大学入試のあり方に関する検討会議(第6回)議事録

1.日時

令和2年4月23日(木曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省15階特別会議室

3.議題

  1. 来年度大学入学者選抜における新型コロナウイルス感染症への対応状況
  2. 外部有識者・団体からのヒアリングについて
  3. 英語4技能評価及び記述式問題の実態調査の進め方について
  4. 委員からの意見発表
  5. 大学入試センターからの説明
  6. 自由討論

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、荒瀬委員、宍戸委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、圓月委員(芝井委員代理)、柴田委員、萩原委員、吉田委員、牧田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

萩生田文部科学大臣、佐々木文部科学大臣政務官、藤原事務次官、伯井高等教育局長、角田文部科学戦略官 他

5.議事録

【三島座長】
 それでは,改めまして,皆様,こんにちは。定刻となりましたので,ただいまから第6回の大学入試のあり方に関する検討会議を開催いたします。
 前回会議に引き続いて,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,Web会議方式での開催となってございます。委員の皆様には御参加いただき誠にありがとうございます。音声などに不都合はございませんでしょうか。皆様,大丈夫でしょうか。
 それでは大丈夫なようでございますので,本日の議事でございますが,議事次第にあるとおりでございます。
 本日も,傍聴者,報道関係者の入室は認めず,ライブ配信での公開としたいと思います。後日,議事録をホームページに掲載することとしたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 それでは,どうぞよろしくお願いいたします。
 まず会議の開催にあたり,萩生田文科大臣から御挨拶を頂きたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 お忙しい中,第6回の大学入試のあり方に関する検討会議に御出席いただきありがとうございます。
 本日も前回に続きWeb会議方式での開催となります。委員の皆様,また,インターネットで傍聴されている皆様の御理解を賜ればありがたく存じます。
 本日も有識者委員の皆様からの意見発表が予定されていると伺っています。引き続き建設的な御意見を賜れば幸いです。
 なお,前回御懸念のあった来年度入試の対応については,後ほど事務方からも説明をいたしますが,現在,総合型選抜と学校推薦型選抜の出願時期の在り方について関係団体から意見聴取を行っているところであり,調整が整い次第速やかに周知したいと考えています。
 新型コロナウイルスの影響を考えた入学者選抜の見直しについては資格試験や就職活動なども関係してくるため,政府全体,経済界も含め,社会全体で課題を共有し,同じカレンダーを持って検討していく必要があると考えております。この会議に先立ち,先ほど経団連とのテレビ会議の中でも改めてそのことを確認させていただいて,就職機会の配慮をしていただきたいということで,経団連側も各企業にそういった申入れを既にしていただいているという確認をしたところです。
 また,本日は今後の外部ヒアリングや委員の皆様から御提案のあった実態調査についても議論されると聞いております。第1回の会議でも申し上げたとおり,本検討会議では様々なデータをオープンにして議論していくことが重要と考えておりますので,こちらについても忌憚のない御意見を頂ければ幸いです。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
 それでは,議事に入る前に事務局から何かございましたらお願いいたします。武藤企画官,お願いします。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼します。私も,今日,コロナの感染拡大防止の観点から別室で御説明いたします。
 まず,本日,欠席が斎木委員,芝井委員。芝井委員の代わりに同志社大学の圓月委員に入っていただいております。
 それから,三島座長には文科省の会議室にお越しいただいておりますけれども,こちらの会議室でも密集を防ぐなど感染予防策を取っております。
 そして,前回の会議と同じお願いで恐縮ですけれども,Web会議とライブ配信を円滑に行う観点から,事前にお配りしている留意事項を踏まえまして,分かりやすい御発言をお願いいたします。
 また,本日の意見発表の先生方ですけれども,お一人10分程度の持ち時間が残り3分になった時点と,持ち時間が終わった時点とで画面の前に札を挙げさせていただきますので,恐縮ですけれども,どうぞよろしくお願いします。
 最後ですが,本日,テレビ会議システムに若干不調が生じております。お聞き苦しいところなどあると思うのですけれども,どうぞ御容赦をよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,議事に入ります。まずは,議事の1番,来年度大学入学者選抜における新型コロナウイルス感染症への対応状況ということでございます。前回,複数の委員より御懸念が示されましたので,現時点での対応状況について,事務局より説明をお願いしたいと思います。
 それでは,西田大学振興課長,よろしくお願いします。
【西田大学振興課長】
 大学振興課長の西田でございます。前回の検討会議におきまして,吉田委員や萩原委員などから御指摘のありました今般の高等学校等の臨時休業に伴う令和3年度大学入学者選抜における対応につきまして現状を御報告させていただきます。
新型コロナウイルスによる臨時休業が続く中,事態の重大性,緊急性に鑑みまして,文部科学省としても何より受験生第一の立場に立った配慮措置を講じていくことが重要というふうに考えております。当面,特に9月以降に出願が始まる総合型選抜,これまでAO入試と言っておりましたが,この総合型選抜や,11月以降に出願が始まる学校推薦型選抜,これは以前の推薦入試でございますが,これらにつきましては,受験生が大きな影響を受けることが予想されます。具体的には,中止,延期等となった各種競技大会や文化活動,資格検定試験などに参加できなかったことや,出席日数や特別活動等の記録が少ないことをもって,高等学校における部活動等の諸活動の実績の評価や調査書において,特定の受験生が不利益を被ることがないようにすることが肝要というふうに考えております。
 このため,出願時期や選抜基準,選抜方法につきまして,高校,大学関係団体等から意見聴取を行いつつ,各種大会や検定の実施状況や感染症の終息状況を見極めながら,各大学に対し,配慮いただきたい点などを検討,整理する必要があるというふうに考えております。このうち,現時点で配慮をお願いしたい事項につきましては,調整が整い次第,速やかに各大学等に周知をさせていただきたいというふうに考えております。
 また,一般入試も含めた大学入学者選抜全体の対応につきましては,例年であれば,大学入学者選抜実施要項を6月頃に各大学に通知しているところでございますが,こうしたスケジュールには必ずしもとらわれずに,臨時休業等の状況等に応じて受験生第一の立場に立って,高校,大学関係者等と十分相談をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
 私からは以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,議事の2番目でございます。外部有識者・団体からのヒアリングについてでございます。前回の委員からの御意見を踏まえ,案を見直しましたので,まず事務局から御説明をお願いしたいと思います。武藤企画官,よろしくお願いいたします。
【武藤高等教育局企画官】
 前回の御意見を踏まえて修正いたしましたので,変更点のみかいつまんで御説明します。
 まず1の選定の視点というところですね。選定の視点を列挙してございますけれども,マル8ということで,改革を進めている大学の取組というのを追加しております。それから,マル9で地方教育行政と並べて,高校の先生方の御意見という観点を付け加えております。また,マル10で,高校生・大学生の意見というところに経済的に困難な状況にある方ですとか,留学経験者を含むという文言を追加してございます。
 それから,今後の進め方でございますけれども,まずマル1で5月中旬から四,五回程度に分けて実施というふうに記載しています。前回は二回から三回というふうにあったわけですけれども,あれは民間テスト実施団体ですとか,受験産業などは数も多いので,事務局でヒアリングを実施して検討会議に結果を報告してはどうかという御提案だったんですけれども,こういうことも含めて,この検討会議本体でやるべきという御意見がございましたので,その分,回数が追加されているということでございます。詳細は今後の調整と思っております。
 マル2とマル3は一緒でございまして,マル4ということで,今後,適当な段階でウェブを通じて意見募集を行うことも検討するというところを付け加えてございます。これは例えば社会人から意見を聞くべきではないかとか,あるいは大学関係団体だけでは大学の御意見を全て聞き取れないのではないかとか,あるいは高校生もいろいろな高校生がいらっしゃいますから,ウェブで意見募集を行うことによって少しウェブで回答してもらうときに属性も含めて回答してもらうことによって,幅広に意見集約をお願いできるのではないかということで,マル4を付け加えてあります。
 裏面,あるいは2枚目に参りまして,ヒアリングの聴取項目ということで,ほとんど前回と一緒でございますが,2ポツの個別項目の「英語によるコミュニケーション能力の育成・評価」というところのマル3の最後のところ,「いわゆる利益相反に関する懸念」というものを,委員からの御指摘を踏まえて付け加えております。
 それから,確か渡部委員からだったと思うのですけれども,この聴取項目は,全ての方に提示してみるべきであると。分からないところとか,答えられないところは,それはそれでそういうふうに示していただければいいのではないかということでございましたので,ただ,15分で限られた時間ということもありますので,一旦,これで出させていただくということで,実際に個別,個別にヒアリング対象者の方々とやり取りする中で,自分としてはこれは話せないとか,あるいはこれらに加えて,こういうことも話したいんだとか,そこらあたりは,最後はヒアリング対象者との個別のやり取りになるかなと思っておりますが,御指摘を踏まえて対応したいと思っております。
 以上でございます。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明に対する御質問あるいは御意見がございましたら発言をお願いしたいと思います。発言を希望される方は先ほどと同様,挙手の意思表示をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。益戸委員ですか。挙手をなさっている方。それでは,益戸委員,お願いいたします。
【益戸委員】
 ありがとうございます。益戸です。
 ある企業のトップの方がこんなお話をしておりました。自分たちは知識は求めていない,知恵を出せる人を求めているんだという御意見がありました。先日,企業人は入試の中身を知らないという委員からの御意見もございました。確かに私たち民間企業の人間は入学試験の中身については詳しくないかもしれませんが,企業人は大学卒業後に必要な資質が変わってきているということを痛感しております。したがって,どんな資質・能力がある学生を大学入試の段階で選抜すべきかということを考えるにあたっては,こうした企業人の意見も入れるべきではないかと考えておりますので,ぜひ外部からのヒアリングにおいては経済団体からの意見も聞いていただきたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。牧田委員でしょうか。
【牧田委員】
 牧田です。
 今ほどの益戸委員の意見におおむね賛成なのでありますけれども,ヒアリングの対象は経済団体のトップというのはどうかなと思っていまして,その辺のセレクションについては少しお考えをいただきたいと思います。
 以上です。
【三島座長】
 ありがとうございます。ほかに御質問,御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,外部ヒアリングにつきましては,本日頂いた御意見も勘案しつつ,私と副座長とで相談の上候補者を決めて個別に依頼を行いたいと思いますけれども,よろしゅうございましょうか。
 ありがとうございます。
 それでは,議事の3番目に参ります。前回の会議において,複数の委員から御意見を頂戴した大学入学者選抜における英語4技能評価及び記述式問題の実態調査の実施等について案を作成いたしましたので,まず事務局から御説明を頂きたいと思います。武藤企画官,よろしくお願いします。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼します。資料2でございます。
 今,座長からございましたように,前回の議論で私大協がおやりになった調査を巡りまして,いろいろな議論が展開されて,国公私を通じた調査を国が音頭を取ってやるべきだと,こういう御意見になったかと思っております。また,もともと初回の会議でも萩生田大臣のほうから,実態をありのままに把握して,そして,検討会議の議論に反映させるということの重要性についても発言があったところです。こういうことを踏まえまして,資料の2としてまとめているものであります。
 まず最初のボックスのところですが,趣旨として,英語4技能の評価,あるいは記述式の出題を含めた大学入試の在り方について,エビデンスに基づいた検討に資するために,令和2年度入試,これは直近の入試でございますが,直近の入試の選抜区分ごとにセンター試験と個別試験の役割分担,それから英語資格検定試験の活用状況,あるいは記述式の出題状況等について調査を行うと。これは入試の選抜区分ごとの調査というのはかなり数も多うございますので,通常であれば,1か月程度,文科省,よく調査するんですが,2か月程度の余裕を持った調査期間を設定してはどうかということでこれは仮置きでしているものでございます。具体的な調査項目は以下のとおりというふうになっておりますが,今後,委員の協力を得て,専門的にもう少し検討して調査項目を設定したいと思っておりますが,取りあえずのものを御説明いたします。
 まず,基本データということで,選抜区分名,その選抜区分がどういう学部,学科の下にぶら下がっているのか。そして,その学部や学科はどういう種類の学科系統なのかということを分析すると。それに加えて,その選抜区分の入試形態,一般なのか,AOなのか,推薦なのか。そして,募集人員,志願者数,合格者数,入学者数等。そしてさらに,4技能ですとか,あるいは思考力,判断力等を,ディプロマポリシーですとか,カリキュラムポリシー,あるいはアドミッションポリシー,さらには出題方針等々に示しているかどうかということも併せて取っていきたいというふうに思っております。
 加えて,センター試験を活用しているかどうか。活用しているという場合には,いわゆる資格試験的な利用をしているかどうか。合否判定に利用する科目,あるいは科目数はどうなっているのか。外国語はどうなっているのか,こういうことを聞きたいと思っております。併せまして,それでは,センターに加えて個別の検査をやっているのかどうか。センターと個別,両方やっているところもあれば,個別だけのところもあるかと思いますが,個別の検査をやっているかどうか。やっているのだとすれば,科目と科目数はどうなっているのか。こういったことも聞くことによって,センター試験と個別学力検査の役割分担についての議論に資することができると考えております。
 4番目が,英語資格検定試験の活用ということで,活用しているとお答えになっている選抜区分に対してはそれが出願資格になっているのかどうか。あるいは具体の活用方法として,例えば個別試験の英語は免除にしているよとか,あるいは加点だとか,みなし得点だとか,あるいはある程度の点を取れば,個別試験が満点という扱いにしているところもございます。いろいろなものがありますので,活用方法を聞いてみると。また,活用する実際のテストの名前,スコアの標準化の方法,成績の有効期限,あるいは経済的な事情ですとか,地理的な事情でどうしてもスコアが提出できないという学生さんに対して,何らかの代替措置というか,あるいは救済措置というか,そういったものが設けられているかどうかということを聞いてはどうか。例えばスコアが必要な選抜区分に加えて,スコアが不要な選抜区分も設けてあげるとか,あるいは高校が英語の能力を証明してあげる,あるいは何か面接を実施したりして,英語力を測ってみるとか,何らかの代替措置が設けられているか。
 そして5番目,記述式ですけれども,これについてはいろいろなこれまでの委員の御意見も踏まえて,国語とか数学だけではなくて,全ての教科,科目を対象にして,回答形式の分類ごとに一体どういう記述式が出題されているのか。客観式なのか,短答・穴埋め,短文,長文・小論文,いろいろありますけれども,どんな記述式が出ているのかというのを把握してはどうかということでございます。
 最初のボックスの最後の黒丸に戻るのですけれども,この調査のもう少し詳細な部分の設計にあたって,これは座長とも御相談の上で,7名の委員の先生方の専門的な知見も頂きながらやりたいと思っております。具体的には川嶋先生と島田先生,清水先生,末冨先生,両角先生,渡部先生,柴田先生,以上7名の先生方に見ていただきながら設定してはどうかというふうに思っております。
 説明は以上でございます。
【三島座長】
 御説明,ありがとうございました。
 それでは,ただいまの資料2に基づく御説明でございますけれども,御質問,御意見がございましたら,挙手のサインをお願いいたします。この件につきましては,実は末冨委員から資料が出てございます。お手元の資料の中に委員提出資料というのがございますけれども,末冨委員,何かこれについて御説明いただけるでしょうか。
【末冨委員】
 末冨です。実態調査の必要性については私自身もエビデンスベースと,エビデンスを大事にということは申し上げましたけれども,先週の会議でも,斎木委員,益戸委員のほうから御指摘を頂いたとおりです。小林委員からももう少し詳しい調査をということが以前御指摘あったと思うんですけれども,これを受けてお配りいただいている意見書を座長と事務局宛てに提出させていただきました。
 時間の都合もありますので,資料の2枚目から参りますけれども,特に悉皆での調査を行うということを大事にしていただきたいということで,今の調査の方針を伺って,その部分はぜひ意を酌んでいただけたかなということです。
 もう一つが,専門性を持った委員の協力ということについても,お願いできませんでしょうか。私自身は高等教育の専門家ではありませんので,この検討会議の委員の幅広い御協力が得られているということについては非常によいかと思います。
 また資料の3ページ目の(2)ですけれども,私自身も日本の大学入試で例えば受験生の社会経済的な背景を踏まえたアドミッションポリシーや入学選抜の実態に関しての調査をというふうに申し上げたわけですけれども,私自身も実は実態が分からないんですね。聞いた限りにおいて,困難を有する成育状況にあった受験生を考慮する入試があるというふうに支援団体さんですとか,スクールソーシャルワーカーの方たちがおっしゃっている入試形態はあるんですが,それが実際の大学行政においてどのような運用がされているのか,どういう基準があるのかということはつまびらかではありません。実態が明らかではないからこそ,改めて,この調査において位置づけていただきたい。
 ただ,拙速に,だからこういう入試をすべきだというふうに私は思っておりません。むしろ,例えば外国につながる子供たちや困窮家庭,障害を持った学生もそうですけれども,多様な学生のバックグラウンドをどのように位置づけながら実際の入試が行われているのか,あるいは行われていないのかと。まず,そこからの把握をして,着実に,先週の言葉で申し上げれば公正に向けてということですけれども,公正な入試とは何であろうかということを考える足がかりにしていくような意味合いが大事ではないかということです。改めて受験生の社会経済的な背景を踏まえて,アドミッションポリシーや入学者選抜の実態に関して調査を行っていただきたいなというふうに思っています。
 これについては川嶋先生からも,たしか第1回の会議で受験生のバックグラウンドの違いをどういうふうに考えるのかということは御指摘があったはずですし,それから,前回,斎木委員のほうからもSDGsの話がされたと思うんですが,SDGsの第1目標は,当然のことながら,貧困をなくそうということですし,SDGsの目標の4番目ですね,全ての人に質の高い教育をという目標も掲げられておりますので,そうした文脈からもぜひお願いしたいなというふうに思います。
 併せて説明しておくと,先ほど事務局のほうでも御説明があったとおりで,英語民間テストの活用の形態ですとか,記述式も可能な限り多様な視点からというふうにお願いをできればというふうに思います。
 取りあえず以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは挙手を…。まず小林委員,お願いいたします。
【小林委員】
 前回の私大協についてのアンケート調査の結果に,質問がありましたが,あのアンケート調査は回答率を増やすために10問程度ということで限定した質問でしたので,本来はきちんとした実態調査が必要かと思いましたが,この内容でしたら皆さん答えられるような内容かと思います。
 あと一つ懸念があるのは,最終的に報告するときには匿名化していただかないと大学のほうも答えにくいと思いますので,最終的には匿名化するということを明記していただきたいのと,あと自由記載欄をぜひ設けていただければと思います。皆様,この中では答え切れない思いがたくさんあるかと思いますので,ぜひふんだんに自由記載欄を設定していただければと思います。
 あと,英語資格検定試験のことですけれども,これは共通テストで採用されて,成績提供システムから(成績を)頂けるということを前提にして各大学は次回入試の設計をしていたので,それがないということでやめたところも結構多いかもしれませんので,その前提条件を少し考えていただければと思います。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。それでは続いて川嶋委員,お願いいたします。
【川嶋委員】
 ありがとうございます。川嶋です。
 先ほど事務局から詳細について検討するグループに入れというお話もありますので,具体的には今後,私を含めて7名の委員の方々で具体的な項目,あるいは調査の実施方法については議論すればいいと思うんですが,1点だけお願いしたいのは,本日,代理で出席されている圓月先生が座長の大学入試における多面的な評価に関する有識者会議というのがございまして,前回は柴田委員のほうから,公立大学協会における調査書の活用等についての調査結果の御報告がありました。この会議では基本的には英語4技能と記述式の在り方について検討するということが主たるミッションですけれども,あちらの多面的な評価についての有識者会議でも調査書の活用とか,どういう内容を記載すべきか等についても実態調査等が必要になってくると思うのですが,別々にそれぞれから大学に調査しますと,これは二度手間,三度手間になりますので,ぜひもう一つのほうの会議と調整していただいて,大学に調査をかけるときには一つの調査として出していただきたいということと,末冨委員の最後の文章に書いてありますけれども,今大学がコロナ対応で,要するに,授業をどうやって質を保って予定どおり実施するかということについて非常に苦心しているところでもありますので,発出時期についても少し考慮が必要かなというふうに思います。
以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それではほかに御意見,御質問ございますでしょうか。挙手のサインが今ついておりませんけれども,ございましたら,お願いいたします。よろしいですか。どうぞ。
【清水委員】
 すみません。筑波大学の清水です。
 1点目は先ほど川嶋委員が言われたことと同じで,新型コロナウイルス対応で,今オンライン化の授業対応等で大学は非常に忙しい状況になっていますので,少し余裕を持った,2か月程度という余裕を持った期間で取っていただければというのが1点。
 二つ目は,5番にあります記述式ですけれども,この後時間を頂いて発表させていただきますが,教科レベルに少しブレークダウンしてみることが非常に大事だと思っていまして,記述式というと,小論文ですとか,国語の論述というふうにすぐ見てしまいますけれども,少し記述の質を見ておく必要があるように思いますので,その点もお願いしたいというふうに思います。
【三島座長】
 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
 それでは,ないようでございましたら,実態調査の実施につきましては,今頂いた御意見も勘案しつつ,そして各委員の御協力をいただきながら,私と副座長とで相談の上,その対象や質問項目を決めて実施したいと思いますが,よろしいでしょうか。もちろん先ほど武藤企画官からございましたように,川嶋委員,島田委員,清水委員,末冨委員,両角委員,渡部委員,柴田委員の7名の皆様に御協力をいただくということで,どうぞよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは,次に議題の4番目でございます。委員からの意見発表でございます。ここのところ,これをやってまいりましたが,本日は清水委員,益戸委員,そして渡部委員の順番に,お一人10分程度で意見発表をお願いしたいと思います。各委員の発表終了後にまとめて質疑の時間を取りますので,清水委員から,それではよろしくお願いいたします。
【清水委員】
 ありがとうございます。
 それでは,お手元に資料がおありかと思いますので,これに基づいてお話しさせていただこうと思います。
 これまで本会議では,英語4技能と記述式の出題をめぐって検討過程の検証ですね。それから,その問題をいろいろ検討する中での論点や議論すべき柱立てが整理されてきました。既に個別入試と共通テストとの関係の整理ですとか,公正な大学入試の在り方等,非常に大きな議論になっています。個別の英語4技能や記述式の問題もそういった大枠の文脈で検討すべき課題だと思うのですけれども,今日は限られた時間ですので,特に数学の記述式の問題をめぐって,敢えて問題を特化して,その前提となる理念,目的,そして試行調査を経て今日に至っている過程を振り返りながら,言わば数学側からの私見を述べさせていただきたいというふうに思っています。それが0と書きました本発表の立場ですけれども,この背景には,前回,国語の立場から御発表された島田先生の国語の場合と数学の場合とでは教科の特性の違いもありますし,記述式問題という場合の記述の内容も相当違います。それから,制度設計にもここまで来るのに違いはありますので,両者を安易にくくってしまうと,少し見えにくくなってしまう問題があるというふうに考えていますので,今日はその辺を配慮しながら,前提を少し確認しながらお話しさせていただきます。
 資料2ページ目には大学入学共通テストの実施の趣旨というのがあります。改めて御説明するまでもないと思いますけれども,高校レベルの基礎的な学習の達成度の判定と大学で教育を受けるに必要な能力というここの整合性をどう図るかというところが大きなポイントかというふうに思います。
 それから,大学入学共通テストは,知識・技能のみならず,思考・判断・表現という新しい要素も問うということになっていますので,この辺をどう位置づけるかというのが大事なことだと思います。
 さらに3ページ目には具体的な問題作成に関する基本的な考え方がありますけれども,ここでは問いたい力を明確にするということで,特に二つ目の白丸のところにありますけれども,大学教育の基礎力となる知識・技能や思考力・判断力・表現力を評価する,そういう問題作成をするということ。これはある意味,知識・技能や,思考・判断・表現と言っても,ラベルですので,この下に何を問うかというのは,更に下のレベルで見ないといけないわけですけれども,その辺の枠組みが各教科で設定されています。
 それから三つ目の丸ですけれども,授業改善のメッセージ性も考慮して,授業において生徒が学習する場面,社会生活や日常生活の中から課題を発見して解決方法を構想する場面等々の学習の過程を意識した問題場面というのが一つ大きなポイントになっています。ここについては恐らく賛否両論もあると思いますけれども,そこを今日は見ていきたいと思います。
 4ページ目ですけれども,数学の場合の記述式は,数式を記述する短い問題,それから,問題解決の方略等を端的に文章で書く短い問題ですね。それをマーク式と混在する形で出題し,それは100点満点の中に埋め込まれた形。従来60分であったものが70分になるというような形で,国語の段階別表示と随分違う設計になっています。
 そして,注目されるのは2017年5月にモデル問題というのが例示されました。その後,2017年の試行調査,そして,2018年の試行調査という中で制度が実装されていく中で,少しずつ記述の内容が変わっていっているというようなことが問題レベルで見ると観察されます。そこは一つのポイントになると思います。
 それから,国語の場合のものとは違って,かなり特化した形で聞いているというところがあります。
 5ページと6ページには,その背後にある考え方の,当時,イメージ素案というふうにして公表されているものですけれども,作問の狙いとどんな力を見るかというのがあります。先に6ページを御覧いただきたいと思うのですけれども,これは現在進行して,今年4月から小学校でスタートした新学習指導要領の背景にある資質・能力の考え方のイメージ図です。誤解をおそれずに申し上げますと,6ページの真ん中に数学的に表現した問題というところから矢印が下に下りていくところがあります。もしかしたら従来の問題はこの辺に集中していたのではないか。それに対して,左側の日常生活や社会の事象,それから,右側の数学の事象から新しい数学の問題が出てくるあたり,この辺のところで少し従来の数学の学力というか,資質能力の見方を変えて,その部分を新しく見ていこうという,そういう意図があったということだと思います。
 枠組みについては時間もありませんので,あまり詳しくできませんけれども,記述式の問題を考えるにあたっては,7ページにありますけれども,数学という学問,あるいは教科の特質から見た位置づけを考えておく必要があると思います。これは2008年に出された報告書にこういう文言があります。数学は抽象と論理を重視する記述言語である。数学それ自体が実は論理と抽象に支えられた言語であるという捉え方が数学教育ではされます。数学者の方もこういうふうに主張されます。ですので,白丸がありますけれども,記述式といった場合の記述という内容にはいろいろなバリエーションがあり得ます。式を書くのもセンテンスですね。命題の形で書かれるのも一つの文です。それから,フレーズを書くこともあります。それから,個別入試で行われるように,論述の形でフルスペックの記述を求める場合もあります。ですから,ここの記述の意味をどう限定するかというのが一つの論点になってくると思います。
 8ページには具体的な問題例がありますけれども,これは今日の参考資料の後ろのほうにもつけていただいているので,後で詳しく御覧いただければと思いますが,こういう具体的な問題場面で記述する中身はタンジェントに関する不等式を一つ書いて終わりというものです。数学的には非常にシンプルな式を書くことになっていますけれども,それをこういう文脈に埋め込んで,そこを解釈させて,表現させるかどうかというところが今回狙われていたところだと思いますので,この辺の「数学に化ける」と書きますけれども,こういうプロセスを共通テストの中で問うていくかどうかというところが大きなポイントだと思います。
 9ページは試行試験調査の採点システムの精度に関する大学入試センターから出されている報告書から抜粋したものです。大きな観点としては,数学の場合は特にあらかじめ設定した解答例と想定されないような回答が受験者から出てくる可能性があるというわけで,採点サイクルというふうなものが必要になってくると思いますので,その辺の仕組みがどうなっているかというのがポイントだと思います。
 さらに,受験者のいわゆる自己採点が従来のマーク式に比べて,やや難しい。一致度も8割後半から9割ぐらいということになっていますので,この辺を設計上どうするかという問題があると思います。
 最後の2ページが,私が今日,結論的に申し上げたいことなんですけれども,一つは現行のセンター試験が非常に完成度の高いシステムとして十分に機能しているという認識をまず持つべきだというふうに私は個人的には思っています。その中で社会の変容等で,求められる資質・能力が変わってきたということ。それから,共通一次,センター試験,そして共通テストという形で,評価の機能に違いが求められている中で共通テストに対する機能をどう持たせるかというのが今回問題になっているところだと思います。
 そして,先ほど数学の言語性というふうに申し上げましたけれども,数学的な方法を思考とコミュニケーションのツールとして共通テストに限定的に組み込もうとしたのが今回の意図だったと思いますけれども,そこを個別入試との間で守備範囲としてどう見直すかというところが一つ大きいところだと思います。
 最後のスライドですけれども,これまでの導入をめぐっては,制度設計上,少し限界があったということで,実際に実施の趣旨の中で,個別入試と共通テストの機能のすみ分けを図っていくために高大の能力の把握の環境を整理する必要があるということ。
 それから2番目は制度が記述の内容を細らせるというか,痩せさせるというような変容が少し見られるということで,記述ということの限定が必要だったのではないかというふうにも思います。
 そして最後に,全体的な制度設計,そして新しいシステム等の導入を待ちたいなということが一つあり,そういう工夫も今後必要であるということを申し上げました。
 時間になりましたので,一旦ここで終わらせていただきます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,益戸委員,どうぞよろしくお願いいたします。
【益戸委員】
 益戸です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の教育問題との関わりは,経済同友会の教育関連の委員会活動,そして,現在,中央教育審議会の大学分科会の委員をお引き受けしております。昨年は教学マネジメント特別委員会の議論にも参加させていただきました。このようなバックグラウンドから,これまでの議論を聞いて感じたことなどを発表させていただきたいと思います。
 まず1点目ですが,お手元資料の数字の1,高大接続改革理念の再確認の必要というところです。そもそも大学入学時点の実力,点数よりは教育機関に在席している間にどれだけ自分に付加価値をつけられたのか,社会に出てどのように活躍できるかということがとても重要なのではないでしょうか。そのためには,大学の教育はどうあるべきか。高校の教育はどうあるべきか。それをつなぐ大学入試はどうあるべきか。このことについて総合的に改革を進めていこうというのが高大接続改革ではないかと理解しております。
 今回の入試改革には,1点刻みの入試からの脱却という理念があったわけですが,入試制度の設計における様々な問題が影響して不公平や不公正な入試と解釈されるに至ってしまったのは大変残念に思っております。私は1点刻みからの脱却と呼ぶかどうかは別としまして,18歳という人生の一時期のテストの結果がその後の人生を決めるとか,あたかも決めているかのように理解されている状況は改善していくべきではないかと思っております。
 確かに企業側も大学の偏差値ランキングを重視して採用していたかもしれませんが,今は大学名を問わない企業も多くありますし,ジョブ型採用が急激に増えるなど,状況は大きく変化しています。これに対して大学側はいかがでしょうか。かつて入りにくいが出やすいのが日本の大学と言われていましたが,入りにくさにおいては全入時代で当てはまらなくなってきているかもしれません。しかし,出やすいという点についてはあまり変わり切れていない大学が多いのではないでしょうか。
 高大接続改革を語る上で強調したいのは,狭い意味での高校と大学との接続ではなく,最終的にその先,つまり社会との接続を意識して議論するべきではないかということです。この点を欠くと,やや失礼な言い方かもしれませんが,アカデミアだけの世界の議論という危険性があるのではないかと思います。最終的に,本検討会議が提言を行うにあたっては,高大接続の理念について,こうした社会との接点の視点にも留意し,また,今まで指摘された様々な事柄にも留意して再定義する必要があるのではないでしょうか。それなしに個別の改革をまとめても私は意味がないと考えます。
 次に,2番の大学入試と高校教育の関係です。前回の,斎木委員の御意見とやや重複いたしますが,大学入試によって高校教育に影響を与えるという発想自体が悪いことであるかのような意見について私は疑問を持っています。以前,初中局からデータの解説がありましたが,学年が進むにつれて英語で授業する割合が減るなど全体のトレンドとしては大学入試の在り方が高校教育の改善の足かせになっている部分というのも否定できないように思います。事実,ある高等学校の先生から聞いたお話では,進学校における出口というのは大学入試であると。学習指導要領と大学入試のどちらを取るかについては,生徒や御父兄の要望は間違いなく大学入試であるとおっしゃっていました。ただ,高校と一口に言っても多様なので,都道府県別のデータですとか,大学進学志望者がある程度在籍している高校に絞ったデータなど,もう少し突っ込んで分析したものを出していただくということが高大接続改革の必要性を補強するという意味においてもとても重要ではないかと思います。
 いずれにしても,大学入試に求められる入学者選抜の役割を維持して,また,大学入試に求められる原理原則を厳守,そして,入試が高校教育にできるだけ悪影響を与えない方向で改善していく必要が大切だというのが私の意見です。
 3番目の英語4技能評価についてです。英語4技能評価に関する活用について,資格試験などの活用については大学入学共通テストの枠組みでという言葉が何を意味するのかが非常に曖昧で生徒さんに新たな負担を強いる,半ば義務的な制度のようになってしまったということも問題だったのではないでしょうか。各大学のアドミッションポリシーに基づいて,高校までに培った英語能力の証明を入試でも活用するという原点に立ち返って制度設計はすべきではないでしょうか。
 また,社会との接続を意識するということの重要性については再度ここでも強調させていただきたいと思います。例えば,大学では英語はリーディングがとても大事だという御意見もありましたが,確かに研究者になる方や,また,研究者にならない方であっても,専門分野の学習だけ見れば,まずリーディングというのは十分理解できます。しかし,どんな大学であっても,大多数の学生の方は社会に出るということを十分に踏まえないと,大学という狭い枠に閉じ籠もった議論になる危険性があると思います。
 皆さん御存じのとおり,多くの学生が卒業後働くことになる民間企業ではTOEICの点数を人事配置などに使うことがあります。お手元に事務局に用意してもらったTOEICの英語活用実態調査,2019年版というものがありますが,5ページの後段を御覧いただきたいと思います。ここに企業,団体が目標とする英語スキルの水準,最も近いものを一つ選べというものがあって,一番パーセンテージが多いのは英語で行われる会議で議論できるスキルであると。私の経験からしますと,顔が見えるテレビ会議と見えない会議では,随分英語力には違いがありますが,最低限800点から850点は必要だというのが私の経験です。この項目で言いますと,左から1番目の挨拶ができるというのが,これは普通のことであって,次の中級レベルというのは,左から2番目の簡単な業務連絡ができる。そしてもう一つ,一番右側から2番目の海外赴任ができる。この海外赴任ができるというのは,初めできなくても,一定期間のうちにできるようになるという意味を込めての中級です。そして,残りのメールでやり取りする。電話でやり取りができる。英語で行われる会議で議論できる。通訳なしで海外出張に一人で行けるというところが上級レベル。ここを足し算しますと,65.5%です。中級が25.5%,挨拶ができるというのが初級で5.9%。このアンケート結果は,私が企業で長年働いている実感にも合っています。
 若干余談ですが,いわゆる難関大学御卒業の経営トップと外資系の海外のトップとのミーティングをセットする機会も多くあります。日系企業の経営トップの方は読む力と聞く力はあります。語彙力もあると思います。しかし,話す力においては十分でない方もいらっしゃるのが実情です。また,大企業でなくても,中小企業の海外事業所がどんどん増えていますし,それこそお土産屋さんも含めてインバウンド対応で英語で話したり,書いたりする能力が必要になってきました。今後,人口減少が進む日本の中で,世界との交わりが避けて通れないわけですから,英語の4技能をバランスよく身につけていく必要はあるのではないでしょうか。
 4番目です。記述式問題の導入という点ですが,実際に若者を採用する企業の立場から言うと,論理的に文章を書いたり,表現したりする力が落ちているのは多くの企業人が感じております。導入が見送られた条件付記述式に関し,これでは記述式ではないとの御批判もありましたが,同じ大学関係者の中でも学生の学力によってはこの程度のものでも出題することには意味があるという意見も相当数あったのではないかと聞いております。しかしながら,大学入学共通テストで記述式導入について指摘された問題は容易に解決できるものではありません。これまで多くの委員からの御意見であり,私も同感でございます。
 では,どうすればよいのかということですが,これは個別試験における出題を促すことしか現実にはあり得ないのではないでしょうか。では,どのようにしたら出題を促せるのかというアイデアを本検討会議で詰めていくということも考えられます。
 国立大学については既に高度な記述式を導入するという方針を出していると聞いておりますが,同じく歩留り率が高い公立大学についても関係者が議論して方針を出していただきたいと思います。また,私立については歩留り率が低いという現実を踏まえつつも,どんな方策が考えられるかということを検討すべきではないでしょうか。
 こうした議論を行うためにはやはり実態調査を急ぐ必要があると思います。実施して取りまとめを行うまでにはある程度の時間がかかることは想定されますが,本検討会議には国語ですとか,数学教育の専門家の方々も御参加されていらっしゃいますので,実際の私立大学における記述式の具体例についてぜひ御説明いただくことは有益なのではないかと思います。
 そして,5番目,ディプロマポリシー,カリキュラムポリシー,アドミッションポリシーの明確化についてです。私もこの三つのポリシーを見せていただく機会というのも多くありますが,率直に言って,一体どういう能力が卒業時に身につくのか。その前提としてどういう能力を身につけるように指導するのか。さらにそこからバックキャストとしてどんな資質・能力を持った学生を入学させようとしているのか,不明なことも多いと感じています。英語4技能や思考力・表現力・判断力の育成がとても大事であるという点についてはほぼ異論がないように思われます。であれば,例えばこの三つのポリシーの中に位置づけていただけるように何らかのガイドラインを示すということも考えてもよいのではないかと感じております。
 以上,私がこれまでの議論を聞いて感じたことを発表させていただきました。どうもありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,渡部委員,お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【渡部委員】
 どうもありがとうございます。
 それでは,配付資料を御覧ください。この配付資料に従いまして,民間テストは共通テスト,センター試験の代わりにはならないということを論証したいと思います。その上で,ではどうすればいいかということを最後に提案として申し述べます。
 その際に前提となる了解事項が必要となりますので,1ページ目を御覧ください。まず1番です。適正な教育評価には満たすべき条件がありますが,これをいつでも全部満たすことはできません。その中で重要な意思決定を行うような大学入試の場合には,特に信頼性,測定の安定性,それから,実行可能性,公平性が特に重要になります。これが一点目です。
 二点目です。テストの機能には大きく分けて2種類があります。センター試験や共通テストのように過去を検証するための到達度評価があります。また,別に,TOEFLやIELTSのような未来の課題を予測する,将来与えられる課題をこなすことができるかどうかを検証する熟達度評価があります。この二つの機能は峻別する必要があります。これが前提としてご了解頂きたい第二点目の事項です。
 三点目は,これは知識といいますか,私のこれから申し上げる論点に関する前提であります。私は,各種テストの質をどうこう申し上げるわけではありません。また,各大学で特に私立の場合には,既に様々な形で民間試験は導入されています。それについてコメントするわけではありません。国公立大学でも2次試験などで既に面談テストなどが行われている場合があります。これについても何もコメント申し上げることではありません。ただ,私のこれから申し上げるのは,民間試験が共通テストの代わりにならないということです。
 2ページ目を御覧ください。論点の1点目です。CEFRによる各テストが配列されている換算表があります。3頁をご参照ください。私たちも既に何度も目にしている換算表です。3ページを御覧ください。この図を見ますと,あたかもある得点を取れば,同じように全部レベル設定ができる,どんなテストを受けてもレベル設定ができるという印象を受けるのですが,これは誤解です。それぞれ測っている対象が違いますので,あるいは方法が大きく違いますので,得点だけを見て,どの能力が測られているかということは分かりません。また,分割点,信頼性の問題ですが,分割点がとても不安定なんですね。その2点を今御紹介したいと思います。
 配付資料の6ページを御覧ください。配付資料の6ページです。参考資料のDを御覧ください。これはTOEFLとIELTS,どちらも学術的な英語運用能力を試すためのテストです。相関係数は,御承知のとおり,1.00で,完全な相関と見なされます。ところが,スピーキング,ライティングの相関係数を御覧ください。それぞれ0.57,0.44となっています。かなり低い値です。すなわちこの数値を見る限り,二つのテストがスピーキング能力を試していると言っても,ライティングを試していると言っても違う側面を測定しているという可能性が高い,そういう事実が見えてきます。
 同じページの資料Eを御覧ください。これは文部科学省が公表しているCEFRの得点ですね。それはETSで2015年に公表している得点と一致しています。しかしながら,同じETSが2008年に公表している得点を御覧ください。これによりますと,例えばB1を資格として得るためには86点から57点,取らなければいけなかったんですね。ところが,2015年の点数を見るとかなり低いのです。これはどういうことかと申しますと,例えば86点を取った学生がいるとします。その学生は,2008年であればB1にしか判断されないのですが,2015年以降になりますと,B2になってしまうんですね。CEFRのレベルを設定する際の得点が不安定なのです。これはETSが不誠実であるということではありません。むしろ誠実なんですね。調査が行われていまして,必ず限界というものが記載されます。ですから,決まったような一つの安定した数値として見なすのはまだ無理があるんですね。ということを論点の趣旨として御了解いただきたいと思いました。
 続きまして,論点2です。7ページを御覧ください。これもたくさんの情報が既に出回っていますが,5ページを併せて御覧ください。5ページの参考資料Cです。これはいろいろな情報を表の形でまとめたものです。詳しく見ていただく時間はありませんが,これを見てすぐに分かることは,7ページをあわせて御覧ください。試験会場が限られていて,地域による格差が大きいということがまず第一に問題点として見えてきます。さらに受験料が大きく異なります。実施回数も異なります。また,スピーキングテストの測定対象が異なります。また,障害者への配慮が一律であるように思えません。特にスピーキングテストに限ってみれば,大きく違います。配慮されているのかどうかすら分からないところもあります。ということで,民間テストは代わりになり得ないということです。特に今回のようなコロナウイルスの関係など,何が起こるか分かりませんが,そういったことに対処できるという条件を確保するためにはたくさんのテストがあるというのは実に不自由なことだと思われます。以上が論点の2です。
 続きまして8ページを御覧ください。論点3です。「よい」テストは「好ましい」波及効果をもたらすかということです。これにつきましては実証研究が1990年代からかなりたくさん行われています。詳しい検証の仕方はハンドアウトに記載しましたので後ほどご覧ください。その研究の示すところ,波及効果-つまり大規模なテストを変えることによって得られる効果は極めて限定的だということです。質の高いテストがあるということと,高度な質の高い教育が行われるということは別の次元なのです。10ページを御覧ください。これは民間テストのスピーキングのテストの対策をネット上に記載されていたものです。ざっと見て,御覧になると分かると思いますが,文法用語を使われまして,名詞,一般動詞であればこういう答え方をしてくださいといったスピーキングテストの受け方についてアドバイスが記載されています。これは私たちが期待しているスピーキングテストの効果でしょうか。疑問に思います。
 さて,11ページを御覧ください。論点4です。日本人は英語ができない,スピーキングが本当かということです。表1を御覧ください。左側はTOEFLの成績です。やはり低いなという感想を持たれると思います。しかし,右側を御覧ください。これはその年に行われたIELTSのテストの結果です。同じ年なんですが,日本の受験者の得点は本当に低いでしょうか。そんなに悪いというふうには見えないんじゃないでしょうか。テストが変わると異なる英語力が見えてくる例です。
 さて,12ページです。論点5を御覧ください。あわせて14ページを御覧ください。これは2019年に行われた全国学習状況調査の結果の一部です。TOEFLの成績と併せて見ますと,受験者が大きく違いますが,どうも日本人の人たちが弱いのは,読んで理解して,聞いて理解して,その場面に合った発話するという能力が非常に弱いのではないかという姿が見えてくるんですね。
 13ページをご覧ください。この表からどれか一つの技能が突出して低い,突出して高いという事例がないことがわかります。つまり,どの能力も一定しているということが見えてきます。したがいまして,スピーキングだけに特化して焦点を置いて,テストを考えるということは実に不自然なことだと考えられます。
 最後ですが,13ページに示した結果について,これはサンプリングしているわけでもありませんし,全員が受けているわけでもないので,各国の教育の質は見えてこないのです。ただし,あえて言えばTOEFLやIELTSは学術研究をするための能力を試すためのテストですので,大学の英語教育が機能してないのではないかと。質が確保されていないのではないかという姿は十分見えてくるのではないかと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,今3人の委員の皆様から御発表いただきましたが,この内容につきまして,御質問や御意見がございましたら,御発言をお願いいたします。手を挙げるボタンを押していただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 まず牧田委員,どうぞ。
【牧田委員】
 牧田です。ありがとうございます。
 益戸委員の御発表に質問といいますか,確認させていただきたいんですけれども,資料の1ページの英語4技能評価のところのマル2で社会との接続を意識することの重要性ということで,添付資料をおつけいただいて,エビデンスをお示しいただいたんですけれども,以前,私も申し上げましたけれども,英語を必要とする企業というのは,実は,上場企業とか,それから,大企業に偏っている現実があると思っていまして,この調査でも企業調査が1,000億以上の企業の割合が40%,それから,1,000億未満が42%,ほぼ互角のサンプリングでありますし,それから,パーソナル調査におきましても,上場企業の社員が57.9%,それから,非上場の社員が40.9%ということで,御存じのように上場企業というのは全企業の0.1%しかないわけでありますので,私は,益戸委員がお出しになった20%とか,15%という数字が少し下がるのではないかというふうに思っておりますが,その辺,益戸委員,いかがお考えでしょうか。
【益戸委員】
 益戸です。
 御指摘のとおりだと思います。大企業ではそうかもしれませんが,中堅,中小に行くに従って数字は下がります。しかし,私が強調したいのは,例えば私の友人のレストランの経営者も,もっと英語ができてしゃべれたら,お店の宣伝をミシュランに送れたのにとか,せっかく来ていただいた海外のお客様と話せたのにとか,お土産屋さんもそうです。私,沖縄に7年間住んでいましたけれども,中国語ができたらよかった,英語ができたらよかったといったお話をよく聞きました。日本という国は世界全体からみると一つの島国ですが,英語の必要性は高いと感じています。国内にはいろいろな大学や専門大学があり,その後の進路や人生も違うわけですが,いずれにしても最低限の外国語はしっかり勉強していただきたいと思います。このTOEICというのは申し上げたとおり,企業の人事配置などに使うものですから,それが全てということではありませんが,相似形的に考えていけばいいのではないかなと思います。
【三島座長】
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは,次に末冨委員,お願いいたします。
【末冨委員】
 私からはお二方の委員に質問がございまして,まず,清水先生に質問がございます。清水先生のスライドの8ページ目にあります記述式問題の出題例を私も見たときに,清水先生御自身も御指摘ですけれども,こうした文脈を読み取るスキルというのが数学の力なのか,ということです。国語の読解力の問題ではないかと私はこの問題を見たとき,非常に戸惑ったんですよね。逆に言えば,そうした能力が明確に位置づけられている場合には,こうした記述式の出題というのは妥当性があるものなんですけれども,果たして数学の能力から見て,本当に数学の能力を測っていると判定し得るものなのかどうかということについて,まずお伺いしたいと。
 特に私も自分が計量分析しますけれども,数学というのは抽象が扱えるからこそ,かなり効率化して物を考えることができるわけですよね。だとしたときに,こうした文脈依存の形を共通テストで大学入学生に問うというようなことについて,大学教育との接続性ということがどうもよく理解できないというのが個人的な感想でございます。
 それから二つ目の質問は,益戸先生のほうにお伺いいたしたくて,私は益戸先生の御発言で,確かにディプロマポリシー,カリキュラムポリシー,アドミッションポリシーについては各大学で努力はしていますが,受験者がそれを読んだときに,自分はこういう力を伸ばせばいい,例えば益戸先生の御指摘から言えば,こういう記述の力を伸ばせばいいんだなというふうに伝わるようにはなっていないと考えます。益戸先生のメッセージで非常に大事だと思ったのは,学生が社会に出るときの力,それから,社会に出て伸び続けるための力を養うときに大学とのコミュニケーションが必要であろうということについては私自身もそう思うなと思って受け止めたんですが,経済同友会ですとか,あるいは産業界として,例えばこれまでに行われている大学等とのコミュニケーションの在り方ですとか,それがいかに展開されるべきか。将来ビジョンも含めてお教えいただければと思います。
 以上2点です。
【三島座長】
 それでは,清水委員,それから益戸委員,順番にいかがでしょうか。
【清水委員】
 参考資料の69ページに正答例及び留意点というのがありますので,そちらを御覧いただくとよいと思います。この問題は,確かにおっしゃるように,非常に文章が長く,国語的な読解力を多分問うている部分がもちろんあると思います。その一方で,これは高さと横の長さの関係を三角比でつかまえるということで,正答例にあるような式が場面の一つのモデルになっているという,そういう考え方もできると思います。ですので,私がお示しした資料の6ページの図を見ていただくと,左側の日常生活や社会の事象から矢印が上に上がっていますけれども,事象の数量等に着目して数学的な問題を見いだす力とか,あるいは事象の特徴を捉え数学的な表現を用いて,表現する力という,この辺のところを問おうとする意図があったんだと思います。ですから,数学というものを大学の微積分や線形代数のように抽象的な数学の世界で議論されるものと同一視するかどうかという問題が背後にあると思います。数学というものを活動として,数学的な活動として捉えるというのが新しい学習指導要領等が目指している姿ですので,そこを入試センターの出題形式との関係のイメージという,5ページにある一番左側のセルが狙っているところだと思います。ですので,確かに国語的な意味での読解力も必要でしょうけれども,数学的な関係をつかまえて,タンジェントの式で表すということも同時に必要になっているんだと思います。ですから,その辺,どう考えるかというのは,どちらに基軸を置くかによって変わってくると思います。どちらかというのは,純粋な数学の世界をメインと考えているか,数学の世界に乗せるところまでも込みにして,学校数学,あるいは大学の数学と考えるかという,その立場だと思います。よろしいでしょうか。
【三島座長】
 それでは,益戸委員でしたね。益戸委員の三つのポリシーの話です。
【益戸委員】
 末冨先生からの御質問の中で,特に経済界とのつながりについてお答えしようと思いますが,いかがでしょうか。多分,末冨先生から見ると,私のところになかなかそういう話は来ていないという御感想をお持ちではないかと思います。私の,ここ数年の中教審の大学分科会の委員活動を通じて感じていることですが,大学と企業の関係は,各大学の個別の先生と企業の,例えば研究所などの1対1の関係で,決して,大学対企業であるとか,大学対経済界という関係が出来上がっていなかったようです。したがって,微力ながら経済界との間にミーティングをセットしたりという努力はいたしました。今や中央教育審議会の会長は第一生命の渡邉会長で,経団連活動の中でも大変教育にご熱心です。また,経済同友会からも副代表幹事の小林いずみさんがご参加いただいております。これは経済界側も事情があります。今までは自分たちの中で,自分たちの企業なりの人材を育てていけばよい環境でしたが,決してそのような経営環境ではなくなりました。ですから,大学と一体感を持って,企業人をしっかり育てていかないといけないということで,このような努力はまだまだ始まったばかりだと思います。ただし,決して今後も途切れることなく進んでいきますし,私自身も微力ながらお手伝いさせていただきたいというふうに思っております。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 それでは,あと芝井委員の代理の圓月先生と,それから川嶋委員と,順番に一つずつ。これでこの議題を終わらせていただければと思います。圓月先生,どうぞ。
【圓月委員(代理)】
 圓月です。
 渡部委員に御質問したいと思います。最後の資料の16ページの6番のところですけれども,大学における教員養成を改善しなければならない。大学の英語教育は徹底的に改善する必要があることは言うまでもないと,非常に強い言い方で言っておられます。最後のほうの試験のところで,TOEFL及びIELTSがアカデミックイングリッシュを扱っているので,大学教育の中の云々というふうなことを最後おっしゃったところで,時間が少しなくなったので,説明の要点が分かりにくかったのですけれども,補足説明していただけるでしょうか。何か一つの正しい英語教育があるというふうに,英語教育についてさえもそういうことを考えがちになると思うのですけれども,民間英語検定試験を見ていても,いろいろな英語力を測っているわけですね。その辺りについてどのようにお考えか,補足していただければと思います。よろしくお願いいたします。
【渡部委員】
 御質問ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【三島座長】
 どうぞ。
【渡部委員】
 16ページの6番です。最初に,これは私,論旨が飛躍していることを認めないわけにはいきません。御指摘もっともだと思います。感謝いたします。教員養成を改善ということは,入試改革をしても教育が変わらないというのは,必ず教員を通して影響が生徒に及ぶということなんですね。これが研究結果の示しているところです。つまり,トップダウン式に何かやっても,どんなことをやっても,教員の方々の態度と能力,資質,いろいろなものが複雑に絡み合って,そして,生徒への指導に結びつきます。英語は英語で教えなさい。小学校でも教えなさい。これまで幾つもありました。しかし,それは教員養成が行われて初めてうまくいく。成功に結びつく政策ですが,いつでもトップダウン式に何かが行われていて,そして,だんだん立ち消えていくと。そういったことを繰り返してきているように思いますね。ということで,教員養成をどうにかしなければいけないというのは,私のあえて言えば論点です。
 続きまして,大学の英語教育ですが,TOEFLやIELTS,そして,TOEICもそうですが,これを見て,入試,あるいは高校以下の英語力に結びつけるということが行われることがあるのですが,これは全てあえて言えば大学教育で行われている英語能力を試している可能性は高いと思われます。TOEFLやIELTSならば,留学する人が,その人たちは多くは大学生ですね。あるいは社会人の人もいるでしょう。そういった方々のアカデミックな英語能力を確認している結果であるというふうに言えるかと思います。したがいまして,入試ということを変えるということを考えるのではなくて,社会に貢献できる人たちを考えるためには,高校での英語教育,そして,大学での英語教育と。そういったことを真摯に考える必要があるだろうと思います。そして,今御指摘いただいた,恐らく大学での英語教育,そこでの教育がうまく機能しないということを示している可能性があるということです。回答になったでしょうか。
【圓月委員(代理)】
 ありがとうございました。
【三島座長】
 それでは,次に川嶋委員。
【川嶋委員】
 私も圓月委員と同じところを質問したかったのです。それで,今最後に渡部先生も改めておっしゃっていましたけど,高等教育の英語教育が機能していない可能性があるという御指摘なんですが,渡部先生のように英語教育の重鎮の方が,このように大学の英語教育に問題があるのではないかと御発言されたことは,私は非常にショッキングだったということだけをお話しさせていただきたいと思います。質問ということではありません。
 以上です。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。議題の4番目,以上とさせていただきたいと思います。
 次に議題の5番目でございますが,大学入試センターからの御説明をいただきたいと思います。これまで本会議の全委員からの意見発表をいただきました。次回以降,外部有識者から御意見を聞いてまいりますけれども,今回,大学入試センターの立場からの説明もお願いしておきたいというふうに思いますので,山本理事長,よろしくお願い申し上げます。
【山本オブザーバー】
 ありがとうございます。大学入試センターの山本です。
 それじゃ,15分程度頂戴しまして,まずテストというものが備えるべき要件について簡単に触れます。すみません。資料6です。次いで,ハイステークスな大規模一斉試験としての大学入試センター試験がこれまでどのように実施されてきたのかということについてお話をさせていただきまして,今後の検討会議における御議論の参考にしていただければというふうに思います。
 右の下にスライド番号が振ってありますので,以後,この番号でお話をさせていただきます。
 スライド2ですが,初めに,テストと言ってもその目的は幾つかあるわけでございます。学力調査を目的とするテストがあります。また,資格試験のように,一定の達成基準を満たしているかどうかを見る目標準拠型のテスト,そして,受験者が受験者集団の中でどのような位置にあるかを判定するテスト,すなわち集団準拠型とも言われます。センター試験はこれに相当するわけです。これらのテストが備えるべき要件につきましては,先ほどの渡部先生のお話と重複する部分もありますが,簡単にお話をさせていただきます。
 まず信頼性であります。得点の安定性のことです。受験者の属性や取り巻く環境などが違っても同程度の学力を持った人ならば,同程度の得点が取れるような,こういったテスト内容であって,これが安定しているということが必要です。
 もう一つ,重要な条件は妥当性であります。ここにはやや難しい書き方をしていますが,平たく言えば,測りたい学力を適切に測ることができるかどうかということであります。
 次いで,識別力ですが,右下の図を五分位図というふうにいっております。テストを受けた集団を総得点の高い順に五つのグループに分けてそれぞれの問題ごとにそれぞれのグループの平均得点をプロットしたものです。三つの図のうち,左の図の赤線の傾きは,真ん中の図の傾きよりも急になっていて,成績上位層の平均得点は80点近くですが,下位層は20点余りしか取れていません。さらに,ほぼ一定の傾きを示しています。したがいまして,この問題は全受験者層にわたって識別力があるというふうに言えると思います。それに対して,真ん中の図の傾きは小さく,あまり識別力があるとは言えません。また,右の図では主上位層までの識別力はそれほどありませんが,上位層は識別できる問題だというふうに言えると思います。この識別力をどのように設計するのかは,テストの種類によって異なります。例えば資格試験のような場合には,合否の基準となる点数付近の識別力が高ければ,低得点域や高得点域の識別力はそれほど必要でないかもしれません。一方,共通テストで全体の順位をつけようとすると,全域にわたる識別力が必要になってまいります。このように,テストの目的によってその設計が異なるということに注意が必要かと思います。
 スライド3です。ここからはこれまで行ってきましたセンター試験についてお話をさせていただきます。大学入試センター法では,センター試験は,大学に入学を志願する者に対し,大学は共同して実施することとする試験でありまして,センターはこの試験に関し一括して処理することが適当な業務を行うとされています。したがいまして,利用大学と大学入試センターは緊密な連携体制の下で,それぞれがそれぞれの担当業務に責任を持って取り組むということであります。時々大学の先生方の中にはセンター試験をやらされているというふうに言われる方がいらっしゃいますが,センター試験を実施するのはそれぞれ自分の大学の入学者選抜の一部であるということを御理解いただきたいと思います。このことは大学入学共通テストになっても変わりません。
 次いで,スライド4ですが,これはセンター試験利用大学数の推移であります。第1回の平成2年度センター試験では148大学でした。この棒グラフの一番下の点々の模様は国立大学,その上の斜線が公立大学,その上の縦線が私立大学です。平成16年度試験から白色と網かけの部分,一番上の部分ですが,短期大学も利用できることとなりまして,この1月に実施しました令和2年度試験では858大学・短期大学となり,センター試験開始当時に比べますと,約6倍に増えました。
 スライド5ですが,高等学校新規卒業見込者の志願者数の推移です。このスライドデータは平成29年度,30年度試験なもので,やや古いんですが,傾向としては変わっておりません。左上のグラフ,薄緑色の棒が卒業見込者数で,18歳人口とほぼ同じ傾向で減ってきております。平成30年度試験の卒業見込者数は約106万人です。下のオレンジの部分がそのうちのセンター試験志願者ですが,約47万人,卒業見込者の約44.6%がセンター試験の受験を志願したことになります。これらの志願者のセンター試験後の各大学への出願状況が右の棒グラフです。下から順に薄い青が公立大学,濃い青が国立大学の出願者,オレンジが私立大学専願,そして緑が出願にあたってセンター試験の成績を使わなかったグループです。卒業見込者の44.6%がセンター試験の受験を志願しましたが,そのうちの4.2%は受験をしておりません。24.4%がその成績を出願に使っていません。AO,推薦などで既に進路が決まっていた生徒かもしれません。したがいまして,センター試験の成績を使って出願する生徒は,新規卒業見込者の約3分の1ということになります。共通テストで高等学校教育を改革しようというような議論もございましたが,3分の2の高校生はこの対象になっていないということについて留意が必要かと思います。
 続きまして,スライド6です。これがセンター試験実施の流れです。左端の問題作成から始まりまして,右端の成績提供まで,こういった流れになります。1月の試験実施を除く各業務,白い箱の部分は先ほど述べました,一括して処理することが適当な業務ということで,センターで行っております。次のスライドでもう少し詳しくお話をいたします。
 スライド7,上の段の実施業務ですが,各種マニュアルの作成から,高校,大学への説明会や協議会の開催,出願受付,試験場割当て,受験票の送付,問題冊子の試験場への輸送を経て,1月中旬の本試験となります。この図で言いますと,右から3番目のカラム,赤い線で書いてあるところでございます。その1週間後に病気等で受験できなかった者に対する追試験を行っております。一方,試験問題の作成は下の段にありますように,2年かけて行います。また,試験終了後には高校の教員及び教育研究団体による外部評価,作題委員による自己点検評価を行います。これらの評価結果につきましては毎年450ページという大部の冊子にまとめまして,センターのホームページに公開しているところです。
 これらの外部評価では,7項目について評価していただきますが,「基礎的事項の理解の程度を問う問題に加えて,思考力や応用力を問う問題がバランスよく含まれているか」という項目がございます。31年度試験の31科目の問題に対して,4段階評価の4の「あてはまる」が22科目,次いで評定3の「ある程度あてはまる」が8科目,1科目のみ,評定2の「あまりあてはまらない」でございました。全体としては「基本的な知識・理解を問う内容から思考力を見る問題がバランスよく配置され,受験生の学力をはかるのに適切な配分である」との評価を頂いております。
 続きまして,スライド8でございます。受験上の配慮のことでございますが,表のような区分と真ん中にあります配慮事項で,受験上の配慮を行っているところでございますが,上のグラフにありますように,配慮決定者数は年々増加傾向にあります。真ん中のグラフが全体の数の推移で,令和2年度センター試験では3,119人を対象に配慮を行ったところです。また,右のグラフが区分別の図で,とりわけ増加が著しいのが発達障害でございます。令和2年度試験では400人近くになりました。
 次いでスライド9です。これは試験当日の時間割でございます。出題科目の増加,そして,受験パターンの複雑化,配慮の取組等によりまして,試験時間の余裕はほとんどなく,また,大学及びセンターの負担も当初に比べますと随分大きくなっています。開始時間は午前9時半ですが,最も遅い終了時間は一番右のカラムの赤字の部分,1.5倍の時間延長を行った場合の1日目,英語リスニングが終わる午後7時35分です。さらに再開テストがあれば試験の終了は午後9時近くになってしまう。こういったスケジュールで実際にやっているところでございます。
 スライド10で,この試験の実施経費について申し上げます。現在,センター試験の検定料は,2科目以下受験者が1万2,000円,3科目以上受験者が1万8,000円です。入試センターには国からの運営費交付金は措置されておりません。このスライドは,令和元年度の当初予算です。この年は共通テスト導入対応のために多くの補助金を措置していただきましたが,通常は検定料収入と成績提供手数料とが収入の大部分を占めております。一方,支出の大部分は試験実施経費,約91億3,000万円余りでございまして,その内訳が右の円グラフです。試験問題の作成,問題冊子の印刷・輸送や大学に配分する試験会場の運営に使われる経費,これらの費用が全体の85%を占めております。
 以上,大学入試センターと試験センターについて,その概要をお話ししましたが,来年1月にスタートする大学入学共通テストがどうなるのか,簡単に触れますが,これがスライド11でございます。
 昨年末に英語成績提供システムと記述式問題の導入が見送りになった後,それらを踏まえた対応をセンターのホームページに発表しておりますが,URLを含めて改めて問題の作成の方針等についてここに挙げさせていただきました。これまでのセンター試験の問題につきましては,先ほど申し上げましたように,一定の評価を頂いてまいりましたが,より大学教育の基礎力となる知識・技能や思考力等を問う問題を重視してまいりたいと考えております。また,高等学校における授業改善へのメッセージ性も考慮し,学習の過程を意識した問題も取り入れていく予定でございます。
 最後のスライド12でございますが,これは大学入学者選抜を考える上で今さらという感じもございますが,改めて大学は何をするところかということについて,私の考え方といいますか,私見を少し述べさせていただきます。左側は学校教育法でございます。御案内のように,初等,中等教育は積み上げであります。中学校では小学校教育の基礎の上にとあり,高等学校では普通教育を更に発展させとありますが,左下,大学ではこのようなことは全く書かれておりません。学術の中心として云々とあります。右上の囲ったところですが,今回の一連の高大接続のいろいろなところでの説明会に使われた文科省の資料に出てまいりますが,高校までに培った力を更に向上・発展させ,社会に送り出す云々とあります。もちろんこれはこれで必要なことでありますが,学校教育法とは少しずれているような気がしているところでございます。大学,学問,学術の府は,知を生産する現場であり,知の生産の手法を教授する場でもあります。このような場で教育を受けるのに必要とされる学力等を有しているかどうかを判定するのが大学入学者選抜であるはずです。それぞれの大学のカリキュラムポリシーに沿った教育を受けるのに必要な学力等をアドミッションポリシーに沿って判定することが目的であって,決して高等学校までの学習指導要領の達成度をはかることが目的ではないだろうということを申し上げて,私からのお話を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【三島座長】
 理事長,どうもありがとうございました。
 それでは,山本理事長に御質問,御意見がございましたらと思いますが,大臣が公務のため退席されますので,これまでの委員からの御意見を聞かれて感想などございましたら,一言お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【萩生田文部科学大臣】
 皆さん,大変な時期に本検討会議に御出席いただきまして,本当にありがとうございます。清水委員,益戸委員,渡部委員,また山本理事長からも今様々な観点から御発表いただきました。今回で全ての委員の皆様から意見発表いただいたことになります。このような状況ではありますけれども,大学入試に関する議論は着実に進めていく必要があると考えておりまして,今後は委員の皆様の御指導をいただきながら,ヒアリングや実態調査を進めていくこととなりますので,引き続きよろしくお願いしたいと思います。次回以降のヒアリングでは,事によりますと,会議の時間ですとか,回数も増やすことになるかと思いますけれども,せっかくの機会ですから,先生方から様々な御提案がありましたので,幅広く様々な属性の皆さんからもお話を聞いて深めていきたいと思っておりますので,今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 それでは,大臣,どうもありがとうございました。
 (萩生田文部科学大臣退席)
【三島座長】
 それでは,ただいまの山本理事長からの入試センターのお話でございますが,それにつきまして御質問,御意見がございましたら,また挙手のサインを出していただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。それでは,柴田委員からお願いいたします。
【柴田委員】
 柴田でございます。山本先生,詳しい資料等々ありがとうございました。初めと最後のところで,先生,大学入試センターの試験,これからは共通テストですけれども,それの目的につきましては資格試験か,競争試験かという,これは長い間,いろいろ論争があったところでございますけれども,明確に競争試験と先生おっしゃって,最後に学習指導要領の達成度をはかることは目的の一部にしかすぎないということを明確に断言されて,私どもが感じておりましたのは,資格試験的なものも,世間としては,特に高等学校のほうでは求められているというような要望があるやに感じておりましたけども,その辺り,先生,明確におっしゃったということは確認ということで,再度お尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
【山本オブザーバー】
 ありがとうございます。柴田先生もこういったことに大変お詳しいんですが,私どもは,何点以上取れれば大学に行ける能力があるんだという,いわゆる資格試験ということではなくて,順位をつける必要があると。センター試験の成績が,大学の選抜のときに,個別試験の成績との合計で行われているところもあるわけで,57万人に1番から57万番まで成績をつける,点数をつけるという意味で,はっきり競争試験,集団準拠型の試験だということを言っていいのではないかというふうに思っております。
 それから,最後の学習指導要領のところで,私も少し書き過ぎているかなという感じがするんですが,センター法には,学習指導要領の基礎的な達成の程度をはかるというふうに書いてあります。だから,もちろんこれはこれで大きな目的の一つでありますが,その前に大学に入学を志願する者に対してという,これを対象にというふうに書いてありますから,いわゆる高等学校教育の達成度をはかっているんじゃない。途中で申し上げましたように,センター試験を受けて,これを大学出願に使っている生徒というのは,卒業見込み者の3分の1しかいないわけですね。そういう意味では,一定程度,指導要領の達成程度を見るんだということはもちろんあるんですけど,大学がどういうふうに考えるのかという意味で一部にすぎないというような書き方をしていると。これは全く私の私見でございます。
 以上です。
【柴田委員】
 どうもありがとうございます。大学関係者としても,その辺りいろいろ受け止め方が多様だということは御承知だと思いますけれども,大学入試センターとしてそういう見解をある程度示されたというのは多としたいと思います。どうもありがとうございました。
【山本オブザーバー】
 ありがとうございます。
【三島座長】
 それでは次に末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 ありがとうございました。私自身は山本先生の御説明を伺っていて,そもそもセンター試験自体かなり完成度が高いテストであったということについては,清水先生もおっしゃっておられたはずなんですよね。一連の改革のプロセスの中で,センター試験から共通テストへというふうに切り替わっていくわけですけれども,やはりよく分からないのが,共通テストにしたときに何が大学入学者選抜として変容するのかという本質的なところがまだ理解できずにおります。この点について,センター試験から共通テストになることのテストとしての意味というのが何なのかということについてお教えいただければというふうに思います。
【山本オブザーバー】
 大変難しい質問といいますか,この間,中教審の答申,それからそれを踏まえて,高大接続システム改革会議,こういったところでずっと議論されてきて,文科省のほうから実施方針が出されて,こういうふうに変わってきたということであります。今先生がおっしゃったように,完成度が高いというふうにおっしゃっていただく先生方もいらっしゃるんですが,これまでのセンター試験の問題というのは択一式で単なる知識しか問うていないじゃないかというような議論も幾らかありました。したがって,思考力・判断力も含めた,いわゆる学力の3要素をもっと見ないといけないということで,いろいろな議論が進み,記述式という問題も出てきたわけですね。先ほどわざわざ,毎年やっている外部評価,自己点検評価の結果を紹介させていただいたのは,そういったことも一定評価されてきていますよということを申し上げたくて言ったわけでございまして,そういう意味で択一式の問題というのは細切れの知識だけを問うているという誤解,誤解というか,そういうふうに思われがちだったというようなことについて,我々がもっと広報してこなかったのがよくなかったなという反省もあります。ただ,センター試験のどこがどういうふうにけしからんので,こういうふうに変えていこうという議論がもう少しあってもよかったのかなというふうに思っております。末冨先生,こんなような話でよろしいでしょうか。
 ただ,そういった議論も踏まえて,最後にスライドの11枚目で申し上げましたように,より思考力・判断力を問うような問題もより増やしていくであるとか,あるいは日常の学習の過程を意識した問題,高等学校教育に対する良い影響を与えるような問題を作題するような工夫もしていくというようなことが今度の共通テストになって変わっていくんだろうというふうに思っています。
【三島座長】
 よろしいでしょうか。
【末冨委員】
 時間の都合上,私の今の点についてのコメントだけ申し上げますけれども,一つは授業の場面を想定してテストしてしまうと,既卒者の受験は極めて不利になるのではないかという懸念が思い浮かびます。
 もう1点目なんですけれども,確かに積み上げ式というのはとても大事ではあるんですが,今年度入試を考えた場合には,通常の教育課程とはかなり異なった状況で受験生が受験しなければならないことを十分に想定しながら初の共通テストを行わなければならないと。その際に今日御説明いただいたようなメッセージを受験を予定している人たちに対して,こういうふうに考えて受験に取り組んでほしい。大学入学に向けて学んでほしいというようなメッセージをかなり早い段階から打ち出す必要があるのではないかということを考えています。
 とりわけ新型コロナウイルスというのは誰にとっても予測不可能な事態であって,相当厳しい年間スケジュールを想定しなければ入試の実務は多分耐えられないというふうに思っています。一番耐えられないのは受験生です。何を勉強すればいいのか。学校にはいつ行けるのか。そもそもオンラインの学習の環境も格差があるというような中で言えば,今日おっしゃっていただいたようなメッセージは,私は非常によく伝わりましたし,おそらくそれをいかにダイレクトに受験を想定している人に届けていくのかということが初の共通テストについては問われるだろうというふうに思います。
 以上コメントでした。御説明ありがとうございました。よく分かりました。
【三島座長】
 ありがとうございました。
【山本オブザーバー】
 1点だけよろしいでしょうか。
【三島座長】
 山本先生,どうぞ。
【山本オブザーバー】
 すみません。末冨先生,ありがとうございました。全くそのとおりだと思います。我々受験生に対してしっかりと考え方を知らせていく,メッセージを出していくというのは大事だと思います。ただ,来年1月に行われる第1回目の共通テストの作題方針であるとか,こういったことについては,ただいま申し上げましたようなことを去年の9月,10月だったかな,発表もしておりますし,何度も,高校の先生方相手の説明会でもこういったことを申し上げてきているということだけ,少し付け加えさせていただきます。ありがとうございました。
【三島座長】
 理事長,どうもありがとうございました。それでは,先ほどは小林委員が手をお挙げになっていたように思いますが,よろしいでしょうか。
【小林委員】
 一つだけよろしいですか。
【三島座長】
 どうぞ。
【小林委員】
 記述式で学習の3要素を測るということですけれども,これが共通テストでも何とかなるというお話を伺ったんですけど,英語については,スピーキングはちょっと無理かもしれませんけど,ライティングについても測ることは可能なんでしょうか。
【山本オブザーバー】
 ここのところは昨年英語の民間テストが見送りになったときにもいろいろ御意見を頂きました。2技能しか測らないのかというような御意見もいろいろあったんですが,現在,試行テスト等の問題を見ていただいたらお分かりかと思いますが,なかなか四つの技能というのはここからここまでがリーディングで,ライティングでというような,はっきり分けられるような話でもないということです。ただ,これまでのセンター試験でやってまいりました,1番目の大問ですね,いわゆるアクセントの問題と発音の問題,こういった問題はそれだけ切り出してもおかしいんじゃないかということで,これはやめて,直接スピーキングの力,ライティングの力をはかるということにはなりませんが,全体の中でそういった力も見れるような問題,名前としてはリーディング,リスニングというふうな言い方をしておりますが,その中にそういったものを溶け込ませたような作題にしているということでございます。
【小林委員】
 ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。柴田委員,まだ挙手がついておりますが,よろしいですか。
【柴田委員】
 柴田でございます。先ほどセンター試験が非常に完成度の高い試験だという評価を頂いているというのは,私も一時期センターに関与しておりましたから,大変うれしいことですけれども,反面では硬直化している,そういう嫌いも指摘されているということは心しておかなければいけないし,31年間続いたということで,これが既に見直す時期にあったのではないかとも考えているということも述べさせていただければと思っております。
 以上です。
【山本オブザーバー】
 ありがとうございます。先生おっしゃるとおりで,私も同じような感覚を持ってございます。高い評価も頂いていると言いながら,このままでいいとは思っていませんし,システム改革会議の中でもこういった議論が出ました。科目数も複雑になり,非常にソフィスティケートされているといいますか,そういうようなこともあり,これを何とか共通テストとしてもう少しシンプルに分かりやすい形でメッセージ性のあるようなものにしていくということは非常に重要なことだというふうに捉えております。ありがとうございます。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,山本理事長,重ねて御礼申し上げます。今日はどうもありがとうございました。
【山本オブザーバー】
 こちらこそありがとうございました。
【三島座長】
 それでは,ほぼ時間となりましたので,本日の委員の皆様,あるいは山本理事長を含めての御意見を聞かれて,佐々木政務官から感想などございましたら一言お願いしたいと思いますが,いかがでございましょうか。
【佐々木文部科学大臣政務官】  
 皆様,長時間にわたりまして,Web会議,大変にお疲れさまでございました。
 委員の皆様におかれましては新型コロナウイルスへの対応など大変お忙しい中,御参加いただきましたこと,また大変貴重な御提案,御意見を頂いたことに改めて感謝を申し上げたいと思います。
 委員の皆様からの意見発表は一巡したということでございます。今後はこれまでに出されました観点を踏まえて外部ヒアリングや実態調査を進めてまいりたいと思います。このことが重要であるというふうに思っております。
 実態調査につきましては,各大学にお手数をおかけすることになりますけれども,実態把握は不可欠でございますので,大学関係の団体代表委員の皆様方には,各団体で調査にぜひ御理解いただけるように御協力を賜れますとありがたく存じます。
 次回以降は外部ヒアリングとありますけれども,幅広い方々の御意見を聞くことができる貴重な機会でございますので,委員の皆様にも引き続き,御理解,御協力をお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
【三島座長】
 政務官,どうもありがとうございました。
 それでは,本日の会議,大体以上でございますが,最後に,事務局から先の予定等も含めてちょっとお話しいただければと思います。
【武藤高等教育局企画官】
 失礼します。第7回,次回の会議は,5月14日木曜日に行いたいと思っておりますけれども,具体的な時間等々,ヒアリングの対象者との調整もございますので,それも踏まえて決定の上で御連絡をいたしたいと思います。
 以上でございます。
【三島座長】
 それでは,5月14日ということでございますので,またよろしくお願いしたいと思います。
 それでは,以上をもちまして第6回の大学入試のあり方に関する検討会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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