大学入試のあり方に関する検討会議(第26回)議事録

1.日時

令和3年5月24日(月曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 討議(大学入学者選抜のあり方について)

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、斎木委員、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員、牧田委員、吉田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

萩生田文部科学大臣、伯井高等教育局長、森田大臣官房審議官、西田大学振興課長 他

5.議事録

【三島座長】
 それでは,委員の皆様こんにちは。座長の三島でございます。お忙しい中,御参加いただきましてありがとうございます。定刻となりましたので,ただいまから第26回大学入試のあり方に関する検討会議を開催いたします。
 今回も,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,ウェブ会議方式での開催でございます。音声などに不都合はございませんでしょうか。
 本日も,傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開とし,後日,議事録をホームページに掲載することとしたいと思います。よろしゅうございましょうか。
 それでは,どうぞよろしくお願いいたします。
 ではまず事務局から,武藤企画官,何かございますでしょうか。
【武藤高等教育局企画官】
 本日の委員の出席状況でございますけれども,荒瀬委員と芝井委員が御欠席で,両角委員は先ほど御欠席の連絡が入りました。
 それから,前回までと同様に,聞き取りやすい御発言と資料の参照の際の該当ページをお示しいただくようお願いいたします。また,ハウリングを避けるために,指名後のミュートの解除と発言後のミュート戻しとをお願いできればと思います。
 以上です。
【三島座長】
 それでは,議事の最初,1番目に入る前でございますが,大学入学者選抜協議会の設置ということがございました。事務局から報告があるということでございますので,西田大学振興課長から説明をお願いしたいと思います。資料1をお開けください。では,西田課長,どうぞよろしくお願いいたします。
【西田大学振興課長】
 ではまず事務局から,大学入学者選抜協議会の設置に関して,委員の皆様方に御報告をさせていただきます。資料1を御覧いただければと思います。
 大学入試の日程や留意事項等につきましては,毎年高等教育局長によって招集される,高校・大学関係者による大学入学者選抜の改善に関する協議を踏まえて,大学入学者選抜実施要項の通知を行っていたところでございますが,3月18日に開催された本検討会議におきまして,緊急事態における機動的な協議を可能とする観点からの,会議体の常設化,協議のプロセスの透明性の確保,構成メンバーの代表性の明確化が必要であるというような御議論を頂いたところでございます。
 それを踏まえまして,文部科学省において,いわゆる改善協議に代えて,毎年度の大学入学者選抜の実施方法,日程や,大学入学共通テストに関する事項のほか,中長期的かつ継続的な対応が必要となる事項等についても協議をする恒常的な協議体として,大学入学者選抜協議会を5月14日付事務次官決定で設置をいたしました。
 本協議会は,大学及び高等学校関係団体の代表者として各団体から御推薦いただいた方や,学識経験者並びに大学入試センター理事長をもって構成をしております。本検討会議の岡委員,川嶋委員,柴田委員,島田委員,山本理事長に御参画を頂いているところでございます。
 文部科学省といたしましては,日々努力をされている受験生の皆さんが安心して大学入試の準備ができるよう,まずは今年度実施される大学入学者選抜における日程や実施方法等について速やかに決定・通知できるように,本協議会において協議いただきたいというふうに考えております。
 また,令和6年度実施の大学入試に係る内容につきましては,本検討会議における検討結果を踏まえた協議を行っていただく予定でございまして,その結果については,夏頃を目途に,予告という形で通知・公表したいというふうに考えております。
 私からは以上です。
【三島座長】
 御説明どうもありがとうございました。
 それでは,本日の議事,1つでございますが,「討議(大学入学者選抜のあり方について)」ということで進めさせていただきたいと思います。第22回から第25回会議まで,これまで頂いた意見に基づいて,テーマごとの資料を順次作成し,御意見を頂いてまいったところでございます。本日は,改めて各委員から,これまでの会議で言い足りなかったこと,あるいは改めて強調しておきたいこと等について御意見を頂き,取りまとめのドラフティングに生かしていくための討議を行いたいというふうに思っております。
 特に,委員の皆様から,記述式問題や総合的な英語力の評価,多様な背景を持った学生の受入れなどを促進するための具体策や,インセンティブ,留意点などについてペーパーが出されております。議題表を見ていただくと,委員の提出資料のリストが出てございます。これらを基に,また議論を進めていきたいというふうに思います。
 それに先立ちまして,まず事務局から,新型コロナウイルス感染症に対応するための個別試験におけるオンラインの活用及び本議題に関連する基礎資料の追加について説明を頂きたいと思います。それでは武藤企画官から,資料2,参考資料2を基に御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 資料2を御覧ください。コロナウイルス感染症に対応するためのオンラインの活用について,これは以前,島田委員から,オンライン入試の今後の推進に当たって,直近の大学入試における各大学の対応状況あるいは課題認識や成果の状況等を調べて報告してほしいという御要望があったことを受けまして,取りまとめたものでございます。
 資料2の2ページに行っていただきますと,まず,個別選抜においてオンラインを活用した入試の実施状況ということで,全大学・全学部に聞いたところ,一般選抜では2.9%が実施したと。総合型で19.1%,学校推薦型選抜で18.4%でございました。
 3ページに参りまして,今のデータを国公私別にまとめたものでございます。左上の国立ですと,一般は当然いずれも少ないんですけど,総合型で9.3%,推薦で7.2,右側の公立で総合が17.8,推薦が6.1,私立,左下ですけれども,総合が20.5,学校推薦型21.4%が実施をしたということでございました。
 次に参りまして,では実際にどのような内容をオンラインで実施したのかということでございます。これは少し分かりにくいんですけれども,左上の個別学力検査から,レポート・小論文,面接,口頭試問等々,考えられる内容について,それぞれやったかどうかというのを聞いております。一番左下に注が書いてありますけども,いずれもオンラインを活用した入試を実施したとお答えになっている学部が分母になって,そのうち何%がそれぞれの項目を実施したか,こういうふうに見ていただくものでございます。まず,一番多かったのが,左側の上から3つ目の面接でして,これは非常に多くの大学・学部が実施しております。その次に多いのが左下で口頭試問です。一番上のオレンジが一般選抜で,その下が総合型,その下が推薦ということですが,口頭試問が次に多かった。その次に,上から2番目で,レポートと小論文も結構多うございました。やや数字は少ないんですけども,右上でプレゼンテーションですとか,あるいは模擬講義というのをオンラインで受けた上でレポートを出したり論文を出したりというパターンですとか,あるいは実技系の試験をやったというようなパターンですとか,いろいろな取組がなされたというところが見て取れるかと思います。
 次の5ページに参りまして,特定の志願者が不利益を被ることがないようにするための対応ということでございまして,一番多いのが,右側の上から2つ目のサポートデスクです。その次に,左側の上から3つ目の,試験続行が困難になった場合の当日の時間繰下げですとか,あるいはその上で,志願者の所属校と調整した上で高校の端末を活用した受験を進めた,この辺が多かったところです。それ以外にも,例えばその上で,志願者が通信環境を整えることができない場合に来学して受験を認めたとか,あるいは右上で,試験続行が困難になった場合に電話で代替したとか,あるいは,一番左下ですけれども,予備日をもともと設けていたとか,いろいろなパターンがございました。それから,その他の例というのが載っていますけれども,例えば志願者にPCを貸し出したり,あるいは地方会場を設定して,そこで大学側が用意したシステムを利用して実施したりと,こういう様々な工夫をお取り組みになったということでございます。
 それから不正防止策というのが6ページにございます。一番多かったのは,一番上のグラフで,選抜要項等で注意事項を周知している,これはいずれも7割以上の大学が取り組んでいる。それからその次ですけど,写真つきの身分証明書をオンライン上で撮影させて本人確認をしたり,あるいは,例えば本人に360度回転してもらったりして受験場所全体をカメラで撮影させるというようなことですとか,あるいはそれ専用に民間企業等が提供している監視システムを導入したという大学もございました。いずれも御覧いただいているような実施率でございます。監視システムの例として,右側に四角囲みがありますけど,AIで顔認証したり,あるいは不自然な目線の動きがないかとか,こういうようなことをやられたり,あるいはその他というのも結構あるんですけれども,出願書類の写真と本人を照合する,あるいは誓約書の提出を求めたり,バーチャル背景の禁止をしたり,いろいろな取組がなされたということでございます。
 7ページですけれども,障害等のある受験生がいて合理的配慮を行ったとお答えの大学が,一般選抜はゼロなんですが,総合型で7.8,推薦で4.0と。それから,そもそも障害等のある受験生がいなかったというのが非常に数としては多くて,合理的配慮の例としては,枠囲みにありますように,試験時間の延長ですとか,あるいは手話通訳者の同席を認めるとか,あるいは難聴の受験者がいらっしゃる場合に,試験に関わる担当者がマスクを外して口元が見えるように配慮したり,あるいはそもそも来学して受験することを認めたりといった例が挙げられておりました。
 それ以降は自由記述でございます。オンライン入試を実施してよかった点ということで,まず,受験機会の確保で,遠方に住む受験生が移動を伴わずに受験できるとか,交通費,宿泊費等がなくなるので,海外の受験生も気軽に受験してもらえたというような受験機会の確保に関するもの。それから,能力適性の評価の観点でいきますと,例えばグループディスカッションで,オンラインの方が発言者が特定しやすくて採点しやすかったとか,あるいは,対面でやるとどうしてもマスクを着用してということになるので表情が見えにくいけれども,オンラインの場合はマスクなしでできるのでよく分かったとか,あるいは丸4ですけれども,従来サテライト会場でそれぞれやっていたという大学の例なんですが,どうしても人員不足でスケジュールがなかなか調整がつかなくて,受験する学科以外の先生が面接を担当したりということもあったけれども,オンライン面接にしたことによって,必ず担当の教員が面接を担当できたというような声ですとか,あるいは丸5ですけども,試験の様子全体を録画して,試験が終わった後にそれぞれの面接官等の査定の結果をもう一度巻き戻して見たりしながら検証することができたというようなお声もありました。
 9ページに参りまして,業務負担という点で,これは会場がないものですから,前日の設営や当日の業務負担が軽減されたですとか,あるいは丸4のように,現地の会場まで教員を派遣する必要がなかったので効率化が図られた。あとは当然コロナ対策という観点で,感染リスクを負わずに試験を実施できたというような声が複数ございました。
 他方,課題と感じた点というのが10ページ以降でございまして,能力・適性の判定の観点でいうと,オンライン上での発表技術,プレゼン技術が未習熟なので,本来であればもう少し実力があると思われる受験生でも,面接での点数が低く出てしまう可能性があるというような声ですとか,あるいはさっきと逆で,受験者がふだん以上に緊張しているというのが見て取れたというような声。それから公平性・公正性の観点で,監視できる範囲が限定される分,対面に比べて万全とはいえないのではないかとか,それからその下ですけれども,来学せずに入学する学生がどうしても出てくるので,入学後にギャップを感じやしないかとか,あるいは来学しないで気軽に受験できるので,入学辞退になるんじゃないかというような声もありました。
 続きまして,11ページですけれども,技術的な課題という観点で,通信テストを平日に実施したんだけれども,試験日が土日だったので,実際の回線状況が悪かったというような回線関係,通信環境が急に悪くなる事例が起きたとか,あるいは業務負担ということで,事前の接続テストあるいはオンラインのアカウントの設定とか,もろもろ,最初ですからいろいろな負担が生じたような話ですとか,あとは受験生は平日は学校に通っているので,事前に,本番の前に通信テストを実施する日時の設定が難しいとか,あるいは丸4のように,受験生1人で機器の操作ができないというような場合に,高校の先生の御負担が増えてしまった,こういう御意見もございました。
 それから12ページで,オンラインを活用した入試を実施しなかった学部のうち,実際にオンライン活用を検討したのかしていないのかというのを聞いておりまして,オレンジのところですけども,一般・総合・推薦と検討したというところが22.5,44.1,39.1という具合でございました。これらの検討はしたのが実施に至らなかったところについて,その理由を聞いたのが13ページ,14ページでございまして,まず,能力・適性の判定でいうと,オンライン入試よりも共通テストの成績を使う方がいいんじゃないかと判断したとか,あるいは丸3で,筆記試験の方は物理的に会場でやるというふうに決めていったということがあって,結局それで試験会場に来るので,面接だけをオンラインにするのも現実的ではないという判断をしたとか,それから,公平性・公正性の確保がなかなか難しい,十分なトラブル対応ができないとか,こういう観点の御意見が1,2,3とございました。
 それから続きまして,技術的な課題で,やはり接続不良の不具合が多いとか,受験生の環境が整わなかった場合の代替案がなかったとか,あるいは感染症対策ということで,そもそも追試験の実施を予定していたので,わざわざオンラインを入れるということをしなかったとか,あとは,地理的な問題で,本県への移動制限もないので,対面でできると判断したとか,いろいろな声があったところでございます。
 資料2については以上でございまして,それに加えて,これまでの先生方の御審議の中で,幾つか事務局に対する宿題となっている事項がありました。あわせて,今日,先生方の御発表の意見の中で,幾つか既存の制度や仕組みに言及があるものがございましたので,それらについて若干資料を用意させていただきました。参考資料2-2の基礎資料の中の第2分冊をお手元に出していただければと思いますが,それの36ページを御覧いただけますでしょうか。これは英語民間資格・検定試験における大学へのデジタルでの成績提供ということでございます。先般,成績提供システムの議論があったときに,これはセンター理事長を始め何人かの委員の先生方から,試験団体で独自にシステムを開発しているということもあるので,その状況を確認しておくようにという御指摘があったところでございまして,調べましたら御覧のとおりで,上のIELTSから下のGTEC検定版までありますけれども,いずれもデジタルでの成績の提供が始まっている。直近だと令和2年もありますけれども,いずれにしても始まっているという状況が確認できたので,御紹介をさせていただきます。
 それから,2-4の第4分冊の制度概要及びデータ集関係の71ページをお開きいただければと思います。これは,それぞれの大学の募集人員に占めるAOと推薦,これは大きく一般・AO・推薦と,これは令和2年度入試のときの言葉遣いですが,一般・AO・推薦とございますけれども,そのうち,AOと推薦を足したときに全体に占める割合がどうなっているかという資料でございます。右上が国立大学とあります。国立大学でいうと,割合が5%未満から,5~10,10~15という5%刻みで数をカウントしております。国立大の場合,御覧いただいたとおりですが,最頻値は15~20とか20~25%,ここがそれぞれ18大学あったということでございます。公立大学の場合は同様に,35~40%が22で最頻値。私立の場合は45%~50%が87で最頻値ということでございます。これは60%以上が一番多いんですけれども,これは60からかなりもっと多いところまで全部一緒にトータルになっていますので,最頻値ということでいうと,45~50%,87大学ということでございました。
 続きまして,同じ資料の95ページに認証評価制度の概要というのがあると思います。認証評価制度は,今日,先生方の御意見の中で言及がありましたので,簡単に御紹介いたしますと,一番上のボックスけれども,学校教育法第109条で,大学は,教育研究等の状況について自己点検・評価を行って公表する義務があるということと,それから,大学は大臣認証を受けた第三者機関による評価を受ける義務,大臣認証を受けた機関による評価なので認証評価機関,認証評価機関による評価なので認証評価というふうに呼んでいるものでございます。大きくカラーでそれぞれのアクターが書いてあるんですが,一番下の大学がございます。大学は,大学から真上に伸びておりますけれども,認証評価というものを受審します。どの機関から評価してもらうか,大学が選択して,それに対して認証評価機関は,国が定める大枠に基づいて自ら評価基準を定めて,大学の評価をして,その結果を丸2で通知をするということでございます。その評価をした結果というのは,認証評価機関から左下ですけども,評価結果は広く世間に公表して,それが社会的評価になって大学に返ってくる。あわせて,評価結果というのは大臣にも報告をする。大臣は,評価結果不適合の大学があった場合は,報告や資料の要求をする,こういう全体の仕組みになっております中で,認証評価機関の評価の大本で,これは資料の中ほどに評価基準の大枠というものがあります。法令の適合性とか,それから特色ある教育研究の進展に資する項目とか,それからもろもろ,丸1から丸10までいろいろな項目が評価の項目に必ず位置づけてくださいという形で省令上設定をされております。この中に,丸6としていわゆる3つのポリシーに関する項目があるということでございます。ここに入試については必ずしもきちっと書かれていないんじゃないかというような御指摘が,後ほど委員の御意見の中にあるところでございます。
 それから,駆け足になって恐縮ですが,最後に第5分冊を御覧いただければと思います。24ページをお開き願います。高等教育の修学支援新制度,これは昨年の4月から始まっているものでございます。細かくは先生方御承知なので申し上げませんけれども,大きく,上から2つ目の支援内容というところにありますように,授業料等減免制度の創設と,給付型の奨学金の支給の拡充ということで,住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生に対する支援措置として新たに設けられたものでございます。この支援制度について,26ページを御覧いただければと思うんですけれども,この新制度には,対象になる大学の要件を機関要件ということで設定をしております。この機関要件を満たした大学に通う学生がこの仕組みの対象になるということでございまして,大きく1から4までいろいろな要件がございますけれども,このうちの4.のところで,関係法令に基づいて作成する財務諸表を公表しているということですとか,あるいは定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に関する情報を公表していることというのが要件になっておりまして,この中で,特に教育活動の中で,米印の下の下ですけれども,いわゆるここも3つのポリシーに関することをきちっと公表しているというのが機関要件の一つのさらにその中の細かいところに入っているということでございます。
 続きまして,28ページを御覧ください。これは末冨先生から頂いている御意見にも関わるところでございますけれども,今申し上げた修学支援新制度の授業料減免ですとか,あるいは給付型の奨学金というのは,これは入学した後に支給されるということでございますけれども,入学前に学生あるいは保護者が利用可能ないろいろな貸付けの制度を整理したものでございます。
 それから,最後にあと2枚ございますけれども,32ページを御覧ください。これも末冨先生の御意見に関わることですけれども,外国にルーツを持つ生徒を対象にした入学選抜区分の例というのを調べてみたものでございます。これはあくまで例でございまして,これ以外にもあるかもしれませんけれども,上から宇都宮大,下関市立大,大阪女学院大,帝塚山大学,東洋大学ということで,国公私にわたって幾つかの大学でこういう選抜区分が設けられているということでございました。
 それから最後に,この資料の最後の45ページをお開きいただければと思います。これも同様に末冨先生の御意見に関わるところで,いわゆる女子に特化した選抜区分を設けている例でございます。左上ですけど,名古屋工業大学,兵庫県立大,愛知工業大,芝浦工大,大東大学ということで,全体を見ると工学部系が非常に多くて,男性の技術者に偏りがちだった状況があるので,女性の進出を促進したいとか,あるいは女性の研究者・技術者の育成を推進したいとか,そういう御趣旨でこれらの大学において女子枠の設定がなされておりました。
 以上でございます。
【三島座長】
 武藤企画官,どうもありがとうございました。それでは,ちょうど今大臣が御到着されましたので,一言御挨拶を頂きたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 皆さんこんにちは。本日もお忙しい中,大学入試のあり方に関する検討会議に御出席いただき,ありがとうございます。精力的な御検討を続けていただいていることに改めて感謝を申し上げたいと思います。
 第22回会議より,テーマごとにこれまでの意見を踏まえた討議ペーパーを,座長,座長代理の御尽力で取りまとめいただき,更に議論を深めていただいております。本日は,最終的な取りまとめに向けて,改めて各委員の皆様から,これまでの会議で言い足りなかった点や,改めてこれだけはと強調しておきたい点などございましたら,御議論を頂きたいというふうに思っております。
 本日も活発な御議論を期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは討議に入りたいと思います。本日は,資料3として,第22回から第25回までの本検討会議における川嶋座長代理からの提出資料を配付してございます。また,何人かの委員からの資料が配付されております。この資料3では,これまでの川嶋座長代理提出資料に目次をつけて,丸1総論的事項(大学入学者選抜の在り方と改善の方向性),それから丸2記述式問題の出題の在り方,丸3総合的な英語力の育成・評価の在り方,丸4経済的な状況や居住地域,障害の有無等に関わらず安心して試験を受けられる配慮について,丸5ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜の順でまとめておりますが,おおむねこれを提言構成の骨格としたいと考えてございます。
 各委員からの提出資料につきましては,丸2,丸3,丸4に関する意見が多く出されておりますので,本日の進め方としては,おおよそ丸1について15分,それから丸2,丸3,丸4は20分ずつ,そして丸5を15分程度に分けて御意見を頂きたいというふうに思います。
 また,なるべく多くの委員に御意見を頂くとともに,委員間でのやり取りも活発に行っていただきたいので,御発言はポイントを絞って,1回3分程度でお願いしたいと思います。
 なお,資料3は川嶋先生から提出いただいたものを束ねたものであり,各回での議論内容を反映しているものではございません。各回に委員の先生方から頂いた御意見と本日の御意見を合わせて,今後,取りまとめの案文をお示しできるような作業を進めていきたいというふうに考えてございます。
 それではまず,総論的事項(大学入学者選抜の在り方と改善の方向性)に対して御意見がございましたら,挙手ボタンを押していただければと思います。資料を提出された委員におかれては,どこの部分で御発言願えるかをお考えいただきながらお聞きいただければいいかと思います。それでは挙手をお願いいたします。
 まず,牧田委員どうぞ。
【牧田委員】
 牧田です。私は総論のところで意見を出させていただいたのですけれども,前々から言っていますように,今この大学入試選抜を改善することは,イコール大学教育改革にもつながるというふうに思っておりまして,是非その部分を明記していただきたいと思っています。というのも,3つのポリシーの先にあるのは,大学の社会的な意義だろうと思っていますので,その辺まで踏み込んで,入試改善が進んでいるということが大切なテーマだろうと思うので,これを挙げさせていただきました。
 それともう一つ,この総論を始め他の項目のところにもありますけれども,このコロナでオンラインの面接を推奨するというお考えがあるようですけれども,やはりコミュニケーションが面接の要諦でありますので,コミュニケーションというのは,知覚をフルに活かすということが大切なので,そこのところをどうやって補うかということが今後の課題として残ると思いますので,そこも明記していただければと思っています。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,柴田委員どうぞ。
【柴田委員】
 福岡県立大学の柴田でございます。私,この項目では2つほど発言させていただきたいと思います。私が提出した文章を御覧いただきたいと思います。まず,先ほど資料の御紹介にもございましたけれども,アドミッション・ポリシーについてでございます。この会議でも, 3Pのうちの特に関連したアドミッション・ポリシーについて,ここにやはりきちんと記載すべきでございますけれども,確かに,認証評価機関での審査の対象になっておりまして,例えば大学教育質保証・評価センターでの昨年度の認証評価,受審7大学中3大学は明確なアドミッション・ポリシーを具体的に書いて記載があったようでございますけれども,4大学につきましては非常に抽象的である,改善の必要があるというような記載が出ておりまして,従来,ともすれば抽象的な望ましい人物像というような観念的な記述にとどまっているものを,更に具体的に記載するという方策を今後取っていかないといけないと思いますし,可能でありましたら,入試改善への具体的な取組を含めて,認証機関の判定事項として取り上げられるような仕組みが積極的な促進策につながるのではないかと考えている次第でございます。
 もう一つは,次は,川嶋先生の記載の6ページに大学入学者選抜の種別による違いと入試の区分による違いというのがありまして,改善に当たっての留意点というので,2つの大学入試の類型,一般選抜と総合型,学校推薦型の役割分担,それから共通テストと個別試験との役割分担がございますけれども,もう一つ加えまして,以前にも指摘させていただきました,受験生が大学を志願して受験・入学に至る各過程のプロセスを分析いたしますと,私の添付資料にありますように,国立・公立と私立の大学セクター間で,一般入試では非常に大きな違いがございますし,推薦入試・AO入試でも,例えばお手元の私の資料を御覧いただきますれば,入学率等々におきまして大きな違いがございます。私は国立・公立に在職しておりましたので,大変驚いているんですけれども,推薦入試でも全員が入るわけではないようでございますし,AO入試の方が入学率が高いというような状況が私学で見られているようでございます。
 それから,この資料,実を申しますと私,10年以上前に一旦集計して発表したんですけれども,このたび平成31年度のデータを用いて改めて集計しますと,ほとんど変わらない指標が大部分でこの黒いところでございますけれども,この10年間で大きく変わったところもございまして,入試は少しずつ変わりつつあるのかなという感じを持っております。
 それから,この点につきましては, 1番目の総論的事項ではないんですけれども,記述式問題に関しての4ページ(通し番号10)のところでも,川嶋先生の資料には,国公立と私学の入試形態,記述問題の作題についても言及・記載がございますので,やはりこれは改善等のお考えの中で考慮に入れておくべき留意点ではないかと御指摘しておきたいと思います。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは次,清水委員どうぞ。
【清水委員】
 ありがとうございます。清水です。資料を提示させていただきましたけれども,総論的事項の3ページ,川嶋先生に御準備いただいています資料の3ページの(2)の意思決定の在り方のところで,ちょっと補足的に申し上げたいと思いました。特に今回,7月から9月にかけて個別入試の実態調査を行ったわけですけれども,このような,ある意味モニタリング的な調査を一定程度継続的に行ってはいかがかということを申し上げたいと思います。特に,経年的に恒常的に調査する項目と,今回の資料2の,先ほど事務局から御説明のあったオンライン入試に関する実態のように特化して調べていくようなものということを併せて,各大学に調査をかけてはいかがかなということを思いました。
 あわせて,優れた取組,いわゆるグッドプラクティスのようなものや,特徴的な取組などについても情報を共有していくような仕組みができないかということを少し補足的に申し上げたいと思いました。
 ひとまず以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは続いて,小林委員どうぞ。
【小林委員】
 小林でございます。私大協としての意見は,第17回で出したものがそれで全てですので,ちょっと補足してお話ししたいのは,総論的事項にしか入れられないと思うんですけども,一番大きな日本の社会についての問題は,やはり18歳人口の減少,少子化だと思います。そのために,選抜という言葉を使っていますけど,一部の大学では全入なんですね。そういう状況もある程度踏まえた書きぶりにしていただければと思います。つまり,場合によっては全部入れた上で,社会人としてしっかり育てるという大学もあるわけなので,その辺の側面を全く無視しては,この18歳人口の減少は乗り切れないと思いますので,よろしくお願いいたします。
【三島座長】  
 ありがとうございます。
 それでは,岡委員どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。5ページの面接試験におけるオンライン化の進展ですが,資料2で説明いただきましたけれども,まだまだ大きな問題があって,実際にやられている大学は少なくて,さらに,2ポツのところに,「多くの大学で面接試験がオンラインで実施されており」というような,この表現がちょっと違和感がありますので,もう少しこれはマイルドに書いていただいた方が,実際には対面で面接をするというのが,我々もベストだというふうに思っておりますので,将来的にはこういうことが中心になるかもしれないんですが,ちょっと表現をこの辺は改めていただいたらというふうに思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 ほかに挙手の方はいらっしゃいますでしょうか。今までに御意見を頂いた部分につきまして,もし何か御意見がございます場合は御発言いただいて結構かと思いますが,いかがでしょうか。牧田委員と清水委員と柴田委員と小林委員,それから岡委員に御発言があったかと思います。何か御意見がございましょうか。
 それでは,特にないようでございましたら,次へ進んでよろしいでしょうか。これから丸2,丸3,丸4というところにかかりますので,先ほど申し上げましたように,20分ずつテーマについて御意見をいただければと思います。それではまず,記述式問題の出題の在り方に関してというところでございますが,御意見がございましたら挙手ボタンをお願いいたします。
 芝井委員どうぞ。
【芝井委員】
 すみません,今日ちょっと用事があって遅れて,欠席予定でしたので,何とか間に合いましたので参加させていただいております。
 1のところのつもりで挙げたんですが,2にも無関係ではありませんので,また,どこで申し上げたらいいか分かりませんので,申し上げてみます。
 この間取りまとめていただいた書類は,基本的にはアドミッション・ポリシーの問題も含めて,大学や学部が入試を行う主体であるということで一貫して書かれているのですが,私は,現状から見ると確かに学部と書くべきところもあるかも分かりませんが,現実の入試は学部単位で行われているとはちょっと言い難いところがあって,やはりここはあえて大学と書いていただく必要があるのではないかと思っています。学域であったり学科であったり,あるいは場合によっては学位プログラムごとの入試が想定されているわけですから,最終的には大学が入試の主体としてという形で取りまとめをお願いしたいというのが私の意見です。
 以上です。
【三島座長】
 分かりました。
 それでは,ほかにいかがでございますか。それでは,益戸委員どうぞ。
【益戸委員】
 ありがとうございます。益戸です。「これまでに述べてきたことの補足」というペーパーを出させていただきました。一言申し上げさせていただきたいと思います。
これは記述式にも,英語試験についても同様ですが,今までの私たちの議論と数々の資料を見ますと,各大学によってその取組には,現状大きな差があるということがよく分かりました。
 その中で,改革を一生懸命頑張っている大学もあるわけですが,やはり改革をしていくためには,いろいろな困難もございますし,それに伴う痛みに対する支援も必要だと思います。
 前回会議で,インセンティブはやらない方が良い。大学はやったふりをする。との御意見がありましたが,この意味するものは,大学入試そのものを改革していく上での後押しをするという意味でのインセンティブです。正に取組や改善の状況を可視化したり,頑張っている大学を応援するという意味でインセンティブの付与という意見を出させていただきました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 それでは,末冨委員どうぞ。
【末冨委員】
 今の益戸先生がおっしゃいました入試の改善を促すためのインセンティブについては,私も必要かというふうに判断しております。前回,両角委員からは,やはり大学教育というのは大学教育の中で改善するものであって,入試とは少し区分された方がということは御指摘があって,それもごもっともではあるんですけれども,この会議の中でも,多くの分野の専門家の御意見の発表がある中で,入試のありようそのものもイノベーションの時代を迎えているということを私も実感しました。そうした技術の進歩ですとか,あるいは試験そのものに対するアイデアが転換期にある中では,多くの大学の創発的な取組をインセンティブをつけながら促していった方がよいかと思います。
 後ほど改めて意見を申し述べさせていただきますけれども,多様な受験生の受入れに際しても,従来の枠組みにとらわれない入試の形のありようというのも出てくると思いますので,そうした大学側の取組に対してはインセンティブをつける方が,恐らくは我が国の入試の進化という意味でも望ましいのではないかと思っております。
 あわせまして,そうした場合に,試験だけではなくて大学教育にもつながるように,私学助成もセットで支援をするというような取組,国立大学法人や公立大学の場合にも,交付金,補助金等の大学教育と入試両方に対しての変革を支えるといった取組も必要ではないかと思われます。
 ひとまず以上でございます。ありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 それでは,清水委員どうぞ。
【清水委員】
 ありがとうございます。清水です。先ほどちょっと資料について言及させていただきましたけども,A4の1ページの3番目のところに,記述式問題についての促進の方策という項目で意見を述べさせていただいています。私は,今回基本的には,この検討会議の中で7月から9月に行われた調査から様々な実態が浮き彫りになったところがとても大きいというふうに考えていまして,その中で気になったこともありましたので,ちょっと書かせていただきました。特に記述式問題については,現在の初等中等教育の教育改革の中で,出題の意議,必要性はある意味時代を超えた部分もあって,一定の共通理解が得られていると思います。そもそも大学入学共通テストでの記述式の問題に関する議論からスタートしたのですけれども,様々な条件から見て,直ちにはそういうのは困難が伴うということで,記述式の入試の問題は,個別入試で充実する方向でという議論だというふうに理解しています。先ほどの調査結果からは,特に選抜母体,国立・公立大学,私立大学という設置主体によっても相当差がありますし,選抜単位によっては,記述式を個別入試で実施すべきだと思いながらも,なかなかそれが難しいといったような実態等も浮かび上がってきています。また,一部選抜単位では,そういう,いわゆる思考・判断・表現に関わるような記述式の評価を受けずに入学する学生が一定のボリュームいるということも浮き彫りになってきました。ですので,その辺のところを踏まえて,個別入試での記述式の問題の充実を重視するような方策を基本に据えるとよろしいかなというふうに思います。下線を最後に引いてありますけれども,参考となる好事例,グッドプラクティスの抽出,これは先ほども申し上げましたけれども,それから,今,末冨委員からも,益戸委員からもありましたが,インセンティブの付与等を推進方策の基本とするのが望ましいという,そういうことを申し上げたいと思いました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 それでは,斎木委員どうぞ。
【斎木委員】
 斎木でございます。どうもありがとうございます。インセンティブといいますか,動機づけといいますか,その必要性に関し,大変多くの委員の方々から御指摘いただいたことを心強く感じております。私といたしましても,他の大多数の委員と同様,記述式問題について,共通テストの範疇での導入とはせず,個別入試における取組を推進していくことが適当であると考えており,その場合には,個別入試における記述式問題の取組を促進するための施策が極めて重要となると考えております。
 各大学の意欲的な取組事例を認める,すなわち可視化するとともに,これをしっかりと支援していくことが,後に続く大学の言わば後押しにつながるということだと理解しております。そ の際,支援対象の選定が恣意的になることのないように,実態調査の結果に基づき,例えばピアレビューなどを経るなどして,客観性を担保した上で,優れた取組を行う大学や学部を特定し,しっかり支援を行っていくことが必要であると考えております。その際には,入学者選抜だけではなくて,入学後の取組と一体的なグッドプラクティスを支援することが極めて重要であるとも考えております。
 なお,ただいまの私の意見は,記述式問題に加えまして,総合的な英語力の評価についても当てはまることを,あらかじめ申し添えたいと存じます。
 どうもありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 それでは,岡委員どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。国立大学協会といたしましては,個別で今まで記述式を課しておりますので,改めて申し上げることはないんですが,1点,国立,国がいわゆる記述式問題に非常に力を入れるということであれば,国,それから大学入試センター,それから大学が一体となって良問をつくっていくという研究を続けていただきたいということを期待しております。
 それから,これは英語のこともそうなんですが,記述式,英語4技能,あるいは両方を含めまして,先ほどありますように,好事例の公表と,是非とも国公私立関わりなく,予算,人的な補助とか支援,そういうところをしっかりしていただきたいというのと,導入が進んでいない大学に時限的に補助するということも考えられたらいいんじゃないかというふうに思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 それでは,渡部委員どうぞ。
【渡部委員】
 ありがとうございます。この文言につきましては,また後ほど精査する機会があるということでしたので,その辺についてはただいまは申し上げません。ただ,この記述式といった場合に,様々な形態,形式が考えられます。極端な場合は2つか3つの単語を書けばいいという場合もあるでしょうし,あるいは小論文を含むこともあるでしょう。その場合に,記述式というのをどういうふうに定義しているのか,どういうタイプが望ましいと考えられているのかということを,この文章の中でどこかで定義づける必要があろうかと思います。言語テストでは,Constructive Response(コンストラクティブ・レスポンス)とSelective Response(セレクティブ・レスポンス)の二つの形式が行われています。前者はテスト受験者自身の言葉を使った解答を求める形式,後者は選択肢から選んで書かせる形式です。例えば,1つの文を書かせるという行為でも何らかの選択肢から選んで書かせるのは後者,一つの単語でも自分の言葉で書かせるのなら前者となります。批判的思考能力を判定することだけが目的ならば敢えて小論文を書かせる必要はありませんまとまった文章であれば,例えば入学試験にたくさんの受験者が来るような場合は採点が無理ということになりますし,どこまで含めるのかということを現実的に議論するために,定義づけ,型の種類の仕分ということが必要になろうかと思います。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございます。
 ほかに御意見ございましょうか。今の記述式のところでは,複数の委員の皆様から,いい取組,グッドプラクティスにインセンティブをつけてというお話がございましたけど,私も大学改革を一生懸命やってきた人間の一人として,やはり大学での教育を通して記述式なり英語の総合力とかという,社会に出たときに役立つようなことはしっかりとやっていかなきゃいけないものだろうと思いますので,やはりそういういい取組については応援してあげるという意見が今多かったように思いますけども,賛成に思いました。
 ほかに御意見いかがでしょうか。芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。以前も記述式のやり取りのときに少し申し上げたのですが,一般入試において,大きな私立大学に関しては,実際に記述式ができないという状況にあります。現在の入試制度が大幅に変わるのであれば,当然可能なんだと思うんですが,例えば私たちの大学でしたら,8万枚ぐらいの国語の答案で記述式の採点をせよと言われると,多分当たっている人間はひっくり返ってしまうと思います。現実的ではないんですね。これが数千枚ぐらいだったら何とかなるのかもわかりません。1日1万枚の答案を記述式のもので一定のレベルを保証しながら採点することはできません。
 何を申し上げたいかというと,私立大学連盟では以前から申し上げていたと思うんですが,本格的に思考力,判断力,表現力を見たいのであれば,もっと早い時期に試験を課して,それを時間をかけて採点していただく必要がある。今回,1月のテストでそれをしようとしたので,記述式なんかとても導入できないということになったんだと思うんですね。ですから,何月かというのは微妙でして,私個人は8月でいいと思っているんですが,8月に本格的な記述式のテストを行うのであれば,これはしっかりと思考力,判断力,表現力を大学が責任を持って選ぶことができると思っています。だけども,短い期間で大量の答案を十分な納得のいく公平で公正な形の採点ができるのかと言われると,はっきり申し上げて無理だとしか言いようがない。その現実があるので,記述式がいいというのは構わないんですけど,あまり現実から離れたことを言ってしまうと,ほとんど実際に担当している人の心に届かないと思います。今回の英語の外部試験や記述式の問題と全く同じことで,大変いいことを言っているんですけども,でも現実には変えられないか,あるいは下手するとひっくり返ってしまうおそれがあると私は懸念しておりますので,是非具体的な最後のまとめのときには,何らかの形でコメントを入れていただきたいと思っています。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,牧田委員の手が挙がったので,どうぞお願いいたします。
【牧田委員】
 牧田です。今ほどのインセンティブの話なんですけれども,グッドプラクティスをやっているところに,御褒美をあげるという言い方は悪いですけれども,応援するという考え方はよいのですけれども,御褒美が欲しいばっかりに本末転倒みたいなことになると,私は天下の大学という組織が何かちょっと情けないような気がするものですから,その辺の順番を間違わないように,是非インセンティブをお考えいただきたいというふうに思います。
 以上です。
【三島座長】
 よろしいですか,ありがとうございます。
 末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 今の牧田委員の御発言に関連しまして,特に文科省の手挙げ式のプロジェクトの審査の在り方というのは,もう少し進化の余地もあろうかというふうに考えております。具体的に申しますと,今の文科省審査というのも,ある程度書類で判定されて,その後に短時間のプレゼンをさせられる場合が多いかなというふうに思っておりますけれども,実は,大学認証評価で訪問調査に携わっている研究者等は,その大学の実態をよく知っている方たちなんですね。書面で書かれているものが本当に実態に即しているかどうかということについては,よく把握しておられます。そうした,現場も知る研究者が入る形でのピアレビュー審査といったものも少しステップとして大事にされると,実態に即して本当に頑張っている大学というものに,大学の知名度や規模に関わらずインセンティブを付与することができるというふうに考えております。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。ほかはいかがでございましょうか。
 それでは,大体20分になったかなというふうに思いますので,1つ先へ進めたいと思います。
 それでは,総合的な英語力の育成評価の在り方に関してということに移りたいと思いますので,御意見がございましたら挙手をお願いいたします。では,末冨委員どうぞ。
【末冨委員】
 総合的な英語力の育成評価については,共通テストでの4技能の評価というものは,やはりフィージビリティーの壁が越えられないということはございました。とはいえ,この検討会議で明らかになりましたのは,大学によっては,4技能の評価というものを,困難は認識されながらも挑戦しておられるということでもございます。
 この際に,英語4技能評価につきましても,先ほどの記述式と同様にインセンティブを付していくことは無論なのですが,特に努力されている大学,先進的な取組をしておられる大学を中心に,大学間の4技能評価についてのアライアンスというものをつくりながら,採点の体制あるいは評価システムの構築といったものも可能な選択肢というものもあろうかと思います。
 大学入試自体が,既に単独の大学の能力で限界に近い状態にある大学さんもあるということはこの会議の中でも指摘したとおりですけれども,特に,どの入試形態,選抜形態にせよ,大学入試の質を保つという意味では,単独の大学の枠組みを超えたアライアンスの在り方というものも提言に入れておくべきかと存じます。
 特に英語4技能評価につきましては,我が国ではまだ技術開発の途上にあるわけですが,大学と民間の連携,あるいは海外の進んだ技術を持つ企業さんや大学さんもありますので,もう国を越えた連携も含めて,広い形での英語4技能の評価といったものを模索するべき時期にあろうかと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。次に清水委員,どうぞ。
【清水委員】
 ありがとうございます,清水です。度々申し訳ありません。総論的事項の1番の,3つのポリシーについての記載が1ページにございます。(1)の丸1の2つ目の黒いポツで,入学者選抜がその役割を十全に果たし,大学と学生との望ましいマッチングが図られるためにはという,ここが非常に大事な文章だと思います。この3つのポリシーが具体的かつ明確に示された上で,その連動性が強化されることは大事であるという,この「連動性」という点について,英語の総合的な力の育成という観点で,3つのポリシーの関係を見直してブラッシュアップしてみることも必要ではないかというようなことを少し考えました。
 資料の2番目のところにちょっと書かせていただいているのですけれども,いわゆる大学の選抜試験自体が非常に多様で,様々なタイプのものがある中で,実施主体の学部とか大学の規模,それから一つ一つの選抜単位ですね,受験者目線で見たときに,どの学部,どの学科を受けようとしているかということで,そこがどんな英語の力を求めているものなのか,それが出口でどんな力を発揮する学生を育成するものなのか,そしてそれがカリキュラム面に反映され,その立場から入試のアドミッション・ポリシーが決まっているというような,そこのつながり具合を明確にするというように,3つのポリシー全般に関わることなんですけど,特に英語のこの問題は様々な議論がありますので,そこを一律にというよりも,その仕組み自体をきちっと整備するようなことを考えてみてはいかがかなというふうに思いました。
 これはまた受験者,そして高校の関係者,さらには当該大学ではない他の大学の関係者,そして広く保護者も含む社会全般にそういうものを見える化して,つながりがちゃんと分かって,だからこの入試の問題になっているんだというところがはっきり形にできるガイドライン的なものがあるとよろしいかなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございます。ほか,いかがでしょうか。
 小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 小林です。まず,何度も申し上げているんですけども,私立大学協会の加盟校も大分,外部の資格試験を使い始めておりまして,多くの大学で活用させていただいているんですけども,何回も議論になりましたように,英国のOfqualのような認証機関というのをやはり国が設けていただいて,それはもちろん利益相反だけじゃなくて,障害を持つ人に対する配慮とかそういったことも全部含めてですけども,認証していただくということで,私立大学の方も安心してそういったものを使えるんじゃないかと思いますので,是非そのような書きぶり,例えば23ページに(意見の一つとして)ちょろっと書かれているんですけど,もうちょっと前面に出して書いていただけると有り難いと思います。
 もう1点はインセンティブの評価,いろいろな方がいろいろおっしゃっているんですけども,私は芝井先生に近くて,やはりインセンティブといっても,大規模大学では記述式の英語の問題もなかなか採点ができないという現状があるので,そうすると小規模大学に有利なインセンティブになってしまうというのは,ちょっと懸念かなというふうに思います。理想はいいんですけども,現実はなかなかそうはなっていないと。
 あとは,インセンティブはいいんですけども,是非パニッシュメントというか,ディスインセンティブは設けてほしくないというのは,私大協の総意です。よろしくお願いします。
【三島座長】
 ありがとうございます。ほか,いかがでしょうか。
 委員提出資料,吉田委員からは英語のこの部分を頂いていますが……,挙げていらっしゃる。では,お願いいたします。
【吉田委員】
 ありがとうございます。このたびもいろいろと資料を集めていただいてありがとうございます。基本的に私は,「総合的な英語力」という言葉に変えていこうということには大賛成です。ただ,なぜそういう話が出てきたかというと,結局4技能というものをバランスよく学ばなくてはいけないと言われている中で,それが学べていないというか,測られていないという現状が,大学入試の問題にあったので,この4技能試験の導入という話になったのだと思うのです。
 よく,「話す」「書く」が大事であって,今の高等学校の教育で十分だ的なお話もありますけれど,果たして本当にそうなのかどうかなのです。実際に今年の春に大学受験をした子供たちは,中学校入学の段階で英語4技能という表現がうたわれていました。そして,それ以前に学習指導要領では,完全に英語4技能と言われてきていたわけです。にもかかわらず2技能しかセンターで判断できないというか,そういう部分があるので,それでは4技能をやるためにやむを得ず外部の資格検定試験を使おうという話になったのではないかと思います。
 それをこれから先どうやっていくのか。私の今日の意見書にも入れましたけれども,4技能というものを言うのであれば,やっぱり何らかの方法を考えなくてはいけないのだと思うのです。この4つの技能がばらばらにあるような印象を変えるためには,例えばセンターテストが,「話す」「書く」ができなくても,それを何らかの形で読み取れるような2技能の試験をやっていくのか。それとも,今までどおりでやるのだとしたら,もうこれは記述式の問題も含めて今までの踏襲であって,高大接続改革の意義も何もなくなってしまうのではないかと思います。
 益戸委員の意見書と私とは,ある意味似ているところがあると思っています。産学協議会では,外国語コミュニケーション能力は文理問わず必要だと,そういったリテラシーとして合意されているわけであって,そして社会に出てから「話す」とか「書く」という力を含めて必要である。これが不足しているのが現実なわけです。それをやっぱりしっかりと高校段階以下からやり始めようというのが,この4技能を測ることによって入試が変われば高校以下の教育も変わるという1つの部分であったのではないかと思っています。
 ただ,この英語資格検定試験には,地理的な問題とか経済的な問題で公平性とか公正性が欠けるというようなことが言われているわけですけれども,実際にこれまで既に中学,高校で利用してきた,そして大学とか留学で,また就職等で必要だということで,この4技能試験が定着しているわけです。特に東京都などは今,現実にこの外部検定試験を受ける補助も出ています。高校生が外部検定を受けることに対して,1万5,000円まで補助金が出るような体制もできています。そうすると,生徒がそれまでに培った成果を入試でも評価されるということは,私は,子供たちにとってはメリットでもあるとともに,ある意味権利なのではないかと思います。一般入試では資格検定試験を積極的に活用する大学が,国公私を問わず増えてきているのも事実だと思います。そして,これを今になってもし否定するのだとしたら,今までの4技能試験は一体何になるのか。そして,各大学でアライアンスをつくって4技能の試験をつくるというぐらいの余裕が,今あるのでしょうか。あるのだとすれば,もちろんそれをしていただければ,私はいい試験になると思います。でも,海外の大学に直接入れる試験もあるわけですから,そういったものを大学で選んでいただいて,この語学検定試験というものを生かしていただければというふうに考えております。
 私は,1つだけ,今考えなくてはいけないと思っているのですが,令和6年からの入試の頃には,かなりいろいろな状況が変わっているのではないかということです。実際にこの会議がスタートした一昨年の11月以降,今回の川嶋先生の中にも入っていますけれど,コロナの問題というのが入っています。当初は,このようなことは発生していませんでした。そして,令和6年までこのコロナがもし引きずっているのだとしたら,大変なことになってしまうと私は思います。そういう意味でもやはり,オンラインというものが今回のこのコロナによって一気に広がったわけです。そして,公立私立を含めて,高等学校というのはGIGAスクールには入っていません。そういった関係で,高校はオンラインが難しいとは言っていますけれども,実際にもう小中でここまで進んできたら,高校も進む,必然的に大学入試にもオンラインというものが,単なる面接とかいう問題ではなく,試験の公平性・公正性という部分で,ペーパー部分がオンラインにということも起こるのではないか。つまり,4技能試験等もそういう形でCBT化されることがどんどん早まるのではないか,そういうふうに考えています。ですから,是非,子供たちが今,既に学んでいることをなしにするような改革を進めない,そういう制度にはしないようにしていただきたい。
 ちょっと長くなって恐縮ですが,よろしくお願い申し上げます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 ほかに,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,先へ進んで,もし時間が残れば,また改めて戻ったところの御質問もいただける時間があればいいなと思いますが,取りあえず進めさせていただきます。
 次は4番目。経済的な状況や居住地域,障害の有無等にかかわらず,安心して試験を受けられる配慮についてというところに関して,御意見を頂きたいと思います。挙手ボタンをお願いいたします。
 末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 前回までの意見書に書き足す形にさせていただいておりますので,恐れ入りますが,私の意見書の方を御準備いただければと思います。
 これまでも,特に多様な背景を持った学生の受入れへの配慮について様々申し上げてまいりましたけれども,本日は青のマーカーの部分を追記してまいりましたので,まず4ページの方に飛んでいただいてもよろしいでしょうか。
 4ページになりますが,1つ追記させていただきたいのが,特に障害のある学生の高等機関の在籍者数については,アメリカやイギリスと比較しましても格段に低いということが,本検討会議の基礎資料にもありますので,このファクトを重く受け止める必要があるかと思います。
 開催の有無については議論が分かれておりますが,我が国がパラリンピック開催国になるということの意義は非常に大きく,この2020年,そして2021年の経験を踏まえて,あらゆる学生に開かれていく大学でもあり,国でもあるということについて,もう少し障害を持った学生を特に重視しながら進めていく必要があろうかと思います。
 それから,その次ですけれども,6ページまでお進みいただけますでしょうか。
 6ページですが,先ほど武藤企画官の方から,受験料等の貸付についてはレビューがあったのですが,全くもって現状の支援は不十分でございます。それは前回の会議でも申し上げましたが,現実に進学断念層が発生している状態です。コロナの中では,今年度行われる入試はより深刻化するはずです。
 であればこそ強くお願いいたしたいのは,当面の措置等で当然受験料が対象になっているかということについて,厚労省と連携して把握は行っていただきたいんですけれども,必要な指導通知,それから受験生や保護者への情報提供を,高校さんだけではなくて,予備校あるいは受験産業の協力を得て,あらゆる手段で行っていただきたいと思います。文科省関係のSNSも総動員していただきたいなと思っております。
 あわせて,育英会時代の奨学金が都道府県に移管されているんですけれども,その部分は各都道府県に働きかけを頂いて,貸付制度だけでも何とかつくっていただけないか。願わくば全都道府県で,受験生に対して,特に低所得層には給付ができれば最もいいかなと思っております。
 私自身も,この問題は制度改善に向けてかなり調べましたけれども,現行の高等教育の無償化の改善というものが少し難しいということも承知しておりますので,国と地方,両方の御努力で穴を埋めていただきたいというふうに考えております。
 9ページに進ませていただきます。この点も,9ページの(5)の青マーカーですが,障害のある学生の大学進学支援ですけれども,ここに引用しておりますように,障害のある学生への合理的配慮というものは,提供者側の負担にも配慮した概念とはなっていますが,先ほど申し上げましたように,我が国全体の障害者の大学進学率がアメリカやイギリスと比較して格段に低いということについては,やはり我が国での取組が不十分ではないかという懸念を強く持っておりますので,インセンティブの話とも絡みますけれども,入試を受けやすくする,そして大学教育の支援も含めてということを改めてお願いできればと思います。
 それから,10ページの方に進ませていただきまして,併せまして,設置形態を問わず,特に私立大学についても合理的配慮の提供が義務化される見通しでありますが,日本大学は実はかなり配慮を行っている大学なんですけれども,それでもいろいろな障害を持った学生が入学したり,あるいは入学を希望しようとしたりする場合に,一体どのような支援が必要なのかということについては,是非とも,実態調査も必要なのですが,国としての支援もお願いしたいというふうに思います。
 丸6は再掲の内容となりますので,飛ばさせていただきます。
 その少し下になりますけれども,先ほども申し上げましたがインセンティブの話です。特に障害を持った学生や,あるいは本日,基礎資料の方で御案内のとおり,日本語指導が必要な高校生のそもそも実態把握が不十分な上,進学率が42.2%というのは恐らく生活保護世帯と同水準の進学率の低さになっておりますので,これらの学生に対して進学の支援,あるいは入学後の支援を行うような取組については,特に財政的なインセンティブを付与していくべきであろうと思われます。
 あわせて,10ページの下から11ページにかけての内容ですけれども,入試実態調査を通じて明らかになりました多様な受験生に対する支援制度については,大学での取組を促進する場がありますとともに,特に受験生の情報がなかなか届きにくいということなので,情報の非対称性を解消する観点から,男女在籍比率,それから障害学生やエスニックマイノリティー,貧困世帯の学生の比率等はこれまでお願いしてありましたけれども,法改正の見通しを踏まえまして,合理的配慮の提供状況については,各大学が取り組みやすいものに絞った上で,できるかどうかということを大学として発信していただきますと,学校選びに非常に役立ちます。
 障害を持つ学生やその保護者の方からは,大学に一々問合せをしないと,何ができて何ができないのか分からないと。その手間暇自体が,障害を抱える御家庭にとっては大変な社会的なバリアになっておりますので,是非ともこの点の情報公開を促進いただきたく存じます。
 少し長くなりましたが,以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,川嶋座長代理,お願いします。
【川嶋委員】
 川嶋です。末冨委員の今の御発言に関連したコメントをさせていただきたいと思います。
 1点は,障害を持つ学生の数等についてです。私も3年ほど前に,高等教育における多様化という論文を書くに当たってアメリカの実態も調べたところ,末冨委員のペーパーにあるように,桁が全然,日本とアメリカでは障害を持つ学生の数が違うということが分かりまして,恐らくアメリカやイギリス同様,今後増えてくるだろうということは予想しておりますので,今御指摘があったように,情報提供,情報公開,あるいは,これは以前,柴田委員の方からも御発言があったかと思いますけれども,合理的配慮に関するガイドラインというものを,是非JASSOの方で整備して公表していただきたいというようなこともありましたので,その辺りの手当が必要だということ。
 もう1点は,進学前の支援についてですけれども,先ほど武藤企画官の方からも生活福祉資金貸付制度などがあるという説明がございましたが,私が考えているのは,今,各学校にスクールソーシャルワーカーというのが順次配備されております。現状ではフルタイムというのはなかなか難しい状況のようですけれども,進学前の貧困家庭等の生徒さんたちについては,スクールソーシャルワーカーも進路指導の先生と一体的になって,こういう奨学金あるいは借入金があるということを十分アドバイスするということも,今後進めていけたらいいかなというふうに思っております。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。私は2つ発言させていただきます。まず,川嶋先生の27ページにございます,柴田提出の補足意見では3の1),高校会場の拡充についてでございます。これは地理的な不利を解消する1つの対応策なんですけれども,調べてみますと,高校会場に性格が2つあるようでして,1つは大都会の大規模大学では,受験生の数に比べて学内に教室が足りないということで学外に出るという,これはさほど大学の負担はないんですけれども,もう1つ,本当に必要なのは離島とか遠隔地にいる高校生なんです。この学外試験場は受験生にとっての恩恵は非常に大きいんですけれども,その反面,担当なさっている大学の負担というのも,また非常に大きいわけでございます。人員の配置とかセキュリティーの問題とか,突発的な事故が起こったときにどう対応するのか,過去にもいろいろそういう事例がございます。
 ということで,これは大学の職員,教員だけで担当するというのは限界もあると。今後更にそれを拡大するためには,是非,川嶋先生のところに書いておられますけども,地域ごとに高校と大学との間で連携を取っていただいて,私の文章の最後のところに書いてありますけれども,日本の従来の試験文化でタブー視されておりました,大学入試に高校の先生とか退職教員が参加できないという禁忌というのを,是非,高校生の恩恵の観点から考え直していただけないかと。そうすると随分と事態は展開するのではないかなと考えておりますので,この機会に,連携協議会のあたりで合意を取っていただければと思っております。
 それからもう1点でございますが,先ほどから認証評価につきましても,それから大学の就学支援につきましても,いろいろなものが今,実施されているわけでございますけれども,対象者がどこの大学でどういう具合なことをやっているかというのを実際に検索するのが非常に大変でございまして,1つにはそういう支援自体の実施を促進するということがございますので,本日,最初に資料の提示がございましたけれども,高等教育就学支援制度の機関認証の記述ポイントとして,先ほど御紹介がありました入学者の受入れに関する方針の概要というのは一番分かりやすいんですけど,もう1点,この機関要件の中に,「大学等が行う学生の就学進路選択及び心身の健康等に係る支援に関すること」という項目がございます。
 こういう関係で,是非,この欄等に入学者選抜改善への取組,及び入学・進学希望者の支援に関しても,各大学での具体的な支援体制の記述を入れていただければ,進学希望者にとって非常に役立つことではないかと思っております。それからもう1点,更に追加して,川嶋先生の29ページの下の方にございます入試情報の公表でございます。
 これを高校生にどういう具合にアクセス,広報するかというので,1点,これまであまり言及されていなかったんですけれども,各大学,それから先ほどの対象機関になっているところと,現在,国公私立大学で大学ポートレートシステムというのが構築されております。
 これは皆さん御承知だと思いますけれども,検索機能がついておりますので,キーワード等々で支援対策の具体的なものが検索できるわけでございまして,各大学でのその内容を一覧で出そうと思えばできるシステムになっております。是非この総覧性,それから閲覧者にとっての利便性も考えて,このシステムの,進学希望者への周知,それから高校の先生方の進学指導,先ほどスクールソーシャルワーカーの話もございましたけども,そういうものに積極的に活用していただければと思います。すなわち,大学での対応を推進すると同時に,大学で実施している支援体制が具体的に明確に把握できるシステム,既にあるこれらの活用等々の推進も促進していただければと思う次第でございます。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,ここで大臣が公務のため御退席になりますので,もし,ここまでの議論を聞かれての御感想などがございましたら,大臣からお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 大変熱心な御議論を頂きましてありがとうございます。
 それぞれ先生方のお立場も異なりますから,これからいよいよ最終的なまとめに入るに当たりまして,全ての皆さんが全会一致でという方向性を示すのはなかなか難しいものが当然あると思います。しかしながら,最大公約数で,子供たちにとって,また大学の将来にとって何がいいかということは,多分共有できるところもあるのだろうと思いますので,座長,座長代理を始め委員の皆様には大変御苦労をおかけしますけれども,国民の皆さんが納得をし,よりよい制度が構築されたという評価をいただけるような結論を導いていただけますように,引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 途中で失礼しますが,鰐淵政務官が引き続き参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
                          (萩生田文部科学大臣退席)
【三島座長】
 それでは,続けさせていただいてよろしゅうございますか。
 岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。障害者に対する配慮というのは当然だと感じておりまして,国立大学はできるだけ受け入れるようにというようなことも文部科学省から通達がございます。ただ,先ほどのいろいろなことを採用しても,やはり直接お話をして,いろいろな状況,状態を把握しないといけないということもありますので,両方必要なのかなというふうに思いました。
 それから,末冨委員から出されている性的な指向,それからマイノリティーといいますか,そういうところに対する配慮,それから男女比等々でありますけども,大学によってできる範囲でというようなお話もありましたけど,私は国大協を代表しておりますけども,山口大学ではもうSOGIのガイドラインとかいろいろつくりまして,いろいろな配慮を今しています。ただ,入学するときにこの辺りを,大学では入学したらこういうことをしているということですけど,入学時の把握というのは非常に困難でありまして,ここをあまり,入学前に調べるとか調査するとか,そういうことはちょっと難しいのかなというふうに感じております。
 それから男女比についても,最近は男女を記載しない大学もだんだん増えていまして,先日医学部の問題がありましたので,医学部については記載をしているのですが,それを全くしていない大学も増えています。男と女の差というのを,もう実際には出さないと。こういうことをどういうふうに考えていくかということは重要だと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。末冨委員の資料には若干触れられている点なんですけれども,地域的な問題,それから経済的な問題,それから障害の問題,これはそれぞれ大変大事で,それを実質的な公平性という観点から対応を求めるということかと思うんです。
 ただ,少し触れられておりますエスニックマイノリティーの問題というのは,実は日本ではあまり大きく取り上げられないんですけど,世界的に高等教育における差別の問題の中で一番大きな問題だろうと思うんです。現在では,それはあまり見えてこないのかもしれないけど,間違いなく日本の社会の将来を見た場合に,日本に居住する外国人とその子弟子女の高等教育の問題,高等教育だけではない教育全般の問題なのですが,特に高等教育に関して言うと,彼らの高等教育の保障の問題というのはすごく大きな問題になると思います。ですから,何かの形で少し積極的に触れていただく必要があるのかなと思っていますので,それだけ意見として申し述べます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 それでは斎木委員,どうぞ。
【斎木委員】
 斎木でございます。ありがとうございます。今,芝井委員からも,いわゆるエスニックマイノリティーへの配慮についての御発言がございました。私も,日本に定住する外国人の子供が適切に就学し,社会で生きていくために必要な学力を身につけることは,非常に重要な問題であると認識しております。
 この会議における発言でも複数回言及いたしましたけれども,持続可能な開発目標(SDGs)の観点が極めて大切であるということを改めて指摘したいと思います。
 できる限り多くのエスニックマイノリティーの人たちが,高等学校,さらには高等教育段階に進学することを可能にするために,行政やNPO等からの支援の充実,さらには保護者の意識啓発などが求められていると考えております。
 その際,エスニックマイノリティーは集住する傾向にございますので,国だけではなく,都道府県や自治体の役割も大きくなると考えます。
 このため,関連施策の充実を図る前提として,まずは母国語別の高校進学率,大学進学率,関係国の在外公館等と連携した啓発事業,外国にルーツを持つ学生の特別選抜等の実施状況について,きちんと実態調査を行い,その結果を踏まえて検討を行うことが重要ではないかと考えております。
 なお,このうち,外国にルーツのある学生への特別選抜については,既に幾つかの大学で先行事例があるとも承知しております。国として,こうした取組にインセンティブを付与するなどして奨励することも大変重要ではないかと思います。もちろんその際,入学後の学修や卒業に必要な学力の把握についても,併せてしっかりと行っていくべきと考えます。どうもありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 ありがとうございます。先ほど岡委員の方から御指摘の事項は,私も公表が望ましいとは考えているんですけれども,幾つかの前提条件を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず,特に性別ですとか,あるいはジェンダーマイノリティーもそうなんですけれども,性的な多様性にどこまで配慮するかという問題がございますが,まるっきり公表しないということは,既に今,日本の大学自体が深刻なジェンダーアンバランスの状態にあるわけですよね。特に女子の四大進学率は劣位であり,地方ほど低いということがございますので,ジェンダーバランスの改善のために,在学者の側に協力を求めるということが大事かと思います。その際に,ジェンダー多様性というものにも配慮するということが必要になろうかと思います。
 公表の在り方につきましては,全大学で公表してくださいということを最初から強要するというのもどうかと思っております。何事も拙速を避けるということは入試改革の貴重な教訓の1つであろうと思いますので,学生の側にまず目的をきちんと明確にすること,例えばエスニックマイノリティーですとか,障害を持っているかどうかということについても,多様な学生を大学に受け入れたいからこそ聞いているという前提を,しっかり学生に明示した上で協力を求めることが重要であろうと思います。
 もちろん,この手の調査というのは回答しない自由を保障することが非常に重要ですので,回答した学生が何%かと。その中でどのような状況にあるのかということについて,例えばですが,まずは全体データとして公表していく。あるいは分野別にまとめたデータとして公表していく。あるいは,個人が特定されないようにするためには,少し規模の大きい大学,例えばですが学生総数が3,000人以上,5,000人以上等の大きな大学で,個人が特定されにくいような条件を検討しながら,公表の在り方も考えていく必要があろうかと思います。
 とはいえ,私自身は子供の貧困対策の分野で,見える化・指標化というものの重要性を認識しておりまして,皆さん方の2000年当時を思い出していただきたいのですが,2000年当時,日本には貧困問題はないとまで言われておりました。その後,議員立法を経まして,今2020年ですけれども,この会議においても子供の貧困対策というものはきちんと見える化され,特に経済的に劣位にある,あるいは児童養護施設の子供たちも含めて進学上の困難を抱えていることが認識された結果,高等教育の無償化に結びつき,さらなる改善を目指せる状態になったわけです。
 つまり,指標化し,見える化し,問題を共有していくこと自体が改善につながるという意味合いがございますので,趣旨,それから目的というのは大学生であれば十分に理解できるはずですので,大学生の側に目的を共有しながら協力を求め,大学と学生とが合わせて多様なキャンパスを創り上げるということが重要かと思われます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは吉田委員にお願いいたしますけれども,これでいろいろな状況があって安心して試験を受けられない人たちへの配慮というのは最後にさせていただいて,最後の丸5に進みたいと思いますので,吉田委員,よろしくお願いいたします。
【吉田委員】
 申し訳ございません,私も今,全く同じ発想で,実はマイノリティーの問題とか本当に大切な問題だと思うのですが,今回のこの会議の目的,やはり英語4技能の在り方,記述式の問題の在り方,そして経済的な状況や居住地域等の障害の有無等にかかわらず安心して試験を受けられる配慮,そういったことを早く決めないと,令和6年度の入試という意味で問題があると思っています。
 そこで,是非センターの方のお話を伺いたいのですけれど,本当にセンターがこの英語の4技能試験をどういうふうにできるのか,そして記述式問題がどういうふうにできるのか。先ほど芝井先生のお話にあったように,本当に各大学で何万人もの小論文というか記述式問題を読むということになれば,前倒しというような表現が使われる状況に置かれなくてはいけないかもしれません。
 それから,英語4技能,総合的な英語力を判断しようとすれば,やはりこの4技能試験みたいなものとなると,1月のセンター試験で50万人が一斉にできるということは不可能になります。
 是非,その辺のところを踏まえて,センターとして今後どこまで持っていけるという目安があって,この会議が進んでいくのかも教えていただければと思いますので,あえてお話しさせていただきました。
【三島座長】
 分かりました。私も山本理事長に一度お話を頂きたいと思っておりましたので,次の丸5のウイズコロナ,ポストコロナの部分を少し御意見いただいたところで,理事長に少し今のことも含めてお返事をいただければというふうに思います。
 それでは丸5につきまして,委員の方から御意見がございましたら。いかがでしょうか。
 萩原委員,どうぞ。
【萩原委員】
 萩原です。私の方から資料を1枚出しております。今年度の大学入学者選抜を終えてということで,2ページ目になりますが,先日4月28日に文部科学大臣宛に出させていただいたものです。各県の各校長先生方から頂いた意見を集約したもので,1番から6番までの意見ということで上げさせていただいております。
 この後,大学入学者選抜協議会等々で,次年度に向けての話を頂く形になるかと思いますが,高等学校側としては,この1から6のような観点で,今後もお願いできればと思っています。
 それに関連してということで,1ページ目の横型の表になりますが,その中で,特にオンライン面接等の推進に関してでは,やはり高校に関しては,環境整備が地域間の格差がまだまだあるということ,その辺りを踏まえていただけると大変有り難いと思っています。
 また,先ほど柴田先生からお話もありましたけれども,各大学の入試情報の公表という部分,試験問題や正答例,出題の意図,受験状況などのデータ等の公表をしていただくと,今後の生徒指導においても高等学校では役に立つと思っています。
 あともう1点,ちょっと前の方に戻ってしまう部分ではありますが,英語の4技能についてです。そこに挙げておりますが,今まで私が話をしてきている内容,個別試験で検定試験結果を活用しようということを考えるのであれば,各大学が自校のアドミッション・ポリシーに基づき,事前に活用方法や評価方法等を明確に示す説明責任が伴うだろうということ。受験生にとって合理的な理由のある活用を望むということです。
 今,吉田委員の方から,大学入試センターとしてどうなのか,お話を伺いたいということがありましたが,私も,今後の方向性ということでは伺えればと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。ほか,いかがでございましょうか。
 それでは,ちょっと挙手も途絶えておりますので,山本理事長に,今までのお話も含めての御感想なり,回答なりをいただければというふうに思います。よろしゅうございましょうか。
【山本オブザーバー】
 分かりました。いろいろと御意見いただいたようですが,今後の方針ということで,センターはどう考えているのかということでありますが,今後の方針は,基本的には,この検討会議を通じて国の方で決められるような方針に従って我々はやるということであります。
 そのための材料としまして,これまでもこの検討会議で3回,実は今,いろいろ吉田委員,それから萩原委員がおっしゃったことについては,もうセンターの考え方というものを申し述べております。
 まず第18回の会議,去年の11月27日であります。このときには,この記述式問題の導入あるいはスピーキングテスト,あるいはライティングテストといった試験を実施することについては,実施上の課題が,なかなか乗り越えることのできないハードルがあって困難であるという説明を,まずさせていただきました。
 それから第24回の会議でありますが,これは今年の4月2日です。その前の週の3月24日に公表いたしました,令和6年度の試験,6年度にやる7年度試験ですね,このときの出題科目等についてのセンターとしての考え方,結論を説明させていただきまして,その中で,この検討会議の結論を踏まえ必要な対応を行うとしつつも,英語の試験形態は現行と同様に問題冊子,マーク式回答用紙,並びにICプレーヤーを使用して実施する方式とするということを既にお示しさせていただきました。
 更に第25回会議,これはその次の会議で4月20日でありますが,令和3年度共通テストの英語の問題,これは共通テストになって,それまでのセンター試験と同じような英語の出し方をするのかというようなことについての話であります。
 先ほど吉田委員の方からも,今回の改革の目的というのは思考力・判断力云々といったことをもっともっと重視したような教育を高校でもやっていかないといけない,それを踏まえて,入試もそういったものを見る必要があるというようなことがございました。そういう意味では共通テストの問題作成方針の中でもいろいろなことを言っておりますから,もう一度読んでいただければよろしいかと思うのですが,英語に限らず,共通テストの問題作成方針の中では,知識の理解の質を問う,これはもちろんでありますが,これにプラスして,思考力・判断力・表現力を発揮して解くことが求められる問題を,これまでもやってまいりましたが,これまで以上に重視していくということを示しているわけです。
 それから英語の問題につきましても,試験問題の読解あるいは聴解を通じて,また,その正答を導く過程で,言語の働きなどの知識が十分に必要となるような問題が出題されているということについて説明をさせていただきまして,そういったことについての外部評価等の御意見も参考に示させていただいたところでございます。
 従いまして,センターとしては,この記述式並びに英語4技能―,4技能という言葉は,私個人的には,これは先ほど吉田委員もおっしゃったように総合的力と言うんでしょうね,4技能というと,どこからどこまでがどの技能かというはっきりした区別もないわけですから。
 そういう意味で,これについては,先ほど申し上げました令和7年度試験以降については,形態としては現行と同様の問題冊子,マークシート式回答用紙,並びにICプレーヤーを使用して実施する方式とするということについての考え方が,センターの考え方です。
 もちろん,この検討会議でそれはまかりならんということであれば,御意見をいただければいいと思うのですが,当日,4月2日の会議でお話ししたところ,あるいは高校団体,大学団体からも,特段に今のところ御意見を頂いていないという状況でございます。
 三島先生,こんなことでよろしいでしょうか。吉田先生も,今言ったようなことで回答になりましたでしょうか。
【吉田委員】
 いや,大変申し訳ないのですけれども,総合的な英語力というのは理解できるのですけれど,そうすると,実際に例えば海外のTOEFLとかですと,4技能をそれぞれ別々に評価されて総合点が出ますよね。
 センターでは当初,それができないために外部検定試験を使うという話であったものが,今回,外部試験が駄目だと言われたからには,センターで2技能を基本として,総合的な英語力が1日の試験で測れるということをおっしゃっているというふうに受け取ってよろしいのでしょうか。
【山本オブザーバー】
 十分であるとは思っておりません。もちろん,吉田委員がおっしゃるように十分であるとは思っていませんけれども,50万人を対象に一斉にやる試験ではそれが限度だろうということを申し上げているわけです。
【吉田委員】
 そうすると,生徒たちが学んできた4技能を大学がきちんと評価してくださるということのためには,センター試験ではなくて各大学にやってくださいよということになるのでしょうか。
【山本オブザーバー】
 全てそういうふうに言うわけではございませんが,現在の大学入学共通テスト,大学入試センターが大学と共同して実施する試験というのは,大学入学者選抜の一部であります。この共通試験というのは。だから,そこでどうしてもできないことについてはそれぞれの利用大学で改めて考えていただかなければやむを得ないのではないかというふうには思います。
【吉田委員】
 ということは,やっぱりできないということですね,センターでは。
【山本オブザーバー】
 できないと,我々はそう言っております。ただ,問題を作ったりすることは可能かもしれません。
【吉田委員】
 問題を作ったりというのは,それは……,ああ,スピーキングとかのことですか。
【山本オブザーバー】
 そうです。ライティング,スピーキングの問題を作ることは可能かもしれませんが,それをあの限られた時間の中で採点してということについては,やはり記述式の国語・数学での問題になった問題というのは生じるというようなことを11月27日の会議で申し上げました。
【吉田委員】
 分かりました。
【三島座長】
 理事長,どうもありがとうございました。
 それでは,また委員の方から少し御意見をいただければと思いますが,ウイズコロナ,それからアフターコロナについてのところで,何か御発言ございますでしょうか。
 よろしいですか。そうしましたら,まだ時間が10分弱ございますので,全体に,元へ戻っても結構ですので,何かこれだけは申し上げておきたいという。
 小林委員の手が挙がっておりますが,いかがでしょうか。
【小林委員】
 ありがとうございます。医療系の学部のディプロマ・ポリシーを考えるときに,やっぱり国家試験というのは外せないというお話を以前しまして,それで柴田委員から,国家試験に英語の問題を出したらどうかというような御意見がありました。
 よく考えてみたんですけども,医学部と獣医学部,それから薬学部,これらは大学にしかないんです。しかし,看護師さんとか臨床検査技師,PTとかOT(理学療法士とか作業療法士),これらに関しては専門学校があるんです。かなりの部分,専門学校の方々も受験をしているので,専門学校に英語の負担を負わせるのはちょっと無理だと思いますので,一律にそういう形にはなれないと思いますので,その部分の発言は撤回させていただければと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。ほかに,それでは前に戻っても結構ですが。
 芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。どんなふうに書くのか難しいんですけれども,確かに私,何度か申し上げたように,英語の4技能は大事なのかもしれませんけれど,やっぱり,なぜ英語なのかということを突き詰めておく必要がある。
 1つは,大学教育というのは高等教育なわけですが,世界中を見ていただいて分かるように,母語で高等教育ができる国というのは多数派ではありません。私たちは,恐らくこれは江戸時代からそうだと言ってもいいと思いますが,直接的には明治以降の近代化の中で,多くの言葉を母語にしながら,つまり日本語に翻訳しながら学問の体系をつくり上げてきたわけです。それに対する十分な教育ができなければ,幾ら英語ができても仕方がないと私は個人的には思っています。
 ですから,母語で高等教育ができる国であるということをはっきり認識した上で,でも英語は大事だという議論を,是非していただきたいと思っていますので,それだけ一言申し上げます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは萩原委員,どうぞ。
【萩原委員】
 先ほど柴田先生からお話がありました高校会場の問題に関してです。
 これに関しては,例えば公立の学校でいえば都道府県の教育委員会が設置者ということで,学校の施設管理ということもありますので,必要に応じて大学入試センターと,現状で今も高校会場を使っている学校,高校会場として共通テストを実施している部分がありますので,大学入試センター,また教育委員会等とお話をいただければと思っています。
 もう1点,お話が出てきました監督者の問題について,今後どうしていくのかという部分でのお話ですが,なかなか,目の前の指導をしている生徒がいる,その生徒に対するところでの監督をしていくということの難しさ,そこのところを今後どういうふうに考えていくのかということは大きな課題になるだろうと思っています。その辺りにつきましても,大学入学者選抜協議会等々で今後検討していかなければいけない課題かもしれません。
 私の方からは以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,ほかにございますでしょうか。
 挙がっていますね。どうぞ。
【川嶋委員】
 川嶋です。これまで何回かに分けて論点整理をさせていただきましたけれども,1点,意図的に明記していなかったのが,この会議の初めでも議論になりました,1点刻みの入試からの脱却ということでは,入学定員が非常に大きな足かせになっているのではないかという御意見があったところでございますので,最終案に,この点については教育の質保証との関連もあるので,大学分科会の方で議論をお願いするという点を明記することとし,この会議ではひとまず収まったというふうに理解しております。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。ほかはよろしゅうございましょうか。
 ほぼ時間になりましたので,もしよろしいようでしたら,長時間にわたりいろいろな御意見を頂き,ありがとうございました。本日の検討会はここまでとさせていただきますが,次の予定等,もし武藤企画官から何かございましたらどうぞ。
【武藤高等教育局企画官】
 次回の会議の具体的な時間,日程につきましては,先生方の日程を調整の上で御連絡を差し上げたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 それでは,今日は本当にありがとうございました。ここまでとさせていただきます。

―― 了 ――



 

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