大学入試のあり方に関する検討会議(第14回)議事録

1.日時

令和2年9月30日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省省議室

3.議題

  1. 今後の議論の進め方について
  2. 大学入試に関するWeb意見募集について
  3. その他  

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、荒瀬委員、斎木委員、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員、牧田委員、吉田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

田野瀬文部科学副大臣、鰐淵文部科学大臣政務官、藤原文部科学事務次官、伯井高等教育局長、森田文部科学戦略官、西田大学振興課長 他

5.議事録

【三島座長】
 皆様,おはようございます。この会議,しばらく間が空いておりましたので,御無沙汰いたしましたけれども,今日は第14回目ということで開催させていただきたいと思います。
 今回も新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,WEB会議方式での開催となってございます。音声など不都合はございませんでしょうか。聞こえておりますでしょうか。
 本日も,傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開とし,後日議事録をホームページにて掲載することとしたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。
  (「異議なし」の声あり)
【三島座長】
 それでは,よろしくお願いいたします。
 初めに,事務局からお願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼いたします。本日は委員は全員御出席でございます。ただ,渡部委員が途中で御退席されるということでございます。
 前回までと同様に,聞き取りやすいよう,はっきりと御発言いただきますとともに,御発言の都度,お名前をおっしゃっていただく,また,資料参照する際,該当箇所などを分かりやすくお示しいただくなど御配慮をお願いいたします。また,ハウリングを避けるために,御発言を希望される際は挙手ボタンを押していただく,また,指名されたときミュートを解除してから発言し,発言後はミュートに戻していただくなど,お願いをいたします。
 本日,ちょっと音声等接続の状況が非常に悪くなっておりまして,いろいろトラブルあるかもしれませんけれども,どうぞ御容赦をお願いいたします。
 以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,まず会議の開催に当たりまして,田野瀬文部科学副大臣から御挨拶をいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
【田野瀬文部科学副大臣】
 皆様,改めましておはようございます。このたび文部科学副大臣を拝命させていただきました田野瀬と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては,今日は14回ですから,過去13回にわたりまして,この問題に熱心に御議論いただいております。まずは心からお礼申し上げます。
 この問題は,受験者や保護者のみならず,国民の皆様方の本当に非常に高い関心のある非常に重要な課題だと私も認識をさせていただいております。萩生田大臣をしっかりと支えさせていただきつつ,委員の皆様方の御意見を踏まえて,しっかりとした制度設計に向けて私も尽力してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 なお,大変申し訳ございませんが,私,次の仕事の関係で10時40分ぐらいに退出させていただくということも,あらかじめおわびを申し上げます。
 では,本日どうぞよろしくお願い申し上げます。以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは引き続きまして,鰐淵文部科学大臣政務官から御挨拶をいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【鰐淵文部科学大臣政務官】
 皆様,おはようございます。このたび文部科学大臣政務官を拝命いたしました鰐淵洋子でございます。よろしくお願いいたします。
 昨年秋,公明党におきまして,大学入試のあり方についてワーキングチームの設置をいたしました。私自身,その副座長を務めさせていただきまして,受験生の皆様,保護者の皆様,高校関係者,大学関係者,また障害者の方と様々御意見を伺い,議論を重ねさせていただきました。
 その結果,最終的に提言をまとめまして,萩生田大臣に提出をさせていただいた経過がございます。その中で様々な課題はあったかと思いますが,特に今回の検討項目にも入れていただいておりますように,経済的な状況や居住している地域,また障害の有無に関わらず,等しく安心して試験を受けることができるようにすること,これが1つの重要課題であると私自身も認識をしておりまして,強く要望させていただきました。
 その後,本検討会議が設置をされまして,改めて皆様にこれまで議論を重ねてくださっており,また取り組んでいただいていますことも私からも改めて敬意を表し,心から感謝を申し上げます。
 先ほど副大臣の方からもお話がございましたが,この課題は大変に重要なものでありまして,これからグローバル社会,情報化社会,ポストコロナ,そういった中で未来を担っていく子供たち,受験生にとって大変に重要な課題にもなってまいりますので,しっかりと私自身も皆様の議論を踏まえた上で,また大臣の下でしっかりと御指導いただきながら,尽力をしてまいります。
 大変にお世話になりますが,どうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 政務官,どうもありがとうございました。
 それでは,議事に入りたいと思います。まずは議事の1番目,「今後の会議の進め方について」ということでございます。これは資料1につきまして,私から御説明いたしますが,前回いろいろいただいた御意見を踏まえて,本検討会議の今後の進め方について,案を修正いたしました。そういう御視点から見ていただければというふうに思います。
 資料1を御用意ください。それでは,まず1番目が「検討事項について」とございまして,(1)(2)(3)(4)と項目があり,(4)のところに丸1,丸2がございます。そして,続いて2番目として「当面の検討の進め方」,ここにも(1)(2)(3)というふうに項目が並んでございますので,順次御説明を申し上げます。
 それでは,まず1の「検討事項について」でございますけれども,前回の案は,新たに付け加えた検討事項というのを中心に記載しておりましたため,分かりにくいということがございました。そのため,改めて整理をしたところでございます。
 具体的には,(1)の英語4技能,(2)の記述式出題の在り方,(3)経済的,地域事情,障害の有無等への配慮,(4)がその他大学入試の望ましい在り方,という当初からの4項目のうち,(4)のその他として,前回も御提案した丸1と丸2を付け加えてございます。
 まず,(4)の丸1でございますけれども,これはウィズコロナ,ポストコロナ時代の大学入試の在り方については,例示として,下にございますが,共通テストと個別試験の関係,一般選抜と総合型選抜,学校推薦型選抜の関係,入試におけるデジタル化,感染症等への耐性向上,大学・高校・国の調整・協議のルール化等,これを記載しているところでございます。
 丸2の大学入学共通テストの在り方については,例示として,括弧でございますが,個別試験との役割分担,試験の目的を踏まえた科目等の精選,セーフティーネットとしての役割,これを記載した上で,記述式や英語4技能評価の在り方については,その検討の方向性も踏まえて判断するというふうにしてございます。
 委員の皆さんからは,(1)や(2)に関していろいろと御発言がございましたが,それらを全て記載するとペーパーとして分かりにくくなるため,検討項目の詳細については参考資料1を参照していただくというふうにしてございますので,参考資料1を御覧いただければというふうに思います。
 次に,当面の検討の進め方,2ポツでございます。まず(1)として,今後の会議の開催方法でございますけれども,新型コロナウイルス感染防止の観点,それから遠方からの参加委員も多いこと等を踏まえ,会議を安定的・効率的に実施する観点から,感染拡大の状況を注視しつつ,当面はWEB会議にて議論を継続する。月2回程度を想定,というふうにさせていただいています。一部の委員から対面での会議を望まれる声もありましたが,状況が状況ですので,当面はこのような形で継続させていただきたいというふうに思っております。
 次の(2)でございます。当面の会議の開催要領について6点を列記してございます。WEBによる意見募集の結果を踏まえた議論を行う,これが丸1でございます。これは本日これから御議論いただくことを予定しているものでございます。
 それから丸2,選抜区分ごとの実態調査について。米印として,大学からの意見募集を含むというふうになってございますが,これを踏まえた議論を行うということでございます。この実態調査は9月14日で締め切っておりますが,これまで未提出の大学もあることから,取りまとめにもう少し時間を要する見込みでございます。
 丸3として,丸1,丸2の後,本検討会議に参加いただいている団体代表委員を通して,関係団体等からの再度の意見発表を踏まえた議論を行いたいと思います。また,米印をしてございますが,一部の委員から求めのあった追加のヒアリングについては,丸1,丸2を踏まえて,その要否を判断するというふうにしてございます。
 丸4でございますが,これも委員からの御意見を踏まえて,適当な時期に科目の精選や大学入試のデジタル化等についての大学入試センターにおける検討状況,大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議の審議状況等の報告を受けて,議論を行う機会を設けるというふうにしてございます。
 丸5でございますが,丸1から丸4を踏まえ,必要に応じ,テーマを絞った集中的な議論を行う機会を設けるというふうにしているということでございます。
 丸6でございますけれども,これは年明け以降,第1回大学入学共通テストなど令和3年度大学入試の実施状況も踏まえつつ,さらに議論を行うというふうにしてございます。前回の会議で,1月だけではなく,全体を見る必要がある旨の御意見があったことを踏まえて修正をしてございます。
 この結果,取りまとめの時期を当初の年末から大分後ろに倒すことといたしますけれども,その場合でも,米印にございますように,新学習指導要領に対応した令和6年度実施の大学入試に係る予定の通知を,来年令和3年夏に行うという制約がございます。したがって,それより前には本検討会議の結論を出すようになるということになります。
 (3)でございますが,取りまとめに当たっては以下の点に留意するとして,丸1,具体的な案に基づき十分な議論の時間を確保する。
 丸2,これまで指摘された課題や,延期や見送りをせざるを得なかった経緯の検証から得られる教訓。大学入試が踏まえるべき原則を盛り込むということで,かっこ書きで公平性・公正性の確保等というふうにしてございますけれども,このことも含めてしっかりとこの会議で整理していきたいというふうに思います。
 丸3でございますが,令和6年度実施を目指すもの,さらにその先を目指して議論すべき課題などを整理するとしてございます。
 説明は以上でございます。追加意見等はあると思いますが,前回の検討会議でいただいた御意見を反映いたしましたので,この点についての議論は一旦これで締めさせていただいて,これをベースに会議を進めつつ,今後議論を進める中で適宜御意見があればいただきながら,会議の運営に生かしてまいりたいというふうに思うところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,議事の2に入りたいと思いますが,「大学入試に関するWeb意見募集について」でございます。事務局から御説明をお願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 資料の最初の枠囲みのところにございますとおり,このWeb意見募集,これまでの委員からの意見や外部有識者,団体からのヒアリングでの意見にさらに付け加えるべき観点がないかなどについて確認をして,今後の会議に多様な意見を反映する観点から,広く国民から意見募集を行うことをしたものでございます。
 意見提出を希望する国民の皆様にあらかじめ参考にしていただくために,その発出の時点で12回開催されていた本検討会議において出された意見につきまして,便宜的に8つの項目立てを行いまして,これまでの意見の概要というものを取りまとめて,それをお示しし,その8つの項目立てに沿って意見をお出しくださいということでお願いしたものでございます。
 募集期間は8月12日から9月11日までということで,1か月を取りまして,ホームページ上の意見募集用のフォームで御意見を頂戴しました。全部で669件の御意見を頂戴いたしまして,この8つの項目ごとに,おおむね均等に近い形で御意見をいただきました。
 ただ,あくまで意見の提出者が項目を選んだものでございますので,実際にはそれぞれの項目にまたがっているものですとか,あるいは,これはこっちの項目なのではないかとかいうものもありましたけれども,いただいたとおりに集計をしております。
 意見提出者の属性は男性45%,女性12%,その他1%,未回答42%です。年齢は,多くは30代,40代,50代,あるいは60代,この辺りが比較的多いという感じでございました。御職業についていいますと,上からいくと,大学生や高校1,2,3年生,あるいはちょっと飛んで,高校既卒・大学入学志願者,あるいは高卒認定の資格合格者といった,受験に関する当事者ですとか,あるいは今,大学生をやっておられる方,この辺りで大体まとめて15%ぐらい。
 それから,大学の教職員,高校の教職員,あるいはその他の教職員,このあたりそれぞれが13%,33%,15%ということで,一番ボリュームゾーンという感じでございました。保護者であるとお答えだった方が8%。
 右側に行きまして,都道府県ということでいきますと,これもいろんな県から御意見をいただいておりますけれども,特に多いのは左側の中ほどの東京とか神奈川辺りが10%を超えており,全体としては47都道府県中42都道府県から御意見を頂戴いたしました。
 提出者の自治体の属性ということでいきますと,100万人以上が28%,20万~100万が41%,10万~20万が14%,5万~10万人が11%,離島・へき地の該当者は4%程度でございました。
 この統計的な事項と,それから2ページ目以降の具体的な御意見,これについて9月11日,およそ2週間以上前に委員の皆様にメール及び紙で郵送させていただきました。ある程度御覧をいただけたんじゃないかと思うんですが,これらの意見について,これは賛成であるとか,これはちょっと違うんじゃないかとか,あるいは,この意見に基づくとこういうことも考えられるんじゃないかとか,いずれにしても,せっかく国民の皆様から出していただいた御意見を材料にして,この検討会の議論をさらに深めていただきたいと考えています。
 説明は以上でございます。
【三島座長】
 どうも御説明ありがとうございました。
 それでは,資料2にございます8つの意見提出項目ごとに時間を区切って,国民の皆さんの意見を材料として委員の皆様からさらに御意見をいただきたいというふうに思います。8項目あるので,各10分ずつということで80分をまず予定させていただきますが,その時間を経過した後もまだ自由討論の時間がございますので,いろいろ十分御意見をいただく時間はあるなというふうに思っております。一応,各項目10分ぐらいをめどに進めさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
 それから,御発言に当たっては,どの意見に関連する意見かが分かるようにしていただきたいと思いますので,御発言の冒頭で資料2のページの番号と,一番左にある通し番号を述べていただけると,また御意見が分かりやすいかと思いますので,どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは,(1),最初でございますが,入試改革全体の経緯についてでございます。御意見等ありましたら御発言をお願いいたします。発言を希望される方は挙手ボタンを押していただければと思います。また,発言が終わりましたら,手を下げるボタンを押していただくようにお願いいたします。どうぞその辺のところよろしくお願いいたします。それでは,御発言ございましたら挙手を付けていただければと思います。
 それでは,末冨委員どうぞ。
【末冨委員】
 日本大学の末冨でございます。
 かなりのボリュームの意見が寄せられておりまして,私自身も全て目を通して,意見を寄せられた方々の様々な立場というのを整理すること自体が,これは非常に時間がかかる作業であると思っております。
 ですから,今から私が申し上げる意見もあくまで典型的な意見ということで,例えばですけれども,(1)の入試改革全体の経緯の資料のページ番号でいいますと,6ページの一番下にございます36番の意見を例に取って話はさせていただきますが,恐らくほかの委員の方々も,言及しているのは典型的な意見であって,ほかにも類似の意見があるというような前提でお話しされると思いますので,この辺りの資料の取扱いについてはそのような前提でよろしゅうございますでしょうか。
【三島座長】
 はい。そういう御説明でよろしいかと思います。お続けいただければと思います。
【末冨委員】
 分かりました。それでは,6ページの一番下の36番の方の御意見が私は典型例の1つだと思ったんですけれども,入試改革全体の経緯におきまして,やはり意思決定の透明性というものがかなり疑念を持たれています。
 当然のことながら,入試の世界というのはこれまでも官と民の両方にまたがりながら,受験生が受験をしていく仕組みを日本は歴史的に構築していったわけですが,民の参画の仕方,あるいは入試を挟んだ受験産業と学校の現場の関係といったものについて,非常に不信感を持たれている回答者の方が,36番の方はじめ複数おられる状況にございます。
 この経緯を考えたときに,先ほどの検討事項でも,資料1の1番の(4)でその他大学入試の望ましい在り方とございましたけれども,最終報告に向けまして,利益相反ですとか,あるいは意思決定の透明性といったものについても一定の議論をし,望ましい方向性について検討したほうがよいのではないかと考えております。以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。益戸委員,いかがでございましょうか。
【益戸委員】
 まず,このアンケートに全部目を通しましてとても強く受けた印象がございます。それは,全体で669件の回答の内,大学・高校その他,教職員の方,そして教育産業に従事している皆さま,トータルしますと442名,66%の方から御意見をいただいている事です。
 教育関係者の方を通して,受験生やそのご父兄に私達の議論が伝わります。我々委員は改めて,その事を理解していなければいけないと思います。
 高等教育というのは,幼稚園や保育園から始まって,1つのゴールであると同時に,社会との接続という意味では,人生の新たなスタートではないかと思います。したがって,人それぞれの人生や生き方,働き方に大きく影響を与えることになりますので,よりそういうことを意識しながら私たちは議論していかなければいけないと思います。
 とても大切な議論です。従って,第三者を通してだけでなく,直接,国民の皆さんに分かるような形とする為に,私たち委員や文部科学省,場合によっては,教育委員会は努力をしていかなければいけないと感じました。
 次に,(1)番について私の意見を述べさせていただきますが,末冨先生がおっしゃったように,入試改革全体の経緯について,やはりこれまでの政策決定過程については大変厳しい御意見が多いと思います。
 しかし,この点については,第2回の会議で外部弁護士の御参画の下,過去の政策決定経過を整理し,詳細な資料が提出されて,私たちは説明を受けました。私はその段階で,特定の方の責任で問題が生じたというよりは,指摘された課題が先送りされ続けたこと,それから意思決定の方法自体に問題があったと考えております。したがって,前回のような混乱を繰り返さないための教訓を整理して,最終的な取りまとめに盛り込むことが最も大事ではないかと思います。
 また,記述問題の導入について,委託業者に関わる利益相反の問題なども厳しく御指摘をする御意見をいただきました。やはりこうした疑念が生じることのないように,大学入試における公平性・公正性の確保を含め,大学の入試に関するルールを正しく整理する必要があると改めて感じております。
 また,4ページにあります15番の男性からの御意見です。理念の議論から具体的実施案の議論により,最大限実施可能な方法の具体像を明らかにした後,その方法で導入の意義があるかどうか,再検討するステップを設けるべきという御指摘をいただいております。重要な指摘と感じております。取りまとめに当たっても,大学入試政策の意思決定に関する留意点や原則をきちんとまとめておくべきと考えております。以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは続きまして,小林委員どうぞ。
【小林委員】
 ありがとうございます。このアンケートはかなりはっきりと書いているので,我々委員がなかなか言いにくいこともしっかりと書かれているというふうに感じました。
 先ほど末冨委員が36番を例に取っていますけども,民間業者との利益相反の問題はかなりの方がご意見されていて,例えば22番,70番,71番,75番,‥49番もそうかもしれませんけど,ほかの箇所にもいろいろ書かれておりまして,特定業者が英語4技能とか記述式とかeポートフォリオとか,それに全て関わっているということを問題にしておりました。
 その決定過程については云々するつもりはないんですけれども,国民の目がやはり特定業者との,公的な入試というものに関して,私的業者というか,特定の民間業者が関わることに関してかなり厳しい意見を持っているということをやはり理解しなければいけないかと思います。賛成意見は1つもなかったように感じますけど,気を付けて,その辺をやはり考慮する必要があるというふうに感じました。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは続きまして,柴田委員どうぞ。
【柴田委員】
 福岡県立大学の柴田でございます。
 項目番号といいますか,この区分けがそれぞれ投稿者によって選択されているんですけども,先ほどの末冨委員の御意見のちょうど鏡像関係になるかと思うんですけれども,今回のこの入試改革の法的根拠といいますか,そういうのを指摘しているような御意見が項目1,2,3辺りで散見されておりますので,ちょっとそれ我々,少なくとも私はあまり感じていなかったものですから,発言したいと思います。
 76番でございます。10ページ目のところにあります。そもそも論だと思うんですけども,文部科学大臣にセンター試験への記述式出題や英語民間試験の導入・中止を決定する権限はないのではないかというような御意見が76番に出ておりまして,それに関連して,105番に飛びますと,入学者選抜実施要項,大学関係では我々これにのっとってやっているんですけれども,この制定プロセス自体,根拠になる法令関係は何なのかというようなこと。
 それから,それを受けたような話で255のところ,29ページでございますが,その下にありますけども,その実施要項の根拠として,法律的な強制力はないというような御指摘ですね。こういうのが我々今までやってきていることの,これ根本的なところになりますので,こういうのはちょっといかなるものかというのを改めて御説明いただければありがたいかなと思っております。以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,ちょっと時間もございますので,斎木委員から御意見をいただいたら,(2)に移っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【斎木委員】
 斎木でございます。ありがとうございます。
 まずは,このような形で8つの項目立てで多くの方々から貴重な意見をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。その上で,気付きの点を1点申し上げます。
 例えばですけれども,8ページの52番の御意見ですと,センター試験についてきちんと検証がなされていなかったのではないかという御指摘です。実はこの検討会議の場におきましても,これまでのセンター試験について検証が不足していたのではないかということは,複数の委員から御指摘があったと認識をしております。
 大切なことは,まさにこれまでいろいろな不具合ですとか,失敗ですとか,あるいは成功ですとか,こういった過去の事柄についてきちんと検証する。きちんと検証する過程においては,言うまでもありませんけれども,有識者を含む幅広いステークホルダーの方から御意見を伺うということが肝要だと考えております。
 その意味で,今回,国民の方々から寄せられた意見については,これをしっかりと踏まえて,今後の大学入試政策の決定に生かしていくということ,さらにそれを踏まえて,より幅広い有識者の方々から意見を聞いて,できる限り多様な意見を最終的な提言に,そして制度設計に,反映をさせていくということが重要だと思います。
 また,この52番の方は,そもそも新テストは簡素化の方向に進むべきであるという御意見です。後でまた出てくると思いますけれども,ポストコロナ,ウィズコロナの時代において,共通テストのセーフティーネットとしての役割を強化することが求められていると考えます。そのためには,スリム化あるいは簡素化という方向性については,これをどのように実現していくか,きちんと議論をしていく必要があると考えています。
 今日ということではありませんけれども,いずれかの段階で山本理事長から,現在のセンター試験の科目数がどうなっていて,実施上にどのような課題があるのかという点につきましても,まさに検証の一過程に資するべく御説明を頂戴できればありがたいと考えております。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,ちょっと時間の都合で,この次から(2),すなわち高校教育,大学教育と大学入試との関係についてというところの御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。末冨委員どうぞ。
【末冨委員】
 日本大学の末冨です。
 13ページの意見につきましてなんですが,まず,104番の御意見なんですけれども,この会議でも検討というか,話題に上ってきた事項でありますが,大学入試に高校教育を変える役割を持たせるのは負荷が大きいという御意見がございます。
 私も夏休みに改めて,先ほど益戸先生から御指摘ありました弁護士さんの検証資料を読み返して,つくづく感じましたのが,実は足かけ7年にわたって高大接続あるいは入試改革というものを行ってきた中で,高大接続自体のアイディアはいいものもたくさん含んでいるとしても,入試改革にその理念を集約し過ぎたせいで,高校の現場での指導方法や評価方法の改善というものになかなかつながっていっていないということが,私自身が改めてこの会議がお休みの期間に振り返ってみての考えなんですね。
 特に,入試だけで変えていくのではなく,新指導要領の導入と年次進行,そこに伴っての教員の評価あるいは指導の力といったものの全体的な改善や,ばらつきをいかにして少なくしていくか,よくしていくかということは,入試と別の問題であるというふうに考えます。
 すなわち,大学入試の在り方を考えるときに,入試でしなければならないことと同時に,大学側あるいは文科省としての入試改善の意図をきちんと高校側と共有しながら,高校での高校生の学びをよりよくしていく,評価もよりよくしていくといったようなプロセスが欠けていたのではないかなと。あるいは,もう少し工夫があればよかったのではないかなということを改めて考えたということです。
 104番の御意見の最後の御指摘にもあるように,実施導入に関わる基盤作りのサポート,あるいは費用,人材面でのバックアップについては,地方公共団体,教育委員会も積極的に行っていただきたいということもありますので,よりよい高大の連携の在り方にお取り組みいただければと存じます。それはただ入試に関する部分と学びに関する部分はきちんと峻別しながら進めないとならないことだと考えます。今回のここに至るまでの経緯というのは,高大接続改革が大学入試に集中し過ぎてしまったという改革のプロセス自体も少し無理があったのではないかということを考えております。以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして,川嶋委員どうぞ。
【川嶋委員】
 ありがとうございます。大阪大学の川嶋です。
 先ほどの1番目の末冨委員の御発言,あるいは柴田委員の御発言と同じ問題意識ですけれども,先ほど柴田委員が指摘された13ページの105番とか,あるいは29ページの255番,あるいは1のほうで御意見があった10ページの76番の御意見など,大学入試に関わる意思決定のメカニズムについて,柴田委員も私と同じようなお立場なんですけれども,入試関係者であればどういう場で毎年毎年の入試の在り方が決まっているのかということは分かっているんですけども,社会一般の方はなかなかその辺が御理解いただけてないのではと思います。それから,これまで高大接続の検討というのは中教審や文部科学省に置かれた会議で議論されてきたんですけれども,毎年毎年の入試の在り方については,毎年度開かれる文部科学省の高等局長名で招集される改善協議の場というところで,高校・大学の関係者が集まって議論しているわけです。
 社会に対して,入試の在り方がどのように決まっているのかということについての決定メカニズムあるいはガバナンスの在り方については,今後きちんと構築していくべきだというふうに思います。
 また,この改善協議を続けていくのであれば,明確な法令等に基づいて,きちんとした形で審議の内容も情報公開されるべきだろうというふうに思っています。ですから,この会議でも,その辺りを,今後どのようにして大学入試に関わるルール等を決めていくのかということについても十分議論していく必要があるかと思います。
 先ほど小林委員のほうからも御発言ありましたが,大学入試というのは,基本は個々の大学の営みですけれども,やはり社会に対する影響が非常に大きいということと,公的な取組であるので,この辺は今後きちんとガバナンス体制の確立と透明性の確保ということを十分検討していくべきかと思います。
 先ほど最後に柴田委員のほうから質問がございましたので,今の法的根拠等について,もし事務局のほうからの御回答があればお願いしたいと思います。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。事務方の側からというのは,法的根拠の話でございますよね。
【川嶋委員】
 そうです。
【三島座長】
 分かりました。じゃ,武藤さんから御説明いただきます。
【武藤高等教育局企画官】
 文科省の設置法で,所掌事務として,大学入学者選抜と学位の授与に関すること等を省の所掌として規定されております。この規定に基づいて,中央教育審議会等々の様々な諮問機関あるいは有識者会議等で,大学関係団体代表も含む様々な関係者の参画の下で入試政策の方向性を御議論いただいております。
 その上で,先ほど来お話に出てきている改善協議,これは大学関係団体あるいは高等学校の関係団体の代表が加わった協議の場でございますが,この改善協議というものを毎年,高等教育局長名の通知で招集をして御議論いただき,そこでの合意を経て大学入学者選抜実施要項を発出しております。
 この要項というのは関係者の合意を経て作られた一定のルールではあり,それを局長名の文書として,ガイドラインみたいな文書としてお出しをしておりますけれども,これには厳密な意味で法的な強制力・拘束力があるかといえば,そこまではないというものと認識しております。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に,両角委員どうぞ。
【両角委員】
 両角です。ありがとうございます。
 私は高校教育と大学教育の改革の手段と目的というところについての意見について触れたいと思います。例えば,高校教育というのが今,大学入試の影響をやはり大きく受けているのだという御指摘は,例えば127番,129番あるいは148番,150番などいろいろ書かれているのですが,そうやって大学入試の影響を高校教育というものが受けるからといって,大学入試を変えて高校教育を変えようとする発想はやっぱりおかしいのではないかという御意見を書かれているものが多いなという印象を受けました。
 例えば113番,157番,入試改革で教育を変えようとするのは本末転倒だとか書かれています。この辺りについては,これまで有識者とか,いろんな外部団体のヒアリングをしてきたときに,そうはいっても高校教育は大学入試の影響を受けているんだから,そういう視点も大事だという御意見も結構あって,私はちょっと違和感を覚えていたんですけれど,本当に変えなければいけないのは教育で,それを変えるための手段として入試を手段として使ってはいけない,教育を変えなければ,教育にちゃんと力を入れるべきだという御意見がとても多かったということについては,きちんと耳を傾ける必要があるかなと思いました。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,次は牧田委員どうぞ。
【牧田委員】
 よろしくお願いいたします。先ほどの末冨先生と,それから今の両角先生の御意見にかぶってしまうんですけれども,意見の大半といいますか,総じて感じられることは,高大接続が大前提で今のこの大学入試改革というのを見ているわけですけれども,今,高校全入時代に入りまして,中学生のほとんどが高校に行くわけですね。その高校生たちの中で大学に行くのは,では,どれぐらいいるのかということを考えると,約半数なのでありまして,そうなってくると,意見にもありましたとおり,大学入試を変えることで高校の教育を変えようというのはやっぱり違う方向に行っているような気がするのであります。それを前提に考えますと,私は今,大学入試改革というものを考えるよりは,大学改革を本当は考えなきゃいけないのではないかなというふうに,この意見をざっと読んでみて,非常にそれを強く感じた次第であります。
 大学入試というのはやはり大学独自のものでありますから,それをあまりいじり過ぎるというのはいかがなものかなというのが,実はこの意見を読んだ全体的な感想といいますか,そういうふうなことを強く感じましたので,御意見として申し述べさせていただきます。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,私の想定よりかなり時間が押しておりますので,次へ参りたいと思います。3番目が大学入試の在り方と現状というところでございますが,今,(2)のところでお手をお挙げになった方にも順番に当ててまいりますので,もし(3)の意見に該当しないようでございましたら,その旨おっしゃっていただいて,飛ばしてまいりたいと思います。では次,小林委員いかがでしょうか。
【小林委員】
 ありがとうございます。2で発言しようかと思ったんですけど,それをやめておいて,3の話で行きます。
 共通テストについては,皆さんの御意見がかなり分かれていて,簡素化をすべきだという御意見と,もっとたくさん,例えば地理歴史とか,ほかの科目もいっぱい入れたほうがいい,その中には古文も入っていましたっけね,という2つの方向性があって,ちょっと読み取りにくいところはあるかと思うんですけども,各大学の個別入試を重視するのであれば,私の意見としてはやはり簡素化の方向に向かうべきだと思っております。以上です。ありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは続いて,萩原委員どうぞ。
【萩原委員】
 私からは(2)のところの話ですけれども,高等学校の教育というのがどういうものなのか,実際に今いろんな方からお話があったように,高等学校の生徒の全員が大学へ進学するわけではないということで考えると,大学入試というものについてはやはり大学が主体を持ってという部分と思います。(3)のほうでもそのような意見が多々あるのではないかと思っております。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,次,益戸委員どうぞ。
【益戸委員】
 牧田委員の御意見にも関連するかもしれませんが,各大学が実施する育成方法やレベルというものをきちんと明記していくことが大学改革にもつながっていくと思います。したがって,卒業認定のためのディプロマ・ポリシーや教育課程のためのカリキュラムポリシー,そのための入学者受入れのアドミッション・ポリシーというものを明確に反映させる必要があります。昨年の中教審の教学マネジメント特別委員会の意見まとめも参考にしていただいて,これら3つのポリシーの重要性はしっかりと書き込むべきだと思います。
 一方で,高校のレベル,学力の認定については,これは何度も過去に議論がなされていることですが,高校側の慎重論もあって,なかなか実現してこなかったと認識しております。そういう意味では難しい課題ですが,社会全体のデジタル・トランスフォーメーション化やGIGA構想の流れの中で,入試のCBTの可能性を探る上でも,論点としては残しておくべきではないかと思います。
 以前,この検討会議で新井教授が御発表になりましたが,中学生の半数以上が教科書を自力で読めない状態で卒業していること。それから,リーディングスキルが低い大学生というのは退学率や留年率が高いというお話がございました。少なくとも教科書を自力で読んで,ノートをきちんと取れる基礎的能力を身に付けて大学に進学する必要がある。そうしたスキルの有無を判定するテストが必要という考え方もあるのではないかと思いますので,CBTについての検討においては,是非についてを併せて考えるべきではないかと思いました。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,芝井委員どうぞ。
【芝井委員】
 関西大学の芝井です。
 では,手短に申し上げます。大学入試の在り方と現状のところを見せていただくと,高校3年生,あるいは高校生を教えている教職員の中には,この間の大学入試の細部にわたる変化に対して強い不満を持っているということをつくづく感じました。そういった意味で,それをどういうふうな形でするのか分からないけど,ある種の信頼の回復につながるような形での議論と,それの結論を得ないといけないということを強く感じました。
 あともう1点あるんですけども,ここまでとしておきます。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,この(3)につきまして,最後,柴田委員どうぞ。
【柴田委員】
 福岡県立大学の柴田でございます。
 これは共通テストとそれから個別選抜との兼ね合いにもなるんだと思いますけれども,ここでお寄せいただいた御意見の中で,201番の方とか247番の方,共通テストの時期については前倒しといいますか,12月とか,247番の方は高校2年生の3月とか,これかなり思い切った話だし,それから253番の方に至っては,年に三,四回実施したらどうかというような提案もありますが,これはどうなんでしょうか。
 大学のほうもそういう発想というのは,共通テストである程度の比較的な基礎学力を見るというのは1つのやり方かもしれませんけども,こういう意見が複数出ているというのは検討に値することかもしれないなと感じました。以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,(3)はここまでにさせていただきまして,(4)に参ります。大学入学共通テストの位置付けと各大学の個別入試との関係についてということでございます。今,斎木委員と両角委員から手が挙がって,そのままにしてしまいましたが,もし(4)でよろしければ,斎木委員いかがでしょうか。
【斎木委員】
 斎木でございます。ありがとうございます。
 (1)のところで申し上げた点と若干重複いたしまして恐縮ですが,簡単に申し上げます。例えば292とか,あるいは319という辺りの御意見を読みますと,共通テストを確実に実施をすること,万万一に各大学の個別入試が実施できなくなった場合にも,その受け皿としての共通テストの意義というものに鑑みて,これ以上複雑な仕組みにはすべきでないこと,科目を精査して簡素化すること,こういったお考えが窺われます。
 先ほど申し上げたとおりですけれども,この(4)に整理をされた個別の意見の中にもそういった御意見が多々見られましたので,改めて私の考えを申し上げたかった次第です。ありがとうございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,両角委員いかがでしょうか。
【両角委員】
 両角です。ありがとうございます。
 先ほどのところで,定員の厳格化はやめるべきだという意見が幾つかあったり,あるいは主体性評価について懸念があるというのについては,ここの会議の議論でどこまで中心的なテーマになるかはともかくとして,重要な指摘かなというふうに思いました。
 共通テストと個別試験の役割については,明確化せよという意見もあったり,かなりいただいた御意見に幅があるなという印象を受けました。共通テスト自体はなくしてしまって,全部個別試験でいいんだという意見がある一方で,もうちょっと大学が個別試験との,あるいは共通試験の活用の仕方を明確にしてくれとか,かなり多様な意見があったような気がしますので,この共通テストと個別試験の関係については少し時間をかけて議論したほうがよいかなという印象を受けました。以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,岡委員,今,手が挙がっていらっしゃるので,先にいかがでしょうか。
【岡委員】
 ありがとうございます。国大協の入試委員長をしている岡と申します。
 共通テストと個別選抜の役割の分担の在り方,今発言がございましたけれども,大学入学共通テスト,センターが作る試験を廃止すべきだという意見が317,336等にあるんですけれども,国大協としましては,第一次試験としての共通試験,原則5教科7科目,それに第二次試験としてアドミッション・ポリシーに基づいた学士課程教育を受けるのにふさわしい資質と能力を測るための個別学力試験を実施しておりまして,この組合せは,学力の水準を保証するということと,また多面的,総合的な評価により高い意欲,関心を有する多様な学生を受け入れるためにも非常に重要だと思っておりまして,今後とも堅持すべきだという立場でおります。
 それから,今回のコロナウイルス感染状況のことを考えますと,個別試験よりもむしろ県を越えない共通テストのほうがより安全ですので,感染症が起きた場合のセーフティーネットとしても共通テストが必要ではないか,こういうような考えでおります。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,続いて清水委員,いかがでしょうか。
【清水委員】
 ありがとうございます。筑波大の清水です。(4)の項目についての議論が進んでいますけれども,これまでの議論や,この後出てきます(6)の記述式の導入の内容なども拝見していますと,ウェブ調査のスタイルが8つの項目を事前に選んで,そこに記述するというスタイルでしたので,例えば(4)の大学入学テストと個別入試の関係という,この枠に入らない,内容的には個別入試と共通テストの関係について議論しているような御意見もあります。669件の貴重な御意見ですので,項目ごとの意見の取上げと同時に,個別の意見の中身にまた目を向けた検討が必要だなと思って,個別の意見に対する意見というわけではなくて,全体の進め方というか,そこのところがちょっと気になったので1点申し上げたいと思いました。
 つまり,(6)の記述式のところに,実は共通テストと個別入試の議論が相当色濃く出ているという感じがあった。ですので,今,貴重な御意見ですので,項目の選択プラス意見という形の調査の仕方自体をもう一回見直しておく必要があるかなと思いました。皆さんの御意見を伺っていてそんなことを思いました。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,続いて末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 ありがとうございます。日本大学の末冨です。
 資料2の33ページなんですけれども,一番上の277番の意見と,それから一番下の287番の意見というのが非常に示唆に富んでいると考えておりまして,277番の方,今回の回答者の中で数少ない大学生の方の御意見ですけれども,そもそも先ほどから話題になっておりますセンター試験,共通試験と各大学の個別試験というものについては非常に賛成しておられるわけですが,一番下の287番の方も同じ意見ではあるんだけれども,二次試験での大学教員の作問の負荷を減らすために,ある程度,共通の問題を複数の大学で使用してはどうかという案を提示されてらっしゃいます。
 過去の会議の中でも,私自身も共通テストと二次試験という形で試験を行う場合に,各大学の個別の出題能力の格差というのがかなりあると指摘して参りました。それは大学の教職員数によってほぼ規定されるものですので,いかに現行の共通テストと個別試験という一般選抜の仕組みを維持するかというのであれば,複数の大学の出題体制,あるいは作問能力が厳しい大学が何らかの支援が受けられるような出題体制としないと,高校での学びの蓄積を正しく測定する,あるいは大学入学希望者のスキルレベルを正しく測定する,そして専門分野につなげるという入試の方式にはなり得ないのだと思います。
 あわせて,先ほどから複数の委員が御指摘なさっておられるように,そもそも共通テストで何を測定するべきかというのは,大学入学志望者層の学力の正確なアセスメントに基づかなければ不可能だと考えます。そうした種類の検証が現在の高校生に対しては進んでいない以上,これ以上,何か具体的な提案は言えない状況にあります。そもそも共通テストの在り方というのは,現在の大学入学希望者のアセスメントから始めないといけないという大変大きな話題ではあるんだけれども,それを踏まえた上で,共通テストと二次試験の現行の在り方を維持するのかどうかという中期的な議論も必要になるのであろうと考えました。
 これらのことは恐らく,この会議のみで完結することではないわけですので,この国全体の教育政策に関わるものとして引き継ぎ事項,あるいは申し送り事項のような形で提言に含めることも重要かと考えます。
 以上です。
【三島座長】
 御意見ありがとうございました。それでは,(5)に進みたいと思います。英語4技能の育成・評価についてというところで両角委員いかがでしょうか。
【両角委員】
 私ですか。挙げていないですが,せっかくなので。やはり英語の4技能を共通テストで測るのは,この会議の中でも厳しいのではないかという論調が多くなってきたと思っていましたが,ここの全体的な御意見を見ても,やるなら個別の試験でという論調が多いなという印象を受けましたということです。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。川嶋委員,どうぞ。
【川嶋委員】
 英語4技能ではなくて,1つ前の共通テストと個別入試の話について,1点だけ個人的に少し気になる点がありました。
 33ページに幾つか,280,282番,283番,286番などに共通テストをやめてセンターに戻せとか,センター試験に変えろというお話があるんですが,これは結局,大学入試センターでどれくらいの労力と時間をかけて試験問題が作成されているのかということの情報が全く伝わってなくて,先ほどの入試の在り方のガバナンスとか情報公開とつながるんですけれども,私の理解では2年ぐらいかけて2年後の入試問題を作成しているので,恐らく一部のメディア,有識者等の御意見をそのまま受けた形で御発言されているんだと思うんですけれども,文部科学省とか大学入試センターも,センター試験や大学入学共通テストが,どのような形でどれくらいの期間をかけて問題が作成されているか,きちんと情報公開し,きちんと理解された上で御意見を求めるということが必要かなと思いました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。柴田委員,いかがでしょうか。
【柴田委員】
 柴田でございます。英語4技能じゃなくて,その前の議論,先ほどの末冨先生のお話にあったことと関連するんですけれども,38ページの332番,共通テスト等々についてのことなんですが,ここでこの方は,共通テストで個別入試を代替してということと,説明のところを読んでいきますと,共通テストを高等教育の基礎資料にできるのではないかということを,もうちょっと共通テストを単に選抜ということだけでなくて,有効に活用してはいかがかという御意見があるようにお見受けしました。今後の個別試験と共通テストの関係を考える上では非常に示唆に富んだ御意見ではないかなと思っておりますし,もう一つ,34ページにある295番の方なんですけれども,この方,恐らく共通テストじゃない以前のセンター試験の作問に関わった方だと思うんですけれども,過去のセンター試験の問題を各大学の個別学力試験で活用できるようにしていただきたいと。33年以上にわたる大きなデータベースがあるわけですね。これ,作問の参考にはしているんですけれども,外部には絶対に出せないという形になっていますけれども,そのシステムについてサーバー等々を各大学からアクセスできるようにしたらどうかという御提案もございました。
 恐らく今までずっと奇跡的に円滑にやってきておりますセンター試験のあの膨大な良質の問題というのは公共財でございますので,積極的に活用できる道を今後,新たな入試選抜体制で考えてはいいんじゃないかという御示唆だと思っておりまして,追加させていただきました。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,できましたら(5)で御意見を続けていただきたいと思います。斎木委員,いかがでございましょうか。
【斎木委員】
 ありがとうございます。英語4技能の育成・評価についてでございます。451番で,この方は40代の方で,今持っている資格を使えるようにしてほしいということでございますが,あるいは379番で,こちらの方は50代でいらっしゃって,必ずしも高校生の御意見ということではないんですが,379番,451番の御意見に共通しているのは,既に持っている資格を有効活用させてほしいと。これは恐らく高校生,これから大学受験する当事者の立場からすれば,極めて当然の意見であろうかと思います。受験生の目線ということで考えますと,高校在学中までに培ってきた英語力のスコアをそのまま活用でき,入試にかかる負担がその面で軽減されるということは,他の学力を伸ばすということにもつながりますし,またさらなる英語力の向上に時間を割けるという観点からも大きなメリットになると思います。
 したがって,入試対策に煩わされることなく,総合的な英語力を測る資格・検定試験のスコアを入試の段階においてもしかるべく活用できる制度を構築するということはメリットが大きいと思います。
 そういう意味で,先の決定を振り返りますと,英語の4技能を測るために民間試験や資格試験を活用するに際して,受験回数や受験時期を制限するという結論になったわけですが,この受験回数や受験時期を制限しようということについては多くの方の反対がありました。まさに今,私が申し上げたような受験生の立場からしたときのメリットが全く生かされなくなってしまったというところにもその原因があるのではないかと思います。
 したがって,今後,共通テストの枠組みでの資格・検定試験の活用は困難との見方や御意見が大変多いわけでございますけれども,今後,個別入試で資格・検定試験の活用を推進していく場合に,成績の有効期限等を例えば国として一律に定めるということはあってはならないんだろうなという強い感想を持ったところでございます。ありがとうございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,岡委員,いかがでございますか。
【岡委員】
 英語4技能について国大協で検討していることを少し紹介いたします。
 まず,高等学校段階において英語4技能に適切な指導,評価は非常に重要だという立場でいまして,そのときに大学の教育力を含めて,外国語教育に対してのスキルをもう少し上げなきゃいけないのではないかという意見交換がございます。
 それと,民間の資格や検定試験についても,今後,引き続き総合型選抜・学校推薦型選抜では広く活用する方向で検討,発展していきたいということを述べています。
 それから,先ほどから英語4技能に関しまして,共通テストでやるのか,個別試験でやるのかという話がありましたけれども,それを誰が問題作成をして,どういうふうにして実施できるかということを考えますと,特殊なところを除いて個別試験で英語の4技能を何千人もの受験生に課すというのは不可能な状況だと判断しておりまして,将来的には,CBT等,AI等も含めて,そういう技術が進むことによって共通でできるのではないか,そういうことの技術の発展が望まれるという意見でございます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 ありがとうございます。英語の4技能についてのかなりある意見の中をあえて分けますと,予想されたことですけど,そもそも4技能が必要なのかどうかという原理的な意見がそれなりにあるということが印象深く見ました。
 我々は先ほど岡委員がおっしゃったように4技能は必要だろう,テストで測れるならば測りたいというところなんですけど,現実問題としては本当に必要なのかという議論がまずあるということですね。それを受け止めておかねばならないだろうと思います。
 それから,もう一つは,そもそも4技能に分けて測る必要があるのか。今度は,いわゆるテストとして具体化するときに,現状,想定しているのは4技能のテスト,4技能を含んだテストによって測らねばならないということは本当なのかということは当然あります。
 それから,もう一つは,誰がテストを作成して行うのかということで,民間なのか,あえて時間がかかっても入試センターのほうで行うべきなのかという,そういう論点が幾つかありまして,これはなかなか簡単に方向付けするのは難しいかなという感じがしました。
それから,もう一つ,大変特徴的な意見は,44ページの382の意見なんですけれども,英語の話だけではなくて,本当は国語の4技能ではないのですかという問いかけですね。これはびっくりしたとともに,なるほどなと思いました。もしかすると,我々は英語の4技能をめぐって様々な議論をしているんだけれども,本当に高等教育の内実を考えた場合に,むしろきちっとやらねばならないのは国語の4技能かもしれないという思いを持ちましたので,大変面白い経験をしました。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 末冨でございます。50ページの445番の方の御意見というのがございまして,具体的には沖縄県にお住まいの方からの御意見ですけれども,やはり英語4技能については民間試験利用というのが,特に沖縄県だけではなくて,日本の場合,島しょ部だとか,あるいは交通の便が悪いところに住む受験生というのが相当数いて受験機会に課題があります。このことは,この会議の中でも高校生からの意見としても聞かれたところですので,受験機会の格差の問題はどう考えるべきなのか。特に民間試験利用の場合,改めて重要な意見だと思いました。このほかにも複数,そうした類似の意見がございます。
 前のページに行っていただきまして436番なんですけれども,先ほどの芝井先生の御指摘にもありましたが,4技能を切り分けて育成・評価できるかという問題,あるいはCEFRの対照表と学習指導要領とは対照しているのか,民間試験が本当にそれを正確に測定できているのかという問題,私もこの会議で指摘したことがございますけれども,改めまして,英語4技能の育成や評価の在り方については検討しておく必要があろうと思います。
 とりわけ2020年,今年の8月ですが,日本学術会議から大学入試における英語試験の在り方についてということで,やはり4技能切り分け問題ですとか,CEFRを入試に用いることの問題点なども含めて非常に重要な御指摘がされておりますので,できれば,資料1でお示しいただいた論点別の整理のときに,日本学術会議の提言もふまえ,例えばですけれども,参考人としてお呼びしながら,議論の経緯あるいは提言の内容について確認をさせていただくということも御検討いただけますとよいのではないかと存じます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,今,柴田委員,小林委員の挙手がございますが,もしよろしければ(6)に移りたいんですけれども,(6)は記述式問題についてでございます。ただ,どうしても英語4技能ということでしたら結構ですので,お願いいたします。
 柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 手は下ろしたつもりだったんですけれども,発言したいと思ったのは,43ページの369番に意外な御意見が出ておりまして,4技能の間には相関性が見えるという大学の先生からなんですけれども,他技能の成績から推定したほうが高精度であるという御意見がございまして,これがどういう根拠に基づいておられるのか,たしか東京外語大の林学長のお話だと,4技能それぞれ特色があるという具合に伺ってたものですから,ちょっと聞きたいなと思ったものです。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 4技能については,否定的な意見が非常に多いんですけど,要するに英語を民間試験にするのがよくないということを言っているのであって,むしろこれは,裏を返せば,もしやるのであれば,公的なものを用意したほうがいいということを皆さん言っている。例えば117番の,日本版の4技能試験が必要ではないかという御意見もありますので,それも御検討ください。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。(6)記述式問題の導入に入ります。島田委員,どうぞ。
【島田委員】
 筑波大学の島田です。よろしくお願いいたします。
 この項目には94件の意見をお寄せいただいております。そのほとんどが共通して,採点に公平性が担保できないということを指摘され,よって導入には反対だという結論を導かれております。さらに,記述式問題を導入するならば各大学の二次試験で課すべきだ,というところも大方の意見だったかと思います。いずれもこの検討委員会でなされてきた議論と,方向性において等しかったところかなと読みました。
 その先ですけれども,では,各大学で記述式試験を二次試験で導入するにはどうしたらよいかということについて,問題作成能力が大学によって相当差があるということは,先ほど(4)のところでも287番の方や,末冨先生もお触れになりましたけれども,幾つかの大学,複数の大学が連携して共通の問題を作成するような工夫も必要ではないかというご意見が目に付いたところであります。また,そのときに大学入試センターが何らかの役割を果たせる可能性というのもあろうかと考えました。
 また,501番の方,514番の方は,各大学の問題作成の支援として,財政的な支援を是非すべきだと,私立大学についてでしたけれども,そういうことも言っておられました。大事なご指摘かと思います。
 それ以外には,例えば,これもこの委員会の中で何度か出た話ですけれども,入試の場面で記述式試験を導入するというだけでなく,大学入学後も大学教育のプロセスの中で記述力をしっかり高めていくことが大切であろうと感じたところです。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,続いて川嶋委員,どうぞ。
【川嶋委員】
 大阪大学の川嶋です。英語4技能,記述式も含んでいる話ですが,まずこれまでも繰り返し委員の方々が御指摘されているように,やはり各大学がどういう能力を持った高校生を受け入れるかというアドミッション・ポリシーが一番重要なところで,その上で記述する力,論理的に書く力あるいは英語4技能が必要であれば,どこかで評価するということになろうかと思います。
 今回,英語4技能と記述式については,共通テストで評価するという議論がされていたわけですが,これが日本の大学全体にとっての共通して求める能力ならば,共通テストの中で測る,ないしは自分の大学で必要とする能力だけれども,自分の大学では出題できないということであれば,英語検定試験とか外部にある様々な試験を活用すればいい。ですから,高校の6教科7科目について,全てを出題できないという大学があれば,共通テストで6教科30科目の中から必要な科目を課せばいいと思います。つまり,何でもかんでも自分の大学で全て賄おうという,そういう自前主義というのは今後不可能になるのではと思います。
 それで,先ほど記述式について共通問題を作成するとか,柴田委員からセンター試験の過去問の活用という御意見がございましたけれども,実は記述式については,今回の改革の中で共通テストでは120文字ぐらいまで,より高度な記述式の問題を出すということについては,多くの大学では自分たちで作問できないということを考えて,実は大学入試センターが作問して,それを大学で利用してはどうかという話がありました。
 ただし,これは先ほどの過去問の利用の話もそうなんですけれども,日本の,一斉に入試をしなければいけないという文化から考えると,あるいはこれまで出た問題を繰り返して使うことは公平ではないという入試文化からすると非常に難しい。センターが作った共通の記述式問題,高度な記述式問題を例えば複数大学で導入しようとすると,同じ日に,同じ時間に一斉に始めないと公平ではないという話になってしまいます。過去問の利活用についても,これも日本の人々が過去に出された問題でも,これが大学入試にとって基本的な能力だから,それでいいじゃないか,公平,公正にかかわらず,いいではないか,そういう認識に変わらない限り,この問題は変わらない,なかなか解決はつかないと思います。
 要は,各大学のアドミッション・ポリシーがまず出発点で,そこから自分のところで出せる問題,共通テストで活用できる問題,外部の検定試験で評価できるもの,そういうところをきちんと各大学で考えていただくということがこれからは重要かなと思います。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,(6)記述式について,今手が挙がってらっしゃるのは清水委員でございますが,一応これで区切ってまた次に移っていこうと思いますが,清水委員,どうぞよろしくお願いいたします。
【清水委員】
 ありがとうございます。清水です。今島田委員,それから川嶋委員から御指摘があったのと大分重複していたので短く申し上げようと思います。
 これら94件について,ほぼこの委員会で議論されてきたような観点から,否定的なコメント,国民の皆様の今のお考えはそういう方向なのだなというのを確認した一方で,例えば461番ですとか481番,461番は大学生で,481番は大学の教職員の方ですけれども,やはり思考力というか,記述式の導入は何らかの形で必要であるという形,そしてそれを具体的にどういうふうな方策で可能かというアイディアが出ておりまして,先ほどから指摘されています各大学のアドミッション・ポリシーを改めて点検するということが,今回の記述式問題を契機にもう一回クローズアップされてきたことを踏まえて,少し長期的なスパンで考える問題があるのかなと思いました。
 今回,全般を通して,今度の1月及び第2日程で行われる直近の試験に関する高校生や大学生の不安のようなコメントと,それから少し長いスパンで今後の見通しを検討するようなところが2通り出てきているような感じがしましたので,その辺,住み分けをして議論していくことも必要かなと思いました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,もう1人,記述式でございますけれども,最後,岡委員,お願いいたします。
【岡委員】
 ありがとうございます。国大協も,共通試験については基礎的な学力を測り求め,そして個別試験ではアドミッション・ポリシーに基づいた高度な記述式試験を課すと言っていますので,これで良いのではないかと思っています。
 先ほど川嶋委員から言われましたように,国大協の中でも小さい大学がなかなか高度な記述式問題を作るのが大変だということで,入試センターにお願いしてはということで実は希望する大学を募ったんですが,数大学しかなくて,作成料が非常に高くつくわけです。また,同じ問題で実施する場合,同時刻にやらなきゃいけないとか,いろいろな問題がありますので,これはもう少し検討していただいたらと思っております。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。(6)記述式問題の導入はここまでにいたします。次に,(7)の格差の解消・障害者への配慮のところで御意見をいただきたいと思います。挙手をお願いいたします。
 それでは,斎木委員,どうぞ。
【斎木委員】
 斎木でございます。ありがとうございます。61ページの556番の方,あるいは次の62ページで566番の方から,オンラインについての御意見をいただいています。
 まさに格差の解消や障害者への配慮という点で,オンライン化というのは大変大きな意味を持つと私も考える次第です。556番の方は大学教育のオンライン化,566番の方は受験におけるオンラインシステムの導入とステージングは違うわけですけれども,いずれについても今回,残念ながらコロナウイルスの感染拡大の中で否応なしに導入を進めてきています。まさにこれをチャンスと捉えて,より前向きな制度構築に向けて努力をしたいと考えます。
 現在,文部科学省が通知で求めていることもあり,コロナ対応で総合型選抜などではオンラインによる面接が進んでいると承知しています。まさに宿泊費ですとか交通費の節約という意味で,経済格差,地域格差を和らげる効果が期待できると思います。
 したがいまして,今回のコロナウイルスの感染拡大が終息をしたら,また昔に戻るということではなくて,コロナ後も含めて,格差解消の観点から,例えば受験の際のオンラインによる面接なども積極的に活用すべきではないかと考えます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,宍戸委員,どうぞ。
【宍戸委員】
 宍戸です。特総研の宍戸と申します。ありがとうございます。私のほうからは3点だけ述べさせてください。
 1点目は,554番と555番の方が指摘されておられますが,障害学生支援室を大学のほうで設けてほしい,あるいは発達障害の方が入学後もサポートを受けられるようにしてほしいということかと思います。つまり,これは入試だけの問題ではなくて,大学に入学した後の学習につながることであるということで,そういう視点で入学試験も考えていく必要があるのかなということを考えます。
 2番目は,合理的配慮についてです。567番と573番の方が指摘されております。合理的配慮には,義務と努力義務という区分けがございますが,私学と民間試験においては,これは努力義務に当たりますけれども,やはり十分,受験する側と大学あるいは試験を担当する側での合意形成を図るような努力をしていただけるとありがたいと思います。
 3点目は,580番と596番の方が指摘されておりますが,タブレットの活用です。これは,高校等も含めてかなりこれから流通するかと思いますが,恐らく大学入試センターでも障害のある学生さん,高校生の受験に当たってどういう配慮をするかということが検討されているかと思います。タブレットの活用の経験を大学入試のほうでも生かせるように,情報を提供していただけるとありがたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 末冨でございます。私も554,555番の方の御意見に注目しておりまして,今の宍戸先生の御意見に全くもって賛成でございます。
 あわせて,562番を御覧いただきたいんですけれども,私も,第5回だったと思いますが,会議で御説明申し上げたとおりでして,現行の受験システムというのがどうしても,障害を持っていたり,あるいは女性に差別的であったり,それから障害を持たれている方もそうですし,近年では日本国内で学んでいる外国人児童生徒,外国につながる児童生徒たちの増加もあるということで,外国につながる子供たちの進学機会もまた厳しい状況にございます。
 こうした差別の問題についてどう取り扱うかといったときに,562番の御意見というのは非常に大事でして,明確に差別的な取扱いの排除について項目を設け,属性による差別禁止,テストスタンダードの遵守,それからアンコンシャスバイアスの排除や事後検証可能な入試記録の卒業年までの保存などについて検討,規定すべきであるということは,日本における差別や格差の問題を入試においてもきちんと考え,位置づけて改善していくというために重要であろうかと思います。
 この点につきましては,特に集中的な議論を行う回を設けると座長提案にございましたけれども,やはり経済的な状況や居住地域,あるいは障害や日本語の習得において困難はあるけれども,日本で学んでいる,あるいは性別や地方格差といったものについて一度,集中的な検討をしていただけると幸いです。
 特に外国につながる子供たちの学びの機会につきましては,高校の入試については文部科学省としても改善の通知を出していただいたわけですが,日本学術会議が8月に外国人の子供の教育を受ける権利と就学の保障という提言の中で,大学についても定員や入試の在り方を検討すべきであるという方針を示しておられますので,この点も踏まえて本格的に一度,検討を行う必要があると考えております。
 あわせて,話しが戻るんですが,センター試験のデータですとか過去問の取扱いについてのお話がございましたが,私の記憶では,センター試験の過去問利用は既に解禁というかオープンになっていたのではないかと思うので,この点は山本理事長に御確認いただきたいなと思います。
 あわせて,もしも大学入試のオンライン化に向けて,時間がかかるのであれば,現行の高校就学支援制度の大幅な改善,大学進学希望者であるかどうか,あるいは居住地域に応じた加算というものも検討されるべきであると考えます。これは入試とは別ですけれども,重要な論点かと思い,議事録に残していただきたく存じます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。それでは,山本理事長,今の過去問の利用のことについての経緯というのはいかがでございましょうか。
【山本オブザーバー】
 ありがとうございます。過去問の件ですが,センター試験の作題の中でも過去問利用を可としております。使ってもらっても結構です。全く一緒のものじゃなくて,ほぼ傾向が似ているというような題材,そういったことも含めて過去問利用は可としております。各大学の個別試験で使っていただくことについては,これまでの問題は全て公開しておりますので,使っていただいても一向に構いません。これは使うことはできませんよなんていうことは一言も言っていないので,御自由にお使いいただいたらよろしいかと思います。
 先ほど柴田先生が言われたような形というのは,恐らくセンター試験の過去問を1つのデータベースにして,検索機能でも付けて,例えば歴史の問題ですと時代とか,あるいは地域とか,そういったことの検索機能を付けて自由にアクセスできるような,そういうデータベースを構築してくださいという話であると思いますが,これは今そのようなものはございません。ただ,過去問を使うということについては,今禁止をしているわけでもないし,共通一次試験の時代も含めてですけれども,過去のセンター試験で出した問題をうまく活用するということについて何ら禁止しているものでもございません。
 ただ,先ほど川嶋先生がおっしゃったように,過去に出た問題が,同じような傾向の問題が出てきたということについての社会の受け止め方,こういったことがまだまだどうなのか,言われたら嫌だなということで,お使いになられる作題自体もほとんどないというのが現状です。こういったことでよろしいでしょうか。
【三島座長】
 理事長,ありがとうございました。重要なことかと思いますので,御説明いただいてありがとうございました。
 それでは,あと,時間がかなり押しておりますが,4人の方の挙手が挙がっております。ここまでとさせていただきますが,できるだけ手短にお願いします。というのも,最後に山本理事長に,今日のいろんな意見を聞いての感想を伺いたいなと思いますので,手短に4人の委員にお願いしたいと思います。
 初めに,芝井委員,どうぞ。
【芝井委員】
 芝井です。61ページの561番ですけれども,なるほどなと思いました。配慮でなくて,合理的配慮としっかり書いてくださいということですが,勉強させてもらいました。
 次の,先ほどから問題になっています562番の問題。私たちは障害者への配慮,障害者への合理的配慮,あるいは一般的な公平性ということを考えるのですが,この間起きたいろんなことを考えてみますと,もう少し深く考えないと,女性の差別の問題も含めて,深く考えてみないといけないということを突きつけられていると思いますので,この問題はかなり根が深いと思っています。
 それから,もう一つは,いろんなところで出てくる公平というものとは別に,ある種のポジティブアクションの可能性ということも実は入試のほうから考えておかねばならなくて,一部,私たちの大学でも行っていますし,幾つかの大学で行っている難民対象の入試のようなもの,こういったものも本当は高等教育の機会を広く開放するという観点で必要なポイントかと思っています。
 それから,最後に581番なんですけれども,これも少し観点が違うんですが,今年のコロナ禍の中で,受験生の状況の中にかなり大きな格差が生まれたという指摘です。これは頭の中に置いておかなくてはならないと思いました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,続いて川嶋委員,お願いいたします。
【川嶋委員】
 川嶋です。末冨委員とか,今の芝井委員の御発言と趣旨は同様なんですけれども,これまでは,障害がある受験生に対しては合理的配慮を求め,それを各大学が実施してきたわけですけれども,地域とか家庭の経済的な格差についても,今後,いわゆる合理的配慮はどのようにすべきかということをきちんと議論すべきだろうと思います。
 それに関連して,項目としては遡ってしまうんですが,例えば24ページの209番とか,26ページの220番に,段階別評価に反対し,素点評価,1点刻みの入試にすべきだという御意見がございます。この中では入試を,スポーツに例えておられるんですけれども,スポーツにもいろいろありまして,100メートル競争のように,秒差で1位,2位,3位が決まるものもあれば,例えばフィギュアスケートのように審査員,つまり人が判断するというスポーツもあります。ので,一概にスポーツに例えて1点刻みが当然じゃないかという御意見はいかがなものかと思います。そのために,今では総合型選抜とか学校推薦型選抜があって,人が人を評価するという多面的な評価ということになっているかと思います。
 ただ,ここで注意しなければいけないのは,例えば総合型選抜で海外留学の経験を評価するという際には,どうしても家庭の経済格差が影響していますので,評価の際に,人が評価するときには,公平,公正の観点から評価していく必要があるのだろうと思います。
 それについて,一般選抜でも総合型評価しなさいということになっていますが,これについては別の会議で議論されていますので,今日の座長から示されたアジェンダにもありますように,その審議経過,検討経過については,どこかの時点でこの会議にインプットしていただければと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,萩原委員,どうぞ。
【萩原委員】
 萩原です。格差の解消ということで,例えば580番のところではGIGAスクール構想に関して記述がありますが,実は高等学校に関してはGIGAスクール構想の中では回線を太くするということです。端末については今,国のほうでは動きがあるようですが,1人1台については,GIGAスクール構想は義務教育という枠組みでやってきました。ということで,なかなか高等学校に関しては,タブレット等々を1人1台持てる体制になってくるのはまだかなり先のこと。入試では今回,オンライン入試を,という形でかなり進められていますけれども,かなり学校による格差,また地域による格差が存在しているということで,今後,ICTを使った入試体制を整えるということであれば,全国的に,そろっている部分,今後そろえていく部分,それに伴って,高等学校の教育そのものも,ICTを活用した教育ということで,定着をしてくれば,入試にも将来的には使えるかもしれませんが,早急に入試で使うに当たっては,もう少し慎重に考えていかなければならない部分があると思っています。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,最後でございます。柴田委員,どうぞ。
【柴田委員】
 簡潔に申し上げます。
 ここの格差のところでは1項目だけ,62ページの565でございます。主体性評価の導入について経済格差が顕在化するという視点で御指摘がございまして,これはなかなか重い話だなというところです。
 と申しますのは,この意見聴取の中で,主体性についていろんな角度からいろんな御意見,主に高校の先生方から評価とか,そういうことでつながりが難しいということの御指摘が20件以上出ているように思いますけれども,今後はそれこそ,総合的,多面的な評価のところで,これは十分考えていかなきゃいけない。第3の,学力の主体性というところをどう捉えるかという問題になろうかと思いますので,発言させていただきました。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,大体ほとんどの皆様から御意見をいただけたかと思います。残りが六,七分でございますけれども,先ほど申し上げましたように,入試センターの山本理事長,御感想をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【山本オブザーバー】
 ありがとうございます。全ての委員の方々から大変貴重なご意見をお伺いしました。やはり一番の論点と言いますのは,それぞれ重要な観点なんですけれども,我々にとって重要だなと思うのは,大学入試センターが実施するというか,これは実は,冒頭というか6回目の会議等で申し上げましたように,各大学が共同して実施する試験なんですね。ですから,この枠組みその他諸々も,各大学が共同して立案・実施していただくということだろうと思うんですが,共通の部分を大学入試センターがするということです。大学入試センターが決めた科目であるとか,あるいはセンターが決めた方法で各大学が実施しているということではないということにまず御留意いただきたい。そうすると,各大学と共通テストとの役割分担というのもおのずとはっきりしてくるのではないか。
 そういう中で,共通的に,今日も話が出ましたが,基礎的な学力をきちんとここでまず見て,その後,APに照らして各個別試験で足らないところを見ていくんだということを社会全体として共有していただいて,これから議論を進めていただくのがよろしいかなと思いました。それぞれ大変貴重なご意見御です。それから,文部科学省のほうで膨大な資料をまとめていただいた調査資料等,参考にさせていただきたいと思います。
 それから,今日,センター試験の科目数がどのぐらいあるのかなど,幾つかセンターに対する御質問のようなものもございましたが,お手元に配付されております参考資料2,大学入学者選抜関連基礎資料集というブルーの色がかったセットがございます。この100ページから108ページあたりに,今日御質問があったようなことについても書いてあります。これは本検討会議の6回目でしたか,当方から少し話をさせていただいた内容のスライドが載ってございますので,科目であるとか,どのぐらいの時間をかけて問題を作っているのか,その他,作題の考え方はどうなのかといったことが書かれております。またこれを御参考にしていただきたいと思います。本当に今日はありがとうございました。
【三島座長】
 こちらこそありがとうございました。
 それでは,7まで来ていたんですが,8のその他というのがまだ残っておりました。資料2の66ページ以降がその他でございますが,ここの意見で何か御意見を賜れれば挙手をお願いしたいと思いますが。時間が足りなくて申し訳ございませんが,よろしくお願いします。
 それでは,末冨委員,いかがでしょうか。
【末冨委員】
 私が先ほど7のセクションのところで申し上げ忘れたことがございまして,全体にわたってなんですが,特に1つ気になったのが高大接続改革を進めて記述式,英語4技能試験を含めて試験を精密にすればするほど,実は社会人,既卒者の学びというのが難しくなっていくのではないか,入学自体を難しくしてしまうのではないかという御意見が全体を通じて目についたものの1つなんですね。大学入試がいかにあるべきかというときに,障害を持った受験生もそうですし,外国につながる受験生,地方につながる受験生もそうなんですが,一度,高校を卒業して,あるいは高卒資格を持って社会に出たけれども,また大学で学びたいという場合の能力の確認を大学入試の枠組みの中でいかに位置付けるかということがなければ,これからの時代の大学の学びというのは成り立っていかないのだろうと考えますので,併せて既卒者への対応ということも論点としてお考えいただければと存じます。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,芝井委員,いかがでございましょうか。
【芝井委員】
 ありがとうございます。その他の番号で言いますと613のところですが,これはきちっと書き切れてないのかも分かりませんけれども,大学の在り方と入学試験との関係が書かれているんだと思っています。つまり,現状は,入るのは難しいんだけど,出るのが易しい大学になっている,そういうことが背景にあって入学試験の問題というのは,ある面で言うと過剰にスポットライトが当たって,ごく小さな差であっても公平でないということが言われるような状況になっているということを端的に表している,そういう批判だろうと思っています。逆に言うと,大学の在り方も少し変わっていかないと入試の在り方はあまり変わらないという可能性はあるのかなという感じがしました。
 それから,もう1点ですけれども,69ページに630というのがありまして,これは検討会議の即時解散を求めますという御指摘です。読んでいただいて,私たちとして考えるべきこともあるのかなという感想を持ちました。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。それでは,最後にしたいと思います。柴田委員,よろしくお願いいたします。
【柴田委員】
 失礼します。最後ということでありますけど,69ページの631と632を御覧いただきたいと思います。これは同じ方が分けて書いてあるんだと思いますけれども,今後の大きなお話で,減点主義と完璧主義による採点か,規準と基準で評価する採点への移行を進めるべきという,今後の我々の検討方針についての御示唆と考えておりまして,こういう視点もあるのかなと思って拝見した次第でございます。
 以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは,まだあるかと思いますが,時間が来てしまいましたので,ここまでとさせていただきたいと思います。
 それでは,武藤企画官から次の日程等,御紹介いただければと思います。
【武藤高等教育局企画官】
 次回,第15回の会議は,皆様の日程を調整の上,改めて御連絡したいと思います。ありがとうございます。
【三島座長】
 それでは,本日は以上とさせていただきたいと思います。多数の有益な御意見をいただきましてありがとうございました。以上でございます。

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