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大学入試のあり方に関する検討会議(第3回)議事録

1.日時

令和2年2月13日(木曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂

3.議題

  1. 委員からの意見発表
  2. 自由討論
  3. その他

4.出席者

委員

(有識者委員)三島座長、川嶋座長代理、益戸座長代理、斎木委員、宍戸委員、島田委員、末冨委員、両角委員、渡部委員
(団体代表委員)岡委員、小林委員、芝井委員、柴田委員、萩原委員、吉田委員
(オブザーバー)山本大学入試センター理事長

文部科学省

萩生田文部科学大臣、佐々木文部科学大臣政務官、藤原事務次官、柳大臣官房長、伯井高等教育局長、矢野大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、玉上大臣官房審議官(高等教育局及び高大接続担当)、池田文部科学戦略官、森田文部科学戦略官、西田大学振興課長 他

5.議事録

【三島座長】
 皆様,こんにちは。定刻となりましたので,ただいまより第3回大学入試のあり方に関する検討会議を開催いたします。本日は御多忙中,御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の議事につきましては,議事次第を見ていただければ,そのとおりでございますので,よろしくお願いいたします。
 それではまず,会議の開催に当たり,萩生田文部科学大臣から御挨拶を頂きたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 座ったまま失礼します。大変お忙しい中,第3回となります大学入試のあり方に関する検討会議に御出席いただき,誠にありがとうございます。
 本日は大学関係団体,また高校関係団体からの意見発表が予定されていると伺っております。入試改革の当事者でもある関係団体からの御意見は極めて重要です。高大接続改革の下,英語によるコミュニケーション能力や思考力・判断力・表現力をいかに育成していくかという観点から建設的な御意見を賜れれば幸いです。
 受験生が安心して受験できるよりよい制度を構築するため,本日も率直な御議論を頂きますように,どうぞよろしくお願いいたします。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,議事に入る前に事務局から何かございますでしょうか。
【武藤高等教育局企画官】
 本日は,荒瀬委員,清水委員,牧田委員の3名が御欠席でございます。
【三島座長】
 分かりました。
 それでは,早速議事に入りたいと思います。議事の1,委員からの意見発表という形でございます。今日は5名の方にお願いしてございます。萩原委員,吉田委員,岡委員,柴田委員,芝井委員にお願いしてございます。10分ずつほどで御意見発表をお願いしたいと思います。発表者が5名おいでですので,まずは萩原委員,吉田委員と続けて御発表いただき,一度まとめてそこまでの質疑の時間を取ります。その後,岡委員,柴田委員,芝井委員に続けて発表していただき,またその後で意見交換ということにさせていただきたいと思います。
 それでは,先頭,萩原委員からどうぞよろしくお願い申し上げます。
【萩原委員】
 では,本日はよろしくお願いいたします。私の方からは資料2枚,本日御用意をさせていただいております。資料1ということで書いてあるものになります。
 まず,私ども全国高等学校長協会という団体に関してですが,全国の国公私立の高校の校長約5,200人を会員とする団体でございます。高校教育の振興を目的としている団体ということになります。
 これまで私ども全高長は,混乱なく大学入学共通テストの実施ができるよう,文部科学省等にお願いをし続けてきたという経緯がございます。一方で,これからの時代を生きる生徒に英語の4技能の力を育成することの必要性は認めておりまして,現在多くの高等学校ではその育成に努めてきていると考えております。既にAO入試や推薦選抜などの大学入試で英語検定試験を利用している大学もあり,検定試験の活用を否定しているわけではございません。また,生涯学習やスキルアップのために活用されてきた民間の英語検定試験そのものを否定しているというわけでもございません。
 ただ,ナショナルテストである大学入学共通テストの枠組みの中において,大学入試に活用する英語4技能検定試験について課題があるということで指摘をさせていただいております。その解消を求め続けてきたというのがこれまでの経緯です。
 私は5月末から会長になりまして,7月25日に文部科学大臣宛てに「大学入試に活用する英語4技能検定に対する高校側の不安解消に向けて」という要望書を提出させていただきました。その要望6項目は,そこに挙げてあるとおりです。
 実際にこの提出をするに当たっては,私ども全高長としては,各都道府県に協会がありまして,そこの協会長,各県の47都道府県の協会長さんにお集まりを頂いて,この内容について審議をし,文科省に要望を出したということです。
 その後,文部科学省でポータルサイトを作成いただき8月に公表されましたが,私どもが不安解消に向けてということでお願いしてきた内容が解消されていないということで,また9月に各協会長さん等に臨時でお集まりを頂きました。各学校の状況はどうなのか,各地域の学校の状況はどうなのかという意見交換をし,なかなか改善が進まないということから,2番目のところで挙がっております9月10日に文部科学大臣宛てに「2020年4月からの大学入試英語成績提供システムを活用した英語4技能検定の延期及び制度の見直しを求める要望書」を提出させていただきました。
 ここまでが私ども全高長としてお願いするなどして,また動いてきたところです。その後,大臣等々,文部科学省内でいろいろ経緯があったと考えております。
 私ども全高長としては,今の段階では何か発言をできるものを持っておりません。総意として何か発言できることにはなりませんので,本日の会議については,ここからは私の私見という形でのお話をさせていただきます。
 まず1点目,英語4技能に係る大学入試についての考え方として,私としては,大学入試とは大学が責任を持って自校で求める学生を選抜するものであり,主体的に実施されるべきものであろうと思っています。また,高等学校で身に付けた英語4技能を大学入試において評価する必要がある大学が,主体的に責任を持って実施をするということが望ましいのではないかと思っています。
 ただ,大学側が英語4技能をナショナルテストの大学入学共通テスト下で実施することが必要であると話がまとまるのであれば,大学入試センターが責任を持って実施すべきではなかろうか。高校側は高校での教育活動を踏まえつつ,大学側の意向を汲(く)み,実施できるように,また私ども全高長としても協議していくことが必要であろうと考えております。
 それから,2点目として,グローバル時代の高校生の英語力向上への支援の充実ということを挙げさせていただきたい。グローバル時代を迎えるというところで,高校生がやはり英語4技能をきちっと身に付けていく,それも学校教育の中において,いかにしてスピーキングやライティング力の向上を図らせていくのか,図っていくのか,また,海外交流活動などを充実させていくのかということが大変必要なことであろうと思っています。
 本校で取り組んでいる内容ということで,資料を1枚,今日お持ちをしました。こちらは,生徒が,本校の英語教育についてまとめたものです。東京都教育委員会から,都立西高等学校につきましては,東京グローバル10ということで指定を受けておりまして,多大な費用を頂いているということから,いろいろな取組ができているわけです。その中で生徒が,アメリカ研修では,希望する生徒はかなり多くおりますけれども,40名をアメリカのハーバード大学に派遣したり,インドネシアの高校と姉妹校交流をしたり,英語の授業としてはディベートをさせたり,また,オンライン英会話を取り入れています。スピーキング力を上げさせていくために何らかの手段,普通の授業の中ではやはり50分の中で40人を一人の教員が相手にしている中では,なかなかスピーキング力を上げていくというのは難しいということで,月に1回程度ではありますけれども,20分を2回というオンライン英会話を使い,それまでの授業で学んだ教材を中心にして,それをもとにエッセーを書かせ,それを本校にいるネーティブが添削指導して,その上で,相手とやりとりをするという形でオンライン英会話を使っています。生徒は,自分の思い,考えをネーティブと話ができるということで,楽しみにしている生徒が多い。
 また,スタンフォード大学に派遣させるとか,エンパワーメントプログラムということで,イギリスのオックスフォード大学生等を招聘して,校内で春休み中5日間,朝から夕方まで英語でいろいろな対話をやっていく取組をさせたりしています。
 本校については,先ほどもお話ししたように,東京都からかなりの支援があるので,また,場所柄もということでこのような取組ができていると思います。やはり全国の高等学校でこのような取組をしていくことが,英語力向上の全体の底上げを図っていくことにつながっていくのではないかと考えています。
 民間の英語の検定試験を受けさせることで,英語力,スピーキング力が向上するのかどうか。本来目指している使える英語力が身に付いていくのかどうかという点については,私自身ちょっと疑問に思う部分もありまして,今日は本校での取組を発表しました。
 特に高校生の英語力を育てていくということは,今後,日本,我が国のグローバル化を迎えていく中で特に必要なことであると思います。英語力向上について,各都道府県の教育委員会によってかなり温度差があるというのも,各団体から,各協会長さんからもお話を聞いて感じているところです。是非とも全国津々浦々,いろいろな形で英語力が向上していく取組を国が率先してお願いできればと思っています。
 以上です。
【三島座長】
 萩原委員,どうもありがとうございました。
 それでは,続いて吉田委員,よろしくお願いいたします。
【吉田委員】
 今日はこのような機会を頂きましてありがとうございます。私ども日本私立中学高等学校連合会は,高等学校でいいますと約3割の生徒を抱えている団体で,全国の各私立学校が加盟しております。そういう中で私は,今回というか,この高大接続改革につきましては,未成年者であって,まだ判断力もない,責任能力もない子供たちに代わって,その現場に一番近い人間の一人として,生徒たち,そして教職員たちの立場でこの会にずっと携わってくることを目的に参加してまいりました。
 そういう中で,いま一度皆さんに御理解いただきたいと思いまして,今日は,ちょっと分厚いですけれども,今までの資料をまとめさせていただきました。これはすべて文科省のホームページに載っている資料の中の抜粋でございます。量が多いのでちょっと早口になりますが,お許しいただきたいと思います。
 そもそも論で言いますと,まず,教育再生実行会議の第三次提言が,25年の5月に「これからの大学教育等の在り方」というものを出しまして,それを受けて,1ページにございます第四次提言「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」という提言が出されました。この中で,高等学校教育の質の確保・向上,大学の人材育成機能の抜本的強化,能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価し得る大学入学者選抜制度への転換が提言されました。
 右のページにありますように,この中でその当時は達成度テストという名前になっていましたが,レベルに応じて段階別に示すことや,各大学で多面的に入学者選抜を実施する際の基礎資格,そして1点刻みからの脱却というようなことが書かれておりました。
 そして,その後にありますが,学力水準の達成度の判定には,各大学のアドミッションポリシーに基づき,達成度テストの積極的な活用が図られるよう,各大学が個別に行う学力検査については,知識偏重の試験にならないよう積極的に改善を図る。国はTOEFL等の語学検定試験やジュニアマイスター顕彰制度,職業分野の資格検定試験等も,学力水準の達成度の判定と同等に扱われるよう大学の取組を促すということで,今までの1点刻みの知識偏重から変えていかないと,21世紀は成り立たないということをやってきたわけでございます。
 それを受けて,25年の12月にグローバル化に対応した英語教育改革実施計画が出されました。この中で下の方にございますように,小中高の各段階を通じて英語教育を充実し,生徒の英語力を向上,高校卒業段階で英検2級から準1級,TOEFL iBT57点程度以上等,B1レベル以上ということを目標とし,大学入試においても4技能測定可能な英検,TOEFL等の資格検定試験等の活用の普及・拡大ということがうたわれたわけでございます。
 そして,その次のページにあります生徒の英語力向上推進プランですが,2020年問題というのが出てきた原点は,私はこれだと思っております。と申しますのは,この英語力の中で,やはり高大接続改革実行プランに基づく高校教育や入試の一体的な改革というもののゴールを2020年にしようと,これは2020年ということは何かといえば,要はオリンピックイヤーに合わせてやはりそういうことが必要であるということで,2020という数字が出てきたものというふうに考えております。
 そして,その次のページに工程のイメージがございますが,ここで,25年から29年の間に生徒の英語力に関する目標を設定するのだと。これは現行の教育課程でございますけれども,英語で英語の授業をやるということ,その他含めて,非常に高等学校においても中学校においても,英語のコミュニケーション能力というものを,4技能能力を上げようということを目標にやっていまいりました。
 そして,それを受けて28年3月31日に高大接続システム改革会議が最終報告書を出されました。その中の抜粋でございますが,ページでいうと51ページになりますが,3番の大学入学希望者学力評価テスト,今の共通テストのことでございますが,それを創設すると。そして,主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を含む学力の3要素を多面的・総合的に評価するに当たり,各大学独自の評価方法とも適切に組み合わせながら効果的に活用することのできるものとすると。
 そして,いろいろな情報等を取り入れてやっていくんだよということを言いまして,55ページになりますが,ここで,上の方にありますが,試験の出題科目数については,思考力・判断力・表現力を養成する諸能力を中心に評価する作問体制への転換が必要であることや,受験者数の状況等も勘案しつつ,できるだけ簡素化する。そして,マークシート式問題の改善につきましても,一番下ですが,結果の表示については従来の合計点方式のみでは得られない,よりきめ細かい評価情報により個別大学の入学者選抜における多面的・総合的な評価を促進するため,多様な情報を各大学に提供するというような形にされました。
 そして,56ページに記述式問題の導入ということが書かれております。ここではクラスタリングなどという半ば機械的な方法で,効率よく採点できる方式の範囲で実施してやっていけばできるのではないかということで,実際問題として,海外,英国のGCEのAレベルやドイツのアビトゥーア,フランスバカロレアなどが例としても書かれておりますけども,そういった感じの試験に変えていくことが必要だということがうたわれました。
 そして,57ページで採点方法等につきましても,ここの条件への整合性の判定業務についていえば,例えば民間事業者等を活用して実施することも考えられるし,また,各大学の個別の関わり方によってもできるのではないかというようなこともクラスタリング等とともに書かれたわけでございます。
 そして,58ページで英語の多技能を評価する問題の導入ということで,今後,話すこと,書くこと,聞くこと,読むことの4技能の評価を推進すると。そして,次期学習指導要領及び現行の学習指導要領との関係で,必要な水準の確保等をしっかりとやって,入学者選抜としての妥当性,適正かつ公正で透明性の高い試験実施体制,費用負担の在り方や受検機会の確保,継続性・安定性の確保等をしっかりと考えた,民間の英語の資格検定試験を使ったりした試験にするようにということがうたわれたわけでございます。
 そして,このときに1つ問題になりましたのは,59ページの下でございますが,実施回数の在り方ということも言われました。つまり,記述式の問題等含めても,どうしても一遍にやることはできないのではないか。そこで,高大接続改革答申においては,大学入学希望者に挑戦の機会を与えるとともに,資格試験的利用を促進する観点から,年複数回実施することが提言されたわけでございますけれども,このシステム改革会議においてはやはり,1回の共通テストによる教科の知識に偏重した1点刻みの評価の枠組みを改革することを狙いとして議論を行ったわけですけれども,やはりいろいろな団体からの反対等もあって,1回ということになりました。
 ただ,右のページの上にあります大学入学希望者評価テストにつきましては,マークシート方式問題に加えて記述式問題や英語の多技能を評価する問題を導入することによって,これまでの共通テストより以上に学力を多面的・総合的に評価する。そして,教科の知識に偏重した1点刻みの評価の改革という点については,大きく改善されることとなる考えが出されたわけでございます。
 そして,これに基づきまして,28年4月に高大接続改革の検討推進体制というものが文科省によって発表されました。そして,その中で文科省内の改革推進本部ができ,基礎学力テストの準備チーム,入学希望者テストのチーム等が結成され,真ん中の別添1,2のページにあるように,各大学や高校からの代表者が出て,このテストについていろいろ検討したわけでございます。
 その結果,29年7月13日に大学入学共通テストの実施方針が出されたわけでございます。この中で,国語,数学Ⅰ,数学Ⅰ・数学Aについては,マークシート式問題に加えて,記述式問題を出題すること。そして,国語においても記述式を出題することが決定され,かつ,英語の4技能評価につきましては,3ページでございますけれども,学習指導要領との整合性,実施場所の確保,セキュリティーや信頼性等を担保するとともに,認定に当たり,各資格・検定試験実施団体に共通テスト受検者の認定試験検定料の負担の軽減等までも含めて,いろいろ検討して行うと。
 ただし,その関係で高校3年の4月から12月の年2回ということに指定されて,実は資格検定試験というものが入学試験にされてしまったのがこの段階でございます。そもそもこの英語4技能試験というのは資格検定試験です。そのことについてはまた後ほど述べさせていただきます。
 5ページで記述式問題の導入の意義等も書かれております。この一番下に,特に記述式問題を導入し,より多くの受検者に課すことで,高等学校に対し,主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善を促していく大きなメッセージになると。つまり,我々の高等学校の教育をしっかりと変えて,そういう考える力を持った子供を育てろということだと思いました。
 そして,6ページの最終報告ではというようなことがありまして,最後に検討経緯があるわけですが,この記述式につきましては,検討経緯のところにありますように,当初,1月に実施しセンターが採点する案,12月に実施しセンターが採点する案,1月に実施しセンターがデータを処理し,それを踏まえつつ各大学が採点する案の3つの案が出されたわけです。
 しかし,いろいろなことから,まず国立大学協会の方では28年の12月に,全ての国立大学受験者に個別試験で論理的思考力・判断力・表現力等を評価する高度な記述式試験を課すことを目指すこと。パターン2を,具体的な問題例と採点基準等を今後十分に吟味した上で5教科7科目の中の国語において,国立大学の一般入試の全受験に課す方向で検討する。そして,パターン1を,各大学の個別試験問題として活用することができるようにすると。
 また,日本私立大学団体連合会の方は,大学入学希望者学力評価テストの検討状況に関する意見としまして,記述式問題を大学が採点する案について,日程や体制の問題から実質的に不可能であり,採点の統一性の観点からセンターが責任を持って行うことが必要とされたと。つまり,この記述式問題に対しましては,本来であれば,アドミッションポリシーに基づいて各大学が自分たちの大学で欲しい学生を選ぶものであるべきと我々は思っておりましたけれども,それが,大学からセンターにやれと言われたことであって,今回問題になりましたように,業者が採点することに対しての問題もここが火元であって,決して文科省の方たちとの業者との関係とか,そういう問題では全くない。業者を選定せざるを得なかったということでありました。
 ただ,その際にも我々は,大変失礼でしたけども,今ここで焦って決定して本当にいいのかどうか,2020年ということではなく,2024年の教育課程の改訂に合わせて,しっかりと採点できる業者を選定する,若しくは大学がやるなり,もう1回そこをしっかりと検討した上でやった方がいいのではないかということを再三にわたって高等教育局の方に申し出ていたところでございます。
 そして,14ページに英語4技能評価の必要性というのが出ています。これはグローバル化が急速に進展する中で,英語によるコミュニケーション能力の向上が課題となって,現行の高等学校学習指導要領では25年度から授業は英語を用いて行うことを基本とし,英語4技能を総合的に育成することが求められているとありましたが,高校3年生になればなるほど,英語で授業をする比率は減っております。
 これも文科省で調べていただければお分かりと思いますが,要は大学入試が2技能であるから,4技能の必要性がないことから,英語で授業をやることが減っているわけでございます。そして,本来,この学習指導要領で準2級以上が50%という目標でございますが,実際には20%,そして,準2級相当という方を入れても40%しか行っていないという実態を考えると,これが大きく問題となったわけでございます。
 そして,資格検定試験の活用の必要性の中で,やはりこのお金の問題とか,皆さんのどこでいつでも受けられるというような大きな問題もあります。その辺のところを考えたときにも,50万人のセンターの受験生が一斉にセンターで実施することは不可能であるということをここではっきりとうたわれております。つまり,センターに50万人をあの2日間の大学入試センター試験の中でやることはできない。ですから,そこで外部検定の4技能,そしてさらには,今現在も4技能試験が多くの大学で使われることも踏まえて,それを利用するということにしたのがこの経緯だというふうに思っております。
 ちょっと時間がありませんので進めさせていただきますけれども,さっきの教育振興基本計画,30年6月15日に出たものの抜粋も入れておりますが,豊かな語学力・コミュニケーション能力とか,中高校生の英語力の割合を5割以上にするとか,そういうことが書かれました。そして,30年の8月10日に,実は追加分の大学入学共通テストの実施方針が出されました。これが出されました理由は,この3年生の4月から12月ということが本当に公平なのかどうなのかということが非常に大きな問題になっていたからでございます。
 と申しますのは,英語の4技能試験というのは全て資格検定試験であって,物によっては一生資格,物によっては2年間資格があるわけです。それを持っている者が,大学入試だからということで高校3年生でもう1回受けなければいけないのか。その苦肉の策として,文科省としてはB2以上のレベルの高い人だけは認めようとか,それから病気の人だけ認めようというようなことをやったわけですけども,この22ページにあるところ,上から2番目でございますが,ここで初めて我々の名前を出していただけたので,あえて読ませていただきますけれど,「この例外措置については,そもそも負担を軽減すべき特別な理由の有無に関わらず,学習指導要領に沿って英語4技能の学習を続けてきた高校生のために2年時までにおける参加試験の一定以上の成績は全て利用可能とするのが当然,との意見(日本私立中学高等学校連合会)もあったが,基本方針で定めた原則,受検者の負担や高等学校教育への影響を考慮し,家庭や居住地に関し負担を軽減すべき事情のある生徒に限定して認めることとした」と。つまり,早期から資格検定試験対策に追われるなどというくだらない発想を持った方がたくさんいたがために,このような形になった。そして,資格試験がセンターテストになったから,入試になったからこういう形になったわけでございます。
 そこで,この資格検定試験というもので,あえて次のページを見ていただきたいのですが,国家公務員採用総合職試験におきましては,平成27年度からこの英語4技能試験というものが利用されるようになりました。ここのQ&Aの上に書いてありますように,行政が国際化したことに伴って,総合職採用者として必要な英語の基礎的能力について,コミュニケーション能力等も含め検証する目的で外部英語試験を活用しています。
 そして,この時期を是非見ていただきたいんですが,試験実施年度の4月1日から5年前の日です。つまり,大学4年卒業時に高校3年生のときのデータでいいわけなのです。そして,これも例えばTOEFL,IELTS,TOEICは2年間です。ですから,本来なら資格は失せています。にもかかわらず,それのコピーを原本と一緒に持ってくれば,CEFRのまさにB2レベルぐらいでプラス25点やプラス15点の加点がされてしまう。そういうのに大学入学共通テストだけはそれができないというのは余りにもひどいのではないかと。
 そして,最後のページから2番目になりますが,先日もこの試験がいろんな種類があって整合性がないのではないかという御質問がございましたけれども,これは文部科学省で平成30年の8月28日に英語の資格検定試験と高等学校学習指導要領との整合性の確保についてというのが初中局の方で出されまして,はっきりと確認のプロセス,そして一番最後に,整合性があることを確認とございます。
 そして,次のページに試験の種類が書いてあるわけですけれども,この試験につきましても,先ほど来お話がありますように,今現在110万人からの高等学校の生徒,つまり98%の子は高校に上がっています。その98%の子たちがTOEFL iBTやIELTSを受けられるようなレベルの子ばかりではありません。やはり下の方の子もいます。そして,そういう子たちには,やはりGTECとか英検の4級5級というものも必要になってくるわけです。ですから,これだけの種類があっても,各大学がどの種類のどの試験を使うかということで選んでいただければ,子供たちには問題ない。
 ただ,そこで,4技能試験を4月から12月の2回ということで限定された場合に,この試験を受けていないがためにその大学に行けないということも起こってしまう。そうすると,これを解決するためには,やはり私は資格検定試験であって,個人の資格で受けて,それを利用すればいいし,それから費用的な問題,場所的な問題につきましては,はっきり申し上げて,これは都道府県とか国ももちろんそうだと思いますけれども,やはり家庭の困窮,その他によって受けられないということはいけないと思いますので,その問題こそ,今現在,本来は討議していくべき時期だったのではと思います。
 ただ,それが,そこを不公平だからってことで1回中止にしてしまったがために,今の高校3年生以下は本当に迷惑しています。皆さん高校2年生以下と思っていますけれど,今の高校3年生も,実は浪人した場合は高校2年生と同様になるわけです。そうすると,4技能試験をやらなくてはいけないと思って今まで勉強してきました。それが駄目になったのです。
 そして,今の高校2年生以下につきましては,おかげさまで,今の高3もそうですけど,私立大学の多くがかなりこの4技能試験を使った入試をしていただけるようになっています。これは共通テストとは関係なしでやっている試験でございます。それによって救われている部分もありますけれども,やはり私は,ここで「なくなってほっとした」とか言っていらっしゃる方もいますけれど,真面目にこうやって決まったものをルールを守ってしっかりやってきた子供たち,そして,それに合わせて努力をして教えてきていただいた先生方,その気持ちを考えると,私はこの中途半端な取りやめというのは非常に気の毒であったと思っております。
 是非,ここで大臣が11月1日に本当に温かい言葉で,大変残念ですが,英語教育充実のために導入を予定してきた英語民間試験を,経済的な状況や居住している地域にかかわらず,等しく安心して受けられるようにするためにはさらなる時間が必要だと判断するとおっしゃってくださいました。私もまさにそのとおりだと思っておりました。
 ですから,我々日本私立中学高等学校連合会は,新学習指導要領の開始と同時に英語4技能試験の導入,そして,英語2技能についてはセンターは実施しない。そして,記述式等についてもしっかりとそこまで時間をかけてやっていくということを求めるということをずっと続けて言っておりましたし,今回もその同じ考えで行かせていただきたいと思っております。
 ちょっと長くなって恐縮ですが,よろしくお願い申し上げます。
【三島座長】
 御意見どうもありがとうございました。7年ぐらいの間にわたり,どういうふうに物が決まってきたかということを手短にお話しいただきましたので,その間の御苦労も察するに余りあるところもございます。ありがとうございました。
 それでは,今の2人の御意見について御質問,御意見等を頂ければと思いますが,いかがでしょうか。どうぞ。
【末冨委員】
 萩原先生も吉田先生も大変参考になる発表ありがとうございました。恐らくなんですけれども,英語4技能試験を何らかの形での高大接続システムの改革の中に入れ込まなければならないということは当然の前提なんですが,萩原先生にも吉田先生にもお伺いしたいのは,やはり高校の現場も多様化しているということと,それから,英語4機能だけではなくて,学習指導要領改訂に伴って,全ての教科においてこれまでにないレベルでのカリキュラムマネジメント,あるいは教員の研修ですとかも含めて,学校マネジメント自体の変革期に差し掛かっていると存じます。
 そうした中で,特に都道府県間ですとか,私学さんも多様で,日大も含めて附属校は多様ですけれども,多様な現場での取組の差ですとか,全ての大学受験の希望者に対して4技能を問うていくことが可能な高校教育の体制になっているのか,全ての都道府県において十分な支援体制がなされているのかということについて伺いたいと思います。
 個人的に神奈川県の私学助成に関わっておりまして,東京都と比較すると,残念ながら相当な格差があると言わざるを得ないわけですので,全国の高校生が英語4技能を十分に高校の学びの中で保障されていて,それが大学に接続されていくということが可能な状況にあるのかどうかということを教えていただきたいということでございます。
【萩原委員】
 なかなか私ども全部,全国の様子をというところではないんですけれども,ただ,今回,経済的なというようないろいろ話も出てきましたが,その1つには,保護者の負担というだけではなくて,やはり教育環境,例えばネーティブをというふうに,学校にいる,いないというところでもかなり差が,それは国がというよりもやはり各都道府県の取組,私どもの学校には今,JETの教員が二人と,それからALTが1名,3名おりますけれども,そういう状況の学校が,じゃ,全国どこもみんなそういう状況かといえば,そういう状況ではない。
 東京都では今,JETを付けていますけれども,県によってはかなり,ですからネーティブでも,それからあと島しょとか何かにおいてとか山間部であると,なかなか外国人と,特に英語圏の方々と触れる機会というのもかなりやはり少ないというところでは,ですから全国が今,ちょっと私も先ほどお話ししたように,全国が同じような形での英語教育を受けられている状況にはやはりないというふうには思っております。
【吉田委員】
 私ども私立学校は,高等学校というのは入学試験を受けて入ってきています。ですから今98%入っているわけですけれども,本当に上から下まで広いです。特に東京とか大都市圏は別なのですけれど,割と地方へ行きますと,公立学校の補完校的要素で私学の方がレベルが低いというような地域もたくさんございます。そういう中で,やっぱり各学校学校に合った教育をしなくてはなりませんので,言い方は悪いのですけれども,アルファベットも書けない,九九もできないような子が入っている学校に英語4技能をやることははっきり言って不可能です。
 でも,そういう学校は今度それではなくて,人となりをしっかりと整えて社会に出していくという教育をしていく。英語等につきましても,やはり高校ですから入試があるので,子供たちが選べます。ですから,都立高校でもそうなのですけれども,この学校だったら英語をすごくやる学校だ,この学校は英語よりもこっちをやる学校だ,そういうのを子供たちが選んで入っていくという部分がありますし,センターテストも全体の半分ぐらい,50万人ぐらいですから,全員が利用するわけでもありません。
 ただ,今度,英語4技能というのは本当にコミュニケーションツールとして必要になってきたために,いろんな学校で始めている。そして,始めて,それによって大学さんがまたそれを取っていただけるようになってきている。でも,大学によっては,はっきり言って,そんな4技能なんか要らないという大学もあるし,せっかく子供たち4技能やって入っていっても,企業の入社試験がTOEICなので,2技能のTOEICが進級要件になっているなんていう大学もあるわけですから,そういう矛盾もあるのも事実なのです。
 ですから,私は,高等学校というのは中学校までと違って,義務教育と違って,自分たちで希望して入っている,そしてその学力に合った学校ということになっているために,同じことを全部やるというのは,今の段階では不可能なのではないかなという気がいたしております。
【三島座長】
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【芝井委員】
 お二人の委員の方に1つお伺いしたいのですけれども,今回の発表の内容は基本的には英語4技能のお話ですが,もう一方の記述式出題についてはどのような御意見をお持ちなのか,簡単で結構ですので教えていただけますでしょうか。
【萩原委員】
 私ども全高長としては,この記述式の問題に関しては特にコメントを今までもしてきておりません。というのは,大学入試センターが責任を持って実施していく試験ということで,当然,出題等々についても高等学校の内容を踏まえたものということで,それであと実施等々についてもということで,是非とも私どもとしてもそこをきちっとやっていただきたいということでお願いをしているという立場です。
 今回についてはいろいろまた改めて問題が,採点とかいろいろな問題が出ているというところですが,そういう部分についても是非ともクリアするような形でお願いをしていきたいという立場におりました。
【吉田委員】
 私ども私立学校といたしましては,先ほどもちょっと述べていたのですけれども,この記述式問題というのはやはり絶対にこれからの世の中で必要だと思います。問題点を解決するというようなことを考えても,未知の解答のものをこれからぶつかっていかなくてはいけない子供たちですので,やはりしっかりとしたそういった思考力・判断力・表現力等,新しい学力を身に付けさせるためにも記述式問題というのは必要だと思っております。
 ただ,この記述式問題につきましても,私はやはり各大学のアドミッションポリシーというものが大きな影響するのではないかなと。共通テストでやる場合には,先ほども申し上げましたけども,クラスタリングできるようなもので,80字ぐらいとか,そういったものでやっていくという形しか今の段階ではないのかなと。
 本来であれば,各大学さんが一次でも,記述式だけでも大学が読んで,そして決める。つまり模範解答のある記述式というのは本来はおかしいのではないか。各大学がこういう姿を持つ学生を欲しい,その欲しい学生がどのような記述式の論文を書いてくれるかということで選考するということが正しいのではないかと思っています。
 ただ,今,悔しいかな,一部では共通テストと願書だけで入学試験を済ましている大学があります。そういった大学に今更こういう4技能だとか記述式だとか,ちゃんとやってくださいということができるのかどうかという疑問は半分持っているのも事実でございます。
【芝井委員】
 ありがとうございます。
【三島座長】
 よろしいですか。それでは,大分時間が押しておりますが,もしもう1つあればと思います。どうぞ。
【渡部委員】
 どうもありがとうございました。萩原先生と吉田先生のお話を伺いながら一々深く共感できることが多々ありました。
 これは質問といいますよりもコメントといいますか,感想でありますけれども,やはりテストに2つの機能があるよということを理解するのはとても大切だということを改めて思いました。つまり,高校までに学んだことの保証をするといった機能を果たすためのテストと,各大学で,うちは必ずスピーキングが必要ですと,この学部では必ずスピーキングできてくださいと,そういうところがあればそのテストをやるべきだという,そういう今後を見据えた選ぶ立場のテストの機能がありますが,この二つのテストの機能は峻別する必要があります。
 その上で,後者の機能については各大学のニーズの多様性を認めるということが大学入試改善の要件の一つになると思うのです。お二人の先生の御発表にはその意味が込められていたと私は捉えました。それから,高校までに学んだことの質の保証についてです。これがどうすべきかということが大学入試の機能を捉える際に大きな問題になるかと思います。いわゆるアカウンタビリティーが今後の議論の課題の一つになるのではないかと考えています。全国一斉に卒業試験をやることが望ましいのです。簡単ではないでしょうが望まれることではないかと私は思います。
 上の二つの機能は,CEFRの換算表では区別されていません。CEFRの換算表は参考になりますし,研究のためには役に立ちますが,実行に移す場合にはかなり問題があると思います。これについてはまたいずれ別の機会にお話しすることもあろうかと思います。
 企業が大学に向けて,大学の英語教育は何やっているんだ,だらしないじゃないかと。それは幾ら言っていただいてもかまわないんです。それから高校・中学に向けて,もっとしっかりやってくださいと,これも幾ら言ってもかまわないことだと思います。ただ,それをすぐに入試に結び付けるというのは相当な飛躍があると考えます。
 以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,次へ進めたいと思います。次は3人の岡委員,柴田委員,芝井委員にと思いますが,先頭,岡委員でどうぞよろしくお願いいたします。
【岡委員】
 それでは,国立大学協会から発言をさせていただきます。資料3を御覧ください。
 国立大学における入学者選抜についての考え方,これまでの経緯を踏まえながら,英語民間試験,共通テストにおける記述式問題の導入について,国立大協会(国大協)として述べてきた課題等も含めて説明をいたします。
 資料3の上の四角で囲っている部分を御覧ください。まず初めに,これまで国立大学において以前から原則としてきた考え方について申し上げます。
 まず,共通試験,つまり現在の大学入試センター試験と,各大学,具体的には学部・学科等の理念や総意に基づき実施する個別試験の組合せにより適切な選抜を行う。
 それから,大学入試センター試験については,高校教育における基礎的な学修の達成度を測る上で少なくとも5教科7科目を基本とする。
 続いて,個別試験については分離分割方式,つまり,前期と後期で選抜を実施することとし,受験生の受験機会の確保を行う。
 それから,大学入試の科目については,各大学のアドミッションポリシーに基づき各大学が必要とする科目を判断し,受験生に課す。この4点の考え方を持って,センター試験と各大学の個別試験は一体となって入試を実施してきたところです。
 それでは,年表に従って話をさせていただきます。1979年に国公立を対象とした共通第一次学力試験が開始され,国立大学はこれ以降,個別試験との組合せにより選抜を行ってきております。そして1990年からは,私立大学も参加した形で高等学校の段階における基礎的な学修の達成度の程度を判定することを主たる目的として大学入試センター試験が開始され,国立大学では,基礎的な学修の到達度を測る上で,少なくとも5教科7科目を課すことを基本としております。
 そのような流れの中で,2014年に「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜の一体的改革について」の中央教育審議会(中教審)の答申が発表されました。その中では,入試センター試験を廃止し,新テストを導入することや学力の3要素を踏まえた多面的な選抜方法について述べられております。さらに,具体的な選抜方法等に関する事項を各大学がアドミッションポリシーにおいて明確化することも述べられました。
 国大協におきましては,中教審における議論の経過や答申を受けまして,同年に「今後の国立大学の入学者選抜の改革の方向について」を発表し,国立大学の入学者選抜の改革の方向性について基本的な考え方を取りまとめております。
 その中では,大学入学者選抜は本来,各大学がそれぞれのアドミッションポリシーに基づいて行うことが基本であり,センター試験と各大学の実施する個別試験の組合せで適切な選抜を行っており,分離分割方式にて受験機会の確保を行ってきたことを述べております。
 また,実施体制についても言及をしており,入学者選抜においては,限られた人的・物的資源や日程の制約の中で,ミスの生じないよう万全を期すこと,公平性を担保すること,選抜の基準,手続等については透明性を確保し,説明責任を十分に果たすことが求められる。入学試験は数ある国立大学の事業の中でも,透明性,公平性,国民に対する説明責任が最も厳しく問われるものの1つであるとしております。
 2016年には中教審の答申や高大接続改革実行プランに基づき,高大接続改革の実現に向けた具体的方策を取りまとめた「高大接続システム改革会議」の最終報告が発表され,記述式問題の導入と,その結果を段階別表示とすることや,英語については4技能を重視し,実施時期については,マークシート式問題と別日程で実施する案についても検討することが示されました。
 最終報告を受けて,国大協としましては,検討の流れに積極的に参画するとともに,入学者選抜の基本方針の見直しにも早急に着手することにいたしました。また,文部科学省から平成32年度から実施予定の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」における記述式問題の出題方式,採点方法等についての新たな記述式問題に対する懸念事項が述べられたことに対し,国大協としての方針を示すために,「大学入学者選抜における記述式問題出題に関する国立大学協会としての考え方」を出しております。その中では科目を限定せず,それぞれの大学のアドミッションポリシーに基づいて,全ての国立大学受験生に個別試験で高度な記述式試験を課すこととしております。
 その後,朝日新聞の12月19日付の報道で,国立大学が86大学ある中で,大学院大学の4校を除く82大学を対象とした東北大学の調査では2015年度の実施された二次試験の問題のうち,短文・長文で答える問題や小論文,数式など,国語科目に限らず記述式問題は全体の88%にも上るという結果を出しており,多くの大学が記述式問題を既に導入しているという調査結果が判明しております。
 2017年5月16日に文部科学省が公表を行った「高大接続改革の進捗状況について」の中で,記述式問題,英語4技能についての方針などが取りまとめられました。公表を受け,「「高大接続改革の進捗状況について」に対する意見」として,英語民間試験,記述式問題についての課題を国大協として述べさせていただき,具体的な内容と方法を示すことなどを文科省に求めておりました。
 英語民間試験導入の課題として,資料の中で分かりやすいように左側に,aからdでまとめております。これらの課題の中で,「認定の基準及びその方法」や「学習指導要領との整合性」については,大学入試センターにおいて参加要件を求めて,事業者から提出された内容を確認の上,試験の認定を行っていたと認識しております。
 また,「受験機会の公平性担保,受験生の経済的負担軽減等の具体的方法」と「異なる認定試験の結果を公平に評価するための対照の方法」については,いまだ解決すべき課題が残っていると考えております。国立大学としては,これらの課題について検討会議で十分に検討,検証を行うべきと考えております。
 右側の欄に記述式問題の課題も同様にaからdでまでの4点を挙げております。これらの課題の中で,「より多くのモデル問題例と明確な採点基準」や「採点の質や公平性担保の具体的方法」については,文部科学省の大学入学共通テスト実施方針策定に当たっての考え方で,問題案について方針が示されており,2回のプレテストを経て,採点基準や採点の質について検討が求められてきたと認識しておりましたが,「採点の質や公平性担保の具体的方法」については,御存じのとおり,関係者の理解が得られず,延期となったところです。
 また,「設問毎の出題意図や重点付け等の示し方,段階別成績表示の具体的方法」は,大学入試センターにより既に方針や段階別表示についての内容が示されており,「採点に要する期間及び各大学への成績提供の具体的な時期と方法」では,通常のスケジュールより1週間程度遅らせるという決定がなされておりまして,非常にタイトな日程であったと。これは大学にとっては大変な負担だったということを申し上げておきます。
 続きまして,「大学入学共通テスト実施方針」及び「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」が公表されたことを受けて,2007年に策定した国立大学協会の基本方針を見直しまして,「2020年度以降に実施する国立大学の入学者選抜制度」に関し,基本方針を明らかにするために,「2020年度以降の国立大学の入学者選抜制度」を取りまとめております。
 その中では,英語民間試験は,英語4技能の総合的な能力を適切に評価することがグローバル人材育成を含めた大学教育改革につなげるため重要であること。記述式問題は,新テストの5教科7科目を課す原則の下,記述式問題を含む国語及び数学を一般選抜の全受験生に課すこととしております。その後,「高等教育における国立大学の将来像(最終まとめ)」において,高等教育を取り巻く社会構造の変化などについて確認をし,将来の我が国の高等教育全体の在り方を考察し,その中で国立大学に求める使命を確認して,自らの将来像を提言し,その実現に向けた方策を示しております。
 この中におきましては,国立大学の入学者選抜制度についても述べられておりまして,国立大学の入学者選抜においては,①限られた教科・科目にとどまらない幅広い基礎的・基本的な学力・教養。②知識を関連付けて最善解を解く論理的思考力とコミュニーション能力。③学問に対する強い関心と社会貢献への意欲を備えた入学者を受けるために,当面現在進めている高大接続システム改革を着実に実施し,個別試験における高度な記述式試験の導入,推薦入試,AO入試,国際バカロレア入試等の拡大などを推進すると方向性を示しております。
 今後も英語4技能は重要であるとの認識には変わりなく,個別の大学でアドミッションポリシーに従い,これまでもAOや推薦等,特別選抜において英語民間試験が活用されております。
 しかしながら,国大協としましては,特にスピーキングに関して画一的に全ての国立大学の個別一般試験に課すことは,現行の試験期間や受験生の経済的負担を考慮した場合,非常にハードルが高いと考えております。また,記述式においても,各大学のアドミッションポリシーに基づいて個別試験で記述式を課しており,国大協の基本方針でも科目を限定せず,高度な記述式を課すことにしている方針には変わりはございません。
 国立大学はこれまで共通一次試験以降,共通試験と個別試験を組み合わせ,それぞれのアドミッションポリシーに基づいた入学者選抜を行ってまいりました。今後も大学入試センターと協同の下,入試を行う方針に変わりはございません。以上でございます。
【三島座長】
 国立大学協会での動きについて御意見を頂きました。
 それでは続いて,柴田委員,よろしくお願いいたします。できるだけ10分程度ということで御協力お願いします。
【柴田委員】
 承知しました。お手元の資料を御覧いただきたいと思います。公立大学協会,参加校が93,学部を持っているのが91大学でございますけれども,必ずしも選抜において一枚岩ではございません。ということで,まず,最初の平成29年12月の共通テストに係る利用の考え方をまとめました。これは,まず1番目に,この認定試験等の利用方法については,飽くまでもそれぞれの公立大学の判断に従うものであるということを原則とした上で,国公立大学の共通枠組みである分離分割方式で一般入試を実施していることを踏まえて,受験生の混乱を最小限に収めるために,共通テストと認定試験の双方を利用することが望ましいということを決め,通達したわけでございます。
 1枚おめくりいただきますと,昨年11月5日に改めまして今回の事態に対応した会長のコメントを発表し,それに対応して,3ページ目で,従来,導入を78大学,活用すると言っていた大学が,この11月1日以降に調べますと,わずか1大学に減っております。これについては,背景等を後ほど御説明させていただきます。
 4ページを御覧いただきますと,会員校からの意見等がございまして,公立大学協会としては,これを集約することは行っておりませんので,羅列的に書いておりますが,外部検定試験の活用については,様々な意見があったところでございます。記述式の実施方法についても,積極的に賛成する意見等々がありましたけれども,そのほか4ページの一番下のところですが,記述式の導入に伴って共通テストの成績提供日程の後ろ倒しが生じたわけでございまして,これについては,非常に困るという懸念が出されています。
 既に記述式試験を導入している大学として,5ページのところに集計がございまして,多くの大学では小論文試験等々を推薦入試,前期,後期等々で実施している状況です。それから,小論文以外の記述式は,国語,英語,数学等々で実施されています。
 公立大学としましては,そういう状況でございますが,これからは私見ということになろうかと思いますけれども,1枚おめくりいただきまして,これは昨年10月28日の段階で,学長会議が山口で開催されました際に,共通認識をまとめ,「入試改革の行方」として私の方からプレゼンした資料でございます。
 なお,私が寄稿しました日経新聞の記事も参考にしております。
 ここでは,まず日本における入学者選抜の背景ということを,余り語られることがございませんけれども,日本の学校教育制度の特性というのは,もう皆さん方,つとに御承知だと思いますが,修得主義ではなくて,履修主義というのがございまして,学齢に従って高校卒業,大学入学が可能なこと,それから,入学試験の方も2セクターに大きく分かれまして,2区分の大学入試が行われている。
 それから,これはちょっと情緒的な表現ですけれども,入試文化の特異性というのがあろうと思っております。入試風土と言っていいのかもしれませんけども,定員が極めて厳格,プラスマイナス10%以内とか,それから,過度と言うと失礼かもしれません。過度の公平性とか,合計点の1点刻みで,しかも教授会で査定するというようなところ,それから,評価につきましても,集団準拠試験と申しますか,1点刻みのものが行われておりますけれども,必ずしもそれが学力を反映したものではない一面があることで,到達度テストというのが望ましいところでございまして,そういうところは,一部のアドミッションセンター等を中心とした,専門家と言っていいのか分かりませんけども,一部の方々の間では共有されていた認識でございました。
 今回の入試改革の論点を整理しますと,私は,学力の3要素を多面的,総合的に選抜に用いるということは非常に画期的なことではないかと思います。その構成要素として,大学入学共通テストの方でも単に知識を問うということではなくて,思考力,判断力,表現力を問う,その一部として記述式問題が出題されるというのは画期的なことであろうと思っておりました。
 それから,もう一つが大学入試の英語の成績提供システム,これは必ずしも大学入学共通テストとはイクイバレントではございません,その枠組みで実施するというような表現になっておりますが,私はどこかの委員会で,これは別個のものと考えるべきではないかというような発言をした記憶がございます。ただ,流れとしては枠組みでということだったと思います。これについては,民間の英語資格・検定試験でCEFRに準拠して行うこと。
 それから,もう一つが,これも注目されてないけれども,個別選抜に係る新ルールにおきまして,主体性・多様性・協働性,これを評価しなさいということも,個別大学にとっては大きな課題でございます。
 しかもこの全入時代における入試風土といたしまして,定員管理と,それから,学力の担保という,相反するようなものが課されておりまして,従来の集団準拠順位によるものか,到達度の把握によるものか。とりわけ今回の場合には,点数表示ではなくて,段階的表示がございますけれども,これらを合わせて多面的,総合的に選抜を行うためには,段階的評価というのが導入されなければいけないと考えていた次第です。特にこの大学入試英語成績提供システムと,それから記述式問題については,この段階的評価が導入されるということで,これを各大学でどういう具合に選抜に利用するかというのは,個別大学では非常に大きな課題になっておりました。
 特に今,問題になっております英語成績提供システムは,以前にも発言させていただきましたけども,これは大学にとっては非常に活用法と,それから利点が多々ある有り難いシステムでございます。これは複数回,受験できますし,先ほどの御発言だったら,5年前までさかのぼって利用ということもございましたけれども,4月から12月まで,現行では2回,受験可能であるし,学力に応じた資格試験を時期,会場から選択できる。これにも制約があるという御意見が出ておりますけども,最大の受験生にとってのメリットは,志願書類に共通IDを記入するだけで,手間の掛かる成績証明書を請求し,費用を払って,それを各志願大学に提出するという手間が不要になる。大学にとりましても,CEFRによりまして様々な資格試験が標準化された形で英語力の証明として提供されるということ,さらには共通テストの枠と言われておりますけれども,共通テストに参加していない大学も利用可能であることは大きなメリットでございますし,特に総合型選抜,学校推薦型選抜での英語力把握にも利用できるというところでございまして,是非4年後には何らかの形でこれが導入されることを祈っております。
 それから,ちょっと時間が過ぎましたので,最後に,1枚おめくりいただきますと7ページのところです。各公立大学では共通した認識として,令和6年度には再度,学習指導要領の改訂に伴い共通テストの改訂が行われます。従いまして,令和3年から4年間は,今回のような事態にならなくても,移行期の暫定的,試行的なもので,過去の経験から申しましても,これから数年度は混乱が続くだろうということは公立大学の方では共通認識でございました。ということで,今回のこの検討会議におきまして,4年後に更にしっかりした,充実した統一試験等々が実現するということを期待している次第でございます。
 どうも時間超過しまして,失礼いたしました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。公立大学の取組ということで御紹介いただきました。
 それでは,最後に,芝井委員から御意見を頂ければと思います。
【芝井委員】
 ありがとうございます。私立大学連盟の取りまとめを見解という形で資料に上げておりますので,よろしくお願いしたいと思います。せっかくですので議論をしたいので,なるべくアンダーラインを中心に,簡単に御紹介を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
 一番初めのアンダーラインに関することですが,私立大学連盟では,高大接続改善を求めるという基本方針と,具体策としての英語4技能の必要性,あるいは重要性ということと,それから思考力,判断力,表現力を測定するために記述式問題を導入するということは,改革の理念としては十分理解し,共有したいと思っています。
 もう一つは,次の4行のところにありますように,当然のことですが,大学の人材の育成機能の強化ということと,それから,高校教育の質の向上,それから,つなぐところの大学入試改革というのを全体像の中で捉えていただく必要があって,入試だけを議論すると,やはりなかなかうまくいかないと。ただ4技能を確認しなければならないというふうにおっしゃると,では,大学に入って,私たちはどのようにして彼らの技能を伸ばしていくのかという視点が抜けてしまうわけです。そういった意味でも,高校での実践,それから,入試という接続の部分と,その後の大学教育をトータルに考えていく必要があるということが私大連の考え方の基本にあります。
 まず分かっていただきたいことは,大学生の78%が実は私立大学の学生で,その入試のパターンを基本的に押さえた上で議論をしていただきたい。これは前回申し上げましたが,もともと共通一次から始まり,センター試験になり,そして,もう一度,共通テストという形で展開していくわけですけども,もともと国立大学あるいは公立大学の一次試験として開発されたものです。私大は長らくそこに入ってきませんでした。ようやくいろんな状況の中で,特にアラカルト方式による実施が可能となったときに,初めて私立大学も徐々に議論をしながら利用していった。しかし,今の私立大学の入学者の割合でいうと,センター試験の入学者は極めて少ないという現状があります。利用はしているけれども,少ないと,これは是非分かっていただかないといけないと思います。ですから,私立大学というのは,むしろ高大接続にふさわしい小論文の試験であるとか,あるいは高校でどんなことを経験してきたかということを十分に評価した上で入学者を入れている現状があるということを是非分かっていただきたいと思います。
 それから,極めて多様です。スポーツ推薦入試のような制度もありますし,社会人入学,帰国子女の入試,それから,当然附属の高校があれば内部進学の入試もあります。これも広い意味での高校での実績を踏まえた形の合否の付け方でして,この検討会議で共通テストを解決すれば全てが解決されるような議論をされると,ちょっと私立大学としては困るということがあります。
 そういった意味で,私たちは,もともとアラカルト入試としてセンター試験を利用してきた,現在も利用しているということがありますので,基本的には,私立大学はそういう形で動いてきた利用条件が新しいテストになっても継承されることが共通テストを利用するときの前提条件であると考えています。もしかすると,いやいや,こういう方向でやっていくのだから,きちっと乗ってほしいという話があるかも分かりませんが,十分検討した上で,私たちはそこに参加をさせていただきたい。それはセンター試験もそうだったし,今回の共通テストも同じスタンスで臨みたいと思っています。
 それから,2つ目のところですけれども,飽くまで入学試験,選抜においては独自性と多様性を発揮しながら,学力の3要素を意識しつつ入試改革に取り組んでいきたいと思っています。そのときに,共通テストは信頼性の高い選抜方式の1つでありますので,その活用方法については各大学が判断しながらも,是非利用させていただきたい。ただし,一律に利用しろということについては,やはり難しいというのが現状であると思います。先ほど私立大学を中心に,現状で言いますと,センター試験だけで合格を出しているのはいかがなものかという発言がありましたが,定員のごく一部です。それ以外でやっている私立大学はほとんどないと思いますので,一言申し上げておきたいと思います。
 それから,2番目ですが,大学入学共通テスト導入の経緯に関する検証を是非お願いをしたい。私どもの印象で言うと,具体的な制度設計,あるいはリスク管理がやっぱり不十分であったと思っています。幾つかの議論の中で,実施の時期であるとか,内容であるとか,あるいは最終段階でTOEICの撤退がありました。そういう二転三転する状況の中で,私たちは,本当に信頼して利用できるのかどうかについて,私立大学の多くの先生方は不安を持ったという現実がありますので,お伝えしておきたいと思います。
 それから,2つ目がすごく大事なことなのですが,大学入試に関しては,高校生に対して2年前周知という大変重要なルールがあります。今回,これが破られたこと,これは是非私たちは共通して責任を感じなくてはならないポイントだと思っています。大臣の方から,やっぱりやめるという形でされたわけです。これはもしかすると正しい選択だったかもしれませんが,先ほど吉田先生からありましたように,受験生からすると2年前のルールという大きな原則を破ったことなのです。これはすごく大きな罪であると私は思っています。賛成か反対かではなくて,私たちが高校生に対して破ってしまったという重みだけは,押さえておく必要があると思います。
 それから,3番目のところは,ちょっと読んでいただいたらと思いますが,私立大学はセンターに,一部のアラカルト入試だけども,作問し,会場を提供し,実施の監督を一生懸命してきましたので,そこも是非見ていただきたいというところです。
 それから,2番目の公平性の担保に関してですが,これはなかなか悩ましいのですけれども,確かに社会格差を助長するような形で実施することはできないというのは当たり前ですが,とはいえ全てに不公平が生じないような措置というのはどこまで可能なのかということは,現実的には,私たちは判断をする必要があると思っています。
 それから,3番目です。英語4技能ですが,現状,多くの私立大学が実際にその資格・検定試験の結果を入学者選抜のために活用しています。恐らく国立大学,公立大学よりも割合でいっても大きな枠で利用しているはずです。AO入試のときにも利用しています。それから,指定校推薦入学のときにも必要な書類として頂戴したりしています。
 そういった意味で,実は検定資格の試験の利用・活用という意味では,私立大学の方が進んでいると思います。そういった意味で,英語4技能の評価においても,その資格・検定試験の結果について現実的に利用してきましたし,これからも多様な利用を促進した方が結果的に有意義だと考えています。ただし,共通テストで利用するのかどうかについては意見の分かれるところです。可能であれば使えるかもしれません。でも,可能でなければ使えないという判断をどこかでする必要があるかもしれません。
 4番目です。記述式出題の在り方です。これに関して一番大きいのは,私立大学からしますと,現実問題,なかなか成績提供期間の関係で1月に共通テストが行われるとつらいという状況があります。本来12月ではなかったのですかというのが多くの私立大学の教員の愚痴かもしれませんが,話が違うと思っているところです。
 その他です。1つは,高等教育政策の連携・統一性の中で矛盾なく設計をしてほしいということと,それから,民間試験団体が実施する資格・検定試験については,大学は質保証に主体的に関与することはできないという限界がありますので,これをどのように捉えるのかというのは大事な問題かと思っています。
 時間が過ぎたようですので,以上にさせていただきます。ありがとうございました。
【三島座長】
 芝井委員,どうもありがとうございました。
 それでは,ここで萩生田文科大臣が公務のために退席をされます。ここまでの意見を聞かれて,もし感想などございましたら,どうぞ。
【萩生田文部科学大臣】
 先生方,ありがとうございます。それぞれのお立場で,また過去の経緯を御存じな先生はより詳しく御説明を頂いて,大変勉強になりました。本日,発表いただいた御意見は,まさに大学入試改革の当事者である高校,大学の皆さんのお話であります。前回,申し上げましたけど,今日で終わりということではなくて,またいろいろ幅広に,議論の進展に応じて様々な方々から御意見を賜りたいというふうに思っておりますので,またその節にも御発表いただければ有り難いと思います。
 次回以降,しばらく委員からの意見発表が続くと思いますが,是非活発な御議論をお願いできればと思います。いずれにしましても,国民の皆様に納得していただける,よりよい制度を構築することが本会議の任務であるので,引き続き過去の教訓を生かしつつ,未来に向けた建設的な検討をお願いしたいと思います。
 1点だけ,吉田先生のお話を聞いていて,私,思い出したんですけど,確かに4月から12月の間の2回と言いますと,誰もが何回もチャンスがあるように外から見ると見えるのですけれど,確かに複数回試験が予定されている会社もありましたけれども,そもそも選べない試験もあったんですね。私が就任した直後,ちょうど国文祭,これも陛下と一緒に出席をしましたし,それから国体に参加しました。その時期に,試験がその日曜日に当たった場合はどうなるのかということを担当に聞いたんですね。それは自分でどちらかを選ばなきゃならないと。そうすると国体やインターハイなど,高校3年間,仲間と取り組んできた最後の全国の大会に出られるチャンスが,例えば10月にあるのに,英語の試験が来月も再来月もあるのだったら,10月を諦めてもいいけれども,10月を受けないと2回目が受けられない試験を選ばざるを得ない子供はどうするんだということを聞いたのですけど,ここはもう自分で選ぶしかないという答えしか出なかったんですね。こういったことから考えても,その後もいろんな角度から御意見いただいて,やっぱり制度上問題あったことは否めないと思います。
 是非過去も振り返りながら,前を向いてしっかり先生方と議論をしていきたいと思いますので,引き続きよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【三島座長】
 大臣,どうもありがとうございました。
(萩生田文部科学大臣退席)
【三島座長】
 それでは,今の3名の委員の方からの御意見について,御質問,御意見を頂ければと思います。発言なさりたい方は名札を立てていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 じゃ,まず両角委員。
【両角委員】
 大変分かりやすい御説明,ありがとうございました。先ほどの萩原委員,吉田委員の発言の中にもあったんですが,やはり大学入試の主体というのが,共通テストであろうが,個別試験の方であろうが,基本的には大学であるということは恐らく,みなの共通認識ではないかなと思います。ただ,この共通テストのところだと,どうしてもアジェンダが決まっていますので,民間の試験どうするか,記述式どうするかというので,それに対してここが課題だとか,ここを利用したいというようなところの説明として,今日はお話を伺ったんですけれど,そもそも何ていうか,今までの入試をしていたところで何が課題だったから,こういったものに期待をしたのかとか,そのあたりをお伺いできたらと思いました。結構大学によってもかなり多様じゃないかと思うので,団体としての御発言の難しさはあると思うんですけれど,そこについてお伺いできたらなというふうに思いました。
 先ほど芝井委員からもありましたように,入試だけで議論するとおかしいことになると思うのですが,例えば英語4技能のスピーキングも,何でもできるにこしたことはないと大学,つまり選ぶ側からすると思うかもしれないんですけれど,本当に例えばそれを今まで入試で,共通テストで問うてこなかったことで,例えば読解力のところである程度の学生を採った上で,大学でしっかりそういったものは教育していけば問題がなかったのか,それとも入試の段階でやっぱり欲しい人材が採れていなかったから,今回,こういうものにこういう観点で期待したのかとか,そのあたりの大学としての問題意識ですね。どういう学生を育てたいか,そのためにどういう学生,入学者にどういう能力,知識を求めるかというところで,今まで何が足りないから共通テストでどうだというところの,そのあたりちょっと根本的なところかもしれないんですけれど,それぞれの団体からお返事いただければなと思います。
【三島座長】
 いかがでしょうか,ただいまの御意見に対して。
【岡委員】
 国立大学ですけども,先ほども申し上げたように,各大学,具体的には学部,学科で異なるアドミッションポリシーの中で,ネイティブ・スピーカーを80大学が雇用しており,また,英語のTOEIC,TOEFL等の外部試験のスコアを到達水準の一つにしているという国立大学は82大学のうち半分を超えて45大学あります。このことは,やはり今の時代にとって英語の能力は必要だという認識が各大学にあろうかと思います。
 私の大学でも,同じようなことをしっかりサポートしながらやっておりますが,英語のレベルが,毎年毎年,見ているんですけど,そう上がってこない状況です。英語の能力が同じぐらい。場合によっては下がる,各1年生ですけど,1年生の学部によっても能力の差が歴然と出てしまう。高校は生徒に英語教育をきちんとされていると思いますが,大学としては,やはり力を入れているところですので,もう少しレベルが上がってほしいと考えております。私たちの大学は,1年生でTOEICを課しており,1年生の約50%が500点以上,卒業時の50%が650点以上を目指しておりますが,なかなか難しいというのが現状です。
 以上です。
【柴田委員】
 英語力に関して言いますと,やはり学生によって様々です。非常に低い学生も入ってくることはあるのですが,これは何故というと,やはり合計点で選んでいますので,必ずしも英語ができる子ばかりが入ってくるというわけではないのです。だから,そのあたり,ある程度の到達度に行っている学生さんが選べるようになれば,粒がそろうんじゃないかと思います。先ほど国立大学もですけども,我々もプレースメントテストをやって英語のクラスを編成して,クラスごとにいろいろ対応しています。これは英語だけではなくて,数学もそうですし,今の合計点で選ぶとやはりそういうことになるというのは1つ課題だと思います。だから,今回,全く視点が違うんですけれども,私,段階別評価である程度から上の者を入学させるというのは,かなり画期的な展開になるんじゃないかなと期待しております。
【芝井委員】
 団体で十分に話していたわけでなく,個人的意見が入るかと思いますけれども,基本的には,先ほど申し上げましたように,多様な個性が大学の構成員,若者がそこに入ることで生まれる,その空間とそこの持っている教育力みたいなものに多くの私立大学はやっぱり期待をしているところです。
 ですから,4技能でスピーキングの力がここまでないと,うちの大学にはふさわしくないということは,もしかすると一部の私立大学はされるかも分かりませんが,ほとんどないのではないかと思います。むしろそういう力がある人と,また別の個性や能力を持っている人がキャンパスの中で交流し合うことの方が私たちとしてはやっぱり期待しているところ。
 私立大学は多様ですので,確かに学力的にやや問題がある学生も受け入れざるを得ない側面もあるのだろうと思うのですけども,やっぱり4年間の中で彼らが学んで,成長して社会へ出て行くところにどんな形で関与できるのかというのは,私たちの基本的なスタンスだと思っています。
 4技能に関しては,確かにリンガ・フランカとしての英語というのはすごく大事なのはよく分かるのですが,余り理想ばかり議論しても仕方がないと思うのです。前回の益戸委員のお話もありましたけども,やっぱりきちっとした議論として,これからエリート教育として,4技能,あるいはリンガ・フランカとしての英語を自由に操れる国際人を作ろうという話と,それから,50%を超える大学生に対してどんな教育を私たちが提供したらいいのかというのはきちっと分けた方が,きちっと分けるいうのは難しいかもしれませんが,議論をするときにはやっぱり頭に置いておかないと判断を間違うんだろうと思っています。
【三島座長】
 よろしいですか,両角委員。
【両角委員】
 はい。
【三島座長】
 それじゃ,末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 私も国大協,公大協,それから私大連の皆様方に伺いたいのが,どの方も言及しておられたのが定員管理政策の厳格化なんですね。私自身も,入試の最前線で毎年,定員管理の厳格化というのに非常に悩まされているんですが,最初に,英語民間試験,それから,記述式が段階別評価であると聞いたときに,かなりの不安を覚えたんですね。1つは,やはり定員管理を厳格化するということはこれまでと同じ,1点刻みの入試をせざるを得ないということですよね。それに対して段階別というのは,例えばですけど,A2に何万人,B2に何万人みたいな数が並ぶわけで,同じランクに何万人もの受験生が並んでいくということが果たして定員管理の厳格化の下で入試のテクノロジーとして使えるのかという話は,私どもの学部でもございました。
 特にこのまま導入されてしまうと,段階別評価ではない,1点刻みの点数がでる教科の方で合否の決定がされてしまうというリスクすらはらんでいて,本当に英語4技能だとか,記述式を大事にする仕組みであったのかということなんですね。要するに段階別評価ではない,1点刻みの入試ができる教科の方のウエートが結果として高まるような,入試のテクノロジーとしての非常に大きなリスクを含んでいるはずだというのが現場の一兵卒として入試を担当している私の意見なんです。
 これに対して,特に1点刻みの入試ではなくする,ということはこの高大接続のシステム改革の初期から言われてきたんじゃないかと思うんですが,その点について,それぞれの団体で何か議論や,あるいは文科省に御意見等をなさったというような経緯はございますでしょうか。
【三島座長】
 いかがですか。じゃ,岡委員,どうぞ。
【岡委員】
 定員管理については,全ての大学がそうではありませんが,ある程度定員管理の厳しさを外してほしいという意見は非常にあり,今おっしゃった1点刻みの入試が非常に難しくなっております。その代わりに卒業や進級を厳格化する方が良いのではないかという意見も実際にはありました。ただ,それは全ての大学がそうではなく,そういう意見がありました。
 今のことで個人的な意見も含めて補足しますと,受験生や受験生の家族は1点差で負けても,落ちても文句は言わないところもあります。ところが,何か分からない中で合否を決められたときに,どうしてそうなったのかというところがはっきりしない。だから,自己採点はするし,自分で判定をしながらやるわけですが,そこのところが理想的に考えるのと,受験生や家族,保護者が考えるのは若干観点が異なることを,やはりしっかり知っておかなければならないと思っております。
 しかし,例えば私自身は,ボーダーラインのあたりをいろんな能力で合否を決めることは,いい方法じゃないかなと考えております。そうすると,1点刻みではなくて,そこのあたりはいわゆる段階的評価でも合否が判定できるのではないかなと個人的には思っております。先ほど申し上げたように,1点刻みであれば納得はするけど,そういうところをどうやって担保するかというのはまだまだだと考えております。これは私の個人的な意見であります。
 以上です。
【柴田委員】
 私も先ほどの発言で,1点刻みの判定と,今回導入される段階的な評価というのはなかなか折り合いが難しいと申し上げましたし,定員管理の問題からはなかなか悩ましいところですけれども,やはり多様な学生を入学させるためには,多面的,総合的な選抜というのは1つの在り方であろう。だから,これと1点刻みの判定とがどれぐらい調整できるかということで,先ほど申しましたけれども,例えばAO入試とか,推薦入試ではもっといろんな選び方をやっていますし,その選抜基準等を段階的にやる工夫をやっておりますから,しかるべく条件を設定してアルゴリズムを作ってやれば,結果的に1点刻みじゃなくても序列は出てくる,そういうシステムも開発されておりますので,それを社会的な認知が頂けるように,我々,アドミッションポリシーとの整合性をとりながら普及していく地道な努力が必要と思っております。
【芝井委員】
 私立大学連盟は,2019年の3月に申入れ書を文科省の方に出しておりまして,定員管理に関するトータルな意見をそこで書いています。細かくは,またお見せしたいと思うのですけれども,ここでは関係することだけ申し上げますと,大学に対するイメージの問題で,私たちは世界の大学のある種の標準みたいなことを考えたときに,日本の高等教育,特に大学はすごくおかしな部分が,1つは定員管理の問題です。それから,もう一つは,4年間で卒業することを前提に,中退率は何%ですかという調査があるのですけど,こんなおかしいことは多分世界ではあり得ない話だろう。それから,1回大学に入るとほとんどよそに動かないと,これも大変おかしな日本の大学というか,高等教育として不思議な部分なのですね。
 それを,いわゆる高等教育政策として将来どうするつもりなのか,はっきりしてくれというのが私たちの基本的スタンスです。特にたくさん先生方が外国の大学に学んでおられて研究されたりしているので,日本の大学と外国の大学,欧米を中心にしたということでしょうけども,そこの制度と文化の違いというのをやっぱり肌で感じると,これは何とか将来に向けて,文部科学省を中心に将来像を作ってほしいと正直に思っています。定員管理はそれの1つのポイントだと思っています。
 本当に私たちが引き受けるべき,引き受けることができる数まで引き受けるべきだというのは,極端なことを言うと私たちの考えで,またアメリカの高等教育の基本的スタンスです。だから,それが,私たち今,大変困っているわけですが,研究関係の文科省の競争的資金を申請するときには,定員管理がしっかり厳格に守られていることが申請条件になっていますけど,何だ,こりゃというのが正直なところです。
 それから,日本大学の話がありましたが,本当に心臓が痛い。毎年3月末まで,補欠合格を出してどこまで止まるのかというところまでやっていますので。それ以上言いません。すいません。大変困っているということです。おかしいと思っているということです。
【三島座長】
 末冨委員,よろしいですか。
【末冨委員】
 はい。ありがとうございます。
【三島座長】
 それでは,吉田委員,どうぞ。
【吉田委員】
 すいません。まず国立大学と公立大学に質問をさせていただきたいのですけれども,国立大学の方は,英語4技能に関しては当初非常に反対をなさっていて,最後は林文科大臣がもし何かあったときはセンターと文科省が責任を取ると言ったから使ってやるんだみたいな言い方になり,3大学を除いて全部が1回使うということになって,落ちついていました。ただ今度,中止が決まってからは,今日の資料にもあるように,英語4技能の総合的な能力を適切に評価することがグローバル人材育成を含めた大教育改革を仕上げためにも重要であるというふうに変わられたのですけれど,これは何か理由があったのかどうかというのが1点です。
 それから,公立大学の方は逆に,それが使わなくなった途端に,1校でしたっけ,に突然減っていますよね。これというのも,子供たちにとって,私がこれをあえて今,言わせていただいているのは,一体どの検定をやっていったらいいのか,何をやっていったらいいのか全く分からないと思うのですよ。
 私立大学さんは今,私立大学で,それぞれの大学でそれぞれの入試,それから,今,定員管理の問題でも本当に大変だと思います。ただ,これも,定員管理するのもそうですけれど,逆に言えば,今度,じゃ,個別の入試でもっとこれから先,今,言われている電子調査書を使ったポートフォリオとか,そういったものを使いながら,駆使して面接とかそういうものをしっかりとやりながら受験させていくというと,今度,何万人なんて受験ができなくなるケースも起こってくるわけですね。ですから,やっぱりいろんな問題があると思うのですけれど,子供たちがそれこそ中一から勉強し出しているスタート,それはやはり英語の4技能,それから,アクティブラーニングというか,やはり思考力,判断力,表現力をしっかりと身に付けた新しい3つの学力というのですか,力を付けさせる教育がもう始まっているわけですね。ですから,それに合わせた考えを是非聞かせていただきたい。どちらかというと大学サイドで,やれ,これは困るんだ,人的に困るんだ,お金がないからできないんだということではなくて,やっぱりそういう目で見ていただけるようにできないかなと思って,ちょっとお尋ねさせていただきました。
【岡委員】
 それでは,国立大学の変容というふうに捉えられているのですけど,私どもは一貫して,4技能は非常に重要であるということは,意見は変わっていないつもりです。ただ,大学によってはいろいろな考え方があるということで,ガイドラインを作成したことも恐らく御存じかと思いますけれども,それなりに活用してほしいということで,82校のうち4校を除く78校,ここまで導入するようになったので余りその議論,私はずっと議論に関わっているんですけど,英語をどういうふうにして,問題点があることは随分話し合いましたけど,4技能が必要であるということは一貫して変わってないつもりではいます。
 今回しなかったことも,成績提供をされないということになりましたので,それはとても,使用ができないというふうな緊急事態ということですので,私たちはもう既に声明している中で,どうやって今回の改革した英語の4技能及び記述式を大学入試に使うかということ以外のことは全て変えないでおりますので,方針としては変わってない。ただ,大学によっては,もう使わないという4大学があったわけですから,そこを曲げて強制的に何とかするというような団体ではございませんので,そこのところは御理解いただければと思います。
【柴田委員】
 では公立大学,既に御説明申し上げたけれども,今回のシステムは非常にメリットが大きくて,大学としては利用を積極的に進めていったところです。具体的に言いますと共通テストに参加していない公立大学でもこの英語4技能成績提供システムを利用する大学もあったんですけれども,このメリットが,今回はシステムが導入延期になったことで利用できなくなった。
 それからもう一つ,これは個人的な意見ですけれども,やはり段階的評価をどう取り込むかというのが,大学によってまだそこのところまで議論が深まっていなかったということは,やっぱり大きな問題ではないかなと考えております。
 以上です。
【岡委員】
 それと,1つだけ忘れていましたけど,高校の学習指導要領に沿っていわゆる英語4技能を入学者選抜試験において適切に評価することは重要だと今も思っていますし,それは会長声明でもそういうふうに出しておりますので,申し添えておきます。
【芝井委員】
 少しコメントさせていただきたいのですけど,本当にそういう考えであるのならば,本来は基礎学力テストをきちんとすべきだったのではないかと。今みたいに民間に任せてしまって,学びの基礎診断という形で放り出すのではなくて,本当は高校にふさわしい形の学力を全体的に担保するということをしていただけると,その先はもう少し自由に,私たち大学側は,入学者を決めることができたと思うのです。ところが共通テストという,特に国立大学にとっては1次に当たる部分で本格的な形でやろうとすると,やっぱり物すごく大きな問題が生じるのではなかったのかなという,感想めいたことですけれども,そんなふうに思っています。
【吉田委員】
 ありがとうございました。私,あえて伺ったのは,去年の秋ですか,本当に突然,今までずっとやってきたことで,もうさんざん,萩原先生も御一緒でしたけれど,中ではずっと揉めて,いろんなやり方でやって,考えて,みんなでやっていたものが,国立大学の教授の方とかいろんな方が突然出てきて,議員の人を使って何か騒ぎ立てた途端に,子供たちのやっていたことが全部打ち消されちゃったのですよ。ですから,私としては,やはりそれぞれの皆さんの業界,お仲間で,きちんとした大学としての方針,そういうものでしっかりとまとめていただいて,常に生徒たち,子供たち,受験しようとしている子供たちがより自分たちの将来の夢や希望に合った,目的に合った,大学名というよりも,本当は何を学びたいか,それを学ぶためにどこの大学に行きたいか,そういう入試にこれから変わっていこうというのが今回の目的だったのではないかなという気もしておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【芝井委員】
 1回目の会合のときに,両角先生の方から石井洋二郎先生のお名前が挙がったと思います。『危機に立つ東大』というメーンタイトルですけれども,主体のところは入試問題のことを主として扱っておられて,そのときに,私たちは誠実に対応してきたはずだし,幾度か止める機会があったはずなのだが,止められなかったことに責任を感じているんだということを書いておられます。その辺の事情は,ちくま新書のあの本を見るまで全く分からなくて,何で国立大学法人,国大協が一旦決めたことをやぶれるのかが分からなくて,私立大学の先生方が大変困っておられたというのが正直なところだったのです。
 ただ,ある面でいうと,その辺の最後の詰めのところが,やっぱりどうしても超えられない指摘が残っていたことが今回の結果につながっているのではないかと私は思います。
【岡委員】
 先生,国立大学協会があの声明を出したわけではなくて,誰かと誰かと誰かがそういうふうに声明を出したので,それが国大協の意見だと言われるのはとても心外な話です。
 言いましたように,今回の決定は非常に残念である,驚いているというのを国大協からは明確に会長表明として出しておりますので,問題点もあったということも事実です。ただ,ああいういろんな先生方が言ったこと一つ一つを国大協が言っていることということではないということは,ちょっと申し添えておきます。
 以上です。
【三島座長】
 残りが約10分ぐらいになりました。今,両角先生が手をお挙げになっていますが,今のテーマじゃないことでも含めて御意見を自由に言っていただければと思います。
 どうぞ。
【両角委員】
 率直な感想をこのような場でどこまで言えるのか分からないんですけれども,記述式を入れるのがいいという,全体的には,一般的にはそうだと思うんですけれども,共通テストの,今回の条件付記述式といったもので測ろうと思っていた能力が測れていると大学側が思っていたのかどうかというところを知りたいです。私はあれでは測れないのではないかという感想を個人的には持ったので,そこについてちょっと教えてください。
【三島座長】
 それでは,御意見のある方。
 どうぞ。
【芝井委員】
 きっちり議論をしたわけではなくて個人的意見なのですが,全く駄目だと思っています。単純に言うと,そういうことです。プレテストの問題を見ると,いかに駄目なのかがよく分かります。
 ですから,やらねばならないのは,個々の大学は自分たちの大学でしっかりと記述式の試験をするのか,あるいはもっと先送りしながら何か解決法があるのかどうかですね。今の形で記述式をやろうとしてもやっぱり無理だと思います。国語はそうですし,数学は結果的に数式になりましたし,予定されていた社会の分野はまさにできないと思いますので,やはり根本的に問題があるというふうに私は判断しています。
【柴田委員】
 記述式,今のような形はやはり採点のところだけが問題になっておりますけれども,ああいう形式はどれぐらいの意味があるかというのは疑問に思っておりました。また,言っていいのかどうか分かりませんが,私としてはある受験者集団を平等に評価するというのは,かなりの字数を書いていただいて,それを最終的な合否判定に使うためには,やはり同一の志願者集団の中で実施すべきものではないかと思っておりましたので,出願大学の方で採点するのが最低限の条件ではないかとは考えておりました。ただ,そこのところが実現しなかったものですから,ああいうぐあいに変遷したのではないかなと思っております。
 御承知かもしれないですけれども,大学で行っている記述形式も受験者集団毎に採点基準は変えてやっている大学が多いと思います。そうしないと,採点の客観性というのが担保できないところがございます。
【三島座長】
 今の点ですか。
【岡委員】
 私は,入試センターの採点の工程でいろんなことを御苦労されているのを知っておりますので,完璧なものはなかなかないと思うんですけれども,やっぱり基本的に文章を書く能力は最近非常に落ちてきたといいますか,中学生の読解能力も非常に急激に落ちていることも御存じと思いますけども,そういうところには非常に重要であると思ってはいます。ただ,先ほど言いましたように国立大学は独自に記述式を入れておりますので,それでいいという意見もあるように思います。
 以上です。
【三島座長】
 小林委員,どうぞ。
【小林委員】
 次回に発言の機会がありますが,今回は私大連の芝井委員とほぼ同じ立場,私大協の立場で,今回の議論を聞いてみると,英語4技能,それから記述式の能力を測るべきだという理念はよかったけれども,結局その制度設計で無理があって,いろいろな問題が出てきたということが,今回の問題の本質だと思います。また,私立大学として一番困るのは,成績が伝えられる時期が後ろ倒しになるということです。一般入試の合否判定後になってしまう,つまり共通テストの成績を利用する機会が失われてしまう。センター入試のときもアラカルト方式になったので私大が大分参加しましたが,それでもセンター入試の結果と一般入試の結果が出るのが近く,なかなかセンター入試の結果を利用しにくいところもありました。後ろ倒しになると,ますます,一応参加はするけどそれを利用しないという状況が,目に見えてしまいます。ですから,現実問題として利用できるようにしていただくためには,今のセンター入試よりは後ろ倒しにはしないという制度設計をしていただかないと,無理かと思います。
 それから,英語4技能については,私大はもう随分民間の資格試験を使っています。ですから,共通テストでそれは使わないとなっても,ほとんど利用率は減っていませんでした。国公立大学は激減しましたが,私大は余り減らなかった。記述式も既に一般入試で使っています。ですから共通テストで採用しないとなりましたが,余りダメージはなかったと言った方がいいのかもしれません。ですから,制度設計を厳密にして,できることとできないことをしっかり分けて,更に成績を通知する時期を今まで以上には遅くしないというのが,大事なことではないかと思います。
 いかがでしょうか,芝井先生。
【芝井委員】
 おっしゃるとおりです。
【三島座長】
 では末冨委員,どうぞ。
【末冨委員】
 私から文部科学省に2点要望がございまして,まず,吉田先生が今日お配りになった資料の40ページにございます,「英語の資格検定試験等の高等学校学習指導要領との整合性の確認について」という,文部科学省が公表されているページがあります。前回私が質問したこととも関連するんですけれども,検証の経過を拝読しましたが,それを踏まえてもなお,やはり学習指導要領と英語民間試験との対応作業の詳細がつまびらかではないわけです。特に私自身が非常に違和感を感じるのは,英語教育の専門家というのは恐らく研究者のことであろうかと思いますけれども,実際の高校の現場では,多様な生徒に即して様々に工夫された指導がされているわけです。ただし,それが英語4技能の民間試験で測定可能であるというものなのかどうかについては結構苦しい作業だったのではないかなと思われます。実際に41ページには,学習指導要領が想定している言語の使用場面の範囲から外れるものではないと書いてあって,適合しているとも書いていないんですよね。この,プロセスの検証というものがこの会議の大事な作業の一つだと思うんですけれども,これ以上の資料が現在示されていないという点については何だか納得がいかないなというのが現在の私の感想でございます。是非今後,どのような丁寧な検証がされたのかは御説明いただくべきだろうと思います。
 そのようにあらかじめ申し上げておくのは,高校現場での実際の実践といったものをどのようにこうした共通テストに位置付けていくのかは,とりわけアクティブラーニングを導入すればするほど,パフォーマンス評価等も踏まえた高大接続といったものが必須になってまいります。それと英語の4技能試験,民間試験とがどのようにフィットし得るのかについては,やはり相当な検討を要したのではないかということで,こちらのプロセスの解明を求めます。
 あわせて,前回お配りいただいた資料3の検証経過の整理なんですけれども,今日持ってこようとしたんですが,重たくて諦めましたので,よろしければデジタル化していただいて,どの委員も参照しやすいようにしていただければと存じます。
 以上です。
【三島座長】
 学習指導要領と民間試験との対応ですよね。これは確かにこの前も議論しておりますけども,これは武藤企画官,これは後日やりますよね,そこのところ。
【武藤高等教育局企画官】
 1点目。
【三島座長】
 1点目。
【武藤高等教育局企画官】
 はい。初等中等教育局と連携して御説明を申し上げたいと思います。
【三島座長】
 はい。準備していると思います。
【末冨委員】
 よろしくお願いいたします。
【三島座長】
 それでは,はい。
【吉田委員】
 実際私,これ出たとき,初中教育のまだ国際課があった頃だと思いますけれど,ある意味この4技能試験自体が幅広いですよね。はっきり言って真ん中辺に合わせているという感じの整合性だと思っています,我々は。つまり,TOEFLやIELTSというのは,はっきり言って今の日本の高等学校の学習指導要領の中の英語の語彙数では絶対にできるわけありません。ただ,やっぱり特殊な試験であることも事実ですけれども,それがそのままアメリカの大学なりヨーロッパの大学なりに行けるような試験であるということで,それを受けたい子供たちが特殊な勉強をしているというのも事実だと思います。それで,本校も実際にそういう子たちがいます。
 ですけれど,整合性という意味でいうと,本当にTOEFLに合わせた学習指導要領というのは日本の英語教育ではできないと僕は思いますし,学習指導要領というのはやっぱり基本的に言えば一番上を見るのではなくて真ん中あたりを見るものだと思います。あと,前回ちょうど先生がこの質問をなさっていたので,ちょうどこれが見つかったので,あえて入れたというのが実態ですので,多分,今後また文科省もそういうお話が出てくると思いますけれども,TOEFLとかを完全に学習指導要領と整合していくという考え方は,私は絶対不可能であろうと思っています。
【末冨委員】
 大変ありがとうございます。
【三島座長】
 それでは,時間がまいりますので最後に渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】
 記述式という特定の出題形式だけに集中してしまうと,一つのパターンが頭の中に出来上がってしまって,忘れがちなことがたくさんあるように思うんです。例えば,記述式にするためには採点基準を公開しなければいけませんし,新たな説明責任が出てきます。そうしなければ受験生は納得できないでしょう。先ほどお話ありましたけれども,新たな義務が現れるといったことも統括して議論する必要があるかと思われます。同様に,記述式というのは偶然スピーキングと議論が一緒になったようには思われないんです。といいますのは,スピーキングといいましてもただ話せればいいというスピーキングはあり得ません。私は幸い全国学力調査の中学校の英語試験に関わったものですから,そのときにデータをやや詳しく自分の目で見る機会があったんです。マスコミの報道ですと,中学生のスピーキング能力は絶望的だといった論調の記事が多いのです。しかし,詳しく見ていきますと,自分の夢を語りなさいなんていう課題では正答率が50%ぐらいで,比較的よくできているんですね。できないのは,読んで,考えて,自分の言葉で発話する,表現することのようなんです。4技能というと4つの技能がそれぞれ独立してばらばらにあるような印象を受けますけれども,決してそうではなくて,インテグレーテッド・スキルつまり,統合された技能として捉えるということも必要になるかなと思います。
 最後に,合否はともかく,受けてよかったなと受験生が思うテストであってほしいなと。本当に大きな話になってしまいますけれども,それを目指すことが最も基本的な条件となることを期待しています。
 以上です。ありがとうございました。
【三島座長】
 ありがとうございました。
 本日の委員の皆様の御意見を聞かれて,政務官から御感想を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【佐々木文部科学政務官】
 本日も大変お忙しい中,委員の先生方には御意見発表,また御議論を頂きまして誠にありがとうございました。私,今日は遅参をしてまいりまして申し訳ございませんでした。
 それぞれのお立場から,活発な御議論を頂きました。この高大接続改革,また英語によるコミュニケーション能力の育成や思考力,判断力,表現力の評価,このことが重要であるということは恐らくおおむねの共通認識なのではないかなと思っておりますけれども,問題はやはりそれをどのような具体的な制度設計に落とし込んでいくかということであろうと思います。この点も含めて,今日も御議論を頂きましたけれども,是非引き続き活発な御議論をお願いしたいと思います。
 次回以降も,しばらく委員の先生方からの意見発表と,またそれに基づく意見交換がなされていく予定となっておりますので,またどうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
【三島座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,本日の第3回検討会議,これで閉会とさせていただきます。次回以降も引き続き団体代表委員,あるいは有識者委員からの意見発表を行っていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 最後に事務局から何かございますか。
【武藤高等教育局企画官】
 第4回の会議は2月28日金曜日,10時から12時で行いたいと思います。
【三島座長】
 それでは,今日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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