大学入試のあり方に関する検討会議(第25回)議事録

1.日時

令和3年4月20日(火曜日)15時30分~18時

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 令和3年度大学入学共通テストについて
  2. 討議 4技能による総合的な英語力評価のあり方について
  3. 討議 経済的な状況や居住地域、障害の有無等にかかわらず、安心して試験を受けられる配慮について

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、荒瀬委員、斎木委員、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員、牧田委員、吉田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

萩生田文部科学大臣、丹羽文部科学副大臣、伯井高等教育局長、森田大臣官房審議官、西田大学振興課長 他

5.議事録

【三島座長】
 皆様,こんにちは。座長の三島でございます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。それでは,ただいまから第25回大学入試のあり方に関する検討会議を開催いたします。
 今回も,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,ウェブ会議方式での開催となっております。音声などに不都合はございませんでしょうか。
 本日も,傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開とし,後日,議事録をホームページに掲載することとしたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。
 それでは,特に反対がないようでございます。それでは,よろしくお願いいたします。
 それでは,事務局から何かございましたら,どうぞ。
【武藤高等教育局企画官】
 本日の御出席の状況ですけれども,吉田委員が途中で御退席になる御予定でございます。
 前回までと同様に,聞き取りやすい御発言と資料参照の際のページのお示しをお願いします。また,ハウリングを避けるために,指名後のミュート解除,発言後のミュート戻しなどよろしくお願いいたします。
 以上です。
【三島座長】
 それでは,議事の最初,1番目でございますが,令和3年度大学入学共通テストについてです。第1回共通テストの評価について,これまで渡部委員,島田委員,清水委員から御発表いただいたところでございますけれども,本日は,これまでの委員からの御要望等を踏まえ,山本大学入試センター理事長から資料を提出いただくとともに,令和3年度大学入学共通テストについての関連記事及び令和3年度大学入学共通テストについての大手予備校等の分析を机上配付してございます。
 まずこれらの机上配付資料の取扱いについてお諮りいたします。委員の皆様には,資料本体を配付していますが,著作権の関係等もありますので,本検討会議運営要領第4条の規定に基づき,表紙と目次のみ公開とし,それ以外は非公開としたいと思いますが,よろしいでしょうか。よろしければ,挙手ボタンを押していただければと思います。挙手ボタンです。
 全員同意していただきましたので,そのように取り扱います。
 それでは,大部の資料でございますけれども,ある程度の余裕をもって送付してくださいましたので,委員の皆さんもある程度既に御覧いただけたのではないかと思います。まずは山本理事長より資料の御説明を頂いた上で,御質問,御意見をいただければと思います。山本理事長,どうぞよろしくお願いいたします。
【山本オブザーバー】
 どうぞよろしくお願いいたします。大学入試センターの山本です。それでは,資料1に基づいて説明をさせていただきます。
 令和3年度の大学入学共通テストの実施・運営に関しましては,去る2月17日,第21回の検討会議で報告をさせていただいたところでありますが,試験問題につきましては,外部評価及び自己点検評価・分析を行っているところであるということをその折に申し上げました。現在,問題評価・分析委員会の報告書を取りまとめているところでありますが,そのうちの今年1月16日及び17日に実施しました国語,数学Ⅰ,数学Ⅰ・A,そして,英語の試験問題に関しましては,外部評価といたしまして,高等学校の教科担当教員から頂いた御意見並びに評価,そして,教育研究団体から頂きました御意見・評価につきまして,取り急ぎ,資料1-1のとおり取りまとめましたので,御覧いただければと思います。今後,他の科目に関する外部評価や自己点検・分析・評価などにつきましても取りまとめまして,試験問題評価委員会報告書として公表する予定にしております。
 なお,以前の検討会議におきまして,英語の発音,アクセント,語句整序などを単独で問う問題を出題しない方針の決定経緯等につきまして御意見がございました。今回これについて少し説明をさせていただきたいと思います。資料1-2を御覧ください。2ページですが,令和元年6月に公表しました共通テストの問題作成方針で,発音,アクセント,語句整序などを単独で問う問題は作成しないことというふうにしております。その背景につきましては,その箱の下にありますように,これらについては従前から課題を指摘する声が多く,共通テストの導入を機に改善を図ろうということにしたものです。
 次いで3ページですが,英語成績提供システムの導入延期を受けて,この方針を見直す必要が生じるかどうかを議論した経緯でございます。一番上にありますように,平成29年7月に文部科学省から大学入学共通テスト実施方針が公表されました。これを受けまして,センターの共通テスト企画委員会の下に出題教科・科目問題作成方針分科会をそれぞれの科目について設置いたしまして検討し,親委員会であります企画委員会の審議を経て,先ほど申し上げましたように,令和元年6月7日に基本方針と併せて各科目の問題作成方針を公表したところです。
 ところが,その年の11月1日に文部科学大臣から導入延期が発表されました。これを受けまして,直ちに英語問題作成方針分科会を開催いたしまして,問題作成方針を変更する必要が生じるかどうかを議論していただきまして,最終的にはその必要はないとの結論となったところであります。これを親委員会の企画委員会に上げまして,できるだけ早く公表する必要があるということで書面審議となりましたが,作成方針分科会の結論を承認していただいて,11月15日に理由を付して,変更しない旨の公表をしたところであります。
 続いて,4ページを御覧ください。この1月に実施された第1回共通テストの英語では,発音,アクセント,語句整序などを単独で問う問題は,問題作成方針にのっとって出題しておりませんが,試験問題の読解や聴解を通じて,また,正答を導く過程において,英語によるコミュニケーションの基盤となる音声や語彙,表現,文法,言語の働きなどの知識が必要となるような問題が出題されているものと考えております。
 資料の8ページから10ページに,参考3として3つほど例示してございます。御覧いただきたいと思います。個々の問題につきましては従来からセンター試験でも行ってきたことでありますが,研究開発部による統計的な分析も踏まえ,問題評価・分析委員会を中心に,専門分野や評価教育の研究者,そして,高等学校の先生方をはじめとする各方面からの御意見を伺いながら,さらなる改善に向けて検討していくということにしております。
 なお,御参考までに,5ページ,6ページの参考1ですが,これは問題作成の基本的な考え方と英語の問題作成方針,また,7ページの参考2は,先ほど申し上げました,発音,アクセント,語句整序などを単独で問う問題の課題に言及している例でございます。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 山本理事長,どうもありがとうございました。
それでは,令和3年度大学入学共通テストについて,15分ほど時間を取りたいと思いますので,御意見がございましたら御発言をお願いいたしたいと思います。発言を希望される方は挙手ボタンを押していただければと思います。机上配付の予備校等からの意見とかそういうものについても,もし御質問等がございましたら御発言いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 福岡県立大学の柴田でございます。山本先生,詳細な資料どうもありがとうございました。
 問題評価委員会の資料1-1の,国語につきまして,4ページ目等,おおむね適切な出題であるという評価ですけれども,珍しいことに,4ページの第4問の下の方に,配点の設定の妥当性というのがいかがなものかというのがございますし,同様に,国語教育学会の方からの6ページ目の第3問の問5につきまして,配点が高過ぎるのではないかというような御指摘がございます。従来から一般的に国語というのは非常に配点が高い問題が出ておりまして,1点刻みというイメージとは随分違っていたんですけれども,こういう指摘というのが改めて出てきたということは,やはりそういうものなのかなというところがございます。
 それに関連して,従来,共通テストの前のセンター試験の場合には,近代以降の文章と古典,漢文とを分けて100点,100点ということで成績提供なされていたんですけれども,共通テストになってその区分がなくなったと。従来聞いているところでは,問題ごとの配点も大学の方に提供するやに聞いていたんですけれども,今回そういう形にはなっていないみたいなので,配点の問題というのも今後検討されるべきではないかなと感じた次第でございます。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。
【山本オブザーバー】
 ありがとうございました。先生,ちょっとよろしいでしょうか。山本です。
【三島座長】
 どうぞよろしくお願いします。
【山本オブザーバー】
 柴田委員,ありがとうございました。先生は中身についても大変お詳しいのですが,1つ,後の方で言われた,別々に成績を提供しなくなったのではないかということについては,これは従来どおりでございます。共通テストになっても,これまでのセンターと同様に,現代文のところと古典の部分というのは別々にやっております。
 それと,9点の配点があるということでありますが,ほかの科目はみんな100点満点でありまして,そういう意味では,国語は200点満点です。確かに9点と聞くと高い印象ですが,ほかの科目と同様,100点満点に換算すると4.5点になると先生,いろいろ御指摘いただきましたが,またこれからもいろいろと問題がありましたら,御教示いただき,適切に検討していきたいと思っております。ありがとうございました。
【三島座長】
 山本理事長,ありがとうございました。
【柴田委員】
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【三島座長】
 それでは,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 まず,山本理事長には,非常にお忙しい中でも共通テストへの評価についてお示しを頂き,ありがとうございました。
 私が前回の会議のときに少し指摘をさせていただきました,英語の民間試験を前提とした出題がなされていたのではないかということについても,今回の資料で御説明いただき,私自身としては,かなり限られた時間での対応があったことは承知いたしました。
 その上で,再度念のため確認をさせていただきたいのですが,頂きました資料の1-2の4ページにございますが,発音やアクセントや語句整序などを単独で問う問題は今回は出題されていないということでしたけ。その分,他の設問との複合的な出題により十分にそうした問題と同質の能力やスキルを問うことができているというふうに御判断されているのかどうかについて,端的に御見解をいただければなと考えております。
【三島座長】
 いかがでございましょうか。
【山本オブザーバー】
 これは以前に渡部委員の方からも御発表があったようなこととも関連するんですが,直接問えているかというと,直接的には問えていないというのが正直な言い方だと思うんですね。もちろん直接的には問えていないんですけれども,先ほど申し上げましたような,読解や聴解を通じて,また,正答を導く過程の中でこういったようなことが十分学習されていないといけないよというような問題が出題されているということであります。
 今,末冨先生おっしゃったように,パフォーマンステストをしない中でどういうやり方が一番いいかというのは,これまたいろいろと研究者あるいは学会の中でも御意見があることだろうというふうに理解しております。先ほども申し上げましたように,専門分野あるいは教科教育の先生方,あるいはまた,実際指導に当たっておられる高等学校の先生方の御意見等も伺いながら,今年やった方法でいつまでもこれをずっと続けていくのか,形の上では踏襲されるかもしれませんが,内容的にはこれは毎年毎年改善に向けて検討していくということでございます。
【末冨委員】
 ありがとうございます。併せてもう一つだけ申し上げたいのですが,予備校の分析を見ても,新聞各紙の南風原先生等含めて専門家の評価を見ても,共通テストがかなりの読解の量と,それから,限られた時間での情報処理能力というものを必要としているという新しい傾向は分かったわけです。その点につきまして,高大接続の観点から,やはり高校側に求める思考力・判断力・表現力というものが正しくメッセージとして伝わったかどうかということについては,私自身がもし高校の教員でしたら,情報処理力に力点を置いてしまいそうな気もいたしますので,改めて,問いたい思考力については各教科別に分かりやすいメッセージがあると,せっかく今,高校新指導要領の改革も進んでまいりますので,よりよい高校教育の在り方につながるのではないかと考えております。
 ともあれ,有用な御報告大変ありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,ほかに……,山本理事長,何かございますか。
【山本オブザーバー】
 端的に,それでは。末冨委員,大変ありがとうございました。我々もどういう形で思考力・判断力等を問うていけばいいかということで,それを問うためにやっぱりどうしても問題文が長くなってしまったというようなこともあり,そういう意味では,予備校の分析あるいは専門家の先生方からの分析,こういったことを参考にしながら改善に努めてまいりたいと考えております。ありがとうございました。
【三島座長】
 理事長,ありがとうございました。それでは続いて,渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】
 山本理事長,大変ありがとうございました。とても分かりやすく,そして,詳細な情報で,こちらとしても大いに参考になりました。ありがとうございました。
 その上で改めて何点か要望がございます。今後,例えばペーパー版の発音問題が新たに入るというようなことは恐らくないのだろうと考えています。ただ,それにしましても実証研究をしていろいろな可能性を探るということは是非改めてお願いしたいと考えています。実証研究と申しますのは,ここで大変詳細に各会の方々から,あるいは予備校の先生方など,またセンターの内部の方々のこれから詳細な分析が行われると承知しています。そこで何より欠けていますのは,生徒が実際に課題に取り組んでいるときに実際何を考えているのか,どんな能力を測っているのかという視点です。そこで,実際にテストを受けている受験生に焦点を当ててというのは無理ですので,大学生を対象にするとか,あるいは現在の高校生を対象にして,いろいろなデータの分析の仕方もありますし,是非専門の方々を含めて,思考力を測っているのか,発音能力が本当に測れているのかどうかということを検証していただきたく思います。
 その上で,7ページ目を今見ているんですが,ここで「英語教育の観点から批判がなされてきた」という文言があります。ただ,これはやはり何をやっても批判はあるわけですので,くれぐれも実証研究に基づいて,例えば発音の問題に関しましても実証研究が行われていますが,その客観的なデータが参照されたという形跡がございません。したがって,そういった実証研究の着地点を見ながら,意見や批判ということではなくて結果で,何を測定しているのか,本当にそれが妥当なのかどうかということを今まで以上に綿密に検討されて,共通テストを更にいいものにしていただきたくお願いします。
 最後ですが,同じページですけれども,例えば「語句の穴埋めを行う形式の問題について」とありますが,ここで批判的に捉えています。しかし,穴埋め問題が一概に,テストというのはそもそも不自然な行為でもありますので,穴埋め問題だけを批判的に見ると,これはよくない問題だというふうな,形式を見て批判をするということはあまり建設的ではないのではないかなと思います。実際に共通テストの中でも今回穴埋め問題は実際あるわけですので,もう少しきめの細かい,建設的な検討をお願いしたいと考えています。
 以上です。どうもありがとうございました。
【三島座長】
 理事長,何かございますか。
【山本オブザーバー】
 渡部先生,大変ありがとうございました。先生,3点ほど御指摘いただきましたが,どれも大変重要な御指摘で,我々も是非また先生方にも相談させていただきたいと思っております。
 それで,最初の方で言われました,例えば単独で問う問題に妥当性があるのかどうかって,試験全体についてですけれども,妥当性の問題については,我々は得点,個々の受験生の成績を持っているわけですけれども,ただ,その受験生が実際にそういう能力があるかどうかということは我々については分からないわけです。そういう意味で,先生正におっしゃいましたように,大学でその後の当該の学生がそういう能力がどうだ,あるいは高校の方でも3年間指導してこられた先生方が,その生徒がどの程度の能力を持っていたのかと,こういったデータと共通テストの得点との関係を見ないとなかなか妥当性というのは判断できない。
 そういう意味では,これから我々も,もちろん具体的な個人を特定できないような形ということになりますが,データを,そういうことの申入れがありましたら,是非提供させていただいて,こういった妥当性の検証というのはできる限りやっていければなと思ってございますので,先生方,御協力の方をまたよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【渡部委員】
 ありがとうございました。
【三島座長】
 理事長,ありがとうございました。それでは,島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 島田です。よろしくお願いいたします。山本理事長,資料の御説明をどうもありがとうございました。
 感想程度ですけれども,高等学校教員の意見・評価,また,学会の意見・評価,どちらも各教科に固有の教科教育の課題に丁寧に目を配っておられて,非常に貴重な意見になっていると感じました。
 そこで,1つ残念だなと感じたのは,こういったヒアリングといいますか調査を試行調査のときにも実施していただけなかったものかということをちょっと感じた次第です。試行調査は目的が違うからというところはあったかもしれませんけれども,あの試行調査の問題,記述式も含めたあの問題に,高校の先生方,また,教育研究団体がどのような意見・評価をしたのかというのはちょっと知りたかったところだなと思った次第です。
 以上です。
【三島座長】
 理事長,よろしいですか。
【山本オブザーバー】
 島田先生,ありがとうございました。試行調査のときも,問題がどうだったかということと,それから,点数も見てもらいながらこういった意見をお伺いいたしましたが,こういう冊子にまとめて出しているということはしていないということで,先生の目に入らなかったのかなと思いますが,一応そういった御意見も踏まえながら,試行調査の段階から本試験に行くまでにそれなりのそういった御指摘を踏まえた改善をしてきたつもりでございます。ありがとうございました。
【三島座長】
 それでは,時間も参りましたので,両角委員,本件について最後でございます。よろしくお願いいたします。
【両角委員】
 ありがとうございます。山本理事長,御説明ありがとうございました。とても理解が深まりましたし,資料も全部見させていただいて,参考になりました。
 私は,ちょっとよく分からないというか,詳しくないので教えていただきたいという質問です。資料1-1で,高校の各教科の担当者の意見・評価,あと,教育研究団体の意見・評価というので,本当にそれぞれの固有の話が出てきてとても参考になりました。教育研究団体というのもかなりいろいろな団体があって,結構それぞれに意見も分かれているかなと思ったんですが,それぞれ1つの団体を取り上げられているという,その選ばれた根拠というか,基準というか,その辺りはどうお考えなのかなというところを教えていただけますでしょうか。
【三島座長】
 理事長,いかがでしょうか。
【山本オブザーバー】
 確かに団体としては各県にあったり,ブロックごとにあったりとかいろいろございますけれども,例えば最初に出てくる国語教育学会,5ページですね,こういう全国規模でやっておられる学会に依頼をしているということでございます。ただ,学会にこういうふうな評価をしてくださいということでお願いをするわけですけれども,学会の大会のときにこういう評価文でいいだろうかといったような検討をしていただくような時間は当然ございませんので,こういったことの御担当をしていただいている先生方がお集まりいただいて評価を頂いているものだと思います。そういう意味では,幾つかあるうちの全国規模の団体の中でお願いをしているということです。
 両角先生,こういうことでよろしいでしょうか。
【両角委員】
 ありがとうございます。どのような基準かなと思ったので,理解できました。
【三島座長】
 それでは,理事長,お忙しい中,本日の資料を提出していただいて,本当にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
【山本オブザーバー】
 こちらこそありがとうございました。
【三島座長】
 それでは,議題の2番目,今度は英語4技能の総合的育成・評価のあり方についてということで,いろいろ意見交換をしていただきたいと思います。ただ,いつものように座長代理の川嶋先生から御説明を頂きますが,それに先立って事務局から,本議題に関連する基礎資料の追加について御説明を頂きたいと思いますので,武藤企画官からよろしくお願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼いたします。参考資料2-3「総合的な英語力の育成・評価」を御覧ください。このことについては,2月17日の会議において,委員の御要望を踏まえてかなり広範にわたるデータをお示しして御説明を申し上げましたけれども,その時点で諸般の事情で間に合わなかった資料が幾つかあるものですから,御説明をさせていただきます。
 26ページを御覧ください。企業・団体が考える重要なスキルと目標とする英語スキルの水準ということです。左側のグラフで「今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキルで英語が最多」でございましたが,これに加えて,「社員や職員に不足している,あるいは今後強化する必要がある知識やスキル」,これもトップが英語であるという資料を追加してございます。
 それから,328ページ,29,30ページを御覧ください。実際我が国の企業・団体が求める英語力ということで,TOEICのプログラムのスコアを28ページにお示ししております。これは2月の段階でも入っておりましたけれども,今回,お隣の韓国の事例が手に入りましたので,30ページに参考までに掲げております。
 3上のListening&Readingについては,83%とありますけれども,TOEICのプログラムのスコアを実際に就職活動というか採用活動の中で使っている837社のうち,Listening&Readingのスコアを活用するところが691社で83%だということです。その活用の内訳が中ほどにありまして,参考にしているというところが55%,必須,それがないともうエントリーできないというところが9%と,それから,実際それに当たって基準のスコアを決めて提示しているというところが36%ありまして,その内訳が右側にあるような状況でございました。700点台が一番多いんですけれども,800点台,900点台もたくさんございます。同じようにSpeakingの方が,91%の企業が活用されていて,基準スコアが35%,内訳はそこに記載のとおりでございます。
 併せまして,73ページを御覧ください。同じくお隣の韓国のデータでございます。これは年齢別あるいは受検目的別にTOEICのスコアを分析したものでございます。例えば年齢別でいうと,21歳から25歳というのが大体大学生相当かなと思われるところですが,681点でございました。ちなみに,別の資料に出てきますけれども,日本の大学生のスコアは574が平均でございました。それから,受検目的別の平均スコアということで,就職が692だったということとか,同じくSpeakingのテストで,大学生相当は132点だった,受検目的別の平均スコアの就職のところが131だったというようなことでございます。全体として,かなり就職活動あるいは採用活動の中で英語,総合的な英語力が求められているというところについて関連のデータを御説明申し上げました。
 以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして,川嶋座長代理から御説明を頂きます。資料2でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【川嶋委員】
 座長代理の川嶋でございます。本会議の12月22日に英語4技能評価についての論点整理等をさせていただいて,委員の皆様方からいろいろ御意見を頂いたところでございます。これらを踏まえまして,本日,「英語4技能の総合的育成・評価のあり方について【案】」ということで示させていただいて,後ほどいろいろ御意見を伺いたいと思っております。時間も限られておりますので,できるだけ皆様方の御意見を頂く時間を取るために,少し早口になるかもしれませんが,御容赦いただければと思います。
 まず1ポツ目,総合的な英語力評価の意義ということでございます。まず国際共通語としての英語ということで,英語は世界で最も話者が多く,インターネット上でも最も使用される言語である。各種の国際会議や国際ビジネスの場でも国際共通語と位置づけられており,非英語圏の多くの国民が第一外国語として学んでいる。
 次に,初等中等教育段階での取組。我が国の英語教育は,昭和30年代の学習指導要領以来,英語4技能の総合的な育成を目標に掲げて取組を進めてきた。平成30年に始まった第3期教育振興基本計画においては,中学校卒業段階でCEFRのA1レベル相当以上,高等学校卒業段階ではA2レベル相当以上を達成した中高生の割合を5割以上とする目標を設定しており,この水準に到達した中学生の割合が44.0%,高校生の割合が43.6%となるなど改善傾向にございます。他方,4技能別に見ると,A2レベル以上の高校生は,聞くことについては33.6%,読むことについては33.5%に対し,話すことは12.9%,書くことは19.7%となっており,後者の2技能については大きな課題があるということが分かっております。
 次,大学の教育研究における英語の必要性。1つ目,大学入学者選抜で最も課されている教科は英語である。例えば,令和2年度大学入試センター試験の受験者に占める英語を受験した者の割合は,筆記については98.4%,リスニングについては97.2%であり,同試験を利用した選抜区分のうち95.7%で英語が必須又は選択科目で課されていた。また,各大学の個別選抜においても89.0%の選抜区分において英語が必須科目又は選択科目で課されている。このように大多数の大学・学部は,一定程度の英語力が入学後の学修・卒業に必要と判断していると考えられる。
 2つ目,また,研究面でも,学術ジャーナルの使用言語は圧倒的に英語であり,国際的な学術交流,国際学会等の場における使用言語も英語である。
 3つ目,一方,教学マネジメントの要である3つの方針(卒業認定・学位授与の方針,教育課程編成・実施の方針,入学者受入れの方針)においては,学部全体の方針に英語力に関する記載がある学部はそれぞれ,25.0%,35.2%,37.3%となっている。また,1年次後半と比較して2年次から4年次で英語運用能力が低下している可能性を示唆するデータや,「大学教育が外国語を使う力の育成に役に立っている」と考える大学生の割合が30.6%にとどまっているとの調査結果もございます。
 これらの※番号は,先ほど一部,武藤企画官も紹介されました参考資料集のページ数がこの最後の方に書かれておりますので,御参照いただければと思います。
 大学卒業後における英語力の必要性。1つ,日本企業の海外進出,国境を越えた企業統合や外国からの直接投資,在留外国人等の増加を背景として,企業や団体を対象とした調査においては,「今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキル」,「社員や職員に不足している・今後強化する必要がある知識やスキル」において,いずれも英語が最多であった(それぞれ82.6%,67.0%)。また,企業・団体等が目標とする英語水準に関しては,「英語で行われる会議で議論できる」が19.9%,「取引先/海外支店と電話でやり取りできる」が15.5%,「取引先/海外支店とメールでやり取りできる」が15.5%,「通訳なしの海外出張に一人で行ける」が14.6%になっており,卒業後の社会では,話す,書くも含めた総合的な英語能力が求められている。他方,主要な英語能力テストにおいて,我が国の平均スコアは諸外国の中でも最下位クラスになっている。先ほど韓国との比較の御紹介もございました。
 2つ目,こうした中,経済団体と国公私の大学トップが対話しまとめた「採用と大学教育の未来に関する産学協議会報告書」においても,文系・理系を問わず,大学で身につけるべきリテラシーの1つとして,外国語コミュニケーション能力が位置づけられている。
 囲みの中はこれまで頂いた主な意見でございます。例えば我が国で英語が必要な人はまだ少ないが,人口減少が進み,中小企業の海外進出も増加,企業の約3割が訪日客ビジネスを実施し,6割が拡大に意欲。人事でも現地採用との互換がなされ,共通語は英語。英語ができないと若者の将来の可能性が狭まるという御意見もございましたが,他方,英語の重要性は認めるが,英語帝国主義に陥ってはならない。全員に高度な英語力をつける必要はないといったような御意見もございました。
 次,英語資格・検定試験活用の意義についてでございます。英語資格・検定試験は,初等中等教育,高等教育,留学,就職等における英語力評価に活用され,大学入学者選抜においても,各大学の判断で採用され,長年にわたって拡大してきた。大学入学者選抜における総合的な英語力評価の在り方を考える上では,こうしたスコアの活用が,受験生・大学それぞれにとって,どのような意義を有していたのかを確認しておく必要がある。
 まず受験生の視点から。丸1,平素の努力の結果が大学入試においても評価されることは,英語を得意とする生徒にとって,学習の継続に対する大きなインセンティブとなり得る。丸2,留学,卒業後の就職等を見据え,英語力を伸ばしておきたい高校生にとっては,これらの機会で能力証明として使える資格・検定試験のスコアが入試で活用できれば利点が大きい。丸3,高校までに培った英語力のスコアを活用できることにより,大学ごとに傾向が異なることなどによる個別の試験に向けた準備負担が軽減される。
 次,大学側の視点からです。丸1,資格・検定試験のスコアを入学後の教育において到達水準として活用している大学にとっては,入試段階で一定のスコアを提出させることにより,その後の教育活動と一貫した取組を進めることができる。丸2,在学中の留学を義務づけ又は推奨している大学においては,留学手続で提出が求められる資格・検定試験について,一定以上のスコアを取得している学生を選抜することは合理的である。丸3,「話すこと」,「書くこと」,「聞くこと」の評価は,同一日・一斉に行われる個別学力試験で実施することが困難な場合が多い。資格・検定試験の活用により,これらの評価を効率的に実施できる。
 2ポツ,大学入試英語成績提供システムの見送りの段階で指摘された課題です。1つ目,大学入学者選抜における4技能評価については,約50万人規模のスピーキングテストを同一日程・同一問題で共通テストとして実施することは困難であることを踏まえ,既に大学入試で広く活用され,一定の評価が定着している民間の英語資格・検定試験のうち,大学入試センターが参加要件を満たすものとして確認した試験の結果を,大学入試センターが一元的に集約し,各大学に提供する仕組みを導入することとなった。2つ目,しかしながら,この大学入試英語成績提供システムに対しては,以下のような課題が指摘され,2019年11月に導入の見送りを行うこととなった。
 (1)地理的・経済的事情への対応が不十分であるとの指摘。1つ目,英語資格・検定試験の受検機会について,地理的・経済的事情により不公平であるとの指摘が出された。特に,国立大学の出願において,資格・検定試験の受検が事実上必須化したことから,このことへの懸念が強く指摘された。
 2つ目,経済的事情への対応については,経済的に困難な受験者に対し,試験実施団体が検定料を軽減することとしていたが,減額幅は各団体の判断に任されていた。また,成績提供の対象は,高校3年の4月から12月の間に受検した2回までと限定していたが,受験年度まで練習受検が可能であり,経済的な困難な生徒が不利との指摘があった。文部科学省は,改めて各試験実施団体に対して配慮を要請したが,検定料の軽減率は5%から45%と団体間での差が大きかった。
 3つ目,地理的事情への対応については,全都道府県で全ての参加試験が実施されるわけではなく,都市部に比べて地方部では受検可能な試験が限定されているなどの指摘に対して,文部科学省は,国立大学や地方公共団体に対する会場提供への協力要請,試験実施団体への会場の追加設置の要請,離島の生徒の英語資格・検定試験の受検に係る経費補助の概算要求等を行った。一部試験においては共通テストを上回る会場数が確保されたが,試験間で提供できる会場数の違いも大きかった。
 (2)障害のある受験生への配慮が不十分であるとの指摘。障害者に対する合理的配慮の内容については,試験によるばらつきが生じているとの指摘があった。文部科学省においては,各団体の対応状況をホームページ上で公表するなどの対応を取ったが,最終的には試験実施団体の判断によるものであり,試験によって対応が分かれた。
 (3)CEFR対照表で目的や内容の異なる試験の成績を比較することは根拠に乏しいとの指摘。1つ目,大学入試英語成績提供システムにおいては,多様な英語力の測定,多様なニーズへの対応,受検機会の拡充等の観点を踏まえ,複数の異なる資格・検定試験の成績とCEFR,すなわち,外国語の学習,教授,評価のためのヨーロッパ共通参照枠のスケールを対照させ,段階別の成績を提供する仕組みが採用された。
 2つ目,これに対しては,目的や内容の異なる試験同士をCEFR対照表を介して比較し,競争選抜試験に活用することは根拠に乏しいのではないかとの指摘があった。また,CEFR対照表に基づく段階別成績表示を共通テストの枠組みで活用することの信頼性・妥当性に疑問の声があった。
 (4)国の民間事業者への関与のあり方。大学入試英語成績提供システムは,既に英語4技能を総合的に評価するものとして社会的に認知され,高等学校教育や大学教育,大学入学者選抜で活用が進んでいた資格・検定試験を大学入学共通テストの枠組みでも活用しようとするものであったことから,その基本的な仕組みは大学入試センターが参加要件を満たすものとして確認した英語資格・検定試験の実施団体と協定を締結して実施するというものであった。このため,国や大学入試センターが試験実施団体に対して,指示や命令はできない仕組みであった。
 (5)英語資格・検定試験の活用に関する情報提供の遅れ。各資格・検定試験の実施日時・場所などの情報提供が遅れたこと,大学による英語資格・検定試験活用の有無や活用方法が実施前年度になっても明らかにならなかったことから,受験生及び高校関係者から不安の声が出された。文部科学省は,ホームページに「英語成績提供システム」の参加試験の日程,会場,検定料,障害者への配慮の内容,各大学・学部・入試区分ごとの活用予定表等の関連情報を提供する「大学入試英語ポータルサイト」を設置したが,令和元年10月末までにシステムの利用予定を公表した大学は約6割であり,それ以外の大学は利用予定がなお明らかにされなかった。
 3.英語資格・検定試験の活用に関する大学の意見や活用の実態。
本検討会議では,全大学の全学部に対してアンケート調査を実施し,英語のスピーキング・ライティングの評価方法に関する意見や選抜区分ごとの英語資格・検定試験の活用の実態について詳細な分析を行った。
 (1)英語資格・検定試験の活用に関する大学の意見,これは学部別でございます。
 1つ目,「大学入学共通テストの枠組みで英語資格・検定試験を活用すべき」について,肯定的意見が全体で31.9%,内訳は国立27.1%,公立21.4%,私立34.2%,否定的意見が全体で66.7%,内訳は国立72.6%,公立73.5%,私立64.7%であった。
 2つ目,「個別入試(一般選抜)において英語資格・検定試験を活用すべき」について,肯定的意見が全体で45.2%,内訳は国立19.7%,公立27.1%,私立53.1%,否定的意見が全体で53.5%,内訳は国立80.1%,公立67.7%,私立45.8%であった。また,「個別入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)において英語資格・検定試験を活用すべき」については,肯定的意見が全体で57.9%,内訳は国立44.6%,公立36.9%,私立63.3%,否定的意見が全体で40.6%,内訳は国立54.1%,公立57.8%,私立35.6%であった。
 3つ目,「大学入学後の教育において,英語資格・検定試験を活用して評価すべき」か否かについても併せて意見を聴取したが,肯定的意見が全体で69.3%,内訳は国立68.8%,公立59.9%,私立70.5%,否定的意見が全体で29.4%,内訳は国立30.9%,公立34.4%,私立28.4%であった。
 4つ目,自由記述欄では,共通テストの枠組みでの資格・検定試験の活用について,「目的の異なる試験を一つの指標に当てはめて共通テストに利用するのは無理がある」「コロナ禍で中止・延期が多数生じ,民間試験のみに依存する仕組みの課題が浮き彫りになった」,個別試験での活用については,「各大学が4技能試験を実施するのは現実的でないので,資格・検定試験を活用すべき」「資格・検定試験は,各大学が責任をもって活用する形とすべき」等の意見があった。
 (2)英語資格・検定試験の活用の実態,選抜区分別です。
 1つ,英語資格・検定試験の「活用」,回答としては活用ありと今後活用予定の合計は,一般入試で全体が21.3%,内訳は国立14.3%,公立4.1%,私立22.7%,AO入試で全体が37.9%,内訳は国立45.6%,公立34.6%,私立36.9%,推薦入試で全体が25.7%,内訳は国立26.6%,公立15.0%,私立26.0%であった。
 2つ目,一方,「検討」,すなわち活用を検討中と検討予定の合計は,一般入試が全体で35.0%,内訳は国立31.8%,公立43.7%,私立35.1%,AO入試で全体が20.8%,内訳は国立21.2%,公立21.2%,私立20.7%,推薦入試で全体が28.0%,内訳は国立25.1%,公立30.8%,私立28.2%であった。
 (3)技能別の出題実態。
 一般入試の個別学力検査「英語」では,「読むこと」を95.2%の選抜区分で課して,内訳は国立99.3%,公立86.2%,私立95.1%,「書くこと」を44.3%の選抜区分で課しておりまして,内訳は国立95.5%,公立87.1%,私立39.2%,「聞くこと」を全体で2.2%,内訳は国立10.1%,公立3.6%,私立1.5%,「話すこと」を全体では0.2%の選抜区分で課しており,内訳は国立0.2%,公立0%,私立0.2%で出題しております。
 4.総合的な英語力評価の推進の考え方でございます。
 今,御紹介しました1.2.3.を踏まえまして,大学入学者選抜における総合的な英語力評価をどのように推進するのか。囲みの中で,これまでの主な意見を整理しております。
 まず,丸1,英語4技能を入試で問う必要性については,高等学校学習指導要領で「英語で授業を行う」と告示されてから10年以上たつのに,入試が2技能であるため,受験が近づくほど4技能の必要性がなくなる現状は改善する必要がある。2つ目,入試で資格・検定試験の活用を契機に,授業が変わってきたとの高校生の声もある。3つ目,スピーキングとほかの3技能の相関は,リスニング,ライティング,リーディングの順に低くなる。4技能が必要であれば,スピーキングを含めて入試で問う重要性は高い。4つ目,国家試験合格を目標としている分野や,スポーツ・芸術・国文学などの分野では英語4技能が優先課題ではない。5つ目,4技能の重要性は低いという大学もあるが,卒業後の必要性も加味して考えるべき。6つ目,国大協としては,入学後に英語4技能の教育を受ける上で一定のレベルは必要という立場。
 丸2,大学入学共通テストの枠組みにおける資格・検定試験の活用の実現可能性について。
 1つ目,英語資格・検定試験は,試験によって会場数,受検料,実施回数,テストの測定対象や,障害者への配慮が大きく異なり,共通テストで用いるには不公平性の確保が困難。2つ目,コロナ禍で資格・検定試験の中止や延期が相次ぎ,検定に依存する仕組みの課題が浮き彫りになった。3つ目,共通テスト本体並みの公平性が求められる中,指摘された課題を短期間で解決するのは困難。4つ目,英語成績提供システムでは,多くの私大が採用してきた英検・GTECの従来型(学校会場を含む)が利用不可となった。共通テストの枠組みに無理に当てはめなければ,地域格差の問題は生じなかった。
 丸3,共通テストにおける4技能試験の開発可能性,共通テスト「英語」のあり方。
1つ目,中長期的には,国・大学入試センターに英語4技能試験の開発・支援を要望する。2つ目,共通テストでの4技能評価は,対面式なら十分な数の面接官と試験室,録音式なら機器開発等が必要。また,採点のぶれや自己採点との不一致等,記述式同様の問題が生じ,実施が困難。3つ目,共通テスト「英語」は継続実施すべき,その中で他の2技能も評価できるような作題を工夫すべき。4つ目,共通テスト「英語」で,発音・アクセント,語句整序を廃止したが,これらは,話す力・書く力を間接的に測定していたはず。エビデンスを基に議論し,方針を定め直すべき。5つ目,高等学校以下の教育は4技能。共通テストで2技能だけの英語試験を残すべきではない。
 丸4,個別試験(一般選抜)の役割。
 1つ目,条件が整う大学では独自の4技能試験をやればよいが,個々の大学がスピーキングを導入することは,採点の質や費用等の問題から,試験団体の協力を得た開発などの例を除いてほぼ不可能。2つ目,一般,AO,推薦で資格・検定試験の活用(みなし得点)を実施しているが,追跡調査では資格・検定試験で入学した生徒は海外留学を積極的に希望する傾向がある。3つ目,受検回数,受検期間の制限は不要であり,中学や高校1・2年時の成績も活用可能とすべき。4つ目,何らかの事情で英語資格・検定試験を受けられない受験生にも配慮し,非利用枠を残すことが重要。5つ目,一足飛びに自前の英語試験をやめ,資格・検定試験を全面導入するのではなく,個別試験と外部試験のうち,成績の良い方法を選択的に使えるようにすべき。
 丸5,多様な選抜形態の果たす役割。
 1つ目,一般選抜で4技能評価をしていなくても,総合・学校推薦でよい取組を実践している場合もある。2つ目,一般入試で資格・検定試験を活用すべきという意見は,私立と比較して国公立で低い。他方,総合型・学校推薦型選抜で実施すべきという意見は国公立含めて広くある。3つ目,総合型選抜・学校推薦型選抜は時間をかけた丁寧な評価が可能であり,英語4技能評価にも向く。
 5.国による総合的な英語力評価の推進支援策について。
 以上,御紹介した4.を踏まえ,国による推進・支援方策についてどのように考えればいいか。これまでの意見等を四角の中に整理しております。
 これまでの主な意見としては,資格・検定試験の活用や独自の4技能試験の実施等について,優れた取組事例を収集,公表すべき。2つ目,英語資格・検定試験は画一的ではなくAPに基づく多様な利用を推進すべき。
 次の地理的・経済的事情については,資料3で改めて御提案させていただきたいと思います。
 成績提供のあり方。
 英語成績提供システムは,受験生・大学双方にとってメリットがあった。可能であれば統一した成績提供の仕組みを導入すべき。2つ目,受験前年にIDを付与し高校3年次のスコアに限定していたが,スコアの有効期間を大学の判断にするとシステムの根幹が変わる。また,仮に共通テストの枠組みを外すと手数料が確保できず運用に支障。3つ目,試験団体が独自にシステム開発を開始しており,センターが一元管理する必要性を見極める必要。4つ目,各大学の英語資格・検定試験の活用を促す上で,オンラインでの成績提供が必要。各検定団体が独自に開発すればよいが,団体間で共通フォーマットを用いるなど,緩やかな統一は必要ではないか。
 関係機関での協議の必要性。
 1つ目,英国では,第三者機関のOfqualが,定期的に監査を実施しており,運営・質・公平性・利益相反などの観点で信頼性担保のための仕組みが定められている。2つ目,今回指摘された課題を踏まえると,資格・検定試験実施団体及び高大関係者等による協議と合意の場が必要ではないか。例えば,低所得層への検定料免除,オンライン受検システム整備,高校会場の拡充,成績提供の効率化,合理的配慮の推進,質に関する第三者評価等を議論することが考えられる。
 6.高校・大学における英語教育の充実。
 (1)高等学校における英語教育の充実。
 1つ目,我が国の英語教育は,昭和30年代の高等学校学習指導要領以来,英語4技能の総合的な育成を目標に掲げてきたが,指導の実態は語彙や文法などの知識の習得に偏りがちで,互いの考えを伝え合うコミュニケーション力の育成には課題があるとの指摘がなされてきた。こうした状況を踏まえ,現行の高等学校学習指導要領は,授業は英語で行い,5つの領域を結び付けた「統合的な言語活動」を重視しており,現場の実態もコミュニケーション重視の授業に向かって徐々に改善されてきている。2つ目,現在の大きな課題は,全体の取組状況に地域差や学校差が大きいことだと考えられる。文部科学省の英語教育実施状況調査によれば,教師の英語使用,生徒の言語活動,パフォーマンステストの実施,授業によるICTの活用等の取組が充実している都道府県・指定都市ほど,英語力の指標,先ほど御紹介しました中学校ではCEFRでA1レベル相当,高等学校ではCEFRのA2レベル相当を満たしている生徒の割合が高い傾向が見られる。こうした状況を踏まえれば,可能な限り地域間・学校間の差を埋める観点から,国と都道府県教育委員会等が連携し,ICTの活用を含む効果的な指導方法を普及するとともに,ALTや英語堪能な人材を指導者として登用することを促進することが必要である。4つ目,英語力を伸ばそうとする努力の成果を評価し,モチベーションを高めるため,学校単位でのパフォーマンステストの実施,あるいは資格・検定試験の活用により,どの生徒も高等学校段階で統合的な英語力を把握・可視化できるようにすべきである。5つ目,教科「英語」の外も含め,教科横断的に学習・探求したことを生かして,英語で発信したり交流したりする機会,例えばプレゼンテーション,ディベート,短期留学,海外交流などの拡充を図ることも期待される。
 四角の中には,これまで高校での英語教育の充実についていただいた御意見を整理しております。
 (2)大学入学後の教育の充実。
 1つ目,大学教育における英語4技能の具体的な扱いは各大学の主体的判断によるものであるが,初等中等教育を通じて培い,受験準備でも伸長を求めた英語能力が,大学入学後の教育で必ずしも十分に伸ばせていない実態があり,その改善は喫緊の課題である。2つ目,総合的な英語力の向上を必要と判断する大学・学部においては,在学中のみならず卒業後の必要性(社会との接続)も加味した上で,英語力の伸長に関し,「卒業認定・学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー),「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラムポリシー)の連動性を強化することが期待される。その際,学習成果・教育成果の把握・可視化の観点から,英語資格・検定試験を活用することは有益と考えられる。3つ目,各大学における英語4技能の育成・評価の取組を支援する観点から,国においては,大学入試及び入学後の教育を有機的に連携させ,英語による授業や留学の促進なども含め,積極的な取組を行う大学にインセンティブを付与するとともに,好事例を普及させる必要がある。その際,大学生全体の英語力を効果的に底上げするプログラムと,国際機関や外交,国際ビジネス等の最前線で活躍できる高度な人材を育成する質の高い英語教育や専門教育を強化するプログラムの両方が重要である。4つ目,また,国が産業界と協力して,初等中等教育における蓄積の上に立って,大学在学中に身に付けておくべき英語力や,就職時に求められる英語力の基準について参考になる考え方を明らかにし,大学の主体的な取組を促していくことも検討に値するものと考えられる。
 四角の中には,これまで頂いた大学における英語力の総合的な育成・評価についての御意見を整理させていただいております。
 以上,意見交換をしていただければと思います。
【三島座長】
 川嶋座長代理,本当にありがとうございました。毎回,今日も長文を音読していただきまして,ありがとうございました。
 それでは,英語4技能の総合的育成・評価の在り方に関するペーパーに基づき,御意見等ありましたら御発言をお願いしたいと思います。発言を希望される方は,挙手ボタンを押していただければと思います。さらに,なるべく多くの委員に御意見を頂くとともに,委員間でのやり取りも活発に行っていただきたいので,御発言はポイントを絞って,1回3分程度でお願いいたします。項目が6つございますので,関連する部分をまとめてということで,1.から3.までを20分,その後,4.及び5.で20分,最後,6.で20分と区切って時間を取りたいと思います。どこで発言しようかとお考えになりながら手を挙げていただければと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,もう4名の方が挙がってございます。吉田委員,どうぞ。
【吉田委員】
 ありがとうございます。大変申し訳ないのですが,私,先に退席をさせていただかなければなりませんので,最初に,全般の話になってしまうと思います。
 川嶋先生,またまとめていただいて本当にありがとうございました。私が是非お願いしたいのは,これで読む限り,どの方も英語4技能の必要性は理解している。ただ,それを共通テストでどういうふうにやるかということについての公平感とか,いろいろな問題が起きているのだと言うことだと思います。今回のまとめにもございましたように,センターの50万人規模でのスピーキングテスト一斉実施は不可能であるということはもう確定しているわけです。そういう意味で言えば,共通テストにおいて4技能全てをやることはもう不可能なのだということになってしまうのかどうか。それとも,それを不可能にしないために他の試験を使うのか。
 もう1点は,今,CBTが,コロナのせいというか,ために,急に発展しオンライン学習というものが徹底的に広がっています。そういう中でのWi-Fi網,その他もどんどん整備されてきています。ですから,昨年当初や今と,いろいろな意味で違ってきていることもたくさんあると思います。そういう中で,令和6年度以降の入試について,この環境変更に伴い,やはりもう少し,本当に高校にとって,大学にとって,そして企業にとって必要な人材を育成する試験にするための努力をしなければいけないと思います。
 今日の川嶋先生のまとめの10ページの一番最後,(2)の4つ目の黒ポツ,これは大学だけではなく我々にもということだと思いますが,国が産業界と協力して,初等中等教育における蓄積の上に立って,大学在学中に身に付けておくべき英語力や,就職時に求められる英語力の基準について参考になる考え方を明らかにし,大学の主体的な取組を促していくことも検討に値するものと考えられるとございますけれども,正におっしゃるとおりで,高校以下,学習指導要領改訂でそういうふうになってきています。それを大学でいかに伸ばしていただけるのかどうか。そして,今現在,留学しようとする子供たちは,はっきり言って大学へ入ってから4技能試験を受けて行くとなると大学3年での留学になります。そうすると,1年,ほとんど就職活動ができなくなるということによって遅れることにもなります。やはり早くからそういう検定試験を持っていることによって留学もしやすいということもありますので,子供たちの立場に立って,やはり子供たちがやりやすい,受けやすい入試,そして,1人でも多くの子供たちが正しく評価される入試に導いていただき,日本人のグローバル化を進めていただければと願っておりますので,よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
【三島座長】
 吉田委員,どうもありがとうございました。
 それでは,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 ありがとうございます。私の方は,直前で申し訳ございませんでしたが,意見書を出させていただいておりますので,そちらの方をもとにと思っております。
 三島座長,1.からでよろしいですか。
【三島座長】
 はい,結構です。
【末冨委員】
 では,まず1.についてのみ申し上げます。
【三島座長】
 1.から3.ということでいいですよ。はい。
【末冨委員】
 まず,川嶋先生のおまとめ,大変的確なものであったわけですが,なお,取りまとめに際して,参考資料2-3のデータについては今回,ページ数のみ示されているような形になっておりますが,少し本文中に根拠を示されるべきだろうと考えます。特に,このデータがこうだから課題がある,あるいは,ある程度現状は改善されていると判断すると根拠を示した提言にしていかなければ,国民の信頼に値するものにならないと考えます。
 併せて,意見書には書いておりませんが,実は英語力評価については大学IRとの接続が不可欠だと考えています。とりわけ,英語力が高い大学卒業生の海外留学や就職の動向については卒業後の追跡調査も併せて必要かと思っておりますので,この点については各大学団体も少し認識を頂いた方がいいかと思います。同様の指摘を,教育再生実行会議,高校ワーキングで中室牧子先生もなさっております。すなわち,英語力を身に付けることが,身に付けた本人のためにどのように役立っているかの検証があれば,十分に学ぶモチベーションにつながっていくはずだと考えますので,現状のデータを更に充実させていく在り方も含めて,お考えをいただければと思います。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 内容については,本当に一生懸命まとめていただいて,特段の問題はないんですけれども,やはりすごく気になるのは,初めの評価の文章を見ると,英語の4技能のことを議論しているのか,いわゆる英語は重要だぞという話をしているか分からなくなっていまして,そこは物すごく気になるところです。意見のところ,英語帝国主義はいかがなものですかとか,母語の重要性があるのではありませんかと申し上げたのはそういうことでして,英語4技能の教育,あるいはその能力を付けていくことに別に反対していないんですけれども,ここまでのことを書きますかねというのが正直な感想です。
 当然,そうおっしゃるならば,英語以外の外国はいかに重要かということを言いたいわけですし,あるいは,英語だとか外国語だという前に日本語の力がやはり必要だということに触れた上で,でも,現実としてリンガフランカとしての英語を一定,私たちは学ばなくてはならないでしょうと,そういう議論ではないんですか。それは当たり前のことだと思うし,もし,ここまで書かれるんだったら,じゃあ,どうして中国語を学んだり,あるいは東南アジアの言語を学ばないのかという話にやはりなりますよ。ですから,今,リンガフランカとしての英語が必要だというのはよく分かるけれども,そのことばかりを書くのはやはりおかしいと思う。そこを是非,はっきりとした形で決着していただかないと,ちょっといかがなものかと思います。
 それとは別に,英語4技能の重要性と,英語4技能をテストの中でどういう形で判定していくのか。共通テストとの関係はありますけれども,それとも含めて,大学入試の段階,入学者選抜の段階に,どういう形で判定するのかということは別問題であるはずなので,少しこのトーンは落としていただきたいというのが正直な要望です。よろしくお願いします。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,両角委員,どうぞ。
【両角委員】
 両角です。ありがとうございます。
 1.と,部分的にちょっと2.と関連付けながら話をさせてください。
【三島座長】
 はい,どうぞ。
【両角委員】  
 英語の成績提供システムの見送りの段階で指摘された内容ということで,確かにこの辺が見送りの大きなきっかけとなってはいるのですけれども,4技能をバランスよくという点に関して専門家等から指摘されていることが抜けています。最終的に英語の総合力を高めたいというところは皆,共通だと思うんですけれども,4技能をバランスよく伸ばして,それを切り分けて入試で課すべきだということに対する問題点が専門家から指摘をされていたということも,私は重要ではないか考えており,ここで抜け落ちている点ではないかと思いました。
 実際に,以前に机上配付された学術会議の言語・文学委員会の提言とかを改めて読んでいて,私自身はすごく納得しました。高校の学習指導要領も4技能ほどそんなに単純に捉えていなくて,やり取りを含めた5領域とか,CEFR自体も今,4技能なんて言っていなくて,7つぐらいの技能だと言っているらしいです。やり取りとか,仲介とか,その4つで測れるものではなく,そういったものを一体的に育成することが目標であって,それを分けて入試で課したり,バランスよく伸ばすことが本当に正しいのかという意見は入れるべきではないかと思いました。
 最初の1ページ目で,初等教育段階での取組ということで,聞くこと,読むことに比べて話すこと,書くことの達成度が低い結果も,私は当然の結果にしか思えませんでした。40人学級で,しかも日本という英語がなくても暮らせる,日本語で十分高い教育を受ける中で,しかも言語としての距離もかなり遠いものを学ぶ中で,まず,そういう内容的なものをきちんと理解する力がついて,その上でそれを書いたり,話す力が伸びていくのだと考えます。そういう十分なアウトプットの場が中学校,高校でないときに,もしそれらが同じように伸びているんだとしたら,それは学校教育ではなく私教育によるものなのではないかという印象を受けまして,これ自体が問題だということではなく,最終的にバランスよく伸ばしていくというようなことを考えてもいいかと思いました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。
 それでは,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。
 非常によくまとめていただいておりまして,川嶋先生に心から感謝を申し上げます。
 小さいことは幾つかあるんですけども,4ページの2.大学入試英語成績提供システムの見送りのところの(1)地理的・経済的事情への対応が不十分であるとの指摘ということで,最初のポツのところに「特に,国立大学への出願において,資格・検定試験の受検が事実上必須化したことから,このことへの懸念が強く指摘された」と書いてあるわけですけれども,国大協は終始,受験生の経済的な不公平性も含めて諸問題について検討し,それを提言しておりました。ただ,英語4技能の総合的な評価を重視するという改革の趣旨を踏まえて,2020年度以降の国立大学の入学者選抜制度は,国立大学の基本方針の中で一般選抜の受験生に課すことを方針として定めた経緯がございます。ちょっとこれをすると,何か国立大学がこうしたからこうなったというような文章になっておりますので,ここの文章は本当に必要なのか,特に以下の文章は不要ではないかと思いました。
 ほかは,本当によくまとめていただいております。ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】
 ありがとうございます。
 私も同感で,非常に簡潔にまとめてくださっていて,感謝申し上げます。
 申し上げたいことが3点あります。既に複数の委員の先生方の中で御発言ありましたので,重なるところもございます。御了承ください。
 第1点目です。見出しに「英語4技能の総合的育成」と記載されています。この会議の趣旨としてやむを得ないかもしれませんが,4技能にこだわるというのはあまり建設的ではないように思われます。「英語の総合能力育成について」などが適切かもしれません。
 2点目です。2ページ目,黒丸の上の文言に,「最下位クラスである」という記載があります。海外との比較というのは注意深く報告する必要があるかと思います。と申しますのは,国によって受検者は大分違っているところがあるからです。国際比較のためにIELTSやTOEICがあるわけではありませんので,海外との比較がいたずらに劣等感をあおるようなことにもなりかねません。十分注意深く記載していただきたいと思います。
 3点目です。これは芝井先生が先ほどおっしゃったことに関係あるんですが,四角の中のこれまでの主な意見の3番目。「英語帝国主義に陥ってはならない」と。これは意見の1つではありましたけれども,同じページ,2ページ目の一番上の点のところに外国語コミュニケーション能力というのがきちんと記載されていますので,「様々な言語とバランスを取って能力を伸ばすことも望まれる」とか,そういった文言があってもよろしいのかなというふうに思いました。以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,今,手が挙がっているのは最後,柴田委員でございますので,これで1から3までというのをひとまず終わりにさせていただきます。柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。先ほど岡委員が御指摘になった箇所,4ページ目の2ポツの(1)のところでございます。ここは経緯,皆さん御承知だと思いますけれども,当初案としましては,英語の資格・検定試験のみで共通テストを行うという案が出まして,それに対しまして国大協あるいは公大協等々意見を申し上げまして,従来どおりセンター試験と同じようなリーディングとリスニングを是非やっていただきたいという要請があって,併用という形になった。
 ただ,そのうち,これはニュアンスとしては,共通テストで出題する部分はなくなるような印象を我々持っておりました。ということで,この資格検定試験の受験というのは必須かというのは,そういう経緯から強い印象を持っていたというのは事実でございますので,そのあたりの経緯も是非書いといていただければと思います。以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,まず,4つ目の総合的な英語力評価の推進の考え方と,5つ目の国による総合的な英語力評価の推進・支援策に関して御意見ございましたら,挙手ボタンを押してしていただければと思います。いかがでしょうか。まず,小林委員どうぞ。
【小林委員】
 ありがとうございます。まず,7ページ目の4の最初のマル1,英語4技能を入試で問う必要性の4ポツ目。これは私の意見が入っていると思うんですけど,国家試験合格を目的としている分野その他で4技能が優先課題ではないというのは(発言とは)ちょっとニュアンスが違うんですけども,実際,例えば医学部とか看護学部でもそうですけれども,英文の論文というのは当然読む必要性がありますし,それからいろいろ研究発表するのに英文で書くのは第一優先なんです。
 ただ,問題としては,学生さんが一番必要とするのは国家試験を合格するということでございますので,国家試験に英語の出題がない限りは,やはり日本語で勉強するということになってしまいます。もし本当に可能ならですけども,どなたかがおっしゃっていたんですけれども,国家試験はほとんど厚労省の管轄なんですが,国家資格試験に英語を出していただくように要望すれば,中での英語の必要性,それから授業での英語のブラッシュアップというのは当然あると思いますので,その辺もたしか議論があったと思いますので,書いていただいたらよろしいと私は考えます。
 それから,もう1点すいません。8ページ目の一番下で,表題が「関係機関での協議の必要性」となっているんですけど,最初の丸ポチ,「英国では,第三者機関のOfqualが,定期的に監査を実施しており,運営・質・公平性・利益相反などの観点で信頼性担保のための仕組みが定められている」ということが書いてあって,その次が協議の場ということなんですけども,最初の丸はちょっと協議とはなじまなくて,むしろそういう信頼性担保の仕組みが必要であるということを言いたいのであって,ですから,この表題と最初の丸ポチとの整合性がないので,そのことは(修正を)強くお願いしたいと思っています。
 私立大学も,4技能試験を資格検定試験で実際には代用しているところも多くて,特に大学院は大抵それを代用したりしているんですけども,その信頼性が,利益相反も含めて担保していただければと。それは国の機関がちゃんと担保しないといけないんじゃないかと思います。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,益戸座長代理,お願いいたします。
【益戸委員】
 ありがとうございます。益戸です。川嶋先生,どうもおまとめありがとうございました。
 私は,5の国による総合的な英語力評価の推進・支援策につきまして,意見を述べさせていただきたいと思います。国による推進策として重要なものは,国によるインセンティブ付けではないかと考えております。
 これは英語だけにとどまらない話です。例えば,今年の入試でも文系学部で数学を課した大学や,記述式を導入した大学の志願者が減ったという報道がありました。そういう大学はコストをかけて,痛みを覚悟の上で改革をしているわけですから,国はしっかりと支援すべきと思います。
 具体的には,英語についても,思考力,判断力,表現力の評価にしても,社会と対話しつつ,ディプロマポリシー,カリキュラムポリシー,アドミッションポリシー,この3つのポリシーを見直して,教育改革や入試改革に一体的に取り組んでいる大学には,国としてしっかりしたインセンティブを付与すべきと思います。
 具体的には,英語についても,思考力,判断力,表現力の評価にしても,社会と対応しつつ,いつも申し上げている3つのポリシー,ディプロマ,カリキュラム,アドミッション,この3つのポリシーを見直していただいて,教育改革ですとか入試改革に一体的に取り組んでいる大学に対して,国としてしっかりしたインセンティブを付与すべきではないか。
 また,優れた成果を上げられている大学というのを可視化して,学外からのステークホルダーからもっと見えるようにすることは非常に重要ではないかというふうに考えております。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,末冨委員どうぞ。
【末冨委員】
 ありがとうございます。先ほどの意見書の2番以降を説明し忘れておりましたので,2から5の部分をまとめて説明をさせていただければと存じます。
 まず,2番の大学入試英語成績提供システムの見送りの課題についてなんですが,先ほど小林委員もおっしゃいましたように,やはり質保証のスキームというのが非常に重要になってくると思います。特に私が気にかかっておりますのが,資格試験としての活用ではなくて,大学入学共通テストのような競争選抜で使われるスコアを活用する場合においては試験実施団体側が対策本となる参考書を出すのには慎重な配慮が必要だという指摘があったと記憶しておりますので,この点も提言に向けて記載すべき事項だと考えます。
 また,今後も大学入試で資格・検定試験活用していくのであれば,英語に限らず,例えばですけれども,関連する検定については,利益相反ルールの整備と周知徹底,それから実施団体内での利益相反の防止措置等も必要になってくると思われますので,そちらも御検討いただければと思います。
 3番の英語資格・検定試験の活用に関する大学の意見や活用の実態ということですけれども,こちらの方は,大学入学共通テストに4技能試験を出題し,評価すべきだという大学側の賛否こともありましたので,そちらのデータ自体も提言の本文に記載していただきたいと考えております。
 4と5についてまとめて申し上げますけれども,これまでも再三申し上げているとおり,共通テストの枠組みでの活用については,指摘された課題は解決される見通しがないために反対の立場です。また,共通テストでスピーキングとライティングを実施することも現実的ではないので,反対の立場です。先ほど吉田委員もおっしゃったように,技術の進化によっていずれそれが可能になるとしても,現時点では到底導入は無理だと判断しております。
 また,共通テストの英語については,先ほど山本理事長からも御説明いただいたように,リーディングとリスニングの2つの形態を中心としつつ,スピーキングやライティング能力の基礎を評価するという方向性で,更に改善を図っていくということが現実的には望ましいと考えております。
 一方で,個別選抜については,川嶋先生の言及いただいた1や3の部分では,多くの大学は英語力を重視しており,できれば4技能を総合的に評価したいと考えているものの,実際の評価方法について意見が分かれているわけです。このことを踏まえれば,特定の方法を推進するというよりは,総合的な英語力評価の重要性について緩やかに合意した上で,総合型,学校推薦型も含めた個別選抜において,各大学のアドミッションポリシーにおいて4技能評価を推進していくというのが現実的だというふうに考えます。
 その際に,川嶋先生の文書の7ページにございましたように,個別試験と外部試験のうち,成績のいい方を選択的に使えるようにすべきなど,大学によって柔軟なルールがあるのは良いと考えます。
 それから最後に,国としての英語資格・検定試験の活用を今後も進めていくのであれば,地理的・経済的な事情への配慮が重要でありまして,この点については別紙の意見書で詳しく説明をさせていただければと思います。
 なお,先ほど芝井委員が御指摘になった英語自体の位置づけについてなんですけれども,私自身も,英語を学ぶことは,そのほかの言語に対しての学びのリテラシーも高めていくという意味で重要だと考えます。それは高等教育としても極めて重要なことですので,英語帝国主義,英語至上主義というよりは,広くグローバル化に対応していくための基礎的なスキルであるという位置づけもされると,より大学関係者としては納得のいく提言になると思われます。以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,清水委員どうぞ。
【清水委員】
 ありがとうございます。清水です。川嶋先生,どうもありがとうございました。6つの項目ですっきりと整理されていて,有り難いと思いました。
 4番についてです。4番はこれまでの意見がたくさん並んだ形で,ここの論点をやっぱり明らかにしておく必要があると思いますので,ちょっと申し上げます。1番から3番の柱立ての議論をここにどう反映させるかというところが一番ポイントのような気がします。
 1つは,1番で英語の総合的なコミュニケーションツールとしての力量が必要だというのは,皆さん,ある程度共通認識があると思いますので,そのことをある意味,公理というか,前提として,2番,3番をどうさばくか,そしてそれに基づいて4番の項目にどういうふうな項目を立てるかだと思いまして,そのときに,3の,7月から9月の調査の実態の中で英語の検定を行っている,活用している大学の実態が明らかになっていまして,2割程度の大学生がそこを通過してきているというような実態がありました。
 ちょっと私は予想以上に多いなと思って驚いた面もあったんですけれども,ですので,AOなのか,学校推薦なのか,選抜単位によっていろいろ違いますし,それから選抜単位が文科系なのか,芸術系なのかによっても違いますけれども,まずは,1番の意義に基づく,どんな人材を生み出すのかというDPのところを,英語力の育成という観点からはっきり出していただいた上で,それがカリキュラム,そしてアドミッションにどう波及していくかという,その仕組みをこの会議として何か枠を提示するような,そういう仕組みができないかなということを考えておりました。
 教育の議論は,100人いれば100人,自分の経験に基づいていろいろ語り始めますので,なかなか堂々巡りになってしまいますので,結局,日本人としての自国の理解こそが大事で,英語はコミュニケーションのツールだから機械に任せればでいいじゃないとか,いろんな話が出てきますけど,私たちの世代ではない次の世代の若者が活躍できるような力をどうつけるかというところをはっきりさせなければいけませんので,改めてDP,CP,APと,ここのところをはっきりもう一度見直す必要があるということを申し上げておきたいなと思いました。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,萩原委員どうぞ。
【萩原委員】
 萩原です。4ポツ総合的な英語力評価のところですが,まず丸3の3つ目の黒丸のところです。共通テスト英語は継続実施すべき,その中で他の2技能も評価できる作題を工夫すべきという意見に関して,本日,山本理事長のから,今年度の問題について,スピーキングまたライティングの能力を確認していけるような試験問題というお話も頂いたところです。是非ともそういう形にしていっていただきたい。あえて4技能というよりは,総合的な英語力を測れるような共通テストという形でお願いしたいと思っています。
 もう1点,丸4の個別試験に関してです。「一足飛びに自前の英語試験をやめ,資格・検定試験を全面導入するのではなく,個別試験と外部試験」のところですが,先ほど末冨先生からお話もありましたけれども,個別試験での英語試験として実施していくに当たっては,一般選抜においては平等性が確保されていない外部試験を活用するということになるのであれば,各大学で公平性などの判断をしていただきたい。高等学校では,平等性であるとか,課題解決をまだ見ていない資格・検定試験を使っていくということに関して,どういう使い方をしていくのかということについて,各大学がしっかりと検討いただきたいと思っています。
 それからもう1点,5ポツの「国による総合的な英語力評価」のところですが,<関係機関での協議の必要性>の部分の最後の黒丸の「資格・検定試験実施団体及び高大関係者等による協議と合議の場が必要ではないか」ですが,文科省でも,大学入試センターでも協議をしてきたにもかかわらず,なかなかうまくできなかったので,この合議,協議の場が必要だというだけではなかなかうまくいかないのではないかと思っています。私からは以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,斎木委員どうぞ。
【斎木委員】
 斎木でございます。どうもありがとうございます。私は,4の「総合的な英語力評価の推進の考え方」について,何点か申し上げます。
 まず第1に,共通テストの枠組みにおいて,英語の試験をスピーキングやライティングという試験形態で実施することについては,現時点では困難であると考えています。
 その上で,先ほど山本理事長からも御説明がありましたように,令和3年度共通テストの英語において,試験問題の読解や聴解を通じて,また,正答を導く過程で英語によるコミュニケーションの基盤となる音声や語彙,表現,文法,言語の働き等の知識が必要となるような問題が実際に出題されているということでした。正にそうした出題の工夫によって,スピーキングですとかライティングとかにつながっていく力を間接的に測定することが可能であるとすれば,そういった作題の工夫を積み重ねることによって,共通テスト全体として総合的な英語力を評価していくという方向を推し進めていく,こういうことが大変に重要であると考えます。
 今申し上げたとおり,共通テストでは,基本的にはリーディングとリスニング,即ち読解と聴解を中心として,間接的にその他2技能も測っていくとすると,一定の限界がおのずとあるということだと理解しています。だといたしますと,個別試験の充実が極めて大切であると考えます。
 各大学のアドミッションポリシーに基づいて,合理的な範囲で英語力を総合的に評価すべきことについて,大学入試関係者の間で,そしてこの検討会議の場で,大きな方向性として合意できれば,それは大変すばらしいことでありますし,また,求められていることだと考えます。
 さらに,国がなすべきことにつきましては,何回か申し上げましたけれども,各大学が,それぞれの個別テストの中で総合的な英語力を評価するという方向に向けて努力をする場合に,何らかのインセンティブを付与するということも大いに検討に値するのではないかと考えております。どうもありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,岡委員どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。8ページの国による総合的な英語力評価の推進・支援策のところで,これはどのように考えたらいいかという項目ですので,ちょっと私の方から質問のような形で述べさせていただきたいと思います。
 成績提供の在り方で,英語の資格・検定試験につきましては各団体が独自にシステム開発を開始しておるということですので,センターが一元管理する成績提供システムをどうしていくのかというのは,センターの方でお考えがあれば,それをお聞きしたいなというふうに思っております。
 全体的には,今の4,5のところも国大協の意見をしっかり取り入れていただいておりますので,特に問題ないというふうに思っております。以上です。
【三島座長】
 山本理事長,何か御発言ございますか。
【山本オブザーバー】
 今の岡先生の御発言で,統一した成績提供の仕組みという御意見は,この検討会議の最初の頃に出た御意見じゃなかったというふうに思います。その後,私の方から,この仕組みというのは,その後,これは延期になるということが決まった後,各団体においてそれぞれシステムを構築しておられるというようなことと,それから,利用者の数が減ってくると,入試センターの方でもこれを運営していくのになかなか厳しいものがあるということを御説明申し上げました。今,岡先生から御質問で,センターで何らかの仕組みを今考えられているんだったら教えてほしいということでしたが,それは無理だねということで委員の方々には御理解いただいたというふうに思っておりますけれども。
【三島座長】
 分かりました。ありがとうございます。
 それでは,次は柴田委員,お願いいたします。そして,その次に渡部委員でこの4番,5番は終わりにいたします。よろしくお願いします。柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。どうもありがとうございます。私は8ページの5番目の今後の総合的な推進・支援策の使い方に関してですね,大学がどのように利用できるかというところをいろいろ考えているんですけども,入試センターの方で無理であれば,5にあります成績提供の在り方,それから関係機関での協議の必要性,こういうものを総合的に考えますと,何かやっぱり協議の場というのをそういう実施団体との間でやって,個々の大学,大学も大きな大学もありますし,小規模の大学もございますので,小規模の大学でも利用できるようなフォーラムのようなものができればいいし,それから,イギリスのようなOfqualというようなオーソライズしたような形での業者からの,個別の業者になるのか,プールしたものになるか分かりませんけども,そういうシステムが構築されていれば,大学にとって大変有り難いし,それから,受験した受験生にとっても随分と省力化あるいは利便性が高まるのではないか,ひいては,そういうものの促進につながるのではないかと考えておりまして,できましたら,いろんな大学団体もございますので,そういうところでの検討というのが進められればいいなと思っております。
 ただ,英語の先生方はいろいろ考え方が御専門の方々にもおありのようで,学内でもなかなか意見の統一ができないような状況なので,さて,どうしたものかなというのは,私個人としては当惑しているところもございます。
 だから,是非高校の先生方の御意見なんかにもお聞きする機会があればなと思っている次第です。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,渡部委員どうぞ。
【渡部委員】
 ありがとうございます。7ページの4番です。総合的な英語力評価の推進。総合的な英語力評価で,その文言はとても的確だと思いました。
 次に3番目の「スピーキングと他の3技能との相関は」とある文言でありますけれども,これは恐らく,以前東京外語大の林学長の御発表の中にあった情報だと思うのですが,一般化するには注意が必要です。相関係数は受けた学生のレベルによっても違いますし,テストの問題形式によっても変わってきます。こういった結果報告もあるといった注意深い文言が必要かと思います。
 例えば,ケンブリッジ英検ですと,スピーキングテストは対面,受験者同士がやり取りをするという試験ですね。そうしますと,リーディングやリスニングとライティングと,いずれも高い相関は出ないという傾向があろうかと思います。したがって,リーディングはどんな問題か,どんな課題か,問い方をしているか,リスニング,ライティングはどうかということによって非常に変わってきますので,ある程度条件をつけて記載をしていただければなというふうに思います。
 最後に,「中長期的には,国・大学入試センター…云々に関してです。これはいわゆる基礎研究に当たると思います。明日,来年,3年後といった短期的視野に立って研究するのではなく,より長期的な見通しを立てた基礎研究を進めるということには非常に大きな意味があると思います。
 試験には実行可能性という制限がいつでもあり,教育効果,信頼性,妥当性とのバランスを取りながら実施すべきでありますから,ひとつの条件を満たすために何が何でもやってしまう,無理をしてでも全能力を測定するという立場には反対です。一方実行可能性も含めた基礎研究は必要だと思います。優秀な研究者がたくさんいらっしゃいますので,国家規模の研究を推進することは大いに推奨していいのではでしょうか。以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございます。
 それでは,続けて6番目,高校・大学における英語教育の充実に関して御意見がございますから,お手を挙げてていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。両角委員,どうぞ。
【両角委員】
 両角です。ありがとうございます。私はここのところがやっぱり一番大事だというふうに思っていますし,実際に充実もしてきているというふうにも思っています。入試に関する検討会議でこんな発言をしたら身も蓋もありませんけど,入試で何か変えようという発想はもういいんじゃないかというのが,ずっと個人的にこの議論に参加してきて思ったことです。
 むしろ,川嶋先生が書かれたメモの一番最後のところに書かれたことがとても大事だなというふうに思っていまして,大学を出た後に社会に出て,どういう英語力が必要なのか。そういう英語力がないと,仕事をしていったり,いろんなチャンスを広めたり,つかんでいく上で不利なんだとか,こういうことがあると,より自分のやりたい仕事ができるんだ,必要なんだというような,社会に出てから必要な英語力といったものが意外に十分に可視化されていない,伝わっていないんじゃないかという気がしています。必要な英語というのもかなり多様ですし,そちらの方の問題を解決していくという方が私は大事なんじゃないかと。そういう意味で,いろんな国も産業界も初中も高等教育も一緒に議論していきたいというのはすごくいいなと思って見ていました。
 先ほど韓国の事例についてもありましたけど,韓国の場合,何であれだけ点数高いかというと,就職で直接的に資格の点数とかを問うわけで,それによって,いわゆるよい企業,いわゆるですけれど,本当によいかは知りませんけど,よい企業に入れるかどうかというのが直結しているので,それこそ大学の図書館なんか行っても,みんな資格の本を持って英語の勉強ばっかりしている。だから,学生も自分が必要だと思えば,そうやって図書館に行って勉強しています。これほど直接的なインセンティブがよいかどうかさておきですが。
 なので,自分の将来にとって,学生も必要なんだとか,あるいはそういった大学教育がきちんと評価されるんだ,それが必要なんだということも,大学が分かれば,それをしっかりDP,CP,APに落として取り組んでいくんじゃないかな,そこがそんなに理解されていないところが一番の問題なんじゃないかなというふうに感じています。
 先ほど入試にインセンティブをという話もちょっと出たんですけど,私はあまりそれやらない方がいい気がして,大学は,何かそういうのをやったらどこか一部だけでもやったふりをするだけで,本質的なところできちんと必要なんだというふうに理解して取り組むというふうにやっていくことが重要なのではないかなというふうに思っています。以上です。
【三島座長】  
 ありがとうございました。それでは,牧田委員どうぞ。
【牧田委員】
 牧田です。私が申し上げようと思ったことを実は両角先生が全部おっしゃったので,若干かぶりますけれども,総合的英語力の育成というのは,これは入試ではなくて大学の教育の問題だろうと思っています。
 大変卑近な例で申し訳ありませんが,愚息が都内にある私立大学を出たんですけれども,入る前は英語なんか全然しゃべれなかったんですが,出た途端にぺらぺらしゃべるようになりましたので,この大学の入試でライティングとかスピーキングをやったかというとやっていないわけでありまして,ことほどさように,大学での教育が重要なのではないかということを是非申し上げたいと思って意見しました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,続いて小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 私も両角先生の話で大賛成なんですけど,(2)の大学入試後の教育の充実の10ページのこの囲みの中の下から2番目,これは私の発言だったと思うんですけど,「私大協は」という表現が,私大協全部のコンセンサスを得ているわけじゃないので,申し訳ないんですけど,これは削除してください。確かに議論はされています,3つのポリシーでは,ディプロマ・ポリシー,どういう学生を育てるかというのは,大学の中では一番重要で,そのためにカリキュラム・ポリシーがあって,それと同時にアドミッション・ポリシーが出てくるのでディプロマ・ポリシーをどういうふうに設定するかというのが,大学の中では一番課題になっていますので,社会が何を望んでいるかが大事なので,それを基にしてディプロマ・ポリシーが出てきます。「私大協は」というのだけ除いてください。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,次,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。6番目の(1)のこのポツの4番目については,私も少し発言をさせていただいた内容が記載されていると思います。特に,高等学校段階で総合的にどの程度の英語力かということが可視化できると大変いいんじゃないかなというふうに前から思っておりましたので,高校側の意見がお聞きできればというふうに思いました。
 それから(2)の2番目のところですが,「総合的な英語力の向上を」というところで,一番最後の文章で,「英語資格・検定試験を活用することが有益と考えられる」というんですが,これは「活用することも考えられる」ぐらいの方が適切かなというふうに思いました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。10ページの,先ほど両角委員から御指摘あったところなんですけど,私はちょっと違った感覚がありまして,ここで書かねばならないものというのは,ある世代でいうと53.7%ぐらいが大学に入っていくわけで,その世代全てに対してどういうふうに向き合うかということだと思うんです。ところが,ここに書いてあることは,その上の中で,その世代の中から,例えば国際機関や外交や国際ビジネスを担う人が出なきゃいけないというふうに書いてあるわけです。ですから,出なきゃいけないと思います。出なきゃいけないから高い英語教育をやらなきゃいけないと思います。専門教育も強化してほしいわけです。だけど,それが全てであるかのように言うのはやっぱりおかしくて,ちょっといかがかと思うんです。
 それからもう一つは,英語が決定的な役割を果たしている,正におっしゃったように,韓国の場合に,人気の企業,ある程度安定した収入の高い企業に入るために英語が使えなきゃ入れないわけです。そういう社会をつくりたいですかということになるんです。本当ならば,英語の点がどうか分からないけど,すばらしい人だからこの人を選ぶ,あるいは逆の能力で,別の能力で選ぶようにならなきゃいけないのに,完全にそうなっているわけです。これは簡単に言うと植民地だということです。私たちは,日本の国が植民地になるのに反対なので,もう少し,同じことを書くについても少し距離を置いて書いてほしい。
 ですから,大学の中で,確かに,ここにありますように,DPだとかCPの中で入れるところがあってもいいと思うし,そういう努力はすべきだと思うんですけど,あらゆる大学はそうしなきゃならないような書き方への後押しというのは,最低限の私の主張です。
韓国はいい社会だと思いますが,その点については,私はいい社会だと思っていませんので,同じような愚は避けていただきたいということです。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,清水委員,どうぞ。
【清水委員】
 清水です。先ほど4番のところでちょっと意見を申し上げさせていただきましたけども,この6番は,いわゆる高校,あるいは大学の入試を挟む上と下というと表現は変ですけれども,そこの話で,この委員会が検討するミッションの守備範囲の前提のようなところですので,本来は入試をどうするかというところが本丸だったんですけども,それだけではやっぱり議論がなかなか進まないということはちょっとはっきりしたなというふうに思っています。
 その一方で,新しい学習指導要領で,小学生,中学生,高校生が従来と違う形で外国語あるいは英語を学習している中で,高等教育の側が変わらなくてよいのかという問いが投げかけられたままになっている感じは一方ではしていまして,そこは何らかの形で考えなきゃいけないと思います。つまり,6番の問題というのは,スタンドアローンで問題があるのではなくて,その一連の国の教育政策の中の1か所の切り口になっているという,そういう見方がちょっと大事かなと思いました。
 そういう観点からは,先ほど申し上げました出口でどういう人材を育てるか。先ほど武藤さんの御説明に,企業の中で社員,職員に英語力を育てないといけないというのが7割ぐらいいるという実態があるとか,そういうデータ,それから大学の選抜単位や分野によって受験の科目やその構成が大分違ってきていたりするというそういう実態から見ると,各大学のリプロマポリシーとアドミッションポリシーが整合的にちゃんとなっているかとか,そういう大学の教学マネジメントのような話が,ここの6番の中の大きな議論として浮かび上がってくるかなということをちょっと考えていました。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。この10ページの4ポツ目一番最後のところです。「国が産業界と協力して」というようなことで,社会に出てからどのような英語力が必要なということは非常に重要だと思いますし,それから,先ほど小林委員が御発言になりましたけども,できれば,私,医学関係なんですけども,国家試験に一部でもやっぱり英語力を問うような,国際化の時代に専門職として必要な資質ということを試していただければ,就学中,あるいは大学に入る前から,皆さん方のインセンティブというのは随分変わってくるんではないかなという気がしております。
 と申しますのは,入学して英語力を一生懸命我々高めようとするんですけども,国家試験に出ないからいらないよねというような受け止め方が結構あるものですから,その辺りが変われば,随分と雰囲気が変わるのではないかなと思った次第です。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,今手が挙がっておりませんけれども,何かございますでしょうか。両角委員,どうぞ。
【両角委員】
 すみません,先ほどの発言がひょっとして間違って伝わったかなと思ったので,ちょっと補足ですけれど,社会で求められている英語力を一般に可視化しろと言っていることを私は言っているわけではなくて,それぞれの分野とかそれぞれの大学で必要なものがあるはずで,そこがきちんとコミュニケーションされていないのではないかと。全体は,それこそ今日の資料等で分かっているんですけど,そこの話なので,ちょっと誤解のないように補足させていただきました。ありがとうございます。
【三島座長】
 それでは,芝井委員,どうぞ。最後で。その後,次の議題に移ります。
【芝井委員】
 すいません,言いたいことがあるのですが,ちょっとここの文章自身は,DPやCPと連動性を強化することで,英語力の伸長に対して,それぞれの大学学部が責任を持つ体制ができる。それが今後の,特にビジネスの世界における英語の必要性に応えることができる,そういう大学になるだろうという書き方がしてある,そんなふうに読めちゃうわけです。そこは少しクッションを置いていただかないと,やっぱりそういう直結の仕方はまずいんじゃないですかという単純な話です。
 繰り返しになりますが,世代の半分以上は今大学生なんですよね。今後,例えばオーストラリアの例を考えると,7割とか8割の大学生が生まれる可能性がある,世代の中でですね。そこに対して,こういうふうな教育を本当にするつもりだと言われると,私はそれはちょっとやめてほしいと思います。そういうことではなかったと思う。それぞれの大学は,やっぱり専門分野を持ちながら,多様な人材つくり上げることを目標にして,日々教育や研究に携わっているわけで,別に英語のためにやっているわけじゃないんです。単純な話です。そこは是非大事にしてほしいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,皆様,ここで大臣が到着されましたので,一言御挨拶を頂きたいと存じます。萩生田大臣,よろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 皆さん,こんにちは。本日もお忙しい中,大変早い時間から長時間にわたりまして,様々な精力的な御審議を頂いておりますことに感謝を申し上げたいと思います。
 第22回会議より,テーマごとに,これまでの意見を踏まえた討議ペーパーを座長,座長代理の御尽力で取りまとめていただいて,更に議論を深めていただいております。本日は,英語4技能の総合的育成・評価のあり方と,地理的・経済的事情への配慮がテーマとなっているところです。本会議にとっても最重要の検討事項であり,様々な角度からの御議論をいただければ幸いに存じます。
 すいません,私,今日はちょっとコロナの関係で会議が重なっておりまして,出たり入ったりになりますけれども,丹羽副大臣が陪席をさせていただいておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,議事の3つ目に入ります。経済的な状況や居住地域,障害の有無等にかかわらず,安心して試験を受けられる配慮についてということで,川嶋先生から御説明を頂きます。資料3でございます。よろしくお願いいたします。
【川嶋委員】
 川嶋です。再びよろしくお願いします。
本会議の検討課題については,萩生田文部科学大臣の方から,まず英語4技能評価のあり方,2つ目は記述式出題のあり方,3つ目が経済的な状況や居住地域,障害の有無等にかかわらず安心して試験受けられる配慮,4番目はその他大学入試の望ましい在り方という形での課題を頂いております。
 今日は,これからは3つ目の経済的な状況や居住地域,障害の有無等にかかわらず安心して試験を受けられる配慮という点について御意見をお伺いしたいということでございます。これまで,まとめてこのテーマについては意見交換をしておりませんでしたので,是非積極的に御意見をいただければと思います。
 まず,(1)基本的な考え方,1つ目,大学入試に求められる原則の2番目,受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保を踏まえ,入学者選抜の結果を社会的に信頼されるものとするためには,受験機会や選抜方法における「形式的な公平性」を確保するとともに,地理的・経済的条件に配慮した受験機会の確保や,障害者差別解消法の規定に基づく障害者への合理的配慮の充実など「実質的公平性」を追求することが重要であると。これらの具体的内容を一律に定めることは難しいが,各大学のアドミッション・ポリシーに基づき,積極的な取組が求められる。
 2つ目,また,2040年の社会を見据えて高等教育政策全般について学修者本位の教育への転換に向けた包括的な提言を行った平成30年11月26日中央教育審議会答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」においては,「誰一人として取り残さない」というSDGsの考え方を踏まえて,全ての人が必要な教育を受け,能力を最大限に発揮する社会の構築を念頭に置き,高等教育を多様な人材が集まり新たな価値が創造される場にすることなどを提言しており,大学入学者選抜においてもこうした基本的な考え方を踏まえる必要がある。
 下の四角の中には,これまで頂いた主な意見を整理させていただいております。
例えば,入試全体における格差の緩和については,中等教育及び高等教育の漸進的な無償制導入等の上位政策目標と整合的な施策を打ち出す必要がある。あるいは,2つ目,社会経済格差の問題は教育を論じる際には避けて通れない。文部科学省にも大学にも突きつけられた課題である。最後に,公平性の担保は重要だが,不公平をゼロにすることは不可能であり,現実的な判断が必要などの御意見を頂いています。
 (2)大学入学者選抜の受験機会における地理的・経済的条件への配慮ということで,まず,入学者選抜のオンライン化の推進についてでございます。これは,第23回のウイズコロナ,ポストコロナ時代の大学入学者選抜(案)においていろいろ御意見を伺い,意見交換を行った項目でございます。
 1つ目,令和3年度入試においては,コロナ禍の中,総合型・学校推薦型選抜等において,面接試験がオンラインで実施される大学が増えたが,今後も,自然災害等の事態への対応や地理的・経済的事情への配慮の観点から,面接試験のオンライン化は引き続き有効な手段であると考えられる。
 2つ目,その際には,通信環境の不具合が生じ試験の継続ができない場合や入学志願者が通信環境を整えられない場合等への配慮が不可欠であり,例えば,あらかじめ予備日を設定する,日時を繰り下げ再試験の機会を設ける,志願者と個別に連絡をとって大学でのオンライン受験も可能とする,大学に連絡窓口を設け不測の事態に個別対応できるようにする等の措置を講じる必要がある。
 3つ目,また,大学や高等学校の立地によってはオンライン入試の実施に十分な回線が確保されていない地域が一部に見られるとの指摘もある。大学や分野の特性によっては,対面での面接が欠かせないと判断される場合もあり得る。国においては,今年度の各大学における面接のオンライン化の実施状況や課題認識について実態を把握し,必要な措置を講じるとともに,障害者への合理的配慮も含めて,具体的な留意事項等を取りまとめて各大学に示すことが有益と考えられる。
 4つ目,他方,一般選抜における学力検査をオンラインで行うことについては,不正の防止方策等を始め,大学入学者選抜に求められる原則2,(受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保)の観点から高いハードルがあるため,将来の技術進歩等もにらみながら,当面は先行事例の分析や研究を行うことが必要であると考えられる。
 5つ目,また,英語資格・検定試験については,地理的・経済的な事情への配慮及び試験の安定的な実施の観点から,オンライン受検システムの導入について,試験実施団体と高校・大学関係者等で協議することが考えられる。先ほど御意見を頂きました資料2の最後の方に書かせていただいたところでございます。
 大学入学共通テスト等の高校会場の拡充可能性の継続的検討。
 1つ,大学入学共通テストについては,高校会場の拡充の検討が必要との指摘がある。このことについては,試験の安定的で確実な実施や大学・高校関係者の負担への配慮等も必要である上,地域の実情を踏まえる必要があるため,まずは,都道府県毎の大学・高校関係者の協議において,現状を踏まえた検討を促し,その結果を踏まえつつ,新たに設ける大学入試に関する常設の協議体において,継続的な検討を行うことが適当と考えられる。これについては,第23回のウイズコロナ,ポストコロナ時代の大学入学者選抜(案)で皆様の御意見を頂いたところでございます。
 2つ目,また,英語資格・検定試験については,大学入試のみならず,各学校段階の教育活動等において重要な役割を果たしていることに鑑み,高校会場の活用の促進について,試験実施団体と高校関係者等で協議することも考えられる。これは先ほどのでいろいろ御意見を頂いたところでございます。
 この点について,これまで頂いた主な意見を四角の中でまとめております。実態調査では,「宿泊を余儀なくされる生徒が何百人もいる」とか,会場確保のために「公立の小中高で実施すべき」との声があった。地域によっては高校会場拡充の可能性についても検討に値する。同様の指摘が次に書いてあります。また,多くの私大は共通テストに施設を提供しているが,半数が,今以上の負担は困難と考えている。
 4番目,英語資格・検定試験実施段階が離島・へき地に試験会場を設置する際の経費を支援すべきというような御意見を頂いております。
 次,低所得者への受験料等支援について。先ほど意見交換いたしました資料2「英語4技能の総合的育成・評価のあり方について(案)」に関する議論等を踏まえ,経済的に困難な事情を抱える者への支援策を検討することが必要であるということで,囲みの中には幾つかの代表的な御意見を整理させていただいております。例えば,困窮層の大学進学率上昇は,子供の貧困対策大綱に位置づけられているが,依然として低いと。高校在学中に必要な経費や大学入学に至るプロセスへの支援が相対的に手薄であり,改善を図る必要があるなどと。
 2つ目,仮に全受験生に英語資格・検定試験の受検を求めないとしたら,格差の問題は相当解消するが,個別大学の選抜の話であっても,十分な受検機会の確保につながる支援方策を検討すべき。
 3つ目,今回問題になった大学入試における英語試験の活用以外にも,高校教育においては,検定試験や模擬試験が広く活用されている実態を踏まえ,生活保護制度及び高校生等奨学給付金に検定試験等の受検料を対象経費として追加すべき。それに先立ち,学校での検定試験等の活用状況等の実態調査も必要。
 4番目,英語4技能を含め,今回の実態調査の結果,大学入学者選抜で広く活用されていることが明らかになった資格・検定試験の実施団体に対し,低所得層の受検料を低減させる仕組みの導入を要請すべき。
 (3)障害者への合理的配慮の充実。
 1つ目,障害のある入学志願者に対しては,「障害者基本法」や「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の趣旨に十分留意し,その能力・意欲・適性,学習の成果等を適切に評価・判定するために必要な合理的配慮を行うことが重要である。
 2つ目,合理的配慮は,その実施に伴う負担が過重でないときに障害の特性や具体的場面・状況に応じて提供するものであり,一律の措置を求めることは難しいが,各大学においては,申し出があるときには個別に丁寧に相談に応じ,先行事例も参考としつつ,何ができるかを検討する必要がある。このため,障害のある学生等への支援について好事例の収集・提供等を行っている日本学生支援機構において,参考になる考え方や事例を示していくことが考えられる。
 3番目,また,英語資格・検定試験における合理的配慮の推進については,試験実施団体と高校・大学関係者等で協議することが考えられる。これは繰り返しになります。
 その下の四角の中に,これまでの主な意見を整理させていただいております。
 例えば,障害者に対する試験内容の調整に関し,安易な免除ではなく公平に評価する方法の検討が必要である。
 3つ目,例えば合理的配慮の提供に当たり,記載用のフォームが大学により異なり,保護者や受験生の負担になっているとの指摘がある。フォームの標準化を図ってはどうか。
 4番目,事前の相談教員,保護者,支援者等が加わることの可否について取扱に差があるとの指摘がある。日本学生支援機構が参考になる考え方や事例を示してはどうか。
 5つ目,複数の資料を見比べて記述式で回答する問題は,視覚や読字,手書きに障害のある者の認知的な負荷を高め,思考力ではなく認知的能力を問うてしまう可能性がある。変更・調整を十分行う必要がある。
 英語資格・検定試験において,最初から完璧な合理的配慮の提供体制を構築することは困難である。異議・不服申立て等を行える仕組みを構築していく必要があると。
 それから,スピーキングテストにおける吃音者への合理的配慮として,1つ,発話時間延長,発話試験免除,タブレット以外の形式での実施,「話す」の重みづけ変更,非流暢性を加味した評価が考えられる。
 それから最後に,ケンブリッジ英検についての対応の状況についての意見も頂いております。
 (4)地理的・経済的事情等のある志願者を対象とした特別選抜等の実施について。
 まず,地理的・経済的事情への対応。
 1つ目,今般の調査の結果,様々な優れた取組例がございました。例えば,進学第一世代を対象とした給費生選抜,児童養護施設の入所者を対象とした検定料・入学金・学納金を免除した選抜区分の設定,児童養護施設長の推薦による選抜,地方出身者・離島出身者を対象とした公募型推薦入試,昼間のキャンパスでの勤務を前提とした夜間学部のAO入試など。
 それから3番目,国においては,こうした取組の横展開を図る観点から,大学入学者選抜実施要項で留意事項を示し各大学での取組の推進を図るとともに,日本学生支援機構等において好事例を公表することが適当である。
 囲みの中には,これに関していただいた主な意見を整理させていただいております。
 最後に,実態調査と入試情報の公表ということで,これも第23回の議論で頂いた意見をもとにしております。
 1つ目,今般実施した大学入試実態調査については,エビデンスに基づいた大学入試政策立案の基礎的な資料として定期的に行うこととし,その中で,キャンパスの多様性を確保する大学の取組を把握し,優れた取組事例の普及に生かすべきである。
 2つ目,また,国は,選抜基準,受験者数・合格者数・入学者数や属性別の内訳,合理的な配慮の提供状況を始め,入試に関する様々な情報の適切な公表を,各大学に求めるべきである。
 下の囲みの中には,これに関していただいた主な意見をまとめていただいております。
 以上,終わりたいと思います。よろしく御意見を頂きたいと思います。
【三島座長】
 川嶋先生,どうもありがとうございました。それでは,ただいま御説明について御意見がございましたら発言をお願いいたします。
 発言希望される方は挙手ボタンを押していただければと思います。(1)から(4)までございますけれども,まとめてどこでもということで御質問等いただければと思います。よろしくお願いいたします。末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 ありがとうございます。私の意見書の,右下の3ページから説明させていただきます。
 こちらの資料については,以前も出した意見書に加筆をさせていただいたものでございますので,赤字と青字の部分を中心に説明をさせていただきたいと思います。
 早速ですけれども,大きい数字の4ページにお進みください。
 特に検討の前提となる政策の流れにおきましては,4ページの(6)からですが,第22回の会議の資料1において,川嶋座長代理より,形式的公平性に加え,「実質的公平性の追求」の重要性も提言いただきまして,委員の間で一定の合意を頂いたことは大変感謝しております。横並びの平等も重要ですけれども,それだけでは受験機会の格差や就学前から連綿と横たわっている学習意欲や学習達成の格差が温存され,日本社会に存在する機会不平等や社会的排除の改善は実現できません。多様性を力にする活力のある国づくりにも寄与できないと考えます。他方で,この定義における公平性の概念の記述は,地理的・経済的条件ですとか,あるいは障害者への合理的配慮の充実にとどまっておりまして,先進国の中でも最悪水準のジェンダー格差,本会議においては女性の大学等進学率の低さやエスニックマイノリティグループへの目配りに欠けていると指摘せざるをえません。大学入試や教育の機会均等における公正(Equity)の実現に近づこうとするのであれば,これらも含めた形で記述を見直されるべきだと思います。
 したがって,青字の意見に進みますが,国際条約にも規定されている無償教育の漸進的導入については,高校政策,それから高等教育政策,その間をつなぐ大学入試政策の上位規範であります。そして,更に高大接続改革における法令や施策は,この方向と矛盾がないことは当然でありますが,むしろ,この方向を更に促進するように立案・実施されるべきと考えます。端的な形で結構ですので,このことを,川嶋先生の本日の資料の1ポツの「基本的な考え方」に盛り込んでいただければと思います。
 また,新たに,先ほど申し上げた(6)を追記しましたけれども,こちらにつきましても特段の反対がなければ提言の案文に反映をお願いできればと存じます。
 それから,次の6ページの方に進みますけれども,(3)のところです。先ほどの指摘に基づきまして,ジェンダー格差については,やはり明記すべきであろうというふうに考えます。
 併せまして,右ページに行きまして,意見を指摘させていただきます。本検討会議は,過去の不適切な政策決定の反省の上に立ち,データやエビデンスに基づく議論を旨としておりますが,資料の3においては,その辺がやや弱いようにも思います。本意見書の2の方で読み上げておりませんけれども,様々な現状データと改善の方向性につきましては,既にオープンになっているデータと既存施策の流れを踏まえて客観的に記述しているつもりですので,こちらについても,やはりほかの委員からの特段の御異論がないようであれば,現状認識又は課題認識として提言文に盛り込んでいくべきであろうというふうに考えます。
 それから,8ページまでお進みください。
 まず,読み上げる前に,関係者の皆様にお礼を申し上げておきます。高等教育の無償化の効果もあって,生活保護世帯や低所得世帯からの進学率が10%程度上がりそうだという大変うれしいニュースがございました。御尽力に感謝申し上げます。
 ただし,支援制度にまだ切れ目がございます。それが8ページの丸7と丸8ですけれども,家計急変世帯などを含めて,経済的に困難な状況にある学生等の入学金や授業料などについては,納付時期の猶予など弾力的な取扱いをするように文部科学省から大学に対して働きかけを頂いているんですけれども,実際にそうした制度が行われているかどうかについては定量的な把握がされていません。であればこそ,後ほど申し上げますが,実態調査において,できれば毎年入学金納付時期や猶予など弾力的な取り扱いを把握し,その結果を踏まえて,未導入の大学に導入を求める通知を発出される必要があると考えております。入学金の壁が破れずに,合格しても進学できないという学生がいなくなるような支援が必要です。
 あわせて,丸8です。受験料については,高等教育修学支援制度において措置はされているんですが,支給時期が受験時に間に合っておりません。低所得世帯の受験生の受験機会を制限する要因となっております。支給時期の前倒し,若しくは,あらかじめ高等教育の無償化の採用通知を受けた者に対して,無利子の貸付け等の時期を適切化するという支援が必要であると考えます。
 時間の都合で,大変申し訳ないんですが,皆様方にお目通しだけ頂きたい資料が,14ページ以降にございます。NPO法人キッズドアで受験料の支援を受けた若者や保護者の声というものがございます。共通テストの2万円すら支出できずに,大学を受けることを諦めています。これは我が国において,法の下の平等が憲法・教育基本法に定められていることを鑑みれば,到底容認し難い状況です。ただし,高等教育の無償化や民間団体の支援によって,このことが見えてきたからこそ,提言に盛り込み,早急に改善されるべき重要な課題であると考えております。若者たちの進路を開き,人材育成をすることは我が国の国益にもかなっているはずです。
 8ページに戻りまして,網掛けの部分が今回の資料3の本文に反映されていないように思われますので,こちらも特段の御反対がなければ,反映をお願いします。また,新たに7を追記しましたけれども,こちらについても是非反映をと思っております。特に受験料や受験準備支援の必要性については,先ほど申し上げたキッズドアの調査もございますので,現実に困っている若者の存在に寄り添っていただければと思います。
 9ページに進みまして,丸6ですけれども,英語成績提供システムの導入の見送り前につきましては,文部科学省の離島の生徒の英語試験や検定試験の受験料に関わる経費を補助するという方針がございました。私自身は英語成績提供システムへの民間試験の活用自体反対なんですけれども,先ほども川島先生が御指摘された高校会場がない離島の生徒に対する支援政策,若しくは支援政策が必要であると考えます。僻地教育振興法にも根拠となる規定があるということで,意見としましては,ここで提言した事柄のうち,網掛けの部分が今回の資料3の本文に反映されていないように思われます。また,6を追記いたしましたので,こちらも是非反映をお願いできればと存じます。
 併せまして,10ページの方に参りますけれども,こちらはジェンダー格差についての内容は明記すべきだと考えます。九州大学の数学科入試の女性枠に対して,男性差別の批判が寄せられて取りやめられた案件がありますけれども,既存の男性優位の高等教育機会というファクターを維持しすること自体が差別的な社会や仕組みの維持と温存につながるということを前提とした上で,男性枠,女性枠,あるいはジェンダーバランスに配慮するという書き方でも構わないと思いますけれども,記載を是非お願いしたいと思っております。
 それから,11ページの意見の方にまいります。資料3の(4)の本文には,外国籍や日本語指導が必要な生徒への配慮の観点がまだ不十分であると考えます。文科省には,外国人の子供を支援する担当課も設置されておりまして,精力的に御活躍いただいておりますが,少なくとも各国の大使館等と協議の場を持って課題を共有するとともに,進学率の向上に向けて協力できることを探る努力がグローバル化の進む我が国でも必要だと考えています。併せまして,大学進学率等についても,出身の国籍ごとにデータの収集等をされるべきではないかと考えております。
 その下の障害のある学生の大学進学支援につきましては,協議の場でいかなる支援が必要なのかということを丁寧に検証されるべきだと考えます。さらに,その下の4番なんですけれども,大学入試実態調査については,今回のこの会議において,初めて本格的な入試の調査が実施されているという経緯自体をかなり重く受け止めていただきたいです。特に文部科学省にはということですけれども,包括的な大学入試の実態調査につきましては,入試政策の基礎的な資料として欠くべからざるものです。であればこそ,今回の調査から更に必要な改善を図った上で,定期的に行うこととし,年度ごとに特に必要な事項に絞って小規模調査を実施していくべきであろうと思います。
 さらに,特にキャンパスにおける多様性確保の改善についても,今回,自由記述としていましたけれども,より回答がしやすい,あるいは取組が促進しやすいものについて,選択肢方式等での定量的な調査に移行すべきと考えております。
 併せまして,12ページに進みますけれども,12ページの(4)です。今回の入試実態調査を通じて明らかになった多様な受験者に対する支援制度につきましては,より多くの大学での取組を推進していただきたいと考えます。国におきましては,大学に対してこれらをアドミッション・ポリシーに盛り込めるような関連のガイドラインの改定,あるいは,実質的な公平さを追求するためには,受験生と大学側の情報の非対称性を解消して,適切な学校選択を得心するべきと考えます。であればこそ,イギリスの例に倣いまして,男女別在籍比率,あるいは障害学生やエスニックマイノリティーに属する学生,貧困世帯の学生の入学者に占める比率や関連の支援制度の有無,あわせて,中退率等の大学選択に関わる情報も法令上の情報公開の対象として検討すべきです。もちろんこれらのことは国からの補助金交付金の交付を受ける各大学が,自らその存在の公共性を自覚し,国から義務づける前に,自主的,自発的に行われることが望ましいということは言うまでもないと考えております。
 それから(5)番は,私自身は教育における公正というものを,ウェルビーイングの実現と同時に,児童生徒間,社会集団間の格差の縮小という点に置いているということを先行研究の整理を通じて明らかにし,定義をしました。格差やその拡大は目には見えませんが,確実に社会の健全性をむしばんでいき,我が国の健全な成長と発達を妨げるものであると考えます。であればこそ,その危険性に我が国の社会も気づき,アクションに合意するためにも,見える化をまずしていく,可視化をしていくということが重要であると考え,これらの提言を行っております。
 赤字部分につきましては,是非提言本文への反映をお願いできればと存じます。その他の重要事項といたしまして,12ページの一番下なんですが,特に今回の入試改革の頓挫の経緯,それから政策決定の問題が露呈して以降も,教育政策全般がこれで大丈夫なのかという心配を私は持っております。例えばなんですけれども,教育再生実行会議の審議というものは非常にいい意見も出ておりますが,非公開でブリーフィングだけが簡潔にされるという状況になっています。あるいは中教審答申につきましても,私も高校ワーキング臨時委員でしたが,十分な実証的データと正しい分析に基づいて政策決定が行われているかといえば,必ずしもそうとは言い難い状況があるということです。であればこそ,この会議で行われてきた実態調査や関係者の意見聴取,そして分析や検証を踏まえた政策決定が重要と考えます。入試改革の頓挫の反省と教訓を,児童,生徒,学習者,教職員に今後,同様の困難を引き起こすようなずさんな政策決定の再発防止に活かすにも,教育再生実行会議や,あるいは,中央教育審議会をはじめとする,関係の関係諸会議及び文部科学省全体に受け継がれるべきであると思います。
 長くなりましたが以上です。
【三島座長】
 それでは,今,3人の方の手が挙がっておりますが,なるべく時間内で3人にお話しいただきたいと思います。岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 ありがとうございます。最初のページのところの基本的な考え方の1ポツの一番最後のところなんですが,公平性とか経済状況とか,いろいろなことを述べているのですが,ここに各大学のアドミッション・ポリシーに基づきという言葉が入っているのは非常に違和感がありまして,アドミッション・ポリシーにこういうことを書くことは,まずないと思うんです。アドミッション・ポリシーというのはどういうものかということを考えますと,多くは申し上げませんが,これは各大学のアドミッション・ポリシーに基づきをやめて,各大学の積極的な取組が求められると,この程度にとどめるべきだと思います。
 それから,先ほどからいろいろなことを末冨先生から発表されました。非常にいいところもたくさんあるんですが,個人的には,人もお金もというのが非常にありまして,全ての国立大学が,国立大学の立場としては実現するのは非常に難しい状況にあるということもしっかり考えていただきたいとは思いました。全体としては,ジェンダーのことも大学では進んでおりますので,障害者についても同じようなこともやっておりますけども,限りもあるということも事実でございます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,続いて宍戸委員,どうぞ。
【宍戸委員】
 時間がないところで申し訳ありません。特総研の宍戸です。
 川島先生には障害のある学生さんの合意的配慮についてもまとめていただきまして,本当に感謝いたします。今回の会議では,入試の場面でどういう配慮をしていただくかということが大きいわけですけども,(3)の3つ目のポツにありますように,英語資格検定試験における配慮の在り方についても,是非これから工夫していっていただけると有り難いと思います。そういう意味では,協議することが考えられるというのではなくて,2ポツ目にあるように,必要であるというぐらいに表現をしていただけるといいなと思います。
 また,今,アドミッション・ポリシーの話もありましたけども,障害のある学生さんの入試だけじゃなくて,学生生活を考えて相談に応じてほしいということを考えると,DPとかCP,APにおける合理的配慮はどのように考えているのかということも,各大学が一応説明できるような準備をしていっていただけると,これからの障害のある方の大学入試については希望が持てるんじゃないかと思いました。
 まずは,川島先生に,丁寧にまとめていただきまして感謝いたします。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,柴田委員どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。私は経済的な格差等々の改善に関してでございます。4ページ目のこれまでの主な意見の下の囲みの最初にございますように,今回の高等教育の就学支援新制度というのは本当に画期的なものでありまして,これがなければ,コロナ禍での大学生活がいかに悲惨になったかと,本当にタイミングがよくて,学生さんには助かっているという具合に思っております。
 データから申しますと,本学は地方にあります公立大学ですけれども,授業料減免が11%以上増え全学生の15.9%になっておりますし,給付奨学金についても学生数で14%ぐらい増加しておりまして,入学後の経済的な措置というのは十分にできていて,困窮している学生も減少しているという状況ですけども,ここに書いてありますように,そういう格差のある世帯の高校生に,大学を志願するような動機づけを今後,どういう具合にやっていくかというのは非常に重要だと思います。いろいろなインセンティブとか経済的に受験動機を高める支援とか,そういうものを考えていかないといけないと思いますし,大学についても本学におきましては高大接続の一環としまして,大学進学を奨励するような様々な取組をやって,そういう格差のある家庭の進学意欲を向上させる取組もやっています。
 今回の高等教育就学支援制度というのは本当に善政であったなと,このコロナ禍に対して,感謝申し上げたいと思う次第ですし,更にこれを広げて,有為な高校生に,是非高等教育を受ける機会を増やしていただけるように,更に努力いただきたいと思っている次第でございます。
 以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,大臣が退室されますので,ここで一言,御挨拶をいただければと思います。
【萩生田文部科学大臣】
 まだ続いて御議論があると思いますけれども,本日もそれぞれのお立場から率直な御意見を頂きまして,改めて感謝申し上げます。
 また山本理事長,川嶋先生,また,末冨先生におかれましては,御多忙中にペーパーを整理していただいて感謝を申し上げます。いよいよ本検討会議も詰めの議論をする段階に入っているように感じます。委員の皆様には御苦労をおかけしますが,国民の皆さんが納得するより良い制度の構築に向けて,引き続き,よろしくお願いしたいと思います。
                          (萩生田文部科学大臣 退室)
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,芝井委員,最後でございますので,短めにお願いいたします。
【芝井委員】
 全体として,大変よく書いていただきまして,ありがとうございます。大変私も参考になりました。
 ただ,末冨委員との意見の相違というか,認識の相違が多分あって,そこはポジティブアクションに対する見方だと思います。岡委員も発言されましたが,人もお金も要るから限りがある,一生懸命頑張っているんだけどというのは分からないではないんですけど,ある種の理念も含めてですけれども,きちっとポジティブアクションをする領域があって,そこに対してある種の格調高い取りまとめをしていただきたいというのが私の希望です。
 もう御承知のように,医学部で起きた女子に対する差別的な入試と,今はこんなことをやっているのかと,大変私はショックだったんですけども,それが行われて,それに対して関係者があまり不思議に思わないような社会をつくってしまったことについて,私も随分反省するところが大きくて,きちっとしたポジティブアクションを行って,多様性を確保するということを,この会議体として一定の方向づけをしてほしい。でないと,ああいうことがまた起こってしまいかねないという感じがしています。
 生半可な意見で申し訳ありませんが,そう思っていますので,是非そういう取りまとめをお願いしたいと思っています。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,委員の先生方,長時間にわたる意見交換ありがとうございました。直近3回の会議と合わせて,主要なテーマについて一通り集中的な御議論を頂いたことになるかと思います。今後,これまでに頂いた意見を踏まえて,座長代理とも相談し,提言に向けて更にブラッシュアップし,次回さらに詰めた御議論を頂きたいと思います。ありがとうございます。
 それでは,最後に事務局から何かございましたら。
【武藤高等教育局企画官】
 次回会議の具体的な日時につきましては,委員の皆様と調整の上で,近日中に御連絡いたしたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 それでは,本日,以上とさせていただきます。御協力ありがとうございました。

 

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