ありがとうございます。43の質問ですが,山田委員がおっしゃったことが私は非常に重要だと思っておりまして,私は高校生にも調査をしたりするのですが,やはり机に向かっているとか,いわゆる勉強しているという時間だけが勉強時間だと考えているようです。現在はもう探究学習とか,ティーチングからラーニングへと変わってきている中で,いわゆる学習の捉え方が変わってきています。昔ながらのいわゆる机に向かって勉強しているというだけを勉強として捉えないようにするということが重要だと思います。この43の質問あるいは注意書きの仕方を,先ほど山田委員が御指摘なさったように,いわゆる学習のやり方が変わってきていると分かっているようなものに変えられると良いのではないかと感じました。以上でございます。

【河田座長】 そうですね,本当に学習の形態が変わってきているということは確かでしょうし,そのようなことが考慮できる形での質問ができればと思っております。
清水委員,どうぞ。

【清水委員】 その意味では,単位制度は授業時間プラス自主的な学習時間で構成されていますので,問5の41で,授業時間,あともう一つは自主的な学びの時間というようにシンプルに二つで立てれば,それでよろしいと思います。これは私の個人的な意見です。

【河田座長】 はい,分かりました。小林雅之委員,どうぞ。

【小林(雅)委員】 ちょうど43でいろいろ意見が出たところですが,こういった調査は,ただ単に調査をするのではなくて,学生に対して,調査ではインボルブメントという言い方をしますが,学生に気がついてもらうということもあるわけです。ですから,今問題になっていますように,本来は学習じゃないと思っていたのに学習だと分かるということも学生に伝わるわけですから,ほかのところでもそういうところはあると思いますので,そこは少し工夫がこれから必要ではないか,まさしく濱中先生が言った在り方に関わる問題として,少しこれから検討していく必要があるのではないかと思います。以上です。

【河田座長】 そういうことが気づかれるようきちんとやるということだと思います。
田中委員,どうぞ。

【田中委員】 もう一度。今のお話を聞いていて思いますのは,特に早稲田という大学はそういう方が多いですが,学生時代に全く勉強しなかったという方が多いです。その方の話を聞くと,例えば村上春樹さんなんかは,授業にはほとんど出なかったけども,演劇博物館の図書館で片っ端から戯曲を読んでいたと言うのですね。一日中朝から晩まで読んでいたと言っていますが,彼は勉強していないと言うんですね。ですから,正に問43がそれで,山田委員や小林委員がおっしゃっているように,自分でそのように勉強していることを勉強だと思っていないということ。いわゆる教師に言われたことが学習だというふうに日本人は思っているけれども,早稲田卒業の社長でも,学生時代全然勉強しませんでしたとおっしゃるんですが,やはりかなり読書をしている方は多いですね。そのようなことも学習だということを日本人学生は余り思っていないということで,山田委員や小林委員もおっしゃるように,そのようなことにも気づいてもらう必要があると改めて思いました。

【河田座長】 村上春樹さんがラジオ放送で語っておられますけれど,本当にそのような意味では,春樹さん自身は田中委員が今おっしゃった読書を勉強だと思っておられないでしょうね。しかし,アメリカの学生の考え方で言うならばそれはやはり勉強だということなので,それを気づかせるような形での設問ができればいいと思っております あと何か御意見はございませんか。それでは,本日の議題は以上でございます。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 事務局でございます。1点,傍聴の皆様に向けておわびでございます。冒頭,資料4がホームページ上に掲載されておりませんでした。今,ホームページに掲載しておりますので,お手数ですけれども,御確認をいただければと思います。申し訳ございませんでした。

【河田座長】 あと20分ほど時間がございますので,今回の全国学生調査に関する全般的な御意見,あるいは来年度に向けての申し送りなどございましたら,是非自由に御発言いただければと思います。いかがでございましょうか。奥委員,どうぞ。

【奥委員】 参考資料1の2ページですけれど,第2回というところがありますね。四つ目のパラグラフですが,対象や質問項目が同じ調査になるかどうかということは別として,4年制大学と短期大学を交互に実施していくという方法も視野に入れて今後考えていただければなと思いました。というのは,短期大学は,大学基準協会のアンケートもありますし,日本学生支援機構のアンケートもありますし,いろいろとアンケートを毎年三つ四つやっていまして,今回の文部科学省のこの非常に重要なアンケートですけれども,毎年というよりは,むしろ隔年で,今年は4年制,来年は短期大学という形で交互にしていくことも視野に入れていただきたいということで,意見を述べさせていただきます。

【河田座長】 4年制の大学と短期大学とを交互に調査するようにと。

【奥委員】 交互に。ただし,質問項目をいろいろと年度によって変えていかなければならない部分もあるかと思いますけれども,その辺はまたいろいろと議論をしてということで進めていくのはいかがかと思います。

【河田座長】 学生にもいろいろあって,私が聞いた京都の某短期大学の学生は,「いろいろな質問があって,面白いですよ」と。だから,その学生は,調査がたくさんあるからといって,それを苦にしていない。だから,ああ,学生諸君にとって調査とはそんなものなんだと思っていましたが,確かに大学によってはそのような意見もあるかもしれませんね。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 失礼いたします。事務局でございます。奥委員の御意見ですけれども,資料2の論点2,2ページ目でございます。今後の方向性の中の中段ぐらいに記述をさせていただいておりまして,本格実施移行後の調査の実施頻度,これが毎年か隔年かといったことを指しております。また,各回の対象の各校種・学年等についてどうするかについては,ここは検討するということで,今後の方向性にも入れさせていただいているところでございます。学生さんの回答の負担等を総合的に考えて実施してまいりたいと思っております。以上です。

【河田座長】 今回の調査に短期大学が入りましたら,高等専門学校もかなりの数があり日本独特の教育をしていますから,調査希望があると思います。文部科学省が実施し日本学術振興会が事業を担当している「大学教育再生加速推進プログラム(AP)」にも高等専門学校が入っておりますので,またその辺りのことは,将来的にどうするか考えていかなければならないと思います。千葉吉裕委員,御発言をどうぞよろしくお願いします。

【千葉委員】 大学生の学修時間の話が出ていましたけれども,今年はコロナの影響でオンデマンド型の学習で増え,課題に取り組む学生が増えています。学生の方から,それぞれの講義で課題が出るため,多過ぎて手一杯だという意見もあるくらいです。今度のアンケートでは例年とは異なる結果になるのではないかと期待しています。
あともう一つ,問5ですが,学生の側(がわ)にしてみると,どの時期をイメージするかによって回答しにくいと思います。就職活動が忙しい時期だったら就職活動の時間が多くなるだろうし,また,学園祭の前などはサークル活動が多くなると思います。そのようなことを考えると,国勢調査みたいに,時期を固定して,この1週間はどうだったかというような質問にすることで,回答しやすいように工夫してはいかがでしょうか。

【河田座長】 ありがとうございました。時期を固定するということですね。分かりました。小林雅之委員,どうぞ。

【小林(雅)委員】 ありがとうございます。私は,データの使い方を少し提案したいと思います。これは中央教育審議会質保証システム部会で少し報告させていただきましたが,高橋先生のIRコンソーシアムなどはお互いにデータを交換するというようなことができていると思いますが,それができていないわけです。これだけのデータがありながら,使えるのはほんのごく一部の人だけになっているというのは大きな問題だろうと思っています。ただ,もちろん,大学名が分かってしまうといったことは非常に重大な問題になりますので,工夫は要ると思いますが,将来的にこのデータを使えるようにするということも必要ではないか思いますので,その辺りを少し考えていくことが必要ではないかと思っております。以上です。

【河田座長】 ありがとうございます。今日私も初めて知りましたが,「プラットフォームふじのくに地域・大学コンソーシアム 共同IR」という静岡県の大学コンソーシアムが,昨年試行実施した学生調査の回答データを使って,静岡県内の学生の特徴や課題を比較・分析をしたというデータが出ていましたので,こういう使い方があるのだな,この学生調査は役に立っているなと思いましたので,是非委員の皆さまにも一度見ていただいきたく存じます。清水委員,どうぞ。

【清水委員】 今日は最後の会議だということですので,思いだけ一言。
今,小林雅之委員もおっしゃいましたけれども,活用の仕方ですが,学びの実態については,認証評価とか法人評価とか,いろいろな外部の評価でも求められていますので今後も各大学で調査は続けられていくと思います。そのような意味で,この学びの実態は情報公表とともにどんどん社会に広がって,社会の理解も深まっていくと私は信じております。
今回の文部科学省が行うこの学生調査は,政策立案の基礎資料であるというのを私は一番重視しております。実は,日本の大学生は勉強しない,勉強していないところにお金は出せないとか,政治的にも財政的にも悪く扱われています。しかし,日本の学生は,OECDとか先進国での調査をやると,4年での就職率70%以上とは世界一なのです。卒業率90%以上も。ということは,日本の大学は入れた学生は最後まできちんと育てて卒業させるという文化もありますけれど,やはり学生は勉強していると思います。我々の世代は余り大学では勉強していなかったけれども授業以外の学びはやはりしていたと思います。だから,日本の大学生は勉強しているというのを見せるということを今回私は非常に期待しています。この結果で,日本の学生は授業以外の学習をしていないというのが出れば,結局同じようにそれは悪用というか,ネガティブに利用されるだけです。そのようなことがないように,日本の学生は勉強していますというのが見えるような形を私は学生調査に強く期待しているわけです。

【河田座長】 ありがとうございます。確かに,そういう意味でポジティブな,日本の学生が勉強しているということの見える化を図るということ,そして,小林浩委員が前におっしゃっていたように,文部科学省で教育と研究の両立ということが政策課題になっている,その場合の政策の基礎資料として使えるような形でこれが利用できれば,非常に有り難いと思いますし,我々のこの4回の会議での努力がそのような形で実ることを,私も希望しております。高橋委員,どうぞ。

【高橋委員】 これから2回目の試行実施のときに,先ほども言いましたけど,やはり回答率が一番課題だと思っています。一つは,まず大学側にとってのインセンティブと,あと回答する学生にとってのインセンティブ,何かもう少しそこを考えておかないと,前回並みだと,やはり本格実施に向けて厳しいところがあると思いますので。

【河田座長】 もったいないですよね。

【高橋委員】 はい,そこはこの後工夫が要ると思います。学生に関しては,意見が何か反映されるようなイメージがあった方がいい。場合によっては,自由記述のところに書いてもらって,文部科学省がやってくれるかどうかわかりませんが,インタビューもしてみるとか,何らかの形で反映されたというイメージを持たせてあげるということをしておかないといけないと思います。今,新聞社からでも毎月のように調査が来ておりまして,学生に答えてもらう部分もそんなにないですけど,本当にいろいろな調査が学生対象にも行われている状態ですので,この国の全国調査である程度ちゃんと回答してもらう,それは大学側にも自分の大学にとってプラスになりますよみたいなことが分かるように,そこの工夫は,すぐいいアイデアが思い浮かぶわけではないですけれど,是非御検討いただければと思います。

【河田座長】 そうですね。その辺のことは,文部科学省としても,国立教育政策研究所としても,やはり政策立案の基礎資料としても使えるということ,そして大学あるいは学生諸君にとってもこの調査がメリットになることを目指して,是非上手に実施していきたいと思っております。
それでは,皆さまからいろいろ貴重な御意見を述べていただきまして,本当にありがとうございました。新型コロナ禍のため4回すべてがオンラインの会議でございましたが,皆さまから非常に熱心な,そして大事な御議論を頂きまして,本当にありがとうございました。
それでは最後に,文部科学省高等教育局を代表して淵上高等教育企画課長からお礼の御挨拶を頂きます。それではお願いします。

【淵上高等教育企画課長】 「全国学生調査」に関する有識者会議の本年度最終回に当たりますので,一言お礼の御挨拶を申し上げたいと思います。
この会議におきましては,令和元年度試行実施の結果に基づきまして,本格実施,また第2回の試行実施を見据えた具体的な制度設計について,4回にわたり御議論を頂いてまいりました。本日も活発に御議論いただき,大変貴重な御意見をたくさん頂きましてありがとうございました。第1回試行調査の実施後には,新型コロナウイルスの感染拡大をはじめ,高等教育を取り巻く環境が大きく変動し,その中で,学生が置かれる状況も一変したということがございます。今世界中が,新しいニューノーマルな時代における大学の在り方を模索している状況で,学生たちが大学教育をどのように捉えているのか,また,大学での学びを通じて何を身につけて成長していると感じているのかということを把握して,さらなる大学教育の向上,改善に向けていくということがこれまで以上に大事になってきているだろうと思います。そのような背景を踏まえた上で,この有識者会議で専門的な見地から御議論を頂きましたこと,また,今後の方向性をおまとめいただきましたことに改めて感謝を申し上げます。
本日を含めまして,これまでの議論を基に,来年度の第2回試行実施に向けて,事務局としてもいろいろ検討を進めてまいりたいと思いますけれども,更に詳細な検討が必要な論点もございます。特に,具体的な質問項目などにつきましては,次年度以降も更に詰めていく必要がございます。この会議は,来年度につきましても,また新たに設置をさせていただくことになると思いますので,改めて御議論を深めていただきたいと考えているところでございます。
最後に,河田座長をはじめ,委員の皆様へ本年度の御審議の御尽力に改めて感謝を申し上げまして,御挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。

【河田座長】 ありがとうございました。それでは,最後に,私も4回,座長ということで京都から東京まで来させていただいて,いろいろ考えさせていただきました。本当にどうもありがとうございました。私は関西大学の学長をして,その後,私学事業団に理事長として8年3か月在職いたしました。その間,いろいろな大学を見せていただいて貴重な体験をいたしました。
それぞれの大学がやはり今,大変な時期にあります。そのような中で,今回,国立大学,公立大学,私立大学,更に短期大学の代表の先生,教育学・教育政策の専門家の方々に参加していただいてこのような有意義な会議ができたことを非常にうれしく,かつ有り難く思っておりますし,私自身も勉強をさせていただきました。この調査が日本の高等教育の基礎資料になって,それを政策にうまく生かして,実は日本では学生がこれだけ勉強しているということが見えるような形で,もう少し情報発信を上手にして,この調査が成功しますことを祈念しております。 本当にいろいろ御意見を賜りありがとうございました。不手際もあったと存じますが,お許しを頂きたいと思います。本当にありがとうございました。では,これでこの会議を終了させていただきます。

―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)