大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議(第9回)議事録

1.日時

令和2年12月7日(月曜日)15時~17時40分

2.場所

文部科学省15F1会議室

3.議題

  1. 今後の審議における論点について(案)
  2. その他

4.出席者

委員

(有識者委員)圓月主査、川嶋委員、髙井委員、石崎委員、西郡委員、巳波委員、柴田委員、柴原委員、田中委員、長塚委員、牧田委員、明比委員、垂見委員

文部科学省

伯井高等教育局長、森田文部科学戦略官、角田文部科学戦略官、西田大学振興課長、前田大学入試室長 他

5.議事録

【圓月主査】
 それでは,ちょうど定刻になりましたので,ただいまより第9回大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議を開催いたします。
 本日の運営形態及び出席者等について,事務局から報告をお願いします。よろしくお願いします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。本日の会議は新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえまして,引き続き,ウェブ会議の形で開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては,御多忙の中,遠隔での御出席を賜りまして,誠にありがとうございます。
 本日も,傍聴者,報道関係者の入室は認めておりませんが,YouTubeでライブ配信をしております。また,議事録は後日ホームページに掲載することとしたいと思います。
 以上のような方針でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 本日は,井上委員,髙田委員,星野委員が欠席でございます。また巳波委員が途中退席でございます。
 議事に入る前に連絡事項がございます。前回までと同様ですが,聞き取りやすいよう,はっきり御発言をお願いいたします。また,発言の都度お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
 資料を参照する際は,該当する箇所など,お示しいただくようお願いいたします。
 また,発言を希望される際の挙手ボタン,指名されたときはミュートを解除してから発言をしていただくようお願いいたします。
 なお,本日は事務局に初等中等教育局教育課程課も参加しております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは,議事に入る前に,私から報告事項がございます。
 11月16日に開催された大学入試の在り方に関する検討会議において,本協力者会議との連携を図る観点から,本協力者会議の現在の審議状況の概要について,私から報告をさせていただきました。在り方検討会議の委員からは,活発な,また,御見識あふれる御意見を多数いただきました。
 大きく分けて,一般的な点が2点,そして具体的な点に関しては2点の御質問,御意見が重要なものだったと思いますので,簡単に紹介をさせていただきます。
 まず,一般的なご意見から報告します。
 1つは,この協力者会議においては,個性あふれる若者を育成していくという観点から,入試の多様性というものをぜひ尊重した形で議論を進めていただきたいという御要望がありました。私たちもその点については配慮しているので,今後もその点には気をつけながら議論を進めていきたいとお答えいたしました。
 また,今日の後半のほうにもございますけれども,公平と平等の問題については,社会的にも非常に重要な問題でもあり,社会の先進的な模範になるような形で議論をさらに深めていただき,できれば具体的な方策等も併せて示していただきたいという御要望をいただきました。
 具体的な点に関しましても,2つございます。
 1つは,観点別評価についての議論はどうなっているのかという御質問でした。この辺りに関しましては,高校の現場の現状の問題もございますので,高校と大学の間で意見調整を重ねているところであるとお答えさせていただきました。
 また,もう一つは,調査書の電子化について具体的なスケジュールは考えられているのか,具体的なものがあれば知らせてほしいという御質問がございました。この点に関しましては,委員の先生方も御承知いただいているとおり,今のところ具体的なスケジュールを確認するには至っておりません。本日も後半のほうでまた先生方の御意見をいただきたいと思っておりますけれども,その辺りの事情について簡単に説明をさせていただき,取りあえずは御了解をいただいたというふうに認識しております。
 私が記憶しているのは,以上,一般的な点2点と具体的な点2点ですけれども,在り方検討会議に出ておられる先生方もおられますので,何か足りないところ,あるいは間違っているところがございましたら補足していただけますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは,引き続き,在り方検討会議とも連携を図っていきながら,実りのある議論を進めていきたいと思います。行き届かないところもあるかと思いますけれども,いつもと同様に,進行に御協力いただきたいと思っております。
 それでは,議事に入らせていただきます。
 本日は,前回に引き続き,今後の審議における論点を整理したいと思っております。
 審議に入る前に資料の説明をお願いいたします。前回の会議で宿題となっていた事項に対する回答等も併せまして,事務局のほうから説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局から資料の説明をさせていただきます。
 まず,資料1でございますが,こちらは前回提示しました,これまでの意見の整理(案)について,前回の会議において各委員から出された意見を赤字で追記してございます。適宜御確認いただければと思います。
 資料2,今後の審議における論点案についても,こちらも前回の会議において各委員から出された意見を踏まえまして,赤字で見え消し修正をしているものでございます。
 具体的には1ページの中ほどでございますけれども,多面的な評価の在り方について,入試の多様性の確保,一般選抜以外の選抜区分の募集割合の確保などに関する御意見や,一方で,一般選抜の実施要項上の定義を踏まえれば,総合型,学校推薦型のほうがより信用性があるとまで言えないのではないかといった意見を踏まえまして修正したものでございます。
 1ページ目,下のほうですが,総合的に評価することの議論の必要性に関する御意見をいただきまして,それを踏まえて追記をしたものでございます。
 続いて2ページ目,主体性という言葉の解釈について,考え方を明確にするという趣旨で修正をしたものでございます。
 続きまして3ページ目,大学側がこれまで以上に志願者に対して何を求め,どのように評価をするかということについて,あらかじめ明確にしなければいけないのではないかといった御意見を踏まえまして,追記をしたものでございます。学習成績の状況欄につきましては,現行どおりでよいのではないかという意見がございまして,整理をしたものでございます。
 観点別学習状況の評価につきましては,直ちに調査書に記載することに慎重な意見が多いことを踏まえまして,修正をしております。
 5ページ目,志願者が経済的な条件等に左右されず,等しく多面的な評価の機会を得ることができるような評価の手法につきましては,志願者の背景等を確認することはセンシティブで難しい面があり,まずは経済的条件,地理的条件に焦点を当てて検討するということを追記しております。
 続きまして,参考資料の1と2について説明をさせていただきます。
 参考資料1につきましては,前回,川嶋委員から御指摘がございましたが,総合型選抜,学校推薦型選抜につきまして,選抜区分が設定された時期,あるいは定員や日程等に関しまして,過去の大学入学者選抜実施要項においてどのように規定されてきたか整理したものでございます。
 また,多面的・総合的に評価をするということを議論するに当たりまして,参考となるように,選抜方法・入試方法等につきまして,同じく過去の大学入学者選抜実施要項においてどのように規定されてきたか整理をしたものでございます。
 基本方針,選抜方法・入試方法,募集人員等に関する記載で,新たにその年度で記載された事項につきましては下線を引いております。特に,選抜方法,募集人員の欄は青字にしております。
 具体的な内容について,時系列で簡単に御説明をいたします。
 まず,昭和30年度,1ページ目,上から3つ目の欄でございますけれども,筆答試験,身体試験,調査書の三者を資料とし,合理的に総合して判定と規定されております。この「合理的に総合して判定」という表現は,一般選抜において,平成27年度に「多面的・総合的に評価判定」という記載に変わるまで一貫して使われてきた表現でございます。
続きまして,その下の欄,昭和42年度でございますが,こちらはここで「推薦入試」という定義が明記をされております。その趣旨は,一部の大学への志願者の集中,1回限りの学力検査による選抜の合理性についての疑問,学力検査偏重による過度の受験準備教育の弊害などについて指摘されていたところ,問題点の解決のための1つの方策として明確化されたところであるというものでございます。
 続きまして,昭和46年度でございますが,こちらには,ここでは,入学者選抜には,先ほど申し上げた筆答試験,身体検査,調査書の三者だけでなく,その他大学が適当と認める資料も活用できることを明記したこと。あるいは,その推薦入試について,調査書を主な判定資料として使うということを明確にしたものでございます。
 少し飛びまして,昭和58年度でございます。こちらは小論文,面接に関しまして,従前は単に「小論文,面接を課すことができる」という表現で規定されていたものを実施する目的を明確にしたものでございます。また,最後のほうの注意事項の欄ではございますが,入学者選抜全般についてできる限り多角的に選抜するために,学力選抜のみならず,その他の資料を活用するよう,配慮するよう求めているものでございます。
 続きまして,1つ飛んで昭和64年度,左側の基本方針の欄でございますが,ここで初めて「能力・適性等を多面的に判定する」という文言が記載されております。こちらは昭和60年の臨時教育審議会「教育改革に関する第1次答申」におきまして,入学者選抜方法の改善を図るために,人間を多面的に評価し,選抜の方法や基準の多様化,多元化を図らなければならないとの提言があったこと等を踏まえましての表現と考えられます。
 続きまして,平成7年度でございますが,こちらは推薦入試制度の改善ということで,募集人員の割合及び実施時期を新たに規定しております。平成7年度に先立った平成3年の中教審答申におきまして,定員の大部分を推薦入試において入学させる大学や短大が出現している,実施時期も早期化をしているという現状に鑑みまして,募集人員の割合と実施時期の改善等が提言されておりました。
 それを踏まえまして,附属高校からの推薦入学を除いて,大学は3割,短大は5割を超えないことを目安としたものでございます。実施時期につきましては, 11月1日以降に入学願書を受け付けるということを新たに規定しております。
 続きまして,その下の欄,平成12年度でございますが,先ほど申し上げた推薦入試に関する募集人員の割合と実施時期につきましては,一方で規制改革会議等からの指摘もありまして,大学は附属高校からの推薦入学も含めて5割,短大は各大学が適切に定めると緩和したものでございます。基本的に,この平成12年度以降,推薦入試に関する募集人員の割合,実施時期については変わっておりません。
 続いて,平成13年度でございますが,既にAO入試,アドミッション・オフィス入試は一部の大学で実施されていましたけれども,平成12年の大学審議会答申「大学入試の改善について」を受けまして,選抜要項にAO入試に相当する記載を追記したものでございます。
 平成14年度,こちらで正式に選抜要項にアドミッション・オフィス入試という文言が明記されております。詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって,受験生の能力・適性や学習に対する意欲,目的意識等を総合的に判定する方法と規定しております。
 左側の欄の通知文の内容ですけれども,こちらに留意事項として,多面的・総合的に評価制というふうにも記載されております。
 AO入試の実施時期については,この時点では特段定めてはおりません。
 続いて,平成16年度でございます。こちらは実施要項の本文のほうですけれども,選抜方法の欄に,多面的・総合的に評価という表記が,AO入試の説明の中で出ているものでございます。
 続いてその下の欄,平成23年度でございますけれども,こちらは平成20年の中教審答申「学資課程教育の構築に向けて」等を受けまして,AO入試の実施時期のルール化を図り,一番右側の欄ですけれども,願書の受付を8月1日以降と規定したものでございます。
 続きまして,1つ飛んで平成27年度でございます。こちらは,教育再生実行会議の第4次提言,中教審高大接続部会等における提言を踏まえまして,一般入試も含めた入学者選抜全般について,能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価判定するというように記載したものでございます。
 続きまして,平成28年度ですが,こちらも,中教審高大接続答申や,高大接続改革の実行プランを踏まえまして,学力の重要な3要素,集団討論,プレゼンテーション,活動報告書,大学入学希望理由書,学習計画書の評価方法の追記を行っているものでございます。
 平成29年度,左側の欄でございますけれども,平成28年度,学力の3要素の3番目,前年度の平成28年度は,「主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」につきまして,括弧書きで,「主体性・多様性・協働性」と表記をしていたものを,平成29年度においては,その表記を削除しているものでございます。
 最後,令和3年度でございますが,こちらは本年6月に通知したものでございます。
 平成29年の,いわゆる予告の通知を踏まえまして,多面的・総合的に選抜するために活用する資料等について記載をしたものでございます。総合型選抜,学校推薦型選抜と名称の変更,総合型選抜の願書受付期間を9月15日と変更しております。
 参考資料1についての説明は以上でございます。
 続きまして,参考資料の2でございます。
 こちらは先ほど圓月主査から報告もございましたが,大学入試の在り方検討会議におきまして,全大学に対して実施をした大学入学者選抜の実態調査の結果を公表しております。その結果のうち,多面的・総合的評価に係る調査項目を抜粋したものでございます。
 こちらの調査につきましては,国公私立大学,全ての大学に対して,選抜区分ごとに調査をしているものでございます。
 具体的な内容について,簡単に説明をさせていただきます。4ページの入試方法につきまして御覧ください。
 こちらの入試方法,一般,推薦,AOという3つの区分ですけれども,これを国公私別に選抜区分で見ますと,おおむね,国公私で大きな差はないという状況なんですけれども,次の5ページ目を御覧ください。
 こちらは,入学者数を延べ人数で比べてみると,国公私でそれぞれ傾向が大分変わってくるというデータが読み取れるかと思います。
 続いて6ページ目,推薦入試の種類でございますが,推薦入試につきまして,さらにその内訳を選抜区分別で見たものがこちらのデータでございます。国立・公立につきましては,基本的には公募型の推薦であると。一方で,私立につきましては公募型の推薦の数は約4割弱というデータでございます。
 7ページ目,今のデータにつきまして,さらに入学者別で見たものが,この7ページ目でございます。私立は特に指定校推薦の入学者数が一番多くなっているというデータでございます。
 続いて8ページ目でございます。こちらは前回,長塚委員から御指摘があったかと思いますけれども,大学において電子出願がどの程度進んでいるとされているかというデータでございます。一部に紙媒体が必要であっても,出願の一部で電子的な手法が活用されているということであれば電子出願可能というふうな条件はあるんですけれども,基本的にはこういった形で,国公私各大学の努力によって電子出願が進んでいるという状況でございます。
 続きまして,10ページ目でございますけれども,各入試方法において,今後,募集人員を大学が増やすか増やさないか,大学がどう検討しているかというところのデータがこちらでございます。基本的には,変えない予定という大学が多いという結果でございます。
 続きまして,個別選抜の実態で,学力検査以外の資料をどのように活用しているかというデータが12ページ以下にございます。
 例えば13ページ目,学力検査以外の資料をどのように使っているか,活用されているかというところで,一般入試,AO入試,推薦入試,それぞれ入試区分ごとに整理をしております。
 一般入試の私立大学ですと,その学力検査以外のものについて考慮をしていないというのが4割程度あるという結果でございます。
 14ページ目,具体的にどういう資料を利用しているかというところで,例えば,推薦書につきましては,この14ページ目の一番上ですけれども,推薦入試においてはほぼ使われていると。逆に,大学入学希望理由書,学習計画書等につきましては,推薦入試も使われておりますが,よりAO入試のほうでたくさん使われているというデータでございます。
 あと,例えば16ページでございますけれども,レポート小論文については,こちら,御覧のとおりでございます。
 また,17ページ,面接につきましては,一番上でございますけれども,AO入試,推薦入試,共にかなりの割合で面接を行っているというデータでございます。
 18ページ目,こちらは高校等における学習成果ということで,高校等の調査書,あるいは評定平均値,高校等の総合的な学習の時間や,専門教科等における生徒の探究的な学習成果等に関する資料についてどのように活用しているか,どの程度活用しているかという資料でございます。調査書につきましては,基本的にはどの入試区分でも活用されているというデータになっております。
 続きまして,ちょっと飛びまして,22ページ目からですけれども,入学者の多様性を確保するための取組の実態ということで,各大学からその実態をお聞きしたものでございます。例えば23ページ目でございますけれども,経済的に困難な事情を抱えている者等への配慮,あるいはその地域枠等を設定した選抜ということにつきまして,各大学別で,ここに記載されているような取組が一部でなされているということでございます。
 25ページ目,例えばこちらは,検定料・入学金・授業料等の減免について,各大学での取組について記載がございます。
 また,続いて28ページ目以降でございますけれども,自由記述欄としまして,経済的な状況や居住地域,障害の有無にかかわらず安心して試験を受けられる配慮についてということで,各大学から御意見をいただいております。
 例えば総論の1つ目,高大接続改革の議論の中で,大学入試における公平性の重要性が改めて見直されたと。格差を拡大する方向での変更は社会に受け入れられない。全てを解消することは不可能だとしても,公平性の追求は続けるべきといった意見もございます。
 一方で,マル6ですけれども,これらの問題は配慮されるべきだが,大学側に過度の配慮を要請するのは控えてほしい。あらゆる要請に対応するためには,人的・時間的リソースが十分必要であり,大学経営に大きく影響するといった意見もございました。
 最後,33ページからは,その他大学入試の望ましい在り方についてということで,こちらも自由記述で御意見をいただいております。特に,こちらの多面的評価の協力者会議の関係としまして,36ページ目でございますけれども,多面的評価の在り方ということについて,自由記述で御意見をいただいております。
 例えば3番目,受験生にあらゆる能力を求めるのではなく,おのおのの特徴を生かして,持てる可能性を入学後に最大限発揮できるような多様な選抜方法を供給することが望ましいといった意見もございました。
 また,5番目,多様な入試により多様な学生を確保することが重要であるが,それぞれの目的を明らかにして,かつ実験の方法自体を複雑化させないことが必要といった意見もございました。
 7番目,多種多様な入学者選抜を実施し,多様な学生を獲得することが主たる目的なのであれば,全ての入学者選抜において学力の3要素を総合的に測る必要はないといった御意見がございました。
 また,12番目,主体性評価はどれだけ客観化を図っても主観を排除することが困難であり,公平性が担保されない。本人の活動履歴は,多分に経済的・地理的条件に左右され,格差を助長する可能性があるため,入学試験の合否に採用することは望ましくないといった意見もございました。
 以上,参考資料2について説明は以上でございます。
 私からの説明は以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明につきまして,何か御質問等はございますでしょうか。
 前回の会議におきましては,川嶋委員から,総合型選抜,学校推薦型の経緯についての御質問がございました。また,長塚委員,柴田委員から電子出願の状況および電子調査書の導入状況についての御質問がございました。
 何か追加での御質問や,補足していただける点がございましたらいかがでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 圓月先生,事務局ですが,1点,説明に漏れがございまして,追加させていただいてもよろしいでしょうか。
【圓月主査】
 はい,どうぞ。
【小川大学振興課専門官】
 申し訳ございません。
 前回の会議で,柴田委員から,御意見,御指摘があったんですけれども,令和2年度の大学入学者選抜実施要項から,大学と高等学校が個別に同意をした場合には,電磁的にその記録をした調査書を求めることができるというふうに規定されておりまして,柴田委員からその実態について教えてほしいといった御指摘がございました。
 その実態について事務局で調査を実施しましたところ,全国の1,065校の大学・短大に対して調査を行いまして,95.1%,1,013校から回答がございました。
 その結果ですけれども,2つの私立大学におきましてなされていると。その2つの私立大学,両大学とも,併設校を対象とした学校推薦型選抜において,電磁的に記録をした調査書の提出を求めているという結果でございましたので,御報告をさせていただきます。
 以上でございます。
【圓月主査】
 御丁寧な補足説明,ありがとうございました。
 それでは,改めまして,何か御質問等ございましたら,先ほどお名前を出させていただいた3名の委員以外の方でも結構ですので,よろしくお願い申し上げます。
 牧田委員,手を挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いいたします。
【牧田委員】
 よろしくお願いします。
 お示しいただいた参考資料の1ですけれども,非常にひねくれた言い方かもしれませんけれども,こうやって時間をかけてどんどん変わってきているということは,裏を返せばそれだけ成果が出ていないというふうに見ることもできるのかなと思うんですけど,私は門外漢なので,これはうまくいってないからこう変わってきているのか,それとも,うまくいっているけれども,さらにというようなことでどんどん変わってきているのか,その辺の事情というのはどうでしょうか。教えていただければと思います。
【圓月主査】
 ありがとうございます。率直な御質問だというふうに理解しております。
 どなたから答えるのがよろしいでしょうか。事務局のほうから答えていただけるでしょうか。難しいところでしょうか。
 必ずしも,成果が出ていないから変わったというよりも,やはり入試制度に対する考え方も変わり,指導要領などとの関係の中でも調整をし続けているものと理解しておりますけど,大きな節目は幾つかあるかと思っております。
 いかがでしょうか。何か事務局のほうからございますでしょうか。
 柴田先生。手を挙げていただいていることに気が付くのが遅くなりました。失礼しました。よろしくお願いします。
【柴田委員】
 大変鋭い御質問なんですけれども,1つは大学入試の性格が,受験生のポピュレーションが随分変わったというのは大きいんじゃないかと思います。多分,牧田委員の時代もそうだったんだと思いますけど,同学年の1割か2割ぐらいの進学率,あるいは高校生自体が,半分,7割ぐらいしか高校に行ってないので,同年代の方の一部しか大学受験していなかった時代は,それなりの意思があった方々が受験しておられた時代が,今は高校がもう98%全入時代ですし,その中の半分以上の方が,四年制大学,あるいは,専門学校まで入れますと75%の方が高等教育を受けるという状況になっていますので,そういう状況で,学力だけでは,なかなか選抜が難しい状況と思っておりますし,それから,御承知だと思いますけれども,やっぱり国公立の状況と私立大学の状況というのも随分違っていると思っております。ある意味では,社会全体が豊かになって,多くの方が高等教育を目指しておられる状況にどう対応するかというので,様々な選抜方法というのが取り入れられてきた。
 それから,社会の状況も変わってきて,単なる受験学力だけでは,大学での就学,あるいは大学卒業後のグローバルな社会に通用しなくなっているという,そういう社会状況も反映しているのではないかと感じております。
 お答えになっているかどうか分かりませんが,ぜひほかの方も御意見出していただければと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 非常に適切な御意見をいただいてお礼申し上げます。それも非常に重要な要因だと思っております。
 大学の役割も変わり,いわゆるユニバーサル化したとき大きな変化があったと思います――長塚委員が手を挙げてくださったでしょうか。よろしくお願いいたします。
【長塚委員】
 長塚です。私,今の件ではないんですが,先ほど御説明いただいた参考資料の2の14ページに関して確認をしたいなと思っております。
 ここに推薦書等を利用する入試区分別の割合がこの一番上のグラフに載っているんですが,これは現状の入試区分ということで考えればそうなのかなとは思うんですが,例えば,推薦入試でも推薦書等とありますが,利用しないという割合が一定数あるわけです。令和3年度から,学校推薦型選抜というふうになったときに,学校長の推薦書は必ず必要とするというふうに現場では認識しているわけです。
 一方で,AO,総合型選抜の中でも推薦書を求めたり,多少,入試区分別の違いが不明確な大学さんが一部あると。学校推薦型選抜であれば,これは必ず校長の推薦書が必要ではないかというのが現場感覚であるんですね。その辺を今後明確にしないと,このままのデータで,これで今後もいいということでは,ちょっとないのかなと。ちなみに私立大学の系列校からの内部推薦の場合には,恐らく推薦書など形式ばったものは要らないのかもしれませんが,そういうことがありましたので,ちょっと意見をいたしました。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。そちらも非常に貴重な御意見でもあり,大学の中でもさらに明確にしていく必要があるかというふうに思っております。
 私の本務校でも必ずしも全ての方が明晰に理解しているわけではないので,各大学でも理解を徹底していきたいと思っております。
 ほかには何か御意見ございますでしょうか。先ほどの牧田委員の御意見に対してでも結構ですし,新たな問題でも結構です。よろしいでしょうか。
 それでは,この問題につきましては,今後の審議にもいろいろと関連する内容かと理解しております。また気がついた点,あるいは今後の問題で関連したときには先ほどの問題にも戻っていただいてもいいということで,ここのところから審議に移りたいと思いますけれども,そういうことでよろしいでしょうか。
 それでは,審議のほうに入りたいと思います。基本的には,資料1,これまでの意見の整理(案)を参照しながら,資料2,今後の審議における論点についてをベースに議論をお願いしたいと思っております。
 今回も項目ごとに順番に審議をしていきたいと思います。
 まず1のところ,大学入学者選抜における多面的な評価について,こちらにつきまして,審議をお願いしたいというふうに思っております。御意見等ございましたら,どなたからでも結構ですので,よろしくお願い申し上げます。
 牧田委員,よろしくお願いいたします。
【牧田委員】
 ありがとうございます。先ほどの続きみたいな話になっていくと思うんですけれども,まさにその時代の変化とともに受験生の様態が変わってきて,それに合わせて入試制度も変えていくということで,それは私も十分理解できるところでありますけれども,さっき柴田先生も最後にちらっとおっしゃいましたけれども,大学を出てから,その子供たちがどう社会で活躍をしていくかというのは,これはまさに大学教育のエッセンスというか肝みたいなところだろうと思っています。
 その要件を満たすために,実は,ある意味で大学教育をやりやすくするために大学入試があるという位置づけだとすると,これは今,我々は入試だけのことを議論していますけれども,この中に書かれているアドミッション・ポリシーはじめ3つのポリシーを,当然,その大学側は明示をしていく義務もあるだろうと思いますが,もっと突っ込んでいくと,大学教育に求めるようなものというのが,関連してくると思うんです。もしかすると今後の審議について,その辺まで細かく踏み込むことができないとは思いますけれども,今,我々高校の立場からすると,大学入試を変えて高校教育を変えようという話になっているのであれば,大学入試を変えることによって大学教育を変えていただくような論点というのが必要になってくるのではないかなというふうに思いまして,ちょっと意見をさせていただきます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。こちらも非常に重要な御意見だと思っております。
 委員の先生方から何か御意見等はございますでしょうか。
 ちなみに,高大接続改善に取り組み始めたとき,牧田委員が御指摘のとおり,入試を変えることによって,高校の教育も変えるし,大学の教育も変わっていかなければならないということが議論されました。ですから,そこもいろいろな御意見があるんだと思っています。入試を変えることによって高校・大学の教育を変えるということができるのかどうか,また,その手法が正しいのかどうか。むしろ,大学に求められているものが変わっているから,入試等も変えていかなければならない。その辺りにつきましては,先ほど柴田先生が言ってくださったとおり,進学率等が実際に変わってきていて,国際社会の中でも日本の大学に求められているものが変わっているので,それについての1つの改革の要素にすぎないのだという御意見等,いろいろあったかと思っております。
 どなたか何か御意見ございましたら,補足していただけたらうれしく思います。
 川嶋先生,お名前を出したら失礼なのですが,御専門がやっぱり一番近いかなと思っているんで,少し補足していただいて,間違っているところがあったら訂正していただけたらうれしく思いますけど,いかがでしょう。
【川嶋委員】
 川嶋です。最初の牧田委員の御質問に関してですが,柴田委員からも御説明がありましたけれども,今日は事務局の小川さんからこの変遷の背後にある答申等のことも少し説明に加えていただいていたと思います。そのときそのときに中教審とか,その前の大学審議会等で,大学教育の在り方,大学院教育の在り方,そして高校と大学の在り方ということが議論されてきて,この入試についても,つまり高大接続についても,今の御指摘の大学教育の在り方との関係や,企業とか社会が求める人材とか高校の進学状況,いろんな観点から,その時代時代でどこが問題なのかということが指摘されていて,その中で,御指摘のように何年間に一度ぐらいずつ選抜実施要項の大きな見直しが行われてきているということになっているかと思います。
 私は全部そこを把握し切れてないので,この資料,参考資料1に,なぜこういう改正が行われたのかという背景,答申や審議まとめ等のポイントをもう少し付け加えていただけると,今,牧田委員が疑問に思われたことも多少分かるのではないかということを今事務局にお願いしております。今回は無理でしたけど,次回かその次ぐらいに出していただけるのではないかとに思います。
 それから,長塚委員の推薦入試で推薦書を使ってないというのがおかしいというご発言ですが,私も同じような疑問を感じております。恐らく,先ほど御説明あったように一部の大学では出すことを要件としていて,出てきた推薦書を評価には使ってないという,そういうことでこういう結果になったんだろうというふうには推察しますけれども,詳しいところは,ほかの調査項目についても同じかと思いますが,真実は,個別の大学に聞いてみないとよく分からないところがあると思うんです。あり方会議のほうでも御報告させていただいて,どこまでその個別の大学に迫るのかというのはなかなか機微に当たる部分なので難しいかなというふうには思っております。あまり適切なお答えになってないかとは思いますが,御指名を受けましたので回答いたしました。ありがとうございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。突然指名してしまいまして,いつでもお力を借りることになって恐縮です。なかなか難しい問題があるということをあらためて認識しました。
 ちなみに先ほどの在り方検討会議のほうでは,もう一つ,スポーツのことなども忘れないようにしてほしいという御意見も最後にございました。推薦入試でも,スポーツ推薦などの場合,少し特殊な形態でやっておられることもあるのかと,個人的には思っております。
 長塚委員,遅くなりました。よろしくお願いいたします。
【長塚委員】
 ありがとうございます。入試改革が高大接続という大きな視点で行われようとしているということについて,少し意見したいんですが,高大接続となれば高校側の教育が変わろうとするということを受けて入試も変えようということだったと思うんです。初中等教育の,中等教育の前期,小学校・中学校教育までは,教育観の変化,変遷について世界的な変遷と合わせるようにして文科省が指導要領を変えてきているわけですが,高校の学習指導要領というんでしょうか,これまではそれをあまりいじってなかった。
 ところが,今回は,この世界の教育観が資質・能力重視に変わったことによって,高校も変えなきゃいけないとなり,大学入試も社会が求める資質・能力観にちょうど符合するように,学力3要素という形で初中等教育をまとめていった。必ずしも大学教育はそうではないのかもしれませんが,少なくとも入試までは,高校教育まではそれで進められるわけだから,そこを評価しないわけにはいかない。それをもって評価する以外ないだろうというような流れだったように私は個人的には理解しているわけです。
 先ほどの参考資料1で,入試制度の変化をまとめていただいたわけですが,随分変化があったことは,高校と大学との間の進学率の変化をはじめ,教育観の変化などにも要因があったかとは思うんですが,今回,とりわけそれが起きているんだろうと思うわけです。ですから,この参考資料の最後のところでは,令和3年度の変化は非常に大きくて,入試の区分が新たに名称が変わって,それぞれが変わってきたという感じなんですが,実は,一般選抜の内容にほとんど近いものになっている。この参考資料1の最後のページ,令和3年度のところです。これは前回,基礎資料の120ページのところ,参考資料7の基礎資料の120ページのところで,私も,これは表記の修正が必要じゃないかと指摘したところだったんですが,3区分の入試区分の一般選抜でもろもろの評価方法,入試における選抜の方法が記載されていて,それに合わせて,学力などもきちっと問うことにしようと。学力検査をしないということを削除したというのが,今回の総合型,あるいは推薦のほうの在り方だったわけですから,ある意味,一般選抜と変わらないようになってきているのではないか。先ほど推薦選抜の推薦書のことに触れましたけども,強いて言えば,学校推薦型で推薦書があるというぐらいの違いになってきているというのが,ある意味では大きな今回の変化ではないか。
 そういう中で,この学力3要素にかかる多様な資質・能力を測るということが入試制度を多様化するということと,今,少し混乱しているというんでしょうか,今回の論点案の1つ目の丸の最後に,全ての選抜区分で同程度の多面的評価を行うことではないことを明確にすることでよいかという,ちょっと回りくどい言い方ですが,つまり,受験生にとっては,学力3要素がどの生徒にとっても,実は学力の一部だけでよいとは言えない要素になっているのに対して,入試では,そのうちの一部を評価するというか,同程度でなくてもいいのではないかという,そこのせめぎ合いになってきているのかなと感じているわけです。
 全ての生徒にとって,高校までは学力の3要素は必須項目なっていますので,これは単純に,従来のこれまでの一般入試における筆記試験だけで測っていいのかというところに,やはり,問題点が行き着いてしまうわけですよね。そこを変えようとしていたのが今回の入試制度の改革であるし,あるいは,新学習指導要領の高校の教育の中身なんですよね。
 ですから,安直に入試制度を,多面的評価を,3つの学力要素に対して一部だけでいいという方向にしてしまうのはどうかなと。くどいようですが,そんなふうに感じているところでございます。長くなりました。失礼しました。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。論点についての貴重な御意見と承っております。
 それでは,西郡委員が手を挙げてくださいましたので,よろしくお願いいたします。
【西郡委員】
 今,長塚委員の御意見があったところと関係するんですけれども,論点の2つ目の丸に新たに加わったところがあります。ここって,実は非常に重要なところのように思いまして,例えば,これを読んで解釈すると,一般選抜では筆記試験に比重を置いた選抜となるけれども,そのほかの募集区分でしっかりと多面的な評価を行って,大学全体として多面的な評価を行っていく工夫というふうにやるのであれば,高大接続答申が出る前の状況,一般選抜以外の,他の推薦とかAOで多様化を図ってきた中で多面的評価を進めていくというところと同じような形になると思いますので,これであれば全ての選抜区分において多面的に評価を実施してもよいというふうな形で解釈できますので,ここについては,しっかりとこの委員会の中でどうすべきかというところは,長塚委員の話もありましたけれども,しっかりと確認しておいたほうがいいのかなと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。非常に重要な御指摘で,特に今回新たに加えたところでもありますので,その適切さ,あるいはその波及効果というものについても,何かお気づきの点があれば積極的に御意見を寄せていただければと思います。
 それでは,石崎委員,手を挙げていただいておりましたので,よろしくお願いいたします。
【石崎委員】
 石崎です。同じく1ページの一番下に今回加わった内容で,学力の3要素の多面的な評価だけでなく,志願者本人を総合的に評価するという表記が加わったんですけども,この意味というのは,志願者本人の,いわゆる能力・意欲・適性等を総合的に評価するという意味なのか,何かちょっと,文だけ読むと人を評価するみたいな,そんなふうにも読めちゃうので,誤解のないような内容の説明なり表記なりをしていただければと思うんですが。
【圓月主査】
 こちらも大事な御指摘ありがとうございました。確かにこの文書が適切かどうかというふうな何かについては,ちょっと御意見が分かれるかもしれませんね。
 事務局のほうから何かコメントとかございますでしょうか。
 志願者本人をというと,人物評価のような形を,多くの方は連想なさるんでしょうかね。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。こちら,前回の議論で論点を提起されたかと思うんですけれども,学力の3要素を多面的に評価するということの観点だけではなくて,志願者本人を,例えば様々な資料を使って総合的に評価をするといったことについてもこの会議で議論しておく必要があるのではないかといったことの御意見を踏まえまして追記したものでございますが,表現の適正性ということについては検討しまして,また改めて文章を整えたいと思います。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。また御意見があれば寄せていただければ,考えてみたいと思います。前回議論がありましたのは,参考資料1のところにありますけれども,入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する入試方法,この場合,学力を総合的あるいは――私も少し言葉を足しましたが――統合的な形でやるような入試を考えているのか,単に学力にとどまらない活動や目的意識,そういうものまで踏み込んでやるかどうかということだったと思います。多分,一番広義の意味でということで,今回,この文章を足していただいたんだと思っていますけれども,何か御意見ございますでしょうか。
 川嶋委員,挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いいたします。
【川嶋委員】
 多面的・総合的という言葉もあり,多元的な入試という言葉もこれまで使われてきていて,それぞれが,恐らく先生方の御理解も異なっていると思うし,実際,例えば多元的な入試という場合は,いろんな選抜方法,選抜区分がありますというときに使うと思います。
 今回,多面的と総合的という言葉が出てきましたが,いろいろ考え方はあると思いますが,私の理解では,多元的入試と同じように,多面的というのは,入試の際の評価の観点が複数あるけれども,それぞれの入試区分で異なる観点で,あるいは異なる観点を重視して,入試を行うという意味で多面的な入試という考え方をしているのではと思います。ここに書かれている今問題になっている文章は,総合的に志願者を評価するということですので,1人の受験者に対して,まさにいわゆる狭義の学力でも,それから主体性についても,リーダーシップについても,全部評価しましょうと。そういう意味での,受験生本人を総合的に評価するという,そういう意味で使われているんだろうと思います。
 さらに言うと,学生集団を多様化したいという場合,入試の区分を複数にして,ある入試では学力だけで見る,ある入試ではその主体性というかその活動となる活動を中心にして見る,別の入試区分ではまた別の観点から見て,結果として学生集団が多様な集団になるという考え方もあるかもしれませんし,ここに書いてあるように,複数の観点から1人の受験生を評価して,最終的に同じ属性を有した学生ばかりにならないように学生集団を構成するというやり方もあって,多分,多面的・総合的といったとき,私の理解だと,今回の高大接続改革で言われていることは,どの入試区分でも,一人の受験生について,1つの観点だけではなくて複数の観点から評価しなさいということだと思います。その際,特に,先ほども御指摘ありましたけれども,推薦入試とかAO入試では,学力を見ずに推薦書だけでとか,学力を過度に評価することなくという選抜だったのを,そうではなくて,学力もこの2つの入試の部分では見てください。他方,一般入試選抜は,選抜実施要綱ではいろんな資料を使って評価しなさいと,まさに多面的・総合的評価のことと定義されているのですが,現実には学力検査だけになっているので,学力プラスアルファのところも加味して総合的に評価することになったわけです。入試の全ての区分で,1つの観点だけではなくて複数の観点で評価しなさいということです。そういうふうに変えていくのだというのが、私がここで改めていうまでもなく、今回の高大接続改革の趣旨だったんだろうと私は理解しています。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。重要な御意見かと思います。
 柴原委員が手を挙げてくださったんで,よろしくお願いいたします。
【柴原委員】
 柴原でございます。私も今の川嶋委員と全く同じ理解をしています。そう考えたときに,資料2の1ページにあります,今回,赤で付け加わった部分がございます。ここの表現をどう理解するかが物すごく大事だと思っているんです。
 高校現場は,高大接続で入試が変わるということを信じて,英検とか英語の資格についても変わるだろうし,それから,記述式の問題も出る,それに対応してきましたし,eポートフォリオについても,それが実際に行われるという前提で様々な対応してきました。
 でも,結果的に3つとももう実現されないことになっているわけですけども,そういう中で,新しく1ページの追記した部分を,例えば大学側,今までと同じような形でいいんだと理解をされてしまうと,全く何も変わらないと思うんです。そういう意味で,今川嶋先生がおっしゃったような形で,みんなが理解できるような表現にぜひしてほしいと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。ぜひまた今後さらに成熟した表現で,また,共通理解が形成しやすい文章というのを考えていきたいと思っております。
 ほかには何かございますでしょうか。
 柴田委員が手を挙げてくださったんでしょうか。よろしくお願いします。
【柴田委員】
 皆さん方のおっしゃっていることの繰り返しになるのかもしれませんけども,今回,大学にいる者として高大接続改革というのは随分いろいろとファクターがあったんですが,一言で言うと,随分と風呂敷広げ過ぎているんじゃないかなあという気はしておりまして,どれぐらい本当にフィージビリティーで実現できるのかというのは,端から見ている立場だったものですから,感じてたんですが,できるものからやっていくしかないということなんですけど,やはり理念としては,今ここでやっているように,多面的,それから総合的に見る,単に学力だけではない。あるいはほかの要素,学力も含めた要素で見る。そういうのが多様な選抜方法で,全てに共通する新たなものではないかと思うんです。
 改めて,今日資料をおまとめいただいて,昭和の時代から入試改革をずっと俯瞰的に見る機会があったんですけれども,当初から,多元的にとか,総合的にとか,合理的に総合してとかいう文言はあったんですけれども,ほとんどペーパーテストだけで選ぶというのが日本の大学入試の主流だったように思うんです。それを何とか変えようというので,推薦入試,AO入試等々が導入されてきたら,これはちょっと学力が足りないんじゃないかというのが大学サイドから言われて,最後まで残っているのがいわゆる一般入試というところで,ここが,1点刻みというものに代表されますように,ペーパーテストの点数だけで選んでいる,本当にこのやり方がいいんだろうか,これがいつまで続くんだろうかというようなところを,社会全体で危惧しておられるという状況になっているし,大学のほうも,遅まきながら,その問題点に気づいているところと思います。
 ちょっと長くなるんですけれども,大学改革はいろいろフェーズがあったんですけども,最初にポリシーが出てきたのはアドミッション・ポリシーですね。何でかというと,要するに,入ってくる学生さんの資質が少し劣っているというのが大学の先生方の実感としてあったから,ちゃんとした基準で,しかるべき人に入学してほしいというのがもう20年以上前からあって,それでアドミッション・ポリシーというのがあったと思うんですけれども,先ほど牧田委員から御発言があったように,社会のほうから,じゃあ大学に入った後,卒業生がどんなのかという批判があって,ディプロマ・ポリシーそれからカリキュラム・ポリシーというのが遅れて出てきたと思います。そういう流れの中で,改めてアドミッション・ポリシー,今までのような非常に抽象的なものでよかったのかという反省から,総合的な選抜,人間を,まあ人間をと言うと失礼なんでしょうけれども,受験生をどういう具合に見るかというような形になったんだと思いますので,私は,ここの協力者会議の議論というのは非常に重要なのではないか,今回の高大接続改革の中の一番中核になる部分を我々はきちんと確認しなければいけないんじゃないかなと考えている次第でございます。まだ言いたいことはたくさんありますけども,一応,今までの議論を聞いていて,感想として申し述べさせていただきました。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。問題の核心に迫る重要な御意見だと思っております。
 長塚委員が手を挙げてくださっているでしょうか。よろしくお願いいたします。
【長塚委員】
 今,柴田先生がおっしゃったようなことと実は重なってしまって恐縮なんですが,この実施要綱で,入学者選抜はこういうふうにすると,これが実は一般選抜だということで,もろもろの評価方法などが書いてある,先ほども触れたことなんですが。しかし,この一般選抜が最も,筆記試験だけで行っているような実態があり,あるべき理念を踏まえた実施要綱で,こうやろうじゃないかということが書かれているものと実態がこんなに離れているということ,これが現在の入学制度や高校教育,それらのもの全体に影響している状況があるのではないか。それを受け入れてしまっているとまでは言いたくないんですが,これはやはり本当は望ましくないということを,高大両方で受け止めてはいると思うんですが,これはやはり実施要綱と実態が一致するように,これから考えていかなきゃいけない。そこがある意味一番大きな課題ではないか,そんな気もいたします。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。ほかには何か御意見ございますでしょうか。当初,1点刻みの評価だけではよくないということは確認されていたと思います。ただし,先ほどの参考資料でも御意見がありましたけれども,どうしても主観的にならざるを得ない要素があるようなものを評価軸に入れるのがよいのかという御批判というのもございます。そちら側のご意見にもやはり耳を傾けながら,十分にそれに対して説明ができるような考えというものもつくっていかないといけないのではないかなと思っております。
 ほかに何かございますでしょうか。それでは,また必要ならば戻っていただいて結構ですけれども,次は,2番目の調査書の在り方及び電子化手法の在り方に審議を移していきたいと思っております。先ほども申しましたとおり,いろいろ重なる部分もございますので,適宜戻っていただいても結構ですけれども,資料2のほうで言いますと,3ページ目からということになるでしょうか。こちらのほうから御意見があればお寄せいただきたいと思っております。
 何かこの調査書の電子化につきまして,御意見ございますでしょうか。
 長塚委員,手を挙げてくださったでしょうか。よろしくお願いいたします。
【長塚委員】
 調査書となりますと,高校側に非常に関係することなので,いろいろ気になるわけです。調査書などでございますので,先ほどからちょっと話題にした推薦書のことを先に触れたいんですが,資料3の2ページですね。これは念のため確認したいんですが,下のほうに学校推薦型の選抜の方法について書いてあって,その丸2です。推薦書の中に,入学者本人の学習歴や活動歴を踏まえた第1に示す3つの要素に関する評価や云々とあるわけですね,そういう記載をするということ。この3つの要素というのは学力3要素ですけど,推薦書に学力3要素についての記載を求める。学力3要素というのは,今後新しい指導要領では,各教科の中では観点別評価に直結しているわけです。一方,ここでの論点としては,調査書に観点別評価を入れるかどうかについては,今後もっと整理して慎重に進めなきゃいけないというふうに書いてあります。推薦書の中で学力3要素,各教科の学習状況について触れていいわけです。むしろそれを求めようとしたわけです。あるいは活動歴という意味で言うと,様々な活動を通して,主体的に取り組もうとする態度というような,広い意味での資質・能力の3本柱と連動した話になりますが,そういうものを推薦書の中に書き込んでほしいというのが,この実施要綱に書いてあるわけです,現在の話で。これを推薦書の中に書くのも1つ。そうすると,全入試区分で推薦書を求めるというようなことで,先ほど申し上げたことと少し違ってくるかもしれませんが,推薦書がどの区分にあっても,これは悪くはないのかなという考えも1つ成り立つかもしれません。しかし,調査書の中に学習成績の状況という評定平均だけでなくて,例えば観点別を踏まえた学習状況,学力3要素の状況というのを調査書に記述で高校が書くようなことがあったとしてもおかしくないのではないか。見直し予告では,学習成績の状況についてはさらに見直しを検討すると書いてあったわけです。この会議では,前回,評定平均については,各大学にとって各教科別の単位数と評定があればそれでいいと,まあそれはそのとおりなんですが,学力3要素に関することについて,観点別評価に関しては,これを教科科目別に書くというのは,もし,やはりなかなかまだ早いとか慎重に進めるべきだとなったらば,学習成績の状況として,各高校が何らかのことを書く,伝えるということは可能ではないかなと。今後の実態として,観点別評価を各高校で行うことになっていますから,そんなことを感じているところでございます。長くなりました。
【圓月主査】
 ありがとうございました。観点別評価につきましては,先ほど報告いたしました在り方検討会議においても御質問いただきました。非常にまた重要な問題かと思っております。
 石崎委員が手を挙げてくださいましたので,よろしくお願い申し上げます。
【石崎委員】
 石崎です。今ちょっと推薦書のことがお話に出たので,その件なんですけれども,推薦書というのは,今現物はどの学校も,恐らく紙でもらった推薦書に教員が一生懸命手で書いて,それで判こを押して出すという様式がほとんどだと思うんですよ。だから,今,長塚先生がおっしゃったような使い方をするんだったら,推薦書を電子化しないと,とてもじゃないけど,大学もそんなことを紙でいっぱい書かれても困っちゃうと思うんですけれども,そういったところも含めて,推薦書にあまり情報をいっぱい入れ込むという方向性はどうなのかなと思って,ちょっとお話しさせていただきました。
【圓月主査】  
 ありがとうございました。非常に貴重な御意見かとは思っております。何かこの点ににつきまして……牧田委員が手を挙げてくださったでしょうか。よろしくお願いいたします。
【牧田委員】
 すみません,また幼稚なことをお伺いするんですけれども,今,電子化というお話があったんですが,電子化というのは,私の解釈では,いわゆる電子媒体にのっけるというふうに解釈をしているんですが,基本的に,手で書くことも,電子媒体にのっけるためにキーボードを使って入力することも,手間としては私は同じようなことではないかなと考えているんですけど,電子化になるとそういった手間は変わるんでしょうかね。ちょっとその辺だけ教えていただきたいんですが。
【圓月主査】
 ありがとうございました。具体的な問題ということで,詳しい先生方おられますでしょうか。今日は残念ながら,御専門家の井上先生が御欠席ですが,石崎委員が手を挙げてくださったのかな。よろしくお願いします。
【石崎委員】  
 今のお話なんですけど,結局,この会議がスタートする頃に,紙に書いた調査書をPDFで撮って出しても意味がないよねというような話があったと思うんですけれども,指導要録に載せるデータを電子化しておいて調査書にも使える,推薦書にも使えると全部電子化されたものが,使い回しが利くというのが,ある意味電子化の一つのメリットだったと思うんですけれども,そういう意味じゃないのかな。だから,キーボードでもう一回推薦書に同じデータを書くということをイメージしているんじゃないと思うんですけれども。と私は思っています。
【圓月主査】
 巳波委員,よろしくお願いします。
【巳波委員】
 今,石崎先生もおっしゃっているとおり,電子化することによってデータが構造化されます。ですから,数値自体もそれが正しい数字か,間違っていないかとかのチェックなんかもしやすくなりますし,様々な処理をしやすくなります。ですから,例えば手で書いたものをPDF化されているだけだったら,それから文字認識したりして,そこから情報を収集しないといけないですけど,そういう手間がなくなるということで,大幅な稼働の削減につながるかな,コスト削減にもつながるかなと思っております。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。簡潔かつ適切な御意見をいただいて,勉強になりました。
 川嶋委員も手を挙げてくださいましたでしょうか。よろしくお願いします。
【川嶋委員】
 川嶋です。2点あって,1つは事務局に確認なんですが,先ほど2つの私立大学で附属・系属校から電子化した調査書を大学に送ってもらったというお話がありましたが,そのときのフォーマットというか,どういう形でやり取りしていたのかということを,お聞きしたいのが1点。
 もう1点は,今かなりの大学がもう出願システムをウェブ化しているんですね。大阪大学もそうなんですけれども,ただ,いまだに郵送しなければいけないのが,この厳封した調査書と,あとセンターの成績請求票,これはいまだに郵送なんです。ですから,調査書を何らかの形で電子化しても,センター試験を全ての大学が使っているということではないんですけれども,センターのほうの出願から成績請求書のやり取りといったものも一体的に電子化してもらわないと,調査書は電子化されて郵送する必要はなくなったけれども,まだセンターのほうの手続がマニュアルというか郵送になっていると,これまた面倒くさいことになるので,やはり全ての入試に関わる手続を一体的に電子化するべきだと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。まず,事務局のほうから私立大学の2つの例が示されておりましたけども,実態等については詳しい情報をお持ちでしょうか。もしお持ちでしたら,差し障りのない範囲で少し補足していただければと思います。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。今の川嶋委員の御質問ですけれども,2大学のうち,1つの大学については,エクセルの形でメールで送っているということを伺っております。もう一つの大学は,PDFの形に変換をして大学のほうに送っていると聞いております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 正確な情報をいただいて,ありがとうございます。
 髙井委員が手を挙げてくださったでしょうか。よろしくお願いします。
【髙井委員】
 今,川嶋先生からもお話がございましたけれども,電子化をするのであれば一体的に考えていく必要があると思います。ちょうど4ページの頭になります,「調査書の電子化の在り方について」というところで,引き続き方向性について検討とありますが,例えば高校側から調査書を大学側にとなったときに,セキュリティーガイドラインをはじめ,いろいろな課題があると思います。我々が検討していく部分では,例えば,担当を越えてとか,どの辺りまでを想定した議論を想定されているのか,お聞かせいただきたいと思います。
【圓月主査】
 ありがとうございました。この問題につきましては,ご指摘のような具体的な点も明確にする必要があります。
 それでは,この調査書の電子化については様々な御意見がございましたので,1つ私のほうから提案といいますか,こういう方向でこれから進めてもいいかという御相談をさせていただいてもよろしいでしょうか。
 この調査書の電子化手法の検討に当たりましては,御存じのとおり,現在進行している政府全体のデジタル化との連動性というものも考えていかなければなりません。また,大学における,先ほども言った電子出願の導入状況,具体的な問題点なども実際に考えた上で,限定的に電子的に調査書を授受している大学の実態,それについては一部先ほど報告いただきましたけれども,また,それを受ける今度は高校の校務支援の問題というのもあるかと思っております。大学のほうも,一応ウェブ出願が主流になりつつあるというふうに私は理解しておりますけれども,必ずしもそうでもない大学というのもある。また,高校のほうでもそれに必ずしも対応する校務支援システムを持っておられないところもあると聞いております。
 ですから,私としましては,これまで進めてきた電子化の計画のみを前提に議論を行うというよりも,すなわち,このフォーマットで是非を決めるというよりも,政府全体のデジタル化の動き等にも柔軟に対応できるように,複数の実装方法というものを検討しながら,今後の流動的な周辺の動きなどにも合わせた形で議論を弾力的,柔軟に進めていくということを考えているんですけれども,御意見ございますでしょうか。
 ここだけで,絶対この形ということをやると,いろいろなところと整合性が保てなかったり,また,政府自体がどの段階で,どういうスピードで走るか分からないので,かえって議論があだ花になってしまったりすることがあってはいけないので,複数の実装方法を検討しながら,周囲の状況というものとすり合わせを考えながら進めていきたいと思っております。御意見あれば,御批判でも結構ですので,寄せていただければと思っております。
 髙井委員,挙手していただいたでしょうか。
【髙井委員】
 ありがとうございます。やはりそうなってくると,まだまだ情報が少ないというところがあると思いますので,より専門的なお話ですとか,政府のお考えなどを情報いただきながら議論をさせていただけるという理解でよろしいでしょうか。
【圓月主査】
 はい,そのように考えております。
 柴田委員が手を挙げてくださったでしょうか。よろしくお願いします。
【柴田委員】
 髙井委員も,主査の御提案も非常に私も同感でございます。と申しますのは,センター試験の出願等々がまだペーパーなんですね。だから,センター試験を利用するためには,先ほど川嶋委員が御指摘になったように,貼り付けた受験番号票を送ってもらわなければいけない。Webでの導入というのは,センターのお話では現状では非常に難しいと。だから,そういうものが今回もしうまくこのデジタル化の流れの中でいくんだったら,総体的にやらないと,調査書だけでも大学のほうはかえって混乱するのかなという気がしておりますので,いろいろな観点を検討するというのが,現段階では一番スタンスとしていいのではないかなと感じております。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。サポートの意見をいただいたと思っております。また,御指摘の点につきましては,今後さらに具体的にできるだけ情報等を集めていきたいとは思っております。
 ほかには何かこの点に関しまして御意見ございますでしょうか。
 牧田委員,手を挙げてくださったので,よろしくお願いいたします。その次に石崎委員にお願いします。
【牧田委員】
 牧田です。
 一言でまとめると,今の話は,要するに何をデジタル化するかということを議論するというふうに思っていいということでしょうか。
【圓月主査】
 基本的にはそのようなことを考えております。
【牧田委員】
 はい,分かりました。ありがとうございます。
【圓月主査】
 ありがとうございます。そうしたら,こちらの順番では石崎委員が上になっていますので,まず石崎委員からよろしくお願いいたします。
【石崎委員】
 私も基本的に,圓月先生がおっしゃった配慮をしなきゃいけないのは当然だと思っているので,賛成なんです。ただ,今までの英語の4技能にしても,それから記述式問題にしても,結局,理念はよかったんだけれども,いざやろうとしたときにいろいろ課題が具体で出てしまって実現できなくなってきたというようなことを繰り返してきたと思うんです。我々も多面的な評価を進めるに当たって,理念ばっかりはよかったんだけれども,いざやろうと思ったら,やはりテクニカルにできなくなったみたいなことのないように,そこのところのバランスも取った議論を進めていただきたいなと思っております。
【圓月主査】
 ありがとうございました。実際には,なかなか難しい問題が山積しているものと思いますけれども,ご指摘の点に気をつけてやっていきたいというふうに思っております。
 それでは,遅くなって申し訳ございません,田中委員,よろしくお願いいたします。
【田中委員】
 田中でございます。一言だけです。賛成でございますので,そのようにやっていただきたいと思っています。様々な資料を出していただいて,少しこちらのほうでも勉強させていただく時間が欲しいなということでございます。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございます。ほかには何か御意見ございますでしょうか。
 そうしたら,柴原委員,よろしくお願い申し上げます。
【柴原委員】
 ちょっと話題を変えてもよろしいでしょうか。ちょっとお聞きしたいんですが,3ページの(2),観点別学習評価がございますよね。今検討しているのが,論点案ですので確認したいんですが,「引き続き方向性を整理する」という表現がございますけども,この方向性というのはどういう意味か,ちょっと教えてください。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。こちらのほうとしては,もし事務局のほうからも補足していただけたらうれしいんですけれども,先回の会議等でも,高校の現状というものの中に,取り組み方に関しての考え方にまだかなり温度差があると聞いておりますので,その辺りの進行状況などを見ながら,どの段階でこれを進めていくかということを決めるという点などについては,ちょっと含みを持たせた表現を使わせていただいたものと思っております。もしよろしければ,事務局のほうから補足あるいは修正していただけるでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。前回の議論の中でも,観点別学習状況の評価につきましては,いろいろ高校の現場の御意見でありますとか,実態でありますとか,お話がありつつも,何とか多面的な評価のために活用する方法はないかと,様々な意見が出ていたところかと思います。前回の議論の中では,そこのところの方向性がまだ整理されておりませんでしたので,今日改めてその見え消し修正したものについても,「引き続き方向性を整理することでよいか。」といった表現にしているものです。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。その上で,川嶋委員が手を挙げてくださいましたので,よろしくお願いいたします。
【川嶋委員】
 今の段階で調査書だけを電子化するのは,なかなかかえって面倒だということについては同意するんですけれども,結局,今回のいろいろな高大接続で出された理念とか考え方がどんどん後退していく中で,結構現場では,調査書の電子化というのは期待を持っていたところでもあるので,やはりほかと,先ほど私も話させていただきましたが,センターの様々なデジタル化と合わせてということはそれは当然なんですけれども,そのときには,きちんと実現できるというレディネスというんですかね,準備だけはきちんとしておかないと,やはり関係者にとっては残念感が漂うので,実施についてはきちんとほかと合わせるんだけれども,もしDX化されたときには,調査書というのはこういうふうな形で電子化するというところまではやはり詰めておくべきだなと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。ほかには何か御意見ございますでしょうか。
 それでは,方法論としては,先ほど提案させていただいた複数の実装方法を柔軟に考えていくということで話を進めさせていただきます。
 先ほど,牧田委員の御質問なんかのときに,添えるとまたややこしくなるのかなと思っていましたけど,もう一つ,この電子化を進めていく上での理念をもう少し整理しておく必要があるのかなと。データが構造化され,活用の可能性が広がるということのためにやるのか。でも,もう一つ重要なのは,働き方改革,特に高校の現場の働き方改革というものも,この会議の中で非常に重要な話題の一つではありますので,その辺りについての共通理解もしっかりつくっていく必要があるんじゃないかなと思っておりますけれども,そのような理解でよろしいでしょうか。
 それでは,そのような形で,また力不足ですけれども。
 柴原委員,手を挙げてくださったでしょうか。よろしくお願いします。
【柴原委員】
 すみません。調査書の電子化でちょっと事務局にお聞きしたいんですけども,全国の教育委員会,あるいは私立高校がございますけれども,いわゆる校務支援システムがどのくらい導入されているか,もし御存じだったら教えてください。
 以上です。
【圓月主査】
 事務局のほうは何かデータをお持ちでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。すみません,今,手元にデータがございませんので,また次回までに調べてお示ししたいと思います。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございます。
 また,本日は初等中等局も事務局に入ってくださっているということですので,できるだけ正確なデータをまた提供して,実態もやはり調べる必要があります。川嶋委員が先ほど「レディネス」という言葉を言っておられましたけども,立派な理念と方法等を提案しても実際には使いこなせないということがあると,やはりよくないのかなと思いますので,丁寧に調べていきたいと思います。
 ほかに何かございますでしょうか。
 それでは,また戻っていただいても結構ですけれども,時間のバランスもございますので,最後,3の調査書や志願者本人記載資料の活用及び大学への情報提供の在り方について審議を進めます。資料2でいいますと4ページのところからですけれども,こちらについて何か御意見がございましたら,よろしくお願い申し上げます。
 特に,こちらは,また在り方検討会議のところでも意見をいただいた……。
 垂見委員が手を挙げてくださったので,多分,私が言おうとしていることを言ってくださるんだと思います。平等・公平のこととか,そういうことなんかも注目が集まっているので,御意見をいただければと思います。もちろん,ほかのことでも結構です。垂見委員,よろしくお願いいたします。
【垂見委員】
 ありがとうございます。垂見です。3の2番,「『Equity』と『Equality』の大きく2つの観点に基づいて,評価の手法等を整理することでよいか」とあるんですけれども,基本的にはそれで問題ないと思うんですが,1点補足させていただきたい点があります。今までの議論の中で,Equityの観点から,アファーマティブ・アクションを取り入れる,例えば就学援助金を受給している場合は,この多面的評価の中でポイント加算をする方法と,Equalityの観点から,調査書の中で,家庭背景の厳しい生徒でも書けるような項目を設定するといった2つの方法について,提案させていただいたと思います。
 その議論の際に,川嶋委員から,Equityの観点の中でもう一つの方法として,多面的な評価の中ではなく,ディスアドバンテージがある生徒に対して新しい入試区分を設けて,アファーマティブアクションを取り入れる。つまり,この多面的な評価の中で,ある方法を議論して決めるのではなくて,もっと広い入試全般の中で,つまり在り方会議に対してそのような提言をするという御意見もあったと思いますので,その点をもう一度協調しておきたいと思います。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。非常に適切な御意見かと思っております。何か御意見,ございますでしょうか。
 すなわち,この多面的評価の枠の中でやるのか,それとも入試区分自体を新たな形で創設するのか。最初に確認したとおり,入試の多様化という点でいえば,入試区分の新設は,方針として間違っているわけではないんです けれども,ただし,それが実務的に耐えられるかどうか。いろいろ細かい新たな入試区分をつくっていくと,その辺りについての難しい判断が出てくるものと思っておりますけれども,何か御意見ございますでしょうか。
 ちなみに私は,1ページのところの先ほど問題になった「志願者本人を総合的に評価する」という文言は,表現は少し漠然としていますけども,いろいろなアファーマティブ・アクション的な要素をこの中に,考慮しながら評価することなんかも可能になってくるんじゃないかなと思いながら,一応,この文章を拝見していたんですけれども。
 柴田委員がまた手を挙げてくださっているでしょうか。
【柴田委員】
 ただいまの垂見委員の御意見について,例えば本日の参考資料2の実態調査の,23ページから,多様な選抜の実施というものを,それこそ各大学が主体的におやりになっておられる。これは大学の判断で,多面的な選抜の実例ではないかと思いますし,それから,地域枠等,公立大学でも複数の大学で実施しておりますので,そういうことで,それぞれの大学の主体性で実施するというのはあり得るんだろうと思うんですけれども,これを全ての大学でというのは,今すぐにというのはなかなか難しいのかなという気がしておりますが,こういうものが参考例になって広がればいいなという具合には期待しております。
 垂見先生,そういう理解は先ほどのお話の一部として受け入れていいんでしょうか。ちょっとお尋ねしたいと思います。
【垂見委員】
 ありがとうございます。私も,この資料の23ページからのところを見て,例えば児童養護施設入所者を対象とした選抜が可能であるということを示したり,また実際にそれぞれの大学がどのようにこうのような入試を実施しているのかという例をすくい上げたりしながら,ディスアドバンテージがある生徒を対象とした入試を各大学で設定していくことを,文部科学省が積極的に推進することが必要なのではないかと思います。
【圓月主査】
 ありがとうございました。ほかには御意見ございますでしょうか。
 この部分も,どの辺りまでを一律で実施するのか,あるいは各大学のアドミッション・ポリシーに合わせた個性をどの辺りまで認めるのかという,これ自体も非常にデリケートな問題になってくると思うんですけれども,何か御意見ございますでしょうか。ほかの論点でも結構です。
 この問題を考えるに当たって確認しておくべき,少なくとも,この会議の中で共通理解をつくっておくべき論点があれば,いろいろと御意見をいただければと思います。もちろん,ほかの点でも結構です。
 石崎委員,手を挙げてくださったでしょうか。よろしくお願いいたします。
【石崎委員】
 こういうことを考える上で,ちょっと見当違いだったら申し訳ないんですけれども,国立大学と私立大学と,期待されることが一緒でいいのかどうかというところは,論点としてはいかがなんでしょうか。
 国大協さんなんかが,自ら国立大学の使命として,教育の機会均等ということをうたっていらっしゃる部分もあったりして,そういう部分で期待されるものと,入試区分によっては,私立大学だったらいいやみたいな,ちょっと言い方が適当でなかったら申し訳ないんですけれども,そういう考え方の違いがあるのかないのかということをお伺いしておきたいんですけれども。
【圓月主査】
 非常に重要な問題かと思っております。よろしかったら,大学のほうで,私立大学は特に多様なのですが,私立大学の所属している私がいきなり前からしゃべってしまうよりは,明比委員,何かお考えとかございますでしょうか。
【明比委員】
 参考資料2,23ページの3の給費生入試は,多分うちの大学のことだと思います。給費生試験というものがあって,ただ,これは最後の括弧のところに書いてあるように,「対象は経済困窮層に限定されない」というところがあるんですが,もともとこれをつくった創立者の趣旨としては,やはり経済困窮者に対して高等教育,大学での教育をしっかりとやっていく,若者を育てていくということで,給費生試験ができたのは昭和5年ですけど,そのときの考え方としては,地方から勤労の若者が出てきたときに,やはり学力をしっかり身につけるということで,生活費まで面倒を見るということでつくられていまして,今もその考え方は継承されています。
 ただ,残念ながら,もともと高校での学力が高くないと給費生試験には合格できないということで,経済困窮層に限定されないということになっていますので,そこを我々も少し考えていかなきゃいけないのかなと。
 今,本学では,児童養護施設入所者を,生活保護世帯等を含めて,高等教育の中で,生活困窮者をどうやって大学に進学させるか,うちが受け入れるかというところを議論しているところです。私立の場合には,恐らく,そういう議論がいろんな大学ではされているものだと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。突然指名してしまって失礼だったんですけども,適切に答えていただいて感謝しています。特に私立大学の場合,また,いつもの言い方ですが,やはり個性ある建学の精神等を重視しておりますので,公立や国立もそうなんだと思うんですけれども,地域社会への貢献を非常に重視なされる大学がございます。
 柴田委員が手を挙げてくださっているので,よろしくお願いいたします。
【柴田委員】
 先ほどの23ページの地域枠等を設定した選抜で,②がございます。これは私が承知している限りでは,沖縄の例だと思うんですけれども,特定の医療系の専門職を養成するコースに離島・僻地の枠をつくっておられるようでございます。これは定員がございますので,この定員を満たさなきゃいけない,学力とのバランスで苦労していることは伺っておりまして,別の観点からの多面的,総合的な選抜が問われていることは伺っております。
 ただ,やはり公立大学は,地方自治体の理念,行政の側面から設置されておりますので,そういう枠もあるところでございますし,それから,国立でも,医療系では地域枠を設置して,奨学金との見合いで定員枠をつくっている大学があるやに聞いております。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。適切な御説明をいただいて,喜んでおります。
 もし国立の先生も,よろしかったら。例えば西郡先生,何かお考えがありましたら,補足していただいても結構ですけれども。突然振ったら迷惑でしょうか。
【西郡委員】
 すみません,答えられません。
【圓月主査】
 分かりました。ここでは経済的条件,地理的条件ということで,地域枠等を非常に重視なさるところ,あるいは教育の機会均等といったときに経済格差の問題を非常に強く考えられるところ。医療系なんかは社会的要請もありますし,また,授業料の問題等もございますので,そういうことをお考えになると考えています。
 大学においても,それぞれ設置形態別によっても考え方が違いますし,同一設置形態の中でも,やはり建学の精神,あるいはユニバーシティー・アイデンティティーなどによっても変わってくるところがあるのかなと思っております。
 ほか何かございますでしょうか。長塚委員,よろしくお願い申し上げます。
【長塚委員】
 時間もなくなりつつあるので,ちょっと論点を変えますが,同じ4ページの上,3番目の項目の(1)に調査書や志願者本人記載資料の活用についての2つ目のところに,調査書に記載のない学校の教育活動外の取組などについては,生徒本人が直接大学へ出すことでよいかということについてです。これは,私なども,これまで意見をしてきたことに沿ったまとめになっているんですが,これから,学習指導要領だけではなくて,それに沿った指導要録が変わって,調査書にそれを落とし込むときに,学校の中の活動もそれほど詳しく把握されているとは必ずしも言えない。そして,学校外のことについては,ましてということになるんですが,そうすると,これまで大学さんのほうは,エビデンスというんでしょうか,それぞれの活動がどういうことだったのか,それをちゃんと高校側が証明してほしいということもあってか,今回,令和3年度からは調査書が非常に詳しくなっているわけで,これはある意味,調査書に関しては全く逆方向になろうとするわけです。
 生徒の活動も,書類じゃなくて,ポートフォリオなり電子的方法なりを使わないと,先ほど来の様々な書類が電子化と書面が入り交じっては困るだろうということもあるので,eポートフォリオはかなり変更がありましたけども,電子的方策というのは,大学のほうでは,これを受け止めておかないといけないとは思うんです。
 それで,念のためなんですけども,もう何度も確認はしていますが,参考資料5-1に新しい指導要録の参考様式の改善点などが書いてあって,それを確認するまでもないんですが,各高等学校では,各高等学校が求める資質・能力の観点で,学校行事とか生徒会活動とかの活動で資質が優れている場合に丸をつける程度の記録になってしまう。そうすると,大分現在の調査書とは違っていって,それが仮に大学に提出されたとしても,大学さんのほうは,どれほどそれを受け止めることができるのかなと思うわけです。
 そこで,1点だけ強調したいのは,主体性・多様性・協働性という,今回,非常に強く求めていた,基本的には広範な意味合いで求めていたものが,大分解釈も変わりつつあるわけですけども,もし大学が主体性・多様性・協働性を調査書に求めるのであれば,調査書として,ここに項目的なものがないと,指導要録の中にもそれを踏まえた記録とか評価とかを載せていかないことになりかねないわけですよね。生徒の教育,学校外の活動については,恐らく,先生は生徒から確認して,それによって成長した度合いなどもしんしゃくしながら,要録に主体性・多様性・協働性についても書き込めるかもしれませんし,求められれば,先ほど来の推薦書とか調査書にもそういうものを書き込むことが可能になるのかなと。
 また,それが必要だというんであれば,それを求めておいていただかないと,記録もしないと。また,そういう判断で調査書などの作成の準備をしないことになりかねないわけですね。この辺が,来年夏頃には新しい調査書のフォームも示さなきゃいけないんだろうと,予告をですね。そう思うと,よくよく整理して進めなきゃいけないなという思いがいたします。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。包括的な,それぞれ御見識のある御意見だったと思います。
 調査書について考えるとき,いろいろな,本来は簡略化していくという方向だったんだと理解していますけれども,備考欄についての扱いとか,そういうふうなところから,いろいろな御意見が出てきたのかなとは理解しております。
 ほかには何かございますでしょうか。
 それでは,この調査書につきましても,さらに具体的にいろいろな問題点を整理しながら,話をもう少し進めていきたいと思います。
 また,高校現場のほうからの御意見等も,次回以降,また率直な御意見を聞かせていただければ,うれしく思います。
 それでは,本日は長時間にわたりまして審議に御協力いただき,ありがとうございました。
 時間の関係もございますので,本日の第9回協力者会議は,予定の時間まで,あと十分足らずございますけれども,ちょうど意見も一段落ついたと思っておりますので,ここで閉会とさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 最後に事務局から連絡がございますので,もう少しだけお時間をいただきます。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。次回の日程ですけれども,日程を確認させていただいた上,決まり次第,御連絡をさせていただきます。
 本日,時間の関係で言い足りなかったこと等がございましたら,事務局までメール等で御連絡をお願いいたします。
 皆様,本日は御多忙のところ,ありがとうございました。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。年末年始,お忙しくなると思いますけれども,また今後とも,お力添えをよろしくお願いしたいと思います。
 それでは,本日の会議はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

お問合せ先

高等教育局大学振興課
 電話番号:03-5253-4111(内線4902)