国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議(第9回)議事録

1.日時

令和2年10月23日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 国立大学法人のエンゲージメントの在り方について
  2. 学生視点からの国立大学の収容定員総数の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

金丸座長、濵口委員、上山委員、大野委員、五神委員、篠原委員、曄道委員、星委員、松尾委員、松本委員、湊委員、柳川委員

文部科学省

伯井高等教育局長、川中審議官(高等教育及び高大接続担当)、淵上高等教育企画課長、堀野国立大学法人支援課長、生田高等教育局視学官、他

5.議事録

【生田高等教育局視学官】 それでは,全員そろいましたので,ただいまより第9回国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議を開催したいと思います。
本日も,いつもどおりウェブ会議方式での開催となっております。委員の皆様方には,御参加いただきまして,誠にありがとうございます。現時点,文科省側からの音声が聞こえにくいとか,不都合ございませんでしょうか。
本日の議事は,議事次第にございますとおり用意しておりますが,本日,傍聴者,報道関係者の入室は認めておりません。ただし,こちらの今の会議の模様につきましては,Webexのライブ配信ということで皆さんに御覧になっていただいている状況でございます。
事務局からのお願いでございますけれども,ウェブ会議ということで,御発言に当たりましては,なるべく聞き取りやすいようにはっきり御発言をいただきたいと思います。また,御発言のたびにできればお名前をおっしゃっていただきたいと思っております。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただき,御発言に当たりましては,カメラに映りやすいように,このように手を挙げていただいた方が分かりやすいかと思っております。また,資料の参照の際には,資料番号,ページ番号,ページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただければと。そして,最後,できる限り多くの委員の皆様方から御発言いただきたいと思っておりますので,1回当たりの発言はできるだけコンパクトに,二,三分程度に止めていただくなど御配慮いただけるとありがたく存じます。御理解のほどよろしくお願いいたします。
それでは,金丸座長の方,よろしくお願いいたします。
【金丸座長】 ありがとうございます。では,本日もよろしくお願いいたします。
まず初めに,委員の交代についてお知らせします。山極委員が京都大学を御退任され,10月1日から湊長博様が京都大学総長に就任されました。湊様には,山極委員の後任として本検討会議の委員をお引き受けいただいております。
湊委員,一言御挨拶お願いできますでしょうか。
【湊委員】 京都大学の湊でございます。今日から参加させていただきます。是非よろしくお願い申し上げます。
【金丸座長】 ありがとうございました。
本日の会議は,小林委員,冨山委員,宮内委員から欠席の御連絡をいただきましたので,委員15名中12名の御出席で開催いたします。
また,今回,委員以外の有識者として,政策研究大学院大学で科学技術イノベーション政策プログラムディレクター・教授をお務めの林隆之様に御出席いただきますので,御紹介させていただきます。林様には,後ほど議題1の中で御説明をいただくこととしております。
前回の会議では,本検討会議において委員の皆様方に8回にわたって熱心に御議論いただきました結果を踏まえ,中間取りまとめを行いました。中間取りまとめの報告書は,会議後に若干の文言修正を行った上で,委員の皆様の確認を経て,去る10月9日に文部科学省のホームページにて公表いたしました。委員の皆様方の御尽力に改めて心から感謝申し上げます。誠にありがとうございました。この中間取りまとめに関して,事務局から一言補足をお願いいたします。
【生田高等教育局視学官】 ありがとうございます。今日,参考資料の2,3,4ということでこの中間取りまとめに関する資料を配付させていただいております。この取りまとめに当たりましては,委員の皆様方の大変御活発な意見交換をしていただきまして,本当にありがとうございました。改めて事務局からも御礼申し上げます。
一言追加というか補足をさせていただければと思います。参考資料4で1枚紙,これはその中間取りまとめの本体ではないですけれども,イメージの図を参考資料として配付させていただきました。中間取りまとめの中で,自律的契約関係という文言を定義しておりますが,なかなか分かりにくいというような現場からの声も伺っておりますので,少し分かりやすい形のイメージ図を参考資料4として提示させていただいた次第でございます。
左側は現行制度。これは国・文部科学省がそれぞれの国立大学法人の経営全般にわたる中期目標を一個一個提示をしている,それを模式化したものでございます。これが自律的契約関係になった暁にはどう変わるかが右側でございます。国・文部科学省は,先ほどは大学ごとに一個一個目標を作っていたのに対しまして,法人全体に求める役割とか機能,これに関する基本的事項を一覧として提示し,そこから国立大学法人が自らの大学経営の目標に照らし合わせて,自身のミッションとして位置付けるものをチョイスする。これによって自律性を高めていく。このようなことをこのイメージ図は示しているものでございます。
こちらはあくまでも本体資料ではございませんが,本日,今後の参考にしていただければということで,会議の参考資料として配付をさせていただきました。
補足は以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。さて,本検討会議も,年内の最終まとめに向けて,残すところ今回を含め3回になります。今回から終盤戦となりますが,引き続きよろしくお願いします。
前回の検討会議においては,中間取りまとめを行うに際して併せて,今後の検討すべき事項として,多様なステークホルダーとの特性に応じてどのようなエンゲージメントを結ぶべきかなどのエンゲージメントの具体化や,議論が不足している学生目線の視点などが挙げられておりました。
そこで,本日は,政策研究大学院大学で科学技術イノベーション政策プログラムディレクター・教授をお務めの林隆之様から,近年のイギリスの大学における「学生中心」政策の展開の状況について御発表いただき,少し質疑の時間を設けたいと思います。その後,国立大学のエンゲージメントの在り方について議論するための資料を事務局から説明していただき,自由討論に移りたいと思います。
それでは,林様から御発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【林氏】 御紹介いただきました林でございます。私の方からは,今,座長から御紹介いただきましたように,ステークホルダーの1つである学生との関係について,特にイギリスはこの10年ぐらい学生中心の高等教育政策に大きくシフトしていますので,その中で国の役割,そして,大学の中で学生がどういう機能を果たしているかということを御紹介させていただきたいと思います。
まず本題に入る前に,イギリスの大学の文脈の説明をさせていただきます。イギリスの場合,大学は,古くは国王の設立勅許状によって学位授与権等が授与されているということで,イギリスの場合,国立という形ではなくて,独立した機関であるということになります。ただ,ここに書いてありますように,高等教育研究法が2017年に出来まして学生局が出来ましたが,そこに大学が登録するという高等教育機関登録簿が出来まして,大学たるものはここに登録されているという,そういう状況になっております。
その下ですが,独立の法人であるんですが,高等教育機関と分類されている大学は,公的資金による経常費補助,日本でいえば運営費交付金に相当しますが,それを受けているという状況になっています。ただ,日本と比べてちょっと違いますのは,大学セクター全体の収入の13%がこの運営費交付金にすぎないということになります。この理由は後ほど御説明いたします。
学生の話に入る前に,エンゲージメントというところで,まず戦略文書の話を簡単にしたいんですが,1980年代頃からイギリスの大学は,独自にそれぞれ戦略文書を作成しておりました。1990年代になって,経常費補助,運営費交付金を受給するための条件として,この戦略文書を資金配分機関に提出するようにはなっております。ただし,一番下に書いてありますように,日本のようにその戦略文書の達成状況を政府がチェックするようなそういう状態ではなくて,あくまでも戦略文書は,大学の中で作っている文書であるという,そういう位置付けになっております。
次のページですが,これは何かと申しますますと,鎌倉女子大の福井先生の下で行われた研究の結果なんですが,アメリカとイギリスの研究大学,そして,日本の大学で,日本の大学は中期目標計画になりますが,アメリカ,イギリスの大学は戦略文書になりますが,そこにどういう指標が書かれていたのかを整理したものになります。緑色のものが日本になります。日本の場合は,例えば論文数とか海外への学生の派遣とかそういうものが非常に多く書かれているんですが,では,イギリスの場合はどうかというと,この赤いものがイギリスになります。一番多く出てくるのがstudent satisfactionということで,学生満足度が最も多く大学の独自の戦略文書の中のKPIとして立っているという,そういう文脈がございます。
イギリスの場合は,2012~13年度より教育向けの運営費交付金を減らして,学生からの授業料を3倍化し,さらに,3倍化すると学生が払えなくなりますので,公的な学生ローンを拡充するということで,運営費交付金から学生ローンに公的資金をシフトさせてきました。
次のページにその資金の経緯が,時系列があります。この青いものが日本でいえば運営費交付金に当たる機関単位の補助金でありますが,そこがぐっと下がってきて,この緑色の授業料が増えてきていると,そういう状況にあります。このように運営費交付金を授業料,そして,学生ローンへシフトさせたことによって,高等教育政策は,学生中心をキーワードにするように大きく転換してきています。
それは,学生が授業料を3倍も払うわけですから,質の高い大学をちゃんと選択できるような支援をすることが政策の中心になります。政府の役割も,そもそもイギリスの場合は,初中等教育とは違って政府が教育を提供しているわけではないので,最初から独立した機関が行う教育の購入者として政府があったんですが,それから,授業料3倍ということで,政府の役割も情報提供者,学生に対して大学の情報を提供するということが政府の役割にシフトしてきたという状況にあります。
そして,それが2017年,高等教育研究法が可決されることによって,これが強化されていく。基本的な考え方としては,学生と納税者による高等教育への投資に,最良のアウトカムと資金に見合う価値,バリュー・フォー・マネーを提供する,これが基本的な発想になっています。それに基づいて,学生局,Office for Studentという名前の機関が設立されているという,そういう状態になっています。
ここから3つのお話をしたいと思います。最近の学生中心の3つの取組ということで,1つは,今申し上げたような,大学の情報提供をいかに拡充しているかというお話。それから,2つ目,特に教育の質に関しての情報をどうやって提供しているか,そして,質を高めるインセンティブを大学にどう与えているかという話。そして,3つ目,教育の規制や質保証と書いてありますが,この中で,大学の中で学生と大学のエンゲージメントをどう促進しているかというお話をさせていただきたいと思います。
1つ目,まず大学の情報提供の拡充ですが,様々な仕組みを作って,大学に関する情報を特に入学する前の学生に対して提供しているという状態があります。1つはまず,在学生に対して,全国共通の学生調査,National Student Surveyを行っております。これが先ほどありました学生局が実施しているんですが,全ての高等教育機関の最終学年の学生31万人が回答していて,回答率は,ここにありますように69%の高い回答率を誇っています。次のページにあるような,8領域27の質問について学生が回答しています。そして,その結果について,またこれも後ほど御説明しますが,Discover Uniという名前のサイトにて,大学間の比較ができるような形で公表しています。
実際に学生調査の内容ですが,例えば教員の授業での説明がどうであったか,教員は授業科目を興味深いものにしていたとか,知的に刺激的であったとか,採点や成績評価は公平であったとか,学修支援がどうだったかという,そういう項目が並ぶとともに,最後に,全体的にコースの質に満足しているかと,こういうような質問が並んでいます。
今のものが在学生に関する調査ですが,加えて,卒業生に関する調査も全国共通で行っています。これは最近少し変更がありましたが,卒業後15か月目に調査を行います。高等教育研究法によって,この調査に大学が参加することは義務となっております。一番新しい調査では,修了者77万人のうちの50%が回答しているということで,実は新しい方法になりましたので少し回答率が下がっているんですが,それでも半数が回答しているという非常に高い状況にあります。
その中で聞かれていることのポイントですが,当然,現在の進路状況というのは聞くんですが,さらに,現在の給与額とか,就職先の選択の理由,そこで大学の学びがどう役に立ったかとか,現在の満足度というようなことを聞いています。
さらに,今のものがアンケート調査なんですが,それに加えて,歳入・関税庁による納税のデータとか,雇用年金省が持っている社会保障費のデータとか,あるいは教育省が持っている学生個人のデータを行政府のところでひも付けを行って,そして,ここに書いてありますように,卒業後1,3,5,10年後に雇用状況がどうなっているのか,あるいは給与がどうなっているのかということの分析もイギリスでは始めています。ここの右の図にありますように,分野ごとに,卒業5年目にはどのぐらいの給与水準になっているのかということが,分析して今は出されている状態になっています。
今申し上げていたような,在学生,それから,卒業生のデータは,学生が適切な大学選択ができるように情報提供をするということを重視していますので,Discover Uniというサイトで比較可能な形で提供されています。右の方に簡単なそのサイトの図を付けていますが,先ほど出てきたような学生の満足度とか,入学試験の結果,在籍継続状況,そして,進路や給与の状況,そういうものがサイトで表示される形になっています。また,各大学の各コースのウェブサイトでもこのDiscover Uniのバナーを配置するということで,バナーには,例えば満足度が95%であるとか,そういうものが各大学のサイトにも共通の形で提示されるということに今はなっています。
今のが各種の情報提供の展開ですが,2つ目として,教育の質の評価による情報提供・大学へのインセンティブ付与ということを御説明申し上げます。これは教育卓越性枠組みという,一種の評価なんですが,それをイギリスは導入しています。質の高い教育を行っている機関の情報を学生に提供して,それによって競争市場を形成するということを目的としています。これが始まったときは,その前に行われた各種の調査で,60%の学生が自身の所属するコースが期待を下回ったことがあったとか様々な調査の結果が出ていて,やはり教育の質を高めなければいけないという文脈がございました。それによって,イギリスは研究評価はかなり昔からやっていたんですが,2016年からはこのTEFと呼ばれる教育卓越性枠組みを始めました。
大学へのインセンティブですが,既にイギリスの場合,入学生数の管理は2015年に撤廃されていますので,もしこのTEFで高い評価を得られますと,評判が高くなりますので,まず学生を多く獲得することが可能になります。それプラス,評価結果が良好な機関に対しては,授業料の上限を物価上昇率に応じて増額できるという形のインセンティブが与えられます。これによって,学生数も増えて,そして,授業料も上限を高く設定できるというのが大学へのインセンティブになります。
この教育卓越性枠組みですが,今まで参加は任意だったんですが,今後は全ての高等教育機関が受けることになっています。その評価パネルの中にもやはり学生が入っているようなパネルが構成されています。評価というとかなり負担があるんじゃないかというふうにお考えかもしれませんが,基本的には6つのコア指標が設定されていて,その指標に基づいて金銀銅という形で評定を付けるという形になります。ただし,もちろん指標だけでは分からないところもありますので,追加の資料などを大学が出すことも可能になっています。
TEFの評価基準ですが,ここでも,先ほど出てきました全国学生調査の結果が使われていて,コースの満足度,成績評価の満足度,あるいは学生支援の満足度,それから,在籍継続率ということで,学生がちゃんと1年目が終わってもどのぐらい在籍を継続しているのかという話。そして,先ほども出てきました卒業後の状況ですが,就職あるいは進学の状況とか,イギリスの場合,高技能職というのが統計上ありますので,大学を出てちゃんと高技能職に就いている者の割合がどのぐらいかという指標も使われています。それに加えての追加資料として,先ほど出てきた納税データと組み合わせたものによる給与とか雇用継続,あるいは継続学習率とか,そういう指標を用いて評価がなされているという状況にあります。
ここはちょっと飛ばします。
これによって,金銀銅,それから,暫定評価という形で評定が付くわけですが,ここにありますように,銀が多くて,金も多いという,そういうような評価結果が出ている状況になっています。
今,このTEFというのは,試行が終わって,レビューが行われているところですが,特に大きなポイントとしては,これを分野別の形で実施するというのが今後の方向性になっています。特に学生は,進路を選ぶときに大学名で選ばなくて,まずは分野で選ぶということで,まずは分野の情報をしっかりと作っていくというのがイギリスの流れになっています。
そして,最後,教育の規制や質保証の変更ということです。まず,学生の話からは少し離れますが,日本でいえば認証評価に相当するような質保証ですが,これまでイギリスでは,1997年に専門の評価機関,QAAを設立して評価を行っていたんですが,やはり評価の負担があるということで,2018年からリスクベースアプローチというのを取っています。それは,冒頭で申し上げましたように大学は登録制度に変わりましたので,新規に登録されるときは詳細な評価を受けることが必要になります。
ですが,既に登録されている大学は,毎年の簡素なモニタリングを行うと。それは例えば学生数,入学者数,卒業率などの指標でモニタリングを行う。この指標に大きな変化があった場合には,リスクが高まったということでちゃんとした調査を行うという,こういう形で,問題がありそうな大学にだけしっかりと調査をするという形に変わってきています。
先ほど申し上げた最初に評価をされるというところでは,では,どう評価をされるかなんですが,クオリティ・コード,評価基準に相当するものですが,それを満たしているかという評価がなされます。そのクオリティ・コードの中に,学生参画というところがあります。ですので,これを満たしているかということがチェックされますので,大学の中で学生が管理運営,それから,質保証に参加できるような体制がしっかりと出来ているかということが評価されるということになっています。
これ,クオリティ・コードの学生参画のところの説明を持ってきています。助言事項と書かれていますが,こういうことが望ましいという事項の例です。例えば学内の意思決定プロセスあるいは内部質保証の活動に学生を参画させる。それから,学生と大学の間で学生参画に関する合意書を締結する。学生参画のKPIを開発する。学生を対等な立場で委員会に入れる。学生調査,先ほどもいろいろありましたが,学生調査を学生代表と相談しながら設計する。それから,学生の意見にしっかりと対応する方針や体制を整えるということが求められています。
実際にこれ,マンチェスター大学の例ですが,例えば理事会23名いるうちの1人は学生代表になっています。それから,この右側は学生参画に関するマンチェスター大学のサイトですが,そこには例えばマンチェスター大学独自のアンケートについての例とか,学生のEポートフォリオ,それから,日本でいえば学生の目安箱とその改善実績,それから,学生と大学との間に協定を結んでいるんですが,その協定についての説明,そして,さっき申し上げたような内部質保証の取組ということで,例えば各コースを定期的に学内でレビュー,評価をしているんですが,そこにちゃんと学生代表が参加してやっているということが示されています。
非常に駆け足になりましたが,イギリスに関してのまとめとして,まずイギリスでは根底には,授業料が3倍になりましたので,授業料を支払う消費者としての学生という発想があります。そうすると,教育もサービス産業になりますので,サービスを受けてみないとその質が分からないということですので,消費者保護として,サービスを受ける前,入学する前の学生に充実した情報提供を行うということが第1に必要だと考えられています。
ただ,先ほどの学生参画にありましたように,消費者である学生とサービス提供者である大学が,共同してそのサービスの質と水準を高めていくという,そういう発想もやはり根底にあるということです。
さらに,消費者保護といったときも,しっかりと体系的なデータを整備して測定することによって効果を測定しているという状況があります。先ほど出てきましたように,学生個人のキャリアとか卒業後の給与のような私的利益の測定もありますが,ただ,私的利益にとどまらず,やはり多様なバックグラウンドの学生が修学して,また,卒業後どういう状態にあるのか,それから,給与が増えれば当然納税も増えますので,そういう効果,そして,例えば国として必要な分野,例えば教員養成とか保健分野とかそういうところになるんですが,そういうところの人材育成がしっかりと行われているのかということを体系的なデータを整備することによって確認していると。これによって社会的利益の確認も行われているという状態になっております。
私の方からは以上になります。
【金丸座長】 ありがとうございました。ただいまの林先生の御発表について御質問のある方は,カメラに映りやすいように手を挙げていただくようお願いいたします。なお,事務局説明の後にディスカッションの時間を設けておりますので,まずは林先生の発表内容に対する質問のある方のみ手を挙げていただければと存じます。発言終了後は,マイクをミュートにしてください。
それでは,どなたか御質問ある方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。では,松本委員,お願いします。
【松本委員】 林先生,御説明ありがとうございます。1つ伺います。大学が書く戦略文書の原案,若しくはその戦略文書で目指すべき目標は,国から示されるものでしょうか。
【林氏】 イギリスの場合は国から示されません。イギリスの話からちょっと外れますが,オーストラリアの場合はミッション・ベースド・コンパクトという方式が取られていて,政権によってやり方が異なるんですが,先ほど日本で提案されていたように,国から幾つか期待される政策課題が提示されて,それに対して,オーストラリアの場合も各大学は独自の戦略を持っていますが,独自の戦略をベースにして,提示されたものに対してどういう貢献ができるかという形で契約を結ぶというのは行っています。ですが,イギリスの場合はそうではないという形になります。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは,湊先生,お願いします。
【湊委員】 湊です。1点お伺いしたいのは,イギリスの場合は急激に授業料が上がって,学生ローンが非常に拡大したという背景がありますが,日本の場合の今の国立大学の現状からいえば,エンゲージメントというのであれば,主たるステークホルダーはやはりタックスペイヤー(国民)ということになるんだろうと思うんですけれども,日本の学生の場合にはほとんどが被保護者,家計的に保護者の下にある18歳人口をベースにした学生になります。イギリスで3倍にも授業料が上がって,学生ローンが非常に大きくなった,アメリカも一部そうかもしれませんけれども,この際のローンの主体というのは当然学生自身になるわけで,実態としてはどの程度のローンを学生が将来背負うことになるのか,ということについてちょっと情報をいただけますでしょうか。
【林氏】 授業料の上限が今9,000ポンドですので,ですので,学部3年間行ったとすると,その3倍のお金が掛かると思います。もちろんどのぐらいローンをするかというのはありますけれども。ただ,イギリスの場合は,就職した後で設定されているしきい値以上の給与を得られるようになったら返すという形になっていますので,ですので,そうならない限りは返さなくていいというか,猶予があるということですので,その辺り,その形で何とか動いているということだと思います。
【金丸座長】 ありがとうございます。星先生,その後,曄道先生お願いします。
【星委員】 林先生,どうもありがとうございました。イギリスでいろいろ重要な試みがやられていて,大学の質を測る試みもあるようですが,1つやらなければいけないことは,大学に来たことによって学生の能力がどれぐらい変わるかを測ることだと思うんです。それは満足度とも違うし,卒業後の給料を測っているというのはいいと思うんですが,大学に行ったことによってどれぐらい給料が上がったのかというところが分かるような,例えば能力を大学に入るときと出るときで測って成長を見るとか,そういった試みは行われているんですか。
【林氏】 まず今日申し上げた例えばTEFとか様々な調査のレビューが行われていて,その中で,今言われたように,満足度を測ることだけでいいのかという議論はやっぱりイギリスでも同じようにあって,やはり能力を見る必要があるんじゃないかという話はあります。
さっきの給与に関しても,一応は大学を出た者と,出ていないで同年代の者とか,比較可能なところとの比較をして大学を出たことの効果を見ているという形にはなりますが,ただ,それは給与です。能力に関してなんですが,イギリスも能力測定をするような研究プロジェクトに様々お金を出しているんですが,結論としてやっぱり難しいというのが結論になっています。
ただ,イギリスの場合,日本と違って学外試験員制度がありますので,他の大学の先生が他大学に行って,そして,例えば学生の答案を見たり,あるいは成績評価の基準を見たりと,そういう形で大学間で相互にチェックをするようなことが行われていて,それによって一定水準以上の教育が行われているということは担保される形になります。もちろんそれがトップ大学であれば,トップ大学同士が見る形になりますので,トップ大学としての能力がそこで付いているかというのを見る形になります。ですので,そういうプロセスとして能力の保証が行われているというふうに考えられるんじゃないかと思います。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。では,曄道委員,お願いいたします。
【曄道委員】 ありがとうございます。林先生,どうもありがとうございました。私,星先生の御質問の続きのような形なんですが,社会的利益の教育効果の測定というのは余り単純ではないと思うんですけれども,これは何か国の仕組みとしてそういったものを行う,分析する,あるいは改善を促すといったような,何か仕組みがあるんでしょうか。よろしくお願いいたします。
【林氏】 なかなかそれは難しい御質問でございまして,どうしても見ていても,やはり給与とか私的な利益のところが今は多くなっています。その背景は,やはり授業料を3倍も払っている学生に対して私的利益をという形ですが。ただ,そうはいっても,やはりいろいろな文書のところには,スチューデントとともに,タックスペイヤーに対してアウトカムとバリュー・フォー・マネーを示すということが書いてあります。では,実際何をやられているかというと,やはり先ほど出てきたように,例えば経済的に恵まれていない学生がどのぐらい大学に入っているか,そして,それの卒業後の状況はどうかとか,あるいは給与が上がることによる納税額の上昇とか,そのぐらいしかイギリスもまだ確認ができていないというところだと思っております。
以上です。
【曄道委員】 ありがとうございました。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは,まだ御質問おありの方もいらっしゃるかもしれませんが,次の議論に移らせていただきます。また,その後,ディスカッションの時間がありますので,そのときでも御意見あれば,よろしくお願いします。
それでは次に,事務局から,国立大学のエンゲージメントの在り方についての議論に当たっての論点整理をお願いいたします。
【生田高等教育局視学官】 失礼いたします。事務局の方から,資料1-2に基づきまして,エンゲージメントの在り方に関する論点整理ペーパーを説明させていただきたいと思います。
まず2ページ目のところにございますのは,国立大学法人のステークホルダーとは? でございます。ただ,これ,なかなか定義は難しいと思っておりまして,取りあえずここで書かせていただいていますのは,前回のこの検討会議で様々な委員の御発言がございましたので,そこから抜き出した内容でございます。
一般論としては,ステークホルダーは,投資等を行う人を総体的に語ると。ただし,国立大学というのは当然ながら国費が投入されている。そういった観点から,公共財として,納税者だけではなくて卒業生,国際的な視点等も取り入れることが重要ではないか,そのような御意見とか,あとは,やはりステークホルダーといっても本当に多様である。そうしたときに,エンゲージメントも当然相手により在り方が異なる。そういったところに留意が必要ではないか。そして,ステークホルダーは,学外のみならず,学内にも当然いて,それぞれのインセンティブやモチベーションをどのように上げていく中でエンゲージメントを構築していくか,そういったことも必要ではないか。そして,エンゲージメントのゴールとしては,多様なたくさんいるステークホルダーの固有の利益では当然なくて,共同の利益を志向することが必要。このような御意見が出ていたかと思います。
次の3ページ目に,今回,エンゲージメントの在り方ということで,問題提起を2つに分けております。1つ目は,外枠というかブルーのところで書かせていただいております内容でございますけれども,公共的な役割,これを担っている国立大学法人,一般論としての大学ではなくて公共財としての国立大学法人が,ある意味多様なステークホルダーの共同利益を志向しながら,それぞれの特性に応じたお互いが責任のある互恵的な協働関係,これをどう構築していくべきか,これが本当に難解な問題ではございます。それから,中の話でございますけれども,国立大学法人の内部,この多様なステークホルダーとのエンゲージメントを実効性あるものにしていくために,どのようなガバナンスが求められるか。この2つが問題提起としてあるかなと考えております。
次に,4ページ目のところ,ここもエンゲージメントの在り方を議論するに当たっての一般論としての論点を少し整理しております。論点を4つに分けております。まず1点目は,どんなステークホルダーであったとしても,国立大学法人が主体的にどのような情報を発信してリーチして,そして,相互に責任ある互恵関係を築いていくことが求められるかというのが1つ目。2つ目としましては,リーチしたステークホルダーに関するどんな情報を大学の方がどれぐらいの深度で獲得していくべきかが2つ目。そして,3つ目が,責任ある互恵関係で取得したステークホルダーに関する情報,これをどのように整理・検証して,大学の経営上どのように活用していくべきか,これが3つ目の論点としております。そして最後に,こうした国立大学法人とステークホルダーとのエンゲージメント構築に当たっての国の関与の役割,これをどう考えていくべきか。このように4つに整理をさせていただいております。
そして,5ページ目が,これを少し本日の議論の中心である学生目線といったところにフォーカスを当てた形で論点を具体論として整理しております。1点目の,どのように情報を発信してリーチして,どうやって相互に責任あるエンゲージメントを構築するかに関しましては,まずは相互に責任ある信頼関係を構築するために,学生に対する情報公開,透明性,公平性を確保した積極的な情報提供が必要ではないか。そして,リーチするといっても,単純に学生調査も当然ありますけれども,学生といっても,在学生,卒業生,受験生等ございますので,多角的なリーチが必要ではないか。
そして,先ほどの中の議論でございますけれども,互いに責任を果たしつつ,相互理解,信頼関係,こういったものを構築し,エンゲージメントを深めていくためには,学内のガバナンス体制の在り方はどうしていくべきか。また,このガバナンス体制の件につきましては,本日御欠席の小林委員,冨山委員から,特に本日資料としても配付させていただいております1-5,1-6がそうでございますが,ここでかなりガバナンスの在り方についての御意見をいただいているというふうに承知しております。
次,2点目の論点でございますけれども,リーチしたステークホルダーに関するどのような情報をどれぐらいの深度で獲得すべきかに関して,先ほど林先生からの発表もありましたように,やはり学習経験や有用性の満足度とか,身に付いた能力についての自己認識,そして,卒業後の状況,このような形の,学修の主体である学生目線からの有意なデータ,これが必要ではないかと。当然ながら,それは一過性のものではなく,継続的にメンテナンスをして鮮度を保つことが重要ではないかというふうに書かせていただいております。
そして,6ページ目でございます。3つ目の論点,ここが一番重要かもしれませんが,どうやって公共財であることを踏まえた上で,大学経営上何に活用していくべきかといったところでございます。一般論としては,当然ながら,ベンチマークによって,学内のIR部門,こういったところで情報分析をして,FD,SD等教学マネジメントに活用する。それによって,公共財である国立大学に期待される高度人材育成に向けた教育,これの質向上を図ることが求められるのではないかと書いております。それから,学生の正しい理解,信頼関係を構築することによって,受験生という意味では新たな学生獲得,そして,卒業生という意味では寄附金拡大,こういったところにも効果的につなげていくことが期待されるのではないかというふうに整理しております。
なお,先ほども紹介しました,冨山委員,本日御欠席でございますけれども,1-6の資料に,学生といったもの,ステークホルダーの学生について少し言及があり,学生をいわゆる単なる教育の買手,いわゆる顧客みたいな形というワンショットの取引ではなくて,やはり国立大学だからこそだと思うんですが,長期的なコミットメントの参加,つまりは,やっぱりエンゲージメントというのはお互いが責任を持つことが重要でございますので,学生自身も長期的な大学の発展に利害関係を共有する者としてのステークホルダーに位置付けることが重要ではないか,そのような御意見もいただいております。
最後の4つ目の論点が,国の役割,国の関与のところでございます。当然ながら,これは前回のこの検討会議でも御議論ありましたけれども,エンゲージメントの有様は,法人の自律性に委ねるべきであると。国は,公共財としての法人がしっかりとエンゲージメントを構築する際の透明性,包摂生などのプロセスのモニタリング,そういったところにとどめるべきではないかと。
先ほどイギリスの事例として,学生に対する情報提供が政府の役割として重要だという御発表が林先生からもございましたが,学生調査をして,イギリスの場合は,授業料の上限を物価上昇率に応じて増額可能とするインセンティブの付与がなされているという御発表もあったかと思います。
なお,日本におきまして,inclusive growthを牽引すべき公共財の国立大学,これの日本人学生の授業料設定の在り方についても,ある意味,学生目線からどう考えていくべきかというのも論点には入れさせていただきました。
説明は以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございました。続いて,自由討論を行いたいと思います。発言を希望される方は,カメラに映りやすいように手を挙げていただくようお願いします。発言終了後は,マイクをミュートにしてください。
それでは,大野委員からお願いします。
【大野委員】 ありがとうございます。今日は林先生からイギリスの様子が御紹介されましたので,私からは日本の一例として,本学における学生とのエンゲージメントについて少し御紹介させていただきたいと思います。
資料を用意いたしました。資料の3ページをまず御覧いただければと思います。以下(に御紹介する取組)は,学生とのエンゲージメントを中心に据えるという経営判断のもとで,長年進めてきました。その意味で,ガバナンスによって継続的にこうした取組みがなされています。御覧いただいてお分かりになりますように,今の生田視学官のお話にもありましたけれども,入学前,在学中,卒業後という各フェーズで,ステークホルダーとの対話を通して,我々のやり方を変革してきました。
例えば入学前ですと,我々,300校の高等学校の入試調査を実施していて,その中から,AO入試,今,総合型選抜という名前に変わっていますけれども,30%以上の入学定員をそこに振り向けることなどが出てきています。
また,在学中は,アンケートを取ることは当然ですけれども,学生との懇談会の形で学生の参画を促し,講義に対する学生諸君の満足度を多面的に測っております。
卒業後に関しては,先ほど「ネットワーク」というお話がありましたが,これについては,再構築の途上です。ここは少し弱いなと認識しています。なぜかといいますと,本学は113年の歴史があるわけで,15万人の卒業生を出しています。全国だけではなくて,全世界に広がっていますが,このネットワークが十分な価値を生み出すというところまでは行っていません。ここは大きな課題だと考えています。
次のページを御覧ください。4ページ目は,教育を中心に置いたランキングに使われている指標をまとめたものです。本学における継続的な取組が評価された結果,2020年には(THE世界大学ランキング日本版で)1位になったり,あるいは朝日新聞の調査では,16年中15年に亘って,高校からの評価という項目で1位になっています。このような形で取組が外形的に評価されており励みにはなっておりますけれども,ランキングが目標ではないということを付言しておきます。
まだまだ進化をさせていかなければいけませんが,その中でも特に進めようとしていて悩んでいるところは,学修データなどの情報の取扱いです。それを蓄積して,学修者,学生のために使うことと同時に,我々の変革のために使うというところが,まだ始まったばかりです。
もう一点,費用に関してですが,これらの活動は授業料だけで賄えるものではございません。教育だけに限定した管理会計は成立しませんので,その点をどう考えるかということが課題になっています。この後は参考資料となりますので御説明申し上げませんけれども,教育活動の裏には研究活動であったり,産学連携であったり,そこに学生が参画して,その能力を発展させるというところがありますので,そういうものを総体としてどう考えて,費用という形で理解するかは,我々に課された課題だと考えています。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございました。それでは,星委員,お願いいたします。
【星委員】 ありがとうございます。資料も提出させていただきましたが,それも今話した方がいいですか。
【金丸座長】 すみません。エンゲージメントに関係するようなところで。
【星委員】 分かりました。では,そこに関連するところだけ。1つは質問ですが,最初に,「透明性,公平性を確保した積極的な情報提供が必要ではないか」とありますが,ここで「公平性」というのはどういう意味で使われているのでしょうか?「公平性」と言ってもいろいろあると思いますので,それを後で説明していただければと思います。
それから,学生との関係というので,冨山さんの参考資料にもあるように,長期的な関係も重要だということをおっしゃった。それはそのとおりだと思います。学生を消費者と捉えるのではなく,他の大学のメンバーと協力して知を深めるとか,知識を高めるという,そういうパートナーだと捉えるべきだと思っているので,国立大学に限らず,どんな大学でもそういう学生との長期的な関係を持っていくというのは重要だと思います。
次に,ステークホルダーということに関して,資料1-7ということで松本さんと一緒にまとめた資料があります。その2番目で,ステークホルダー・ガバナンスを実現するためにはシェアード・ガバナンスというやり方が一番いいだろうということは,ここの我々の間で合意が得られるんじゃないかと指摘しています。そうだとすれば,それを,最終報告書で明記するのがいいんじゃないかと思います。
最後に,もう一つだけ指摘させてください。それは,ステークホルダーの定義です。これ,いろいろなところにステークホルダーがいるという話はそのとおりで,それでいいと思うんですが,最初の行,一般にステークホルダーが,「投資や出捐を行う人を総体的に語る概念である」というのは,狭過ぎるんじゃないかと思います。そこのところは削除して,ステークホルダーというのは,とにかく大学の経営によって影響を受ける人たち全て,それに,経済的だけじゃなく,様々な利害関係を持っている人たちであるというのが,一般的な定義じゃないかと思います。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございます。生田さん,御質問です。公平性という。
【生田高等教育局視学官】 資料の5ページ目にございました,学生に対して透明性,公平性を確保した積極的な情報提供の部分だと思うんですけれども,特に深い意味はなくて,学生間で情報に差がないようにきちっと公平性を保った上で積極的に情報提供していくことが重要といった趣旨で書かせていただいた次第でございます。
【星委員】 それだと僕は問題があると思います。みんな同じということじゃなくて,学生一人一人違うわけですし,違った環境で育っていますし,例えば教育の環境とか機会とかも差があるわけですから,そういった差異を考慮した上で,もっと情報を提供すべきようなところには力を入れて情報を提供するとか,そういう意味で「公平性」というのを使うべきじゃないかと思います。
【生田高等教育局視学官】 なるほど。要するに,学生の受け手側にとって公平になるようにという,そのような趣旨ですね。
【星委員】 そうですね。受け手側にとって。
【生田高等教育局視学官】 承知いたしました。
【金丸座長】 生田さんもそういうつもりで書かれていたのではないかと思います。
それでは,他の委員。篠原委員,お願いします。
【篠原委員】 ありがとうございます。今後のためにも,まず入り口論をしっかり整理したいと思っています。ガバナンスに関してですけれども,今日の会議のメンバーには,シェアード・ガバナンスということで当たり前であっても,全ての大学の先生方にこの入り口論を共通認識化してもらわなければいけないと思っています。とにかく組織としての大学がサステーナブルに成長するためにはガバナンスが大切ですと。大学は,多様なステークホルダーに対する責任を有していますと。だから,大学のガバナンスは,多様なステークホルダーから支持されるものでなければならない。そのために,学外も含む多様なステークホルダーも参加する大学の最終意思決定機関を持つことは不可欠ですという,この一番入り口のところはしっかりしたメッセージとして出すべきだと思っています。
では,その最終意思決定機関はどこかということに関しては,今,経営協議会とかいろいろな会議がございますけれども,複数ある会議の権能,いわゆる機能とか権限みたいなものをしっかり定義し直す必要があると思っております。違和感を感じるのは,経営協議会というのはアドバイザリーボードみたいなものなんだという意見もありますけれども,もし経営協議会がアドバイザリーボードであるならば,そこから学長選考委員が出ることは違和感を持つんですね。意思決定機関に参加する学外委員が学長選考委員会となるべきだろうということも踏まえて,今の各種の会議体については一旦真面目に整理をし直す必要があると思っています。
それに併せて,この最終意思決定機関に入る委員の選任候補,これは非常に大切になってまいります。各ステークホルダーのことにも配慮ができて,なおかつ大学の中長期の成長に正しく貢献できる人を透明性を持って選ぶということをどうやってやっていくかが一番大事だと思っています。産業界の場合には,例えば社外取締役というのは,そこの会社の株を持ちますので,自分が一生懸命仕事をしないと自分が損してしまうことで,組織としての利益と個人の利益がリンクするのですが,大学の場合にはそれはなかなか難しいので,そこの部分をしっかり意識して人を選ぶということと,外部の人間の場合には,全員が大学のことを詳しく分かっているわけではないので,急に客員をして新任の外部委員として意見を述べよと言われてもなかなかまともな意見が言えないと思いますので,例えば1年間ぐらい陪席で参加して,その間にいわゆる外部委員としての教育を得るという期間を経ることも考える必要があると思っています。
あと,エンゲージメントですけれども,今日は学生さんの話だけ出ているのですが,ステークホルダーごとにエンゲージすべき大項目,中項目ぐらいをまず洗い出してみるということをしたらどうかと思っています。その項目ごとにPDCAじゃないですけれども,まずは各項目の具体的目標とか目標数値を明らかにするための調査法はどうあるべきか,その数字が分かったときにそれを経営にどうやって反映していくのか,それから,実際にそれをやったことによって効果をどうやって測定するのか,それから,開示をどういうふうにやっていくのか,それから,その開示に対するフィードバックをどうやっていくのかという,いわゆる大学のエンゲージメントに関するPDCAみたいな仕組みを一旦整理して書いてみたらどうかと思っています。
私からは以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。篠原委員から御指摘いただいた点,この後半で取りまとめをしなければいけない論点を全ておっしゃっていただいたので,本当にありがとうございます。シェアード・ガバナンスの先ほどの定義とか,いろいろな意思決定をするんですけれども,そのプロセスの整理とか,あるいは決定権がどこにあるのかとか,そういうことも併せて後半の取りまとめできっちりと皆さんの御意見を承ってまとめたいと思います。ありがとうございました。
それでは,五神委員,お願いします。
【五神委員】 資料1-4に「国立大学法人と多様なステークホルダーとのエンゲージメント」というタイトルと,その次のページに「国立大学の機能拡張について」ということで資料を出していますので,これを使って発言したいと思います。
この会は,国立大学法人の戦略的経営について扱っているわけですので,日本の高等教育あるいは社会の中で国立大学をどういうふうに活用して戦略的な経営をするべきかという議論が必要であろうと思います。そういう論点で見ますと,先ほどのイギリスの例に,サッチャー政権のときに大きくシフトしたように,教育を売る商品として,それを買う人という意味での学生という定義で,消費者という形で考えるというのは,ここでの国立大学の役割を考えるということとは少し違うんだろうなと思います。この点についてはまず国家の戦略としてどういうふうにすべきかという,この会議の前提となるきちんとした方針が議論されていなければならず,ここではそれを踏まえた上で議論すべきではないでしょうか。
エンゲージメントについては,中間取りまとめのところにも書いていただいたように,相手との関係で相互に互恵的に協働していく,強い関与を互いに持つということが重要です。ですから,国立大学における学生であれば,学生は自分のお金でサービスを受けている単なる消費者というのではなくて,やはり国の国立大学法人という中で学んでいるという意味での責任も当然あるわけで,それを自覚した上で,相互の関与をきちんと学生とも確認するというものだと思います。つまり,塾でサービスを受ける,あるいはカルチャースクールでサービスを受けているというのとは全然違った意味合いが出てくるということも重要なポイントであろうと思います。
そういう意味で,多様なステークホルダーについては実に多様ではありますけれども,国家において,国立大学法人のシステムをどう位置付けるかという中で,ステークホルダーというものをどこにウエートを置いて考えるべきかということが決まってくると思います。その中でそのガバナンスをきちんと機能させていくためにはどうしていくべきかということを考えるべきです。今ちょうどCOVID-19で世界中の大学のビジネスモデルが大きく揺らいでいて,これがポストコロナに向かってどういうふうにそれぞれが立ち上がってくるかということを意識して再設計をしなければいけないときです。その意味で今は,正に根本から考えるべき,ベストタイミングなのだと思います。
1ページ目の下にあるように,公共的な役割を一層果たしていくということが,戦後の学制改革で全国各都道府県にきちんと大学を設置するという中で出来ている現在の国立大学システムの成り立ちを考えれば,当然考えなければいけないことなのです。だから,強い関与と,互恵的に協働していくという中で,ステークホルダーあるいはエンゲージメントを考えるべきだと思います。
2ページのところで,今,例えば菅首相が2050年までのゼロエミッションということを所信表明演説で述べられて,それを待ちわびていた人々は非常に歓迎しているわけです。それを実現することは大変な難題ですが,そのためにどうすれば良いのか。大学でなければできない,大学でやるべきことは山ほどあるわけです。中長期的ないろいろな時間スケールの中で対応するという機能を持っているセクターは他になかなかない中で,正に大学の出番になってきています。そこをどういうふうに実効性のあるものにしていくかということを考える必要があります。
重要な視点として,そこに書きましたように,世界の大学でゲームチェンジが起きています。アメリカは,レジデンシャルカレッジの高い寮費と授業料でお金を得るというビジネスモデルですが,COVIDがそのキャッシュフローを直撃したので,大変なことになっている大学が多いわけです。そういうモデルではない日本の大学は,アメリカに比べれば,やや安定的にこのコロナ禍を乗り越える可能性があるというのは明らかにアドバンテージです。
世界で見ますと,さっきのゼロエミッションの話のように学知が正に必要だという中で,グリーンリカバリー,サステーナビリティのところに大きな投資が向かっていて,それを日本が世界からの投資を受ける受皿として大学をどう活用するかということが重要でありますし,デジタル革新を実装していく上でも,リテラシーが高い集団があるのは大学であって,その中で,例えばプライバシーの保護などといったような問題を社会科学的なものとテクノロジーをコンバインした形で議論しながら実装していくという知恵をどう出していって日本の成長につなげていくかというときに,国立大学という一群を使っていくのは当然であろうと思います。
そう考えたときに,日本がinclusive growthの実装モデルの開発において世界をリードするという可能性があって,そのための基盤インフラとして,大学だけでやるわけではないですけれども,大学は重要なセクターになる,資源になるはずだという視点をやはり持つべきです。それをこのCOVIDの中でどう再設計するかというところで大学の在り方を考えていくべきで,当然,2025年の大阪・関西万博は重要なショーケースとなりますので,そのときに大学群をどう再生して活用するんだという姿を見せるべきです。
ステークホルダーの多様化という意味での一例として,東京大学が最近発行したFSI債,長期の大学債が,200億円の募集に対して1,260億円という6.3倍の応募があり,非常によい条件で発行することができました。これも市場との対話の中から出てきたものです。
先日テレビに出演してコメントしたときにも言ったことですが,このFSI債はソーシャルボンドとして発行していますので,それぞれの大学がその強みを生かして,それぞれの市場と対話をしながら発行することができるはずです。こういったモデルが新しい資金調達の仕方としてあるということと,それから,ソーシャルボンドとしたことによって,機関投資家以外の方にもたくさん買っていただきましたので,日本においてアベノミクスで作ったお金が動いていないという大きな課題がある中で,長期の資金循環にきっかけを与えるようなアクションが大学というセクターからできたということもかなり意味があることだと私たちは思っています。
そういう意味で,各大学が安心してこういう仕組みを使っていくためには,例えば資料の一番下にあるように,償還準備金を財務諸表上きちんと明確化するというようなことがあると,各大学にとっても発行しやすい環境が整うと思います。大学債についてはこの会議の提案から始まったことですので,是非しっかりやっていただきたいと思います。
それから,キャッシュフローのマネジメントは,経営体化をすればするほど大事になってくるわけですが,その意味でもこの債券は非常に役に立っています。空調や換気扇などいろいろなものを大量にコロナ対応で措置しなければいけないときに,各大学ともキャッシュが全然足りないという課題を抱えていると思います。そうしますと,これはやはり施設・設備だけではなくて,大学債で調達した資金の使途をもっと多様化することができれば,自律的な経営をするツールとして本格的に使えるようになるという感触を持っています。そこについても是非もう一歩進めていただきたいと思います。このようにして真の経営体化を実現していく中で,エンゲージメントする相手をどういうふうに考えていくかというようなことを具体的に考えていくということが実効性があるのではないかという提案であります。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございました。そのほか御意見ある方いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。本日は,エンゲージメントの在り方に関連して,特に学生との間におけるエンゲージメントの有様や,その実効性を高めるための学内ガバナンスの在り方,さらには国の関与など……。
【濵口委員】 少し質問させていただいていいですか。濵口ですけれども,手を挙げています。
【金丸座長】 ごめんなさい。ちょっと見えませんでした。
【濵口委員】 このエンゲージメントに関して何点か質問があるんです。まず2点目の共同の利益を志向するというのが最後に書いてありますね。この共同の利益というのをもう少し定義をしっかりしていかないと,非常に漠然としたものになると思いますね。共同の利益の中には,長期的なものと短期的なものがあると思いますので,ここの整理を今後議論する必要があると思います。
それから,5ページ目の相互に責任ある互恵関係という,これ,ステークホルダーは非常に多様ですので,全てのステークホルダーに相互に責任ある互恵関係がはっきり築けるかどうか,かなりここは困難な作業があると思って。そのゴールは何なのかというのもちょっと漠然としておりますね。恐らくは,五神先生が言っているinclusive growthとか,あるいはウェルビーイングとか,そういうキーワード,もう少し概念的なまとめが要るのではないかと思います。
それから,5ページの下の方ですけれども,特に学生の学習経験や有用性の満足度,自己認識,実態,卒業後の状況とかありますけれども,かなりこれ,教育のプロセスからいくと,短期的な評価に見えるんですね。長期的には,大学というのは高校とは大きく違うところは,いわゆる知識を増やすところだけではなくて,恐らくここは人生の転換点になるポイントの時期だと思うんですけれども,それをどういうふうに評価するか,あるいは測る方法があるかと,ここも難しいところだなと思っています。
以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。問題提起ありがとうございました。御指摘のところはこの後検討したいと思います。
それでは,湊委員,お願いします。
【湊委員】 よろしいですか。少し引っ掛かるところがありまして,例えば先ほどの五神先生の資料のところで2番目に,国立大学法人の多様なステークホルダーとして,国の他に学生などいろいろなものがリストアップされている。それから,文科省の先に見せられたデータのあの大きな図でも,国,自治体,産業界等とありますが,ここでも国内外の一般社会と国という言葉が出ている。ここでは何か国が,国立大学なので,国が一番大きなステークホルダー,いわゆるエンゲージメントの相手であるというようなイメージなんですが,ここで指す国の実体とは何なのかということを少し明示的に示していただかないといけないのではないか。先ほど私はタックスペイヤーと言いましたけれども,広い意味では企業だってタックスペイヤーなわけで,今の日本の国立大学の現状を考えれば,実質的にはかなりの部分が公的資金によっている。運用上いろいろな外部資金を入れていますけれども,そういう形で動いてきている,実質的には。
一方で,いろいろなステークホルダーがあるのは事実で,ここにリストが一杯ありますけれども,それらは各々ある特定の局面で関係してくるケースが多い。例えば産業界でいっても,例えば産学連携でいえば,これはエンゲージメントというよりはコントラクトでやるわけですね,我々は。それから,寄附者にはそれなりの期待的関係がある。だから,いろいろなレベルでのステークホルダーとの関係が交差していて,それらが各々比重であったり,内容にいろいろな違いがある。そのことを前提に,本質的に我々の,国立大学の歴史を踏まえてエンゲージメントの相手は何であるかと考えるときに,高等教育を長い時間軸でサポートする,さらに研究とその成果を社会に発信還元するという意味で,どこと本質的にエンゲージするのかが問題になる。
その時に当然,国民ということになれば,政府とか所轄官庁は,そのマネージとか方向性の調整に機能するのでしょうけれども,我々は政府と直接エンゲージするわけではないし,文科省とエンゲージするわけでももちろんない。その辺のところで,国という言葉が時々出てきたりするので,そこを少し明示的にお示しいただきたい。いろいろなステークホルダーが,学生を含めて,特に日本のような保護者の支配下にあり生計的に独立していないような学生との関係,それは教務では非常に大事だと思うんですけれども,そういう学生が,イギリスで自分で将来ローンを背負っていくような学生と同じように大学の経営面にまで関わるのか,それとも,主に教学の面でインタラクションを持つのかなど,個別多様な内容がいろいろ入り混じっていて,なかなか頭の整理ができないという気持ちです。これはどちらかといえば感想ですけれども,御対応いただければありがたいと思います。
【金丸座長】 ありがとうございます。もともと出発点は,極力,旧来の文科省行政から国立大学法人は自律的関係を持って,できるだけ御自身の戦略で大胆かつ先進的な改革を実行してほしいというのがベースにあります。国も関わらざるを得なかったから生田さんも書かれたのではないかなと思ってますが,一番最後に書いても,同じような意味合いではないかと私は思っております。
今御指摘の点,エンゲージメント及びガバナンスについては,後半戦に取りまとめをしていくテーマそのものでございますので,御指摘は承らせていただきます。ありがとうございました。
その他はよろしいでしょうか。それでは,いろいろな議論をしていただいたわけですけれども,まだ足りてない部分は多々あると思いますが,ひとまずエンゲージメントの在り方についてはここで切り上げさせていただいて,次に進めさせていただきたいと思います。
それでは,議題2に移らせていただきます。2つ目の議題は,国立大学の収容定員総数の在り方についてでございます。これも究極的には,知識集約型社会への大転換を迎える日本社会を支えることが期待される国立大学の学生の視点から,その定員規模をどう捉えていくべきかといった意味で,1つ目の議題である,学生と国立大学とのエンゲージメントにも関連する部分があるのではないかと思っています。
それではまず,事務局から本議題に関する論点整理の説明をお願いいたします。
【生田高等教育局視学官】 失礼いたします。事務局の方から,資料2に基づきまして,国立大学の収容定員総数の在り方に関する論点整理ペーパーの説明をさせていただきます。
まず2ページ目でございます。こちらは,これまでこの本検討会におけます,関連するような委員の御発言を抜き出したものでございます。先ほど,学生は,国立大学の場合,客ではないとのお話もありましたけれども,学生,社会の求めるものを見極めて,それを提供できる組織の在り方を考えていくべきではないかとか,そもそも総定員とは何のためのものなのか,そして,国立大学だけの定員を議論しても意味がないのではないか,または国公私若しくは18歳・社会人・留学生など様々な切り口で我が国の最適な若者の配置ポートフォリオのようなものを描き,そこからブレークダウンする形で定員がおのずと定まっていく,それが望ましい姿なのではないか,そのような御発言が今までにございました。
なお,この定員の関連につきましては,最初に御説明しました,参考資料で配っております中間取りまとめ,この10ページ目のところにも一部,特に地方の国立大学に関連する記載をさせていただいているところでございます。
続いて,3ページ目以降は,少し現状のデータ等をお示しさせていただいております。まず3ページ目は仕組みでございます。こちらの資料も,基本的に第4回のこちらの検討会議で配付しているものと同じですけれども,国立大学,公立大学,私立大学の定員増に関する現行の制度・運用を書かせていただいております。
まず全体としまして,大学の総定員数の制限というものは,この括弧で書いてある5分野を除いて原則としては行っていないということで,公立,私立につきましては,右側にあるように,それぞれ文科大臣への届出とか認可等を経て,実際は増やすことが可能というふうになっております。これに対して国立大学の方につきましては,原則,学部の収容定員の総数の増加を運用上認めていないというのが現行の制度でございます。
続いて,4ページ目でございます。こちらは18歳人口の減少と大学の進学率の上昇でございます。こちら,表で書いているんですけれども,これをグラフ化したのが5ページ目でございます。どちらを御覧になっても構いませんが,例えば5ページ目を見ていただきますと,18歳人口は,緑のところで書かせていただいておりますように平成3年頃をピークに減少傾向になってきております。現在,118万人のところまで大体来ているという状況でございます。これに対して進学率がブルーの線でございまして,現在58.1%,大学と短大それぞれ分けますと,この括弧内に書いてあるものでございます。こちらは少しずつ右肩上がりということになっております。この結果として,大学の入学者数,短大も含めますと,黄色のところにあるように,ほぼ微増,微減,最近ですと微減の傾向でありましたが,当然ながら,18歳人口の減の予測を考えますと,進学率が近年の伸び率でいったとしても,やはり最終的に入学者は今後減少局面に入るのではないかというふうに予測がされるところでございます。
続いて,6ページ目は,平成元年以降の大学と短大の入学定員の推移でございます。これは国公私別になっておりまして,国立大は赤のところ,これが大学でございます。見ていただくと分かるように,ほぼ変わっていない,国立については増減がない状態で進んできているというのが分かるかと思います。
続いて,7ページ目以降,こちらが都道府県別の,学部,短大,これを足したものでございますけれども,進学者の割合を示したものでございます。7ページ目のところは,日本地図がございますが,まず全国が,この黄色のところにありますように全体で進学者が68万人いる中で,国立はこのブルーのところでございますので,大体15%を占めているところでございます。これを地域ごとに見てみますと,例えば一番円の大きい東京,これは全体16万人いますが,このうち国立は7%にすぎないと,平均よりも少ない状況でございます。この傾向は,大阪も同様に国立が7%でございます。これに対して地方に行けば,例えば山口県を見ていただきますと,全体で約5,000人のところで国立が40%,また山形も,全体3,484人のところ国立が50%といったように,ある意味,三大都市圏と地方部ではその傾向が大きく異なるというのが見てとれるかと思います。
続いて,8ページ目,こちらが進学率の県別の変化でございます。2005年と2019年を上と下で比べております。全国平均は,ブルーのバーで書いてあるように50から56%ということで,全体的には上昇をしている傾向が見られます。あと,都道府県別の進学率の差,2005年の場合37ポイントと書いてありますのが,2019年34ポイント,少しではございますけれども,多少は差が縮まっている。ただ,やはりブルーの平均を超えているところがほとんど少ないと。逆に言うと,平均を超えないところが7割程度になっているということで,かなりそういった地域が多数現時点においても存在しているというのが見てとれるかと思います。
続いて,9ページ目。こちらも県別の,これは短大が入っておりませんが,大学の進学者の流出入の差でございます。こちら,黄色のところでくくってある茨城,東京,長野,静岡,京都,大阪のところについては,プラスのところは流入が大きいところ,逆に赤で書いてあってマイナスのところが流出が大きい県でございます。茨城とか長野は,結局首都圏に近いということで,出ていく人数の方が多いという傾向が見られると思います。
ここまでが様々な県別進学率,人口減,そういったデータでございますが,10ページ目以降が,本日御議論いただく収容定員の総数に関する論点。ここから3つ論点を整理させていただいております。
まず論点の1つ目でございます。今見てきましたように,日本の18歳人口,これが20年後には約88万人まで減少するということが予測されておりますが,こうなってくると,進学率が上昇してもやはり入学者数は減少局面に入る。こういった中で,特に全国に配置された公共財としての国立大学の学部の収容定員に関しまして,その適正な規模の在り方をどう考えていくべきかというのを1つ目の論点として出させていただいております。
これは先ほど申し上げましたように,平成3年以降18歳人口が減っていくその中で,まず現状において,国立大学の定員が変わっていない,そういった段階におきまして,大学の現場では,現時点で入学してくる学生の変化をどのように認識されているのかというのを論点として問題提起させていただいております。そして,その変化にどう対応してきたか,そして,これからどのように対応していこうとしているのか,それも書かせていただいております。
そして,収容定員の総数の在り方というのは,このような,当然,入り口段階の18歳人口といった切り口だけではなくて,特にデジタルトランスフォーメーションの変革が進む中での地域分散とかネットワーク化,そういった兆候も踏まえつつ,出口段階の社会における求人数とも連動する。こういったことも踏まえて考えていくことが必要ではないか。
そして,特にやはり国立大学という意味においては,知識集約型社会への転換を支えるために,高度人材の層を厚くしていくことが求められる。そんな一方で,18歳人口の更なる減少が進む。この両者を踏まえながら,inclusive growthを牽引すべき公共財としての国立大学はどう対応していくことが求められるのであろうかといったことを論点として挙げさせていただいているところでございます。
続いて11ページ目が,論点の2つ目でございます。こちらは特に最近,予測困難な未来を切り開いていかなければいけないという中で,ポストコロナの新たなデジタル時代を見据えて,最大かつ最先端の知のインフラとしての国立大学,これがその期待に応えるためにどのような規模を設定していくことが必要だろうかというような論点を書かせていただいております。
1点目,知の結節による新たな価値創造を目指し,多様な価値観が集まるキャンパスを実現することが必要ではないか。そのためには,先ほど示させていただいている日本人の18歳人口の学生の観点だけではなくて,デジタル駆動社会における数理・データサイエンス・AIなど,社会が変化する中で,質の高い新たなリテラシー習得,これが常に求められる社会人学生,そして,ボーダレスな人材獲得競争下で糾合する優秀な留学生,そういった集う学生のダイバーシティ確保も念頭に置いて全体像を戦略的に構想することが重要ではないかというふうに書かせていただいております。
そして,最後,時代の変化に適時対応するリテラシー能力など,ある意味,社会との対話の中でニーズがどんどん高まっていって,そして,高付加価値となる教育,これを特にやはり社会人学生とか優秀な留学生,こういったところに提供していくその体制を強化することによりまして,大学全体の教育の質の向上も図っていき,結果的に財政基盤の強化にもつなげていくといったことも求められるのではないかというふうに書かせていただいております。
この辺については,今日御欠席の小林委員,資料1-5でも,大学が追求するマーケットの規模,そういったものをある意味国が提示するというより,大学自身が自律的に決めて,戦略的に経営していくことが重要ではないかと,そのような御提言もいただいておりますが,いずれにしても国立大学はやはり公共財であるといったことには必ず留意をした上で,過度な市場原理主義にはならないようなバランス,これは大前提ではないかというふうに付させていただいております。
最後,12ページ目,論点3つ目でございます。こちらは,47都道府県に配置されている地域の知の拠点である国立大学でございますが,そこが担うべき役割を果たすための在り方はどうであろうというふうに書いております。
1点目でございますけれども,学生を含めた多様なステークホルダーからの期待に確実に応えて教育を提供していくためには,新陳代謝を柔軟に行っていくことが重要ではないか。これは今日御欠席の冨山委員,資料1-6にもありますけれども,学生定員の裏側にもなっている教員定員についても冨山委員は言及されておりますが,社会のニーズに逐次対応していくために,新陳代謝が不可欠だよねというような御意見をいただいております。
次に,地域全体で関係者が一体となって議論する場(地域連携プラットフォーム)を構築して,地域の人材需要などについて議論し,そして,次に書いてあるのは,第4回にも御議論いただきましたけれども,STEAM人材など必要性が高く認められる人材育成等に資する取組,これに対応して,特に地方の収容定員の総数を増やすことも含めての検討が必要になってくるのではないかと。
ラスト2つでございますけれども,大学等連携推進法人等,こういった仕組みを使って大学間の連携統合が重要ではないかということと,あとは,教職課程の連携開設や共同教育課程の設置等によりまして,教員養成大学の学部の機能の強化・効率化が必要ではないかというふうに書かせていただいているところでございます。
説明は以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございました。それでは続いて,自由討論を行いたいと思います。まず最初に,国立大学の現場の3総長から,事務局資料10ページに書かれておりました論点,18歳人口減少の局面下において,学生の変化をどう認識されていて,それにどう対応されているのかという点について率直な御意見を簡潔に伺えればと思いますが,いかがでしょうか。まずは大野委員からお願いいたします。
【大野委員】 ありがとうございます。この点に関して資料を出させていただいていますので,私の資料の12ページを御覧いただければと思います。資料番号で1-3ですね。学生視点から少し離れるかとは思いますが,人口減少局面であるからこそ,知識集約型社会を担う,高等教育を受けた労働生産性の高い人材の確保が必要だと考えます。
この2番目のブレットのところですが,研究大学における学部教育を見てみます。背景となるのが,この下の2つのグラフで,国立大学全体のものです。Top10%論文は日本全国の半分以上を出しています。産学連携に関しては7割が国立大学への支出です。先ほど少し調べましたらば,今,9校になった指定国立大学法人のTop10%のシェアは,国立大学のほぼ半分,全体の4分の1です。このように研究や産学連携を牽引している研究を志向する国立大学が,我が国の若者に対して学部から大学院まで一貫した環境で研鑽を積む場となっていることが重要だと考えます。
そういう意味で,下に結論めいたことを書いておりますけれども,我が国の発展を考える限り,国立大学の定員を減らしていくということは非常に考えにくいのではないかと思います。
次のページを御覧ください。とはいえ,人口減少下で,既に今年18歳人口が117万人になっていますけれども,定員を一定にして,母体の学生数が減ったときに教育は大丈夫なのかという御指摘もあります。我々国立大学あるいは研究大学は,時代の要請に応じて,選考の仕方,選抜の仕方を変えてきています。(東北大学の場合)先ほども申し上げましたけれども,総合型選抜による入学生が30%以上になります。多様な学生を受け入れて,その学生たちが生涯学び続ける力を備えた,これからの社会の担い手として送り出すということがこれからの責務だと思っています。学内で議論しますと,2040年に18歳人口が88万人になりますけれども,その頃までは(この考えで)何とかなるのではないかと。もちろん留学生,社会人(を受け入れる)ということもあると思います。それ以降はまた別のモードになるかもしれません。
最後に,これはいつも申し上げているので大変恐縮ですけれども,グローバルな環境でこれからの学生諸君は日常的に活動することになりますので,大学がグローバルな環境を整備し,その中で学び,切磋琢磨することが必要だと思います。そういう意味で,卓越した留学生を特に研究大学では学部段階から10%~20%ぐらい入れていかなければいけないのではないかと思います。ちなみに,今,研究大学では,一,二校は5%ぐらい行っていますけれども,それ以外は,学部は2%ですので,これを増やしていくことは早急に求められていると思います。
以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは,五神委員,お願いします。
【五神委員】 インクルーシブな社会を日本が世界に先んじて示していくためには,ツールとしてはデジタルトランスフォーメーションを使っていくということしかないわけです。その際に,シンガポールやエストニアでデジタル政府が実現しましたというのと,日本列島の大きさで津々浦々まできちんとデジタル化でインクルーシブな国になっているというのを示すというのは全然質的に違うわけです。
そういう視点で見たときに,戦後の学制改革で47都道府県すべてに国立大学を配置していて,しかもそこに一通りの分野のきちんとした教育研究の環境がそろっているという状況は,Society5.0を先導して示そうという観点から見たときに,物すごく重要な社会基盤インフラです。18歳人口に連動した形で大学をどうするかというのは,高度経済成長のときの物ベースの資本主義におけるリニアモデルの中では重要でしたが,それとは全然違うフェーズに今入っているのです。それにも関わらず,この会議でさえなかなか議論が進まないというのはかなり残念に思います。金丸座長とともに参加させていただいていた未来投資会議は終わりましたけれども,あそこではもう少し先の議論が出来ていたと思っています。
そういう点で見たときに,大野先生がおっしゃっているように,定員を減らすという選択肢はないと私も思います。もちろんもっと全体として教育力を上げていかなければいけないし,進学率だって上げていかなければいけなくて,そのときには,国私の連携だっていいわけです。地方ではやはり教育機会が十分ではないわけですが,東京は私立がたくさんあるから進学率が七十何%まで行くわけです。そこで資源をどう有効に活用していくのかということを総合的に考えるべきだと思います。
今,世界中で見たときに,大学というセクターのビジネスモデルは大変革を強いられているわけです。過度に市場化が進んだところはCOVID-19で非常に困っていてそのビジネスモデルは大きく揺らいでいます。その中で,諸国の国際的な関係も物すごく難しくなってきています。留学生を増やせばいい,外国人教員を増やせばいい,英語の授業を増やせばいいという五,六年前の議論は単純でよかったわけですけれども,今はそれだけでは済まない状況になっています。この環境の中で,東大の物理の大学院に中国全土の本当のトップの学生が応募して来るのですが,そのような環境を今どう活用したらいいのかを考えないといけないわけです。その人たちは,10年,20年後を見据えて戦略的に考えれば,日本で育てる価値はすごく高いわけです。そういうものを難しい国際関係の中でどういうふうにマネージしながらやっていくかというときに,やはりインフラがある程度そろっている国立大学を,国家の経営を考えたときにどう活用していくかという議論をしていくのがこの会議であろうと思います。
18歳人口がどう減っていくかは,人口統計ですから,確実にこのとおりになるという意味で分かりやすいので,そこをベースにして考えるのはよいことだと思います。しかし,その先の戦略として今,国立大学という資源を,国家を経営体として考えたときにどう使っていくべきかという議論はどこがするのかというと,多分この会議でやるのかなというふうに期待しているので,これは金丸座長の得意分野だと思いますので,是非よろしくお願いします。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございました。最後は大きな宿題をいただきました。それでは,湊委員,お願いします。
【湊委員】 私のところは特に資料を用意しておりませんけれども,この議論は学内で始めております。1つは,歴史的に今のある枠組みの中で,我々はその枠の中で動いてきたわけで,とりわけ大学の人員的規模とか資源の規模が限定されている中で,学生規模だけをどうするかというのはなかなか難しい。そういう状況で我々ができるのは,今,個々の教員は程度の差こそあれ,研究,それから,運営,教育というエフォートをあるバランスでやっているわけですけれども,相対的に,研究に対して教育へのエフォートが負荷になっているか,まだ余力があるかという観点で,全学的にほとんど全ての教員について調査をやりました。ここでちょっと難しいのは,研究と教育の仕分けですけれども,大学院,とりわけ博士課程を研究と見るか,教育と見るかというのはなかなか難しいところが今まであったんですけれども,今回はなりゆき上,教育の方に入れてしまいましたが,これは検討すべきだと思います。
いずれにしてもそういう状況の中で,圧倒的多数の教員は,研究のエフォートが足りていない,これまで以上に研究に対するニーズ,必要性,リクワイアメントが非常に強くなってきているので,困っているということがある。一方,教育に対しては,そんなに過剰負荷にはなっていないというのが結論ですが,本音をいろいろ聞くと,結構負荷になっている要素もある。教育の観点でいえば,大学院レベルのところにもっと力を入れたい,それは研究に直接につながりますから,というのが全体の傾向です。
ですから,これをもってすぐに規模をどうこうということにはなりませんけれども,教育する学生の規模論を言うときには,更に詳しく見ていくと,やはり領域間の差が結構教育には出てきそうです。そういう意味では,研究に比べて教育のカバーするエリアが社会のニーズと必ずしもうまくリンクしながら進んできていないのではないかという気がしないでもないです。ここはもう少し調査をしたいと思います。
それから,これに関連して留学生の問題がやっぱり出てきていて,これも今随分議論をしています。大事なのは,留学生を何%入れるかということより,留学生の出口をどうするんだということ。かつての我々の時代の留学生は,例えばアジアから学生を入れて教育し,自国へ帰ってもらって偉くなってもらいましょうみたいな,開発援助のような,一昔前はそういうことがあった。現在は,留学生を入れるときには,今,五神さんも少しおっしゃったけれども,本当にいい留学生を採る。その理由のひとつは,単に祖国へ帰すというよりは,人口減,とりわけ知的インフラに関与する人口が減少傾向にあるときに,これは欧米が既にやっているように,いい学生を入れてきちんと教育をして,日本の活力のインフラに加えていく,それは永久ではないにしても一定期間は続けていくというようなことが必要になるのではないか。
もう一つの留学生の考え方は,さっきから出ているように,これを純粋に教育ビジネスと考える。カリフォルニアのUCSDは今度,2万人学生を増やしたとこの前言ってきました。あそこは500万円近く留学生から授業料を取ります。大学の物すごい収入源になる。イギリスの学生もそうですけれども,外国留学生というものを大学の経営的な1つの手段にするというのも考え方だろうと思うんですね。
そういう意味では,各々の大学が外国から入学する学生にどういう出口を想定して入れるか。そのためにはどれくらいの数が至適で,どれくらい留学生に対して投資をするか。いい学生を採って,日本である程度居着いてもらおうと思えば,これは投資をしないとやっぱり来ません。インセンティブを与える必要がある。だから,そういったことで,留学生対策については,どういう留学生をどういう意図で採っていくかというビジョンを各大学はやはり出していかないといけない。それを含めた上で,学生の定員については,どれくらいの学生を,国立大学が今の体制で面倒見られるか,ということも大きな要素になってくると思います。
ですから,大学の在り方とか資金とか規模とかが重要で,それを抜きにして,ちょっと五神さんおっしゃったけれども,我が国で全体の18歳人口が減ったから定員規模をどうするんだということだけで質問の設定をされると,なかなか難しいというのが今の議論の現状です。
以上です。
【金丸座長】 ありがとうございました。
堀野課長から手が挙がっております。よろしくお願いします。
【堀野国立大学法人支援課長】 すみません,ここの議論で1点,どなたからも余り言及がなかったのですけれども,資料の10ページの論点,これ,単純に言って,世の中一般から見れば,18歳人口200万人時代と現在120万人時代から同じ数の学生をほぼ採っている場合に,学生というのは変化をしていないのかということについて,一般的に皆さん疑問が単純にあると思います。
当然,教育において重要なことは,学生というのは時代によっても変化していくわけですから,変化した学生に対して,大学というのはどう変化したと捉えて,どういうふうに教育なり,キャンパスのポートフォリオを考えるのかというような議論を普通されていると思いますので,そういう世の中からの普通に感じる疑問について,学生をどう見ているのかと。入ってきている学生はこの15年間の間に何か変化があるのか,そして,未来についてどう考えるのかということを一度正面から御議論いただきたいという趣旨で今回。それが結果的に定員の議論がどうするという結論にすぐ簡単にならないかもしれませんけれども,そこを一度正面から御議論いただければ幸いだと思っております。
【五神委員】 学生の変化は大きいですね。私はターニングポイントとして,3.11の影響が物すごく大きかったと思っています。東日本大震災を中学校,高校ぐらいのときに見ていた学生さんたちが大学に入るようになっていって,課題解決に物すごく興味を持つ学生が増えたと感じています。東京大学でベンチャーが非常に若者に興味を持たれていることの1つの背景として,課題解決に貢献できるということがあります。昔は,どの学科に行けばどういう会社に入れるかということで,例えば日立とか東芝に入るには何々学科がいいということで進学先を選んでいましたが,今,新入生に聞いてみると,入学した段階で既にベンチャーをやりたいと言う学生がかなりのパーセンテージ出てきているという大きな変化が起きています。
ですから,大事なことは,人口が減る,産業構造が昔のままではないという変化が同時に起こっている中で,大学という既存のインフラをどういうふうに新しいチェンジに活用していくかということが重要なのです。他方でCOVID-19によって,三密回避の対応ができていない大学のインフラを今大改修する必要が生じています。何百人の前で先生が講義をするという旧来の講義のスタイルはほとんどナンセンスの状態になったわけで,教室の造りも変えなければなりません。ですから,正に先行投資して,学び方の再設計をする大チャンスになっていて,そのときに学生が何を求めているかも大きく変わってきています。多分,東大も東北大も京大も同じような傾向だと思うんですけれども,そこをスピーディーに捉えられるかどうかというところをうまく背中を押すようなことをやっていただく,あるいは一緒にやるということが大事かなと思っています。
変わっているというのはそのとおりですが,変わり方が,学力が落ちるとかそういうような話とはちょっと違った質的な変化が起きているということだと感じています。
【金丸座長】 ありがとうございます。
今日御発言いただいていない委員の方に。では,柳川委員,お願いします。
【柳川委員】 ありがとうございます。まずはもう3先生からお話があったことですけれども,やはり人口が減少しているから定員を減らしていくんだという考え方というのはかなり短絡的な話にすぎるんだろうと思います。学生をどのぐらい受け入れるか,どういう質を提供していくかというのは,当然各大学が自主的にいろいろ考えてやるべきですし,それから,社会環境が非常に大きく変わっていくと。先ほどお話が出た話ですけれども,留学生をもっと受け入れるべきである側面もあります。あるいは,社会人をもっと大学に受け入れるべき状況もあります。あるいは,今このコロナ禍において急速に進んだオンラインということでいけば,今までと全く違った定員の話を考えていく必要があるだろうと。
先ほどお話があった,ここ10年,15年ぐらいで変わったことということで言えば,五神総長の話に続けてですけれども,やっぱり課題解決型という話でいけば,そこはやっぱり少人数のディスカッションというのは非常に重要になってきていると。でも,それは別に定員を減らすとか増やすとかということよりは,例えば大教室の授業はオンラインでやって,その代わりにある種,教員を個々の非常に密なディスカッションをやっていく授業にたくさん当てはめるとか,やっぱりそういうところをもって変えていく話なんだろうと思います。ですので,こういう発想を変えて,やっぱり定員管理の発想を大分変えていく必要があるんだろうと思います。
ただし,これ,公共財というよりは,経済学でいうクラブ財の話に近いんですけれども,やっぱり質のコントロールというのは大事で,人気があるからって,例えばレストランでもスポーツクラブでも,定員をどんどん入れるともうかるんですけれども,結局,例えばジムがちっとも使えないとか,予約が取れないとかという問題になって質が下がってしまうという問題は起こりがちなんです,競争していると。なので,最低限の質のコントロールみたいなことは必要だろうと思いますし,そういう質が適切に実現しているということを考える上でも,前半にあったようなエンゲージメントとか評価とか,それから,ガバナンスの仕組みというのは重要なんだろうと思います。
それからもう一つは,冨山委員からもお話があったような,この環境変化の中では,柔軟な学部あるいは学科の再編,いわゆる新陳代謝というものがやっぱり迅速にできるような体制というのは不可欠なんだろうというふうに思っています。
最後にですけれども,この話のやや面倒というか一番大変なところは,やっぱり定員管理の話が教員の定員の話につながり,そして,運営費交付金なりお金の話と無関係ではないからというところだと思います。そこの部分をしっかり考えた上で定員というものを改めて今申し上げたような形で変えていく,考え直していくということが大事かと思っております。
以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは,上山委員,いかがでしょうか。
【上山委員】 ありがとうございます。恐らく文科省が出した資料の中で最も重要なことは,各地域において進学率が大きく違っているということだろうなとは思っております。もちろんそれは大都市の方に引き付けられるということもあるかもしれませんけれども,ある意味で全国にこのように張り巡らされた公教育の在り方が,やはりどこか地域ごとに違ってしまっている。
ということは,前からここの中でもずっと議論はされていますけれども,我が国における公共的資材を使った教育や研究の在り方が,やはりどこかでいびつになってきているということを反省しなければいけないし,そうすると,例えば地域のところで30%台のような進学率になっている状態をこの公教育の資産を使ってどういうふうに改善していくのかという視点が必要だろうと思います。その意味で,それは明らかに公的な役割ですから,紛れもなくそれは公的な財政的支援の問題と関わってこざるを得ないというふうに思います。だとすると,国として,国立大学という資産を生かし,そして,それを次のいわゆるSociety5.0的な世界につなげていくためのミッション性というのがどうしても出てくるということだとは個人的に思っております。
イギリスの例とオーストラリアの例がありましたけれども,国の財政的支援,関与というものが減れば減るほど,ミッション性はどうしても小さくなっていく。したがって,やっぱり考えるべきことというのは,国というのは何かというような問題はありますけれども,少なくともずっと未来投資会議なんかでも議論されているような,全体としての我が国の方向性ということを大きく緩やかに捉えながら,新たなミッション性という世界を自律的契約関係の中で作っていく必要があるんだろうと思います。
その意味で,一番最初に高等局が出してきたみたいな,より多様な選択的な選択肢の高いミッション性をどのように定義をして,そこに国が,あるいは公共的なものがどういうふうに関わっていくのか,どこまでなのかということを議論すべきだとは思います。ということは,したがって,国の財政的関与というものは必ず必要になり,財政的関与を受けている限りは,自律的な契約関係の中身についてきちんとアグリーメントを取っていかないといけない,両者の間で取っていかないといけないということなんだろうと個人的には思っております。
ですから,国立大学法人というシステムそのものを改めてきちんと再定義していく必要があるということが,ある種ちょっとアブストラクトになりましたけれども,考えているところでございます。ありがとうございます。
【金丸座長】 ありがとうございました。それでは,松尾委員,お願いいたします。
【松尾委員】 ありがとうございます。前半のところも含めて発言したいと思います。
エンゲージメントに関してなんですけれども,学生を巻き込むというのはとてもいいと思いますし,今の状況ではまだまだ不足している部分が大きいかなと思います。私の研究室では,いろいろ意見あると思いますけれども,学生が顧客だというふうに思っております。AIの講義なんかもずっと提供しておりますけれども,アンケートを毎回実施して,何か悪いことを言われていたら,そこを改善しようという努力をずっとやっております。おかげで,過去5年で3,000名以上の学生が受講してくれていると。しかも,内容は厳しいんですけれども,やっぱり今の学生って本当に自分の身に付くと思うんだったらコミットするんですね。頑張るんですね。余り身に付かないなというような講義であるとサボろうとするということで,サボられるというのは,逆に大学の講義の側が僕は悪いんじゃないかと思っています。
そういうふうに学生目線でいかにこの学生を付加価値を付けるのか,社会で活躍させるのかという観点でやっていくと,当然AIもできるようになるし,いろいろなプロジェクトも回せるようになり,そういう中からAIのベンチャーがたくさん出てきていると。さらに,勝率を上げるためにどういうことができるのかというのを今考えているような,そういう状況です。
学生の定員についてですけれども,これは話にも出ていますけれども,僕はやっぱり教員の定員の問題だと思っておりまして,新陳代謝が必要だと。更に言うと,教授会とか,やっぱり講座制とか,そういったところに踏み込まないと,やっぱりちょっとこれは変わらないんじゃないかなと思っていまして,これ,一番大変なところだと思います。そもそもは大学の先生は専門性が高い職種なので,本当はどこへ行っても仕事ができるはずで,だとすると,やっぱり時代の流れに合わせてそこの教員の構成を入れ替えるというのをやった方がいい。これをやると,いつも若手ばかり任期付きとかなるんだけれども,シニアの教員も含めて全員流動性高くするということをやるべきだと思います。
私の専門のAIに関しても,結局,教員の流動性がないものですから,AIをやれというふうな国全体の号令が掛かったときに何が起こるかというと,看板を掛け替えるということをやるわけですね。従来AIじゃなかった人がAIだと言い出すと。それはそれで建前としてはそれで成り立つんだけども,じゃ,何が起こるかというと,本当に大事なところができないんですね。
今,僕の例えばディープラーニングの分野だと,ハードウエアと連携した世界モデルというところがすごく重要な分野になってきて,ここの講義をやらなければいけない。それから,様々な科学技術分野とAIの連携,例えば物理学とAIとか,経済学とAIというところもすごく重要になってきているんですけれども,ここも人が足りない。それから,さらにビジネス的に言うと,AIとビジネス,AIと経営がどういうふうに絡んでいるかという,そこも恐らく体系化しないといけない。産業界から非常にニーズの高いところなんだけれども,それもやる人がいない。あと,それから,SaaSとAIの連携ですね。ソフトウエアの提供の形態としてもSaaSというのが恐らく優れているので,こういう提供の仕方とAIのやり方,あるいはDXというのの,そこの構造化,理論化というのもやらないといけない。
更に言うと,このDX時代に本当に必要な素養は何なのかと。いろいろな講義をやりますし,いろいろなスキルを伸ばすのもありますけれども,本当に必要な,今の社会に求められている素養は何なのかというのも考えないといけなくて,ここも人が足りないということで,本当に重要なところに全然人がいないという状況なんですね。でも,世の中的にはAIやったことになっているんですね。それも全部引いて見れば,やっぱり教員の定員の問題で,それによって学生が非常に割を食っているという状況じゃないかなと思っていまして,そのところは,ちょっと今日のテーマと外れるかもしれませんけれども,是非踏み込んでいただければと思っております。
以上になります。
【金丸座長】 ありがとうございます。私が言いたかったことをかなり言っていただいて,本当にありがとうございました。
他の委員の方。篠原委員,お願いします。その後,濵口委員。
【篠原委員】 ありがとうございます。私もまず大前提として,国の方針として定員を減らすということを言う必要はないと思っています。ただ一方で,論点3のところにもあったとおり,全体の定員よりも,学部とか学科の再編とか,学科ごとの定員数を弾力的に運用するということに関して力を入れなければいけないと思っています。いくら優秀な人材を,学生を出してもらっても,正直言って,産業界から見たときと大学が出す側との間に需給ギャップが今生じております。需給ギャップがこのままだとどんどん拡大していくので,そこは世の中の需要に応じながら,いわゆる定員数,学科ごとの定員数を考えていただきたいと思っています。
今,松尾先生の方からもありましたけれども,私これはよく知りませんから間違っているかもしれませんけれども,教員数と学生数を強くリンク付ける必要はない。というか,教員数と学生数をリンク付けてはいけないと思っています。すなわち,例えば教員の数を維持するために学生を集めるとか,若しくは学生が減ったから教員を減らさなければいけないという論理はおかしいと思っています。なぜならば,本来,大学には教育以外にも研究とか地域への貢献といういろいろな役割があるはずでございますので,いわゆる学生が減ったから教員数をどうこうしなければいけないということはないと思っています。
すなわち,1つとしては,研究と教育,それから,地域貢献みたいなものもポートフォリオを大学で描いていただいて,今の人数のままで学生が減っても何とかなるかどうかという絵を一度大学の先生方には描いていただきたいですし,あとは,松尾先生がおっしゃるとおり,教員の専門の流動化というのは,非常に大事だと思っています。
今,別の場でドクターの議論をしていますけれども,ドクターの優秀な人達は,優秀なドクターというのはどこに行っても仕事ができるといつも言っています。そうでなければならないのだと。ということは,大学の先生方も優秀な先生方が残っていらっしゃいますから,どの分野に行ってもいろいろな仕事ができるはずなので,教員の流動化をもっとしやすくなるような仕組みを作っていただいて,それに対して文科省の何かの評価が足を引っ張っているのであれば,例えば定員の充足率とか,その辺の文科省の評価指標も見直していく必要があると思っています。
私からは以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございます。それでは,濵口委員,お願いいたします。
【濵口委員】 今皆さんのお話をお聴きして,共感しているところは,定員というのは,すなわち,人材育成をどうしていくかという問題だと思うんですね。今,人材育成どうするかというところで,我々日本は転換点に入ってきていると思います。1つは,私どもJSTも関係していますけれども,科学技術基本法が科学技術・イノベーション基本法に変わってきた。国全体としてはイノベーションを柱にしていかなきゃいけないという機運が非常に強いし,そのニーズは高いけれども,まだ大学は十分対応し切れていないと。だけど,大学がやっぱりイノベーションのエンジンにならなければいけないというのは明らかなんですね。
もう一つは,デジタルトランスフォーメーション。これ,20年,30年後には,もっと大きく変化して,仕事が変化してきます。人が減る以上に,仕事の内容が変化してきて,単純労働は消えていくでしょう。みんなそれ,簡単にそれ,想像していると思うんですね,2050年の世界なんて考えると。だったら,どうなるかというと,仕事もより創造的にならなければいけない。イノベーションと同じことですね。
この点で考えると,現実に今どういうことが起きているかというと,世界全体の科学技術の投資というのは課題解決型に大きくシフトしております。ヨーロッパはHorizon Europeというのが2021年から始まります。全体枠が10兆円の科学技術投資予算ですけれども,50%が課題解決なんです。社会課題の解決。それから,アメリカでいくと,我々が今,連携していますNSF,National Science Foundation,ここはコンバージェンスという言葉を3年前から言っています。コンバージェンスというのは,領域を超えていろいろな専門の人材が1つに集まって,1つの社会課題を解決するための研究をやって,アウトカムをちゃんと出すという状態です。これもSDGsだとかサステーナビリティと連携する形でこういうふうに科学技術の設計が大きく変わってきているんですけれども,日本の大学はやっぱり明治以来のシステムがずっと連綿として残っている。
ただ,言えることは,今の時点で多分リアリティを持って学生定員を増やすというと,1つは私立大学から物すごくクレームが出ます。ここのところをきちんと整理し,国立大学の役割をどう定義していくかということを考えないと,これ,カオスになってくると思うんですね。
一番の大きなポイントは,学部定員に関して,私の記憶では,私立大学が学部定員の80%弱を担っておるんです。私立大学側から言わせると,国の援助をほとんど受けないで我々は高等教育を担ってきた。これを無視するのかという強い意見があります。一方,国立大学は17%ぐらいなんです,全国を見れば。ただ,国立大学と私立大学の大きな違いは2つあって,1つは,国立大学は,人材も含めて地域のインフラ整備に物すごく関与しています。例えば医療ですね。各県1医大というのがこれはありますね。もう一点は大学院教育なんですね。大学院の理系人材は6割を国立大学が担っています。
だから,イノベーションという言葉,あるいは最後のページのSTEAM人材という言葉を重視して物を考えていくとすると,国立大学の機能,特に大学院の機能が実は非常に重要です。ただ,STEAMのScience,Technology,Engineering,Art,and MathematicsのArtが欠損している。ここが実は国立大学の非常に欠損している部分。さらに,デジタルトランスフォーメーションをどう実体化していくかということだと思います。
一方で,長期的に考えると人材が減る中で,実は科学技術基本法で一番改革する論点は,人文・社会学を除くを除いたんです。科学技術の対象から人文・社会を除くを除いて,それはイノベーションにとって人文・社会学が必要であるという認識が今,リアルになっているわけですね。
そのときに,国立と私立のすみ分けというのが,実はある種の課題として出てくると思うんです。ですから,そこは五神先生がいみじくも指摘しているように,国立,私立のもう少し緩い連携を作りつつ,日本の大学の新しいグランドデザインを作る必要がある。国立大学は名古屋と岐阜を1つと考えると85ありますけれども,その60%が運営費交付金100億以下の小さな大学です。特に小さな大学は単科大学。芸術系もありますし,教員養成系もあるし,工科大学もあります。イノベーションあるいはコンバージェンスあるいは社会課題解決というところに重点を置いた大学編成を考えていくとしたら,この単科大学をどうするかというのは本当は議論の俎上に乗せなければいけないですね。連携を図らせるようなことを考えて,幅広い分野をカバーしつつ,専門の領域の人材をつくる。いわゆるT型人材を育成できるような体力を小さな国立大学にも付与するようなシステム改革が要るはずです。この2点は物すごく重要な問題だと思います。是非今後議論していただきたいと思います。
【金丸座長】 ありがとうございます。時間も迫ってますが,では,星委員,簡潔にお願いします。
【星委員】 すみません,時間がないのですごい乱暴な言い方をします。「学生視点からの」とありますが,学生視点が感じられないと思います。学生視点からということであれば,大学入学者数よりも大学入学希望者数の方が重要だと思いますし,どれぐらい大学に行きたいか,それから,都道府県別の大学進学者を見るときにも,どこの大学で学びたいか,どういう希望を持っているかというのが重要だと思います。山形県の例を出していただいて,38.6%と進学率が低いんですが,これは山形の大学の定員を増やしても増えないと思います。むしろ東北大学の定員を増やしてもらった方が山形の大学進学率というのは増えるんだと思います。
【金丸座長】 よろしいですか。ありがとうございました。予想どおりあっという間に時間が過ぎてしまいました。本日は,最初に英国の事例を,学生中心の政策の展開ということで林先生にプレゼンテーションいただきました。これまでこの会の議論は学生視点での議論はそれほど時間を割いていなかったものですから,大いに参考になりました。また,エンゲージメントについても,今日は皆さんの数々の意見をいただきました。ただ,エンゲージメントを形成するマルチステークホルダーにいろいろな御要望等を聞いたりとか,あるいはリターンについて話し合ったりしていって,だけれども,登場人物が多いので,結局のところ,大学が先進的に変革ができないというのであれば元も子もないという問題意識も持っております。
私は,最後の定員のところは,18歳人口は気にはなっても,人生100年時代で,大学に入学して卒業してそれっ切りということじゃなくて,社会の変化に対応していくためには,社会人になってまた母校に,あるいは母校以外でもいいんですけれども,リカレント教育を受けながら,人生の価値を毀損しない形で新しい時代に対応していくことを考えたら,延べの教育の年数は今より増えなきゃいけないんじゃないかと思っています。
私どもの会社では,実はAIの教育は,間接部門も全員受けてもらったんですね。それはなぜかというと,先ほど濵口委員がおっしゃったとおり,AIの技術革新の脅威が自分のやっている仕事のそばまで来ているのであれば,その脅威ではなくて,自らAIを積極的に取り入れるということから自己変革をするということが,自分の人生のバリューを決して低めない,むしろ高めるという可能性が大いにあると考えたからです。でも,本来こういう教育が全国津々浦々いろいろな大学でリカレント教育を柱にしてくだされば,定員の総数の議論というのはナンセンスになるんじゃないか。でも,これもお金の出し手からいえば,リターン,アウトカム,コミットメントを大学側もしていただく必要が私はあるんじゃないかと思っています。
それから,松尾先生が触れられた学部と学科のポートフォリオですが,この大学改革の議論を通じていろいろなことがまとめて決まると思うんですけれども,その結果,学部と学科のポートフォリオがもし何年か後も変わらなかったら,私は国立大学たり得ない,税金を投入する価値はないんじゃないかぐらいの危機感を持っております。そういう意味では,いつもそうなんですけれども,東北大学は,大野総長の説明もお上手でいらっしゃるので,私は東北大学にはすごく魅力を感じたところでございます。是非リカレント教育なんかも幹にしていただければ,地域を活性化できるんじゃないかなと思いました。
それでは,本日皆様からいただいた意見も参考にさせていただきまして,文部科学省におかれては,残りあと,ラスト2回になったわけですけれども,最後の取りまとめをより一層深化させていただきたいと思います。
本日もお忙しい中,活発な御議論ありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。
それでは,生田さん,お返しします。
【生田高等教育局視学官】 本日は活発な御議論本当にありがとうございました。
この会議,何回までやるかまだ決まっておりませんが,まず次回の第10回の会議につきましては,11月27日金曜日の朝9時からを予定しております。また今後ともよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【金丸座長】 ありがとうございました。それでは,これにて会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 

 ―― 了 ――

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