大学入試のあり方に関する検討会議(第19回)議事録

1.日時

令和2年12月11日(金曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省省議室

3.議題

  1. 討議 整理しておくべき事項について(記述式出題のあり方)
  2. その他

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、荒瀬委員、斎木委員、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員、牧田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

鰐淵文部科学大臣政務官、藤原文部科学事務次官、伯井高等教育局長、森田文部科学戦略官、角田文部科学戦略官、西田大学振興課長 他

5.議事録

【三島座長】
 皆様,こんにちは。座長の三島でございます。お忙しい中,ご参加いただきまして,本当にありがとうございます。それでは,定刻となりましたので,ただいまから第19回大学入試のあり方に関する検討会議を開催いたします。
 今回の新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,ウェブ会議方式での開催となっております。音声など不都合ございませんでしょうか。
 本日も,傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開とし,後日議事録をホームページに掲載することにしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは,まず事務局から何かございましたら,お願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 本日,荒瀬委員が御欠席で,吉田委員が途中から御出席,それから,鰐淵政務官が途中で退席をいたします。
 前回までと同様に,聞き取りやすいようにはっきり御発言をお願いいたします。また,資料参照の際,該当箇所をお示し願います。ハウリングを避けるために,御発言の際,挙手ボタンを押していただき,指名があったとき,ミュートを解除してから発言をしていただきたいと思います。挙手の下げ忘れ防止のために,指名された段階で事務局で一律に手を下げる処理をさせていただきます。よろしくお願いします。
 以上でございます。
【三島座長】
 それでは,本日の議事に入ります前に,実態調査の結果,これまで報告いただいておりましたけれども,その際に委員から頂いた御質問について事務局から回答を頂きたいと思います。資料1でございます。武藤企画官,説明をお願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼いたします。資料1を御覧ください。実態調査の結果,丸4の追加関係でございます。これにつきまして,これまでの会議で大きく3点ほど委員の先生方から御質問ございました。1点目,2ページ目の質問1ですけれども,共通テストで記述式問題を出題すべきとする回答あるいは個別入試で記述式問題を充実すべきとする回答について,設置主体別あるいは学部規模別に見るとどうなるのかという御質問。これは清水先生から頂きました。また,質問2で,英語のスピーキング・ライティングの評価方法への意見について,英語4技能評価をアドミッション・ポリシーで明記しているか否かによって影響があるかどうかを知りたいと。これは両角先生だったかと思います。それから,質問3,一般入試で個別学力検査を実施していない大学の割合について知りたいと。これは吉田先生からございました。これらについて若干追加で分析いたしましたので,御説明いたします。
 まずページめくっていただきまして,3ページです。これは以前お配りしているものです。記述式問題への意見ということで,aの共通テストで記述式を出題すべき,「とてもそう思う」と「そう思う」,2%と13.0%。同様に,個別入試の記述式を充実すべきというのは8.2%と50.6%でございました。これを国公私別にブレークダウンしたものが4ページ,次のページでございました。
 ここまでがおさらいでございまして,これを規模で割ったときにどうなるかというのが5ページでございます。ボックスのところですけれども,改めて記述式問題への意見について肯定的回答をした設置主体別・学部規模別の学部の割合は表のとおりと。この規模別というのは,入学者の数で,これ,便宜的に150人未満と150人以上300人未満,それから,300人以上と,この3つに区切って分けております。
 大きくaが共通テストで記述を出題すべき,bが個別入試(一般選抜)を充実すべきということです。ぱっと見ていただきますと,全体としてaよりもbの方が数字が全体的に大きいというのはまず御覧いただいた上で,aの方に戻りますと,国立大学は150人未満が6.9%,真ん中の150人以上300人未満が3.8%,300人以上が9.0%ということです。公立が同様に8.4%,14.5%,27.8%ということで,これは規模が大きくなるほど肯定的な回答をした割合が増えていると。私立はそこまできれいではないですが,16.8%,ちょっと減って14.6%で,そして,増えて20.9%ということで,公立,私立については,規模が大きくなるほど肯定的な回答の割合が高くなっていると言えるだろうと思います。
 それから,次にbです。bについては,御覧いただいているとおりなんですが,特に私学のところを御覧いただくと,58.2%,50.8%,48.1%ということで,こちらも規模が大きくなるに従って,若干肯定的な割合が減っていくというような形でございました。
 続けて,6ページです。英語のスピーキング・ライティングの評価方法への意見ということで,以前お出ししている資料の再掲でございます。一番左側を見ていただくと,小さい字ですけれども,aとbとあります。これは共通テストに出題して評価すべき,それから,共通テストの枠組みで資格・検定試験を使って評価すべき,これが共通テストグループがaとbで,個別入試で評価すべきというのが,個別入試グループがcとd,それから,個別入試の中でも総合・推薦でやろうというのがeとf,そして,入学後の教育でというのがgとhでございますが,下に行くに従ってオレンジと薄いオレンジの割合が大きくなっていくというようなことでございました。
 次のページが御質問への回答のところです。この状況をアドミッション・ポリシーで英語の能力に関する記載があるかどうかで整理,分析をしてみたものでございます。左上の学部内の全ての方針に記載があるというところと,左下の全ての方針に記載がないと,これが両極端でございますが,これを比べるのが一番分かりやすいかと思います。ざっと見ていただくと,濃いオレンジと薄いオレンジの足したところがほぼ同じような形になっているのが見てとれると思いますし,それを足し上げた数字がそれぞれのグラフの右側にあると思います。例えばaでいえば32.0%とありますが,ここもほぼ余り変わらないと。学部内の方針に記載があるという方が肯定的な回答が高いものもあれば,逆に低いものもあると,こういうような状況で,余り明確な傾向は見てとれませんでした。
 参考までに記述の方はどうなのかというのを8ページで見てみましたら,こちらもそんなに明確に出ているわけではないんですけれども,僅かに学部内の方針に記載があるという方が肯定的な回答の割合が高いというような状況でございました。
 続きまして,9ページに参ります。これ,一般入試の個別学力検査で記述式に該当する枝問を1問以上解いたと推定される選抜区分に係る入学者,先般お出ししたものでございます。国公立は入学者でいくと大体99%,私立は53.8%ということでございました。
 これをよりブレークダウンして見てみますと,これ,御質問は,その中で,これを御覧になった吉田先生から,そもそも個別学力検査を実施していないところはどの程度あるのかと,こういう御質問だったわけでございます。10ページを見ていただきますと,青いところ,区分がここに書いてあります。丸1でセンター試験と個別学力検査の両方を課す選抜区分,丸2でセンター試験を課さずに個別検査のみを課す,丸3がセンター試験を課した上で個別検査以外の資料を考慮する,つまり個別学力検査は課さないと。4はセンター試験のみを課す,5番がセンター試験も個別学力検査も課さずにそれ以外の資料を考慮して選抜をすると,こういう5つにカテゴライズしています。この3と4と5を合わせたものが,要は,個別学力検査がなしと,こういう選抜区分でございます。見ていただくと,ボックスの中にありますけれども,国立が33.6%,公立が49.2%,私立が36.9%で,足し合わせると36.8%ということになっております。
 この中で若干目を引く数字だけ申し上げると,丸3の国立のところで,センター試験を課した上で個別検査以外の資料を考慮するというのが32%あります。これは後期日程で小論文とか面接で選抜しているところだろうと思います。公立も42.0%と結構数字が大きいんですけれども,後期日程であると。私立の丸5の欄で3.5%というところ,センター試験も個別試験も課さず,それ以外のところで選抜するという,これは恐らく実技検査等が多く含まれているのではないかと思われます。
 最後,11ページでございます。これは特段御質問があったわけではないんですが,今ほどの資料に関わって試みに作ってみたものでございます。入学者選抜における記述式問題に関する入学者数の割合ということで,これ,9ページに先ほど御説明した資料を更に拡張させたものでございます。ちょっとこれ,字が細かいんですが,左上の,一般入試の入学者数の延べ人数とあって,その下に個別学力検査のありとなしで分かれています。このありのところが正に9ページで申し上げている資料そのままでございます。これに加えて,個別学力検査はしていないけれども,小論文を課している,ありのところがどれぐらいあるか,あるいは一般選抜ではなくて,左下に行きますけれども,AO入試で小論文を課している,あるいは推薦入試で小論文を課していると,こういったところを足し上げると,入学者数ベース延べで見た場合にどの程度の数字になるのかというのが右下に記載をしております。国立でいうと86%,公立73.4%,私立29.4%と,こういう具合でございました。
 長くなりましたが,以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,議事に入ります。本日は,これまでの委員の皆さんや外部有識者の意見発表,それから,ウェブ意見募集,大学への実態調査の結果も踏まえつつ,記述式問題について整理しておくべき事項について議論をしていただきたいということでございます。副座長である川嶋先生に論点ペーパーを作成していただきました。それでは,川嶋先生,御説明をお願いいたします。資料2でございます。よろしくお願いします。
【川嶋委員】
 川嶋です。第15回の本会議に入試制度の全体構造,いわばマクロの観点から検討すべき事項という整理をさせていただきましたが,今日は具体論ということで,記述式問題の在り方について,今,座長から御紹介あったように,これまでの委員の方々等の御意見を踏まえて論点を整理させていただきました。これらの論点について,今日委員の皆さん方から具体的な方策について御提言を頂きたいと思っておりますが,その際には,実現可能性,フィージビリティも念頭に置いた上で御提言を頂きたいと思っています。
 まず1つ目,(1)でございますが,当然のことですけれども,記述式問題の可否,在り方を考える際には,記述式問題の意義,役割,何のために記述式問題を出題するのかということ,また,出題するに当たっては,記述式問題でどのような能力を問うべきなのか,そして,記述式問題をどのような教科・科目で出題すべきかといったような大前提についても皆さんの御意見を頂きたいということでございます。
 その下に,小さな文字で参考1から2,3というのがございますが,先ほど同様,これまでの実態調査で明らかになった点をまとめていただいております。また,参考3は,11月27日の本会議で国大協入試委員長の岡委員からの発表資料で,記述式問題で問う能力は,このような形で問うべき能力であるという御提案を頂いております。
 これは私見ですけれども,記述式出題というのは,教科・科目を問わず,各大学のAPに基づき適切な教科・科目の中で推進していくことが妥当ではないかと思います。特定の科目とか特定の方式に限定することなく,教科・科目を問わず推進する方向が適切ではないかと考えておりますが,これについても委員の皆さん方の御意見を伺いたいと思います。
 (2),先ほどの実態調査の報告にもございましたが,どこで出題するのが適当かということでございます。共通テストにおける記述式出題の実現可能性に関しては,これまで繰り返し何点かの課題が指摘されております。括弧内にございますように,採点者の質,自己採点とのかい離,民間活用に伴う利益相反の疑義,成績提供時期の遅れで全体の入試日程に影響するのではないかというような課題が指摘されております。また,これらの課題を解消するに当たって示された案としては,括弧内にありますように,各大学の教員が採点してはどうか,それから,出願前に採点結果を通知して,それによって自己採点とのかい離を防いではどうか。それから,実施時期を前倒ししてはどうか。マークシート式とは別の時期にやってはどうかという御意見や,CBTやAIの活用によって採点システムを開発するというような御提案がされております。
 しかし,参考のところに書いてありますように,11月27日の大学入試センター山本理事長の説明資料によりますと,現実的にはこれらの御提案の実現は,なかなか難しいということであります。採点についても,採点ミスをゼロにすることは難しいといったような御意見もございました。これらを総合的に勘案した上で,共通テストにおいて記述式を出題することについてどのようにお考えなのか御意見を頂きたいと思います。
 次に,(3)でございます。今度は個別入試における記述式の出題についてという点でございます。丸1は,現在,これまでの実態調査で記述式問題の出題の現状がどのようになっているのかということについてのまとめをしておりますけれども,国公立大学では99%の試験で出題されており,記述式問題の割合は70~80%であるということが分かっております。他方,私立大学においては,54%の試験で出題し,記述式問題の割合は25%ということになっております。
 国公立と私立では試験の仕組みが違うということもあり,各大学のアドミッション・ポリシーやそれぞれの御事情に応じた対応が求められるのではないかということでございます。例えば国公立大学ですと,これも本日配付の大学入学者選抜基礎資料の133から134ページに記載されておりますように,志願者数がそれほど多くなく,更に合格者の歩留り率も高い。この現実を踏まえますと,先日の岡委員の御意見にあったように,国公立大学ではより高度な記述式を出題していく方向で改善を図っていくということもあり得るのではないかと思います。
 他方,私立大学においては,志願者が膨大であり,また一方,合格者の歩留り率が低いという事実がございます。これも基礎資料の135ページに記載されております。そのため,幾つかの課題として挙げられておりますが,採点に伴う負担が大きいという実情もあり,他方,その中で,現に出題している私学も相当あるということも事実でございます。前回,小林委員からも,記述式を出題できていない残りの5割に対する支援が必要ではないかという御発言もございました。
 このような御発言等を踏まえますと,出題や効率的な採点の工夫により出題増に努めていくという方向性もあってはよいのではないかと思われます。また,こうした取組を進めるに当たっては,一般選抜だけではなくて総合型選抜や学校推薦型選抜での活用も考えられますが,委員の皆さん方のお考えをお聞かせ願いたいということでございます。
 (4),今お話ししたように,幾つかの大学あるいはタイプによっては,記述式問題の出題が難しいというような御意見も幾度かお聞きしているところでございます。そこで,考えられる支援策としましては,例えば国やセンターや大学等の協働による良問の整理あるいはそれらを提供するという考え方。また,出題を促すという点からは,何がしかのインセンティブを付与してはどうか。また,本日も含めてですが,実態調査で記述式出題の状況が報告されておりますが,引き続きそのような情報提供を続けてはどうかということでございます。
 この点,これまでも多くの委員の方々から課題等を頂いております。過度な負担を生まない記述式出題の工夫として,多肢選択をさせた上で,その選択肢を選んだ理由を書かせるという方法や,多肢選択で一定の得点を超えた答案を対象に記述式を採点するといった取組もあるというふうに専門家の先生からお聞きしておりますので,それ以外にもどのような工夫があるかということについて,本会議の島田委員,清水委員の御意見もお伺いしたいところでございます。
 また,前回国大協からは,共通活用できる高度な記述式問題の研究開発をしてほしいという御提案が過去にあり,センターの方で作問していただきましたけれども,実際に活用する大学がなかったということでございました。今後たとえセンターが作問しても,活用していただける大学がないということでは無駄なことになりますので,どのようにすれば,あるいはどのような内容であれば,個別大学でも活用できるのか,あるいはどれくらいのニーズがあるのか,また,コストや作業の問題についてどのように分担する考えがあるのかお伺いしたいと思います。岡委員にあっては,なぜ実現できなかったのか,その際の課題について改めて御意見をお出しいただければと思います。
 また,作問のための人的リソースが足りなくなっているという発言もございました。島田委員からもございましたし,私も課題を整理させていただくときに発言させていただきました。その際,島田委員からは,解決策として過去問の利活用も考え得るが,我が国では社会的に許容されにくいのではないかという御意見もございましたが,実は既に御承知かと思いますけれども,過去問の再利用はかなり進んでいまして,平成19年に組織化されました大学入試過去問活用宣言という集まりがあり,現在,国公私144大学がこの組織に参加し,令和2年度の入試では26大学が過去問から出題しております。
 (5)の高校までの教育の充実については,記述の力について高校までの教育を今以上に充実していく必要があるのでは,ということでございます。現行及び新たな学習指導要領の考え方を是非高等学校で徹底的に実施していただくことが必要ではないかということです。ここに書いてありますように,主体的・対話的で深い学びの推進によって思考力・判断力・表現力を育成するということですので,この3つの力を一体的に新学習指導要領の下,カリキュラムマネジメントを十分回していただいて実現するということでございます。
 それからさらに,高大連携プログラムとして大学教員が高校生の書く力を支援するといったような考え方もあるのではないかということでございます。この点については,幾つかの高大連携,高大接続のグッドプラクティスがあればそういうものを普及させてはどうかということでございます。この点については,是非高校側選出の委員の皆様の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 それから最後,(6)でございます。先ほど武藤企画官からの実態調査の中でも触れられておりましたが,かなりの大学が大学入学後の教育の充実を通して,書く力,記述力を育成する方向がよいという御意見になっておりました。そのためには,思考力・判断力・表現力の育成について,大学の3つのポリシーに,先ほども御紹介がございましたが,しっかりと位置づけた上で,3ポリシー――アドミッション・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシーの連携を強化するということも考えられるのではないでしょうか。
 また,こういう点で入学後の記述力の育成に優れている大学プログラムを一層充実させたり,あるいは既にそういう取組を行っている大学のグッドプラクティスを更に普及させる,あるいはそれについてはインセンティブを付与したりする方法もあるのではないかということでございます。この6番目の3ポリシーの連動性を高めていくための具体的な方策について何か御意見がございましたら,お願いしたいと思います。
 以上,駆け足でしたけれども,まとめさせていただきました。ありがとうございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。川嶋先生におかれては,御多忙の中,ペーパーをまとめていただきまして,本当にありがとうございました。
 それでは,このペーパーを材料として議論を行いたいと思います。項目が6つございますけれども,一緒に議論した方がよいものもあるかと思いますので,まず単独で(1)を最初に,そして次に(2)を単独で,その次から(3)と(4)を一緒に,それから,(5)と(6)を一緒にということで,4つに時間を区切って意見交換を行いたいと思います。
 今日はそのあとでも全体議論をする時間があると思いますので,まず(1)の記述式問題の意義,問うべき能力,対象教科等についてということでスタートしたいと思います。御意見がございましたら,発言をお願いしたいと思いますので,挙手ボタンを押していただければと思います。柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。この記述式問題についての対象教科等というところでございまして,今までのところで私どものイメージでは,国語とか数学というのはイメージしやすかったんですけれども,先ほど武藤さんからの御説明にありました資料と関係するんですけれども,先ほどの資料,質問3関係の10ページ目でございます。ここに,個別学力検査を課さないけれどもそれ以外の資料で考慮しているというのがありまして,これが私には不可解だったんですけれども,話は11ページに行きますと,これがかなりよく分かるんですけれども,要するに,個別学力検査ではないけれども,小論文を課している,ここで記述をやっているということが記載されておりまして,それがかなりの数になるんです。
 我々のイメージでは,個別学力検査というのは,大学に来てもらって答えていただく,そういう形式を考えていたんですけれども,その中には当然,小論文も入っているのではないかと考えておりましたけれども,この分類というのがどうも,これが世間での一般的な理解なのかどうか,今後の対象教科等にも関連するものですから,ちょっと御説明いただければと思います。
 以上でございます。
【三島座長】
 武藤さん,お答えできますか。
【武藤高等教育局企画官】
 はい。10ページ一番下の注の1つ目,※印のところ,この調査における個別学力検査というのは,指導要領に定められている教科・科目の学力検査と総合問題というふうにしておりまして,ここには,小論文,面接,討論と実技検査等は含まないということで整理をした上で調査をしております。これが一般的かどうかというのは必ずしもどうかというのはあるんですけれども,入学者選抜実施要項でもともとそういう整理をしていたものですから,それを借用して調査を行ったということでございます。
 以上です。
【柴田委員】
 ありがとうございました。多分そういう分類でこういう結果になったんだろうと思うんですけれども,それでは,最初の記述式問題の意義,それから,対象教科等というところになりますけれども,記述式をなぜ課すのかというのは,先ほどの御説明にもございましたように,思考力・判断力・表現力というのを問うのに最もふさわしい設問形式であろうと考えているわけでございまして,その中にはいろいろ多様な教科・科目を超えた設問もあるのではないかということで,それは各大学でやる場合には,小論文とかエッセイとかそういう名称であらかじめ予告している。
 ただし,これを共通テストでやる場合には,やはり科目区分がありますので,明確にしなければいけない。そうなりますと,共通テストと,それから,各大学でやる記述式というのはおのずと性格も変わってこざるを得ないというか,変わってくるべきではないかというようなところで,それこそ各大学でやるものは各大学のアドミッション・ポリシーに沿ったどういう資質を見たいのかというような観点から出題できるということになろうと思いますし,それに対しまして共通テストでやるものは,各教科の枠の中,学習指導要領の達成度を測るというような制約の中で各科目の中でやらなければいけない,そういう違いが出てくるのかなというところを感じた次第でございます。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に,渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】
 ありがとうございますした。川嶋先生お作りくださったものは大変分かりやすくて助けになります。
 私が申し上げるのは,質問といいますか,コメントです。希望と申し上げた方がいいかもしれません。今,すぐ直前に柴田委員がもう既におっしゃったことに関係があるのですけれども,各大学で個別的に実施するのであれば,それほど大きな問題はないと思います。それは多分に適性検査という色が濃く出るかと思いますので,それは各大学になじむことだと思います。ただ,全体として共通テストとして,これ(2)番に係りますが,実施するとなると,これはいわゆるパフォーマンステストの一種になりますので,パフォーマンステストでいいますと,何よりも採点者の訓練が必要になります。それは,つまり,信頼性を確立する,確認するということです。そして,これはやはり公表されてしかるべきだと思うんです。今回はこのぐらいの信頼性でしたと,そういったことを公表する義務があると思います。
 従いまして,これは英語の4技能についても言えることですけれども,記述式という文言だけが踊りまして,どうしても表面的な形式だけの議論になりがちです。従いまして,採点の公表,それに伴いまして,基準の公表,どういう基準で採点するのか,それが非常に重要になると思います。形式については案ずることは余りないのです。何語で書きなさい,何文字で書きなさいということが規定として明示できます。しかし,問題は採点基準です。公表して,次の年から学生が,その年もそうですけれども,受験生の便宜を図って助けになるようにするためには何より基準が必要ですので,すべてセットで採点者,採点者の信頼性,そして,基準,それも併せて念頭に置いて議論するのが建設的ではないかと考えております。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして,島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 島田です。よろしくお願いいたします。川嶋先生,ありがとうございました。
 私が申し上げたいことは,既に柴田委員,渡部委員も触れてくださったことではあるのですけれども,私は,記述式問題の意義,問うべき能力,対象教科等の中では,問うべき能力が最も重要だろうと考えます。先ほど柴田先生が,小論文に言及されたのもこれに関連することと思います。
 実は2016年に文科省が「高大接続改革の進捗状況について」という公表をされたときに,「国立大学の二次試験における国語,小論文,総合問題に関する募集人員の概算」という表が出て,その中で,国立大学の二次試験において国語,小論文,総合問題のいずれも課さない学部の募集人員は全体の61%であるというデータが示されたわけです。このデータについては,「記述式導入の根拠として使われたのはミスリーディングだったのではないか」という批判がしばしば聞かれるところでありますけれども,私はちょっと別なことを考えたんです。私はその資料を見て,なぜ国語,小論文,総合問題に限った実施状況を公表されたのかなという疑問を持ちました。
 そう考えたのは,国立大学では,当然ほかの教科・科目でも記述式問題を導入していると思っていたからです。そう考えたときに,なぜ国語,小論文,総合問題に限ったのかというと,やはりそこで問おうとする能力というのが今回の記述式問題で問おうとする能力に一番近いというようなお考えがあったんだろうと思ったわけです。つまり,理科とか社会科などの内容教科では,答えとしてそこに何が書いてあるのかというのが重要ですけれども,国語,小論文,総合問題などの記述式問題では,何が書いてあるのかということと同時に,それがどのように書いてあるのか,いかに書いてあるのかということが重要な評価のポイントになるんだろうと思います。すなわち,論じ方とか論証の仕方にも重点を置いた評価がなされるのが国語や小論文の記述式問題であろうと思いました。
 だから,記述式問題で測りたい力というのは,思考・判断・表現力中でも,論じる力,論証する力,例えば的確な根拠で,妥当な論拠で考えを述べるというような力,あるいは事実や物事を客観的に正確に説明する力とか,そういったようなところというのが記述式問題で問うべき能力であると,とひとまずは考えられるのではないかと考えた次第です。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,岡委員,続いてどうぞ。
【岡委員】
 国大協からの発言をさせていただきます。まずこの記述式におきましては,既にここに川嶋先生が書いてありますように,私どもの提言がここに書いてございますが,国立大学としてはほとんどの科目で何らかの記述式問題を個別試験で出しているということはもう既に申し上げているところでございます。国語とか総合問題だけではなくて,先ほど島田先生が言われましたように,各大学,さらには大学各学部・部局・学科におきまして,アドミッション・ポリシーにのっとった試験をしている。ただ,これからもっと出題の意図や,それから,求める能力等を明確にする必要があるとしております。これは受験生にとって記述式を課すにはそれが必要だと思っております。
 それから,高大接続の中でどういう能力をということがございますので,具体的なこととしては,前回発言しましたけれども,根拠を持って問いに答えるレポートを作成するなど,そういう具体的なことを高校側に提示することも非常に重要だと思っております。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは次に,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。川嶋先生,ありがとうございました。
 1つは,ちょっと根本的な問題があるんですけれども,現行のセンター試験,それから,真新しく行われる共通テストも,現状ではマークセンス方式ということなんですけれども,そのマークセンス方式の試験が思考力・判断力・表現力を一切判定できないと言われると,それは現実離れした前提条件だと思っています。ですから,思考力や判断力をより問うような形でセンター試験自身も変わってきましたし,ある種棒暗記のような形にならないような判断をこの間ずっと出題者側は努力してこられたと思うんです。ですから,二項対立的な,記述問題と選択肢をマークするようなテストを全く違うものであるかのように言うのは少し行き過ぎかなと1つ思っています。
 それからもう一つは,現状,共通テストの試行問題で出た問題に関しては,以前問題になったときにこの場でも,ほとんど思考力・判断力・表現力を問うに値しない問題であるというちょっと厳しい言い方でコメントさせていただいたんですが,私個人は本当の記述式というのは,バカロレアのようなモデルを想定したものであろうと思っております。短い文章を様々な条件を置きながら,ある種機械的に問うことができる問題というのは,ほとんど穴埋め問題と同じではないかと思っています。本当に問うべきものは,ここの調査にありますように,明確な小論文型の試験を記述式あるいは論述式の問題と言うべきで,そこをどう問うのかが本当は思考力・判断力・表現力と深く関わっていて,現状,(2)とも関係するんですが,共通テストの中であろうと,それも現行の形であるとすると,とても思考力・判断力・表現力を問うに値しないことになってしまうというふうに思っています。
 それからもう一つ,そのときにすごく大きな問題があって,共通テストの試行問題に対して,紅野先生がちくま新書だったと思いますが,そこの中で書いておられることの中に,問題によっては明確なイデオロギーが隠れているような答えの誘導が行われているという指摘をされて,これはなかなか鋭い意見だと思っていまして,そういう幾つかの問題をやっぱりしっかりと考えないといけないんだろうと。その上で,目指すのであれば,是非バカロレアを想定したような,本当の問うべき能力を問えるような試験を作るべきだと思っています。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは次,清水委員,どうぞ。
【清水委員】
 ありがとうございます。清水でございます。思考・判断・表現というくくりがよく使われますけれども,カテゴリーとして緩い感じがして,問題の大事な論点が消えてしまう感じがしますので,ちょっとだけ意見を申し上げたいと思います。
 今日,参考資料3という形で,今回行っていただいた貴重な実態調査の結果の全体の報告がありますが,そこの101というスライドを御覧いただきたいと思います。これ,101と103と105と,国立,公立,私立というふうにそれぞれあるものです。科目別にブレークダウンして記述の実態を見たものです。
 これ見ていただくと,私は数学なんですけれども,数学の記述,個別では国立97%,それから,公立が85%,それから,私立は53%。これがいわゆる記述式問題です。ですけど,数学の場合の記述は,数学もある意味,科学の言語というか,言語教科でもありますので,論理的思考の結果を最もシンプルに簡潔に単純に表す式を中心とした記述ということで,先ほど島田先生がおっしゃったような,いわゆる事柄の説明を言語の形式フォームにも気をつけてというものともちょっと違った色彩の記述の力を問うているわけです。ですから,マーク式の試験でも,問題が工夫されていますので,いわゆる思考力というのは問えているんですけれども,表現のところ,数学という言葉を使って簡潔に式で表現する,あるいはグラフで表現するとか,そういうところはまた違った記述があるという,教科の特殊事情にも少し目を向ける必要があるかなと思いました。
 数学の下にある物理と化学,生物学,地学を比べて見ていただいても,理科というふうに一くくりにはできないような記述の色がちょっと見えると思います。ですので,この委員会自体は,私はたまたま数学で,島田先生は国語ですけれども,例えば理科の先生方も多分表現についての違ったお考えをお持ちかなと思ったりして,そういうところも伺ってみるチャンスがあればな,ということもちょっと思いました。
 以上です。コメントというか感想を申し上げました。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,この(1)の部分,一応,次に島田委員にもう一度お願いをして,それで,(2)に移りたいと思いますので,島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 すみません,島田です。芝井先生のお話を聞いてちょっとまた思いついたことがあります。先ほど,問うべき能力の一つとして,論じる力や論証する力があると申し上げました。芝井先生は,それは試行調査にあったような小さな穴埋めの問題とか短い字数の中ではなかなか問えないんじゃないかというような御懸念を示されたかと思うのですけれども,私はあれはあれで問うべき力を問おうとしていたのではないかというように評価はしています。例えば反論というのはどういうふうにあるべきかとか,論点をちゃんと捉えた議論になっているかとか,そういうところは短く答えるような中でも問えるのではないかと思った次第です。
 以上です。すみません。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは次の(2)に入りたいと思います。共通テストにおける記述式出題の実現可能性というところでございます。それでは,御意見のある方は挙手ボタンを押してください。芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。一貫して申し上げていますけれども,本格的な記述式の出題を希望していますので,そういう意味では現行の共通テストの日程の中ではやはり無理であると。どうしてもそれを明確に広い意味での共通テストの枠組みにしようと思うと,やっぱり時期を考えていただかなくてはいけなくて,極端な話,国語でしたら,教科が終わるとか,終わらないという議論はないわけですから,小論文の試験を3年生の夏休みに行ったり,あるいは2年生が終わった時点で,受験という意味では1年前なんですけれども,論述形式の問題を課すことはできるんだろうと思っています。
 それを共通テストの中で,これまで問題になっているように,例えばCBTやAIでやれば何とかなるだろうとか,あるいは各大学に採点を任せたら何とかできるんじゃないかというのは,私としては余り賛成はできない。本気になってそれが大事だというのであれば,今の時期とは別の時期にやはり論述式あるいは記述式の,つまり,小論文をメインにしたような試験を私たちとしてはやっぱり目指すべきではないかと思っています。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは続いて,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 記述式問題も,川嶋先生のペーパーの表題にあるとおりで,やはり何よりも実現可能性ということについては,これまでもこの会議の中での議論や指摘のとおりだとは思います。ただし,例えば,記述の力自体が大事であるということは,この会議においても誰も反対していないというか,むしろ重要であるという認識は一致しています。しかし,記述の力を限られた時間の共通テスト,あるいは私は私立大学におりますけれども,膨大な人数が受ける私立大学の入試の期間でどれだけ識別できるかということについては,やはりかなりの難易度があるであろうなということは,入試の最前線で実務を担う者としては非常に懸念するところです。
 とはいえ,記述式問題の開発の努力自体は非常に重要であろうかとは思われます。もちろんセンターの山本理事長からも以前御指摘があったとおりでして,センターのあの厳しい運営状況を考えたときに,何をゴールとしながら,どのように開発のための投資を行うのかという,恐らく開発と投資の計画自体が非常に大事になってくるであろうと思います。
 その際に,特に今回武藤企画官から御報告いただいたように,国立の方で無理に入れる必要がないんじゃないかという現状も分かってきているわけですよね。それを考えますと,私立で特に受験生が非常に多い大学でも実用可能なものになるのかどうか。あるいは,この会議の中でも指摘されてきたように,どちらかといえば,教職員が少なくて,例えばですが,出題の能力自体がかなり厳しいものになっている大学をターゲットとするのかといったような,多様な大学の実態を捉まえながら,どのようなゾーンの,特に私立大学への支援が必要かといったような戦略性も必要になろうかと思います。
 私自身は,記述式テストを無理に共通テストの形で導入する必要はないと考える立場におりますが,とはいえ,何も開発の努力をしないということ自体がこの時代にそぐうものかどうかという点についてはやはり考える必要があると思われます。とはいえ,一足飛びに全ての受験生にということではなく,やはり実現可能性と川嶋先生のメモにもあったように,その部分を第一に考えるべきかと存じます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】
 ありがとうございます。テストというのは,一定の時間内に,受験生にとっては特にそうですけれども,例えば30分なら30分の限られた時間内に書くということが要求されます。記述式にしても例外ではないと思います。従いまして,例えば自分の考えを立論をしっかりさせて何か表現するとか,あるいは新しい考えをまとめるなんていうことは,2、30分では困難な作業です。しかも,受験生にはそれぞれ個性がありますので,ゆっくり考えて書くのが得意な生徒もいますし,瞬時に書くのが得意な生徒もいますし,そういった個性が表れやすいのがテストでありますので,その辺を公平にするということになりますと,幾ら記述式にしましても大変限られてくると思うんですね。ですから,それはもう限界の中で分かることしか分からないということが必要な点になろうかと思います。
 それで,例えば情報を統合して表現する能力というようなことであれば,例えば英語の試験ではもう普通になっていますけれども,講義を聴いて,そして,それに類似にしたものを読んで,そして,統合したものを書くというような形,そういったことであれば,インプットがはっきりしますので,そういった統合型の記述式というようなことであれば,また新しい建設的な意味も出ようかと思います。繰り返しになりますが,飽くまでも記述式という形式ばかりにとらわれるのは建設的でないと考えます。
 ありがとうございました。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは次,萩原委員,どうぞ。
【萩原委員】
 私の考えるのは,共通テストというのは何を目指すのかということで,目指しているものが記述式を問わなければ目指すものは得られないということになるのかどうか。それに伴って,じゃ,実施時期が,採点に時間がかかるからもっと前にやらなければならないというようなことになるのかどうかということだと思います。
 共通テストは高等学校で学んだことをきちっと測定するということであるならば,やはりしかるべき時期,今の現行の1月ぐらいでないと,3年生で学ぶ科目についても共通テストの科目として実施していますので,そこを早められたのでは,高等学校としてはなかなか終わらない。今でも,辛うじて12月末までに何とか終わらせないと,ということでやっているのであって,それが例えば10月ぐらいに共通テストで高等学校の内容についての試験をやるんだということになってしまうと,やはり現実的には難しいと思います。共通テストそのものが何を目指すのか,何を目指したテストなのかというところがやはり一番,それによって実施時期等も考えなければならなくなると思っております。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは次,牧田委員,どうぞ。
【牧田委員】
 ありがとうございます。牧田です。すみません,私は皆さんみたいに専門ではないので,素人考えで少し発言をさせていただきます。実は末冨先生と萩原先生の意見に意を強くして今手を挙げたんですけれども,やはり共通テストの役割をどう捉えるかということが大事だと思っています。少なくとも受験生全体のイメージとして,共通テストと,それから,大学独自といいますか,個別に行われる個別テストがセットであるというふうに入試を捉えていると思うんですね。ですから,そういったことを考えると,共通テストにどんな役割を持ってもらうかということをここではっきりさせるべきでありまして,そうであれば,無理にいろいろなリスクを冒してまでも共通テストの中で記述式の問題をやる必要があるのかどうかというようなことをお考えいただければなと思っています。
 個人的には記述式の問題というのは,それぞれの大学が独自に実施されるべきものでありますし,採点の基準も,それぞれの大学の,こういう言い方をしては申し訳ないですけれども,レベルに合った採点をされて,3つのポリシーに合致した子供たちがその大学で学ぶというのが大前提であるとの意見であります。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは続いて,小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 小林です。手短に,今まで論じられている中で,例の中の大学教員による採点という技術的なところだけちょっとお話しさせていただきたいと思います。萩生田大臣も,共通テストの記述式を志望校の大学で採点したらどうかという御提案があったんですけれども,よくよく考えていたら,私立大学は複数受験されるので,志望校というのもその志望大学が幾つもあるわけですから,そこでそれぞれまた採点しなければいけませんし,ちょっとそれは無理だと思います。数も多くなるし,採点の質も違いますし,観点も違ってくるということで,余りこれはフィージブルではないかというふうに,採点を大学に任せるということは技術的にちょっと難しいと。
 それから,高校の先生に任せるという話も以前ありましたけれども,それはもっと大変で,高校の先生はとても忙しい時間の中で採点というのはとても無理だと思いますので,結局,採点者がいないということになってしまいますので,無理じゃないかと。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 国大協は,個別試験でということも申し上げております。ただ,課題の解決策において,CBTやAIの活用というのは,ここで使えるかどうかは別として,継続的に国,大学入試センター,そして,大学で研究をしていくということが必要だと思いますので,それだけ申し上げておきます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,ただいまの(2)のところ,今,手が挙がっておりません。そういう状態でございますが,何か御発言なさる方。では,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 先ほど共通テストというか,対象教科ということを考えたら,共通テストのどういう科目でやるかというお話についてですけれども,今皆さん御想定になっているのは文章記述だと思うんですけれども,フィージビリティからいいますと,数学でまずできなければ,これはほかのものも難しいんじゃないかなと考えている次第でございます。数学は,先ほどは数式という表現形式もある,記述もあるということだったので,こういうもので少し御検討いただければ,可能かどうかというのが分かるのではないかと考えた次第です。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,挙手がございませんが,次に移ってよろしいでしょうか。それでは,次は(3)と(4)の2つを一緒に御意見をいただければと思います。(3)が個別入試における記述式の出題の現状と各大学のアドミッション・ポリシー,事情に応じた対応という,これが入ってございます。それから,(4)でございますが,これは国による出題の支援措置。国・センター・大学等の協働による良問の整理・提供,出願へのインセンティブ付与,記述式出題の全体状況の情報提供,このようなところでございます。それでは,(3)と(4),一緒に御意見がございましたら,手を挙げていただければと思います。それでは,斎木委員,どうぞ。
【斎木委員】
 斎木でございます。ありがとうございます。川嶋副座長におかれましては,論点を整理いただき,また丁寧な御説明を頂戴し,感謝申し上げます。
御説明の中で,国公立と比べて私学は志願者が多く,歩留り率が低いことから,効率的な採点,出題の工夫を行うことにより,出題増に努めるべきではないかという御指摘がございました。一般入試における改善については,この方向に賛成をするものです。是非こうした努力を進めていただくことをお願いしたいと考えます。
 他方,事務局から御説明のありました実態調査の追加分析の資料1でございますけれども,この11ページを拝見しますと,AO入試や推薦入試で小論文を課している例が想像していたよりもかなり少ないとの感想を持ちました。一般選抜での記述式問題に係る取組に加えて,採点期間や選考期間に余裕のある総合型や推薦型で,記述力や表現力をしっかり見ていく工夫を一層充実させることが必要であると考えます。
 また,川嶋先生におまとめいただきました(4)の国による出題支援措置についてですけれども,これは大変重要な論点であると考えます。制度設計の大前提として,支援措置は,何といっても現実のニーズに寄り添ったものでなくてはならないと考えます。従いまして,まずは実際のニーズを確認したいと思います。その意味で,各団体の代表委員の先生方から具体的な御意見,御要望を伺えれば,今後の作業の進展の観点から大変有益と考えますので,是非よろしくお願いをいたします。
 これまでの議論の中で,あるいは事務局のおまとめの中で,私学の中でも記述式を出しているところは出していて,努力や工夫次第という部分が多いということだろうかと思う一方で,問題を難しくすると志願者が離れるというような傾向もあると側聞しております。ある程度大学界として足並みをそろえることも必要ではないかと考える次第です。各大学の自主性は十分踏まえつつ,入試において記述する,書かせる部分をできるだけ増やしていくという大きな方向性について,この検討会議において合意をして,その上で具体的な出題の在り方はそれぞれの大学で努力をしていくということが望ましいと考えております。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 1つは,ですから,国公立と私立とを比較して考える場合,いわゆる個別の一般試験を行っている私立はほとんどなんですけれども,片方で総合型選抜と学校推薦型選抜が5割あるいは5割以上を占めているという現実がありますので,その中で記述式をどういう形で意識しながら合否査定をしていくのかということが求められていると思うんです。
 一方で,個別の一般入試においてどうしてやらないのかというと,正にここに書かれているように志願者数が多くて歩留り率が低いからなんですけれども,もう一つ,この前提になっていることを確認しておかなくてはならなくて。国公立の場合,一般入試の試験というのは,前期のみの1回か,あるいは前後期の2回がほとんどだと思うんですけれども,私立大学でこの期間に2回しか一般入試をしていない大学の方が少数だと思います。うちの大学は7回,場合によっては10回程度行っているかと思います。ですから,全く入試の在り方が違っているので,単純に記述式出題と言われても戸惑いの方が大きいというのが正直なところです。
 逆に言いますと,教員の方は,英語であれば英語,国語であれば国語,数学であれば数学を,場合によると毎年7種類ずつ出題しているという状況ですので,その7種類のものを記述式としてそれを採点するというのは現実問題としてはあり得ないと思っています。ですから,構造全体を変えないと,私立の中で記述式を増やすということは,一般入試ではやっぱり難しいということをはっきり申し上げておいた方がいいと思います。そうでないと言われるのならば,また本格的に考えないといけないのかもしれません。現実からすると,それは不可能としか言いようがないというのが現実かと思います。
【三島座長】
 よろしいですか。それでは次,清水委員,どうぞ。
【清水委員】
 ありがとうございます。清水です。今日追加で頂いた資料1の5ページのところに,記述式問題に対する肯定的な回答を学部規模で分類していただいたのがあって,これを見ますと,やはり国公立と私立は大分温度差があるというのは前からあったとおりですけれども,私立大学では,「共通テストの方で出題すべき」が,規模が大きくなるほど大きくなり,逆に「個別入試で充実すべき」が,規模が大きくなるとトーンダウンしていくという,その辺がよく見える結果になっている。やはり先ほど末冨委員もおっしゃっていましたけれども,大学の出題のためのキャパとか採点に対する人的なリソースの問題とかそういうものが多分後ろ側にあるというのが透けて見えてきて,今,芝井委員がおっしゃいましたようになかなかこの現状を変えていくのは難しいのかなとも思っておりました。
 数学の問題といいますと,問題文が二,三行,短いもので,あとは全部数式を駆使して最終的に解答に至るまでを受験者が構成すると。途中まででいいアイデアがあれば部分点があったり,もしかしたら採点をする私たちの側も,場合によっては自分たちが気づかないようなアイデアを受験者が出しているようなことがあって,その場合はまた採点をもう一回見直したりとか,そういう難しいプロセスがあるんですけれども,もし最初に始められそうなところからということであれば,先ほど少し川嶋副座長からお話がありましたが,多肢選択型で選んだ後に何か短く説明させるとか,あるいは数学の場合には概念の定義等が大事ですので,シンプルに定義を書いてみるようなもの,あるいは先ほどの議論にもありましたけれども,試行テストで行われたような,センテンス型で式を書いてみるような,そういうレベルのところから始めてみることもあるのかな,何ていうことをちょっと思って,そういう各大学が持っているノウハウを共有するようなそういう仕組みがあるといいなと思っておりました。
 ですので,大学入試センターのこれまでの膨大なデータベースがありますけれども,そういうものを少し活用しながら,マーク式のものを記述式に少し変えてみるようなこととか,アイディアの出しようが少しあるのかな,何ていうこともちょっと思いながら,今後そのサポートシステムのようなものを考えていくことが大事かなということを感想として持ちました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,たしか先ほど川嶋委員が御説明になったときに,ここの(4)番のところは岡委員の御意見を伺いたいとおっしゃったような気がするんですが,岡委員,ちょうど手が挙がっておりますので,よろしくお願いいたします。
【岡委員】
 川嶋先生からもそういう話がありましたので,少し,特に(4)ですけれども,国立大学も次第に教員の数も減っておりまして,なかなか個別入試の作問に苦労しているところでございます。特に高度な記述式の問題作成というのは大変複雑でございますので,そういう意味で規模の小さい大学からは,なかなか難しいという話も出ておりました。
 それで,2019年にまず各大学からの要望で大学入試センターから大学の求めに応じて記述式問題等を提供する方式はできないかと。そして,それを希望する大学はどうかというようなことをアンケートも採りました。全82大学のうち,条件が合えば利用したいという回答を含めて利用したいと回答したのが残念ながら6大学でして,それも1大学100万円以下であれば利用可能だと。お金のことがありますので,これでなかなか。大学入試センターからは,このような状況にあっては当面記述式問題を提供することは困難であるという説明を受けました。これは当然だと思っております。
 ただ,今,国立大学の方では,例えば九州とか北海道とか,それは国立大学同士が協働して作問して記述式の作問をするというようなことを実施したり,その際に,大学入試センターから作問のノウハウを提供していただくとか,そういうようなことを今から広めていくという方法があるだろうと思っています。すなわち,1つの大学だけで全て作問するのは大変難しくなったということで,ある地方,ある区域で協力しながらそれをやると,こういうようなことを,今,動きがございます。いずれにしましても,こういう形で国とセンターと大学が作問についてこれから模索していくということは非常に重要だと思っております。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは続いて,島田委員,お願いいたします。
【島田委員】
 度々すみません,島田です。(4)のところです。国・センター・大学等の協働による良問の整理・提供というところで,私,かつて過去問の活用というところを申し上げました。既にそういう仕組みといいますか,実施しているグループがあるということも御説明いただいたところでありますけれども,そういった過去問を例えば各教科の領域ごと,分野ごとに整理してデータベースにしておいていただけるだけでも,活用したい大学にとっては便宜になるのではないかと思います。それがセンターの事業としてどれぐらい良い事業かということはちょっと分かりませんけれども,そういうような方策はあるかなと考えました。
 あと,大規模な入試において効率的な採点のためにどういう問題形式の在り方の工夫ができるかということもいろいろ考えるんですけれども,なかなか名案は浮かばないです。差し当たってはその入試で問いたい力というのを,入試ごとにじっくり考えることではないかと思います。そうすると,その問いたい力に最も適した形式として,バカロレアのような長い論文を書かせるということもあるでしょうし,もうちょっと短い文章でもいいということもあるでしょうし,短文や短答式あるいは穴埋めのような形式でも論じる力が問えるということはあろうかと思うんですね。やはり問いたい力というところに立ち返って考えるということが一つ大事かなと思いました。
 同じ大学が短期間の間に何回も違う種類の入試をするという話もありましたけれども,入試が違うというのは,恐らく多様な人材を採ろうと思って何種類もの入試をやってらっしゃるということだろうと思いますので,この入試ではこういう力を問おう,そのためにはこういう形式がふさわしいというような形で,同じ学部・学科の中でもその入試で求める人物像に合わせて問題を作っていく,その中で,だんだん記述式の,書いて答えるという問題が増えていけばよいのではないかと思いました。
 アイデアとして,これはちょっと印象が悪いかもしれませんが,条件つきの記述式というのがありまして,試行調査で試みられたようなものです。小学校・中学校の全国学力・学習状況調査でももう十数年続いているものですけれども,ああいうような形の出題というのも可能ではないかと考えます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。ちょっと補足と申しますか,背景を御説明したいと思います。(3)の丸2の各大学の事情に応じた対応ということで,国公立と私立,随分状況が違うというのは,これはもう繰り返しになりますけれども,入試のシステムが違うということを反映しているだけではないかなと思っております。
 すなわち,国公立というのは,御承知のように分離分割方式を採っておりますので,最大限2つか3つぐらいしか一般入試は出願できないし,どこかに合格したら,ほかのところは受験してもそれは無効であるというようなシステム,非常に効率的と言えば効率的で,歩留り率がその結果高くなっている。ただし,私学さんの方は,受験率というのはほぼ100%と伺っておりますけれども,国公立は後期では受験者ががくんと減って,受験率が7割か8割ぐらいに落ちてしまうという工夫もありますので,そういうことで,前期と後期で問う力とか出題傾向を変えると,そういうシステムが取れているという状況もあるのではないかと思っております。そういうことで,分離分割方式というのは,国公立にとっては非常に有り難い方式で,安定的に受験生が確保できて,合格者もそれなりの方は来ているところが私学とは随分違う状況にあるというのは認識しておきたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 斎木委員からの問いかけに対してのお答えをするべきなんですけれども,もう大体皆さんにお話しいただいたのでちょっとその整理になるかもしれませんけれども,私立大学って本当に多種多様なんですね。非常に規模が大きくて優秀な学生を採りたいという私立大学もあれば,本当に能力は低いけれども中で育てて社会に立派に送り出すという役割を持っている私立大学もありますので,大学がユニバーサル化した状況では,それはもうやむを得ないと思います。その中で全部一律にこうするべきだという御意見は,それは実際,現実を見ると難しいんじゃないかと私は,何回も言っていますけれども,思っております。
 それで,記述式については,私はやみくもに反対しているわけじゃなくて,それはできればやればいいとは思うんですけれども,ここの(3)の丸2でありますように,私立大学はものすごくたくさん受験生がいて,それを採点してもなかなか残ってくれない,合格にしてもどんどん逃げていってしまうというところが非常に厳しい状況がありまして,採点のためにものすごく労力を使うんですけれども,記述式の場合は特に,だけども残ってくれないというところもあって,なかなかこれ,教員の負担というのは思った以上に大変なんですね。
 資料1の5番で,規模が大きくなるほど採用率が,記述式が採用しにくいというのは,これは問題の作成が大変というわけでは全然なくて,やはり採点の問題であって,問題,良問があったとしても,採点に物すごく労力が割かれるのであれば,なかなかちょっとこれが進められないんじゃないかというのは別の見方であると思います。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,現在のトピックスに関しては,今もう手が挙がっておりませんが,次へ移ってよろしいでしょうか。もし是非これだけはというのがあれば挙手していただければと思います。
 それでは,4つ目のカテゴリーに参ります。(5)と(6)でございます。(5)は高校までの教育の充実ということで,新学習指導要領の徹底あるいは高大連携プログラムの充実ということがございます。(6)は大学入学後の教育の充実ということで,思考力・判断力・表現力の育成について3つのポリシーでの明確化・連動強化,あるいは質の高いプログラムの充実(好事例の普及,インセンティブの付与)といったようなところでございます。かなり大きなトピックが2つ,高校,大学それぞれにということでございます。それでは,この(5),(6)について御発言がございましたら,お手を挙げていただければと思います。益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】
 どうもありがとうございます。高校までの教育の充実,そして,大学入学後の教育の充実について,意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず新学習指導要領の徹底とありますが,高等学校の指導や定期考査で文章を書かせたり,丁寧に添削をしたりする取り組みを充実させることが非常に重要だと考えています。高大接続改革ということであれば,大学入試の改善と並行して,高等学校の現場の実態を踏まえて必要な施策を打っていくべきではないかとも考えています。
 また,高大連携プログラムの充実という点についてですが,例えばもう既に大学と高校が協力して,大学教授がリーダーシップを持って,仮説を立てて検証したり,討論とかレポートを作成するといった探究プログラムが,徐々に広がってきていると伺っています。広い意味で思考力,判断力,表現力を育成するとともに,大学での学修をより具体的にイメージしてもらう観点から,こうした取組はとても重要であり,好事例を普及させていくという考えに賛成をいたします。また,本検討会議は大学入試のあり方が議論の中心だとは思いますが,高大接続を改善していくという観点からは,将来的にはアメリカのように高校生が大学レベルのコースを先取り学習する早期履修制度の導入の是非も検討されて良いように思います。
 次に(6)の大学入学後の教育の充実という点です。ここに3つのポリシーの明確化・連動強化という観点が出てまいりますが,この点について申し上げたいと思います。私も委員として参画している中教審の大学分科会におきまして,質の保証システム全体の見直しの議論が始まっております。DP,CP,APが具体的かつ整合したものになっているのかという点や,実際にアドミッション・ポリシーに即した入学者の選抜になっているのかはとても重要なことであり,大学の自己評価に基づく評価を充実させるということも検討の余地があると考えています。
 また,3つのポリシーについては,中教審大学分科会教学マネジメント特別委員会で十分議論して,教学マネジメント指針が出ていますが,各大学の特色・実情があることを十分に踏まえつつ必要な見直しを行ってはどうかと思います。本検討会議としても提言をして,中央教育審議会で更に専門的な,又は具体的な検討を行ってもらってはどうでしょうか。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは続いて,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 今の益戸先生のお考えに大変共感を覚えるところです。実際に高大連携の在り方につきましては,日本大学でも行ってはおりますし,例えば文科省のスーパーサイエンスハイスクールでも高大連携の在り方というのはかなり進んではいます。ただ,現実的には多くの高校と多くの大学との間での連携というものをどのように模索するのかということについて,技術的にどうあればいいのかなというのが私自身も関わっていて課題だと感じています。
 あるいは,大学教員の側が高校に関わる際にかなりの労力を要すると。ただでさえ大学というのも多忙化している中で,どこまで高大連携に大学教員がコミットできるのかという組織体制の問題については,そもそもの課題が大学側にもあろうかと思われます。とはいえ,現実的に可能な,あるいは非常に効果があってコストも比較的少ない高大接続の在り方につきましては,例えばですけれども,グッドプラクティスの共有といったものもメモにはございますが,そうしたものがありましたらかなり加速して進められるのではないかと考えます。
 とりわけ,今日の前半の議論と関連しまして,記述の力を伸ばす在り方につきましては,高校の現場と大学側で求めるスキルとの間にしばしば私もかい離を感じておりますので,その辺りの例えば擦り合わせなり,指導法の連続性みたいなものが,一般的な高大接続の形で専攻や分野を問わないような共通スキルとしてもしかして開発したり,あるいは指標ができてくるといいのかなというふうにも考えます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 島田です。よろしくお願いします。(5)の高校までの教育の充実で,新学習指導要領の徹底という項目がございます。もちろん徹底していただきたいところですけれども,新学習指導要領による高校教育が始まるのが再来年になります。新学習指導要領で学んだ高校生が大学を受験するのは更にその数年先ということになります。今は現行の学習指導要領で学んだ高校生がまだ何年かは大学に入ってくるわけですので,新学習指導要領とともに現行指導要領のさらなる徹底というところもお願いしたいところだと思います。
 現行の学習指導要領では,全ての教科・全ての科目における言語活動の充実がうたわれています。平成27年度の学習指導要領実施状況調査では,約7割の学校が言語活動の充実が実現できていると回答していたと記憶していますが,しかし,教科・領域によっては具体的な指導の工夫が十分になされているとは言えないということも併せて指摘されていました。現行の学習指導要領の趣旨が一層徹底されるように高校にはお願いをしたいと思います。
 もちろん高校の先生方が日々授業改善にまい進されていらっしゃるということは重々承知しております。それを踏まえると,そういう高校の先生方の御努力に応えられるような授業改善に応じた入試をすることと,そういう方向を支援するような入試をすることがやはり望ましいだろうと思いますし,少なくともそれを妨げないような入試を心がけたいものだと考えるところです。
 それから,(6)の大学入学後の教育の充実に関して,グッドプラクティスの一つと言えそうなものとして,近年ではライティングセンターという組織,機構をつくって学生の記述力の向上に努めるというところがだんだん増えてきています。そういったものもどんどん紹介して,一層多くの大学に増えていくとよいのではないかと考えます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは続いて,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。(5)の2つ目の項目であります高大連携プログラムの充実ということなんですが,少し内容をという感じがするんですけれども,私自身は,個人的経験ですけれども,20年近く前からこのことを想定していろいろなことをやってきた者なんですが,高大連携という場合,中央大学の分類モデルがあります。附属高校との間の高大一貫の構造,それから,入学者確保とか合格を想定したような高大接続のプログラム,それから,全ての高校を対象する高大連携という狭義の意味の高大連携があって,それが全て高大連携という言葉の下に,広義の高大連携という言葉の中に呼ばれているというふうに指摘をしています。こちらの方は一番最後の意味でしょうか。全ての高校に対して大学が何らかのメッセージを持ち得るはずだし,持つべきである。つまり,大学の社会的役割の1つとして高大連携を捉えようということでしょうか。
 同じようなことなんですが,私どもの大学は,その後かなり広がっていきまして,小中高大の教育連携というのをうたい文句にしています。つまり,大学が高等教育機関であるならば,全ての教育に対して何らかのメッセージ性を持つべきであって,その中には確かに入学者確保とかいうこともあるんでしょうけれども,最終的には大学の社会的役割の1つとして高大連携をはっきり位置づけるということをやってきたつもりです。繰り返しになりますが。
 それから,もう一つなんですが,すごく大事なことがあって,高校と大学というのは実は学んでいる領域とか学問がかなり違うところがあります。これは高校生にとってなかなか分かりにくいところです。例えば人類学というのは,高校ではまず学ぶことはないけれども,大学だと一般の教育の中でも普通に使われる。あるいは理工系でも,建築学は学ぶのかというと,一部の工業高校は別にしまして高校で学ばないので,心理学であっても,考古学であっても,あるいは経営学であっても,恐らく理工系の学問でも,基礎にはなるんでしょうけれども,物理や化学が基礎になったりするんでしょうけれども,やっている内容についてはかなりかい離がある。
 そういったことを考えると,高校の現場に対して,あるいは高校に対して,大学がやっていることの何がしかをしっかりと伝えていくというのは,彼らの自己形成とか,あるいは最終的な職業的な生活を選び取るときにもすごく大きな役割を持っているんじゃないかと思います。それなしに偏差値を前提にしたような輪切りで大学が,学問を選ばせるような形ではなくて,そういう偏差値輪切りの形で高校生に対して向き合っているんだったら,それはかなり危ないと思っています。
 簡単ですけれども,2つです。最初の方は是非川嶋先生の方から,高大連携の内実について少し教えていただければと思います。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。川嶋先生,お話になりますか。では,川嶋先生,お願いいたします。
【川嶋委員】
 私も芝井先生御指摘の,大学として社会に対する貢献の一部として,高校だけではないというお話で,小学校,中学校,高校,あるいは社会全体に対して何がしかの貢献をしなければいけないというふうに考えています。ただ,これは結局,今,類型のことを御紹介いただきましたけれども,やはり設置形態によって,例えば私学さんですと,附属高校との連携や,あるいは特定の高校を指定校推薦という形で可能なわけですが,国立大学とか公立大学,特に国立大学は,私立大学のように附属高とかそういうものを持っている大学もありますが,だからといってそこだけに特定の支援を提供するということはできません。
 大阪大学で行っています高大連携や,あるいは高校教育の支援ということについて具体的にお話ししますと,例えば探究学習指導セミナーというのをこれまで数年にわたって開催しておりますけれども,その対象となるのは,特定の高校ではなくて,全国の高校の先生を対象にしておりますので,これまで北は北海道から南は九州の高校の先生がこの探究学習指導セミナーに参加していただいております。そういう意味で非常にパブリックな存在として大学がきちんと高等学校全体に何がしかのサービスをするという,そういう位置づけでやっていくべきだと思うのですが,何度もこれまで議論出てきておりますけれども,と国立大学,公立大学の位置づけが違いますので,そこは個々の,この大きな社会に対する大学の貢献という中でそもそもの大学が個別にできる限りの支援をしていただければいいのかなと思っています。
 それで,高校と大学の教育の在り方が違い,教える学問の在り方も違っているということですけれども,先ほどどなたかのお話にもありましたけれども,書く力,書く能力といったときに,大学が高校に対して支援できるとしたら,ある程度どういう能力なのかというのを共通に定義した上で,言わばジェネリックなスキルとしてライティングの力というものを大学側が高校に対して支援できればいいのではないかと考えております。
 先ほどの本学の取組に戻りますけれども,大学で求める研究力ということと,今後,高等学校で深化が求められている探究という活動,これは非常に親和性がございますので,書く力,論述するという力を高校の先生が探究活動の中でしっかりと高校生に指導していただけば,それは翻って大学の方の教育研究にもメリットがあると思います。そういうウィン・ウィンで高大連携を本来は考えていくべきだろうと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども,私の考え方を述べさせていただきました。
【芝井委員】
 ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは続いて,牧田委員,どうぞ。
【牧田委員】
 芝井先生,多分お手を挙げておられたのは,今の何か関係することにお話があるんじゃないですか。どうぞ,よろしければ先にお譲りします。
【三島座長】
 ありがとうございます。芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 すみません。高校と大学の間っていろいろでして,確かに川嶋先生おっしゃったように,公的な存在としてかなり広くやっておられるところもあるんですけれども,一部のやっぱり国立大学の中にはSGHだとかSSHを囲い込むような動きがあって,私はあんまり先生おっしゃった行儀のいい国立大学ばかりではないと思っています。私立の方も片方ではそういうふうな形で指定校推薦の対象になるような高校だけを高大連携の対象にしたいという大学もありますけれども,片方で,日本の全ての高校生に対して自分たちの大学が持っているものをやっぱり伝えたいと思って,そこで時間も手間暇もかけている大学も両方あるので,「国立大学では」とおっしゃるのは一言言いたかったので手を挙げておりました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,牧田委員に戻します。
【牧田委員】
 すみません,少し大まかな話になるんですけれども,高大接続も含めて高校までの教育の充実ということで,高校生の現状は大きく多分3つのグループに分かれると思っています。1つは大学への進学に耐え得るグループ,それから,もう一つは全く大学に行く気もないグループ,そして,この中間にあるグループでありまして,言葉は悪いですけれども,大学に行けるかどうか分からないグループの子供たちなのであります。
 この子供たちは,残念ながら高校に入る前の中学校や小学校での教育が十分ではないという言い方は適切ではないかもしれませんが,高校全入時代になって,十分な学力もつかないまま高校に来てしまった。でも,そういう子供たちでももしかしたら行けそうな大学があるかもしれないみたいなことで,大学受験にチャレンジするといいますか,進学を夢見るわけなんですね。そうすると,そういった子供たちが,先ほど芝井先生が,余りたちがよくない大学でしたっけ,表現忘れましたけれども,そういうようなところへ進学して,いずれは社会へ出ていくわけです。そうすると,社会では大卒という,正にディプロマ・ポリシーをクリアして出てきたんだろうと思っているんですけれども,いかんせんそこまで達していない学生がいるという現実にぶち当たるわけなんですね。
 ですから,私はこれが今の入試制度にも大きく関わってきている問題ではないかと思っていまして,結論というか,私の意見を申し上げると,まずはディプロマ・ポリシーをクリアした学生を大学でちゃんと卒業させてください。当然それに向けて大学は一生懸命子供たちを教育してください。そこへ入ってくる子供たちは,それに耐え得るだけの子供だけを入れてくださいというのが大事なのではないかなと思っています。そういった意味では,高校までの教育の充実ということに,これは多分萩原先生も一言あるかと思いますけれども,高校までの教育を何とかしてくれと言われても,そういう高校生の現状が横たわっているのでなかなか難しいのではないかなという意見です。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは続いて,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 国立大学というとまたあれかもしれませんけれども,国大協の中の会員の大学は,それぞれ地域におきまして高大接続の中でいろいろな活動をしていると思うんですが,大阪大学の話が出ましたので,本当の地方大学の山口大学の話をしますと,まず子供,キッズ,主に小学生を中心ですけれども,サイエンスワールドのようなことを毎年やっておりまして,1回1,300人ぐらい大学の中に参ります。それ以外に,小中高と,大学の中を見学するツアーがたくさんございまして,その中で大学とはどんなのだというような話もさせていただいておるところです。
 それから,サイエンスセッションという新たな試みをやっているんですが,これは中高生を中心にプレゼンテーションを,サイエンスと,それから,人社系のいわゆるまちをどうするかとか,それから,文理融合の発表とか,それは中高がするんですけれども,11校,山口県,福岡県,島根県,以前は沖縄からも来ていましたけれども,250名ぐらい,85件の発表がある。それは実際のプレゼンと,それから,ポスターセッションがありますので,それを作成するという力,いろいろなことが必要だと。正に記述式の必要な力もその中で養われるのではないかと思っております。だんだん大阪とか京都からも高校が参加しておりますので,高校はこういうところで大学で発表するという機会を非常に望んでいるなということを非常によく最近感じております。
 それから,大学生も高校生と交流をして,大学ってどんなところだということを話をしているんですね。これも高校生の教育としては僕はとても重要だと思っております。大学に入りましたら,とにかくアクティブラーニングとかプログラムベースドインターンシップとか,そういう形で学生が自ら考え,自ら行動しなくてはいけないということをたくさんやっておりますので,そういうことについては大学教育としては更に充実はさせるものの,方向性は間違っていないというふうに思っております。
 こういうようないろいろな例を挙げましたけれども,地方大学も,地域,それから,地域を超えて子供たちと交流しながら,いい人材を育成するために努力をしているところです。ちょっとやっていることを紹介させていただきました。以上です。
【三島座長】
 それでは,高校側から御意見を頂きます。萩原委員,どうぞ。
【萩原委員】
 萩原です。今,私の方も(5)に関して思うところがあるんですが,大学が高校側にどういう力を求められているのかという部分と思っています。先ほど牧田委員のお話があったように,大学もほぼ全入というか,学校を選ばなければ大学を希望する生徒が全員入れるような状況になってきているところにおいて,本当に大学で学んでいけるだけの力がついていない生徒も,やはり高等学校側としても,本人が大学へ進みたいという意欲と,それから,大学側の方で採っていただけるということであれば進学させているというのが実態と思います。
 また一方で,先ほどお話があるように,大学側の方も一生懸命高校生に対していろいろな機会を与えていただいて,積極的に大学の様子を知ったり,また,大学での研究とかについて取り組んだりという生徒もいる,そういう機会を与えていただいてやれる生徒もいる中で,高等学校の生活だけでいっぱい,要は,自分たちが今やるべきというところだけでもいっぱいで,なかなか先まで考えたり,大学側のセミナーとかそういうものを積極的に取り入れていくところまでの余力がない生徒も結構いるのも実態と思います。
 昔から言われていることと思いますが,高等学校までで小学校の内容を理解しているのが7割,中学校の内容を理解しているのは5割,高校の教科書の内容まで理解できるのが3割という七五三と言われることがあります。高校で言う3割の生徒が大学へ進学をしていく状況の中においてはある部分一定のレベルというふうに思うんですけれども,現状では6割近い生徒が大学へ進んでいるという状況の中においては,グレーゾーンに当たるところの生徒がいるかもしれません。
 高等学校でも何とか改善を図っていこうと,授業改善を含めて取り組んでいるところではありますけれども,教科書の中身の理解が,3割を6割にまで広げていくというのは現実的にはなかなか難しい状態にあると思っています。新学習指導要領では指導の徹底となっていますが,現行の学習指導要領の内容についてもしっかりと学ばせていくということは必要だということ。ただ,それがなかなか全ての生徒に対して実現ができていないというのも実態と思います。そのために,今回中教審で,新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の中に,高等学校教育の在り方ワーキンググループがあり,審議のまとめで,高校の実態等含めて,今後の高校生をどういうふうにしていったらいいのかということでまとめが出ておりますので,また機会があれば,高校の現場ということで御覧いただけると大変有り難いと思います。
 私からは以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 福岡県立大学の柴田でございます。国立大学,それから,私立大学の状況がございましたので,私としては,公立大学の状況をお話ししておきたいと思います。やっぱり地域から設立されている公立大学というのは,地域の要請が強うございますので,非常に草の根的な交流を日常的に行っております。本学の場合には,フリースクールを大学の中に開設しておりまして,小中高のお子さんたちが通ってきております。彼らのケアをするのが主に学生でございまして,それぞれ事情がありますので,先生とか両親にはかなり抵抗がある子が,学生に対しては非常に心を開くというような効果もございます。
 そういう成功事例がございましたので,本学では,フリークラスといって,ある特定の期間,高校生が自由に大学の講義を受けてもらう,一般の授業を受けてもらうというような試みをやっておりましたら,思わぬ効果としまして,受講している大学生の方が非常に緊張感がみなぎった受講態度になって,非常に好事例になっているようなところがございます。
 それからさらに,オープンキャンパスで,大学の中の御案内ということではなくて,実を申しますと,昨年出題した小論文試験の解説を教員がやっております。これが私どものあれでは,これ,何か予備校みたいなことをやっているなと思っていたんですけれども,非常に大人気でございまして,どういうものを大学が求めているのかということで,押すな押すなの受講生が来ているような状況になっております。
 それの高校の先生版もやってくれという御要望がございまして,どういう指導をしたらいいのかというようなことも先生にはまた別枠でいろいろ解説しているというような状況もございまして,本学の求める記述力とか分析力とか,そういうものを御理解いただいているという状況でございます。飽くまでもそんなにSSPとかそういう話ではなくて,草の根的にやれるところからやっている。
 それから,もう一つは,先ほど芝井先生のお話で心理学というのは高校にはないとありましたけれども,そういう御要望もありまして,高校生でありながら本学の心理学の講義を1年通して受講して,単位を認定したという状況もございます。私,こういう事例というのはどの大学でもおやりになっているんだと思っていたら,それほどまだやっていないというのでびっくりした次第でございます。御参考になれば思いまして,御紹介させていただきました。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,川嶋委員,どうぞ。
【川嶋委員】
 何かそれぞれの大学の広報合戦みたいになっているところ,誠に申し訳ないのですけれども,改めて大阪大学についてもこの場を借りて少し広報させていただきたいと思います。
 実は私の所属するセンターには,入試広報,入試改革,それから,教育改革部門に加えて,高大接続部門を設置しております。僅か教員2名と事務補佐1名の3名の体制でやっておりますけれども,高校からのリクエストが非常に多いというもありまして,基本的には大阪大学としては,地元の大阪府教育委員会,それから,隣の兵庫県教育委員会と組織間の協定を結びまして,高等学校に対する支援を行っているということです。ただ,個別の案件も非常にリクエストが多くて,それに対応し切れていないというのが現状でございます。
 先ほど高校教員に対する支援として探究学習指導セミナーというのを最初に申したのは,12月27日に開催することになっていまして,そのときの開会の挨拶を考えてくださいと部門から依頼されていましたのでとっさに頭に浮かんだのですが,それ以外にもSEEDSという,これはもともとJSTが各大学に補助金を提供しておりましたグローバルサイエンスキャンパスの取組,補助期間修了後も阪大の予算で実施しているものですが,これも全国から高校生が応募し,競争率は三,四倍にも上っています。
 ここが国立大学として悲しいところですが,こういうSEEDSで非常に優れた探究の力とか研究の力を身につけた高校生が必ずしも大阪大学を受験してくれるわけではなくて,お隣の大学とか東京の方の大学に出願する生徒も非常に多いのですが,そうはいっても,やはり先ほど申し上げましたように,特定の地域,特定の高校に対する貢献というのはなかなか国立大学としてはしづらいというところがございまして,先ほど末冨委員も御発言されていましたけれども,非常に限られた人的あるいは物質的なリソースの中で,できる限り高校教育や,さらには,最近始めたものとしては,めばえ適塾という中学生を対象としたような科学の経験の場というようなものを提供して,広く日本の教育の振興に役立てればということでやっているということを御紹介させていただきました。ありがとうございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,ちょうど今日のこの資料を作っていただいた川嶋委員から締めの御発言を頂いたところで,ちょうど時間もまいりましたので,今日はここまでにさせていただきたいと思います。
 事務局から何かございますでしょうか。
【武藤高等教育局企画官】
 次回第20回の会議ですけれども,12月22日火曜日に行いたいと思いますが,具体的な時間はまた調整の上で御連絡をいたします。
 以上です。
【川嶋委員】
 あと1点だけちょっと発言させてください。
【三島座長】
 どうぞ。じゃ,川嶋委員からもう一点。
【川嶋委員】
 柴田委員の方から,大学の授業を高校生に開放し,単位取得に至った生徒もいるというお話でしたけれども,我々もそういうことを取り組んでいるのですが,一番の障害は,高校の授業時間,時間割と大学の時間割との整合性なんです。これが非常に大きな障害でして,なかなか実施できないという状況にあります。参加する高校生はいますけれども,非常に限られた感じです。総合制とか単位制の高校の生徒に限られるということが多いです。
 ただ,今,オンラインでの授業提供が大学でも非常に盛んに行われていますので,オンラインであれば,時間とか場所の制約はなくなってきますので,今後,益戸委員御指摘のアメリカのアドバンスプレースメントのような,高校時代に先取りして大学の授業を学ぶということも,オンラインを活用することによって今後普及していくのではないかと私は考えております。
 以上です。
【芝井委員】
 すみません,一言いいでしょうか。
【三島座長】
 はい,どうぞ。
【芝井委員】
 私どもの大学は10年以上,高大連携科目等履修生という制度を持っています。今おっしゃったように,確かに昼間は駄目なんですけれども,うちの場合だと,夜に当たる5限目,6限目,7限目,それから,土曜日の授業をしていますので,公立高校は土曜日は授業がありませんから,土曜日の授業も受けられるようになっていて,もう10年以上前から単位を出しています。恐らくそういう大学は増えていますので,高大連携のときにも,何かすごく特色のある試みについて是非モデルとして紹介していただいたらと思います。ありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,ちょうど時間が参りましたので,本日の検討会議は以上とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――



 

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