大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議(第8回)議事録

1.日時

令和2年10月29日(木曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省5F2会議室

3.議題

  1. これまでの意見の整理(案)について
  2. 今後の審議における論点について(案)
  3. その他

4.出席者

委員

(有識者委員)圓月主査、川嶋委員、髙井委員、井上委員、石崎委員、西郡委員、星野委員、巳波委員、柴田委員、柴原委員、田中委員、長塚委員、牧田委員

文部科学省

伯井高等教育局長、森田文部科学戦略官、角田文部科学戦略官、西田大学振興課長、前田大学入試室長 他

5.議事録

【圓月主査】
 それでは,定刻となりましたので,ただいまより第8回大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議を開催いたします。
 本日の運営形態及び出席者等につきまして,事務局から御報告をお願いします。
【小川大学振興課専門官】
 それでは,事務局より説明をさせていただきます。
 本日の会議は,新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえまして,引き続き,ウェブ会議の形で開催をさせていただきます。委員の皆様におかれましては,御多忙な中,遠隔での御出席をいただきましてありがとうございます。 
 本日も傍聴者,報道関係者の入室は認めておりませんけれども,ユーチューブでライブ配信をしております。また,議事録は後日,ホームページに掲載することとしたいと思います。
 以上のような方針でよろしいでしょうか。
【圓月主査】
 どうもありがとうございます。
 それでは,委員紹介等を続けていただけますでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 本日は,髙田委員,垂見委員が欠席でございます。
 議事に入る前に,連絡事項がございます。
 繰り返しで恐縮ですけれども,前回までと同様,聞き取りやすいよう,はっきりと御発言いただくようお願いいたします。御発言の都度,お名前をおっしゃっていただく,資料を参照する際は,該当箇所などを分かりやすくお示しいただくなどの配慮をいただけるとありがたく存じます。また,発言を希望される際は,挙手ボタンを押していただく,指名されたときはミュートを解除してから発言していただく等の対応をお願いいたします。御理解のほど,よろしくお願いいたします。
 なお,本日は事務局に,初等中等教育局教育課程課の担当も出席しておりますので,御報告させていただきます。
 以上でございます。
【圓月主査】
 それでは,議事に入らせていただきます。本日もよろしく御協力のほど,私からもお願い申し上げます。
 本日は,前回に引き続き,検討課題ごとにこれまでの意見を整理するとともに,議論が不足している事項は,さらに議論を行いながら,今後の審議における論点を整理していきたいと思っております。
 特に,資料2につきましては,私と川嶋委員及び事務局との間で,これまでの議論を踏まえて,論点を出させていただいております。いろいろな御意見もあるかと思います。活発な御意見をいただきたいと思っております。
 まず,事務局から資料の説明をお願いいたします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局から,資料1,資料2について,説明をさせていただきます。
 まず,資料1でございますが,これまでの意見の整理(案),前回提示をいたしましたけれども,前回の会議において出された意見を青字で追記をしているものでございます。
 簡単に前回の振り返りをしますと,資料1の1つ目の項目,多面的な評価に関しましては,例えば,2ページの一番下の青字の部分でございますけれども,大学入学者選抜実施要項に記載された一般選抜の入試方法と実態が合わないのではないかとの意見がありました。
 また,次の3ページでございますけれども,一般選抜に関して,入試日程等の関係で,多面的評価を行うことの困難さを指摘する意見があるとともに,総合型,学校選抜型であれば評価をしやすいのではないかといった意見もございました。
 次の4ページでございますが,四角の中,主な意見の概要にも,今のような意見を追記しております。
 同じく4ページの下の部分でございますけれども,このような実態を踏まえまして,選抜区分によっては主体性を評価しないこともあり得るのか,全ての選抜区分で評価をするのか,コンセンサスを得る必要があるとの意見もございました。
 続いて,5ページ,青い部分ですけれども,「主体性」という言葉の定義に関する意見もございました。
 資料を飛びまして8ページ,2ポツの調査書の在り方に関する意見です。特にこちらは,観点別評価の扱いについて議論がございました。
 具体的には,また資料が飛んで恐縮ですが,10ページでございます。観点別評価により,教科の学習に限定した主体性は評価できるのではないかという意見がありました。一方,高校の現場での観点別評価の実施状況をきちんと踏まえる必要があるのではないかとの慎重な意見もございました。また,一般選抜でも限定的に活用可能ではないかとの意見がありました。一方,総合型選抜などでないと適切に評価を行うことができないのではないかとの意見もございました。
 続いて,16ページの3番目の項目,調査書や志願者本人の記載する資料の活用の在り方の項目ですけれども,こちらは選抜区分によって考え方が全く異なるので,柔軟に検討が必要ではないかとの意見がございました。
 続いて,18ページでございますけれども,志願者が経済的な条件等に左右されないための措置として,大きく二通り,より積極的な格差是正,消極的な格差是正があるのではないかとの意見がございました。
 資料1については,以上でございます。
 続いて,資料2の説明でございますけれども,こちらにつきましては,今,主査から説明がありましたように,これまでの意見を踏まえまして,今後の審議における論点を整理するために示す案でございます。1ポツ,2ポツ,3ポツの項目立てにつきましては,少し文言を換えておりますけれども,今,説明いたしました資料1の項目立てに沿って整理をしております。こちらについても,内容について説明をさせていただきます。
 まず,1つ目,大学入学者選抜における多面的な評価についてです。
 多面的な評価の在り方につきまして,「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力等」,「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」という学力の3要素を大学入試において評価するためには,筆記試験だけでなく,それ以外の評価尺度も用いて多面的に評価することが重要ということでよいか。
 その上で,多面的評価を行うに当たっての学力の3要素の重みづけは,大学のアドミッション・ポリシーや選抜区分ごとに異なり,また,評価方法も大学ごとに様々であるから,全ての選抜区分で同程度の評価を行うということではなく,特に一般選抜では入試日程との関係上,筆記試験に比重を置いた選抜となることもあること,多面的評価は総合型・学校推薦型においてより親和性を有することを明確にすることでよいか。
 次の項目ですが,いずれの選抜区分であっても,各大学がそれぞれのアドミッション・ポリシーに基づき,志願者のどういう学力を評価したいのかを明確にすることが,多面的評価を行うに当たっての前提となることでよいか。
 各大学が志願者に求める資料としては,調査書や入学希望理由書,活動報告書など志願者本人が記載する資料,各種大会や顕彰等の記録などが考えられますが,これらを用いて多面的な評価をする場合には,こうした資料を合否判定に活用するに当たっての方策の例示や留意事項等について,示していくことでよいか。
 こちらは前回,川嶋委員から意見がございましたけれども,入試日程の変更につきましては,大学入試全体の仕組みの在り方にも関わるため,多面的評価の議論は入試全体の仕組みの議論との連動も必要という点に言及しつつも,この取りまとめに当たりましては,一般・総合型・学校推薦型の3つの選抜区分と現行の入試日程を前提に意見を集約することでよいか。
 続いて,(2)志願者の「主体性」を評価することについて。
 大学入学者選抜実施要項において,「主体性を持ち,多様な人々と協働して学習する態度」を,入学者選抜において適切に把握するよう十分留意することとしており,主体性を評価するとは,「主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」について,各大学のアドミッション・ポリシー,各部・学科等や選抜区分の特性に応じて,調査書や入学希望理由書,活動報告書,面接などにより評価するということでよいか。
 その際,大学入試において,「主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」のみを切り出して評価する選抜を推進するというよりも,「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力等」と合わせて,多面的な評価を推進することを明確にし,高校,大学関係者の共通理解を図っていくことでよいか。
 その上で,多面的評価を行う際に評価しようとする主体性とは,各大学のアドミッション・ポリシーにより,ふだんの学習場面での主体性もあれば,学校の教育活動外の活動での主体性を含む場合もあり,どちらかであるかは各大学の判断によるということでよいか。他方で,高等学校で大学に提供できる個々の生徒の主体性とは,ふだんの学習の場面での主体性であって,学校の教育活動外の個々の活動に取り組んだ事実や成果については,各大学の求めに応じて,志願者自身がそれを証することを原則とするということでよいか。
 多面的評価を推進することについて,大学入学後の学びについての志願者の理解を深め,入学後のミスマッチを解消する狙いや,入学後の教育につなげるなどの積極的な意義があることを示しつつ,合否判定の活用の方法によっては,高校生にとって過度な動機づけになり,逆に主体性を損なう危険性があるのではないかといった懸念点も併せて指摘するということでよいか。
 2つ目の調査書の在り方及び電子化手法の在り方についてでございます。
 (1)次期学習指導要領下での調査書の在り方について。
 調査書は指導要録に基づき作成するという原則や高校教員の働き方改革の観点も踏まえると,新しい高等学校学習指導要領の下での調査書の様式は,平成31年3月に示された新しい指導要録の参考様式で簡素化された部分はそれに合わせて簡素化するなど,指導要録の様式と整合性を取る方向でよいか。
 上記の方針で調査書の様式の在り方を検討する場合,その記載事項については,学校における教育活動に関する必要最小限の事項に限定することでよいか。具体的には,調査書における「指導上参考となる諸事項」の内容については,学校の教育活動として行ったものを記載することを原則とし,また,「備考欄」の内容については,大学や各部ごとに異なる内容を求められるのは相当の負担である,といった意見があることを踏まえ,志願者本人が調査書以外の資料で直接大学に提出する方向で見直すことでよいか。
 こちらは1点,補足をさせていただきますけれども,資料3に,大学入学者選抜実施要項を示しております。こちらの20ページの一番下の部分,調査書の様式の記載の説明の部分ですけれども,14番,「備考」の欄については,大学の希望により当該大学の学部等に対する能力・適性等について,特に高等学校長が推薦できる生徒についてはその旨記載することといった記載がございます。
 資料2に戻りまして,なお,「学習成績の状況」は,現行の単純平均でよいのか,引き続き方向性を整理することでよいか。
 (2)観点別学習状況の評価について。
 観点別学習状況の評価について,高等学校の評価の実態等も十分踏まえつつ,大学入学者選抜においてどのような活用の仕方があるのか,引き続き方向性を整理することでよいか。
 (3)調査書の電子化の在り方について。
 電子化の時期については,上記の方針で様式の検討を行う場合,新学習指導要領に対応した最初の入学者選抜に合わせることを目標としつつ,電子化の在り方について引き続き方向性を整理することでよいか。
 最後,3ポツ目でございます。こちらは,今まで説明した部分と重なる部分もございますが,説明をさせていただきます。
 調査書や志願者本人記載資料の活用について。
 多面的評価を行うに当たっての学力の3要素の重みづけは,各大学のアドミッション・ポリシーや選抜区分ごとに異なり,また評価方法も大学ごとに様々であるから,全ての選抜区分で同程度の多面的評価を行う必要はなく,特に一般選抜では入試日程との関係上,筆記試験に比重を置いた選抜となることもあること,多面的評価は総合型・学校推薦型においてより親和性を有することを明確にすることでよいか。
 最後の4ページですけれども,調査書の様式を必要最小限の内容で簡素化した場合,調査書に記載のない学校の教育活動外の取組などについては,志願者自身が入学希望理由書や活動報告書などの志願者本人記載資料を直接大学に提出することでよいか。
 大学入学者選抜実施要項では,各大学は入学志願者から,入学者選抜の資料として,高等学校が指導要録に基づき作成した調査書の提出を求めることとされていますが,選抜区分ごとに柔軟な評価の方法を可能とするため,調査書を活用しない選抜区分もあり得るかどうか,引き続き方向性を整理することでよいか。
 (2)志願者が経済的な条件等に左右されず等しく多面的な評価の機会を得ることができるような評価の手法等について。
 志願者が経済的な条件等に左右されないための措置を導入することを考えた場合,Equity(公平:経済的不利等がある志願者へのアファーマティブ・アクションを行う)とEquality(平等:経済的不利等がある志願者でも高い評価を得られる活動等も対象にして選抜を行う)の大きく2つの観点に基づいて,評価の手法等を整理することでよいか。
 (3)志願者の学びや活動成果等のデータの集積や管理,個人情報保護の在り方及び管理の主体について。
 志願者の学びや活動成果等のデータについては,調査書に記載するのではなく,活動報告書やポートフォリオなどにより,志願者自身が直接大学に提出することでよいか。
 といった形で,論点の案をまとめさせていただきました。
 説明については以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは,審議に入りたいと思います。
 審議については,委員の先生方の御判断に任せますけれども,基本的には今,事務局のほうから丁寧に説明をいただいた資料2をベースにしながら,必要に応じて資料1,あるいは資料3等に言及していただきながら議論を進めることができればと思っております。そのようなことでよろしいでしょうか。
 今もまた説明がございましたとおり,アンダーラインを引いた,1ポツ,2ポツという表現を使っておりましたけれども,3つのパートに分かれておりますので,一つずついきたいと思っております。
 まず,1ポツのアンダーラインが引いてある,大学入学者選抜における多面的な評価について,ここから審議を始めたいと思います。
 御意見等がございましたら,どなたからでも結構ですので,御発言を願いたいと思います。できれば挙手のマークをしていただきますと運営が楽かと思いますので,御協力いただきたいと思います。
 それでは,牧田委員,よろしくお願い申し上げます。
【牧田委員】
 牧田です。よろしくお願いいたします。
 資料2の1ページ目の選抜区分について,これはお尋ねになるのか,意見になるのか,ちょっと分からないんですけれども,一般選抜,総合選抜,学校推薦型と3つあるわけですけれども,一般と総合はいいとして,学校推薦については,大学側が高校を選ぶというか,指定した学校から推薦をしてもらうという形態だったと私は認識していますが,そうすると,指定されなかった学校というのもあるわけで,そこの機会の公正性というか,その辺はどういった形で確保されるのかなというのが疑問に思いました。これをどうしたらいいのかというのは分からないですが,個人的な意見としては,学校推薦というのはやめたほうがいいのではないかと思っているわけで,その辺について教えていただきたいと思います。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 事務局のほうから,あるいは委員の先生方から,何かお考え等はございますでしょうか。
 牧田委員のおっしゃることもよく分かるところはあるんですけれども,今のところはこの3つの区分に分けてということでございます。
 私なんかは,私立大学のほうでしたら,やはり系列校や,あるいは同じような教育理念を持っている高校からの学校推薦という,いわゆる指定校と言われるような制度というのもありまして,それなりに教育的な意義というものは果たしているという考え方もございます。その辺りについては,いかがでしょうか。
 それでは,柴田委員,手を挙げてくださったでしょうか。次,長塚委員に行きますので,柴田委員からよろしくお願いします。
【柴田委員】
 私,国公立の状況で,推薦入試についてコメントしたいと思うんですけれども,今,牧田委員がおっしゃったような指定校推薦というのは,恐らくほとんどの国公立では採用されていないところだと思います。
 実は私,以前,推薦入試,AO入試で,統計をいろいろ分析してみたことがあるんですけれども,国公立では,推薦もAOも,ほとんど辞退率というのが99%なかったんですけれども,推薦入試,私学の場合には八十一,二%の方しか入学しないというのでびっくりして,その原因を調べたら,指定校推薦なるものがあるというのに初めて気づいたような状況でございます。
 ただし一方で,国公立では地域枠などを設けて,推薦入試では学校や,志願者を整理しているというのが通常ではないかと思っております。だから,廃止してしまえばいいのではないかというのは,少なくとも国公立では当てはまらないのではないかと考えている次第でございます。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。ある程度,目安になる数字も上げていただいて,大変助かりました。
 それでは,長塚委員も手を挙げてくださっているので,よろしくお願いいたします。
【長塚委員】
 ありがとうございます。長塚です。
 1ポツの(1)のところが多面的な評価の在り方についてということで,入試区分別に,学力の3要素の重みづけというのがあっていいのではないかということでございますが,特に一般選抜では入試日程との関係で,多面的評価は難しそうだということを認めていってもいいのではないかということが,1点目のマルにあるわけです。
 これは,現実上はそのとおりかなと思うんですが,しかし,単純にそれをそうだと言ってしまうと,従来型の一般入試,いわゆる多面的評価から離れていく方向に行くことを言っているようなものでございますので,やはり一般選抜による人数の割合,募集割合というんでしょうか,私大の場合には半分以上が一般選抜以外のところで受け入れられているわけですけれども,国公立がまだ少ない。
 その少ない中で,一般選抜は多面的評価の重みを筆記試験のところに持っていっていいかと言われると,やはり逆行してしまうのではないか。この比率がしっかりと,ある程度あるという前提でこれは考えるべきで,そういう中で多面的,総合的な評価となるのではないかなというのが1点目。
 それから,入試区分が3つで,名称も変わって,これから始まろうとしているものですから,また,ある意味マイナーチェンジのようなところにすぎない部分もあるんですが,検証が終わっていない段階で,次の在り方をがらっと変えるのは,なかなかまだ確証が得られないという思いがございます。
 ただ1点,先ほど牧田委員からあったことで触れますと,例えば高校入試で言いますと,推薦入試と一般入試しかないんですよね。推薦入試というのは中学校の校長が推薦するんですけれども,それと一般入試という2区分だけというのが通例でございます。そうすると,AOというのは何かというと,自己推薦のようなものなんですね。
 このAO,総合型と学校推薦型というのは,ほとんど内容的には変わらない。強いて言えば,推薦書があるかどうかの違いというようなものなんだろうなと。指定校の場合には,推薦の場合にはそういうものも必要とするということも言えるかもしれませんが,実質的には同じようなものだと考えられます。
 今回は,1か月ほどの出願日程が違っているだけにすぎないので,ある意味,将来的にはこれは1つにしていっていいのではないかなと。推薦書がある場合とない場合の違いがあるだけだということではないかと受け止めております。
 私からは以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 ほかには何か御意見ございますでしょうか。
 西郡委員,手を挙げていただいたと思っております。よろしくお願いいたします。
【西郡委員】
 佐賀大学の西郡です。
 ここに書いてある,多面的な評価というところについてなんですけれども,改めて今,気づいたんですが,実施要項には多面的・総合的な評価というふうに,総合的なという評価も本来,入っているはずなんですけれども,これまで資料を確認すると,全部,多面的な評価を中心に議論が進んでいると思います。
 多面的な評価となると,まずは学力の3要素を多面的に評価するというような形で議論をしていますけれども,総合的な評価だと,例えば受験生本人を,様々な選考資料を用いて総合的に評価するというのもあるし,ほかの受験生の状況とかを見て,受験者集団全体を見て総合的に見るというような考え方もあるのではないかと思いますので,多面的な評価だけではなく,総合的な評価というのをどう位置づけるかというところはしっかり,今後の議論を進める上で,確認しておいたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。非常に貴重な御意見かと思っております。
 今の点について,事務局のほうから補足とかございますか。よろしいでしょうか。
 総合的と言ったとき,学力検査,学力以外の点も評価の対象にするのか,それとも,語学教育ですと4技能と表現力,あるいは判断力等が,必ずしも分離して評価することもできないので,総合的に評価するという考え方でおっしゃっていた場合もあるかと思っております。
 ですから,総合的なというのをどういうふうに評価するか,学力の中でのいろいろな組合せ,統合的な能力という意味なのか,それとも,学力以外の様々な活動も併せて評価するという意味なのかということですね。その辺りは共通理解があったほうがいいかなと私も思います。
 何か御意見ございますでしょうか。
 田中委員,よろしくお願いいたします。
【田中委員】
 田中でございます。
 先ほどの圓月先生のお話にも私学の件がありましたけれども,ちょっと話がずれるかもしれませんが,私も私立短期大学なものですから,実際,いわゆるAOと指定校,公募,それから一般入試というのは大体,割合が2対7対1とか3対6対1というぐらいの感じなのではないかなと思います。つまりほとんどは私学,特に短期大学の場合は,指定校推薦,つまり推薦入試を行って,そこでは当然,面接もあり,小論文もありという形になっていますので,今までの御議論の中では,いわゆる多面的評価は既に行われているということになるのかなという気はいたします。それが短期大学の現状かなと。
 実際,短期大学の数字で言えば,7割近くが定員割れを起こしているということもありますし,私立大学でも,3割でしたか,圓月先生。そのぐらいは定員割れを起こしている。しかも,中央に関してはある程度定員充足しており,なおかつ倍率は出ているでしょうけれども,地方へ行けば行くほど非常に厳しい状態があるということは,これまた現実問題としてあるわけです。
 そういう中で,どういう形でこれから高校と大学が連携しながら,新しい入試制度をつくっていくかという観点はどうしても必要になってくるのではないかなと思って聞いておりました。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。非常に貴重な御意見だと思います。
 それでは,石崎委員も手を挙げていただきましたので,よろしくお願いいたします。
【石崎委員】
 ちょうど今日,資料3が出ているので,それの2ページのところに,入試方法という項目があるわけなんですけれども,ここに書いてあることは,要するに,一般選抜だけじゃなくて,多様な入試方法を工夫することが望ましいと,まさに第3の2のところに書いてあるわけですね。
 だから,多様な入試方法を工夫することが望ましいという前提は,ここで継続していくという理解でよろしいんでしょうか。多面的な評価をもちろん大事する入試もあるけれども,大事にしないとは言わないけれども,そうじゃない入試もあるかもしれないし,多様な入試方法が望ましいという理解でよろしいんでしょうか。
【圓月主査】
 これも非常に貴重な御指摘かと思っております。何か御意見ございますでしょうか。
 こちらは事務局から,何か補足はございますか。よろしいか。
 ここしばらく大学改革といったとき,やはり入試の多様化というのが,ここ20年ぐらいでしょうか,キーワードになっていて,いろいろな形で,いろいろな能力を持っている若者に高等教育の機会を提供する,それが目的だというふうに大学の中でも理解されていると思っております。その原則はやはり守るということでよろしいでしょうか。そのような問題提起だったと思っております。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 今の石崎委員の御意見ですけれども,事務局としても,石崎委員の御意見,御理解のとおりだと考えております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 それでは,やはり入試の多様化というものは非常に重要な一つの基本方針であるという点に関して,何か御意見ございますでしょうか。
 それでは,ほかの点でも結構ですので,いろいろ1ポツのアンダーラインのところで,御意見等ございましたら,今後また整理をさせていただきますので,御自由によろしく。
 柴原委員,手を挙げていただいたでしょうか。ありがとうございます。
【柴原委員】
 柴原でございます。
 資料2の1ページの(1)ですけれども,そこに2つ,何々でよいかという表現がございます。2つ目の,「多面的評価は総合型・学校推薦型においてより親和性を有することを明確にすることでよいか」という問いがございます。
 それを踏まえて,私,疑問だったのは,今年,出されている予告がありますね。資料3の2ページなんですけれども,今,石崎委員がお話しくださったところ,「第3 入試方法」とございます。その入試方法の1の3行目真ん中から,入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する入試方法,括弧して,「一般選抜」とあります。
 そうすると多面的・総合的なのは,いわゆる総合型選抜じゃなくて,こっちで適用しなさいという趣旨で書かれたと理解しても,それで理解は間違っているでしょうか。
【圓月主査】
 ありがとうございます。
 御意見ございますでしょうか。
 事務局から,何か補足説明していただける点はございますでしょうか。難しい質問をいつでも振ってしまって恐縮ですが,よろしく。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 基本的に,こちらの実施要項に書かれてある文言のとおりなんですけれども,一般選抜についても,多面的・総合的に評価・判定する入試方法によるということでございます。
 さらに,総合型,推薦型,下のほうに定義が書いてありますけれども,こちらについても,多様な入試の方法を工夫することが望ましいというような,基本的にはここに書いてあるとおりの定義でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございます。ここに書いてあるとおりということで。
【柴原委員】
 ですから,これを素直に読みますと,親和性が一般選抜よりも,ほかの選抜よりも高いと書くことが果たしていいのかどうか,ちょっと疑問なんです。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございます。非常に重要な御指摘かと思います。
 次回以降,もう少しその辺りの整合性等も考え,また妥当性等も判断して,資料を見直しておきたいと思っております。宿題ということにさせていただきたいと思います。
 長塚委員,手を挙げていただいたでしょうか。
【長塚委員】
 今の御意見に関連して,私も気になる資料がありまして,念のため確認したいのですが,参考資料5,一番最後の基礎資料という分厚い資料なんですけれども,120ページに,今回の入試区分が3つ,表組みになっているんです。
 その一番右側に,一般選抜(一般入試)ということで,(概要)というのがあるんですが,これがまさに,今お話しいただいたような,能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価する入試方法だという説明になって,赤字でいろいろな入試方法が列挙されているんですが,これは実施要項からそのまま取ったとも言えるんですけれども,「筆記試験に加えて」とか何か書かないと,この一般選抜のところは少し趣旨が,むしろ総合型の内容のようになっているわけなんですね。細かいことで恐縮ですけれども,事務局で後で確認していただきたいんです。
 それから,真ん中のところの学校推薦型選抜のところに,(概要)の2行目に,「原則として学力検査を免除し」と書いてあります。これはたしか免除しないことになったはずなんですね。
 ということで,これは古い表記をそのまま載せて,こういう基礎資料になっている可能性があるなと,私の勘違いであればいいんですが,ここは念のため,後で確認していただきたいなと思いました。ちょっと余分なことなんですが。
 あわせて,ついでに意見を言っていいでしょうか。
 1ポツの(2)のほうです。「主体性」を評価することについてというところにかかる,1ページから2ページになるんですけれども,最初のマルポツで言うと,調査書とか希望理由書,活動報告書,面接などにより評価するということでよいかと,あります。主体性についてですね。
 項目としてはそのとおりでいいんですが,どうも書類と面接というのは,これは性質がすごく違うものだと私は思うんですね。書類を用いて,人物に実際に会って,やり取りをしながら確認していくというような性質のものだと思うんです。調査書も,理由書も,活動報告書も,それは書類なんですね。
 ですから,そこのところをもう少し,ある意味,大事な点として,人間性と言っていいのかですが,書類だけとか,あるいは筆記だけではなくて,人間性を見る,人物面を見るということも,多面的・総合的に見るという意味で,非常に重要なポイントだと思うんです。
 一般選抜で,そこはなかなか日程的に難しいという論点はずっとあるんですけれども,ここを何とかやっていくことが望ましい。もし仮に一般選抜でも何らかの面接をするとなれば,必ずや書類を必要とします。書類なしに面接というのは,これは難しいので,そういう意味では,筆記試験だけではない多面的・総合的な評価に,一般選抜においてもつながっていく。
 日程的な問題や,やり方は相当工夫しないといけないと思うんですが,そういう方向に行かないと,特に情意的な主体性を見るというときには,書類だけでは難しい。やっぱり人物に会って確認していくような作業があることが,主体性評価の根幹ではないかと思います。
 それからもう一つ,マル2つ飛んだところに,学校のふだんの学習場面の主体性と学校外のところを分けて,学校外のところは生徒から出してもらう,志願者自身がそれを証することを原則とすることでよいか,とあります。
 私はそれしか,ある意味,方法はないと思うんです。教員が学校外のことを書こうとしたら,やはり生徒に確認するしかないんです。それを全部,教員が証明するということはなかなか難しいわけで,そこは直接,本人から提出されたものを確認していただくということが,むしろ大事ではないかと思います。
 これから18歳が成人年齢ということになります,今の高1生から。その点,大人として自ら責任を持って,自らそういうものを提出していくということも含めて,大事なことなのではないかなと。本人がそういうものを出していくということが必要ではないかと思っております。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。どれも貴重な御指摘かと思います。
 参考資料の表現等に関しましては,次回までにまたチェックをさせていただきます。確かに(2)のところ,書類と面接という方法が混在しているところもあるので,もう少し洗練された形でまとめたいと思っております。
 それでは,石崎委員,手を挙げていただいているでしょうか。よろしくお願いします。
【石崎委員】
 さっきの一般選抜の調査書だ,学力検査だ,小論文だと書いてあるという話なんですけれども,結局,これらを多面的・総合的に評価・判定する入試方法なんですけど,全部使えということではないんですよね。
 学力検査だって,5教科やる大学もあれば,2教科,3教科という大学もあるわけで,これらのうちの何を使って大学入試をするのかというのを,各大学がそれぞれ求める学生に応じて御判断されていると思うので,そういう意味では,さっきの発言で確認させていただいた,入試の多様性を確保していくんですよねというところで,必ずしも多面的というか,主体性だけは必ず評価しなくてはいけないとか,そういうことではないという理解だと思うので,そういう視点からいうと,多面的評価は親和性がある入試方法があったり,親和性がない入試方法があったりするというのが明確になることはいいのかなと考えています。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。多面的な評価というもの自体に,ある種の多面性というものがさらにあるという形になってくるということかと思っております。
 そうしたら,柴田委員,手を挙げていただいているでしょうか。
【柴田委員】
 今,一般入試のことについて,いろいろ議論がありまして,大変参考になるんですけれども,1つ御留意いただきたいのは,資料3になるんでしょうか,実施要項の3ページのところに,「第4 試験期日等」というのがございまして,2で,(1)の試験期日というのがございます。これは一般入試についての記述なんだと思いますけれども,2月1日から3月25日と定められているんですけれども,その下のなお書きなんですが,小論文等,プレゼンテーション,口頭試問,実技等の評価方法については,2月1日よりも前から実施することができるという記載があるわけです。
 そうなりますと,前倒しもできるのかなと。いろいろ工夫すればこういうものも,先ほどのまとめのところに書いてあるように,一般選抜では入試日程との関係というのも,弾力的に運用すれば,できないことはないというくくりになるのかなという具合にも読めると考えた次第でございまして,できるだけ一般入試においては多面的な評価というのを,ぜひにということではないんでしょうけれども,どうもこれを読むと,単なる筆記試験,学力検査だけでは多面的とは言えないのではないかというような書きぶりになっているように思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。正確な御指摘かと思っております。
 それでは,西郡委員,手を挙げていただいているでしょうか。
【西郡委員】
 西郡です。
 資料2の2ページの上のほうになるんですけれども,志願者の「主体性」を評価することについてというところで,主体性を評価するとは,「主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」について,各大学のアドミッション・ポリシーに応じてというところがあるんですけれども,選抜実施要項でも,アドミッション・ポリシーに基づき多面的・総合的に評価するということがありますが,主体性を評価する際に,アドミッション・ポリシーに基づきというところの解釈が,多くの大学によって,どう捉えていいのかというのが結構,悩んでいるところではないかと思います。
 例えば,主体性を持ち云々のところを,主体性と多様性と協働性という要素に分けて,それぞれをいろいろな手法を用いて評価しなければならないと考えている,これらを直接的に評価しようと捉えているところもあると思いますし,アドミッション・ポリシーに応じて,基づきというところがあるので,それを少し拡大解釈といいましょうか,少し解釈を広げて,主体性を持ち,多様云々のところを,大学のアドミッション・ポリシーの観点から再定義する。
 例えば,学びに向かう態度であるとか,場合によっては,リーダーシップを持っているとか,積極性であるとか,そういった再定義まで含めて,アドミッション・ポリシーに応じてという形を読み取っていいのか,そこら辺をしっかりと分かるような形で発信する必要があるのかなと考えています。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。御指摘のとおりかと思います。アドミッション・ポリシーとの関係というものについて,大学にもさらに正確に発信する必要はあるかと思っております。
 星野委員,手を挙げていただいているでしょうか。よろしくお願いいたします。
【星野委員】
 星野でございます。
 先ほどの柴田先生からの御発言を受けて,実はこれまで,この会議の中でもあまり取り上げられていなかったことに,ふと気がつきました。と申しますのは,一般選抜の中で,多面的・総合的評価を行うというために,先ほど柴田委員のほうから御指摘がありました,実施要項の,2月1日以前から小論文やプレゼンなどができる。これを一般選抜にもし適用しようとすると,実は,国公立の場合ですけれども,志願者が志願をする日程を早くするというようなことをしないと,物理的には難しいということになります。
 これまで,いわゆるセンター試験,共通テストの結果を受けて,そして,自己採点等によって志願先を決めていたということがあります。それによって,どうしても物理的な時間というものの制約が大きくかかってくるというわけなんですけれども,もしこれを外せば,要するに,志願先はあらかじめ前もって出していただくというようなことができるとすると,そういう時間的な余裕,いわゆる筆記試験ではない,プレゼンだとか小論というのを一般選抜の中でも実施できるのかなと,今ふと思いました。
 ただ,これは恐らく受験者とか高等学校関係者がどのようにお考えになるかに大きく依存するかと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。入試日程に関しましても,考えていかなければいけないでしょうか。
 もう一つは,やはり大学のほうでも設置形態別に違いもあります。私学の場合などは,そういうことがどういうふうに耐えられるかという問題と,そして何よりも,高校生の受験生の方,志願者の方が,無用に何か負担が増えるようなことになれば,教育的にもよろしくないということにもなるので,その辺りも検討していきたいと思います。
 石崎委員,また手を挙げていただいているでしょうか。
【石崎委員】
 今のお話で,おっしゃることはすごくよく分かるんですけど,今の仕組みは,大学入学共通テスト,昔で言えばセンター試験を受けて,自己採点をして,点数を見てから出願先を決めるわけですから,それからでないと出願できない仕組みだから,そこを変えないとなかなか,それより前にそういったことを行うのは難しいのではないかなと思って,ちょっと補足させていただきました。
【圓月主査】
 ありがとうございました。非常に現実的な御指摘だと思います。
 柴田委員,手を挙げていただいているでしょうか。よろしくお願いします。
【柴田委員】
 今の星野委員,それから石崎委員のお話に関連することなんですけれども,星野先生が御指摘のように,国公立は一般選抜では,分離分割方式ということで,日程を決めてやっておりますので,現実にはなかなか厳しいことだと思うんですけど,実を申しますと,公立大学の中でも,分離分割をやっていない大学がございまして,そういう大学は,かなり早くからいろいろな選抜をやっているやに聞いております。それが1点。
 それから,石崎先生の御指摘,確かに今,高等学校の生徒さんたちは,採点等々してから志願を決めるというのが国公立では行われているわけでして,これが大きなタイムリミットといいますか,時間的な制約になっているんですけれども,イギリスの制度というのが,御承知のように,レベルAというようなものは参考にしますけれども,たしか私どもが視察した十数年前は,志願するときにはレベルAはまだ受けていないというか,まだ結果が出ていない。それで大学も仮合否を出す。レベルAをクリアした人が最終的な合格となるというシステムもあるという具合に聞いていまして,日本では自己採点というのを非常にセンシティブにやっていますけれども,逆にあれが大きな偏差値と申しますか,大学志願校のクラス分けにもなる,少し検討すべき制度ではないかなと,個人的には以前から思っておりました。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。貴重な御意見かと思います。
 ほかには。あと2つのパートもございますので,1ポツに関しましては,もしございましたら,あと1つか2つ程度にして,次のところに移りたいと思っているんですけれども,いかがでしょうか。
 それでは,後からまた,必要であれば戻っていただいても結構ですので,2ポツのアンダーラインのところですけれども,「調査書の在り方及び電子化手法の在り方について」に関して審議を進めたいと思っております。そちらのほうに御意見がございましたら,ぜひお寄せいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 星野委員,手を挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いいたします。
【星野委員】
 星野でございます。
 3ページ目の2つ目のマル,「学習成績の状況」についてということで,これは事務局のほうから最初に,単純平均でいいのか,例えば取得した単位数などの係数を掛けるというような方法もありますけれどもという紹介がありましたけれども,それ以降,この会議の中では,特に課題として上がってきてはいなかったかと思うんですが,これは要するに,そのことについて,これからまた引き続き議論をしていくということでしょうか。
 これは事務局に聞いたらいいのかな。
【圓月主査】
 私と事務局の問題かと思っております。
 事務局のほうから,補足説明がありましたら,いただけるでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 今,星野委員から御指摘がありましたように,会議の第1回目の際に,こちらの論点を示させていただいておりましたが,その後,特にこの論点に関して,各委員からの御意見でありますとか御発言はございませんでしたので,改めて,こちらの論点案でお示しいたしまして,御意見があれば伺いたいと思っております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 逆に言うと,特に御意見がなければ,現行の単純平均のままで,大きな問題はないのではないかということになるのかなと思っていますけれども,私の理解は間違っているでしょうか。
 この点についてはちょっと打合せをしたんですけれども,意見がこれまでございませんでしたので,強く書く理由もないし,今のところ取り下げる理由もないのかなというのが正直なところでございます。
 事務局,何か補足はございますか。即答は難しいですか。
【星野委員】
 星野でございます。
 もしこの点を議論していくということになると,例えばこれまでのAO入試であるとか推薦入試等では,この辺を使ったりしていますので,シミュレーションをしてみないと,どういうふうになるのかというのが分からないと思います。ですから,取得した単位数等の係数を掛けるとかということになると,少しそういう作業が必要になってくるかなと思います。
 私個人的には,今までの単純平均でも構わないような気がいたします。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。それでは今後,御意見がございましたら,一度ちょっとシミュレーションもしてみましょう。単純平均に対して加重平均という言葉でよろしいんでしょうか,そのようなものも必要かどうかという点についてですけれども,御意見がございましたら,またシミュレーションの資料等も準備できるようにいたします。
 ほかには何か。石崎委員,手を挙げていただいているでしょうか。よろしくお願いします。
【石崎委員】
 今の学習成績の状況の話なんですけど,調査書に科目の成績と単位数が出ていれば,必要に応じて計算できることなので,あまり細かく,こういう加重平均をしなさいみたいなことを決める必要はないのかなと思います。
 ただ,今は科目ごとの単位数が載っていないからできないのかもしれないんですけれども,いずれにしても,科目の成績とその単位数が調査書に書いてあれば,どのようにでもウエートをかけて計算を,各大学でできる内容なのかなと考えます。
【圓月主査】
 ありがとうございます。そのようなことも考えさせていただきます。
 柴原委員,手を挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いします。
【柴原委員】
 柴原でございます。
 これは事務局にお聞きしたいんですが,書き方の問題で,ちょっと教えていただきたいんですが,1ページから今までのところは,こういうことでいいですかという文末になっているんですが,3ページの3つ続いて,引き続き方向性を整理することでよいかという書きぶりになっているんですね。この意味について,ちょっと教えていただけるでしょうか。
【圓月主査】
 それでは,補足説明をお願いできるでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 こちらの文末の書き分けの部分につきましては,資料1でもまとめておりますとおり,これまで出た意見を踏まえて作成したものです。これまでの意見を踏まえまして,方向性について,まだ引き続き,例えば両論併記のような形になっていて,集約といいますか,取りまとめが必要なところについては,後者の書き方,引き続き方向性を整理することでよいかというような表現にしております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 その説明でよろしいでしょうか。
【柴原委員】
 それだったら,論点整理が出たときに,この項目については今後検討が必要という形になるんでしょうか,こうだという断定ではなくて。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 こちらはあくまで現段階の論点の案でございます。引き続き検討しまして,一定の方向に議論を集約していくというようなこともありますし,両論併記の形になるようなことも,可能性としてはあると思っておりますが,これはこの会議のこれからの議論次第だと思っております。
 以上でございます。
【柴原委員】
 ありがとうございました。
【圓月主査】
 今後,できるだけ分かりやすく整理するように努力させていただきます。よろしくお願いいたします。
 長塚委員,手を挙げていただいているでしょうか。
【長塚委員】
 長塚です。
 2ポツに括弧が3つあるので,少しずつ意見を言わせていただきたいのですが,まず,次期指導要領によって調査書を変えるということ,これが,変えざるを得ないわけですけれども,指導要録が簡素化されていくというのが,働き方改革があるからだというのは,それもなくはないんでしょうけれども,どうもそれは,ある種の口実とまでは言いませんけれども,本来は指導要領が変わって,要録も変わって,その趣旨は,コンテンツよりもコンピテンシーというんでしょうか,資質・能力ベースで見ていこうということがあるわけです。そのために,評価や,記録の仕方も変わっていくということがあって,形式的には簡素化に見えるわけですけれども,そこが趣旨だと考えていくべきだと。それに合わせて調査書も変えていくというのは,これは必然なんだろうと思います。これが(1)のところですね。
 もう一つは,調査書の備考欄に,大学や学部ごとに異なる具体的なことについて書くことを,今度は志願者本人から求めるということでよいかという点です。また,先ほどの1ポツと同じような論点が出ているんですが,これもそのとおりなんだろうと思うんですね。指導要録以外のことは,やっぱりこれは志願者本人が出すべきでしょう。
 その際に,前にもちょっと申し上げたんですけど,生徒にとっては,大学側がそれぞれ何を求めてくるか分からないというのでは困ります。すでにある程度,活動報告書というもののイメージ例が出されていますけど,これらを大学側も意識して,こういうことを求めたいということをあらかじめ言っていただかないと困ります。調査書は教員が責任を持って,それは評価もし,記録していくんですけれども,生徒のほうはそういう意識がないまま過ごしてしまって,最後に,これを求めます,あなたが出すんですよと言われると,大変困るんだろうと思うんですよね。
 ですから,そういう出願に必要な書類というか,その中身のところは,今まで以上によりはっきりしておかないといけないと思います。
 それから,観点別のことが(2)に書いてありますけれども,これは実は,今回の入学者選抜実施要項の変更でも,高校から出す推薦書に,学力3要素について必ず書くように求めることとなっているんですよね。これは,念のため確認してよろしいでしょうか。参考資料2に,今回の予告における多面的・総合的評価の実施についての抜粋部分だけが,4ページにわたって抜粋されておりますが,3ページ目に書いてあったと思うんですが,すみません,4ページ目ですかね,私が今,ちょっと見落としています。
 すみません,推薦書に学力3要素のことを必ず書きましょうと,求めることとなっていたと記憶しているんです。これが果たして今回の大学入試で,各大学さんが推薦書にそれを求めているかどうかまでは,私は確認していませんけれども。そして今度は,観点別の評価が,いわゆる学力3要素なんですね,科目別に。それで,入試全体も学力3要素に基づいて多面的に評価するとなっているわけですよね。ある意味,二重になってきているわけです。
 ついては,観点別を今,直ちに次の調査書に求められると,私は,少なからず混乱すると思っているんです。しかし,特に主体性を含めた3要素の状況を,推薦書に書くようなことは可能ではないか。というのは,今も求めているわけですから,これを継続して,推薦書に観点別の全体状況を書き込んでいくというようなところから始めるのが無難かなと思っているところなんです。これが,(2)ですね。
 あと,(3)の調査書の電子化の在り方について,これに関しては,大学さんがウェブ出願をどの程度,もう既にやっておられるかが気になります。文科省のほうでも数年前,お調べになったということなんですが,これはウェブ出願とリンクした話ですので,各大学がウェブでどれだけのやり取りができるような体制になっているのか,その辺を調査していただいて,あるいは調査されているのかもしれませんが,その辺を明らかにしておかないといけないのではないかなと思います。
 ちょっと長くなりました。以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。どれも非常に重要な問題と思っております。大学が提出を求める資料というものも,大学の側でもはっきりと理解しておく必要もあるでしょうし,最後のウェブ出願がどの程度か,実態も正確に把握する必要があるかと思っております。
 観点別につきましては,何か事務局,補足していただける点,ございますか。先ほどの参考資料のところなど,ありましたら。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 今の長塚先生から御指摘のありました推薦書の話になりますけれども,参考資料2は予告の通知でございまして,実際,大学入学者選抜実施要項にどのように反映されたかということにつきましては,資料3になります。
 資料3の2ページの下のほうの(2),学校推薦型選抜の入手方法を説明するところのマル2でございます。こちらの推薦書の中に,入学志願者本人の学習歴や活動歴を踏まえた第1に示す3つの要素に関する評価や,生徒の努力を要する点などその後の指導において特に配慮を要するものがあれば,その内容について記載を求めるというような,現在の内容になっております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。正確な補足をしていただき,感謝しております。
 何か御意見ございますでしょうか。長塚委員,何かございますか。
【長塚委員】
 予告と実際の実施要項で違っている点がもう1点あるので,後でまたその点を確認したいと思っておりました。ありがとうございました。
【圓月主査】
 ありがとうございました。貴重な御指摘だったかと思っております。確かに,多面的評価が推薦書や観点別という形で,言わばミクロレベルでも働いているし,入試制度全体が3つの要素に基づいた多面的なもの,マクロレベルでも多面的でなければならないというのが,ともすると混乱の原因にもなり得るのかも分からないですね。ちょっと気をつけておきたいと思います。
 ほか,何かございますでしょうか。特に誘導するわけではないですけど,観点別に関しましては,今回は初等中等教育局のほうからも事務局に参加してくださっていると聞いておりますので,何か御意見がございましたら,それも含めてよろしくお願いいたします。
 この観点別につきましては,例えば,大学のほうもあるんですけれども,高校のほうからも何か実態というか,そういうものがございましたら,差し障りのない範囲で教えていただけるとうれしく思うんですけれども,難しいでしょうか。
 では,催促したみたいですけど,石崎委員,よろしかったら,差し障りのない範囲でちょっと教えていただいたらうれしく思います。
【石崎委員】
 確かに,高等学校でも観点別評価は,今でもやらなくてはいけないことになっているんですけれども,実際は行われていないというのが実態なので,高校だけしか教えていない先生というのは,観点別評価のやり方が分からないというような実態もあります。
 ここ10年ぐらい,もうちょっとか,公立の中高一貫校ができてきて,中学校というのは観点別評価を厳格にやっているので,そういう学校の中で,私も中高一貫校にいたことがあるんですけれども,中学校の先生が高校の先生方にやり方を教えながら,観点別評価がやれるようになっていくみたいな実態もあったりして,実際に観点別評価をこういうふうに導入しなくてはいけないとなれば,それはすぐ定着していくのかなと思います。
 そんなことでよろしいでしょうか。
【圓月主査】
 どうもありがとうございます。
 そうしたら,長塚委員も,差し障りのない範囲で教えていただいたらうれしく思います。
【長塚委員】
 高校現場としては,これは今,学校内でプロジェクトチームをつくって,どういうふうにするか研究しているんですね。もう迫ってきていますので,どういうふうにするかを決めなくてはならないんですが,以前,これまでは4観点が基本だったんです,各教科の中で。例えば中学校から出されてくる調査書なども,4観点で,Aが4つついていれば大体5だったり,1つ,2つ抜けていると4だったりという,観点からまとめていって評定化するという考え方が割合多かったようにも思うんですが,今度は3観点になって,では,3観点が3分の1ずつの重みがあるのかというと,そうはいかないだろう。
 そうすると,知識・技能のところのウエートを何%にするのかとか,主体的に学ぼうとする態度を何%にするんだろうとか,その重みづけは教科,科目によって違ってくるだろう。また,学校によってももちろん違うだろう。ですから,科目ごとに,3観点について,A,B,Cが3種類並んでいても,それを大学側が単純に受け止めることはなかなか難しいんだろうと思うんですね。
 そういう,まだ実は入り口にある状況でして,ある意味,公平にそれでもって判定されるとなると,我々のほうも,あまり厳しい評価をつけにくくなるということも含めて,まだまだ研究不足だなと言わざるを得ないというのが正直なところだと思っています。
 でも,この3観点で学力を形成していかないと,新しい学力をつけることはできないということは一致しているんだろうと思っています。
 そんなところでしょうか。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。難しい問題ですけれども,具体的に教えていただいて大変うれしく思っております。
 何かほかには。それでは,西郡委員,手を挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いします。
【西郡委員】
 西郡です。
 大学の立場としては,観点別評価という形で評価されたものがデータとして来れば,評価は非常にしやすくなると思います。それは高校の先生方がしてくれた評価ということで,今以上にしやすくなると思うんですが,一方で,今回の高校の観点別評価というのが,指導と評価の一体化という目的がある中で,それを選抜において使うとなると,これはこれで,ちょっと慎重に議論しなければいけない問題だと思います。
 ですので,そこを選抜に使うことで本来の趣旨である形成的評価の部分が損なわれるのであれば,ここでしっかりと議論をしたほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。適切な御指摘かと思っております。
 形成的評価と到達度評価というんでしょうか,それをきちんと整理しておかないと,生徒さんが混乱してしまうかもしれません。また,指導の現場が混乱してしまうということになれば,決してよろしいことではないので,それは避けるようにしなければならないと思います。
 ほかは,観点別以外でも結構ですし,2ポツの他のところでも結構です。柴田委員,よろしくお願いいたします。
【柴田委員】
 私の理解では,(3)の調査書の電子化というところは,最初は押印の問題があって,ペーパーベースからなかなか動けなかったのが,それが可能になったという具合に聞いているんですけれども,実態として電子化がどれぐらい進んでいるかというような把握は,文科省さん,できておられるのか,ちょっとお伺いしたいなと思いまして,いかがでございましょうか。
【圓月主査】
 事務局のほうから,こちらも差し障りのない範囲でというか,今のところのもので,よろしくお願いいたします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 今の柴田先生のお尋ねですけれども,こちらとしてデータは持ち合わせていないのが現状であります。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。今まだ現在進行形で進んでいる問題でもありますので,なかなか難しいのかも分かりませんけれども,何か参考になるものがあれば,また用意させていただきたいと思っております。
 ほか,何か御意見ございますでしょうか,2ポツのところで。
 そうしたら,星野委員。
【星野委員】
 星野でございます。
 今,柴田委員からお話がありました,調査書の電子化の在り方についてと,それから,先ほど議論になっておりました観点別評価のところ,私は,ここはリンクしているかなと思います。
 と申しますのは,先ほど長塚委員のほうから,例えば推薦入試などで,まずは観点別評価,推薦書でそれを表記するというようなことでしたけれども,それは同様に,調査書のほうにも表記をいただければと思います。
 推薦入試で,そのように大学側にも情報が伝わらないと,果たして入学者選抜,例えばほかの一般選抜であるとかというところで,どういうふうに評価をしていったらいいのかということが,大学側には情報がないと,大学側で使いようがない。そうすると,観点別評価はずっと使えないままになってしまうということになりかねないと思います。
 そういった意味では,調査書を電子化するに当たっては,限定的に,例えば学校推薦であるとか,総合選抜で使うというような前提の下で,やはり観点別評価の項目はぜひ入れておいていただけないと,後々入れるというのがどのぐらい大変なのか,簡単なのか,私はよく分からないんですけれども,その辺は井上委員のほうにもお伺いをしたいんですが,ちょっと将来的なことを考えると,やはり観点別評価の項目は入れておいたほうがいいのではないかなと考えます。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 何か御意見ございますでしょうか。
 そうしたら,長塚委員が手を挙げてくださったでしょうか,新たに。長塚委員,よろしくお願いいたします。
【長塚委員】
 度々申し訳ありません,この件に関しては,私は言い出しっぺなもので。
 この件に関して,先ほど事務局のほうで確認していただいたとおりなんですが,参考資料2の4ページ目に推薦書のことが書いてあります。これは4ページのところでしたね,予告の段階では,推薦書の見直しで,3要素の記載を必ず求めることとすることになっていたのが,少しトーンダウンして,記載を求めるという程度になっているということですね。
 しかし,現場からまだあまり悲鳴は上がっていませんけれども,各教科の学習評価を3観点でして,それをまとめて推薦書に書けるのか,これは現状でまだあまりスタートしていないようなことが求められていたので,多くの高校でもそんなに動けていないのかなと,正直なところ,思っているんです。何らかのことは書けるんですが,あまりエビデンスなしに,学力3要素の推薦書への記載をしている可能性があるんですよね,現状では,書いたとしても。
 今後はそこは,こういう評価をしっかりやっていくことになるので,そもそも推薦書に書くというのであれば,総合的には書けるだろうというのが1つと,同じ参考資料2の3ページ目に,調査書や提出書類等の改善の活用の在り方というのがあって,これは予告であったんですけれども,実際の実施要項では抜けてしまった点なんですね。
 活用の在り方で,調査書等の活用に当たり,総合型選抜と学校推薦型選抜を中心に,各高校が定める運営の方針とか,各設定教科・科目などの内容,目標に関する情報を,各大学が必要に応じて提供を求めることができる旨を実施要項に明記するとなっていたんです,予告では。
 しかし,これは実施要項には明記されませんでした。実施要項を作る段階でも,私,文科省のほうに,これを予告されているけど大丈夫と言ったんだけれども,最終的には,この項目は入らなかったですね。
 つまり,各高校の運営方針というのは,そんなにまだ明確になっていないという実態はあるのかもしれません。その上に立って,各学校が求める資質・能力をはじめ,今,言っている3観点の観点別評価の考え方などを各学校が出さないと,大学さんが一律的に観点別評価を使うということはなかなか,ちょっと高校側と大学側の,出す側と受け取る側の間で,ずれがあるのかなという気がしてならない。
 この運営方針というのを,今後出せるかどうかですね,各高校が。そういうところに盛り込んでいくことが,その上で,例えば推薦書に書いている3観点の各学校,高校側の考え方,基準性なども出していかないと,言葉だけをどう書くかというふうになりかねないなと思っています。
 かなり細かいことを申し上げましたけれども,気になるところなので,すみません。以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。そういう細かいところもしっかりとやっておかないといけないと思います。
 ちなみに,要項の6ページぐらいのところには,志願者本人が記載する資料等の活用のことが,事項に関しては予告のとおりであるという趣旨で,一応は書いてあるのかな。この辺りはどうなんでしょうね。
 事務局,何か補足していただけますか。私も,予告とこれとの整合性というのはあまり考えたことがなかったんですが。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 今,長塚委員御指摘の部分につきまして,要項の3ページの「第5 調査書」の一番下の項目,第5の2,各大学は,入学者の選抜に当たり,「見直しに係る予告」で示した調査書の活用の在り方を踏まえ,調査書を十分に活用すると,ちょっと丸めた表現になっておりますけれども,こういった記載はございます。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。調査書のほうは3ページということですね。活動報告書等に関しましては,同趣旨の文章が6ページに一応あるのかなと思っていますけれども,そういう理解で間違っていないですね。
 ただし,どういうふうに実際に書くか,難しいところがありそうですね。事務局,何か補足していただけますか。よろしいでしょうか。
 そうしたら,柴原委員がまた手を挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いいたします。
【柴原委員】
 柴原でございます。
 観点別評価のことについて,先ほど来,話題になっていますけれども,高校生たちから見たら,初中局,高等局関係なしに,文部科学省という見方を当然するわけですね。そういう中で,文部科学省の中で,中央教育審議会に教育課程部会か何かがあって,そこで,子供たちの評価に関する在り方について,去年1月あたりに多分,答申か報告が出ていると思うんです。
 その中で,評価が大学入試選抜なんかに活用される場合に,何か表記があったような記憶があるんですけど,そういうものは何か事務局,記憶にあるでしょうか。その中に,観点別の仕方についても多分,記載があったと思うんです。うろ覚えで悪いんですけれども,そこであったことを踏まえて,やっぱり入試にも活用していくことをきちんとする必要があるのかなと個人的には思っています。
 以上です。
【圓月主査】
 事務局,何か補足していただける点はございますでしょうか。即答はちょっと難しいですか。即答が難しかったら,次回までに一度ちょっと調べさせていただく。今日は初等中等局のほうも事務局に入ってくださっておりますので,いろいろ確かめた上で回答させていただきたいと思っているんですけど,そういうことでよろしいですか。
 事務局,どうぞ。
【小川大学振興課専門官】
 次回までに確認させていただきます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 柴田委員,よろしくお願いいたします。
【柴田委員】
 柴田でございます。
 私も,観点別評価の行く末には非常に関心を持っているんですけれども,次回,期待したいと思います。
 先ほど長塚先生がおっしゃいました,学校のいろいろな活動とか背景なんかの資料について求めたらどうかということを,予告には書いてあったということなんですけれども,これに関連して,私,帰国子女の選抜というのをやった経験があるんですけれども,諸外国の高校というのは,帰国子女の評価資料に,どっさりと学校パンフレットみたいなものを一緒につけてきて,こういう特色のある教育をうちの高校ではやっていたというのを打ち出してこられる高校が多数あったように思います。
 もちろん日本語でないものですから,それを読み取ったり,それから客観的に評価するというのは,非常に難しいと思うんですけれども,外国ではそういうことを比較的,習慣としておやりになっているんだなという印象は常々思っておりました。
 日本ではあまりそういうことは私,一般入試等でも,推薦でも記憶がないところでございますけれども,こういうものが日本でも慣例になれば,非常に多様な背景,教育を受けてきた生徒さんたちを受け入れる参考になるのではないか,まさに多面的な評価というのが進んでいくのではないかなと感じた次第でございます。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 ほかには何か。先ほど星野委員からだったと思うんですけれども,御専門家の井上委員などの御意見も聞きたいというコメントがございました。電子化について,観点別の問題等が話題になっているかどうか,よろしかったら少し教えていただけるでしょうか。
【井上委員】
 井上でございます。
 観点別のことに関しましては,これは結構いろいろ温度差がありまして,先ほどお話があったように,中高一貫でやられているような学校さんの場合には既に経験されていたりして,また高校でも,普通科であったり,職業科であったり,また,総合学科であったり,いろいろなところがありまして,なかなかこれだというものが決まったものは,まだあまり聞いてはいません。
 実は小中の場合は,意外にすんなりと,地元の地域の校長会とかで方針を決めて,そのとおりにと割合すんなりいったんですけど,高校の場合は,いろいろバリエーションが多くて,なかなか地域でまとまってこうしましょうというようなところまで,それほど進んでいるというのはまだ聞いておりません。
 実際に我々が導入させていただいている,基本的には,公立の場合は都道府県単位で入れさせていただくことが多いんですけれども,そこの中でも結構,県によってばらつきがありまして,必ずしもこうだと決めていらっしゃるところは,まだそれほど多くはないです。
 それよりはまず,調査書に行く前の指導要録で,新学習指導要領のパターンと,それから旧指導要領が混在して進んでいく形になっていますので,調査書を出すときに,例えば浪人生は,どういうパターンを考えればいいのかとか,そこら辺もまだ結論が出ていなかったりとか,我々のほうの指標としては,新学習指導要領と旧学習指導要領と並行していったとしても,データの持ち方としては問題のないような形で,実は,要録のデータの持ち方を決めているんですけれども,そこを調査書に打ち出すときに,どういう運用になるのか,調査書が本当にこの運用でいいのかというのは,まだ明確に固まっていないものですから,現状としては,まだまだこれから検討されていくというのが正直なところで,実際に新学習指導要領の完全実施がもうちょっと先になっていますので,現場では,先ほどお話があったように,どうすればいいかという,現場の先生方が今,もめている最中,また,教科ごとでもまた違った意見がありますので,そこら辺はなかなか,すんなりとこうですというのはまだ言えない状況だと思います。
 でも,目の前に迫っていますので,数か月先にはある程度見えてくるのではないか。それを基に,こういうふうにしてほしいという依頼が業者のほうに参りますので,それをベースに考えていきたいと思っています。
 我々のほうは今,指導要録に関しましては,高校の新しい学習指導要領対応は,標準化がほぼ終わっていますけれども,調査書に関しましては,標準化にはまだ至っていない。これは,各教育委員会さん,学校さんによってバラバラで,まだ明確な要望が出揃っていないものですから,まだちょっと時間がかかるかなと思っているところです。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。貴重な報告というか,情報共有をしていただいて,大変助かります。
 ほかには,何かございますでしょうか。次のパート3,3ポツのところもございますので,こちらのほうの2ポツのところも,あと1つか2つ,ございましたら御意見を伺って,次に移りたいと思っておりますけれども,いかがでしょうか。
 前田室長のほうから何か御発言いただけるでしょうか。よろしくお願いいたします。
【前田大学入試室長】
 先ほど柴原先生から御指摘がございまして,また整理したいと思いますけれども,参考資料3-2に,平成31年3月29日付で初等中等教育局長通知ということで,学習評価及び指導要録の改善についての通知がございます。
 その中の7ページでございますけれども,5のところに,学習評価の改善を受けた高校入試と大学入試の改善についてということがございまして,「学習評価についての基本的な考え方」に示すとおり,学習評価は,学習や指導の改善を目的として行われているものであり,入試に用いることを一義的な目的として行われるものではないことということで,学習評価の結果を入試に用いる際には,そういう特性を踏まえつつ適切に行うことが重要であると書かれておりまして,(2)の大学入学者選抜の改善のところで,一番下のポツでございますけれども,学校における働き方改革の観点から,指導要録を基に作成される調査書についても,観点別学習状況調査の評価の活用も含めて,入学者選抜で必要となる情報を整理した上で検討することとなってございます。
 すなわち,観点別評価の学習状況評価をそのまま入試で活用するというよりも,何をどう整理して活用するかということを示されているというものでございますので,右から左にやるという趣旨ではないという理解でおります。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。正確な補足をしていただいて大変助かりました。
 それでは,2ポツのところ,2番目のところについて,何かほかには御意見ございますでしょうか。今回これだけはというものがございましたら。
 それでは,後からもし必要でしたら,戻っていただいても結構ですけれども,3ポツのアンダーラインのところ,「調査書や志願書本人記載資料の活用及び大学への情報提供の在り方について」です。2のところと重なる部分もあるかと思いますけれども,いろいろと御意見をいただければと思っております。
 石崎委員が手を挙げてくださっているでしょうか。よろしくお願いいたします。
【石崎委員】
 論点というところで言うと,これまでの会議の中でも議論されてきた,電子調査書のシステムの話というんですか,この項目立てで言うと(3)なのかもしれないんですけど,データの管理方法だとか,管理の主体だとか,そういったところの論点というのは,具体的には出てきていないと思うんですけれども,その辺りはやっぱり議論の対象に,論点になっていくんでしょうか。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 この辺りについては,事務局のほうから,今後の予定を先取りするわけではないですけれども,何か御予定があれば,少し教えていただけるでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 今の石崎委員の御指摘につきましては,調査書の電子化の在り方の中に含まれていくのかなと考えております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 よろしいでしょうか。またこの部分も,少し議論を具体化していく必要はあるかなと認識しております。
 ほかには,星野委員,手を挙げていただいたでしょうか。
【星野委員】
 星野でございます。
 すみません,事務局のほうで資料の共有はしていただけますでしょうか。難しいですかね。
【小川大学振興課専門官】
 ちょっと資料の共有はできておりません。申し訳ございません。
【星野委員】
 分かりました。
 実は私,この会議の直前だったんですけれども,事務局のほうにお願いをしたことがございました。それは(2)に関することでございます。(2)では,経済的な条件等に左右されずに,多面的な評価の機会を得ることができるようというような,評価の手法についてということで,これまでも垂見委員のほうから具体的に,方法等についてもお話があったかと思います。
 その中で,大学入試の実務を担当した者として,懸念されることが1つあります。以前,柴田委員のほうからも,実は面接するのに当たって,志願者のほうから家族に関するお話があったということで,少し戸惑われたというお話があったかと思いますけれども,私どものほうでも,その点については多少,現場としては困惑をする面があるかなと。
 と申しますのは,毎年でございますが,近畿高等学校進路指導連絡協議会というところから,入学者選抜に係る要望書というものが出されております。この中には,志願者の保護者や家族に関することを,書類はもちろん,面接時の質問とはしないよう求められております。
 これまでの協力者会議の方向性としては,主に経済的な条件に左右されないというような評価の手法を探るということで,その中の一つに,例えば主体性の評価というところで,家族に対する貢献というようなものもお話に上がっていたかと思います。
 一方で,近畿高等学校進路指導連絡協議会名で出されているものは,経済的な困窮面とは異なる面から考慮されて出されているものと理解をしております。そうすると,経済的困窮者への対応というのが,実は他の志願者にとっては好まざる方法となり得るということも,考慮する必要があるのではないかということを危惧しております。
 この点に関して,高等学校の関係の委員の皆様から,ちょっと御見解をお伺いしたいと考えております。要するに,国のほうからは,こういうふうにしなさいというガイドラインのようなものが出て,一方,現場の高等学校の進路指導協議会というようなところからは,そのようなことは扱わないでくれという要望が来たりすると,大学側としては非常に,どうしたものかと困惑をしてしまうということが懸念されるということでございます。
 よろしくお願いいたします。
【圓月主査】
 ありがとうございました。非常に重要な問題かと思います。資料共有ができなくて失礼いたしました。近畿高等学校進路指導連絡協議会というところですが,質問事項などについて注意するようにというものが出ていて,多分,高校の現場の先生もいろいろ御存じなのかと思っております。
 ですから,本日の議論でいいますと,4ページのところです。垂見委員が御欠席なのは非常に残念なんですけれども,この間から,EquityとEqualityの問題という,複数の委員からも指摘がございました。
 この辺りにつきまして,どのように聞き,また,どのように配慮するのが適切なのかどうかということについて,特に高校の先生方はどういうふうに御理解をなさっているのか,よろしかったらちょっと御意見をいただければと。長塚委員,あるいは石崎委員,髙井委員もよく御存じなのかも分かりませんけど,その辺りの事情,何かありましたら。
 長塚委員,何かありましたら,少し御意見を言っていただけるでしょうか。
【長塚委員】
 例えば高校入試において,行政のほうでも,思想信条とか門地などによって左右されない,公平な入試を行うことということが,むしろ公平性の立場から,そういう留意事項をあらかじめ示されて,それに沿って行っているわけですが,これは立場によって,そういうものを公平公正というのをどう取るかというのは,また違ってくるかもしれませんけれども,大学入試の場合には,例えばアメリカの入試などにおいては,いろいろな国の出身者を入れるだとか,様々な背景を考慮して,むしろ積極的に,ここに書いてあるような配慮をすることが多様性を生むんだということで,趣旨として,本人救済のこともあるかもしれませんが,多様性が全体のために必要だというところから,そういう多様な在り方を,受入れをするんだろうと思うんですね。
 今回の入試改革でも,公正公平の問題というのが一番,なかなか難しくて,細かいことで言えば記述問題の公平性とか,その辺まで至るぐらい,むしろこれは根幹に関わるような話で,入試区分によって募集を分けるというようなことが,ここで求められるんだろうと思うんですが,多様性という前提の下での公平公正さというものを考えると,むしろ積極的に対応が必要なものではないかなと思っております。
 ちょっと個人的な意見になりますけれども,以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございます。
 (2)のところに,EquityとEqualityで,多分,公正と言ったときには,フェアネスというもう一つの概念があって,この関係がどうなのかというのは非常に難しく,また,立場によってもいろいろなお考えがあると聞いていますけれども,石崎委員,よろしかったら現場のところから,何かお考えのところがあればお聞かせいただけるでしょうか。
【石崎委員】
 これまでの議論の中でも,何かそんな話が出たと思うんですけれども,海外ではそういう情報も活用しているけれども,日本ではなかなかできないよねというような,たしか御説明もあったと思うんですね。
 だから,現実問題として,今はそんなことはとても聞けないという,星野先生のおっしゃるとおりなんですけれども,日本では,だから,なかなかそれがなじまないんじゃないかという議論が,たしか御説明があったかと思います。
 だから,そこに結局,配慮ができないんだったら,みんな平等に,対象となるものだけを対象にすべきだという話が,これまでもされてきたんじゃないかと思います。
【圓月主査】
 ありがとうございます。非常にデリケートな問題でもありますしということですね。
 私も所属は文学部ですけれども,最近どんな本を読みましたかという質問もあまりよろしくないという方もおられて,そうなるとなかなか,面接で何を聞いたらいいのかなという難しいところもあったりします。
 指名してなんですけど,髙井委員,何かお考えとかございますか,この辺りにつきまして。
【髙井委員】
 非常に難しい問題だなと思います。先ほど長塚先生からお話があったように,高校入試の面接場面で,質問をどうするのかというところでは,本当にデリケートに扱わなくてはいけないことだと思います。思想信条を含め,面接で聞いてはならないということを,事前に先生方と意思統一した上で面接の対応をしていた記憶もございます。正直それでも,先生方の理解に差も生じていることも感じられ,現実問題として,こうした対応の難しさがあると思います。
【圓月主査】
 難しい問題について,ありがとうございました。
 石崎委員,手が挙がっているのは,下ろしておられないだけかな。どうぞ。
【石崎委員】
 1個言い忘れたんですけれども,(2)のEqualityの説明のところで,経済的不利等がある志願者でも高い評価を得られる活動など「も」,対象にして選抜を行うという,「も」がちょっと引っかかって,「も」だと,そうじゃない選抜方法もEqualityの中に入っちゃうという気がします。経済的不利等がある志願者でも高い評価を得られる活動等「を」対象にして選抜を行うのがEqualityなのではないかなという気がするんですけど,どうでしょうか。てにをはの話で申し訳ないんですけど。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。おっしゃるとおりかも分かりません。次回までに精査して,皆さんのお考えを伺って,今ここでも,もちろん聞かせていただいたら結構ですけれども。
 牧田委員,手を挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いします。
【牧田委員】
 今の問題で,非常にデリケートな話なんですけれども,この文章にあるように,志願者が経済的な条件等と書いてあって,主に,経済的状況というものを中心に捉えているわけですけれども,先ほどからお話をお伺いしていますと,何となく思想信条みたいなところでの公平さとか,平等さとか,公正さというようなところまで踏み込んで議論が進んでいるんですけど,これは,あえて経済的な条件等と書いてあるということは,経済的なことにフォーカスをするという意味で抽出されていると解釈していいんでしょうかね。
【圓月主査】
 そのように思っております。もしよかったら,事務局,補足していただいたらですけれども,やはり経済格差の問題,それで,「等」が入っているのは多分,地域格差の問題というのもよく指摘されましたので,そこで,「等」の中にはそれが含まれているものと考えております。
 事務局から何か補足していただけますか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 今の牧田委員の御理解のとおりと考えております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ということでよろしいでしょうか。
 前田室長が手を挙げて,御発言をいただけるみたいですので,よろしくお願いいたします。
【前田大学入試室長】
 今,小川が申し上げたとおりですけれども,もともとこの会議を立ち上げる際に,主体性評価の話があったときに,海外に留学するとか,あと,習い事に通うとか,いろいろな学校の活動以外のところでの評価というのが,それをできる子とできない子が,経済的な面から,いるのではないかという観点もございましたので,経済的な条件というのがメインとして上げております。
 あと,「等」は今,圓月先生のお話があったような,地域的な格差みたいなところも含めているという趣旨でございます。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。適切に補足していただき助かりました。
 何かほかには御意見ございますか。柴田委員,手を挙げていただいたと思っております。よろしくお願いします。
【柴田委員】
 これは志願者の背景まで考慮するのかどうか,多面的な中に入るのかどうかという話まで行ってしまうと,大変センシティブな話になりかねないんですけれども,そこまで踏み込むかどうか,なかなか厳しいところじゃないかなと思いますので,圓月先生がおっしゃったように,経済的,地理的条件あたりをまず,いかにするかというところで踏みとどまらなければ,大変なことになるのではないかなと思っております。非常にセンシティブな問題じゃないかなと日頃から感じております。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。極めて大事ですけれども,センシティブというお言葉がありましたけれども,そういう問題だと理解しております。
 田中委員,手を挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いします。
【田中委員】
 田中でございます。
 面接のことですけれども,今もいろいろな議論でおっしゃられたとおり,様々な差別的な言説というか,そういうことをなるべく避けましょうという話になるのかなと思うんです。しかし,一方で,大分前,1時間半ぐらい前に当初,長塚先生のほうから,調査書だけでは分からないことを面接でというお話がありましたが,やっぱり生きた言葉を聞かなくてはならない部分ということはどうしてもあるだろうということもあります,さらに,受験生の背景みたいなことというのは,我々が聞かなくても勝手に話してしまう場合があるわけですね,受験生のほうで。
 そういうこともあるので,なかなかニュートラルに対応するのは難しいのではないかなと,現実問題としてはそう思ったりしています。私もびっくり,ドキッとしたようなケースが何回かあったりしましたので,そういうことをちょっと思い出しました。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 長塚委員,手を挙げていただいたでしょうか。
【長塚委員】
 長塚です。
 (1)の最後のマルに,こういう論点があったかなと,ちょっと私は記憶がなかったんですが,調査書を活用しない選抜区分もあり得るかどうかというような話,別な話のほうに行ってよろしいでしょうか,圓月先生。
【圓月主査】
 結構です。よろしくお願いします。
【長塚委員】
 あり得るかどうかと聞かれると,こういう論点で議論された記憶があまりなかったんですが,例えば,高校入試と比較してばかりで恐縮ですが,高校入試においても,特別な事情がある場合には,ない入試もあるわけですね。例えば不登校生などについては,学校に来ていないので成績がつかないとか,出席日数もないということもあるんですが,ここで,調査書を活用しないというのは,これは意味合いが,提出させない,しないでいいという意味合いなのかどうかということが,1つちょっと気になったところです。
 外国人の枠の入試などは,日本の調査書でやっていることはもちろんないわけですので,海外生徒は恐らく成績書だけなのかなと。海外の高校が出せるものということになってきますので,そういうことを考えていくと,先ほどの公平公正じゃないんですけれども,どうして日本の子だけがいろいろ細かい調査書で,海外の子は違うんだとか,入試区分が違うんだといえばそれまでなのかもしれません。ですから,基本的には,調査書はあるべきだろうとは思いますが,あまり厳密に,絶対使わなくてはいけないとは思えません。
 あるいは大学入学資格,今,高校卒業認定ですかね,の結果でもいいということになっているわけですので,調査書の代わりに。そういう意味では,制度として既にあるということなんだろうなと思いました。小さなことですが,そういうふうに思います。
 それとついでに,最初のほうに議論があったことで,これは柴田先生からだったでしょうか,Aレベルのイギリスの例などを出していただきました。やはり一般入試の仕組み全体が,1月以降の共通テストから始まって,非常にタイトな中で,成績を見て出願をし,多くの試験をしていくということになっている中では,入試の在り方を基本から変えるのはなかなか難しいなと。
 1つは,国公立に出願できるのは基本,そのときに1つだけになっているというようなこと,これを以前,申し上げましたら,これはもう文科省さんとしては,やっと落ち着いてきた仕組みなので,たくさん出願できるようなことがあったら大変なことになるということで,混乱が予想されるんですけれども,一方の私大のほうは,たくさん出せるわけですよね。
 そういう,国公立と私大の間に随分差があって,これは本来ならば,マッチング型の入試だというのであれば,もちろん,大学も選ぶんでしょうけれども,高校生のほうもしっかりと選んでマッチングしていくというときには,単純に1つ対応だけの入試で,そのスケジュールに沿ってだんだん決まっていくという,段階的に決まっていくという方法をそろそろ見直さないと,言わば私大型のように,複数受験ができていくというようなことが必要なのではないかなと。
 ですから,全体として出願が先にあっていいのではないか,その上で,時間をかけた多面的・総合的な入試があって,その結果で合否が決まっていくというようなこと,そんなことを考える段階に来ているのではないかなということを申し上げたいと思いました。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。承りました。
 柴田委員,手が挙がったままになっていますけれども,よろしいでしょうか。
 そうしたら,牧田委員,よろしくお願いいたします。
【牧田委員】
 先ほどの問題なんですけれども,1点,ここは注意しておかなくてはいけないなと感じたことがあります。先ほど,経済的な理由で,例えば海外留学したということを聞く,聞かないということは,多分,高校生のそこまでの人生を語り継ぐ背景になっていて,まさにその子にとっての経験なんだろうと思うんですね。
 ですから,今,多様性を求めるということは,実はそういったところで形成されている部分が,私はあると思っていまして,あまり平等ということを注目し過ぎることによって,いい意味での特異な部分を消してしまう可能性もあるのではないかなと懸念します。その辺りの表現は大変,先ほどから出ているように,センシティブな話で難しいと思うんですけれども,あえてそういったことを聞かないでも多様性をちゃんと認めますみたいな方針を打ち出していくことで,いい意味で特異な子供たちもちゃんと評価してあげるようにしてやってほしいなと思いました。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。貴重な発言かと思っております。 
 巳波委員,手を挙げていただいたので,よろしくお願いいたします。
【巳波委員】
 巳波ですけれども,よろしくお願いします。
 3の(3)の話ともちょっと関わるかもしれないんですけれども,例えば,留学をしたか,していないかだけで判断するのならば,経済的格差などの様々な問題をはらむと思われるんですけれども,そこで何を学んだかとか,どういうことをやったかということを本人の言葉でどう書けているかということに着目すると,適切な評価ができるのではないかと思います。
 これは大学側がどのように用いて評価するかにも関わっているかと思うんですけれども,そのようなことを見るためには,高校生本人が何らかの形でまとめたものを提出しないといけないだろう,それには本人が書くポートフォリオなり,活動報告書なり,高校の責任でまとめるようなものとはちょっと違った形のものを別途使わざるを得ないのではないか,また,使ったほうがより適切な評価ができるのではないかなと思うところでございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。おっしゃるとおりかと思っております。
 非常に難しい問題ですけれども,やはりここは文部科学省が,世論をリードするような見識ある意見というものを発信していく必要もあるかと思いますので,表現についてはさらに検討いたします。今のところはこれまで出た意見等をまとめていただいたという形ですけれども,最終的には,見識のある,さらに成熟した文章でまとめてみたいと思います。
 予定の時間も近づいてまいりましたけれども,3のところで何か御意見ございますでしょうか。あるいは1,2のほうにも戻って,今日これだけは,ぜひ次までに調べておいてほしいとかそういうのがございましたら,御意見をあと1つ,2ついただきたいと思っております。よろしくお願いします。
 川嶋委員,よろしくお願いいたします。
【川嶋委員】
 全ての入試で多面的・総合的評価に変えていこうとする際に,日本の特色として一番大きな障害になっていると思うのは,選抜区分,つまり選抜方法が3つあって,さらに日程も3つあって,さらにその上に,定員がそれぞれ割り振られているという,このような条件が3乗になっているところに大きな課題がある。つまり,選抜区分の違いが3つあり,それに応じて日程が3つあり,さらにそれぞれ定員が違うという今の仕組みの中で,全ての入試での志願者の評価において,多面的・総合的な評価方法に変えていくというのは,非常に障害が大きいというか,難しい。
 今日,論点の1の(1)の一番下のマル印で,取りあえず現行の区分の中で考えていきましょうということになっているんですけれども,この現行区分の在り方が一番の障害だと思います。先ほど,イギリスの例とかも紹介されましたけれども,学力評価を全ての選抜区分でも何らかのテストで確認しようということになると,大学入学共通テストの日程は1月中旬で固定されていますので,一般選抜以外の総合型選抜や学校推薦型選抜には,大学入学共通テストの結果を使うことはできない。
 そこで,全ての選抜で活用できるように大学入学共通テストの実施を早めようと提案すると,高校側からは高校教育に影響を与えるので困るという御意見が出てきます。先程話が出たイギリス方式で,高校の予測に基づいて,まず,条件付で合否を決めて,大学入学共通テストとか個別の学力検査で最終的な合否を決めるとなると,今年,イギリスで起きたことですけれども,予測と実際の成績が全く異なって,進学したかった大学に行けなかった学生が大量に出るということも大いにあり得ます。イギリスでは今年新型コロナ感染拡大の影響でAレベル試験は実施できなかったので,学内の成績とその学校の過去の進学状況を組み合わせたアルコリズムで成績を出していたので,志望大学に行けない生徒が大量にでたという問題が起きたということです。
 ですから,本来は入試区分や日程,定員の在り方も含めて根本的な議論をすべき問題だろうと思います。もう一つ,事務局にお願いしたいことは,私がざっと調べたところによると,推薦入試というのは1965年,1966年あたりに制度化されたようです。それまでも,実際には推薦入試は行われたらしいんですけれど,文部科学省の選抜要項に記載されたのは65,66年あたりらしい。それから,AO入試が2000年ですから平成12年から始まった。そこで,これらの選抜区分と,日程や定員のひもづけというのが,いつ頃から始まったのか,ぜひ調べて,次回,お教え願いたいというのが,今日の最後の私の質問でございます。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。御専門家らしい御意見をいただいて,宿題とさせていただきます。特に入試日程の部分に関しましては,皆さん理解しているようで,なかなか正確な理解というところもありませんということですね。
 専門家の川嶋先生に付け加えさせていただくと,日程も3つあり,入試区分も3つあり,さらに大学の設置形態も3つあり,国公私立という設置形態で,それぞれ入試に対する考え方が違う。そこでなかなかまとめるのが難しくなっているのかなとも,私自身も思っております。
 ほかには。前田室長,何かございますでしょうか。
【前田大学入試室長】
 川嶋先生から今,お話がございましたところ,宿題として準備させていただきたいと思います。
 それから,もう1点,資料2の1ポツの(2)の主体性評価のところで,冒頭,西郡先生から御指摘がございました,「主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」が,主体性・多様性・協働性という考えで大学は評価していいのか,あるいは,この括弧書きを大学のアドミッション・ポリシーでかみ砕いて評価していいのか,そういうことを大学のほうで迷われているという御意見がございました。
 それで,参考資料1なんですけれども,学力の3要素に関する報告書と入試要項との関係整理というものがございまして,そこの2ページ目に,平成27年1月16日という左の「高大接続改革実行プラン」とございまして,ここに学力の3要素,括弧を開きまして,「主体性・多様性・協働性」と表記がございます。
 これを受ける形で,平成27年5月27日の28年度の要項の中の「第1 基本方針」のマル3番でございますけれども,主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度,以下,「主体性・多様性・協働性」という表記にしてございます。
 ただ,これの29年度以降は,括弧書きなく,単に,主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度ということでやってまいっておりまして,恐らく,「主体性・多様性・協働性」というのが,この表記が,個別にそれぞれ評価するのかということにつながっているんじゃないかと思うんですけれども,今日お示ししている資料2については,主体性を評価するというのは,かぎ括弧の「主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」を,アドミッション・ポリシーや区分の特性に応じて評価するということでよいかということで今日お示ししているという,ちょっと補足をさせていただいたところでございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。今後は正式なというか,その文書のときにはそのような表記でできるだけ統一するようにしていきたいと思っております。
 予定の時間が参りましたけれども,本日,あと御意見等はございますでしょうか。
 それでは,本日も貴重な御意見を多々いただきましてありがとうございました。また次回に向けて,できるだけ資料等の整理をしたいと思っております。
 本日も長時間にわたって御審議いただきありがとうございます。予定の時間も参りましたので,本日の第8回協力者会議はここで閉会とさせていただきたいと思います。
 星野委員,どうぞ。
【星野委員】
 1つ伺いたいことが。この協力者会議は,いつまで開催されることになるでしょうか。
【圓月主査】
 そうしたら,事務局のほうから,今後の予定も含めて,今のところ予定されているところについて,教えていただけるでしょうか。言いにくいでしょうか。
【前田大学入試室長】
 前田でございます。
 もともと,この会議ができたのが2月でございます。それで,今日お示したのは,あくまでも今後の審議における論点でありまして,特に今後整理する項目もございますので,次回,11月を予定しておりますけれども,以降,あと2回,3回,先の見通しはあれですけれども,来年1月,2月のあたりを最終的には目指したいと思ってございます。
 あと,今日,石崎先生から御質問がございましたけれども,調査書の電子化のところですけれども,今まで議論の整理ということで,いろいろ御意見をいただいておりますが,ある程度具体的なイメージを持って議論いただいたほうがいいかと思っておりますので,その辺り,圓月先生,川嶋先生とも御相談しながら,次回以降,どういう資料で出せるかということをお示ししたいと思っております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。在り方検討会議との連携という問題もございますので,こちらだけで一方的に,あと何回と即答しにくいところもございました。その点をお許しいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 そうしたら,最後に事務局から連絡をいただいて,終わりたいと思います。よろしくお願いします。
【小川大学振興課専門官】
 次回は,また日程を確認の上,決まり次第,御連絡いたします。
 本日,時間の関係で言い足りないことがございましたら,また事務局までメール等でお知らせいただくよう,お願いいたします。
 本日は御多忙のところありがとうございました。以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。予定の時間を二,三分過ぎてしまいましたけれども,また次回もよろしくお願い申し上げます。
 それでは,これで閉会とさせていただきます。
 

―― 了 ――


 

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