国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議(第8回)議事録

1.日時

令和2年9月25日(金曜日)9時00分~11時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 中間とりまとめ(案)について
  2. 今後の検討事項について
  3. その他

4.出席者

委員

金丸座長、濵口委員、上山委員、大野委員、五神委員、小林委員、篠原委員、曄道委員、冨山委員、星委員、松尾委員、松本委員、柳川委員、山極委員

文部科学省

伯井高等教育局長、川中審議官(高等教育及び高大接続担当)、森審議官(高等教育及び科学技術政策連携担当)、堀野国立大学法人支援課長、生田高等教育局視学官、他

5.議事録

【生田高等教育局視学官】 ただいまより第8回国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議を開催いたします。
本日もいつもと同様,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,ウェブ方式での開催となっております。委員の皆様には御参加いただき誠にありがとうございます。
現時点におきまして,音声に不都合はございませんか。前回,文科省側の回線が一部聞こえにくいことがありましたが,少し改善されればと思っております。
事務局からのいつものお願いでございますが,ウェブ会議を円滑に行う観点から,御発言に当たりましては,インターネット上でも聞き取りやすいよう,はっきり発言いただきたいと思います。また,御発言の都度,お名前をおっしゃっていただく。そして,発言時以外はマイクをミュートにしていただくこともお忘れなくお願いします。また,御発言に当たりましては,カメラに映りやすいように,手をこのように振っていただければと思っております。そして,資料を参照する際は,資料番号,ページ番号,ページ内の該当箇所を分かりやすくお示しいただきたいと思っております。
最後に,できるだけ多くの皆様方から御発言いただくために,1回当たりの御発言の時間は短めに控えていただきたいと考えてございます。御理解のほどよろしくお願いいたします。
それでは金丸座長,よろしくお願いいたします。
【金丸座長】 ありがとうございます。皆様おそろいになるまで待たなくて,もう始めてよろしいでしょうか。後は小林さんと冨山さんですか。
【生田高等教育局視学官】 そうですね。小林委員から,少し遅れるという連絡が今,ございましたので,始めさせていただければと思います。
【金丸座長】 分かりました。それでは,本日もよろしくお願いいたします。会議を始めさせていただきます。
本日の会議は,宮内委員から欠席の御連絡をいただいておりますので,今,お話をお聞きいただいた小林委員と冨山さんが参加してくだされば,委員15名中14名の御出席となります。今のところ12名の御出席ということで,会議を開始させていただきます。
それでは,早速議事に入らせていただきます。前回の会議では,本検討会議としての検討結果の方向性を審議概要の骨子に基づき議論していただきました。
今回は,前回の議論を踏まえて,事務局にて審議概要骨子に肉づけを行うとともに,中間取りまとめ以降の検討に向けた問題提起なども追記するなど,本検討会議としての中間取りまとめ案をまとめてもらいました。
本日の会議までに,作成途上で委員の皆様から多数の御意見をいただきました。ありがとうございました。反映できるものは反映させていただいたつもりでございますが,その資料がお手元にあるものでございます。まだ反映し切れていない部分等も残っているかと存じますので,本日この場にて議論をしてくださいますようお願い申し上げます。
それでは,まず事務局から御説明をお願いします。
【生田高等教育局視学官】 失礼いたします。それでは,資料1-1に基づきまして,少し長めになりますが,中間取りまとめ案の説明をさせていただきたいと思います。
こちらの構成自体は,前回の会議で御提示させていただいております審議概要の骨子の構成をなぞった形で,その中で,最初に「はじめに」をつけるとともに,最後に,11ページ,「今後の検討に向けて」というのをつけた形での中間取りまとめ案とさせていただいております。
最初から順番に説明申し上げます。1の「はじめに」のところでございますが,基本的にこの検討会議を始めるに当たった背景を,大きく3つ書かせていただいております。
最初の部分は,令和元年6月21日の骨太方針2019をきっかけにした話でございますが,トップレベルの教育研究を推進し,世界の有力大学と伍していくことが期待される国立大学,これを更に戦略的大学経営を可能とするための大胆な改革をすることが必要であると謳われたということを,まず記載しております。
2点目が「また」以降でございますが,前回会議でも委員の方から御発言いただきましたように,なかなか,我が国の場合,産業の新陳代謝が進まない。そして,世界を席巻するようなデータ中心主義の潮流にも乗り遅れる危機的な局面で,さらにイノベーション力という意味でも,諸外国と比べても研究力低下や頭脳流出といった懸念が呈される。
一方で,地政学的変化が起きている中,我が国がSociety5.0というコンセプトをいち早く打ち出した上で,国立大学に対する期待が高まり,産業の新陳代謝を促す推進力として,社会変革を駆動する真の経営体への転換,これに向けて大胆な改革を正にやろうとしていたところだったというのを2つ目に書かせていただいております。
そして3つ目,これが正にそういった最中の,新型コロナウイルス感染症の影響でございます。これは当然ながら,このコロナ禍によりまして,全世界的なデジタルトランスフォーメーションの変革といったものが進んでいく中で,ニューノーマル社会による新しい大学経営のモデルをどれだけ我が国からいち早く提唱・構築していくことができるか。これによってゲームチェンジを図れるか図れないか,そういった岐路にあるのではないかと。ですので,今こそ,大学ニューノーマルによって機能を拡張した国立大学を駆動力とした,日本の大転換を加速することが不可欠である。このように3構成で書かせていただいております。
そして次のページ,2ポツから,国立大学法人と国との関係について記載をさせていただいております。
まず(1)基本的な考え方でございますが,平成16年4月の法人化で,競争的環境の中で,活力に富み,個性豊かな大学を目指すというのが法人化の精神だったと思うのですが,これによって,もともと国に属していた国立大学ですので,これは日常的に文科大臣の包括的な監督に置かれておりました。そこから,いわゆる中期目標・中期計画,そしてそれに基づく評価という目標管理型に大きく変わったと。
その成果としては,もちろん法人化の長所を生かした大学の改革,そして強み・特色の明確化等々,一部そういったものが見られ,更に経常収益も1.3倍となる,運営費交付金が減っていく中でも外部資金を多く獲得することで,全体の活動量というのは大きく増えてきている。その財務構造の変化というものも一つ言えるのではないかと思っております。
ただ,こういった成果の一方で,国の管理の仕組みや,大学間の結果の平等を偏重するマインドが国にあったり,若しくは大学においても,内部での横並びの慣習といったものから,なかなか法人化当初に描いていた姿を実現し切っているとは言い難いのではないか。このような現状認識を書かせていただいております。
こうした中で,これから第4期の中期目標期間を迎える今こそ,大学がより自律的に,個性的かつ戦略的な経営を行うことができるように,改めて国と大学の関係性を見直して,新しい段階,新しいフェーズへと再定義していくことが喫緊の課題であるという形で,記載をさせていただいております。
「さらに」でございますが,知識集約型社会への大転換といった中で,知のインフラ基盤として,社会に価値を提供し続けることが国立大学に一層求められるようになった中,そして先ほどお話ししたように,コロナ禍においてニューノーマル時代が到来し,国立大学法人が多様な個性を生かして,社会と新しい価値を競争していくことが,これもまた一層期待されるようになりました。
このように期待が大きくなる中で,機能を拡張し続けることが国立大学には求められるようになり,それを可能なものとするためには,当然ながら社会からの相応の支援といったものを得ることが不可欠であろう。こういった現状認識の下で,国立大学法人は,ある意味多様なステークホルダーと積極的に関わり合うことで,拡張した機能による活動が新たな投資を呼び込む――次の3ページ目でございますが,社会変革の駆動力として成長し続ける戦略的な大学,真の経営体に転換することが急務である。
ここで言う「真の経営体」,これは少し「経営体」の説明を書かせていただいておりますが,重要なのは主体的にまず働きかける,そして,よりよい未来社会づくりに向けて,単に収益化をすることを目指すだけではなくて,新しい資金循環を駆動することで社会経済システムを変革させる,これを目指すべきである。このような形で,定義を書かせていただいております。
以上の背景を踏まえ,国は大学に負託する役割や機能の発揮ができる環境構築に責任を持つとともに,法人が国のパートナーとして,自らの裁量で機能を拡張して社会と対話できるよう,規制によるいわゆる事前管理型から事後チェック型を基本思想とした新しい枠組み,これを「事律的契約関係」と呼び,これを構築すべきである。
一方で,国立大学法人は,当然ながら国から負託された業務を確実に遂行する。これに加えて,経営体として多様なステークホルダーとのエンゲージメントを通じて,信頼関係を深めることが必要であり,そのステークホルダーを巻き込んだ大学経営モデルを構築することが必要だと書かせていただいております。
なお,「エンゲージメント」については,前回の会議でも,多義的で曖昧性があり分かりにくいのではないかというような御指摘もありましたので,事務局の案ではございますが,脚注でエンゲージメントの説明を書かせてただいているところでございます。
戻りまして,そのようなステークホルダーを巻き込んだ大学経営モデル,そのためには大学は活動成果の可視化や,徹底した情報公開による透明性の確保,そして外部の視点を取り入れた評価の多元化も重要であると書かせていただいております。
なお書きのところは,前回,自律的契約関係になったときに,いわゆる今まで国から出ておりました運営費交付金との関係はどうなんだという御指摘がございましたので,ここで書かせていただいておりますのは,いわゆる自律的契約関係というのは,国と国立大学法人それぞれの責任を明確にすることで,その関係性を自律的なものにすることを企図していると。ですので,当然ながら公共的価値の創出を期待されている法人が,国から財政的に自立することを表現しているのではないことに留意が必要と書かせていただいております。
以上が基本的な考え方でございまして,続いて(2)から,中期目標・中期計画の在り方につながっていきます。
中期目標・中期計画,これは当然,今は目標管理型の枠組みとなっております。27行目ですが,事業の増殖を抑止し,既成の枠内での事業の効率化と質の向上を目指す,いわゆる独法の形を倣ったもので行われておりますが,これはどちらかというと,自ら多様な目的を持って自律的に発展していく国立大学法人にはなじまないのではないかと。
ですので,国はこの在り方について,毎年度,財政措置を講ずるに当たって求められる必要な関与と,一方で,法人の自主性・自律性に基づく発展を両立している形に見直すべきであるというのを,大きな方針として書かせていただいております。
その中で,大枠の方針の部分,下から2行目でございますが,国立大学法人に求める役割や機能に関する基本的事項を,国は国の方針として提示するべきである。そして,4ページ目に行っていただきまして,これによって,いわゆる国の責任を明らかにすると書かせていただいております。
この方針というのは,当然ながら,国が大学政策上必要なものを示すことが必要であって,ある意味,国は法人に負託する役割や機能が発揮される環境構築にも責任を持つ。そういった意味では,法人が予見可能性を持った財務運営に基づいて,業務を確実に遂行できるように配慮が必要というようにも書かせていただきました。
続いて,中期目標・中期計画の具体のところでございますが,法人が大学経営,これは自ら作っているであろう大学経営の目標に照らして,国が示した方針の中で,自身のミッションとして位置づけるものを自らチョイスして,それを達成するための方策については,自らの責任で達成水準,検証可能な指標といったものを明確に中期計画に規定することが不可欠であると書かせていただいております。これによって,法人は中期計画の達成に責任を持つという記載になっております。
一方で,これも前回御議論がありましたが,一回決めてなかなか変えられないとなってしまいますと,社会変革にスピード感を持った対応ができなくなってしまいますので,その見直しや変更に当たっては留意が必要とも書かせていただいております。
また,これも委員の方から御意見がございましたが,法人は,中期目標・中期計画の期間と学長の任期の連動の在り方,これはそれぞれいろいろなやり方があると思いますが,組織の特性を踏まえて検討すべきと書かせていただいております。
「併せて」のところにつきましては,先ほど,多様なステークホルダーとエンゲージメントを通じた信頼関係の構築というような記載がございましたが,それであればなおさら,ステークホルダーが必要とする情報を,簡潔かつ分かりやすい内容として積極的に発信するべきであるとも書かせていただいております。
以上が大枠,中期目標・中期計画のところでございまして,次が評価の在り方でございます。
こちらについても,下線部分,33行目でございますが,国立大学法人は,既に策定されておりますガバナンスコードへの適合状況への積極的な公表を行うとともに,毎年行う自己評価では,今までと違い,国以外のステークホルダーの視点もしっかり取り入れて,充実・強化を図るべきというように書かせていただいております。
そして,それを前提とした上で,国による法人評価,5ページ目に行っていただきまして,いわゆる毎年度の年度表情の廃止,そして原則として6年間を通した業務実績の評価とすると書かせていただいております。
「さらに」のところでございますが,これも委員の方から多く御指摘をいただいておりましたが,現在,様々な評価の仕組みがございますので,いわゆる重複があるものについては排除し,抜本的に評価全体の簡素化を図るべきであるとも書かせていただきまして,そのことによって,国による評価に投入していたリソースを,逆に多様なステークホルダーとのエンゲージメントに振り向ける。それで高い信頼獲得に努めるべきであるとも書かせていただいております。
「なお」のところにつきましては,これも前回少し御議論がありましたが,いわゆる最後に,もし何かあったとき,国はどうするのかというところでございますが,これは既に現行制度でも,規定上は,国は法人に対して違法行為等の是正のほか,等々を講ずることができるとなされております。国と国立大学法人の新たな関係下において,この措置を実効性を持った運用をすることが必要ではないかと書かせていただいております。
そして,今後の議論ではございますが,国だけではなく,それぞれのステークホルダーとの関係性という意味においては,多様化なステークホルダーごとに,どういう責任をそれぞれどのように持つべきか,これについては今後引き続き検討を行っていくことが必要であると書かせていただいております。
続いて16行目からが,内部統制に係る組織の在り方でございます。
まず1点目,経営の柔軟性でございます。これも委員会でも議論がございましたが,国は,いわゆる法人の内部統制に係る組織の在り方については,ある意味,大枠を示すにとどめて,その他の事項は法人の経営サイドに委ねるべきではないかと。それというのは,逆に法人側に説明責任を果たすことが求められるという記載にしております。
具体的にはということで,法人が置くことができる理事の員数についての柔軟性を持たせるといったことも,ここでは書かせていただいております。
2点目が,牽制機能の可視化でございます。こちらは,いわゆる学長選考会議と監事の役割の2つについて書かせていただいておりますが,そもそも論として,最初に国立大学法人制度の中におけるガバナンスの仕組みを少し記載しております。
国立大学法人制度は,学長のリーダーシップの下で,いわゆる役員会,経営評議会,教育研究評議会,それぞれが,最終的な決定権を有する学長に対して,その決定を支える共同統治となっております。また,その外の部分に,文科大臣が任命した監事が2名置かれるということで,いわゆるチェック・アンド・バランスの形になっております。
新しい自律的契約関係下において,法人自身が自律的にガバナンスを効かせていく仕組み,次の6ページ目に行っていただきまして,この実効性を担保する在り方,これは今後,引き続き議論が必要であると考えておりますが,少なくとも現状において,まず,多様なステークホルダーからの信頼を獲得していくためには,学長のリーダーシップ,ここに牽制機能をしっかり可視化させる。多様のステークホルダーに対しても見えるように可視化させることが重要ではないかと。
そういった観点から2点,国は,執行部から学長選考会議自身が中立であることを明確にするために,現状,学外・学内それぞれから選出された者で構成されているところに,さらに学長が構成員として加われることになっておりますが,この牽制されるべき側の学長自身は,この学長選考会議には関与しないことを法令で規定すべきであると書かせていただいております。
また,この学長選考会議自身が法律の施行通知で記載している牽制機能,これも脚注に落としましたが,選考した学長等々の業務執行状況について恒常的な確認を行う機能が,既に施行通知では記載しております。これを法令上も可視化することが必要であると書かせていただいております。
ここまでが学長選考会議の話でございまして,次が監事の話でございます。監事の機能の実質化。ここについても,これはガバナンスコードでも規定されておりますが,当然,法人の規模に応じて,若しくは監査業務の実施状況を踏まえてではございますが,監事が十分に,かつ適切に監査業務を遂行できるよう常勤化,しっかり中に入って,いわゆる外様的に置かれているだけではない形で,中に入って監査ができるような常勤化について検討するとともに,当然1人では業務ができませんので,そこをしっかりサポートする体制の整備について必要であると書かせていただいております。また,監事を選んでいくプロセスも工夫すべきであると書かせていただいております。
続いて16行目からが,学長選考プロセスと候補者の育成についてでございます。
学長選考会議,意向投票の意義について,御議論が委員会でもございましたが,この意向投票の結果に学長選考会議の選考結果が拘束されることがあってはならないと。例えば,1人が過半数を獲得するまで意向投票を行うことで,選考会議がその結果をそのまま反映させる,過度に学内の意見に偏るように受け取られることは避けるべきであると書かせていただいております。
ただ,一方で,意向投票の必要性というか,意味合いというものはあるのではないかという御意見もございまして,それを1つの手段として活用するというのはあるだろうと。ただ,その場合は,ある意味当然,学長候補者が学内の候補者と信頼関係を築いて,その下で強力なリーダーシップを発揮できる能力を持っているかどうかの確認の参考とするといった目的や位置づけを明確にして,説明責任を果たすべきであると書かせていただいております。
このように,学長選考会議が自らの権限と見識において,人物像に関する基準を明確に広く発信するとともに,ふさわしい者を主体的に選考するべきであると書いております。
また,ここからは学長となるべき幹部候補といったものを発掘,育成,プールする仕組みや,若しくは学長に求められる,いわゆるアカデミアの世界だけではなくて,多様なステークホルダーを巻き込んで,それによって投資を呼び込むことができる能力といったものも明確にすることが必要であると書かせていただいております。
次に7ページ目でございますが,ここは会計制度・会計基準でございます。
ここは大きく分けて2つ記載しておりますが,1点目は,産業界目線からも理解しやすい財務諸表等でございます。今までは当然,国に対する説明責任としての会計制度・会計基準といったものがあったかと思うのですが,多様なステークホルダーへの説明責任を果たすための道具としては,特に経営協議会の外部委員の方,特に産業界の方等々からは,損益均衡の概念や損益外処理など,なかなか特異的な形でございますので,分かりにくいと。そうすると適切な助言がし難いといった懸念が呈されておりました。
このため,国は,非財務情報と統合させた開示の在り方や,損益外の情報の表記を欄外にしていくといった工夫を行うことで,しっかりとその説明責任を果たしていくことが必要であるというふうに,まず1点目は書かせていただいております。
2つ目は,今度は積み立てるお金の件でございます。これも,国は,法人自らの判断で戦略的に積立てができる内部留保の仕組みをしっかりつくるとともに,また,目的積立金についても委員から御指摘がございましたが,自ら獲得した多様な財源については,次期中期目標期間に繰越しがしっかりできるように,目的積立金の見直しを行うべきであると書かせていただいております。
続いて33行目からが,経営裁量の拡大を可能とする規制緩和でございます。
基本的な考え方は,真の経営体となるためには,裁量の余地を持つだけではなくて,裁量拡大のための手段を増やすことが必要であると。基本方針として,事前管理から事後チェックへの思想に基づいて,国立大学法人が機能を拡張し,新しい価値を社会に提供し続けるために不可欠な規制緩和を行うべきと書かせていただいております。
続いて8ページ目でございますが,国立大学法人が,拡張した機能による活動が新しい投資を呼び込んで成長し続ける経営モデルを開発していくことが求められるために,国は,法人が自らの裁量において戦略的・長期的に安定して活用できる資金を確保し,循環拡大させることが可能な仕組みをつくることが必要であると書かせていただいております。
その中の具体の策が幾つか並んでおりまして,まず長期借入金,それから債券発行の件でございます。これは御案内のように,令和2年に既に政令改正を行っておりますが,いわゆる市場との対話でさらに魅力的な商品として高い価値を生み出すことが求められているという背景を踏まえ,国は,発行対象事業のさらなる拡大や,償還期間のさらなる長期化といったことについても検討を行うことが必要であると書かせていただいています。
それから,この大学債のみならず,知的ソフトインフラを最大限活用して,安定的にキャッシュフローマネジメントを実現していくことが必要ではないかということで,出資対象の拡大についても続いて書かせていただいております。
現状,3種類の形態で出資事業が可能でございますが,さらにオープンイノベーション支援機能や,出口に近い共同研究・受託研究の研究開発機能といったものも,出資が可能な対象事業としていくべきではないかと書いております。
また現状,研修事業,コンサル事業といったものについては指定国立大学法人だけに限定されておりますが,これを全ての国立大学法人に拡大するとともに,そのほか,国立大学法人が培ってきた教育研究に関するノウハウを生かせる事業については,発ベンチャーも含めてになるかと思いますが,出資対象とすることについて検討すべきであると書かせていただいております。
続いて35行目からは,金融商品による資金運用でございます。
こちらは,9ページ目でございますが,複数の国立大学法人が共同で運用資金を拠出して運用していく場合には,基幹法人だけが認定を受ければ実施可能ということに柔軟化すべきではないかと書かせていただいております。
続いて,6行目からは間接経費の件でございます。間接経費は当然,収入源として貴重な財源となっております。ですので,まず1点目,公的研究費の間接収入については,中長期的な財源として積み立てて,設備更新等に使用可能になるような運用ルールの柔軟化といったことをしていくべきではないかと書かせていただいております。
また,産業界との共同研究によって得られる間接経費でございますが,一つ,なかなか大学の研究者,研究成果といった価値が可視化されにくい。そのことで価格を判断しにくいといった指摘もなされている一方で,最近では,包括的な連携という意味で,産業界と大学とが大枠で合意する契約といったものもあるようになってまいりました。
こういった状況の変化等も踏まえて,国は,法人が自ら獲得した間接経費収入の使途の在り方については,償還財源の多様化の観点も含めて検討すべきであると記載させていただいております。
続いて,20行目からは定員管理の件でございます。まず,学部学科の再編等について,現状においては,私立大学と比べてもなかなか厳しい要件になっているという中で,一方で,国立大学は急速な社会の変化,ニーズ,産業構造の変化といったものに対応するために,スピード感を持って組織の再編を行っていくことが求められるのではないかと。このため,いわゆる学位の分野に変更がなく,総数が増えない場合において,これは本当に今すぐにでも,学部・学科の再編を伴う定員変更に必要な手続については,抜本的に簡素化すべきではないかと書かせていただいております。
また,学部以上に大学院も,国立大学に求められる役割は大きいと考えておりますので,ここについては,定員枠の戦略的な再配分についての課題や対応策については,今後議論を行っていくことが必要ではないかと書かせていただいております。
また,収容定員の総数の件について,10ページ目に参りますが,地域の知の拠点として,内外の人材やシーズを育成・結集させ,多様な諸活動の中核となる,全都道府県に配置されている国立大学に期待される役割は大きいのではないかということで,文理の枠にとらわれないSTEAM人材の育成や,地域の特性・ニーズを踏まえた質の高い人材育成,イノベーションの創出等々といったところに本気で取り組むような場合,これは今まで抑制的に取り扱ってまいりました学部の収容定員の在り方を柔軟的に扱っていくといったことも含めて,地方大学の魅力ある姿にしていくことを強化すべきではないかと書かせていただいております。
続いては,少しグローバルな話でございますが,まず優秀な留学生の確保でございます。
これも委員から何度か御提案をいただいておりましたが,これまで以上に,国際的に活躍できる人材を育成・輩出していく頭脳循環拠点といった役割が求められてくると考えておりまして,さらにニューノーマルになっていく環境下におきましては,一層,優秀な人材の世界中での獲得競争が激化してまいります。
そのため,国としては,真に優秀な留学生を定員管理の外枠に位置づけるなど,定員管理の弾力化を迅速に講ずるべきであると書かせていただいております。そして,それに併せて,留学生の授業料につきましても,現状は一律でございますが,例えば優秀な留学生を獲得するために無償で受け入れるとか,逆に高額な授業料を払ってでも留学したいと思われるような高度な教育研究を提供していくといった質の向上の観点などから,大学ごとの戦略に応じた柔軟な取扱いを可能とするように,設定の在り方についての柔軟化を図ることが必要であると書かせていただいております。
続いてジョイント・ディグリー,こちらも委員会で御議論をいただきましたが,今は様々な制約がある中でございますが,このジョイント・ディグリーの重要性,効果性といったものがうたわれております。ですので,ジョイント・ディグリープログラムのさらなる拡大に向けて,11ページ目でございますが,今,国内,連携先の大学それぞれで,最低修得単位数が決まっているものを軽減するとか,連携先の大学が主として管理する留学生定員の扱いの柔軟化を講ずるべきと書かせていただいております。
続いて5行目から,新たな時代の大学ニューノーマルの早期実現でございます。
こちらについては,これからの新しい話を少し書かせていただいておりますが,全世界的なデジタルトランスフォーメーションによる変革期におきまして,先ほど来もありましたように,世界的な人材獲得競争が始まってまいります。
こういった中で,国内のみならず世界市場から,優秀な多様な学生等々を受け入れることを可能とするためには,社会との接続の在り方,学事暦・修業年限の多様化といったものも含めて,新しい大学モデルへ変わっていくことが必要であると書いております。
「このため」でございますが,いわゆる設置基準の学修単位数,収容定員数の考え方や,大学ニューノーマルの早期実現に向けた弾力化を検討していくべきであると書いてございます。加えて,国,法人ともにでございますが,教員の新しい時代における働き方についても,運用上の工夫・改善を行うべきだと書かせていただいております。
最後,25行目からが今後の検討に向けてでございます。我が国の社会において最大かつ最先端の知のインフラである国立大学を,一刻も早く経営体としてよみがえらせる。それによって日本の転換のスピードを加速させる。こういった使命を持って,この検討会議では検討してまいりました。
これまではどちらかというと,法人と国との関係がどうあるべきかということを中心に,国の制度の弾力化や規制緩和に切り込んでまいりました。しかしながら,この検討会議の使命は当然これで終わりではなくて,これまで述べられてきた自律的契約関係下で,最後,12ページ目に行っていただきまして,経営の裁量を得る国立大学法人が,よりよい未来社会づくりに向けてシステムを変革する駆動力となれるように,逆に,将来的な担い手となる学生への教育といったものも含めて,教育研究の現場の変革をどう推し進めていくか,これを早急に検討していく必要があると書いてございます。当然,アントレプレナーシップあふれる人材など,時代を牽引する幅広いイノベーションの担い手を次々と輩出することが必要となってまいります。
改革が果たすべきは,既得権益・前例主義の打破であって,守るべきは学生と研究の未来であるといった原点に立ち返って,重要なステークホルダーである学生目線での改革,例えば,在学生・入学希望者への情報発信の在り方や,学生・卒業生からの評価を受けながら,教学マネジメント等々への反映など,不断の教育改革に取り組むことが重要であると書いてございます。
さらには,ポストコロナの新しい時代に求められる人材像を見極めて,柔軟な組織再編を行い,戦略的な研究室への学生配置の在り方を模索するなど,現場の変革が求められると。加えて,グローバルという観点からも,世界最高水準の教育研究を実現していくことが肝要であると書いてございます。
こういったことを,「今後は」でございますが,これらの検討,そして先の本文にも書かせていただいておりました,新しい関係下でのガバナンスの在り方,結果責任・是正の在り方,さらにはエンゲージメントを通じた関係下でのそれぞれのステークホルダーに対する責任をどのように持っていくべきかといった検討と併せて,この検討会議では,今後取り上げていく予定であると付言をさせていただいております。
以上が本体でございまして,参考で,これまでの経緯と本検討会議の設置紙をつけさせていただいております。長くなりましたが,説明は以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございました。それでは,自由討論に移りたいと思います。発言を希望される方は,カメラに映りやすいように手を挙げていただくようお願いいたします。発言終了後はマイクをミュートにしていただきますよう,重ねてお願い申し上げます。いかがでしょうか。
それでは,最初に,資料を提出していただいている大野委員,五神委員から御発言をお願いいたします。まずは大野委員,お願いいたします。
【大野委員】 ありがとうございます。私からは,資料に基づいて3点,発言をさせていただきたいと思います。
1つ目は,エンゲージメントについて,前回議論がございましたので,私たちが考えるエンゲージメントという言葉の意義を,今御覧いただいている2ページ目にまとめてございます。
エンゲージメントに関しましては,ある組織が社会に対して積極的に関わり,社会の意見を取り入れて多面的に責任を果たしていくということを示す一般用語として定着していると考えています。
3つ目の項目ですが,大学のパブリックエンゲージメントという言葉自身は,過去,アメリカやイギリスなどで,公立大学の在り方について語られてきたことでございまして,国からのファンディングのみに頼らず,多様なステークホルダーからの様々な資金を獲得する努力ということで,本会議の意図と非常に合っているのではないかと思います。
1つ飛ばしまして最後の項目ですが,大学が国や社会の多様なステークホルダーに積極的に関わっていこうとする明示的な宣言というものがあってよいのではないかと考えます。つまり,社会の公共財としての大学という意図でエンゲージメント,あるいはエンゲージメント型大学経営という言葉を最初に使わせていただきました。
3ページを御覧ください。エンゲージメントには,多様な概念があるということは,確かにそのとおりだと思います。上の3つと下の2つは,エンゲージメントの方向が違ったりします。ただ,ステークホルダーという意味では,全てのステークホルダーに対して,国立大学が念頭に置かなければいけない,あるいは取り組まなければいけない活動ですので,そういう広い言葉でよろしいのではないかと私どもは考えています。
次のページをお願いします。スピード感を持ってと文科省にもお願いしている以上――以上といいますか,社会が非常に早く変化している中で,大学自身も早く変化をしていかなければいけません。特に,こういうマルチステークホルダーに対するエンゲージメントという意味では,どんどん新たなことに取り組まなければいけないので,このような,アジャイル×エンゲージメントで,我々は今,組織の変革を図っている最中でございます。
5ページ目を御覧ください。これが全体にサイバーとリアル空間,いわゆるDXと言われるものを,教育,研究,そして社会との共創,経営に今,実装している最中でございます。
6ページ目が,その概念の全体の基本方針としてお見せしたものです。我々は我々なりに,言う以上は自分たちもしっかりやろうということで,様々な工夫をしております。
最後に1点,7ページ目を御覧ください。今回の中間まとめは非常にすばらしくまとめていただいて,大変ありがたく思っております。
その1行目に,世界の有力大学と伍していくということが書かれています。そういう意味で今,この四角の中に書いてございますように,学生の獲得競争が世界的に激化している。これは特にコロナ以降,大変激しくなってございます。
一方で,我々の現在の学部留学生比率は2%でございます。これは本来あるべきパーセントから随分低いものだと思っていますが,これを増やそうとすると,今は定員管理があるために,留学生を増やしていくイコール日本人学生を減らすというメッセージになるので,慎重にならざるを得ないところがあります。
右下の図は,少し今まで誤解もあったようなので,変えて表現しておりますが,私たちの今の提案は,例えば定員の中に留学生も入っている,今はそういう状況ですが,それはそのままにしておいて,加えて,卓越留学生収容定員というのを,例えば今までの定員プラス20%まではこれを認めるなどとして,かつ,これに伴う運営費交付金は要らないと,ここは経営の中で実施してくれという形で進めると,経営の中にグローバルな視点が入ってきますので,留学生も増え,それ以外の学生にとっても大きなベネフィットになると考えております。
ページの最後,一番下に書いてございますが,通常のやり方をしますと,様々な手続きを経て,2年ぐらいかかります。順調に認められるとしても,第4期の2年目ぐらいから始まることになってしまいます。そうではなくて,第4期の最初から,あるいは第4期の9月入学を目指すとすると,例えば手を挙げた国立大学だけに限るような格好でもいいので,早く始めて,グローバルマインドを経営に組み込んだ形で,国立大学がトランスフォームすることを求めるようにしたらよろしいのではないかと考えております。
以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。大野総長から,特にこのエンゲージメントに関して,さらなる深い定義も披露してくださいましてありがとうございます。
今回,中間取りまとめ,大野総長の御意向に限りなく沿う形でまとめさせていただきました。最後の定員管理のところについては,この中間取りまとめで,もし全て決着がつかない場合は,後半の議論の中でも再度議論させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
では,五神委員,お願いします。
【五神委員】 五神です。今日は簡潔な紙1枚を資料として提出しています。既に昨日送っていただいた最新版の中に,このエンゲージメントの注釈なども入れていただいて,大野先生の今の説明も,私の理解とはそうずれていないと思います。ただ,言葉として多義的であって,しかも多様なステークホルダーとのエンゲージメントということが,この文章の中で極めて重要なところですので,きちんと定義をすることが重要だと思います。ここでは,大野先生も明確に定義していらっしゃるように,コミットメント,関与という意味になると思いますが,これが注釈に書いてあるのでよいと思います。
ただ問題は,このステークホルダーごとにどういうエンゲージメントを形成するのかというのは,質的にもかなり違っているので,今のバージョンでもまだ曖昧な部分はあると思います。この中間まとめの中でどこまで改良できるかは難しい部分もありますが,今後の議論の中で留意すべきだと思います。
特に,2ページのライン35のところにステークホルダーの中身が書いてあります。かなりいろいろなことが書いてありますが,例えば寄附者とか投資家とか市民とか,そういう大事な視点がまだ書き込まれていません。それぞれに応じて,どういうふうに大学が関与し,相互に責任関係を構築していくかということをきちんと考えていく必要があると思います。
それから,お示ししたペーパーには書いていないのですが,実は大学の経営改革の中で重要な視点が抜けていると思っていることがあります。5ページの(4)の経営の柔軟性のところで,大学が戦略的に専門人材を登用するということがあるのですが,経営という点では,何よりも現在既に雇用している事務職員の専門化が重要です。
例えば国立大学法人では人件費を毎年公表しているわけですが,給与水準の妥当性の検証という欄で,文部科学大臣が,給与水準が国家公務員の平均未満なので適正であるというような評価をしているわけです。
東京大学に入ってくる事務職員は,法人化後では3割ぐらいが東大卒であるのをはじめ,高学歴の人がたくさんいて,私はそれを見て,公務員の平均より低いので適正という評価をする仕組みはつくづく間違っていると思っています。
私が総長の任期の中でやった重要なこととして,職員の人事制度は,従来の国家公務員2種をベースとした制度にかなり硬直化していたのですが,それを優秀な人は飛び級して,若くして課長になれる道をつくるように,人事給与制度を大改革しました。
しかし,その運用をきちんと実装するには,上からしっかり指示をしていくことが重要です。制度を改正しても,現場としては後年負担がどうなるかが分からないので,実装していくのが怖いわけです。実際に,格だけ上げて給料は上げていないという例もあったので,きちんと指示をして,実装を徹底する必要があります。これは,特殊要因運営費交付金で措置される退職金の算定基準が法人化前の公務員時代の待遇をベースに引き継がれているので,運用が旧来の制度に縛られるのです。東京大学では,その差分は大学の資金で追加することを前提として新制度を設計し制定しました。
このように,適材適所できちんと人を育て登用することができるように環境を整備することが重要です。大半の事務系職員は公務員制度を引き継いだ形で,いわゆる承継の事務職員となっていますので,そこを抜本的に変えるというところを,できればどこかに入れておきたいと思います。
全体としては,私が発言したことはかなり丁寧に取り込んでいただいて,中間まとめとしては十二分かと思っていますが,最後の,今後の検討のところで,大学の役割を拡張して,Society5.0への転換戦略を進めていくんだというときに,全国の大学にどういう役割を期待するのかという,ポジティブなメッセージを是非入れて欲しいと思います。
具体的には,Society5.0への転換というのはリアルタイムのリアルデータを利用するということです。インターネットの仕組みそのものは,もともとリアルタイム性にある程度目をつぶることによって,非常に賢い方法で普及してきたわけですが,それが技術の進歩とともにリアルタイム性が物すごく伸びてきて,使えるようになってきました。
しかし,仕組みとしてまだ追いついていない部分もあるので,物・人・インフラ全てにおいて大きな投資ターゲットになることは間違いありません。そのときに一番近くにいる,専門性が高い人がそろっている大学を,日本全体をスマート化するために活用しましょうということを,未来投資会議などで度々言って来たわけです。そこを正に本丸である国立大学の,今後のポジティブな方向性として具体的に書いていく必要があります。そこで,データの扱いについて,例えば個人情報保護法制等が隘路になったままで活用しづらいということですと,大学の役割を拡張したくても宝の持ち腐れになりますので,そこは大学外の議論とも連動させていくことが必要です。特に菅新総理はデジタル活用について熱心だと聞いておりますので,ここは加速するタイミングであろうと思います。
そういうことを具体的にやる中で,特に地方の国立大学の機能拡張の,そういうアイディアを起爆剤にするんだということを具体的に書いていくということが,オールジャパンとしてのシステム改革を素早く実装する上で重要です。今後の検討のところで,大学の管理をどう強化していくかということも重要だと思うのですが,前向きに何をやればいいんだということを具体的に示すようなものを,是非書き込んでいければいいかと思います。この中間まとめでは無理としても,今後の検討で,そこは是非議論をお願いします。
最後に,具体的な話としては,中期目標・中期計画期間の6年を,どういうふうに,より機動的に変化の激しい時代に対応するようにしていくかです。
私たちは,毎年ころころ評価手法が変わるのはもう本当にこりごりであるわけですが,一方で,財務省は毎年仕事をしなければいけないわけです。例えば,6年丸ごと固定してくださいというのはなかなか難しいと思うのですが,例えば要素を3つに分けて,それぞれの要素について3年間は固定で,3年ごとに中間評価をするという案が考えられます。それを1年ずつずらして行えば,財務省もそこに集中してきちんと仕事をしていただけると思います。財務省ともきちんと対話しながら,私たちも,3年のブロック,プラス微修正で6年というイメージで運用できるわけです。こうした知恵を,こちらから出していかないと,多分,天からは降ってこないので,そういうアイディアを是非提供したいと思います。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。後段の最後のところの,ポジティブなメッセージを出せという御意見については承りました。
それから,最後の評価のところは,多分,今後も最後の取りまとめまでの間に議論になるところだと思いますので,その間の議論で反映できるところがあれば反映させていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは,そのほかの委員の皆様,いかがでございましょうか。どなたが先だったか分かりかねますが。
では,星さんからお願いします。
【星委員】 どうもありがとうございます。4点ぐらい発言します。1つは全体の書き方について,読んでみて分かりにくいところがまだ多いと思います。長い文章が多くて,重複しているところもあるので,その辺をスリムにしていくというのは重要ではないかと思います。
分かりにくい理由のもう1つが,「あるとは言えない」とか「ないとも言えない」とか,そういう断定しない表現が余りにも多過ぎることです。もし,あるとも言えない,ないとも言えないということだったら,言わない方がいいと思うので,そういうところを削っていくというのが重要ではないかと思います。スタイルの問題ですけれど。
2番目は,大学と国との関係を再定義するというのが,ここで非常に重要なこととして指摘されていますが,法人化のときに既に再定義というのは行われたと思います。それがどうしてうまくいかなかったのか。逆に言うと,今度はどうしてうまくいくと思われるのか,その辺をはっきりするのが重要ではないかと思います。新たな中期目標・中期計画ということも言っていますが,今までの中期目標・中期計画というのがうまくいかなかったにもかかわらず,今回変えればどうしてうまくいくのか,その辺の議論はまだされていないと思います。
3番目ですが,ステークホルダーというのがよく出てきます。ステークホルダーの中で重視されていない,あまり議論に出てこないものがある。それは大学の中のステークホルダーで,教員と事務,それから学生も含めていいと思うのですが,そういったところです。五神総長がおっしゃったように,事務員の働きというのは大学にとって非常に重要で,事務員がいろいろ大学に貢献してくれる,そういったインセンティブをつくるというのは非常に重要なことだと思います。そういった中のステークホルダーである教員とか事務員のインセンティブ,モチベーションをどうやって上げていくかという,そういったステークホルダーとどういう関係を大学の経営陣が保っていくかという,その視点が足りないかと思います。
これに関連して,内部統制に関わる組織云々という議論がありますが,この内部統制というのはどういう意味で使っているか,分からないところがあります。インターナルガバナンスという意味で使っているとすると,そういった内部のステークホルダーが経営をどう統括していくかという視点になりますが,ここはどちらかというと,経営が内部の教員や事務員をどう統率していくかという書き方になっているので,分からないところがあります。
最後,4番目の点ですが,学長選考プロセスのところです。学長選考会議が独立に学長を選任して,意向投票の結果とかに拘束されることがあってはならないということですが,これがどういうところから出てくるのか,僕は理解できないです。
意向選挙というのは,今言ったような内部のステークホルダーの意向を調べるというやり方です。そういった内部のステークホルダーからのサポートがないと,学長の仕事というのは難しいと思います。これは普通の企業でもそうだと思うのですが,大学は普通の企業に比べてもっとコミュニティ的なところがありますから,もっと重要です。そのためには,ファカルティ,それから事務員の意見も聞くのがよくて,そうした意向を確かめるというのは重要なことだと思います。
学長選考会議に頼るやり方というのは,多分アメリカの大学の学長の選び方にかなり近いと思うのですが,その問題は,学長選考会議の見識に制約されるというか,その働きに制約されるということです。アメリカの学長というのは,任期が満了する前に辞めさせられたり,自ら辞めたりする場合がたくさんあるわけですが,そういった失敗の原因としてよく指摘されるのは,学長選考会議――ボードですね,そのボードのやり方がまずかったということです。ですから,ここで学長選考会議だけに頼ってしまうのは危険だと思います。意向投票の仕組みというのは優れた仕組みだと思うので,意向投票の結果を使わないという議論には違和感があります。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。書き方といいますか,読んだ人に分かりやすい文章にというのは,普通,当たり前のことではあると思いますので,この点は星先生から指摘しまくられておりまして,随分,少しは改善したとは思いますが,今後引き続き,今おっしゃった趣旨で,分かりやすくできればやっていきたいと思います。
一方で,国民的には分かりやすいという表現があるべきだという一方で,分かり過ぎるので,逆に反論を呼ぶみたいなところもあったりするものですから,この会議を取り巻く,いろいろな,この会議に対するステークホルダーもいるわけですが,その皆さんも,意見が必ずしも一致しているわけではないので,そこは引き続き,宿題としていただきたいと思います。
それから,法人化がなぜうまくいかなかったかということも,私も本当は知りたいところですが,多分,これがはっきりした事実であると言える人がもしいらっしゃれば,その意見も書くことはやぶさかではないと思うのですが,その辺,事務方というか,文科省とも議論をさせてください。ほかの委員の方で簡潔に説明してくださる方がいらっしゃれば,お聞きしたいと思います。
学長選挙のところの意向投票は,意向投票のデメリットということをおっしゃる御意見の持ち主もいて,今,星先生はメリットもあるのではないかということだったと思いますので,この意向投票をどうするかについては,この後,後半戦の議論の中でも,デメリット,メリットを整理する機会が得られれば,そういうことをやってみたいと思います。
それでは,松本委員が今日は早めに出られるとお聞きしていますので,松本さん,お願いします。
【松本委員】 おはようございます。御説明ありがとうございます。私からは質問と意見を言わせてください。
まず質問です。当初,この検討会議の設置趣旨の文面で「骨太の方針2019にのっとり,指定国立大学法人が先導して」というふうな文言で始まっていました。自律的契約関係という新しいものは,指定国立大学法人が先導してという話だったのかと考えていたのですが,この話を見ると,指定国立大学法人が先導してという枠組みにはなっていません。設置趣旨とは変わると考えていいのでしょうか。
変わるのは「運用の仕方」というイメージでいいということでしょうか。という質問が1点。
3ページの20行目。前回,濵口先生と一緒に質問をさせていただいた内容であります。「国立大学法人が国から財政的に自立することを表現しているものではない」。なぜ「運営費交付金は引き続き支出する」という表現にしなかったのか。
運営費交付金は財政的に自立していないことの証明だったということになりませんか。そうすると,真の経営体,自律とは,財政的に自立することを表現しているわけではない。つまり表現上の問題と,国立大学法人のそもそもの在り方という二つの意味で,矛盾を感じています。これはおかしいのではないか,ストレートに書いたらいいのではないかという質問と意見です。
それから最後,今後に向けてのところです。これは第1稿の表現がとてもいいなと思う部分がありました。是非これは残していただきたいと考えていたところが,表現が変わってしまったのですが,今後に向けて是非磨いていただきたいと願っているので,意見を1つだけ言わせてください。
12ページです。第1稿では,「守るべきは教員の雇用ではなく学生の未来であるとの原点に立ち返り」,学生目線での改革とか,そういうふうに書かれていました。今回は「改革が果たすべきは,既得権益や前例主義の打破」とか,「学生と研究の未来であるとの原点に立ち返り」,「学生目線での改革」,それから「教育水準の質向上」といった,今までの国立大学改革の議論に欠けていた視点がやっと出てきたというのは感じました。これはもう率直にうれしいです。
国立大学が真の経営体になってすべきことは何かといったら,企業からお金をじゃんじゃんもらって大もうけ,ではなくて,大学――大学というのは,先ほど五神先生もおっしゃった,大学というもの,Society5.0,そして新しい時代における大学の役割って,人を育てること,教育,その先にあるのが,成果の1つが研究である。そのために,例えばチュートリアルをやりましょう,人を育てましょう,そのためには院生をもうちょっとブラッシュアップしなくちゃいけないから大学院教育も変えましょう,お金がかかるね,だったらお金をもうけましょうと,そういう循環になるのではないか。
学生をしっかり育てる,そのための経営でありガバナンスを経営陣はしっかり行う。外に出た卒業生はそこで得た力をもとに,社会に貢献できるような人になる。「今後に向けて」の中で,卒業生や在学生の評価とか,積極的な情報開示の中に,ひょっとしたらアメリカのカレッジポートレートで書かれている卒業生の年収といったものも出すようになったらいいと期待しています。今,日本で,一般的に大学を選ぶ際に重用される1本の物差し,入り口の偏差値ではなくて,どれだけ卒業した後に社会で活躍できるかということを見た,そこから逆算しての大学選びというのが始まるのではないか。それこそ,3ページに書かれていた社会変革の駆動力たる国立大学法人になれるのではないかということを期待させる一節が,ここの最終の12ページにありました。
日本の大学改革は常に国立大学が先導して,私立・公立が真似するという形でした。国立大学が人を育てる,教育の質が上がれば研究力も上がる。企業も海外の大学に投資するよりは日本の大学に頼ろうとなったときに,日本社会が大きく変わる。そうした機運をつくれるのではないかと,期待させてもらいました。
最後の12ページは大事にして,今後の議論を進めていただければとてもありがたいです。
以上です。ありがとうございました。
【金丸座長】 ありがとうございます。文科省から,今の前半の御質問に対して,回答はありますか。
【生田高等教育局視学官】 ありがとうございます。まず1点目の,指定国立大学法人が先導しての話でございますが,これは基本的に国と法人との関係というのは,正に基本的な設計の部分になると考えておりまして,ここについては,特に指定国立大学法人とそれ以外を分けるということは想定しておりません。
ただ,大きな枠組みに基づいて行われる規制緩和の部分については,物によっては当然ながら指定国立大学法人のみに限定する部分もあって構わないのではないか。基本的な考え方としては,そのように考えてございます。
2点目の,3ページ目の20行目の記載ぶりでございますが,ここでなお書きで書きたかったのは,「自律的」の「りつ」の字,ここで自律的契約関係の自律というのは,独立するという意味ではなくて,お互いにそれぞれが律するという意味合いを持って,それぞれ自分の責任を明確にして,それを達成すべく律していく,そういった関係性ではないか。一方で,懸念されている運営費交付金等々の財政措置から完全に離れていくということではないということを一般的に書きたかったということがございまして,あえて運営費交付金とか施設整備費補助金とか,国からの財源措置はいろいろありますので,そういった言葉は使っていないといった状況でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。最後の,今後に向けてのところの松本委員の御意見は,最初の表現よりは変わりましたが,御了解いただいたと受け止めて,今後の議論の中で,御指摘になられた,あるいは問題提起していただいたことは深めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
それでは冨山さん,お願いします。
【冨山委員】 ありがとうございます。二,三点。まずエンゲージメントですが,多分これは,さっきの金丸さんが言われた,後半,ある意味もうちょっと詰めた方がいいところがあると思っていて,基本概念としては,この定義で大学側から見た景色は間違っていないのですが,これ,もうちょっとエンゲージメントという言葉を,一般的にガバナンスの世界で使われている概念に深めていくと,これは本来,総合的な概念ですよね。要は,大学側の問題と,今度は,これはもともとフランス語でいうとアンガジュマン,要するに参画という意味なので,要はステークホルダー側が,どうそこに参画していくかという概念も,実は包括的に含んでいます。
それで,実はこれ,後半戦で議論するガバナンスのありようとか,その問題に結構関連してきていて,これはさっき五神先生が言われたことにも関わるのですが,もっと言うと,ステークホルダーって何ぞやということも本当はちゃんと議論しなきゃいけないところが,特に後半であるんです。
それで,ステークホルダーというのも,これもある種ガバナンス論的に言っちゃうと,要は対象組織なりインスティテューションに対して,何らかの投資や出捐をしている人のことです。要するに,受益と負担の関係にある人たちを相対的に語る概念でありまして,だからステークを持っているということになるのですが,ただ,何で市民というのがここに入ってくるかというと,特に国立大学の場合には,これは言うまでもなく税金を使っているからでありまして,だから投資理論的に言っちゃうと,国がアセットマネージャーです。それで,市民がアセットオーナーという関係になります。要は年金基金の立ち位置が市民であって,年金基金から委託を受けてお金を使うエージェントが国という立ち位置になるから,そういう意味でいうと市民というのは実はステークを持っているということになりますし,それから,さっき星さんが言われた従業員,事務の人というのも,その人の人生と時間を大学に捧げているわけですから,そういう意味でいうと,ステークを持っているわけです。当然,大学の先生もそうだし,学生さんも時間と授業料を払っているわけですからステークホルダーです。それでもちろん,共同研究などにお金を出している人もステークホルダーだし,卒業生として寄附をしている人も,出捐行為をしているわけですからステークホルダーということになります。
そうなると,そのステークホルダーということをちゃんと分解して見ていったときに,それぞれの立場,それぞれの出捐とか投資のありようという関わり方があるので,したがって,ステークホルダーは一様なエンゲージメントではないというのも確かにそのとおりで,だから,それぞれの特性に応じて,どういう形で,今度はステークホルダー側から見てエンゲージメントしていくのがいいんですかという議論は,これは後半戦の私も重要な課題だと思っています。
あと,また脈絡になっちゃうのですが,そのときに,エンゲージメントのゴールをどこに置くかということですが,ここでもう1つ危険な,危ない議論があるのは,個々のステークホルダーをある意味で代表したエンゲージメントに関わる立場の人たちというか,具体的にエンゲージメントに関わる,具体的なエージェントみたいな人たちが,これは株式会社でもよくある議論ですが,個々のステークホルダー固有の利益のためにエンゲージメントをされちゃうと,ガバナンスって実は崩壊するんです。
ここで大事なのは,エンゲージメントのゴールをどこに置くかということでありまして,これは結論から言うと,要はステークホルダー共同の利益です,ゴールは。個々のステークホルダーのエゴではなくて,ステークホルダー共同の利益ということになります。
そうすると,要はこれは,会社で言えば短期的に配当してくれとか何とか言うばかな株主もいるのだけれど,大事なことは,株主共同の利益のために,関与する人はそれぞれの立場から,それぞれの比較優位を活かして関わるということになるので,要はそれを実現できるような仕組みをどう構築していくかというのは――今後の課題に私,頭が移っちゃっているものですから,そっちばっかりになっちゃいますけれど,その議論は後半,これはさっきの五神先生の問題提起とかなり被るところですが,詰めていった方がいいような気がします。
さっきの星先生の意向投票の問題もその脈絡で語るべきで,ですから,意向投票というのは現状の意向投票の実態というのは,要は雇用関係にある人たちがみんな投票するということになります。それは教授であろうが何であろうが。ということは,言うなれば会社で言っちゃうと労働組合意向投票です,実態としては。
確かに,労働組合意向――だから働いている人の意向というのと全く反するガバナンスというのは,実は権力構造が機能しないということはそのとおりなのだけれど,当たり前ですが,労働組合の賛否で社長を選んでいると会社は潰れるので,それも現実としてあると思うんです。
だから,その意味合いで今度もう1つ大事なのは,さっき言った,ステークホルダー共同の長期目標,あるいは利益に資するガバナンスボディをどうするかという問題になってくるわけで,多分それが一番集約されているのが経営協議会であり,あるいは特に選考会議だと私は思っているので,選考会議のありようというのが,もちろんアメリカでいろいろな問題があるということは星さんのおっしゃるとおりで,これはだから株式会社でもそうですが,ガバナンス論の最後のところは,取締役会のメンバーをどういうふうに構成するのか,あるいはその人たちをどう働かせるのか,彼ら自身のエンゲージメントの問題に最後はなるので,そういう意味で,私が知りたいというか,ちゃんと理解したいのは,現状の選考会議というのがどれだけ充実したメンバーで,どれだけのそのメンバーのコミットメントで,どのぐらい有効にちゃんと仕事がされているかというのが,恐らく,少なくとも現状検証上,僕は後半戦の議論においては大事だと思っています。
それで,これは取締役会もそうですが,要するにお小遣い稼ぎでやっているやつがいっぱいいるので。上場企業の社外取締役も。もちろん真剣勝負でやっている人もいます。なのだけれど,金丸さんが時々言われるように,何だかなという人もいっぱいいることは事実なので,そうなっちゃうと,星さんが言われている懸念が顕在化しちゃうんです。選考会議に多くのことを委ねるのだけれど,委ねられている側がその負託に応えられないという問題が出てくるので,そこは後半戦で詰めた議論をしてもらえばいいと思っています。
ちなみに,この取りまとめ自身に関しては,細かいところで注文をつけたいところはありますが,ここは今日の趣旨ではないので,それは今日は省いておきます。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。
それでは山極先生,お願いします。
【山極委員】 ありがとうございます。エンゲージメントの議論が随分続いているのだけれど,私も大野先生の説明でよく分かりました。ただ,これまで国立大学は様々なステークホルダーとの関係というのを,文科省にお伺いしてやっていたんです。例えば,監事の1人は産業界からとか,あるいは経営協議会にアカデミア以外の人を半分以上入れろとか。
そういう形で大学がやっていることを文科省が評価してきた。つまり,我々国立大学の総長,学長は,文科省を通じてステークホルダーとの関係を評価されていたわけです。
それを,大野先生がおっしゃるように,大学が自律的にいろいろステークホルダーとの関係を切り結ぶとすると,それをどういう形で文科省は評価しようと考えているのか。
例えば,そういうことが運営費交付金の額に反映されるのだとしたら,それはそれで,またかなり考えなくちゃいけないし,文科省との関係というのは,今まで物すごく太いパイプだったがために,ほかのステークホルダーとの関係というのを,なかなか大学自身が築けないでいたわけです。それを文科省自身はどのように,これから考えていくのか。これをまず聞きたい。
それに関連して,さっき松本さんがおっしゃっていた,指定国立大学法人を窓口にして,国立大学を先導していこうと。これは分かるのだけれど,この中に,国立大学の3分類の話が一切出てこないんです。
私はこれは初めから反対しているのだけれど,地方大学に分類されているのは55大学あります。それから単科大学15,研究型大学が16あるわけです。これはステークホルダーとの関係によって決まるんだと思うんです。例えば教育系の大学は,基本的に教育委員会との太いパイプを持っていますよね。地方大学は,各都道府県の知事と太いパイプを持っているはず。だけど研究型大学の中でも,例えば東北大学にしても京都大学にしても,知事や市長と太いパイプを持っているわけですよね。そういうことがどういうふうに考慮されるのか。
私は,この3分類はやめちまえと思っているのですが,例えば芸術系の大学がどこのステークホルダーとの太いパイプを持つのか。工業系,商業系,いろいろあるわけですよね。そういうのを,この3分類の中に閉じ込めるのは難しいじゃないですか。それを文科省はどう考えているのか,それをお聞きしたいと思います。
【金丸座長】 文科省,よろしいですか。答えられますか?
【生田高等教育局視学官】 ありがとうございます。最初の,エンゲージメントをどう評価していくかというところですが,エンゲージメントというのは,要するに多様なステークホルダーとの関係性ですので,逆に,それぞれのステークホルダーに対する責任を,国立大学法人がどのように果たしていくのかといった関係になると思うんです。そこについては,これからの検討事項として整理をしていきたい。ステークホルダーごとに当然違ってくると思いますので,そこはこれから検討していきたいと思っています。
それから,2点目の3分類のところは,正直言って,この検討会議で国立大学を分類しようという発想は特にございません。先ほど申し上げましたように,そもそもこの検討が始まった経緯というのは,国立大学総体として,世の中から期待されている役割がどんどん大きくなっていて,それをどのように機能拡張させて社会変革につなげていくか,そういった議論をしていますので,特段ここで,その3分類をやるやらないとか,そういった議論は一切出てきていない状況でございます。
【山極委員】 でも,契約関係の中で入っているんじゃないですか。地方国立大学が地方のミッションをこなすべきだと。それは運営費交付金の評価に表れているわけだから,当然,それは契約関係ということに十分深く切り込んでいくんじゃないですか。
【生田高等教育局視学官】 契約関係というのは,基本的に国として,まず分類を示すというよりは,国立大学法人総体に求める機能,役割というのを提示して,そこから法人側が,どれを自分の戦略に基づいて,ミッションとして位置づけるかというのを選択してくるといった内容をこの報告書の中ではまとめておりますので,国から主導して,何かこういった分類の大学をつくっていくとか,そういった議論を展開させていただいたわけではないと理解をしております。
【山極委員】 ということは,確認なのだけれど,契約関係,エンゲージメントをどうつくるかによって,その分類というのは今後変わってくる可能性があるということですよね。
【生田高等教育局視学官】 もちろん,そうでございます。
【金丸座長】 私が自分の理解を言っていいのかどうか分からないですが,これまでは,文科省の関わり,関与が深くあったかどうかは分かりかねますが,何かやろうと思ったら,文科省にお伺いを立てなきゃいけなかったようなことは,今回のこの会議体での提言からは,そっくりなくなって,新たな自律関係の契約関係がどうあるべきかという,中身を詰めているという理解で私はいます。
今後は,大まかな国立大学に何か3つとか4つの類型を用意して,どこかに入れというのではなくて,もっと大枠の方向性だとか,大きな役割とか,大きなミッションとかを多分,文科省は示すことになって,それを,それぞれの国立大学が自ら,御自身の戦略を立てて,マルチステークホルダーに分かりやすい,複雑な目標値ではなくてシンプルな目標か何かを御自身で設定をして,自己評価もされて,さらにマルチステークホルダーか,若しくは第三者委員会か,よく分かりませんがそういう外部評価は受けざるを得ないということではないかと思っています。
それから指定国立大学法人の話も,この会議でも触れましたが,指定されているほど,皆様にとってそんなメリットがあるかどうか定かじゃないのですが,でも,今回この3総長がこの会議に出られているということは,今回の提言を受けて,真っ先にこの提言どおりに実行されるのは,指定国立大学法人で言われようと言われまいと,東大と東北大学と京大とでやっていただけるのではないかという,これは期待です。
一方で,多分そんな先導をするかしないかも自由だという大学も,私はあっていいのではないかと。私は私の道を行くという大学も登場するというのは,今後の文科省はそういうことも許容していかざるを得ないのではないかというのが,世界のこのニューノーマル時代の大きな変化ではないかと。こんなふうな理解でいます。
山極総長の御懸念も分かりましたので,その辺は今後,後半それだけの時間があるかどうかは別ですが,いろいろな懸念については明確に,できる限りしたいと思います。ありがとうございました。
あと,どなたか,ここだけは中間取りまとめで認められないとか,変えてくれという御要望があれば,時間が押しておりまして,どういうところを修正すべきかという御意見があればお聞きします。
濵口先生,ではお願いします。
【濵口委員】 発言したいのは,最初の,なぜ法人化がうまくいかなかったという議論が残っていますよね。これは,一方で運営費交付金を確保するかどうかという議論ともダブってくる問題で,非常に重要ですが,曖昧になっているように思うんです。
それはどこに曖昧性があるかというと,山極さんがずっと今まで主張している,国立大学は公共財であるという視点と,ところが,法人化以降,資金源を多角化しようというので,パテント収入とか産学連携とかこういうのをやってきたわけですが,これは国民目線からいくと分かりにくいわけです。流れとしては,私立大学化してくるようなイメージを皆さん持つわけですよ。
ですから,議論としては後半戦に期待したいのですが,その公共財としての国立大学と,大野先生が言っているようなパブリックエンゲージメントも含めて,幅広いステークホルダーとの多様なエンゲージメントをどう同調化していくか,しかも,そこに自律性と公共財としての概念とを両立させていくかという議論を,もう少し精緻な議論が要るように思うんです。そこがまだ足りないという実感を持っています。
これはもう1つ大きな課題として,自律性というのがずっと何回も出てきていて,戦略的経営とかあるのですが,我々は資本主義社会に生きているわけですから,自律性というのは基本的にキャッシュフローがなきゃ自律できないんですよ。
ところが今は,国立大学の収入源は,学生からの納付金以外は全て文科省から頂いているお金です。パテント収入なんていうのは赤字の方が多いです,ほとんどの場合。
これをどう考えるのか。もっと安定した――寄附とか,卒業生から出してもらうとか,そういう不安定な資金でない,もう少し安定した,経済的なキャッシュフローの構造をどうつくるかという議論が全くされていないんですよね。
一方,法人化で一番成功しているのは,大学附属病院です。経営が1.4倍から5倍になっています。なぜなっているかといったら,キャッシュフローがきちっとあるからです。この議論が全く足りないんです。
これを裏返しにすると,いわゆる大学の知的成果物をどこまで範囲として考えるかが,まだ視点が非常に狭いように思います。パテント収入みたいなところに行っているのですが,あるいはアントレプレナー養成になっているわけです。アメリカ的な発想を後追いしているわけですが,果たしてそれで稼げる大学がどれぐらいあるのかというのがずっとあるわけです。一方で,大学は公共財としての意識がずっとあって,運営費交付金を確保しなきゃいけないから,なかなか踏み出せないんです。
これを,整合性をどう合わせるかというところで,一番大きな問題は,例えば知的成果物というのをどこまで見るか。
それから,特に地方大学における知的成果物は,パテントではないように思うんです。その地域に貢献するような人材を育成している,あるいは,大学という場で研究してきた先生方がいろいろなアドバイスをすることによって,知的成果物が地方に還元されているわけですから,これをどういうふうにしてキャッシュフローに変えていくかという議論がないと,今の議論は結局,いや,大学を選んでいませんよと言っても,指定国立大学法人だけが成立するような議論になってしまって,地方大学は相変わらず従来型のまま残ってしまうように思います。そういう意味で,後半戦に期待したいというのが私の意見であります。
【金丸座長】 ありがとうございます。後半戦,頑張りたいと思います。
そのほかの先生方で,ここは変えてほしいという御要望がなければ,その後,今後に向けての議論を残り時間でさせていただきますので,そのときにも振り返って御意見を賜れればと思います。
それでは,いかがですか,この中間取りまとめ。まだまだ認められないとおっしゃる委員の方々はいらっしゃいますでしょうか。それとも,今日承ったような御意見……星先生,どうぞ。
【星委員】 一言だけいいですか。先ほど,文章を分かりやすくすると反論があるという話が金丸さんからありましたが……。
【金丸座長】 反論というか,複数の意見の人の登場を,あえて自分から招きたくはないと。(笑)
【星委員】 反論があるのは当然だと思うんです。何か意味のあることを言っていれば必ず反論があると思うので,僕はそれでいいのではないかと思う。
【金丸座長】 人生でそういう敵と向かった回数は,星先生より私も結構あるんじゃないかと思っていますが,そういう意味で,表現等は,また学習しますから私にお任せいただきたいのと,それから,できれば今日承った御意見を,事務方とも相談しますが,もう一度,できる限り反映させていただいた形で修正したものを,またお手元に届けて,それで,その中間取りまとめは取りあえず了とさせていただいて,その先に進ませていただくか。それとも,もう分かりましたと了解していただくか。
【上山委員】 よろしいですか。私はこの中間報告を読ませていただいて,非常によくできていると思いました。今,星さんのおっしゃっていることもよく分かるのですが,政府の中でやられている会議体から出てきた文章とすると,ぎりぎりのところまで詰めているという気はします。
会議体も含めて,この種のものというのは本当にたくさんのステークホルダーがそのことに関わっているので,そこのところでいろいろなハレーションを起こさないということは,まず非常に重要です。
ですから,星さんの疑念も非常によく分かるのですが,私は今までたくさんのを見てきましたけれど,よく書かれていると思います。それで,ここを出発点とすることに,私は賛成したいと思います。
【金丸座長】 ありがとうございます。
【冨山委員】 同じくです。十分これでハレーションは起きますから,これ以上,踏まなくていい地雷を,僕は踏まない方が,今回は。そんな感じでしょう,金丸さんの感覚は。と思いますよ。(笑)
【金丸座長】 ありがとうございます。私もいつの間にか和風に毒されているところも出てきているんだというのを,星先生の御意見を承って反省しているところですけれども。
できれば本当に,私に御一任いただくのがありがたいのですが,念には念を入れて,御一任いただいたということにさせていただいて,でも修正文ができたらもう一度,先生方にも御覧いただいて,再度御意見をお伺いするという機会をつくりたいと思いますが,いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。皆さんにうなずいていただいたようでございまして,それでは残り時間も短くなったのですが,さらに重要な今後に向けてというところに進めさせていただきたいと思います。
それでは,事務局から御説明をお願いします。
【生田高等教育局視学官】 資料2,一枚紙を準備しております。もう時間も限られておりますので,説明は簡単にさせていただきますが,今後の議論すべき論点を,少したたき台として御提示したものでございます。
先ほど来,既にいろいろ出ております自律的契約関係下,新しい枠組みの下でのガバナンスの在り方,そして結果責任の在り方,是正の在り方,これは国との関係のみならず,特に多様なステークホルダーとのエンゲージメントの関係下で,それぞれのステークホルダーに対する結果責任をどう持つべきか。そういったものが多分,論点として上がるのではないかと思っております。
それから,教育研究現場の改革ということで,現場の改革を進めるに当たって,何が課題で,それをどう解決していくべきか,そしてその他,大学ニューノーマルに向けての変革が必要な取組等々並べておりますが,これ以外も含めて,委員の皆様方に御議論いただければと思っております。よろしくお願いします。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは,自由討論を行いたいと思います。
まずは経済界の皆様からお伺いしたいと思います。篠原さんから手が挙がっていますね。その後,小林委員,お願いします。
【篠原委員】 ありがとうございます。今後の検討会議に向けて, 1点目は,さきほど冨山さんからも御発言がありましたが,経営協議会の実効性をもっと高めていくことが,大事だと思っています。
そのためには,冨山さんのおっしゃっていたとおり,外部委員の選任プロセスの点検,必要ならば改善提案をやっていく必要があります。当然ながら,外部委員というのは,ステークホルダーを意識して,ある程度スキルマトリックス等も意識しながら選ぶことが当然ですが,そういうことが果たしてできているのか,経営協議会についての議論をしたいと思っています。
ステークホルダーに対するエンゲージメントですが,皆さんがおっしゃっていたとおり,いろいろなステークホルダーがいらっしゃいますし,ステークホルダーごとにどんなエンゲージメントをするのかということも大事になってきますので,練習問題として,そういった項目例みたいなものをひな形でまず考えてみるということもやるべきではないかと思っています。
ただ,そのとき大事なことは,ひな形を示すことによって,みんながそのひな形を守ってしまうとよくないので,各大学の特色を損なうことのないようにそのひな形を示して,ひな形プラスアルファ,マイナスベータで運営していけるような検討が必要なのではないかと思っています。
一方で,エンゲージメントしたことに対する情報開示についても,やり方は各大学で決めるのがいいかという議論や,どのぐらいの周期で情報開示をやるかということについては,最低1年おきにはやらなきゃいけないと思っています。
また,必要な議論と思っているのが,情報開示したことに対して,開示の実効性の評価です。情報開示の中身の評価ではなくて,開示の実効性評価ということを,例えば第三者の評価機関を使うのかどうかや,結果を公表するのかどうかということも考えるべきだと思っています。
ただ,ステークホルダーに対する開示の手続き,作業が必要になってくるため,今,文科省に対していろいろな事務作業がたくさんあるものを減らして,ステークホルダーに対する作業が入っても,トータルで作業量が増えないということをしっかり担保していく必要があると思っています。
最後に,研究現場の変革ということで,いかに総長や学長が自分たちの裁量権を発揮できる環境をつくっていくかということを考えた場合に,今,何かやろうと思っても,国に何か制約があったり,制限があったり,若しくは制度上できない規制等があるのであれば,例えば間接費収入の使い方とか,学長のマネジメントを縛っているものがないかということについては,早めに大学側のヒアリングを含めて洗い出しをする必要があると思っています。
私からは以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは小林委員,お願いします。
【小林委員】 中間報告は正によくできていると思うのですが,これを踏み台にして,次のフェーズがもっと重要になってくるのではないかと思います。具体的に今から詰めなくてはいけないことが数多く残っているという印象を受けます。
民間企業のガバナンスですと,図式的に表現すれば,まず一番偉いというか,一番上に株主総会があって,その下に取締役会があって,その下に社長がいる。国民の税金をベースとしている国立大学の場合は,文科省とは直接書いていないにせよ,総長がいて,その横に総長選考会議があり,経営協議会があり,教育研究評議会がある,という絵になっているのですが,そういった構造と権限,関係性をもう少し明瞭に描く必要があると思います。
また,規模や特性が大学によって千差万別の中で,ガバナンス形式を単一のものにするというのはもともと無理なような気がするんです。国立大学が3プラス1というか,地域,専門,卓越と,さらに別格の指定国立大学法人に分類されているなら,それに平仄を合わせる形で,複数の機関設計の選択肢を与えるのが当然のことのような気がします。
それでは,民間企業が国との関係において,どうやってコーポレートガバナンスコードあるいはスチュワードシップコードを実装してきたのかを振り返ってみますと,上場企業のコーポレートガバナンス改革は,ここ数年こそ「形式から実質へ」という段階に入ってきたわけですが,最初は,形式のしっかりした整備が重要だという議論から始まったわけです。当然政府も入った形で,まずは会社法の改正をベースにして,コーポレートガバナンスコードの策定,各種の実務的なガイダンスの整備という形で,上から下へ階層的に秩序立ってルールを配置していった。
具体的に言えば,会社法の改正は2015年の5月で,指名委員会等設置会社と,監査等委員会設置会社と,従来の監査役会設置会社という3つのカテゴリーに会社を分けました。これは正に今の国立大学の3つのカテゴライズと似たところがあるように感じます。これを受けてコーポレートガバナンスコードを2015年6月に策定し,以降3年ごとに改定しています。それをベースにしてコーポレートガバナンスシステムガイドラインというのを,経産省を中心に民間も入って議論して公表したのが2017年3月。その後グループガバナンスガイドラインなども発表しています。2019年12月に社外取締役を義務化する会社法改正が再度あって,これをまたベースにして,今年7月には事業再編実務指針と社外取締役実務指針という2つのガイドラインを出した。
また一方で,先ほどの冨山さんのお話とも関連しますが,資本主義の下,上場企業の主たるステークホルダーが当然株主である中,代表的なエンゲージメント先の一つを機関投資家と設定して,スチュワードシップコードを2014年2月に公表して,これも3年ごとに改定しています。上場企業にも責任があるし,当然エンゲージメント先の機関投資家にも責任がある。そういう双方向の規律をやって,全体として日本のコーポレートガバナンスの水準を上げてきたという経緯があります。
つまり,結果として,国の形式的な法規制と企業の自主性がかなり相互促進する形で,実質的なコーポレートガバナンス改革を進めてきたわけです。率直に言って,上場企業にとっては,法務省,金融庁,経産省,東証と,かなり国から形式整備を押しつけられた感もあるのですが,そういう意味では,上場企業にとっての自由裁量とは,国のルールが許している基本的な諸制度から,自社の企業価値を上げるための最適な選択肢を選んで,これをうまく活用することであるという感じで来ていると思います。ですから,市場の評価や株主からの監視も含めて,企業経営は経営者のやりたい放題からは程遠い。かなりはっきりと,経営者はがんじがらめの中で企業価値を上げるというところにフォーカスしているわけです。
日本市場はいろいろ不祥事もありましたが,まずは形式整備を進めることでグローバル化とオープン化を進め,世界からの投資を喚起しようとしてきました。もちろん,国立大学の戦略的経営実現という観点では,当然,学長・総長の自由裁量の発揮という点を戦略的にメインに打ち出すべきだとは思うのですが,企業に対するコーポレートガバナンス強化に当たってはこういう経緯を取ったというのも一つの参考にしていただきたいという気がします。
ですから,繰り返しになりますが,先ほどの3類型あるいは3プラスワン,これをどう考えるかが今後の大きな課題になるのかなと思います。僕は,カテゴライズは一部はせざるを得ないのではないかと考えています。当然,私立大学も含めた多様性と,逆にこれをどこまで縛るかというバランスの議論が重要かと思います。
もう1つは会計制度の問題です。中間報告に大分突っ込んではっきりと書かれていますが,単年度主義をどう打破して,目的積立金や内部留保的なものをもっと中期計画に合わせてどれだけ活用していくか。5億や10億といった金額だと少ないのではないかという気がしますし,それ以上に,濵口先生が言われたように,税金を使って成り立っている国立大学の公共財としての在り方をどう定義して,民間と違う存在意義をどう打ち出していくのかが大きなポイントになると思います。
民間企業でも今,財務と非財務の統合レポートが急速に広まってきていて,財務だけではない,中長期的なサステナビリティやインタンジブルアセットに着目した報告をするようになってきています。こういった傾向そのものを体現するのが正に大学だと思いますので,最終報告に向けて,この辺りの定義もしっかりやるべきだと思います。
以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。では冨山委員,お願いします。
【冨山委員】 ありがとうございます。まず,小林さんから詳細な解説をありがとうございました。かなり自分もやってきた仕事なので,非常に頭の整理が自分もつきました。
それで,後半戦の課題について,1つは,国との関係において,これは濵口先生の御指摘はそのとおりですが,その一方で,税金を使っていくという枠組みの中で,どこまで,ここで想定しているような,ある種包括的な,信託法理的な契約関係がつくれるかどうかという問題があると思います。
今,どちらかというと世の中の流れというのは,税金ってある意味では無形の資本コストが一番高いお金に,今はなっていまして,税金を使う以上は,そのプロセスから結果から全部,かなり微に入り細に入りチェックが入るべきだという,全体的な世論的傾向がある中で,一方で,今回想定しているのはどちらかというと株式会社に近い,信託法理的に包括的にお金を渡しますから,結果責任型でちゃんとやってくださいねと。それがうまくいかなかったらあんたは首ですよという方向性を指向しているので,この関係性をどうデザインするかというのは,結構難しく,かつ重要な課題になるのだろうと思います。
逆に,それがなかなか説得力を持たないとすると,どうしても税金に関してはプリンシプルベースというよりはルールベースの契約関係になっちゃうので,ですから,ここは1つの大きな論点なんだろうと思いました。
それからもう1点,これは小林さんの話と関わるのですが,あるいはさっきの篠原さんの話とも関わるのですが,これは結局,さっきの3分類系の問題もそうですが,あるいは会社に関してもそうだったのですが,選択肢というのはあらざるを得ないんです。そのときに,選択肢の幅というものを全く,要するに全部自由裁量的に,いろいろ幅がありますよという提示の仕方をするのか,それをある程度類型化して,そこから選んでくださいという形にするのかという問題が多分あって,それで,正直ベースで言っちゃうと,今の国立大学自身の組織能力,要するにガバナンスの設計に関する組織能力の現実を考えると,私はある程度,類型化というのはしておかないと,現実問題として,現状から身動きが取れなくなっちゃうような気がしています。
だからそういった意味で言っちゃうと,やや企業のときに近いのですが,ある種の類型化はした方がいいと思うのと,それから,その中で,例えば私の地元の和歌山大学が,和歌山大学の選択として,勝手にミニ東大を選んでもいいと思うんです。その代わり,潰れたらおまえの責任だよということにしておかないと,選択の自由度を与えるということは,その結果責任について飲み込んでもらわないと困るわけで,勝手にミニ東大を目指して,誰もお金を出してくれなくなった,成果は出ませんでした,学生も集まらなくなりましたと。そのときは潰れてもらうという前提がないと,私はこの,選択の自由をよこせという議論の裏腹としては成り立たない,それは納税者として見ると。
要するに,さっきの議論のように,公共財としてちゃんと役割を果たせば,これは本来,納税者って文句は言わないし,いろいろな学生も集まるし,多分,地域もいろいろな形で寄附者が出てくると思うんです。でも,それが果たせなかったときに,その結果責任は,ごめんなさい,お金を頂戴というのは通らないと思うので,その辺の議論はちゃんと整理していった方がいいと,後半戦は思っております。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは,残り9名の方に2分ずつ御意見を賜りたいと思います。
それでは柳川先生,お願いします。
【柳川委員】 ありがとうございます。短めに。今,冨山さんがおっしゃったことの言い換え部分がかなりあるのですが,おっしゃった分類でいくと,株式会社型のガバナンスにしていくということが今回の話の一番大きなポイントなんだろうと思います。
その理由は2つで,1つは,小林委員からの御説明にあったように,かなり一般企業のガバナンスの構造が,公共的な目的をしっかり果たすとか,そういうところも含めてしっかり整備されてきましたので,これにどれだけ国立大学法人を乗っけていくかということを考える意義が出てきた。
2番目は,ずっと書かれているように,世界の経済環境の中では,もう税金型でやっていくともう競争力がなくなってしまうというのは明らかなので,そこから脱却するというのが今回の大きな目的だろうと思っています。
そのためには,今の上場会社が置かれているようなガバナンスの仕組みにできるだけ近づけていって,そこで何が足りないかというような議論をしていく必要があるのだろうと思います。その点では,責任の取り方ですね。今後の課題として書かれている,冨山先生が今おっしゃったような,ここの部分をしっかり詰めていくということが大事ですし,それから今日の書かれているところで言えば,多様なステークホルダーというところで,それぞれに対して責任を果たすと。この「それぞれに」というところが私は非常に重要だと思っておりまして,あっちもこっちも顔を見ていると,あっちの顔を立ててこっちの顔を立ててとやっていると何も動かないということになるので,それぞれについてどういう責任を果たすかということを明記することが重要だと思います。
それから,そうなってくると,自由度のある中で,どういう形の大学モデルを形成していくかという,オリジナルに多様なものをしっかり考えてもらうことが大事なので,それは,今日ここにいらっしゃるような学長先生がやっていらっしゃるような大学は,もう目に見えているのだと思いますが,そのほかの大学の中で一体何を考えてもらうかというのは,しっかり,どこかで議論する必要があるし,そのときには類型というのはある程度必要かもしれない。それは押しつける,ここに入ってくださいということではなくて,あなたはどういう大学を目指しますかというパターンみたいなことは少し示さないと,なかなか,勝手に自由にやってくださいと言っても難しいかもしれないと。しっかり考えていくことが吃緊の課題かと思っております。
以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。では上山委員,お願いします。
【上山委員】 ありがとうございます。前半の議論を聞いていて,改めて少し思うことは,今回の議論の中で,ステークホルダーということが何度も出てきましたが,これまでの大学の在り方において,全てのステークホルダーの声が反映されていたのかというところから議論が始まっていて,つまり,全てのステークホルダーがエンゲージできているのかというところから入っているということです。
例えば,その大きな柱としては,文科省のようなステークホルダーが大きな強い力を持っていたり,あるいは教員や事務方も含めた,教員や教育の供給側のエンゲージメントはあったかもしれないけれど,例えば学生のエンゲージメント,また卒業生を受け入れているような産業界のエンゲージメントがあったのか。言い換えれば,これまでは文科省や教師や大学組織という教育と研究の供給側の論理ばかりが先行していたけれど,それらのサービスの需要者側の視点を入れるべきだという方向性なのです。そういう疑問の声が大きくなったため,経営協議会のところみたいなことをきちんとやっていくべきだというものが出てきたんだと思います。
とりわけ欠けているのは,ステークホルダーとしての学生へのエンゲージメントなのだとは思っています。学生の人たちの満足度をどのように高めているのか。これを,単なるマーケットシステムに任せているようなアメリカ型でいいのかということは常々思っていて,恐らく金丸座長も今後,議論されていくのだと思いますが,イギリスなどでは大規模な学生調査を行う。オフィススオブチューデンツというような期間を使って,学生の意識を大学の経営判断のところに反映させるという努力をやっている。これは,ある種,公的な形で疑似マーケットを作って,多くのエンゲージメントを巻き込もうとしている努力ですから,それは一つあるのかと思っております。
もう1つ,実はこの会議体は指定国立大学法人のような研究型大学の規制を取っ払いたいというところから始まっていますから,どうしても地方国立大学の問題というのは焦点にはならなかったと。しかしながら,恐らく考えないといけないのは,地方国立大学も含めた運営費交付金全体の在り方です。運営費交付金を再配分の在り方をやがては考えないといけなくなる。
そのときに考えるべきことは運営費交付金の果たす役割です。我が国における運営費交付金には,実はミッション性はほとんどないわけです。これこれをやってほしいとか,これこれを契約したいという形ではないので,恐らく今後出てくるのは,様々なミッションを国が提供する方向性でしょう。国は社会が求めている多くのミッションを提示する,そのミッションのどれを我が大学は引き受けるのか。そのミッションを受け取ったものに応じて,分類が自然的になされていく。そのミッションを受け取った限りは,自律的契約関係を国と結び,6年の間は一切口を挟まない。しかし,事後的な判断の対象とされていくと。そういうような形の,ミッションオリエンテッドブロックファンディングですね。これは,今までの運営費交付金のアイディアの中には全くなかったものですから,恐らくそれは1つの選択肢として上がってくるだろうと思います。
最後に1個だけ付け加えたいのは,教育の受益者の議論がなかなか入らないという問題を考えたときに,大学の序列という現象をどう考えるかということですよね。今,高校生は大学を選ぶときに,偏差値という単一の指標でしか選ぶことができていない。これはつまり,ただ一つのチョイスしか与えていなということです。多様な大学の特色が,各国ほどは明確ではない。これは地方大学においてもそうです。したがって,それに応じて,教育の消費者である学生が大学を選ぶということがなかなかできていない。
何をやるべきかというと,多くの研究大学も含めて,学生のチョイスを増やしていくような大学の序列の在り方,秩序の在り方ということを,ブロックファンディングによってどうつくっていくのかということを考えるべきだし,これまでのゼロサムの世界で実現することは難しいと思います。ずっと大学改革の議論をしてきましたが,今10兆円基金も含めて,ゼロサムではない状況が少し生まれる可能性がある。そのときには,改めてこの問題を議論していくべきだと思いますので,それの端緒になるような議論を,後半戦のところで,金丸座長で率いていただければ大変ありがたいと考えています。
以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございました。それでは曄道委員,お願いします。
【曄道委員】 ありがとうございます。曄道です。私からは1点です。ちょうど五神先生が出されたペーパーの一番下のところに,地方の視点について,地方の国立大学の機能拡張を起爆剤として,日本全体での社会変革をという表現があるのですが,正に国立大学法人,今は経営形態として,個々の法人がどう機能するかという議論が進んでいるわけですが,一方で,国立大学法人の総体としてのシステマティックな機能の中で,どういう役割を果たし,どう責任を負うかといった議論が少し欠けているのではないかと思います。
他の国立大学法人をステークホルダーと呼ぶかどうかというのは,これは冨山委員の定義を伺っていると,少し微妙だという感じがしましたが,当然,横の連携というものも,国立大学法人間で今後さらに進んでいくということを考えたときに,その視点をどう,これから入れていくかということも,今後の検討課題ではないかと感じました。
以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは松尾委員,お願いします。
【松尾委員】 これまでの議論というのは大変的確だと思っております。私から少しだけ,新しい論点というか,ちょっとだけ付け加えさせていただければと思います。
いろいろなステークホルダーの意向を反映してやっていくという方向は間違いないと思うのですが,大学のそもそもの役割なり性質なりというのを考えたときに,それにそぐわないものも一部あると僕は思っていまして,これは基礎研究の一部です。
これは何かというと,例えば,本当に世の中を変えるような研究というのは,当時,その時代の誰も理解できないというものがあるわけで,それが何年後,何十年後かにようやく評価されるということがあると。
ですので,僕は「昼の研究,夜の研究」という言い方をしているのですが,要するに,社会におけるプロフェッショナルとしての研究と,自分の専門家としての知的好奇心に基づく研究というのは分けた方がいいと。特に後者は,理解される必要がないと思っていまして,この自分の専門性に基づく,ある種の洞察に基づく研究を,無理してほかのステークホルダーに理解してもらおうとし,何か世の中の役に立つんだよと,そういうお飾りをし始めると,何かすごい変なことになるんです。それがこの20年ぐらい,結構起こってきたことじゃないかと思っていまして,今の技術をベースに,本当に役に立つ部分と,そもそも自分の専門性による知的好奇心に基づいてやる研究で,説明する必要がない研究というのは何かうまく分けて,後者に関して,あまりほかからとやかく言われないようにということは,多分すごく大事なのではないかと思いました。
以上になります。
【金丸座長】 あれですかね,グーグルが,勤務時間の20%ぐらいは何を学習してもいいという。そういう発想に近いんでしょうか。
【松尾委員】 そうですね。そういうものに近いと思います。
【金丸座長】 分かりました。ありがとうございました。
それでは,五神委員から先にお願いします。
【五神委員】 ありがとうございます。最後のペーパーのところの,多様なステークホルダーのエンゲージメントそれぞれについてというところと,それから冨山委員がおっしゃった,全体としてどういう共通部分を伸ばしていくかということをうまく兼ね合わせることが重要だと思います。
全体の部分について言えば,日本はSociety5.0に向かおうという中で,コロナ禍により,大学に限らず,あらゆるセクターがSociety5.0レディではなかったという状況が明らかになりました。その中で,インタンジブルなものの価値づけをどうするかということが日本全体のあらゆるセクターで重要になってきています。まだ大学は,本格的な経営というフェーズに入り込んでいないので,その意味では大学には既得権もない,ある種の更地なわけです。そこをどうつくっていくかという動きをうまく使って,周辺の産業界の構造変化などにも活用していくという考え方があると思います。
大学が真の経営体になろうとするためには,インタンジブルなものを価値化するというプロセスが不可欠です。どういうふうに価値化するかという仕組みをつくっていって,それを,産業界もどんどん取り入れていくことで,産業界にとってプラスになるような経済システムを生みだしていく。そのような方向性を含めて大学改革の議論をしていくべきだと思います。せっかくこの場には,社会に影響力のあるオピニオンリーダーがそろっているので,そういうふうに活用してもらうという形にすると,方向性,見え方が変わってくると思っています。それを仕掛けるには,このアフターコロナをどうするかというときに,様々なことがリセットされて,ダボス会議でもグレートリセットと言っているぐらいですから,今が正に絶好のタイミングです。
大学を真の経営体にするための準備は,かなりツールがそろってきているので,ゼロサムではない議論を前提とすべきだと思います。上山先生がおっしゃったように,それが見えてきたということだったのですが,ゼロサムの議論はここでわざわざやる必要はないので,プラスの議論の中で,社会全体を変えていくためにいいものをつくっていく,きっかけをつくり出す,活用するにはどうしたらいいかを考えるべきです。
結果として社会にとって大きなプラスが出るのであれば,大学に多少痛みが伴うことがあったとしても,それは十分意味があることだと,私個人としてはそう思いますので,そういう視点で議論していただけるとよいのではないかと思います。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは大野委員,お願いします。
【大野委員】 ありがとうございます。もう手短に。(高等教育)総体としての機能を念頭に置くべきだと思います。それは国立大学だけではなくて,最初に議論が幾つかありましたが,高等教育をどうしていくのか,そしてそこの研究もどうしていくのかということを念頭に置きつつ,しかしスピード感を持って進める。このためにはイグザンプルが必要で,そういう意味で,最初の設定では指定国立大学法人という言葉も出てきたわけです。
ですので,最初に試してどんどんやっていく,先頭を切る,それから横に広がっていって日本全体に広がるというイメージを共有して,できることをすぐに実施することが必要だと考えます。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは星委員,お願いします。もうよろしいですか。
【星委員】 はい,もう大体。1つ,先ほど松尾先生のおっしゃったことは,そのとおりだと思います。個人がその2つのタイプを研究する場合というのもありますが,もっと一般的には,大学全体としてそういう分かりやすい研究と,役に立たないかもしれない研究の両者が行われていくというのが望ましいのではないかと思っています。
【金丸座長】 そうですね。ロングテール型の研究とか,希少価値というのはなかなか最初は分からないのでしょうから。いい意見を承りました。
それでは山極委員,お願いします。
【山極委員】 国の機関はみんなそうなんだけれど,ステークホルダーというと,もう国民,国の中に限られてしまっていて,国際的な視点が抜けがちです。
我々,例えば指定国立大学法人は,どんどん国際的に手を伸ばしていて,国外で事業化するとか,いろいろな拠点を持つとか,国外の大学と連携するとか,よくやっています。そういうことを,エンゲージメントという中でどういうふうに取り込んでいくかというのが,例えば指定国立大学法人にとってはすごく重要な問題です。
それから,収入をどうするかということにしても,税金の壁がありますから,そういったことの改革もしていかなくちゃいけない。だから,我々が例えばアメリカの私立大学と違うのは,国民の税金というのが相当大きな比重を占めていて,だからこそ,国のために,それで公共財という話が出てくるわけです。
ただ,これから国際的に存在感を示していくためには,国際的な連携を強めていかなくちゃいけない。アカデミックだけではなくて,産業界とも国外の会社と連携していくというのが1つの大きな道ですから,そちらの議論も是非,今後進めていただきたいと思います。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。山極総長は,今日が京大総長としての最後の御出席と承っております。これまで熱心な御議論,本当にありがとうございました。貴重な意見を承りました。ありがとうございました。
【山極委員】 どうもありがとうございました。
【金丸座長】 最後に何か一言ありますか。
【山極委員】 この戦略的な経営実現に向けてという会議は,すぐに我々の議論が政策に反映されるということもあって,非常に皆さん,熱意にあふれた議論が展開されたと思います。私も非常に勉強になりました。
この,文科省の非常に積極的な関与,そして,この意見を何とか実現に向けて努力するという態度を,是非続けていただきたいと思います。これは大きな飛躍のステップになると思いますので,私も期待しております。是非よろしくお願いいたします。
【金丸座長】 ありがとうございます。大変お世話になりました。
それでは,最後に濵口先生,お願いします。
【濵口委員】 ありがとうございます。大体言いたいことは言ったつもりでございますが,後半戦の議論,さらに精緻なものを期待しております。特に,文部科学省の視点としては,全ての85大学を対象としていることが前提になっていますので,階層性を持った,精緻な設計が必要になってくると思いますので,どうぞよろしくお願いします。
【金丸座長】 ありがとうございます。
それでは,お時間が多少過ぎてしまいましたので,本日はこれにて終了させていただきたいと思います。
今後の検討会議で議論すべき論点につきましては,事務局資料,プラス本日いただいた皆様の御意見を参考にさせていただいて,私の方で整理をさせていただいて,また皆様にお示しをさせていただきたいと考えます。是非,今後ともよろしくお願いいたします。
それでは,本日の議案は以上とさせていただきます。
今後の日程等について,事務局から説明をお願いいたします。
【生田高等教育局視学官】 本日も大変活発な御議論をどうもありがとうございました。次回,第9回につきましては,10月23日の15時から予定しております。
以上でございます。
【金丸座長】 どうもお忙しい中,長時間にわたりまして熱い議論をありがとうございました。それでは終了させていただきます。
 

―― 了 ――

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