大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(2019)(第5回) 議事録

1.日時

令和元年12月23日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

一橋講堂特別会議室(東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術総合センター1階)

3.議題

  1. 大学における看護系人材養成に関する実習ガイドラインについて
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員,井村委員,大島委員,岡島委員,鎌倉委員,釜萢委員,上泉委員,岸委員,小見山委員,鈴木委員,高田委員,中根委員、彦根委員,平野委員,柳田委員

文部科学省

丸山医学教育課長,荒木医学教育課企画官,中湖医学教育課長補佐,杉田医学教育課看護教育専門官

オブザーバー

島田厚生労働省医政局看護課長

5.議事録

【杉田看護教育専門官】 少々お時間より早いですが,ただいまより第5回大学における看護系人材養成の在り方に関検討会を開催いたします。
それでは高田座長,よろしくお願いいたします。
【高田座長】 よろしくお願いいたします。
本会議は冒頭より公開とさせていただきますことを御了承ください。
なお,カメラでの撮影につきましては,議事に入るまでとさせていただきますので,御協力をお願いいたします。
本日は大学における看護系人材養成に関する実習ガイドラインについて検討いたします。大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会の第1次報告でございますけれども,指定規則の改正案に基づき,各大学のカリキュラム改正が始まっていくと考えられますので,タイムリーに活用していただくために早々に発出することが必要であると考えます。委員の皆様から前回の第4回の検討会の後,メール等にて様々な御意見を頂き,作成できましたことを改めて感謝いたします。
本日お手元にあります資料2としてございますので,御確認いただければと思います。
なお,文部科学省のホームページにアップして公表していく予定でございます。
次に,本日の出席状況と配付資料の確認をお願いいたします。事務局,お願いします。
【杉田看護教育専門官】 本日は宮﨑副座長より御欠席の連絡を頂いておりますので,委員15名,オブザーバー1名,計16名の御出席となってございます。
続きまして,配付資料を確認させていただきます。まず会議次第,続きまして資料1「看護学教育実習ガイドライン」,資料2「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会第1次報告」,参考資料10としまして「診療参加型臨床実習実施ガイドライン」,参考資料11としまして「薬学実務実習に関するガイドライン」を添付してございます。
参考資料は全てウェブ上にて公表されておりますので,傍聴者の皆様は後ほど御確認をお願いいたします。
事務局からは以上になります。
【高田座長】 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
それでは,早速ですが,議事に入りたいと思います。
最初に,鎌倉委員より資料に基づいて御説明をお願いいたします。
【鎌倉委員】 それでは,説明させていただきます。
前回御指摘の内容は,1つ目としましては学士課程の実習であるということを明確に位置付けて欲しい,そしてあとコア・カリキュラムと,それからこのガイドラインの構造をどのように考えるのか,そして,そこのときの意見としては,コア・カリキュラムのところで示された内容を指導方法のところに入れることで対応ができるのではないか,そういった御意見を頂戴いたしました。それに従って,皆様よく読んでいるということを伺っておりますので,どこをどのように変えたのかという概略を御説明させていただきます。
まず,構造部分になります。構造は,策定の目的の1)番でモデル・コア・カリキュラムに位置付けられた,モデル・カリキュラムに付随してこれらの学習目標が示されておりますので,学習目標を達成するため,大学実習施設及び学生に対する指針として,各大学のカリキュラムに位置付けられた臨地実習に関するガイドラインを策定する。ここの内容については,大きくは変えてございません。
そして2番目としましては,これも同様ですけれども,文部科学省が主語にというお話でございましたので,表現を修正した内容でございます。ここのところでガイドラインがどのレベルをということも言われましたので,最後のところでございますが,本看護学実習のガイドラインは,この基準を基盤とし,これはJANPUの方で出している基準でございますが,さらに具体的な事項を示すものとする。そしてここの中で,国民に対してということも明確に書いてほしいということでございましたので,5番目のところが国民にということが記されています。
そして臨地実習の目的のところで,学士課程のことを書くために,臨地実習は学生が学士課程で学修した教養科目,専門基礎科目の知識を基盤とし,専門科目としての看護の知識・技術・態度という形で入れております。
構造の方に戻ります。1ページ目に看護学実習総論,これは変わっておりません。大きな流れとしては,実習を実施するという流れになっております。
3ページ目をごらんいただきますと,2番目に大学と実習施設との連携・協働体制の構築,この構築をしてから,その次に,6ページになります。
臨地実習前の調整,そしてその次,8ページ目に指導方法,そして9ページ目に評価方法,こういったような流れで整理をさせていただきました。
内容につきましては,細かな御指摘も頂きましたので,それを中に反映させる形で作成をしております。
大まかな流れとしては以上でございます。
【高田座長】 それでは,今御説明がありました実習ガイドラインの案に対しての御質問,御意見を頂きたいと思います。本日は宮﨑副座長が御欠席ということでございますので,事前に御意見を承っておりますので,御紹介したいと思います。読み上げさせていただきます。
看護学実習ガイドラインバージョン2へのコメント。以下,宮﨑先生のコメントでございます。本日の検討会は,所用が入り欠席となりますこと,大変申し訳ありません。看護学実習ガイドラインの作成について,心より感謝申し上げます。看護学実習ガイドラインバージョン2を事前に拝見し,以下のようにコメントさせていただきます。
2つございます。まず1といたしまして,全体を通してのコメント。
本ガイドラインの目的は,大学における看護学教育における臨地実習の基本的な考え方を示す,と記されています。本文を見ると,「○○をする」という行動形式で示されている箇所が多いように思うのですが,基本的な考え方として,その行動の意図すること,狙いをもっと表に出す必要があるように思います。つまり,「○○のために,○○を行う」の形で説明を記載する必要があるように思います。それによって,大学教育として何を狙うのかという問いに答える形になっていくかと考えます。
2点目です。(2ページの3.大学・実習施設・学生の役割の1)大学の役割(3)について)「実習指導教員は,学生にとって看護実践者・教育者としての役割モデルとなることが期待される」の部分は,2)実習施設の役割(2)の「実習指導者は……看護実践者としての役割モデルとなることが期待される」の書きぶりと重なっており,実習指導教員としての固有の役割が明示されていないと思います。教員は,学生の臨地での実践経験を教材とすることを通して,看護学への理解を実践に照らして検証させて,看護学の理解を概念的に深化させる役割があると思います。教員は,学生の臨地体験から教材としてふさわしい体験場面を捉え,その場面について学生が振り返ることから,看護の専門的な思考・判断・行為の整理を促し,実践の基盤である看護学の概念的な理解につなげていくことを支援することが役割ではないでしょうか。
以上でございます。
それでは,この看護学実習ガイドラインにつきまして,御質問,御意見を頂きたいと思いますけれども,まず全体的な観点から何かございますでしょうか。全体的な観点について少し論議してから,先ほど鎌倉委員から御説明がありましたように,ローマ数字の1,2,3,4,5というふうにございますので,順番に細部については見ていきたいと思っております。まず全体について何か御発言,ございますでしょうか。
どうぞ。
【大島委員】 大島です。この実習のガイドライン全体を拝見しますと,各教育機関で今まで実習要項として触れている内容に非常に近い形を感じております。考え方を示すものであると申しても,例えば薬学,医学のように,初めて出されたものより,長い間看護学では実習要項として結構存在していたものが多くありますので,考え方として,みんなのコンセンサスを得ていくことを考え,パブリックコメントを早めに出す,いろいろな方々から意見を伺った方が,ここまでは細か過ぎるんじゃないかとか,既に実施しているなど,意見が出てくるのではないかと思うのです。手順になるかもしれませんが,全体としてパブコメで1回いろいろな人たちにとることは,私はできるだけ早い方がいいかなと思います。ただ,どのぐらいの固まりで案として固まるのかはあるけれども,パブコメをできるだけ早めにとっていただきたいというのがございます。
以上です。
【高田座長】 今のお話はスケジュール的なことと,それから手順ですかね。
【大島委員】 そうですね。だから余り全部,もう聞いても形が変えられないという状況になって出すよりは,もう既にいろいろなところでこういうのをやっているので,ここまではちょっと踏み込み過ぎかなというのもあると思うので,できるだけ全体として早くに,パブコメを聞いてもらいたいので。いつこれが公表されることになるのかにも影響するとは思いますが。
【高田座長】 今後のスケジュール的なことがございましたけれども,事務局として何かこの辺についてコメントございますでしょうか。
【杉田看護教育専門官】 貴重な御意見,ありがとうございます。事務局でございます。
パブコメというステップを入れるということも大事なことかと思います。そうなる前に,そのパブコメに耐えられると申しますか,その案を是非とも早々に,いろいろな御意見で練り上げていきたいというふうに考えておりますので,具体的な,ちょっと漠然とした御意見というよりも,この後またJANPUの委員会の方でバージョンアップを図ってくださる予定になっておりますので,その修正していただくに当たって,具体性のある御意見,御質問を是非ともお願いしたいと思います。
【高田座長】 今この会議では,ガイドライン案を作っているということでございますので,具体的にこういうふうにしたらいいというような御意見が出ると,多分鎌倉委員の方としても対応ができるんじゃないかなと思うんですけれども。
いかがでしょうか。もし全体について,また後で触れてもいいので,特に今御意見がなければ,それぞれの項目について見ていきたいと思いますけれども。
最初にローマ数字の1番ですね。看護学実習総論の部分についてはいかがでしょうか。
はい,どうぞ。
【岡島委員】 ありがとうございます。岡島です。
総論のところに関して,実習の目的をもう少し深く記載をしていただいた方がよいのではないかという観点での意見です。一次報告にも記載されましたように,看護系大学の使命は幅広く,かつ深い知識とスキル等の能力を有するすぐれた看護系人材の養成とあります。したがって,どういう人材を養成するか,そして実習ではどのような役割を果たすかについて明示する必要があると思います。
実習の目的を拝見しますと,看護職として必要な資質の習得を実習によってどう獲得するのかというところが薄いように思いますので,そこをもう少し明記していただきたい。その際に,医師や薬剤師における実習のガイドラインにあるように,例えば医師であれば,「診断及び治療等に関する思考・対応能力等を養うことにある」と明記され,薬学についても,「薬剤師として求められる基本的な資質の習得」と記載されています。資料1の1ページ目には,本ガイドラインでは「学生が知識・技術・態度の統合を図ると共に,対象者との関係形成やチーム医療において必要な対人関係形成能力を養い,看護専門職としての批判的・創造的思考力と問題解決能力の醸成」と書いてあります。しかし,どういう看護人材なのかとの核心に触れられていないといいますか,それがもう少し記載されるとよいのではないかと思いました。
以上でございます。
【高田座長】 ありがとうございました。
何かございますか。どうぞ,鎌倉委員。
【鎌倉委員】 1つ質問ですけれども,今の御意見に対して,もう既にモデル・コア・カリキュラムのところでかなり記されていまして,それを受けてという形になりますので,それを受けた形で,この前御指摘いただいたような学士課程のところは追加させていただきましたが,それを越えてという御意見なのでしょうか。
【岡島委員】 モデル・コア・カリキュラムに記載されていることと重複しても,実習ガイドラインで臨地実習の目的とするところを明記した方がよいのではないかと考えております。
以上です。
【高田座長】 どうぞ。
【鎌倉委員】 実はモデル・コア・カリキュラムに書かれているものを,再度ここに強調した形で書いております。ですから,例えば学士としてのモデル・コア・カリキュラムの2ページになりますけれども。これはFのところですから,そこで書かれている内容を少し読み上げさせていただきますと,看護の視点で科学的探求のできる人材の育成や,特定の専門知識や技術の教育にとどまらない,学士としての批判的・創造的思考力の醸成,専門職としての高い倫理性,職業アイデンティティの確立,研究や臨床で求められる情報収集能力・読解力の養成,対人関係形成能力の基礎となる,自らをよく知り自己を深く振り返る内省・自己洞察能力の強化が求められるということが,各大学における活用の項で,モデル・コア・カリキュラムのところでは書かれておりまして,そこの中で,また臨地実習で何を行うのかというのは,その次の臨地実習のところでも書かれていますので,それを重ねる形で,また学士課程のことを強調する形での表現になっています。ですから,JANPUとしましては準備をするに当たって,モデル・コア・カリキュラムに基づくと書いてございますので,それ以上のところに踏み込むのは避けたというのが現状でございます。
【高田座長】 今御説明ございましたけれども,この件はよろしいでしょうか,これで。いろいろとあるかとは思いますけれども。
【岡島委員】 モデル・コア・カリキュラムに基づくこの実習ガイドラインは,大学がごらんになるだけでなく,一般国民も,実習受け入れ先も見るという意味で,どういう人材を育成するために,どのような臨地実習を組み立てていけばいいかということが,もう少し分かりやすく書かれていればよいと思いますが,これ以上踏み込めないということであれば,これについては理解いたしました。
【高田座長】 他にいかがでしょうか。
どうぞ,大島委員。
【大島委員】 大島です。2の臨地実習の目的のところに,臨地実習の位置付けが書かれておりますけれども,臨地実習は統合する科目として置く場合もありますし,それからアーリーエクスポージャーみたいな形で,先に体験をして,それを生かしてその次に教育していくというやり方もあります。それを両方合わせたりしております。したがって,体験を基盤に置いて看護学の知識・技術を発展させるということも存在するので,臨地実習の位置付けは各教育機関で十分に検討する必要があるというように,少し幅を持たせたらいいのではないかと思いました。
【高田座長】 いかがでしょうか。今の御意見に対して何か,追加等ございますか。
はい,どうぞ。
【鎌倉委員】 統合を図りつつという内容は,実はコア・カリキュラムに表現されている内容でございまして,それを1つ踏み込んで,体験を基盤にした発展形というものもあり得るということをここに表現するということについては,それはできるかなと考えていますが,皆様方の御意見で方向性を決めていければと思っております。
【高田座長】 何かございますか。
どうぞ。中根委員。
【中根委員】 中根です。
3番の大学・実習施設・学生の役割の2)番,実習施設の役割の中の(2),私は現場の人間なので,実習に来る学生さんたちに対応することが多いのですが,ここの「実習指導者は」という書かれぶりのところに,先ほど大島先生おっしゃっておられましたけれども,看護実践者としての役割モデルになることが期待される,十分そうなのですが,これは今まで8週間の実習指導者研修会を受講した実習指導者を想定してしまいますが,現実急性期病院ですと,長期研修に出せる人材の数などが非常にタイトな状況になっておりまして,必ずその実習指導者に相当する研修を受けた者がいるかどうかというのは非常に怪しい状況で,また,大学の増加で多方面から実習依頼が入ってくる状況ですと,1人の実習指導者に負担がかかり過ぎる状況が現場としてはございます。
ここからちょっと個人的な意見もあるんですけれども,看護師の役割モデルというのは実習指導者1人ではなくて,病棟の中に多数存在していて,大学の学生さんはかなりいろいろなところを見学しながら,みずからモデルを見出しているようなところがあるなと私は思っているんです。どちらかというと,そこの上,(1)に書かれているように,看護ケアを提供する場に学生を受け入れるってそのとおりなんです。実際のところ,実習指導者がカウンターパートのように書かれていますけれども,現実実習を受け入れるカウンターパートは,師長であったり,現場の看護管理者だと思います。そこが大学の教員とうまく実習指導について,このように考えているというところが,すり合わせが利くと,学生さんの実習の効果も上がるのではないかなと思いますし,実習指導者研修を受講した数よりは,看護管理者研修を受けた看護管理者の方がはるかに数として多いのが現実です。その者たちは,人材育成について一定数以上のカリキュラムを受けていますし,現実人材育成ということで幅広い看護職の人材育成に関わっているので,そこに直接教育というところで大学の先生と関わっていただくという方が,大学のディプロマポリシーから発想するということからすると望ましいのかなというふうに考えました。
以上です。
【鎌倉委員】 御意見よく了解いたしました。ここでの表現につきましては,前回実習指導の教員の役割と実習指導者の役割を明記するようにというような御意見もございましたので,実習指導教員については学生の知識だとか,統合していくような情報収集アセスメント,看護計画立案を中心にという形で書かせていただいて,このような役割モデルとしても,教育者としての役割モデルだけではないだろうということで,実践者,教育者という形でここでは記させていただきました。
実習指導の施設の役割としては,中根委員のおっしゃられることは非常によく理解ができます。学生は,病棟に入っていくのであって,そこで全体で指導していただけるということは重々分かっておりますので,ここのところは,そうするとあえて実習指導者と書かずに,実習施設はというような表現の方が,なかなか難しいところで,実習指導者というと特定の個人というよりも,指導してくれる人というような全体を意味していることは確かなんですけれども,それで誤解が生まれるということであれば,ちょっと表現を変えることは必要かなとは今思いました。
【中根委員】 そのとおりです。部署全体で学生さんを迎え入れていて,ともに学んでいるという。あえて実習指導というふうにも私たちの病院では呼んでいなくて,実習支援と呼んでいるので,できるだけサポートをしたい,学生さんの自主性を育てたいと思うと,やはりこの書きぶりですと,ちょっと誤解があるのかな,今の時代ではと,ちょっと思いました。
【高田座長】 よろしいでしょうか。
はい,どうぞ。
【柳田委員】 今の表現,本当に難しいなと思うんですが,薬学の参考の11の8ページのところに,指導する薬剤師への指針という表現があります。この指導する薬剤師への指針という表現であれば,例えば指導する看護師への指針となると,幅広く指すイメージになります。その中でさらに,この指針として指導体制であるとか,目標,目的,内容の把握であるとか,大学との連携,施設間の連携といったことが記載されておりますので,何か1つ工夫して作られたものが,ここに何かアイデアがあるような気がいたします。
【高田座長】 はい,どうぞ。
【鎌倉委員】 ありがとうございます。
そうしますと,実習指導者というのではなくて,実習指導を行う看護職という形にすれば,保健師,助産師,看護師,全て含まれるからというふうに考えればよろしいでしょうか。
【柳田委員】 はい。
【鎌倉委員】 ありがとうございます。
【高田座長】 どうぞ。小見山委員。
【小見山委員】 小見山です。今の「学生に指導的に関わる看護職は」という表現になることについては,賛成いたします。ただ,そうなった場合に,この2)の(2)の「実習指導者は」に続く文章が,若干具体的過ぎるかなと感じております。(1)で臨地実習は,施設は対象者への看護ケア提供の責任を有する。で,実習環境を整える,看護ケアに参画できる機会を提供するということが明確に示されています。ということは,看護ケアの機会の提供に当たっては,モデル・コア・カリキュラムの中にあるように,例えば看護過程に基づくケアとか,安全なケアとか,チームの一員としてのケア参画であることを理解し,実践できるように支援するとか,少しモデル・コア・カリキュラムの中身と連動させていただくと,実践の場でも分かりやすいと思いました。
あと,続けてもう1点ですけれども,1)の大学の役割の方についてですが,こちらの方でもう少し踏み込んだ表現をしてもいいのではないかなと思います。大学は学生の教育に関する責任を有すると(1)で書かれていますので,臨地実習の中での責任や役割にももう少し踏み込んで書かれてもいいのではないかなと思いました。学生の学修効果を確認し,実習内容と実習の質の担保というところに関わっていただいているのは,やはり大学側であろうと思いますので,学修の効果の確認,実習内容と実習の質の担保に積極的に関与するとか,責任を持つとかという文言を加えてもいいのではないかなと思いました。
あと,1)の(2)なんですけれども,「実習指導教員は……」とあって,「看護ケアを提供することを通して統合することを支援する」,これ入れていただいて,すごく分かりやすくて私はすばらしい文章だと思いました。ただ,その後ろに「さらに」という言葉があって,ここに具体的な内容が書かれているために,逆に指導教員が行うのはここまでですよと言われているような気持ちになりました。ここは最初の一文目の方が概念が大きいので,1文目だけでもいいのではないかなと思いました。
以上です。
【高田座長】 はい,上泉委員。
【上泉委員】 同じところなんですけれども,小見山委員のおっしゃったことに関連して,先ほど宮﨑副座長の御意見を御紹介いただいたんですが,まさに宮﨑委員がおっしゃることが,看護教育における実習指導を担当する教員の役割ではないかなと思いました。それで,是非宮﨑委員がお書きになっている部分,臨地実習という経験を通して看護学の概念的な理解を促すといったような役割を,ここに,(3)番のところに加えていただきたいと思いました。
【高田座長】 先生,ここですか。(3)のところですか。
【上泉委員】 はい。先ほどお読みいただいた内容からすると,大学の役割とは何ぞやということの,大変根源的なことを述べていらっしゃるので,看護学を知識として理解していくことを,経験と学んだことを結び付けて概念的な理解を促すというふうに整理していただければいいかなと思いました。
【高田座長】 今,上泉委員がおっしゃったところを,もう1回読んでみますけれども,「教員は,学生の臨地体験から教材としてふさわしい体験場面を捉え,その場面について,学生が振り返ることから,看護の専門的な思考・判断・行為の整理を促し,実践の基盤である看護学の概念的な理解につなげていくことを支援することが役割である。」ここのところですかね。
【上泉委員】 はい。
【高田座長】 いろいろと出てまいりましたけれども……。
では,どうぞ。岡島委員。
【岡島委員】 岡島です。今の3番のところに関する意見です。このガイドラインには実習内容の部分がなく,事前の準備から最後は指導方法,評価となっています。この「3.大学・実習施設・学生の役割」のところに,どういう実習にするかをいろいろ書き込まなければならないと思います。そうだとすると,今議論いただいていた方向性はよいと思いますが,前回も申し上げたように,大学の役割の中に,学内の講義や演習でどこまで到達していたかを実習施設にきちんと伝え,それと連動した形で臨地実習が行われるということ,その関連付けについてもう少し踏み込んで書いていただきたい。先ほどのお話では,目的のところには,これ以上の書き込みは難しいということでしたが,仕事の場における実践が臨地実習の一番大きな役割ですので,実践能力を高めるための効率的・効果的な実習であることを是非とももう少し書いていただけるとよいと思います。
そしてもう1点,実習内容という項目立てがないので,実習施設側の役割のところに書いていただくとすれば,具体的な例を挙げて,どのような臨地実習において各学年における到達すべきスキルや知識を身に付けていくのかという参考例も記載してほしい。例えば一般国民に看護師はこういうステップを踏んで実習をするということを理解してもらったり,新設校や,これから新たに実習を受け入れるような実習施設において,イメージしやすくなるのではないか。
以上です。
【高田座長】 どうぞ。今のことですか。はい。
【大島委員】 済みません。大島です。逆に私は余り細か過ぎない方がいいと思っています。つまり今岡島委員がおっしゃってくださった内容は,例えば6ページに実習要項の作成がございます。そこのところに当該実習科目のということで結構詳細が書かれていて,逆に私などはここまで要らないんじゃないかと思ったくらいです。今の実習の打ち合わせに関してどういう学修をして,どのようにやっているということは,この臨地実習前の調整,ローマ数字3のところの実習前の調整のところには結構詳しく書かれているように思います。先程の目的,役割のところにそれが入っていなくても十分網羅できているし,逆に言えば細かいぐらいに感じています。
【井村委員】
井村でございます。私もこのガイドラインの中にどれくらいの大きさで記述を進めるかというところはなかなか難しいと考えております。先に御意見が出ましたように,実習要項というものが各大学にあって,何の抗体価検査をする等のレベルのものまで,このガイドラインに書く必然性があるかどうかというところに関しましては,もう少し上位概念化したところで止めておくという方針を持ってもよろしいのではないかと考えておりますことが1つです。
それともう一つ,話をもとに戻してしまいますけれども,2ページ目の3番の大学・実習施設・学生の役割のところに関する意見で,小見山委員がおっしゃったように,大学としてもう少し踏み込んだ記載がよろしいのではないかと思います。学修の成果・効果に関する責任は大学が持つということとか,その質を保証するのは大学の責任であるというところは私も賛成いたします。そして,実習指導教員の役割というところでも,きょう御欠席の宮﨑委員が提案されたことに同意いたしますので,それを書き込んでいただけたらと思います。
そのときに,ちょっと,どのような言葉だったか記憶が不確かなのですけれども,学生にとって教材にふさわしい場面を捉えてというか,切り出してという,そこはよろしいと思うのですが,その前に行うことがあると思っています。学内学修に比べると臨床は複雑系の場面展開がなされるので,今,現場で,目の前で何が起こっているかということに関して,その複雑な状況の整理や,目の前に繰り広げられている現象の整理というのが,まず第一には,大切になろうかと思います。学生さんが全て理解できなくても,学修者のそこの頭を整理した後に,切り分けてというところに入るので,そのワンステップは非常に重要と考えます。なぜならば,学修者のために臨床があるのではなくて,臨床のリアリティーの中に学生を出すということです。学生さんは,自分の目の前に繰り広げられていることを総体として体験し,そこから整理をして学修を進めていく。そこが臨床指導者と教員の役割として大切になるわけで,協働しながら学修者の理解を促すということが現場では行われていると思います。それを外してしまって,学生に効果的なところだけ切り出すというのは,本来的な実習の在り方ではないと思いますので,宮﨑委員がそれをそうおっしゃっているという理解ではないのですが,そこは明確に表明していただいた方が,臨地実習ガイドラインとしては適切であると考えましたので,御検討いただけるとありがたいです。
【高田座長】 いかがでしょうか。はい。
【鎌倉委員】 御意見,十分了解いたしました。まず2ページの3の1),大学の役割の(1)のところで,臨地実習での,大学は学生の教育に関する責任を有すると書いてあるけれども,それに加えて臨地実習での役割ということを,学修効果の確認だとか,実習内容の質の担保という,それを加えた方がいいということが1点。
そして,(2)のところでは,実習指導教員が,大きな意味での役割を書いた方がいいので,支援するということでとどめながら,むしろ,2番にするか,3番にするかは分かりませんけれども,実習指導教員の固有の役割として,実際に現場に学生を導入したときの,今目前に起こっていることの整理だとか,それをとういうふうに意味づけていくのか,そして最終的には概念化というところまで,ここに整理して記すという御意見として理解をいたしました。
あとは実習指導者,その次ですね。2)のところの実習指導者の役割としては,(1)のところで看護ケアの提供する場面に学生を受け入れて全体で見ていく,それは看護チームであったり,医療チームであったりしますので,その次の両括弧のところは,実習指導を行う看護職はという形で,全体がモデルを示していただくような,そして学生が感じ取っていくんだということを分かるような表現に切り替える,そこまで了解いたしました。
あと岡島委員の,もう少し細かくということに関しては,実は保健師,助産師,看護師,全ての実習なものですから,具体的に書くということがなかなか難しいということと,それから目標に関しては,モデル・コア・カリキュラムの方にかなり詳細に記されておりますので,そこと重なるということは少し避けて書いております。そのようなところで御理解いただければありがたく存じます。
【高田座長】 はい。どうぞ。
【岸委員】 済みません,岸です。
今までの皆様のコメントも聞かせていただきまして,欠席の宮﨑副座長よりご意見がありましたように,もう少し基本的な考え方を重視すべきではないかと思っているところです。どのように説明すればよいかと思うのですが,どうしても各大学で作っている実習要項の域を余り出ていないという感じを受けまして,この内容であればもう網羅しているのではないかなと,自分の大学の実習要項に照らし合わせると思ってしまう部分がございまして,そう考えたときに何があるといいのだろうかというと,やはりこの最初の総論のところですか,ここに構造を表しましたというふうにおっしゃっていただいたんですけれども,この実習ガイドライン策定の目的というところがもう少し手厚く書かれるといいのではないかと思うところです。
もちろんモデル・コア・カリキュラムにつきましては,こういうふうに行動すべきとか,目的,目標は明確に出ておりますので,なぜそのような目的,目標を達成するために,臨地実習ではどういうことをきちんと考えて行わなければならないのかという基本的な考え方を示すものであるということが,Ⅰのガイドライン策定の目的の3)に書かれているんですけれども,その基本的な考え方というのが行動レベルのものが多くて,考え方よりも「育成する」とか,「支援する」ということになっていて,なぜそのようにするのかというところがなかなか読みにくいところがございます。もしできましたらば,宮﨑副座長のコメントにありましたように,何のために何を行うのかという行動の意図,狙いを明確に書いて,この看護学実習ガイドライン策定の目的にもう少し詳しく示していただけるといいのかなと思うところです。
その中で,既に書いてあるということだったんですが,大学における実習はどのような意味を持つのかとか,看護系人材を大学で養成するということは,プロフェッショナル,専門性として何を実習に求めていくのかというところでは,モデル・コア・カリキュラムにも書いてあるかもしれないんですけれども,ここでは実習だということ,実習に特化して再度表現することになるかもしれませんが,書いていただけると,国民も見るということですから,皆さんがこれだけを読んだだけでもガイドラインとしての意味があるのではないかなと思うところです。
先ほど実習教員の役割のところで追加してくださるというふうに御意見があった部分は,私もそのとおりと思っておりまして,これ以上細かく書くことは私も必要ではないように思います。基本的な考え方,教員が何のためにこれをしなければいけないのかということが分かるような表現形式というんですか,きっと鎌倉先生のところを中心にいろいろ練り上げている段階で,そぎ落として行動レベルの表現になっているのかもしれませんけれども,その思考のプロセスをもう一度表現していただくことになることで,御面倒をかけるかもしれませんが,やはり基本的な考え方をきちんと大枠,構造として示していただきたいなというところがお願いです。
【高田座長】 どうぞ。
【鎌倉委員】 資料7のモデル・コア・カリキュラムの4ページをごらんください。
これは看護学教育モデル・コア・カリキュラムの考え方として,背景として大学における活用等というところの中で,実は4ページのところで臨地実習という項がございまして,ここにかなり詳細に書かれております。ここで書かれているものをもう一度ということになるのか,そのほか,概念的なところはここで書かれていて,そしてあと具体的にはF-7というところになりますので,48ページになります。48ページに具体的な目標が全部書かれております。そのほかずっと見てきますと,ここのコア・カリキュラムの中には,策定の背景のところで現行の看護学教育における課題だとか,社会の変遷への対応,そこの中にはばらばらと実習場の確保だとか,それから臨地実習の課題だとかがずっと書かれています。本検討会における検討の経緯だとか,それから各大学における活用,そして看護学における基本的な資質・能力の提示と,他の医療系人材との共通性の確保,そして臨地実習という流れで,実は臨地実習のことがかなり書かれているということを確認させていただいております。その上でガイドラインということになりますので,どこまで重ねた目的を書いていくのか。先ほどの具体的な方向性を書くことは十分必要だなと思いますし,それから実習指導者のことは十分必要だと思っていますが,このコア・カリキュラムとの考え方の,こことの整合といったらいいのでしょうか,そのあたりを,方針をお聞かせいただければ,私としては非常にありがたく思います。
【高田座長】 どうぞ。
【岸委員】 済みません。これは私個人の考え方ですけれども,私も4ページと48ページをずっと見ておりまして,この48ページはもう重ねて書く必要はないんですが,この4ページに書いてあることは非常に重要なことなので,これをある程度残して書いていただくということプラス,ここに書かれていることをそれぞれの臨地実習の目的ですとか,教員,学生の役割とか,そういったところに落とし込んだ表現をしていただくと,行為の意図が明確になるのではないかなと思っているところです。もちろんこの臨地実習のこれは非常に内容が深いと思いますし,これに共感するものなんですけれども,こちらをそのまま丸々書くということよりも,この内容についてそれぞれの項目に落とし込んでいただいて,なのでこう実践すべきというふうに説得力のある文章で書いていただけるといいのかなと思うところです。私はこの4ページは非常にいいので,重ねて書いても必要かなと思うところです。ほかの皆さんの御意見も頂ければと思います。
【鎌倉委員】 いいですか。
【高田座長】 どうぞ。
【鎌倉委員】 実はかなり重ねて書いているつもりでやっておりましたので,ばらばらと出てくるところも,全て全部チェックしまして,そしてどこを重ねようかということも検討しながら,実は中に入れていますので,それでも不足という御意見であれば,もう少しそれを組み入れるということは検討させていただきたいと思います。
【高田座長】 今出た御意見を見ると,全体で階層構造になっているということですね。コア・カリがあって,実際におこなうところは実習要項があって,その中間に位置するのがこのガイドラインだという,どうもこういう捉え方でよろしいですかね。そうすると,当然実際のプラクティカルな実習の要項と重なるところもあるし,コア・カリと重なるところもあるし,そこをどういうふうに入れ込んでいくかと。大筋,中身については,今まで出た御意見を見ても特段大きなことはなくて,それらをどこまで入れ込んでいって,ガイドラインとして整合性があるものにしていったらいいだろうかという,そういう御意見が主に出ていたかと思いますけれども。今いろいろ御意見が出て,鎌倉委員の方からも,それを持ち帰ってこれからやるということになるわけですかね。
【鎌倉委員】 実はかなりこちらは参考にしながら,これに基づくということですから,中の文言はかなり取り込んでいるのです。だからそれでも見えにくいということであれば,今おっしゃられたような最初の基本的な考え方を示すということの中に,もう少し付け加えるということでしょうか。
【高田座長】 それぞれ階層構造として位置付けられているから,全体を見れば分かるでしょうというお考えと,一方で,いや,そのガイドラインだけ見たら全部分かるようにしてくれという,そういう御意見と,両方あったように思うんですけれども,いかがでしょうか。これに関しては。
岡島委員,どうぞ。
【岡島委員】 実習要項が各校で作られており,それはもっと具体的ということですが,実習要項自体が実習の意義や,どういう人材養成につながるのかというところまできちんと触れられているのか,いま確認するすべがないため,先ほどのような意見を述べました。
私がイメージしているのは,例えば薬学の方の実習ガイドラインです。1ページ目の在り方・目標のところであれば,基本的な資質の習得を目指す点,参加・体験型の学修,将来の社会的ニーズに貢献する薬剤師として活躍すること,学び続ける生涯の研さんが必要であることに触れられています。もう一つ3ページの,枠組み・要件のところに,作業を習得するのではなく,薬剤師業務の意義を学ぶことを重視している,それが実習なのだということが書かれています。看護師でいえば,注射やかん腸という手技を学ぶことではなく,どのように患者に必要とする説明責任を果たすのか,安全に行為を実施する看護に必要な能力や技術は何かを学ぶことが重要であることを例示してほしいと申し上げました。それが今回のガイドラインに落とし込まれるとよいと思います。
実習要項とモデル・コア・カリキュラムの中間に位置して,ダブルになるところがあるかもしれませんが,実習に特化すると「ここが重要」ということは,多少の重複があっても書いていただいた方がよいと思います。私が具体的例示と申し上げたのは,時間割や,行為の内容を細かく書いてほしいと言う意味ではなく,手技,技術を学ぶだけではないことを,人材の養成につなげて記載してほしいということをお伝えしたかったのです。
【高田座長】 はい,じゃあどうぞ。手短にお願いします。
【平野委員】 このモデル・コア・カリキュラムは,どちらかというと卒業時までにどのような能力を修得するかという,最後の姿が示されていますが,先ほど宮﨑副座長の教員の役割として紹介されたことは,実習における学習のプロセスが表現されていて,とても重要と思います。実習という学習内容は学生が実際に体験してきたことを基としてそのものが何であったのかを学生が整理し,認知化するといったらいいのでしょうか,ポイントになる場面を切り出して,これまでの学修と統合していくという,プロセスを表現できると思います。また,実習は技術とかスキルだけの修得ではないことがよく分かり,一般の方にも実習という学習の見える化ができ,重要なことと思います。
【上泉委員】 コア・カリの48ページの臨地実習のところですが,F-1臨地実習における学修の狙いというところで,看護系人材として求められる基本的な資質,1番から9番まであります。これを常に意識しながら臨地実習を行うということですので,プロフェッショナリズムだとか,看護学の知識と看護実践とか,こういう点が臨地実習を通して目指すところではないかなと思っています。その次の臨地実習における学修の在り方(特徴)として,狙いはここに書いてあるように,人々と関係性を築きながら看護学の知識・技術・態度を統合して実践へ適用する能力を身に付けるとありますので,大変詳しく十分に記載されているのではないかなと思っておりますし,これを基にガイドラインを作ったということですので,今ぐらいの抽象度でいいのではないかなと思っています。
【高田座長】 どうぞ。
【井村委員】 抽象度の話でなくて,少々戻るような形になるかもしれませんが,今,上泉委員がおっしゃられたところの,モデル・コア・カリの中の人材,看護職として求められる基本的な資質・能力を常に意識しながらと書いてあるので,重複になるかもしれませんけれども,最低限この9つは,反対の方もいらっしゃるかもしれませんが,私はこの9つはガイドラインにも明記して,モデル・コア・カリと実習ガイドラインを突合させて,どこで一致しているのかがわかる,そこのひも付けになるので,これは書いていただいた方が,読んだ人にとっては分かりやすいと思いますし,教員,臨地の方も,そこの関係性が可視化されて理解しやすいと考えました。
以上です。
【高田座長】 いかがでしょうか。どうぞ。
【小見山委員】 小見山です。今の井村委員のおっしゃるとおり,書かれていた方が臨地の実習を受ける立場としては理解が進みやすいといいますか,全体像が分かりやすいと思います。
【高田座長】 どうぞ。
【鎌倉委員】 モデル・コア・カリキュラムの48ページのF-1の中のF-1-1),臨地実習における学修,そこの中の狙いの中の,看護職として求められる基本的な資質・能力を常に意識しながら臨地実習を行う,ここの部分をどのように表現しようかと思いまして,ガイドラインの8ページですね。8ページの,つまり指導方法については,このFの臨地実習のところを反映させた方がいいという御意見を頂戴しましたので,前回の委員会で。それを合わせるような形で,臨地実習における学修というふうにここには置きました。そこの中で,じゃあ具体的に1から9まで同じことを書くのかと考えたときに,そこまで具体的に書くのはちょっとはばかられて,ここまで一緒に書いてしまうことよりも,むしろモデル・コア・カリキュラムに記された看護系人材として求められる基本的な資質・能力を育成することにつながることを理解するというような形で,少し表現を変えていますが,実は指導方法のところで書いてある内容というのは,この臨地実習,モデル・コア・カリキュラムに書かれた内容をある程度,もう少し具体的に落とした形で全部これはまとめた形にはなっております。そこの中で1から9までここに入れた方がいいということでしょうか。そうではないでしょうか。
【井村委員】 どこが適切かということに関しては,指導方法というよりも,先ほど座長,高田先生がおっしゃられたように,コア・カリがあって,ガイドラインがあって,各学校の実習要項があるという,こういう作り込みになった場合に,その関係性を明示するのはトップのところ,つまり1ページ目であろうと考えます。コア・カリができました。そしてその中で臨地実習があり,それはこの9つの能力を常に意識しながら臨地実習に当たる,そのためのガイドラインであるという,このトップのところに置くのはいかがでしょう。トップにその三層構造のところあたりもきちっと説明をして,ガイドラインの位置付けを最初のところで明示するという,そういう役割もスタートのところにはあろうかと思います。ですので,本文中の方法論的なところに埋没させるというよりは,文科省から出されたコア・カリキュラム,その一部として位置付けられる実習ガイドライン,それはこの9つの資質・能力を継続的に開発するために実習を行うのであるという,そういう,位置関係もこの最初のところで明示していただいた方が,全体構造も見えやすいのではないかと考えました。
【高田座長】 どうぞ。
【鎌倉委員】 その場合,この1番から9番までは,看護系人材として求められる基本的な資質・能力ということですから,実習に特化というよりも,もう少し大きな目標ということにはなりますが,その大きな目標を実習ガイドラインの策定の目的の中に整合するように入れた方がいいという御意見で捉えればよろしいでしょうか。
【井村委員】 現時点ではそのように考えて発言させていただきました。
【高田座長】 まだまだ御意見もあるかと思いますけれども,1の総論ばかりやっていると時間のこともございますので,全体を見た上でまた考えればいいかなと思います。
次へ移らせていただいてよろしいでしょうか。3ページ目のところにローマ数字の2番の大学と実習施設との連携・協働体制の構築というところがございますけれども,ここに関してはいかがでしょうか。もう大体よろしいですか。
はい,どうぞ。大島委員。
【大島委員】 先ほど来出ています,これがどのぐらいのレベルの記載まで必要だろうかということに関しては,まだ十分なコンセンサスが得られていないように思うのです。その面では比較的細かくなるかもしれないですが,指導体制の構築の中に3番,4ページ目の3)というところ。これは前のページから1),2),3)となっているんですが,ここのところに多分入るかなと思ったのですが,実は5番の,5ページのところに倫理的手続の構築がございます。これは非常に細かい倫理的手続のことを書いてありますが,ここの4ページのこの3)の後のあたりに,実習指導における倫理を1項入れた方がいいのではないか。それは対象者の方の人権のことと,それから学修者の人権ですね。やはり双方が大切にされるという実習の在り方を考えるべきじゃないかと思います。文言は短くてもいいので,その項目を1つ,指導のここの実習体制の構築のところ,指導体制の構築のところに加えた方がいいと思いました。4番の倫理的手続の構築自体を変えるんだったら,そちらに入れてもいいですけれども,多分変えなくても,こちらの方に入ってもいいかなと思います。
以上です。
【高田座長】 何かございますか。
【鎌倉委員】 意味は非常によく分かりました。ただ気になったのが,実習指導体制の構築の中に入れていいものか,それとも倫理的手続の構築というものではなくて,少しタイトルを変えた形で,実習指導における倫理と,それから手続という形で整理した方がいいのか,ちょっとそれは御意見を伺えればありがたく存じます。
【大島委員】 はい。後で倫理的手続の構築のところはまた意見を申し上げようと思っていたんですが,ここは私から見ると非常に細か過ぎるので,もう少し各大学が,施設とのやりとりの中で,考え方は何なのかがきちんと出されれば,手続の仕方,3枚書くの何のまでは要らないだろうと思っています。今,鎌倉先生がおっしゃったような,臨床指導における倫理とかいうタイトルに変えて,手続の前にそういうことが含まれ,そしてもし必要だったら手続の幾つかが大まかに並べられるという配置でも,それはいいと思います。
【高田座長】 いかがでしょうか,ほかに。実習施設の方から何かございますか。大丈夫ですか。
では,中根委員,どうぞ。
【中根委員】 このローマ数字2の3の安全管理体制の構築というところは確かに丁寧で,長過ぎるんじゃないかなと少し思います。病院等の実習施設の中でも,やっぱり安全と感染に関しては二大大事なことではありますが,非常に細かい抗体価の何についてみたいなところまではここで要るのか,実習要項でいいのではないかとか,実習施設によっても多少異なったりする基準もあるかに思いますので,内容をもう少しタイトにしていただいても,実習施設としては全く問題ないと思います。
【高田座長】 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。
はい,どうぞ。
【小見山委員】 小見山です。3ページの2の1)のところですけれども,(1)の大学の実習指導教員は学生の準備状況などを把握しているのでということが前提で書かれていますが,実際には大学の先生方も実習の前にはこの目的や目標,内容などを共有する機会を持たれて把握されているのではないかと思います。ですので,大学の先生方も、ということを書かなくてもいいのかなということを思いました。
あと4ページですけれども,(2)で実習施設は実習指導者を教育する仕組みを有していることが望ましいということで,現場の方は頑張ってこの仕組みを作ろうと思っているのですけれども,大学の先生方に支援をお願いすることがよくあります。大学の先生方の立場から,例えば実習施設がこういう仕組みを作ろうとする際には積極的に支援をしてくださるとか,そのような記載があると助かるなと思いました。
2ページのところで言えば良かったのですけれども,指導教員の先生方は学生に対して教育者としての役割モデルを持っているだけではなくて,臨床の看護師に対しても教育者としての役割モデルを示していると思うことが多くあります。ですので,現場の看護師に教育の視点ですとか,学生実習を通して教えてくださる,支援してくださる姿勢が書かれると,現場としては大変心強く思います。
あと4ページの(4)ですけれども,学生の配置人数について,実習施設の種類や規模に左右されると書かれています。そうかなとは思いますが,これだけで決まっているわけではないと思いますので,ここの「実習施設の種類や規模に左右されるため」というのはなくてもいいのではないかなと思いました。
以上です。
【高田座長】 はい,どうぞ。彦根委員,どうぞ。
【彦根委員】 4ページの一番上,(2)の「実習施設は」のところで,「連続して同一人物が実習指導を担当できる体制が望ましく」というあたりが,難しいと考えます。保健師の仕事は様々な場面で体験していただくというところが多いので,ちょっと違和感を感じてしまいます。また,いろいろな指導者がいるということが意味があるのかなと思ったりするところもあります。望まれる,望ましく,どういう表現がいいのか分からないんですけれども,もう少し表現方法か何らかいい方法はないのかなと思ったことが1つ目です。
それから,やはり受け入れの人数あたりのこととか,その後の安全管理体制の構築,実際現場でいろいろ起こることなのですけれども,ここが,急に細かくなっているというような印象を受けました。恐らくいろいろなことを書く,全体的なことになってしまうのかもしれないんですけれども,総花的になるというところは,行政としてよく経験するところではありますが,おおよそこれを読んで,我々臨地実習を受け入れる側からからするとどのような視点で臨めばいいのかというようなところが,理解できているとよい,基本的な考え方としてはとても大切なところがわかるとよいと思ったところです。おおよそ,6ページぐらいだと最後まで読んで臨める,と思います。
【高田座長】 はい,どうぞ。
【岸委員】 済みません。最初に3ページなんですけれども,大学と実習施設との連携・協働体制の構築というローマ数字の2のタイトルなんですが,1番が実習施設との委託契約という,このいきなり契約に落ちてしまうので,やっぱり大学と実習施設との協働体制の構築ということで基本的な協働体制,実習の協働体制をどう構築するかというところの考え方を示してほしいなと思うところです。最初の1ページのガイドライン策定の目的の4)のところに,「臨地実習は,大学の教員,実習施設の指導者,そして学修する学生により成立する教授学習過程である」とありますので,そういう教授学習過程,教学環境を整えるためにどうやって協働体制を構築していくのかという考え方をむしろ入れていただければ,多分委託契約とか,その辺は実習要項にあるのかなと思ったところです。
それから4ページ目なんですけれども,3の安全管理体制の構築というところで,1)のところで,いきなり実習中の学生の健康被害のことが入ってくるんですが,やはり患者さんの安全を守るという,安全,予防体制をどうとるかというところをどう実習の中で教育していくかとか,学ばせるかというところが必要かと。2)では,ちゃんと感染予防対策となっていますので,その安全配慮というところをきちっと実習に向けて教員が共有すべきであるし,実習受け入れ側も体制を整えるというところでは,保険の加入だけではないのではないかなと思ったところです。
それから細かいんですが,5ページ目ですけれども,5ページ目の3),感染症発生時の対策の(2)は,これは感染予防の方だと思いますので,(2)につきましては感染予防対策の方に移動した方がよいのではないかなと思ったところです。5ページの下の方の4の倫理的手続の構築というところも,やはり手続ということに入ってしまうと非常に行動レベルになってしまうので,ほかの先生がおっしゃったように臨地実習における倫理というところで,手続のところはもしかすると削除してもよいのかなと,考え方を示していただければよいのかなと思いました。
以上です。
【岡島委員】 質問いいですか。
【高田座長】 どうぞ。
【岡島委員】 このガイドラインでは,「実習要項にはこのようなことを記載して体制を整えるべし」という記載をしてもよいのでしょうか。それが可能なら,「Ⅱ.大学と実習施設との連携・協働体制の構築」だけ非常に細かく,手続論になっていて,実習要項に落としてもよいのではないかという議論もされています。このガイドラインは,実習を行うに当たって「大学側はこのようにする」,「実習施設はこうする」,それに当たっては実習要項において,箇条書きでも構わないのでこのようなことについて定めるべき,とする方法が可能なのかどうか確認したいと思います。
【高田座長】 ガイドラインの構造的なことですね,今のお話は。ガイドラインと,それから実際に実習をやるときの実習要項との関係性はどうなのかということですね。実習要項は各大学がそれぞれで作られるわけなので,共通のものとしてはこのガイドラインが一番下のレベルになるのかな。
はい,どうぞ。
【杉田看護教育専門官】 事務局になります。先ほど来モデル・コア・カリと実習要項をつなぐものというか,間に入るものということでこのガイドラインを位置付けてはどうかということで,皆さんからご発言があったかと思います。この検討会の場で初めてしっかり位置付けを言っていただいたので,そのようにこのガイドラインを位置付けて,例えば御意見にありましたように,実習要項にこういう項目を持っていてほしいということを入れ込んでいくということも可能と考えております。
【高田座長】 今までに出た御意見を伺っていると,先ほどからお話ししているように,コア・カリがあって,実習要項がある。実習要項に書いてあることを全てこのガイドラインに入れ込んでしまうと大変読みにくいし,現場の方が見ても何だか訳分からないということなので,ポイントを押さえたものにしていったらどうだろうかというような御意見かなと思いました。細かな具体的なところは,しかるべく実習要項,あるいは施設との連携のところでやっていくと。ただ,岡島委員の方からお話がありましたけれども,きちんと押さえておくべきところというのは,これとこれとこれなんですよというような形でお示しするというような,そんな御意見かなと思ったんですが,鎌倉委員,いかがでしょうか。
【鎌倉委員】 意図は十分理解しましたけれども,保健師の実習,助産師の実習,看護師の実習,しかも保健師,助産師は大学院で行うこともあるということも全部考えながら実習ということを行っていますので,6ページのところで,臨地実習前の調整のところで実習要項の作成という項は立ててはいるんですね。ここにもう少し具体的なものを書くという,その具体のレベルがどのくらいまでを期待されているのかというのが,つまりそこに書いていないからやらなくていいねという話にもなってくる可能性はあると思うものですから,書くことの利点と欠点があるかなと理解をしているので,どこまでのレベルでそこに項目を書いた方がいいとイメージしていらっしゃるのか,少し教えていただけるとありがたく存じます。
【岡島委員】 前回も申し上げましたが,全体を通して,手直しする前も後も,事前の準備や,それから枠組みについてはかなり詳細に書かれている一方,実際に実習を通してどういう人材を養成するのかという目的や意義,流れが薄いと感じました。その観点からいえば,「Ⅱ 大学と実習施設との連携・協働体制の構築」は手続論ですので,ほとんどの項目は箇条書きにして,「このようなことを実習施設と大学で要項によって定めるべき」といった書き方をすると,抗体検査の種類まで書かなくてもよいと思います。事故発生時の対応もそれぞれの場によって対応の仕方が違いますので,ここまで細かく書かなくてもよいのではないかと思います。
【秋山委員】 関連してよろしいですか。
【高田座長】 どうぞ。
【秋山委員】 秋山ですが,私も急に細かくなり過ぎる,この記載の様子がちょっと腑に落ちないので,多くの場合はこういうのは別紙とか,別添というのがあって,それに詳しく書いてあるけれども,ガイドラインの骨子自体は非常に簡潔にこの辺は書いていてもいいんじゃないかなと思います。そういうガイドラインに別紙とか,別添とかいうスタイルというのはあるのかどうかはちょっとよく分かりませんけれども,急に細かくなるところは避けてもらいたいなと思いました。
それと,私は在宅とか地域の立場での,実習を受け入れるという立場ですので,やっぱり前に戻って総論のところの臨地実習の目的のところに,大きな2の2)の下に,やはりコア・カリのところ,本当にこういう人を作りたいがための臨地実習ですよというのはしっかり書き込んでいただいた上で,それを各自で展開をするという,それには大賛成です。
【高田座長】 座長の不手際で時間が大分なくなってきたんですけれども,まだ2までしか行っていないんですね。いかがいたしましょうか,あと。3,4,5とございますけれども。
【大島委員】 3でよろしいですか。
【高田座長】 はい。3でお願いします。
【大島委員】 3で,先ほど鎌倉委員の方から実習要項の作成というところで項目が挙げてありますというお話がありまして,私はこれを読みまして十分だと。もうこういう項目が実習要項に要るんですよと言っていただいたことは,多分皆さん,今もう既にやっているところでも,みんなこれ書いていると思うんです。その深さのレベルはいろいろ違いがあります。それは実習場等の対応によっても変わるところがあります。そして,実習要項そのものも,幾つかの病院に実習を分散して行っているような場合は,それが骨子で,そこにまたさらに細かな,一つ一つの施設とのやりとりというのが出てきます。だから幾らでも細かくなっていきますので,ここのガイドラインだったら,この項目立てでこういうことを実習要項に入れるというふうにここに挙げていただいているので,私は十分だと思います。
【高田座長】 他はいかがでしょうか。
もう時間がございませんので,次へ移ってよろしいでしょうか。
ローマ数字の4番目ですね。指導方法。
はい,どうぞ。
【鎌倉委員】 ここの指導方法につきましては,先ほども申し上げましたように,コア・カリキュラムの臨地実習の,ここに記されている目標を到達できるようにという形で,少し表現を変えてここにはまとめております。全て臨地実習のコア・カリと連動した内容になっていると思います。
【高田座長】 いかがでしょうか。
大島委員,どうぞ。
【大島委員】 大島です。もしかしたら今,4に行っていますか。
【高田座長】 そうです。
【大島委員】 ああ,済みません。3のところいいですか。
【高田座長】 3でもいいですよ。
【大島委員】 3のところで,学生のレディネスと支援というふうにあるんですが,3番ですね。
【高田座長】 7ページですよね。
【大島委員】 はい,そうです。レディネスと支援とあるんですけれども,レディネスのことと,もう一つは実習後の支援,先ほどから出ている実習をまたまとめていくということも,レディネスと同様にとても大切なところなので。レディネスと支援の中にそれが入っているのかもしれないんですが,レディネスだけではなく,実習後の支援,レディネスの構築と実習後の支援とか,そういうふうにして,前と後が両方入っているといいと思いました。
それからもう一つ,その並びで実習指導者による支援,実習指導教員の支援なんですけれども,これに関しましては,やはり実習の体験及び評価を通して実習内容を分析して,看護学の本質だとか,そういう有用性,看護ケアの有用性について学修を深めるようにというような,何か先ほど一番最初,目的のところにも出されていたんですけれども,ちょっと高尚な言葉ではないですが,概念化とか,そういうふうには言っていませんけれども,それを一文入れた方がいいかな,(3)のその次に(4)としてそれを足しておいた方がいいかなと思います。
以上です。
【高田座長】 ありがとうございました。最後におっしゃったことは,宮﨑先生などがおっしゃっていたようなことをここに入れた方がいい,そういうお話ですよね。
【大島委員】 はい,そうです。
【高田座長】 他いかがでしょうか。何かお気付きの点はございますでしょうか。
そうしましたら,今3,4に入っているんですけれども,4のところの指導方法はいかがでしょうか。
特にございませんか。施設側の方としては何かございますか。よろしいですか。
そうしましたら,最後の5番目の評価方法というところへ行って,それからまた全体についてやりたいと思いますけれども,時間があったら。5番目の評価方法というところ,ここはいかがでしょうか。
【大島委員】 大島です。先ほど来,細かさがどのぐらいかということも感じてはいるんですが,実習評価は今,多様な評価がいろいろと試みられていると思います。そしてここに出てきている言葉は総括評価というような言葉で,総括的にというような言葉で終わっているんですけれども,評価方法,途中の評価も結構,到達度評価に影響するということは割と今明確になってきているので,ここには細かさの具合はありますけれども,評価方法等もルーブリック評価とか,そういうのも入れて多様に評価することも必要であるというような,評価方法の多様性も一文加えたらいかがかなと思います。そうしますと,多分,形成評価もすることになると思いますので。
以上です。
【鎌倉委員】 形成的評価という表現だけでは足りないので,もう少し多様な評価方法を活用し,ということを入れた方がいいという御意見でよろしいでしょうか。
【大島委員】 はい,そうです。だから特にルーブリックという言葉が必要なわけではないと思いますが。
【高田座長】 いかがでしょうか。ルーブリックというのは評価の方法ですし,形成的評価というのは途中の段階での評価ということで,ちょっとレベルが違う話だとは思いますけれども。
【大島委員】 そうですね。ですから多様にというようなことで入れていただければ,そこそこの施設ごとにそのやり方,形成的にやってみたり,それから方法としてのルーブリックを入れてみたりするかなと思いますので,その方法は多様にあるよというようなことを入れていただけると,と思います。
【高田座長】 いかがでしょうか。急に御意見が出なくなったんですけれども。今日は,終わらないのかなと思ったら,一応最後まで見ていただいたんですが,今の御意見を伺ってみると,皆さん最初のところですね。総論のところの,そもそもこの臨地実習というのを何のためにやるんだと。どういう人材を目指しているんだというところに物すごく熱意といいますか,思いが入っているというのが非常によく分かりました。ここのところを少し考えてほしいというようなことでございました。
それからもう一つは,コア・カリと実習要項との関係があるので,そこのところで記述が非常に細かかったり,あるいはそうじゃないところのバランスを少しとったらいかがかなというような御意見かなと思ったんですけれども。
それから,薬学とか,他のガイドラインも参照して,少しポリッシュしたらいかがかなというような,大体そんな,私が聞いていて,ざっくりまとめるとそんな感じかなと思ったんですけれども,全体を通して何かございますでしょうか。
どうぞ,釜萢委員。
【釜萢委員】 今までのいろいろお話を踏まえて,私の意見を申し述べたいと思います。まず今回お示しいただきました,実習ガイドラインの内容に大きな手直しをしなくとも,ガイドラインとしてしっかり役割を果たす内容だろうというふうに私は感じます。その前提の上で,コア・カリキュラムとこの実習ガイドラインの位置付けをどうするかというところは,しっかりと今回の検討会で皆さんの合意を得ておくべきだと思います。コア・カリキュラムは大学における履修課程を通じてしっかり身に付けてほしい内容が書かれています。一方,大学における教育はそれぞれの大学の独自性がありますから,コア・カリキュラムの内容だけにとどまらずに,それぞれの大学の判断による内容を必ず加えて教育に当たっていただきたいというのが基本です。
さらに,実習を経てそれぞれの看護系の資格を取得するという大きな目的もありますので,その点でこのガイドラインというのは非常に大事なものになってくるという観点からしますと,コア・カリキュラムと実習ガイドラインとの間に齟齬を生じさせないことはもちろんですが,実習ガイドラインというのはそれ自体非常に大きな役割を担うべきものだろうと思います。
多くの皆様がおっしゃるように,この実習を通じてどういう人材を育てたいかというメッセージがもっと明確に出る構成であってほしいと思います。しかし一方で,これを作成される立場からすればすごく難しいことなので,冒頭申し上げたように,このガイドラインは十分その役割を担えるものであるという前提の上で,さらに,どのような人材を育てたいかというメッセージが総論のところでわかりやすく整理されれば,さらにいいなと思います。実習の要項はそれぞれの大学で作られますので,そこに託すべきことについてはなるべく省くということも,そのとおりであろうと思います。
高田座長がおまとめになった後で大変僣越でございますけれども,そんなことをちょっと,全体を通して感じたところを申し述べさせていただきました。
以上でございます。
【高田座長】 ありがとうございました。釜萢委員がまとめてくださって。
はい,どうぞ。岡島委員。
【岡島委員】 釜萢先生がまとめてくださった後に僣越ですけれども,意見を言わせてください。岡島です。
資料1の8ページ「3.安全なケア環境の整備」に「この時学生は緊張度が非常に高いため」という文言は削除してもよいのではないかと思います。患者さんはもっと緊張していると思います。学生にだけ配慮する内容というのは避けた方がよいのではないかと思いました。
その意味で,このガイドラインが看護職になるために重要な実習の機会をどう活用するかということを記載していただきたいということで,発言してきました。限られた実習期間が見学だけとか,同伴だけで終わらずに,できるだけ主体的に学生が実習できるような方向性,つまりは体験が狭められるような方向でなく,事前にどれだけの能力を獲得して,それを実習施設と大学が共有することで,安全に配慮された環境の下できちんと体験型の実習ができるように,それを目指した実習ガイドラインであってほしいと思います。
以上です。
【高田座長】 他に何か御発言になっていない委員の方で何か追加等ございますでしょうか。
では鈴木委員,どうぞ。
【鈴木委員】 済みません,前回2回欠席したので,今日は「すごい,ここまでまとまったのだな」と思っていました。
学生の役割というのを考えているのがすごいなと思ったのですが,薬学のガイドラインはそういった書き方になっていないのです。全ては大学の責任であると書いてあるのです。だけれどもこちらからすれば,学生はプロフェッショナルになる卵として,こういった役割があなたたちには与えられているのだというところが明確になっていて,それが項目を分けて書かかれてあるという点が,すごいなと思いました。要するに,今までは教育者が何でも責任を持ってやるのだから,あなたたちはきちんと学べばいいというのが主流だったのですが,最近は自主的に,主体的に学んでいかなければならないとなっている。だからその変化が読み取れる感じがしていいなと思ったのですが,他方でこれをやると,あなたの責任だよと責任転嫁をしてしまう可能性が出てくるので,そこは注意が必要で,では大学の役割は何であるかと考えると,臨地実習に行くまでにきちんと基礎基本をたたき込んでおくということではないでしょうか。なぜなら単位を修得しているわけですから。単位を付与しているということは,単位を付与した基本となった知識とかスキルというのは,学生が基礎を身に付けているというのは大学の責任にあるということが,うまく表現できるといいなと思いました。そのうえで学生としての自覚を持ってきちんとやりなさいということも書いておくと。
すごく大変なのだろうなと思ったのは,私たちはインプットとアウトプットで考えるということなのです。ですから,臨地実習に行く前にどういった姿で,どこまで達成した人間を受け入れ,それを臨地実習の中でどこまでレベルアップするのかという。それがばらばらであると書いてあるのです。大学によっても,学年によっても違うし,これを受け入れる施設は大変なことになっているなと思ったのですが,統一できるのだったら話は簡単なのですが,ばらばらのまま来るとすると,どこから始めてどこに終わるかというのが分からなくなってしまいますので,臨地実習が効果的かどうかという判断がすごくしにくいというのが,評価の問題につながっているのだと思うのです。
【高田座長】 ありがとうございました。他はよろしいでしょうか。
では,鎌倉委員,全体を通してでも結構ですので。
【鎌倉委員】 方向性として,最初の総論のところに項を立てて,人材育成の目的というような形で書いた方が,きっといいんだろうなと判断をいたしました。
あとは,2ページは御指摘の内容は了解いたしました。
そしてあと具体的な方法論のところについては,もう少し大きな形で,細かなところは各大学実習要項に任せるところを少し整理するということでよいのかなということを理解いたしました。
全体としてはそんなところでございますが,先ほど少し学生のストレスということに関しては,実習施設側のストレスというのは各大学が,専門学校も含めてばらばらの実習目的でやって来て,それに合わせて指導するということの大変な状況はあるんですけれども,学生の立場からは,2週間とか3週間ごとに病院も違う,場所も違うところで実習がどんどんゆとりなく進んでいくという状況がございます。それは学生にとってはかなりのストレスフルな状況にはなってくるものですから,なかなかそのあたりが臨床の皆様には,余り具体的にはイメージしていただけないかなという思いもあって,先ほどのストレスの状況を理解してという言葉を入れさせていただいた次第です。そこのあたりをどうするのかということについては,また持ち帰りまして検討して,今の御指摘いただいた方向で進めていきたいと思います。
【高田座長】 そろそろ時間が大分たってきたんですけれども,ただいままでの議論で,何となく方向性は見えてきたかなと。さきほど釜萢委員もまとめてくださいましたし,鎌倉委員の方からの御発言もございましたが,大体そんなような形で,看護系大学協議会の方で検討していただいた上で,また案を出していただくというような方向でよろしいでしょうか。いつまでも論議ばかりしているわけにいきませんので,できるだけ早く成案に近いものに持っていきたいなと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
それでは,事務局の方から何か連絡等ございましたら,お願いします。
【杉田看護教育専門官】 次回,6回目の検討会の日程につきましては,早々に調整させていただきますので,また御連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
机上に配付している黄色とブルーのファイルですが,参考資料になります。持ち帰らずに机のままに,置いたままとしていただければと思います。
以上です。
【高田座長】 それでは,本日の会議はこれで終了いたします。座長の不手際でいろいろと進行があっちこっちいたしましたけれども,定刻前に終わることができました。どうもありがとうございます。よいお年をお迎えください。

―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局医学教育課看護教育係

電話番号:03-5253-4111
メールアドレス:igaku@mext.go.jp