大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(2019)(第6回) 議事録

1.日時

令和2年2月3日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省13階会議室(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 大学における看護系人材養成に関する実習ガイドラインについて
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員,井村委員,大島委員,岡島委員,鎌倉委員,釜萢委員,上泉委員,岸委員,小見山委員,鈴木委員,高田委員,宮﨑委員,村嶋委員代理,柳田委員

文部科学省

森大臣官房審議官,丸山医学教育課長,荒木医学教育課企画官,杉田医学教育課看護教育専門官

5.議事録

【杉田看護教育専門官】 では,定刻より少々早いのですが,第6回大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会を開催いたします。
それでは高田座長,よろしくお願いいたします。
【高田座長】 では,よろしくお願いいたします。
本会議は冒頭より公開とさせていただきますことを御了承ください。
なお,カメラでの撮影につきましては,議事に入るまでとさせていただきますので,御協力をお願いいたします。
本日は大学における看護系人材養成に関する実習ガイドラインについて検討していきます。各大学においてはカリキュラムの検討が始まると考えられますので,この実習ガイドラインを活用し,より充実したカリキュラムにしていただくために,年度末には発出したいと考えております。
本日の議論で出された御意見を基に,事務局にて修正案を作成し,次の第7回検討会にて検討することとなっていますので,本日も具体的かつ活発な御議論をお願いいたします。
次に,本日の出席状況と配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】 本日は中根委員,彦根委員より御欠席の連絡をいただいております。平野委員の代理で,公立大学協会より,大分県立看護科学大学学長の村嶋先生が御参加となっております。また,業務の関係で,オブザーバーは欠席となってございます。委員14名の御出席となっております。
続きまして,配付資料を確認させていただきます。まず,会議次第になります。資料1「看護学教育実習ガイドライン案(200203版)日本看護系大学協議会看護学教育質向上委員会資料」,今回参考資料の12ということで,「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会第一次報告」を差し込んでございます。
参考資料は全てウェブ上にて公表されておりますので,傍聴者の皆様は後ほど御確認をお願いいたします。
事務局からは以上になります。
【高田座長】 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
それでは,議事に入ります。
最初に,鎌倉委員より資料に基づき御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【鎌倉委員】 よろしくお願いいたします。
資料1の看護学実習ガイドラインをごらんください。
下線を引きましたところが修正箇所でございます。
その修正内容でございますが,前回のこの検討会の場で10点ほど大きな指摘を頂きました。
まず,1番目は,実習ガイドラインはモデル・コア・カリキュラムと実施要綱の中間との位置付けとする。さらに,実習ガイドラインが独立して使用される機能も持たせる。
2番目が,どのような人材を養成したいのかを総論に表現する。モデル・コア・カリキュラムと重複するが,看護系人材として求められる基本的な資質・能力,1から9を明記する。
そして,3番目としまして,3,大学・実習施設・学生の役割における大学の役割に実習指導教員固有の役割を明記する。
4番目として,大学・実習施設・学生の役割における実習施設の役割,2に実習指導者と限定するのではなく,実習指導を行う看護職など広い概念を示す表現とする。指導する看護師への指針と明記することも検討する。
そして,5番目として,大学と実習施設との連携・協働体制の構築において,実習要項に記載するレベルの内容は避けて,保健師,助産師,看護師教育課程に共通する包括的レベルとする。
6番目に,大学と実習施設との委託契約については,協働体制を加えて,協働の考え方や意義を最初に表現する。
7番目として,指導体制の構築について,「連続して同一人物が担当できる体制」とあるが,いろいろな指導者がいることも意味があると思うので,もう少し表現を検討する。
8番目として,安全管理体制の構築については,これも実習要項に記載するレベルの内容は避けて,保健師,助産師,看護師教育課程に共通する包括的レベルとする。
9番目に,倫理的手続の構築については,「臨地実習における倫理」として,まず考え方を先に明記する。
10番目として,臨地実習前の調整,学生の臨地実習へのレディネスと支援については,実習前のレディネスのみならず,実習後までを表現する。
以上の御指摘をいただきました。
資料1をごらんください。1ページ目でございます。
総論の1,看護学実習ガイドライン策定の目的の2)番として,ここに看護職として求められる基本的な資質・能力を1番から9番まで明記いたしました。
そして,2ページをごらんください。
6)番でございますが,この6)につきましては,日本看護系大学協議会の意見がありまして,理事会での御意見でございます。やはり臨地実習が非常に重要であるので,将来的なプロフェッショナリズムを形成するだとか,将来の継続教育に継続できるような,そういう位置づけが必要ではないかという御意見を頂戴しまして,6は追加をいたしました。「臨地実習は,看護職を育成するための重要な教育であり,看護ケアを提供する場面に学生が参加して学習する教育方法である。臨地実習における学生の学びが卒業後の継続教育につながり自己研鑽を継続し,さらに成長することに資するものとする。」これを加えてございます。
そして,7)番目,こちらも突然国民が出てくるとなかなか分かりにくいという御指摘を頂きました。「本看護学実習ガイドラインは,看護学教育における臨地実習に対する国民の理解と協力を得ることに資するものとする。以って,看護の重要性に対する国民の関心と理解を深めることに寄与することを目指す。」内容的には変わってございませんが,表現を整備したということでございます。
2番目,臨地実習の目的の2)番でございます。これもモデル・コア・カリキュラムのところに記されたものではございますが,「臨地実習は」という出だしにしまして,そこに書かれた1番から6番までの臨地実習における学修のあり方の到達目標ということで,ここに目的として明記をいたしました。
3ページをごらんください。
幾つか細かな修正が書いてございますが,この(2)番,(1)番はそれほど大きなものではありませんので,(2)番のところは御指摘をいただいた固有の役割,実習指導教員の固有の役割をここに記しました。「実習指導教員の固有の役割は,複雑で多様な臨地の場面において,学生がその現象を理解し,看護ケアを判断し,それを対象者に実施する体験を導くこと,学生の体験を通して看護学の理解を概念的に深化させることである。この役割を通して,」という形で挿入いたしました。この内容につきましては,前回,宮﨑委員と,もうお一方のお二人の委員の御意見を調整してここに入れたという内容でございます。
そして,あと,3)番の学生の役割の(1)のところで,「看護学の理解を概念的に深化させる役割」,これを先ほどの文章と対のような形で挿入をいたしました。
4ページをごらんください。
4ページにつきましては,協働体制の構築での最初のプロセスと思い,委託契約が先に来ておりましたが,そこに必要性を明記するということでございましたので,1)として,連携・協働体制の必要性として,「臨地実習は次世代の看護系人材を育成する重要な教育の場である。大学において基礎的な知識・技術を学修した学生に対し,実習施設は看護ケアを提供する場に受け入れるのである。臨地実習において,学生と対象者が安全であり,看護の効果が最大限に引き出されるためには,大学と実習施設が連携・協働体制を整備することが必要である。」ということを入れまして,あとは,2),3),4)とタイトルをつけたという修正でございます。
そして5ページをごらんください。5ページの上の方の(2)でございます。こちらに「同一の指導者が」というところで御指摘をいただきましたので,2行目,「実習期間中,同一の実習指導者が担当できることが望ましい。」という,全てにおいて1人でということではございませんので,このような形で修正をいたしました。
そして,3番でございます。安全管理体制の構築,こちらはあまりにも細かいのではないかという御指摘を頂きましたので,実習要綱のレベルと区別するということで,対象者の安全・学生の安全,そして,2)番が感染症対策として,予防対策,発症時の対策,学生が行う対策という形で,ここのところの自己対策も含めて,前回の資料よりももう少し包括的な表現に修正したという内容でございます。
6ページをごらんください。
6ページの4番,臨地実習における倫理,こちらの方は手続を書いてございましたけれども,臨地実習における倫理として,まず倫理的配慮の必要性を書き,そして,説明と同意という形で,全体としては必要性を最初に入れて,後の内容についてはもう少し包括的な表現にするところを,このアンダーラインのところを少し包括的に修正したという内容でございます。
そして8ページについても,3番でございます。「学生の臨地実習へのレディネス」になっておりましたが,「レディネス形成と実習後の支援」というタイトルをつけまして,実習後のことまでここに含めるような形の修正をいたしました。
あとは微修正ということになっております。
以上で説明を終わります。
【高田座長】 鎌倉委員ありがとうございました。
それでは,実習ガイドライン案への御質問,御意見をいただきたいと思います。
この実習ガイドラインでございますけれども,本検討会の第4回のときに位置付けやコンセプト等について確認してまいりました。また,先日発出いたしました「大学における看護系人材養成のあり方に関する検討会第一次報告」,お手元に資料があるかと思いますけれども,臨地実習における課題から検討の継続が必要となりまして,作成しているということでございます。これまでの検討の経緯からも御意見をお願いしたいと思います。
まず最初に,本日は,中根委員と彦根委員が御欠席ということでございますので,お二人から事前に御意見をあずかっていますということで,これをまず紹介させていただきたいと思います。
長いのですが,ガイドライン案のページを見ながら聞いていただくと良いかと思います。まず,中根委員のものでございます。
「本日は業務の都合により会議に出席することができませんので,実習施設の視点からの意見を書面をもってお伝えいたします」ということでございます。幾つか項目がございます。この資料1を見ながら,実習ガイドライン,ローマ数字1看護学実習総論,1ガイドライン策定の目的の6),2ページの一番上のところに、6)というのがございます,ここに,臨地実習が看護ケアを提供する場面に学生が参加して学ぶという前提のもと,卒業後の自己研鑽までを見越した展望が示されたこと。それから,その次の7)では,看護に対する国民の関心と理解にまで言及されたことで,今後の大学教育における看護学実習の在り方として構造が明確になったと思いましたという御意見でございます。
それから,もう一つ,次の項目でございます。ローマ数字1総論の,今度は,3大学の実習施設・学生の役割,2ページの一番下から始まるところですけれども,これの次のページ,3ページに移っていただきまして,そこの2)実習施設の役割の中の(2),真ん中の少し下のところ,(2)です。ここが,「学生の実習を指導する看護職は看護ケアを」という記載になったこと。また,今度は5ページ,ローマ数字2の2指導体制の構築の項の2)実習施設の環境整備の(2),5ページで,看護ケアを提供する場合において,「責任ある実習指導者以外の看護職も学生の実習にかかわる」と,さらに,ローマ数字4の,9ページになりますけれども,Ⅳの2の4),9ページの下から5行目ですかね,「実習指導を行う云々」というところです。ここで,「実習指導を行う看護職」と記されたことにも呼応し,学生が役割モデルとなる看護実践者から幅広く学ぶ機会を得られる可能性が読み取れて好ましいと思いました。ただ,「学生の実習を指導する看護職を教育する仕組みを有していることが望ましい」,この記述は5ページの方に戻っていただいて,上から3行目のところに(2)というのがございますけれども,その(2)のところの4行目から始まるところ,「そのため,学生の実習を指導する」というところです。これについては,対象が幅広くなるだけに,どの程度の仕組みを想定するのか焦点が定まりにくい印象はあります,ということでございます。
それから,次の項目,ローマ数字2の1,1),これは4ページでございます。「大学と実習施設との連携・協働体制の必要性」,と明記されたことで,大学と実習施設が単に実習を依頼,受諾する関係ではなく,大学教員と実習施設の看護職がプロフェッショナルとして在り方を共有すべき存在であることを明示し,協働体制を追求することで,看護学教育モデル・コア・カリキュラムの⑨にある「生涯にわたって研鑽し続ける姿勢」をそれぞれが具現化できる可能性を示すものとしてふさわしい表現であると感じました。
次の点でございます。ローマ数字2の1の4),これは4ページの真ん中辺のところです。4)連携・協働体制の発展というところです。4)の連携・協働体制の発展で示された方策は,前回の会議で提案された「実習施設の現任教育へ大学教員が参画」したり,「実習施設の看護職員が大学の非常勤職員として参画する」など,相互乗り入れが促進されることの発展性が具体化されて分かりやすく,評価できますということでした。
それから,次の点,ローマ数字3の1,これは7ページにあります。一番下のところです。実習要項の作成では,大学教員と実習施設とのコミュニケーションの促進が必須であり,より効果的な実習を目指して,実習施設の意見も実習要項に反映させ,年度ごとにアップデートしていくことが望ましいと考えます。
それから,最後のコメントです。最後に,このガイドラインの公開前に効率よく有益な御意見集約を行うためには,看護系大学へメール等で直接意見を求めることがよいのではないかと考えます。以上です。どうぞよろしくお願いします,ということでございます。
中根委員の御意見ですけれども,何か御不明な点はございますでしょうか。
それでは,彦根委員からも意見をいただいておりますので,御紹介させていただきたいと思います。
彦根委員の方は,2ページ,3行目のところ,2行目の終わりからですけれども,「継続教育につながり自己研鑽を継続し」と,こうなっていますけれども,その「つながり」の後に「臨床に活かされ」という言葉を挿入したらいかがかと。「継続教育につながり」の後に「臨床に活かされ」というのを挿入するという意見でございます。
次が3ページでございます。3ページの真ん中の少し下のところ,2)実習施設の役割というのがあって,その(2)のところでございます。「学生の実習を指導する看護職は,」となっておりますけれども,その後に次の文章を挿入するということです。読み上げます。「大学における臨地実習の位置付けを理解し,学生が臨地実習に臨む意欲を引き出せるよう支援する。加えて,学生の作成した計画を尊重しつつ」,あとは本文に書いてあるとおりでございます。ちょっと長いのですけれども,今のことを挿入する。「看護職は」の後に,「大学における臨地実習の位置付けを理解し,学生が臨地実習に臨む意欲を引き出せるよう支援する。加えて,学生の作成した計画を尊重しつつ」,ここまでですね。
それで,アセスメントが入ったことはとてもよいと思います,ということだそうでございます。
それから,もう1点ございます。5ページをごらんください。5ページの上から3行目のところの(2)「実習施設は」という,この文章のところですけれども,ここの(2)の3行目に当たるところ,「ことが望ましい。」となっていますけれども,その次に以下の文章を挿入いたします。読み上げます。「学生実習を指導する看護職を教育する仕組みを有していることが望ましく,施設全体で看護ケアを提供する場に学生を受け入れる体制づくりに努める。」「望ましい」の後に,「学生実習を指導する看護職を教育する仕組みを有していることが望ましく,施設全体で看護ケアを提供する場に学生を受け入れる体制づくりに努める。」ということです。
これについてもコメントがございまして,受け入れる施設が次世代を担う人材を育成する機運の醸成をすることを醸し出すととてもよいと思います,ということでございます。
以上でございます。
何か御不明な点ございますか。
どうぞ。
【鎌倉委員】 最後に読み上げられた内容でございますが,5ページの(2)でございます。ここは「望ましい。」の次に挿入ということでしたが,その後の文書とかなり重なってはいるのですけれども,後の文書をやめて置き換えるという意味なのか,挿入なのか教えていただけますか。
【高田座長】 それについては,このまま私は読み上げただけなのですけれども。
【鎌倉委員】 そうですか。分かりました。ありがとうございます。
【高田座長】 適宜御判断いただければと思います。
それでは。
【杉田看護教育専門官】 補足になります。
今の鎌倉委員からの御質問ですけれども,事務局としてはこの間に挿入する御意見かと解釈しておりました。お手元に彦根委員からの御意見がなく恐縮なのですけれども,彦根委員の御意見というのは,その施設側で学生を受け入れる体制づくりのことを主張したい御意見と解釈しておりまして,今お書きいただいているアンダーラインのところは,看護職個人のことを書いているのかなというふうに解釈されての彦根委員の御意見かというふうに解釈しております。
【高田座長】 よろしいでしょうか。この文面しかいただいていないので,それ以上は私もお答えできないのですけれども。
それでは,いよいよ検討に入りたいと思いますけれども,一応ローマ数字の1番から順番に御意見を伺っておいて,そして,最後にまた全体的な観点からの御質問,御意見を頂こうかなと思いますけれども,いかがでしょうか,よろしいでしょうか。
それでは,活発なかつ具体的な御意見を頂きたいのですけれども,まず,ローマ数字の1番,看護学実習総論からでございます。
どうぞ。
【井村委員】 井村でございます。大変具体的に意見を反映させて,改良してくださり,本当に感謝いたしております。
小さいことと大きいこととございますが,上の方から申し上げます。小さいことで申し上げますと,1)の3行目の「これに付随し」というのは,削除してもよろしい言葉かと思いました。
それと,もう一つ,4)の2行目の「そのため」というのも,恐らく削除。不確かな因果関係まで言及せずに,削除しても十分意味が伝わると思いました。
「基本的考え方を示すものであり」というところに,「各校における臨地実習の参照基準として位置付けられる」とすると,文章が少し読みやすくなるのではないかと考えました。
もう一つは,少し大きくなりまして,5)でございます。ここに,1行目の後半から読みます,「臨地実習は大学の教員,実習施設の指導者,そして,学修する学生」という3者が記述されておりまして,「により成立する教授学習課程」とあり,ティーチング・ラーニング・プロセスのことの文言がございますので,その協働,連携がその基盤のところに学生は入れなくてよろしいのか。つまり,ティーチング・ラーニング・プロセスの主体者,一翼を担う学生というところは協働,連携に入れなくてよろしいのかと思ったところでございましたので,御検討いただけるとありがたいと思いました。
もう一つ,6番目をJANPUの方で加筆していただき,非常に重要な文言,項目であると私も理解いたしました。
一方,この1というのは策定の目的となっておりますので,この6というのは,この「臨地実習は」という主語から来ていることもありますし,内容的にも,臨地実習の目的の1)の下の方に来ることの方が、内容的には適切と考えました。上の策定の目的に明記するのが適切か,臨地実習のことを記載しているとなると,臨地実習の目的の1)に移動させるのも整合性があると思われましたので,御検討いただけるとありがたいと思いました。
以上です。
【高田座長】 ありがとうございました。
大きな点についていかがでしょうか。
鎌倉先生,何かございますか。
【鎌倉委員】 鎌倉でございます。
「これに付随し」とか,「そのため」というのは,まだ頭の整理ができていないのですけれども,1番下の方の5)番について,連携と協働がその基盤になっている,もちろん学生もそこの中にはあるのですが,学生と連携,学生と協働するかというと違和感があって,ここは基盤ということで,大学と実習施設との連携と協働が基盤となって,学生を含めた教授学習課程というような意味で理解をしておりました。
そして,この6)番については,目的に入れようか,ここに置こうかというふうに迷ったところでございます。最終的に,「成長に資するものとする」という表現にしたものですから,そうであれば一応策定の目的で大きなところで置いておいた方がいいかなというふうに置いたものでございますので,皆様方の御意見で検討できればというふうに考えています。
【高田座長】 今の点について何かございますか。また全体を見てから考えてもよろしいのかなと思いますし。
【岸委員】 済みません。
【高田座長】 どうぞ,岸委員。
【岸委員】 東邦大学の岸です。ガイドラインについて意見を反映させた修正案,ありがとうございました。
今のところとも少しかかわるのですけれども,この1の看護学実習ガイドライン策定の目的と臨地実習の目的というのがあって,先ほど,1の(6)のところですね,ここは「臨地実習は」という出だしで始まって,ガイドラインのことが書いていないので,(6)だけ少しここに置いておくことに違和感があるという井村先生の御意見もございまして,私もそのように思っております。
そうすると,臨地実習の目的のところに入れるのかというと,目的になっていて,そこも違和感がある。私としては,どちらに入れるのか,それとも,新たな項目を設けるのかということもあるかと思うのですが,臨地実習とはどういうものなのかというところの記載がもう少しあるといいのかなと思っていまして,それが1の看護学実習ガイドライン策定の目的の(6)にあるものに該当するかなと思っております。
そして,それプラス,これまでもお話ししていたような気がするのですけれども,臨地実習とはどういうものを指すのかというところで,臨地に何日間行かなければいけないとか,そういうことではなく,3ページの3の大学・実習施設・学生の役割の(2)にありますような,学生が体験をすることによって現象を理解して,体験を導いたりとか,概念的に理解を深化させるということが,教員の役割としては書いてあるのですけれども,臨地実習とはそのような学生に体験をさせるものだというような,臨地実習を主語にしたものがもう一つ説明として,1番あるいは2番,あるいはその間に臨地実習とはということがあるとよいかと思っています。
それはなぜかというと,第一次報告の7ページにございます,看護系大学における質保証に向けた今後の課題の中で,1番から6番まで課題が出ておりますが,3番に臨地実習に行っても実際は見学にとどまる内容となっているとか,4番に臨地での実習時間が少なくなり,体験学習の機会が少なくなっているとかということが挙げられておりますので,その課題解決を示すものとしてガイドラインがあるとすれば,体験を導くこととか,体験を通して看護学の理解を概念的に深化させることが臨地実習であるというような,臨地実習を定義するものがこの総論のどこかにきちんと示される。その上で,なおかつ,教員の役割の中でもこのように,こういうような役割として示されることによって,臨地実習が何かということが非常に分かりやすく示されるのではないかなというふうに思いました。
以上です。
【高田座長】 総論の中に臨地実習はかくあるべきだというものを入れたらいかがかなという,そういう御意見かなと思いますけれども。
どうぞ,宮﨑委員。
【宮﨑副座長】 宮﨑です。私も今岸委員がおっしゃったことと同じ印象を持っていまして,この1番のガイドライン策定の目的という中に,「臨地実習は」ということの主語が,やはり4),5),6)のあたりですかね,ここは臨地実習の目的というところに整理できるのでないかというふうに思いました。このガイドライン策定の目的というのは,何で,今このガイドラインを策定するのかという,あくまでも策定の目的について取り上げる部分であり,臨地実習とはそもそも何ぞやという,臨地実習は,というところは次の2ページの2番の中に整理できるんじゃないか。この中でいろいろ大事な言葉が入っていますけれども,2ページの方にも,これまでの既存の知識,技術,態度を統合した統合学習の場であるということと,実践の場において,対象者,患者,利用者の方たちに直接ケアを提供するという,その関係性を通じて看護実践を理解し,さらには看護学の理解を実地に学ぶ場であるということ,また今日とてもいいなと思ったのは,生涯学習の出発点になる機会であるということや,現場との連携という話です。こういうことがむしろ2ページの方に整理されると非常にすっきりするのではないかと思いましたが,どうでしょうか。
【高田座長】 鎌倉委員,何かありますか。
【鎌倉委員】 鎌倉でございます。
1のガイドライン策定の目的の4)番につきましては,これはやはり策定の目的でいいのではないかと思っているのですけれども,位置付けとして,先ほど御指摘がありました5番と6番については,臨地実習の目的の方にまとめられる,まとめることは可能かなというふうに思いますが,いかがでしょうか。
4)番については,各大学のカリキュラムに位置付けられた臨地実習は,カリキュラムの一環であって,その具体的な方法論は各大学の決定に委ねられる。本看護学実習ガイドラインは臨地実習の基本的な考え方を示すものであり,各大学における参照基準としての位置付けであるという,これに関してはここの策定の目的でもいいのではないかと思いましたが。
【宮﨑副座長】 そうですね,参照基準ということで。
【高田座長】 そうしますと,この5)と6)を目的の方に移したらいかがかなということですけれども,大体そういうことで御異論ないでしょうか。ありがとうございました。
小見山委員,どうぞ。
【小見山委員】 ありがとうございます。小見山です。
この5)のところで,位置付けについては目的の方に移すということで,異論はありません。
「臨地実習は,大学の教員,実習施設の指導者,そして,学修する学生により整理する教授学習課程である」と書いてあるのですけれども,ここに対象となる患者さんとか,そういった記述は必要ないでしょうか。誤解を恐れずに言えば,臨地実習の場で対象者と学生が対するだけでも学びはかなり大きく深いといふうに感じる場面がたくさんあります。ここに学生が最もかかわるべき対象として,対象,言葉は考えないといけないのですが,そういった位置付けの方を書く必要はないかという1点です。
【高田座長】 ありがとうございました。
いかがでしょうか。
【井村委員】 大変重要な御指摘だと思いました。
【高田座長】 皆さん,御異存ないですよね。
鎌倉委員,どうでしょうか。
【鎌倉委員】 どんな表現にしたらいいものかなというふうに思いまして,例えば,対象者に看護ケアを提供することを通してとかということではなくて,協働体制という形に,そこで協調ということでしょうか。どちらなのかなといのがよく分かりませんでした。対象者に看護ケアを提供することを通して,大学の教員,実習施設の指導者,そして,学修する学生によりというふうに行くのか,臨地実習は大学の教員,実習施設の指導者,学習する学生,そして,対象者によりというふうに,そこを強調していったらいいものか,どちらでしょうか。
【小見山委員】 私がイメージしたのは後者の方。後者というのは鎌倉委員がおっしゃった強調する方のことです。
【鎌倉委員】 臨地実習は,大学の教員,実習施設の指導者,学習する学生,そして,対象者により,看護ケアを提供する対象者により成立する教授学習課程であるためということでよろしいでしょうか。
【高田座長】 井村委員,何かございますか。
【井村委員】 済みません,小見山委員がまず御発言なさった方が適切かと思いましたのでどうぞ。
【小見山委員】 私は,臨地実習の場には,大学の先生,実習施設の看護職,そして,学生と,真ん中にいる患者さん,対象者を表現した方がいいのではないかと思いましたので,鎌倉委員のおっしゃられた通り,この4者を並べて表現するのがいいのではないかと思いました。
【高田座長】 井村委員,どうぞ。
【井村委員】 そちらに賛成です。ケアを提供すると言った時点で,提供する人、される人という関係性を表現してしまっている言葉を使うことになるので,平等な協働的パートナーシップということが最近言われていることもございますので,そこは並列するということに大きな価値があると認識しながら伺っておりましたので,小見山委員の意見に賛成です。
【高田座長】 この件に関して何か御意見。
村嶋委員,どうぞ。
【村嶋委員代理】 患者さんだけとは限らなくて,住民さんだったり,組織だったりすることがあるので,そこの表現はどういうふうにしたらいいのかなと悩みながら聞いておりました。入れるのは基本的には賛成です。
【高田座長】 保健師のことですよね,今のは。
【鎌倉委員】 いいですか,鎌倉です。
そのあたりのことはかなり意識しながら,対象者という形での整理をしていますので,ここは人を対象,人を挙げていますので,「大学の教員,実習施設の指導者,学生,そして,対象者により成立する」ということでよろしいでしょうか。
【高田座長】 特に御意見ございますか。
村嶋委員,どうぞ。
【村嶋委員代理】 保健師の場合は,対象者ではなく対象と言ったりしますよね。「対象者」の方が人が見えていい感じもするのですが,実習を通してやはり仕組みに対しての提言をするという,組織に対しての提言をするというようなことも保健師の実習では行ったりいたしますので,表現が難しいなと思いながら聞きました。
以上です。
【高田座長】 上泉委員,どうですか。
【上泉委員】 私も実習をする際には,人だけが対象ではなくて,制度や,仕組みなども対象になってくると思いますので,あまり「者」と限定しない方がいいのではないかなと思います。
【高田座長】 大島委員,どうぞ。
【大島委員】 済みません,大島です。
私は以前に日本看護科学学会の用語検討委員だったときに,実は,対象という言葉で一般の方からクレームが参りました。それで,用語検討委員会でも調査をしたことがあります。それは,対象と言われたくない,物のように扱われているような感じがするので,看護の中で対象という言葉を使ってほしくないのだということがございました。対象と言われたときに,どのような印象を受けるかを,正確な調査ではないのですが,委員会で調査をしまして確かに物のように感じるという意見もございました。
その経験から言いますと,先ほどのこのガイドラインが,いろいろな方々が読んで使っていくことを考えると,組織,体制とか,そういうものを看護の実習で対象としていくときはあるけれども,ここで対象ということになるとちょっと気がかりに思います。
以上です。
【高田座長】 宮﨑委員,どうぞ。
【宮﨑副座長】 済みません。私は「者」といいますか,そこに人がいるということを入れた方がいいと思っています。もちろん制度のことも実習の中には入ってくるのですけれども,やはり実習の基本形態というのは人とのかかわりを通じて学生が看護とは何かを学んでいくということなので,人がそこにいるということをちゃんと入れた方がいいと思います。
ですけれども,確かに対象者という用語に対して,クレームがあるというのは,私も知っておりまして,例えば,ケアに参加する人々とか,そういう言い方ではどうでしょうか。参加というのがどうか御意見をいただきたいですけれども,ケアの受け手というだけじゃなくて,そのケアを主体的にどう自分がその過程に参加していくかという,そういう,本人の主体性も込めて,ケアに参加する人々と,学生を含む人たちによって成立する教授学習過程だというふうに,「人」というのが入った方がいいかなというふうに思うのです。
【高田座長】 ありがとうございました。
小見山委員の方からもどういうふうに言ったらいいかというような,最初から御発言ございましたけれども,これはどうしますかね,一応こういう方向で入れるということで,どういうふうに入れるか,が適切かどうかについては,また御意見を頂いた上で調整させていただきたいと思いますけれども,鎌倉委員,そういうことでよろしいでしょうか。
【鎌倉委員】 先ほど対象者のところでちょっと戸惑ったのは,ここで一番最初に対象者が出てくるものですから,多分読んでいて対象者は何ぞやっていうことが分かりにくいなというふうに思いましたので,宮﨑委員の「人々」を使うということはいい案だなというふうに思いました。ただ,ケアに参加と言うと意味合いが変わってきちゃって,どうなるかなというふうに,今すぐには結論が出ませんので,検討させていただくということでよろしければ。
【高田座長】 またこの件に関しましては,お帰りになってからいいアイデアがあれば事務局の方にお知らせいただければと思います。
ほかいかがでしょうか。
どうぞ,岡島委員。
【岡島委員】 岡島です。今回の修正案につきまして,追記いただきましたことを感謝申し上げます。
今の「人々」のところですけれども,「ケアにかかわる人々」でもいいのかなと思いました。そこには大学の教員や指導者ももちろん入ってくるのですが,対象となる住民の方やその御家族ということも含める意味合いとしていかがかという1つの御提案でございます。
それと,総論にかかわる意見といいますか,追記をお願いしたいことが3項目ございますので申し上げます。
多くは3番目の2ページから3ページにかけてなのですけれども,大学・実習施設・学生の役割の,まず,1)大学の役割に関してですが,(1)と(2)の間ぐらいになるのかと想定しておりますが,提案を読み上げます。「大学は,実習の開始前に学生が臨地実習で患者・利用者」,これも人々なのか,対象者なのか整理が必要だと思いますが,「学生が臨地実習で患者・利用者に安全に看護を提供できる水準まで知識・技術を習得させる必要がある」という文言を入れてはいかがかという意見でございます。これは一次報告の課題の方にも記載してございましたとおり,実習内容が制限されるとか,体験できることが制限されるというような課題がございました。これにはやはり十分な準備を積んだ学生が実習に来るということが実習施設側に示されれば,患者の安全も確認しやすいですし,対象者の安心にもつながるということで,大学の役割としても1点追記してはどうかという意見でございます。
もう1点の追記箇所でございますが,3ページの3)学生の役割のところでございます。ここは入れ替えなのですけれども,(1)の文章が,「看護学の理解を概念的に深化させる役割を有する」で締めくくられているのですが,その前に列記されている看護実践の重要な項目が薄まっている印象があります。ですので,できれば実践に関する記載が際立つような表現として,「さらに全ての実習を通して自己洞察力を深めることに努力し,看護学の理解を概念的に深化させるとともに,臨地実習で求められる情報収集力,アセスメント力,看護ケアを提供する技術力,対人関係能力を養う役割を有する」というふうに,一部逆転させていただいてはどうかという意見でございます。
最後の3点目でございますが,大学の役割にもう一度戻るのですけれども,講義と学内演習と実習の関連づけが必要ではないかという点です。後段にも少し触れられている部分があるのですが,大学の役割に明記していただきたい案を申し上げます。「大学は臨地実習をより効果的な学習の機会とするために,実習前の講義や学内演習,実習後の振り返り演習,講義等を関連付け,教育的意図を持って計画実施する」ということを記載していただくと,実習の準備性を高めることにもつながりますし,また,実習後に体験を総合的に,概念的に整理することができます。そして,学びの定着につながるのではないかという意見でございます。
御検討のほどよろしくお願いいたします。
【高田座長】 ありがとうございました。
1点目は,実習へ出る前の学生の資質をきちんとコントロールしてくださいということですね。それから,2点目は,学生のところの看護学の理解のところですね。それから,3点目が,これは実習の前後に教育をきちんとやって,臨地実習の効果を最大限発揮してほしいと,そういうような御意見だと思いますけれども,この点に関していかがでしょうか。
上泉委員,どうぞ。
【上泉委員】 1点目については,先行要件などは,大学がカリキュラム策定においてどのように選考要件を設定するかを,それぞれの大学で決めていると思うのです。そのことをここに書くかどうかというのは。
【村嶋委員代理】 3点目。
【上泉委員】 3点目でしたか。
あと,3点目の講義と演習と実習というものの考え方というのも,これもやはりそれぞれの大学が目標やポリシーに基づいてカリキュラム構築をしていくものと思いますので,それはここに明記しなくても,それぞれがお作りになっているところではないかと思っています。
【高田座長】 では,岡島委員,どうぞ。
【岡島委員】 各大学で教育目標ですとか,学内での教育の水準というのを定めておられると思います。だからこそ,実習施設側に,今回この実習施設にどのような体験あるいは教育目標を求めて実習に送り出すかということをきちんとお伝えした上で中身を詰めていく必要があると考えました。その準備性がないまま、「この2週間丸ごとお願いします」といった形で送り出すことのないよう,全ての大学できちんとやられていることではあるとは思いますが,改めてガイドラインの中に明記していただくことによって,実習施設も受け入れやすくなるのではないかと考えました。
【高田座長】 村嶋委員。
【村嶋委員代理】 村嶋です。
私は岡島委員の御提案は,いずれもとてもいい御提案だというふうに思いました。特に3点目は,私たち,確かに自分が勤める大学のことを考えましても,講義,演習,実習で終わってしまっていて,今そのことに対する反省がございます。そういう意味では,実習の後にやはりそれを振り返って確定するような,そういうことを含めて1つの科目なのだということが,これを明記することによって考え方が浸透するのではないかと思いましたので,是非入れていただきたいと思いました。
【高田座長】 岸委員,どうぞ。
【岸委員】 岸です。
私も岡島委員の提案に賛成です。確かにいろいろな大学でやっているとは思うのですけれども,こちらの一次報告の課題の中にも,6番で臨地実習の体験をそれまでの学修の統合やさらなる学習へと効果的に導けていないという課題があると。その辺は実習前後の演習が効果的にされていないということもあると思いますので,やっているところももちろんあると思うのですけれども,委員がおっしゃったように,きちんとここに明言することが大事ではないかなと思っています。
ガイドラインに書いてあります,安全管理体制とか,既に大学ではやっていると思いますけれども,ここで明記して,質の高い教育に各大学が導けるようにしようということですので,もう一度このガイドラインに沿って見直していく,あるいは,そこを今回強化していくというところで明言して追記するという岡島委員の提案に賛成いたします。
【高田座長】 宮﨑委員,どうぞ。
【宮﨑副座長】 私も当然入れるべきだと思います。それも大学教員の役割としてしっかりここに入れてほしいという御提案ですよね。本当にそれ大事だと思います。
今8ページの方に,学生の臨地実習へのレディネスの形成と実習後の支援というところに同質のことが書かれているなと思うのですが8ページではなくて,大学教員の役割というところに位置付けていただいた方が,学士課程の臨地実習としての特質を総論として明示するという点ではいいかなと私も思います。
【高田座長】 大島委員,どうぞ。
【大島委員】 私自身は,先ほど言ったように,統合したものをまとめていくというのが一番大切なところだと思っておりますが,それを演習でやるか,あるいは,実習のくくりとしてそれをもってくるかというのは,カリキュラムデザインをどう組み立てていくか,方法論,教育内容の目指すところというのを各大学に自由度があってよいと思います。ですから,実習後に演習,講義を入れるというふうに方法論で規定をしていかなくてもいいのではないか。私自身はその実習というまとめ自体がもうそこに入ってくるものだというふうに今までも思ってきましたので,明確にそれを打ち出すことはよいと思っています。
しかし,どのような方法とっていくかというのは,演習が一番ベストであるか,講義として最後にやっていくのが一番ベストであるのかは,必ずしも教育方法として正確なエビデンスがあるわけではないので,あまり方法論のところまで言及することはいかがかなと思います。
【高田座長】 井村委員,どうぞ。
【井村委員】 よろしいですか。私は事前の学習と十分な準備,実習,実習後の事後の学習振り返りという,上位概念化したような言葉をもってしても,統合をすることを表すことは大変必要なことと考えますので,そこに明記するということに大変賛成でございます。
ただ,その演習をどう組み込むかなどの具体的なことにつきましては,自校教育の範囲のことであると思いますので,表現上の工夫をするという範囲でよろしいのではないかと考えますので,この会として大学の責任において事前,実習,そして,事後,それらを統合して学習を深化させるという,そこはきちんと明記することの案に賛成いたします。
【高田座長】 大体何となく論議が煮詰まってきたかなと思いますけれども,大学なので, 3つのポリシーの下に責任を持ってやると。ただ,臨地実習というのは非常に貴重な機会ですし,大学だけで独立してできるものではなく,多くの方の御助力で初めて可能になっていることですので,それを大学として責任を持って有効に教育に生かしていくということを,先ほど井村委員,上位概念とおっしゃいましたけれども,そういうような形で入れ込んでいくというような,上泉委員,そういうことでよろしいですかね。
【上泉委員】 私は大学の意思決定といいますか,カリキュラム構築の自由度というのは確保すべきだと思っておりますし,先ほど事前準備とか,事後の評価というのは,実習に限らずどこでも同じであって,あえてここで書く必要があるのかというのは疑問に思います。
それから,事前準備といいますか,レディネスについては明確に書いたらよろしいかと思いますし,そのためのカリキュラム上の先行要件はどうするかを明記することにしたらよろしいかと思います。
【高田座長】 鎌倉委員,何かございますか。
【鎌倉委員】 鎌倉です。
先ほどの御指摘,学生の役割の方には書いてあるものですから,学生の役割にも書いて,大学の役割にも書くという御意見かなというふうに受け止めましたが,前回の検討会の方向性としては,各保健師,助産師,看護師の教育課程全部に共通することと,それを包括的にという御意見だったかと思いますので,あまり個別の具体的なところは避けた方がいいという御意見だったように理解をしています。
今回は,それはあえてそこまで書くということでしょうかという,疑問点というか,各大学にお任せするということではなくて書くということで,御意見なのでしょうか。
【高田座長】 岡島委員,どうぞ。
【岡島委員】 どのような講義,演習をカリキュラム化するかは大学の裁量で結構だと思います。先ほど申し上げた3点目の意見は,実習後の振り返り学習にまとめていただいても構いません。要は,事前の準備をしっかり,実習が可能な水準まで大学がきちんと教育し,準備が整っていることを施設側に伝え,実際に実習した結果を取りまとめていただきたい。それを通じて臨地実習が効果的になされるのではないかという提案です。
ですので,大学のカリキュラムに対してこのガイドラインが何かを狭めるということではありません。
【高田座長】 上泉委員,どうぞ。
【上泉委員】 カリキュラムをどう作るかということと,そのカリキュラムでの教育の結果としての評価をどうするかというのは,評価のポリシーを作っていくわけですから,そこで必ず評価をどのようにするかというのはできてくることだと思います。岡島委員がおっしゃっていることで,大切なのはそのような大学の考え方,カリキュラムがどのような考え方でできているかということを,現場の方々にもっとしっかりとお伝えする,コミュニケーションをよくするということ。私はそこはしていったらよろしいかと思います。
【高田座長】 いかがでしょうか。今までのところをまとめると,大学は3つのポリシーでやっているので,それはそれでもちろん尊重するのだけれども,ただ,その中で,岡島委員がおっしゃったことですけれども,講義とか,演習とか,具体的なことではなくて,井村委員がおっしゃった上位概念で,そういうものを含めた形で実習をやってくださいねというような形で書き込むというような。スペシフィックにこれをやってください,あれをやってくださいということではなくて。
大島委員と,上泉委員の方からは,大学の独自性ということがあるので,そちらに任せてほしいというような,大体そういう御意見かなと思います。
これは後でまた少し調整するということで,よろしいでしょうか。
【岡島委員】 2番のところでもまた関連する件です。
【高田座長】 大分時間がたってきたのですけれども,総論で何かございますか,ほかに。
【大島委員】 大変小さいことで,それと,これはコア・カリキュラムのことなので,ここで今論議することではないのですが,ちょっと問題提起だけさせてください。
2ページにあります,2番の2)の中に,モデル・コア・カリキュラムに示された学修のあり方の学修目標1から6のところで,コア・カリキュラムのときも気になっていたのですが,文科省の方に聞いた方がいいのかもしれないのですけれども,④の「看護者の役割」ですが,以前のコア・カリのときから周りで言っていたのですけれども,どうしてここだけ「看護者」なのだろうと疑問です。ここはガイドラインでは「看護職」できています。実はこの「看護者」というのは,いかがなのだろうかとよく論議になるのです。先ほど来出てきた用語のことで気がかりになっていることを挙げさせていただきました。
【高田座長】 ありがとうございます。
ほかに。
井村委員,どうぞ。
【井村委員】 済みません,総論にとどまり続けて恐縮でございますが,発言させていただきます。
先ほど岡島委員が御発言になられた(2)のところの3)の,例えば,1番の最後の「看護学の理解を概念的に深化させる」という文章が最後になってしまうのではなくて,という御提案があったと思います。それと同様に,3ページ目の3番の1)の(2)の「実習指導教員は」のところの文章の5行目も「看護学の理解を概念的に深化させることである」とあります。広い意味の文末決定性の点から考えますと,これも文末に来ているのが気になります。もちろん4年制大学の学士を持っている人は学を深化させるという役割もあるかもしれませんけれども,実習におきましては,2ページ目の臨地実習の目的の2)の2行目にある「専門科目,看護の知識,技術,態度の統合を図りつつ,実践へ適用する能力を育成することも目的としている」というのがやはり大きなところであろうと思いますので,この文末の学を深化させるところに帰結させないような文章に作り込んでいただけるとありがたいと考えております。よろしくお願いいたします。
【大島委員】 私が言ったことだと思います,反対意見で。
【高田座長】 いかがでしょうか。
鎌倉委員,どうぞ。
【鎌倉委員】 鎌倉です。
これは前回かなり強い御意見があって,このように変えたものですから,それをまた変えろと言われるとどうしましょうかという戸惑いがあります。
やはり学士課程であるので,最終的にそちらの看護学の理解につながるようにということでしたので,ここは最後に書くことで,具体から抽象化という形で表現させていただきました。この順序を変えるということについては,(2)番と,それから,学生の役割の(1)番の,今岡島委員から御指摘のあった,逆転させるということに関しては,文章が逆転させることによって意味が異なってきてしまうので,そこはどうかなという疑問があります。
【高田座長】 いかがでしょうか。
【大島委員】 私は実習に行ったときに,最終的に看護の本質は一体何なのだろうというところに帰結することが多くあります。ですから,このことを入れていただきたいと申し上げました。宮﨑先生がお休みで,メッセージをいただいた中にも似たような言葉があって,座長の先生からそういうことですねということで確認されたのをよく覚えております。この本質的なところは,いろいろあるけれども,本当に大事なことだったのは何だったのだろうという学びは,ディスカッションでもレポートでも掘り下げていきますので,是非その本質的なものを入れていただきたいと思っております。
【高田座長】 岡島委員,どうぞ。
【岡島委員】 実習のガイドラインですので,大島委員がおっしゃった意味だとすれば,看護学の理解ではなくて,看護の本質を概念的に深化させるという文章であればまだ理解ができます。言葉のあや,ですが,大学の教育全般を捉えれば看護学の理解を概念深化でいいのですけれども,実習ガイドラインにあえてこの表現を使う必要があるのかということと,実践の場ということで,前段に書かれていることが少し薄められてしまうというのが私の懸念でございます。
【井村委員】 井村です。
【高田座長】 どうぞ,井村委員。
【井村委員】 済みません。私も議論は記憶いたしておりますし,そのようなお考えもあろうかと伺っておりました。そして今,文章にして初めて拝見している次第でございます。
私も看護学とは何か,看護学を構築しようと努力された先人の御苦労を非常によく見ておりますので,看護学の構築であるとか深化は非常に重要であると捉えております。
一方で,これが実習ガイドラインであることと,私が懸念するのは,学を概念的にというところです。看護は,様々議論あるかもしれませんが,応用科学であり,その実態を伴いながら概念的にも深化し,かつ実践も進化するという,そこが三位一体となって展開されるところに看護の看護学たるゆえんがあると考えます。あえて概念化ということを帰結点とするというところは,私にとっては許容しかねる部分でもありますので,看護学を深化させる,理解させる等にしていただく方が,まだしも受け入れ可能であると私は考えておりますので,御検討いただけるとありがたいと思います。
【高田座長】 上泉委員,どうぞ。
【上泉委員】 今回のガイドラインの名前は,看護学実習ガイドラインです。このガイドラインそのものは大学において看護学を学んでいくための1つの方法としての実習をどうあったらいいかということを作っているものでありますので,この考え方というのはガイドラインの内容の根底にあるものだというふうに思います。そういう意味で,宮﨑先生が前回コメントでお書きいただいていた内容,看護学を深化させるということ,これは看護学の実習ということですごく大事なところだと,この内容に賛成しております。
【高田座長】 それでは,宮﨑委員。
【宮﨑副座長】 数々御意見ありがとうございます。
この「概念的」にという文言は誤解を生じる部分もあるかと思うので削除し,看護学の理解という箇所については,実習という科目を通じて学生に学ばせる最終のものは,やはり看護学である,というところに落としどころを持っていく必要があると思います。実習に出る前は机上の学習で,方法論として学んでいたのが,実体験を通して,患者や,対象者を理解するというのはこういうことなのかというように,概念的に学んでいたことが自分の中に統合化していく,そういう意味での学の深まりがやはり重要なのではないかと思うんです。看護実践の理解ではなくて,看護学の理解という,学士課程ですからこの記述が重要なのではないかと思います。
【高田座長】 井村委員,どうぞ。
【井村委員】 概念的にこだわるようですが,実態と概念が遊離することを私は著しく懸念していますので,概念を取っていただいて,看護学としていただけるということで理解させていただいてよろしいでしょうか。
【高田座長】 その概念的にというのを取るということでいかがかなというような御提案でございますけれども。岡島委員,いかがですか。特に今すぐではなくてもいいのですけれども,大体皆さん何となくうなずいてらっしゃるように見えたのですけれども,また御意見ございましたら後で言っていただければと思います。
総論でほかにございますでしょうか。よろしいですか。
【宮﨑副座長】 済みません。
【高田座長】 では,宮﨑副座長。
【宮﨑副座長】 前からちょっと気になっていたところで,この3ページの今見ている(2)のところなのですが,「実習指導教員は」というところで,最後の文章,「学生にとって看護実践者・教育者としての役割モデルとなることが期待される」というところですが,ない方が良いのではないのかなと思っているのです。臨地の指導者の方は看護実践者としての役割モデルとなることが期待されるという,2)の(2),これは納得なのですが,教員の方に実践者,教育者としての役割モデルという記載は必要でしょうか。私はむしろ役割モデルというよりも,学生が必要な実習としての体験ができるように場を作り,そして,その体験したことを,最終的には現象の理解から,今度は学としての理解へつなげていくというところが教員ですが,それに対して,役割モデルと記述がなくてはなりませんか。これはなくても良いのかなと思った次第なのですが。
【高田座長】 鎌倉委員,お願いします。
【鎌倉委員】 鎌倉です。
実習指導者の対のような形でモデルというふうに書いていますので,今回固有の役割というのは,明記されていますから,これはどちらでもというふうに考えます。必要ないということであれば,これは取るということでも構いません。
【高田座長】 いかがでしょうか。学士教育を受けた方が皆さん全員教員になるわけでもないからという,そういうことですね,これは。
【宮﨑副座長】 そういうこともあるけれども,ここはもう少し違う意味で。
【高田座長】 上泉委員。
【上泉委員】 理事会でも議論したところだったのですが,看護実践者としての役割モデルとなることはある意味必要だと思っていますが,教育者としての役割モデルとなることは,学生にとっては必要ではないのでは。
ですので,大学の実習指導教員は看護実践者としての役割モデルということも期待されている,というよりも,大学の教員で看護の教育に携わる人たちは,臨床実践の経験とか,やはり実践者としてのモデルというものも期待されるのではないかと思います。
具体的には,実習のときに,何か倫理的な問題が起こったときに,教育をする立場でいても,実践の一看護職としての立場で学生とともにどんなふうに振る舞っていくか,そういうことは必要になってくるわけで,そこは実践者としてのモデルとなるところではないかというふうに思っています。
【高田座長】 岸委員,どうぞ。
【岸委員】 私も迷うところなのですけれども,「看護実践者としての役割モデル」とぱっと読んだときに,看護技術を教員が提供してそれを見せることを役割モデルというふうに,短絡的に捉えてしまうような見方をされないかなと気になったところです。
上泉委員がおっしゃった,ただ学生に自分がやっているケアを見せるということを看護実践者として役割モデルということではなくて,看護の行為を意味付けたりとか,実習指導教員として体験の意味付けをしたりとか,あるいは,倫理的な問題があったときに,看護職としてのきちんとした視点を示すということが看護実践者としての役割モデルということであれば,ここに載せておくのは意味があるなと思っております。
一方で,この実習施設の役割の方は明確に,2)の実習施設の役割の(2)では,「プロフェッショナルとしての姿勢を示す等」と,明確にどんな姿勢を示して,看護実践者としての役割モデルとなることが期待されるということが書いてあるのですけれども,実習指導教員の方はそこが曖昧で,この役割を通してというふうになっているので,どのような役割モデルという,看護実践者として役割モデルということは記載されているのですけれども,実習施設の役割のように,具体的にこう書いていただくと誤解が生じることがないように読み取れました。ただ「看護実践者としての役割モデル」というと,教員もケアを提供して,それを学生に示さなきゃいけないというような誤解が生じるかもしれないなというふうに思ったところです。
「教育者としての役割モデル」というところは,教育者については外してもよいのかもしれないなと思うところです。
以上です。
【高田座長】 なかなか表現が難しいですね。
いかがでしょうか。
小見山委員,どうぞ。
【小見山委員】 小見山です。
前回,私が現場での指導教員の先生方の学生さんへのかかわりが,臨床の看護師への教育者としての役割モデルになっているという状況もある,現場としては先生方に教育者としての役割モデルというのを期待している面もありますということを申し上げたと記憶しています。
実習指導教員の先生方が現場にいる看護師に対して,ご自身が教育者としての役割モデルと思っているかわかりませんが,現場の看護師は指導教員の先生方に学ばせていただいている,期待しているということだけお伝えしておきたいと思います。
【高田座長】 なかなかすぐにどうするか,というのが困ってしまうのですけれども,またこれは少しよく考えていただいてということですね。
時間が大分押してきましたので,次に移ってよろしいでしょうか。
ローマ数字2番,大学と実習施設との連携・協働体制の構築というところでございますけれども,いかがでしょうか。
岡島委員,どうぞ。
【岡島委員】 2点,追記を御提案させていただきます。
まず,4ページ目の「2.指導体制の構築」,(1)の後段に追加を提案します。「大学教員は実習の開始前に,実習の目的・内容とともに,大学における学習内容と到達度に関する情報を実習施設の指導者に対して提供することが必要」と入れていただきたいという提案です。
このガイドラインは保助看に共通するガイドラインであるということと,今後は実習施設も多様化する方向にあり,大学ごとにそういう工夫をなされているということを考えますと,学内でどこまでやりましたということを,先ほどのコミュニケーションの話ではないですけれども,実習施設と密に情報交換しておく必要があるだろうという観点から,追記を提案します。
もう1点,8ページの「2番.実習前打ち合わせ」という項目がございます。(1)に日程調整のお話が出て,(2)に共通理解の話があるのですが,この間にもう少し具体的な記載をお願いしたいと考えております。
具体的には,「大学は実習要項をもとに施設ごとの実習の目的を伝え,実習施設との十分なすり合わせを行い,実習内容を組み立てる」という趣旨を入れていただきたいと思います。
その理由は,実習内容を実習施設に丸ごとお任せ,いいように組み立ててくださいというような大学があるからということです。そういう大学が実際にあることを考えますと,優れた実習のプログラミングをしている大学には想像も及ばない現場任せという事実がございますので,そうならないように,このガイドラインが担保していただけるような表現が必要かと思います。
また,医療機関などでは,診療科目や病棟機能によって,そこで体験できる実習内容というのも違いますので,なぜこの実習施設にお願いをして,どういう体験,どういう教育目標を達成させたいのかということを,きちんと大学と実施施設でコミュニケーションをとることが大事なのだということを意図して記載していただきたいというのが理由でございます。
以上です。
【高田座長】 大学の方から施設の方にいろいろな情報を提供してくださいという,その2カ所について追加したらいかがかなと,そういう御提案でしたけれども,これに関して。
どうぞ,上泉委員。
【上泉委員】 もちろん大学とのコミュニケーションは重要だと先ほど私も申し上げました。大学側だけからではなくて,学生自身が自らの経験録を持ちつつ,実習に行く際にそれを示して,学生自身がどのような実習をするのか,学生が示す,そういう方法もとられておりますので,具体的なやり方の規定をここに示すのではなく,経験項目あるいはレディネスといったようなことを,大学側あるいは学生から施設の方に,提供するといったぐらいにしておいていただけると嬉しいです。
【高田座長】 岡島委員,どうぞ。
【岡島委員】 大学によってやはり実習前の準備性に非常に差があることと,なぜその実習施設での実習が必要かということをよくお示しいただけない大学もあるというふうに実習受け入れ施設からは聞いております。
実習要項についても,こと細かに書くことが難しいので,この打ち合わせの段階で,この施設ではこういう体験をさせてほしい,学内ではこういう準備までしているので,学生にはこういう目標到達を狙っていると。学生のレディネス形成のところにはそのことが書いてありますので,その学生のレディネスについては、異論はありませんが,大学としても実習施設に目的,目標と習熟度を事前に説明する責任があるのではないかと考えております。
【高田座長】 大島委員,どうぞ。
【大島委員】 私も私立の看護系の大学の代表としてここに座らせていただいている点から,今の実態が本当であればとても嘆かわしいと思います。私の見聞きする範囲ではそういうのはないのですけれども,そういうのはないのかは分かりませんので。
それで,1つ提案ですが,ここの実習の打ち合わせのところで,(1)のときに,「大学は事前打ち合わせの日程調整を主導し,実施施設に説明する」,これ随分と細かい話で、それよりは,実習打ち合わせは実習をちゃんと円滑にするために,目的,目標,それから,方法等に関しての十分な共通認識をするために行って,協働体制を確立するというようなことを先に上げておいて,(1)はあってもいいですけれども,日程調整等は当たり前のことだと思いますので,それよりも違う必要性のあることをそこに入れておいたらいかがでしょうか。方法等に関しては,それぞれその実習のやり方の内容によりけりで,どのようなときに,それを何度もやる方がいい場合もあるし,1回やってそれでできる場合もあるし,それから,何年間にもわたってやっている場合は,そのクリティークをしながらそれで済む場合もありますし,いろいろあると思うので,目的をここに入れていただくようにしたら,つまり,きちんとした実習ができるための前段階の準備としたらいいのではないかとに思います。
実習前の打ち合わせは,行く教員にとってもとても大切なことですし,実習場側の方に関しても,大分前からこれやるもので,準備,勤務体制等も全部考えていただけると思いますので,随分前に何回かやっていると私は思っておりました。やっていない状況がもしあるとしたら非常に残念なことですので,そう入れたらどうかと思います。
【高田座長】 鎌倉委員。
【鎌倉委員】 今のところですけれども,8ページの実習前打ち合わせの1)会議の設定と調整内容のことになります。ここもかなり具体的なところはという御意見だったので,かなり本当に具体のところはカットしてということで調整しているところではございますが,(2)番の中に共通理解する内容はということで,実習要項をもとに実習目標と実習科目の評価方法と評価基準等という,かなり細かなことが書いてございます。これでも不足ということなのでしょうか。
【高田座長】 岡島委員,お願いします。
【岡島委員】 (2)に書いている項目を否定するものではありませんが,大学が主体的に実習施設に対して示すべきということと,共通理解を図る内容とはまた別だと思います。そこで,「大学は」を主語にして,日程調整に終わらず,実習施設に対して示すべきことを1項目めの後段につけ加えてはどうかという趣旨です。
【高田座長】 いかがでしょうか。多分おっしゃっていることはそんなに違わないようなことではないかと思うんですけれども。
【釜萢委員】 よろしいでしょうか。
【高田座長】 どうぞ,釜萢委員。
【釜萢委員】 ずっと皆様の御意見を伺っておりまして,大学における看護教育に皆様の本当に熱心な日々のお取組に触れ,大変感銘を受けるところでありますが,今回のこの検討の目的は,これから大学において育てる看護職の質をいかに高めるかとともに,ある程度量的にも確保しなければならないという,国全体の大きな要請があるわけでありますので,そのあたりのところを踏まえて,御議論をそろそろまとめていただかなければならないと思います。
大学,学士として看護職になられる方はどんどん増えておりまして,もうその方々の力をなくしては,臨床の現場が立ち行かなくなります。ですから,大学卒の看護職の方というのは,かなり以前は,ほとんど指導者になって後進を育てるという役目が大きかったわけですけれども,少なくともその看護職としての人生のある部分においては,臨床の看護師として,国民のために臨床の現場で役立っていただくということは非常に大事になってきております。
そういう意味で言うと,今日伺っているような議論はそこのところとはあまり関係のない話が多いように思います。もっと共通の認識に立って,そして,小異はもう置いておいて,全体としての流れがどうなのかというところの御議論をしていただかないととてもまとまりませんので,もうあと次回は事務局案が出てくるというところなので,その細かいところについては御意見は御意見としてお出しいただくとしても,最終的には座長の取りまとめということになると思いますが,そのあたりのゴールを見据えて議論をしていただかないと,これは延々と続きそうな気がしますので,あえて発言をいたしました。
【高田座長】 ありがとうございました。
今のところ,本質的には皆さんそんなに大きな相違はないと思いますけれども,時間も大分押していますので,ローマ数字2についていかがでしょうか。
【井村委員】 別なところの発言をしてもよろしいですか。
今の釜萢先生の御発言からはちょっと各論的なことになり失礼いたします。大きな作り込みとして,4ページ目のローマ数字の2のところの1の大学と実習施設との連携・協働体制のところの文言に,3行目には安全ということが記載されておりまして,安全が全面的にずっと語られています。この2の全体を見ますと,3,安全管理体制,4,臨地実習における倫理ということがございます。安全の前か後になるか分かりませんけれども,倫理のところの当事者,対象者,患者さん,利用者さんの人権であるとか尊厳もここに1つ文言を打ち出していただく。そして,人権とか尊厳とあるこのトップのところに安全を守るために様々連携するという文言を,上のほうに打ち出していただいた方が,内容の項目からよろしいと思った次第であります。現場でも非常に重要なことと考えましたので,発言させていただきました。
【高田座長】 ありがとうございました。
ローマ数字2で何かどうしても言っておきたいことはございますか。
それでは,ローマ数字3を,大分3にも入ったのですが,臨地実習前の調整というところはいかがでしょうか。ローマ数字4の指導方法というところもございますけれども,このあたりはあまり変わっていないのかと思いますけれども。
どうぞ。
【井村委員】 済みません,各論かもしれませんが,4のところ,おおむね賛成でございます。ただ,2点ほど発言させていただきたいと思いました。
9ページの2の看護課程に基づくケアの実践のところの4)のところでございます。2行目,看護職が学生とともに看護ケアを提供するときには,学生の技術を観察し,必要時には熟練した技術を披露することによってモデルということなのですけれども,学生の技術を観察して,ポジティブにフィードバックをすることが第一に必要と考えます。場合によっては,御自分の熟練した技術を見せるかもしれませんけれども,臨地において学生をエンパワーしなくてはいけないところを,パワーレスにさせるリスクもあると思います。技術の披露は使い方によっては,学生があまりにでき過ぎている人を見て私はだめというふうになる部分でもあります。そういうことを表現なさりたいわけではないと思うのですけれども,注意深く書き分けていただけるとありがたいと思いました。
続きまして,10ページ目の4のチームの一員としてのケアの参画のところです。4番目,4の4)のところの,これは,「指導者及び実習指導教員は,対象者の安全を守る責務があるため,学生のできない部分に着目をして否定的な注意をしがちであるが」という,これを,「あるために」という理由が述べられています。ここで,責務があるから否定的に注意するという論理です。私はそれらをつなげる必然性は全くないと考えています。教員や指導者が学生に否定的な発言をすることをここで正当化しているとしか思えない文言に読めてしまいますので,人権や安全を守るということと学生に否定的な注意をするということは全く別問題と捉えていただいて,この考え方を実習ガイドライン全面的に反映させていただけると大変ありがたいと思います。
学生をパワーレスにするような文言は著しく削除していただき,エンパワーしてくださるような文言で大学に発出していただきたいと考えましたので,やや各論的な発言ではございますが,全体の考え方として御理解いただけるとありがたいと思います。そして,是非反映していただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。
【高田座長】 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうかね。
ローマ数字5の評価方法,いかがでしょう。ここは変わっていないかと思いますが。
そうしましたら,全体を通して何か言っておきたいことがございましたらお願いしたいのですが。よろしいですか。
上泉委員,どうぞ。
【上泉委員】 今回この実習ガイドラインを作るに当たって,医学教育の実習ガイドラインを拝見しておりました。これまで私も含めてですが作ってきたものと一番違うところは,学生自身がこの診療のチームの一員として参画するという,非常に学生自身の主体性が強調される内容となっていたことについて,大変感銘を受けた次第です。大学における看護教育にあっても,自立性とか,主体性といったようなことの教育というのは,実習に限らず全ての大学教育のプロセスにおいて目指すところの1つであろうと思いましたので,ここが看護学実習ガイドラインであるからには,やはり学士としての主体性,自立性を涵養するような,そういう趣旨を組み込んだ中身に統合されていけばうれしいなと思っておりました。
以上です。
【高田座長】 ありがとうございました。
柳田委員,どうぞ。
【柳田委員】 今上泉委員からお話がありましたように,医学の方ですと,学生の参画ということが非常に注目されているのですが,それは診療に参画するということだけではなくて,プログラムの作成,カリキュラムの作成,あるいは,プログラムの評価といったところにも学生が参画する,それを積極的に進めているというところがございます。それをこの実習の今回のものに盛り込むかどうかというのはすごく難しいところですし,そこは次のステップの評価のところかもしれませんが,非常に重要な視点かなと感じますので,今後の課題の1つとして追加発言をさせていただきました。
以上です。
【高田座長】 ありがとうございました。
どうぞ,大島委員,手短にお願いします。
【大島委員】 私は,この間の報告に出た内容を少しだけでも入れた方がよいかと思います。例えば,4ページの大学と実習施設との連携・協働体制という箇所ですが,例えば,そこの2行目に,「実習施設は看護ケアを提供する場に受け入れるのである」の後に,そのことを足していいかどうかも分からないのですが,例えば,「学生が学んだ看護ケアが十分実践できる実習を確立することは重要である」というような,学んだことが十分そこの実習の場でできるような連携・協働体制というのを作るという形で,何か一文加えておいたらいいのかなと思っております。それが1点です。
それと,今,先生から御発言があった内容ですが,評価のところに到達度の評価というような形では出てきますが,この内容で各大学がこれからやっていくときに,今度は学生からも評価をし,それを改善に持っていくというようなやり方に生かしていくことは,私どもの大学では今,開始しようとしております。指導内容,あるいは,実習内容に関して,学生たちがどのような改善を求めているかということも,教員側,あるいは,指導者側からの評価だけではなく,学生からも得て,それを次の立案に改善していくことは,やっていく段階で生かせることがあるかもしれないと思っております。
以上です。
【高田座長】 まだまだ御意見もあるかと思いますけれども,時間がもう大分迫っていますので,どうしてもというのがもしあれば伺いますけれども,よろしいでしょうか。
それでは,ただいままでの議論を生かして,事務局にて修正案を作成させていただきます。
それでは,議事の2のその他について,事務局から説明いたします。
【杉田看護教育専門官】 事務局です。大分大きな宿題をいただいたように承っております。
本日も活発な御議論ありがとうございました。御意見を基に,座長,副座長の先生と御相談しながら修正版,作成してまいりたいと思います。
事務局より1つ御提案させていただきたいことがございます。前回,12月の検討会で,作成途中の実習ガイドラインについて,外部からの御意見をいただいてはどうか,例えば,パブリックコメントということはできないかという御意見を頂きました。その後,座長,副座長と御相談し,パブリックコメントというのは法令に係ることで用いられることが多く,また,最短でも一月以上の意見収集期間を設けることが必要とされておりますので,今回はガイドラインになりますので,正式なパブリックコメントの実施までは行かないのではないかと考えました。
しかし,実習ガイドラインを主に活用いただきたい大学の先生からの御意見を頂戴するというのは,作成プロセスでは大事なことと考えまして,大学の教員への意見聴取をしてはどうかとなりました。
具体的な方法としましては,2月中旬に,事務局において設定した意見聴取用の特設メアドより各大学に依頼いたしまして,教員それぞれよりメールにてその特設メアドに御提出いただくという方法を考えてみました。その後,いただいた御意見は事務局で整理し,次の修正版に反映させたいと考えております。いかがでしょうか。
【高田座長】 事務局の方から大学への意見聴取を実施したいという御説明がございましたけれども,何かこの件に関して御質問等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは,大学への意見聴取を実施するということで,事務局の方でよろしくお願いいたします。
そのほか,事務局から連絡等ありましたらお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】
机上のファイルは,2冊とも机の上に置いたままとしてください。
7回目の検討会の日程については,早々に確定して御連絡させていただきます。
本日もどうもありがとうございました。
【高田座長】 それでは,本日の会議はこれにて終了いたします。
座長の不手際で少し遅れましたことをおわび申し上げます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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