大学入試のあり方に関する検討会議(第18回)議事録

1.日時

令和2年11月27日(金曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省省議室

3.議題

  1. 大学入学者選抜における英語4技能評価及び記述式問題の実態調査の結果(選抜区分別調査関係(記述式)・多様性確保の取組等関係)について
  2. 団体代表委員からの意見発表    ・全国高等学校長協会  ・国立大学協会
  3. 大学入試センターからの説明
  4. 自由討議

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員、牧田委員、吉田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

萩生田文部科学大臣、藤原文部科学事務次官、伯井高等教育局長、森田文部科学戦略官、西田大学振興課長 他

5.議事録

【三島座長】
 皆さん,こんにちは。三島でございます。定刻となりましたので,ただいまから第18回の大学入試のあり方に関する検討会議を開催いたします。皆様,お忙しい中お集まりいただきまして,本当にありがとうございます。
 今回も,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,ウェブ会議方式での開催となってございます。音声などに不都合ございませんでしょうか。
 本日も,傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開とし,後日議事録をホームページに掲載することとしたいと思いますが,これでよろしいでしょうか。
 それでは,どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに,事務局から少し御報告をお願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 本日,荒瀬委員,斎木委員が御欠席,それから,両角委員が途中から御出席,清水委員が途中で御退席ということでございます。
 前回までと同様に,聞き取りやすいような御発言をお願いいたします。また,資料参照の際,該当箇所をお示し願います。ハウリングを避けるために,御発言を希望される際,挙手ボタンを押していただきますとともに,指名されたとき,ミュートを解除してから御発言いただいて,発言後,ミュートに戻していただければと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは早速,議事1番目に入ります。大学入学者選抜における英語4技能評価及び記述式問題の実態調査の結果の中から,選抜区分別調査関係(記述式),それから,多様性確保の取組等関係について,まず事務局から御説明をお願いしたいと思います。資料1でございます。武藤企画官,よろしくお願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 それでは,御説明申し上げます。資料1でございます。前々回,前回と御報告してまいりましたけれども,実態調査の結果につきまして,今回,2ページにございますように,記述式問題の出題の実態と,それから,入学者の多様性を確保するための各大学の取組の実態,それから,自由記述欄について御報告をしたいと思います。
 5ページを御覧ください。この調査における出題形式の分類を掲げております。Aの客観式とBの記述式に大きく分けておりまして,記述式の内訳として,短答,穴埋め,それから,短文,これはおおむね120字以下,それから,長文・小論文,これ,121字以上,そして,図表・グラフ・絵,あるいは英文和訳,和文英訳と,こういう形式で分類してございます。
 次の6ページを御覧ください。個別学力検査における記述式問題等の出題状況(国公私・規模別)となっております。一番左上の全体というところを見ていただくと,大学の規模,300人未満から1,000人以上まで,規模が大きくなればなるほど客観式問題のみの出題の割合が増えていくということでございます。これを国立,公立,私立で見ていただくと,国立については,客観式問題と記述式問題を足したものが,300人未満ですと57.5%,記述式問題のみが42.5%と,300人あるいは1,000人未満,あるいは1,000以上,こんな感じでございまして,ほぼ記述式が出ていると。同じような傾向は公立大学でもございます。私立大学の方を見ていただくと非常に傾向が顕著でございまして,大学の規模が大きくなればなるほど客観式問題のみ,水色のところがだんだん増えていくということでございます。
 これを国公私それぞれごとに詳しく見ていったものが7ページ以降でございます。まず7ページ,国立大学。これ,全科目計とあります,nが895。895のテストがnでございまして,このうち,客観式問題のみが0.6%,客観と記述がミックスされているものが54.7%,記述のみが44.7%ということで,全体の99.4%が記述を出題しているということでございます。
 これを更に枝問ごとに見てみたものが8ページを御覧ください。全科目計が2万6,147問あるということでございます。この構成を見ると,客観式が19.1%,それから,記述式のうち短答・穴埋めが49.5%,短文15.9%,長文・小論文が12.1%,図表・グラフ・絵が1.8%,英文和訳等が1.5%と,こういう状況でございました。
 1枚めくっていただいて,公立大学でございます。ここは,客観式問題のみが1.5%,ミックスが57.1%,記述のみが41.3%。これを枝問ごとに見ていくと,次のページですけれども,9,120問中,客観式が30.3%,短答式・穴埋め式が41.3%,短文が12.5%,長文・小論文が12.2%等という状況でございます。
 続けて,私立大学でございます。11ページ。客観式問題のみが45.9%,ミックスが40.4%,それから,記述式のみが13.7%。枝問ごとに見ていきますと,12ページですが,27万1,236問のうち,客観が74.8%,短答・穴埋め式が20.9%,そして,短文が2.5%,長文・小論文が1.1%等というふうになってございました。
 次に13ページを御覧ください。これは上のボックスのところを見ていただければと思うんですが,一般入試における個別学力検査において,記述式問題に該当する枝問を1問以上解いたと推定される,そういう選抜区分で入ってきた入学者の数を推定したものでございます。国立大学について,これは短答・穴埋めを除いておりますけれども,99.1%,公立は99%,私立は53.8%ということでございます。繰り返しになりますけれども,これは一般の個別検査ということで限定をかけて試みに推定してみたところ,こういう状況だったという,そういうデータでございます。
 続きまして,14ページ以降で,入学者の多様性を確保するための各大学の取組について,各大学から自由記述でお出しいただいたものを取りまとめたものでございます。特徴的なところを少しピックアップして申し上げたいと思います。
 まず15ページ,多様な選抜の実施という中の,経済的に困難な事情を抱える者等への配慮。例えばマル1ですけれども,児童養護施設の入所者で,施設の長の推薦による選抜区分を設定している例とか,あるいは養護施設や生活保護世帯の出身者を対象として,検定料,入学金,学納金を免除した選抜区分,あるいは給費生入試,給付奨学生入試,こういったものが取り組まれております。また,地域枠ということでございますが,都市部の大学において,三大都市圏以外の特定の地域の高校を対象とした指定校推薦をやったり,あるいは県内の離島の高校を対象とした公募型推薦をやったり,こういう取組も出てまいりました。
 それから,次のページに行きまして,社会人を対象にしたということで,シニアを対象とした選抜区分をやっている例とか,あるいはマル3ですけれども,キャンパスでの勤務を前提とした総合型選抜ということで,昼間のうちは学生職員としてキャンパスで働いていただいて,夜は勉強していただく,検定料も免除と,こういう例もございました。
 また,外国人・帰国子女等への対応ということで,一般的な外国人留学生入試と別に,日本語学校長の推薦で外国人を受け入れる選抜区分とか,難民を対象にした選抜,あるいは総領事館主催の定住外国人の入試の相談に対応しているという例もございました。
 また,その他のところですけれども,マル2で,多様な背景を持った学生を受け入れるという観点で,総合型と学校推薦型の募集人員を4割を目標にしていこうという国立大学とか,あるいは女子学生の比率を高めるために,学校推薦型の選抜で学校長が推薦できる生徒を4名中,男女各3名ということで,男子ないし女子が必ず入るような仕組みを取っているという例もございました。
 17ページに参りまして,検定料・入学金・授業料等の免除ということです。災害関係で被災した受験生の検定料免除とか,コロナ対応,あるいはそもそも低廉な検定料を設定しているという例。
 あるいは,入学金・授業料の免除ということで,児童養護施設出身者や里親の下で生活している学生を対象とした授業料等の免除や母子家庭・多子家庭を対象とした免除制度を設けている例もございました。
 それから,奨学金でいきますと,家族の中で初めて大学に進学する世代を対象とした奨学金,いわゆるファースト・ジェネレーションを対象とした奨学金を創設している例。あるいは,離島出身者に対する奨学金をやっている例等が出てまいりました。
 それから,入学者選抜実施上の配慮ということで,年齢,性別等を合否判定資料から削除したり,こうした事柄を面接で問わないルールを設定したり,こういう取組の記載もございました。
 少し飛ばしまして,19ページ以降,障害のある者等への配慮ということです。例えばマル1,社会福祉の人材を輩出するという,こういう大学の目的に照らして,身体障害の区別なく積極的に受け入れる方針を有するとか,あるいは入試の区分として,聴覚障害者選抜を設けていると,こういう例がございました。
 また,2ポツは,障害による差別を禁じる明文の規定とか方針を有する例が1から5まで並んでございます。
 それから,次のページに参りまして,配慮事項の決定に関わる手続ということで,事前に必要な配慮事項を記した書類を提出してもらって,事前相談の上で実際の配慮事項を決めるとお答えのところがたくさんございます。その際,受験生本人以外にも,保護者とか高校関係者の参加を認める例も記載がございました。
 そして,合理的配慮に関わる事前の情報提供を充実させているという例も,記載のとおり1から5まで出てまいりました。
 次のページに行きまして,入学後の学修内容の特性と入学の可否ということです。ここは,例えばマル2で,実験実習とか調理実習が多いので,面談で入学後の学びやサポート体制を説明して入学意思の確認をしているとか,あるいは国家試験を受験可能な範囲の障害の程度であるということをこの面談の中で確認をしている例とか,こういったものが幾つか記載がございました。
 それから,6番ですけれども,なかなか受入れ体制がうまく整備できていないんだというような実情を記載しているコメントも幾つかございました。
 飛ばしまして,23ページ以降を御覧ください。これは自由記述欄で本検討会議の4つの検討項目それぞれについて,自由記述でお書きいただいたものを整理したものでございます。非常に数が多いので,委員の先生方,事前の送付である程度目を通されていると思われますので,特徴的な御意見とか,あるいはこれまで検討会議で必ずしも出ていなかったような意見をかいつまんで御紹介したいと思います。
 まず英語4技能の在り方ということで総論ですが,4技能の必要性は疑う余地がないと。問題は,経済的事情あるいは地域的な違いによってぶれが生じることなく能力を測れるかということで,それは理念というよりは技術的な課題だということ。あるいは,技術的な要因が条件となるので,何をどこまで測るべきかは方法論と併せて各大学が検討すべきという御意見がございました。
 特に共通テストの枠組みでの活用ということでいきますと,例えばマル1で,大学によっては,力点あるいは4技能の構成の仕方も異なるはずだということで,民間検定試験による一律の評価は必ずしも有効ではないのではないかとか,あるいはマル4ですけれども,外部検定試験を用いた評価はよいけれども,全員が受験できない状況は不公平ではないか。あるいは,マル7ですが,民間資格検定試験は目的が異なって,地域格差,経済格差もあるので,全員に課すには問題が多いのではないか,こういった御意見がございました。
 25ページに参ります。コロナ禍で資格検定試験の中止や延期が多数生じたので,民間試験だけに依存する仕組みには一定の課題があることが浮き彫りになったとか,あるいはマル9で,資格検定試験の会場等については国の支援が必要ではないかとか,こういった御意見があった一方で,マル11以降で,例えば今回の資格検定試験を組み合わせて実施する計画が頓挫したことは残念であったというような御意見もございました。
 12番,4技能評価は,必要な大学が独自に判定すべきだけれども,英語に興味を持つ生徒ほど早い学年から取り組んでいるので,過年度のスコアを評価しないというのはあり得ないのではないかとか,あるいは,4技能は必須のスキルであるとした上で,入試段階で4技能のレベルを検定試験を活用して測るとしたのはよい着想だと。公平性の観点から疑問符がついたけれども,実現に向けて課題を解消していくか掘り下げた議論が必要ではないか,こういう御意見も一方でございました。
 続けて,26ページ以降,共通テストの役割ということです。例えばマル2で,既存の検定試験の共通テストの枠組みでの活用は,頻度,種類において不平等が生じるので,やるなら共通テストでやるべきではないかとか,マル4も同じように,可能限り,スピーキング・ライティングは共通テストでやるべきではないかというような御意見とか,あるいは,今後のことだと思うんですが,8番,CBTを導入して,共通テストでも4技能テストを開発すべきではないかとか,AIの活用が期待されるとか,こういった御意見もございました。
 それから,27ページに参りまして,今度は個別選抜での4技能評価ということでございます。マル1で,共通テストや個別と試験で4技能を測ることは困難である。資格検定試験を活用することが現実的ではないか。あるいは,これ,個別の例ですけれども,マル3で,17年度から一般,AO,推薦で検定試験の活用(みなし得点)をスタートして,18年度から全学部に拡大したと。実際追跡調査をしてみると,こうした試験を活用して入学した生徒ほど積極的に海外留学を希望する傾向がある。各大学個別に4技能試験を実施するのは余り現実的ではないので,このような活用方法は有効ではないかという御提案でございました。6番,大学独自の4技能評価は困難なので,検定試験の活用を考えたい。そのためにも,多くの高校生が平等に受検できる機会を設けてもらいたいとか,マル7ですけれども,経済的な事情で受検できない者には,非利用枠を設けて一定の配慮をすべきではないか。あるいは,8番,9番辺りは,各大学の判断でいいけれども,成績提供システムみたいなものが必要なのではないかといったような御意見がございました。
 それから,その次のページに参りまして,CEFRの対照表については本検討会議でももろもろ出てきたような御意見があったのと,あわせて,高校における評価の活用ということで,マル1ですけれども,4技能を個別で測るのは困難なので,検定試験を活用する可能性が高いけれども,受検ができない生徒のことを考えると,高校による4技能評価の証明書の活用も検討する必要があるのではないかといったような,高校における評価の活用の御意見が並んでございます。
 続けて,29ページに参りまして,4技能のバランスということです。例えばマル1で,各大学が学部ごとに定めるアドミッション・ポリシーを基にして,どのような言語運用能力が求められているかを確認して,そのポリシーに基づいた選抜を行うことが重要であり,4技能を評価すること自体が目的になるべきではないのではないかとか,あるいは,学部・学術分野に固有の外国語能力が存在するので,全てのところが等しく4技能を評価する必要はなくて,事情に即して測定・評価すべきではないか等の御意見がございました。
 それから,8番に行きまして,入学後の教育の充実ということです。例えばマル2で,各大学のディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシーに基づいて入学後に4技能を高めるための課題と方法を明確にすることが先決だという御意見。あるいは,マル3で,入学後に4技能を伸ばす教育を必ずしも全ての大学が実施していないこともあるので,入試で4技能を評価する理念や意義をいま一度示していただく必要があるのではないかとか,マル5ですけれども,大学卒業段階での4技能の修得目標レベルを設定して,国が積極的に支援する方がより有効な施策ではないか,こんな御意見もございました。
 次の次のページに行きまして,今度は記述式出題の在り方についてです。総論的なところとしては,まず思考力・判断力・表現力を測るには,複数の資料を比較して解を導き出す記述式問題の活用は不可欠であるという御意見。あるいは,学力の3要素を評価するということが重要という考えに賛同している。一般的な基礎学力だけではなくて,自らの力で考えをまとめたり,相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力を評価する必要があるとか,入試での出題の有無にかかわらず,社会で必要な力ですから,高校までの教育で十分身につけさせてほしいとか,こういった御意見。あるいは,マル5で,今後の大学入試でも選択式を中心とせざるを得ない。記述式の検討と並んで,選択の方の可能性・限界も改めて分析して,改善を図っていくことも課題なのではないか,こんな御意見もございました。
 共通テストの出題についても,例えばマル1のように,共通テストでの出題・評価に期待しているという御意見もそれなりの数,ここに記載のとおりございました。また,33ページになりますけれども,記述式問題そのものが批判されていたわけではなく,懸念が解消される方法があれば導入すべきだという御意見とか,マル9みたいに,AIを用いれば将来的に出題は可能ではないかというような御意見とか,あるいは,後ほど山本理事長からもあると思いますが,15番ですが,採点者の人数確保が課題であれば,高校や大学の教員による採点などを行えばいいのではないかというような御意見もございました。
 34ページに参りまして,共通テストでの出題の続きですけれども,公平な採点が可能であることが担保されない限り,導入は不可能だと。これは多くの国公私立大学からこんな御意見がございました。また,19番のように,プレテストの国語の記述が穴埋めあるいは選択に近くて不十分だということで,画一的な採点基準では思考力を測る意義が失われるのではないか。あるいは,22番ですけれども,推薦あるいはAOで長文あるいはプレゼンを実施している例もあるので,全てを共通テストで測る必要はないという御意見。
 次に参りまして,35ページ,今度は個別入試の役割ということです。思考力・表現力を見る上で記述式は絶対に必要だという御意見。マル2ですけれども,科目を限定せずに,各大学のAPに基づいて課していく方向が望ましいのではないかとか,あるいはマル3,記述で測る能力は出題形式によっても異なり,各大学が望む能力も様々であるというような御意見。あるいは,似通っていますけれども,マル6で,望ましい記述式,これは学部や専門でも異なるのではないかというような御意見。
 次のページに参りまして,11番,国公立は2次試験,私立大学は個別試験で実施するように制度化すればいいのではないか。あるいは,マル12,各大学で記述式の義務化を徹底すべきではないかという御意見。あるいは,13ですけれども,各大学の実情に応じて,これは個別で評価するか,入学前教育あるいは初年次教育で習得させるべきなんじゃないか。重要性というのは見た上で,どこかでやるべきじゃないかというような御意見。あるいは,マル14ですけれども,多数の受験生を集める私立大学では,効率的かつ公平に採点する仕組みづくりが必要であるとか,マル15の後段のように,全国的に総合型選抜の募集人員比率を高めれば,個別選抜である程度実施可能ではないかと,こういうような御意見があったり,あるいはマル18ですけれども,国レベルで問題バンクのようなものを作成し,それを参考にして各大学が問題や採点基準を作成できるようにしていただけると有り難いと,こういう私立大学からの御意見もございました。
 続きまして,38ページ以降,これは検討項目の3つ目の経済的な状況等にかかわらず安心して試験を受けられる配慮についてでございます。まずマル1で,格差を拡大する方向での変更は社会に受け入れられない。全てを解消することが不可能だとしても,公平性の追求は続けるべきではないか。あるいは,マル4ですが,大学だけの努力では限界があるので,国の施策と支援が必要ではないか。マル9,完璧な到達点が定められる類いのものではないので,成功事例の情報を共有して,改善を進めるべきではないか。あるいは,マル11で,受験そのものにももろもろ費用がかかるので,援助制度が必要ではないか,こんな御意見もございました。
 特に英語4技能については,先ほどと若干かぶるところはあるんですけれども,例えば39ページのマル2ですけれども,共通テストの枠組みでの資格検定試験の活用,本人の責めによらない事由で受験の公平性が担保されないものを一般選抜で課すのは望ましくないとか,あるいはマル6,経済的・地理的事情で受験に有利・不利が生じるので,公平性担保のための十分な措置又は異なる利活用方法が考えられるべきではないか。あるいは,オンラインで受けられれば,居住地域にかかわらず公平に受検できるのではないか。8番ですけれども,障害を持つ受験生の配慮事項が試験によって異なっている。統一化若しくは平準化が進むことを希望するとか,あるいは,これは個別の大学の事例ですが,10番ですけれども,本学では,民間検定を利用して受験する場合は,入学検定料を割引するなど経済的な配慮をしていると,こんな御意見もございました。
 それから,共通テストの在り方ということで行きますと,マル1,共通テストと個別学力検査は従来から実施されているものなので,検定料とか実施回数は許容範囲ではないかというような御意見があった一方で,マル3のように,共通テストの受験料の減免が必要ではないかとか,あるいは試験場の確保ももろもろ工夫すべきじゃないかという御意見が4ポツのところにございます。
 それから,41ページに参ります。オンライン入試の導入が鍵になるのではないかというような御意見が多々ありまして,その中には,例えばマル5のように,オンラインあるいはCBTなどのモデルを構築していくべきではないかとか,あるいはマル6のように,面接のリモート実施や筆記試験のCBT化で解決できる部分が結構あるので,今回のコロナを機にして,リモート端末の配布とかWi-Fiの設置を検討すべきではないかという御意見もございました。
 合理的配慮ですけれども,全ての試験において等質な合理的配慮の提供や標準的な実施方法あるいはマニュアルを整備すべきではないかとか,そういう御意見があった一方で,マル4のように,大学が可能な範囲で配慮を決定すべきだ。なので,合理的配慮にも限度があるということも考慮されなければならない,こんな御意見もございました。
 最後,その他大学入試の望ましい在り方,4点目でございます。入試改革全体の総論につきましては,大学入試,これは受験生が長い時間をかけてやっていくので,慎重に検討して,長いスパンで改善を志向すべきだとかそういう御意見。あるいは,マル3のように,大学入試改革が二転三転することで,大都市圏を中心に附属校人気が高まっているというのは本末転倒ではないかというような御意見。多様な入り口を設ける観点で,一律ではなく,徐々に新たな選択肢を設けていく必要があるのではないかというような御意見があった一方で,マル8のように,今回の改革に大いに期待していた。4技能,記述で挫折があったけれども,一日も早く実現するように努力をしたいという御意見もございました。また,10番ですけれども,各大学の自主性・独自性は必要だけれども,選抜のモデルのようなものを作成してほしい。基礎学力を把握しない選抜あるいは早期の選抜が学力不足の大学生を生まないか不安だという御意見。
 それから,大学教育と入試改革との関係ということでいきますと,これまでのこの議論が,高大の接続を中心に議論されてきた印象があると。一方,各大学の入試は,3つのポリシーの中で定まるので,大学教育改革を起点にした在り方についても議論が必要ではないかというような御意見もございました。
 45ページに参りまして,共通テストの在り方というところでございます。マル3,今回の混乱で試験の持つ公平性が重視されていることが明らかになった。共通テストのような大規模テストは客観かつ迅速に採点できるタイプの出題に特化して,それ以外は各大学の多様な入試制度に委ねるべきではないのかとか,あるいは,CBTの複数回実施が望ましい。記述もオンライン入力させることで,AI等を活用した評価ができることが望ましいと,こういう御意見もございました。
 それから,多面的評価の在り方については,マル1,学力だけではなくて,総合的な能力を測る入試が望ましいとか,マル4のように,画一的選抜ではなくて,個人に向き合う総合型選抜の拡充が重要ではないか,それから,マル7のように,多様な学生を獲得することが主たる目的なのであれば,全ての入学者選抜で3要素を総合的に測る必要はないのではないか,こういった御意見もございました。
 最後のページで,入試の実施体制というところです。入試を望ましい方向に進めるためには,専門人材の育成が急務であるとか,あるいは,マル2のように,入試はアドミッションオフィスに任せて,教員は教育研究による学生の育成に集中する方法もあるのではないかというような御意見もございました。
 すみません,雑ぱくですけれども,以上でございます。
【三島座長】
 御説明どうもありがとうございました。大変膨大な資料をきれいに整理していただきまして,ありがとうございます。
 それでは,実態調査を踏まえてのただいまの御説明への意見交換は,議事の2,3の意見交換と併せて最後にまとめて行いたいと思います。
 そちらへ進む前に,大臣が御到着されましたので,一言御挨拶を頂きたいと存じます。萩生田文科大臣,どうぞよろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 皆さん,本日もお忙しい中,大学入試のあり方に関する検討会議に御出席いただき,ありがとうございます。
 本日は,前回,前々回に引き続き,全大学への実態調査の結果や,各団体の意見発表を踏まえて御検討いただくことになっています。また,山本大学入試センター理事長からセンターの実情や課題を率直にお話しいただきたいと思います。実態調査については,事務方から説明しましたように,個別学力検査における記述式問題等の出題状況をきめ細かく分析しました。また,各大学から本会議の検討項目ごとに様々な御意見も頂いています。これらの結果も踏まえ,更に議論を深めてもらえればと考えております。
 それでは,本日も活発な議論を期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,議事2に移ります。団体代表委員からの意見発表についてでございます。本日は,全国高等学校長協会から萩原委員,それから,国立大学協会から岡委員にそれぞれ10分程度意見発表をお願いしたいと思います。ではまず,萩原委員,どうぞよろしくお願いいたします。
【萩原委員】
 全国高等学校長協会(全高長)の会長をしております萩原です。本日,資料2ということでA4,2枚の資料を用意いたしました。これに沿いながらお話をさせていただきます。
 全国の高等学校では,学習指導要領に示すところに従い,生徒の人間としての調和の取れた育成を目指し,生徒の心身の発達の段階や特性等,課程や学科の特色及び学校や地域の実態を十分考慮して,適切な教育課程を編成・実施しています。大学入試でその成果を測るに当たっては,公平・公正な制度の下で選抜を行っていただくということが絶対必要だろうと考えております。
 まず「1」の英語の4技能試験に関してです。私ども全高長としては,先ほどもお話ししましたように,学習指導要領にのっとって高等学校の教育を行っているという観点からも,英語の4技能に関しては,学習指導要領でもうたわれていることであり,当然学校の授業の中でも行っていくべきものと考えております。その成果を大学入試で測るという方向性や,また,英語の民間検定がこれまでに果たしてきた役割についても,本協会としても十分理解をしているところです。
 その上で,下線を引きましたが,大学入学共通テストにおける英語民間検定試験の活用,要は,共通テスト下において利用するということに関しては,本協会は一貫して,大学入試の枠組みの中の検定試験である以上,生徒が希望する検定を希望する日時に希望する場所で受検できることが条件であると,昨年来,その前からもですが,ずっと発言をしてきていることです。
 昨年7月25日に文部科学大臣宛てに,6項目の不安を払拭していただきたいということでお願いをいたしました。
 1点目,生徒が希望する時期や場所で英語民間検定試験を受けられる見通しが依然として立っていない。2点目,都道府県間はもとより,同じ都道府県内でも受験に対して地域格差,経済格差があり,それらに対する対応が不十分である。3点目,実施団体ごとの検定試験の周知に計画性がなく,いまだに詳細が明確になっていない。学校では,今年度中の生徒への指導,来年度の年間行事計画及び生徒への指導計画が立てられない。4点目,英語民間検定試験の公平・公正に対する不安が払拭されない。特に英語民間検定試験の実施方法(公開会場での実施・運営方法,CBTによる実施方法等)について,採点の方式,結果の周知時期,事故対応等の経験・実績のない実施団体があることなどにより,生徒も教員も不安を募らせている。5点目,活用方法を明らかにしていない大学等があり,志望するに当たって不安である。6点目,障害のある受験生への配慮が事業者ごとにまちまちである。
 この6点についてということなんですが,各大学が総合型選抜や学校推薦型選抜で英語民間検定試験を活用しているというのが現状だと思っております。一般選抜で英語民間検定試験を活用する場合には,今お話ししました6点の不安を払拭することが必要と考えています。
 「2」の記述式試験に関してです。大学入学共通テストにおける記述式問題の導入は,採点上の課題から,現時点では難しいと考えています。飽くまでも大学入学共通テストにおける記述式ということです。これまでと同様,各大学が一般選抜の個別試験で実施すればよいと考えています。
 「3」の多面的評価及び調査書に関してです。大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議において,今検討しているか思いますが,その結論を待ちたいと考えています。なお,調査書の電子化に当たっては,指導要録の電子化とともに進めていただくことが必要だと思います。調査書は指導要録を基に作成するので,調査書だけが電子化をされても,その基になる指導要録の方が電子化されない限り,データの転送作業にならないということになりますので,指導要録の電子化も含めてお願いしたいということです。
 それから,最後に,「4」のその他についてです。本日文科大臣が発表されていますが,新型コロナウイルス感染症の感染が全国で急拡大しており,大学入学共通テストをはじめとする一般選抜がトラブルなく実施できるよう,文部科学省としても最善の方法を講じていただきたいというのが私どもの願いとなります。
 全高長からは以上です。
【三島座長】
 萩原委員,どうもありがとうございました。それでは次に,岡委員,どうぞよろしくお願いいたします。
【岡委員】
 それでは,国大協の入試委員会から,資料3に基づいて説明をさせていただきます。それでは,本会議から示された各事項に対する国大協の現時点の意見について,2ページを見ていただくと,総論的,そして,各論的事項の順番で述べさせていただきます。資料については入試委員会で議論を行った上で取りまとめたものでございまして,総会の了承をまだ得ておりませんので,本日は入試委員会のクレジットで発表させていただきます。
 具体的な内容に入る前にまず申し上げたい点として,大学入試センターは,今年度,大学側として成績情報手数料の値上げに応じてもなお解決できていない経営課題を抱えており,共通テストの存続に関わる問題であることから,国としてまず大学入試センターの存続について最優先事項として考えるべきであるということを申し上げたいと思います。
 それでは,3ページを御覧ください。3ページでは,共通テストと個別選抜との役割分担についてでございます。国立大学における共通テストの位置づけを御覧ください。国立大学の入試は,高等学校における学習成果を反映するものとして,高等学校の段階における一般的かつ基礎的な学習の達成度を評価する試験であるとしておりまして,共通試験の位置づけは,入試センターが関与することになったときから現在まで継承し,その重要性は変わっておりません。
 次に,入学者選抜の方針についてです。国立大学は,各大学のアドミッション・ポリシーに基づき,第1次試験として原則5教科7科目で共通試験を,2次試験で学士課程教育を受けるにふさわしい資質と能力を測るための個別試験を課す形で,共通試験と個別試験を適切に組み合わせることによりまして選抜を実施しているところです。これは大学入学者の学力水準を保証するとともに,多面的・総合的な評価に資する基盤として,高い意欲・関心を有する多様な学生を受け入れるために有効かつ適切な方法であり,今後とも堅持いたします。
 次に,4ページ,今後の方向性についてを御覧ください。災害や大雪等の自然災害や新型コロナウイルス,新型インフルなどと入試の関係を鑑みますと,スケジュールも含め,共通試験を今後も現在のような形で実施していけるのか,将来に向けてシステム全体についての議論が必要でございまして,このあり方に関する検討会議でも,共通試験の複数回数実施等の課題について検討が必要であると考えております。
 次に,一般選抜と総合型選抜・学校推進型選抜との役割分担についてです。一般選抜における方針は,分離分割方式を継続しつつ各大学のアドミッション・ポリシーに基づき,教科・科目の点数に加え,調査書や志願者本人が記載する資料等も活用し,受験生の能力や経験を多面的・総合的に評価する入学者選抜に改革する必要があるという国大協の方針を維持・加速いたします。
 次に,5ページ,総合型選抜・学校推薦型選抜の方針を御覧ください。学力の3要素を評価するため,一定の学力を担保した上で,調査書等の出願書類に加えて,多様な評価方法を活用し,丁寧な選抜の取組を加速・拡大していきます。また,そうして蓄積されていく経験とノウハウを一般選抜を含めた全ての入学者選抜に波及させる取組を推進してまいります。
 国立大学では,「国立大学の将来ビジョンに関するアクションプラン」の方針で,2021年までに総合型選抜・学校推薦型選抜の占める割合目標を入学定員の30%としております。入学志願者に求める能力を適切に評価するため,今後も総合型選抜・学校推薦型選抜に適している分野を中心として実施していくなど,各大学・各学部の実情に合わせ,現在目標とする数値をベースに今後も引き続き取組を進めてまいります。
 高大接続改革の方向性については,中長期的には,高校段階の達成度を測るテストを高校関係者が主体となって実施することは高大接続において重要な役割を果たすものであるため,その導入について大学入試のあり方に関する検討会議等で検討が必要かと考えております。前回の議題にも取り上げられましたが,その際,高校生のための学びの基礎診断の検証も検討課題の1つではないかと考えます。
 次に,6ページ,記述式の出題です。各国立大学においては,様々な入試区分,教科・科目の中でこれまでも記述式問題を出題しております。思考力・判断力・表現力につきましては,各大学・学部において必要と考える入試区分において,募集要項で出題意図,求める能力等を明確にした上で,受験生の新しい考え方をまとめる思考・判断の能力や,その過程を表現する能力,自らの考えを立論し,更にその過程を表現する能力を様々な選抜を通じて丁寧に問うこととしています。
 次に,高等学校関係者へのお願いを御覧ください。高等学校関係者には,根拠を持って問いに答えるレポートを作成するなども含め,高等学校教育を通じて育まれるべき能力の育成,学力の3要素の伸長にさらなる御尽力をお願いするとともに,その能力の評価を大学が引き継ぐための協力と連携をお願いしたいと考えております。
 各大学は,設置者を問わず,人的・財政的資源等の確保に苦労しながら,受験生の多様化に対応するため,様々な選抜を実施するとともに,コストのかかる記述式問題を出題しております。国,大学入試センターに対しましては,共通活用できる高度な記述式問題を国,大学入試センター,大学等が連携して研究開発するとともに,大学入試の方法,試験問題作成に係る研究体制を更に充実することを期待しております。
 次に,7ページ,英語4技能評価についてです。これまでも各国立大学は,それぞれのアドミッション・ポリシーに応じて英語4技能評価に取り組んでおり,また,英語の民間資格検定試験の活用も進めているところです。今後も各国立大学は,入学者選抜で幅広く活用する可能性を探っています。特に一般選抜においても,学問分野など各大学・学部の特性に応じ,民間資格・検定試験の活用を含め,これまでのライティングの実績等も踏まえつつ,アウトプット技能の評価を進めてまいります。
 次に,共通テストの枠組みにおける英語の取扱いについてです。中長期的には,国・大学入試センターに英語4技能試験の開発・支援を要望し,国立大学はCBTや自然言語処理等の各分野におきまして開発支援を今後進めてまいります。短期的には,令和6年度以降実施するかどうかの取扱いがまだ決まっていない共通テストの枠組みにおける外国語の教科の中の英語について国はどのように考えているか明確にしていただきたい。国大協としては,実施を強く要望いたします。また,現在運用を停止している英語成績提供システムの取扱いについても,利用に向けた検討を進める必要があると考えております。
 次に,高等学校と大学教育についてでございます。養成・研修に関しまして,各国立大学は,英語4技能が教授可能な人材の養成・研修に対し,より積極的に取り組みます。高等学校におかれましても,英語4技能に関する適切な指導が実施されることが必要であり,国は教育委員会などに支援を要望いたします。評価に関しましては,英語を使って何ができるようになるかを明確にし,共通的な評価方法の開発などを通じて,大学としても活用できる学習成果の見える化が進展するよう,高校関係者のさらなる御尽力を要望する次第です。
 次に,8ページ目,多面的・総合的評価の在り方についてです。一般選抜におきまして,当面,共通テストと個別学力試験を中心に合否判定を行うことが適当であり,調査書や入学志願者本人の記載する資料等を付加的な評価として位置づけ,各大学・学部の特性に応じ,例えば特筆すべき活動や成果に加点する評価,合格ボーダー層の受験者へ活用していくことが考えられます。
 調査書の電子化への期待としましては,デジタル化を通じて入学者選抜での活用を含め,高等学校と大学との接続を一層推進できる環境の醸成や,さらには,大学教育と連結させ,例えば入学者の追跡調査,大学IR等の場面で活用する環境を醸成していくことが期待されます。
 主体性等の評価につきましては,各大学が自律的に評価に取り組むことが必要です。そのため,大学入学者選抜における多面的評価の在り方に関する協力者会議における検討状況も踏まえ,本大学入試のあり方に関する検討会議等で引き続き検討を行うことを提案いたします。
 次に,9ページ,共通テストの実施教科・科目の精選についてです。冒頭でも申し上げましたが,入試センターの経営課題とも関わりますが,科目の精選の議論や作問コスト,共通テストのスケジュールを踏まえますと,そもそも教科・科目数の適正化について検討が必要だと考えます。その上で,AI・IoT・ポストコロナ時代におきまして,情報に関する能力は,高等教育を受ける上で重要な力であることは言うまでもございません。このため,国立大学として,デジタル社会を生き抜いていく人材を育成していく上で,各大学・学部の特性に応じ,入試科目として「情報」の活用が必要と考えています。一方,「情報」が今回共通必履修科目として設定されましたが,2024年度の共通テストからの導入につきましては,高等学校において担当可能な教員が配置されているかなど生徒一人一人の学習環境はもとより,大学入試センターの作題コストも踏まえて国からの予算措置が肝要と考えております。後ほども述べますが,課題がまだ残っておりまして,CBTの実現には時間が必要です。しかし,プログラミングを学ぶ科目という特性があるために,そこに配慮したCBTでの出題も併せて早急に検討を進めることが必要でございます。
 次に,外国語は,ドイツ語,フランス語,中国語,韓国語についてはそもそも,まず英語がリスニングも含めて実施されていることとの兼ね合いからの不公平さ,もう一つは,受験者数とコストの見合いなど課題が存在しております。検定試験の活用を進める等組み合わせれば,共通テストの枠組みで取り扱う必要性は乏しいと考えております。冒頭にも述べましたが,センターの経営状態を鑑みると,実施の判断については,国が必要だと考えるのであれば,「情報」と同じく,大学入試センターへの財政的支援が必須であると考えております。
 最後に,10ページ目,大学入試の効率化についてです。志願者の多様な能力を測るため,入試区分が多様化,増加していることに伴い,入試業務の負担が増えていることを考えると,入学志願者に対する利便性の促進と各大学で負担が増加している入試業務の円滑化のため,国立大学共通の出願システムの検討が必要であり,その際,大学入試センターとの連携が大変重要であり,必要であるというふうな協議を是非していただきたいと思います。
 なお,これらの取組にはデジタル化の推進が不可欠であり,幅広い支援が必要でございます。先ほども述べましたが,多くの課題が現在ありますが,総合型選抜や学校推薦型選抜への新テストの導入も含め,複数回受験を前提にした試験の導入や,海外からの受験などの実現可能性も考慮し,将来的なCBT導入の可能性を高めていくための検討を進めていく必要があると考えます。
 最後に,その他の今後の議論の方向性についてです。改めて高大接続における入試の在り方,テストというものをどう捉えるか,大学入試全体について継続的に議論する必要があるため,文部科学省の改善協議の位置づけ等を再度定義するなど,関係者の理解を深め,透明性を持った形で複数回実施や,1点刻みからの脱却等も含め,幅広く入試について議論が行われる体制整備を要望いたします。加えて,デジタル化,CBTを通じて,大学IRを含む大学教育全体の質の向上を推進する取組への支援を求めたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 岡委員,どうもありがとうございました。それでは,次に,議事3に移りまして,その後,自由討論に入りたいと思います。まず議事3でございますが,大学入試センターからの説明についてでございます。本日は,大学入試センターの山本理事長から10分程度,これまで委員から頂いた質問への回答を含めて御説明を頂きます。それでは,山本理事長,どうぞよろしくお願いいたします。
【山本オブザーバー】
 ありがとうございます。時間を頂戴しまして,改めてお礼申し上げます。配付資料の4でございますが,センターから提出させていただいた資料です。「大学入学共通テストの実施にあたって」というタイトルでございます。この4点について少しお話をさせていただきたいと思っております。
 まず2ページでございます。ここには,大学入試センター,もう既に委員の先生方十分御承知のことだと思いますが,こういったことでございまして,これは何度も言っていることですが,大学共通テスト,これはセンター試験もそうでしたが,大学が共同して実施する試験となっております。
 次のページ,3ページに大学入試センター法が抜粋してあります。この3条に,大学に入学を志願する者に対し大学が共同して実施することとする試験ということでございます。それから,13条にはセンターの業務が書かれております。4号あるうちの1号でございますが,その試験のうち,一括して処理することが適当な業務を行うということでございます。一括して処理することが適当な業務,例えば問題作成,あるいはその印刷・輸送,採点,成績提供,具体的にはこういったことであります。それから,調査研究,進路選択に対する情報提供,こういったことがセンター法に書かれているところでございます。これは今までも何度も申し上げておりますので,余りこれ以上の詳細については触れません。
 それから,4ページでございますが,これが試験の実施・運営について,実施前の準備,それから,試験当日の体制,そして,試験終了後の業務ということで左側に書いてございます。試験が実施されましたら,3日以内に全国の試験場からセンターに答案が集められまして,その後1週間程度で採点し,9日後には各大学に成績が提供されるということでございます。
 右側の方,これは試験問題に関することですが,試験問題は約460名の大学教員等によって2年間かけて丁寧に作っていくということになります。この間,複層的な点検,真ん中の丸でございますが,こういった複層的な点検を経て完成するということであります。さらに,試験終了後には,高校教員や教育研究団体等によります外部評価をやっていただいています。さらに,問題作成者による自己評価が実施され,その結果が次年度以降の問題作成に反映されていくということでございます。
 続きまして,5ページでございます。受験上の配慮ということで,幾つか配慮のことについてもいろいろな御意見がこれまでありましたので,少し紹介させていただきます。これまでのセンター試験でやってまいりましたが,来年度の試験の共通テストでも同じ仕組みでやるわけですが,障害等を有する志願者に対する配慮でございます。志願票の提出前からそれぞれ個別相談にも応じ,そして,個々の配慮申請があった者に対しては,医師を含む審査委員会で審査をして,配慮の要否,そして,配慮内容を決定するということでございます。
 許可者数,この左上のグラフでございますが,近年増加傾向にありまして,令和2年度センター試験,この1月にやった試験ですが,3,119人でございました。最近は発達障害に係る許可者の増加が急増しているということがございます。それから,右側のグラフ,これは経費についても少し触れておきますが,約3,000人の配慮者に対しまして2億5,000万円程度が必要だということでございます。
 続いて,6ページでございます。これが全国の試験場の数でございまして,都道府県別に示したところでございます。令和2年度センター試験では689試験場を設置して行ったところでございまして,来年の第1回の共通テストでもほぼ同様の数になるだろうということで今準備を進めているところでございます。北海道では,広域にわたりますので,受験者数の割には多くの試験場を設けているというようなことがありますし,その他,新潟県から左側のところの5県におきましては,離島にも試験場を設定しています。
 続いて,7ページでございます。これまでの検討会議で頂いた御質問です。上の2つ,科目数や実施上の課題,それから,問題作成に係る労力はどんなものかということの質問を頂きました。これらについては,第6回の検討会議でもいろいろ説明させていただきました。作問のスケジュールとか,実施上の課題,その他,こういったことでお話をさせていただいておりますので,またその資料を御参考にしていただければと思います。
 それから,3番目の御質問,出願類型別の成績データはどうなっているのかというような御質問を頂きました。その成績データ,左側のグラフでございますが,現役の受験生を4類型,国公立の専願者,それから,国公立・私立の併願者,私立の専願者,そして,成績を使わなかった者――結構この成績を使わなかった受験者が多くて,約20%から25%近くいるということでございますが,この4類型に分けてそれぞれの分布を示したのを左側に4つの色で示しておりますそれぞれの分布でございます。これらのピークの位置というのははっきりと分かれているんですが,このグラフは新卒受験者の得点分布状況で,過年度卒業者の成績は含まれておりません。全体の成績分布はグレーで示しましたように,ややいびつではあるんですが,正規分布に近くといいますか,ちょっと中太りとなっておりますが,これまで言われているような二極分布にはなっていないということでございます。
 それから,4つ目の御質問,センター試験の実施運営に対する私立大学の貢献を見える化してほしいという御質問がございました。それが右の表でございます。本試験場数は371を御担当していただいていて,全体の試験場数の54%,収容数では28万人で全体の49%,それから,試験監督や事務局員,警備等を含む実施に従事した人数,これは8万人で50%でございます。なお,一番左の「合計」と書いたカラムのところに括弧内でそれぞれの利用大学数を示しています。私立大学の場合は,利用大学533大学で,371会場を設置し,そして,28万人余りの志願者を担当していただいていると,こういうような状況でございます。
 以上が,これまで我々に頂いた質問かというふうに理解しております。
 さて,記述式問題と英語4技能評価のことですが,以前に紹介されたウェブ意見募集でも,この会議での検討事項として挙げられておりました。幾つか,寄せられた意見の中に,改めてセンターが実施するべきだ,あるいはした方がいいんじゃないかというような御意見もございましたので,改めてセンターが実施するとした場合のそれぞれの課題について少しお話をさせていただきたいと思います。
 記述式問題の導入に向けた課題では,いろいろと検討しなければならない課題があるんですが,現在の実施運営を踏襲するとすれば,最も難しい課題は採点に関することでございます。これはもう既に,先ほどの萩原委員,それから,岡委員からの御発言にもあったかと思いますが,採点体制の課題,そして,公正で正確な採点,こういったことが大きな課題になろうかと考えております。
 次いで,英語4技能評価の実施に向けた課題ということで書いてございますが,これも記述式問題と同様の採点に関する課題は大変大きなものがございます。この問題に加えまして,試験の実施体制につきましても,現在の技術水準では解決が困難な課題があります。十分な数の面接官及び試験室の確保が必要,あるいは録音データの滅失・欠損の防止,それから,機器開発ですね。これは次のページでリスニングのことでも少し見ていただきます。それから,ライティングとスピーキング,これにつきましては,先ほども少し申し上げました,受験上の配慮,こういった者に対してどういうふうな方法が考えられるか,これも十分な検討が必要だと思っております。
 いずれにしましても,記述式問題,それから,英語4技能評価,もうこれまでも何度も申し上げておりますように,極めてハイステークスな大規模一斉実施の共通テストならではの問題,課題があるということも十分に御理解いただきたいと思っています。
 次,10ページに,英語リスニング試験を参考として載せてございます。これは詳しくは説明いたしませんけれども,18年度センター試験から導入をしてまいりました。それまでに六,七年かかっていろいろな検討をしてきたということで,最終的に現在行っている個別音源方式を採るとか,あるいは途中でトラブルがあった場合のセーフティネットとしての再開テスト,こういったことを工夫しながら現在の実施方法を採用しております。再開テストの受験者数,導入当時はここにありますように500人近い者が対象でした。現在ずっと減少してきておりますが,なお100人程度が再開テストを受験しているということでございます。
 最後のスライド11ページ,継続的かつ安定的な実施に向けてということでございます。先ほど岡委員からは,センターが共通テストについては継続的にきちっと安定してやっていただきたい,そのために国も十分な支援をしていただきたいという,我々にとっては大変有り難いお話もございましたが,我々はこの実施に向けて,やはり良質な試験問題の作成,これがまず第1番目に重要だろうということです。あわせて,公平・公正な実施と採点,それから,成績提供でございます。さらに,共通テストの改善等に係る調査研究も欠かせない。これら3つをきちんとやることによって,継続的・安定的な実施につながるんだろうというふうに考えております。
 こういった問題について,我々も今後継続してやっていけるかということについてある意味大変危機感のようなものを持っておりまして,現在,センターに運営審議会という会議体があります。大学でいいますと経営協議会のようなものでございますが,ここに将来構想ワーキングチームを設置していただきまして,このスライドの下半分のところに書いてありますようなことを現在議論していただいています。このワーキングチームの先生方には,その上に書いてあります,直面する問題を共有していただいて活発に御議論いただいているということでございます。
 良質な試験問題の作成ということにつきましては,近年大学教員の非常な多忙化等によりまして,問題作成委員の確保に難航しているような現状がございます。それから,先ほど岡委員からもございました出題科目数の肥大化ということ,また,年1回一斉実施ということの抱えているリスク,これらが試験に関する直面する課題でございます。
 さらには,余りお金のことを言うのも何ですが,財政的にも大変厳しい状況にあるということがございます。センターは,御承知のように,平成23年度以降,運営費交付金が措置されていません。自己収入の約90%が検定料収入によっているということでございますが,18歳人口が減少する中,しかも現役志願率がほぼ頭打ちに来ておりまして,志願者数が大幅に減少しつつあります。この2年間,今年の1月にやりました試験で約2万人減少,来年の共通テストでも約2万人の減少ということでございます。だから,志願者数が減れば収入が減りますので,支出も当然圧縮しなくてはなりませんが,かなりの部分が固定経費でありまして,直ちに経費が少なくできるというものでもございません。
 それから,制度上の問題としましては,これもちょっとマニアックな話なんですが,センターは剰余金をプールあるいは繰越し,それから,長期借入れ,こういったことが現在の仕組みではできないというようなことになっていまして,経営上の制約となってございます。そのために,共同実施をしている大学の協力が不可欠であるということと同時に,経営の改善をきちっと進めていかなければならないということで,先ほど申し上げました運営審議会の下の将来構想ワーキングチームで,収支改善のための課題というのは非常に急を要するものですから,ここのところについて急ぎ議論していただいています。
 この後は,我々がこの40年間,共通一次時代から含め,40年間蓄積してきた成績データ,こういったものを大学教育,高校教育にどういうふうに活用していくことができるのかとか,大学入試の課題に即したこれまでの蓄積・知見を生かした事業も検討していく必要があるのではないか,といったようなことを議論していただいているところでございます。
 少し駆け足になりましたが,以上でございます。ありがとうございました。
【三島座長】
 山本理事長,どうもありがとうございました。
 それでは,議事1から3までの御説明を踏まえて,議事4として自由討議を行いたいと思います。御意見がございましたら,挙手ボタンを押していただければと思います。また,発言が終わりましたら,手を下げるボタンを押していただくようにお願いいたします。
 それでは,いかがでございましょうか。それでは,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。時間も限られますので,すみません,国立大学協会の入試委員会のクレジットで岡先生の方から御報告を頂戴しましたので,少し確認も含めまして質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 まとまった形で御報告いただきましたので,大変勉強になりました。それで,御質問させていただきたい点ですが,5枚目のスライド,シートでしょうか,「国立大学の将来ビジョンに関するアクションプラン」の方針の中で,2021年度までに総合型選抜・学校推薦型選抜の割合目標を入学定員の30%としているというふうに書いていただいています。ちょっと私,ぼやっとした記憶で申し訳ありませんが,まだ1割前後ぐらいかと思うんですけれども,21年度30%という目標は実際にはなかなかハードルかと思うんですが,この現状について,あるいは将来の見通しについて何かコメントいただけましたらと思います。
 2つ目です。6ページなんですけれども,国・大学入試センターへの期待の中で,記述式の出題に関して,これ,なかなか難しい点がありますので。「国,大学入試センター,大学等が連携して共通活用できる高度な記述式問題を研究開発」と書いてあるんですけれども,この内容がちょっと分かりにくくてですね。標準的な記述式問題に対して高度な記述式問題があるのかとか,あるいは簡便な記述式問題があるのかというのはちょっと分かりにくいところです。
 それで,もう一つなんですが,記述式の問題に関してよく言われることなんですが,出題は実はあんまり難しくないんだけど,採点が物すごく難しいというのが現実ではないかと思うんです。だから,記述式問題を研究開発したところで,実は採点の現場では物すごくやっぱり手間がかかって,議論を尽くしていかないと採点基準すら作りにくいというのが現実かと思いますので,記述式の問題をと言われても,問題をプールしてもあんまり効果がないような気がします。それについて御意見を頂戴したい。これが2つ目です。
 それから,最後なんですが,9ページのところで,外国語に関して,ドイツ語,フランス語,中国語,韓国語等は,場合によったら共通テストの枠組みでやらなくてもいいんじゃないかと。人数も少ないし,受験者数も少ないし,リスニングを実施している英語と比べると,最終的な扱いが不公平になるんじゃないかということも書いてあります。ただ,受験生の中の全体の中でマイノリティであるということをもってやめるというのもちょっと理屈は合いにくいのかなという感じがしまして,この辺どういうふうにお考えになるのか,もうちょっと突っ込んだ形で御意見頂戴できたらと思っています。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,岡委員に3点,今御質問があったと思います。岡委員にそれに対してお答えを言っていただく前に,文科大臣が4時20分にはもう席を立たなくてはいけないということですので,ここでちょっと御挨拶を頂いて,その後で答えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 岡先生,申し訳ございません。皆さん,本当に御苦労さまです。議事録等で皆さんの発言については確認をさせていただいております。
 今日私が来る前に担当のから,このたびの調査結果について報告がありました。ここまで細かく調べたのは初めてだと担当から報告を受けていますので,国公立大学と私立大学とでは,言うならば受験のアプローチの仕方というのが違うのだということが改めて浮き彫りになったと思います。
 要は,違うアプローチの大学群が共通テストという一つのプラットフォームを共有し,最後のアウトプットはまた違うところを目指すという中で,公平性,公正性,正確性を求めることの難しさをすごく感じます。もう解散してみんなそれぞれやってくださいと言いたくなるような御苦労をされているのだと思います。ですから,私は,校長会の会長からお話があったような御要望というのはごもっともだと思って昨年一度試験を中止にしましたけれども,では,その代替案があるのかと聞かれれば,なかなか難しいなと今,思っているところでございます。
 そうは言うものの,長い時間をかけて先生方に様々な議論をいろいろな角度からしてきていただいて,見えてきたものもたくさんあると思っておりますので,本当に忙しい中いつもご参加いただいて申し訳ありませんけれども,引き続きどうか忌たんのない御意見を頂いて,最良・最高の方法がどうなのかというところまでたどり着けるのか,あるいはベストじゃなくてベターなのかもしれないけれども,みんなが納得できる着地点というのはどこなのか,そんなことで年末年始をまた越えていきたいなと思っております。
 コロナがまた再び少し感染が広がっていますので,来年の受験シーズンを無事越えることができるかということも今,すごく心配していますが,担当ともしっかり連携を取りながら,幸いにして,専門家の先生方も,受験というのは不要不急の外出と位置付けられるものではないと,要するに,かけがえのないものだという位置づけもしていただいています。あわせて,大体,受験生というのはそんなに会場で初めて会ったライバルと親しく大声でしゃべるという人はほとんど誰もいないと思いますので,その周辺の,例えば塾の激励会とかそういったものをきちんとやめていただくことによって感染リスクを抑えて,何とか厳しい状況の中でも共通テスト,また,それぞれの個別試験につながるような態勢を取りたいと思いますので,引き続き御協力をお願いしまして,先に失礼させていただきます。ありがとうございました。
【三島座長】
 大臣どうもありがとうございました。
  (萩生田文部科学大臣 退席)
【三島座長】
 それでは,芝井委員から3つの御質問ですが,岡委員,よろしくお願いいたします。
【岡委員】
 芝井委員,御質問いただきましてありがとうございました。5ページの前のAO,総合型選抜と学校推薦型選抜について,国立大学は10%行っていないぐらいじゃないかというような御意見でございましたので,少しお答えしたいと思います。データ上は,平成12年度の入学者で,国立大学の,前はAO,推薦と言っておりましたので,それを加えますと10.5%ぐらいだったですね。それが平成31年度は,AO入試が4.1%,推薦が12.2%ということで,文科省から入試方法のデータが本日出ていると思いますけれども,一般入試の中に推薦型とAO入試が重複して入っておりますので,一見そのまま見ると少ないようなんですけれども,実態は既に今のところ15%,16%ぐらいの実績でございます。
 それで,そのデータをまずお話しいたしまして,それから,総合型選抜と学校推薦型選抜の趣旨を踏まえてみますと,各大学,国公立大学においても多様な人材を選抜していくためにも一定割合が必要だということは一緒でございまして,30%に近づけていきたいと思っております。その上で,単に数値目標としてではなくて,各大学がアドミッション・ポリシーに照らして入学志願者をより時間をかけて丁寧に選抜をして,求める能力を適正に評価する重要性に変わりはございませんので,アクションプラン設定時,これは2015年9月につくったものでございますが,その後の変化を含めて改めてその在り方について議論する必要があると考えております。従いまして,国大協は30%に近づけるための努力をしたいというふうには思っております。
 また,総合選抜型とか学校推進型の選抜に適している分野が,領域が具体的にどういうものなのかということもしっかり議論をしておりませんでしたので,これについて議論をして,多様な人材を育成する,引き受ける……。
【芝井委員】
 岡先生,申し訳ありません。たくさん質問の方もいらっしゃるので,短いお答えで結構ですので,よろしくお願いします。
【岡委員】
 はい。それから,記述式でございます。高度な記述式というのは定義はないんですが,例えば数学だけとか国語だけではなくて,いろいろな分野が一緒になったような複合的な問題を出すということが高度な記述式の一つの側面であろうと捉えています。それで,大学の大きさが随分違ってきますので,全ての国立大学に高度な入試,記述式問題を作るということが非常に難しいので,国,それから,センター,大学が協力して作ったらどうかということを申し上げたところでございます。これについては,今後も我々協議していきたいと思っております。
 それから,外国語のことですが,これは飽くまでもセンターの経営状況のことを考えたものと,それから,同じようなレベルの入試をしていないということで,こういう考え方もあろうかということを申し上げただけでございます。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】
 益戸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。国大協の岡委員からの御発言を受けまして,意見と文部科学省に対しての要望を述べさせていただきたいと思います。
 まず今回のコロナ禍においての混乱の中で,日本におけるデジタル化の遅れが露呈しました。既に内閣官邸に設置された成長戦略会議の中でも,デジタル化はかなりのウエートで議論にあがっています。デジタル化議論で,改めて認識されていることは,プログラムを作れる人を増やす必要性はもとより,プログラムを使ったり,コンテンツを作る人,それらをサービスとして享受する人に,幅広くデジタル化における最低限の知識が必要だということです。
 その意味で,今回の学習指導要領の改訂で「情報1」が共通必履修科目とされたというのは,遅過ぎたぐらいの話だと考えています。
大学におきましても,分野を問わず全ての学生を対象にして,数理とかデータサイエンスとかAIに関するリテラシー教育は既に始められていると伺っております。是非4年後の共通テストには,「情報」を導入するとともにに,多くの大学で採用いただきたいと考えます。
 この点について,岡委員からの資料9ページに出てきます「情報」についての点ですが,この中で「高等学校における担当可能な教員配置などの生徒一人一人の学習環境を考慮して採用を判断する」という御説明がありましたが,「情報」は既に17年前の2003年から高校で必修になっていることを考えれば,いまだに高校の担当教員が十分配置されていないというのは本来おかしな話ではないでしょうか。これは都道府県の教育委員会に任せておいては,端末整備と同じように,いつまでたっても進まないと思います。
 従いまして,この件については,高等教育局の担当ではないかもしれませんが,今後の議論をしていく上で,この教員配置の促進に関する国としての支援策とか工程管理については,是非次回以降のこの検討会において御報告を頂きたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,次に参ります。渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】
 どうもありがとうございました。私の申し上げるのは,コメントであります。特に武藤企画官から御発表いただいた様々なデータに関することから始まりまして,全般に及ぶものであります。既に申し上げたことがあるかと思いますが,議論において文言に踊らされないようにしなければいけないということをもう一度確認したいと考えます。記述式も同様ですが,特に4技能試験という文言について当てはまることだと思います。「4技能試験」といった場合に,スピーキングということがどうも重点を置かれて話されているように思います。しかし,4技能というのは,そもそも教育指導上の人為的な分け方でありますから,私たち言語を使うときに4つの技能を一つ一つ分けて使うということは実際にはありません。指導の際にはそれが便利でありますし,また,評価の場合にも便宜上そう行っているということであります。それを絶えず思い起こす必要があると思います。したがって,4技能試験だからといって,また,スピーキングテストが入ってくるからといって,それはスピーキングという,いわゆる話す能力を試しているというふうに考えるべきではないと思います。
 下位技能を考慮することが必要だと思います。例えばスピーキングテストといいましても,あるテストはオーラルで文法能力を試していると,そういうふうな基準が設定されているテストもあります。また,テストによって,読解を口頭で試していると,そういうテストもあります。あと,音読があるテストもありますし,ないテストもあります。それから,対面式のテストでありましても,インタラクティブでは必ずしもないということがあります。それは試験官が問いを発して,それに解答者は質問しない,答えるだけ,そういうスピーキングテストもあります。それは全国学力調査をやったときにも,非常に画期的なテストだったと思いますが,それでも対面式にもかかわらずインタラクティブではないということで大きく批判を受けました。
 従いまして,4技能という能力,表面的な文言に踊らされる必要はないと考えます。基準ですけれども,近年はワールド・イングリッシュズ(World Englishes)という言い多様な英語のあり方が容認されています。ジャパニーズ・イングリッシュ,チャイニーズ・イングリッシュなどを認めるべきだというふうなことが学校教育で行われています。しかし,基準を見ますと,それは日本語のアクセントが残るので,その分採点が低いとかそういった基準もあります。従いまして,4技能だから必ずしもそれがいいテストである,歓迎すべきである,そういう表面的な議論はすべきではなく,もっと深く考察する必要が随所に見られるかと思います。
 むしろ4技能というよりも,総合的な能力,インテグレーティッドスキルといいますけれども,読んで,聴いて,それを理解したものを発表する能力とか,そういったやや新しい,必ずしも新しいとは言えませんけれども,そういった違った角度から見るということも必要になろうかと思います。
【三島座長】
 そろそろ手短におまとめいただけますでしょうか。
【渡部委員】
 英語の能力に関していろいろ申し上げたいことがありますけれども,特に大学で入学してからの問題,課題が大きいということが発表の中に,データの中に見えていたかと思います。大学入試というのは,大学教育でしっかりと行われているということを通じてあるべきものですから,大学に入ってから自然関係の英語あるいは経営の英語,そういった特化した英語というものがあるはずですから,それをアドミッション・ポリシーとの整合性を考えて,そして,入試というものを考えるべきだと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは次,吉田委員,どうぞ。
【吉田委員】
 事務局に最初にお尋ねしたいのですけれども,今日の最初の資料の13ページで,個別学力検査における記述式問題に関する入学者数の割合というものの中で,これは一般入試で個別学力検査を実施する選抜区分の入学者数に占める割合というのですけれども,一般入試で個別学力検査をしない学校としている学校の数というのは,これ,分かるんのしょうか。
【三島座長】
 事務局,いかがでしょうか。
【武藤高等教育局企画官】
 そしたら,すみません,前回の資料に一部関係するところはあるんですけれども,今の御質問にストレートにお答えできるような感じになっていないので,ちょっと調べた上で次回以降御説明いたします。
【吉田委員】
 すみません。なぜそれをお尋ねしたかというと,今日いろいろ,この英語4技能評価とか記述式とかについても非常に細かく調べていただいてすごく分かりやすかったのですが,私,この中ですごくショックだったこともあります。まず文科省の資料の中の24ページになるのでしょうか,英語4技能の在り方についてのマル1で,2番の共通テストの枠組みでの活用のマル5なのですけれども,これ,本当に国立大学が,先ほど岡先生があそこまですごく,この新しい改革というか高大接続に対しても御理解いただいて,新しい人材育成のために教育を変えていきましょうというお話を頂いた中で,「機械翻訳が実用化されようとしている現在,多大な労力を払ってまで受験生全員にSの試験を課す必要性が果たしてあるのか再検討すべき」ということがあったので,もう本当にあ然としたのです。今まで高大接続改革等でやってきたことも何も含めて,大学がやっぱりこれ考えているのだったらもう日本の教育なんて変わらないなという意味ですごくショックだったところに,岡先生のお話を伺って私は安どしたという部分がございますが,是非この辺,大学の皆さんも考えていただきたいなと。
 それで,実際問題として,英語4技能についてもう一生懸命みんなやってきているわけですし,記述式も必要なわけですけれども,このコロナ禍ということもございましたけれども,昨年の11月1日までは,やっぱりこれがやられるつもりで子供たちはやってきたということを念頭に置いていただきたいのです。
 文科省資料の41ページのオンライン入試のところで後ほどお答えいただきたいのでお尋ねなのですが,ここにあるオンライン入試というのが,私,大学側がおっしゃっている,例えば即効性があるのはオンライン入試だがとか,公正な試験運用が難しいため,慎重に導入すべきって,これ当然だと思うのですけれども,オンライン入試とCBT化した入試の違いがはっきりしていない気がするのです。CBTは単なるオンライン入試ではありません。やはり監督者がいてのものだと思いますし,その辺のところで一度文科省としてしっかりこの辺の見解を出していただいた方が良いのではないかなと思ってお尋ねいたしました。
 それから,萩原会長にお尋ねしたいのですが,全校長の意見を先ほど伺って,高等学校指導要領の示すところに従って教育をしているのだということで,1番の英語4技能試験についても,当然ながら積極的に使えるような英語力を身につけさせるために英語教育の充実を図ること,そして,その成果を大学入試で測るという方向性や,英語民間検定がこれまで果たした役割については十分理解しているということなのですが,そうすると,今,この段階においてここにある6つの項目,特に最後の丸で先生がお書きになっている,「各大学が総合型選抜や学校推薦型で英語民間検定試験を活用しているものの,一般選抜で英語民間検定試験を活用する場合には」って,ここの矛盾が私は理解できないのです。
 どうして一般入試でなければ使っていいのに,共通テストというか一般選抜では使ってはいけないのか。それを逆に,不安払拭うんぬんの前に,全校長としてどういうふうにお考えなのかというのが分かりませんし,それから,今も言いましたように,昨年11月までは,今年英語民間試験を受ける予定で,子供たちみんな願書も出していました。受ける予定で,願書を出す予定までしていました。ということは,今の高校3年生には,英語4技能の評価というのは全校長では全く受けさせようということは考えていないのか。逆に学校でこの4技能をどうやって評価しているのかを私はお尋ねしたいです。私どもでいえば,英語4技能がどこまで行ったかということを,いろいろな民間試験を使って生徒たちの実力を調べています。そして,その調べた実力によって学校推薦や総合型選抜に出させていただいているのも事実です。ですから,その辺のところをしっかりと教えていただきたいと思います。
 そして,先ほど来お話ししている,岡先生に対しましては,私は本当に国大協が一生懸命考えてくださっているということを改めて理解させていただきました。そういう中で,やはりここで先生の方から高校関係者へのお願いとして,高校教育を通じて育まれるべき能力の育成,学力の3要素うんぬんというところがございますけれども,私ども本当にこれは大賛成でございますし,お互いにこういう力を培って,いい,将来のグローバル化社会を担う人材を育成したいというふうに思っております。
 そして,そういう中で,今後も国立大学の方では,入学定員の30%までを学校推薦や総合型にしようというようなお話がございますけれども,そこにおいてはもう既に特定の英語民間試験を使われているわけですので,その辺が先ほどの山本理事長の説明のところにこれが絡んでくるのですが,センターで本当に今の状況でこの4技能試験はできないということが私はここであらわになっているのではないかと思うんです。ところが,センターはいまだに,今日も山本理事長はできないということをおっしゃいません。これはできるという期待をしていいのでしょうか。そして,そうなった中で,運営費ということで考えたときに,センターはそれをやるだけの自信があって,そこまで書いてらっしゃるのか。
 それから,益戸委員もおっしゃった,情報化に伴って,「情報」のセンター試験は私も大賛成でございますけれども,これこそCBTでやらなければ意味がないのではないかなと。そういう意味での開発その他いろいろなものがあると思うのですが,やはりその辺をはっきり,ただ,こうしたい,ああしたいではなくて,いつまでにはこうするのだということもセンターとしてもはっきりおっしゃるべきなのではないかなと思ってお尋ねいたしました。
 ちょっと長くなりましたが,よろしくお願いします。
【三島座長】
 ありがとうございました。最初のところのオンラインの試験とCBTについては後で調べてまた回答いたしますので,それはちょっと置いておきまして,岡委員,それから,萩原委員がもし何かコメントがあれば,短く回答していただければと思いますが,いかがでしょうか。あと,山本理事長もそうですね。
 よろしいですか,岡委員。
【岡委員】
 特別。コメントいただいたというふうに捉えております。
【吉田委員】
 岡先生にはそうです。萩原先生のお答えを伺いたいです。
【三島座長】
 では,萩原委員,どうぞ。
【萩原委員】
 私どもはさっきも,下線を引いてある,大学入学共通テストの下においての英語民間検定試験の活用というのは現実的には難しいのではないかということでお話をしたところです。先ほど高等学校においてはということで,確かに各学校でアセスメント,基礎学力診断で行っている学校も当然ありますし,それ以外のものを使っている学校も当然あります。各学校,アセスメントをやってというところは,実際生徒がどういう状況になっているか,各学校の例えば定期試験の中においてもスピーキングテストを取り入れたりという形で授業の改善を進めているということは事実だと思っております。
 その上でということで,現在,総合型選抜とか学校推薦型で実施しているという部分,これを更に拡大をしていくという部分においては,民間の検定試験を活用しているということはあるかと思うんです。一般の選抜においても,各大学の判断でお考えを頂くという考え方ということです。ですから,全員に一斉に課すということは現実的には難しいのではないかと言っているところです。
 以上です。
【三島座長】
 分かりました。
【吉田委員】
 すみません,そうすると,総合型選抜とか学校推薦型選抜を受けるために4技能試験を受けていることは,地域格差とか経済格差とかそういったことをおっしゃっていることには全く関係ないということに受け取ってよろしいんでしょうか。
【萩原委員】
 個々の生徒が大学を目指すということで,それは個別の大学をということになるわけですから,その大学を目指すためにはということで,その大学が必要としているものであるならばということです。共通テストの場合においては,目指す大学というよりも,大学を受験するという段階においてと言われているからです。
【三島座長】
 まだあるかと思いますけれども,ちょっと……。
【吉田委員】
 分かりました。もう全く発想が違うので,結構です。
【三島座長】
 それから,山本理事長は何かコメントございますか。
【山本オブザーバー】
 吉田委員,御指摘ありがとうございます。ここに具体的にできないとは書いてないじゃないかということで。7年度試験には私はもうできないと言っていいと思うんです。ただ,ここに,9ページに書いてありますような実施体制,それから,採点上の課題,これを解決するためには相当の資金投入並びに時間がかかるだろうということですから,7年度試験での導入は無理だろうと言わせていただきます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,まだ4名手が挙がっておりますので,一つ一つをなるべく簡潔にお願いしたいと思います。末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 恐れ入ります。ありがとうございます。これからフライトがございますので,先に発言をさせていただきます。手短に申し上げます。
 まず文科省からの資料1の方ですけれども,今回も丁寧におまとめいただきまして,ありがとうございました。複数の大学から指摘がございました検定料・受験料への配慮につきましてですけれども,現行の生活保護制度や修学支援制度の対象外となっております。それは学びの基礎診断も同じことでして,現行の修学支援システムの中では,例えばですけれども,英語民間試験の検定料あるいは受験料といったものを前提には設計されておりません。従いまして,大学側がその実情を踏まえて対応しない限りは,教育の機会格差はこの国では永遠に埋まることがない,という実態をまずお示しをさせていただきます。もちろん厚労省,文科省の方に私も内閣府の子供の貧困対策の委員として要望はしておりますが,解決にはなお時間がかかるであろう問題を前にしながら,この国の高等教育機関がどのようなお取組をされるのかということにつきましては,個々の大学の識見というものを受験生に見せていただきたいなと要望いたします。
 それから,先ほど来,英語4技能なるテストを巡ってかなりいろいろなお考えがあることは分かりました。例えば30ページでございますが,やはり各大学のアドミッション・ポリシーあるいはカリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシーのようなものに従って,大学の教育を意識しながら,ある程度,高校段階での努力ができるということは非常に重要かと思います。ただし,そのときに,岡委員も萩原委員も調査書のことを触れられましたけれども,やはり調査書だとか,あるいは高校の教員が英語の技能を評価していくといったやり方についても,できるだけ共通の基準といったものは高校教育側でも開発していただけると良いかと。その際の高大連携といったものがこの国の英語教育自体を進化させていくものであろうというふうに考えます。
 43ページの方ですけれども,この部分の指摘は非常に重要です。やはり今回の資料1のような入試実態の検証から改革をいかにあるべきかというものを始めていくということにつきまして,今後の文科省における入試行政の在り方においても必ずそうしていただきたいというふうに考えております。
 それから,大学入試センターからの資料も大変重要なものであると思います。資料4の一番最後の方で御説明いただきましたけれども,大学入試センターを含め,文部科学省系の独立行政法人は相当厳しい財政上の運営を強いられております。この現行の運営のままで,例えばCBTとか,あるいは英語4技能,それから,記述式の問題の開発は不可能であるというのが教育財政の研究者としての私の認識です。この際,例えば共通利用ができる問題がという要望がありましたけれども,大学側からの拠出金のシステムあるいは投資的経費のプールあるいは繰越しも含めて,独立行政法人会計の在り方の中で,大学入試センターのよりよい運営と,それから,試験問題開発といったものをどうやって進化させるのかといったことも継続的な大学入試行政のために不可欠であろうと思いますので,この会議の提言の中に,今後の大学入試センターの在り方についての提言も入れていくべきだと考えます。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。時間が迫っていますので,プラクティカルなところをお尋ねします。
 まず13ページ,これは先ほど御質問ありましたので,調べていただければと思います。私もこのデータ,大変驚いておりますので,お調べいただければと思います。
 それから,先ほどの渡部委員の御質問に関連したところで,最初に御説明のあった資料1の方でございます。4技能について,26ページの共通テストの役割のマル12番のところで,S,スピーキングも教科書を読ませて録音させるようなテストというのは,これは私,全く門外漢ですけれども,こういうのはリーディングというスキルになるんじゃないかなと思ったものですから,また機会があったらお教えいただきたいと思います。
 もっとお尋ねしたいのは,28ページのところでございます。CEFR対照表というの。これ,たしか,以前のウェブ意見聴取でも同じような御意見が出ていたと思うんですけれども,5番目のところ,CEFRは既に改定されていて,先に示した英語4技能の考え方は現状に適合していないという御指摘が出ていますけれども,大学の方ではCEFRに準拠して標準化して選抜を行おうとしているわけでございますので,非常に関心の高いところでございます。事実関係等を御教示いただければと思います。
 ほかにもいろいろ,国大協の考え方等はございますけれども,時間がございませんので,また後ほどと思います。以上でございます。特に最後のところ,もし分かれば御説明いただければと。
【三島座長】
 ありがとうございました。今事務局から行くと思います。では,事務局お願いします。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼します。今のCEFRのところですけれども,正にこの御意見の中にあるように補遺版というふうにあって,これは英語で言うとコンパニオンなわけですね。これももともと2001年にできたCEFRを上書きするものではなくて,情報を加えたものであるというふうに認識しています。なので,聴く・読む・話す・書くという,こういう4技能という考え方がここでなくなったわけではないと認識しています。現にこれに準拠しているケンブリッジ英語検定とかIELTSとかTOEFLとか,この辺りも引き続き4技能をベースにしているということで,もちろん情報が付け加わったということで新しさはあるんですけれども,もともとのCEFRというものがなくなったとか,上書きされたとか,こういうことではないと承知しております。
 以上です。
【柴田委員】
 確認ですけれども,我々のところも本年度,CEFRに準拠した基準でもって入学者選抜を外部試験を利用して行おうとしているんですけれども,それはまだ有効であると理解してようございますでしょうか。
【武藤高等教育局企画官】
 それ,ちょっと私からお答えするのもあれですけれども,それぞれの大学での御判断だと思うんですけれども,CEFRの段階表というのは今も有効というか,CEFRとしては今も継続されていると。それに加えて,例えばA1とB1とかB2とか,この辺りの段階に更にプラスがついたやつとかマイナスがついたやつとかこういういったものが示されているということはございますが,今現に広く使われている検定なんかは元の段階に対応していると承知しています。
【柴田委員】
 どうもありがとうございました。
【三島座長】
 それでは次に,清水委員,どうぞ。
【清水委員】
 ありがとうございます。時間ありませんので,短くお話しします。筑波大の清水です。
 実態調査が前回に続いて報告された中で,特に7ページから12ページにある科目・教科にブレークダウンして更に記述のカテゴリーを6つに分けた結果が非常に興味深いので,そこをもう少し深掘りしてみる必要があるんじゃないかと思いました。7ページと9ページの国立,公立は,黄色の記述問題のみというところがほぼ多数を占めていますけれども,それに対して私立の方は,11ページにありますが,客観式あるいは短いものも含めたものが多くて,その下の12ページのところで特に教科,数学のところを御覧いただくと,非常にコントラストが強いことが分かります。数学もある意味,式を中心にした記述言語の側面を持っていますので,私立大学の数学のところを見ますと,90%程度が客観式あるいは短答・穴埋め式になっていて,記述式が出題されていても割合から見ると相当少ないというのが見えてきますので,この辺のところを更に見てみる必要があるかなと思いました。
 そういう意味では,32ページの総論の,在り方の,4番,国立大学の指摘で,回答形式の議論ではなく,思考・判断・表現といったときの,まずその中身をきちんと見極めた上で,そこの評価する問題がどうあるべきかというのを改めて議論しておく必要があると思ったのが1つです。
 それから,自由記述を全体的に拝見して,高大接続は改革ですけれども,リフォームではなくて,改善というかインプルーブのような形の動きをすることが必要だということをいろいろな意見から読み取れるような感想を持ちました。
 以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,川嶋委員,どうぞ。
【川嶋委員】
 川嶋です。ありがとうございます。時間も迫っていますので,手短に,今日の議事1から3までそれぞれ一つずつコメントないしは質問させていただきます。
 まず最初に,実態調査の中で合理的配慮に関する取組事例が幾つか紹介されまして,その中で非常に先進的な取組もある一方で,どうしたらいいのか困っている大学もあるというふうに理解しております。この点は最終的には個々の大学の御判断かと思いますけれども,前回の公立大学協会からの御意見でも,想定される障害については具体的な合理的配慮について国が在り方を示しておく必要があるというような御意見もございました。本日は,時間の関係で難しいかと思いますけれども,御専門である宍戸委員の方から,例えば国とか文部科学省が何らかのガイドラインを示すことの是非について御意見を伺えればと思います。
 2番目は,全校長からの御意見発表ですけれども,先ほど吉田委員とのやり取りもお聴きしていますと,高等学校教育の中でも十分に意見集約ができていないというふうに感じました。
 また,本日の岡委員からの,国大協からの意見の整理にもありますように,本会議は,もともと英語4技能と記述式を共通テストで実施の可否に関して検討するところから始まりましたけれども,実は記述式・4技能の在り方を考える前提として,共通テストと個別試験の役割分担とか,個別試験での一般選抜と総合型・学校推薦型との役割分担などもきちんと検討する必要がございますし,また,共通テストの実施時期についても,これまでも課題としては,総合型選抜や学校推薦型選抜には使えないというような意見も出ております。
 また,そもそも大学入試の在り方をどこでどのように誰が議論するかというガバナンスの在り方についても,本日も岡委員の方からもお話がございましたが,これまでも幾つかの委員が提言されております。さらに,高校教育関係者にとっては重要な指摘としては,学びの基礎診断ではなくて,基礎テスト,達成度テストを導入すべきだという御意見もあって,高校側にとっては非常に大きな課題だと思いますので,是非今後これらの点についても高校側の意見を集約して,本会議で御発表していただきたいと思います。
 検討の状況を見ますと,大学からは非常にたくさんの御意見が出ているのですけれども,それに対して高校側からは十分な御意見が出ていないのではと感じています。そのため,今のままですと,大学側からの意見がそのまま本会議のまとめになってしまうおそれもありますので,高校側もそれでよろしいのかということになりますので,様々な観点からその是非等についても御意見を今後頂きたいと思います。ちなみに,前回か前々回に私の方から,是非高校側でも大学側で行ったような調査を行って,高校側の意見の取りまとめをお願いしたいというふうにお話はさせていただきました。
 最後に,記述式のところに関わって,調査の中でも,問題バンクを作ってはどうかという御意見もありましたし,それから,芝井委員の方からは,作問よりもむしろ採点が難しいというお話もございました。また,前々回ですかね,私のペーパーの発表の際には,記述式問題を作問するのにかなり教員が足りないというような大学の問題も,これについては島田委員からも非常に深刻な問題だというふうなことも御指摘もございました。
 期待するところは,大学入試センターに問題を作っていただいて,それを共有して実施するということで,これについては国大協でもセンターと協力しながらその辺の議論を進めてきたところですけれども,実際のところはなかなかうまくいかなかったということもございます。ですから,今後,この作問の体制,あるいは問題バンク,こういう大学間あるいはセンターとの共同作業について,もし現状でそれが難しいというのであれば,先ほどのCBT等の導入も含めてですけれども,センターに是非お考えをお聞きしたいなと思っております。
 以上です。今,御回答なくても,次回にでもいただければと思います。
【三島座長】
 よろしいですか。それでは,宍戸委員にちょっと御意見をとございましたけれども,時間がもうないので,最後に小林委員から御意見を伺って,残った課題は次回ということにさせていただきたいと思います。小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 ありがとうございます。まず今日の実態調査の結果は,記述式が主だと思うんですけれども,私が見た限りでは,国公立はもうほとんど既に100%に近く記述式は採用されている。その中身はいろいろあるかもしれませんけれども,採用されているという実態なので,もう現状はちゃんとしていると。ただ,私立大学は確かに約半分ぐらいしかやっていないということで,その辺をサポートする方法を考えた方がもっと現実的かと思います。
 それから,萩原委員のお話しされたことは,私も全く全部賛成ですので,特にコメントはありません。
 岡委員の特に7ページ目などに書いているんですけれども,国とか大学入試センターに英語4技能試験の開発支援を要望し,CBT等の技術のさらなる進展の支援に協力と。私も考え方は同じで,できれば英語4技能試験も,民間ではなくて,そういった公的機関がやるべきではないかとは考えています。
 最後には,山本理事長にお伺いしたいんですけれども,実際に私も余り理解はしていなかったんですけれども,財政的にそこまで対応できないという現状が確かにあるかと思われるということで,入試に関するこの委員会,この委員会で財政問題を議論するには,委員がそれ用に配慮されていないので,もうちょっと財政的な内容を理解する人を入れないことにはこの委員会で議論するのはちょっと難しいと思います。
 ただ,一番最後のページに,将来構想ワーキングチームでいろいろ検討されているんですけれども,この委員の顔ぶれを見ても,本当に経営に手腕を発揮できる方が果たしてどれぐらいいらっしゃるのかと若干不安はあるんですけれども,今後そういういろいろな要望,例えば英語の4技能も大学入試センターでやるとか,CBTをやるとか,そういったことをやる上で,どういう働きかけややり方をすれば打開策があるのかということをお伺いしたいんです。要望ばかりで申し訳ございませんけれども,お願いします。
【三島座長】
 ありがとうございます。山本理事長,もし何かコメントがあれば,手短にお願いいたします。
【山本オブザーバー】
 財政的に厳しいからできないと,こんな話じゃなくて,国がやる気になればどんどんお金をつけてくれればいいと。ただ,私が今日申し上げたのは,いずれにしても,その実施の体制,とにかく前提となっているのが,50万人以上の受験者を対象にした,受験者本人にとって非常に大事な試験,極めてハイステークスな試験を1つのミスも出さずにやれるかという,あるいはミスが出たとしてもそれをバックアップするだけの体制ができるでしょうかということを今日,記述も英語4技能も申し上げたわけで,これ,非常にハードルが高いなということであります。簡単にということですから,それだけ。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,時間もちょっと過ぎましたけれども,本日は長時間にわたる意見交換ありがとうございました。いろいろな意味で出していただいた資料も意義のあるものだろうと思います。これは引き続きこの内容についてまた検討を続けていきたいと思います。
 事務局からあとは何かございますでしょうか。
【武藤高等教育局企画官】
 次回の会議ですけれども,12月11日に行いたいと思います。具体的な時間につきましては,委員の皆様の日程調整の上で御連絡申し上げます。
 以上です。
【三島座長】
 それでは,本日は皆様御協力ありがとうございました。以上で閉会といたします。ありがとうございました。

―― 了 ――



 

 

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