学校法人のガバナンスに関する有識者会議(第5回) 議事要旨

1.日時

令和2年8月24日(木曜日)10時~12時

2.議事要旨

学校法人のガバナンスに関する有識者会議(第5回)での主な御意見

(総論)
○ 学校法人は公益法人以上に公益性が求められるため、誰がステークホルダーで意思決定をするかが重要であり、評議員会を諮問機関から決定機関にする議論が必要。評議員会の議決事項としては、寄附行為の変更、事業計画、決算などの重要事項のほか、理事会構成員の選任・解任の機能を持たせることが必要。
○ 組織運営に十分な抑止力になるよう、評議員会が決議機関になる流れで問題ない。
○ 監事の権限強化でお茶を濁すのではなく、経営者の選任、後継者の育成が改革の本丸。監査役設置会社でも、役員選任のため任意に指名委員会を設けるのがトレンドだ。
○ 理事会のマネジメントをチェックし、ダメなものは差し戻し、ダメな理事長を辞めさせるくらいの機能を評議員会が持つことは重要。
○ 理事会におけるモニタリング機能として、非業務執行理事が業務執行理事の監督に果たす役割も大きくなる。

(監事)
○ 監事を機能させるため、厳格な独立性、高度な専門的役割、説明責任の3つが確保されるよう改革すべき。特に独立性は厳格でなければならない。
○ 監事について役員と親族関係がある者の就任を禁止することは問題ない。
○  監事の独立性の補強のため、理想的には全役員の多面評価の推進が必要。
○ 現在の制度で監事の選任が評議員会の同意にとどまったのは、理事会と評議員会のメンバーが重なる事情もあった。
○ 会社の監査役が解任・途中退任する場合、株主総会で意見する権利がある。監事が解任されるような場合は、申し開きの機会を設けるか、文科省がヒアリングするなど、監事が恐る恐る経営に物を言うのでなく、堂々と仕事できるようにすることが大事。

(評議員会の在り方)
○ 在学生、未来の学生、卒業生、職員など、学校法人のステークホルダーの特徴を生かして健全なガバナンスを維持することは可能。
○ 評議員をどう選ぶか、ステークホルダーの構成をどうするかの議論が重要。
○ オーナーシップのない組織として、社会全体をステークホルダーとして評議員の選任の仕組みを考えることが必要。
○ 仮に評議員会を理事会の上に立つ議決機関とした場合、評議員会の適正性を誰がどのように規律するか課題がある。
○ 株主と異なり自分の決定で必ずしも経済損失を被らない評議員であっても、一定の善管注意義務という枠組みを使い、著しく不合理な決定が行われた場合の賠償責任を問う仕組みとすることもできる。
○ 評議員会が有効な機能を果たすため、会計監査人の役割を補完的に強化することが有効ではないか。

(その他)
○ ガバナンス・コードに準拠すればよいということではなく、大きな枠組みは、私立学校法で規定することが必要。
○ 行政への説明ではなく、ステークホルダーにポジティブに発信する発想から、自分たちのガバナンス体制について事業報告などでの開示を充実する議論が必要。
○ 役員へのけん制として、地位、額等に応じた役員報酬の開示も考えられる。