学校法人のガバナンスに関する有識者会議(第6回) 議事要旨

1.日時

令和2年10月5日(月曜日)14時~16時30分

2.議事要旨

学校法人のガバナンスに関する有識者会議(第6回)での主な御意見

(公益法人の見直し)
○ 公益法人は、税制優遇に違いはあるが、同じような事業をNPO、一般法人、営利企業でも行えるのに対し、学校法人にはそうした選択肢がないという違いがある。
○ 不祥事対策は一部に過ぎず、企業戦略やリスクテイクの支援のように、公益法人の役割を踏まえた夢のある改革の議論が必要ではないか。
○ 理事・監事の選任は、評議員会・社員総会の決議によるのか。
○ 外部役員・評議員は複数が好ましいが、見直しを検討しているか。
○ 外部役員について、形式的な外部性でなく、本質的な独立性をどう担保していくのか。
○ 評議員の数を理事の数に対して決めるのはどのような考え方によるのか。
○ 評議員が役員の責任追及の訴えをできるようにする議論において、評議員が社員のような当事者ではないという違いや責任をどう検討しているか。

(理事の選任)
○ 執行者として立派な見識ある理事を選ぶことが大事であり、評議員会にその役割を持ってもらうべき。
○ 諸外国の大学で評議員会のような組織が執行メンバーを選んでいる例はほとんどなく、大学・法人としての継続性を見ながら、自分たちで責任をもって選ぶ工夫をしている。
○ 評議員に見識ある識者や学外の人材を揃えることは大変難しく、評議員会で理事を選ぶことは現場では受け入れられないと思う。
○ それぞれの大学に評議員の歴史的経緯があり、学内者も多い。少数の外部ステークホルダーに大きな権限を持たせることは、必ずしも健全でないのではないか。
○ 評議員会に理事を選任する構造だけでなく、求められる資質や専門性の基準を明確にし、その基準に基づき緊張感をもってノミネート・確認するプロセスにおいて、評議員会の関与を工夫することが必要。
○ 選任委員会を設けて評議員を選び、評議員会の議決や評議員が第三者的に入った指名委員会が理事の選任や指名的機能を果たす、という重層構造を実現性との兼ね合いから考えてはどうか。

(理事の解任)
○ 理事会が牛耳られ、新しい時代の教育体制に着いていけていないような場合、理事会の中だけで新しい人に替える枠組みには、けん制の観点からやや問題がある。
○ 理事の解任を評議員会が発議することは、ガバナンスの観点からあり得る。自身の経験としても、理事長の解任の仕組みを明確化する中で、評議員会の承認を得るように取り組んだ。
○ 本当にひどい不正等があったときに評議員会によって理事が解任される仕組みは必要。今までの理事会の仕組みにおいても、全く解任できなかったことではない。

(監事の選解任)
○ 監事は評議員会で選任すべき。抑止される側の理事長が監事の最終的な人事権を握ることは、本末転倒。
○ モニタリングの旗振り役たる監事の独立性・第三者性は、積極的に例外を残すものではなく、現時点では社会福祉法人に合わせて厳しくあるべき。
○ 監事の独立性・専門性を高めるため、会計監査人を連携させることが必要。

(評議員会の性格付け)
○ 理事会運営に対するモニタリング・ガバナンスの観点から、重要案件については、評議員会に議決機関としての役割を与え、日常の経営については、理事会が行うシステムがよい。
○ 平成16年改正後の現場の状況からみると、評議員会を全面的に議決機関とするよりは、例えば、理事が義務違反をしたときに誰が止められるかという法人の内部における最後の砦として、新たに必要な機能との関係で限定的に評議員会を活用していくことが考えられる。
○ 法人の機関としての評議員会の在り方については、①運営への幅広い意見の反映、②理事の重大な義務違反等のチェック・監視、③大きな方針への一定の関与、という3つの機能を評議員会がどういう形で果たしていくことが適切か、学校法人特有の多様性との関係でさらに整理していってはどうか。

(評議員会の構成等)
○ 選ばれる、チェックを受ける意味からは、理事に評議員を兼任させないことが適切。
○ 教学面で理事会と評議員会がけん制し合う部分があるため、評議員に理事がなることも、両者の議論をつなぎ、微妙なバランスをとる大事な意味がある。米国のシェアド・ガバナンスも同様の考え方である。
○ 理事の選任などを評議員会が行うに当たり、評議員会の構成として、ステークホルダーの総意をまとめられるよう選任しなければならない。
○ 設置母体や経緯の多様性に応じた形でよい評議員が選ばれるか、評議員会が理事の選任等の権限に対してどのような形で責任を負えるかは、実態として困難があると考えざるを得ない。
○ 選任委員会を設けて評議員を選び、評議員会の議決や評議員が第三者的に入った指名委員会が理事の選任や指名的機能を果たす、という重層構造を実現性との兼ね合いから考えてはどうか。【再掲】
○ 評議員に見識ある識者や学外の人材を揃えることは大変難しく、評議員会で理事を選ぶことは現場では受け入れられないだろう。【再掲】
○ 会社の世界でもコーポレートガバナンスに知見のある人材は不足しており、評議員や役員の教育の観点も必要。
○ それぞれの大学に評議員の歴史的経緯があり、学内者も多い。少数の外部ステークホルダーに大きな権限を持たせることは、必ずしも健全でないのではないか。【再掲】

(理事会における執行のコントロール)
○ 自律的に健全な組織運営をするため、組織に見合った形での内部統制の運営と継続的な評価が絶対に必要。
○ 理事の執行と監督を分離し、執行をより学長に委ねていくほうがよい。
○ 攻めのガバナンスの観点から、学校教育法上、校長・学長のリーダーシップの強化が講じられてきている一方、私立学校法上、理事会における校長・学長の業務執行の役割が不明確である。

(その他)
○ 公益法人や社会福祉法人とは、歴史的な成り立ちや事業の在り方が違うことも考慮して議論するべき。
○ 不祥事の防止だけでなく、よりよい教育のために、評議員会がどういう前向きの提案をするか、理事会がどういう経営をしていくかという観点から、ガバナンスコードを一度決めておしまいではなく、改善と全体の底上げを進めていってほしい。
○ 社会のイノベーションを生み出す学校に関する議論としては、ぜひ夢のある話を取り入れてほしい。