産学連携による科学技術人材育成に関する大学協議体と産業界による意見交換(第2回) 議事要旨

1.日時

平成31年3月19日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

経済産業省別館6階 第1・3会議室

3.議題

  1. 政府の取り組みについて
  2. 理工系人材育成に関する産学官行動計画のフォローアップについて
  3. 大学協議体の取り組み紹介について
  4. 課題解決に向けた方策等について
  5. その他

4.議事要旨

○山崎室長(経済産業省)  定刻になりましたので、第2回「産学連携による科学技術人材育成に関する大学協議体と産業界の意見交換」を開催いたします。  委員の皆様におかれましては、本日、ご多忙にもかかわりませずご出席いただき、まことにありがとうございます。  経済産業省大学連携室長の山崎が、今回、司会を務めます。よろしくお願いします。  今回は、昨年3月に実施した本意見交換の第2回目という位置づけになります。議事については、事務局にて進行をさせていただきます。  本日の出席者ですが、大学協議体のほうからは曄道委員、古田委員がご欠席となっております。  それでは、事務局にて資料を確認させていただきます。お手元、資料1から4をご確認いただければと思います。また、メインテーブルには、各団体から提出いただいた行動計画のフォローアップ表を別途お配りさせていただいております。よろしいでしょうか。  では、カメラ撮影はここまでとさせていただければと思います。よろしくお願いします。  早速議事に入りたいと思います。まず(1)、前回の意見交換会開催以降の政府の取り組みについてご紹介申し上げます。経産省、文科省の順で説明いたします。最初に商務情報政策局情報技術利用促進課の中野課長からよろしくお願いします。

○中野課長(経済産業省)  情報技術利用促進課長の中野でございます。それでは、資料1-1に基づきまして、ご説明申し上げます。  昨年の3月に、こちらで一度、理数系の人材、数学関係の人材の産業界での活用ということで、いろいろご議論いただき、それを受けまして、別途、「理数系人材の産業界での活躍に向けた意見交換会」を文部科学省と経済産業省で協力して開催いたしました。5回開催をいたしまして、先般、最終回である第5回が終わりました。その場におきまして、報告書の案というのをご議論いただきまして、おおむね了承を得られましたが、幾つか追記、修正がございますので、それを調整した上で、今月末には公表したいと思っております。そういった意味では、報告書はほぼできておりますが、全てではございませんので、今回は、その骨子をご紹介いたします。「未定稿」とありますように、本日版ということで、議論の結果のご紹介でございます。  タイトルは、少しふるっておりますが、「数理資本主義の時代~数学パワーが世界を変える~」というようなことで、今後の経済において数学が非常に重要だということを強調するため、あえて「数理資本主義」というような言葉をつくっております。  1ページめくっていただきますと、このような、数学が産業界において大事だという問題意識は、もともと数学はいろいろ使われてはいるのですけれども、とりわけ強調したいのが第3次AIブームということで、ディープラーニングの登場に始まります。さらにディープラーニングのアルゴリズムということもございますが、ディープラーニングの弱点であるブラックボックスではない「説明可能な新たなAI」の開発競争や、量子コンピュータのような新たなコンピューティングの議論まで始まっている中で、数学の知識や能力の必要性がますます高まっております。  ※1にございますけれども、ここでいう「数学」というのは、狭い意味での数学ではなくて、数学的な表現を必要とする物理学のようなものも含む、広範な概念で議論をいたしました。  今、第4次産業革命、あるいはSociety 5.0と呼ばれるものは、サイバーとフィジカルの融合であるとか、社会のあらゆる場面でデジタル化が進んでいるということですが、そもそもデジタル技術の根幹には数学がございます。左側の図は、意見交換会でゲストスピーカーとして、ご出席いただいたスクウェア・エニックスの三宅さんがお示しされたもので、第1次、第2次、第3次と、AIブームに従って必要な数学が高度になっていっていることがわかる資料でございます。特に第3次AIブームでは大学3年から4年で学ぶような数学が求められるというようなお話がございました。それから、右の図はNECの西原委員が提出された資料でございますけれども、数学というのがデジタル技術の根幹にあるというのを模式化した図でございます。  2ページ目は、アメリカなどでは巨大IT企業が大学の研究者にも引けをとらないすぐれた数学者を雇用していることや、あるいは、ここ7~8年のアメリカでは、人気職業の上位10位以内に数学関係の職業が入っているというようなことで、非常に理数系人材の人気が高まっているというようなことでございます。  3ページ目は、これも三宅さんの資料なのですけれども、もちろんこれからプログラミングの能力が大事だというのは論をまたないわけではございますが、ここに大学課程で学ぶ水準の数学の知識があると、プログラミングの能力も、飛躍的に高まるのだと強調されてございました。  また、その数学というのは、そもそも抽象化、普遍化して考える能力だということで、ものや構造の支配原理の発見や、異なる現象の間の共通点の発見、あるいは国や世代を超えた共通言語になり得るということで、ディスラプティブなイノベーションを起こす、あるいはオープンイノベーションの実現をするときに非常に重要なツールとなります。こういうオープンイノベーションが重要であるという時代にも、数学というのは非常に重要であり、こういった経済の変化の流れを大ざっぱに捉えるとすれば、この第4次産業革命の進行というのは、数学が国富の源泉となる経済になりつつあるのではないかということで、「数理資本主義」と表現してみたということでございます。  4ページ、5ページは、マスメディアとかで発言されている有識者のご意見をまとめたものですけれども、数学が大事だとかいう意見が非常に強く改めて見直してみると、やはり世の中はそういう流れになっているのだなと思ってございます  6ページは、経済産業省で実施しました企業へのヒアリングで、産業界のいろいろな会社にお伺いをすると、数学が大事だというのはよくご存じでして、特にこの5年ぐらいでそういうニーズが強まっているというようなことをお話しされる方が多く、非常に変化を感じました。  7ページ目は、これは日本数学会が主催された異分野・異業種研究交流会2018の参加企業へのアンケート調査でございますけれども、こちらでも各社、数学関係の人材が欲しい、必要だというようなことが回答として出ております。  8ページ目は、数理資本主義と呼んでみましたけれども、世界の流れはどうかといいますと、ほぼ軌を一にしており、例えばイギリスは「数学の時代」、“The Era of Mathematics”というようなレポートを最近、出してございます。資料には、イギリス、フランス、オランダ、オーストラリアと並べておりますが、特徴的なのは、いずれも、経済、雇用への数学の貢献度が、例えば雇用の10%ぐらいは数学でたたき出しているというようなことを出しておりまして、各国とも、数学というのが経済と非常に密接にかかわるようになってきたということを強調するようになってきていることでございます。  9ページ目ですが、こういう数理資本主義と呼ぶべき、数学が国富の源泉となるというような時代に当たりまして、我が国のポテンシャルはどうなのかというと、特に大学の先生方からのご指摘ですが、日本の数学研究というのは伝統的に純粋数学志向というのが強いのだけれども、純粋数学研究のトップにおいて日本は一定の存在感を示しているとお話がありました。また、いわゆるOECDのPISAの調査、15歳の学習到達度調査でも、日本は上位に位置づけられていて、各国に対しておくれをとっているようなことはございません。また、国際数学オリンピック、情報オリンピックにおける日本の順位も、好成績を残しているということで、我が国はポテンシャルとして、数学の能力については決して引けをとるものではなく、むしろチャンスがあるのではないかと思ってございます。  ただ、10ページにありますように、これは10年ぐらい前の資料でございますけれども、国際数学オリンピックの、例えば予選通過者の進路をみると、IT系等に行っているというよりは、医学系に進むものが多く、最近の有名進学校における進学の調査をみても、医学部に行く指向が割と多いというようなことになっております。  それから11ページでございますけれども、例えばアメリカと比較した場合に、数理科学の博士課程修了者というのは、アメリカは日本の10倍以上いて、人口比で考えても、やはりアメリカのほうが多いというのが1つあります。第2に、その博士課程修了者の進路が、日本は産業界に行くのは大体1割ですが、アメリカは3割ぐらい。しかも、アメリカの棒グラフをご覧いただきますとわかりますように、産業界に行く修了者はふえているのですが、アカデミックに行く人が減っているわけではなく、全体がふえているというようなことになっております。  11ページの下ですけれども、これは“NATURE INDEX”に出ていた資料で、数学に限らず、論文数が落ちているという、最近、よく問題になっていることをあらわしております。数学分野は、論文数自体は増加しているのですけれども、その伸びは世界に比べて鈍化しており、物理に至っては減少しているというようなレポートでございます。  課題と対応の方向性として、12ページでございますけれども、既にお取り組みがあるのですが、どうも数学の学生さんが産業界のニーズを知る、あるいは産業界で働くことはおもしろいと感じるのに当たっては、インターンシップとスタディグループという、この2つの方式が非常に効果であるとのことでございます。これは海外でも同じようなことがいわれているようでございます。ただ、機会が不十分であるとか、あるいはインターンシップやスタディグループというのは、いうほど簡単ではなくて、企業のさまざまな課題を、いきなり数学者がそのまま解くことはできず、企業の課題を数学的な問題に通訳するような人が必要でございます。それゆえに非常に手間がかかるのですが、そこが弱いというような課題が挙げられました。また、やはり数学者が企業に行ったときのキャリアパスが不明瞭であるといったようなことや、企業の受け入れ体制が十分でないとか、採用や処遇、女性研究者の少なさといった課題が挙げられました。対応としては、インターンシップ、スタディグループの普及・促進、企業による博士課程への進学支援というようなこと。あるいは、クロスアポイントや兼職、メジャー・マイナー制度などの活用というようなことが提言されました。一方で、具体的にこれからどうしていくかというのは、それこそ、これからやっていくしかないなといったところでございまして、どういうモデルがあるかというのは、イノベーションだということで議論が進みました。その中でも数学者が働いて、能力が発揮できるような企業のマネジメント、いわば数理資本主義の時代にふさわしい企業の柔軟なマネジメントというのを、これから産業界は模索していかなければならないというようなことが、とりわけ産業界代表の委員の方から、口々に出たというようなことでございます。  以上が概略でございまして、参考までに、13ページ以降は、そういう数学と産業応用についての既存の取り組みについてご紹介をしているということでございます。  以上でございます。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。まとめに掲げられた課題については、最後の意見交換のところにもかかわってくるのかなと思っています。  続きまして、大学連携推進室の徳弘補佐から、産業技術環境局で開催しております産業構造審議会の研究開発・イノベーション小委員会の、最近の検討の状況と、あと昨年度、紹介させていただいた人材需給調査の確定版について説明いたします。

○徳弘室長補佐(経済産業省)  経済産業省の徳弘でございます。今、室長からもありましたとおり、産構審の議論の様子というのをご紹介させていただきたいと思います。  「Society 5.0時代のオープンイノベーション、スタートアップ政策の方向性」ということで、先日、議論をいたしましたけれども、オープンイノベーションの一つとして産学連携ということを取り上げましたので、ご紹介させていただきます。  資料、大部になりますので、まず8ページ目をあけてください。現状と課題ということで整理を行っております。こちらが我々の今の認識です。1つ目の丸にあるとおり、オープンイノベーションの取り組みというのは、その数自体はふえつつあると認識しておりますが、海外に比べては、まだ広がりは不十分で、その一つの大きな要因というのは、やはり大学のみならず、企業の姿勢というのが非常に重要なのだろうと考えております。  2つ目が産学連携です。今まで個別技術の橋渡しというものをやってまいりましたが、次に掲げる3つのポイントで、まだ十分な成果を上げられていないのではないかということで記載をしております。①が、新たなシーズというところです。大学のほうで論文数とか、あるいは影響ある論文の国際的な位置づけというのが低下している中で、研究者自体が高齢化していっているのではないかと。そういったところで大学財政の不安定化みたいなものもあって、今後、改善する見通しが今のところ立っていないのではないかという問題意識をもっております。  ②が人材のところでございまして、Society 5.0時代のビジネスに役立つ多様な人材の育成・提供が求められている中で、理系人材などニーズの高い分野の専門人材や、女性研究者、リカレント教育の充実など、課題がまだ多いというように考えております。  ③が、環境整備でございます。産学連携の必要性についての企業、大学の、それぞれの意識改革、実施体制というのがまだまだ不十分なのではないかと考えております。  3つ目のポイントはベンチャーなので、今回は割愛させていただきたいと思います。  詳細につきましては、12ページをあけていただきまして、1つ目が先ほどご説明いたしましたシーズ研究のところでございます。左側の図のところにも掲げさせていただいていますけれども、日本は基礎研究が若干少なくなっておりまして、どちらかというと応用研究のほうにシフトしていっているのではないかという懸念をしております。  また右側の図にも掲げさせていただきましたが、企業のほうでも連携先を探すリソースというのが限られてきてしまっていて、オープンイノベーションに苦戦をしているという実態があります。したがって、今後の政策の方向性といたしましては、ゲームチェンジを仕掛けるようなシーズ研究の充実、そして有望な若手研究者にしっかりとお金を張っていくということを考えたいと思っています。併せて、そういったことをやっていくに当たっては、目きき人材みたいなものも必要になってくると考えております。  次、ちょっと飛ばしまして、14ページ目、人材の循環、流動化というところでございます。企業と大学間におけるクロスアポイントメント制度というのは、5年前に我々のほうで手引を示したところなのですけれども、特に企業と大学間におけるクロアポの利用というのはまだまだ低いレベルにとどまっていると考えておりまして、5年たったのも踏まえまして、手引の見直しとか普及促進に関する取り組みというのが今後一層重要になるのではないかと考えております。  次、15ページ目に行きまして、女性研究者のことでございます。我が国の女性研究者というのはいろいろなところにいらっしゃいますけれども、大体のところで9%から26%、全体でいうと15%ぐらいで、諸外国に比べて、まだまだ低い状況というのは変わっておりません。我々のほうで、NEDOの先導プログラムといって、研究者につけるお金というのをもっているのですけれども、その平均も大体8.0%となっていまして、非常に低い状況が続いております。なので、国のプロジェクトにおいても女性研究者の積極的な参画を促す政策というのを一層促進していくべきではないかと。その中で、最後の4つ目の丸にあります「例えば」でも書かせていただきましたけれども、女性研究者増に向けた大学の環境整備であったりとか、あるいは高校生を対象とした理系キャリアパスの魅力というのを積極的に体験できるような活動というのが、今後、必要になっていくのではないかと思っております。  そして16ページ目はリカレント教育でございます。リカレント教育の提供というのが、まだまだ今の社会システムの中では難しいのではないかということを問題意識としてもっておりまして、今後は産業界がさまざまな形態で大学の運営を行えるよう、制度のあり方というのを見直していくべきではないかということで記載しております。今までは、産学連携というとどうしても研究に、メインに光が当たっていたかと思いますけれども、今後を考えていきますと、ここに掲げさせていただいているトヨタ自動車さんとか浜松ホトニクスさんとか東武の取り組みというのがありますが、株式会社立大学みたいなのでやられているソフトバンクさんのサイバー大学であったり、CCCのデジタルハリウッド大学であったり、産業界が実務教員を出しながらしっかりと教育していくというやり方ももう少し追求できるのではないかということで提案をさせていただいている次第です。  17ページ以降も産学連携の取り組みなのですけれども、こちらのほうは必ずしも人材というわけではないので、説明は割愛させていただきたいと思います。後ほどごらんいただければと思います。  次に、もう1つの資料のほうで、「理工系人材需給状況に関する調査結果概要」ということでお示しさせていただいています。ただ、これは、実は今年度は3年間たったのと、あと関係各省と調整の結果、今年度は実施いたしませんでしたので、昨年度、ご報告させていただいたものの確定版ということで配付をさせていただいております。去年からのアップデートで申し上げますと、最初の社会人対象のニーズ調査というのは変わっていないのですけれども、資料で申し上げますと12ページ目以降の企業向けのアンケートのところで、傾向は変わっていないのですが、数字がアップデートされております。具体的に申し上げますと、企業の採用状況と、あと採用予定人数と採用の実績人数というのを比較した結果ですけれども、全体では6.8%ということで、希望どおりの採用というのはなかなかうまくいっていないのかなと認識をしているところでございます。去年とは傾向は変わっておりませんので、ご説明は割愛させていただきたいと思います。  以上でございます。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。  続きまして、文部科学省専門教育課の寺坂企画官から、同様に政府の取り組みについて紹介をさせていただきます。

○寺坂企画官(文部科学省)  それでは、資料1-4をご覧いただければと思います。産学連携による人材育成の取り組みに関する2019年度の主な事業についての資料をご用意してございます。その前に、本日、資料としてはお配りしてございませんけれども、政策の方向性といたしましては、昨年11月に、いわゆるグランドデザインについて、高等教育をどうしていくかという答申を出しました。その中で、予測不可能な時代を生きる人材の育成に向けて、学修者本位の教育への転換ということを図っていこうということで、各種取り組みについて記載されているところでございますけれども、そうした中においても、産業界との連携協力を進めていくというところについては随所に記載をされているところでございます。そうしたところも踏まえながら、2019年度の事業についても、幾つか、新しいものも含め、取り組みを進めてございますので、それをご紹介いたします。  まず1ページ目でございますけれども、2019年度の新しい予算といたしまして、持続的な産学共同人材育成システム構築事業ということで取り組みを進めていきたいと思ってございます。こちらにつきましては、Society 5.0の時代を含め、特にリカレント教育等、実践的な教育を進めていくための取り組みといたしまして、実務家教員を育成します。さらに、その実務家教員を育成するだけではなくて、その取り組みを進めていくに当たりまして、産業界と大学の連携の仕組みというものをしっかりつくった上で取り組みを進めていくところまで含めたシステムをつくっていっていただくという事業としてまとめてございます。  事業の概要につきましては、真ん中の四角のところに書かせていただいてございますけれども、リカレントや実務家教員育成に関する産学共同教育の場をつくっていただきまして、そこで産業界と連携をした形で実務家教員の育成プログラムを開発、実施をしていただくということでございます。  あわせて、実務家教員の育成プログラムに加えまして、実践的な教育プログラムというものもつくっていただき、またそれを実施するに当たって、産業界、大学の側、それぞれ人材を行き来できるような仕組みというものも構築をしていただくというような仕組みをつくっていただきたいということで考えてございます。  加えまして、実際にその研修プログラムを受けた実務家教員の方について、この取り組みに参加をしている大学に加えまして、全国の大学からもそうした情報にアプローチができるような形にするために、人材エージェントの仕組みというものも大学側のほうに構築をしていっていただきたいということで、修了者の情報を集約して、他の大学からもマッチングができるようにする、そういったような仕組みもあわせてつくっていくということを想定している事業でございます。  スケジュール感としては、2枚目にございますように、予算成立を前提といたしまして、今年度中に公募を開始して、夏ごろには事業を開始できるようにということで進めていきたいと考えております。  続きまして3ページ目でございます。卓越大学院プログラムということで、高度な大学院教育を進めていくための取り組みでございます。平成30年度、今年度から実施をしているものでございますけれども、企業でございますとか、あとは海外のトップレベルの大学との、組織対組織の連携ということで、世界最高水準の教育・研究を進めていく、そうした5年間の博士課程の学位プログラムを構築していくための取り組みということでございまして、平成30年度におきましても、4ページ、5ページにございますような形で採択をしてございます。企業と連携をするような形で、かなりしっかりした取り組みが進められていくということで計画が出されてございますけれども、平成31年度につきましても、この継続分に加えまして、新しく新規のものについても含めて計上しているということでございまして、31年度の新規採択について、現在、公募中ということでございます。  続きまして、6ページ目でございますけれども、博士課程教育リーディングプログラムということでございます。こちらは平成23年度から実施をしてございまして、専門分野の枠を越えて、全体を俯瞰できる力、また、独創力をもった上で、産学官で活躍するリーダーを養成するというためのプログラムに取り組んできたところでございます。これまで6,000人以上の学生が在籍をして、約1,300人の修了生を輩出しているという状況でございます。この修了者につきましてはほとんど就職をしているわけでございますけれども、4割以上が企業や官公庁に就職をしている、いわゆるアカデミア以外に就職をしているということで、一般の博士課程に比べると高い割合ということで、多様なキャリアパスの構築にもつながっているというような状況になってございます。こちらにつきましては、31年度で、文部科学省の支援事業としては終了いたしますけれども、こうしたプログラムを修了した学生さんの活躍の場等について、引き続きご協力をいただければということで、この事業についてもご紹介させていただきました。  文部科学省からは以上でございます。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。  それでは、次の議題です。(2)行動計画のフォローアップに移ります。まず行動計画について、皆様の取り組みについて事務局から紹介させていただいて、大学側の取り組みを寺坂企画官から、産業界側の取り組みを徳弘補佐から紹介をし、その後、議論に移りたいと思います。  では、寺坂企画官、よろしくお願いします。

○寺坂企画官(文部科学省)   資料2でございます。まず教育機関側の取り組みをまとめてご紹介させていただきますが、1ページ目でございます。産業界のニーズでありますとか、そういう動向をどのように伝えているかというところにつきまして、教育機関側の取り組みを2つ書いてございます。中身といたしましては、新入生のオリエンテーションでございますとか、あとは授業の中で産業界でありますとか、地域社会の動向について解説をしていく、また周知をしていく、そうした取り組みを進めてきているという状況でございます。  2ページでございますけれども、成長分野を支える分野、特に数理・情報でございますとか、そういったところにかかわる産学協働した人材育成の取り組みの強化に関しまして、5つほどございます。社会人も含め、学部と修士一貫の六年制でのメジャー・マイナーという形で、数理・情報とほかの分野についても学べるようなプログラムの構築でございますとか、そういった取り組みにつきまして進めてきているところでございます。  また高専につきましても、情報セキュリティでございますとか、そうした情報技術分野について、全国の高専が連携するような形でセキュリティ教育等の推進に努めているという状況になってございます。  続きまして、4ページ目でございます。産業界が求める理工系人材のスキルの見える化というところでございます。こちらにつきましては、教育機関の4つの取り組みを主なものということでご紹介をしてございますけれども、やはり企業と連携した形で、企業の実課題を使ったプログラムでございますとか、企業から直接助言を受けられるような機会を、その中で用意をし、実際にどういう人材が求められているかというところを学生に実感をしてもらう、そういったような取り組みを進めていっていただいているという状況になってございます。  続きまして、5ページ目でございます。専門教育の基礎となるような教育でございますとか、分野横断的な教育の提供等、また地域もしくは産業分野の特性を生かした、大学と産業界の対話の場の設定でございますとか、社会人の学び直しというところでございます。こちらにつきましては、教育機関、3つございますけれども、文理を問わずに、これからの時代に必要となるような数理・データサイエンス教育プログラムの展開に取り組んでいただいているというようなこともございますし、また大学の運営に関する会議でございますとか、教育に関する外部評価の場でございますとか、そういった重層的な形で産業界との意見交換の場を設定していただいているというような取り組みも進めている状況でございます。  また学び直しにつきましても、先ほどのところにも少しございましたけれども、体系化をした形にオーダーメード型で学び直しができるようなプログラムを準備していくというような取り組みが各大学で進められているというような状況になってございます。  続きまして、7ページ目でございます。教員や博士課程の学生の人件費を含めた産学共同研究費の拠出の検討でございますとか、秘密情報の保護等というところでございます。こちらにつきましては、共同研究に参加をするような博士課程の学生さんが、実際、共同研究員として大学に雇用されて取り組むと。そういった中で、共同研究の費用の一部として入れ込んでいくというような形の取り組みを行っているということでございますし、また個別の共同研究をやっていくに当たっては、守秘義務条項でございますとか、誓約書といったものを結ぶことで情報保護に努めていく、そういったような取り組みを教育機関のほうで進めているという状況でございます。  続きまして、8ページでございます。中長期インターンシップについて、企業及び大学のさらなる参加の促進ということでございますけれども、インターンシップにつきましては、実務訓練というような形でございましたり、課題解決型の長期インターンシップというものを、実際の正規の教育課程として入れ込む形で取り組んでいくような事例でございますとか、実際にそういうインターンシップのアレンジをするようなセンターを置いて、そこの中で長期インターンシップを援助して、取り組んでいくような形の体制づくりを進めているという事例が出てきているという状況でございます。  続きまして、9ページ目でございます。博士課程教育リーディングプログラムにおける産学の教育の促進というところにつきましては、まさにリーディングプログラム、先ほども事業でご紹介をいたしましたけれども、そのプログラムを研究科のカリキュラムにも組み込んでいくというような形で、実際に次につながっていくような形のプログラムとして取り組んでいくというような動きが進んでいる状況でございます。  その次のページでございますけれども、新規分野開拓における博士人材の活躍機会の促進というところでございます。こちらにつきましては、アカデミア以外で活躍する博士人材を対象として、人材育成を行うようなプログラムをつくっていくということ等を通じまして、これまでの、いわゆる博士課程の学生がそのままアカデミアに行くという形ではなくて、産業界を含め、また地域での活躍等も含めて、いろいろな分野で活躍していけるような教育プログラムの推進というものに取り組んでいる状況でございます。  その次でございますけれども、11ページでございます。研究開発プロジェクト等を通じた人材育成の実施でございます。こちらにつきましても、特に優れた研究能力を有する学生さんについては、外部資金による大型のプロジェクトに参画をさせる、そういったための仕組みを設けていくというようなことに取り組んでいただいているということでございます。  12ページでございます。大学、企業等による理科実験教室、出前授業、教材開発等の科学技術の魅力を発信する取り組みでございますとか、小中高生を対象とするような出前授業等を推進していくというところでございます。教育機関の取り組みといたしまして、まさにそういった出前講義を実施していたり、また研究室を訪問するような機会を提供していくということに取り組んでございますし、教員の方を対象といたしまして、指導者研修会というような形で、実際に探求活動をどのようにやれば、もっと活性化をしていくかというような形の研修会の開催等も進めているところでございます。  最後に、13ページでございます。将来の職業と結びついた学問分野を選択する意識をもたせる、キャリアパス等の周知というようなところかと思いますけれども、こちらにつきましては、生徒の発達段階に応じた系統的なキャリア教育というものをプログラム化して、実施していくという取り組み、また特に女性の活躍促進というところに向けて、実際に女子中高生を対象としてキャリアパスをみせやすくするというところでございますとか、実際に働いている方との交流の機会をつくっていく、そういったようなことに取り組んでいる状況でございます。  教育関係のところは以上でございます。

○徳弘室長補佐(経済産業省)  続きまして、産業界の取り組みということでご紹介をさせていただきます。  まず1ページ目ですけれども、こちら、産業界のニーズの具体化に積極的に取り組むというのが産業界の短期的目標に掲げられていたかと思いますが、経済界には、さまざまな意見交換であったり、各種提言というのを出していただきまして、ニーズの具体化に取り組んでいただいた次第です。  続きまして2ページ目、産業界の目標といたしましては、博士人材を産学協働で育成することであったりとか、実践的な職業教育の支援ということで挙げられておりましたけれども、それぞれ、さまざまな提言を出していただきました。  飛ばしまして、4ページ目のところに産業界の取り組みがございますけれども、理工系人材のスキルの見える化ということで、さまざまな、例えばリベラルアーツと基礎的リテラシーであったりとか、文章・情報の正確な読解力であったりとか、そういったスキルの見える化に、各団体で取り組んでいただいたのかと思います。  続きまして、5ページ目です。産業界の取り組みといたしましては、インターンシップ学生の受け入れであったり、あるいは地域の産学対話の場の設定ということでございましたけれども、インターンシップについては積極的に取り組んでいただきましたし、地域課題の設定の場ということでは、COCNさん含めて、さまざまな場を設定いただいたと思っております。  続きまして7ページ目、産業界の取り組みとしてクロスアポイントメント制度を活用した研究者の派遣等が短期的目標に掲げられておりましたけれども、クロアポの重要性ということで、経団連に提言いただいたりという取り組みをやっていただいております。  続きまして8ページ目、中長期研究型のインターンシップの重要性ということで、経団連さん、同友会さん、COCNさん、それぞれ取り組みを拡大いただいたと評価をしております。  9ページ目ですけれども、博士課程教育リーディングプログラムです。各経済団体さん、積極的に講演いただいたり、周知をいただいたり、そうした取り組みを行っていただきました。  10ページ目ですけれども、卓越研究員制度につきましても、同様に、関係企業に周知をいただいたりと、そういった取り組みをしていただいております。  続きまして11ページ目です。研究開発プロジェクト等を通じて人材育成を実施するということで、SIPの取り組みというのを全面的に支援いただいたり、そういった取り組みを行っていただきました。  続きまして12ページ目になりますけれども、こちら、出前授業とか、そういったものの重要性ということで、2016年に開設した会員企業・団体が実施している教育支援プログラムに関するポータルサイトを通じた取り組みなど、理科好きの子どもたちをふやすという取り組みに取り組んでいただきました。  最後、13ページ目ですけれども、理工系人材の育成ということで、さまざまなイベントを開催いただいたり、そうしたことで女性の活躍促進をやっていただいたのかなと思っております。

○寺坂企画官(文部科学省)  続きまして、政府の取り組みにつきまして、文部科学省の関係の取り組みをご紹介させていただきます。  3ページからでございますけれども、数理・情報技術分野にかかわる産学協働した人材育成の取り組み等についてでございます。全学的な数理・データサイエンス教育を実施する大学に対して支援をする事業を2017年度から実施してございまして、来年度からは新しく協力校というような形で、さらに体制を強化していく取り組みを進めるとともに、ここで情報技術人材をしっかり育成をしていくということで、いわゆるenPiTというような形でネットワークを産学協働でつくって、実践的なプログラムを進めるというような事業も進めているところでございます。  さらに、今年度からの取り組みといたしまして、データサイエンスを、分野、学部を問わず、さらなる分野へ展開をしていって、そこで価値を創出していくプログラムを進めていくという取り組みについても、今年度から実施をしていくというところでございます。  加えまして、高校段階も含め、小中段階から情報関係の取り組みを進めていくための学習指導要領の取り組みでございますとか、給付型奨学金の推進というような形で取り組んでいるところでございます。  続きまして、6ページでございます。分野横断的な教育プログラムでございますとか、専門教育の基礎となる教育の充実等についてということでございますけれども、工学系に関しまして、学部と大学院の連続性に配慮して教育課程をつくった際に、PBL等、企業と連携した授業の開設を促進する、そういった形を後押しするような大学設置基準の改正も進めてございますし、また、先ほどご紹介をいたしましたが、産学がともに参画をした形で実務家教員を育成した上で実践的な教育プログラムを進めていく事業に新しく取り組むということで、2019年度からの予算ということで行ってございます。  また、産学協働の取り組みの一環として、インターンシップにつきましては、今年度、初めて大臣表彰という形で、すぐれたインターンシップを表彰し、横展開をしていくという制度についても新しく実施をしてきたところでございます。  加えまして、数学の分野に関しましては、産業界と大学とのネットワークということで数学アドバンスト・イノベーション・プラットフォームというような形で取り組みを進めてきているところでございますし、リカレント教育につきましては、いわゆるBPといっておりますが、職業実践力育成プログラムで実務家の活用でございますとか、双方向の事業、または社会人の方が受講しやすいようなプログラムについて大臣認定をする形で、積極的に支援をしているというところでございます。  一番下は、専門学校においてもキャリア形成促進プログラムの認定制度というものを進めているところでございます。  続きまして、8ページでございます。中長期研究インターンシップのところにつきましては、先ほど申し上げましたインターンシップの表彰制度を通じて、優れたインターンシップの普及に努めているという状況でございます。  続きまして9ページでございますけれども、博士課程教育リーディングプログラムにつきましては、先ほども事業をご紹介しましたように、来年度までしっかり継続して取り組んでいくという状況でございまして、その一環として、プログラムの実施状況調査と、その結果の共有についても取り組んでいるところでございます。  続きまして10ページ、新規分野開拓におけるというところでございますけれども、起業家等の育成プログラムを進めていくというところで、アントレプレナー教育を推進するための事業に取り組んでいるということでございます。  その次が11ページで、研究開発プロジェクト等を通じたというところでございますけれども、こちらにつきましては、各種、理化学研究所の事業でございますとか、あとJST(科学技術振興機構)でございますとか、そうした研究機関の取り組み、また競争的資金制度を活用いたしまして、研究を通じた人材育成の取り組みを進めていただくということを実施しているところでございます。  続きまして、12ページでございます。企業等による理科実験教室、出前授業でございますとか、小中高生を対象としたものの推進ということで、スーパーサイエンスハイスクール支援事業というものを実施してございます。2019年度からは新たに高大接続に関する取り組みについても支援をしていくというような取り組みを進めているところでございます。  また、卓越した意欲・能力を有する高校生に対して、大学が講義や研究を提供するというようなグローバルサイエンスキャンパスという取り組みについても実施をするということでございまして、教育課程外において、大学が優れた能力を有するような全国の小中学生を対象にプログラムを提供するジュニアドクター育成塾についても、さらにしっかり取り組んでいくというような状況になってございます。  13ページ、最後でございますけれども、将来の職業と結びついた学問分野でございますとか、女性の活躍促進といったところにつきまして、スーパーサイエンスハイスクール支援事業の実施を通じまして、女子生徒の科学技術への関心や能力を高めるといった取り組みでございますとか、女子中高生の理系進路選択支援プログラムというような形で、実際に活躍する女性たちとの交流会といった取り組みを進めているところでございます。  文部科学省からは以上でございます。

○徳弘室長補佐(経済産業省)  続きまして、経済産業省側の政府の取り組みということでご紹介をさせていただきます。  まず1ページ目ですけれども、政府の目標といたしましては、人材需給の状況を把握するというものがございましたが、先ほどご紹介いたしましたとおり、人材需給に関する調査というのを2年間やりまして、そちらの調査結果等を公表するということをやりました。  続きまして3ページ目、最後のところですが、先ほど中野課長からもご紹介いただきましたけれども、2018年度には理数系人材の産業界での活躍に向けた意見交換会というのを計5回実施し、そのための方策というのを議論いたしました。  続きまして4ページ目でございます。政府の取り組みといたしましてはリケジョナビというシステムを構築・公開いたしまして、成果の普及に努めたところでございます。  続きまして、飛んで7ページ目でございます。経済産業省と文部科学省と合同で、産学官連携による共同研究強化のためのガイドラインというものを策定したほか、大学ファクトブックということで、どういった産学連携の取り組みが行われているかという見える化を図るということをやりまして、そうした取り組みを進めていったところでございます。  最後、8ページ目でございますけれども、1つ目のところ、中長期研究インターンシップの取り組みです。それを実施する主体であるC-ENGINEという協議会がございますけれども、そちらのシンポジウムを開催し、産業界及び教育機関の好事例の発信等に努めたというところでございます。  経済産業省からは以上でございます。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。  本フォローアップについては、1カ月ほど前に大学協議体の会議が開催されたときも紹介させていただきましたけれども、今回、改めて主体別に説明をさせていただいたということです。  机上の配付資料1にもありますように、恐らく、各主体がいろいろな取り組みをやってきているというのが実情なのかなと思うのですけれども、それを皆さんがどのように評価されるかというところがありますが、一方で、もともと行動計画のフォローアップということで、円卓会議でまとめた行動計画の各項目についてフォローアップをしているわけです。再度、その行動計画を見直すと、アクションプランの短期的対応のところには2~3年以内とあって、この行動計画は2年半前にまとまっているので、実はもう、この2~3年以内ということになっています。この時点において、アクションプランに掲げられていたことが大体できてきているということであれば、フォローアップというのはこのタイミングで一旦やめるということもあるのかなと。できていないということであれば、また続けていくということかもしれませんけれども、そのあたりについて、意見交換をお願いできればと思います。  最後にまとめて40分ほど意見交換の時間がありますけれども、5分ほど、ここで一旦、意見交換の時間としたいと思います。よろしくお願いします。

○岸本議長  今のお話は、このフォローアップのことについて意見交換というような形でよろしいでしょうか。そういう意味からしますと、大学の関係者とすれば、行動計画に盛られたことについてはそれぞれ大学で全部やっているというわけではないですが、全体を通してみると、いろいろな形で実施されているということで、むしろこれからは、行動計画について取り組んでいるのだけれども、そこからみえてきた課題だとか、その先、どのようにやっていくかということの議論にしていったほうが建設的ではないかと考えます。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。今のご意見について、それ以外でもいいですけれども、いかがでしょうか。

○川田委員  フォローアップということで拝見しますと、本当にそれぞれ、各省で随分ご苦労されて、まとめられたというように理解しております。  全般的な感想的なことでもよろしいでしょうか。やはりここで出ていないのが、実際に学ぶ人たちのモチベーションとか、そういったことについて、どのように促進していくのかというところがあります。例えば、数学に関して成績がいい人というか、能力のある人が医学部に進学する、そこに実は象徴されているのです。本来、日本国として欲しい人材というものが枯渇している場所にどんどん移動していくというようなことを促進させようと考えているとすれば、学ぶ学生のモチベーションがどこにあって、彼らが本当にそちらに進みたいのかという視点では、まだ難しいのかなという感じがしました。それぞれの各省の取り組みについては、まさに完成度が高くて、何も口を挟むことはないのですが、本来必要なのは、学生がどこをゴールにするかということだろうと思いました。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございました。  ほかはいかがでしょうか。

○産業競争力懇談会(五日市氏)  COCNですけれども、2つあります。1つ目は、フォローアップの中でカリキュラムのマッチングとかを議論したのですけれども、COCNの中でも議論してみたときに、産業界として、どんなものが欲しいとか、どういうものを設定してほしいとかいうことは、個々の企業なり、企業のある個人が思っていることというのはいっぱい出てくるのですが、では産業界全体としてどうなのだという議論は、なかなかこれがまとまらない。そもそもそういう性質のもので、それを求められても、堂々めぐり、いつまでも平行線で、個人の意見は出てくるけれども、統一的な見解というのはなかなか出ないような類いのものなのだというのを改めて感じていまして、そこ以外に余りフォローアップといっても意味がないのではないかという意見が出ておりました。  あと、今回、フォローアップをずっとやってきたということになるのですけれども、最終的に目標というか、何を求めて我々はやっているのかという意味で、産業界としてはイノベーションを支える優秀な人材が欲しいということは、抽象的にはいえるのですが、それをどうやってはかったらいいかというのは難しい問題でして、それがわからないと、個々のアクションはそれぞれ文科省さんも経産省さんも、大学自身もいろいろな政策を試みて、努力をしているのですけれども、結果として、どこでどのように変わったかというのが、施策の中ではわかるのです。数値は出てくるのですけれども、では、その結果として、最終的にイノベーションに資する人材がどのくらい、どのように向上したかというところをみるのが難しくて、そういう問題意識が出ておりました。だからどうということでもないのですけれども、こちらの議論の中ではそんな問題意識が出ておりました。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。  笠井委員、お願いします。

○笠井委員  この取り組みは、非常にすばらしいと高く評価できると思います。  高専の立場としては、この会の中に途中から参加させていただいたこともあって、幾つかの視点が取り上げられているのですけれども、ある意味で、高専はもともと産業界の要請ででき上がったこともあって、もう55~56年たつのですが、常々社会の変革を捉えながらやっていっております。結構、分野を広げてやるというようなことも積極的にやっておりまして、非常に優秀な人材が集まるようになっております。海外からも非常に注目されていまして、高専を輸入したいという国も、タイを初めベトナム、モンゴルなど、制度化が進んでいるので、高専の海外展開についてもうまく産業界のご支援を賜りましたら、大学と協調して、すばらしい理工系人材、世界でも高く評価される人材が育成されるのではないかと、大いに期待しております。という、お願いと感想でございます。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。

○関委員  この行動計画のフォローアップとしては、短期的にはこれでいい、やめようというのは、おっしゃるとおりだと思います。行動計画というのは、こういうことをしようといって、実際したわけで、非常にたくさんの取り組みが行われていて、それ自体はもう評価されているので、これで終えていいと思うのですけれども、先ほど五日市様がおっしゃられたように、なぜ行動するかというもとにあった背景というのが円卓会議でさんざん議論されたので、確かに教育は、成果をはかるのがすごく時間がかかって、すぐには出ないというのはほかのところでもずっと議論しているところなのです。自分でいって自分の首を絞めるのはあれですけれども、これはアウトプットの議論になっていて、やりましたとなっているのですが、結局、それで何が変わったかということ、これは大変難しいことなのです。例えば理数系ですか、そういう人材を育成して、博士課程の人材がこれをする前よりどのくらい多く産業界に入ったとか、そういうことを聞いていかないと、やったのだけれども、そんなに大きくは変わっていないだとか、例えば女性を活用しようといったけれども、変わったのかというような、そのような視点を入れていかないと、結局、やりましたという話を束ねていくことになったので、恐らく、この行動計画をつくるときにやった議論のもとのところに戻らないといけないのではないかというのは、先ほど五日市様のご指摘のとおりではないかと思います。

○日本経済団体連合会(近藤氏)  経団連です。皆さん、いわれたとおりで、フォローアップを拝見する限り、どの団体も非常に主体的に、各項目網羅的に取り組まれて、すばらしいと思っております。  どういった人材といいますか、成果をどのようにみるかというところなのですけれども、経団連はSociety 5.0を目指していく中で、どういう人材が必要となるのかといったところを、これは提言という形で、ものに書いて、いうことが多かったのですが、この1月から「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」という、大学と実際に協議する場を設けました。こちら側は中西会長がヘッドで、大学側のほうは、就職問題懇談会の座長をされている、埼玉大学の山口学長というところで、ちょっとレイヤーは高いのですが、そういうものと、あと分科会の中で、具体的な人材像だったり、あとは地方の問題とかインターンシップだとか、かなり個別の課題について、大学と産業界が実際に懇談する場というものを設けています。そこも、しゃべりっ放しではなくて、何かしら、産学協働のアクションにつなげていこうというミッションを持ってやっております。  なので、そこで実際に、例えばカリキュラムをどう変えるべきかとか、そういった議論がされて、大学のほうに反映されていって、就職といいますか、採用のあり方というのも変わっていく、そのように見えてくるのかなというように考えております。

○山崎座長  ありがとうございます。

○経済同友会(齋藤氏)  ほとんど共通することが多いのですけれども、行動計画から数年のフォローアップはさまざまな、こういう取り組みをしたと、そういった形でやることが、やはりいろいろな気づきになるということでいいかなと思うのですが、もし今後、フォローアップをするのであれば、やはり客観的なデータ、よく政府でやられている、例えば産学の間でどのような人材の移動が起こっているのかという、そういう調査をもとに追っていくということと、あと、多分、いろいろボトルネックを解消していかないと、これやりました、これやりましたで終わってしまう。そういうときに、私どもは経営者個人の団体ですので、経営者の方にいろいろな話を聞いていて、できている企業さんがそれを乗り越えた、何かやったというところの幾つかの重要な意思決定みたいなのがあったりするのです。そういうのをうまく拾い上げて、何を変えればうまくいくのかというところの根本的な解決のところを少しずつ、そんなに大きくやるとなかなか大変ですけれども、少しずつやっていくのもいいのかなというように思いました。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。一通りご意見をいただきますけれども、よろしいですか。  総じていうと、ともかく短期的な取り組みについてのフォローアップはもうこのぐらいでいいのではないかというのが皆さんのご意見だったと思います。一方で、そもそもアウトカムに相当するところはなかなかはかりにくいという問題もあるし、アウトプットの設定もなかなかできていないかなという話と、今回のフォローアップを通じて新たに見えてきた課題とか、そもそも円卓会議で議論されていた背景を思い起こしてもう一回原点に立ち戻ってボトルネックの解消というところをやっていかなくてはいけないのではないかと、そういう話があったと思います。多分、最後の点については資料4で大学協議体からご説明いただくことになると思いますし、その点続けてさらに意見交換でやらせていただければと思います。  それでは次の議題ですが、(3)大学協議体の取り組みの紹介でございます。岸本先生からまとめて、よろしくお願いします。

○岸本議長  それでは、資料3についてご紹介させていただきたいと思います。  大学協議体の役割としては、産業界との円滑な対話を実施し、大学のほうにフィードバックして、いい形での産学連携をつくっていくということですけれども、そういった組織の中で、学協会というのが大きな役割を担ってくるのではないかということで、今回は学協会にアンケート調査をしたり、訪問調査をしたりいたしましたので、そのことについて、概略をご紹介させていただきたいと思います。  1ページ目ですけれども、表紙をめくっていただきますと、個人会員が5,000名以上の学協会ということで、かなり大きな学協会は26学協会ございますけれども、そこに、産学連携の取り組みについて、どのような考えで進められているかということでアンケート調査をしましたところ、20の学協会からお返事をいただきました。その中で1ページ目をみていただくと、多くの学協会が産学連携の取り組みをしているということと、今後も実施していきたいというような回答をいただいております。  具体的にどんな取り組みをしているかということでございますが、2ページ目にありますように、関係者の意見交換の開催だとか、講演会をするとか、共同研究に向けた産学の調整をするとかというような取り組みとともに、その他の記載がございますように、小学生だとか大学生というようなことでセミナーをしていく、あるいは一番下にありますけれども、学協会として実務家に対してのスキル認定を行っていくということで、こういった活動が学協会の中で特色のあるものだということがわかってきたところでございます。  3番目は、3ページ目になりますけれども、産学連携を推進する取り組みの狙いということになりますと、もともと学協会は産業界の方と大学の関係者、両方の方が会員になっているということから、相互理解の促進がありますが近年の課題としては、多くの学協会で若手会員がすごく少なくなっていることがあります。特に企業の方々が学協会に参加されていないということがございまして、そういったところをどうやって改善していったらいいかということで、人的ネットワークだとか、社会貢献だとか、そんなことを学協会としては考えられているということであります。  4ページ目は、狙いが達成されているかということですけれども、おおむね達成されているという回答が多いのですが、やはり課題はいろいろな形であるということであります。  続きまして5ページのところですが、今後の方向性ということです。例えば4学協会は、これからも充実させていこうというような答えでございますし、現状維持というところは、それなりに頑張ってやっているということであります。特に今回、理学系の学協会にもお尋ねしたのですけれども、そこの学協会は、より産学連携の推進を目指していることがわかりました。  その中で問題点としては、下のほうをみていただきますと、そういった学協会は、どこから始めていいかわからないというようなことがあったり、継続的に活動していく仕組みづくりというのが、これから課題になっているということであります。  6ページ目ですけれども、どのようなことが必要になるかということで、これは自由記述になりますが、学協会の認知度向上について、企業等からの支援が必要であるとか、人のことだとか、学協会は会員が減ってくると財政的に苦しいということもあって、財政的なことも産業界からの支援をいただきたいということであります。それと、学協会によっては産業界の情報がきちんと把握できていないので、どのようにしたらいいか、特にこれは理学系の学協会だったのですけれども、その方向性の検討というところが課題になっているということであります。  その他としては、やはり長期的に考えるということなのですけれども、学協会の中でアカデミアと産業界の方々との人材の流動性、それだけではなく、社会全体での流動性が必要になってくるのではないかということであります。それと、学協会は産業界と大学との橋渡し役の力をもっとつけていかないといけないというのが認識であるということであります。  最後のページですけれども、こちらは5つの学協会にお邪魔しまして、そこでヒアリングをしたものをまとめたものであります。主な具体的な取り組みというのは、先ほど申し上げたようなところがきちっとした形でされているということで、その中で、例えば資格試験を実施しているとか、そういった形で技術者の育成について取り組みをされているというところも多くございました。  課題といたしましては、次の議題にもかかわってくることですけれども、今、PBL教育というのが非常に重要だということになっているわけですが、それを担う人たちの人材の育成の場をうまい形で学協会も連携しながらつくれないだろうかということです。それと、こういう取り組みというのは短期間で成果が上がるわけではない、先ほど来の議論もそうなのですけれども、継続的な活動をどのようにしていくかというのが大事であるということであります。  さらに4番目になりますけれども、学協会に参加して活動されている方々が、会社の業務との関連をきちんと説明しなければいけないとか、そういったところに出て、一生懸命やろうとした方々が、なかなか人事の中で評価されないとかということで、ぜひ、こういった場が非常に大切だということであれば、企業のほうも、そういった意味で学協会の活動を支援する、あるいは行った方々を評価する仕組みをつくってほしいということが、ここで挙げられております。  最後なのですけれども、やはりこういう人材育成の取り組みというのは非常に手間がかかる、ボランティアだということなのですが、そういったことが産業界の、特に企業で働いている方々もスムーズにできるような枠組みというのが求められるのではないかということが、インタビューの結果からわかってきたところでございます。  以上でございます。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございました。  今のご説明の点について、5分ほど質疑応答を、またはご意見があれば、お願いします。

○産業競争力懇談会(五日市氏)  今、まさに学会については、2年ほど前に学会をオープンイノベーションの場にするにはどうしたらいいでしょうというような問題意識でプロジェクトを2年間やったことがございます。土木学会、機械学会とか幾つかの学会に協力していただいてやりました。結果としては、協力していただいた学会には、そもそもそういう場があるところと、なくて、新たにつくりましょうということになったところとあって、いずれにしても、先ほど岸本先生からのお話の中にもありましたけれども、企業の活動が大分減ってきているのは事実で、学会自体が縮小化していって、どんどん弱くなっているというのは、それ自体はよろしくないだろうと。そういう意味で、企業も何とかできないかという発想でやったのですけれども、結果としては、産業界がもっている協調領域に関する基礎研究に対して、そういう活動の中でお金を出して、共同研究を学会経由でやる、各大学の先生に分配するというようなことができないかということで、端緒はつけたかもしれないのですが、ずっとその先、どんどん進むかというと、そこまではまだ行っていないと思います。端緒はつけたと。  一方で学会のほうも、例えば公益財団になっているような学会の場合は、そういうお金をもらって事業をすることがそもそもできなかったりとか、そういう課題もありました。  いずれにしても、日本は小さいのから大きいのまで、非常に学会の数が多くて、一方でアメリカとかはIEEEとか、自分で事業をして拡大路線でやっている学会、学協会が多くて、日本も大きなところについてはそういう形で、企業の参加も取り込みながら拡大をしていくというようなことも試みるべきではないかというような議論もございました。  以上です。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。  ほか、いかがでしょうか。

○関委員  今のご指摘は多分、オープンイノベーションとか産学連携の研究開発とか、そういう部分でおっしゃられたのですけれども、この場では人材育成ということが課題なので、私は学協会の重要なことは、小さい学会もいろいろあるといいますが、大抵の人は何か大きなところに入って、小さいところにも入っているので、産業界もアカデミアも、全体をカバーできる仕組みとして、こういう学協会というのはとても重要なもので、そうしないと、先ほどのアウトプットとアウトカムの議論ではないのですけれども、そういういろいろな取り組みをしたものが、どのように変わったというのがみえてこないのではないかと。だから、全体として把握できる仕組みとしては、この学協会をうまく利用できないかということなのではないかというように理解しているのです。

○川田委員  いろいろな学協会を回ってアンケート調査をした結果、やはり会員数の減少の話が致命的な学会もあるという話なのですけれども、グローバル化の中でアメリカの学会を活用する場面がふえています。IEEEなどはまさにそうで、ですから私は基本的にしようがないのではないかと思っています。結局、大学の先生がどこで発表するかとなると、グローバル化すればIEEEで発表したほうが評価されるのです。その分野であれば。ですから、日本でその関連の学会であれば、学生の修論とか卒論とかの研究発表の場になっているようなところもあったりしますので、学会ごとに、多分、受け入れている会員の、なぜ入っているかということについて調べたときに違いが出てくると思うので、全部が同じ、会員数増加には、私はつながらないと思っています。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。

○岸本議長  一言だけですけれども、先ほど若手の技術者の人たちの学会への参加率が非常に落ちていると。これはどこの学協会でも、今、30代の人たちは、40代の人たちに比べて半分ぐらいの参加率になっていると思うのです。それは会社の中での業務がいろいろ忙しいとかということがありますけれども、例えば私が関係している機械学会の場合は若手の会というのをつくりまして、各企業で30半ばぐらいの人たちに来ていただいて、学協会をどのようにうまく使ったら自分たちの活動ができるかということをやっていただいて、その結果、新しいイベントができたり、学協会というのはもっと使い道があるのだというのをわかっていただいたところがあるのです。このような形で背中を押してあげないと、若い人たちがそういうところに来て、いい活動ができないということで、これについては産業界の方々もぜひ背中を押していただきたいなというのが、アカデミアのほうの立場からするとありまして、学協会がアカデミアだけの会になってしまったら、日本全体の活力が落ちていくと思いますので、そういうところが問題意識で、今回、調査をしたところでございます。

○笠井委員  産業界と近いところに高専はあるのですけれども、伺うところでは、産業界の方は、昔は学会で発表すること、アカデミックなことも非常に大切だと、そういう空気があったけれども、今はもうそれがなくなってきている。なぜか。この資料にもありましたけれども、何のメリットがあるのかとか、そういう問いかけはまず置いておいて、将来、何か役に立つかもしれないというような広い気持ちが再び戻ってこないかなと、淡い期待を持っているという、そういうコメントです。そのようにしていけば、いい形で発展もするし、いずれ産業界にもフィードバックが来る。いずれという、そういう長い目でみることも必要ではないかなと。非常に短期的に、何の役に立つのだというようなことが非常に多くて、その辺、何かうまく仕掛けをしていただいたらいいのではないかと思います。

○日本経済団体連合会(近藤氏)  ご指摘はごもっともで、中央研究所というのが企業から徐々になくなっていって、基礎研究をやれる雰囲気がなくなり、学会に足を運ぶのにも一々説明が要るという状況になっていますが、最近、産学連携、共同研究のほうですけれども、徐々に拡大していっているのは、やはり大学の基礎研究の重要性というのを認めていて、そっちに投資しているからというところがあります。すぐに学会の会員の数を増やすということはできないのですけれども、別の形で、大学等に企業が資金と人材で貢献していくことはできるかなと考えております。

○産業競争力懇談会(五日市氏)  個人的な感想なのですけれども、我々世代、企業のマネジメントのほうにいる世代は、おっしゃるように、昔は学会にちゃんと入っていて、そういう活動をしてきていますので、若い人が学会の活動をすること自体に、それはいかがなものかという考えはほぼないと思っています。むしろ若い人たち、今の新卒の方々とかの世代が学会に対して興味を失っていて、彼ら自体がそもそも行くと言い出さないみたいなところがあるのではないかと、個人的に東芝からも来ているという立場でいうと、そんな気がしています。私の周りで学会に行ってはいけないといっている人はほとんどみかけたことがなくて、どんどん行けといっているほうではないかと思っています。

○岸本議長  今の時点では、まだいいほうなのですけれども、その学会に参加していない30代の人たちが40になったときに、その経験がない人たちが今度、部下の人たちを指導することになったときに、そこで必要ないといわれるということで、今が大事な時期だと認識しております。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。  時間の関係もございますので、最後の議題(4)課題解決に向けた方策についてに移ります。大学協議体からペーパーを提出していただいておりますので、まずそれについて岸本議長からご説明いただいた後に自由討議、ここでまとめて議論したいと思います。よろしくお願いします。

○岸本議長  それでは、用意してまいりました資料は4-1と4-2でございます。4-1については網羅的にまとめたものでございますけれども、先ほど来ありました行動計画に対してどういった課題があって、どのように取り組みをしてきたかということについて、大学側のサイドに立ってまとめたもので、先ほど取り組みはいろいろな形で進んでいるということでありますが、その次にどう展開していくかということで、課題を踏まえた提案ということになってございます。その中で、大学の中でできること、大学の関係者でできることについては、今までの取り組みを、個別の取り組みもありますけれども、横展開していくということで、成功している取り組みの事例集をつくりまして、それを産業界の方々、あるいはいろいろな大学の方々にみていただいて、取り組みをさらに充実させていくということであります。  あと、赤字で書いてありますところは、これは産業界の方々と一緒にやっていければということで項目を挙げたものでありまして、そういったところが要望という形でまとめてございます。  これが一覧表になっているということで、これはごらんになっていただきたいと思います。  5ページは先ほどの学協会のヒアリング、あるいはアンケートの中からみえてきた課題ということで、こちらについても重なる部分もございますけれども、まとめたものでございます。  その中から、本日、ご議論ができればということでピックアップしたものが資料4-2でございます。こちらのほうを少し詳しく説明させていただきたいと思います。  1ページ目は、大学において最先端の技術・技能・知識を視野に入れた教育はなされているが、社会実装を意識した教育が行われている場が少ないというのが課題であったと思います。その一つとしては、PBLだとかアントレプレナー教育などの実践的な教育が必要だということでありますけれども、こういった教育を実施していくには、指導していただく方々、大学の教員とともに、企業での経験が豊富な方ということで、こういった教育をよりよくできるための人材育成というのが必要であろうということで、そういった場を産学で検討できないだろうかということが第1点でございます。この1点目については、先ほど来、説明がありました文科省のプロジェクトで実践的な人たちへのこういう取り組みを加速するというのがございますので、そことも連動しながらになると思いますけれども、こういったところが課題の1番目であります。  2番目は、博士課程のことであります。行動計画の中でも、産業界における博士人材の活躍の促進ということがございましたけれども、これはなかなか解決できていなくて、優秀な若者が博士課程に進学しなくなっている。博士号取得を目指す環境をつくることが必要ではないかということで、そのためには、提案ということでありますけれども、博士号取得者を受け入れる職種だとかポストだとか採用枠の拡大、どういうものがあるかということもそうなのですが、それをより広く、皆さんがアクセスしやすいようにつくれないだろうかというのが1番目であります。  それと、企業と大学が連携する必要があると思いますけれども、博士号取得後のキャリアパスというのは、どのように会社の中であるのか。仕組みとしてあるものから、あるいは博士号をとった方が実態的にどうされているのかということをもっと若い人たちにもわかってもらうということも必要であるということと、ここで書かせていただいた博士号取得後のキャリアというのが、会社に入られてから、社会人ドクターだとか、あるいは論文を提出されて、ドクターをとられた方々、そういった方々も含めた形で、博士号をとった方々は主にどういう仕事をしていて、どういう役割を担っているかというのを、もっと若い人たちに伝えられるようにできたらなということで、これについて一緒にさせていただけないだろうかということであります。  3番目は、いろいろな形で短期集中型のプログラムだとか、履修証明をするプログラムというのをつくってきているわけですけれども、なかなか産業界のニーズに合った形でつくれない場合も多いということで、そういったことから、つくってはみたものの、社会人の参加者が少ないと。つくったほうにも問題があるのかもしれませんけれども、そういった中で、どのような短期プログラムを求めているかということを、具体的に相談しながらつくっていくということが必要ではないかと。短期プログラムといっても、企業の中で、どういう立場の人を対象にするかとか、それによってつくり込みも違うのではないかということであります。  それと、この短期プログラムというのは大学側だけでカリキュラムを組むというよりは、実践的なことを考えますと、企業の方が実際に講師になっていただくということもそうですし、履修される方々と講師の方々を一緒に派遣しながら短期プログラムをつくっていくということが重要だろうなと。単なる一方的な事業ではなくて、一緒になって学ぶ場所をつくるというのが、こういったところで必要だとすると、こういったところを組織的に考える、あるいは実行していくということができないだろうかということで、いろいろ課題がある中で、きょうはこの3つに絞って、まとめてまいりました。よろしくお願いいたします。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。  今ご説明があった話というのは、まさに中野課長から説明があった、数学ワーキンググループでの対応の方向性とも重なる部分でして、やはり産と学の距離感をどう縮めて、人材育成に取り組んでいくのかという、そこがなかなか具体的な解がみつからないという状況なのかと思いますけれども、今のご説明は、行動計画のフォローアップも踏まえて、さらに突っ込んだ議題というか、課題をご説明いただいたということだと思います。個別にでもいいですし、全体についてでもいいのですけれども、意見交換の時間としたいと思います。20分ぐらいありますので、よろしくお願いします。

○川田委員  今、お話を伺った中で、3点ぐらい、自由に意見を述べさせていただきたいと思います。  まず、きょう全体の中で、企業というか、産業界が必要とする人材の話がかなり出ているのですけれども、経団連さんがきょういらしていますから、もう15~16年前に、日本の情報教育は全くなっとらんという論文を出されて、我々もそれを受けて、我々の大学院をつくるときはそれを意識してつくりました。そのときに、実は組み込み人材が足りないということも相当強調されていまして、組み込み人材は、我々、そのとき年収を調べたのです。企業内で800万で頭打ち。それで専門職大学院をつくるわけにはいかないということで、我々は断ったのです。それをつくった大学は、2~3年で募集をとりやめました。ですから私は産業界のニーズというのも、受け入れるだけの職場をもっているかどうか、処遇があるかどうかというのは議論していただきたいと思っております。  次に短期プログラムの話がちょっと出ましたけれども、短期プログラムについては、実はこれはマーケティングをうまくやりますと――うちで、人間中心設計という短期プログラムがあるのですが、これはもう10分で募集が打ち切られるぐらいの人気で、うちの大学院を出なくても、AI修了生というぐらいのブランド力を今、彼らはいっているので、どういうことを学びたい人たちが産業界にいるかということを双方調査しないと、多分、公式なこういう議論の中で、人が集まるようなプログラムを設計するのはほとんど難しいと思っています。実際には、かなりうまく設計しますと、本当に学生は集まります。  それから、先ほど学会の話があったのですけれども、最近というか、もう10年以上なのですが、学会に会員が集まらないということについて、私も理事をしていた学会で会員担当理事として随分やりましたけれども、来ない学会は来ないのです。これはもう幾らやっても来ません。JEITAとか、そういったところに企業の若い人たちが集まって熱心に勉強会をされています。そういうところに大学の教員が指導に行きますと、彼らは本当に集まって、それこそ研究発表もしますし、むしろ産業界の連携の中で自然発生的にそういう場ができていて、そこに人が移動しているように思うのです。ですから、本来欲しい人たち、学生にしても、あるいは企業の人たちにしても、なぜそこに集まるのか、なぜそこに人が来ないのかというような視点での議論がちょっと欠けていて、ニーズ側だとか、あるべきだとかいうのではなくて、学びたいとか、そこに行きたいという、そういう視点での議論が欠けているのではないかという感じはしました。  あとは、博士に関しては、これは前から、ここの会議でも私は意見を述べていますけれども、アスリート育成は絶対必要なのです。研究者アスリート。日本の研究力を上げていくためには絶対必要で、ただしそれは、人数はそんなに多くないはずなのです。オリンピック選手と同じように。裾野を広げる必要があるから、大学側は多くというのですが、裾野に行った人たちはどういう職業につくか、なかなか大変なものですから、やはり不幸な人たちが生まれているのをみていると、それは続かないと思います。先輩が活躍していないと。夢がないと活躍しないので、そういう意味でいうと、博士人材は、アスリート育成のところをいかに担保しなければいけないか、そこのための裾野の部分をどのように担保するかというところでは、リカレント教育的に、博士人材を社会人からとるとか、いろいろなことで枠を埋めていく必要があるのかなという感じをもっています。  あと、最後に1点だけ。Society 5.0を進めていくに当たって、いろいろなことが書かれてあるのですけれども、最近経験したことでいいますと、電鉄会社の、どことはいいませんが、執行役員が、もうドクターをもっているのですが、2年、本科に来て、Society 5.0で実は先週、修了したところなのです。彼がやりたいことは、基本的にまちづくりなのです。それはもう、完全にすごい計画をつくりましたけれども、恐らくSociety 5.0を実現するためには、そういった総合的なことができる企業のトップであるとか、あるいは政策集団であるとか、そういう人たちが、本当にリカレント教育で学び直すような場の中で、いろいろな大学に受け皿はあると思うのです。そういうことを考えたほうが、今から高校を出た人たちをSociety 5.0に向けて教育して、卒業してからということになると、多分、10年ぐらいしますと、また施策が変わって、全然違うテーマをやっていると思うのです。ですから即戦力を、どのレベルの人材で育成してやるかという議論をしたほうがいいのかなというように思っています。  ちょっと長くなりました。済みません。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございます。  ほか、いかがでしょうか。

○笠井委員  課題の1なのですが、これを読み直すと、高専においては、残念ながら最先端ではないのだけれども、技術・技能・知識を視野に入れた教育はしています。それから、社会実装を意識した教育も行っています。PBLとか、そういうのも非常に熱心にやっています。それでも最先端の技術・技能・知識を得たいと思う者は大学院に進学したり、大学に編入します。  一つの例を申し上げますと、私は阪大から来ているのだけれども、明石を出て、阪大の基礎工に入って、マスターコースを1年短縮して、ドクターコースを1年短縮して、今、阪大の准教授なのですが、25歳で博士号をとっています。25歳で博士号をとったら、産業界は欲しいでしょう?  みんながみんな博士号で最先端の研究はしなくてもいいのだけれども、トップを走る人は、そういうところに人材がいるから、そういうところをうまくサポートしてあげれば、思い通りのことになるのではないかと私は思いました。短期プログラムはよくわかりません。いろいろな形でうちもやっていますけれども、高専としてはそういう意識があると思います。高専によってでこぼこがありますので。5年ですぐ社会に出る者も、産業界から非常に求人が多くて、うちなどの例だと、学生1人に対して40社、そうそうたる企業がわっと来ます。ほとんど採用できないと、みんな嘆いていますけれども、そんな状態です。高専の例をご紹介しました。

○産業競争力懇談会(五日市氏)  高専の話が出たので、私自身も高専の卒業生で、高専から大学へ編入した者なので、手前みそになってしまうのですけれども、先ほどの科学技術の人材育成という観点でいうと、産業界からみたときに、唯一とはいわないのですが、明らかに成功事例は高専だと。今、おっしゃったように求人は高いのですが、企業のどの人事に聞いても、高専生に対する評価は抜群に高くて、我々のCOCNではことしから常設の人材育成小委員会というのをつくって定期的に議論するようにしているのですけれども、その中でも、高専で何がいいのかというのをちゃんとスタディしたほうがいいというような話になってきていまして、ヒアリングに行ったりしようかという話になっているのですが、一つには全寮制であるということ。あと、プロジェクト別ラーニングという意味では、高専はロボコンとかありますけれども、ああいうものから派生してきたプロジェクトに指向したときに必要なものを――数学でも物理でも工学でも――タイミングよく学ぶことが功を奏しているのではないかというような仮説があって、むしろ人材育成の観点からいうと、こういう成功事例をさらによりよくする方法がないか、産業界も手を出して、そのような議論を進めていきたいなというのが、今、COCNの中で語られております。  それからアントレプレナーについても、大学で実はアントレプレナー教育をしても、育たないとよくいわれていて、中高生です。そのくらいの世代がハングリー精神も含めて、国際的に活躍しようという気持ちを高めるというのは、そのころの世代でないともう遅いといわれている中で、そういう意味では高専というのは非常に適しているということがCOCNの中でも議論されていまして、大変期待しているところで、これからも、COCNとしてもフォーカスしていきたいと思っています。

○山崎室長(経済産業省)  ほかにございませんか。

○関委員  議論がまた円卓会議のころに戻っていくように思うのですけれども、短期的な行動計画についてフォローアップをしたのはいいのですが、これから何かに取り組むのであれば、もう少し長期的なことなのです。そのときには、先ほどもいいましたように、高専は非常によいものであるのは、私もそのとおりだと思うのですけれども、では、今の倍、高専の卒業生が欲しいのか。今、質を上げるというようなことをおっしゃられたけれども、今の数で質を上げたいのか。それは、きょう、いらっしゃっている団体さんが産業界を全部代表しているわけではないのかもしれないけれども、大学も数が限られて、卒業生も理工系、年間10万人しか出てこないので、その中で、どのような割合で高専生を必要としているのかという、そういう絵を描いた上で要求しないと、あれも欲しい、これも欲しい、それもできないかということをいっているように聞こえるのです。だから、短期的にはいろいろなことをやったほうがよくて、みんな効果はあるのですけれども、でももうちょっと先のことを議論するのであれば、どの分野に、どのぐらいの人が必要なのか、それをどういう方法で、先ほどいったリカレント的に育成することもあるのだろうし、出たときからすぐ使えるような人も育てなければいけないだろうしという、その全体の絵がないのに、みんなやろうというように聞こえるので、そこら辺はむしろ、こういう場で調整ができるのならしたほうがいいし、大学は、多分これ以上、大学の定員をふやすことがなかなかできない状況に今、ある中で、限られた人をどう育てるかということをすごく問われてしまっているわけなのです。だからむしろ、こういう人がこのくらい欲しいのだというような、そういうことを、もし出せるのなら出していただきたいということが、難しいのだと思うのですけれども、あれもこれもいいのだというのは、なかなか実現しにくいかなと思うのです。

○産業競争力懇談会(五日市氏)  高専生は企業の、産業界の基礎体力というのですか、足腰を支える人材という位置づけで、どこの企業も評価している。さらにその上を目指したい方は大学に編入して、研究者になるという道は、今、シナリオでは確保されていますけれども、一方で、トップ人材というのは確かにまた違う議論でやっていて、その割合とか、規模についてはまだ議論がまとまっているような状況ではないのですが、確かにおっしゃるとおり、全体の設計の中で、その割合というのは必要なのですけれども、足腰という意味での高専生には非常に期待があるというのは事実です。

○川田委員  関さんのおっしゃること、ごもっともで、ここまでできたものが、今後はどう展開していくかという視点でいいますと、私が先ほどからいっているのはすごく単純な話で、ここで設計されたもので実際に人が動くような、ドライブするようなエンジンになるような、まさに魂みたいなものが、今ここには抜けていると思っているのです。ですから、それぞれは非常によくわかる。だけれども、実際に、例えば高校を卒業して大学に行く、そこの親御さんが、確かにその道、いいよねと一緒になって納得できるような、そういう道筋なのかどうか。あるいは、もう学校で、自分で自分の将来を決めようと思った人たちが、本当にそこに進みたいと思うかどうかです。そういったいろいろな、中に動いている人がいるわけです。そういう人たちが学んで働くわけですから、そういう人たちの、まさに動くエンジンになるようなところがここに入ってくると、それぞれ、出されたものは本当にすばらしいので、それで進んでいくのだろうと思うのです。ですから、本当にさっき関先生、おっしゃったとおり、ここまでできているものを今後どうしていくかという視点で今後、議論を進められるといいのかなと思っております。

○岸本議長  それに関連して、今までだと、大学を卒業したら、そこから先は社会で働きますという、そういうモデルで、基礎的なところはみんな大学の中でやってくださいということなのですけれども、人材が必要なところというのは、5年たったらまた変わるだろうし、10年たったら変わるだろうしということで、今の状態に合わせて大学のほうがいろいろな学科をつくったりしていくと、多分、5年たったら要らない学科がたくさんできてしまって、それよりもむしろ、働きながら学ぶ。今、いろいろなことがいわれていますけれども、それの質を上げていくことによって、人が動くとか、自分のモチベーションをもつということなので、そういったことからPBLだとかアントレプレナーというのを題材にしながら、産業界の人と大学が一緒になってカリキュラムをつくるということ自体が、非常にそういうことをやっていく上で大切で、それは日々変化していくかもしれない。  あと博士課程というのも、やはり会社に入って、もう一度、自分のやっていることをきちんとまとめて、博士をとるということも必要なのですけれども、現在、社会人ドクターの数も実際にはふえていなくて、論文博士が、今までかなり活発にあって、それをやめて、それが社会人ドクターに行ったかというと、実は論博の数だけが減っているのです。ということは、日本全体で博士号をもっている企業の方々が、実は激減しているのです。それが学協会の活動とか、いろいろなところに影響を与えているとすると、働きながら博士号をとる仕組みというのもやはり必要だろうということで、ここに掲げてありますし、短期プログラムというのも実は一つの方法論で、学ぶものをみんなでつくり上げながら、新陳代謝もしていくということで、これら3つが関連している中で、どのように具体的にやっていくか。川田先生がおっしゃるように、いい取り組みもたくさんあるのですけれども、多分、数が足りないと思います。全国に展開はとてもできていませんし、それがサスティナブルかどうかというのもよくわかりません。  ということで長期的に考えたときに、そういったことが本当に持続的にきちんと回る仕組みというのを、これから産学で、本当に具体的に相談しながらつくっていくということが必要ではないかということで3つの課題はみさせていただいたところであります。

○山崎室長(経済産業省)  ありがとうございました。

○日本経済団体連合会(近藤氏)  先生方から意見をいただいて、全くそのとおりだなと思っているところです。こういうスキルだとか、こういう分野が重要だという方向性は、経団連として考えていろいろ発信はしていますが、では、いつ、どれぐらいそういう人材が要るのかみたいな、そういう定量的なところまで突き詰めるのは難しくて、方向性は出せるのだけれども、こういう人をつくってくれたら、このように処遇しますよというような約束もなかなかできない。需給の関係で決まってくるものなので、正直それはできませんが、ただ、そういう方向性のもとで、企業として、既にいる社員を投入したりということで活躍できる場をつくろうとしているので、その方向性は合っているということは、ご認識いただければと思っています。  それで、書いていただいた論点の中で博士のところなのですけれども、課題は全くそのとおりだと思っています。博士号取得を目指す環境をつくることというので、博士に行かない理由としてよく出るのが、その先のキャリアパスというところがあります。先ほどの話とも関係するのですけれども、研究所で、博士をとった人たちが研究に没頭できるような、なかなかそういう環境ではなくなってきているところがありますし、比較的短いタイムスパンで開発テーマが変わっていくことも多いので、一つの専門性を極めたからといって、その人が汎用的に活躍できるというお約束もできないので、そういう研究者として、どんなテーマが与えられたとしても対応できるような、基礎的な力だったり、研究をマネジメントするような力というところをつけていただくことを、博士には求めています。(博士課程教育リーディングプログラムの)パンフレットが配られていますけれども、こういう方々が実際に企業にどんどん入っているわけです。なので、博士だからとらないというよりは、ちゃんとした人だったらとれているというところがあるので、博士だからどうこうといった議論はちょっと違うのかなというところは感じております。

○岸本議長  欧米をみていると、博士号取得者の人たちの活躍状況が大分違いますよね。要するに、研究所の中で研究を続けていくというよりは、かなりのところをマネジメントしながら、今までできなかったところをどんどん進めていくということなので、そういったことを任せるようにしていかないと、なかなか博士の人たちも活躍の場がないのではないかということで、そういう場が広がっているというようなことが若い人たちもみえてくると、チャレンジしてみようとかいうのが出てくるのではないかということで、そういったことも踏まえて、いろいろなキャリアパスが提示できたらいいのかなと思うわけです。

○日本経済団体連合会(近藤氏)  そのとおりだと思います。私がほかから聞いた話なのですけれども、例えばアメリカでPh.Dをとるためにやらなくてはいけない道のりと、日本とでは大分違うというような話も聞いたことがありまして、アメリカでPh.Dをとる場合には、実際に企業からお金をもらいながらインターンでやっていると。何百万とか給料をもらっているので、きっちり成果も出さなければいけない。その一方で、ではPh.Dをとるための研究というのは軽減されるかというと、そういうわけではなくて、そっちもきっちりやる。3年間なり5年間なりで、もう2人分ぐらいの働きをしている、そういう人材がアメリカでPh.Dをとった人材として顕在化して、だからこそ企業は高く評価して、そこに金を出しているのだというような話もございますので、そういった環境の違いもあるのかなというように思ってはいます。

○笠井委員  私が大阪大学にいたときは、まさにそうでした。できる者は、企業から何百万円ももらって、企業の研究は必ずする。それは全部守秘義務があるから、学会でも全く発表できないけれども、別にちゃんと学会で発表できる研究も全部やってきました。私、47人、博士を育てました。半分は外国人だけれども、みんな別に、何の問題もなく、ちゃんと就職して、自動車会社のトップの研究主幹をやっている者もいるし、東芝さんにもいろいろ受け入れてもらったりしました。  高専では、みんながそうではないのだけれども、機械とか電気とか建築とか土木とかやめて、1学科にする。どこでも入りたいところへ入れと。どれだけ学生が入ってくるかは、先生方、競争だよということをしようとしているのですけれども、これはいかんせん、専門教育課のご指導を仰がないといけないのだけれども、そういう案を持っています。それで、産業界のご要望を全部受け入れて、いい人材を育てるという試みをしようとしております。ご参考までに。

○関委員  工学系では学位プログラムみたいにして、工学の中では定員を設けないという方向に、大きな大学はまだ中に境目があるのですけれども、中規模より小さい大学は全部工学1学科にして、定員を設けないという方向に今、進んでいるのです。そういうことは現在もできるし、工学系以外も4月から学位プログラムで、学部の境目は乗り越えても、大学は人材育成できるようになっているのです。これはちょっと別な話ですけれども、先ほどの話に戻ると、これはニワトリと卵みたいな関係になっていて、企業様が大事にすると思えば博士課程にいい人が行くということもあるので、これはお互いの問題かなと。私たちも、大学としては今、優秀な人が博士課程に行かないことに困っていて、アメリカだからみんな優秀とは、私は思いませんけれども、育て切れないという忸怩たる思いもあるのです。一方で、では博士課程に5年行ったら、5年後の給料がもらえるのだったら、就職しても意味がないというように、普通の人は考えますよね。5年間、苦労して、学費を払って、それで5年後、就職できるけれども、5年後の給料をもらえるだけだったら、行かないほうがいいというようになってしまうわけです。ですから、やはりそれはどっちが先かはわかりませんけれども、それなりの待遇が受けられるということがあって初めて優秀な人材が行くのではないかというようにも考えられるので、お互いに努力しなければいけないのかなと思っています。

○岸本議長  アメリカの給料の例でみると、大学を出たときは5年ぐらいしか差がないのですけれども、実はその先の伸びと生涯賃金が高いというのがデータとして出てきていて、やはり博士をとっていくと給料がいいのだなというのが目にみえてわかっていて、学歴によって給料が違うというのは、小学校からみているというのです。そうすると、やはり博士まで行ったほうが給料が高いのではないかということで、多分、会社の中でも、博士をとられた方は、それなりの給料を実質的にはもらっているのではないか。そういったデータも出していただけると、博士に行ったときに、出た直後ではなくて、もっと先まで行くと、いろいろな形で活躍しているというようになるのかなと。もう少し、博士の人たちのキャリアを、調査して、若い人たちに見せられるようにできたらなと思います。

○経済同友会(齋藤氏)  ここの、企業と大学が連携して博士取得後のキャリアパスというよりも、博士号をとるまでの過程を企業と大学のほうで連携をして、先ほどアメリカでのインターンの話もありましたけれども、企業でいろいろ話を聞くと、何かを実現したい、何かをやりたいといったときに、すごく困っている。やはり人がいないとか、技術がないというので、結構いろいろな人を探し回ったりだとか、そういうことは事実としてあったりして、そういう企業さんが実際に、例えば大学と共同研究をされて、うまくいっているという例もあったりとか、あるいは海外――どうしても海外のほうの大学に行ってしまうというのがあるのですけれども、そこももう少し、特にこれからの変化が激しい時代に、変化に対応していろいろ課題を解決していくというのは、これは文系、理系問わず、どんどん必要になってくると思うので、そこの博士号をとる過程の中に、いろいろなそういう仕組みを取り入れていくというのは、いきなり年収幾らですとか、こういうパスが約束されていますというのは、なかなか、社会が変わっていく中では難しい。やはりこういう人というのを一緒につくっていけるのはいいのかなと思っています。

○岸本議長  約束するというよりは、実態的に多分そうなっているのではないかなという予測もありますので、博士号を取得した人たちが今現在、どういうキャリアパスかというのをみせていただくというのは、企業に入った卒業生をみていても、博士をとった人が結構頑張っているなというのがありますので、そういったものをみせていくのが必要かなと思います。  別の点になりますけれども、本日、経産省のほうで出していただいた資料1-1と1-2について、コメントなのですが、数理資本主義の時代といったときに、今回、数学の専攻を対象にされていました。元来、数学を使っているのは工学部全体で使っているわけなのです。その中で、では工学系の人たちの、大学に入ってからの数学力の伸びというのはどうなのかというと、多くの学生が、大学に入ってから数学が嫌いになってしまう。それで、数学を学ばない。というのは、数学を学ぶというのは物すごくいろいろなことに集中しないと学べないのですけれども、それをやるよりはほかのことをやっていたほうがいいということで、日本全体として考えたときに、ここに書いてあるような、1ページ目の数学のワードで、恐らく工学部の中でもみんな、研究している人たちは使っているものなのです。そういった中で、本当に数学ができる人が少ないのは、やはり数学教育をどうするか。多分、高校からも関係してくると思います。高校のところで数学嫌いをたくさんつくっているというのがあるので、高校で数学が嫌いになり、大学に入って嫌いになっていてということで、本来ならばできる人たちができていないというのをどうにかしなければいけないというのが1つあるかなと思います。  あと、1-2の資料の中で、大学と産業界との関係なのですけれども、研発法人の件が余り触れられていなくて、例えば産総研さんは、橋渡しというのを研究所としての重要なファンクションとしていますが、こういった調査をするときに、研発法人の役割というのが、やはり大学と産業界をつなぐところだとすると、そこのところをもう少しハイライトして、資料をまとめていただくと、大学から国研に入り、国研から企業に入るとか、いろいろなそういうパスがもう少し多様化してくるのかなというので、ぜひその辺も含めてみていただけるとありがたいなと思いました。

○中野課長(経済産業省)  こちらで昨年の3月に数学の話題を申し上げたときにも、実は工学の数学力が落ちているのだというご意見をこの場でいただきました。意見交換会でも、やはり数学科のほうが純粋数学に特化していく中で、応用数学は工学が担っていたのだけれども、その工学の数学の力が落ちているのが心配だというようなご指摘もありました。最初の建て付け上、どちらかというと理学部数学科で、純粋数学の人材に産業界で活躍してもらえないかなという問題意識だったのですけれども、足もとの工学のところの数学の基盤が崩れているというところが、その課題の中で出ましたので、どこかのタイミングで、工学部の数学力の低下というのは、工学とデジタルが非常に密接にかかわる中では致命傷になりかねないので、少し考えなければと思ったところです。

○関委員  恐らくデータ上、日本の大学教育の中で、工学は欧米に比べてすごく割合が高くて、工学博士とか工学修士、工学学士がたくさんで、欧米はもっと理学の人の割合が高いのです。ということは、逆にいえば、今、工学というほうに、いってみれば数学の素養のある人材を、日本はかなり担ってもらって、産業界は成り立っていたものを、先ほどいいました、博士人材は年間百何人しか出てこないところで、そこは大変重要だけれども、今までちゃんとそういう部分を担っていた応用数学の、本当はサイエンスをやるべきような人もみんな工学のほうに、国として人材を育成、投入してきたのです。ずっと明治以来。だから、工学人材に少しテコ入れをしないとだめかなと、ちょっと別な見方で、おっしゃるとおりだと思います。

○山崎室長(経済産業省)  時間もなくなってきましたが、2点目については、今回、紹介させていただいた資料が、特にオープンイノベーション、スタートアップに焦点を当てた3月4日の委員会の資料だったので、実は次回、研発法人について議論する予定にしていますので、また別途そちらの議論の紹介はできるかと思います。  時間になりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。多々、ご意見をいただきましたので、文科省と経産省の間でまた相談をしますけれども、次回以降どこに焦点を当てて議論していくかというところ、改めて整理をした上でご連絡をさせていただきたいと思います。  いろいろといただいたご意見をできれば産学連携にも、次の意見交換会というだけではなくて、それぞれの立場において活かしていただければありがたいと思っております。  最後になりますが、本日の議事要旨については、出席者の皆様に確認いただいた後に、ホームページにて公開をいたします。  本日の議事は以上となります。長時間にわたるご議論、どうもありがとうございました。

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