大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議(第11回)議事録

1.日時

令和3年3月15日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省13F3会議室

3.議題

  1. 審議のまとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(有識者委員)圓月主査、川嶋委員、石崎委員、井上委員、柴田委員、柴原委員、髙井委員、垂見委員、長塚委員、西郡委員、星野委員、牧田委員

文部科学省

伯井高等教育局長、森田大臣官房審議官、西田大学振興課長、前田大学入試室長 他

5.議事録

【圓月主査】
 それでは,ほぼ定刻となりましたので,ただいまより第11回大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議を開催したいと思います。お忙しいところ,本日は御出席いただき本当にありがとうございます。
 それでは,本日の運営形態及び出席者等について,事務局から報告をさせていただきます。よろしくお願いします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局の小川でございます。本日の会議につきましても,引き続きウェブ会議の形で開催をさせていただきます。委員の皆様におかれましては御多忙の中,遠隔での御出席をいただきまして,誠にありがとうございます。
 本日も傍聴者,報道関係者の入室は認めておりませんが,YouTubeでライブ配信をしております。また,議事録は後日,ホームページに掲載することとしたいと思います。
 以上のような方針で進めさせていただきますが,よろしいでしょうか。
 本日の欠席者の報告でございます。本日は明比委員,高田委員,田中委員,巳波委員,4名の委員が欠席でございます。
 議事に入る前に連絡事項でございます。こちらも前回までと同様ですが,聞き取りやすいようはっきり御発言をいただく,発言の都度お名前をおっしゃっていただく,資料を参照する際は該当箇所などを分かりやすくお示しいただくなどの御配慮をいただけるようお願いいたします。発言を希望される場合は挙手ボタンを押していただくようお願いいたします。
 なお,本日は事務局に初等中等教育局教育課程課も参加しております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 それでは,早速ですが議事に入らせていただきます。
 本日は前回の会議の際に議論をした審議のまとめ,骨子案を踏まえて,審議のまとめ案を提示し,議論を行うことといたします。この審議のまとめ案も骨子案と同様に,私が副主査の川嶋先生及び事務局とともに,先日の意見交換を踏まえて整理させていただいたものでございます。
 それでは,事務局から資料の説明をお願いいたします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。資料2「審議のまとめ(案)」に基づきまして,少し時間を取って説明をさせていただきます。ただいま圓月主査から説明がありましたように,前回提示をしました審議のまとめ(骨子案)を踏まえまして,圓月主査,川嶋副主査,事務局で整理をしたものでございます。基本的には前回お示ししました骨子案を肉づけして、記載したものでございます。
 まず,資料2の1ページ目,1ポツ「はじめに」のところでございますけれども,こちらは多面的な評価に関しまして,これまでの経緯,特に高大接続改革を経まして,協力者会議を設置するに至った経緯等について記載をしております。
 1つ目の丸ですが,大学入学者選抜については,これまでも過度の受験競争の緩和や高等学校との接続をより密にする観点から,学力検査のみならず調査書,小論文,面接等を活用して,志願者の能力・適正等を総合して判定するなど,入試方法の多様化や評価尺度の多元化を推進してきたところであります。
 平成25年10月には,教育再生実行会議第4次提言におきまして,大学入学者選抜を,能力,意欲,適性を多面的・総合的に評価,判定するものに転換するとともに,高等学校教育と大学教育の連携を強力に進めることが提言されております。
 次の丸ですが,平成26年12月には,中央教育審議会より高大接続改革答申が提言されまして,その答申に示された改革の具体案として,高大接続システム改革会議最終報告が平成28年3月に提言されております。これらの提言等におきましては,改革の目指すべき方向性や意義とともに,その実現のための方策として高等学校教育改革,大学教育改革,大学入学者選抜改革に一体的に取組むことが示されたところであります。
 こちらの最終報告におきましては,改革の基本的な考え方として,一人一人の学習者が身につけるべき力として,学力の3要素を特に重視すべきとした上で,それを実現するために個別大学における入学者選抜については,卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー),教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)を踏まえて策定される入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)に基づき,学力の3要素を多面的・総合的に評価するものに改善することが必要であると提言されております。
 次の2ページ目でございますが,これらの提言を踏まえまして,各大学の入学者選抜においては,現在,学力検査だけではなく面接を行ったり,小論文,調査書,志願者本人が記載する資料,資格・検定試験の成績や個々の活動歴などを評価したりするなど,多様な取組が進められているところでありますが,より適切な評価を行うためには,学力検査以外の選抜方法や選抜資料の活用の在り方,選抜区分ごとの特性を踏まえた評価の重みづけなどについて,高等学校,大学関係者間で考え方を整理し,共有した上で,取組を進めることが必要であるとしております。
 また,新しい学習指導要領の下での学習評価及び指導要録の改善点等が示されたことを踏まえるとともに,教員の負担軽減の観点も十分に考慮しながら,令和6年度に実施される新学習指導要領に対応した,最初の個別入学者選抜に向けた調査書の在り方等について,新たに検討を行う必要がある。
 このため,昨年,令和2年2月に本協力者会議が設置され,大学入学者選抜における多面的・総合的な評価の内容や手法に関する事項,調査書の在り方及び電子化手法に関する事項等について,検討を行ってきたとしております。
 続いて,2ポツの「大学入学者選抜における多面的・総合的な評価について」という項目で,評価の在り方についてということで,まず,最初に評価を行う意義を明確にしているところでございます。
 最初の丸ですが,高大接続改革においては,これからの予測不可能な時代を生き抜くための資質・能力として,学力の3要素を育成することが不可欠であるとされており,大学入学者選抜においては知識の暗記,再生や暗記した解法パターンの単なる適用の評価等を行うのではなく,学力の3要素を多面的・総合的に評価するものに改善することが必要とされております。
 これには志願者の大学入学後の学びについての理解を深め,志願者と大学との相互選択を促進し,入学後の教育につなげて留年や退学を回避させることが可能となるなど,志願者と大学の双方に積極的な意義があることも指摘されており,こうした積極的な意義について高校,大学関係者の共通理解を図っていくことが必要である。
 そのため,これまでの高大接続改革の趣旨を踏まえて,各大学の入学者選抜については,引き続き学力の3要素を多面的・総合的に評価するものに改善することが重要であるとしております。
 続いて,多面的・総合的評価に当たっての留意事項という項目です。
 本協力者会議においては,一般,総合型,学校推薦型選抜のそれぞれの選抜区分ごとに求められる多面的・総合的評価の在り方について検討を行いましたが,選抜区分の特性を踏まえて,留意すべき事項を整理したものです。
 具体的には,今般の高大接続改革においては,総合型選抜では志願者本人が記載する資料や面接等を,学校推薦型選抜では調査書及び推薦者を主たる評価資料,方法にするものでありますが,大学教育を受けるために必要な「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力等」も適切に評価するため,各大学が実施する評価方法,または大学入学共通テストのうち,少なくともいずれか1つを必ず活用することを必須にいたしました。総合型選抜,学校推薦型選抜は,多面的・総合的な評価を丁寧に時間をかけて行う点において,一層重要な役割を有することが期待されるとしております。
 次の丸,また,一般選抜につきまして,大学の規模や設置形態,学部・学科等によっては,「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力等」の評価に比重を置いて,学力検査や小論文などが中心の評価方法となることも想定されますが,この場合であっても,例えば希望する志願者に高等学校での活動実績を通して身につけた能力,スキルや経験が入学後の学習にどう活かせるか等を簡潔に記載した資料の提出を求めて,選抜の一部として活用している事例があり,各大学はこのような事例も参考にして取り組むことが考えられるとしております。
 一番下の丸ですけれども,評価を行うに当たっては,学力の3要素の重みづけをどのように行うかは,各大学のアドミッション・ポリシーや選抜区分によって,志願者のどのような能力を特に重視して評価したいのかにより異なり,また,評価方法も様々である。仮に,全ての選抜区分で学力の3要素を同程度の重みづけで評価しようとすれば,かえって選抜区分の特性が失われて画一化するおそれがあるとしております。
 このため,各大学においては,各選抜区分の特性に応じた形で工夫を凝らしながら,それぞれの実情に合った方策を講じることが重要であり,その際,各大学は志願者のどのような学力を,どの資料を用いて,どのような方法で評価するかをこれまで以上に明確にした上で,公表することが必要であるとしております。
 さらに,多面的・総合的評価をより適切に行っていくために,各大学は入学者選抜についての専門性を持つ人材の育成や業務に携わる教職員の知識やスキルの向上などにも取り組むことが望ましい。
 なお,選抜区分の特性については,現行の大学入学者選抜実施要項における整理や表記では分かりにくく,選抜の実態と合っていないとの指摘もあることから,今後,改善協議において,高校,大学関係者による検討がなされることを期待したい。
 また,全ての志願者に対して,丁寧に時間をかけて多面的・総合的評価を行うためには,特に一般選抜の入試日程では評価にかける時間が不足しており,現行の日程を見直す必要もあるのではないかといった指摘がございましたけれども,入試日程の変更は大学入試の仕組み全体の在り方にも関わるため,本協力者会議では現行の選抜区分と入試日程を前提にして,取りまとめを行うものでございます。
 続いて,(2)の『志願者の「主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」を評価することについて』,まず,その考え方でありますけれども,大学入学者選抜実施要項においては,志願者の主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度について適切に把握するよう十分留意するとしておりまして,各大学のアドミッション・ポリシー,学部・学科等や選抜区分の特性に応じて,調査書や入学希望理由書,活動報告書,面接などにより評価するとされております。
 いわゆる「主体性」を評価することについては,これまでの高大接続改革において「多様性・協働性」も含めて「主体性等」と呼称されるようになるなど,用語の定義が明確でないとの指摘や,主体性を客観的に評価することは困難ではないかといった懸念が示されております。この点に関しましては,「主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」の評価に当たって,主体性・多様性・協働性という要素に分けてそれぞれを評価したり,主体性のみを取り出して評価する選抜を推進したりするというよりも,「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力等」と併せて評価を推進することを明確にした上で,高校,大学関係者の共通理解を図っていくことが必要であるとしております。
 評価をしようとする主体性とは,各大学のアドミッション・ポリシーにより,普段の学習場面での態度もあれば,学校の教育活動外での活動での態度を含む場合も考えられますが,各大学の判断において評価しようとする主体性を定義し,明らかにする必要があるとしております。
 また,高校生にとって過度な動機づけになり,準備としての活動の負荷を増大させて,逆に主体性を損なって,高校生が取り組む諸活動をゆがめるおそれがあるのではないか等の懸念も指摘されているところであり,生徒が取り組んだ活動の成績や結果だけでなく,その目的やそれを達成するまでの過程なども併せて評価するなどの工夫や配慮が重要であるとしております。
 さらに,各大学は教科ごとの学習活動や特別活動などを通じて,高等学校が育成する生徒の資質・能力と,各大学のアドミッション・ポリシーとのマッチングが図れているのかどうかが重要であるといった意見や,成果の記録を得点化することや評価基準を満たすための負荷が大きくなることなどへの不安があるといった意見があることなどから,何をどのように評価するのかを可能な限り分かりやすく明らかにするよう,留意することが必要であるとしております。
 次の項目,志願者本人が記載する資料の活用について,評価を行うに当たっては,高等学校側から,学校が把握して記載する調査書の情報と,志願者が自らの責任で大学に提出する情報を分けた上で,選抜資料として活用することが望ましいとの意見がございました。
 個々の生徒の主体性について,高等学校が大学に提出できる資料は学校の教育活動に限られるため,学校の教育活動外の個々の活動に取り組んだ事実や成果の詳細については,原則として志願者本人記載資料やポートフォリオなど各大学が定める方法により,直接大学に提出することが適当であるとしてございます。
 続いて,6ページ目,次のページでございます。
 志願者が経済的な条件等に左右されず,多面的・総合的な評価の機会を得ることでできるような方法等について,多面的・総合的評価を行うに当たっては,志願者が多様な経験の機会を得られるかどうかについては,志願者の経済的状況や居住地域に左右されるとの指摘があることから,評価をする際には志願者本人の努力では解決できない要員への配慮が必要である。
 各大学において,志願者が経済的な条件や地理的な条件等に左右されない評価の方法について検討をするに当たっては,それぞれの大学の規模,設置形態,学問領域,地域性,建学の精神,人材育成の目的等によって,評価基準に関する考え方が異なると想定される。
 こういった措置を導入する場合,その基本的な考え方として,1つ目は経済的,地理的な不利等がある志願者に対して,そうした客観的事実に配慮した選抜を行うこと。2つ目は,経済的,地理的な不利等がある志願者でも,高い評価を得られる活動,例えば学校の教育活動内容の取組等を評価の対象にして選抜を行うことの大きく2つの観点に基づいて,教育の機会均等の実現を図ることを目的として,社会的な要請に照らしながら,検討をすることが必要である。
 その際,志願者の背景等を全般にわたって詳細に確認することは,その取扱いに関して社会的な共通理解が十分に形成されていない面があることから,各大学においてはそうした点に留意しつつ,経済的条件等に左右されない評価方法を検討することが適当である。
 また,このような措置を導入する場合は,その趣旨や方法について社会に対して合理的な説明ができること,志願者の入学後の教育に必要な学力を確保することが前提として求められる。加えて,入学者選抜の公平性・公正性への配慮の観点から,総合型や学校推薦型の特別選抜の一部として選抜を行うことも考えられる。その際,既に一部の大学において主体的に行われておりますけれども,地域枠や児童養護施設入所者を対象とした選抜などを参考にすることが考えられるとしております。
 続いて,6ページの一番下のところで,次のページにかかりますけれども,3ポツ「調査者の在り方及び電子化手法の在り方について」ということで,まず,調査書の在り方についてですけれども,調査書は指導要録に基づき作成するという原則や,教員の負担軽減の観点を踏まえると,新しい指導要領の下での調査書の様式は,平成31年3月に示された新しい指導要録の参考様式で簡素化された部分は,それに合わせて簡素化するなどの,指導要録の様式と整合性をとる方向で見直すことが適切であるとしております。
 (2)調査書における観点別評価の取扱いについて,特に重点を置いて検討いたしました。
 2つ目の丸でございますけれども,「大学側には例えば主体性を持ち,多様性な人々と協働しつつ学習する態度」の評価の資料とすることが可能となるのではないかとの期待がございました。
 他方,高等学校における観点別学習状況の評価の取組状況や,大学入試における観点別学習状況の活用手法が確立されていないこと等も踏まえると,観点別学習状況の評価を調査書に記載し,大学入学者選抜において直ちに活用することは慎重な対応が求められる。
 また,調査者に各教科・科目の観点別学習状況の評価を求めると,例えばその評価結果を単純に点数化するなどの形式的な活用となるおそれを払拭できないといった指摘や,各教科・科目の観点別学習状況の評価を適切に活用するためには,大学は各高校の運営方針,育成しようとしている資質・能力,観点別学習状況の評価の考え方など,指導要録には記載されない内容を把握することが必要であるといった指摘もございました。
 (3)調査書の様式の見直しの方向についてですけれども,以上のような考え方を踏まえまして,令和6年度に実施される入学者選抜において使用される新しい調査者の様式については,以下の方向で見直してはどうかということでございます。
 資料2の一番後ろに調査書の様式の改定案を示しております。参考までに,現行の調査書の様式は資料4の「大学入学者選抜実施要項」の15ページに記載しておりますので,そちらも併せて参照いただければと思います。
 まず,「各教科・科目等の学習の記録」,こちらは調査書の表面の記載でございますけれども,各教科・科目の観点別学習状況の項目を直ちに設けることはせず,今後の高等学校における観点別学習状況の評価の取組の浸透や確立の状況,大学における観点別学習状況の活用方法の検討等の進展を見極めつつ,条件が整い次第,可能な限り早い段階で調査書に項目を設けることを目指し,引き続き高校,大学関係者において検討を行うこととする。
 検討に当たりましては,教育委員会,高等学校,大学等が協働して,大学入学者選抜における観点別学習状況の活用方法等について実証研究に取り組み,その成果を普及していくことなどが考えられるとしております。
 次に,調査書の裏面になりますけれども,「総合的な探求の時間の記録」については,指導要録と同様に,この時間に行った学習活動及び各学校が自ら定めた評価の観点を記入した上で,それらの観点のうち,生徒の学習状況に顕著な事項がある場合などに,その特徴を記入する等,生徒にどのような力が身についたかを文章で端的に記述することとします。
 続いて,裏面の「特別活動の記録」については,こちらも指導要録と同様に,文章記述を改めて,各学校が設定した観点を記入した上で,ホームルーム活動,生徒会活動,学校行事それぞれで評価の観点に照らして,十分満足できる活動の状況にあると判断される場合に,丸印を記入することとする。
 「指導上参考となる諸事項」につきましては,これも指導要録と同様に,要点を箇条書きするなど,その記載事項を必要最小限にとどめることとする。その際,生徒の特徴,特技や学校外の活動等については,原則として学習指導等を進めていく上で必要な情報として,精選して指導要録に記述された内容を基に記入することとする。
 「備考」につきましては,現在は各大学はディプロマ・ポリシーやカリキュラム・ポリシーを踏まえまして,志願者が大学の指定する特定の分野,例えば保健体育,技術,家庭,情報等といったものを例示しておりますけれども,特に優れた学習成果を上げたことを備考欄に記載するよう求めることができるとされております。ここに関しては,大学や学部ごとに異なる内容を求められるのは相当の負担であるといった意見があることを踏まえまして,これらの事項については調査書以外の資料で,志願者本人から直接大学に提出するよう求めることとする。
 なお,備考につきましては,この話とは別の話になりますが,高大接続改革の以前から,大学入学者選抜実施要項において,各大学はその希望により高等学校の校長に対して以下2点の記載を求めることができるとされておりました。今後はこれらの事項は,各大学が必要に応じて推薦書等で求めることとし,調査書における取扱いを廃止するものとしております。
 こちらの点について補足でございますけれども,資料3の「大学入学者選抜実施要項」の4ページ上部ですが,4番に,各大学は高等学校長に対して、調査者の学習成績概評は,Aに属する生徒のうち,人物,学力共に優秀な成績については、Ⓐと標示するよう希望することができるという記載と,あと5番で,各大学は高等学校長に対し,当該大学の学部等が求める能力・適正等について,高等学校長が特に推薦できる生徒については,その旨を備考の欄に記載するよう希望することができると記載されております。
 これまで,この会議においてこの部分について特に議論はしておりませんでしたけれども,さきに述べた大学や学部ごとに異なる内容を求められるのは相当の負担であるという考え方を踏まえまして,この取扱いについては廃止をしてはどうかという案をここで提示させていただいたものでございます。
 この2点については昭和40年代から実施要項に記載されているものでございますが,実際のニーズや活用方法がどのようなものか不明な点もございまして,そういった現場の実態も含めて御意見をいただきたいと考えております。
 次に移ります。「学習成績の状況」,こちらは調査書の表面でございますけれども,科目の成績とその単位数があれば,必要に応じて加重平均等の計算が可能であることを踏まえると,調査書は現行どおりの単純平均を記載し,その活用方法は大学に委ねることとするとしております。
 次の9ページに移っておりますけれども,調査書の電子化の在り方について,こちらで最後の項目でございます。
 電子化につきましては,志願者,大学,双方にとって入試事務の効率化,省力化に資するものであり,教員の負担軽減の観点も踏まえつつ,速やかな完全電子化を目指すべきであるとしております。
 電子化のシステムの構築・運用に当たっては,公益性,安全性,利便性の確保という条件を満たすことが必要である。
 電子化に当たりましては,指導要録の電子化と一体的に進める必要があるとの意見や,運用開始時には全ての高校,大学で一斉に電子化すべきといった意見がございました。それぞれの整備状況はここに記載したとおりでございますけれども,より実効性のある調査書の活用の実現を図るためには,統合型校務支援システムや大学入学者選抜における電子出願のさらなる導入を促進しつつ,それらと連動する形での調査者の電子化を進めていく必要があるとしております。
 その際,特定の実装方法のみを検討するよりも,政府全体のデジタル化の動き等にも柔軟に対応できるように,複数の実装方法を検討することが必要である。例えば,こちらは前回,巳波委員から発表していただいた内容を踏まえておりますけれども,現在,考えられる実装方法としましては,以下の4つのようなものが考えられる。
 各大学が構築している電子出願システムに対し,高校から大学に電子調査書を送付。2つ目,各大学が構築している電子出願システムに対し,志願者から大学に電子調査書(暗号化されたもの)を送付。3つ目,電子調査書を受理するためのアプリケーションを開発,クラウドを介して志願者,高校,大学間で電子調査書を授受。4つ目,全志願者の調査者データを一元的な組織の下で管理,当該組織の管理下のサーバーを介して,志願者,高校,大学間で電子調査書を授受。
 調査書の電子化を進めるに当たっては,これらの実装方法を検討する過程で明らかになった課題(費用や稼働の負担,セキュリティリスクへの対応,調査書データの一元的な管理の在り方等)や,それぞれの方法のメリット,デメリットなども踏まえつつ,文部科学省,高等学校,大学関係者において引き続き協議の上,実現に向けて取り組むことが重要であるとしております。
 長くなりましたが,説明については以上でございます。よろしくお願いいたします。
【圓月主査】
 行き届いた御説明をどうもありがとうございました。
 それでは,残された時間で審議をしたいと思います。残された時間を前半と後半に分け,前半においては,まず,1ポツの「はじめに」及び2ポツの「大学入学者選抜における多面的・総合的な評価」について,御意見を賜りたいと思っております。
 御意見や質問等がございましたら,どなたからでも結構ですので,御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,石崎委員,手を挙げていただいたものと理解しています。よろしくお願いします。
【石崎委員】  
 石崎でございます。よろしくお願いいたします。
 今,1ポツ・2ポツと3ポツに分けてというお話だったので,3ポツにつながっているところがあるんですけれども,いいでしょうか。
【圓月主査】
 1ポツ,2ポツはペアと考えていただいても結構です。
【石崎委員】
 違います,2ポツと3ポツの部分でつながる部分があるんですけれども。
【圓月主査】
 重なる部分もあると思いますので,必要なら3ポツにも関連せながら御意見をください。
【石崎委員】
 すいません。2ページの2つ目の丸で,「新学習指導要領下での学習評価及び指導要録の改善点が示されたことを踏まえるとともに」とうたっているんですけれども,私,前回申し上げた7ページのところにつながるんですけれども,7ページで,(2)の3つ目と4つ目の丸で,観点別評価を調査書に載せないことについては矛盾があるような気がするんです。この紙全体で2ページの2つ目の丸を受けて,どうして7ページの(2)の4つ目の丸のような結論になるのかというのが前回申し上げたことです。
 特に3つ目の丸で,1つ上で,「評価の資料とすることが可能であるのではないかとの期待がある」とうたっておきながら,他方,「高等学校における観点別学習状況の評価の取組状況や」というのは,高等学校における観点別学習状況の評価や取組状況がどうだと言おうとしているのでしょうか。大学入学者選抜における観点別学習状況の活用,手法が確立されていないというのは具体的で分かるんですけれども,それは4つ目の丸でうたっている,例えば評価結果を「単純に点数化するなどの形式的な活用」を指しているのでしょうか。このあたりが,どうして観点別評価を調査書に載せないのかというところがいま一歩不明確だと思うし,私は前回申し上げたように,載せておいて使うか,使わないかというのが活用の仕方だと思うんですけれども,載せない理由として何か説得力のあるものがいま一歩ないと感じているので,載せたほうがいいという意見も前回,御賛同いただく意見も幾つかあったと思うので,そういう意見もあったということを書いていただくか,まとめの中でそういった議論がきちんとされたということを書いていただきたいと思うところです。
 長くなりましたが,以上です。
【圓月主査】
 貴重な御意見をどうもありがとうございました。前回の発言を踏まえますと,言っておられることは十分に理解できます。事務局から補足説明はございますか。
【小川大学振興課専門官】
 今いただいた意見を踏まえまして,文章表現については検討をしたいと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。ほかには,牧田委員が手を挙げてくださっているでしょうか。よろしくお願いいたします。
【牧田委員】
 牧田です。1点,この先どうなるのかを事務局か,あるいは川嶋先生等に教えていただければと思うんですけれども,今いただいた審議のまとめ案を大きくまとめると,多面的評価というのはそれぞれの大学のポリシーを明確にすることが前提であると。それを明確にすることが前提の上で,高校生は大学を選ぶときに,自分の進路といいますか,こういう仕事をやりたいとか,こんな研究をしたいとかいうことを明確に持っていないと,大学のポリシーとのマッチングは起こり得ないですね。でも,現実に例えば今の高校生は取りあえず偏差値の高い,いい大学に行って,そこに行っておけば就職は何か潰しが効くよということで,大学を選んでいる子供たちもいるんです。
 そういう子供たちにとって,このがポリシーと自分のキャリア志向とのマッチングができないときには,多面的評価できないことになってしまうと思うんですが,こういった子供たちの多面的評価はどうなるのか,そのあたりの未来予想みたいなことが予測できなかったものですから,誰か教えていただければと思います。
【圓月主査】
 ありがとうございました。こちらも貴重な御意見で,重要なことかと思います。入り口と出口をどうするか。大学でもいろいろな形があります。入学の方針とキャリア形成などをどういうふうにつなげていくかということですが,まず,事務局から,難しい問題かも分かりませんけれども,何か補足いただけることはございますでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 特に事務局からは補足はございません。いただいた意見を承ります。
 以上です。
【圓月主査】
 それでは,お名前も挙がりましたし,一番御専門に近いところで,川嶋先生,差し障りのない範囲で,こういう大きな問題についてどのような未来予想のようなものがあるのか,教えていただけるでしょうか。
【川嶋委員】
 御指摘のように,3つのポリシーでアドミッション・ポリシーとカリキュラム・ポリシーとディプロマ・ポリシー,少なくともディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーは整合性がなければならない。それから,入学後カリキュラム・ポリシーをきちんと履修できて,最終的に出口のところのディプロマ・ポリシーで示している能力とか知識を身につけることができる,という観点から,アドミッション・ポリシーも関連させる必要がある。そのため,大学教育の出発点となる1年生,高校から大学への移行のときにどのような能力を,どの程度求めるかを示すのがアドミッション・ポリシーだと思います。そして今回の改革では一般選抜のほうでもできる限り,テストの得点だけではなくて,それ以外の要素も加味しながら多面的・総合的な評価に変えていこうというということです。最終的に改革が目指す方向は,大学や学部がそれぞれアドミッション・ポリシーでこういう人が欲しい,こういう能力を有している入学生を望んでいる。このようなアドミッション・ポリシーに基づいて入学し,カリキュラム・ポリシーに基づいて学習すると,ディプロマ・ポリシーに示している,こういう能力が身について卒業することになりますというのをきちんと大学は示す。それに対して,高校生,受験生は,その中から自分の将来像と能力等に見合った形の大学,学部を選んで入学するというのが理想的な形だろうと思います。それがどこまで今後実現するか,これはよく言われますけれども,選抜ではなくて志願者と大学とのマッチング,相互選択だと言われるので,まず,まさにその3つのポリシーを大学が明確に示すことが,高校生と大学とのマッチングにとって非常に重要だと思います。
 牧田委員御指摘のように,現状は,残念ながら完全にそういう形にはなっていないので,大学の名前で選んでしまうという高校生も,少なからずというか,かなりはいると思うんですけれども,今後の方向性としては,やはりマッチングという考え方に変えていくべきだとは思います。その方向性を,こういう多面的・総合的評価の考え方でより一層進めていこうということかと思います。
 もう1点は,先ほど,DPとCPは整合性を持ってということを強調した上で,APもという話をさせていただきましたが,18歳時点で将来を決めることはできないというのは,これも日本だけの状況ではなく,世界的にも課題になっていることですが,日本の大学の入試の仕組みというか入学の仕組みが,学部学科という非常に狭い分野ごとに定員が割り振られて入試が行われているというところに,いくら3ポリシーを明確にしても相互選択が機能しない一因がある。既に総合選抜という形で間口を広く取って,入ってからいろいろ学んでみて,専門を決めるという大学も徐々に増えていますので,今,牧田委員がおっしゃったようなことは,そういう大学教育の仕組みの在り方と含めて,今後またさらに議論する必要があるのかなというふうに思います。
 お答えに答えているかどうか,ちょっと自信がないんですけど,今のところ私が考えていることは以上のようなことです。
【圓月主査】
 川嶋先生,どうもありがとうございました。
 牧田委員,なかなか明快な答えをする即答するというのは難しい御質問だったかと思うんですけれども,大きな課題であることは十分認識しております。
 また,初等中等教育などでもキャリアパスポートとか,いろんな形で力を入れておられるようですし,それとの流れの中で,教育全般をやっぱり考えていくことが必要なのかなというふうに思っております。ありがとうございました。
 それでは,長塚委員が手を挙げてくださっているでしょうか。よろしくお願いいたします。
【長塚委員】
 長塚です。3ページのところにあるんですが,この3ページの丸の下から2つ目なんですけども,小さな点で恐縮です。私,事務局のほうに御連絡したことでもあったかなと記憶しているんですが,最後のほうに,これは佐賀大学さんの事例のことをおっしゃっているわけですが,「一部として活用している事例があり,各大学はこのような事例も参考として取り組むことなどが考えられる」。この「など」という言葉を,「活用している事例があり」を「事例などがあり」に,「など」を最初のほうに持ってきていただいて,佐賀大学さんが最も優れた事例の1つであることは分かっているんですが,それ以外にも事例があろうかと思うんです。紹介されている事例があったかと思いますので,「など」を最初のほうに入れて,「取り組むことが考えられる」というふうにつなげていただくほうが,よりいいかなと。事務局のほうで御一考いただければなと思ったところでございます。それが1点。
 先ほど石崎先生がおっしゃっていただいた点は本当に気になる点で,3のところでまた触れたいとは思っていたんですが,私のほうからもまた別な視点で申し上げたいと思っておりました。ただ,先ほど石崎先生がおっしゃっていた「高校での観点別状況の評価の取組状況や」ということで,それがどうなっているんだということが書いてない,まさにそのとおりだと思うんです。言うまでもなく,現在の高校の指導要録というのが,観点別を書く欄がないということもあります。一方,中学校までは観点別の記載欄があって,調査書までちゃんと出されているわけですけども,そういうことが仕組みの上でもあるといえます。文科省が示す指導要録は参考様式ですから,高校によっては観点別を入れてもいいという状況にはなっているんですが,実態としてどうかというと,今日は教育課程課のほうも御参加いただいていると思うんで,もし必要であればお聞きいただきたいところなんですが,形式的には高校でも観点別評価を行うことができるということになっていながら,実態はあまり進んでいないという調査結果も,どこかで報告されていたかと思います。そういうことからすると,やはり高校のほうは,取組状況はまだ十分でないということは言えるのかなと私は思っておりました。
 しかしながら,じゃあどうするかということについては,また3のところでもう少し触れたいと思っております。
 取りあえず以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。1点目の御指摘の点,「など」等の表現の問題につきましては御指摘のとおりかと思います。事務局のほうでも承らせていただいて,検討させていただくというふうなことでよろしいでしょうね。
 2点目のほうはおっしゃるとおりで,こちらも,また3のところでいろいろ具体的な意見をほかの委員からもいただけるかと思います。確かに歯切れが悪くなっているということは十分主査としても気がついておりますので,できるだけ御意見を反映して,少しでもいい文章にしたいというふうに思っております。
 事務局のほうから何か補足していただける点,ございますか。
【小川大学振興課専門官】
 特に現段階ではございません。
【圓月主査】
 ありがとうございます。
 それでは,その次,星野委員,よろしくお願いいたします。
【星野委員】
 星野でございます。1ポツ,2ポツのところで,私のほうから少し質問と,それから意見を述べさせていただければと思います。
 まず,5ページ目,上から2つ目の丸のところでございます。これは意見になるんですけれども,主体性等についての評価についての記述のところで,高校生が取り組む諸活動についての記載でございますけれども,終わりの3行目ぐらいから,「生徒が活動に取り組んだ活動の成績や結果だけでなく,生徒が様々な活動に取り組んだ目的や,それを達成するまでの過程なども併せて評価するなどの工夫や配慮が重要である」というふうに記載ががございます。それで,私はこの会議の当初から少し述べさせていただいておったんですけれども,この「達成するまでの過程」という書き方ですと誤解を生むといいますか,非常にその過程そうが評価対象になってしまうんじゃないかというような懸念を高等学校側が抱いておられるのではないかなと感じております。
 過程そのものですと,例えば高校1年とか高校2年のときに行ってしまったことはもう取り返せないので,そのこと自体を評価されてもというところがあるんじゃないかと思います。それからの,やはり高等学校での先生方も含めた指導によって,どのような人間としての形成がなされているか,それをもって,大学入学の際に大学側が評価をするというような形になるんじゃないかと思うんですけども,そこのところがうまく伝わっていないんじゃないかなという懸念を抱いております。
 それで,これは一案でございますけれども,「それを達成するまでの過程を振り返ることなども併せて評価する」という表現に変えていただいたほうがいいのかなと思っております。
 JePを進めているときに,巳波先生のほうからも,たしか,単に大学に提供する場合にポートフォリオのログそのものという考え方もあるでしょうけども,ショーケースのような形で提供するということもできるというお話があったかと思います。
 そのことも含めて考えれば,高校1年,高校2年のときにこういう活動をしたんだけれども,今から振り返ってどうだったのだろうというようなことも併せて,そのショーケースの中には書かれると思うので,そういった意味では,「過程を振り返ることなど」という表現が望ましいのではないかというふうに考えております。
 1つ目は以上です。
 続けてよろしいでしょうか。
【圓月主査】
 はい,続けていただいて結構です。
【星野委員】
 2つ目はその下の丸でございます。下の丸のところで,これも学校外の活動になるかもしれません。いろいろな検定や,それから大会等,あるいはコンクール等への成果をどういうふうに評価をするかということについて,大学側に対して,最後の2行目の後半ぐらいから,「何をどのように評価するのかを可能な限り分かりやすく明らかにするよう,留意することが必要である」というふうに述べられているんですけども,確かにその「可能な限り」というところである程度,大学側に裁量の余地はあるのかなとは思うんですが,実はこれも,高大接続の改革会議,実行会議などが開かれていたときに,何かのときに,私,発言させていただいたりしたんですけれども,全て評価対象としている,例えばコンクールとか何とか,どのぐらいの得点を与えることになるというような,非常に詳細なものをつまびらかにすると,逆に,高等学校,高校生にそれをあおるようなことになるんじゃないかという懸念を抱いておりました。
 したがいまして,ここももう少し望ましい表現にしていただいたほうがいいんじゃないかなというのと,「可能な限り」というのが一体どこからどこまでのことを指しているのかというのを事務局のほうにお伺いしたいと思っております。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 それでは,事務局にお伺いしたいというふうな御要望もありましたので,事務局から何か補足していただける点,ございますでしょうか。2点,御指摘をいただきました。
【小川大学振興課専門官】  
 事務局でございます。まず,いただいた御意見を踏まえて,これから文案は検討いたしますけれども,「可能な限り」というところに関しましては,この意見の基となる話としまして,この協力者会議でも幾つか出たかと思うんですけれども,高校側の立場として,何か資料を提出する際に,これは一体何のために,どのような評価をされるのが分からないで出すということについて,不満というか不安があるという意見が幾つかあったかというふうに記憶しております。そういったことを踏まえての「可能な限り」という表現でございますので,少なくとも,受け取るほうの立場,高校生の立場で理解できるような表現であること,内容であることは必要ではないかというふうには考えておりますけれども,具体的に「可能な限り」の明確な基準があるというわけではないところでございます。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。御指摘の点につきましては,承った上で,最終文案を作成するときにぜひ考えてみたいと思います。1点目のほうも,やはり過程というもの,一種の形成評価的な要素というものを入れることが妥当かという評価の根幹にも関わるところがありますので,もう少し整理したいというふうに思っています。ありがとうございました。
 それでは,柴田委員,よろしくお願い申し上げます。
【柴田委員】
 ありがとうございます。福岡県立大学の柴田でございます。私は2ポツの(2),4ページにございます主体性のところでございまして,この会議でも主体性の定義等々,いろいろ議論があったところをおまとめいただいていると思うんですが,マル1,マル2,マル2はいわゆる主体性の評価を困難ではないかといった懸念が示されているということで,確かにこれはいろんな方面から示されているところであります。
 が,その次の段落マルの3,「この点に関しては」以下,主体性という表現を3つの要素に分けて評価したり,「のみを取り出して評価する選抜を推進したりということよりも」という,「よりも」ということはこの2つを否定しているんだと思うんですけれども,どうもその否定の仕方というのが,あえて否定する必要が,次の段落を見るとあるのかなと思いまして,結局のところ,ほかの2つの,「知識技能」「思考力,判断力,表現力」と併せて総合的な評価を推進することを明確にした上で,高等学校,大学関係者,共通理解を図っていくことが必要であるという,だから,何かこの3つ目のマルというのは,どうもその意味というか,意図というのが酌み取りにくい流れになっておりまして,確かに,今までこういう議論があったのは確かなんですけども,あえて,特にこれを推進しなければいけない大学関係者としては,この文言というのが非常に紛らわしいと申しますか,むしろ,その次のマル4にありますように,アドミッション・ポリシーで各大学で明確にして,それに基づいて,その定義の上に選抜に使ってくださいと明確に言ったほうが,結論としては,我々としてはありがたいと思いますので,御検討いただければと感じた次第でございます。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。御意見承りました。おっしゃることも非常によく理解できます。
 事務局のほうから何か補足ございますでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 こちらの意見につきましてもまた検討させていただきたいと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 それでは,西郡委員,よろしくお願いいたします。
【西郡委員】
 西郡です。偶然にも,今の柴田先生と同じ部分でして,この表現だと,学力検査に主体的に学ぶ態度の要素が得点として現れるということで,学力検査だけで,そういった主体性も含めて,間接的に評価できるというふうな主張が可能なわけですので,それも含めて,多面的な評価だというふうなのであれば問題ないと思いますけれども,また違った意図で書かれているのであれば,そこら辺はしっかり整理したほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。同じ点に関しまして,多面的な総合的な評価を推進するということが本来の趣旨なんだということを皆様にお伝えしたかったんですけれども,それが誤解を呼ぶようであれば,もう少し表現等については考えてみたいというふうに思います。ありがとうございました。
 ほかには何かございませんでしょうか。
 それでは,石崎委員,よろしくお願いいたします。
【石崎委員】
 先ほど星野委員の5ページの「可能な限り」のところでございますが,高校のほうでも使わない情報,無駄なことは書かせないでほしいという意見もあるんですけれども,もう1つ,やっぱり調査書が具体的にどう使われているのかが分からないという不安のほうが一番大きかったと思うんです。
 入試の公平性を担保するためには,調査書に書いてあるどういうことが点数化されるのかというのが分かってないと,結局,不利益を被る生徒が出ちゃうんじゃないか,調査書によって不利益を被ることが起こっちゃうんじゃないかということは,常に先生たちが,高校が不安に思っていることなんです。
 ですから,やっぱり可能な限り明らかにするというのは,試験の公平性というのを担保するために,ぜひ,ここのところは,可能な限り分かりやすく明らかにしてほしいなというふうに思っていますので,意見を述べさせていただきました。
 よろしくお願いします。
【圓月主査】
 ありがとうございました。この文章に関しましては,大学側の実態の問題と高校側の不安,御要望というもののちょうど真ん中のところに来るもので表現が難しいと思いますけれども,ぜひ,できるだけ工夫させていただきます。
 事務局,そういうことでよろしいですね。
【小川大学振興課専門官】
 はい,こちらも検討いたします。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 ほかには御意見ございますでしょうか。
 御質問については,本日のところは1,2に関しましては全て御発言いただいたものと理解させていただいてよろしいでしょうか。
 それでは,引き続き,残りの時間で,3の調査書の在り方及び電子化手法の在り方について御審議をいただきたいと思います。
 先ほど石崎委員からも御指摘があったとおり,今度はまた,1,2のほうに戻って,その関連性とかいうものもある部分もあるかと思っております。残りの時間で自由な形で言っていただき,できるだけたくさん御意見いただいたほうが,こちら側も考える材料ができるかと思っております。
 よろしくお願いいたします。
 それでは,長塚委員,よろしくお願いいたします。
【長塚委員】
 3ポツに関しては3点ほどあるんですが,まず,2つだけ申し上げたいと思います。
 1つ目は,7ページのところなんですが,(2)の調査書における観点別学習状況の評価の取扱いについての一番下の丸です。一番下の丸の最後の行に,「指導要録には記載されない内容を把握することが必要であるといった指摘もある」と書いてあるんですが,記載されない内容というのは,各高等学校の運営方針,育成しようとしている資質能力,観点別学習状況の評価の考え方などということで,確かに,基本的にこれらのものは指導要領に書いてないかもしれませんが,今回末尾につけていただいた新しい調査書の改定案,これは指導要録をそのまま用いるということですから,指導要録の内容だと思っていいわけなんですが,例えば,この最後のページを御覧いただくと,上から2つ目の項目は,「6.特別活動の記録」とあって,しばしば申し上げていますが,今回この真ん中に「観点」というのがあります。この観点というのは,統一されたものでなくて,各高等学校が考える,言わば資質能力,学校が育成を目指すものの中で,ここに観点が書かれてくるということになると,先ほど挙げたもの全てではないんですが,その一部は指導要録にも書かれてあるというふうにも見なすこともできますので,戻って7ページのこの「指導要録には記載されない内容」というのを取ってしまったほうが,私はいいのではないか。それでも十分通じるので,「考え方などを把握することが必要であるといった指摘もある」というふうに,指導要録にないとも言えない,指導要録というのは参考様式ですので,いろいろな作成の仕方があるわけですよね。そういうことを考えると,どうかなというふうに思ったところです。
 ちなみに高等学校の教育法施行規則改正が,これから発表かもしれませんが,令和4年度から各高等学校がスクールミッション,そして3つのスクールポリシーを立てて,各高校が育成を目指す資質能力を,より明確にすることを求められます。令和7年までの3年間でそれらが,各高校ではっきりしていくということになりますので,ちょうどこの新指導要領の段階で全部がそろうというふうには必ずしも言えないかもしれませんが,その段階になると,書き方もよりはっきり,各高校ごとにはっきりしてくるのではないかというようなことも言えるかと思います。
 取りあえず,その1点目をまず申し上げました。
 もう1つ申し上げておきたいのは,8ページです。この下のほうに,なお書きのところがあります。調査書の備考欄に,今まで,以下の2点の記載を求めることができるが,今後は,調査書には記載を求めない,そのとおりだと思うんです。ここのところを先ほど御検討いただきたいと,審議してほしいという話も説明の中でございましたので,触れたいと思っております。これ,「今後はこれらの事項は,各大学が必要に応じて推薦書等で求めることとし」となりましたから,調査書にはマルAの内容などを備考欄に書かなくていいんだということになりますが,そこで実は,先ほど石崎先生が触れていただいた観点別の評価の問題と絡むところなんです。実は,この推薦書というのは指導要録をそのまま書き写すわけではないので,高校教員が指導要録に書かれているものなどを材料にして,それ以外のことも含めて推薦書に書き込むということになります。
 ですから,働き方改革とはいえ,ここは自動的にできるものではないということで,推薦書は結構大変だということは,ますます認識しております。
 実は,今年からの調査書だけでなくて推薦書等についても変更があって,推薦書に,いわゆる学力3要素に係るところの学習状況や,生徒の活動状況の様子を求めるということは,大学入学者選抜実施要項の改善の予告の段階では必須となっていました。令和3年度の要項では,必須というふうな言葉ではないんですが,結構それに近いことが書かれてあるんですよね。推薦書の中に,入学志願者本人の学習歴や活動歴を踏まえた3つの要素に関する評価を,記載を求めるというふうに,必須という言葉からすると少しトーンダウンしていますが,要項に載っています。その結果,この春の各大学の推薦書,どうだったかを幾つか調べてみたんですが,主に私大なんですけども,この3要素を明らかに予告どおり求めている大学もあれば,旧来どおり,それは求めてない,一くくりの推薦記述の記載を求めている大学もある。国大のほうはどうか分かりませんが,結局,この3要素に関わるところの,言わば観点別に関わる総体的な評価というんでしょうか。推薦の場合の記載を求めることを始めましたから,今後,次の実施要項改訂のときにこれを求めるのか求めないのかということが問われると思うんです。
 私は,せっかく始まったことですから,調査書に観点別評価は入ってなくても,指導要録にある観点別評価などを踏まえて,推薦書に,この学習歴の中における3観点の状況を書き込むことは継続していってもいいんじゃないかと。でないと,逆におかしいんじゃないか。現状で,実は始めてしまったのは少し早過ぎたというふうにも思います。高校現場で3観点でしっかり捉えているということは,はっきり言ってしまえばまだない中で求められたわけですけど,ここはしかし,次の実施要項の改訂のときには,逆に言えば求めなきゃいけないことだと思います。観点別に関わるところをこの推薦書の中で求めていくことは,今後も続けていくべきではないかというふうに思っているところでございます。
 長くなりましたが,取りあえず以上でございます。
【圓月主査】
 どうも貴重な御意見ありがとうございました。
 1点目に関しましては,この指導要録と調査書との関係も含めて重要な御指摘だというふうに思っております。さらに,スクールミッション等いろいろな動きがある中で,今後,将来を見据えてどういう形でまとめていくかという御指摘でもあり,御助言でもあったと思っております。
 事務局のほうから何か補足していただける点とかございますでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。文章につきましては,また御意見を踏まえて検討したいと思います。
 以上でございます。
【圓月主査】
 それでは,御意見は確かに承りましたので,少し検討をさせていただきたいというふうに思っております。ありがとうございます。
【長塚委員】
 圓月先生,すみません。
【圓月主査】
 はい。
【長塚委員】
 ですから,8ページのところに,「推薦書等で求めることとし」と書いてあるところに,今申し上げた3観点に関わる記載をどうするかがここには書いてないものですから,どこかでここは整理しとかないと,実施要項の改訂のときに困るのではないかと思いますので,併せて,この検討をお願いしたいと思っております。
【圓月主査】
 御丁寧な御指摘,ありがとうございました。確かに承りました。重要な論点だと私も理解しております。ありがとうございます。
 それでは,星野委員,よろしくお願いいたします。
【星野委員】
 星野でございます。ちょうど今のところ,私もちょっとお伺いをしたいなと思っておりました。8ページ目の備考ところです。私がお伺いしたいのは,調査書の学習成績概評でマルAという表示にしたという場合には,これまでですとその理由を調査書の備考欄に記載をいただいておったということが,それが推薦書等のほうにという,そこについて意見をということなんですが,これは,できれば調査書の備考欄にその理由を記載していただいたほうが,我々,チェックする側としては,そのチェックを行いやすいという面があります。
 それから,これまでも必ずしも備考欄にその理由が書いてない調査書等もございました。したがって,ここは書いたり書かなかったりというようなことが,高等学校側か,あるいは,人物,生徒によって違っていたのかもしれないですけれども,いずれにしても,なぜマルAなのかということについては,我々も一応,この理由については記載があれば,ちゃんとそのことを把握しておくということをいたしますけれども,別のものになってくると情報を突合しなければいけないといいますか,そういうような事務的な手間の部分があるということがあります。
 2つ目のほうについては,これは,当該学部での能力適正等については,特に調査書に記載がなくてもよいかと思うんですけれども,推薦書等のほうに記載があったと思いますが,マルAの記載については調査書にあったほうがいいのではないかというふうに考えております。1つ目はこれでございます。
 もう1つ,続けてよろしいですか。
【圓月主査】
 続けて,御意見よろしくお願い申し上げます。
【星野委員】
 もう1つは,観点別評価のところについてございます。高等学校側のほうで,これまでの本会議の中でも,なかなか取組状況というものが,現在,実施面からということになると,まだ浸透してないという面もあって,記載をしないというのが望ましいのではないかという御意見もあって,事務局のほうでもそのような取扱いにされたかと思います。もちろん,大学側でも,まだ,我々のほうでもデータがない状態ですから,どのように活用したらいいのかというのは,もちろんこれからの検討になるということでございましたが,以前お話し申し上げたように,データがないとその検討も進まないということでございますので,例えば入試区分,先ほども長塚委員からお話がありましたけれども,特別選抜,総合型選抜であるとか学校推薦型選抜のほうで,推薦書等に学力の3観点についての記載をということであれば,もう調査書のほうに記載があって,それを特別入試のほうでは使っていいというような,そういう形にできないでしょうか。一般選抜のほうでは,まだなかなか,どういう扱い方がいいのかということは検討をしていく必要があると思いますけれども,特別入試のほうであれば,いろいろな面接等を行ったり,いろいろ,志望理由書とかをチェックしたりということで,3観点について,我々のほうでもチェックができるということが可能だと思いますので,何かそういうような形にできないかとお伺いしたいと思います。
【圓月主査】
 ありがとうございました。2点,御意見をいただきました。
 1つ目のこの備考につきましては,何をどのように書くかという大学の側の期待と,そしてまた,高校生,高校側の先生方の御負担と,また,実態というふうなものなんかもなかなか難しい問題かなというふうに思っております。
 まず,この点につきましては,事務局のほうから何か補足とかございますでしょうか。
 柴田委員が手を挙げてくださっているんでしょうか。柴田委員,よろしくお願いいたします。
【柴田委員】
 ただいまの星野先生の,マルAについてなんですけれども,私は星野先生とちょっと解釈が違っていまして,先ほどの8ページの「なお」以下,「備考については」ということが書いてありますけども,この文脈では,各大学はその希望により推薦書で求めることができるが,調査書におけるこの取扱いを廃止するものというのは,資料3の,実施要項4ページの該当する部分で,希望することはマルAと表示することと書いてあるんです。だから,このくだりは,私はマルAということを廃止するという具合に理解しまして,少なくとも私,このマルAの導入は,導入した昭和40年代は鳴り物入りで入れたんですけれども,ほかの評定値と一緒で,ほとんどこれは学校内尺度みたいな感じになっていまして,大学としてはあまり参考にならないというので,今はほとんど使われなくなっているのが実情ではないかと思っております。
 ということで,星野先生は備考欄にマルAを書いた場合の理由を書くというのは残してほしいということなんでしょうけども,これはマルA制度自体をなくすという御提言と受け止めたんですけども,その理解では間違いなんでしょうかということを確認しておきたいと思います。
【圓月主査】
 ありがとうございます。この項目につきましては,これまで特筆した形で議論することはなかったものですけれども,またいろいろな御意見,御質問等を寄せていただいたら大変参考になります。
 事務局のほうから,今の星野委員及び柴田委員の御指摘について,何かお考えがおありでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。こちらは今回初めて文章の形でまとめさせていただいたところなんですけれども,こちらの考えとしましては,今,柴田先生,星野先生,御意見ありましたけれども,どちらかというと柴田先生の考え方に近い意味合いで書いたものでございます。何か特別に,例えばその方が特に優秀だということを希望する場合には,調査書ではなくて別の書類でその旨を高校のほうに書いてもらうというイメージで書いたものでございます。
 以上です。
【圓月主査】
 明快な御説明,ありがとうございました。
 それも踏まえた上で,今のような解釈が適切なのかどうか,適当なのかどうかということも含めて,いろいろと御意見をいただければと思っております。
 ちなみに星野委員の2番目のほうの御指摘につきましても,こちら側としては承りましたけれども,特別入試,特別選抜というものがあるということは私も存じていますけれども,全ての大学,特に私立大学も含めた形で,この3つの区分以外のものに対しての共通理解というのが明確にできるかなという,ちょっと心配というのもございますが,この点につきましては,事務局のほうから何か補足していただける点,ございますでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 こちらの特別選抜というところ,実施要項上,細かい定義があるわけではないんですけれども,基本的には一般選抜以外の学校推薦型選抜であるとか総合型選抜であるとか,そういった,ある程度時間をかけて選抜を行うものという意味合いでの言葉というふうに認識をしております。こちらもちょっと御意見を踏まえて検討させていただきます。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
【森田審議官】
 審議官の森田でございますが,補足させていただきます。
【圓月主査】
 よろしくお願いいたします。
【森田審議官】
 今御議論いただいている点については,マルAとか備考については,これを取り出して御議論いただくのは初めてではございますけれども,これまでの会議の中で,大学や学部ごとに異なる内容を調査書で求められることについて,それはなくせる方向にできないかという御意見はこれまでもいただいておったというふうに思います。
 大学や学部によってマルAを求める大学があったり,求めない大学があったり,あるいは,選抜区分によって観点別学習状況の評価を求める選抜区分があったり,求めない選抜区分があるというふうにした場合には,高等学校側は1人の生徒に複数の調査書,大学や学部によって複数の調査書を作成することになるわけですけども,それでいいのかどうかということも含めて御議論いただければ。高校側の御意見もあるかと思いますのでと思っております。
【圓月主査】
 貴重な補足説明をどうもありがとうございました。御指摘の点,そのとおりかと思いますので,またいろいろ御意見があれば,その点もめぐっていろいろといただければと思っております。
 柴原委員が手を挙げてくださっておりますので,御意見いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【柴原委員】
 柴原でございます。7ページの観点別学習状況の評価についての意見です。この会議の冒頭,石崎委員からありましたように,初めの部分とここでは整合性が若干ないんじゃないかなという気持ちをずっと持っておりました。そういう中で,評定と観点別評価の取扱いについての私の理解ですけれども,評定というのは総括的な評価であって,その子供たちの学習状況を分析的に評価するのは観点別評価だと私は理解しています。ですから,評定を出す際には,単に点数が何点だから評定が幾つだと,そういう発想じゃなくて,各先生方は,自分の受け持った子供たちを分析的にきちんと評価をされて,最終的に総括的な評価として評定をつけられているんだと思います。
 そう考えたときに,この文書のままだと,高校の先生がそういう分析的な評価をしないで評定をつけていると取られがちですので,この文章の表現の仕方はもう少し工夫いただけるとありがたいと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。御意見承りました。無用な誤解が生じないような,そしてまた,多義的な解釈というものができるだけ生じないような文章にしていきたいというふうに思っております。
 ありがとうございました。
 それでは,石崎委員,手を挙げていただいているでしょうか。よろしくお願いいたします。
【石崎委員】
 7ページの件は今の意見に賛同でございます。さっき申したとおりでございます。
 8ページのマルAの話は確かに今日初めて出てきたので,ちょっと実態という話もあったのでお話しさせていただくんですけど,実態としては,マルAを求める大学と求めない大学があっても,調査書を作るときはマルAになる生徒の調査書は,どの大学に出願するときも全部マルAで出しているのがほとんどだと思います。マルAがついていれば,当然,A段階に決まっていますから,調査書はマルAのものについてはマルAをつけた調査書を全部作っているというのが実態だと思います。
 マルAを具体的にどうつけているかというのは,もちろんそれぞれの学校によって違うんですけれども,御承知のように,A段階というのが評定平均4.3以上なんですけれども,中には,例えばそれが4.6以上だったらマルAにするとかといったような,どちらかというと形式的な運用になっているような高校もないわけじゃないと思います。もちろん,人物・学力ともに優れた者ということですから,学力だけで判定しているわけではないんですけど,結果的には,学力が特に優れているものは人物も大体優れているというところで,そういった運用になっているところも実態としてあるのかなと思います。
 逆に,マルAが大学でどう使われているのかなというのは,調査書がどう使われているのかというのと一緒で,高校側としては非常にその気になっていたところなんですけれども,先ほど柴田委員のほうから御説明あったように,大学の側でも,実態としてはどう使っていいのかというところを伺いますと,マルAそのものが,表記がなくなっても大きな問題は生じないのかなというふうに感じたところです。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 率直な御意見なんかもいただいて,昭和40年代にできたものがどういうふうな形で機能しているか,いろいろ見直すべきところもあるのかなというふうには理解しております。
 西郡委員も手を挙げていただいているでしょうか。よろしくお願いいたします。
【西郡委員】
 西郡です。確認だけさせてください。今回,調査書の様式を簡略化する方向で見直しということなんですけれども,枚数が任意というのは,これは引き続いて実施していくという理解でよろしいでしょうか。
【圓月主査】
 明快な御質問,ありがとうございました。これは事務局からお願いできるでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。今日の段階では,そこまで案としてはありませんで,まずは様式を検討してからというふうに考えておりました。
 以上でございます。
【西郡委員】
 ありがとうございました。
【圓月主査】
 ぜひ次回までに明確にし確定しておくようにいたします。多分,備考の欄にどの程度書くかという問題が高校と大学の間の,ちょっと理解の齟齬が生じていたところで,この整理になったんだと私も理解しておりますので,よろしくお願い申し上げます。
 ほか,井上委員,手を挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いいたします。
【井上委員】
 井上でございます。今,調査書に関してちょっと話がありましたので,関連して質問をさせていただきたいと思います。調査書の様式で一番最後のところに出欠日数のことがあるんですけれども,先月,文部科学省さんのほうから,災害とか,今回のコロナの状態なんかのときに学校が閉鎖されたりとか,普通の対面授業が行われなかったときに,リモート授業を行ったときはちゃんと記録しなさいという通知が出ました。それで,指導要録の様式2のところに別紙を追加して,そこで,学校としてリモート授業を行った日数,それに対して子供が出席した日数をちゃんと記録しろという通知が出ました。これは来年度,この4月から実施しなさいという通知でした。
 それは,実際にはリモート授業をやったところだけが記録すればいい話なんですけれども,その出席のことは別紙であったとしても記録しなきゃいけないというふうになりましたので,その調査書のところに,そういうリモートを授業を行ったときに,今の参考で示されている様式にはリモート授業の実施のところがないんですけれども,今後も,こういうリモート授業を実施したときに記録しなくてもいいのか,この調査書には反映しなくていいのかという確認です。
 それと,この時間いただいて,併せて意見を言わせていただきたいと思うんですけども。
【圓月主査】
 よろしくお願いします。
【井上委員】
 9ページのところにあります(4)のところの,調査書の電子化の在り方のところで,丸の3つ目,実装方式は政府全体のデジタル化の動きにも柔軟に対応できるように,複数の実装方法を検討することが適当であるとあって,実装方法のことだけ書かれているんですけども,実際に今の国の動きとかを見ていますと,例えば,マイナンバーを使って子供が転校したときにスムーズに移行できるようにしなさい,検討するというようなことがうたわれていたり,それから,健康診断票をマイナポータルから閲覧できるようにするというようなことがうたわれていたりして,要はマイナンバーとの関わりみたいな話がかなり出てきています。
 これは,法律自体を変えてしまわないといけないことなので,すぐには実施できないかと思うんですけど,今の国のデジタル化の動きを見てみますと,かなり早く動きそうなことがありまして,ですから,ここで実装方法だけではなくて,それからIDにも関わってくると思うんですけれども,マイナンバーがもしIDに取って代わるのであれば,また,それに変えなきゃいけないんですけど,ただ,マイナンバーを使うとなるとセキュリティーを考えなきゃいけないというのがありますので,そこら辺は,ここの文章,実装方法だけではなくて,国の制度が変わったり法制度が変わったときには,速やかにそれに対応するというような一文をぜひ入れていただけたらありがたいなというふうに思っております。
 私のほうは以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。御専門家の立場からの非常に貴重な御指摘だと思います。
 特に1番目のほうに関しましては,今後,リモート授業等がこれだけいろんな形で普及してきたとき,それに対応を考えているのか,基本的には現状維持という形で提案させていただくのか,大きな問題かと思いますので,次回までに確認させていただきたいと思います。
 事務局もそういうことでよろしいですね。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。まず,最初のリモート授業の状況,別紙で指導要録に添付をするという話につきましては,その情報を調査書にも求めるかどうか,あるいは求めるとして,どういう形で求めるかということについては,今後,議論が必要だというふうに思っておりますので,またこの点について整理をさせていただきたいと思います。
 2つ目の国の制度に関する表現ですけれども,こちらについても文書については検討したいと思います。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは,長塚委員,手を挙げてくださったでしょうか。よろしくお願い申し上げます。
【長塚委員】
 長塚です。調査書の電子化のことが入ってきましたので,1点だけ申し上げたいと思うんですが,1つ目の丸で速やかに調査書の完全電子化を目指すべきだと書いてございます。
 しかし,調査書が完全電子化されても,その下の丸にありますように,出願の方策については,一般選抜では9割,総合と推薦でも6割方,いわゆる電子化されているわけですね,出願は。ですから,この出願とともに調査書の電子化が必要だということだと思うんですが,それ以外にも,志願者本人が記載した資料なども活用しようということなのですから,そういう資料も併せて電子的に提出できるようにすることは,同時に必要だと思うんです。
 それから,推薦書,先ほど議論したんですけども,これは学校側が提出するというものですから,調査書とともに推薦書も電子的に提出できるようにする仕組みがないと,結局,困るのだろうと思います。ここは触れておかないと,このシステムが,実質上,いわゆる電子的に全部やれるものになっていかないということ。ここは留意点かなと思いましたので,意見をさせていただきました。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。こちらも重要な御指摘だというふうに思っております。
 本来は,やはり働き方改革等も視野に入れながら,できるだけ簡素なものにしていくということですが,確かに御指摘の点があるとかえって二度手間,三度手間になったりして難しいところが出てくるのかも分かりませんし,ぜひ検討させていただきます。
 事務局のほうは何か補足していただける点ございますが,今の点は。
【小川大学振興課専門官】
 こちらも文章表現については検討させていただきます。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございます。
 それでは,柴田委員,よろしくお願いいたします。
【柴田委員】
 その点に関しては前回も議論があったと思うんですけど,資料1の16ページに,赤い字の追加で技術的には可能であるというお答えをいただいたような記憶しておりますので,ぜひその辺りも目配りしたような最終案にしていただければと思っております。
 よろしくお願いいたします。以上です。
【圓月主査】
 承知いたしました。技術的には可能だということで,あとは何が実現のために必要かということを検討させていただきます。ありがとうございます。
 ほかには何か御意見ございますでしょうか。
 また,1,2のほうに多少戻っていただいても結構ですけれども,何かございませんでしょうか。本日は,一応,議論を尽くさせて,御意見は全ていただいたものというふうに考えさせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは,一応本日の審議というのはここまでにさせていただくということ,貴重な御意見をたくさん賜りましてありがとうございました。全て100%反映できるかどうかですけど,できるだけいただいた御意見を反映できるようなものを,少しでもよい文章にしていきたいと思いますので,また御意見等ありましたら,後ほどメール等でも,文言はこういう文言が適切なのではないかというものがありましたら御教示いただいたら大変助かります。よろしくお願い申し上げます。
 それでは,本日の会議ではこの審議のまとめ案に関しまして,様々な御意見をいただきました。今も申しましたとおり,本日いただいた御意見,あるいはその他の御教示なども含めまして,川嶋副主査,事務局と相談の上,文章を修正し,次回会議でお示しして,引き続き議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 以上ですけれども,特に委員の先生方から何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,予定の時間をまだ少し残しておりますけれども,本日の段階では御意見を全ていただいたと考えさせていただきます。本日も,時間は残しておりますけども,長時間にわたりまして,学期末のお忙しい時期,御協力いただきまして,ありがとうございました。
 本日の協力者会議はここで閉会とさせていただきたいと思います。
 最後に事務局のほうから連絡がございますので,もう少し時間をいただきたいと思います。事務局,よろしくお願いいたします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。次回の会議日程につきましては,御都合を確認の上,また御連絡させていただきます。先ほどの主査からもございましたけれども,本日,時間の関係等で言い足りなかったことがありましたら,事務局までメールなどで御連絡をいただければと思います。
 本日は御多忙のところ誠にありがとうございました。
 以上でございます。
【圓月主査】
 改めまして,ありがとうございました。次回もまたよろしくお願い申し上げます。

── 了 ──






 

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