大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議(第7回)議事録

1.日時

令和2年9月30日(水曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. これまでの意見の整理(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(有識者委員)圓月主査、川嶋委員、髙井委員、垂見委員、井上委員、石崎委員、明比委員、西郡委員、星野委員、巳波委員、柴田委員、柴原委員、田中委員、長塚委員
 

文部科学省

伯井高等教育局長、森田文部科学戦略官、角田文部科学戦略官、西田大学振興課長、前田大学入試室長 他

5.議事録

【圓月主査】
 定刻となりましたので,ただいまより第7回大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議を開催いたします。
 本日の運営形態及び出席者等につきましては,事務局のほうからまず御報告をお願いいたします。
【小川大学振興課専門官】
 本日の会議は,新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえて,引き続き,ウェブ会議の形で開催をさせていただきます。委員の皆様におかれましては,御多忙の中,御出席を賜りまして,誠にありがとうございます。
 本日も傍聴者,報道関係者の入室は認めておりませんが,ウェブ会議システムでの傍聴を可能としています。
 また,議事録は,後日,ホームページに掲載することとしたいと思います。以上のような方針でよろしいでしょうか。
 本日は,髙田委員,牧田委員が欠席でございます。
 議事に入る前に連絡事項がございます。前回までと同様でございますけれども,聞き取りやすく,はっきり御発言いただくようお願いいたします。御発言の都度,お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。資料を参照する際は,該当箇所などを分かりやすくお示しいただくようお願いいたします。また,ハウリングを避けるため,御発言を希望される場合は挙手ボタンを押していただくようお願いいたします。指名されたときにはミュートの解除をしてから発言をお願いいたします。発言後はまたミュートをしていただくようお願いいたします。細かいことで恐縮でございますけれども,どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【圓月主査】
 それでは,議事に入る前に,本協力者会議での審議も踏まえて,8月7日付で文部科学省から一般社団法人教育情報管理機構に対して発出したJAPAN e-Portfolio運営許可に係る審査結果に係る通知,同日付で各教育委員会等に対して発出したJAPAN e-Portfolioの運営許可の取消しに関する事務連絡について,事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。参考資料1及び参考資料2に基づき説明いたします。
 主査からお話がありましたように,本協力者会議で2回にわたり審議を行いまして,そこでの御意見を踏まえまして,参考資料にありますように,8月7日付で一般社団法人教育情報管理機構に対して,法人の財務状況等を理由といたしまして,運営許可の取消しの通知を発出しました。
 参考資料2は,同日付で,文部科学省から各教育委員会等と会員大学に対して,JAPAN e-Portfolioの運営停止に伴って必要となる対応等をお願いした事務連絡です。
 関係の皆様には御心配,御面倒をおかけいたしましたけれども,高校では9月10日までに利用者である高校生のデータを保存していただきました。
 また,大学ではe-Portfolioが使用できなくなることに伴う対応につきまして,受験生に対して周知をしていただいたところです。
 資料の説明は以上でございます。
【圓月主査】
 それでは,議事に入らせていただきます。
 本日は,本協力者会議でのこれまでの審議を踏まえまして,「これまでの意見の整理」について審議いただくこととしています。
 事務局のほうから資料の御説明をお願いいたします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。資料について説明いたします。
 まず,今後の会議の基本的な進め方についてですけれども,これからの会議におきましては,当初予定しておりました本年末までの審議の取りまとめに向けまして,方向性を整理していくこととしております。本日の会議を含めまして,複数回審議いただくことを予定しております。
 資料1「これまでの意見の整理(案)」を基に審議いただきたいと考えております。
 これは,検討事項例の項目ごとに,各委員から出されました意見で同趣旨のものが複数あった場合は集約しつつ,さらに,そのうち主な意見として考えられるものを四角の中に示しているものでございます。
 また,さらに議論が必要と考えられる点につきまして,点線で囲っていますので,確認いただきたいと思います。例えば,8ページの調査書の様式に関する事項のところ以降,点線で囲っているところが出てくるかと思います。
 特に調査書の内容と,調査書の電子化について,今後議論が必要ではないかと考えております。
 大きな項目として3つございまして,1つ目,大学入学者選抜における多面的な評価の内容や手法に関する事項が1ページから。7ページから,2つ目として,調査書の在り方及び電子化手法に関する事項。14ページから,3つ目の事項ですけれども,調査書や志願者本人が記載する資料の活用及び大学への情報提供の在り方に関する事項。以上,3項目ございます。この項目ごとに順番に審議をしていただきたいと考えております。
 また,本日の議論のための参考資料としまして,資料2に「令和3年度大学入学者選抜実施要項」を示しております。今後の審議に特に関係する部分といたしましては,2ページの「第3入試方法」の記載を御覧ください。
 「入学者の選抜は,調査書の内容,学力検査,小論文,入学志願者本人の記載する資料等により,入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する入試方法(以下「一般選抜」)による。」と示しているところでございます。様々な資料の活用を求めているところでございます。
 その下に,総合型選抜,学校推薦型選抜の入試方法もそれぞれ示しているところでございます。
 また,次のページ,3ページの下のほうですけれども,「第5調査書」という項目におきまして,「各大学は,入学志願者から,入学者選抜の資料として,在籍する高等学校が高等学校生徒指導要録に基づいて作成した調査書の提出を求める。」という規定がございます。
 なお,現在の調査書の様式は,15ページ,16ページに示しております。
 そのほか,参考資料3でございますけれども,これは「主体性等」を含めた学力の3要素が,学校教育法の条文や中教審の答申等にどう記載されて,この大学入学者選抜実施要項にこれまで反映されてきたかを抜き出したものでございます。
 参考資料5-1,5-2は,新しい学習指導要領の下での学習評価及び指導要録の改善,様式の改定も含めてですけれども,通知されたものでございます。
 参考資料6は,調査書の電子化の進め方について平成31年2月に,大学入学者選抜の改善に関する協議におけるワーキンググループで決定した内容でございます。
 資料の説明は以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは,審議に入りたいと思います。
 今,御説明にあったとおり,3項目に分かれておりますが,まず,最初の項目である「大学入学者選抜における多面的な評価の内容や手法に関する事項」について審議を行いますので,改めて事務局より資料の説明をお願いします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。資料1について,改めて説明させていただきます。
 資料1の1ページを御覧ください。第1回協力者会議において示しました「主な検討事項例」,これは円いポツで書いているところでございますけれども,項目ごとに事務局において各委員の意見を整理したものでございます。
 例えば,1ページ目,一番上,1ポツで,大学入学者選抜における多面的な評価の内容や手法に関する事項の検討事項例としまして,学力の3要素である「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を把握するに当たり,一般,総合型,学校推薦型のそれぞれの選抜区分ごとに求められる多面的な評価の在り方について,どのように考えるかということの項目について,意見を整理したものでございます。
 これまでに出された意見について,以下記載しておりまして,3ページを御覧ください。こちら,これまで出された意見を抽出したものをまとめたものがこの四角の中でございまして,主な意見の概要として,例えば,多面的評価の方向性については,電子的方策を用いた評価を行うことの有用性を認めつつ,合否判定までの期間との間で,一般選抜での多面的評価は難しく,それを進めるためには,総合型選抜,学校推薦型選抜を充実させるのかなど,入試の仕組みの在り方を議論する必要があるのではないかといった意見がございました。
 また,この評価の方法について,各大学のアドミッション・ポリシーで,受験生のどういう能力を評価したいのかが明確になっていることが前提であり,その上で,電子的なシステムも用いながら,調査書だけでなくポートフォリオ,志望理由書などの多様な資料の活用や,面接などを行うのがよいのではないかといった意見がございました。
 また,例えばとしまして,テストの得点や調査書のGPAでの一段階目の選抜を経まして,理由書や面接で評価する方法や,面接や多様な資料を通じて,それぞれに比重をかけた点数換算で評価する方法,評価者の判断に基づいて,包括的に評価する方法などの提示がございました。この評価者については,研修などをあらかじめ行いまして,評価軸の調整を行うことが必要といった意見もございました。
 そのほか,主体性等の特性については客観的評価が非常に難しく,評価に当たっては工夫が必要となるといった意見がございました。
 調査書を電子化したとしても,証明するものがないと,調査書だけで多面的・総合的な評価は困難であるといった意見もございました。
 選抜区分ごとの評価の在り方に関しては,特に一般選抜に関して,合否に影響がある層だけを抽出して書類選考を行ったり,大まかな段階評価を行った上で,他の指標と組み合わせれば,多面的な評価が可能となるのではないかといった意見がございました。
 一方で,面接や集団討論などの手法が丁寧であるものの,受験生の数が多く手間がかかり時間的な制約も受けるので,多面的に評価することは困難ではないかとの慎重な意見もございました。
 次の項目でございますけれども,主体性を入試で評価することの意義について,どう考えるかという項目でございます。こちらも,主な意見の概要だけをざっと説明させていただきます。4ページを御覧ください。
 こちらで出された意見の概要でございますけれども,評価することの意義については,大学が入学後の学びとして示していることを受験生が理解した上で,自身が取り組んできた活動や実績を振り返る機会となり,進路を見つめ直すことで入学後のミスマッチを解消する狙いがあるといった肯定的な意見がございました。
 一方で,各大学で評価基準を定めた場合に,主体性というものが本当に公平・公正な入試の評価につながるのかといった慎重な意見もございました。
 主体性等の評価の対象ですけれども,5ページの上の部分でございますが,生徒が様々な活動に取り組んだ目的と,達成するまでの過程を評価することが重要である。
 大学が評価しようとする主体性とは,ふだんの学習場面での主体性なのか,課外での主体性なのか,それぞれの大学のアドミッション・ポリシーで明らかにする必要があるといった意見がございました。
 留意点として,主体性等を評価することが高校生にとって過度な動機づけになり,逆に主体性を損なう危険性があるといった意見もございました。
 次の項目ですけれども,高校や保護者側が期待する多面的な評価とは一体どういうものかということにつきまして,6ページの四角の中を紹介いたします。主な意見の概要としまして,高校や保護者側が期待する多面的な評価の方法について,教科ごとの学習活動や特別活動などを通じて,高等学校が育成する生徒の資質・能力と,各大学のアドミッション・ポリシーとのマッチングが図られることが重要ではないかといった意見や,成果の記録を得点化することや評価基準を満たすための負荷が大きくなることへの不安があるといった意見がございました。
 また,高校や保護者側からの大学への要望としまして,大学が何をどのように評価するのかを明らかにすべきである。調査書を活用するのであれば,透明性を持って,全ての大学で積極的に活用されることを望むとの意見がございました。
 懸念される点としまして,「主体性等」には客観的に評価が可能な能力だけではなく,態度や意欲といった資質が混在しており,評価が主観的になるのではないかといった意見がございました。
 こちらの項目の説明については,以上でございます。
【圓月主査】
 どうも過不足ない御説明をありがとうございました。
 それでは,御意見等がございましたら,どなたからでも結構ですので,御発言をお願いしたいと思います。御発言をなさる際には,挙手をしていただくと分かりやすいかと思います。
 柴原委員,手を挙げていただいていますでしょうか。
【柴原委員】
 はい。ありがとうございました。
 昨日この資料を頂きまして,ざっとしか目を通していないんですけれども,今御説明があったところで,「主体性」という言葉と「主体性等」が混在しているんですね。これは意図的に分けているのか,その辺,ちょっと確認させてください。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 それでは,事務局のほうから補足説明いただけるでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 こちらの言葉なんですけれども,基本的に,これまで出された意見を整理したものでございまして,特に事務局で意図的に使い分けたというところはございません。
 以上でございます。
【柴原委員】
 そうしますと,これを最終的に取りまとめへ持っていくと思うんですけれども,読んだ方が誤解しないように,「主体性等」とか「主体性」について,どこかにこういうことを意味するんだというのを書く必要があるのかなと感じたのが昨日の段階です。
 以上,私の考えだけです。特に返答は必要ございません。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 貴重な御指摘かと思っておりますので,今後,さらに検討などさせていただきます。その点についても,少し整理したいと思っております。
 ほかには何かございますでしょうか。
 それでは,柴田委員,よろしくお願い申し上げます。
【柴田委員】
 柴田でございます。今の柴原先生の御意見に関連したことなんですけれども。我々,「主体性」ということをかなり限定的に考えていたんですけれども,この間のいろんな会議等々で,それに対する受け止め方というのは非常に多様であるというのが次第に分かってきましたし,これはもう公表されているからいいと思うんですけれども,大学入試の在り方検討会議が午前中にもございましたが,そこで全国からウェブで意見を聴取しておりまして,その結果が提示されたんですが,全部で669件来ておりましたが,その中で,本来の焦点でありました英語とか記述式以外に,この「主体性」についての懸念ということが非常にたくさん寄せられておりまして,私がざっと検索しても20件来ておりまして,新たな格差を生むのではないかとか,高校教育に影響を及ぼすのではないかというような,我々が今まで想定していなかったような点の御指摘もございましたので,この点,多分,この協力者会議でその辺りを明確にした上で,議論を続けていく必要があるのではないかということを感じた次第でございます。
 それ以外にも発言したいことはございますけれども,それはまた後ほどにしたいと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 ほかには何か御意見ございますでしょうか。
 それでは,川嶋委員,よろしくお願い申し上げます。
【川嶋委員】
 大阪大学の川嶋です。ありがとうございました。
 先ほど小川さんのほうから紹介があった選抜実施要項の2ページ目の入試方法のところの説明の中で,多面的・総合的に評価・判定する入試方法を一般選抜と呼ぶというふうに定義がしてあるのですが,つまり,一般選抜そのものが,様々な資料を使って多面的・総合的に評価しなさいというふうな形の提案になっています。ところが,実際には,一般選抜は,ほぼテストの点,共通テスト,個別試験のテストの点だけで決めているということが現実です。
 ですから,ここで決められていることが実際実現していないということは,定義そのものが間違っているのか,それとも,現在の入試の日程等が定義に合っていないのか。やはり定義と実際の間に矛盾がもう現れているので,これをきちんと解消することがまず第一歩かなとは思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 本質的な課題の御指摘だというふうに受け止めております。
 ほかには何かございますでしょうか。
 長塚委員,よろしくお願いします。
【長塚委員】
 最初にお尋ねがあった「主体性」と「主体性等」のことで,私なりにちょっと確認というか,高校側から意見しておきたいんですが。
 1ページの囲みのところ,学力の3要素である「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」,そして,「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」。これが学力の3要素であるということから,大学としては,この3つを求めるということになっているんですけれども。
 いろいろなところで,ここはちょっと違うのではないかと言っている点は,学力の3要素という学教法上の定義では,3つ目は「主体的に学びに向かう態度」ということであって,多様性・協働性という要素は含まれていないんです。そうは言っても,最初からその仕切りできているので,多様性・協働性についても,求められると,高校教育の中で意識をした教育をしなければいけないのかなということにもちろんなるんです。
 けれども,本来は,学力の3要素と言われたときには,主体的に学ぶ態度であって,学びに向かうところだけになっているわけです。ところが,いつの間にか主体性・多様性・協働性という言葉3つが並んでしまったため,多様性・協働性を含めて主体性等という言葉にまた集約して,その後議論されているような気がしています。
 高校側からすると,そもそもそこのところが,やはりはっきりしていないということをちょっと申し上げておきたいと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 先ほどの柴原委員と同趣旨の御発言かと思っております。
 ちなみに,本日の意見の整理(案)の中でも,僕もちょっと気になって検索したんですけど,「主体性等」と使っているのが13回,「主体性」単独で使っているのが15回,ほぼ半々ずつぐらいあります。
 多分,「等」がつくようになってきたのは,高大接続改革システム会議の中で,「主体性を持って,多様な人々と協働して学ぶ態度」という文言を中ポチでつないで,主体性・協働性・多様性という3つのくくりで表記したときから「等」をつけるようになったのではないかなと思っておりますが,間違っていたら,また専門家の方,御指摘ください。
 それでは,ほかの方,何か御発言ございますでしょうか。
 この第1項目について,ほかには何か御指摘いただける点とかございますでしょうか。
 今,お三方の意見の中では,やはり主体性とは何かという本質的な問題に整理するべきなのではないかというのが出発点かと理解していますけれども,そのようなことでよろしいでしょうか。
 柴田委員,よろしくお願い申し上げます。
【柴田委員】
 それに関連すると思いますけれども,前にもここの会で議論になったかと思うんですが。この御意見の中に既に入っておりますけれども,学力の3要素のうち,一番我々が悩んでおるのが3番目のものなんですけど。
 どなたかがすっきりと切り分けて,その「主体性等」というのは,一般選抜ではなかなか難しいのではないかと。だから,議論がちょっと逆転するかもしれないんですけれども,多様な人材を大学として採る際には,こういうものは学校推薦型選抜とか総合型選抜で採って,一般選抜では,学力の前の2つのほうに少なくとも重点を置いた選抜で進むしかないのではないかとか,それから,西郡先生の大学でおやりになっているように,ボーダーラインと言ったら失礼かもしれないけれども,ある程度の峻別ですね。これも,ある意味では,私,マトリクス型で選んだ後の選抜になるので,合否に影響がある層だけというのではなくて,段階的な評価の一種だろうと思うんですけれども,そういうものに係る部分だけ,主体性等,第3の学力等を考慮したらというような御意見もありまして,何かスタンスがはっきりしていないんですね。
 ところが,大学の入試担当,あるいは,大学評価に係りますと,今のこういう大きな流れの中では,この3つとも全て選抜に入れなければ適切な選抜方法でないというような御指摘を受ける懸念もあるわけで,そこが非常に悩ましいところでございまして。それがはっきりと明確に線引きができるというのは無理かもしれないんですけど,その辺りの仕分といいますか,そういうものがある程度コンセンサスできればありがたいなと,入試に実際関わっている人間としては感じている次第でございます。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 そちらも貴重な御意見で,主体性とは何かという本質的な問題と,それに,もう一方のほうとしては,実際にどの入試区分で,どのように使うのか。大学,高校側の現場がどういうふうに理解しているかというふうなことも,やはり調べる必要があるかと思っております。
 ほかにはいかがでしょうか。
【長塚委員】
 圓月先生,長塚ですが,よろしいでしょうか。
【圓月主査】
 はい。
【長塚委員】
 この1番目の事項に関しては,現状の一般選抜では,入試日程がタイトなので,やはり筆記試験の結果だけに頼らざるを得ないという現実があるということ,先ほど御指摘もあったとおりだと思うんですね。ですから,本当に主体性等を求めるというのであれば,この日程的なことを解決しなければ,大学側もお困りになるんだろうと思います。特に私立大学で何度も入試が行われているような場合に,多くの受験生を,主体性などを含めて判定するというのはなかなか大変なんだろうなと。
 国公立大学のほうも同様に,日程が相当タイトになってきておりますので,そもそも入試区分で一般選抜と言っていること自体,日程を含めて,その在り方がそれでいいのかということが,やはりこの主体性などを含めた,多面的な評価との関係性を非常に難しくしている点だろうと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 主査としてあまり発言するのもどうかと思いますが,私立大学のほうでもそのような意見は非常に強いというふうに私も理解しております。
 ほかに何かございますでしょうか。
 石崎委員でしょうか。
【石崎委員】
 この会議でどういう結論を求められているのかということなんですけど。今,これ,みんな主体性の評価は大事だと,だけど,一般選抜では無理ではないかとか,ある意味,方向性の違う意見が併記されているわけじゃないですか。だから,それを両論併記ではないけど,いろんな,やったほうがいいけど,でもできないねみたいな,そういう結論を出そうとしているのか,それを一つにまとめようとしているのか,そこのところをお伺いしたいんですけど。
【圓月主査】  
 非常に大事な御質問かと思っております。
 事務局のほうから何か補足説明ございますでしょうか。なかなか難しいでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 現段階のこのまとめの資料は,これまでこの会議で出された意見をある意味そのまま抜き出したもので,今まさに石崎委員が言われたように,両論併記のようなところはそのまま残っている形でございます。これを踏まえまして,今後,複数回の審議を経て,どういう形で意見を収れんしていくのかということを,また意見を踏まえながら考えていきたいと思っております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 今回は1回目ということで,これまで出た意見をまず確認した上で,問題点等を洗い出していくというふうに御理解いただければと思います。
 柴原委員がまた手を挙げてくださっているでしょうか。
【柴原委員】
 すみません。私たちのこの協力者会議の位置づけというのが,現在,来年に出る告示ですか,それに対する意見の集約というスタンスだと思うんですね。ですから,この「主体性等」という言葉が平成29年に出た予告で使われておりますので,私たちが独自に新しい定義をすることは,多分,議論を混乱させると思うんです。そういうことを踏まえて,どんな言葉遣いがいいか,ちょっと事務局で検討いただければありがたいと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございます。
 非常に現実的な御意見かと思っております。そのとおりかと思います。
 西郡委員,手を挙げていただいていましたでしょうか。
【西郡委員】
 佐賀大学の西郡です。
 今回,ここの部分の意見の整理を拝見させていただきまして,主体性の評価,学力の3要素の多面的な評価というのがある一方で,大学にとっては,アドミッション・ポリシーを踏まえて多面的に評価しなければいけないというふうなことがあります。
 この学力の3要素は,高校,中学校のほうから上がってきた3つの要素で,それを多面的に評価しようというふうな形がある一方で,大学としては,大学の教育の中でどういった人たちを評価するかというアドミッション・ポリシーのほうから見たときに,この主体性等の学力の3要素の評価をどのように捉えていいのかというのが,大学のほうから下りてくるものと高校側から上がってくるもので,この入試のところでいろいろと葛藤が生じているのかなと思っています。
 大学教育を受ける上で必要な資質・能力というものを多面的に評価しようという形で大学の中では検討していても,一方で,この学力の3要素を直接的に評価しなければいけないというふうな考え方が一方で出てきたときに,いろんな混乱が生じているのではないのかなというふうに個人的に考えています。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 御指摘のとおりかと思います。高校から上がってきたものと大学の側と,まさに高大接続の難しさというか,そういうものなんかを集約している部分もあるかと思っております。
 ほか,何か御意見ございますでしょうか。
 それでは,一旦ここで第1項目のほうは終えて,それで,また2と3の項目もございますので,そちらでまた関連性はそれぞれあるかと思いますので,「主体性等」に関しての御意見等もあれば,併せてお伺いするというふうなことでよろしいでしょうか。
 それでは,次に,第2項目の「調査書の在り方及び電子化手法に関する事項」について審議を行いたいと思います。事務局から資料の説明をお願いできるでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。それでは,資料1に基づきまして,改めて説明いたします。
 資料1の7ページ,2ポツで,調査書の在り方及び電子化手法に関する事項について,これまでに出された意見の紹介をさせていただきます。
 まず最初の検討課題としまして,次期学習指導要領に対応した指導要録の改訂及び学校の働き方改革による教員の負担軽減を踏まえた調査書の内容について,どのように考えるかという項目につきまして,主な意見の概要を次の8ページにまとめてございます。
 次期学習指導要領下での調査書の在り方につきまして,記載事項は様々なことを設定するのではなく,教員が行うことのできる生徒の資質・能力評価に関する事項に極力限定すべきである,大学や学部ごとに異なる内容を求められるのは相当の負担であり,学校推薦型選抜や総合型選抜に限定することが望ましいといった意見がございました。
 今年度改訂を行いました調査書につきまして,書く分量が増えて教員の働き方改革や指導要録の簡素化と逆行する,書き手である教員の評価能力は記載能力によって内容に差が生じる懸念がある,調査書の各所見欄は,あくまでも教員による生徒の行動等に関する主観的な評価ということを念頭に置いて評価することが必要であるといった意見がございました。
 調査書と指導要録との関係については,指導要録の記述が簡素化されるなら,調査書の様式も簡素化し,必要最小限の共通事項だけにして,指導要録をベースにして記載者による差違を生まないようにする必要があるといった意見がございました。
 この項目につきまして,さらに事務局として議論が必要と考える点について,点線のところで挙げさせていただいております。
 次期学習指導要領下において調査書の様式を簡素化するとしても,調査書を多面的評価の資料の一つとして活用するに当たりまして,大学側はどのような情報が必要かについて,さらに議論をすることが必要ではないか。また,仮に調査書を指導要録と同じ内容でよいとするならば,指導要録と異なる形式で別途調査書を作成する必要があるかについて,さらに議論が必要ではないか。
 次の9ページに移りまして,次の項目について説明いたします。
 その際,観点別学習評価の観点や,調査書の「指導上参考となる諸事項」の欄の取扱いについて,どのように考えるかということにつきまして,主な意見の概要といたしまして,観点別評価の取扱いにつきましては,新しい学習指導要領では観点別評価がより見える形になっており,新たな調査書ではこの点も考慮に入れた検討が必要であると考えるものの,他方で,一般選抜では,調査書に観点別評価を求めることは更なる評価の形骸化を招くおそれがあるとの意見がございました。
 指導上参考となる諸事項の取扱いにつきましては,学校の教育課程上の活動として行ったものは記載できるけれども,校外の活動については,担任が全て掌握するのは難しいとの意見や,記載内容の差違によって不利益を被る受験生が出ないように,大学は事前にどのように評価するのかを示すべきとの意見がございました。
 さらに議論が必要と考えられる点につきましては,次期学習指導要領での観点別学習状況の評価の観点や,調査書の「指導上参考となる諸事項」の欄について,大学入試においてどこまで評価するかなど,評価の在り方について,さらに議論が必要ではないかということについて挙げさせていただいております。
 次の10ページでございます。「学習成績の状況」(旧「評定平均値」)の記載について,どのように考えるかということにつきまして,さらに議論が必要と考えられる点として,「学習成績の状況」は各教科・科目の「評定」を量的に単純平均したものでありますが,このような計算方法も含めて,どのような見直しが考えられるかなどについて,さらに議論が必要ではないか。
 次の項目です。調査書の電子化として,どこまでの仕組みを求めるか。その際,調査書データの集積や管理,個人情報保護の在り方及び管理の主体について,どのように考えるか。特に,一元管理の利便性や課題についてはどうかという検討項目を設けておりました。
 これにつきましては,ページが飛びまして,12ページでございます。主な意見の概要といたしまして,電子化の方向性につきまして,調査書を電子化するに当たって,様式の統一,標準化は必須であるといった意見や,運用開始時には,一部で紙媒体による授受が残ると運用が混乱するおそれがある。全ての高校・大学で一斉に電子化すべきといった意見がございました。
 実装方法については,1つの物理的なサーバーの中に全データを集めるということに限定せず,分散データベースの使用であるとか,暗号化して様々なクラウドに置くなど,様々な方法があるのではないかといった意見がございました。
 生徒の学びの成果等を記録したポートフォリオ機能につきましては,電子調査書システムに組み入れることがよいとする意見がある一方,システムには組み入れず,生徒自身にエビデンスを求めることで個別に各大学に申告するのがよいという意見がございました。
 電子化の時期については,新学習指導要領に対応した最初の入試に向けて調査書の中身が変わることから,そこを目標にして進めてはどうかとの意見がございました。
 データ管理の考え方について,調査書データは個人データであるから,授受システムのようなものを作るのであれば,公的な組織が一元的に運用する形とすべきとする意見がある一方で,一元的に運用するしないの前に,電子調査書の授受システムは安全性の確保が極めて大切であり,情報流出の観点から,データを保持したり蓄積しないようにすることが重要であるとの意見がございました。
 留意点といたしまして,現状では,電子調査書システムと高校,電子調査書システムと大学をつなぐ,セキュアな回線がなく,文部科学省の教育情報セキュリティポリシーなどのガイドラインの改正が必要である。
 大学入試のことだけを念頭に置いたシステムではなく,進学しない生徒にも視野を広げた議論が必要である。
 高校側においては,公文書としての電子調査書発行手続きの整備が必要であるといった意見がございました。
 こちら,次の13ページでございますけれども,さらに議論が必要と考えられる点といたしまして,多面的な評価の内容や手法の在り方,次期学習指導要領下での調査書の在り方の検討を踏まえた上で,調査書を電子化することの目的とメリット(大学において電子化された調査書をどのように活用するのか,どのような電子化の手法であれば活用しやすくなるのか,高校におけるメリットは何か等)について,さらに議論が必要ではないか。
 その際,授受システムのようなものを構築するのかしないのか,構築するとしてどのような実装方法が考えられるのか,その際セキュアなネットワークについてはどう考えるか,データを一元的に管理する主体を置くのか置かないのか,ポートフォリオ機能を持たせるのか持たせないのか,あるいは構築しないとしてどこまでの電子化を目指すかなどについて,検討が必要ではないか。
 説明については,以上でございます。
【圓月主査】
 御丁寧な説明をありがとうございました。
 この問題に関しましては,いろいろと多岐にわたる要素があるかと思います。いろいろな御意見をいただきたいと思っております。
 石崎委員,手を挙げていただきましたでしょうか。
【石崎委員】
 手を下げていなかったんですけれども,でも,せっかくですので,ちょっと発言させていただきます。
【圓月主査】
 よろしくお願いいたします。
【石崎委員】
 8ページの一番下のところの「さらに議論が必要と考えられる点」なんですけれども,大学側はどのような情報が必要かについて,さらに議論が必要ではないかというのは,もちろんおっしゃるとおりなんですけれども,それはこの会議で大学が何を必要としているかというのが議論できるものなんでしょうか。結局,大学のほうから何が必要かというのを出してもらわないとという話はずっとしているんですけれども,ここの会議でこの結論が出るのかどうかというところをちょっと伺いたいんですけれども。
【圓月主査】
 ありがとうございます。
 こちらも,事務局のほう,何かお考えはございますでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
【圓月主査】
 よろしくお願いします。
【小川大学振興課専門官】
 こちらの会議で新しい学習指導要領の下での新しい調査書の様式を検討することになるわけなんですけれども,ここに示しておりますように,調査書を簡素化するということと,じゃ,それを本当に大学が使えるのかどうかということについて,あらかじめ高校関係者,大学関係者で審議をするということが必要だと考えております。そういう観点で,こちらの項目を入れさせていただきました。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 本日の会議では,一般的なこのような形でのお答えしかできませんけれども,石崎委員,そういうことでよろしいでしょうか。
 ほかには,何か御意見ございますでしょうか。
 川嶋委員が先に挙げてくださいましたので,川嶋委員,よろしくお願いいたします。
【川嶋委員】
 ありがとうございます。
 この項目について,幾つか論点あるんですが,既に書かれていますけれども,前提として,今,首相が交代しデジタル化した社会を目指すということを強調されています。入試に関わる様々な資料も,ウェブ出願も含めて,入試の手続きを電子化するということはもう避けられないと思います。
 その際,1つ検討すべき点は,この8ページにも書いてあるんですが,指導要録と調査書の関係で,これ,以前御説明いただいたときは,指導要録の内容は参考例として示されているだけで,都道府県,高校によって異なっているというお話があり,一方で,調査書は,共通のフォーマットにするということでこの会議で議論しています。電子化を議論するのであれば,指導要録自体を電子化して,一旦調査書に変換する手間を省いて,大学にそのまま送るというようなことにすれば,高校の先生が憂慮されている働き方改革,負担というのが減るんだろうと思います。
 そういう意味では,まず指導要録をどうするのか。そのフォーマットを,やっぱり一定の統一化を目指す必要があるのではないかということです。
 それから,2点目は,それにも関連しますけれども,今の話の前提としては,調査書に様々な教員が気づいたことを記入するということになっているのですが,これも幾つか御意見出ているように,やはり校外のことについては,学校の先生はなかなか100%把握しきれないということもあるので,高校が把握して大学に提供すべき情報と,受験生がきちんと自分の責任で大学に提出する情報というのを分けて,役割分担する必要があるのかなということです。
 最後に,指導要録にしろ,調査書にしろ,大学に提出されたものの活用に関してですが,もし一般選抜でも指導要録なり調査書を活用するということになると,懸念事項として記載されているように,活用方法が形式化しかねないおそれがあります。例えば,評定平均値を単純に10倍して,点数化したり,あるいは,観点別評価について,AAAとかABAの評価を,やはり点数化してというような活用方法しか,一般選抜の活用法としては現実的ではないわけです。結局,1番目の入試方法の区分と,主体性の評価に関わってくるんですけど,もしきちんと全ての受験生に対して多面的・総合的に評価するということであれば,そして,今の選抜実施要項に書かれているように,私が冒頭御指摘させていただきましたが,一般選抜そのものが多面的・総合的評価であるのならば,長塚委員の御指摘のように,今の入試の日程そのものを根本的に見直すか,あるいは,これは柴田委員が御指摘なさったように,今の3つの入試区分と実施時期を変えないのであれば,それぞれの入試区分で重視する資料を明確にするということくらいしか対応策はないのではないでしょうか。そのようにしないと,一般選抜では多面的・総合的評価だということは不可能になるということだろうと思います。
 ですから,来年の夏に向けて選抜実施要項を出さなければいけないというタイムリミットもあるのですが,ここの部分は1番目の論点と関わって,かなり集中的な審議,検討が必要なのではないかと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 重要な点ばかりだったと思っております。3点,調査書と指導要録の関係,そして,生徒の自発的な情報提供の部分,そして,大学でどのように実際には活用できるのかというふうな問題,この3つがやはり主なところかなとは思っておりますけれども。
 柴田委員のほうから手を挙げていただいたでしょうか。
【柴田委員】
 はい,柴田でございます。皆様方,いろいろ極めて至適な御意見が出ております。
 1点,別の観点からでございますけれども,この電子化の時期について,これは私どもは,かなり早い時期に調査書の電子化は進むんだろうということで,大学団体内でもその準備をするように伝えていたんです。
 例えば,参考資料6を御覧いただきますと,タイムスケジュール,想定される導入のスケジュールというのがついておりまして,もう2021年,22年は完全に電子化が図られますよ,だから準備してくださいよということを大学団体の会員校には伝えていたところなんです。
 ところが,現在,いろんな諸般の状況で,ここの12ページの主な意見の概要のポツの4番目にありますように,電子化の時期については,新学習指導要領に対応した最初の入試に向けて,そこを目標に進めてはどうかというようなお話になって,多分,今のような議論を積み重ねていくと,急には無理なのかなという気はしているんですけれども,その辺り,これから議論を進めていく上で,この協力者会議だけでも合意しておく必要があるのではないかなと思いますし,業者あたりの売り込みというのも各大学にかなり厳しく来ている状況でもありますので,大学団体でそういう辺りを見計らうためにも,方向性が定まるものだったら定めていただければなという気がしております。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 この時期につきましては,今御指摘いただいたとおり,今日の資料で言いますと,12ページのところに,新学習指導要領に対応したと書いてあります。以前,この前身であった会議におきましては,2022年には完全導入という言葉を使っていましたでしょうか。導入を目指すというふうな言い方だったと思うんですけれども。
 事務局のほうで本日,即答は難しいのかも分かりませんが,何か方向性を考えておられましたら,補足していただけますでしょうか。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 調査書の電子化につきましては,参考資料6にありますように,大学入学者選抜改革推進委託事業ということで,関西学院大学のほうにお願いいたしまして調査研究を行っているところでございます。
 ただ,先ほどちょっと冒頭に説明もいたしましたけれども,こちらの調査研究,JAPAN e-Portfolioの仕組みとも関連しているところがございまして,JAPAN e-Portfolioの運営が今回停止になりましたので,状況が変化しておりますので,どのような仕組みが適当なのかを,改めて検討をお願いしたいと考えております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 今,事務局のほうからも言っていただきましたとおり,関西学院大学の巳波委員が中心になって,調査書の電子化については調査研究を今実施していただいております。できましたら,次回以降の会議におきまして,その検討状況をまた報告していただく機会を得て,共通理解をできるだけ早く形成していきたいと思っております。そういうことで,よろしいでしょうか。
 そうしたら,石崎委員,よろしくお願いします。
【石崎委員】
 今,スケジュールの話が出たので,ちょっとお願いしておきたいんですけれども。例えば,今度,令和6年度から完全に実施しましょうみたいな話になったときに,令和4年に入学する生徒からと考えがちなんですけれども,高等学校には定時制課程というパートタイムの課程がありまして,卒業まで4年かかる課程があるんですね。
 ですから,今回のときにもそれは配慮されていなかったんですけれども,4年間の記録を書きためるというか,卒業まで4年間かかるわけですから,そういう4年間の活動調査書に載せる課程があるので,完全実施に当たっては,スケジュール感という意味では,4年間通う生徒が間に合うような,そういう配慮も必要かと思うので,一応お伝えさせていただきます。
【圓月主査】
 非常に重要な御指摘かと思います。この会議でも,その点,共通理解として確認しておきたいと思います。
 また,巳波委員もお聞きいただいているかと思いますので,また調査研究にはそれを反映するように,私からもお願いしたいと思っております。
 ほかにご意見はございますか。長塚委員。
【長塚委員】
 長塚です。ありがとうございます。
 この2番の議題は調査書,あるいはその電子化ということなので,主に高等学校側のほうに関わる話になっているんですが。
 今回,新学習指導要領に対応する指導要録が,簡素化される方向になったわけです。しかしその前に,今年の高校3年生からは,調査書が今までよりも細かく記載するという方向で,指導要録にない資料も集めて出さなければいけない。それで,ポートフォリオの必要性も考えられていたわけです。
 しかし,再来年に入る高校1年生の学習指導要領が変わり,指導要録が簡素化される方向になりますと,調査書は,これは簡素化するというのはもう必然だと思います。指導要録に基づいて調査書は作るということなので,この整合性がなくなってしまいます。指導要録は,参考様式であるとはいえ,働き方改革及び新指導要録の背景にある考え方に基づいて,調査書も,一言で言えば,併せて簡素化していかなくてはいけないんだろうと思います。これが1点目。
 ということになると,今年からの調査書,非常に詳しく生徒の活動を見ようとしているんですが,ここはやはり先ほど川嶋先生からもありましたように,生徒から直接,受験生からの報告を基本にしてもらうという方向に行かないと,高校の教員が全部それを確認するなんていうことを求められると,もうこれは手が回らないだろうと思うんですね。これはむしろ受験生本人が,それこそ主体性を持って,エビデンスを含めて出せるかどうかも判断していただくのが,この資質・能力を見る時代の新しい入試の考え方ではないかと思っています。
 ただ,文科省さんのほうからちょっと聞いたところによると,ウェブ出願を導入している大学は,まだそんなに多くないというふうに聞きました。大学のほうがウェブで生徒自身から情報をもらうような仕組み,こういうことができていないということもありますので,ここはある意味早急に整備しないと,生徒から紙ベースで集めるようなことになってしまうのかなと思っています。それが2点目。
 3点目は,観点別の評価,これは実は,高校はまだ動いていないような状況ですね。本当にこれをやろうとすると大変なんです。学力3要素に対応した評価を科目別に主体性評価まで含めてABCをつけるわけですから。
 先ほど1番目のところで議論していた主体性というのは入試においてどうなのかというのはありますけど,今後は高校の科目ごとに主体性がどうなのかということを,我々側に預けられているわけです。新指導要領が示されて,新指導要録上もそうなっていますから,大変でも,高校は観点別評価をやっていくことになると思います。
 一方で,指導要録に記載されている以上,電子的にそれを大学側に出すこと自体は,方策上は難しくはないのではないでしょうか。むしろ観点別に主体性をどう評価するかという,そのことが高校側で今後は本当に大変になっているんだということは,我々の課題ですけれども,御報告しておきたいと思います。
 しかし,要録にあるものを大学側に出すということは,我々のほうにもしっかり観点別でやらなければいけないというインセンティブを与えることになります。もしそれがないとすると,主体的に学ぶ態度という主体性評価の部分は,存外,曖昧になってしまう可能性があるような気がいたします。
 以上,調査書の簡素化,生徒自身の報告,観点別評価の3点ですが,そういうことも考えると,1番目の議論にあった入試区分の問題で言うと,大学入試においては,やはり総合型選抜のようなもので見ていただかないと,結局は,電子的に,観点別も含めて大学側に出しましても,大学側でそれを本当に評価できるのかなという疑念は今まで以上に高まってくるのではないかなと思っております。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 非常に貴重な具体的な御意見で,高校さんの場合にも,観点別評価という,これからまた取り組まなければならない問題もあることも,ぜひ理解しておきたいと思っております。
 ほかには何か御意見ございますでしょうか。
 髙井委員,手を挙げてくださったでしょうか。
【髙井委員】
 ありがとうございます。
 今まで委員の方から様々お話があって,この会議においてメインとなるのが,多面的な評価をどのように取り組んでいけばいいのか,その在り方というところであると思います。そのほかに,これもお話にありました,調査書をどうするのかですとか,指導要録ですとか,e-Portfolio自体をどうするのかなど,いろんなことがある中で,どこまでを想定して議論を進めていけばいいのかというところが,多岐にわたる分,我々が共通認識を持ちながら議論していけばいいのか,私だけかもしれませんが,イメージがまだ持てていないところが正直言ってございます。
 例えば,先ほど長塚先生からもございましたけれども,指導要録ですとか,そういったものが簡素化される。他部署で様々議論がされて,実際に示され,それが基準となったときに,我々はどう考えるのか。
 もう一つの例で言えば,セキュリティガイドラインのお話でいきますと,これは情報教育・外国語課のご担当ですと。このように,それぞれ担当部署がありますので,それぞれで議論された中で,これで行きましょうでやっていかなければいけない。果たして我々はどこを焦点化して,どんなイメージを持ちながら議論を進めていけばいいでしょうか。ある程度,方向性が固まったとしても,「いやいや,それは実は他部署で考えていて,こういうことがあるのでできないんです」ということになっていくこともあると思っていまして,その辺りはどういう認識でいればよろしいんでしょうか。
【圓月主査】
 とても難しい御質問ですけれども,非常に重要なことかと思います。先ほど別の問題に関しまして,やはり柴田委員が,この協力者会議が扱うべき問題というのがどの問題なのかということを決めておかないと,いろいろ話題が拡散してしまって,非常にまとめるのが難しくなるというご指摘がございました。次回以降,そこのところももう少し整理しながらやっていきたいと思っておりますけれども。
 事務局のほうから何か補足していただける点はございますでしょうか。
 それでは,室長から御発言いただけるんでしょうか。
【前田大学入試室長】
 大学入試室長,前田でございます。
 髙井委員,ありがとうございます。まさにこの多面的評価の在り方に関する協力者会議でございますので,大学入試についての多面的評価というタイトルでございます。したがいまして,先生が今御指摘ございましたような,私どもの役所の中の初中局に関する部分でございますとか,ほかの部局に関する部分について,ここの会議で御議論いただくときに,今こういう制度になっていて,他とリンクしていなければいけないということはあるかもしれませんけれども,ただ,この場の議論では,そこは取りあえず御自由に御議論いただいた上で,我々,これは役所の中で,ほかの部局にもきちんと,こういう内容で出るんだけれどもということを示しながら進めてまいりますので,取りあえず,そのところは今のところは気にせずに御議論いただければと思います。
【圓月主査】
 どうも,室長,ありがとうございました。
 非常に難しいかじ取りにもなるかと思うんですけれども,また委員の先生方にも御協力いただきたいと,私からもお願いしたいと思います。
 柴田委員が手を挙げてくださっておられますでしょうか。
【柴田委員】
 柴田でございます。相変わらず,私,プリミティブなお尋ねをしたいんですけれども。
 先ほど長塚先生が,高校では新しい学習指導要領で,もう観点別評価というのを実施するんだということであって,それならば,ここからの各科目ごとの学力の3要素の評価というのがいただけるという具合に理解するんですけれども。それを,いかなる形であれ,調査書に記載していただければ,大学のほうとしては,それに基づいた学力の3要素の評価というのが,形式的にはかなり客観的にできるのではないかと。それをどういう具合に合否判定に結びつけるかというのはまた別の話なんですけれども,一応選抜の要素としては,常に高校からは提供できるのではないかという理解をしたんですけれども,これは全くの誤解なんでしょうか。どなたか,御説明いただければと思いますが。
【圓月主査】
 どなたか,お答えいただければうれしく思います。指名すると失礼なのかも分かりませんが,長塚委員,何か補足していただける点があったら,よろしくお願い申し上げます。
【長塚委員】
 これは初中局長通知として,高校の観点別評価をやりますよという通知が来ていますので,少なくとも公立学校は,もうこれで準備を始めておられるのではないかなというふうに思うんですが,おそらく高校現場がまだ十分に把握していないような状況なんですよね。今までは,やってもいいし,必ずしもやらなくてもいいという,非常に曖昧なところだったわけです。中学校まではやっておりますけれども,高校側は,ここはまだ自分たちの経験がないところなんですね。
 ですから,私は非常に心配をしているんです。時間もないんですよね。考え方をまず整理しなければいけない。各科目別でどのように評価するかという評価法,特に学びに向かう主体性の評価というのは,もちろんペーパーテストだけで測れるものではないわけですから,様々なポートフォリオやルーブリックなどの方法を使いながら評価していく必要があります。そして,それをさらに評定に結びつけていくということをしなければいけませんので,たとえば私の学校でも今随分議論はしているんですが,各教科や科目でしっかり固まっていないのが実情なんですね。
 でも,調査書がこうなるよとなったら,これはもうお尻に火が着きますよね。反対にそこがもしないとなると,結構その問題意識がまた下がってしまうのではないか。全国の高校の様子を聞いても,そんな状況ではないかなと。実際のところ,観点別評価になることに向けて議論している話さえまだないというふうに見受けられるんですが,各県の教育委員会さんが一番分かっていらっしゃると思いますので,どうなんでしょうか。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 教育委員会関係の委員の先生も御発言いただければと思います。
 石崎委員が,まず高校側として手を挙げてくださったので,よろしくお願いいたします。
【石崎委員】
 結局,今の話というのは,さっき1番目の項目で,5ページのところで話した,主体性は何を評価しようとしているのかというところの問題なんだと思うんですよ。
 大学が評価しようとしている主体性とは,ふだんの学習場面の主体性なのか,それとも課外の主体性を含むのかみたいな,囲みの中に表記がありますけれども,柴田先生がおっしゃられたように,学力の3要素としての主体性であるならば,高等学校の観点別評価を利用して形式的に評価することもできるでしょうし,いや,そうじゃなくて,もっと主体性評価というのはこういうものなんだという,学力の3要素以外の部分でのもっと幅広いものであれば,どういう形で求めるのかという話になるんだと思うんですね。
 結局,主体性として何を求めているのかというところで,学力の3要素の中の観点別評価としての要素であれば,調査書の観点別評価が利用できるだろうという話ではないかと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 柴田委員は手を挙げておられるんでしょうか。
【柴田委員】
 どうも,貴重なお話ありがとうございました。
 いや,主体性を一般入試でどうみるかというのは,もう暗中模索だったものですから,一筋の光明を見たような気がしておりまして,そういう御提供がいただけるんだったら,極めて狭義な,教科に限定した場合の主体性というのは,少なくとも提供をお願いできる道筋があるんだなというのを理解しました。大変ありがとうございます。
【圓月主査】
 ありがとうございます。
 難しいすり合わせになるかとも思いますけれども,可能性も多々あるというふうに理解しております。
 星野委員,手を挙げていただいたでしょうか。よろしくお願いします。
【星野委員】
 長崎大学,星野でございます。
 私の発言がこのまとめていただいた中にも書かれているんですけれども,観点別評価については,大いに期待しているということを申し上げさせていただきます。
 主体性といったときに,教科の学びだけではなくて,様々な面からの主体性というのを評価できればもちろん一番いいとは考えます。しかし,現実に我々が今設定している制度の中で,どういうことができるだろうか。入試区分の中で,どういうことができるだろうかという,その観点が,それぞれ理想的なものから,そして,それを目指しながらも,なかなかまだそこに行き着けない現場というものが現実にあるんだというふうに考えております。
 そういった意味では,先ほどから出ております一般選抜は,どうしても物理的な時間というものの制約の中で,じゃ,何を評価するかといったときには,現実問題としては,やはり高等学校から出していただいた学びに向かう態度,ここの主体性を主に評価するという位置づけの選抜であるというふうな,現時点では,そういうような立場というものが一番現実的ではないかなというようなことは考えております。
 国大協のほうでも,一般選抜の中では,もちろん多面的評価,総合的な評価をしていくというふうにはしているんですけれども,できるものからしていきましょうというような書き方をさせていただいています。その1つが,やはり調査書であるという位置づけになっておりますので,調査書の中に観点別評価というのが入ってくれば,それは学びに向かう姿勢というものの現れであるというような理解の下で行っていく。
 それ以外の,例えば,ボランティア活動であるとか,課外活動であるとか,そういう違う面での主体性の評価というのは,どうしても時間がかかると思いますので,総合選抜であるとか,学校推薦であるとかというようなところで,主にそれを見させていただくというような,現実にある入試区分の中で,大学側として何が選抜として使えるだろうか,何ができるだろうかというところが,それぞれアドミッション・ポリシーに照らしながら,大学側が行っていく責務があるんだろうなと思っております。
 もちろん,理想的には,長いタイムスケールで考えれば,長塚先生も言われたように,全て総合選抜型のように持っていければいいんですけれども,それはやはり大学側の規模と時間と,それから,一からそういった選抜の態勢に入る場合,高校側とのすり合わせというのも必要になってくるでしょうから,来年の夏までにそれまでの将来的な計画も考えてというのは,なかなか今の時点では難しいのではないかなというふうに私は考えております。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 明比委員が先に手を挙げてくださっていたんでしょうか。うまく画面に上がってこなかったので失礼しました。よろしくお願いします。
【明比委員】
 すみません。何回か手を挙げさせていただいたんですけど。
【圓月主査】
 不慣れなもので,見落としていたようです。私の画面にお名前が出てこなかったので,すみません。
【明比委員】
 先ほどの先生の御意見もあったんですけど,1番のところでも,一般選抜について,多面的評価,特に主体性を持ってというところの評価については,かなり難しいのではないか。これは,私立の大学は,特に一般選抜のほうは入試日程がタイトであるというのは当然なんですけど,受験生もかなり多くて,それを全て多面的評価で,特に主体性――主体性は何かということでもあるんですけど,その主体性を持ってというところの評価について,かなり時間がかかるという部分では難しいのではないか。
 また,2番の8ページのところでも,主な意見の概要では,大学や学部ごとに異なる内容を求められるのは相当の負担であり,学校推薦型選抜や総合型選抜に限定することが望ましいという意見も,これは高校の先生のほうからの御意見かと思うんですが,こういった意見も出ている。
 先ほど時期のお話も出ましたが,2022年から全て電子化して,そこで多面的評価をやっていくという部分では,高校側も大学側もまだ十分な準備ができていないという部分を考えれば,まず,どこの入試区分から導入ができるかというところを優先的にやったほうが現実的ではないのかな。いわゆる学校推薦型選抜とか総合型選抜であれば,当然面接もありますので,いろんな方向から多面的な評価は可能であろうという部分は,今までも言われているところだと思いますので,先ほど星野先生からもありましたけど,入試区分ごとに切り分けた形での導入というのも1つの考え方なのかなと。
 先ほど室長からは,大学入試における多面的評価というお話がありましたけど,大学入試という全ての入試が入ってしまうわけですが,そこを少し切り分けた形で考えていくことはできないのかなというのが私の意見です。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 現実的な御意見かと思っております。
 西郡委員,手を挙げてくださいましたでしょうか。
【西郡委員】
 西郡です。先ほど観点別評価の話があったと思いますけれども,高校ではこれから新たにということですけれども,既に小学校,中学校では観点別評価でいろいろと学習評価がなされていると思います。そういった情報を,高校入試とかで,既に内申書とかで評価されているのであれば,そこでの評価において有効に機能しているところ,あるいは,選抜に課すことによって何かしらの課題があるのであれば,そういったことも踏まえて,何が考えられるのかを総合的に検討していったほうがいいのではないかと考えます。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 川嶋委員が挙げてくださいましたでしょうか。よろしくお願いします。
【川嶋委員】
 川嶋です。今の議論ですけれども,今日の配付された参考資料5-2というのがございますが,これが先ほど長塚委員が言及された,初中局長からの通知文書です。これを読むと,いろいろ今まで御議論されてきて,なかなかもやっとしたところが,割とはっきりするのかなというふうには思います。
 1つは,3ページの2ポツのところに,学習評価の主な改善点についてということで,いわゆる学力の3要素について,主体的に学習に取り組む態度の3観点に整理した。その上で,設置者において,より具体的に適切な観点を設定することとしたと。その後に,その際,学びに向かう力,人間性等については――この「人間性等」というところは,多分,大きな意味での「主体性等」なのかもしれませんが,「主体的に学習に取り組む態度」として観点別学習状況の評価を通じて見取ることができる部分と観点別学習状況の評価にはなじまず,個人内評価等を通じて見取る部分があることに留意する必要があるというふうに書かれています。
 つまり,以前,私のプレゼンテーションの中で,主体性といっても,学習の中における主体性と学習以外の課外活動や校外でのボランティア活動等における主体性等と分けて考えるべきだというようなお話もさせていただきましたが,まさにそれがここに書かれておりまして,今回の観点別評価は,あくまでもそれぞれの教科・科目の中での学習に向かう主体的な態度,積極的な態度を3つの学力要素の中の1つとして評価するということになります。
 それ以外のところは,先ほど申しましたけど,教員にはなかなか把握できないので,受験生が出す資料で評価するしかないということです。これについて,先ほど柴田委員が,学校から観点別評価で学習における主体的な態度についての評価が出てくるのは一筋の光というお話が柴田委員からありましたけれども,確かに,学習の場面での主体性というのは,観点別評価がこれから充実してくれば評価できるのですが,大学としては,おそらく学習場面における主体性だけではなくて,それ以外の課外活動であったり,ボランタリー活動であったりという面での主体性も評価したいという大学もあるかと思います。それは全く大学のAP次第かと思いますが。
 ですから,この辺りは,教科・科目の学習場面における主体性は何らかの形で高校側から出てくるんだけれども,それだけで十分かというと,私は,必ずしも大学側の評価の観点としては足りない部分もあるのではないかということです。
 もう1点は,同じ文章の7ページを見ていただきたいと思います。下のほうに,(2)で,大学入学者の選抜の改善についてということで,これも前にお話ししたかと思うのですが,入試改革に関わる,いわゆる高等教育側の議論の中では,調査書にはいろんな情報を入れてほしいという意見が出されています。今回提案されているものも,学年ごととか,項目ごとにさらに分割して記入するという改定案が示されているのですが。一方で,初中局側は,一番下の黒ポツに書いてあるように,学校における働き方改革の観点から,指導要録を基に作成される調査書についても,観点別学習状況の評価の活用を含めて,入学者選抜で必要となる情報を整理した上で検討することと書いてあります。
 まさにそれを高校側と大学側がすり合わせるというのが,改善協議の場で,もともとこの会議はその下にワーキングとして置かれていたんですけれども,今は,独立した形でその議論をしております。そういう意味では,ここの場は大学側と高校側の意見のすり合わせで非常に重要な場で,何とか両者の意見を収れんできればと個人としては願っています。
 ただし、関係者の検討の前に文部科学省の中で,先ほど前田室長のほうからも,他部署の情報を勘案しながらというお話もありましたけれども,初等中等教育局と高等教育局が向かっている方向が異ならないように調整を是非お願いしたいと思います。その調整がうまくいかないと,まさに高大接続の,特に重要な入試において,両方,つまり,高校側と大学側の関係者に混乱が生じてしまうので,そのようなことが起きないように,ちょっと直截なことを言うと,大学側も高校側も受験生も迷惑しているということになるので,やっぱりちゃんと調整をしていただきたい。ここできちんと我々で調整できたら,逆に,2つの局の間できちんと突き合わせをしていただきたいというふうに思っています。
 以上です。
【圓月主査】
 ありがとうございました。
 事務局のほうも,今の御意見を承っていただいたというふうに思っておりますので,特に私からコメントは求めませんけれども,この協力者会議でもその問題点をご指摘いただいたということは,皆さんの前で確認しておきたいと思います。
 ほかは何かございますでしょうか。
 星野委員,明比委員はよろしいですか。何か追加ございますか。大丈夫でしょうか。星野委員はよろしいでしょうか。
 ほか,何か御質問とか御意見とかございますでしょうか。
 長塚委員,手を挙げてくださったでしょうか。
【長塚委員】
 今,川嶋先生が随分とお話しいただいたので,不要かもしれませんが,同じもう一つの資料5-1のほうで分かりやすく図示されていますので,これを念のため。
 私のプレゼンのときにも,これは同じようなもので御紹介したんですけど,5-1の4ページ,5ページあたりに,今のことが図示されているんですね。
 5ページを御覧いただいて分かるように,4ページも同じですね。各科目別にこの観点を入れる。そして,その右に評定をつけると。中学校までは,教科という大くくりで学習は進められていますけど,高校は科目別なので,これは結構大変な話だろうと思っています。
 これは実際のところ,働き方改革とある意味逆行します。世界のほかの国の先生たちが一番多くの時間を使っているのは,この評価だというんです。しかし,指導と評価が一体となっていなければいけないので,資質・能力ベースの学びに対応するような評価にしていかなければならないというのは,趣旨としては正しいし,これが示された以上はやらざるを得ないと思います。
 一方で,5ページの右側のほうにある,いわゆる特別活動,これは本当に簡素化なんです。例えば,部活動というような項目はもともとないんですけど,ここは必修になっていないものですから。でも,各学校の指導要録には,きっと書いていると思うんですよね。しかし,この新しい指導要録には,どういう活動をしたかなんていうことは書かないんですよね。例えば,生徒会にしても,生徒会役員をやっていたかどうかではなくて,各学校の求める資質・能力についての観点が書かれていて,その観点に対して非常に良かったという場合に丸をつけるという,その程度になるというのが,今度示されている指導要録なんです。
 ですから,今,大学が求めている調査書で,具体的に,どういうことをやって,どういう成果があったか,エビデンスまでつけてなんていうことは,この指導要録の参考様式の上では全くなくなっていくということなんです。
 ですから,こういうものを求める以上は,生徒自身から全て求めていただかない限り,そういう情報は得られないということに基本はなっていくということだけは押さえていただきたいなと思って,ちょっとくどくなりましたが申し上げました。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。非常に御丁寧な意見をありがとうございます。
 観点別は,非常に重要ですけれども,必ずしも万能の解決策というわけではないことも,やはり確認しておくべきかなと思います。
 いろいろ議論は尽きないかと思いますが,もう1項目残っておりますので,残りの時間,第3の項目の「調査書や志願者本人記載資料の活用及び大学への情報提供の在り方に関する事項」について審議をしたいと思いますけれども,そういうことでよろしいでしょうか。
 それでは,事務局から資料の説明をお願いいたします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。資料1,14ページ,3,調査書や志願者本人記載資料の活用及び大学への情報提供の在り方に関する事項について,説明いたします。今までの論点と重なる部分もありますけれども,改めて説明いたします。
 調査書の活用に当たっての留意点について,どのように考えるか。その際,特に大規模大学における調査書の活用の課題はどのようなものか。また,調査書の活用に係る高校側の期待はどのようなものかというような検討項目を設定させていただいておりました。
 主な意見の概要でございますけれども,調査書の記載事項については,大学が入試において調査書をどのように活用するか不明である中での調査書の作成は教員の負担が大きいため,大学が知りたい情報は大学自ら受験生から集めることとし,調査書の記載内容は最小限にすべきとの意見がございました。
 調査書の取扱いについて,学校推薦型選抜や総合型選抜では,調査書はかなり活用されているが,例えば,大規模私立大学の一般選抜では十分に活用されていないのが現状であるとする意見がある一方で,一般選抜においても参考程度の資料として記載内容をきちんと見ることによって,活用できる可能性はあるのではないかとの意見がございました。
 こちらのさらに議論が必要と考えられる点とさせていただいておりますのが,大規模私立大学の一般選抜など一部の入試区分において調査書が十分に活用されていない現状を踏まえて,大学に対してどのような調査書の活用を求めるのか,あるいは,大学のアドミッション・ポリシーに基づき,調査書を活用せず,学力検査,志願者本人記載資料等による選抜区分を設けることも可とするのか,さらに議論が必要ではないかとさせていただいております。
 次の項目ですが,志願者本人記載資料の内容を合否判定の資料として活用する場合の基本的な考え方について,どのように考えるか。
 主な意見の概要でございますけれども,志願者本人記載資料を活用する意義について,受験生自身が取り組んできた活動や実績を振り返る機会となり,進路を見つめ直すことで入学後のミスマッチを解消する狙いがあるとの意見や,大学にとっても,どういう視点や問題意識を持って振り返りをしているのかという評価ができるのではないかとの意見がございました。
 次の項目ですが,特に志願者が経済的な条件等に左右されず等しく多面的な評価の機会を得ることができるような評価の手法等について,どのように考えるかという項目につきまして,16ページでございますけれども,主な意見の概要としまして,評価の在り方として,調査書等に家庭の社会経済的背景が厳しい層の生徒への配慮のための評価項目,例えば,アルバイト,家庭への貢献等を設置することで,コミュニケーション能力,継続性,協働性などを評価することも考えられるとの意見がございました。
 さらに,この点につきましては,志願者の家庭背景や在籍する高校等に左右されない多面的な評価の在り方について,議論が必要ではないかと考えております。
 次の項目ですけれども,受験生の学びや活動成果等のデータの集積や管理,個人情報保護の在り方及び管理の主体について,どのように考えるか。特に,一元管理の利便性や課題についてはどうかという項目につきまして,最後の17ページでございますけれども,主な意見の概要としまして,受験生の学びや活動成果等のデータの取扱いについて,調査書に落とし込む必要は必ずしもなく,活動報告書やポートフォリオなどにより,生徒自身が提出することでよいのではないかとの意見がございました。
 懸念される点として,全ての高校生が日々の活動内容や学びをデータとして蓄積しているわけではないという実態を考慮すべきとの意見がございました。
 こちらの説明は,以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは,残された時間を利用して,この第3の項目を中心に意見交換を進めたいと思います。御発言,よろしくお願い申し上げます。
 垂見委員,手を挙げてくださいましたでしょうか。
【垂見委員】
 武蔵大学の垂見です。
 今の資料の25ページにありました,「生徒の経済的な条件に左右されず多面的な評価の機会を得ることができるよう」というところですが,私が発表で申し上げたことを補足したいと思います。
 発表の際は,家庭の社会経済的背景が厳しい生徒が排除されることが懸念される,それに当たって,どういった手立てが考えられるかということで,議論のスターティングポイントとして例を挙げさせていただいたのですが,資料1の15ページの1つ目のポツにある,「例えば,調査書などに家庭背景に関する項目やアルバイトや兄弟の世話などを評価する項目を入れる」に関しては,2つに分けて考える必要があるかと思います。
 1つ,「家庭の社会経済的背景に関する項目」というのは,あくまで客観的な項目で,例えば就学支援金の受給の有無,そのランク,あるいはひとり親か否かといった,何か生徒が意味づけを与えるものではなくて,客観的な家庭の所得であったり,家族構成の状況を指しており,そういった情報を聞くという提案です。その意図は,あくまでもアファーマティブ・アクションにつなげるためにという考えです。
 柴田先生が前回発表の最後に,エクイティとイクオリティの違い,平等と公平の違いに関する図を示してくださいました。片方の絵は,異なる背の高さで,背の低い子には踏み台を与えて,同じ背の高さにする,あるいは,それ以上の背の高さにするというような,いわゆるエクイティの絵でしたが,この提案というのは,あくまでもこちらの発想です。異なる背の高さなので,踏み台を設定するべきではないかという発想で,このような1つの策を提案させていただきました。
 2つ目にある,「そういった家庭の社会経済的背景が厳しい層の生徒であっても,確実に何か書けるような評価項目,例えば,アルバイトでどういった経験をしているのか,あるいは,家庭への貢献でどういったことをしているのか」という項目は,あくまでも本人の振り返りや意味づけが含まれた主観的な項目になります。先ほどの図で言うと,違った状況なのだけれども,踏み台は設定せずに,なるべく同等の場で競わせようという発想で,どちらかというとイクオリティの発想になるかと思います。なので,この2つは分けて考える必要があるかと思います。
 特に前者のほう,家庭の所得や家族構成を聞いた上でアファーマティブ・アクションを取るということは,もちろんより困難で,特に日本の教育制度の中では抵抗が強いことは予想されます。ただし,頂いた資料の中の基礎資料の164ページにあるようにが,生活保護を受けている層の大学進学率が20%であるのに対して,全世帯の大学進学率は52%。さらに子供の貧困対策に関する大綱ができて5年たっても,ほぼこの差は変わっていない。こういった教育格差の現状を考えると,アファーマティブ・アクションのようなかなり踏み込んだアプローチが求められるのではないかと思います。
 では,こういった是正措置というのを具体的にどのような方法で取り入れるのかというのは,今日の議論で最初から出ています,この多面的な評価をどのように,どの程度,どの区分で実施するのかというところともすごく絡んでくる問題かと思います。例えば,多面的な評価を非常に広くいろんな入試区分で導入するという場合,今日はそうではないのではないかという議論もたくさん出ていましたけど,つまり,総合型や学校推薦だけではなくて,一般入試でできるだけ多面的な評価を取り入れていくという場合には,例えば,就学支援金を受給している生徒には,その部分は求めない,自動ポイント加算というような,それぐらいのアファーマティブ・アクションが必要になるのかなと思います。ただ,これはやはりそもそも多面的な評価をどの規模でどの区分に入れていくのかというところで,どういった是正措置の方法を取り入れるのかというのは異なってくるのではないかと思います。
 もう一つ,2点目に挙げたほうというのは,先ほど申し上げたとおり,少しこれとは違って,あくまでも踏み台は設定せずに多面的な評価を行う上では,社会経済的に厳しい層でも答えられるような項目を設定していく,より消極的なアプローチになります。こういった項目を導入しても,やはりそもそも経験が少ないというのもありますし,自分の経験を振り返り言語化するスキルも少ないので,家庭の社会経済的背景が厳しい生徒はチャレンジしないいう懸念は残る。つまり,より消極的なアプローチになるのではないかと思います。
 以上の2つを分けて考える必要があるかなというので,補足させていただきました。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 こちらも非常に重要な論点だと理解しています。今回,垂見委員にも加わっていただいたのも,やはりこの入試の問題についての公平性,そして公正性の在り方,先ほど言われたエクイティとイクオリティの問題なんかもきちっと整理した形でまとめるべきではないかなと思っております。どうもありがとうございました。
 それでは,石崎委員が手を挙げてくださったでしょうか。
【石崎委員】
 また事務局に確認させていただくようなことになるかもしれないんですけれども。今の議論というのは,結局,英語の民間試験を使う使わないというようなときにも同じような議論があって,その件については,午前中行われた,いわゆる在り方研というやつで議論がされているんだと思うんですけれども。
 この話というのは,多面的な評価の在り方,公平・公正に行うにはどう扱うのかみたいな議論になっていくんだと思うんですけれども,その議論というのは,この会議でするのか,それとも,在り方研という午前中の会議のほうでもするのか。その辺は,文部科学省の中で,さっきいろんな整理をしてほしいという話もあったと思うんですけれども,この多面的な評価の在り方については,ここで議論するのかどうなのかということをちょっと確認させていただきたいと思うんですけれども。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 こちらは事務局に確認したいという御意見ですので,事務局から,よろしくお願いいたします。
【前田大学入試室長】
 石崎先生,ありがとうございます。大学入試室長,前田でございます。
 今,この多面的協力者会議と在り方検討会議との関係のお尋ねかと思いますけれども,検討会議のほうでも,全校長の会長であられる先生方から御意見をいただいておりまして,今,この多面的評価の在り方について,在り方検討会議でも紹介していただきたいという御意見もありますので,それは今,在り方検討会議で動いてございますので,いずれかのタイミングで,今こういうことを議論していますということは御報告させていただいて,検討会議のほうでも議論いただくのかなと思っております。
 ただ,在り方検討会議は,大臣設置の会議で,英語と記述式という議論でスタートしてございます。他方でこの多面的協力者会議については,調査書の様式とか電子化と,やや技術的なところもございますので,全てが検討会議での同じような議論をもう一回繰り返すということではなくて,今の状況を御報告する検討会議のほうでも議論されることになると思っております。
 以上でございます。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 石崎委員,そういうことでよろしいでしょうか。
【石崎委員】
 まだちょっと分からないんですけれども,進めていく中で分かっていくと思います。
【圓月主査】
 柴田委員,よろしくお願いします。
【柴田委員】
 垂見先生,非常に私が悩んでいることを明快に峻別していただいて,ありがとうございました。私,前回,図をお示ししようと思って失敗したんですけれども,今回は多分こういうことでございまして,イクオリティとエクイティの違いですね。私,こういう部分,不案内なものだったんです。入試の場合どちらかなというので悩んでいたんですけれども,先ほどの垂見先生のお話では,両方あるんだということで,こういう考え方を併存していかなければいけない,それがまさに多様な多面的な選抜ということになるのかなと,目からうろこの感じがいたしました。どうもありがとうございます。
 それから,今の石崎先生のお話で,在り方委員会のほうとこちらはどうなのかというのは,私もこちらのほうで,例えば,柴原先生のお話とか,主体性のお話とか承りましたし,最初にもちょっと御紹介しましたけれども,在り方委員会のほうでのウェブでの意見聴取でも主体性についていろいろあって,その中では,特に経済的格差の指摘や,主体性というのが測れるのかというような御意見等々もございましたので,御紹介したんですけれども,私の感じた雰囲気といたしましては,それはこちらの多面的評価の協力者会議のほうである程度議論をしてください,それを出してくださいというようなお話だったと私は理解しております。
 川嶋先生もその会議に御出席だったから,その辺りの判断,川嶋先生はどう受け止めていられるか,お聞きできればと思いますが,よろしくお願いします。
 以上です。
【圓月主査】
 川嶋先生,よろしくお願いいたします。
【川嶋委員】
 よろしくと言われても,なかなか答えに窮するんですけれども。
 先ほど前田室長が御発言されたように,この会議は,評価法とか,具体的な評価法のツールとか,その辺りを議論する場なんだろうなと私自身は理解しております。
 ただ,多面的・総合的に評価する場合と,使い方を誤ると,これはアメリカで起きていることですけれども,やはり富裕な家庭出身者に有利な評価になることも避けられないということもあります。ですから,午前の会議の座長・副座長提案としては,こちらの議論を在り方会議のほうにもきちんとインプットしてもらうということは提案してありますので,いずれ,ある意味,在り方会議のほうでも議論することになりますが,今のところ,在り方会議のほうの今後のアジェンダにも,今のこの会議からのインプットも含めて,公平・公正の点については議題として取り上げるとなっておりますので,うまくタンデムで議論が進めばいいのかなと思います。
 それから,もう1点だけ,柴田先生の掲げられたイラストについてコメントさせていただくと,そこに示されている,背が低い子には踏み台を与えて,背の高い子と同じように野球の試合を見えるようにするのがequity,公正な処置だということなのですが,野球の試合の見物は,一人が独占するわけではなくて,足を高くしてあげれば誰でも見られるという意味なんで,誰かが独り占めするわけではありません。空気や水と同じ誰でも自由に消費できる自由財です。しかし,入試というのは,限られた合格枠をめぐって競争するわけなので,たとえば,木からぶら下がった1個のリンゴを取り合いになったときに,どういう状況が一番公平で公正なのかというふうに考えないと,少し議論がずれていくのかなと思いました。
 すみません。最後は余計なことを言いました。以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。無理に御発言を求めてしまいましたが,適切にまとめていただいて,ありがとうございます。
 在り方会議のほうとの完全なすみ分けを事前に決定するというのはなかなか難しいかと思いますけれども,連携はやはり必要になってくるのかなとは思っております。
 長塚委員,手を挙げてくださいましたでしょうか。
【長塚委員】
 ありがとうございます。度々申し訳ありません。
 調査書とか生徒の活動の報告の話になりましたので,もう一度確認したいんですが。先ほど調査書で観点別評価と言いましたけれども,国教研がガイドブックを出していまして,観点別の評価の仕方で,例えば,3要素について,CCAはないんじゃないかとか,AACもないんじゃないかとか,そんな,かなりディープな議論がされているのは事実なんです。それでも実際に,多分まだ,9割方の高校では,観点別評価をやっていないんですね。そういう意味で,これが一斉に,再来年からの高1から始まって,大学入試にも全面的につながってしまうというのは相当リスクもある,混乱する可能性もあると思います。
 圓月先生から,観点別が万能ではないという御指摘もあった,そのとおりで,当然,評価の規準は各学校ごとに,あるいは,教員ごとに違う可能性もあるんです。ですから,まず,この研究が各学校でしっかり行われ,それぞれの観点の規準に対して大学が認識して,初めてそれが入試という大事なところで使われるのではないかなと。まだまだ実績というんでしょうか,準備というんでしょうか,それが足りないなと心配をしています。
 強いて言うならば,総合型選抜とか学校推薦型の場合にはこれを必要とする,というところから始めていくのが無難かなというのが1つと,それから,生徒に求めるものなんですけれども,資料2に令和3年度の実施要項も載っていて,もう前から,予告の段階からありましたけど,例えば,23ページ,活動報告書のイメージ例というのを,文科でお作りになって出しています。資格・検定に至るまで自ら報告するという,この3ページにわたって例示されている活動報告書のイメージです。もし調査書が簡素化されていったならば,こういう情報は,このような活動報告書などで生徒が出すしかないということになるわけです。
 そうすると,言わばコモンアプリケーション,共通願書というんでしょうか,生徒が自分で報告するための共通性のある,ウェブ上でも出せる,項目が分かっていて,生徒があらかじめ準備するというんでしょうか,書き込めるようなものを提示していただく必要があるのではないでしょうか。大学ごとに,その年の入試になってみないと分からないというのでは,やはり高校,あるいは生徒自身も非常に困惑してしまうと思うんですよね。
 共通性のある生徒の活動報告書,これをウェブ化しておくような必要性が私はあると思っています。そういうふうにすることは,調査書とのある意味使い分けですが,広い意味での主体性まで見ると言う場合の多面的・総合的な評価,入学者選抜がうまく機能しないなと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 まず,垂見委員,川嶋委員は手が挙がっていますけれども,消し忘れておられるだけでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしたら,西郡委員,新たに手を挙げていただいたので,よろしくお願いいたします。
【西郡委員】
 この部分,調査書や志願者本人記載資料の活用ということがありましたので,それについて少しコメントさせていただきたいんですけれども。
 やはり調査書や志願者本人の資料の活用というのは,入試区分によって全然考え方が違うと思っています。それぞれ総合型であれ,推薦であれ,一般入試であれ,入試設計のコンセプトは全部異なりますので,当然,配点も違えば,評価の観点も違うので,それぞれの資料の活用のあるべき姿というのは,それぞれに応じて変わってくるのかと。
 そういった意味で,この意義とか,そういったところを一つのくくりでまとめるというよりは,やはり柔軟にそういったところをしっかり検討していって,それで,その適用というものをしっかりと考えていく必要があるのではないかなと思います。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 先に川嶋委員,よろしくお願いします。
【川嶋委員】
 すみません。時間もないので,手短に。
 15ページの点線囲みのところの上の新しい入試区分,選抜区分を設けるというようなまとめもありますが,先ほどの垂見委員のお話に関連して,前回,垂見委員の御発表では,学力や意欲にも家庭の経済背景,文化資本等が影響しているという御発表もあり,先ほどの御発言の内容になっていたと思います。
 そうすると,今後,この問題は,この会議での議論になるのかもしれませんが,おそらく主に在り方会議での議論になるのでしょうが,やはりディスアドバンテージの人,障害者も含めて,社会的なディスアドバンテージのある人に対して,今の入試区分で対応できるのか。つまり,新しい区分を設けて,アファーマティブ・アクション的なことをするのか,それとも,評価の中でそういう視点を入れて公正な評価にしていくのかというような議論も,この会議あるいは,在り方会議なのか分かりませんけれども,やはりその辺の議論も必要になってくると思います。その意味でも,私が冒頭に述べたように,今の入試区分が,本当に妥当で適切な入試区分になっているのかというところも,考えざるを得ないのかなと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【圓月主査】
 重要な御指摘ありがとうございました。
 時間が迫っておりますけれども,最後に,髙井委員のほうから御意見いただきたいと思っております。
【髙井委員】
 時間のないところを申し訳ございません。
 最後のページ,17ページのところで,JAPAN e-Portfolioのところが触れられています。JAPAN e-Portfolioの活用の意義と申しましょうか,それを明確化するのは難しいと。大学進学をする生徒は全体の55%ですというようなお話なんですけれども。
 大学入試に用いるためのJAPAN e-Portfolioということで言えば,間違いなくそういう形になるとは思うんですけれども,先ほどの主体性を評価する云々というところと,あと,観点別評価みたいなお話の中で,高校ではなかなか準備ができていませんというお話がございました。そこの部分で,指導と評価の一体化ですとか,観点別評価もしかりです。また,先生が学びを評価して次につなげる形成的評価というようなところが,私の感覚なんですけれども,高校の先生方はまだそういった準備ができていない。要は,データを蓄積して,それを次の学びにどうつなげていくかということがしっかり定着すれば,恐らくここが55%ではなくて,全ての生徒さんに対してこうした仕組みを入れていこうという機運になると。
 ここはあくまでもJAPAN e-Portfolioは,大学入試に使うという観点でのお話になりますと,そもそもe-Portfolioの活用を明確にするのは難しいと思います。そうした結論に至るから「だからやめよう」ということになってしまうと,せっかく準備を進めてきているところが,「ほら,やらなければよかった」ということになるのは嫌だなと思いまして,この観点について,お話しさせていただきました。
 以上です。
【圓月主査】
 どうもありがとうございました。
 先ほど申しましたとおり,次回以降,調査書の電子化に向けて研究調査を続けてくださっておられます,関西学院大学の巳波先生から何らかの意見をいただけると思っております。今の髙井委員の御意見は,そちらにもつながっておりますので,次回に向けて宿題を出していただいたものと理解しております。
 ほかにも議論はいろいろ尽きませんけれども,あとまだ複数回ございます。本日はちょうど時間になりましたので,この辺りにというふうにさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 それでは,本日の第7回協力者会議はここで閉会とさせていただきたいと思います。
 最後に,事務局から連絡をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【小川大学振興課専門官】
 事務局でございます。
 次回,第8回目の会議は,先日御連絡しましたとおり,ウェブ会議の形式で,10月29日木曜日,15時から17時までの予定で開催いたします。次回は,本日に引き続きの議論をさせていただきたいと思います。
 本日,時間の関係で言い足りなかったことなどあります場合は,事務局にメール等で御連絡いただければと思います。
 皆様,本日は,お忙しいところ,誠にありがとうございました。
 以上でございます。
【圓月主査】
 それでは,次回以降もよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【石崎委員】
 ちょっといいですか。すみません。
【圓月主査】
 どうぞ。
【石崎委員】
 最後に1個お願いがあるんですが,資料提供についてなんですけれども,事務局にはたくさんの資料を作っていただいて,本当にありがとうございます。
 たくさん送っていただいてありがたいんですけれども,前日の夜に送っていただいても,なかなか勉強して臨むことができなくて,昼間も仕事しているものですから,できたらもうちょっと早く送っていただけるとありがたいなと思っているところです。もちろん,大変お忙しいところだと承知はしているんですけれども,私どもが勉強して臨めるように,ぜひ少し資料を早く送っていただけるとありがたいです。
 前,別の会議でも,会議が始まる50分前に大事な資料が送られてきたということもあったりして,ぜひ事前に資料を読めるようにお願いしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【圓月主査】
 確かに承りました。前向きに検討していただくようにお願いいたします。
 それでは,よろしいでしょうか。
 どうも本日はありがとうございました。また次回以降もよろしくお願い申し上げます。失礼いたします。

―― 了 ――




 

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