大学入試のあり方に関する検討会議(第16回)議事録

1.日時

令和2年10月27日(火曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省省議室

3.議題

  1. 整理しておくべき事項について(前回のご意見を踏まえて)
  2. 大学入学者選抜における英語4技能評価及び記述式問題の実態調査の結果(学部別調査関係)について
  3. 団体代表委員からの意見発表  ・日本私立大学連盟
  4. 自由討議     

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、斎木委員、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員、牧田委員、吉田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

萩生田文部科学大臣、鰐淵文部科学大臣政務官、藤原文部科学事務次官、伯井高等教育局長、森田文部科学戦略官、西田大学振興課長 他

5.議事録

【三島座長】
 皆さん,こんにちは。三島でございます。定刻となりましたので,ただいまから第16回大学入試のあり方に関する検討会議を開催いたします。
 今回も新型コロナウイルス感染拡大防止のための,ウェブ会議方式での開催でございます。音声など,先ほどから調整をしていただいていると思いますけれども,何か不都合がありましたら御発言いただければと思います。
 ということで,本日も傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開とし,後日,議事録をホームページに掲載することとしたいと思います。それでよろしいでしょうか。
  (「異議なし」の声あり)
【三島座長】
 それでは事務局から,まず何かございましたら,どうぞ。
【武藤高等教育局企画官】
 本日は吉田委員が途中で御退席の可能性がございます。
 前回までと同様に,聞き取りやすいようにはっきりと御発言をお願いします。また,資料参照の際,該当箇所などを分かりやすくお示しいただければと思います。また,ハウリングを避けるために,挙手ボタンを押していただいて,ミュートを解除してから御発言いただき,発言後ミュート状態に戻していただくようお願いいたします。
 以上です。
【三島座長】
 それでは,議事に先立ちまして,萩生田文部科学大臣から御挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 本日も,お忙しい中,大学入試のあり方に関する検討会議に御出席いただきありがとうございます。本日は,全大学への実態調査の結果の一部や各団体からの意見発表を踏まえて,英語4技能評価や記述式出題の在り方を議論していただくことになっていると聞いております。特に実態調査について,各大学における大学入学者選抜の詳細や各大学の御意見を的確に把握して,エビデンスに基づいた議論を行う上で極めて重要な資料になると考えております。各大学におかれては新型コロナウイルス感染症への対応で御多忙を極める中で回答いただいたことに,この場をお借りして感謝を申し上げます。
 それでは,本日も活発な御議論を期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,議事の1番目「整理しておくべき事項について」に入ります。前回,英語4技能の評価や記述式問題の検討の前提となる原則や観点などについて,川嶋委員作成のペーパーに基づいて議論していただきました。前回の議論を踏まえて,川嶋委員に資料を修正していただきましたので,その説明をまずお願いしたいと思います。それから,前回,益戸委員より教学マネジメント指針等について紹介いただきたい旨の御要望がありましたので,事務局よりそれも説明させていただきたいと思います。
 では,まず川嶋先生,よろしくお願いいたします。
【川嶋委員】
 川嶋です。前回私のほうから説明させていただきました検討課題等の整理メモですが,前回多くの委員の方々から非常に貴重な御意見をいただきまして,誠にありがとうございました。前回いただいた御意見を基に,改めて少し整理し直してみました。本日の資料1が,その結果でございます。今回意見を反映させていただいた部分は,下線が引いてあるところでございます。
 まず1ページ目ですが,(2)のマル1のウのところで,大学の主体性の尊重というところです。大学入試の意義,意味ということで,改めて,大学入試というのは各大学が責任を持って選抜するのが基本であると追記しました。ただし,大学入試というものが社会に対する影響力が非常に大きいため,一定のルールは必要であることを含めて,あわせて少し詳しく説明をすることにいたしました。
 それから,次のマル2の(ウ)ですが,高校教育への望ましい影響というところで,入試の性格というのは,単に選抜するだけではなくて,入試も教育の一部であると付け加えました。高校教育への影響もありますし,各大学が出題する問題によって,高校生がそれに向けて勉強してくるという意味では,単なる選抜ではなくて,教育の一部であるという側面もあるということを付け加えさせていただきました。
 1ページの最後,下の(3)のマル5ですけれども,これは今後の大学入試政策を考える際に,どういう意思決定の在り方が望ましいのかということをまとめた部分でございますけれども,まず(2)の大学入試の意義というものを踏まえた上でというふうに書き加えてみました。それから,最後のマル5のところは実現可能性について,もう少し具体的に書き加えまして,実現可能性や実施に要するコストを確認して大学入試改革を行うべきだというふうにさせていただきました。
 2ページを御覧ください。2ページの(1)のマル4ですが,前回は一般選抜等での活用に限定的というふうに書かせていただきましたが,共通テストの課題としては,様々な入試で,今の成績提供,実施時期等を踏まえると活用の方向性が非常に限られているという形で書き改めたところでございます。
 (2)のマル3のところは,これもいろいろ御意見いただきまして,特に島田委員からも重ねて御指摘いただきましたけれども,過去問題の活用とか大学間コンソーシアム等の中で入試問題を作問していくといったような必要性があるということで,書き加えさせていただきました。
 マル4につきましては,これは芝井委員がしばしば御指摘の点でございますけれども,入学・転学,転部・転学科システムの硬直化ということで,厳格な定員管理の仕組みがあるために,厳格な成績認定を避ける傾向があるのではないかというふうに書き加えてみました。また,入試や,あるいは入学の時期が冬から春先にかけて集中しているというふうに書かせていただきました。ちなみに,※に書いてありますように,この定員問題については大学分科会で今検討されているというふうにお聞きしております。
 3ページ目にお移りください。共通テストと個別選抜の役割分担と改善の方向性というところで,(1)のマル2の中で,これまで各国の入試制度の情報提供があり,それを踏まえますと我が国の特色としてはこういう点がありますよということを御説明させていただきましたけれども,特に我が国の場合は,入試の専門家,あるいはアドミッション・オフィスと呼ばれるものが非常に不十分であるという点を加筆させていただきました。
 それから,マル4の個別選抜で測定すべき資質・能力についてですけれども,先ほど1ページ目で申しましたように,大学入試,大学入学者選抜については各大学が責任を持つということでございます。その上で,全てを自らの作問に基づいて志願者の能力を測定するのではなく,教科・科目の基礎学力であれば共通テスト,あるいは英語の4技能であれば,その全てあるいはその一部を,外部検定試験等を活用して,自らが作問する部分は本当に大学が直接志願者の能力を測りたいというところに限定してはどうかという趣旨でまとめさせていただいたところでございます。
 前回の議論を含め,これまでの議論を踏まえますと,やはりこの共通テストの活用と個別試験の間の問題は,国立,公立,私立といった設置者別でそれぞれ御事情が違うということもありますので,今後の議論については国公私で設置者別に分けた議論も必要なのではないかということを加筆させていただきました。
 最後に(2)の入試区分でございますが,一般選抜と総合型・学校推薦型選抜のそれぞれの役割というところでまとめさせていただきました。その中でマル2でございますが,何人かの委員の方々から,従来のAO・推薦入試,総合型・学校推薦型選抜で学力を確認する際に,もう少し何か工夫が必要ではないかということで,将来的な新たな方策の可能性の検討という部分を加筆させていただいたところでございます。
 ちなみに,この3ページの自前主義については,前回,萩生田大臣のほうから御質問がございました。前回の私の御説明に少し舌足らずのところもあったかと思いますので,改めて御説明させていただきたいと思います。
 大臣のほうからは,今の入試問題の作問について,大学がきちんと,後継者の育成も含めて自らの責任で行うべきではないかというような御質問がございました。もちろん趣旨としては,繰り返し申しておりますように,入学者選抜は各大学がアドミッション・ポリシーに基づいて自らの責任で選抜する,それが基礎基本,大原則でございますけれども,先ほど申しましたように,今800ほどの大学がありますけれども,全ての大学が全ての入試において全部自分のところで問題を作って評価するというのはなかなか難しいのではないかというふうに思っております。繰り返しになりますけれども,例えば,記述式は非常に重要な能力だから評価したいんだけれども,なかなか評価するのが難しいというのが今の現状でございますが,先ほど申しましたように,それ以外の部分の評価,教科・科目の基礎学力や英語の4技能については共通テストや外部検定試験を活用し,本当に大事だと思われる能力の評価,たとえば記述式は大事であるということであれば,そこの部分をきちんと各大学が工夫して出題するというふうな形にすべきだという趣旨で発言させていただいております。また先ほども,資料1のメモの中に書き加えておりますけれども,一般選抜は,共通テストを活用することや過去問題の活用,あるいは大学間で連携して問題を作問するというような,そういう営みを通じて,どうしても自ら測りたいという能力に集中して作問してはどうか,ということでございます。
 入試に限らず全てのことについてでございますけれども,大学のリソースは限られており,その限られたリソースの中で教育,研究,社会貢献,そして入試も行っておりますので,よりよい入学者選抜ということを考えると,リソースの効率的な活用ということも非常に重要なのかなと思います。
 最後になりますけれども,若い先生方に作問の経験をさせないといけないという御発言がございました。実は多くの大学,特に国立大学,地方の国立大学では,教養部が廃止されて以降,高校と大学を組織的に結ぶものが希薄になってきております。そのために,なかなか個別の大学で高校教育の中身を十分吟味した上で適切な作問をするという力がどんどん減少しているのが,残念ながら多くの大学の現状かと思います。もちろん,各大学で若手の教員にこういう作問の経験をさせるということは非常に重要かと思いますが,これについてはなかなか一朝一夕には解決できないと思われます。ので,大学入試センターの作問に各大学から積極的に若手の教員を出していただいて,そこで作問のノウハウを学んでいただいて,大学へ戻って自らの入試問題の作問をするというようなこともこれから必要なのではないかと言うか,今もそうしたことは十分やっているわけですが,山本理事長にお聞きすると,だんだんなかなか協力してもらえないようになっているという現状もあるようでございます。言わば,共通テストの作問に参加することが一種の教員のFDになっているともお聞きしますので,是非今後,国公立,私立問わず,この大学入試センターの作問にもぜひ積極的に協力していただきたいなというのが私の考えでございます。
 以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。川嶋委員におかれては,御多忙中ペーパーを修正していただきまして,本当にありがとうございました。
 それでは続きまして,事務局から,教学マネジメント指針等について御紹介いただきたいということでございます。武藤企画官,よろしくお願いいたします。資料2でございます。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼いたします。資料2に基づいて御説明します。「三つのポリシー」に基づく大学改革というタイトルの資料でございます。
 これらはいわゆる「3ポリ」と呼ばれるもので,かなり長いこと中教審の答申等で,その重要性が指摘されてきましたけれども,平成29年に,全ての大学で,この3つの方針というのを一貫性があるものとして策定して公表するということが決まっております。その下に模式図が描いてありますけれども,ディプロマ・ポリシーで学生が身につけるべき資質・能力を明確化すると。そして右下のカリキュラム・ポリシーで,体系的・組織的な教育活動の展開のためのカリキュラムを編成して,教育内容や方法あるいは学修成果の評価方法等を明確化すると。これらを前提にして,アドミッション・ポリシーにおいて入学段階で求める学力の明確化を図ると,こういったことを前提にしてPDCAサイクルを回していって大学教育を改善していこうということに,法令上も明確に位置づけられたところでございます。
 その下の,ポリシーの策定の意義というところですけれども,例えば大学にとっては,組織的・体系的な教育の実現に向けてみんなで共通理解を持つことを可能にするとか,個性や魅力を対外的に示せるとか,あるいは内部質保証を確立するための指針といったメリットがございます。それから入学希望者等にとっては,入学後の学修あるいは卒業時に求められる学修成果について,見通しを持って学びたい内容に照らして大学を選べる,そして入学までに何を身に付ければならないのかが明確になる。高校にとっては,偏差値等に過度に影響されるのではなくて,目標を実現する観点からの進路指導も促進され,ミスマッチの緩和ですとか,大きく言えば高大接続の改善につながるであろうと,こういったことが言われております。また,右下ですけれども,社会にとっての意義ということで,例えば地域社会,産業界と,それから大学との間で,人材像の共有とか,あるいはコラボレーションが可能になって,大学と社会との接続も改善される。
 1枚めくっていただくと,「高等教育のグランドデザイン」という2年前の中教審答申がありまして,これは2040年を展望する中で高等教育が目指すべき姿というのをバックキャストして議論して結論を出した,そういう答申でございますが,一番上の太枠の四角の下に学修者本位の教育への転換ということがございます。何を学び,身に付けることができたのか,それから個々人の学修成果の可視化ということで,個々の先生方の教育手法ですとか研究を中心にシステムを構築するという発想から脱却することが必要ではないか,そのために,大きく赤枠で囲んであるローマ数字3のところですけれども,全学的な教学マネジメントの確立が必要なので,そのための指針を作成しようということになったものでございまして,次の3ページに,このマネジメント指針の概要がございます。大学分科会でこの指針をつくっていただく過程で,益戸先生,あるいは両角先生にも御参画をいただきました。
 この教学マネジメント指針の中で,資料左上の「教学マネジメントとは」という箇所で,教学マネジメントとは大学が教育目的を達成するために行う管理運営であると定義した上で,学内の資源や学生の時間は有限であること,供給者目線ではなくて学修者目線に転換するということが大事ではないかといった基本的な考え方に基づいてつくられたものでございます。中ほど以降にまた3つの方針が出てまいりますけれども,この3つの方針が教学マネジメントの確立にあたって最も重要なもので,学修者本位の教育の質の向上を図る出発点であるというふうに位置付けられております。
 下のところですけれども,ローマ数字1の学修目標の具体化ということで,まずは卒業生に最低限備わっている能力の保証として機能するように,DP,ディプロマ・ポリシーを具体的に設定しましょうと。そして,それに基づいて授業科目や教育課程の編成・実施をやっていきましょう,個々の授業がばらばらにあるのではなくて,学位のプログラムを支える構造になるようにしようとか,あるいは授業科目の過不足だったり,科目と科目の間の相互関係だったり,こういったこともきちんと検証した上で,密度の濃い学修を可能にするという観点からいろいろな取組をしていきましょうということで,その道具立てが青枠の右側に,オレンジの文字でいろいろ示されているものでございます。こういうカリキュラムを編成した上で,学修成果や教育成果もきちんと把握,可視化をしていこうと。そして,ローマ数字の5番ですけれども,そうした学習成果を情報公表することにより,自己満足ではなくて,外ともコミュニケーションを取りながらしっかりやっていこうということでございます。それらを支えるのが,一番左側ですけれども,ローマ数字4のFD,SD,IRだったりということでございます。
 一番右側の緑の四角ですけれども,こういうローマ数字1から5の取組を,大学全体と学位プログラム,それからそれぞれの授業科目,こういったそれぞれのレベルで実施して,全体として整合性を確保していこうと。この教学マネジメント指針の本体は50ページぐらいあるんですけれども,簡単に申し上げるとこういった内容で,主に,3つのポリシーでいうとディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシー,これについての考え方を示したものというふうに言えるのではないかと思います。
 最後に,ちょっと1ページ飛ばしまして,5ページですけれども,こういう指針の存在等も踏まえながら,今,入学者選抜実施要項,これは毎年作っておりますけれども,この中でアドミッション・ポリシーがどう書かれているか,簡単に御紹介いたします。
 まず最初の黒丸ですが,アドミッション・ポリシーは,ディプロマ・ポリシー,それからカリキュラム・ポリシーを踏まえて,これらの方針に基づく教育を受ける学生の選抜の方針としてふさわしいものとなるように留意しようと。途中飛ばしまして,3つ目の黒丸ですけれども,抽象的な「求める学生像」だけではなくて,高校段階までにどのような力を培うことを求めるのか,それからそういう力をどのような基準や方法で評価・判定するのか,可能な限り具体的に設定しようと。それから,最後のところですけれども,高等学校で履修すべき科目とか取得しておくことが望ましい資格等を列挙するなど,何をどの程度学んできてほしいかをできる限り具体的に記述しようと,こういう規定ぶりになってございます。
 すみません,長くなりましたが,以上でございます。
【三島座長】
 御説明どうもありがとうございました。
 それでは,ここで大臣が公務のため御退席になります。ここまでの議論を聞かれて,もし御感想などございましたら,よろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 本日の川嶋先生の御説明により,英語4技能評価や記述式出題の在り方の前提となる大原則,また検討の観点などについて一定の整理がなされたものと思います。前回の私の指摘に対しましても丁寧に対応していただいて,私自身も理解が深まったところでございます。
 一方,課題も見えてきまして,各大学におけるアドミッションスタッフの数などは,やはり欧米に比べますと非常に人数が少ないということも,担当から説明を受けたところでございまして,よりよい受験制度をつくっていく上では,やはりマンパワーというのは一定程度必要だと思いますし,また,御指摘のあった大学入試センターの果たす役割というのは,また違う意味で大きなものがあるのだなということを感じたところでございます。この共通の土台ができた,川嶋先生からのペーパーを基本にして,また委員の皆さんとも議論を深めてまいりたいと思います。
 この後の実態調査の結果ですとか,芝井先生からの意見発表を踏まえた議論を是非伺いたいのですが,実はこの後,私と厚生労働大臣,また経済産業大臣,一億総活躍担当大臣の4名で,経済4団体の皆さんと,就職を控えた大学生,高校生の進路についての話し合いの会議が急遽開かれることになりました。御案内のとおりコロナ禍で,もう既に求人をやめてしまっている企業などもあって,学生たちの不安を拭っていかなくてはなりません。そのために少し,既卒の皆さんにも新卒の皆さんと同じ対応を向こう数年間してほしい,また雇用の拡大については国を挙げて,やっぱり経済界をしっかりサポートしていかなければいけない,こういった話し合いをさせていただきたいと思いますので,途中失礼することをお許しいただきたいと思います。
 委員の皆様には引き続き御苦労をおかけしますが,国民の皆さんが納得するよりよい制度を構築することができるように引き続き御指導いただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
  (萩生田文部科学大臣 退席)
【三島座長】
 それでは,今,川嶋委員と,それから企画官から御説明ございましたけれども,渡部委員からも前回御意見がございましたように,資料1の川嶋副座長ペーパーについては,今後も議論の中で折に触れて参照したり,必要に応じて加筆したりしていくということにしたいというふうに思います。
 それで,本日は議題が詰まっており,新たな資料も出てまいりますので,後ほどまとめて議論の時間を取りたいと思いますので,ここでは御意見を伺わずに,前へ進めさせていただきたいと思います。
 それでは,今日の議事の2に入る前に,令和6年度に実施する大学入学共通テストの科目について,「情報」を新設するなどの方向で検討しているとの報道がございます。この点につきまして入試センターの山本理事長から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【山本オブザーバー】
 ありがとうございます。発言の機会を頂戴しました。今,三島座長のほうから発言がございましたように,先週,新学習指導要領に対応した令和7年度試験,令和6年度に実施する試験ですけれども,この大学入学共通テストの出願科目・教科等についての報道があったわけです。報道の中身は若干,的を射ていないような部分もございまして,当センターのホームページにもこれに対するコメントを載せていますので,また御覧いただきたいと思いますが,いずれにしましても大学入学共通テストは,まさに大学が共同して実施する試験です。そのことが大前提でございます。
 これはセンター試験時代からもそうなんですが,学習指導要領の改訂時には,その趣旨を踏まえて出題教科・科目を設定するということになっています。平成30年に告示されました新しい高等学校の学習指導要領,これに対応した出題教科・科目について,これまで幅広い専門家の先生方の御参画も得まして,この出題教科・科目等についての検討を今行っているところです。このたび,途中段階ではあるんですが,一定の方向性,先ほど申し上げましたように大学も共同して実施する試験ですから,大学が主体的に決めるということもございますが,このひな形といいますか,検討の素案になるようなものも必要だろうということで,先日,各大学に,それから高等学校も大変関心があるし,関係がございますので,高等学校にもこの情報提供を行って,現在御意見を伺っているところです。
 そういうことで,今後,いただいた御意見を基に,必要な修正等の対応を行いまして,今年度中を目途に当センターとしての一定の結論を得ていこうと。もちろんこの間,文部科学省のほうとも十分なコミュニケーションを取りながらやっていくわけですが,こういったことを経て,最終的には来年夏前になるでしょうか,文部科学省のほうから大学入学共通テスト実施大綱の予告という形で発表されるというふうな段取りになっております。
 したがいまして,先だっての報道は,これで決まったということでは決してございませんで,現在鋭意検討中で,今,主として大学関係者,高校関係者の意見を頂戴するためにいろいろ資料をお配りしているというような段階でございます。
 以上です。
【三島座長】
 山本理事長,ありがとうございました。
 それでは,引き続き議事を進めたいと思います。議事の2でございますけれども,大学入学者選抜における英語4技能評価及び記述式問題の実態調査の結果の概要の速報版,その学部別調査関係についてでございます。こういう結果が出てまいりましたので,事務局からまず御説明いただきたいと思います。武藤企画官,よろしくお願いします。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼いたします。資料の3でございます。これは御承知のとおりで,7月から2か月かけて実施した調査の結果でございます。全ての大学,771の大学に調査依頼を出しで,現時点での回答が700弱ぐらい,9割ちょっとの回収率でございます。2ページ目に主な調査項目,1から7までございますけれども,このうち1について,今回資料としてお出ししています。
 1枚めくっていただいて,まず3つの方針の策定の有無ということで,学部と学科両方で3つの方針を定めているところが69.5%,それから学部のほうはあるけれど学科ではないというのが14.5%と,こういった感じになっております。
 それから,少し飛ばしまして5ページです。出題方針の策定・公表の有無とありますけれども,出題方針の策定状況,学部も学科もあるというところが30.3%,学部はあるけど学科がないというところが12.8%,学部はないけど学科はあるというところは6.2%で,合わせて49.3%です。同じような感じで,右側の出題方針の公表の有無というところですけれども,これらを合わせると59.7%というような形になりました。
 それから,ちょっと飛ばしまして8ページに参ります。8ページですけれども,3つの方針における英語の能力に関する記載について伺いましたところ,まずマル1の卒業認定・学位授与の方針,これはディプロマ・ポリシーですが,それが学部全体の方針に記載がある,あるいは学部内の全ての学科・コース等の方針に記載がある,これらの場合をちょっと便宜的に丸としております。学部内の一部の学科等には記載があるというところを三角,いずれもないという場合をバツと,これらも便宜的に印を付けておりますけれども,丸と三角を合わせると32%でした。同様な見方で,マル2のカリキュラム・ポリシーですけれども,丸と三角を合わせると43.1%,マル3のアドミッション・ポリシーは合わせて43.9%という結果でございました。このアドミッション・ポリシーに基づいて作られるであろう出題方針ですけれども,これは丸と三角を合わせると29.9%という結果でございました。
 その次のページで,思考力・判断力・表現力の育成・評価に関して同様に聞いてみたところ,ディプロマ・ポリシーでは丸と三角を合わせて76.8%,カリキュラム・ポリシーは合わせて73.4%,それからアドミッション・ポリシーのほうが83.8%,出題方針は47.5%と,こういった結果でございました。
 それから,10ページの個別学力検査試験問題の公表の状況でございますけれども,全て公開する学部が48.6%,可能な限り公開するとお答えのところが47.1%,これらを合わせますと9割以上という感じでございました。
 それから次のページ,駆け足で恐縮ですけれども,受験者本人への成績の開示制度を設けている割合が70.6%,それから12ページ,選抜の妥当性・信頼性の検証ということで伺ったところ,御覧のとおりの感じでございまして,aの定量的データについてはほぼ100%近いんですけれども,bの妥当性・信頼性の検証ですとか,あるいはcの求める学生を選抜できているか,この辺りは7割弱ということで,dの選抜方法のバランスについては8割弱と,こういう形でございました。
 それから次のページに参りまして,英語のスピーキング・ライティングの評価方法に対する御意見を伺いました。aが共通テストに出題して評価すべき,bが共通テストの枠組みで検定試験を活用して評価すべき,cとdは一般選抜で同様の,独自に評価するか検定を使うか。eとfは総合型,学校推薦型で独自に評価するか検定を使うか,gとhは大学入学後の教育というような構成になっておりまして,これはそれぞれのステートメントに対してどのようにお考えでしょうかというふうに伺ったところ,おおむねaとbについては30%強の学部が肯定的にお答えだと,cとdは約45%ぐらいな感じです。eは5割弱ぐらい,fは6割弱ぐらいで,gとh,ここは入学後なので少し事柄が異なりますけれども,gは80%ぐらい,hは70%ぐらいと,こういう感じでございました。これは,繰り返しですが,それぞれのステートメントに対してお答えいただいているので,各項目は排他関係ではなく,例えばaからhまで全て「とてもそう思う」というふうにお答えいただくことも当然可能でございます。そういう前提で御覧いただければと思います。
 14ページはこれらを国公私別に分けて見たものでございまして,特徴的なところだけ申し上げますと,例えば国立大学のdのところです。このdは,一番右下にアルファベットの意味を書いておりますけれども,個別の一般選抜で検定試験を活用すべきであるという項目です。これが国立大学は,肯定的な回答が御覧のとおりそれぞれ3.6%と15.3%ぐらいになっておりますが,他方,その下の私立大学で同じところを見ていただくとそれぞれ8.2%,45.0%ということで,国立と私立で大きな差がございます。
 それから次のページに行きまして,同じものを大学の規模別に分析したところ,例えば入学定員300人未満の大学に設置されている学部は,例えばc,一般選抜で独自に評価すべきとか,あるいはe,総合型で独自に評価すべきというところが御覧いただいたような感じの数字になっておりまして,これを1個下の入学定員1,000人以上のところのcとeと比べると,大きく異なっていると,300人未満のほうが数字が大きくなっているということが言えるかと思います。
 その次に参りまして16ページですけれども,入試において思考力・判断力・表現力をどこで評価すべきかという問いでございまして,aの「共通テストのマークシート問題は,より思考力・判断力・表現力を評価することを重視すべき」だとお答えのところが5.8%と47.7%,それから,個別入試の客観式問題を改善すべきだというのが6.8%と58.6%。それから,cの「総合,推薦を改善すべきだ」が10.7%と66.2%,それから入学後の教育が25.1%と65.7%と,こんな感じになっております。これも同様に,それぞれでお答えいただいております。
 これを17ページで国公私別に見ますと,全く例えばですけど,国立のところのa,これはつまり共通テストのマークシート問題を改善していくべきという項目ですが,肯定的な回答が6.5%と36.6%なのに対して,1つ下の私立のところのほうが,若干国立よりも肯定的にお答えの学部が多いということ。それから,右上の公立大学では,このaにおける肯定的な回答が,これも国立と比べると多いという状況でございます。
 ちょっと飛ばしまして19ページに参ります。記述式問題への意見というところで,記述式問題を大学入学共通テストで出すべきだとお答えのところでは「とてもそう思う」の大学が2.0%,「そう思う」が13.0%。これに対して個別入試の一般選抜で記述式を充実すべきというところが,合わせると約60%ぐらいと,こういう形でございます。これを国公私別に見ますと,1つ次のページですけれども,国立大学は,このa,共通テストで記述式をやるべきだというところが,「とてもそう思う」・「そう思う」を合わせると6%ぐらいということであります。これに対してb,個別入試の一般選抜で記述式を充実すべきというほうは,それぞれ御覧いただいたとおりですが,特に私立大学のbで肯定的な意見が国立,公立と比べてかなり少ないと,ただ少ないけれども50%以上にはなっていると,こんな状況が見てとれます。
 それから,ちょっと飛ばしまして22ページです。各入試方法における募集人員の増減予定というふうなことを聞いておりまして,これは一般と総合と学校推薦,これが一番多い,3大選抜区分でございますけれども,このそれぞれについて今後どうしていく予定なのかと聞いたところ,例えば一般選抜だと募集人員を「変えない予定」とお答えのところが35.6%で,一番多いです。他方で,「未定(検討中)」あるいは「未定(検討予定)」とお答えになったところも結構ありまして,一般選抜ですと合計42.7%と。同じように総合型選抜で見ると,「変えない予定」が30.1%,未定のうち検討中と検討予定を合わせると41.9%と。推薦を見ますと「変えない予定」が34.6%で,未定のうち検討中,検討予定を合わせますと43.5%と,このような結果でございました。
 すみません,駆け足ですけれども,説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【三島座長】
 御説明どうもありがとうございました。ただいまの実態調査の結果を踏まえての意見交換は,議事3の意見交換と併せて,最後にまとめて行います。
ということで,次は議事の3でございまして,「団体代表委員からの意見発表」についてでございます。本日は,日本私立大学連盟の芝井委員から,10分程度,意見発表をお願いしたいと思います。
 それでは,芝井委員,どうぞよろしくお願いいたします。
【芝井委員】
 それでは,私のほうから,日本私立大学連盟の御意見を受けてまとめたものを資料の4として出しておりますので,それに基づいて説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 一番初めの文章がございまして,そこをずっと読んでいただいてもいいわけですが,特にアンダーラインの少し上辺りからですけれども,私立大学はこれまで多様な資質に優れている学生を受け入れてきた,そういう実績を誇ることができると思っております。多様な資質や能力や社会背景を有する多様な学生を受け入れるためには,実は多様な選抜制度が必要であるというふうに考えてきましたし,そのために様々な入試の改革,あるいは入試の方法の工夫をしてきたということになります。そういった意味で最も重要な点というのは,入学者選抜というものは各大学が自律的に行うべきものであって,多様な人材を育成するという高等教育の目的を実現するためには,実はその方法も多様であるべきだと考えているということにあります。
 それから,次のパラグラフですけれども,同じようなことを繰り返しているんですが,アンダーラインのところですけれども,したがって,単に入学者選抜制度だけではなくて,ポストコロナの時代を踏まえた大学教育及び高校教育が直面する社会的・経済的な問題を意識して,多様性を確保しつつ社会的公正・公平性も担保し得るような,そういう改革案を実証的に検討することが必要だと,一般論になりますが,そういう形で初めにまとめております。
 次ですけれども,1です。大学入試をめぐる課題という形で,1.1「『大学入学共通テスト』に期待するもの」というタイトルがついております。私立大学は,大学入試において大学入学共通テストを利用する場合,マル1にありますように,アドミッション・ポリシーに照らして出願資格や出願書類を独自に定めた上で,大学入学共通テストの個々の教科や科目の成績のみを利用して選抜するやり方と,マル2にありますように一般選抜と共通テストの一部を組み合わせて選抜する方法,それからマル3にありますように,総合型選抜や学校推薦型選抜において利用する方法ということになるわけですが,現状で申し上げますと,現在私立大学においてはマル1の利用がほとんどでありまして,一部マル2,そしてごく一部,マル3の利用がございますけれども,それは全体とすると一部の学部や学科単位にとどまっているという現状があります。そのような利用状況を踏まえますと,私立大学として大学入学共通テストに期待する点というのは以下のようになりますという形で,1),2),3)というふうに続いております。
 1)ですけれども,現状のアラカルト方式です。受験科目数の多様化,あるいは選択科目の組合せを柔軟化すること,それを維持することが前提になるということです。それから2)ですけれども,基礎学力の確認という点を重視すると,高等学校で習得すべき基礎学力を習得したか否かを確認できる新たなテスト,いわゆる基礎学力テストを開発してほしい,開発すべきであるというのが2番になります。3番ですけれども,次のページにまたいでいまして,知識・技能や思考力以外の多様な資質・能力をどのように多面的に評価するかについては,これはさらなる研究,検討が必要であろうというふうに考えています。
 念のために,2)のことで一言申し上げます。基礎学力テストですけれども,当初,高大接続改革の議論の中では,当然その基礎学力テストを開発して実施することが想定されていたんですが,現在では,これは結局行われなくて,民間の会社が行う学びの自己診断でしたか,そういう形になってしまっているんですけれども,そうすると当然,評価に使えない,あるいは入試,入学者選抜に使えないということになります。そういう意味で総合型の選抜や,あるいは学校推薦型選抜でも一切評価に使えないわけですから,あくまで自己診断でしかないという形になってしまいました。そのことについては,私立大学連盟としては,やはり当初想定されていた高等学校の基礎学力テストを真剣に検討すべきであるという立場になります。
 2ページの1.2です。定員管理と入学者選抜との連動をめぐる幾つかの課題について触れております。アンダーラインのところだけかいつまんで申し上げますと,学力試験の成績のみによる合否判定と比較した場合に,多面的・総合的評価で入学者を確定させ定員内に収めることは相当,今現在困難な状態になっています。以前でもなかなかそれは難しかったわけですが,国立大学を中心に,合格者をかなり定員の前後に,特に増えないように抑えることが可能な大学と,多くの私立大学のように大変難しい状況に置かれている大学とがありまして,特にこの間,定員の厳格化に伴って,多くの私立大学は補欠合格制度,あるいは追加合格制度を整備しながら,3月の末にかけてそれを行っている現状がありまして,それは受験生にとっては大変大きな問題を生じているというふうに認識しています。そのこともありますので,私立大学の定員の確保については大変厳しい状況になっておりまして,現状のような定員の管理の仕方についてはやはり根本的に疑問があると思っています。これは以前もこの会議に書類を出させていただいたわけですが,学部単位の厳格な定員管理というのは現実的に難しいので,ぜひ,もし単年度であれば大学単位のコントロールを考えていただきたいし,本来ならば包括的な,何年かの期間による,中期的な入学者の管理,定員管理を行っていただく必要があると考えています。
 それから,1.3になります。特にコロナ禍によって,経済的な苦境,あるいは留学生の入国問題を契機にしました留年や退学の問題に直面しておりますので,給付型の奨学金であるとか,あるいは現下の修学支援制度についても今後一層の充実が望まれるということを書いております。
 2です。2.1で多面的・総合的評価の在り方について触れております。当然,入学者が志願するときに,1回のテストで決めるというわけにいきませんので,既に私立大学では,広い意味で長い間,時間をかけながら,こうした取組を進めてまいりました。選抜制度の画一化が進むような制限が追加されることについては,やはり多くの大学は懐疑的でありまして,選抜制度の多様性が担保されて,それが高校教育にも大学教育にも広く共有されている状態が望ましいと考えています。画一化が進むことによって高校にも大学にも深刻な影響を与えかねないというふうに思っておりますので,その点では慎重な検討をお願いしたいというのが2.1になります。
 それから2.2ですけれども,2.2はそこにありますタイトルどおりで,副題にありますように記述式の出題について触れております。記述式出題の導入というのは,そこにあります思考力・判断力・表現力を測定するという意味では意義があるわけですが,現実に一般選抜の中では,日程上の限界,あるいは制度設計の問題から,大変難しいということになります。具体的には,採点方法及び採点体制を整備していく必要がありまして,これは当然のことながら,入学共通テストにおいてそうであるということと同時に,私立大学の一般入試,つまり個別の部分に関しても,万を超える受験生を抱えている大学にとっては実際上大変難しい問題を抱えることになります。
 それから,その次には入学共通テストにおける記述式について問題点に触れておりまして,マル1に関しては,記述式の共通テストの成績提供の日程が従来より遅れるという現状がありまして,それに対する懸念ということになります。遅れれば遅れるほど私立大学の2月から3月にかけての入学者選抜のスケジュールが混乱することになりますので,ここはやはり配慮していただく必要があるというのがマル1です。それから2番目は,特にこの間問題になりました採点の正確さ等の課題が解決できるかどうかについて,現時点ではなかなか難しいという判断をしているということです。3番に関しては,出題の内容であるとか水準が適切なものになり得るのかどうかについても十分に検証していく必要があるというのがマル3です。
 「一方」から始まる段階では,私立大学の個別選抜における学力試験に記述式の出題を組み込むことについて,幾つかのコメントがあります。現実には実施要項で定められる2月1日を大学の個別試験の開始日とする限りにおいて,個別選抜において知識・技能と表現力を同時に測定するための試験を実施することは相当困難な状況であるということを伝えたいと思います。確かに多面的・総合的な評価を実施したいわけですし,あるいは思考力・判断力・表現力を一定評価したいわけですが,それには十分な時間と,それから慎重な作業が必要ですので,一般に個別入試が行われる2月1日以降に私立大学がそれを実施することは,小さな大学では可能かも分かりませんが,多くの私立大学にとってかなり無理があるということを指摘しています。
 それから,2.3です。英語によるコミュニケーション能力の評価・育成ということですが,アンダーラインの箇所だけちょっと触れておきたいと思います。一律に英語4技能の測定にこだわって,高大接続改革全体の目的を見失うことも問題であるという意見になっています。現状では,民間の英語4技能試験,検定試験というのは,あくまで到達度の確認がメインの目標になっていますので,大学入学共通テストという枠組みにおいて,それをそのまま取り入れることについては問題があるので,取り入れようとするならば慎重な検討が必要であるということになります。現実問題,入学者選抜において,あくまで多面的で総合的な評価の方法の一つであるという認識の下で,現在の民間の英語4技能試験……,レジュメでは検定試験ですね,申し訳ありません。検討試験と書いていますが,検定試験の活用を検討することが望ましいと考えています。
 それから,2.4です。主体性評価です。こちらのほうも当然,調査書を活用する等して主体性の評価をするということについては前向きに取り組みたいところなのですが,入学者選抜において評価するべき主体性・協働性・多様性について,やはり高校と大学の共通理解を明確にした上で,高大連携の改善を図りながら,十分に議論して導入することにすべきである。現実問題としては,調査書の電子化も十分ではありませんので,少し時間がかかるというふうに判断しています。
 それから,2.5です。(1)ですけれども,実施科目の問題,これは先ほどお話がありましたので省いてもいいのですけれども,報道等で報じられました「情報1」の扱いについて少し触れております。読んでいただければと思います。その中で割合に大きな点は,1つは,原則として実施教科・科目数は削減してほしいというふうに私大連としては考えています。今回の案の段階でも少し削減ということですので,もう少し,可能でしたら実際的な,コストパフォーマンスを考えてですけれども,削減を図っていただきたいというのが1になります。それで,最後のところ,次のパラグラフは,「情報1」に関して,新たな共通必修科目であるということで,もし十分な教育が保証されるのであれば,出題することは必要であろうということが4行ほど書かれています。
 それから(2)です。大学入試の効率化のために,やはり幾つかの検討を始めてほしいということで,1つは入試のデジタル化ということになります。次のページにわたりまして,今後,安全で安価なオンライン面接の工夫であるとか,あるいは共通テストにおけるCBT試験の導入ということも検討してほしいということが,アンダーラインの箇所のとおり書いております。
 それから,もう少し大きな問題をその次のパラグラフで書いておりまして,例えば入試の効率化のために,コンソーシアムを設立して作問負担を減らしながら個別選抜を改善するという方法もあるのかも分かりませんけれども,これはなかなか難しくて,社会の中で公平をめぐる認識が多少とも変化していくことがやはり必要,これがマル1です。マル2は,入学者選抜はもう少し柔軟に行いながら,いわゆる4年間の学び,あるいはもっと明確に学位授与をより厳格に行うということが社会的に認容される状況が生まれるならば,もう少し違った形の入学者選抜も可能であろうというのが2です。もしそういう方向に考えるならば,留年者数とか退学者数について,例えば省庁のほうで調査をされてそれを公表する,あるいは場合によっては補助金を削減する理由にするということ自体が,少し転倒した議論になる可能性もありますので,よく考える必要があるだろうということになります。
 私大連としましては,広い意味での現行の定員管理の厳格化というのが,もしかすると社会的な認識の変化を阻害する要因になっている可能性もあると考えておりますので,それを少し議論していただきたいと思っています。
 2.6です。共通テストの会場・運営・日程についてですが,この制度は当初,共通一次試験として始まりました。それがセンター試験になり,そして今年度にからは共通テストという形になるわけですが,そういった歴史がありますので,多くの世間の人が,一種,国立大学用であるかのように間違って認知しているところがあるんですけれども,実際の状況を見ますと,明らかに私立大学は,単に結果を利用しているだけではなくて,出題者を出し,会場を提供し,業務の負担を担っているわけです。その点をぜひ評価してほしいというのが1つです。ちょっと踏み込んだ表現もありますが,アンダーラインの箇所を読んでいただければと思っています。ぜひ私立大学の貢献を認めてほしいということが基本的なスタンスになります。
 それから,最後のところですけれども,今後のことに関しましても,大学入学共通テストの実施時期について,本当ならば早期化の視点も含めた検討が必要であると認識しています。高等学校の教育との兼ね合いがあるのはよく承知しているんですけれども,やはり,大学としてどういうふうな要望があって,それがどういう理屈で論じられているかということについても十分に御了解をいただきたいということになります。
 あとちょっとアンダーラインがありますが,以上にさせていただきまして,私からの発表を終えたいと思いますので,よろしくお願いします。ありがとうございました。
【三島座長】
 芝井先生,本当にありがとうございました。
 それでは,議事2の大学の調査の結果報告,議事3のただいまの意見発表を踏まえて,議事4としての自由討議を,残りが約1時間ございますので,行いたいと思います。
 それでは,御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思いますので,挙手ボタン押していただければと思います。なお,発言が終わりましたら,手を下げるボタンを押していただくようお願いしたいと思います。できるだけ一通り御意見が出たところで,2回目,3回目の御発言も今日は時間があるので可能かもしれませんので,そのように進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。それでは,発言のある方は挙手をお願いいたします。益戸委員どうぞ。
【益戸委員】
 今回,多くの大学の皆様に2か月間にわたって御協力をいただいた実態調査結果というのは,我々の考え方のベース上では非常に重要なアンケート結果だったのではないかと思い,御関係の皆様には心から御礼を申し上げたいと思います。一方で,これをよく見ていきますと,驚くべき事実もございました。私が幾つか驚いた点について申し上げさせていただきたいと思います。
 まず,資料3の実態調査の結果でございますが,この8ページの中で,3つの方針等における英語能力の記載というデータでございます。これはやや驚き,かつ残念に思ったところですが,まず第1に,卒業認定・学位授与の方針において,学部全体の方針に記載がある,または学部内の全ての学科等にあるというのは24.8%,約25%しかございませんでした。第2に,教育課程編成・実施の方針においては同様のものが34.9%,入学者の受入れの部分が37%,3つのポリシーの中で大きなそごが生じているところです。一見,私が一番受けた印象では,各大学は英語力の育成に関心が薄いように思いましたが,ページを進めていくと,今度は13ページ目の,英語のスピーキング・ライティングの評価方法への意見というところのスモールgで,約80%の学部が入学後の教育において英語のスピーキング・ライティングを評価すべきと回答しております。今回のデータにはありませんが,基本的にはほとんどの大学は実際に入学試験で英語の試験を課しているので,決して英語は大事じゃないというわけではないと思うのですが,3つのポリシーにはきちんと反映されていないのではないかと感じました。
 先ほど武藤企画官の御説明もありましたが,一応法令では,3つの方針というのは一貫性のあるものとして策定・公表することが義務付けられていたのではないかと思います。以前も申し上げましたけれども,日本は,やはり世界と付き合っていかなければ発展はできません。そのときの共通語というのはやはり英語ではないでしょうか。アジアに広がるバリューチェーンの取引でも,実際英語が使われております。大企業でなくて中小企業もそうです。もちろん,今は関係ないという企業においても,今後10年20年というグランドデザイン答申をつくったときの将来像から考えますと,多くの企業は,やはり小さい日本からもっと外に出ていかなければならなくなる可能性は高いと感じております。
 それから,参考資料2として配られている厚い資料の61ページを見ていただきたいのですが,ここで,日本の大学生の約7割近くが,大学教育というのは外国語を使う力を身につける上で役に立っていないと答えています。これは,全国学生調査で,学生に直接,たしかスマホで回答してもらった結果ではなかったかと思うのですが,大学にとってはかなり厳しい回答が出ています。ただし一方で,62ページの調査結果にあるように,今後,ビジネスにとって重要な知識というのは,現在,海外との取引が0%という企業であっても,英語能力については重要だと回答が出ています。コミュニケーションスキルや,問題解決力,実行力などと並んで,英語力というのは非常に重要だと出ています。私は民間の立場からしますと,まさにこれが実感でございまして,やはり各大学は,この大学と学生との各反応にしっかり向き合って,3つのポリシーで,さらにしっかり英語なり外国語なりの運用能力というものを位置づけていかないといけないのではと思います。
 もちろん,全国には700以上の大学があるわけですから,大学によっては英語力をポリシーに位置づける必要はないと思われる大学や学部もあるかもしれません。であれば,それは我が大学においては卒業生の英語力は保証しませんと,堂々と学生や御父兄の方,高校に対して,ないしは学生の就職先に対して,はっきりお示しになったらいいのではないかと思いました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは続いて柴田委員,手が挙がっております。どうぞ。
【柴田委員】
 柴田でございます。益戸委員,どうもありがとうございました。私,当初は別の御質問をしようと思ったんですけども,ただいまの益戸委員の御発言に対して,大学のほうからも少し補足させていただきたいと思います。今御指摘になられたことはまさに,先ほどの資料2にございました教学マネジメントの体制が日本の大学ではまだ取られていないということに大きな原因があるのではないかと反省しております。
 どういうことかと申しますと,大学の中は専門性を持った教員が集まっているわけでして,それぞれの専門分野については非常に御熱心なんですけれども,まさに学習者の視点というのがえてして欠けていいます。したがいまして,先ほどの資料3の13ページにありますように,独自に評価すべきというのは,これは大学の中でも,英語の先生がしっかりやってくれればいいというような受け止め方があるように思いますし,それをカリキュラム・ポリシーあるいはアドミッション・ポリシーの中に明記するということについても,もっと重要なことがそれぞれの専門分野であるというような意見が必ず出てくるわけで,そういうものが全学的に調整できていない,まさに教学マネジメントというものがうまくいっていない,そういう意識すらまだこれからだという状況だと考えている次第でございます。
 それで,ちょっと長くなりますけれども,本来私が発言しておきたいと思ったのは,先ほどの川嶋先生の資料1の3ページの(1)共通テストの役割分担と改善の方向ということで,その中のマル2のところに,今回新たにアドミッション・オフィスの体制が不十分という記載を入れていただきました。確かに,諸外国に比べまして日本はアドミッション・オフィスというものが今整備途上だと思うのですけれども,その一つの原因といたしまして,先ほどの益戸委員の御指摘にもある,教授会が入学者選抜に関与する度合いというのが極めて大きいといいますか,ほとんど大学のほうでは,入学者選抜というものが教授会の専権事項であるというのがもう長い間の伝統になっており,アドミッション・オフィスという選抜のための専門組織をつくっても,そこはある意味,入試課のような業務にとどまっているというのが実情でございます。私の理解では,その辺りはこの間のガバナンス改革で教授会の権限がかなり明確になっていますので,その認識をまず皆さん方に持っていただいて,アドミッション・オフィスの役割,機能というものをもうちょっと明確にするということも必要なのではないかと考えている次第でございます。
 以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に,小林委員どうぞ。
【小林委員】
 ありがとうございます。私大協の団体代表の小林でございます。
 まず,今回の資料3の中の4番目のスライドになりますけれども,アドミッション・ポリシーをかなり多くの大学で出していて,しかも,国立よりも私立大学のほうが3つの方針の策定をしているということは非常に驚きでもあり,喜んでいる次第でございます。
 先ほど益戸委員から,英語のことをアドミッション・ポリシーで書いていないという御指摘がありましたけれども,益戸先生のお立場からすると,まさにそのとおりだと思います。産業界とか,この前の経団連の方のヒアリングでも同じようなことを言っていらっしゃいましたけども,ただ,現状を見ますと,例えば私の大学は医療系の大学で,国家試験に通る人をアドミッションで採らなきゃいけないということで,医学部,看護学部,それからコメディカルの人たちとか,薬学部とか,まあ獣医は医療系というかどうか分かりませんけども,やはり国家試験があります。そういった国家試験を通るためには,英語の能力よりも理科系のちゃんとした能力あるいは読み下す能力,そういったものが第一のアドミッション・ポリシーになってしまうので,もちろん,入学してからもTOEICを受けなさいとか,教育過程の中で英語の勉強はしていただきますけれども,ディプロマ・ポリシーの中で一番大事なのは,やはり国家試験に通って,通った人たちが就職できるわけなので,少し個々の大学で違うということもよく理解していただければと思うんですね。一部上場企業に入るだけの人たちではないですし,私立大学の中では芸術系もありますし,スポーツ系もありますし,あるいは国文学を大事にしているところもありますし,したがって,一律に英語4技能ができなきゃいけないという見方はしにくい。もちろん,その4技能が必要な大学もありますし,それを重視している私立大学もたくさんありますけれども,全部の大学で一律にやらなきゃいけないというのは,大学の多様性の中ではちょっと難しいかなという気がしております。
 あとは,芝井委員の出された内容は,私大協にも関係しているもので,非常に内容も充実していて,私もこれは感銘を受けておりました。私大協も別途意見開陳の機会をいただくわけなんですけど,私は非常に悩んでおりまして,それは,前回吉田委員が御指摘されたように,本あり方に関する検討会議の守備範囲というか,議論の範囲をどこまで広げていいかというのが,ちょっと私は,この前の吉田先生のお話も伺って,それから川嶋委員のこの内容を見て,原理原則をどこまで議論するのか。もう既に中教審とか,高大接続会議とか,そういったところでいっぱい山のように議論がなされてきたものなので,そこまで立ち返って議論するのがいいのかどうかというのは,ちょっと私もその守備範囲というのが分かりかねて,私大協の意見もどこまで踏み込むべきかというのが,まあ,芝井先生は大分踏み込んでいらっしゃって,私もここまで踏み込みたいとは思っていたんですけれども,そこのいわゆる土俵の大きさというのを少し確認したいかと思っております。よろしくお願いいたします。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,川嶋委員どうぞ。
【川嶋委員】
 川嶋です。芝井委員のペーパーについて,3点ほど確認させていただきたいと思います。
 まず1点目は,1ぺージ目の後半の1.1大学入学共通テストに期待するもので,3つの利用方法について書かれていまして,私立大学においてはマル1の利用が中心であるというお話でした。つまり共通テストの教科・科目の成績のみで合否を決めているというのがほとんどであるという御説明でしたが,それ以外のマル2とかマル3で活用できないという背景とか理由がもしお分かりになれば,御説明いただきたいというのが1点目です。
 それから2点目は,2ページ目の2.各論的事項の2.1.多面的・総合的評価のあり方の中で,3行目の,「一方で,選抜制度の画一化が進むような制限が追加される」という記述がありますけれども,選抜制度の画一化というのは具体的にどういうことを想定されているのかということです。
 最後は,3ページ目から4ページ目にかけて大学入試の効率化というところがあるんですが,4ページ目に行きますと,「効率化と改革とが両立しがたい状況にある」と説明されていて,その理由としては,「特に多様な試験制度が導入されることで」と書いてあるんですけれども,私はむしろ繁忙化とか多忙化とか負担が多くなれば,それを少なくするように,効率的な入試のあり方はどうあるべきかと考えるのですが,この点どういうふうにお考えなんでしょうか。以上の3点でございます。よろしくお願いします。
【三島座長】
 それでは,芝井委員よろしゅうございますか。
【芝井委員】
 まず1番目の御質問ですけれども,私立大学は,現状ではいわゆるセンター単独での合否で一部の合格者を決めている。それに対して,2番目の併用型といいますか,一般選抜と共通テストを組み合わせて選抜する方法,それからマル3の総合型選抜,学校推薦型選抜において利用する方法という,マル2とマル3をどうして使わないのかということかと思います。それは割合単純な理由でして,1を使えるのであれば,2の方法をどうしても使わなきゃならないのかというと,負担であるとか,あるいは合否査定の煩雑さから考えると,どちらかを使えばいいだろうと考えているのがほとんどの大学だと思います。ですから,たまたま私どもは1もやっていますが,2もやっていますので,併用型もやっているんですが,それだけ機会が増えるということは,それだけ煩雑な作業を伴いますので,合否査定を複数化していく必要があるという意味で,1つに絞るならば1でいいではないかという考え方があります。
 それから,念のために申し上げますと,何回も申し上げていますけど,1であれ2であれ,そういう形でセンターを受験して入ってくる学生の数は,一般に私立大学では,割合でいうと低いというふうに考えていただいていいかと思います。
 それから,3の利用なんですが,これは時期の問題です。総合型・学校推薦型選抜が現在の時期に行われている限り,一旦,総合型あるいは学校推薦型選抜で現在の時期に合格を出した後,その後受ける共通テストの点で不合格にすることは現実的には難しい。ですから,3番の利用が進まないということになります。もっと違う言い方をしますと,共通テストがもっと早い時期に実施されるのであれば,総合選抜や学校推薦選抜において共通テストを利用することはできます。それから,共通テストは利用できないけども,高校の基礎学力テストがもう少し早い時期に実施されるのであれば,それは明らかに総合型選抜や学校推薦型選抜において利用することができるということになると思います。
 2つ目は,2ページの,選抜制度の画一化が進むような制限というのは具体的にどういうことかという御趣旨だったと思うんですが,具体的に言うと,例えば英語の4技能の試験を全ての受験生に課すということになると,それは私立大学が現在考えているような入学者の像と違ってくるわけです。利用されることあるいは一部の受験生がそれを受けることは全然おかしくないんですが,高校3年生は全てその4技能のテストを受けて,そうでないと大学の入学資格を失うような,そういう制限のあり方には反対ですということになります。これは英語の4技能だけではありません。ほかのことも同じなんですけれども,この科目とこの科目とこの科目を課した形のテストを受けないと私立大学に入学できない,ということは,やはり現状からするとおかしいのではないかと思います。
 それから3番目の問題です。これは,負担の効率化と改革は両立しがたいという4ページの記述に対する御質問だと思います。確かに,片方で両立できる場合もあると思います。ただ,現実を申し上げますと,その上にありますように,多様な試験制度が導入されると,それに伴って教職員の負担や財政面での負担が高くなるという現実がありまして,そうすると,多様な試験制度が導入されることで,そこの負担が大きくなる,そうすると,改革をするということで多様な試験制度を導入しても,効率化にはつながらないということを書いています。ただ,改革というのは必ずしも多様な試験制度を導入することとイコールではありませんので,先生おっしゃるように,効率化と改革を両立する方法があるかも分かりませんので,ちょっとこれは十分でない記述かもしれません。ただ,趣旨は,先ほど申し上げましたように,多様な試験制度を改革の中で導入したい,それによって多様な学生を確保したいということになると,その部分は効率化に反して負担が大きくなるというのが現状であるということでございます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。川嶋委員,よろしいですか。
【川嶋委員】
 はい。
【三島座長】
 それでは次に参ります。清水委員どうぞ。
【清水委員】
 ありがとうございます。清水でございます。学部レベルまでのきめ細かな調査で,大変参考になる,いいエビデンスが得られているなとまず思いました。
 スライド20のところの記述式問題への意見を,国公立と私立に分けて示したデータを非常に興味深く拝見したんですけれども,個別入試で記述式問題を充実すべきというのが大勢を占めるかなと思っていたんですけれども,国公立と私立で大分色合いが違って,国立・公立は8割程度が「とてもそう思う」「そう思う」でしたけども,私立のほうは大体5割ちょっとにとどまっていて,これがどうして起こっているかということも,今日は芝井委員から入試の多様性の問題について情報をいただきましたので,ちょっと興味深く思っていたのは,21ページにあります,いわゆる大学の学部選抜単位のサイズですね。つまり,規模の問題と,この国公立・私立の問題をクロスして見てみますと,また違った景色が少し見えてくるのかなということを思いました。といいますのは,スライド20の私立大学のところでは,共通テストのほうで記述式問題を出題すべきというのが一定程度やはりいますので,その辺,大学のサイズの問題と国公私立の入試の仕組みの違いが反映しているのかなということをちょっと思いました。ここはさらに調べてみる必要があるところだと思いました。
 それからあわせて,記述式に関わる思考・判断・表現という非常に大くくりのカテゴリーで聞いていますけども,それが次回以降,多分議論になるであろう調査項目の5番の,記述式問題と出題の実態,こちらと合わせて見ると,ポリシーレベルでどうなっているかということと,それが実際の出題でどうなっているかということの整合性というか,いわゆるアラインメントみたいなものがちょっと見えてきて興味深いかなとも思いましたので,その辺も今後注目されるところだと思いました。
 今日,川嶋先生からまとめていただいた資料の3ページ目で,共通テストと個別選抜の役割分担のところに,取りまとめに当たっては,国公私を分けた議論が必要というふうに注意を書いていただいていますけども,さらにこれが大学の規模の問題も併せて論点として目を向けておく必要があるのかなということもちょっと思いました。半分感想みたいになってしまいましたけれども,非常に貴重なデータを拝見しましたので,これからいろいろ浮かび上がってくる論点があるかなということで,ちょっと感想を申し上げました。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,末冨委員どうぞ。
【末冨委員】
 末冨です。非常にこの実態調査の結果は興味深いです。それから川嶋委員が示された整理しておくべき事項と,芝井先生からの意見発表も重要だとは思いましたが,通しで話を聞いていると,やはり幾つかの心配な点がございます。特に私は平場の教員でして,入試にも学生の教育にも関わっておりますので,そういう平場の教員としての意見を今日は申し上げますけれども,まず,芝井委員の御意見の4ページ目にございますが,定員管理の厳格化と高大接続の改革が相反する方向性を有しているという点は,全くおっしゃるとおりだと同意をいたします。特に,定員管理が厳格化すればするほど,受験生の追加合格が,特に東京23区の大学は歩留まりで読めないんですね。本学でも追加合格を2回出すというような非常に込み入った事態になっております。このことが本当に学習者本位の入学者選抜になっているのかという点については,文科省,それから23区内の定員厳格化をお決めになった政権与党としての御検討も必要な重要な事項です。とりわけ,合格の時期が遅ければ遅いほど,大学での学びに対しての準備というのができていない,レディネスが低い学生を合格させざるを得ません。逆に言えば,ある程度早い段階で,定員に余裕があって入学者を選抜できれば,入学前の接続教育が可能になります。オンライン学習の環境の整備は,このことを既に可能にしています。そうした点も踏まえますと,本当にこれまでどおりの定員管理政策を続けることが大事なのかどうかということについては,高大接続改革の中で,真剣に振り返られるべきタイミングに来ているはずです。
 もう一つが,やはり定員管理の話なんですが,学部専攻単位での管理の厳守が求められていますが,これは本当に学習者本位でしょうか。萩原委員にも可能であれば御意見を伺いたいんですが,18歳時点での専攻分野の選択が,必ずしもその学生にとってはベストではなかったという事例もございます。そうしたことを考えますと,3つのポリシーを厳格化するのは結構ですし,それに沿った入試が行われるのも結構でしょう。ただし,それが本当に学習者本位であるかといったときに,若者期というのは変動も激しい分,成長も激しいものであるという把握は必要です。そして,若者という存在に対しての理解だとか,あるいはその変化をどのように受け止めるかということについては,それこそ高等教育機関の見識が問われる問題であろうというふうに思われますので,やはり定員管理のあり方の検討は必要です。例えば日本大学は総合大学ですから,学部間,学科間の移動も可能にはなっておりますが,そうした,入学後に自分の適性や志望が別にできたときの措置のあり方も含めての検討は重要であろうかと思われます。
 最後にもう一点なんですが,今日の大学入試の実態調査というのは非常に重要なものであり,かつ,本来であれば,入試改革というのは,現状のリサーチとアセスメントから始めるべきであろうと思われます。川嶋委員のほうが,本日資料1の1ページ目で政策決定過程の主な問題点というものについてはきちんと4点御整理いただきましたが,私は,5点目としてもう一つ,意思決定のプロセスにおいてエビデンス,リサーチが十分に活用されていなかったことという問題点を挙げたいと思います。
 併せてもう一点です。特に英語民間試験や記述式試験の導入の合理性ですとか,あるいは必要性というものについて,ステークホルダーの参画がない中で,受験生,保護者,教員,特に高校教員の国民の同意と納得が得られなかったということについても記載をしておくべきだと考えます。今回の実態調査でも,大学は必ずしも共通テストとしての英語4技能試験や記述式試験が必要だと考えていないということが明らかであるはずです。だとすれば,きちんと現状のリサーチ,エビデンスを確立しながらの改革でなければ,また同じことを繰り返しかねないということを強く危惧しております。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,今の御発言の最初のところの定員管理のところでちょっと質問を投げかけておられたので,萩原委員に次にお願いいたします。
【萩原委員】
 萩原です。今,18歳時点での選択ということで,高校生が志望を含めてどうかというお話かと思うのですけれども,本来であれば,自分がやりたいことを高校時代に決めて進学をしていくということが望ましい形であろうと思っています。日本の社会においては,中学校を卒業した時点で進路先を決めていくというのはなかなかできない状況ですので,高校時代においてその方向性を決めていくということが本来のあるべき姿なのだろうとは思いますが,実態としては,大学に入ってから,また自分の志望とか適性とか,そういうものを考えながら動くということは当然あり得るのだろうと思っています。
 私のほうから2点ほど,芝井先生のほうからのお話が出てきた中で,1.1の「2)基礎学力の確認という点を」というところに当たるのですけれども,新たに始めるこの共通テストというのはどういうテストなのかということだと思います。基礎学力を確認していくためのテストであるということであるならば,新たに基礎学力テストを,またもう一つ種類の違うものを作るということについてはいかがなものだろうかと思う部分があります。また,芝井先生のほうからお話があったように,共通テストの実施時期の問題,例えば総合型選抜であったり学校推薦型選抜で使うには,今の時期,1月の実施であるのは非常に難しい,使い勝手がよくないという御指摘の部分についても,分からないわけではないのですけれど,高等学校での学習実態等々を考えると,やはり1月に実施をしていただくというのが,現状の中でも,共通一次試験から始まった長い歴史の中でも,この時期でお願いするというのが高等学校としては適切ではないかと考えています。
 それからあともう一点ですけれども,2.5の(2)大学入試の効率化の2行目のところで,「その中では,面接のオンライン化,個別試験での多様な工夫も進められることになるだろう」という形で記載がありますけれども,現在,総合型選抜のほうが,先週末でしょうか,土日が割と多かったかと思うのですが,それに向けて,各高等学校でも,いろいろな心配事がありまして,具体的には,例えば会場の問題であるとか,もしトラブルがあったときどうなんだろうかというようなことで,私ども全高長のほうにもかなり声がありました。そういう関係で,10月22日に文部科学省の高等教育局長宛てに,入試選抜の実施状況,今高等学校のほうではこんなことが心配ですよということで要望書をお出しさせていただいております。大学側のほうに,是非ともトラブルがないような形での御指導をいただきたいということ,また,今年度の状況等を踏まえて,次年度以降の制度設計にも生かしてほしいということで要望した次第です。これに関して,もし文科省のほうで何かお話しいただけることがあれば,いただきたいと思います。
 私からは以上です
【三島座長】
 今の点は何か文科省のほうからございますか。
【武藤高等教育局企画官】
 まさにいただいた御要望をこちらでも踏まえまして,10月23日付で,この御要望の写しも添付した上で,各大学に配慮をお願いしたいという御連絡をしているところです。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは次に参ります。岡委員どうぞ。
【岡委員】
 国大協として意見を述べさせていただきます。
 まず,今日,芝井委員から御発言がありましたけれども,3ページの,これからの共通テストの方向性といいますか,それについては,科目数を減らしたりすることは国立大学協会としても賛成だと,そういう方向だろうと考えております。ただ,情報Ⅰにつきましては,全国の教員配置とか,教育がちゃんとできるという担保の上で共通テストに導入するのが望ましいのではないかというような,現在そういう意見もございますので,近々意見をまとめて発表させていただきたいと思います。
 それから,英語4技能は,既にAO,それから推薦,場合によりましては各学部の一般入試のときに導入しております。こういうことは各大学・学部で十分利用されていくものだというふうに認識しております。
 それから,記述式に関しましては,もう以前より,国立大学では個別試験に導入するということを宣言しておりますので,ただ,議論に出ておりますように,大学のサイズによってこれを作ることは非常に難しいという現状もございます。こういうことをどういうふうにして作っていくかということは,これから国大協の中でも議論していきたいと思います。
 それから,これからの入試のことなんですが,例えば英語についてもいろいろ意見が出ましたけれども,国立大学の中ではアドミッション・オフィスを作りながら,アドミッション・オフィスでAO入試を中心にやっている大学が多いかというふうに思っておるんですが,だんだん教員の数も減っておりまして,そういう意味では,AOを単独で運営するのは大変厳しいのかなと。
 それから,AO入試も推薦入試も,これから国立大学協会としては増やそうという方向にしておりますので,この重要性はさらに増してくると認識しております。
 それから益戸委員から,英語力について,国立大学も含めてあまり本気ではないのではないかというような意見もございましたけども,それぞれ英語の重要性というのは非常によく理解をして,ネイティブの教員を雇ったり,学力に応じて少人数教育をしたりしているんですが,1つは,これも高大接続で,英語があまり好きでない学生がいるわけでして,やはりそこのところが,英語教育は大学でやるものではなくて,今から小・中・高・大学と,この中でどれだけ楽しい英語の教育をするかということがとても大切なんじゃないかなというのが私の最近の感想です。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして,両角委員どうぞ。
【両角委員】
 両角です。ありがとうございます。私のほうから3点述べさせていただければと思います。
 1点目が,川嶋先生のメモの3ページ目の真ん中あたりなんですが,米印で,「取りまとめに当たっては国公私を分けた議論も必要」ということで,議論の過程においては,国立,公立,私立で置かれた状況が全く異なるので,そうした議論は必要だと思いますし,今回も芝井先生のほうからまとめていただいて,そういうふうになっていると思うんですが,最終的な取りまとめの段階に至ったときには,是非大学目線ではなく,高校生のほうの目線としてまとめるようにしたほうがいいかなと思いました。というのは,高校生からすれば,別に私は国立しか受けないとか,私立しか受けないというよりも,やはりいろいろなタイプの大学を受けるわけなので,議論の過程と,最終的にどこに向けてというところでの区分けはしたほうがいいかなと思ったということが1点目です。
 2点目が資料3で,実態調査で御協力いただいた皆様も,取りまとめをしていただいた皆様も本当に感謝申し上げます。これを見ていて,例えば,記述式のほうは比較的,もう共通テストでやるべきだというのはかなり少なくて,個別でどうぞみたいな御意見が大半だったなと思うのですが,英語のスピーキング・ライティングに関しては,大学入学後に力を入れるとか,大学がやるというのが主流ではあると思うのですが,それなりに共通テストで評価することへの賛成派も3割近くあるというので,意見が割と割れているなという印象を受けました。今日お示しいただいたのは規模による違いで,やはり理念としてあるけれど,実態として労力とかいろいろなことを考えると難しいんだというところが,規模の違いによって明確に出ていると思うんですが,規模だけなのか,あるいはもともと,先ほどから出ていますように,大学によって4技能をどこまでアドミッション・ポリシーで重視しているかということも違いますので,そういったそれぞれの大学が英語のこういう能力とかをどこまで重視しているかということと,この回答系統みたいなものを少しクロスして見ていただくと面白いかなと思って,これを見ていました。
 3つ目が,芝井先生の意見で,定員管理のことやら,いろいろ本当に共感しながら聞いておりました。1つちょっと聞いてみたいなと思ったのが,1ページ目の一番下の基礎学力の確認という点で,以前の議論であって,基礎学力テストでいつの間にやら形が変わっていったという,あの学びの基礎診断みたいな,あそこについてなんですけれど,ここがなぜ変わっていったのかということが,時期の問題で難しいからこういうふうになっていたのか,もともとの計画からなぜ変わっていったのかというところが,意外にどこでも共通理解がないので,そこはちゃんと事務局から一度御説明をいただきたいなと思っています。
 芝井先生にもお聞きしたいのが,基礎学力の確認という点でこういうものがあったらということをこれまでも度々御発言されているのは,時期の問題なのか,あるいはレベルの問題なのかというか,共通テストの基礎学力を見るときの識別が,国立大学とかにいる者の感覚からすると,うまく学力の高い,低い,真ん中ぐらいを分けるいいテストだなという感覚があるのですが,私立大学の多くの方にとって,識別力の問題があるというのであれば,時期の問題だけではなく,共通テストとしての役割がどこまで果たせているのかという結構根本的な問題かなと思いましたので,その辺りについて芝井先生のお考えを聞かせていただければと思いました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは芝井委員,御発言ございましょうか。
【芝井委員】
 一番最後の御指摘の中の点について最初にちょっとコメントしますと,基礎学力テストがどうして学びの基礎診断になったのかというのは,私もぜひ知りたいので,文部科学省でぜひ説明をお願いしたいと思っています。
 それで,私に対する質問部分ですが,共通テストは,これはなかなか難しい点があるんですが,1つは,何回も申し上げていますように,私立大学というのは,恐らく1回のテストで均質な学生を採る制度を取っている学校は大変少ない。様々な形で,私たちの大学のある学部に入ってもらう人間を幾つかの段階で集めていって,ビルドしながら最後に入試定員の大きな枠の中に入れていくような形を取っていると思うんです。だから,各種の入試はやっています。当然,留学生入試や社会人入試もやっていますし,スポーツ推薦のような制度も持っています。そこに,かつてでいいますとAO入試と,かつてでいいますと指定校推薦入試,あるいは場合によると公募制の入試を加えたりしながら,そして一番最後に一般入試が来るわけですが,一般入試も1回ではありませんで,様々な形でやらせてもらっています。その中でもセンター試験を利用したり,センター試験を併用したり,センター試験を前期,後期に分けて実施したりしているわけです。そして,自分たちの大学に合格するにふさわしい人間を入れてきているわけです。そのときに基礎学力テストの役割なんですけれども,やはり大学に入って学問を学ぶための最低限の学力判定ができるかどうか,そこさえクリアしていただければ,スポーツ推薦であれ,先ほど申し上げましたように,別の形で資質や能力を持つ人間をアドミッション・オフィスが選ぶこともできますし,そういったことが可能であるという意味で,より多様な学生を,つまり個性を持った学生を大学に入れることができる,それが一番大きいと思います。
 それからもう一つの問題がありまして,これは,今やそういう形ではまずいのかも分かりませんが,義務教育段階と,高校の場合には義務教育段階ではないわけですから,私個人は,本来は高卒試験があっておかしくないと思っています。高卒試験に合格した者が大学に入学する基礎資格を持っていて,その中で各大学はアドミッション・ポリシーに基づいて人を選ぶべきだと思っているわけです。基礎学力テストは高卒試験ではありません。だけども,ある種,高校で学んだことのユニバーサルな形での水準を満たしている,満たしていないという意味で確保する手段だと思っていまして,それができることで,大学がより違った形で彼らの能力を伸ばすことができると思っているわけです。そういった意味で,基礎学力テストに随分期待をしていたんですが,それがどうしてならなかったのかというのはぜひ聞かせていただきたいと思っています。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,その基礎学力テストの部分,文科省の武藤さんからお願いします。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼いたします。今御質問のあった基礎学力テストと学びの基礎診断になった経緯等については,担当の初等中等教育部とも相談して,次回以降,どこか適切なタイミングで御説明できればと思っております。
 それから,小林先生からあった,この会議の守備範囲についてでございます。これについては,第14回の9月30日の会議で,あるいはその前の会議から,座長・副座長提案ということで一定の整理がされたものと事務局としては考えていました。もともと,大臣から検討の依頼があった英語4技能と,それから記述式,それから経済的な状況等々にかかわらず安心して試験が受けられる配慮,そして4番目として大学入試の望ましいあり方,これがもともとの4本柱でございまして,それに加えて,望ましいあり方というところで,ウイズ・コロナとポストコロナ時代の大学入試,それから共通テストのあり方,特に新課程に関わる科目の精選ですとか,あるいは新しい科目も含めてといったことだったり,あるいはセーフティーネットとしての,これは少しポストコロナ,ウイズ・コロナとも関わりますけど,こういったことも併せて議論して,共通テスト全体のあり方の中で,記述あるいは英語についても方向性も踏まえて判断するといった御議論だったかと思います。
 こういうふうに言いましても,それ以外にもいろいろな事柄が出てきて,特にその4技能と記述式について結論を得るためには,その前段として,かつて議論されたことに少し戻って整理をした上でないといけないこともあるだろうというお考えで,今日,川嶋先生からお出しいただいたペーパーなんかも,そういう整理というか考え方に基づいて出していただいたのかなと認識しているところでございます。ですので,今後の私大協からの意見発表についても,そういった事柄も含めてお出しいただければありがたいと思っております。
 以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に斎木委員――ちょっとお待ちくださいね,小林委員は今のことに関わって御発言でしょうか。
【小林委員】
 はい,それで結構だと思います。第14回会議での今後の議論の整理に基づいて行うということでよろしいと思います。
 川嶋委員からの御意見は,この前,吉田先生も御指摘したように,ちょっとその他の課題に踏み込み過ぎているような危惧があります。例えば共通テストの課題に,大学入学センターの経営問題まで議論する話ではないかと思いますので,守備範囲を限定して,できるだけ早くまとめる方向に向けたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは次に斎木委員,どうぞ。
【斎木委員】
 斎木でございます。ありがとうございます。資料3の実態調査の結果につきまして,一言申し上げます。
 まず,今回の実態調査の実施にあたりまして,回答をくださった大学の関係者の方々及び取りまとめの労を取ってくださった事務局の方々に心から御礼申し上げます。大変有意義な資料と考えます。
 1点目に,記述式問題への意見についてお話をしたいと思います。既に清水委員,また両角委員からも御指摘ございましたけれども,19ページから21ページにかけて,記述式問題への意見結果が示されています。記述式問題について,「個別入試(一般選抜)の記述式問題を充実すべき」と肯定的に回答した割合は,全体の6割近くを占めているわけです。しかしながら,国公私立別に見ますと,国公立の8割近くが「個別入試(一般選抜)の記述式問題を充実すべき」と回答しているのに比べて,私学は5割強になっています。また,規模別に見ますと,規模の大きな大学になると,記述式問題について,個別入試の一般選抜で充実すべきという割合が下がるという結果でございます。しかしながら,相対的に低い数値であったとしても,例えば20ページにございます私立大学の箇所では,5割は記述式問題を個別入試の一般選抜で充実したいとお考えでありますし,また,21ページの規模の大きな大学の箇所についても,ほぼ同様であり,それなりの数値となっています。したがいまして,これまでこの場で累次にわたって申し上げてまいりましたので,本日は詳細は省きますけれども,この記述式問題の一般入試における充実を応援するようなインセンティブを設けることが極めて大事なのではないかと考えております。
 2点目に,スピーキング・ライティングの評価方法への意見ということで,これも複数の委員から既に言及がございましたけれども,13ページから15ページで触れられています。グローバル化の下での英語教育の重要性や,資格・検定試験活用の推進策の必要性については,これまでもいろいろ指摘をされてきたところでございます。例えば14ページの国公私立別のデータを拝見しますと,資格・検定試験の活用に関する反応について,項目d,すなわち「一般選抜において英語資格・検定試験を活用して評価すべき」というところに積極的に回答している率は,国立が約19%,公立が約29%,私立が約53%になっておりまして,国公立が私立大学と比べると低い結果とはなっております。しかしながら,英語4技能評価について,共通テストで直接4技能全てを評価することは困難であるとしても,個別入試の一般選抜あるいは総合型・学校推薦型で活用を進めるという点は,国公立大学も含めて広く求められていると考えております。また加えて,大学入学後の教育で,この英語力の向上については,深く進め,またしっかりこれを評価していくということが求められていると考えております。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは大変長らくお待たせしました,島田委員どうぞ。
【島田委員】
 ありがとうございます。筑波大学アドミッション・センターの島田です。伺いたかったのは芝井先生の資料の中にあった高校の基礎学力テストのことです。これと,始まったばかりの「高校生のための学びの基礎診断」との関係をどのようにお考えなのかということを伺いたかったのですが,既にお答えいただいたので,そのことは分かりました。
 また,そのことについて,萩原先生は高校の立場からどのようにお考えなのかということが気になったのですけれども,こちらもお答えいただいたところです。
 いずれにせよ,新たな高校の基礎学力テストのようなものを導入しようというのであれば,まずはこの「高校生のための学びの基礎診断」がどのように機能したのか,しなかったのかというあたり,しっかりと検証・評価するというのがまずなされるべきことかなと思った次第です。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは定刻でございますが,あと1人,益戸委員の手が挙がっております。手短にお願いいたします。
【益戸委員】
 すみません,一言だけ申し上げさせていただきます。川嶋先生の整理しておくべきメモの中で,どこまで踏み込むかというお話が出たのですが,我々が議論するべきことは,令和6年の大学入試に向けて議論をしていることは間違いないのですが,この段階で議論が終わることと,持ち越していかなければいけないこと,いろいろあるのだと思います。そうしますと,例えば大学入試センターの経営問題について,この場で議論して結論が出るものではありませんが,やはり我々の議論の過程ではこういうことが出てきたということをしっかり残すということは重要だと思います。一言その点について触れさせていただきました。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,ほぼ定刻,時間になりましたので,今日はここまでとさせていただきますが,最後に事務局から何かございましたらどうぞ。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼いたします。第17回,次回の会議ですけれども,11月16日月曜日に行いたいと思いますが,具体的な時間は,また調整の上,御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【三島座長】
 それでは,長時間どうもありがとうございました。本日はここまでとさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――



 

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