大学入試のあり方に関する検討会議(第28回)議事録

1.日時

令和3年6月30日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省16F1会議室

3.議題

  1. 討議(提言(案)について)

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、斎木委員、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員、牧田委員、吉田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

萩生田文部科学大臣、伯井高等教育局長、森田大臣官房審議官、西田大学振興課長 他

5.議事録

【三島座長】
 委員の皆様,おはようございます。座長の三島でございます。今日もお忙しい中をお集まりいただきまして,大変ありがとうございます。
 定刻となりましたので,これから第28回大学入試のあり方に関する検討会議を開催いたします。
 今回も,新型コロナウイルス感染拡大防止のためのウェブ会議方式での開催となってございます。音声など,先ほどからチェックをしておりますけれども,大丈夫でございましょうか。
 本日も傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開とし,後日議事録をホームページに掲載することとしたいと思います。よろしゅうございましょうか。
 それでは,まず事務局から何かございますか。
【武藤高等教育局企画官】
 本日は,荒瀬委員が御欠席です。
 本日も,聞き取りやすい御発言と,資料参照の際の該当ページのお示しをお願いいたします。また,指名後のミュート解除と発言後のミュート戻しなど,併せてお願いいたします。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,早速議事に入りたいと思います。まず,「討議(提言(案))」についてということでございます。
 前回の会議では,これまでの議論を踏まえた提言の原案をお示しし,更に御意見を頂きました。また,会議後も何人かの委員から表現ぶり等について修正意見を頂きました。その後,私と川嶋座長代理,益戸座長代理とで検討し,頂いた御意見を可能な限り取り入れて,最大公約数という形にして提言(案)を作成いたしました。
 提言の基本の部分については,既に一定の合意を得ていると思いますので,本日の会議では,委員の皆様より,言いぶり,表現の整合性等について,最終的な提言をまとめるに当たって,どうしても気になる点などの御意見を伺えればと考えてございます。
 では,まず,川嶋座長代理から,提言(案)の概要について,特に各委員の意見を踏まえて修正した部分を中心に御説明を頂きたいと思いますので,川嶋先生,どうぞよろしくお願いいたします。資料1でございます。
【川嶋委員】
 川嶋です。今,座長からも御紹介がございましたように,前回頂きました御意見等を踏まえまして,内容を加筆したり,修文をしたりした部分がございますので,それについて説明をさせていただきます。また,てにをは等についても御指摘を頂いておりましたけれども,内容に関わる部分だけ私の方から御紹介させていただきたいと思います。
 まず,1ページ目を御覧ください。黒丸の3つ目に,末冨委員,芝井委員より,今回の事態が受験者等に与えた影響を真摯に受け止めるという我々の意思を提言の中に盛り込むべきだという御意見がございましたので,3つ目の黒丸にありますように,新たに「「大学入試英語成績提供システム」及び大学入学共通テストにおける記述式問題の導入見送りについては,外部弁護士の協力も得て行った過去の検討経緯の整理・検証を踏まえ,そこから得られる教訓を基に大学入学者選抜に係る意思決定のあり方も議論した。文部科学省においては,今回の事態が受験者等に与えた影響を真摯に受け止め,提言に盛り込んだ大学入学者選抜に係る意思決定のあり方については,今後,他の施策においても生かされることを求めたい」といたしました。
 また,1ページの一番下の注記のところですけれども,清水委員の御指摘を受けて,具体的に資料名を書くこととしております。
 続きまして,3ページを御覧ください。3ページの上から2つ目の黒丸でございますが,末冨委員の意見を踏まえまして,機密性・中立性や利益相反の記述については,受験生が安心して受験できるようにするためにという御意見でございましたので,最後の2行に「このことは受験生が安心して受験できるようにするためにも重要な前提である」という表現にしております。
 それから,4ページを御覧ください。2つ目の黒丸です。最後の二,三行ですが,前回までは「また,大学・高等学校関係者の合意によって決められた入試日程の遵守」としておりましたけれども,末冨委員からの御指摘もあり,「入試日程や学校推薦型選抜の募集人員の割合は遵守されるべきである」という文章に変えております。
 引き続きまして,5ページを御覧ください。2つ目の丸でございますが,3行目の「比較衡量」については芝井委員から御指摘がございましたので,均衡の「衡」と変えております。
また,その後5行目でございますが,同じく芝井委員の御意見を踏まえて,「関連の研究成果等の把握を行い,それらを踏まえること,施策決定後にも実証的なデータ等に基づいた改善を行えるよう」という文章にしております。
 続きまして,6ページを御覧ください。上から4つ目の黒丸でございますが,柴田委員から,もう少し整った文章にすべきであるという御意見を頂きまして,3行目,「議論を十分に行うとともに」とさせていただきました。
 また,3ポツ,(1)の黒丸の部分も,芝井委員の意見を踏まえまして,「県域を越えて」という表現でしたが,「県境を越えて」としました。
 また,6ページの最後の行ですが,総合型選抜と学校推薦型選抜の現状については,具体的に数字を入れてはどうかという示唆を岡委員から頂きましたので,そのように変更しております。
 続きまして,8ページを御覧いただきたいと思います。8ページの(2),2つ目の黒丸のところですが,萩原委員より,ここの書きぶりが資格・検定試験のみに偏っているのではないかという御意見がございましたので,「入学後に必要な能力・適性等の測定に必要な場合は,各種の資格・検定,大会・コンテストの結果等の適切な活用も検討していくことが適当である」と変えております。
 9ページを御覧ください。ここは記述式に関する部分で,1ポツの最初の黒丸で,記述する力,能力とは何かということについては,島田委員から御指摘がございましたので,御指摘に従いまして,「「自ら考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」や「思考・判断した過程や結果を的確に,さらには効果的に表現する能力」は,大多数の大学において,入学後,専門分野」」云々と変えさせていただきました。
 それから,その次の次の黒丸のところは,記述する力というのが,高校でも大学でも,また,社会に出てからも重要ということで,「採用と大学教育の未来に関する産学協議会報告書」,これについては英語のところでも引用をしておりますけれども,ここの記述する力についても同様に引用をさせていただいて,記述する力の重要性を強調しております。
それから,5つ目の黒丸のところで,「記述式問題の形態は」という文章でございますけれども,終わりの2行目,渡部委員の御指摘で,使用する目的も多様であるという御意見がございましたので,3行目から「一定のテーマや条件を課しつつも自由に考えを記述させるものまで多様である。また出題の目的も,得点化した上で合否判定の資料とするものから,適性の確認を行うことを狙いとするものまで様々である」という表現に変えております。
 引き続きまして,12ページを御覧ください。2つ目の見出しの,国公私間の差が生じる背景ということの2つ目の黒丸については,最後の行でございます。芝井委員から御指摘がございましたが,国立大学・公立大学・私立大学での入学者選抜の在り方については,構造的な問題があるという御指摘がございましたので,最後のところに「構造的な問題があると考えられる」と変更させております。
 次は,14ページを御覧ください。(3)各大学の個別試験の役割の2つ目の黒丸でございますが,今御説明したとおり,3行目に,ここも芝井委員の御指摘がありましたように,構造的な問題があると,歩留り率が悪い云々というのは構造的な問題だという表現に改めております。
 それから,次の15ページ,下から2つ目の黒丸の最後の「大学ポートレート」以下のところですが,小林委員からの御意見で,英語や記述式の出題の是非・可否が評価と直接結びつけられる懸念があるのではないかという御指摘がございましたので,「大学入学者選抜の改善状況や優れた取組が適切に公表され,社会から評価されるようにする方策を講じることが有益である」と表現を改めております。
 また,次の黒丸の最後の二,三行ほどですが,岡委員からの御指摘を踏まえまして,「国は,大学・高等学校関係者等との協議等の場において,過去問の利用について相互の理解を深める機会を設けるとともに,社会の理解が得られるように,その趣旨を分かりやすく発信することが有益であると考えられる」と,過去問の利用については,社会からの理解が重要であるという岡委員の御発言を踏まえて変更をしております。
 続きまして,18ページまでお進みください。1ポツ,総合的な英語力の育成・評価の意義のところの,国際共通語としての英語の2つ目の黒丸でございますが,芝井委員からの御指摘がございまして,英語の第一外国語あるいは第二外国語,第三外国語の位置づけは,大学によって様々な位置づけがあるということで,ここは単に「外国語」という表現に改めております。
 続きまして,24ページまでお進みください。3つ目の黒丸の2行目のところでございますが,当初は「国立大学協会」という言葉が入っておりましたが,岡委員からの御要望で削除しております。
 それから,25ページに行っていただきまして,(3)各大学の個別試験の役割の2つ目の黒丸でございますが,萩原委員より,資格・検定試験の活用が強調され過ぎているのではないか,それが前提となっているのではないかという御発言があり,冒頭に「資格・検定試験を活用する場合」という表現に改めております。
 次,26ページでございますが,ここの5ポツ,総合的な英語力評価の推進策というところは,もうこれまでのように「総合的な英語力の評価は」という形で,検定試験ありきと捉えられないような表現に改めております。
 次の27ページにお進みください。(3)国のイニシアティブによる試験団体及び高大関係者による恒常的な協議体の設置につきましては,従来よりOfqual等の例も紹介されておりましたけれども,小林委員から,協議体自体が査察機能を持つことは現実的ではないという御発言がございまして,誤解を生じないように,あり方を議論するという文言に表現を変えたところでございます。
 続きまして,29ページまでお進みください。上から4つ目の黒丸のところの4行目,最後の3行ぐらいですが,渡部委員から御指摘がございまして,大学によっては,あるいは学生さんによっては,どういう将来を目指すかによって英語の在り方が異なるのではないかという御意見がございましたので,4行目,「その際,英語を自由に操ることのできる国際人に必要とされる英語力と,同世代の50%を超える進学率となっている中で全ての大学生に育成すべき英語力は異なるなどの指摘も踏まえ」と,その後続きまして,「大学生全体の英語力を効果的に底上げするプログラム,国際機関や外交,国際ビジネス等の最前線で活躍できる高度な人材を育成する質の高い英語教育,専門教育と英語教育との融合を図ったプログラムなど,それぞれの専門領域における人材育成のニーズに応じた多様な取組を推進することが重要である」と表現を改めております。
 続きまして,30ページを御覧ください。ここは,小林委員から,英語は分野によってニーズが違うので,国家試験があるような分野では,国家試験に英語の出題をするべきではないかという御意見がございましたけれども,すぐにはなかなかできませんので,まずは関係する団体と英語力の必要性ついて意見交換をした上でということで,3行目の終わりから,「国は産業界や大学,国際化を必要とする各種の職業に係る団体等と協力して」という形の表現に改めております。
 次に,31ページにお進みください。1ポツ,現状と施策の基本的な方向性の2つ目の黒丸の3行目のところで,「No one should be left behind」,英語のSDGsの考え方が括弧書きで書かれておりますけれども,もともとは「誰一人として取り残さない」という表現にしておりましたが,芝井委員の御指摘により,「誰一人として置き去りにしない」という表現に変えております。
 次,このページの4つ目の黒丸のところで,末冨委員から御指摘があり,都道府県間の進学格差があるということについて,具体的に一番多い県,「最上位73.9%」,一番進学率が低い都府県,「最下位38.6%」の具体的な数字を加えております。
 次の32ページにお進みください。1つ目の黒丸ですが,これも末冨委員からの御指摘を踏まえて,具体的な数字を加えるとともに,女子学生の比率が低い分野を具体的に記載しております。下から3行目のところですが,「理工系・社会科学系の学部・学科において入学者に占める女性の割合が低い大学が多く見られる」。これは,前回事務局より資料に基づいて御説明していただいたところでございます。
 続きまして,33ページにお進みください。下から2つ目の黒丸のところですけれども,これも末冨委員からの御指摘を踏まえまして,配慮の対象となる属性について具体的に記載して,「障害の有無や居住地域,性別等に関して多様な背景を持った学生の受入れの配慮」ということを,大学入学者選抜実施要綱の基本方針によって示すべきであるという御意見を踏まえてこういう記載にしております。
 続きまして,34ページにお進みください。最初の黒丸の最後のところですが,これも末冨委員からの御指摘で,英語の資格・検定試験ではなく,それ以外の各種の資格・検定試験についても配慮を求めたいと書いております。
 それから,次の黒丸ですけれども,末冨委員の御指摘がございまして,4行目ですが,単に国は実態を把握するだけではなくて,その結果を公表すべきであるという形にさせております。
 それから,その次の3つ目の黒丸の4行目でございますが,これも同じく末冨委員の御指摘の趣旨を踏まえて,4行目最後のところですけど,単に調査するだけではなくて,それを「施策の充実につなげる必要がある」と書き換えております。
 35ページにお進みください。最後の黒丸ですが,柴田委員から御指摘がございまして,「加えて,我が国の大学生に占める障害のある学生の比率が米・英と比較して低いとの指摘があることから,国は,障害のある学生の受入れに関する海外の先進事例との比較等を踏まえつつ,こうした状況が生じている課題の解決に向けた施策の充実に努めるべきである」という文章を付け加えております。
 36ページ,囲みの中の委員からの主な意見の3つ目については,島田委員の御発言でしたけれども,島田委員の御発言に沿った正確な表現に変更をしております。
 続きまして,39ページにお進みください。2つ目の黒丸です。秋季入学に関してですが,労働経済学の知見によれば,秋季入学によって若年失業者の増加が見込まれるという指摘もあるという小林委員からの御発言もございましたので,最後の2行を「想定される課題に関する留意点,定員の在り方,他の模範となる取組への促進策等について,今後,更に専門的に検討した上で,選抜実施要項上の取扱いを明確にすべきである」と丁寧な説明にしております。
 次,同じページの3ポツ,(1)の最初の黒丸ですが,これも小林委員からの御指摘で,現状では,入試というのは選抜という性格だけではなく,受験生,志願者と大学とのマッチングという役割がこれからますます重要になってくるという御指摘がございましたので,この総合型選抜・学校推薦型選抜については,2行目より「より丁寧で多面的・総合的な選抜に向いているだけでなく,志願者と大学とのより良いマッチングにもつながり得るものである」という文章を加えております。
 それから,40ページの最後の4ポツ,大学入学者選抜におけるデジタル化の推進については,これも小林委員から,地域によってはデジタル回線が不十分であるため,完全なオンライン面接等ができないという御指摘がございましたので,最後の2行でございます。「デジタル時代のインフラ整備のための取組が」現在政府により「進められており,教育分野のデジタル化のためにも,社会全体の基盤整備が加速されることが期待される」という表現を加えております。
 続きまして,42ページへお進みください。42ページの中ほどにございます5ポツ,大学入学者選抜の改善に係る実施・検討体制ということについては,2つ目の黒丸でございますが,3行目から「学部ごとの男女別入学者数などの属性別の内訳,障害のある学生への合理的な配慮の提供状況,多様な背景を持つ学生の受入れの状況や関連の支援制度を始め,志願者の大学選択に関わる様々な情報の適切な公表を各大学に求め,一定のものは省令上の情報公表の対象とすべきである」と,末冨委員から,多様な背景を持つ学生の受入れ状況についての情報を把握して公表すべきであるという御発言を踏まえてこのようにしております。
 43ページにお進みください。ここはインセンティブのところで,最初の黒丸ですが,末冨委員等からも御意見がございましたけれども,最後の2行,「ペナルティを課すという方法ではなく,積極的な取組を促進・評価する観点から,推進策を講じる必要がある」と,これも前回の複数の委員からの御意見を踏まえてこのように書き加えております。
 それから,3つ目,次の次の黒丸のところの最後のところですが,柴田委員からも公立大学にも言及してほしいという御意見がございましたので,最後の3行ですが,「また,公立大学については,好事例の認定結果を設置者や設立団体に対し,法人(大学)評価や資源配分の参考に活用することができる旨通知することを検討すべきである」という文章を付け加えております。
 以上でございます。
【三島座長】
 川嶋座長代理から御説明いただきました。大変簡潔に御説明いただけたと思いますし,前回の御意見をできるだけ取り入れさせていただいてこのようにしたということでございます。ということで,これから討議に入ろうと思います。
 本日は,この資料1,今御説明いただいたものに従って,第1章の大学入学者選抜のあり方と改善の方向性を約10分。それから,第2章以降,記述式問題の出題のあり方,総合的な英語力の育成・評価のあり方,地理的・経済的事情,障害のある受験者への合理的配慮等への対応,それから,第5章,ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜,残りの4つを15分ずつぐらいで進めていきたいと思います。
 それでは,御発言はポイントを絞って,1回3分以内を目指してお話しいただければと思いますので,御発言がございましたら挙手ボタンを押していただければと思います。
 それでは,芝井委員どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。まず,1ページの3つ目の黒丸ですけれども,中黒ですが,こういう形の文章を入れていただきまして,ありがとうございます。
 2つほどあるのですが,1つは,「も」という言葉を2行目と3行目に使っておられるわけです。「外部弁護士の協力も得て行った」というのと,「意思決定のあり方も議論した」ということですが,私は,これは両方とも「も」ではなくて「を」ではないかと思うのですが,特に後ろの方は「を」とされる方が良くて,特に意思決定のあり方も議論した後で,一体何を主として議論をして,それに追加的に「も」という形で議論をしたのか分からない気がするので,後ろは明らかに「を」とされた方が良いと思います。それから,前の方も,もしかすると「を」かも分かりません。
 全体的に少し「も」が多いので,言い切った方が良いのではないかと思います。後のところで「生かされることを求めたい」というのは,私は「求めたい」という表現より「求める」と書かれた方が良いのではないかと思います。はっきりと書かれた方が,誤解を生じにくくて,曖昧さが残らないので,なるべくクリアに書かれた方が良いのかという感じがしました。
 本来はもう少し,正に学生,受験生の信頼を失墜する事態だったということを正直に書いた方が良いような気がするのですが,こういったまとめの文章ですので,この辺り,ここまで書いていただいたら最低限のことは尽くされているのかと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。ほかはいかがでございましょうか。末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 私の意見書の方で,1ページについて意見を修正いただけないかという提案を書いておりますので,そちらを御準備いただければと思います。
 まず,座長の三島先生,座長代理の川嶋先生,それから事務局の方々の多大なる御尽力に感謝を申し上げたいと思います。
 提言が意見の最大公約数であること,それから,議論の最終段階であることを踏まえまして,大幅な修正は困難ではないかという認識の下で,変更が十分可能ではないかと思われる点に絞って意見を申し述べたいと思います。
 今の該当部分ですけれども,1ページの上から3番目の黒マルです。芝井先生も今おっしゃいましたが,受験生への例の信頼失墜ということも明記した方が良いとは思いますけれども,私自身は,文部科学政策全般での意思決定の在り方について問題意識を感じておりますので,もしよろしければ,こちらの修文のようにしていただければと思います。
 最後の部分だけ読み上げますけれども,文部科学省においては,今回の事態が受験者等に与えた影響を真摯に受け止め,提言に盛り込んだ大学入学者選抜に係る意思決定のあり方に示された諸観点につきましては,今後,広く他の施策においても生かされることを強く求めたいとお願いできればと存じます。
【三島座長】
 それでよろしゅうございますか。よろしいですか,それで。ありがとうございました。
 それでは,ここで大臣が御到着されましたので,一言御挨拶を頂きたいと存じます。よろしくお願いいたします。
                          (萩生田文部科学大臣 着席)
【萩生田文部科学大臣】
 皆さんおはようございます。本日もお忙しい中,大学入試のあり方に関する検討会議に御出席いただき,ありがとうございます。精力的な御検討を続けていただいていることに改めて感謝を申し上げたいと思います。
 前回会議では,座長及び座長代理より提言の原案を御提示いただいて,議論を深めていただいたところ,提言の基本の部分については既に一定の合意を得ることができたかと思います。本日は,前回の討議を踏まえた提言(案)を座長及び座長代理の御尽力により示していただいております。座長や座長代理を始め委員の皆様には,最終的な詰めの議論をどうぞよろしくお願い申し上げます。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,討議を続けたいと思います。次に,御発言はございますでしょうか。末冨委員,まだ続きがございますか。
【末冨委員】
 意見を申し述べさせていただきたいのですけれども,まず,改めまして,勇気ある延期の御判断をしていただきました,萩生田大臣の御決断には敬意を表したいと思います。
 今回の意見書のほかに,本提言に至る大学入試政策の迷走について一言申し上げさせていただきたいと存じます。
 これは,提言とは直接関係ございませんが,内閣府の子供の貧困対策に関する有識者会議の構成員として,そして1人の研究者として,最後の会議になるであろうこの場で,改めて私自身の思いを申し述べる必要性を感じております。
 私が一連の大学入試改革に反対してまいりましたのは,英語民間試験が共通試験で活用されてしまえば,自分自身が大学に行くことすらできなくなってしまうのではないか,あるいは,弟や妹たちが進学できなくなってしまうのではないかという貧困の当事者の若者たちの心配と不安を受けてのことでした。
2018年から内閣府会議で,もしも英語民間試験を導入するならば,低所得世帯の受験料補助をお願いしてきたにもかかわらず,与党も文部科学省も何の予算措置もしていただけませんでした。
 また,下村文部科学大臣,鈴木寛文部科学大臣補佐官,安西祐一郎中教審会長らによって主導された政策理念の妥当性すら検証せず,高校教育や大学入試に関する実態調査すら行わず,自主性や信頼性を欠くずさんな意思決定プロセスを見直せず,立ち止まれなかった政治や文部科学政策の在り方に関しては,関わった全ての大人たちに真摯な反省を求めたいと思います。
 政策理念そのものやフィージビリティーに疑問を持った誠実な研究者や高校生たちまで巻き込み,多くのステークホルダーを不安に陥れ,傷つけました。
記述式試験に反対し,実証実験を行い,文部科学記者クラブで勇気ある記者会見まで行った当時高校生だった菊田隆一郎さんは,この場に向けて次のような意見を寄せてくださっています。
 「政策が与える影響の評価を正しく行わなかった大人の姿を多くの高校生がきちんと見ています。また,入試改革問題に向き合って思考し,判断した上で声を上げて表現した複数の高校生がいたことは,今,学校教育において育成評価するべき思考・判断・表現の力とは何かを検討する上で,大学関係者も高校関係者も無視すべきではない事実だと思います。」
 学問的根拠や実証実験によって勇気ある発信をしてきた人々の意見を聴かず,暴走し,国民からの信頼を失墜した経緯を歴代文部科学大臣,事務次官,高等教育局長を始め関わった文部科学省職員は胸に刻み,信頼に値する教育政策を実現するよう,心からお願い申し上げます。
その意図をもちまして,先ほどの1ページ目の修正をお願いいたしました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,ほかに御意見はございませんでしょうか。渡部委員,先ほど手が挙がっていたかと思いますが,何かございますか。
【渡部委員】
 もしお時間があるようでしたら一言申し上げさせていただきます。
【三島座長】
 はい,どうぞ。
【渡部委員】
 今回,多様な方々の意見が寄せられまして,それをこういった形で取りまとめてくださって,本当に感謝しております。簡単に幾つかの文言で提言をするというよりも,こういった最大公約数的にまとめていただくということは,今回のような委員会のまとめの在り方として重要なのではないかと考えています。
私も文言に関することなのですが,これは全般に関することでありますので,最初に申し述べさせていただきたいと思いました。
 「考えられる」という文言がとても多いのが気になりました。例を挙げますと,4ページの上に2つの黒丸があります。その次の段落の3行目です。ここに「多かったと考えられる」とあります。それから,4ページの下の(1)の1番目の黒丸,3行目,「影響は広範で大きいものと考えられる」。こういった「考えられる」が随分目立つのです。これは一定の配慮が,言い切らないという御配慮なのかとも考えられますが,「提言」でありますので,「考えられる」は必要なく,言い切って良いところが多々あるように思われます。
 確かに,先ほど指摘いたしました2つの黒丸の下ですが,「指摘するものも多かった」,その下「必要である」,それから「大きいものである」,これらは,「考えられる」というのは妥当であろうかと思われます。しかし,多くの場合,「考えられる」という文言が提言全体のトーンを弱めるように思われます。削除文言の修正を御検討いただければと思います。ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,大体10分を経過しております。最初の第1章のところはよろしゅうございますか。
 それでは,次に参りたいと思います。第2章,記述式問題の出題のあり方について,御意見を頂ければと思いますが,いかがでございましょうか。それでは,芝井委員どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。12ページ,よろしくお願いします。4つ目の黒丸,国公私間の差が生じる背景ですが,これは,なかなか難しい問題なのですが,どんな文言を書いたら良いか分からないのですけれども,現状の受験生から見たらその大学入試,広い意味での一般入試と呼ばれているものの構造があるということを繰り返し申し上げたつもりです。それはここに書かれている要素があるのですが,それ以外に最も大きいのは,例えばで申し上げれば,1人の受験生が国立大学を受けようとしたときに,国立大学単体で受ける学生,受験生は大変少なくて,併願をしていくわけです。そうすると私立大学は併願先に選ばれる。3月に併願先の私大を受けるというのはほとんどおりませんので,国公立の受験が始まる前に,2月になって受験をするという構造があるわけです。この構造が変わらないと,私立大学とすると,できることとできないことは,はっきり分かれてしまうということになっていることを構造的な問題と申し上げたつもりで,ここに書いてあることはそのとおりなのですが,少し足りないのかと思っているのです。ただ,どんな文言でそれを表現するのか,私,余り良い案がありません。もし生かせるところがあると思ったら少し考えていただいたらと思うのです。
 ここで書かれていることは構造的な問題の一部ですが,根本的には,日本の一般入試が,日程も含めて,それから,今あるような,先ほど申し上げた併願も含めて,どうして私立大学は少数の科目でしか入試を行えないのか,多くの場合です。3教科と言われるような入試を行えないのかというのは,実は,受験生の選好の問題と深く関わっているということだけ一言申し上げておきたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,柴田委員どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。ただいま芝井委員が御指摘になったところに関係してございまして,たしか構造的な問題と書いておられますけれども,これは問題というよりも,むしろこういう構造的な背景があると捉えておいた方が良いのではないかと思っております。
 以前から日本の試験文化というような表現もございましたけれども,これを反映した上で,国公立あるいは私立の受験生の選択・志願動向というような特性が生じているのではないかと思います。これを単に問題として捉えるというのは,私大の方にはお気の毒なのではないかと感じましたので,御検討いただければと思います。
 以上でございます。
【三島座長】
 御指摘をありがとうございます。
 それでは,続きまして島田委員どうぞ。
【島田委員】
 島田です。例によって瑣末な表現レベルのことです。9ページをお願いいたします。上から5つ目の黒丸の文章です。「記述式問題の形態は」と始まる文章の2行目,記述式問題の具体的内容について列記されています。具体的内容のまず冒頭に「定義を述べさせる,概念を説明させる」と始まっておりますが,記述式問題の典型として,「定義を述べさせる」が最初に出てくると少し唐突な気がします。その前に,文章の部分や全体の解釈を問うというような内容が1つ入ると良いのかと思いました。
 以上です。御検討をお願いします。
【三島座長】
 ありがとうございました。芝井委員どうぞ。
【芝井委員】
 すみません,先ほど,柴田先生,ありがとうございます。確かに問題があるというと,何かおかしなことがあるかのように受け取られるので,「背景」という言葉を作っていただいてありがとうございます。
 もしかすると仕組みかと思っていたのですが,構造的な仕組みや背景があると書いていただくと少し膨らみが出てくるかと思いますので,最低限の修正でしたら是非そういうことをお考えいただけましたらと思います。
 以上です。
【三島座長】
 了解いたしました。
 ほかにいかがでございましょうか。よろしいですか。それでは,両角委員,どうぞ。
【両角委員】
 ありがとうございます。本当に瑣末なことなのですけれど,16ページ目の一番上のところの,先ほどの芝井先生の「も」が多いというのと同じでして,入試で問うということももちろん大事なのですが,高校教育と大学教育の改善こそが一番大事なのではないかというのが基本的な思いがありまして,そうするとこの上から4行目が「高等学校教育・大学教育の改善も併せて」という,何かおまけのように書いてあるのですけれども,それこそ精力的に行っていく必要があるという感じのニュアンスにしてもらった方が良いかと思いました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。「改善と併せて」ですかね。
 ほかはいかがでございましょうか。
 それでは,今ちょうど手が挙がらないようでございますので,先へ進ませていただきます。
 次は,第3章,総合的な英語力の育成・評価のあり方でございます。御意見を頂ければと思います。小林委員どうぞ。
【小林委員】
 ありがとうございます。これの最後のところですけれども,30ページ目,最後の丸ポチで,これを加えていただきまして,国家試験のこともこれに包含されるということで,大変有り難く感じております。
 この「国は」の定義なのですけども,もちろん国家試験になると,厚労省や,獣医の試験だと農水省とか,いろいろなところにまたがりますので,それを含めて「国は」という表現になっているのかと解釈はできるのですけれども,その上で見ますと,この全体を通して「文部科学省は」と書いているのと,「国は」と書いているのと,幾つかありまして,それがどこまで「国は」と書いているときに包含されるのか,若干気になりました。
 例えば,この章で言えば,26ページ目,5ポツの総合的な英語力評価の推進策の,(1)の最初の丸ポチで「国は」になっているのですけれども,これは文部科学省でも良いような気がしますし,それから27ページ目の(3),国のイニシアティブというのも文部科学省でも良いような気がしますし,前の方では,結構「文部科学省は」が主語になっていますので,その辺を少し精査していただいて,どちらが適切かということを御検討いただければと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,吉田委員どうぞ。
【吉田委員】
 ありがとうございます。先回いろいろ御意見があったときに,私,会議に参加はしていたのですけれども,周りの環境が悪かったので一切発言しなかったものですから,あえてここで発言をさせていただきたいと思って,先生方に意見書を今回また提出させていただきました。
 それは,前回の会議において,英語の資格・検定試験等は,個々の学びとしての英語力を測るものであるかもしれないけれども,高等学校での英語の学習状況を測るためのものではないと,そのことを踏まえた記述をすべきという御意見がありました。これについて,私は確かに,この英語の資格・検定試験等が高等学校での学習状況を測るためのものではない,そのために開発されたものではないということは,もちろんそのとおりだと思っております。ただ,そのことで考えれば,各大学の個別試験についても同様なのではないかと。大学の個別試験の英語試験問題というのは,高等学校での学習状況を測るためのものではなくて,各大学がおのおののアドミッション・ポリシーに基づいて,必要とする能力・適性等を把握するために作られたものであって,この資格・検定試験だけを上げて高校の学習評価とイコールでないと強調されたことについては,私は違うのではないかと,ミスリーディングではないかということをあえて申し上げたいと思いました。
 第2に,昭和35年に告示されました高等学校学習指導要領以降,外国語科の目標の中には,常に聞くこと・読むこと・話すこと・書くことに関する力を育成することが掲げられており,特に平成30年に改訂されました今回の新学習指導要領では,小・中・高を通して聞く・話す・読む・書くは,統合した言語活動を重視しているわけです。そして実際に,コミュニケーションの場面にする観点から「英語で授業を行う」とされて,もう既に10年以上がたっています。そういう中で,英語科の教員は,授業改善に日々努力を重ねているわけですけれども,このことを踏まえると,事実上,圧倒的に「読むこと」に偏っている各大学の個別試験と,スピーキング能力やライティング能力も含めて測定しようとする資格・検定試験のいずれが高等学校の学習指導要領が求める教育活動と親和性があるかといえば,私は明らかなのではないかと思うわけです。ですから,この点から目を背けるということはいけないのではないかと。
 そして第3に,閣議決定であるこの第3期の教育振興基本計画において,中学卒業段階でCEFRのA1レベル,高校卒業段階でA2レベル相当以上を達成した中高生の割合を5割以上にすべきということが長い間うたわれているわけですけれども,生徒の立場からすれば,自らの総合的な英語力の習熟度を客観的に確認して,さらなる学習へのモチベーションを高める上でも,資格・検定試験の意義は極めて大きいですし,実際に多く活用されていると思っております。そして,それがそのまま大学入試に,総合型選抜や学校推薦型選抜で利用されていることも事実だと思っています。ですから,我々高等学校の立場からしても,国がCEFRを目標に掲げて各学校の取組を促しつつ,統一的なパフォーマンステストの導入を行えない以上は,正確な英語力の到達度の把握方法は資格・検定試験であるという現実を無視しないでいただきたいと思います。
 そして,入試改革をめぐる今般の経緯によって,共通テストの枠組みでの資格・検定試験の活用が困難となり,残念ながら我が国の教育のグローバル化は,私は諸外国に更に遅れをとることとなったと思っています。しかし,これ以上の停滞は許されません。国として各大学の個別試験における総合的な英語力の評価を推進するとしても,それが実際に多くの大学の入学選抜や大学入学後の教育課程において実現されるためには,物心両面の支援方策が必要であると思います。そのためにも提言案の30ページにある,社会が必要としている英語力の水準の調査・可視化は極めて重要な意味を持ち,日々努力している初等中等教育の英語教育関係者にとっても大きな励みになるものと思われますので,文科省におきましては,この提言を取りまとめた後,間髪入れずにこういった調査を実施して,その結果を早急に提示していただきたいと願っております。
 そして,今現在,こうして学校推薦型選抜,総合型選抜等が多く行われている中で,センター試験の大学入学共通テストの時期という問題も1つ絡んでくるのではないかと思います。この記述や英語4技能の実態を考えて,各大学でもしそれを実行なさるというのであれば,期間的問題というのがかなり出てくるのではないかという気がしていることをあえて付け加えさせていただきます。
 ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。芝井委員どうぞ。
【芝井委員】
 29ページの4つ目の黒丸です。それの4行目なのですが,あまり適切な表現,どうしたら良いか分からないのですが,簡単に言いますと,「英語を自由に操ることのできる国際人」という表現が少し,あまり良い言葉ではないような気がするのです。「国際人」をこういう形で定義しますかということと,つまり,定義なのか,属性なのか,属性の一部なのか,分からないのですが。「英語を自由に操る」という言い方が正確と言えるのかというのは少し気になるところで,私の感覚で言うと,英語を母語と同じように思考し,表現できるという意味かと思うのです。「自由に操る」というのは,すごく世俗的過ぎて,どうなのかという感じがします。自由に操る,操れないという,そういう形で英語を,言語を考える,あるいはそれが国際人であるという表象をつけてしまうのは,あまりこういう答申には望ましくない,もう少し客観的で良いのかという感じがします。良い表現があれば是非考えていただきたいと思うのです。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,清水委員どうぞ。
【清水委員】
 ありがとうございます。清水でございます。
 29ページの一番下にあるポツのところについてです。下から2行目にIRのことが書かれていて,今回記述式の出題についても,英語の4技能の評価についても,大学のこのIR機能が大事だということが,相当焦点が当たっている感じがして,そこの記載をもう少し丁寧にしてはいかがかと,大きな変更ではなくて,思いました。
 特に下から2行目の「入学後の教育や卒業生の追跡調査を行い」という辺りが,記述式の方の記載,17ページにありますけれども,それと比べると少しラフな感じがしますので,入学後の成績のGPAの追跡とか,卒業生の進路の追跡,あるいはその進路先での英語の使用状況等というような,少し内容を書いていただいた方がよろしいかと思いました。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 それでは,ここで大臣が公務のため御退席になりますので,ここまでの議論を聞かれて御感想などがございましたら,お願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 申し訳ありません。公務が重なっておりまして,中座をお許しください。今日も様々な立場から率直な御意見を頂いておりますことを感謝申し上げたいと思います。まだ議論は続くと思いますので,是非,途中ではございますけれども,ここで,もしかすると最後になるかもしれないので,御挨拶をさせていただきたいと思います。
 これまで,大学入試の在り方という大きなテーマの下,28回もの審議を積み重ねていただき,改めて,これまでの御尽力に感謝を申し上げたいと思います。最終的な文案は今後,座長と座長代理で調整されると思いますが,国民の皆さんが納得でき,受験生が安心して受験できる,よりよい制度を構築できる結論を導いてもらえるのではないかと考えております。
 前回も申し上げましたが,今回の提言は,高等学校,大学の関係団体の代表が入られて徹底的に議論した上で方針を決めるものでありますので,是非その方向性に基づいて着実な改善を進めていただきたいと考えております。
 後日座長より正式に提言を頂いた後は,大学入学者選抜協議会を開催し,本年夏頃に行う令和6年度の実施の大学入試に係る予定の通知公表を行いたいと思います。その上で中長期的な課題も含めて,大学,高等学校を始め,関係機関団体とも連携しつつ,確実な実現を図り,大学入学者選抜の改善を推進していく所存ですので,引き続き皆様のお力添えをお願いしたいと思います。
 これまで大変長い期間にわたる精力的な御審議に改めて深く感謝を申し上げ,また本日,後半の審議が残っておりますので,最後までよろしくお願い申し上げて,御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,続けて討議に戻りたいと思います。それでは,今,第3章をやっているところでございますが,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 29ページの2つ目の黒マルについて,指摘をさせていただきたいんですけれども,在学中と卒業後の必要性を加味した上で,総合的な英語力の向上を必要とすると判断するのは,大学だけではなくて,実際に学部学科等において判断されるものでございます。例えば日本大学におきましても,3つのポリシーというものは学科別に定めておりますので,当然,専攻分野ごとに必要なものは違うと思われます。
 先ほどの吉田委員の御意見を聞いておりましても,大学で,あるいはその専攻分野で必要な英語の力というのは何であろうということを改めて私自身も考えました。それぞれの専門分野に応じて,英語ではなくて,例えば日本大学の場合ですと,中国語やドイツ語等も専門とする学科もございますので,求められる外国語の力というものは違ってまいります。進路も違います。ただ社会科学分野においては当然英語の総合的なスキル必須のことでございますので,高大接続における,英語を必要とする分野の接続の在り方についても,改めてこれを機会に,協議体等において議論を深められる必要があろうかと思います。
 併せまして,教育振興基本計画について先ほど言及がございましたが,確かに教育振興基本計画は閣議決定の対象になるものですけれども,この間の政策の迷走というのは,教育振興基本計画に書かれてしまったから立ち止まれなかったという面も大きいと思います。
 私自身は,第4期教育振興基本計画に向けて,考えを持っておりますけれども,一つは,エビデンスや検証に基づく政策改善サイクルの中で,教育振興基本計画に書かれた各政策分野のゴールですとか,あるいは達成すべき政策内容といったものも柔軟に見直される必要があるだろうと考えております。それが,今回のこの会議の前身となりました大学入試政策の迷走を受けての真の教訓を得るということではないかと考えております。以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,ほかに御意見はございますでしょうか。
 それでは,特に手が挙がっておりませんので,次へ進めたいと思います。
 第4章,地理的・経済的事情・障害のある受験者への合理的配慮等への対応の部分でございます。御意見がございましたらどうぞ。まず芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。33ページの真ん中から下のところです。全体で言うと,4つ目の黒丸になるかと思うんですが,「国において」で始まる文章で,その後,4行ほど訂正を入れて付加していただいている部分です。「また,大学入学者選抜実施要項の基本方針において,障害の有無や居住地域,性別等に関して多様な背景を持った学生の受入れの配慮」と書いてあるんですが,これは何回か議論があったと思うんですが,「等」の中が私は多いのではないかと。もう少し展開した方がいいのではないかと思っていまして。
 障害,居住地域,性別だけではなくて,恐らく,上のところにも書いてあるんですが,外国にルーツを持つ生徒の問題とか,女性研究者の問題に触れているので,どこまで入れるかですが,国籍,民族,宗教,文化というのは入れないといけないのではないかと思っています。最低限,これに民族を入れないのはまずいだろうと思っています。国籍かもしれません。国籍,民族かも分かりません。本当ならば,宗教,文化まで入れるべきかと思いますが,いかがでしょうか。
【三島座長】
 ありがとうございます。これは記述があったように思うんですが,川嶋先生,どうでしたっけ。
【川嶋委員】
 今の件は,選抜実施要項でどう扱うかなので,大学入学者選抜協議会で引き取って検討すべきかと思います。
【三島座長】
 それではこの記述については大学入学者選抜協議会で引き取ることにしましょう。
【芝井委員】
 単純に,「等」にしてしまうと,障害の有無と居住地域と性別だけが前に出ますので,それ以外のリノートされている属性は一切出てこないというのは,少し気になる点ですので,是非よろしくお願いします。
【三島座長】
 川嶋委員から補足があります。
【川嶋委員】
 現在の選抜実施要項の基本方針の中にも,年齢,性別,国籍,家庭環境等に関して多様な背景を持った学生の受入れに配慮するということになっておりますので,この提言の中でどこまで書くかは別にしても,今の芝井先生の御指摘も踏まえて,今後協議会で具体的にどういう記述にしていくかということは検討することになるかと思います。それでよろしいでしょうか。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは次は,末冨委員,お願いします。
【末冨委員】
 ありがとうございます。34ページの「受験からの入学に至るプロセスへの支援等」のところで一つ追加をお願いしたいと存じます。
 それは,入学金の学生納付の負担が困難な学生等に対して,募集要綱に明確に記述いただくよう記載いただいたんですけれども,そこの最後の部分に「一覧可能な形で,公表すべきである」という表現を加えていただきたいと思います。「一覧可能な形で」という表現は,本提言案の別のところにも用いられていますのと,「志願者の進路選択に生かす観点」を標榜するものである以上は,公表の仕方は極めて重要であると考えております。
 特に低所得層の場合には,本人や保護者を含めて,例えば今でしたらインターネットで大学の情報を得ることが普通になっているんですけれども,インターネットのアクセス環境もよくなかったり,あるいはなかなか適切に情報にたどり着くリテラシーが保護者の側にあまりこれまで保障されていなかったこともございますので,なるべく分かりやすい形で,特に厳しい環境の受験生に情報を届けていただくようにお願いをいたしたく,このような記載でいかがでしょうかという提案をさせていただきます。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,小林委員どうぞ。
【小林委員】
 今の末冨委員の御発言へ若干反論になるのかもしれないんですけども,34ページの1番目の丸ポツの「低所得者層の受験料の減免や資格・検定試験を活用する選抜区分における低い受験料の設定などの各大学の取組を推進する方策を検討するとともに」という部分がありまして,先に27ページの3ポツ目にも同じ表現がありまして,これに関して,受験料を減免するということは,大学の経営に直結する問題なので慎重にしていただきたいという私大協からの意見もありました。
 先に飛びますけど,43ページに「大学入学者選抜の改善に関わるインセンティブの付与」の3ポツ目の4行目に,「私立大学については,私学助成のうち,特色ある取組や大学改革を推進する支援スキームを活用し」という文言がありますので,この支援スキームの中に含まれるということであれば,問題ないのではないかという意見もありました。したがって,文章は変えなくてもいいんですけども,その支援スキームというところに含まれるという解釈を残しておいていただければと思っております。
 先ほどの末冨委員の御発言にもありましたけども,この支援スキームがしっかりしないうちに,公表まで踏み込むのは難しいのではないかというのが私の意見です。なぜならば,最近,大学生の権利意識がかなり強くなって,自分の学納金は自分のために使ってほしいという見解がかなり強くなっています。このたびコロナで,かなりオンライン授業になったのに関連して,施設設備は使っていないのだから施設設備費を返還してくれという,今,訴訟もある大学では起こって,クラスアクションの様相も呈し始めているという状況です。
 御存じのように,奨学金は経営者の立場からすると学納金が使えないんですね。自分が払った学納金を,ほかの学生のために使うなどということはできないので,奨学金は,3号基本金の運用とか,あるいは,お金をそのために使ってほしいという寄附を基にして,奨学金を運営しているのが実態であって,学納金には手をつけていないんですね。
 この低所得者層の受験料の免除とか減免というのも,そういう問題も内包しているので,それにどこからお金を捻出するかというのは実は結構頭が痛いところで,学納金を使わないで何とか捻出しなければいけないというところがありますので,一覧まではまだ早いかなという,一覧公表は少なくともその支援スキームがしっかりと整った後で,対応していただければというのが私の意見です。以上です。
【三島座長】
 末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 私も,私大の教員でございますので,今の小林先生の御意見は大変よく分かるところでございます。私学といえども,それぞれの建学の精神ですとか,それからターゲットにしている受験者層も様々でございますので,一覧にする際には確かにおっしゃったような支援スキームは必須と思います。ただし,先行して受験料の低減,あるいは多様なバックグラウンドを持ったような受験者の受入れについて,積極的な取組をしている大学こそ,国のお力を持ちまして,どんどんその名前を公表し,多くの優秀な受験生が,多様なバックグラウンドを持ちながら,大学に安心してアクセスできるような状況にしていただきたいと思っております。
【三島座長】
 ありがとうございます。
【小林委員】
 御議論はもっともだと思うんですけども,それを基にして,また訴訟が起こってしまうと困るので,何かいい方法があればと思っております。決して反対するわけではないんですけども,今,結構,微妙な問題が内包されていますので,よろしく御配慮ください。
【三島座長】
 ありがとうございました。ほかにいかがでございますか。よろしいでしょうか。それでは,次へ進みます。
 それでは第5章でございます。「ウイズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜」というところに入りたいと思いますので,御発言がございましたら挙手をお願いいたします。
 両角委員,どうぞ。
【両角委員】
 ありがとうございます。42ページ,43ページ辺りのところで少し幾つかあります。
 まず,この公表とかに関してのところで,43ページの方で,(3)のタイトルが,「大学入学選抜等の改善に係るインセンティブの付与」となっているんですけど,インセンティブの付与は少し違和感があり検討するのはいいけれども,まずは好事例を共有したらいいのではないかと,前回発言したかと思います。この部分は,大学入学者選抜等の改善に関わる好事例の共有とか,好事例の共有とインセンティブとかにしたらいかがでしょうか。いきなりインセンティブというのはひっかかり,いい取組が知られたり,そういうことを大学がやるということを推進するようなニュアンスがここのタイトルに入るといいのかと思って聞いていました。
 また,この上の丸ポツの2つ目で,「大学ポートレート等の既存の枠組みを利用して」というのも大事なことだと思っています。情報公開は,各大学はしていないかというと,どの大学でもしていて,ホームページにいろいろ書いてあるのですけれど,どこにあるんだかわからない,というところに問題があるかと思うので,大学にとっても負担なく更新できて,見る側にとっても共通の分かりやすいところにきちんと情報が出るというような枠組みを使うのがよいと思いました。そういうふうにしないと,なかなか情報を公表していくこと自体も手間になったりして,分かりやすい,いいものが継続的にできないのではないかと思いました。
 あと,その42ページの一番下のところで,今回の検討会議も,詳細な実態調査を行ったり,データに基づく丁寧な会議を行ってきて,今後ももちろんそのデータやエビデンスを重視した意思決定をするということは私も不可欠だと思っています。ただ毎回毎回,それぞれの会議体が立ち上がるたびに,その都度詳細な調査をするというやり方がいいのかというと,そうではないかと思います。もちろん必要ならすべきですけれど,むしろ,そういう政策的に課題になったことに対して,分析に耐え得るような,いい調査が,国としてなされていないということの方が,国際的に見ても,私は大きな問題だと思っていまして。
 例えば高校生がどのように進学し,学ぶのかといったパネル調査とかも,あちこちの省庁や,あちこちの研究者で行われたりしていますが,それぞれのサンプルサイズも小さかったり,重要な項目がこっちでは聞いてなかったりで,はっきり言って使い勝手が悪いものが,小さなお金であっちでもこっちでもなされているという状況だと感じています。そういう意味では,エビデンスベースでやっていくためには,それぞれの会議体でやるというよりはむしろ,文科省として,いろんな政策をしていく上で基礎的で,重要なデータを常にちゃんと取っているという,そういうことも大事なのかと,高等教育の研究者としては痛感しています。
 そこまで書く必要はあるかどうか分からないんですけれど,今の書き方だと,何かその都度会議体で調査をしろというふうにも読めてしまうので,そうではなく,いい意思決定をするためのデータエビデンスが大事だということが共有されたのであれば,そういうことがふだんからできるようになっていくということが,そういう体制をつくっていくということも今後の課題として大事だということが,少しニュアンスとして入るといいのかと思いました。
 あと,公表のところと関係して,ここで言っていいのかどうか分からないんですけど,今日最後の会議かもしれないので,言っておきます。例えば先ほど私大の入試で構造的な背景があるということは,私も意見表明などの機会で最初から強く主張してきたことで,だから私大が悪いわけでもないとも思うんですが,ただ,入試が複雑化し過ぎているようなところはあって,それがもっと分かりやすさを,とか情報公開を,といった声につながっている背景にもあると思います。
 入試が,どうもすると複雑になり過ぎる,種類も回数もいっぱいあるし,それが毎年毎年変わるといったところが,高校の先生から見ても,高校生から見ても分かりづらく,そういったところを変えていくような努力を大学に促すような,そういうニュアンスが,よく見たらどこにも書かれていなかったことが気になりました。こうしろと強制というよりは,そうなるといいですねというような方向性が少しどこかに入るといいのかと。入れるとしたら最後ではないかと思いました。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは岡委員,いかがでしょうか。
【岡委員】
 ありがとうございます。今日は最後になるようですので,少し意見を述べさせていただきます。
 先ほどインセンティブのお話がありましたけど,私も好事例の公表というのを先に入れるべきだと思っております。このインセンティブについて,いろんな方法があると思いますけども,各大学の取組を紹介するとともに,こういうことをやっていこうというエンカレッジをするようなシステムで,インセンティブは是非とも与えていただきたいというのが,私自身もそう考えておりますし,国大協としてもそう考えております。
 それから,本当に全体的によくまとめて,しかも踏み込んだ記載もございました。例えば1ページの3ポツ目のように,今後,「広く」を入れるかどうかということはあると思うのですが,「施策においても生かされることを」というようなことの記載があったというのは大変画期的ではないかと私は思っております。これだけ28回,皆様の意見を聞いたことで,国大協もいろいろ考えることがたくさんございました。私も大変参考になりました。これからも,この入試改革がよくなることを心から祈っております。以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,芝井委員の手が挙がっております。
【芝井委員】
 ありがとうございます。岡先生から提出資料を頂いているかと思いますけど,私はこれと全く同じ意見でして。43ページの3つ目のところにインセンティブの付与の話があって,国立大学はこう,私立大学はこう,公立大学はこう,と書いてあるんですけど,承服し難いところがあって。本来ならば国公私立という設置者の枠を超えて,大学における好事例の認定をされて,適切に活用しながらインセンティブを付与しようということを書いていただいたら十分だろうと思うんですね。
 具体的に,運営費交付金で手当てしますよとか,私立大学は私学助成の中から評価項目を見直しますよとか,公立はこうしますよと書く必要はないと思うんですけど,何でこういうことを書かれて,もうあしたにでも始まりそうになっているのかは不思議で仕方ないので。もう少し具体性を落としていただくか,あるいは国公私立の枠を超えて好事例をと書いていただくべきだと思いますが,いかがでしょうか。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは次,益戸座長代理,お願いいたします。
【益戸委員】
 益戸です。先ほど岡委員の御発言の中には出ませんでしたが,岡委員御提出の意見書を拝見いたしますと,今週,6月28日月曜日に取りまとめられた「第4期中期目標期間における国立大学運営費交付金の在り方について,審議まとめ」においても,このような具体的方向性は示されていないと記載されておりますが,これは若干事実に反するように思いますので,一言,意見を述べさせていただきます。
 私はこの第4期中期目標期間の検討会の委員を務めておりました。このまとめにおいては,教育面の取組などにより,高等学校段階以下の教育に影響を与えるという視点も重要であるとされており,高大接続の優れた取組もこの中で評価できるようにすることが大事だという提言だと理解をしております。
 また,このまとめでは,その教育面の取組による,高等学校以下の教育へ好影響を与えるという部分は,共通指標により相対評価を行って配分する部分ではなく,各国立大学のミッションの実現のために必要な部分として提言しております。すなわち,この部分は,ミッション実現に向けた新たな組織整備なども含めて,優れた先導的な取組を評価し,支援していくものと理解しております。
 これまでの検討会議で,大学へのインセンティブの必要性については,多くの委員の皆様から御意見が出されてまいりました。過度なインセンティブには問題があるかもしれませんが,積極的な取組を行う大学に適切な形でインセンティブを付与するということは,国立大学でも私立大学でも必要であり,提言案の記述を維持すべきと考えます。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは吉田委員,いかがでしょうか。
【吉田委員】
 ありがとうございます。私も,私が言うようなことではないのかもしれませんけれども,このインセンティブのお話が今出ていたので,基本に戻りたいのですけれども,5ページにもありますように,この高大接続改革というものが基にあって,今回のこの入試改革,つまり大学教育と高等学校教育をつなごうと。特にそれは,今,益戸委員のお話の中にもあったのかもしれませんが,財界等から学生の質が落ちた,大学からすれば高校生の質が落ちた,そういう中で教育を変えなければいけないという話の中で,大学入試制度を変える。それによって,まず高等学校以下の教育課程というものは,来年から全て変えられることになります。そして,そこに大学入試がどう変わるかということで,英語4技能,そして記述式という問題が入ったのも,今回の様々なページ,例えば16ページには,一番下のところに,大学においてその新入生の基礎的読解力や論述力がないというようなことで,記述式の必要性や,それから英語4技能の必要性というものが書かれたわけですけれども,そういう考え方からすれば,本来こんなインセンティブなどという話は出てくるべきはずはなかったのではないのかと。
 各大学が,本当に2次試験なり何なりで,そこを変えていこうという姿勢さえあれば,それは済んだことであって,本来,高大接続テストでやろうとしたけど,できなくなったんだから,これをやりましょうねという話が,私は今回のこの提言の目的だったのだと思っております。ですから,そこでそういうことが書かれたということは,逆にやらないという大学があることがおかしいのではないかという意味に受け取っていいのかというような気もしないでもありません。私1点,岡先生の意見書を見て,2行目の「例えば」以降を全部,記載削除してというようなことを言うと,何か国公私全部削除されてしまうような,何か意味が違うのではないかと。
 それで,もっとこれは話が変わって大変申し訳ないんですけど,大学の先生方は言いにくいことだと思うので,あえて私が言わせていただきますけども,ここでこういうことを言うのだったら,国立大学と私立大学の授業料の問題,先ほども入学時の奨学金の話とかもいろいろ出ていました。どうして,例えば入学検定料一つをとっても,私立大学の場合は,基本的にはセンターテストと両方を利用しても,3万5,000円ぐらいというのは国立と変わらないかもしれません。でも医歯薬系になれば6万,7万なんていう大学も出てきます。そしてさらには,大学での授業料とか入学金ということを考えた場合に,国立大学の医歯薬系を含める理工系と,文系とが全く授業料も同じであって,私立大学に行ったら違う。ここの運営費交付金と経常費助成に全く大きな開きがある。そういう大きな格差があることは私立大学にとって物すごくマイナスだと思っています。
 さらに,今回の入試のことも含めて,私立大学にとって負担が増える,それだったらそれに対して,お金を出して協力するよという姿勢が,国が取っていただけることは有り難いと思うのですけれど,その試験に協力しないからというので,そこには出せないよということに対しては,もう私は書かれてもやむを得ないのかなという思いがいたしましたので,あえて余計なことと思いましたが,発言させていただきました。ありがとうございました。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。私,前回ここのインセンティブのところに公立大学の記載がないので御考慮いただきたいということをお願いして,入れていただいたというのは大変有り難く思っております。
 それから,先ほどから議論がございますけれども,好事例に対して処遇を与えるというのはひとつ有り難いことだと思いますし,改革の呼び水にもなるのではないかと思っておりますけれども,先ほどの御議論で,3つの大学セクターがございますけれども,その財務体質等々いろいろ違いがあるわけでございまして,そこをこういう具合に書き分けていただいているというのは一つの方針かと思っております。
 できれば統一したスキームで,そういう支援がいただけるという,グッドプラクティスのようなことというのはあるのかもしれませんけども,御承知のようにグッドプラクティス,期限として5年ぐらいで途絶えてしまうというのが普通でございまして。入試改革,高大接続改革という,これから末永く,次世代の人材をつくっていくという取組,先ほどのお話もございましたけれども,大学の基本的なミッションにつきましては,こういう恒常的な評価,あるいは取り上げて好事例として紹介するというような仕組みをビルトインしたような大学評価が,今後も構築されるということを願っておりますし,最初に戻りますけども,インセンティブの付与というのも,そういうものを奨励する一つの仕掛けではないかと思っております。以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 先ほどから私から提出した書類で議論がありますので,もう一度申し上げますけども,国大協というか,国立大学としては,大学入試選抜に関する改善をするということには積極的に取り組んでいきたいと思っておりますし,インセンティブについても,それなりに必要だという意見を申し上げました。
 ただ,言いましたように,運営費交付金については議論されているということで存じ上げておりますけども,そもそも運営費交付金という性格上,その中で差をつけるよりは,別の形でインセンティブを,国公私立関係なくつけるというようなシステムがいいのではないかということでお話をしたわけでございます。
 その点について,私どもが改革に対して後ろ向きであるというような印象をもしも持たれましたら,全くそういうことはないということを明言いたしますので,益戸委員におかれましては,その辺は十分理解していただければと思います。
 そして,運営費交付金の在り方については,18日にまとめられたと聞いているのですが,まだ詳細については,私どもは存じ上げておりませんので,それについてもまた,それに沿って大学運営をしていきたいと思っておりますので,それについても申し上げておきます。以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 今の岡委員の御指摘のところは,高大接続に関するインセンティブの意見というより,国立大学の運営費交付金の仕組みそのものへの御意見が含まれているように思いますので,文部科学省の方でも受け止めていただければと思うところでございます。
 それでは芝井委員,どうぞ。お待たせしてすみません。
【芝井委員】
 私先ほど申し上げましたけど,国公私立の設置者別に物事を考えるのではなくて,柴田先生がおっしゃったように,グッドプラクティスとして選んでください,それを対案としてお願いしたつもりです。別にそれは,私立大学は高大接続改革に後ろ向きだという,そういうことはあり得ないです。だから,お金の出どころ,もしインセンティブが一定経済的な形での付与を想定されているのであれば,お金の出どころを3つ分けるというのはどういうことですかねということを申し上げた。それも明確にこういう形で特定されるのはどういうことでしょうという形で質問申し上げただけのことであって,私立大学が何か後ろ向きであるかのように言われるのは大変心苦しいです。おかしいと思っております。
 そもそも,その議論をすると,日本の大学の構造全体に関わることですから,私立大学は今の状況を大変いいことだと思っているなんて一切思っておりません。そういう議論をされるのは大変おかしいのではないかと思いますが,いかがですか。私立大学の団体は,ずっと国の助成が少ないことに対して,大変大きな声を出してきたつもりですけれども。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 繰り返しになりますけど,低所得者層の受験料の免除及び減免ですが,それが促進する方策を検討する,各大学の取組を促進する方策を検討するという文言が2か所出ているんですけども,それから,末冨委員が指摘したところも入れると3か所になるかもしれませんけども,それも好事例として,支援スキームの中に含まれるという理解をするということで,私大協での意見については,御納得いただいておりますので,この支援スキームという言葉だけは,いずれにしても残していただきたいと思っています。以上です。
【三島座長】
  ありがとうございます。
【川嶋委員】
 私学についても支援スキームの中に,今の小林委員が御指摘された内容が含まれていると考えていただいてよろしいのではないかと思います。
【小林委員】
 ありがとうございます。
【三島座長】
 よろしいですか。それでは末冨委員,よろしくお願いします。
【末冨委員】
 小林先生が御心配の低所得者層への受験料については,実は私も文科省,厚労省,内閣府とも調整してまいりましたけれども,実は高等教育の無償化と,それから高校の無償化の制度のはざまに落ちてしまっておりまして,いかなる迅速な政策変更も無理であるという見解を得ております。この点を,今日御参加いただいています学生・留学生課からもし補足があれば後ほどお願いしたいと存じます。
 であればこそ,より多くの受験生を,とりわけこのコロナ禍の,家計の低所得化が進んでいる中でどうにかしようと思うと,大学の方に助けをお願いするしかないという状況があるということをまず,是非御理解いただきたく存じます。何度も繰り返しますけれども,私も私大の教員でございますので,受験料収入の大切さというのは重々承知しております。
 その上で私自身は,多様な学生の受入れに関する取組をということをお願いしてまいりましたけれども,これまでの提言と申しますのは,私自身も教育財政の研究者でもありますし,名ばかりとはいえ,日本高等教育学会の会員でもございますので,国立大学,公立大学,それから私立大学を含めて,全ての大学,高等教育分野への政府投資自体の拡充の努力というものが当然の前提だと思って申し上げております。
 特に私学に対してのイコールフッティングのなさというのは,私自身も長年問題に感じておりますところですので,是非政府投資自体の拡充の努力というものを,改めて記載を御検討いただければと思います。
 ただし日本の場合には,今,先進国の中では,どちらかというと高等教育進学人口が相対的に少なくなっているんですね。それを考えますと,特に多様な受験生の受入れをしながら,更に教育の質の国際競争の中でも,我が国がより公正かつ質の高い大学教育を実現するということは必須の前提であろうかと思います。とりわけ優秀な,あるいは勉学の意欲にあふれた高等教育の進学者を,国内外のグローバルな受験生市場から確保するためにも高等教育分野への政府投資の拡充の努力は必要な措置であろうと思われます。
 併せまして,岡先生の意見書を拝見しまして,考えたことを申し上げておきますと,私自身はこれまで度々多様な学生の受入れに関する取組というものを,実質的な公平性の追求という観点から,なるべく多くの大学で取り組んでいただきたい事柄としてお願いをしてまいりました。それは総合的な英語力の評価ですとか,それから優れた記述式の問題の出題も同様です。
 ただ,国公私補助金というものが,そうした取組の推進にはフィットするかどうかという点については,疑問もございます。これまでの委員の御議論というのも多様なお立場がございましたが,私自身は,大学入試の改善というのは,もともと大学の不断の努力といいますか,マネジメントサイクルの中にもともと組み込まれておりまして,各大学の責任において当然実施すべき事柄だと考えております。そのような意味で,先ほどの吉田委員の御指摘というのは大変大事なものでございまして,大学関係者はみんなそれを受け止めて,それぞれの大学で,よりよい入試の在り方,よりよい出題の在り方を考えていくことが必要です。
 当然,大学ごとに制約条件はあります。私学の場合は受験生数や歩留まり率の問題など制約条件はとても多いですが,でもできることはしていきましょうということについては,改めてこの場で認識を共有させていただきたいと思います。
 であればこそ,新しく補助金を立てるというようなやり方とは違うやり方でのインセンティブをお考えになってはどうかと思っております。今の財務省の状況を見ておりましても,恐らく入試の改善にインセンティブを出しますよみたいなことになったとしても,恐らく少額の補助金を3年とか,その程度しかくれないのだと予測しております。そうなってしまうと,ごく少数の極めて例外的な大学だけが入試の改善をしましたと,多様な受験生に門戸を開きましたで終わってしまうと,そうなることを私自身は一番恐れております。
 今回,私たちが議論しておりますのは,大学入試システム全体を,これまで以上の多様な受験生に公平公正に開いて,入学後の教育と連動させて,よりよくしていこうということでありまして,ごく少数の取組で終わっては意味がないはずです。先ほども好事例の話が出ましたけれども,よりよい取組が大学間でどんどん広がっていくような取組を文部科学省の方にも,それから大学関係者の皆様にもお願いしたく存じます。私自身もできることがあれば,一兵卒として大学の現場で頑張りたいと思っております。
 そういった意味でも,小規模の,しかも時限つきの補助金を獲得するよりは,高等教育への政府投資全体の拡充の努力を前提として,国立大学運営費交付金や私学助成の改革支援スキームのように,基盤的な経費の中に反映させ,きちんと入試改善の在り方に取り込んでいく,位置づけていくということが大事であり,こうすると,ペナルティーのような色彩が生じないということが私自身は大事だと思っております。ペナルティーのような色彩が生じないように気をつけながら活用することが適当ではないかと思っております。
 私自身は10年以上前に国立大学を離れましたけれども,国立大学の運営の厳しさというのは身に染みて分かっております。予算財務関係の副室長まで若い時分にやっておりましたけれども,いかに評価が厳しく,それが交付金に跳ね返っていくかというプロセスを知っていればこそ,運営費交付金自体の拡充の努力というのを前提としながら,ただし,不断の努力として,入試をよりよいものにしていただきたいと改めてお願いを申し上げます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。今の末冨委員の御発言の冒頭で可能であれば文部科学省の見解をという点があったかと思いますが,何か御発言はございますか。留学生関連で何か。
【武藤高等教育局企画官】
 よろしいかと思います。
【三島座長】
 ここではよろしいですか。
【武藤高等教育局企画官】
 はい。
【三島座長】
 分かりました。
 斎木委員,どうぞお願いいたします。
【斎木委員】
 斎木でございます。どうもありがとうございます。インセンティブの付与に関する各委員の御指摘を注意深く伺いました。書面で頂きました岡委員の御提案については,我が国の財政状況が極めて厳しいということに加えて,そもそも約800の国公私立大学に,入試改革をしたということのみをもって,インセンティブの名の下に広く資金を供与するために補助金を新たに立てることは現実的ではないように思います。
 提言の原案にございますように,国立大学運営費交付金や私学助成といった既存の財政的支援の枠組みを適切に活用して,入学後の教育とも連動した積極的な取組を促進する,その際,大学の主体性を尊重し,取組を行わない大学へのペナルティーとならないように注意する,こういったやり方が妥当かつ現実的であると考えております。
 また,高大接続や入学後の教育など,教育面での取組に対しインセンティブを付与することは,論文数や産学連携などで評価される理工系の分野や研究型の大学に偏りがちな資源配分を,より幅広い分野や教育重視の大学にも広げることにつながるとも考えられます。そしてまた,国公立,私立を問わず,大学全体のためにもなることではないかと思います。
 以上を踏まえまして,提言の原案の内容に賛成するものでございます。以上です。ありがとうございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,ほかに,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 意見書の最後のページを申し上げ忘れておりましたので,忘れないうちに指摘させていただきます。私の意見書の2ページ目をお開きください。今のインセンティブの議論にも関わることですけれども,その他事項として,実質的な公平性の追求についての改めてその意義を申し述べさせていただきたいと思います。読み上げます。
 本検討会議が,大学入試選抜における公平性・公正性の概念を改めて整理し,「形式的公平性の確保のみならず,実質的公平性の追求が必要である」と明確に整理したことは,教育政策史に残る重要な意義を持つことであると考えます。
 折しも,第4期教育振興基本計画の策定に向けた議論がスタートする重要な時期となります。萩生田文部科学大臣や文部科学省幹部の皆様におかれましては,実質的な公平性の追求を含め,公正(equity)の概念をしっかりと定義し,教育政策全体で実現すべき政策理念として教育振興基本計画や中央教育審議会答申等の政策指針においても,それから個別の政策において確立していくことを強くお願いいたします。
 既に子供や受験生の集団の間の貧困や格差の問題は十分に深刻化しており,かつ多様なバッググラウンドを持った住民が日本の社会に多く住む時代になっておりますので,改めて実質的な公平性というものを,全ての教育政策分野にわたって実現をしていくということを考えていただきたいと思います。
 私自身も,月曜日の中央教育審議会教育課程部会で,この問題を提起させていただいておりまして,高等教育だけではなく,初等中等教育あるいは就学前教育や特別支援教育にまたがる大きな課題であろうと思っております。
 意見書の最後の一文ですが,このことは教育基本法第4条に定める「教育の機会均等」の理念の実質化を図り,関連の予算や施策を充実させていくためにも,極めて重要なマイルストーンになると考えております。以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは清水委員,どうぞ。
【清水委員】
 清水です。時間がない中,申し訳ありません。先ほどの多くの委員の先生方のお話を伺っていて,一言だけ申し上げたくなって挙手ボタンを押しました。
 この会議はもう28回ということですけれども,東アジアに独特の受験文化の中,今日,芝井委員が言われた構造的な仕組み,問題,あるいは柴田委員が言われた背景というものが顕在化し,昨年7月から9月に行われた実態調査で,設置者と選抜単位によって相当程度,入学者選抜の実態が違うということが顕在化しましたので,そういう意味で,今回,好事例を共有することで前向きに改革を進めようという姿勢が,ここにまとめられた文の基本だと考えます。
 私自身も国立大学におりますので,運営費交付金の問題等は非常に大きいのですけれども,まずは,例えばという形でブレークダウンされた設置者別の,すぐできる観点というか,そういうふうに整理されたものかと受け取りましたので,現在のこの提言の原案の基本的な方向でよろしいかと伺っておりました。以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございます。
 それでは,そろそろ意見も出尽くしたかと思いますが,これまでにしてよろしゅうございましょうか。小林委員どうぞ。
【小林委員】
 最後ですけども,今後いろんな協議は,大学入学者選抜協議会にバトンタッチされて,そこでいろんなことを詳しく検討していただくことになるのかと思うんですけども,そこで提案ですけど,一度で結構なので,大学入学の在り方に関する検討会議とその協議会の意見交換の場,あるいは申し送りの場といったら変ですけど,それを1回でもいいですから設けていただければと思います。
 今度の協議会には,岡先生,川嶋先生,柴田先生,島田先生は同じ委員として参加されていますけども,私立大学は1人も入っていないということもありまして,是非一度そういうディスカッション,意見交換の場を設けていただければと思いますので,これは私からの希望です。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。萩原委員,どうぞ。
【萩原委員】
 本日が最後の会になりそうなので,最後にということで,お礼を含めてお話をさせていただきます。
 川嶋座長代理にも,今回,高等学校側の意見等も踏まえて,取りまとめをしていただき,どうもありがとうございました。是非ともこの提言を踏まえた形でこの後の大学入試に関する実施要項等を作っていただけると有り難いかと思います。
 全国の高校生が前向きに大学入試に取り組めるよう,今回のこの提言案を是非とも生かしていただければと思っています。是非ともよろしくお願いをします。以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,本日の会議でも様々な御意見を頂きました。提言の基本的な内容については,御賛同いただけたということも確認できたかと思います。細かい文言等につきましては,座長,座長代理の3名で協議の上,皆様の意見やその趣旨を踏まえて,しっかりと修正させていただきます。最終的な取扱いにつきましては,私に御一任いただければと思いますが,よろしゅうございましょうか。
 それでは,文言を修正の上,近日中に提言を大臣に手交することとさせていただきます。
 芝井先生,どうぞ。
【芝井委員】
 全く異存はないですけれども,確認です。前回出ましたようにこれは概要をつけるという話だったと思うんですけども,そこについての確認と,それから恐らく提言には資料がついているかと思うんですけども,今でなくても結構ですが,どんな形になるのかという最後の形をどこかで教えていただきたいというのが一つでございます。
 当然今日の議論を踏まえた訂正の内容も含めてですけども,一応いろんな形で言わせていただいたことですので,個人としても責任があると思っていますので,よろしくお願いします。以上です。
【三島座長】
 了解いたしました。概要につきましては,前回申し上げましたように,これも私と座長代理の2名の先生方とで,この後,早速作成をさせていただきますし,今,御注文がございましたことにつきましても,事務局から連絡をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【芝井委員】
 ありがとうございます。よろしくお願いします。
【三島座長】
 それでは,よろしいでしょうか。私から少し最後に一言。
 それでは,私から一言御礼を申し上げたいと思います。28回にわたりまして,委員の皆様方にはそれぞれの各委員のお立場,それから御専門,それから御検討に基づいて,大学入試がどうあるべきかということで,本当に真摯に御意見を頂き,また,みんなでそれを繰返し推敲し,意見を交換し合いながら今日まで至ったと思ってございます。
 一方で,いろいろな議論を支えていただくのに事務局で,非常に膨大な国公私立大学で行われている入試に関するデータ収集,それからステークホルダーを含めたいろいろな方へのパブコメといいますか,一般の方々への意見の聴取,それから関連する,これも様々なステークホルダーの方からヒアリングを行ったというようなことを含めまして,大変な御努力があったこと,これがあってこその今回の28回の議論となったように思います。
 今日も最後の方で,大分そういうお話が出ましたけれども,さすがにこういうことを28回やると,最後には国公立と私立の構造の違い,背景とか,それから我々の国が持っている入試文化,これは本当に複雑であり,しかも大変な労力で長年続けてきたことでございますから,そういったものを中長期的に考えていって,日本の大学の入試システムをどんなふうにしていったらいいかということ,これは慌ててではなく,よく考えていくべきかということに思います。そういうところまでこのお話がここでできたことというのは非常に画期的であったかと思うところでございます。ということで,委員の皆様方に心から御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。本日は以上とさせていただきます。

―― 了 ――




  

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