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学校法人ガバナンスに関する有識者会議(第1回) 議事要旨

1.日時

令和2年1月17日(金曜日)14時~16時

2.議事要旨

学校法人のガバナンスに関する有識者会議(第1回)での主な御意見
(ガバナンス論について)
○ ガバナンスとは、「優れたリーダーを選任し、そのリーダーの活動を管理監督して、組織としての目的を達成すること」、そして「リーダーが不適切であった場合に解任することができるという仕組み」である。
○ ガバナンスの議論はクリエイティブかつ建設的に組織を運営しようというのが本当の意味だと思うが、ガバナンスではなくマネジメントやコンプライアンスのことを議論しているということが起きやすく、整理して議論することが必要。
○ 健全な教育をきちんとやっているのかどうかがガバナンスの原点。ガバナンスには統制、締め付け等の意味はなく、「方向性を定めること」が本来の意味である。日本では、コンプライアンスとかコントロールといった、不祥事を防止するための施策のように誤って認識されている。
○ どこまでがガバナンスで、どこまでがマネジメントなのか、それとも、経営能力の問題なのかといったことが混乱して議論されないようにすべき。単に学外者を入れる、学長に権限を集中させるといった制度面だけの問題ではなく、各大学のマネジメントや、学長・理事等の資質向上といった運用の改革も同時に進めていくべき。
○ ガバナンスの分野は、重要なイシューが大変な勢いで毎年変化している。様々な組織を取り巻く環境が大きく変化していく中で、その変化を捉えつつ、学校法人に一番ふさわしい在り方というのを議論できるといい。

(学校法人におけるガバナンス議論の方向性について)
○ 教育あるいは研究の質の向上を図るためのガバナンスということを議論の中心に据えるべき。
○ 現在、企業では「攻めのガバナンス」ということが言われており、学校法人のガバナンスの在り方としてもそうした観点から議論していくことが大切である。
○ どういうガバナンスが、大学における教育や研究、医療というものを向上させられるかという物差しで、ガバナンスの在り方を考えていく必要がある。
○ 学校あるいは教育というものは、スピードではなく、長期的で適切な理念の下で、みんなで議論して教育研究の向上を図るという組織である。そういうものを教育と法人経営の問題と一体となって取り組まなければならいというところが学校教育の特徴的なところであり、長期的な理念の下で教育研究のパフォーマンスを上げるという観点から議論すべき。
○ 高等教育の修学支援制度が始まるなど、社会的な背景として、私学に求められる公共性は高まっており、アカウンタビリティーを求められる状況にあることを踏まえて検討すべき。
○ 欧米諸国の教育というのは、非常にコミュニケーションを重視する教育。同様に、制度を変えるときには、やはりコミュニケーションが大変重要である。

(私学の多様性について)
○ 学校法人制度の改革は必要と考えるが、多様性のある私学を一つの原理で統制するというようなことは危険であり、限られた一部の事例をもって一罰百戒のような形で規制を強化するのは好ましくない。
○ 私学の多様性というのは非常に重要。建学の精神といったものも、ある意味では、攻めのガバナンスの基盤になるものと考えられる。
○ 多様性は大事であるが、そのことが問題に対する解決方法がないことにつながっている。法人運営に多様な形態を認めているため、何か問題が起こったときの解決策や有効策が、一つの法律で示しづらいというところに難しさがある。
○ 私学の多様性の尊重は重要である一方、固定資産税や法人税の免除、寄附控除、私学助成等、国から各種の支援を受けていることから、私立大学の運営には公共性、公益性の確保が求められる。
○ 多様性を前提としたガバナンスの仕組みとして、ガバナンス・コードを有効活用するという方策が必要ではないか。ただし、コーポレート・ガバナンスコードにある上場廃止のようなルールがない中で、エンフォースをどうしていくかという問題はある。

(学校法人と他の法人制度等との関係について)
○ 公益法人制度改革や一般社団・財団法人法の基本的な考え方は、非営利組織が行政的な介入がなくても自律的に健全な運営ができるような組織、規律を定めるというところにあった。公益法人と私学・学校法人に違いがあるのは当然であり、どこまで同じように考えていいのか、どこが違うものとして別に考えるべきなのかについての見極めが重要。
○ あらゆる組織に通底するガバナンス、それぞれの組織に応じた特有のガバナンスがある。全ての組織に通底するガバナンスの在り方、それと学校法人はどこが違うのかを議論すべき。例えば、公益財団法人や会社との違いは、ステークホルダーなのか、組織の目的なのかといったことでガバナンスも違ってくるものであり、組織ごとにふさわしいガバナンスというものがある。
○ 公益法人というのは大変広い概念で、それぞれ準拠法も所轄の官庁も違うため、公益法人としてのベースのものというのが、学校法人にとって妥当かどうかわからない。公益法人に通底するものもあると考えられるが、学校法人としての特色、歴史的な経緯について、よく確認していく必要がある。
○ あらゆる法人制度全体として、例えば公益法人や会社法でこういうふうに動きつつあるからという議論と、学校法人独自で、本当にどこにガバナンスの問題があるのかということは切り離して議論すべき。法律の成り立ちや他の規制の度合いも各法人間で全く異なる。
○ 学校法人の議論の際に、他の法人形態のことに依拠したり、模倣したり、追認したりしているが、多様な学校があり、これらを単一の法制度で一律に規制することは明らかに無理である。学校にとって一番大事なことは、長いスパンでのビジョンを持ったミッションを考えることである。
○ 大学については学校教育法、教育基本法、私学でいえば私立学校法、あるいは設置基準、認証評価といった様々な法体系、制度というある意味では非常にきちんとしたガバナンスのもとにある。そうした、これまでの成り立ちを見た上で、かつ不足しているのはどこかということを議論していく必要がある。


(ステークホルダーについて)
○ 非営利組織のガバナンスはオーナーシップやステークホルダーが見えにくく、営利組織以上に難しい。また、成果指標がつかみづらく、成果による評価が困難であるという問題がある。
○ ステークホルダーとしては、一番影響を受けるのは学生であり、学生に対する影響というのを考えながら学校法人や教育の問題について考えていかなくてはいけない。
○ 大学の重要なステークホルダーは卒業生であり、卒業生を中心にして評議員会を構成し、企業の株主に相当するものと考えるべき。評議員は教職員2割、有識者6割、卒業生2割程度とし、有識者もほとんどが卒業生になると思われるので、学外の方を中心とした評議員会構成とした上で、理事の選出を評議員会の重要な役割とすべき。
○ 卒業生は重要なステークホルダーと思うが、卒業生の話ばかり聞くのも良くない。入学手続きに関与するといった利権が生まれるという危険性の問題もある。歪みが生じないように牽制が働くような枠組みを設け、私物化を防ぐ必要がある。理事長による法人の私物化についても同様に牽制を働かせなければならない。

(教学と経営、執行と管理監督について)
○ 教育と学校法人の経営の問題について、一体となって取り組まなくてはいけない。
○ 大学は教育研究の機関であり、学長は教育研究だけの責任で、理事長が財政の責任という分離はできないのではないか。その上で、学校法人では執行と管理監督を分離し、学長が執行の責任者であり、理事会がそれを管理監督する立場であるというように分けた方が良い。
○ 日本では企業でも取締役の監督と執行の関係があいまいであるが、大学も同様。理事会は監督に責任を持ち、執行は学長以下に委ねる、理事会は大方針や予算承認、学長選考を重要な役割とし、学長を監督する位置付けとすべき。また理事は執行を行なわないので、基本的に非常勤で行うべき。
○ 法人の意思決定と執行と監督が未分離であり、全て理事会や常務理事会が行っているという形態になっていることが多い。また、法人が経営、大学が教学と言われるものが多いが、教学と経営も実際は分かちがたいもので、その考え方の見直しが必要である。学長は理事長との関係に悩んでいるケースが多い。学長に一定程度任せて、その執行を理事側が監督する方がいいのではないかと思うが、現在の実態と大きくかけ離れているので、慎重に検討する必要がある。
○ 経営部門のやることは、いわゆる「ヒト・モノ・カネ」を集めてくるということ。資金と人材と施設の整備を行い、基盤を作った上で、教学部門が教育や研究の現場で頑張るということ。そうしたものを集められなければ悪い経営体であるし、集めて有効に使って教育研究を向上させられれば良い経営体・ガバナンスということになる。
○ 権限や選任といったガバナンスの法的構造に一定の任意性があると、役員の責任を明確にすることが困難になるのではないか。例えば、学校法人の監事について、現在の制度のような責任の中で職責を全うすることは難しいのではないか。それと関連して、監事とともに外部(独立)監査人の役割を位置付け、責任分担を法的に明確化するなど、ガバナンス構造を整理することが必要ではないか。
○ 学校法人のガバナンスの基本的な枠組みを議論していく必要があるが、提案されたようなモデルや現在の様々な多様なモデルがある中で、選択方式とするのか、基本形を決めるのかといった、大枠のところからの議論が必要。
○ 日本では米国式の執行と監督の分離を進めてきたが、それを中途半端にしたまま、今度は欧州式のガバナンス・コードを導入してまた裂き状態が起きている。日本の実態にあった形で、誰もがある程度納得いく形にしていくことが重要。ガバナンスコードについても、原則主義的なベースとして、大本だけを決めて、後は自己責任で進めるべきだということを言っており、これが今の世界の潮流であるが、そうなると監視するのが困難となる。こうしたことを考え合わせると、組織で一番大事なことは「倫理観」である。

(大学の特徴について)
○ 私立大学では「ものが決まらない」という問題がある。平等性というものが、「悪平等」になっている側面もある。学生の教育や研究に割くべき時間が学内調整や資料作成に取られていることが問題。「決められる組織」、「改革できる組織」の構築を目指すべき。
○ 日本の大学は、教員間に健全な競争がない。教育の重要な担い手である教員等のパフォーマンスを上げるという観点が重要。

(その他)
○ 今後、大学を中心とした議論をするのか、幼稚園まで含めた議論なのか整理する必要がある。
○ 学校法人における合併手続きについては十分に整備されているのか。理事会で決定するといった規定のみであれば、合併の検討が必要になった時に船頭が多数出てきて決まらないという事態となる。学生の保護の観点などを踏まえた手続きについてもこの会議の議論の範囲とすべきではないか。
○ 不祥事事案の検討に当たっては、なぜ発覚したのか、その時に評議員、(外部)理事、監事がどういう行動をしたのかを説明に含めてほしい。企業ではこれまでそういう人々が機能したということは聞いたことがない。