大学入試のあり方に関する検討会議(第27回)議事録

1.日時

令和3年6月22日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 討議(提言(原案)について)

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、荒瀬委員、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

萩生田文部科学大臣、伯井高等教育局長、森田大臣官房審議官、西田大学振興課長 他

5.議事録


【三島座長】
 それでは,皆様,おはようございます。座長の三島でございます。本日もお忙しい中,御参画いただきまして,本当に心から御礼申し上げたいと思います。定刻となりましたので,ただいまから第27回大学入試のあり方に関する検討会議を開催させていただきます。
 今回も,新型コロナウイルスの感染拡大防止のためのウェブ会議方式での開催になってございます。音声などに不都合がございませんでしょうか。
 本日も傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開とし,後日議事録をホームページに掲載することにしたいと思いますが,よろしいでしょうか。それでは,どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに,事務局から何かございますでしょうか。
【武藤高等教育局企画官】
 本日の出欠状況でございます。欠席が斎木委員と牧田委員,それから,途中から吉田委員が場合によっては御出席できるかもしれないと。それから,途中から小林委員が御退席される可能性があるということでございます。
 前回までと同様に,聞き取りやすい御発言と,資料を参照される際の該当ページのお示しをお願いいたします。また,指名後のミュート解除と発言後のミュート戻しなどをお願いいたします。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,議事1,討議(提言(原案)について)でございます。第22回から第25回まで,これまで頂いた御意見に基づいてテーマごとの討議ペーパーを順次作成し,御意見を頂いてまいったところでございます。また,前回会議は,提言のドラフティングに先立って,各委員からこれまでの会議で言い足りなかったことや強調しておきたいことについて御意見を頂く機会を設けました。
 それらを踏まえて私と川嶋座長代理,益戸座長代理とで相談の上,取りまとめて提言の原案を作成いたしましたので,本日はこれを基に議論を深めたいと思います。ということで,まずは座長代理である川嶋先生から御説明を頂きます。それから次に,事務局から提言原案の記述に関わる基礎資料の追加分について説明を頂きたいと思います。
 それでは,まず川嶋座長代理から,原案の概要について,時間も限られていますので,特に各御意見を踏まえて記述した部分を中心に御説明を頂きたいと思います。それでは,川嶋先生,どうぞよろしくお願いいたします。
【川嶋委員】
 川嶋です。ただいま座長の方から御紹介がありましたように,これまで数回にわたって論点ごとに委員の方々からいろいろ御意見を伺いました。それらを踏まえまして,本日,最終的な原案の素案を御審議願いたいと思っております。
 まず表紙をめくっていただきますと,目次をこれまで議論いただいた項目ごとに整理しまして作成しております。
 今,座長の方からも御提言ございましたけれども,非常に時間が限られておりますので,要点要点だけを御説明させて,少し早口になるかもしれませんけれども,御容赦願いたいと思います。
 まず1ページ,本検討会議の設置の経緯と審議の経過ということです。最後の4つ目の黒丸のところに,今回この会議で調査したり議論したことが今後どのように実現しているかというようなことも含めて是非フォローアップをしていただきたいということで,今回新たに設置されました常設の会議体,大学入学者選抜協議会にその状況を御報告していただくとともに,この協議会において中長期的な課題についても継続的に審議をお願いしたいということを書いております。
 次,第1章,大学入学者選抜のあり方と改善の方向性。1ポツ,大学入学者選抜に求められる原則ということで,後段のところについては,新たに柴田委員,益戸委員等の御意見を踏まえまして,そもそも大学としての基本的な性格がございますので,その下で大学入学者を選抜することが重要であるということを加筆させていただいております。
 それから,3つの原則をこれまで御議論いただいておりますけれども,まず原則1,当該大学での学修・卒業に必要な能力・適性等の判定ということで,能力・適性だけではなくて,それ以外の意欲等も重要であるということで,「等」という文字を加筆させていただいております。
 それから,3つ目の黒丸のところですが,小林委員の御意見を踏まえまして,選抜という性格もあるけれども,多くの大学ではむしろ志願者と大学とのマッチングというのがこれからは重要になってくるという御意見を踏まえて加筆しております。
 原則2,受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保ということで,形式的公平性の確保でございます。3ページの最初の黒丸でございますけれども,芝井委員の御意見を踏まえまして,最後のところ,外部の機関や専門家の協力を得ることについては,入試における機密性・中立性等の観点から利益相反等の疑義を持たれないような仕組みを十分慎重に行う必要があるという部分を加筆しました。
 その次の黒丸については,末冨委員の御意見を反映いたしまして,入学に関する様々な情報については,受験者・合格者・入学者だけではなくて,属性別内訳を始め,入試に関する様々な情報が適切に公表されることが必要であるといたしました。
 次,実質的公平性の追求に関してですが,末冨委員,岡委員等からの御意見を踏まえまして,2行目の終わりのところ,多様な背景を持つ学生の受入れへの配慮など実質的公平性の追求である。それぞれの実情に応じてこうした考え方を加味し,積極的な取組を行うことが求められるというような形にさせていただきました。
 原則3,高等学校教育と大学教育を接続する教育の一環としての実施ということで,まず高大の円滑な接続ということです。3行目のところでございますが,萩原委員,末冨委員の御意見を踏まえまして,「高等学校教育を尊重する観点から」というような表現を入れたところでございます。
 次,入学志願者への教育上の配慮というところでございます。2つ目の黒丸のところで,萩原委員からの御意見を踏まえまして,最後のところ,「また,関係者の合意によって決められた入試日程は遵守されるべきである」という文言も入れており
ます。
 次のところですが,これまで経済的あるいは地域的な問題から格差をどうするかということを論点の1つとして議論いただきました。ということで,取りやめに至った背景について,今般の大学入学共通テストへの記述式問題の導入や大学入学英語成績提供システム導入が見送りに至った段階ということについては,最後の方の段落にございますように,3つの原則に反する課題が提起されているという点を具体的に加筆させていただきました。
 2ポツ,これまでの教訓を踏まえた大学入学者選抜の改善に係る意思決定のあり方。(1)は,議論の透明性,データやエビデンスの重視,多様な意見聴取といったことを加筆しました。
 5ページの最初の黒ポツに関しましては,萩原委員,柴田委員,末冨委員,清水委員等の御意見を踏まえまして,「国における大学入学者選抜に係る意思決定に当たっては,大学・高等学校関係者との協議を踏まえることを基本とし」という文言を加筆しております。4行目,「その際,国立・公立・私立といった設置形態の特性・相違点も含め,大学入学者選抜に関する詳細な実態調査や,様々な研究等の把握を行い,それらを踏まえること」という文言を入れております。
 (2)実現可能性の確認・工程の柔軟な見直しについてです。3つ目の黒丸の最後のところに,有識者ヒアリングにおける,南風原先生や中村先生の御意見,あるいは本会議の末冨委員の御意見を踏まえまして,最後の2行でございますが,「他の方策の適否を検討したり」の後に,「必要な場合は理念まで再度遡って検討したりするなど柔軟な姿勢で臨む必要がある」という修正を行っております。
 (3)高等学校教育から大学教育までの全体を視野に入れた検討の必要性という項目でございます。次のページ,6ページの最初の黒丸の3行目でございますが,従来,総合型選抜や学校推薦型選抜の現状については私立大学のみの記載としておりましたけれども,私立だけではなく国立・公立の現状についての数字も加筆しております。
 3ポツ,コロナ禍での大学入学者選抜をめぐる状況変化ということで,柴田委員の御意見を踏まえまして,冒頭に「これまでも大規模災害等の不測の事態が発生した場合の対応については課題とされてきたが」という文章を入れております。
 (1)大学入学共通テストの重要性の高まり。(2)面接試験等におけるオンライン化の進展ということで,2つ目の黒丸については,萩原・小林・岡委員等の御意見を踏まえまして,「入学志願者における利用環境の差異や技術的な不具合の発生時の対応等の配慮が不可欠ではあるものの」という文章とさせていただいております。7ページに行きまして,(3)緊急時に入試日程等を協議する仕組みの強化の必要性,(4)大学入学者選抜に活用される資格・検定試験の安定的実施の課題,(5)秋季入学等の入学時期弾力化への対応の必要性。
 4ポツ,入試システム全体に目配りした総合的な検討の重要性。(1)一般選抜と総合型選抜・学校推薦型選抜との役割分担。次,8ページに参りまして,(2)一般選抜における大学入学共通テストと個別試験との役割分担。以上が第1章でございます。
 次,9ページ,第2章,記述式問題の出題のあり方。ここは少し御丁寧に加筆の状況について御説明させていただきたいと思います。
 1ポツ,記述式問題の意義・必要性についてでございます。9ページの5つ目の黒丸でございます。志願者が多いんだという私学関係者からの御指摘もありましたので,5つ目の黒丸ですが,「したがって,記述式問題は,教科・科目や選抜区分の特性,各大学が求める能力等によって様々であるが,上述のような必要性に鑑みれば,各大学の入学者受入れの方針に基づき,試験実施上可能な範囲でできるだけ記述させる部分を取り入れ」というふうに修文しております。
 10ページへ行きまして,2ポツ,大学入学共通テストへの記述式問題の見送りの段階で指摘された課題でございます。(4)の大学への成績提供時期の遅れということについては,小林委員からの御指摘もございまして,成績提供が記述式導入によって1週間程度遅れてしまうことは避けられなかったため,これに伴い,特に私立大学においては全体の選抜日程が一段と厳しくなってしまう,選抜区分の実施上の支障が大きいという御指摘がございましたので,その部分を加筆いたしております。
 11ページに行きまして,(6)の最後のところは,島田委員からの御意見を踏まえまして,最後の文章のところ,2行ですが,「このような問題で限定的に記述力を測っても,十分な評価はできない,コストに見合わない等の指摘がなされた」というふうに加筆しております。
 3ポツ,記述式問題に関する出題の実態や大学の意見ということで,(1), 12ページに行きまして,国公私間の差が生じる背景ということで,ここは柴田委員あるいは芝井委員の意見を踏まえまして,まず1つ目の黒丸のところですが,2行目,「国公立大学の一般選抜においては,前期・中期・後期といった日程区分を設けて,それぞれに定員を割り振るとともに,同一日程内での併願を認めていない(いわゆる分離・分割方式)ことから」という文章としております。
 2つ目の黒丸については,「一方,私立大学の一般選抜においては,丸3,国公立大学志願者の中にも私立大学併願者が多いことに加えて,私立大学間での併願にも国公立大学間のような制限がないことから」という文章としております。
 続きまして,13ページ,4ポツ,記述式問題の推進の考え方でございます。(1)出題の実態及び大学関係者の認識ということで,ここでは,実施しました実態調査の結果を詳しく記述させていただいております。
 まず1つ目の黒丸ですが,「3.で詳述した選抜区分ごとの実態調査の結果でも,国公立大学においては,一般入試のほぼ全てのテストで記述式問題が出題されており」ということで,枝問ごとの出題状況について記載しております。5行目,「また,私立大学においては,一般入試の54.1%のテストで記述式問題が出題されているものの,全体の枝問数に占める記述式問題の割合は25.3%であり,その内訳は短答式・穴埋め式が多かった」といった形で現状を記述しております。
 それから,2つ目の黒ポツについては,大学の意見について詳細に記載しております。「大学に対するアンケート調査では,「大学入学共通テストで記述式を出題すべき」について,多くの学部(国公立90.4%,私立81.5%)が否定的な意見を持っており,一部に肯定的意見はあったものの,2.で指摘された諸課題の解消につながる現実的・効果的な提案は見られなかった。一方,「個別入試(一般選抜)で記述式を充実すべき」については,肯定的意見が国公立大学で77.9%,私立大学においても51.8%に上るなど,その重要性が広く大学関係者に認識されているものと考えられる。こうした状況を総合的に勘案すると,記述式問題の導入による自らの考えを論理的にまとめ表現する能力の評価の推進については次のように考えることが
適当である」。
 (2)大学入学共通テストにおける取扱い。1つ目の黒丸,「50万人以上が同一日・同一時刻に受験し,短期間で成績を各大学に提供しなければならない大学入学共通テストにおいて記述式問題を導入することについては,一定の意義はあるものの,2.で述べた課題の克服は容易ではなく,その実現は困難であると言わざるを得ない」。
 2つ目の黒丸,「このことを踏まえれば,大学入試センターにおいては,これまでの大学入試センター試験及び大学入学共通テストにおける思考力等を問う試験問題の作成で得られた知見もいかし,高等学校の学びと大学入学後の学修との接続の必要性を踏まえ,マーク式問題の中で,知識の理解の質を問う問題や思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視した出題を一層工夫していくことが適切であり,第1回大学入学共通テストに対する評価も踏まえ,不断の改善に努めていくことが期待される」。
 (3)各大学の個別試験の役割。「これまで述べたとおり,大学入学者選抜において記述式問題が果たす役割はその重要性を一層増しており,3.の実態調査においても多くの大学関係者が個別試験における記述式問題の充実が必要と考えている。各大学の多様性や自主性を尊重して一律の義務付けを行うことは適当ではないが,大学入学者選抜で「記述させる部分をできるだけ増やしていく」「思考力・判断力・表現力等の評価を充実させていく」という大きな方向性を共有することは極めて重要であり,その出題が推奨されるべきと考える」。
 次の黒丸,「具体的には,志願者数が少なく,歩留まり率も高く,既に相当程度の記述式問題が出題されている国公立大学においては,より高度な記述式問題を出題する方向で改善を図ることが期待される。他方で,志願者数が多く歩留まり率が低いなど,出題に当たっての課題,制約が大きい私立大学については,一部の選抜区分において出題することや,一般選抜のみならず,総合型選抜・学校推薦型選抜の活用も含め,効率的な採点・出題の工夫により出題増に努める方向で改善を図ることが期待される」。
 (4)総合型選抜・学校推薦型選抜の役割。総合型選抜・学校推薦型選抜については,その特性上,小論文や口頭試問,プレゼンテーション,模擬講義や実験を組み込んだ選抜等を含め,採点に時間がかかる丁寧な評価が可能であるが,実態調査の結果,そのような取組は必ずしも広く行われていない状況である。その一方,各大学へのアンケート調査においては「総合型,学校推薦型選抜を,より思考力・判断力・表現力を評価できるよう改善すべき」については,肯定的意見が全体で76.7%に上っており,大学自身がその改善の必要性を認識している。
 「こうした状況を勘案すると,総合型選抜・学校推薦型の選抜区分においては,国公私を問わず,共通の方向性として,小論文等の高度な記述式問題の出題を含め,思考力・判断力・表現力等を丁寧に評価する選抜を推進していくことが適当であると考えられる」。
 5ポツ,記述式問題の出題の推進策ということで,次の15ページまで飛びまして,5つ目の黒丸でございます。柴田委員,益戸委員,吉田委員,斎木委員,末冨委員等の御意見を踏まえまして,推進策でございますが,「また,国においては,各大学における記述式問題の出題を促進する方策を検討すべきである。特に,私立大学における記述式問題の出題の実態・課題を踏まえた促進策は重要である。具体的には,第5章で述べる定期的な選抜区分ごとの実態調査により,記述式問題の出題など,論理的思考力や論述力等を測る試験の実施状況等について把握し,改革の進捗状況や優れた事例を一覧可能な形で可視化することにより,各大学の取組を推進することなどが考えられる。さらに,そうした客観的なデータを基に,入学後の教育を含め他の大学の模範となる取組を行う大学をピアレビュー等による評価を踏まえて認定し,公表するとともに,認証評価や高等教育の修学支援新制度の機関要件に係る教育活動の情報公表,大学ポートレート等の既存の様々な枠組みにおいても,大学入学者選抜の改善状況や優れた取組を評価・公表する方策を講じることが有益と考えられる」。
 6ポツ,高等学校・大学における教育の充実。(1)は高等学校における教育の充実,(2)は高大連携プログラムの充実,(3)は大学入学者選抜と大学入学後の教育の一貫した取組の推進ということになっております。
 続きまして,18ページ,第3章,総合的な英語力の育成・評価のあり方ということです。これまでは「英語4技能」というような表現を使っておりましたが,渡部委員等の御意見も踏まえ,この提言の中では「総合的な英語力」というふうな表現にしております。
 1ポツ,総合的な英語力の育成・評価の意義。国際共通語としての英語。2つ目の黒丸でございます。芝井委員,益戸委員,斎木委員等の御意見を踏まえまして,「他方,総合的な英語力の育成・評価の推進に当たっては,文化の多様性を尊重することが重要であり,英語以外のいわゆる第二外国語の履修等が軽視されないような配慮が必要である。また,英語を日常的に使う環境になく,高等教育も基本的に日本語で提供されている我が国においては,前章で述べた日本語による思考力・判断力・表現力等が重要であり,それらは英語での発信能力を高める上でも不可欠であることを踏まえ,日本語と英語の両方を高めていく方向で考えるべきである。その際,全ての生徒・学生に必要な英語力の水準と,例えば国際的に活躍する人材の育成を特に重視する大学が求める英語力の水準とは同一に論じられないことにも留意する必要がある」。
 次の黒丸でございますが,先ほど申しましたように,4技能という表現ですと,ばらばらにというような印象を与えるのではないかという御意見が渡部委員,両角委員等からございましたので,「なお,「読む」,「書く」,「聞く」,「話す」の各技能は,それぞれ別々に育成されるものではなく,例えば「聞いた情報を整理して自分の考えを話す」「自分の考えを書くために必要な情報を読む」といった,技能統合的な言語活動を通して,総合的に育成・評価するべきものであり,その観点から,本提言では「総合的な英語力」という表現を使うこととする。」と,先ほど御説明したとおりでございます。
 次に,初等中等教育段階の取組,大学の教育研究における総合的な英語力の必要性,大学卒業後における総合的な英語力の必要性ということで,2つ目の黒丸については,渡部委員の御指摘がございまして,「他方,各国における受検者数や受検者層は公開されていないため,スコア差が各国における英語能力差をそのまま表しているとは必ずしも言えない点に留意は必要であるものの,主要な英語資格・検定試験のいずれにおいても,我が国の平均スコアは諸外国の中でも最下位クラスになっている。」という記述を加えております。
 英語資格・検定試験活用の意義。20ページへ参りまして,受験者の視点ということで,丸2のところ,最後の文章,吉田委員の御意見を踏まえまして,「入学後もより早い年次からの留学が可能となる。」という文章を加えております。
 2ポツ,「大学入試英語成績提供システム」の見送りの段階等で指摘された課題ということで,(1)地理的・経済的事情への対応が不十分であるとの指摘については,柴田委員からの御指摘を踏まえまして,もともとの案として,「令和2年度以降,共通テストの英語試験を実施しない」とするA案と,制度の大幅な変更による影響を考慮し,「令和5年度までは共通テストと認定試験のいずれか又は双方の選択利用を可能とする」というB案が示されて,後者が採用された経緯から,大学入学共通テストの「英語」試験が将来的に廃止されることも視野に入っているとの認識が広まっていたという文章を加えております。
 21ページへ参りまして,地理的・経済的配慮のところの,(5)の上の文章でございます。末冨委員からの御指摘を踏まえまして,「また,英語資格・検定試験の実施団体の一部が,同時に試験対策のための参考書等を販売していることについて,利益相反が生じるのではないかとの懸念があった。」という文章を加えております。
 22ページに行きまして,3ポツ,英語資格・検定試験の活用の実態や大学の意見ということでございます。
 23ページ下の方にございますが,4ポツ,総合的な英語力評価の推進の考え方,(1)総合的な英語力を大学入学者選抜で問う必要性ということで,24ページを御覧ください。最初の黒丸でございます。「1.で整理した通り,グローバル化が加速する中で,我が国の未来を担う若者に総合的な英語力を育成する必要性はますます高まっていると言えるが,大学入学者選抜における取扱いの方向性を検討する上では,丸1,高等学校教育改革の動向と大学入学者選抜が高等学校教育に与える影響,丸2,入学後の学修・卒業のための必要性,丸3,卒業後の必要性の3点を勘案する必要があると考えられる」。
 2つ目,「まず,高等学校までの教育課程においては,総合的な英語力の育成が目標とされ,授業を実際のコミュニケーションの場面とする観点から高等学校学習指導要領で「英語で授業を行う」と告示されてから10年以上が経過しているが,大学入学者選抜が「読む」ことの力や文法等の知識を問うことが多いため,大学入学者選抜が近づくほどに,「話す」「書く」を含めた総合的な英語力の育成よりも,「読む」ことの力や文法等の知識に関する学習に偏る傾向を生んでいたのではないかとの指摘が多く,「大学入学者選抜に求められる原則3」(高等学校教育と大学教育を接続する教育の一環としての実施)の観点からはこの現状を改善していく必要がある」。
 次,「また,大学入学後の教育における必要性(原則1:当該大学での学修・卒業に必要な能力・適性等の判定)については,国立大学協会のように入学後に4技能の教育を受ける上で一定のレベルが必要という意見もある一方で,全ての分野,全ての学生に対して同じレベルの総合的な英語力の育成が求められているわけではないとの指摘もある。他方で,大学卒業後の必要性に着目すれば,グローバル化が加速する中にあって,卒業生の就職先である企業や団体においては,バランスが取れた総合的な英語力が求められており,産・学のトップの議論の結果においても,文系・理系を問わず,大学で身に付けるべきリテラシーの一つとして「外国語コミュニケーション能力」が掲げられている」。
 「これらを勘案すると,「話す」「書く」も含めた総合的な英語力は,高等学校までの教育課程において重視され,卒業後の社会における必要性を踏まえて大学教育でもその伸長の必要性が合意されているため,総論としては,高等学校教育と大学教育を接続する大学入学者選抜においても,各大学の実情や入学者受入れの方針を踏まえ,実現可能な方法で適切に評価されることが望ましいと考えられる。こうした基本的な考え方の下,2.で述べた「大学入試英語成績提供システム」の見送りの段階等で指摘された諸課題,3.で述べた資格・検定試験の活用の実態や大学の意見を踏まえると,具体的には次のように考えることが適当である」。
 (2)大学入学共通テストにおける取扱い。大学入学共通テストの枠組みにおける資格・検定試験の活用の実現可能性。1つ目のところ,「大学入学共通テストの枠組みにおいて,英語成績提供システムを介して様々な英語資格・検定試験のスコアを一元的に活用する仕組みについては,試験によって会場数,受検料,実施回数や,障害のある受験者への配慮が異なるなど,2.で述べた課題を短期間で克服することは容易でないと考えられる。加えて,コロナ禍で資格・検定試験の中止や延期が生じ,外部の資格・検定試験に過度に依存する仕組みの課題も認識された。こうしたことから,大学入学共通テスト本体並みの公平性等が期待される中にあって,この方式の実現は困難であると言わざるを得ない」。
 25ページ,大学入学共通テストにおける4技能試験の開発可能性,大学入学共通テスト「英語」のあり方。1つ目,「実態調査や外部有識者からのヒアリング,本検討会議における各団体からの意見発表においても,大学入試センターが英語4技能試験を開発すべきとの意見があった。しかしながら,大学入学共通テストでのスピーキングテスト,ライティングテストについては,質の高い採点者の確保や正確な採点の担保等,記述式問題の採点と同様の問題や面接官・試験室の確保等の実施上の課題が生じるため,その実現は,技術の飛躍的進展がない限り困難であると言わざるを得ない」。
 「このように考えた場合,大学入学共通テスト「英語」の試験形態は,引き続き,マーク式問題及びICプレーヤーを使用していて実施する方式とし,出題形態としては「読む」「聞く」に関する能力を中心としつつも」,ここは斎木委員,末冨委員,萩原委員の御意見を踏まえまして,「「話す」「書く」も含めたコミュニケーション力を支える基盤となる知識等も評価するなど,高等学校までの教育で培った総合的な英語力を可能な限り評価する方向で不断の改善を図っていくことが望ましいと考えられる」。
 (3)各大学の個別試験の役割。「これまで述べた総合的な英語力評価の重要性を踏まえ,各大学の個別試験における取組を推進することが重要であるが,同一日に一斉に実施される個別学力検査において,バランスよく総合的な英語力を評価することには実施上の課題が大きく,多くの大学・学部にとっては,資格・検定試験の活用が現実的な選択肢となる。その際には,志願者がそれまで培ってきた英語力の成果を大学入学者選抜にもいかせるようにするという1.の述べた資格・検定試験のメリットが十分発揮されるよう,対象とする試験の種類やスコアの有効期間の取扱い,複数試験を対象とする場合の比較方法などについては,対象試験を国が決める,高校3年時の2回に限るというような一律の方法によるのではなく,各大学がそれぞれの入学者受入れの方針に基づいて適切に判断し,分かりやすい形で受験者に示すことが適当である」。最後のところは,萩原委員がこういう御指摘をされておりました。
 次,具体的な活用方法としては,例えば丸1,大学入学共通テスト又は個別試験で「英語」の出題を継続しつつ,資格・検定試験スコアでの代替等を認める選抜区分を設定する方法,2つ目,資格・検定試験スコアを必須とする選抜区分を設定する方法などが考えられるが,地理的・経済的事情への配慮の観点から,国際的に活躍する人材育成を行うなど,総合的な英語力を特に重視する入学者受入れ方針を持つ大学・学部以外の場合は,例えば同じ学部において,スコアを利用しない選抜区分(いわゆる非利用枠)を設ける,資格・検定試験と個別学力検査のいずれか成績の良い方を選択的に使えるようにする等の措置の設定が望まれる。また,感染症の拡大や自然災害等の影響により,資格・検定試験の実施が困難となるような事態も想定し,やむを得ない理由によりスコアの提出が困難な場合の代替措置等についてもあらかじめ検討しておくことが望まれる。
 次,「次に,実施体制が整う一部の大学や受験者数が少ない選抜区分においては,独自に総合的な英語力を測る試験を実施することも考えられる。既に海外の試験実施団体と試験を共同開発し,問題作成を大学が行い採点を委託するなどして一般選抜において「話すこと」の評価を実施している例も出てきている」。
 26ページ,「なお,「書くことを中心とした評価」においては,実態調査においても,全体の44.3%(国立95.5%,公立87.1%,私立39.2%)において何らかの評価が行われている。資格・検定試験を活用する場合以外でも,第2章で述べたように,国公立大学ではより高度な記述式問題を出題する,私立大学では効率的な採点や出題の工夫によって出題増に努めるという方向の中で,「書くこと」の出題を推進すべきである」。
 (4)総合型選抜・学校推薦型選抜の役割。「第1章4.(1)で整理した通り,総合型選抜・学校推薦型選抜は,時間をかけた丁寧な評価が可能であり,総合的な英語力の評価とも親和性がある。これらの選抜区分においては,資格・検定試験のスコアが既に設置主体を問わず広く活用されており,一層推進することが適当である。また,これに加えて,スピーキングやライティングのテストを実施することも考えられる。既に一部の大学では総合型選抜においてCBT形式でスピーキングテストを実施している例もあり,このような取組の普及も資格・検定試験の活用と併せて推進すべきである」。
 5ポツ,総合的な英語力評価の推進策。「英語資格・検定試験の活用による総合的な英語力の評価は,前章で述べた記述式問題のような大学の設置主体の別による入学者選抜実施上の条件や課題の違いは大きくないため,国公私を通じ,地理的・経済的事情に配慮した受験環境が作られるよう,大学への促進策や資格・検定試験団体の取組が助長されるような推進策を充実すること重要である」。
 (1)積極的な取組の促進策ということで,柴田・斎木・益戸・吉田・末冨委員等から御指摘がありまして,記述式同様の推進策をすべしということを書いております。
 (2)地理的・経済的事情への配慮。「英語資格・検定試験の活用を大学入学共通テストの枠組みで実施しないことにより,地理的・経済的事情への配慮の問題は相当程度解消されるが,個別試験において資格・検定試験の活用を推進する上では,例えば,検定料の減免やアクセスしやすい会場の設定等を含め,国は,関係機関・団体と連携・協力し,必要な措置を講ずることが求められる」。
 次,「英語資格・検定試験を大学入学者選抜で活用する場合,受験機会における実質的公平性(原則2)を最大限確保できるよう,国,大学,高等学校,資格・検定試験実施団体を始め関係者が連携・協力し,地理的・経済的な事情への配慮措置を可能な限り講ずることが必要である。例えば,資格・検定試験を大学入学者選抜に活用する場合,大学においては,地理的・経済的事情から当該試験を受検することの負担が大きい志願者のために,資格・検定試験を利用しない選抜区分を設ける,資格・検定試験と個別学力検査のいずれか成績の良い方を選択的に使えるようにする等の措置を講じることが望まれる」。
 次,「また,低所得層の受験料の減免や資格・検定試験を活用する選抜区分における低い受験料の設定などの各大学の取組を促進する方策を検討するとともに,関係者間の協議を行いつつ,資格・検定試験実施団体に対し,低所得層の検定料の減免,オンライン試験の導入の検討を要請したり,資格・検定試験実施団体,高等学校,教育委員会等に対し,資格・検定試験の高校会場の拡充への協力を求めたりすべきである。このことについては,第4章でも述べることとする」。
 (3)国のイニシアティブによる試験団体及び高大関係者による恒常的な協議体の設置。「以上のような配慮を充実させるためには,資格・検定試験実施団体を始め,多岐にわたる関係者が連携・協力する必要がある。このため,国のイニシアティブにより,資格・検定試験実施団体と高大関係者等による恒常的な協議体を設け,例えば,低所得層への検定料の減免,オンライン受検システムの整備や高校会場の拡充,障害のある受験者への合理的配慮の提供の推進,成績提供の利便性の向上,問題集の出版などを含む試験実施団体内部での利益相反等に関する問題への対応,各試験の質や水準等に関する第三者評価や調査研究の実施といったテーマについて議論することが有益であると考えられる」。これらについては,柴田委員,末冨委員,小林委員等からも御指摘を頂いております。
 次,成績提供のあり方。「「大学入試英語成績提供システム」については,本検討会議においても,受験者・大学双方にとって利便性の点でメリットがあったとの意見もあった。しかしながら,4.で検討したように,志願者がそれまでに培ってきた英語力の成果を大学入学者選抜でもいかせるようにする観点から,受検時期や回数を一律に取り扱わず,スコアの有効期間の扱い等を各大学の判断によるものとする場合には,受験前年にIDを付与し高校3年時のスコアに限定して提供するという一元的なシステムの活用は困難と考えられる」。
 「また,利便性の面でも,本システム構想時には紙ベースでの成績提供をしていた試験もあったが,本システムの導入等も一つの契機として,システムへの参加を予定していた全ての試験実施団体が成績のデジタル提供を導入しており,大学入試センターが成績を一元管理する必要性は薄くなっている。こうしたことから,国や大学入試センターによる成績提供の一元管理よりも,上述の通り,国のイニシアティブによる関係者間の協議体において,成績提供の利便性の一層の向上を含め,種々の課題について議論し,資格・検定試験実施団体の活動を助長していくことがより有効であると考えられる。」ということでございます。
 次,6ポツ,高校・大学における総合的な英語教育の充実。(1)高等学校における英語教育の充実,28ページを御覧ください。2つ目の黒丸,現在の大きな課題は,全体の取組状況に地域差や学校差が大きいことだということが指摘されておりましたので,この文章を付け加えました。
 それから,次の3つ目の黒丸でございます。最後の2行,3行,「各地域・学校のニーズを踏まえた上で,例えばICTを活用したリモートでの指導を推進するなど施策の充実を図る必要がある。」と,萩原委員や両角委員等の御指摘を踏まえて,こういう文章としております。
 次の黒丸でございます。2行目の終わり,「学校単位ではパフォーマンステストを実施するのみならず,資格・検定試験をも活用することで,どの学校のどの生徒も高等学校段階で総合的な英語力を把握・可視化できるように国,都道府県教育委員会等が促進策を講じるべきである。その際,学校単位でのパフォーマンステストについてはその実施回数や質のばらつきも指摘されており,国においてはその質を担保するための効果的な評価手法の開発の検討も含め,課題の解消のために効果的な方策を講じる必要がある。」と,岡委員等からの御指摘を踏まえております。
 (2)大学入学後の英語教育の充実。最後の4行,「また」以下です。「また,本検討会議においても,TOEFL・IELTSといった学術研究に必要な英語能力を測るテストで我が国の平均スコアが低い現状は,大学での英語教育がうまく機能していないことを示している可能性があるとの指摘があった」。これは渡部委員から従来から指摘されているところでございます。
 29ページの最初の黒丸でございます。清水委員の御指摘を踏まえまして,「1.で述べたように,実態調査においては,各大学の個別選抜においても」という形にさせていただいております。
 次の黒丸については,芝井委員からの御指摘を踏まえ,「このため,在学中のみならず卒業後の必要性(社会との接続)を加味した上で,総合的な英語力の向上を必要と判断する大学においては」という文章を入れております。
 次の黒丸でございますが,これも芝井委員や渡部委員の御指摘を踏まえまして,3行目終わりから,「好事例を普及させる必要がある。その際,英語を自由に操れる国際人を育成することと,同世代の50%を超える進学率となっている中で全ての大学生に育成すべき英語力は異なるなどの指摘も踏まえ,大学生全体の英語力を効果的に底上げするプログラム,国際機関や外交,国際ビジネス等の最前線で活躍できる高度な人材を育成する質の高い英語教育,専門教育と英語教育との融合を図ったプログラムなど,多様な取組を推進することが重要である」。
 次の黒丸でございます。清水委員,末冨委員等の御指摘を踏まえまして,2行目,「卒業認定・学位授与の方針や教育課程編成・実施の方針,入学者受入れの方針に関するガイドラインを見直すとともに,認証評価において,これらの評価を充実させることも検討すべきである。また,各大学においては,IR機能を発揮し,入学後の教育や卒業生の追跡調査を行い,総合的な英語力の育成の効果や選抜区分との関係等について継続的に検証し,その結果を踏まえた不断の改善を行うことも期待される」。
 次の最後の黒丸のところです。益戸委員,吉田委員,両角委員等の御意見を踏まえまして,「さらに,3つのポリシーに外国語能力を位置付ける大学が少ない原因の一つとして,卒業生の受皿である社会が必要とする外国語能力の水準が必ずしも十分に可視化されていないことも大きい,大学入学者選抜以上に学部卒業時に必要な英語力の水準を明示すべきとの指摘もある。国は産業界や大学等と協力して,初等中等教育の蓄積の上に立って大学在学中に身に付けておくべき英語力を各大学が検討するための材料として,例えば,業種別に就職時や異動・昇進時,海外赴任時に求められている英語力基準の実態やその将来的な期待値,企業での使用言語の状況やグローバル採用・異動の実態,総合的な英語力の不足に関する企業や官庁の課題認識,総合的な英語力を伸ばす過程で併せて伸長させることが望ましいと考えられる資質能力,大学院進学時や英語圏留学時に必要な英語力の基準などを総合的に調査し,産官学の関係者,初等中等教育の関係者を始め広く社会と共有するとともに,各企業等の採用活動の参考として望ましい英語力基準の設定を普及すること等により,各大学の卒業認定・学位授与の方針の改善や学生の主体的学修を促していくことも有益であると考えられる」。
 第4章,31ページ,大学入学者選抜をめぐる地理的・経済的事情,障害のある受験者への合理的配慮等への対応についてです。まず1ポツ,現状と施策の基本的な方向性ということで,2つ目の黒丸でございます。末冨委員,両角委員等の御指摘を踏まえまして,2行目以降,「中央教育審議会答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」では,「誰一人として取り残さない」というSDGsの考え方を踏まえ,全ての人が必要な教育を受け,能力を最大限に発揮する社会の構築を念頭に置き,高等教育を多様な人材が集まり新たな価値が創造される場にすることなどを提言している。キャンパスにおける多様性の確保は,困難な事情を抱えた者に配慮するというだけでなく,大学教育における議論や発想に多様性をもたらし,教育環境の質を高め,全ての学生にとっても意義が大きいことである。」という文章にしております。
 3つ目の黒丸については,これも末冨委員からの御指摘等を踏まえまして,「経済的困窮層の大学進学率上昇は」という文章を1文を加えております。また,4行目終わりですが,「「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約」に基づく,中等教育及び高等教育における無償教育の漸進的導入は,高等学校教育政策・高等教育政策,その間をつなぐ大学入試政策が踏まえるべき規範の一つである」という文章にしております。
 次,「進学率の地域格差については」という見出しを冒頭につけております。
 次,4つ目,「障害のある学生の高等教育機関在籍者数については」という説明を加えております。
 次,31ページから32ページ,最後のところで,「我が国の大学の在籍者に占める障害のある学生の比率は米・英と比べて低いとの指摘がある。」という御指摘も末冨委員からございました。
 それぞれ見出し,次は「進学率の男女格差については」という,分かりやすい形で表現しております。
 次も最後,同じように,「日本語指導が必要な生徒の大学等進学率は」と,後の文章につながる冒頭の文章にしております。
 2ポツ,大学入学者選抜の受験機会における地理的・経済的条件等への配慮。大学入学共通テストの高校会場の拡充可能性の継続的検討,その次が大学入学者選抜のオンライン化の推進。32ページの最後の黒丸でございますが,小林委員,萩原委員,牧田委員等の御指摘を踏まえまして,「また,大学や高等学校によってはオンライン面接等の実施に十分な回線が確保されていない場合が見られるとの指摘もある。大学や分野の特性によっては,対面での面接が欠かせないと判断される場合もあり得る。」というふうにしております。
 33ページ,特別選抜等の実施でございます。最初の黒丸の5行目真ん中辺りでございますが,芝井委員からの御指摘もあり,「難民を対象とした選抜区分の設定」という文章を加えております。
 最後,3つ目でございますが,「国においては,こうした取組の普及を図る観点から,大学・高等学校関係者との協議を経て,大学入学者選抜実施要項で留意事項を示したり,他の模範となる取組を促進する方策を講じたりするとともに,好事例を公表することが適当である」。
 それから,次,英語資格・検定試験の活用に係る配慮ということでございます。3章と重複しますので,先ほどの箇所を参照してください。
 それから,34ページ,受験から入学に至るプロセスへの支援等ということについては,末冨委員から様々な御意見が出ておりますので,次のようにさせていただいております。最初の黒丸,「入学時の学生納付金の負担が困難な学生等に対しては,納付時期の猶予,分納,免除及び減額等の柔軟な配慮を積極的に講じ,具体的な納付時期や配慮措置を募集要項等に明確に記述するよう,国から引き続き各大学に求めるとともに,各大学の取組の実態を定期的に把握すべきである。また,入学時に一時的にかさむ費用の支出が困難な学生等に対しては,入学時特別増額貸与奨学金や生活福祉資金貸付制度等の活用について丁寧な周知が必要である」。
 2つ目,「大学受験時等に必要となる費用の支出が困難な高校生のため,平成17年度以降に各都道府県に移管された高校奨学金事業や自治体独自の貸付制度等について丁寧な周知が必要である」。
 3つ目,「なお,従前から,高等学校教育では広く検定試験等が教育活動の一環として活用されてきたが,平成30年度からは,民間の試験等を活用して基礎学力の定着に向けたPDCAサイクルを構築することを促す「高校生のための学びの基礎診断」が国の制度として開始されたところであり,国はその活用や費用負担,公的補助の実態を調査する必要がある。また,各都道府県の高校奨学金事業や自治体独自の支援制度の貸与条件・貸与額等について実態を把握し,その結果を基に,優れた取組を紹介して他の自治体の積極的な取組を促すべきである」。
 最後でございますが,斎木委員の御意見もありまして,「日本語指導が必要な生徒やその保護者については,早期から進学意欲を高める取組が有効と考えられるが,進学に関する情報が効果的に伝わっていない可能性にも留意する必要がある。このため,国は,母語別の高等学校・大学進学率や外国にルーツを持つ学生の特別選抜等の実施状況について実態調査を行うとともに,自治体や関係各国の大使館等との連携も含め,課題の共有や進学率の向上に向けた取組を推進すべきである」。
 3ポツ,障害のある受験者への合理的配慮の充実ということで,最後の黒丸,「もとより,合理的配慮は」というところで,その後,最後のところに「令和3年5月の障害者差別解消法の改正により,私立大学についても合理的配慮の提供が義務化されたことを踏まえ,取組の一層の充実を図る必要がある。」という末冨委員からの御指摘を加えております。
 それから,35ページの最初の黒丸ですが,これは障害者配慮に関する専門家の先生方からの御意見や団体からの御意見を踏まえて,最初の黒丸については,各大学における,支援を担当する部署を設けて云々かんぬんで,4行目,「日本学生支援機構において,実態調査を行い取組状況を可視化するとともに,参考になる考え方や事例を示していくことが考えられる。その際,個別試験における記述式問題や英語のスピーキング,ライティングなどの実施に当たっての合理的配慮の提供の実態把握や事例提供にも特に留意が必要である。また,我が国の大学生に占める障害のある学生比率が米・英と比較して低いとの指摘があることから,国は,障害のある学生の受入れに関する海外の先進事例との比較等を踏まえつつ,こうした状況が生じている課題の解決に向けた施策の充実に努めるべきである」。
 最後の黒丸ですが,「英語資格・検定試験における合理的配慮の推進についても,前章で述べた国のイニシアティブによる資格・検定試験実施団体と高大関係者等による協議会の場において,診断書等の取扱い,合理的配慮に対する申出の取り扱い含め,必要な措置を協議することが考えられる。」としております。
 次,36ページ,第5章,ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜。1ポツ,令和6年度実施の大学入学者選抜に向けて,(1)第1回大学入学共通テストの実施の状況ということで,3つ目の黒丸ですが,「各科目の個別の問題については,大学入試センターに置く大学入学共通テスト問題評価・分析委員会を中心に,各科目の専門分野や教科教育の研究者,高等学校教員を始め各方面からの意見を聴きながら,更なる改善に向けて検討を行うべきである。本検討会議で出された意見についても,参考として活用することが期待される」。
 下の囲みの中は,第1回大学入学共通テストに対する委員の様々な意見をまとめております。
 37ページ,新型コロナウイルス感染症への対応。(2)大学入学共通テストの科目構成等の見直し(新教育課程への対応等),それから,38ページ,(3)入学後の教育に必要な入試科目の設定の推進。
 2ポツ,秋季入学等の学事暦・修学年限の多様化・柔軟化に対応した大学入学者選抜のあり方。下の最後の黒丸のところですが,「特に秋季入学については,これまでの先行事例が既にそうなっているように,4月入学者の一般選抜の延長線上で考えるのではなく,多様な価値観が集まり新たな価値を創造するキャンパスを実現する観点から,総合型選抜・学校推薦型選抜や社会人選抜,外国人留学生選抜など,学力検査を中心とする通常の一般選抜とは異なる多様な選抜基準・方法を中心に推進することが適当であると考えられる」。
 次の黒ポツですが,その際の大学入学共通テスト等の扱いについて,柴田委員,岡委員,両角委員等からの意見を踏まえまして,最後の3行でございますが,「秋季入学に対応した大学入学者選抜の具体的なあり方や留意点,定員のあり方,他の模範となる取組への促進策等について,今後,更に専門的に検討した上で,選抜実施要項上の取扱いを明確にすべきである」。
 3ポツ,総合型選抜・学校推薦型選抜の推進。(1)求める人材の特性に応じた総合型選抜・学校推薦型選抜の推進ということで,39ページから40ページにかけましては,柴田委員の御指摘を踏まえまして,「アドミッションオフィスの役割・機能を強化していくことも課題であり,その際には,大学入試センターがアドミッションオフィサーの育成支援に関する調査研究を実施したり,近年設立されてきているアドミッションオフィサーの専門職団体や大学が提供するアドミッションオフィサーの育成プログラムとの連携を図ったりすることも有益である」というふうにしております。
 (2)総合型選抜・学校推薦型選抜における学力の適切な把握。
4ポツ,大学入学者選抜におけるデジタル化の推進。コロナ禍を契機として,デジタル社会の形成が急がれる中,大学入学者選抜についても,技術の進展の状況に常に留意しながら,デジタル化を積極的に進めていくことが必要である。
 (1)電子出願の推進。1つ目の黒丸の最後の2行でございますが,電子出願の推進については,「大学・高等学校関係者とも協議しながら,できる限り早期の導入に向けて積極的に進めることが必要である。」というふうにしております。
 41ページ,(2)オンライン面接等の推進の2つ目の黒丸でございます。牧田委員,宍戸委員,小林委員等からの御意見を踏まえまして,「このたび行った実態調査の結果,オンライン面接等については,感染症対策のみならず,能力・適性の把握や教員の負担軽減の観点から一定の成果が報告されるとともに,導入の過渡期であることや回線速度等の技術的課題等から生じる様々な課題も指摘された。第4章で述べたように,大学や分野に特性によっては,対面での面接が欠かせないと判断される場合もあり得る。国においては,令和3年度の大学入学者選抜における面接等のオンライン化の実施状況や課題認識についての実態を踏まえ,障害のある受験者への合理的配慮も含めて,引き続き具体的な留意事項等を各大学に示すことによって,事前の計画や準備が十分行われるようにするなど,適切なオンライン面接等を推進していくべきある」。
 (3)CBT化の推進。
 42ページに行きまして,5ポツ,大学入学者選抜の改善に係る実施・検討体制。(1)各大学の入試情報の公表。この中では,3つ目の黒ポツとして,「国は,低所得世帯の学生,障害のある学生,外国にルーツを持つ学生を含む日本語指導が必要な学生など,多様な背景を持つ学生の受入れのためにどのような支援制度を提供しているかについて,各大学における情報提供を促すべきである。」という,末冨委員の御指摘を加筆しております。
 (2)国による選抜区分ごとの大学入学者選抜実態調査の定期的実施・公表・分析ということで,末冨委員,清水委員等の御指摘により,今般実施したような実態調査を毎年実施することが適当であるという文章としております。
 (3)大学入学者選抜等の改善に係るインセンティブの付与。これにつきましては,柴田委員,斎木委員,益戸委員,吉田委員,末冨委員等の御意見を踏まえまして,「これまで述べてきた記述式問題の出題や総合的な英語力の育成・評価,多様な背景を持つ学生の受入れ,入学後の教育との連動や文理融合等の観点からの出題科目の見直し,入学時期や修学年限の多様化への対応など,大学入学者選抜と大学教育の一体的な改革については,他大学の模範となる先導的な取組を推進する必要がある」。
 43ページですが,「このため,既に述べたように,上記(2)で把握した客観的なデータを踏まえたピアレビュー等に基づき好事例を認定し公表するとともに,認証評価や高等教育の修学支援新制度の機関要件に係る教育活動の情報公表,大学ポートレート等の既存の様々な枠組みにおいても,大学入学者選抜の改善状況や優れた取組を評価・公表する方策を講じることが有益と考えられる」。
 「さらに,上記の好事例の認定も適切に活用しつつ,インセンティブの付与を検討すべきである。例えば,国立大学については,第4期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方についての検討状況も踏まえ,国立大学法人運営費交付金の中で優れた取組も促進・評価することができるよう検討するべきである。また,私立大学については,私学助成のうち,特色ある取組や大学改革を推進する支援スキームを活用し,評価項目の見直し等により,他の模範となる優れた取組を促進することを検討すべきである」。
 (4)大学入試センターの事業・経営の改善。これについては,柴田委員,岡委員,末冨委員,斎木委員等からも御意見が出ております。大学入試センターについては,「40年余にわたって果たしてきた役割を考えてみても,極めて重要である。しかしながら,大学入試センターの自己収入は約9割が検定料収入であり,18歳人口の減少に伴い,その収入も減少していくことが見込まれている一方,今回のコロナ禍での入学者選抜においても,大学入学共通テストが果たすセーフティネットとしての役割の重要性が改めて認識されたところであり,これまで同様の高い質を保って安定的な運営を図っていくため,国,大学入試センター,関係者間で議論しつつ,大学入試センターの業務運営の見直し,必要な財源確保のための方策を講じることが必要である」。
 「また,大学入学者選抜の改革を適切に進めていくためには,政策立案に資する専門的な知見を生かすことが重要である」。最後のところでございますが,「また,大学入学者選抜に関わる研究や関連データ等について知見を収集することも有益であると考えられる」。
 (5)大学入学者選抜についての高等学校・大学等関係者間の恒常的な協議体の設置ということで,最後のページでございます。柴田委員,吉田委員,芝井委員,末冨委員等からも御指摘がございましたが,本検討会議で指摘のあった事項のうち,将来的な入試日程のあり方,それから,高校会場の拡充可能性,3,「高校生のための学びの基礎診断」の検証を踏まえつつ,いわゆる基礎学力テストの可能性といった検討すべき課題も多く,令和6年度実施の大学入学者選抜(令和7年度大学入学者選抜)までと時間を限った中で結論づけるのは適当でないことから,新たに設けた常設の協議体等の中で,継続的な検討を行うこととすべきある。
 最後,「また,本検討会議では,大学入学者選抜の改善に当たって,厳格な定員管理のあり方の見直しも必要ではないかとの指摘が出されたが,これについては,中央教育審議会大学分科会における質保証システム改革の審議において検討されることを期待したい」。
 ちょっと早口で時間もオーバーしましたが,これにて加筆等の部分を中心に説明させていただきました。
【三島座長】
 川嶋先生,本当にありがとうございました。四十数ページにわたるもの,各頂いた委員からの追加したところ,修正したところも御指摘いただきながら御説明いただきました。どうもありがとうございました。
 それでは,この後議論に入りたいと思いますが,事務局から少し,データの追加がございますので,ちょっと御説明いただいた後,議論したいと思います。
【武藤高等教育局企画官】
 事務局でございます。すみません,駆け足になりますが,概要だけ御説明します。
 まず参考資料2-2の基礎資料集第2分冊の15ページ,16ページ,17ページ辺りをお開きいただければと思います。教育再生実行会議第十二次提言の概要をここで御紹介しております。特に17ページのところに入試関係部分の抜粋がございますが,後半のところでボックスがございます。そのボックスの中の2つ目の丸のところに少しアンダーラインを引いておりますけれども,「国においては,新たな大学入学者選抜の在り方を明確に示すことにより,各大学において,春秋の入学時期を問わず,選抜区分の特性に応じたより多面的・総合的な選抜方法への転換を促進していくことが望まれる。」と,こういった9月入学等に係る記載も入ってございます。
 それから,同じ資料,2-2の42ページを御覧ください。先ほど川嶋先生の御説明の中にもあった資格試験のオンライン化に関わりまして,現在,自宅受検が可能な資格・検定試験がどの程度あるのかということを整理したものでございます。例えば上から2つ目のTOEFL iBT,これはHome Editionというのがコロナ禍でできまして,自宅で受検したものも公式スコアとして扱われるという取組が始まっています。一方,その下の下ですけれど,IELTSについては,コロナ禍で一旦自宅受検可能になったのですが,感染症の拡大がある程度見通しが立ってきた中でテスト会場がまた再開されたことを受けて,こちらは終了されているというような状況もございます。また,下から3つ目辺りですけれども,例えばGTEC CBT,TEAP CBTあるいは英検CBT等,これらは検討予定だったり,検討中であったり,あるいは導入予定というような状況も生じているということを御参考までに御紹介いたします。
 また,その次,参考資料2-4,第4分冊でございます。これの14ページを御覧ください。「高等学校~大学入試~大学入学・卒業の人の動き」という資料でございます。これは一番下から見ていくと,18歳人口から始まって,高校卒業者がそのうちどれだけいて,そのうち現役の志願者がどれだけいてというような人の流れを整理しております。
 中ほどのオレンジ,黄色,緑のところですけれども,全体の入学者の中で,一般入試を経て入る人,AO入試を経て入る人,推薦入試を経て入る人がそれぞれこういうパーセンテージになっているということとか,あるいは,少し時点は異なるんですけれども,最後の大学を出るときに,進学が10%,就職が79%,その他が10%という全体の人の流れを整理してございます。社会との接続が重要とか,それを受けてDP,CP,APを見直そうという御議論がこの検討会議の中でもございますので,整理してみたものでございます。
 それから,26ページで大学アドミッション専門職協会とか,27ページでアドミッション・オフィサーの育成のための履修証明プログラムといった取組の資料を御用意しております。
 それから,この資料で最後になりますが,116ページに大学ポートレートに関する基本的な情報を掲載してございます。
 駆け足で恐縮ですが,次に,第5分冊,参考資料2-5を御覧いただければと思います。まず24ページに,末冨先生からの御指摘も踏まえつつ,社会権規約の関係の条文を載せております。
 また,25ページで学生納付金に関する記載が先ほど原案の中にもございましたけれども,例えば一番下の令和4年度の入学者選抜実施要項においても,学生納付金は額の抑制に努める,独自の減免,分割納入等の措置を積極的に講じるように努めるということが,関係機関・団体の合意によってこのように記載されているということでございます。
 それから,少し飛ばしまして,36ページで,大学入学までにかかる費用という,全国学生生協の関係の調査を掲載しております。
あわせて,38ページでございますけれども,公立学校に在籍する外国人の子供たちの数と,そのうち日本語指導が必要な子供の数の推移ということで,左側に全学校種,右側にうち高校生ということになっていますが,1つの紙で整理をしてみたものでございます。
 それから,40ページ以降でございますけれども,多様な背景を持った学生に対する特別選抜等の実施の例ということで,もともと実態調査の中で自由記述でいろいろな状況を御報告いただいたものは整理しておりましたけれども,末冨先生から,この際,各大学に許可を取ってきちんと整理しておいた方がいいんじゃないかという御指摘があったことを受けて,時間の関係ではしょりますけれども,40ページから47ページにかけて具体例をそれぞれ整理してみたものでございます。
 それから最後に,62ページ以降を御覧いただければと思います。女性の比率について,入学志願者に占める女性の割合が62ページ,それから,入学者,実際入った方々に占める女性の割合が63ページであります。63ページを見ていただくと,例えば国立大学で行きますが,女性比率10%未満から上は95%以上まで5%刻みで幾つの大学が該当するかを可視化してみたもので,国公私それぞれございます。当然95%以上というのは女子大になるわけですけれども,それも含めて可視化をしてみたものでございます。
 そういう状況について,学科系統分類をしたものが65ページにございます。左側の人文科学から芸術やその他まで含めて同じように5%刻みで見た場合に,赤で囲ってあるところが最頻値ということでございます。また,特に目を引くのが,工学,理学,社会科学,この辺りが非常に女性の割合が低くなっているということが見てとれます。一方,95%以上みたいなところは,これはほとんど女子大あるいは女子大からその後共学になったところとか,そういったところでございます。
 駆け足ですが,以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,討議に移りたいと思います。時間が一応,もう60分を切っておりますので,5章ございますので,10分ずつというぐらいの目安で進めて,早く終わったら次へ送っていくというふうな形にしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 そして,なるべく多くの委員の意見を頂きたいということで,また,委員の間でのやり取りもあればと思いますから,発言は基本的に1回3分程度でまとめていただきたいというお願いと,それから,資料を今日提出いただいている委員におかれても,御意見は各章のどこで自分の意見を述べるかお考えいただいて,そこでやはり端的に3分程度で要点をおっしゃっていただければと思います。
 なお,この会場は若干時間が延びても可能ではございますけれども,できるだけ時間内とは思いますが,その辺,成り行きを見ながらやっていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,まず第1章の入学者選抜のあり方と改善の方向性というところで御意見がございましたら,挙手ボタンを押していただければと思いますが,いかがでしょうか。それでは,萩原委員,どうぞ。
【萩原委員】
 萩原です。私からは,8ページの(2),2ポツ目の「その際,入学後に必要な能力・適性等の測定に必要な場合は,自前主義に過度にこだわらず,資格・検定試験等の活用も検討していくことが適当である。」という部分ですが,一般選抜で考えると,自前主義だけというわけではないかとは思いますけれども,資格・検定試験等にウエートを置いていくというのは,高等学校教育そのものを考えていくと,資格とか何かを目指して勉強していくということは必要なことだと思いますが,高等学校での学びを評価するのは資格・検定試験が全てというわけではありませんので,やはり従来型の試験等の活用の方にウエートを置いていただきたい。また,ここでこういう言い方をしているので,以後の章においても,資格・検定試験等を活用というウエートがかなり高くなっているのではないかと思います。
 私からは以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは続いて,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。川嶋先生には,膨大な資料をまとめていただきまして,適切にまとめていただきまして,ありがとうございました。感謝申し上げます。
 3ページの2番目のポツの「こうした観点から」の中で,その中に「属性別内訳」というのがあるんですが,属性別内訳というのはこれは何になるのか。入試に必要な情報以外は入学者に求めないということが今までの方針でございますので,属性別内訳というよりは,受験者・合格者数・入学者数,入試に必要な様々な情報とした方がいいんではないかというのが国大協の意見でございます。
 それから,6ページの3の(2)面接等におけるオンライン化の進展の1ポツの一番最後に,「実際に面接等をオンラインで実施する大学も相当数あった」。相当数というのは,たくさん,かなりの数という言葉ですので,実際は一般入試で2.9%程度,それから,総合選抜等では20%弱ということですので,相当数という言葉を書くのは適当ではないと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。すばらしいまとめだと思います。いろいろ意見も申し上げましたけれども,ほとんど入れていただいたと感じております。
 5ページなんですけれども,一例だけちょっと申し上げますので,またワーディングのことで申し訳ありませんが,5ページの3行目のところに「比較考量」という言葉があるんですが,最近こういう漢字を使うようになったんですが,御承知のように,コウリョウのコウは「考」ではなくて均衡の「衡」という字ではかるという意味ですね。比べる,較べる,衡る,量るというのが比較衡量という言葉の意味ですので,「考」にしない方がいいと思いますというのが。そんなことなんです。
 あるいは,その2行後ですが,「大学入学者選抜に関する詳細な実態調査や」の後,「様々な研究等の把握を行い」というのがあるんですが,「様々な研究等の把握を行い」って何のことなの? という形になりますよね。ですから,大学入学者選抜に関するということでしょうけれども,各種の研究等を把握してということかと思うんですが,そんなふう,いわゆるワーディングのことがすごく気になりまして,幾つか,後でリストを出すことを考えています。
 以上です。ありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございます。ほかいかがでございましょうか。末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 まず,提言原案のお取りまとめありがとうございました。私もこれまでの議論を非常に丁寧に整理していただいたなと考えております。
 この際,改めて,本会議の出発点に立ち返ってお願いしたいことがございます。第1章の1の3ページです。3ページの最初の黒ポツですけれども,機密性・中立性や利益相反の観点から疑義を持たれないような仕組みを十分慎重に構築して行ってはどうかというような記述もございましたが,できればこのセクションのどこかに,受験生が安心して受験できる,よりよい制度の在り方について言及いただきたいと思っております。この会議の出発点自体は,受験生が安心して受験できない技術的な問題とか,あるいは今回盛り込んでいただきましたが,特に受験機会の不平等に起因する実質的な公平性の欠如といったところにもございました。受験生の不安をバックグラウンドとした会議体であるということを考えますと,安心して受験できる仕組みに向けての提言であるということを原点に立ち返って明記すべきだろうと思われます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 小林でございます。マッチングの観点を基本原則の中に入れていただきまして,誠にありがとうございます。
 ほかのところで言いようがないので,ここでは別の話なんですけれども,提言,非常に長くて非常に細かくまとめていただいているんですけれども,できましたらこの内容の概要,抄録でもいいんですけれども,概要を併せて作成していただければと思います。
 私はいろいろな諮問会議の答申を見てみると,非常によくまとまっていて,ニュアンスとか両論併記とか微妙な表現がいろいろあるんですけれども,事務局を信頼しないわけではないんですけれども,それをまとめた概要というのが,ポンチ絵みたいなのがA4判で1本出てくるんですけれども,その内容が結構,いろいろなニュアンスを全部切り捨ててしまってかなり断定的な答申概要になっていることが見られて,ちょっと驚いてしまうこともあったんですけれども,そういう概要も併せてここで提案していただいた方が安心してこの会議の内容を,提言内容を見ていけると思いますので,併せてお願いいたしたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。確かにこの四十数ページのものに対する概要というのは必要だろうと思っております。ただ,最終まとめまでの時間があまりないので,提言案がまとまったところで私と副座長お二人で相談して概要を作ろうかと思っておりますので,そういう形を取らせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは次,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 川嶋先生,非常に立派なまとめを出していただきまして,ありがとうございました。この第1章については,文言と,それから,総括的なところを簡単に発言させていただきます。
 3ページの上の丸ポツ,「具体的には」というところ,「全体として公平・公正な手続に基づく合否判定が行われることが重要である。」と記載されてあるんですけれども,これは必須であるという具合に考えるべきではないかと思いますので,御検討ください。
 それからもう一点は,ちょっと漠然とした話なんですけれども,6ページ目の丸ポツがございますが,その3つ目の丸ポツの段落というのが,言っていることは何となく感じるんですけれども,どうも今までの精緻な議論からすると漠然とし過ぎているのではないかと感じております。特に,「議論が不十分にならないように」とかですね。だから,これ,本当にもうちょっと締まったまとめの方がいいんじゃないかなという具合に感じました。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,大体10分たちましたので,一旦ここで第1章のところは終わらせていただきたいと思いますが,今,大臣が御到着になりましたので,一言御挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。
                          (萩生田文部科学大臣 着席)
【萩生田文部科学大臣】
 皆さん,おはようございます。本日もお忙しい中,「大学入試のあり方に関する検討会議」に御出席いただき,ありがとうございます。精力的な御検討を続けていただいていることに改めて感謝を申し上げたいと思います。
 第22回会議より,テーマごとに,これまでの意見を踏まえた討議ペーパーを川嶋座長代理より御提示いただいて,更に議論を深めていただいてまいりました。本日は,その際の討議を踏まえた提言の原案を,座長,座長代理の御尽力によりお示しを頂いておりますので,最終的な取りまとめに向けた御議論をいただければ幸いです。
 本日も活発な御議論を期待しておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,第2章の記述式問題の出題のあり方に入りたいと思います。御意見がございましたら,どうぞ。まず,では,島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 島田です。よろしくお願いいたします。9ページ,1の冒頭です。これも表現レベルのことになります。最初の黒丸ですけれども,冒頭に括弧つきで2つの能力が挙げられていて,それが大学入学後必要になる場合が多いことや,高校教育でも育成が重視されることが述べられていますが,この部分,学校教育関連の文書ともう少し平仄がそろうとよいのではないかと思います。
 具体的には,思考・判断と表現が分断されているというところも少し気になるんですけれども,最も気になるのは「創造的に表現したりする能力」という記述です。高校教育関連の文書では,創造的という言葉は,創造的に思考するという文脈でしばしば現れます。そこで,「創造的に」は思考・判断の能力の方に移して,例えば論理的・創造的に思考・判断する能力や,その過程や結果を的確に,更に効果的に表現する能力のようにしてはどうかと思います。そうしても,大学入学後に求められる力の説明として齟齬しないばかりか,より適切だと思われます。創造的に表現するというと,どうしても創作的な文章表現を想起させますが,ここで述べたいのは論理的な内容を説得力高くまとめた文章のはずです。創造的に表現するという言葉遣いには少し違和感があるので,御検討をお願いいたしたいと思います。
 以上です。
【三島座長】  
 島田委員,どうもありがとうございました。それでは次,渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】
 ありがとうございます。9ページを御覧ください。4番目の項目です。記述式の形態について多様であるという説明がありますが,これに加えて,使用目的も多様であるということを記載する必要があるのではないかと思います。例えば最終判断に,意思決定においてどの程度使うのか,適性を確認するためだけに使うのか,いろいろな使用目的がありますので,加筆を御検討いただけると幸いです。
 また,次の「したがって」から始まる項目ですが,3行目に「試験実施上可能な範囲でできるだけ」とありますが,論旨が充分明確でないように思われます。その他にも,何カ所か文言の修正が必要と思われる箇所があります。後ほどまとめてお送りしたいと考えておりますが,いつまでにお送りすれば受け入れていただけるか後ほどお教えいただければ助かります。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 何かございますか。よろしいですか,川嶋委員。
【川嶋委員】
 まとめて後で。
【三島座長】
 では,川嶋委員から後でまとめてということでございます。
 それでは次に,小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 何章かにわたってあるもので,ちょうど2章から始まるので,まとめてお話しさせていただきます。
 2つありまして,1つはインセンティブの話です。第2章の15ページに記述式問題の出題の推進策,それから,第3章の5番目,26ページに英語力に関する推進策,第5章の5で大学入学者選抜等の改善に関わるインセンティブ,こういったことでいろいろ書かれているんですけれども,内容的には,認証評価や高等教育の修学支援新制度の機関要件に関わる教育活動の情報公開。これは特に高等教育の修学支援新制度の中に,情報公開という項目があって,それを使っているんだということは非常に理解できるんですけれども,一番危惧されるのは,機関要件の中に紐づけされてしまうように解釈されると一番困ります。情報公開ということはもちろん構いませんけれども,もし三島座長たちが概要等を(含めて)まとめる際に,そういう間違えた表現,解釈にならないように,つまり,修学支援制度に記述式とか英語力の評価の推進策が紐づけされることが絶対ないように是非注意して表現していただければと思います。
 2点目は,利益相反の話です。2章目の11ページの4行目で,グループ企業間での利益相反,それから,英語資格・検定試験でもやはり21ページの下から3行目で英語資格・検定試験の実施団体が参考書等を販売していることについて,それの対応策として,27ページ目の(3)の1に,恒常的な協議会の設置の中で利益相反のチェックを委ねる,問題の出版などを含む試験実施団体内部での利益相反等に関する問題への対応という記載がされていますが,協議会の中には試験団体も資格団体も含まれているので,なかなか利益相反チェックをすることは難しいのではないかというふうに私は考えます。その辺はたしか議論もなかったと思うんですね。
 それで,査察機関が望まれるという話はしたんですけれども,吉田委員の本日の提出資料の中には,それに対しては否定的な見解も出されていますけれども,利益相反に関してはやはりどこかで査察はしなきゃいけない。機関が必要とは,私は英国のOfqualはとてもいい仕組みだとは思いますけれども,そこまでする必要があるとまで踏み込んでは主張しているわけではなくて,査察機関は文科省でももちろんあってよろしいわけなので,そういうことを検討していただければと思います。
 利益相反自体が悪いわけじゃないんです。利益相反があっても,それをしっかりマネジメントできていればいいという見解に今はだんだんなってきていると思いますので,その利益相反マネジメント体制がしっかりしているかどうかを定期的に査察するという仕組みは是非とも必要だと思っています。
 ちょっと長くなりますけれども,益戸委員がたしかバークレイズにも所属していたと思うんですけれども,ああいう銀行業務と証券業務があるところは,きっちりと利益相反マネジメントがされているかということを金融庁は定期的にチェックをして,チャイニーズウオールと一般に言われていますけれども,それがしっかりと構築されているかということを見ているわけなんですね。ですから,そういう仕組みをやはり文科省も持つべきではないかと私は思っています。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。15ページの4ポツのところの過去問のことです。ここで下の4行ですけれども,「過去問の活用についてはいまだ抵抗感が強いとの指摘もある。これらを払拭するためにも,国は,大学,高等学校関係者等との協議等の場において,過去問の利用について相互の理解を深める機会を設けることも考えられる。」と,ありますが,これは反対するわけではなくて,抵抗感が強いのは,むしろ受験生とか,それから,保護者を含めた社会の理解が極めて重要だと言えると思います。こういうところを,過去問の利用の意義や目的について社会的にも発信していく必要があるのではないかというような感じを受けましたので,意見を述べさせていただきました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,清水委員,どうぞ。
【清水委員】
 この資料の掲載の仕方について1点申し上げます。9ページの一番下の黒ポツに,日本数学会の調査の結果のことが書かれていますが,これは新井紀子先生から御紹介いただいたものだと思いますが,実際の調査は2011年に行われたものです。資料の記載の仕方は,今回事務局で用意いただいた貴重な基礎資料が大分整理されていますので,それに言及する形ですけれども,項目によっては,参照されるべき文献なり原典なりが記載された方が分かりやすい部分もあるのかなと思いましたので,ちょっと御検討いただければと思いました。
 細かくはもちろん資料を見ればいいんですけれども,ぱっと見たときに,いつ頃のものかとか,どういう性格の文書が根拠になっているかとか,その辺ちょっと御検討いただければと思いました。この章に限らないことかもしれませんけれども。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。12ページの国公私間の差が生じる背景の2つ目の丸ポツの文言なんですけれども,ここに「私立大学の一般選抜においては,丸3,国公立大学志望者の中にも」というのがあって,その次に,2行目,「ことに加えて,私立大学間での併願にも国公立大学間のような制限がないことから」とあるんですけれども,この「にも」は,「には」の方が適切なのではないかと思うので,御検討いただければと思っております。
 それから,この段落の下から2行目のところでございます。「複数の選抜区分を設け,複数の学力検査を作成している例も多い」と書いてありますけれども,ここは「作成」よりも「実施」の方が適切ではないかと思いますので,御検討いただければと思います。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,今挙手がないようでございまして,ほぼ10分近くなってまいりました。先へ進んでまいります。後で必要があれば時間を取りますので。続いて,3章の英語ですね。総合的な英語力の育成・評価のあり方というところで御意見のある委員の皆様,挙手をお願いいたします。小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 すみません,小林でございます。29ページの3ポリシーの外国語能力を位置づける大学が少ない原因で,もう一つ丸ポチをお願いできればと思っております。それはかねてからお話しされているように,3ポリシーの大学が少ない原因の中に,どなたかから意見があって,医療系の大学は国家試験がありまして,その国家試験を取るのが最優先課題で,もちろん英語も優先課題ではあるんですけれども,最優先課題が違うということで,大学に入ってから英語の学修がおろそかになっているんじゃないかということで,国家試験に英語を含めてはどうかという御提言をされていました。
 私は前回,そうはいっても,専門学校もあって,国家試験全部に英語を入れるわけにもいかないんじゃないかという,ちょっとネガティブな発言をしたので,その内容がここに加えられていないんですけれども,考えてみたら,医学部,薬学部,それから,獣医学部,あともう一つ,本日の私の提出資料を見ていただきたいと思いますけれども,6年制の教育課程を持っているものは全て大学なんですね。したがって,大学の組織,国家試験を必要とするところに関しては,国家試験に英語を入れていただければ,本当に今は英語で全部発表しなきゃいけないし,論文も書かなきゃいけないので,かなり学部の中での英語教育というのは進むと思いますので,そのこともちょっと加えていただければと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは続いて……。
【柴田委員】
 その点について,柴田が発言してようございましょうか。
【三島座長】
 柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 すみません,小林先生の御意見に全く賛成なんですけれども,ちょっと私も発言しましたので一応調べてみましたら,私,不明でございまして,既に医師の国家試験には英語の問題が出題されるようになっております。数年前までは,外国人に対する対応とか,それから,国際線での飛行機の中での会話というような,日本語のリード文がついた問題でささやかに出題されていたんですけれども,最近になりまして,リード文から全て英文というのが複数問出されるようになっておりまして,大変喜ばしいと私は感じております。
 我々もこれまでに持っていく間に,テクニカルタームの英語を統一というようなことをいろいろ学会でも努力してきたんですけれども,そういうのが国家試験の出題者にも意気が通じたんだなと思いますし,ここで小林先生と一緒に主張してきたことが実現しているというので大変うれしく思っております。
 以上です。
【小林委員】
 ありがとうございます。あともう一つ忘れていたのは歯学部です。これは6年制でした。
【柴田委員】
 歯学部の国家試験,歯科医師国家試験でも英語の問題が出るようになっております,最近。だんだん広がってきているんだなと大変うれしく思っております。全く業界の話で申し訳ないんですけれども,追加させていただきます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。24ページでございます。その3番目のポツ,「また,大学入学後の教育における必要性」云々と書いてありますが,ここの文章は全くこれでよろしいと思いますが,協会の団体名が国立大学協会と書いてあるので,これは団体名は普通は書かないのではないか,ということで,削除いただいたらと思いました。
 それから,29ページの一番最後のポツ,「さらに,3つのポリシー」から30ページに書いてございます。内容について特別な意見があるというか反対とかそういうものではないんですが,そもそも各大学のディプロマ・ポリシーというものが,就職や,企業とか,そういうことに卒業認定や学位授与のことが影響されるのかな,強く影響されるのかなと思いました。ディプロマ・ポリシー等は大体普遍的なことを書いていますので,このような内容が,「各大学の卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)の改善や」というところは,必要なくて,「等により,学生の主体的学修を促していくことも有益であると考えられる」,この程度良いのではないかという意見でございます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 今,岡委員の方から御指摘があった場所なんですけれども,確かに外国語能力の規準を3ポリシーの中に入れるべきだという御意見を頂戴したのは記憶にございますけれども,私個人はやっぱり基本的にはあまり賛成ではありません。あるいは,少なくとも必要な分野があると思うんですけれども,全く必要がない分野,あるいはそういうことは例えばディプロマ・ポリシーと無関係の分野というのはあるわけです。当然ですけれども,○○学の学位であったりするわけですけれども,そのときに要件として必要ですか,○○学の学位を称するに必要ですかと言われたときに,必要ないと明確に言える分野もあると思うのですね。あるいは,少なくとも副次的な部分であって,目標あるいは最低限の卒業資格として考えれば認定する必要がないという判断は当然あっていいと思うんです。ですから,ここは少し書き過ぎなのではないかと思っています。
 併せてですけれども,社会の中での英語の問題も,ここに書くのかなという気がするんですね。どうなんでしょう。「各企業等の採用活動の参考として望ましい英語力」の云々というのは,ちょっとそこまでされると,私立大学としてはあまりにも介入がきついのかなという感じがします。
 同じ部分に関してもう一つ申し上げますと,この中で実は英語の総合力という言葉で用語をずっと使われているんですが,数か所,「外国語能力」とか「外国語」という言葉が出てきます。これが「英語」とニアイコールだと読めるところが多いんですが,実は英語と一緒でない部分もあります。すなわち,日本語以外の言語を学ぶことがその人にとってどういう意味があるのかということに触れている部分がありますので,外国語と英語という言葉の使い分けについては,もう少し敏感に書いていただきたいというのが私の思ったことです。よろしくお願いします。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】
 29ページ,上から3番目の「各大学における総合的な英語力」から始ま項目です。4行目に「英語を自由に操ることのできる国際人」から始まる節と,1行飛んで,「全ての大学生が必要とすべき英語力は異なる」,にかけて文の構造に整合性が見られず論旨が充分に明確ではありません。
 それからもう一点,同じ箇所ですが,最後の行にかけて,「専門領域等における異なるニーズに応じた」という主旨の文言が必要ではないかと思います。先ほど芝井先生がおっしゃったことに関係のある内容ですが,それぞれ学部・学科,専門領域においてニーズが異なりますので,その異なるニーズに応じた能力を身につけるといった内容の文言が必要ではないかと思いました。御検討いただけると幸いです。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは続いて,萩原委員にお願いいたしますが,そこで第3章は一旦終わりにして,次に行きたいと思います。では,萩原委員,どうぞ。
【萩原委員】
 萩原です。25ページの(3)の最初の黒ポツの最後については,配慮いただきまして,ありがとうございました。
 その次の黒ポツのところですが,「具体的な活用方法としては」ということで,これは検定試験を活用することが大前提としての記載ではないかと思います。やはりあくまでも,先ほども話しましたが,英語の資格・検定試験等は,高等学校での学習状況を測るための試験ではないということです。ただ,個々の学びとしての英語力を測るという点ではあるかもしれませんが,高等学校での英語の学習状況を測るものではないということを明確にしておいていただいて,その上で活用するのであればという形での記載にお願いできればと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,第4章,大学入学者選抜をめぐる地理的・経済的事情,障害のある受験者への合理的配慮等への対応というところに入りたいと思います。それでは,よろしくお願いいたします。末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 先に小林委員が手を挙げておられて,お時間の御都合がおありと先ほど伺いましたので,小林委員,よろしければ。
【三島座長】
 ありがとうございます。では,小林委員,お先にどうぞ。
【小林委員】
 どうもありがとうございます,末冨委員。これも複数の章にわたりますので,ここで意見を言わせていただきます。まず32ページの「オンライン面接等の実施に十分な回線が確保されていない場合が見られるとの指摘もある。」「今後とも具体的な留意事項等を各大学に示すことが有益と考えられる。」とか,それから,5章に飛びますけれども,41ページにやはり「回線速度等の技術的課題等から生じる様々な課題も指摘された」。とあり,このとおりなんですけれども,国においては何をするかというと,「引き続き具体的な留意事項等を各大学に示すことによって,適切なオンライン面接を推進していくべきである。」ということを書かれているんですけれども,私が主張したのは,インフラが整えられていないということです。
 高速・高容量の回線施設は,大学の努力だけではどうしようもないんですね。高校についても同じです。国は,ベンダーに積極的に働きかけたり,ベンダーに資金的な援助をしたりするなどいろいろ方策を,要するに,ベンダーに働きかけて,教育機関への高速・高容量の回線施設に支援策を講じてほしいと思っています。具体的には,私たちの大学も,政令指定都市でありながら,相模原市の相模原キャンパスには全く貧弱な回線しかなくて,日本の最大手のベンダーにこの前,ICT担当の者が頼みに行ったんですけれども,あっさり断られてしまいました。要するに,そのために大学に高速・高容量の回線を新たに引くのは,ビジネス的にメリットがないということのようなんですけれども,もし日本をデジタル化社会にするのであれば,インフラを整えてほしいということを是非国に強く提言していただきたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 それでは,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 ありがとうございます。私の方は,あらかじめ提出させていただきました修正意見を,時間の限りもございますので,少し飛ばし飛ばしで御説明させていただきます。
 まず改めまして,ここまで提言をおまとめいただきました三島先生,川嶋先生,それから,事務局の皆様,ありがとうございます。下記の点について,修正意見を申し述べさせていただきます。
 まず31ページ,32ページの進学率の地域格差,それから,男女格差についてですけれども,現状について書くということになっておりますが,大学進学率の地域格差や男女格差というものは,教育の機会均等の理念の下で,実質的な公平性の追求に取り組む際にベンチマークとなる最も重要な指標です。だからこそ,戦後に学校基本調査によってデータが蓄積・公表されてきたわけですので,項目名に「現状」と銘打つ以上は,現状データの記述は不可欠と考えます。是非提言案に盛り込んでいただきたく存じます。
 併せまして,本日,参考資料2-5の63から65ページに盛り込んでいただきました,分野別の男女比については,こちらは女性に不利な分野と男性に不利な分野が両方ございます。我が国の男女共同参画社会の実現においても極めて重要なデータであると思われますので,是非このファクトについても提言に盛り込んでいただければと存じます。
 それから,34ページなんですが,受験料の助成制度への言及につきましてです。既に紹介させていただきました,民間団体キッズドアの調査では,受験準備費用や初年次の学納金が捻出できず,大学受験そのものを諦めてしまう経済的な困窮層の存在も明らかになっておりますので,記述を更に充実させていただきたいと思います。併せまして,高校生の学びの基礎診断ですとか,あるいは奨学金事業についての実態の調査が必要があるという旨につきまして,大変重要な記述であると思います。ありがとうございます。更にお願いしたいのは,実態調査の結果も踏まえて,国や都道府県等における助成制度も検討していくべきと考えますので,是非この点について明記をお願いいたします。コロナ禍の中で,今,夢を諦めてしまう若者が確実に増えています。どうぞ御記載をお願いいたします。
 それから,意見書の2枚目,34ページに関連してですけれども,入学時の学生納付金の負担が困難な学生も存在しておりまして,これも我が国における実質的な公平性の実現の妨げになっております。入学時納付金の猶予,分納,免除,それから,減額等の配慮につきましては,学生が進路選択をする上で極めて重要な情報になりますので,どうぞ文科省の方で把握されました結果を受験生が進路選択に活用できるような形で公表していただきたいと思います。きちんと受験生を支援してくれる大学を選択できなければ,その若者の未来が閉ざされてしまう問題であるということをどうか重く受け止めていただければと存じます。
 併せまして,33ページから34ページに記載しております,英語以外の資格・検定試験におきましても,低所得層向けの受検料の低減というものを国からの要請をお願いいたしたく,その点の記載もお願い申し上げます。
 それから,32ページから34ページですけれども,多様な学生の受入れの配慮例につきましては,性別以外にも,例えば性的指向や性自認,あるいは障害の有無,そして,居住地域等に関しての追記が必要であると存じます。具体的な文言につきましては大学入学者選抜協議会において決められることと存じますけれども,是非方向性は盛り込んでいただければと存じます。
 それから,34ページにつきましては,案文の修正をお願いできればと思います。実際に発達障害等を持たれている受験生やその保護者には,大学によって全く手続きの負荷が違うと認識されている場合もあります。簡単な手続の大学もあれば,保護者や学校にいろいろな書類だとか同席を求めたりするということで,受験生側の負担が重い大学もございます。この点,受験機会のバリアフリー化を促進する上でも,過重な負担が受験生にないように,どうぞお願い申し上げます。
 それから,42ページですけれども,各大学での入試情報の公表につきましては,私が2020年4月に指摘させていただいたとおりですが,公平性・公正性の実現の観点からは,きちんと入試情報の公表の記述について,私の意見書の3枚目に記載したような形での修正をお願いできればと存じます。特に多様な背景を持つ学生の受入れの状況や関連の支援制度は,先ほどの経済的支援と同様に,とりわけ厳しい状況にある受験生,あるいは自身の性的な指向について,どのように成長していったらいいだろうかと考える必要がある受験生等にとりましては非常に重要な情報になりますので,どうぞお願いいたします。
 併せまして,42ページにつきましては,記述式や英語以外にも,多様な背景を持つ学生の受入れについてもインセンティブの対象として記載いただいていることは大変ありがとうございます。是非この記述を維持いただきたく存じます。併せまして,あくまでもこうしたインセンティブというのは,積極的かつ着実に取り組む大学への支援ということで,各大学はそれぞれの運営方針,特に私学は建学の精神も持っておりますので,そうした私学の取組を促すということでお願いいたしたいと思います。懲罰的な色彩を持たせるような政策であってはならないと存じます。
 併せまして,最後に,全体に関わってお願いしたいことといたしましては,推薦入試等の是非につきましては,実質的な公平性の観点からは,学校推薦入試とか,あるいは子女入試の問題がまだ実は取り残されたままだということです。本検討会議での時間はもう少ないので,新たな論点を議論する時間はないんですけれども,ただ,お願いしたいこととしては,少なくとも各大学のIRにおいては,入学後に必要な学修者の能力・適性の把握の観点から,これらの入試形態の妥当性についてしっかり分析し,公表すべきこと,それから,文科省が主導性を発揮し,実質的な公平性の観点,原則2から,こうした選抜方法の妥当性や将来的な方向性について,大学入学者選抜協議会において検討すべき事項であるということを盛り込んでいただけないかというお願いでございます。
 それから,もう一つ気になりますのが,当面の措置として,学校推薦型選抜の募集人員を入学定員の5割を超えない範囲にするというルールについては,ルール逸脱の有無等を実態調査するとともに,言い方はあまりよくないんですけれども,厳正な指導ということが必要かと存じます。この点につきましては,受験産業からの御心配とか,あるいは不満もあったかと存じますので,公平性・公正性の在り方について,最後に残された論点,あるいは引き続き協議すべき事項を盛り込むべきと考えます。
【三島座長】
 そろそろおまとめください。
【末冨委員】
 それから,最後なんですけれども,その他です。第1章の2,最初に議論を戻させていただきますけれども,意思決定の在り方というものがこの会議の発足した理由の1つでした。ここに至るまでの意思決定の在り方が改善に値するものだと私自身は考えていろいろな提言をしてまいりました。第1章の2で述べられている意思決定の在り方というものは,入試政策にのみ当てはまるものではなく,文部科学省の政策決定全体に汎用性がある記述だと考えています。専門家や当事者の意見を軽視し,実証的データに基づかず,上位政策との整合性すら欠いたずさんな意思決定が進められようとしてきたこと,そして,現に多くの志願者や教職員に多大な混乱を引き起こしたことを歴代の大臣,幹部をはじめとする担当職員の方々は重く受け止められるべきだと考えています。このため,今般の大学入試改革の頓挫の反省と教訓は,文部科学省の政策プロセス全体において受け継がれるべきであることを前文等に記載されるべきだと考えます。
 このたびは勇気ある見送りの決断をしていただきました萩生田文部科学大臣の力強いリーダーシップをもちまして,他の審議会,あるいは有識者会議等においても,この教訓の横展開を強力に図っていただきたくお願い申し上げます。この提言を盛り込むことによって,ずさんな意思決定の再発防止をするだけではなくて,広くステークホルダーに納得され,信頼される教育政策の構築につながると私自身は考えております。
 申し訳ありません,長い時間頂戴いたしましたが,以上となります。ありがとうございます。
【三島座長】
 それでは,もう10分近くがたちましたので,柴田委員,どうぞ,手短にお願いしたします。
【柴田委員】
 第4章は非常に充実した議論が書かれておりますけれど,私の方からは,35ページの段落のところ,「各大学においては」というのがいろいろ書いておられるんですけれども,ここは内容が2つぐらいあるようでございますし,その下の丸ポツにあります「英語資格・検定試験における合理的配慮の推進」というのが,途中にございます「英語のスピーキング,ライティングなどの実施に当たっての合理的配慮の提供の実態把握や」云々に続くものですから,ここに続けて2番目の丸ポツを持ってきて,最後に,非常に大切なことが書いてあります「また,我が国の大学生に占める障害のある学生比率」云々「こうした状況が生じている課題の解決に向けた施策の充実に努めるべきである」,この段落は別途丸ポツで最後に掲げていただいた方が,この第4章の取りまとめとしては締まるのではないかと感じた次第でございます。御参考にしていただければと思います。
 ありがとうございます。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,第4章に関して最後,芝井委員,是非手短にお願いいたします。
【芝井委員】
 すみません,ありがとうございます。先ほど末冨委員から御指摘のあった,一番最後のその他の部分があるんですが,コメントだけさせていただきたいと思います。私もやっぱりほぼ同感でして,この審議会が置かれたこと,会議が置かれたこと自体がそこから出発していると思っています。一番大きいのはやはり受験生の信頼を失ったことですね。その出発点のことを是非設置の経緯と審議の経過の一番初めのところに書かれるべきことで,それが書かれていないのであれば,何のためにこういうのが置かれて,何を議論しているか分からなくなると思っています。
 ですから,大事なことは,どこまでどういうふうに書くのかというのが本当に力量を問われるわけですけれども,ここのその他に書いてある,末冨委員が書かれたままでなくてもいいのですが,やはり大きな失敗をしてしまったわけです。そのことによって信頼を失ったわけですが,その信頼を失ったことをはっきりと明記した上で,今後,正に他の審議会,有識者会議も含めて省として出直して,しっかりとした対応をさせていただくんだということをやっぱり掲げるべきだろうと思います。
 それから,もう一つですが,経緯の中に,審議の経過の中に,この問題を明らかにするためにかなり時間をかけて過去のいきさつ,経緯を振り返っていただいたんですが,そこはほとんど書いてないんじゃないでしょうか。多分そうだと思うんですけれども。ですから,提言の取りまとめまではいろいろ書いてあるんですが,一番初めにやったことが実はここには書かれていないので。それは不可欠の部分だったと思っています。そう思って皆さんも参加をされたんだと思いますので,そのことを是非書いていただくことが,この全体の文を出すための前提条件だと思いますので,よろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,第5章をなるべく手短にまた進めようと思いますが,大臣におかれては今日これで御退席だと思います。一言またいただければと思います。
【萩生田文部科学大臣】
 皆さん,ありがとうございます。まだ引き続き会議が続くので申し訳ないですけれども,先に一言御礼を申し上げたいと思います。
 本日の審議を通じて,記述式問題の出題の在り方や総合的な英語力の育成・評価の在り方,また,地理的・経済的事情や障害のある受験者への配慮,ウィズコロナ・ポストコロナ時代の入学者選抜の在り方等について,部分的には意見の差異もあるかと思いますけれども,多くの委員の皆様の間で大きな一定の方向性はまとまりつつあるのではというふうに期待をしているところでございます。
 昨日から大学を拠点としたワクチンの接種が始まりました。これは民間の企業等が行っている職域接種とは異なる,正に大学の社会貢献,地域での使命を果たしていただきながら,自校の教職員や学生にも接種をしていただくということであります。
 このことが認められたのは,一昨年からこの大学入試の問題で本当に皆さんにいろいろ御迷惑をおかけしていますが,逆に大学教育の必要性,大切さを国民の皆さんも共有していただいたという,私はそういう自負がございます。特にコロナ禍にあって,もちろんオンライン授業で御努力いただいている学校は数多くありますけれども,他方,学生たちが不安に思ってキャンパスに通えないこの状況を変えていかなきゃいけないという声を国民の皆さんに御理解いただき,後押しを頂いた結果が大学の拠点接種につながったんだということを今日も記者会見で申し上げました。
 すなわち,それは会社と違って,自分の会社の社員だけ打てばそれでいいのではなくて,やっぱり大学の果たす役割を大学人の皆さんに共有していただかなくちゃいけないと思っているんです。したがって,何らかの貢献をしてください,例えば会場になり得ない御近所の大学や短大の先生方にも声をかけてもらえませんか,あるいは幼稚園,小学校,中学校,高校の先生方が近くで打ちたいと言ったときには受け入れてください,留学を控えている学生がいれば,先行してそれを助けてあげてくださいということを申し上げて,圧倒的多くの大学がそういった方向でできる努力を様々していただいていることに感謝申し上げます。
 そのことによって,自校の学生以外に打てば,例えば雇用しているお医者様などがいればその分お金がかかるわけですから,これも財政的な支援をメニューとして追加させていただいたので,今まで予定は1万人だったけれども,近所の人たちにも打つから1万2,000人がと言えば,2,000人分出っ張った分について財政負担を大学に求めるようなことはしません。きちんとその補償をさせていただく仕組みをつくらせていただきました。
 だけども,残念ながらこれだけ声をからして言っているのですが,なかなかその訴えに呼応していただけない大学があるのも正直事実でございます。何を申し上げたいかといいますと,これ,1年以上にわたって先生方に本当に真剣な議論を頂きました。有識者会議ですから,それぞれの団体を代表するという正式な立ち位置ではないかもしれませんけれども,やっぱりお互いがこの分野についてはこの先生に入ってもらおうということで参加していただいた先生ばかりでございますので,正にオールジャパンで入試の在り方をどうすべきかということをゼロからもう一度議論していただいた会議だと思っております。あわせて,メンバー以外の皆さんにもできるだけ声を聞こうということで,高校生を含めた外部の人たちからのヒアリングも丁寧にやってきたつもりでございます。
 したがって,ここで大きな方向が出れば,当時確かに混乱したのですが,あのまま実施していたら,もっと大きな混乱があったのではないかというような思いがします。答えはもう歴史が評価するしかないと思うのですが,私は今度こういった方向で大きな方向を決めたら,それは国立だろうが,公立だろうが,私立だろうが,大きな方向のルールはみんなで共有をしていただきたいと思っています。正にそれは文科省が決めたのだから,うちはうちで建学の精神があるんだ,入試の在り方はこれで十分なんだ,記述式も要らないんだ,英語なんてどうでもいいんだみたいな学校が今後出てくることは本当にあってはならないと思っておりまして,大学というものがこの時代にもう一度クローズアップされ,その社会的な責任や地位を皆さんから評価されているんだということを全ての大学関係者の皆さんと共有しながら取りまとめの方に向かっていただければ有り難いなと,そんなふうに思っております。
 いよいよ最終的な段階に入りますので,座長,座長代理を中心に委員の皆さんにはもう一歩の御苦労をかけますけれども,よりよいものにブラッシュアップしていただいて,お取りまとめを頂きますように引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
                          (萩生田文部科学大臣 退席)
【三島座長】
 それでは,あと第5章が残っておりますので,10分から15分ぐらいは延長させていただければと思います。それでは,第5章に関して御意見がございましたらということで,今お二人手が挙がっております。先に島田委員,どうぞ。
【小林委員】
 すみません,もう出なけばいけないので,ごめんなさい。私の方を先にしていただけませんでしょうか。
 第5章の2の秋季入学等の学事暦・修学年限の多様化・柔軟化に対応した大学入学者選抜のあり方,38ページです。ここで秋季入学の提言が書かれております。一方,第1章の3でコロナ禍での大学入学者選抜をめぐる状況変化の中に,7ページですけれども,(5)の秋季入学等の入学時期弾力化への対応の必要性にありますけれども,そこに正に教育再生実行会議の提言に記載されてありますとあるのですけれども,先日の中央教育審議会,ここでいろいろな議論がありまして,私も臨時委員で参加させていただいているんですけれども,秋季入学は,修業年限の弾力化も含めてですけれども,卒業とセットでやはり考える必要があって,この中で,日本私立学校振興・共済事業団の清家先生から,彼は社会経済学者ですけれども,今までの新卒一括採用を継続しない場合には,恐らく社会経済学的には若年失業者の増加が懸念されるという発言をされておりまして,まだこれ,議論は中教審の中でも続けられると思いますので,今ここで大学入学のあり方に関する検討委員会の提言に入れるというのはちょっとまだ早いんじゃないかと感じております。
 私からは以上です。これで退出します。言いっ放しで申し訳ございません。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 島田です。36ページの下の方,点線のボックスの中です。こちら,第1回共通テストの評価に関する部分です。私,24回の会議の中で幾つか課題についても申し上げたので,そこはもう少し書いてほしいと思います。
 3つ目の項目,国語に関するところです。これまで測ってこなかった力を測ろうとする問題を適切に加えているというところはいいところだと思いますが,一方で課題もございます。それは問題数や試験時間を変えないまま新しい内容を加えようとすると,やはり従来問うていた内容が同じように十分に問えるのかという疑問が払拭できません。問題数や試験時間を増やすことも選択肢の1つとして併せて検討をされてもよいのではないかということを是非書き加えていただきたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは続いて,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。42ページの一番下の(3)大学入学者選抜等の改善に係るインセンティブの付与というところで,次のページの43ページになります。2番目のポツのところです。このインセンティブについては,ここでも議論されまして,私どももそれは望ましい方向というふうに認識しております。
 ここに書いてある,「更に」というところで,「上記の好事例の認定も適切に活用しつつ,インセンティブの付与を検討すべきである。例えば,国立大学については,第4期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方についての検討状況も踏まえ,国立大学法人運営費交付金の中で優れた取組」云々という,「検討すべきである」ということがありますけれども,そもそも運営費交付金というのは生活費ですので,その中でよくやったところにたくさんあげて,そうでもないところからお金を取るような形にならないように,これは外づけで評価をしていくのが当然だろうと国大協としては強く申し上げたいと思います。
 是非ともそのところで,むしろインセンティブというのはプラスアルファを考えていくべきであり,ほかから取り上げてプラスアルファをするようなやり方をされないように,是非ともお願いしたいと思います。従いまして,「インセンティブの付与を」のその文章のところで,「財政的支援等インセンティブの付与も」としていただきまして,「例えば」のところは削除していただきたいというのが国大協の意見でございます。
 それから,その次の(4)の大学入試センターの事業・経営の改善でございます。これについてはもう何度も申し上げておりまして恐縮ではございますが,このたび大学入学共通テストが非常にセーフティネットとしても重要であったということは皆さん認識されていると思います。これで大学からの成績についての手数料を上げる等のことももうされるわけですけれども,それだけでは財政的な解決には将来的にはならないわけですので,国からの支援を是非ともお願いしたいというのが強い要望でございます。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。今,岡委員の御指摘になりましたインセンティブのところでございます。先ほど大臣からは,この委員会は有識者の集まりで,業界を代表しているのではないということなんですけれども,このくだり,私,公立大学協会から出ておりますが,公立大学についての言及がございません。ということで,やはり書きぶりを少し御考慮いただければと思いますので,発言させていただきました。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,一応今もう手が挙がっておりませんので,ここで川嶋先生から,今頂いた意見への感想で結構ですので,ちょっと。
【川嶋委員】
 いろいろ御意見いただきまして,ありがとうございます。内容に関わる点も多々ございまして,これについては今回お示しいただいた原案で行いましたように,幾つか頂いたコメントについては,できるだけ取り込める形にしたいと思います。共通の御指摘として,表現ですね。曖昧な箇所について何点か,何名かの委員の方から御指摘いただきましたので,文章表現についてはより正確を期すような形で更に改定作業を進めていきたいと思っております。
 今日はいろいろ御意見いただきまして,ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,ちょっと今日時間をオーバーしてここまで参りましたけれども,もし前へ戻ったところでも,もう一言だけこれだけは言っておきたいということがございましたら,挙手をお願いいたします。芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 それでは,手短に申し上げます。場所でいいますと,私立大学と国立大学について,私立と国公立に関して分けて書いていただいています12ページ以降の記述なんですが,確かにこういうふうな意見も言いましたし,うまく取り入れていただいたんだと思うんですが,少し気になる点があります。
 例えば確かに設置者別と,それから,現状からこういったことになっているというのはそのとおりなんですけれども,これは私立大学が望んだわけではなくて,何回も申し上げましたけれども,日本の今の受験の構造なんです。ところが,構造であるにもかかわらず,私立は記述問題を工夫しろと言われると,ちょっとなというのが正直なところなんですね。構造を変えないとこういうことは是正できないはずなんですが,私立大学は努力すべきだと言われると,ちょっとそれはあんまりじゃないのかなというふうに基本的に思います。
 それから,いかにも個別入試の中で国立はきちんと記述問題,一生懸命,大事だし,出しているけど,私立はそうじゃないじゃないかと書いてあるけど,そうじゃなくて,かつての前後期のときの後期にほとんどセンター試験だけで合否を決められるところもたくさんありましたし,今年はコロナという特殊事情もありましたけれども,国立大学の中でも共通テストだけで合否を決められたところも複数あったわけですから,ちょっとこういう書き方はいかがかと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,両角委員,どうぞ。
【両角委員】
 すみません,ありがとうございます。まず第一に,末冨委員がおっしゃったように,この会議のそもそもの目的や意義などを書くべきだということもそうだと思って聞いておりました。入試の議論がどうしても理念先行になりがちだとか,一部の考えが強く出がちだというところが弊害の一つだったと思うのですけれども,やはりこうやって全体を読み直してみると,特に英語のところが4技能というものから総合的な英語力というところに変えていただいたり,随分と改善はしたとはいえ,社会で使われるというか求められる英語力が多様であること,つまり企業で求められるものだけが大学教育や高校教育の目的ではないんだというようなニュアンスを主張したところがあまり入っていなかったような気がしました。その辺りの書きぶりを少し直していただくといいのかなと思いました。
 あと,もう一点だけ。インセンティブについては,岡委員がおっしゃったことも本当にそのとおりだなと思っておりまして,生活費の部分の補助金を減らすというのはおかしいと思いました。また,グッドプラクティスを共有していったり,それを多くの大学が,ああ,こういうやり方があるのかと学ぶことは大事なんですけれども,過度なインセンティブは個人的にはおかしいと思います。良い学生を採るために大学が努力をするのは当たり前で,もう既にやっているわけですし,そのやり方も大学によって随分異なりますので,具体的に考えるとインセンティブの付与もなかなか難しいのではないかなと思います。そういうものを検討されること自体はいいと思いますが,情報公開,良い取組が共有されるのが基本になるのではないかなと思いました。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,あともうないようでございますので,本日はここまでとさせていただきたいと思います。長時間にわたりまして,どうもありがとうございました。
 本日頂いた御意見を踏まえて,先ほど川嶋先生からもございましたけれども,次回までにできるところを追加して,次回,提言案を示せればと思っているところでございます。
 本日御欠席の斎木委員の御意見ももちろん踏まえて,座長,私と,座長代理で最終案を作っていきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは最後,事務局からお願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 次回の会議の具体的な時間等については,委員の先生方の日程調整の上で近日中に御連絡いたしたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 それでは,本日の大学入試のあり方に関する検討会議,以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。御協力ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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