大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(2019)(第3回) 議事録

1.日時

令和元年9月20日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

東京医科歯科大学 M&Dタワー26階ファカルティラウンジ

3.議題

  1. 保健師助産師看護師学校養成所指定規則を大学において適用するに当たって留意すべき事項について
  2. 大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会第一次報告について
  3. 今後の検討事項について
  4. その他

4.出席者

委員

   井村委員,大島委員,岡島委員,釜萢委員,上泉委員,岸委員,小見山委員,高田委員,平野委員,宮﨑委員,柳田委員
 

文部科学省

   森大臣官房審議官,丸山医学教育課長,中湖医学教育課課長補佐,杉田医学教育課看護教育専門官
 

オブザーバー

   島田厚生労働省医政局看護課長
 

5.議事録

【高田座長】 それでは,定刻となりましたので,ただいまから,第3回大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会を開催いたします。
本会議は,冒頭より公開とさせていただいておりますことをご了承ください。なお,カメラでの撮影につきましては議事に入るまでとさせていただきますので,御協力をお願いいたします。
本日は,第2回目までの検討会で論議された大学における看護系人材養成の充実に向け必要と考えられる事項を踏まえまして,御議論いただきたいと思っております。なお,本日は検討事項が多数ございますので,議事の進行への御協力をよろしくお願いいたします。
次に,本日の出席状況と配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】 皆様,おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まず,事務局に人事異動がございましたので,御紹介させていただきます。
森大臣官房審議官でございます。
【森大臣官房審議官】 森でございます。よろしくお願いします。
【杉田看護教育専門官】 丸山医学教育課長でございます。
【丸山医学教育課長】 丸山でございます。よろしくお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】 本日は,秋山委員と鈴木委員より御欠席の連絡を頂いておりますので,委員11名,オブザーバー1名,計12名の御出席となっております。
続きまして,配付資料を確認させていただきます。まず会議次第,資料1,保健師助産師看護師学校養成所指定規則を大学において適用するにあたって留意すべき事項について,資料1の参考資料,厚生労働省「第9回看護基礎教育検討会」資料より(抜粋),資料2,大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会第一次報告骨子(案),資料3,大学における看護系人材養成に関する実習ガイドライン(案)について。
続きまして,参考資料ですが,会議次第に戻っていただきまして,参考資料1から8に関しましては,第2回の検討会のときの資料になっております。今回はそれに加えまして参考資料9ということで,看護実践能力の充実に向けた大学卒業時の到達目標,参考資料10は,第2回の議事録となってございます。資料は全てウェブ上にて公表されておりますので,傍聴者の皆様は後ほど御確認をお願いできればと思います。委員の皆様には,机上の資料といたしまして,一番最後のホチキス留めになっている資料に,日本地域看護学会からの要望書と日本産業衛生学会からの要望書を綴じさせていただいております。
事務局からは以上になります。
【高田座長】 御確認いただけたでしょうか。カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
それでは,時間もございませんので,議事に入らせいただきます。
まず,資料1について,事務局から御説明をお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】 今般,厚生労働省の看護基礎教育検討会において,指定規則に係る教育内容及び単位数等の改正案が提案されております。この改正案を看護系大学等に適用する際の課題と対応策について検討し,検討会としての見解を一次報告としてまとめていただきたいと考えております。
資料1の真ん中にございます論点1をご覧になってください。「看護系大学等に改正案を適用する際の課題について」で,「看護師学校の教育内容および単位数について」,「助産師学校の教育内容および単位数について」,「保健師学校の教育内容および単位数について」。そして論点2です。「指定規則改正を通じた看護系大学における看護師等の教育の充実方策について」,「看護学を体系的に教授する大学教育の特質を踏まえた看護師等の教育の充実方策について」を御議論いただこうと考えております。
御議論いただくに当たり,青いファイルの,資料9として今回お付けしている資料ですが,看護実践能力の充実に向けた大学卒業時の到達目標をご覧になってください。
ウェブからのダウンロードで大変恐縮でございますが,5ページを開いていただけますでしょうか。真ん中ぐらいに,学士課程における看護学教育の特質として5点示されています。この5点につきましては,平成19年の指定規則改正が実施されたときの大学・短期大学における看護学教育の充実に関する調査協力者会議においても,この5点を確認して議論が展開されてきているという経緯がございます。項目を一緒に追っていただければと思います。1,保健師・助産師・看護師に共通した看護学の基礎を教授する課程であること。次のページに参りまして,2として,看護生涯学習の出発点となる基礎能力を培う課程であること。次のページに行きまして,図の下になります。3,創造的に開発しながら行う看護実践を学ぶ課程であること。次のページに参りまして,真ん中ぐらいに,4,人間関係形成過程を伴う体験学習が中核となる課程であること。その真下に行きまして,5番,教養教育が基盤に位置付けられた課程であること。以上の5点は,学士課程における看護学教育の基本的な考え方としてこれまで確認されてきているものになってございます。
【高田座長】 ありがとうございました。
続きまして,資料1の参考資料につきまして,島田看護課長より御説明をお願いいたします。
【島田看護課長】 厚生労働省看護課長でございます。
資料1の参考資料をご覧いただければと思います。
第1回の文科省検討会でも,当省で開催しております看護基礎教育検討会での検討状況について御報告をさせていただいたところでございます。その際にこちらの検討会から頂きました御意見と看護基礎教育検討会での議論を踏まえまして,今,御提示しております教育内容・方法の見直し(案)を,9月12日に開催されました第9回看護基礎教育検討会にておおむねこの内容で合意され,本日,御報告をさせていただきたいと思います。
ただ,内容について,細かな文言などにつきましては,私どもの検討会でも一部修正の御意見もございましたので,若干の文言修正があるものが,今後,改正案として出る予定ということを御了承いただければと思います。
それでは,説明させていただきます。
まず,看護師養成所に関しまして,資料1-1,私どもの検討会での資料番号で恐縮でございますけれども,ご覧いただければと思います。
看護師,それから保健師,助産師,全ての課程について,まず卒業時の到達目標を検討いたしまして,その到達目標を到達すべき教育内容・方法について,どういった内容が必要かといったところを議論いただいたという立て付けになっております。
まず,資料1-1の1ページをご覧いただきまして,看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標でございますが,こちらは私ども所管しております看護師養成所等へ提示されているものではございますけれども,これに基づき教育内容についての見直しが行われておりますので,御参考までに説明させていただきたいと思います。
看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標について,将来を担う看護職員にはどういう能力が求められるのかといったことを念頭に置きながら検討いただいたところでございます。3つ目の丸でございますけれども,主として,地域包括ケアシステムでの教育が充実するように見直しを行ったというところでございまして,こういった内容が今回の教育内容の見直しに反映されているところでございます。
続きまして,3ページでございます。具体的な教育内容・方法についての見直しについてでございます。
実際の教育内容,それから単位数につきましては,後ろの資料1-4の表をご覧いただければと思います。
まず,その中で教育の基本的考え方を冒頭にお示しし,コミュニケーション能力の獲得を更に高めるべきといった御指摘がございましたので,そういった点を追記しておりますことと,科学的根拠に基づいて判断し,実践できるような基礎的能力を養うといったところも強化するということになっております。それから,多職種連携の重要性,それから多様な場で療養する方を看護するといった視点での教育内容の強化が方向性として示されているところでございます。
続きまして,基礎分野でございますけれども,こちらにつきましては,今申し上げましたような基礎的能力を養うといった内容についての強化が必要ということで,13単位から1単位増の14単位としているところでございます。
続きまして,専門基礎分野でございます。こちらにつきましては,人体の構造と機能,疾病の成り立ちにつきまして,看護実践と結び付けて学ぶといったことを重視するということでございまして,解剖生理学,それから薬理学等の充実を図るということで,現行の15単位から16単位に改正をしたいと考えております。
それから,専門分野でございますが,基礎看護学でございます。こちらにつきましては,臨床判断能力,それから倫理的判断,行動に必要な基礎的能力を養うための強化を図るといったことで,演習等の充実を図るべきといった御意見もございましたので,現行の10単位から11単位に改正したいと考えております。
続きまして,在宅看護論でございます。こちらにつきましては,先ほど地域包括ケアの推進といったところも申し上げましたけれども,療養の場が広がっているということと,それから対象も拡大して考える必要があるだろうといったところから,現行の4単位から6単位に改正し,それから,今申し上げましたような教育内容を明確にするということから,在宅看護論の名称を地域・在宅看護論と改正したいと考えております。
続きまして,下の方ですが,臨地実習でございます。臨地実習につきましては,単位数は現行維持としておりますけれども,各養成所の裁量で領域ごとの実習単位数を一定程度自由に設定できるように,領域ごとの最低単位数を示すということにしております。それから,臨地実習における成人看護学と老年看護学ですけれども,人口構造の高齢化に伴いまして,対象の重複といったところが指摘されているところでございますので,臨地実習におきましては,この成人看護学と老年看護学の単位数を統合して示すといったことを考えております。
続きまして,保健師の見直しについてでございます。資料2-1をご覧いただければと思います。
先ほど御説明いたしました看護師と同じように,実践能力と卒業時の到達目標についてまず御議論いただいたところでございます。保健師に求められる実践能力のうち,地域の特性や住民のニーズに応じた計画的で創造的な活動の展開における事業化の重要性ということを踏まえまして,実践能力の4番に「事業化」という文言を追加しております。そして,保健師につきましても地域包括ケアシステムの構築におきましてその役割の重要性が増しているところでございますので,ケアシステムを構築するといった内容を到達目標の中に追加をしているところでございます。
続きまして,具体的な教育内容の見直しの内容でございます。資料2-3がそれを反映した教育内容,単位数等の別表になっております。
まず,教育内容の公衆衛生看護学のところでございますけれども,公衆衛生看護学につきましては,疫学データ,そして保健統計などを用いた地域のアセスメントといった点ですとか,健康課題への継続的な支援と社会資源の活用などを実践する能力を強化するため,現行の16単位から2単位増の18単位という案になっております。
また,保健医療福祉行政論でございますけれども,こちらにつきましては,施策化に関する能力の強化を演習も含めて充実するため,3単位から4単位という案になっております。
続きまして,臨地実習でございます。保健師の臨地実習につきましては,保健活動の場の多様化,そして産業保健や学校保健を含む多様な場での保健師の活動がますます求められているといったところでございますので,そういった場での実施を学生が主体的に取り組むことができるような実習にするといったところを留意点に追記しております。また,一方で,臨地実習につきましては,各養成所における実習施設の確保の困難等の状況がございますので,単位数は現状維持としておりますけれども,臨地実習に加えまして,実習前後の講義,演習と臨地実習を連携しながら行うといったところも留意したいということで,留意点の方にもそういった内容を追記しているところでございます。
続きまして,助産師についてでございます。資料3-1をご覧ください。助産師につきましても,助産師に求められる実践能力と卒業時の到達目標についての見直しをまず行っております。助産師につきましては,ハイリスク妊婦の増加といったところが非常に重要な課題として掲げられておりまして,その到達目標の中に新たにハイリスク妊婦への支援を追記しております。
続きまして,具体的な教育内容・方法の見直しの内容でございますが,資料3-4をご覧ください。資料3-4の上の方でございますけれども,教育の基本的な考え方の部分には,多様な性を持つ対象者への支援を追記しております。そして,先ほど申し上げましたハイリスク妊婦への対応といった点につきましても修文を行っております。
続きまして,具体的な教育内容についてでございますが,助産診断・技術学につきまして,多職種との連携やコミュニケーション能力の強化を図ること,それから周産期とメンタルヘルスに対する支援,それからハイリスク妊婦や緊急時に臨機応変に対応できる実践能力の強化を図るといった趣旨で,8単位から2単位増の10単位という提案になっております。
それから,地域母子保健でございますけれども,産後うつや虐待など周産期におけるメンタルヘルスの支援の強化,さらには地域における子育て世代を包括的に支援する能力を求めるといった点から,現行の1単位から1単位増加させまして2単位という案にしております。
続きまして,臨地実習についてでございます。臨地実習につきましては,実習前後の講義,演習における教育内容や方法を充実・工夫することとし,単位数は現行のままとしているところでございますけれども,産後4か月程度の母子のアセスメントを行う能力を強化すると留意点に追記しているというところでございます。
私どもの看護基礎教育検討会で御議論いただいた内容は以上でございます。
【高田座長】 島田課長,ありがとうございました。
それでは,御質問とか御意見を受けたいと思いますけれども,各委員におかれましては,挙手の上,御発言をお願いいたします。それから,最初にお話ししましたように時間が限られておりますが,検討時間は一応11時頃までということで考えておりますので,よろしくお願いいたします。
まず,今日,御欠席の秋山委員から書面で頂いておりますので,それを最初に御披露したいと思います。2点ございます。
1点は,実習ガイドライン策定の必要性についてということです。看護師教育・保健師教育の実習先となって,在宅看護や、総合実習の実習生を受け入れる立場から,看護教育の中での実習の位置付け,重要性は変わらないと考える。様々な学校を引き受けていると、ばらつきの大きさを感じることが多く,ガイドラインで基準を提示することは必須と考える。また,臨地の考え方の幅を広げる必要はあるので,そのことも踏まえて、実習ガイドラインの策定には賛同する。
2点目が,第一次報告をまとめて公表する意味ということです。これまでの議論を踏まえ,ある程度の方向性は提示できると考えているので,今後,各大学,学内での検討をするに当たっての方向性を示す意味でも、報告書は必要だと考えると。
以上のことを実現する意味でも,今後の検討を重ねていく必要があるので,検討会の継続は必要である。
また,その検討過程で,是非,保健師教育,助産師教育の実習先の方の参加も必要時,認められたら望ましいのではないか。
以上でございます。
それでは,議論に移りたいと思いますけれども,いかがでございましょうか。先ほどの島田課長の御説明もございましたけれども,いかがでしょうか。はい,どうぞ,上泉委員。
【上泉委員】 資料1の論点1というところにある今回の改正案を大学教育に適用するということの課題等について,ここには内容と単位数のことが書かれておりますけれども,これまでの検討会で様々,私自身が発言してきたことも踏まえて,少し意見をまとめさせていただきました。それで,本日の資料,クリップ留めの資料の一番最後のページなんですけれども,1枚の裏表で,提出資料として,指定規則の改正点を踏まえ,教育課程を体系的に編成する上での留意すべき点ということについて,7点ほどまとめさせていただきました。
これに沿って,簡単ですけれども,指定規則をどういうふうに適用していくかということについて述べさせていただきたいと思います。
1番目は,指定規則適用に当たっての基本的考え方として,これは何度も議論があったようなところですが,大学の理念,教育目標,3つのポリシーに基づいた体系的な教育課程を編成するということで,2つ目は,学士課程における教育であり,看護専門職として修得すべき能力に加え,「学士力」の修得を目指すということ。
次の大きな2番としては,大学設置基準の大綱化の趣旨を生かすことができるよう,指定規則の適用についても大学設置基準との整合性を図るということを書かせていただきました。1番は,設置基準のことですけれども,卒業要件について,科目の区分あるいは卒業要件等についても必要単位数を細かく明記しないということがございましたので,こういった内容と整合性を図ることが必要だというのが1番です。2番につきましては,看護の専門科目の教育課程の教育においては,教育課程の多様な枠組み,あるいは名称で授業科目を編成することを可能とするということで,指定規則との照合に際しては,個別の教育科目ごとの必要単位によるのではなく,教育内容の確認によって行うというふうに書きました。3つ目ですが,指定規則は,学士課程における看護教育において教育すべき最低限の内容を定めたものであり,各教育内容をどれだけの単位で,また,どのような授業科目の中で扱うか,どのような授業形態で教授するかなどは,各大学がそれぞれの教育理念,目標,3つのポリシーに基づいて決定するとしました。4番目は,教育を展開するに当たり,その順序をどのようにするかということは,カリキュラム構築の課題であり,各大学が構築していくとしております。
大きな3つ目は,三職種の体系的,一体的なカリキュラムの編成ということで,統合的なカリキュラムと言ったり,統合カリキュラムと言ったりしておりましたが,統合カリキュラムという言葉は使わないということでしたので,今回,体系的,一体的なカリキュラムの編成と,これは私が勝手に作った言葉ですけれども,今回こういうふうに書かせていただきました。先ほど御紹介があった平成16年の看護教育の在り方に関する検討会報告書の中で,「しかし」以降の部分ですが,「大学における看護学教育は,三職種の免許取得に必要な教育内容を体系化して教授してきていることに大きな特色がある」と書かれております。看護師,保健師,助産師の三職種の教育の基礎となる教育内容の体系的,一体的なカリキュラム編成をこれからも継続するといたしました。それから,三職種に共通する教育内容については,体系的,一体的なカリキュラムとして再構築するとともに,三職種の教育分野として重複して教授することができ,教育内容の一部の単位を減ずることができるようにするといたしております。今後,地域包括ケアシステムの構築に看護職が果たす役割が極めて大きくなる状況においては,三職種に共通した看護学の基礎を教授するという学士教育課程はますます重要になると考えます。
大きな4番目が教育内容の水準の確保ということで,1番目は,コアコンピテンシー,コアカリキュラムあるいは到達目標等を踏まえ,学習成果の到達に向けた教育内容・方法の水準を確保すると。実習については,JANPUで作った実習の基準あるいはガイドラインに基づき行うということ。3つ目は,学士課程における看護教育について,看護学分野別評価が始まりましたので,これを受けることで看護教育プログラムの水準を確保すると入れております。
5つ目は,多様な教育方法を採用するということ,これは水準の方に入るかもしれませんが,このようにいたしました。
6つ目がグローバルスタンダードの観点からということで,まず1行目,学士課程ではグローバルスタンダードとしての看護学を教授する必要があると思っております。我が国では,看護師,保健師,助産師の免許があり,それぞれ教育課程が独立して存在しておりますが,グローバルスタンダードにおいては,看護教育課程には少なくとも看護師,保健師の双方に共通する教育内容が含まれており,看護の機能が,健康の維持増進から,あるいは病気の予防,病気の回復,苦痛の緩和,看取りまでであることを考えても,教育内容を一体化して教授する必要があると思われます。すなわち,学士課程教育においては,看護師,保健師教育の共通した教育内容を体系的に一体化して教授することを可能とすると,先ほど申し上げたことにも重複いたしますが,このようにしております。
今後適用していく上での課題ですが,実習施設の確保については大変大きな課題が残っておりますが,大学の計画等に基づいて実習施設を開拓していけるように,基準やガイドラインに基づいて選定するとともに,今後は,今は申請と確認が必要でしたけれども,この点については届出にしていただけないだろうかという提案です。それから2番目としては,FDプログラムの必要性があると思うということで,ちょっと長くなりましたが,これまで検討会で発言してきたことを踏まえて,また,看護系大学協議会がこれまで検討してきたことも踏まえた上での内容として,本日提出させていただきました。
済みません,長くなりました。
【高田座長】 ありがとうございました。
いかがでしょうか。はい,どうぞ。
【平野委員】 平野です。今の説明の中の6番目,一番最後のページですが,グローバルスタンダードの観点からってありますが,看護学が学士課程ではグローバルスタンダードとして教授する必要があると。日本では別々の課程の教育があったと。ですけれども,なぜそこを変更してグローバルスタンダードにすることが必要なのか。グローバルスタンダードにしたときには看護師と保健師が一体的だということは分かりますが,なぜグローバルスタンダードをとらなければならないのか,お考えを聞かせていただきたいと思います。
【高田座長】 上泉委員,お願いします。
【上泉委員】 ICNの定義あるいは日本看護協会の定義では,看護の機能というのは,健康の維持増進から苦痛の緩和,看取りまでというような内容で,全ての健康の状態に関わるのが看護であると定義されております。大学教育が看護の基盤となる教育を行うということに鑑みれば,このような定義に基づいた教育というものが大学学士課程でこそできるのではないかというような意見です。
【高田座長】 他はいかがでしょうか。どうぞ,岡島委員。
【岡島委員】 日本看護協会,岡島でございます。上泉委員の資料の2番について質問させていただきます。
2),3)に記載されている教育科目ごとの必要単位ではなく,内容の確認によって行ってほしいとか,あるいは各教育内容をどれだけの単位で授業するかは各大学が自由に決めたいというような趣旨の記載が見られますが,これは指定規則の範囲の中でのことなのか,指定規則に全く従わずという意味なのか,確認をさせてください。
【上泉委員】 学士課程におきましても,看護師,保健師,助産師の免許取得に当たっては指定規則の必要な基準を満たさなければいけませんので,もちろん,範囲というものをどういうふうに定義するかですけれども,今ある指定規則を適用する際の考え方というふうに御理解いただければと思います。
【高田座長】 他はいかがでしょうか。はい,どうぞ,岸委員。
【岸委員】 東邦大学の岸です。上泉先生,非常に詳細に御報告いただきまして,ありがとうございます。
先ほど平野先生から御質問があったことと関係するんですけれども,グローバルスタンダードの観点からというところで「教育内容を一体化して教授する必要がある」と書かれているんですけれども,確かに,保健師,助産師,看護師の共通の基盤となるところは,モデル・コアカリキュラムでも共通ということで教授するということが書かれておりますし,そのことは既にグローバルスタンダードの観点からでなくてもされていると思うんですが,全部を一体化して教授できるかというと,保健師のライセンスと看護師のライセンスは違いますので,教育内容は異なると思います。なので,この「教育内容を一体化して教授する必要がある」と限定して「必要がある」というふうにしてしまうのは,表現として書き過ぎの感があるのではないか。誤解のないように,保助看の基盤となる科目については一体化して教授することもしてよいという程度のことであって,あくまでも大学で適用するときには,先生が1番の基本的考え方に書いてありますように,各大学の理念とか教育目標,3つのポリシーに基づいて教育課程を編成することができますので,「必要がある」という限定的な表現は避けていただいた方がよいのではないかと思いました。
また,3番の三職種の体系的,一体的なカリキュラムの編成のところでも,「看護師,保健師,助産師の三職種の教育の基礎となる教育内容の体系的,一体的なカリキュラムの編成を継続する」と下から3行目に書いてあるんですけれども,これも,このような教育をしたいところは,もちろん大学の理念等に合わせてしていくということは別に否定はしないんですけれども,「継続する」とかというふうにしてしまいますと,継続しなければいけないようなニュアンスを与えてしまうのではないかなとか,あるいは一番下の「教育内容の一部の単位を減ずることができることとする」という,この「単位を減ずることができることとする」というのも,指定規則内のことであるのか,そうでないのかということを明記していかないと,一体的に保健師も看護師も教育すれば単位を減らしてもいいんだよと,そういうことをする必要があるよというふうに,全体のトーンから誤解して読まれることがないようにしていただきたいなと思いますので,先生が必ずしもそういうようなお考えではないかと思うんですけれども,ちょっと表現の点から少し断定的な表現について懸念して質問させていただきました。
【高田座長】 今,論議しているのは,この指定規則に関する資料1の参考資料ですが,島田課長から御説明がございました今回の指定規則の改正に関する資料が,最終的に公式な指定規則になっていく可能性がございます。そこで,これに対する意見ということで,今,上泉委員からいろいろお話があったかと思いますけれども,それは意見の一つであって,別にここでその様に決めるということでは当然ございません。いろんな意見があっていいかなと思いますが,他にいかがでしょうか。では,どうぞ。
【井村委員】 今,座長が論点整理をしてくださったように,厚労省から出された指定規則ということが第1の論点であると認識しておりますので,まずこの点について述べさせていただきます。私,厚労省の会議にも出させていただきまして,親会議の看護基礎教育検討会,ワーキングの先生方が本当に人事を尽くして様々な議論の中で最終的に取りまとめられた改正案と思います。社会のニーズに対応する能力の高い保助看等すべての看護職を出すことを目指して単位増加につながったと思います。ただ,実習に関しては,本来的には臨地でリアルタイムにリアリティーの中で学ぶことの必要性がかなり議論されて,実習単位の増加が提案された経緯があったことは,この場でお伝えしたいと思います。しかしながら,諸般の状況から,今,島田課長から御報告されたとおりの合意形成がなされたと井村も認識しております。これに関しては重々に承知しながら,教育展開を工夫していくことで最大限努力したいと考えておりますので,異論はございません。
その上で,今,上泉先生から出してくださったことについて,本当は私としては発言を控えようと思っておりましたが,2点ほど少し発言させていただけると有り難いと思いました。
1つが,先ほど平野委員と岸委員の方からも出されましたグローバルスタンダードのことでございます。ここに助産師が載せられていないことに関する発言でございます。もしグローバルスタンダードということを挙げるのであれ,やはり保助看を統括してくださっているJANPUとして,なぜ助産師のことは出してくださらなかったのだろうというのが素朴な疑問であります。もしもこの場でグローバルスタンダードのことを語るのであれば,やはり助産師のグローバルスタンダードにも着目していただきたいと思います。それはJANPUもそうですし,ここにお集まりの委員の方々,そしてこの会議体としても,という意味において発言をしております。もう御存じの方も多いと思いますけれども,-ここで発言するつもりはございませんでしたが-,グローバルスタンダードのことが出てきましたのであえて言わせていただきます。
助産師の国際組織として国際助産師連盟というInternational Confederation of MidwivesというICMというものがございます。ICMの助産師教育年限におけるグローバルスタンダードは18か月以上でございます。看護基礎教育の上に助産師教育を行う場合には18か月以上,ダイレクトエントリーで行う場合には3年以上ということがグローバルスタンダードで出されております。ですので,もしJANPUがここでグローバルスタンダードを出すというのであれば,そことの整合性はどのように議論されたのか疑問として浮かび上がったのでございます。もちろん,本日の会議の時間的都合もございますので,この場でそのことを議論していただきたいとは思っておりませんが,不整合であるという印象は否めないことと,論理的整合性はどのように議論されたのかは是非に聞かせていただきたいところでございます。
2点目といたしましては,教育の大綱化ということであります。これは4年制大学において教育を大綱化して保助看一体として教育することですね。私もそういう教育を受けて育った人間ですので,とても効率的でしっかりした教育を受けてさせていただいたと思っております。一方で,今日では,看護師の免許を取得していることを前提として保健師,助産師免許を取得することに変更されました。つまり,臨床では助産師国家試験に合格しても,看護師国試に落ちていれば見習いとしてしか働けないという現状がございます。すでにそのような制度の作り込みになり,かつ保助が1年間以上の教育となったその時点から,恐らくもうこの4年制大学における3職種教育の大綱化ということにおいて,やや論理的にも制度的にも亀裂が生じていると私は強く認識しています。その中で,しかし,現行の規定がございますので,4年制の中で保助看の教育を行っていくということには相当の工夫が必要であり,かつ既に単位が増加することが明示されている現在,それを本当にどのように行っていくのかということがここでの議論になってくると思います。制度上の亀裂が生じているのではないかということはあえてこの場で述べさせていただきたいと思っていました。是非に文科省,厚労省とされても,制度的整合性,現実的整合性のある教育をご検討いただき,また御一緒に考えさせていただけたらと思っております。
ですので,教育の質改善は喫緊の課題であり,三職種の科目を重複的に読む,ここで新たな造語をご提案くださってありがとうございます,「体系的,一体的なカリキュラム」編成においても,教育内容が後退することなく十全に行われることが必要と考えます。もしも,例えば母性看護学の概論と助産学の概論を読み込むということになるのであれば,助産学概論のレベルに合わせて母性看護学の概論を作り込むぐらいの覚悟で教育していただきたい。その逆は,助産師教育としての質低下につながります。全助協としては,一体的なカリキュラム編成を行ったがゆえに質の低下が起こるということは絶対に避けなければいけないと考えております。そして今回,厚労省の検討会いおいても,委員やワーキングの皆さんが非常にエネルギーを使って,教育の質改善をするための指定規則改正を議論したわけですから,本当にそのことの真意を捉えて,一体的なカリキュラム編成の重複的な読み込みというのは相当注意深く行っていただきたいと思います。かつ,指定規則改正にかかる申請を受ける文科省におかれましては,本当に大変な作業がこれから待ち受けていると推察いたしますが,申請内容の確認や質改善を是非お願いしたいと思います。本来であれば,自校教育の質改善と質保証は各大学が責任を持って行うものでございますが,しかし,昨今の状況を鑑みますとやはりチェック機能は大切と思いますので,文科省とされてもそこは是非にしっかりお願いしたいと考えております。
済みません,長くなってしまいました。以上です。
【高田座長】 ありがとうございました。グローバルスタンダードの話をここでずっとやっているとまたきりがないので,ちょっとこれは預からせていただいて,では,宮﨑先生。
【宮﨑副座長】 まずは,先ほど島田課長から報告いただいた三職種に係る指定規則のそれぞれの改正案,内容を伺って,十分に御議論いただいて納得のいく内容だなと受け止めました。
それを踏まえて,これをどう大学に適用するかといったときに,今日,上泉委員から先ほど御説明いただいた中で私が強く思った部分は1番目の部分でございます。第1回及び第2回のこの検討会の中で,各大学が指定規則の単位数をどういうふうに用いているかというような資料が出されたかと思います。私は,大学というのは,やはり人材育成の目標がそれぞれあって,それぞれ違う目標がある。しかしながら,看護の大学は免許を付与すると,そういう教育内容も包含するものであり,それゆえに指定規則が関わってくるのですが,上泉委員の資料の真ん中辺にもありますように,指定規則というのは学士課程における看護学教育において教育すべき最低限の内容を担保するものだと思います。大学教育であるならば,最低限を担保する指定規則を超えた,大学としてそれぞれの大学が目指す人材像において,どういう教育を充実しなきゃいけないのか,どういう科目あるいは教育方法を工夫していかなければいけないのか,そこが問われているように思います。だから,指定規則が最低基準であるということを十分認識の上,むしろどういうところを充実すべきなのかということを明確にして反映すべきところが大学教育ではないか,そういうところが留意すべき事項ではないかなと思いました。
【高田座長】 ありがとうございました。
大島委員,どうぞ。
【大島委員】 島田課長さんのほうに1つ質問と,それから,この全体を拝見した私の意見を申し上げたいと思います。
1つ質問は,この指定規則全体を変えたときに,102単位というようなのが指定規則で出ていると思いますが,例えばこれは大学教育の中においては収まる範囲なんですが,これ,3年間でやるとなると34,1年間平均するとで,割り算するとですけど。目一杯になって,これ以外のものというのはもう入らないという感じにお見受けするんですけど,それらの論議では,指定規則ありで,要するに看護基礎教育が全て成り立つというような考え方で最終的な組み立てがされたのかなということがありまして,お伺いしたい点です。
【高田座長】 島田課長,お願いします。
【島田看護課長】 今,御指摘のように,看護師課程の改正案102単位という内容になっております。実際に私どもの検討会,それからワーキングの方には,看護師養成所で教えていらっしゃる先生方も多く御参加いただいていますし,それから学校を実際に経営というか,設置されているお立場の方にも御参加いただいた上で御議論いただいております。そういう意味では,教育の実情も踏まえつつ,この単位であれば何とかやれるのではないかといったことで合意を頂いていると承知しております。
一方で,看護師養成所につきましては,大学と異なりまして,基本的にはこの102単位というか,ほぼ指定規則で定められた内容そのままで教育されているというところでありますけれども,もちろん,これに加えて様々な教育内容を追加して教授しておられる課程もありますが,基本的にはこの内容を御教授いただくところを看護師養成所として指定しているという,そういう立て付けになっております。
【大島委員】 はい。それで,もう1点あるんですが,済みません。今日の資料ではなかったんですけど,前に事前資料で来ていた中に,この続きで技術のことも入っていましたね。看護師の課程のところで到達度に関して……。
【島田看護課長】 失礼しました。先ほど御説明しなかったんですが,資料1-3の方に技術項目の資料がございます。
【大島委員】 どうも失礼いたしました。それに関しまして言いますと,これからこの場で論議が始まる実習のガイドライン等も関係してくるかもしれませんけれど,非常に身体侵襲を伴う技術の実施までを求めていくというのが増えたなと拝見しているんですが,例えばBSLなんかもやれるようになるみたいで,つまり,それの関わる法律まではいかないか,全く素人ではないですけど,みなしの学生,看護学を学んでいる人として実習を行うということになったとき,それの例えば責任とか,その辺りも論議された上で出されてきた到達でしょうか。
【島田看護課長】 この資料1-3でお示ししております技術項目につきまして,今回,資料1-1の方に改正の趣旨などお書きしているんですけれども,行為にかなり特化された内容になっていますが,その経緯といたしましては,正に技術に特化した内容にするということで技術項目の見直しをしておりますので,そういう意味ではかなり技術的なものがこの1-3の項目として整理されています。
その上でもう一つの御質問であります侵襲度のあるものを学生が実習で行うということについての責任といった点なんですけれども,そちらにつきましては,従前から,看護学生が臨床の場で,本来,免許取得後でなければできないような行為につきましても実習の場で行うといったところにつきましては,そこは違法性が阻却されるといったことが検討されてきておりますので,そういった点は特段,今までと同じ取扱いという前提でこの技術項目についてはお示ししております。例えば事前にどういう行為の目的であるといったことを学習しているということですとか,それから学内での演習をやっているですとか,それから指導者が付いた上で行っているということですとか,行う対象の方にそういった旨を説明しているといったようなことが整備されているという条件で,養成所,それから学校もそうだと思いますけれども,実習が行われていると思いますので,そういった条件がそろっている中で看護学生がこういった行為について行うといったところについては,特段の何か違法性があるものではないという整理になっております。
【大島委員】 はい,分かりました。実際には患者さんたちに了解が果たして得られるだろうかとか,そういうことは私個人的にはちょっと疑問に今思ったりしているところです。
それから,全体のことの内容に関しましては,私ども学士課程で教授している者たちにとっては,今回新しく入れてくださっている内容は非常に必要だと思っておりましたし,今までも入れてきている内容が多くございまして,その点に関しては非常に違和感があるとかそういうことは私はありませんでした。それが感想です。
それと,先ほど,JANPU,上泉委員から出されたものに関しましては,先ほどの1番目,2番目に関しては,これは私立看護系大学協会としても全く同意見でございまして,是非そうしていっていただきたいと思っております。
以上です。
【高田座長】 ありがとうございました。
大分時間もたってきましたけれども,大体御意見を伺っていると,今回,厚生労働省の方で御苦労しておまとめいただいたものは大体これでいっていいんじゃないかというような感じだったと思います。それから,大学でそれをどういうふうに適用していくかという点に関しては,宮﨑委員からのお話もございましたけれども,指定規則は要するに最低限の内容なので,それを大学としては超えるような形で質の高い教育をしていかなければいけないと。そういうカリキュラムを組んでいくのが大学の責任だというような,そういうふうなことだったと思いますけれども。大体こんな形かなと思いますが,いかがでしょうか。
はい,ありがとうございます。
それでは,1についてはこれで終わらせていただきまして,次の議事に移らせていただきたいと思います。これは資料2の方でございますけれども,では,事務局の方からお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】 資料2をお手元にお願いいたします。今御議論いただいた内容を踏まえてでございます。指定規則改正案が提示されていくこのタイミングで,カリキュラムを改正していくときに留意点を同時にお示ししてはどうかと思い,この第一次報告を作成してはと考え,資料を作成させていただいております。
具体的にその骨子の項目を一緒に御確認いただきたいと思います。「はじめに」とローマ数字のⅠとⅡの方で,これまでこの検討会で議論いただいた内容をコンパクトにお示ししたいと考えております。
Ⅲで,これまでの指定規則改正があったときの報告書においても概要ということで示されておりましたので,今回の改正点を概要ということで載せてはどうかと考えております。
次のⅣ番目,指定規則の改正点を踏まえ,教育課程を体系的に編成する上での留意すべき事項ということで,先ほど御議論いただいた内容をポイントを絞ってここでお示ししたいと考えてみました。
次のⅤ番目ですが,看護系大学における質保証に向けた今後の課題ということで,これにつきましては,第2回までの検討会で出していただいた御意見を基に作成していきたいと思っております。具体的には,本日の資料の黄色い方のファイルの第2回資料となってございます。途中で折り曲げられた資料があるかと思いますが,その次が資料3になっておりまして,その中から項目をとってきてございます。先ほどからお話の中に出ておりました実習ガイドライン策定の必要性,これに関しては,お話の中から,すぐにでも作った方がいいのではないかと捉えております。次の点として,看護系大学の教育方法の向上に向けた取組みの必要性,上泉委員からの御意見にもございましたが,そのことについて触れてはどうかと考えました。3点目といたしまして,卒業時の看護実践能力の評価の仕組みを検討する必要性でございます。第2回の資料3のローマ数字のⅤ番目に当たるところと考えております。最後,4点目ですが,看護系大学における指定規則の在り方に関する今後の課題ということで,これも先ほどの御意見,討論の中に出ていたかと思いますが,資料3で言いますとローマ数字のⅡに当たるところとして項目を作っております。
説明は以上になります。
【高田座長】 今まで色々な貴重な意見を出していただいたので,これを機会に第一次の報告というものを作ったらどうかという,まずこの点でございますけれども,これはいかがでしょうか。大体この方向で行くということでよろしいでしょうか。
そうしますと,今度は中身なんですが,骨子(案)という形で資料2が出ております。これについて何か御意見を頂ければと思いますが,いかがでしょうか。まだ,項目しか出てないので,なかなか意見と言われても困るかもしれないのですが,どうでしょうか。何かお気付きの点があれば言っていただければと思いますけれども。どうぞ。
【井村委員】 文科省が出されたこの原案におおむね賛成です。
先ほども少し申し上げましたが,総単位数は増加した一方で,実習,臨地は本当に大切ですけれども,実習単位は諸般の状況から増やさずに,教育の工夫ということで対応するという方向性が大きく打ち出されていると思います。先ほど宮﨑先生もおっしゃってくださった指定規則及び指定規則以上の教育の向上を目指すには,カリキュラムの作り込みや,教育方法について相当に気合いを入れて改良に次ぐ改良を重ねなければいけないと強く認識しておりますので,そのことは是非に重み付けして,しっかり盛り込みながら作っていただけると有り難いです。そしてこの検討会にても議論をしていただけると有り難いと考えます。
以上です。
【高田座長】 他にいかがでしょうか。はい,どうぞ。
【岸委員】 東邦大学の岸です。私も,一次報告骨子(案)についてはこれでよいと思っております。その上で,含まれているのかと思うんですけれども,先ほど井村委員からもあったように,保健師においても,本来は実習が必要かというふうに単位増の意見も出たわけですが,実習施設の確保の観点からもありまして実習の単位増には至らなかったということがございますので,1つは,やはり喫緊の課題ということで実習ガイドラインの策定の必要性については喫緊の課題であるということをきちっと盛り込んでいただき,多分,その後,作るということになると思うんですけれども,入れていただきたいということと,その中にきちっと臨地での実習の質を保証するような実習のある程度の基準を提示するようなものを示していただくということも,この策定の必要性に盛り込んでいただけるといいと思っております。
また,この5番のところの看護系大学の教育方法の向上に向けた取組みに入るのかもしれないんですけれども,実習施設の確保が難しいということがずっと言われ続けていますが,多分この先も難しいことが続くかと思います。どのように実習施設を確保していくのかとか,実習施設の質の向上を担保するのかというようなところもこの教育方法の向上に入るのであれば,そこもきちっと課題として示しておき,今後,検討を継続していく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
【高田座長】 どうぞ。では,岡島委員。
【岡島委員】 岡島です。私も,骨子(案)については賛成です。是非とも内容の濃いものにしていただきたい。そして,これまでの検討の経過で課題とされてきたことを積み残しなく記載した上で,前に進む内容であってほしいと思います。
5番の看護系大学における質保証に向けた今後の課題に関しては,実習ガイドラインの策定についても大いに期待しています。各学校あるいは地域によって実習内容に大きな差があり,卒業時到達目標に影響することのないような最低基準を示すようなものが各大学の助けにもなるのではないかと思います。さらに,実習ガイドラインの策定に当たっては,モデル・コアカリキュラムで示されたコアとなる看護実践能力について学生がしっかりと身に付けられるような効果的な学習方法,教育内容についても入れていただきたい。臨地実習でしかできないこともあるので,それがどのような場所で,どのような方法で実習されることが能力獲得につながるのかということを十分議論していただきたいと思います。
また,看護基礎教育検討会,またワーキングでも臨地実習の単位に関しては随分議論されましたが,実習の単位数増には至りませんでした。より効果的な臨地実習とするための教育方法の工夫について検討が必要です。臨地実習と演習との連動ということが随分重視されてまいりましたので,実習の前の講義,演習,そして実習があって,さらに演習で統合していくという一連の流れについても,実習ガイドラインの中に必要性がうたわれていると有り難いと思います。
以上でございます。
【高田座長】 どうぞ,柳田委員。
【柳田委員】 柳田でございます。少し細かいところになってしまうので恐縮なんですが,この指定規則の別表を皆様に一度見ていただけたらと思うことがあり,発言させていただきます。
先ほど島田課長から御説明がありました資料1-1のところで,専門基礎のところで,ここでは専門基礎分野,4ページになりますが,看護実践と結び付けて学ぶことが重要であるということが明記されまして,1単位増と。これ自体は非常にすばらしく,全体を見ても本当にバランスよくて,柔軟に工夫ができるような工夫が散りばめられていると感じる指定規則だと思っております。
皆様がカリキュラム策定のときによくご覧になると思いますが,別表の3,大きなものをご覧いただきたいんですが,実はこれ,私自身が看護で教育に携わるようになって感じたんですが,この別表だけ見たときには,どうしても専門基礎と看護というのが分かれて見えてしまうんですね。ですから,カリキュラムを作る上でもどうしても,ここまでで専門基礎が終了,そしてここからが看護みたいなイメージで発言をされる看護の先生が多いように感じます。決してそういうことではないし,実際の教育の場ではしっかりそれはされていると思うんですが,どうしても形を作る上でここで1つラインが引かれてしまう。
実際,今回の指定規則で明言されておりますように,看護実践と結び付けて考えるというときには,こういうところをいかにいい形で発信していくかということがすごく大事になるのではないかと思います。ですから,有機的に看護と結び付ける,あるいはフュージョンしていくというような,そういう教育の工夫というところが必要になると思いますので,これが先ほど議論いただいている資料3の構成員からの御意見により整理した検討事項のところでいきますと,ローマ数字のⅡ,それから教授方法,あるいはⅣ,Ⅴといったところに何らかの形で少し反映させていただけたらと願っております。よろしくお願いいたします。
【高田座長】 ありがとうございました。
他にいかがでしょうか。どうぞ。
【小見山委員】 小見山でございます。ただいまの柳田委員の意見に賛同いたします。いろいろな看護の実践を通して,例えば実習という場に来て学生はいろんなことを学び,やはり人体の構造や機能,薬理のことが大事だった,こういうふうに勉強すればいいんだということを再確認し,学習を深めていくと思います。ですので,そのような学習の連動がうまくいくような工夫がもう一つ必要だろうと思うことと,あともう1点は,実習を受ける立場,実習の施設としては,やはり実習を受けるための環境を整備する,あるいは指導のために看護師を配置するというのは,非常に努力を要することです。そういった努力をする上での実習施設への支援といいますか,実習をしやすくするような,受けやすくするような何か御提言を頂けたら有り難いなと思うことと,あとは,大学の先生方との連携,現場との連携の在り方について御提言を頂けると,実習を受ける側としては,今後より一層,一緒によい実習を作り上げていけるのではないかなと思っております。
あともう1点だけ。卒業時の到達度(案)というのが資料1-3でございます。実習のところに1,2,3と数字が打ってございますけれども,例えばこの実習で3,「実施が困難であれば見学する」というような到達度のものが,もともと見学でいいというような理解にならないような内容を御提示いただければ。現場は,学生に実施をさせたいと思っています。学生のうちに経験できることは経験してほしいと思っています。しかし,大学の方針によっては,侵襲的なことは患者さんには適用しませんというところもあると聞いておりますので,ここの考え方,基本をどっちに置くのかというところは御提言いただけると,現場としてはなお一層,協力がしやすいかなと思います。
以上です。
【高田座長】 ありがとうございました。
論議がだんだん実習ガイドライン関連の話になってきているんですが,一応,資料2のところの第一次報告骨子(案)については大体こういう形で,現物が出てこないとなかなか論議もしにくいんだと思いますが,とりあえずはこういう章立ての様な形で案を作るということで,これはよろしいでしょうか。はい。
それでは,第一次報告を作成するということで,今頂いた御意見も踏まえまして,次回,事務局から第一次報告の案を提示していただくという様にしたいと思いますけれども,よろしいですかね。はい,ありがとうございます。
大分もう論議が実は次へ移っているんですが,実習ガイドライン作成ということがこの第一次報告骨子(案)にございましたけれども,これに関して更に,もう大分論議が進んでおりますけれども,改めて資料3を使いまして事務局から説明をお願いいたします。
【杉田看護教育専門官】 では,お手元に資料3を開いていただければと思います。
1点目が実習ガイドラインの必要性の是非の確認をということをお願いしようと思っていたんですが,作る方向の御意見がもう既に多いのかと承ってはおりますけど,今一度,その確認のステップを踏んでいただけたらと思います。
ちょっと確認と申しますか,この後,実習のことに入ってまいりますので,確認させていただきたいと思うんですが,島田課長から御説明いただきました厚労省の方で進めておられる検討会の資料についてですが,先ほど触れられました,例えば資料1-3が看護師教育の技術項目と卒業時の到達度となってございますが,その上に――表題のところになります,太字の。看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン,その中の別表になっているかと思うんですが,この指導ガイドラインに関しましては,厚労省の方から所管の養成所に向かって発出されているものになってございますので,直接的には指定規則の中にはこの別表は,今ご覧いただいている内容の卒業時の到達度に関しては,指定規則の中には,つまり,文科省が共同省令で所管している指定規則の中には入っていないということを,この後,指導ガイドラインをご覧いただくに当たって確認させていただきました。
では,また資料3の方に戻っていただきまして,次の2点目になります。先ほど来,御意見を出していただいておりますが,この実習ガイドラインを作るとなりましたら,その位置付けになります。やはり文科省としては既に看護コアカリを発出してございますので,そのコアカリに付随するものとしたいと考えてみました。コアカリ自体が参照基準として発出しておりますので,同じような位置付けになります。そして,既に項目F「臨地実習」の中で学修目標を示してございますので,そこと整合性を有するものにすることが必要かと考えました。看護コアカリ自体ですが,保健師と助産師と看護師に共通するものとしてお示しして作ってございますので,この実習ガイドラインを付随するものとした場合,その条件が入ってくると考えております。
3番目のコンセプトですが,臨地実習の質保証に資する,大学の自治を踏まえた内容としてはどうか。2点目として,臨地実習科目であることの条件あるいは定義と申しましょうか,それを明示してはどうか。3点目,実習科目をカリキュラム策定においてどのように捉えるかという考え方を提示するものとしてはどうか。大学――教員,学生がおられますが,大学側と実習施設側――まずは管理者と実習指導者かと思いますが,実習施設の双方が参照し得るもの,やはり実習は両方が共同してこそなり得ていく科目かと思いますので,双方が参照し得るものとなるようにしてはどうか。そして何よりも,臨地なので,患者さん,利用者さん,そして住民がおいでになりますので,その方たちと御家族,つまり国民が概要を理解できるものとなるようにしてはどうかというふうにコンセプトを考えてみました。
事務局からは以上になります。
【高田座長】 ただいま,資料3に基づきまして,実習ガイドラインの例えばこんな感じを考えているというようなものがございました。この実習ガイドラインを作成するということに関しては,要らないという御意見は今までなかったようなんですが,作るとしたらどんな感じになるかという論議を少ししてみたいと思います。それを受けて,じゃあ本式にやるかどうかということを決めたいと思いますが,いかがでしょうか。これに対して何か御意見ございますか。はい,どうぞ。
【岡島委員】 岡島です。ガイドラインに期待することについては,先ほど意見を述べましたので,1点だけ確認をさせていただきます。この実習ガイドラインの作成方法といいますか,検討方法についてどのようにお考えなのか,事務局にお尋ねしたいと思います。
【杉田看護教育専門官】 ありがとうございます。実はこの資料3を御議論いただいて作るとなり,御意見を頂いた後に御紹介しようかと思っていたんですが,全く何もお示ししていない状態ですので,もし作成するとなった場合を想定して,その実現性も考え,作成に向けた具体的な進め方についても案として考えてございます。
まず,平成29年度までに日本看護系大学協議会(JANPU)への委託事業として,臨地実習の基準を作成いただいております。その後,30年度,昨年度より,それまでに作っていただいた基準を基に,やはり基準ですので,ちょっと抽象度が高いものになってございますので,もうちょっと実用性を考えて,具体に落とす,実習ガイドラインと名称をとっておりますが,その実習ガイドラインを作成中でいらっしゃいます。作成中なんですけれども,もし本当にこの検討会で作るとなりましたら,案を提示できる段階まで準備されておられます。そして,この検討会に案を提出いただき,こちらの検討会で意見を出させていただき,今,実際作っておられるのがJANPUの中の常設の委員会で作っておられますので,そちらの委員会にかけていただき,ブラッシュアップできるという,そのような準備性は確認させていただいております。かつ,委員会の年度内のスケジュールがもう既に決まっているということで,年度内に作成可能なスケジュールであるということも確認させていただいております。
【高田座長】 日程的には十分間に合うということですよね。
【杉田看護教育専門官】 今のところ2往復ないし3往復を想定しておりまして,実際は進み具合によると思うんですが,スケジュール的にはそれだけのサイクルを計画しております。もちろん,皆様の御都合で検討会の日程を考えさせていただきますが,委員会の方はそのような感じで受けてくださるという見解を頂いております。
【高田座長】 それでは,資料3のところにガイドラインの大まかな骨子みたいなことが書いてございますけれども,このコンセプトも含めて,これについてまず御意見を伺いたいと思います。方法については先ほどお話があったようなことでありますけど。どうぞ。
【平野委員】 先ほど小見山委員からも出されたコンセプトの4つ目の大学と実習施設の双方が参照し得るものということで,大学側がどういう実習において役割を持ち,臨床側がどういう役割を持ったらいいのかということを事項としては是非,出していただきたいと思います。ただ,内容的には非常に多様性もあるし,一律には論じられないものかもしれないのですけど,今のJANPUの構成員にプラス現場側の方,実習場の方の参加を得た何か協議の場を持って案を出していただけると有り難いかなと思います。
【高田座長】 ありがとうございました。
どうぞ。
【井村委員】 進め方には賛成いたします。また,実習ガイドラインですので,臨地の方を是非に含めてという案にも大変賛成いたします。
ここから質問です。保助看に共通のものとあります。コアカリが三職種共通のものということで,それをベースにした実習ガイドラインを想像するのですが,保助看の実習の在り方は随分違うと思います。助産師に関しましては,先ほど侵襲性の高いものをどうするのかとか,どのくらい手を出すのかという点では,まさに通常の助産業務を実習として行っておりますので,随分差があると思うわけです。大体どのようなイメージのものが想定されているのか共有させていただけると有り難いです。今,作っていらっしゃる途中ということですが,少々私の想像の範囲を超えております。どういったものをイメージしたらよろしいのでしょうか?JANPUが作ってご提示くださり,この検討会で検討するということが重要と思いまので,最終ゴールと具体物としてどのような想定をしたらよろしいのでしょうか。
【高田座長】 ちょっとまだ具体物はないんですけれども,じゃあ杉田専門官。
【杉田看護教育専門官】 本日の今の時点でこのように作っておられるというふうに,済みませんけれど,今,申し上げることはできないんですが。しかし,年度末までに作成したいと考えますとそんなに日程的に余裕があるわけではございませんので,次回のこの検討会で早々に案を提示させていただけると考えております。
【高田座長】 どうぞ。
【岡島委員】 岡島です。JANPUで先行して作業していただいていることは有り難いことですが,先ほど論点1のときに上泉委員からの意見のペーパーについて少し意見交換がありましたように,最低基準を示す指定規則を下回るものではないということと,単位の一部を減ずることができるとか,そういう誤解が生じないようなものを是非とも原案としてお示しいただけるようお願いいたします。
以上です。
【高田座長】 要望ということで承っておきます。
はい,どうぞ,大島委員。
【大島委員】 大島ですが,今ここで話し合うのは,この実習ガイドラインのまず必要性はさっきみんなが了解したと。それで,位置付けのことが,今ここに提案されているように,1つはコアカリと連動しているということと,もう一つは,コアカリの対象と同じように保助看の共通するものとしてはどうかという提案が今されていますよね。このことを今ここで確認して,そしてコンセプトのところもその後に検討されると思いますけど,そのことについて今ここで議論して一応確認をしたらどうかと思うのですけれど,もうここに出されているのは一応了解ということでいいのでしょうか……。
【高田座長】 いえいえ,これは案でございます。
【大島委員】 ええ。それを一応了解をとって進んでいただけると,と思いますけれど。
【高田座長】 ええ,そういうことで今,委員の皆様方から御意見を伺っているところでございまして……。
【大島委員】 はい。私は,この共通するものとしての基盤をガイドラインで作ることが大事だと思っております。それからまた派生する,先ほど来出ている,もしかしたら助産師の実習とかそういうことは,今ここですべきというよりも,まずここをやっていくということが大事だと思っております。ですから,この案に賛成です。
【高田座長】 では,岡島委員。
【岡島委員】 何度も済みません。岡島です。今,大島委員の方からおっしゃられた共通するものという認識が,きっとずれていると思うんですね。実習するに当たっては,特に保健師と看護師のところが大きい問題かと思いますが,共通する部分も一部はありますが,全部が共通するものではない。共通するものとしないものがあるということを確認していただきたいと思います。
【高田座長】 宮﨑委員,どうぞ。
【宮﨑副座長】 まだ確かにイメージはクリアではないのですが,大学教育における実習ガイドラインですから,この共通するものが一体何なのかというのをあぶり出していく,そこの作業自体が大学における実習とは何ぞやということを明確にすることになると思います。それぞれの課程の特質はもちろんあるんだけれども,ここで提示するものは保助看に共通する基礎としての大学教育という,そこの部分の実習とは何ぞや,どうあるべきか,確かに今日の段階ではクリアではないんですけど,ここを何とかあぶり出して,共通理解を大学側も,それから臨地側も共に,そして国民もという,そういうものを作っていくという,ある種チャレンジなところもあると思いますが,そこに意味が私はあるのではないかなと受け取りました。
【高田座長】 岸委員,どうぞ。
【岸委員】 済みません,岸です。この位置付けのところで今議論になっていると思うんですけれども,看護コアカリというのは,看護師課程の教育のコアカリなので,それを参照基準とすると,保健師,助産師にもちろん基盤として共通するものはあるんですけれども,それ以外の1年課程プラス上乗せの部分のものは看護コアカリには載っていないので,どの程度参照基準とするのかなというところが疑問に思いました。なので,抽象度の高い大学としての臨地実習ということでこの実習ガイドラインを作り上げるということにはもちろん賛成なんですけれども,内容も参照しながらこの実習ガイドラインを作ると,保健師あるいは助産師のコアカリがないので,看護師のコアカリしかないので,そこと付随させるということに矛盾を感じるというところです。おおむね賛成なんですが,位置付けのところのイメージが多分それぞれの委員も異なるのかもしれないのですけれども,私の中でいま一つすっきり分からないので,確認させていただければと思います。
【高田座長】 では,事務局からどうぞ。
【杉田看護教育専門官】 失礼いたします。この位置付けで今お示ししている内容は,やはり具体に物を見ていただかないと,それぞれの委員がイメージしていらっしゃるものがそれぞれだと思いますので,次回,案を御提示させていただいて,是非とも御意見を。もちろん,それでおしまいというわけではございませんので,またそれをご覧いただいて御意見を頂き,委員会の方でブラッシュアップしてくださることになってございますので,物を見て御意見を頂けると幸いでございます。
失礼いたしました。
【高田座長】 釜萢委員,どうぞ。
【釜萢委員】 今回のこの実習ガイドラインが作成された場合には,大学側と,それから実習施設の双方が,このガイドラインによって実習に非常に資するというものが望まれているわけです。その観点からしますと,私は厚労省の検討会にも出ておりましたが,特に保健師の実習の難しさということが非常に議論されておりまして,そのような保健師あるいは助産師の実習における役立つ部分というのがどういうふうに盛り込まれてくるのかということで,宮﨑副座長の言われたお考えも十分理解をできるのですけれども,実際にこの実習ガイドラインを利用する上において,保健師,助産師の実習に資する部分をどのように表現してくるのかということはとても大事だと思いますので,その辺りも実際に役立つものが作られるように是非御検討賜りたいというのが,まず意見,お願いです。
それから,位置付けの上の部分の看護コアカリに付随するものとしてということについては,医師,歯科医師,薬剤師のコアカリの体裁がそのようになっておりますので,それは是非そのような形での整理が適切,妥当だろうと思います。
それから,医師の場合に,学生の実習というのには現状でCBT・OSCEを課して,そしてその要件をクリアした者に対して,患者さんや御家族の十分な理解の下に,そこのところを丁寧にお願いして,小見山委員が先ほどおっしゃっていただきましたけど,本当になるべく実施をさせて,しっかりした能力を身に付けさせたいというところが大変強いわけですから,それに資するように是非検討していくのがよいのではないかと思います。CBT・OSCEに代わるものを導入とかということは今まだ現実的ではありませんけれども,しっかり国民というか,患者さんや利用者,御家族に十分な理解と協力を頂くと。今後の医療職としてすぐれた人材を育てるためには御協力を是非賜りたいというメッセージを強く打ち出しながら実施をしてもらうというところが大変大事だと思いますので,意見を申し述べさせていただきました。
【高田座長】 ありがとうございました。
いろいろ御意見頂いていますけれども,なかなか現実のものがないと議論も進まないので……。
はい,どうぞ。
【井村委員】 今,釜萢委員がおっしゃられたように,実践力を付けるということと,国民の理解も得ながらということ,可視化されることが大切であると思っております。私が所属している大学は交換留学として海外から看護学生を受け入れておりまして,日本の実習施設にも行くのですが,実習においてこんなに何もしないで卒業して本当に学生たちは怖くないのか,国民も怖くないのか,実際の看護職も怖くないのかということを,毎年毎年,違う学生に言われておりますことも少々共有させていただきます。ですから,やはり日本の医療職者教育を本当に根本的に変えなければいけないと強く思っております。
臨地の受入先の病院では,小見山委員もおっしゃってくださったように,看護学生には本当にたくさん実習させたい,責任を持って引き受けているのであるから,その範囲においてできるだけのことは行ってよいですとおっしゃってくださっている。これは,施設にもよって異なるとも思いますけれども。ですから,それを最大限活用すべく,大学の教員自身も自信を持って,そして自分も責任を持ちながら,一歩も二歩も踏み出すということが必要なのだと思います。どのように表現できるか分かりませんけれども,教員側のスタンス,ありようもやはり大切だと思います。
そして,医師の実習ガイドライン等も参照にしながら考えているのですが,診療の参加型実習ということは是非に打ち出していただきたい。もう既にJANPU作成のガイドラインにそれが打ち出されているのであればもちろん有り難いことですけれども,参加型,看護ケア参加型ということを決定的に打ち出していただけたらと考えております。
また,先ほどOSCEのことも出まして,この検討会ではそこまで議論しないことということも承知しておりますけれども,OSCEのことや,共用試験のことも,看護の領域でも追って近々考えていくべき必要性があると思っておりますので,少々発言させていただきました。
【高田座長】 ありがとうございました。OSCEとか共用試験については,医学の方では随分前からやっていて,最近やっと定着してきたのかなというふうな気がいたします。これは前回か前々回かもここで論議したことだと思います。そこでの論議でも,非常に有用なんだけれども,今,全部を行うというにはすぐには難しいねというようなお話だったかなと思います。今,参加型ということで非常に大事だということですけれども,これも医学の方でずっと言われていて,それが,国民性といいますか,いろんなことがあってなかなか欧米レベルまではいっていないというのが現実だと思います。その中でどういうふうに努力していくかというようなことかなと思います。
他に御意見いかがですか。どうぞ。
【宮﨑副座長】 今,井村委員からお話が出た中で,先ほど来出ている実習というのが単独の科目ではなくて,講義,演習,そして実習,そしてまた演習に入るという,そういう循環を生んで定着して学習されていくものだという,そういう流れからいくと,やはり本当に現場に出ていくということは,国民の方の,患者の方の,利用者の方の理解と協力の下に学習させていただくということですので,現場に出る前に学生のある一定水準の質の担保ですね,そこはOSCEとかそういう方式には看護学の場合はならないにしても,やはりそれぞれの現状でも実習に送り出す前の演習で,そこら辺は,質の担保という点では十分に確認しながら,演習を行いながら送り出しているところではありますが,改めて今,御発言を聞いて,そこの事前の演習の重要性というところ,私は認識をいたしました。
それから,ちょっと追加で,井村委員のお話の中で私も後で発言しようかなと思っていた部分は,臨地の実習というのは,実習施設側と大学側の協働による学習だと,そういう環境を作っていくんだということなんですが,臨地の方の指導者の方,管理者の方の御理解を得ながら協働していくということももちろん重要なんですけれども,私が問題意識を持っているのは教員側の姿勢です。実習に対して,どういうふうに臨地と協働していくのか,どういう事柄を実習の学習素材としていくのかというような教員側の資質というところも,このガイドラインで基本的なところを確認して共通理解を図っていくというところも必要なのではないかと思いました。参加型といいますか,何で現場にコミットした学習状況が必要なのにそうならないのかといったときに,臨地側と大学側の協働ということもあるけれども,やはり大学側が,どういう現場の現象の素材を使って,どういう体験を通して,どういう学習をさせたいのかという大学側の意向や考えを臨地側に明確に伝えているのか,その学習の素材となる現象の場面に教員も介在して一緒になって学生を教育しているのかという,そこら辺の大学教員としてのコミット力が,私はもっともっと確認してもいいのかなと思っておりましたものですから,そこもこのガイドラインの中で確認,内容に盛り込めたらいいかなと思います。
それから,ちょっと付随して,先ほどからこれをどう進めていくのかという話が出て,臨地側の方にももっとお入りいただいた方がという話が出てきていたのですが,私は,この検討会のこの場にも臨地の方にお入りいただいていいのかなと。今,小見山委員,秋山委員に入っていただいているんですけれども,もう少しこの実習の議論に関しては,更に職能なども加味して臨地の方にお入りいただいてもいいのかなと思うのですが,いかがでしょうか。
【高田座長】 宮﨑委員,ありがとうございました。幾つかございましたけれども,実習に関して,単独ではなくて,その前後の講義とか演習等を効果的に使うというのは厚生労働省の方でも十分論議されたことだと思いますので,これは当然入れることになるかなと思います。
それから,最後のところに関連して,実習ガイドラインを作るという点です。実はまだ正式には決めてないんですけれども,話がどんどん進んでいます。この点を最初にまず決めたいと思います。御意見を伺っていると,中身をどうするかという御意見ばかりでございまして,こんなものは要らないという意見はないようでございますので,作っていくということでよろしいですかね,これは。はい,ありがとうございます。それでは,実習ガイドラインを作成していくという方向で行きたいと思います。
そうしますと,本検討会は継続していくということで,この会で検討していく。そして,先ほど宮﨑委員から,実習というのは,この案のところにもありますように,実習施設と大学が連携して行うことなので,実習施設の方がもう少しいた方がいいんじゃないかというような御意見もございましたけれども,この点はいかがでしょうか。少しその辺を充実させるということでよろしいですかね。はい,一応そういう形でこの検討会を継続してガイドラインを作成する方向に行くということで大体合意はできたかなと思います。その具体的なことについて,先ほどJANPU,看護系大学協議会の方で少し作業が進んでいるというようなこともございましたが,その辺も含めて今後のことについて事務局の方から何かございますか。
【杉田看護教育専門官】 ありがとうございます。次回,是非とも案を提示させていただきたいと考えております。
そういたしますと,次回でございますが……。
【高田座長】 そうですね。
【杉田看護教育専門官】 十分に御意見を出していただいたということで。
【高田座長】 いただいたということで。それで,委員の増員等も少し考えるということでよろしいですよね。
【杉田看護教育専門官】 はい。
【高田座長】 はい。
【平野委員】 他によろしいでしょうか。
【高田座長】 他に何かございますか。
【平野委員】 是非議論していただきたいこととして,別件なんですが,今,助産師の教育でも大学院化しているところがかなりあると思いますし,保健師も徐々に増えてきているところです。今回,助産師も保健師も指定規則では31単位になり,更に修士課程としての30単位がありまして,合計すると61単位になります。31単位と大学院としての30単位要件をどう効果的・効率的に進められるかが課題となっています。その読み替えという言葉はよくないのですが,現行ではそのままただ足し算した単位数ですが,そこについて一度議論していただけたらと思います。
【高田座長】 今おっしゃっているのは,指定規則で要求されている単位というのが設置基準で決まっている修士だと30単位の外にあって,修士を取って例えば助産師を取ろうとすると,30単位プラス指定規則の単位になって,どんどんそこが膨れ上がってきているという点について,例えば指定規則の単位のうち何単位か分かりませんけれども,それを修士の単位で出せないかと,そういうことですか。
【平野委員】 そこがどのように組み合わせるか等について皆さんで議論したいところです。単に足し算でいくべきだという考え方も多分あると思いますが,実行上で非常に盛りだくさんでもあるので,一度議論していただきたいなと。
【高田座長】 その辺に関しましては,法令上のこととか幾つかあると思いますので,また文科省の方でも少し検討していただければと思います。
他,いかがでしょうか。
【上泉委員】 よろしいですか。
【高田座長】 はい,どうぞ。
【上泉委員】 今の件ですけれども,大学院で助産師教育あるいは保健師教育を行うということについては,まず1つは,大学院の設置基準といいますか,先ほど座長が言われた法令との関係の整理が必要ではないかと思っています。現在,看護系の教育課程で大学院教育として制度的にあるのは,専門看護師とナース・プラクティショナーの2つです。保健師並びに助産師については,教育課程は従来のままといいますか,保助看法並びに指定規則等に規定されている教育課程ですので,整理をまずする必要があると思っています。
【高田座長】 ありがとうございました。
ちょっと話がいろいろと飛んだんですが,ガイドラインの方に戻らせていただきます。これについては,では事務局の方で少し準備していただくということと,それから,検討会委員の増員も考えていただくということでよろしいでしょうか。はい,ありがとうございます。
はい,どうぞ。
【井村委員】 私の理解が不確かでしたので確認できるとありがたいのですが,平野先生の御意見で臨地の方を入れたらよろしいのではないかという意味は,今,JANPUという組織体の中の委員会活動としてやってくださっている,そこに入れたらよろしいのではないかというようなご意見のようにも受け止めたのですが……。
【高田座長】 いえ,この委員会にということで。
【井村委員】 ええ,それは理解しておりますが,JANPUは別組織ではありますがそこの委員会がワーキンググループのようになるわけですね。文科省と私どもの会議体がJANPUの委員会をこの会議体のワーキンググループとして見立てて委託する構造になりますか。JANPUという組織の委員会に対してお願いするということですね。
【大島委員】 平成29年からもう依頼しているんです。
【井村委員】 はい,はい。で,そこに,臨地の方に入っていただく。つまり,大学協議会は大学教員から成る組織ですので,そこの委員は全員教員だと思います。そこに臨地の方を入れていただくのはどうかという意見にも聞こえましたので,そのあたりの確認をはっきり確認しておいた方がよろしいのかと思って,発言させていただきました。……それも可能かどうかも含めてですけれど。
【平野委員】 可能性としてはそのとおりです。ただ,他組織のことですので,希望として申し上げるしかできないかと。この場に入っていただくことは,別のこととして重要と思っています。
【上泉委員】 看護系大学協議会で,さっき御説明があったように29年度までは補助金を頂いてやってきました。今年度は補助金はありませんが,現在JANPUの委員会でガイドラインを作っているところです。次回のこの検討会が10月4日と聞いており,期間が短いですので,今回,JANPUの委員会にどなたか臨地の方をお呼びするというのは少し難しいと思っております。是非この検討会にお呼びいただいて御意見を頂くというふうにしていただければと思います。
【高田座長】 他組織ですので,その委員をどうこうってなかなか言いにくいんですけれども,最終的には組織として,この委員会としてどうだというふうに決めればいいと思いますので,出てきたものに対して,この検討会として実習施設の方を含めて意見を広く出していただければよろしいんじゃないかなと思いますけれども,それでよろしいでしょうか。はい,ありがとうございます。
これで今日は大体終わりですかね。以上でほぼ終わりなんですけれども,事務局の方から何かございますでしょうか。
【杉田看護教育専門官】 ありがとうございます。ちょっとお時間が早くございますので,委員の皆様からプラスで特段,よろしいでしょうか。ありがとうございます。
そういたしましたら,先ほど次回の日程がもうオープンにされたような形にはなってございますけれども,もうすぐに,タイトな日程になってございますので,正式には早々に御連絡させていただこうと考えております。
この検討会を継続していくということになりましたので,JANPUの方の常設委員会との――もう年間スケジュールで委員会の方が決まってございますので,そのうまいタイミングのところで今後のこの検討会の日程について調整させていただこうと考えておりますので,早々に御連絡させていただきます。
本日の資料ですが,机上配付している青いファイルと黄色いファイルは,そのまま持ち帰らないで机の上に置いたままとしていただき,それ以外の資料に関しましてはお手元にと考えております。
以上でございます。
【大島委員】 済みません,ちょっと最後になってよろしいですか。
【高田座長】 はい,どうぞ,どうぞ。
【大島委員】 今日の議題の1番だけは,今,指定規則に関して大学の在り方ということに関しては,今のここの会で結論的なものとしては何か出たことになりますか。今,1番目の議題でしたが。
【高田座長】 結論的なものといいますか,それを含めた上で一次報告という形で出せればなと思っていますので,そこでまた改めて確認していただければと思いますけれども。
【大島委員】 はい,分かりました。
【杉田看護教育専門官】 具体的にはと申しますか,資料1,議事1になりますが,その御議論いただいた内容は,資料2をもう一度御確認いただきまして,ローマ数字のⅣ番目,留意すべき事項ということで,議事1で先ほど御議論いただいた内容をコンパクトにまとめさせていただきまして,次回の第一次報告(案)として御提示させていただこうと考えております。
【高田座長】 よろしいでしょうか。
それでは,本日の会議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

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