産学連携による科学技術人材育成に関する大学協議体と産業界による意見交換(第1回) 議事要旨

1.日時

平成30年3月29日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

一橋大学一橋講堂 1階 特別会議室

東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術総合センター内

3.議題

  1. これまでの経緯・取組
  2. 産学連携教育における現状及び課題について
  3. 人材需給の状況及びAI人材について
  4. 課題解決に向けた方策について
  5. 今後の予定

4.出席者

委員

<産学連携による科学技術人材育成に関する大学協議体構成員>
  岸本議長、関委員、川田委員、曄道委員、古田委員、笠井委員
<有識者>
  井上 大阪大学教授
<産業界>
  一般社団法人産業競争力懇談会
  一般社団法人新経済連盟

文部科学省

文部科学省、経済産業省

オブザーバー

一般社団法人国立大学協会、一般社団法人公立大学協会、一般社団法人日本私立大学連盟、日本私立大学協会、全国高等専門学校連合

5.議事要旨

資料1について説明があり、本会議の議事、会議資料、議事録(議事要旨)については原則公開とすることが了承された。ただし、会議を公開することにより、会議の円滑な実施に影響が生じるとして、非公開が適当と認める場合は、それぞれ公開にしないことができることとした。

議題1~3について、資料2~5に基づき文部科学省より説明があり、主に以下のとおり意見交換がされた。
〇 企業側からの希望としては、データ解析について、企業内にデータはあるが上手く解析ができないので、大学と連携しながら分析がしたい。大学と連携して、学生自身もデータ解析を通じて実践が積めるような活動を行っていくような教育の方法もあるのではないか。
〇 データサイエンティストが不足していると言われるが、もう少しブレークダウンして議論しているのが、データエンジニアについてである。社内のデータはそのまま使えるように整理されているわけではないので、それを現場のニーズと合わせてクレンジングしながら解析していくという、まさにデータ活用というのも工学的な知見が必要だということを議論している。その意味で、むしろデータを使う側としてのデータエンジニアが必要という認識。
〇 数学がわかるような人を増やしていくという方向は理解できるが、応用数学については、伝統のある大学ほど理学と工学は異なる教育体系になっている。このため、理工系の人材全体に数学や計算幾何学などをしっかりと教えなければいけない。日本で考えている数学というと、伝統ある大学ほど純粋数学にいってしまうのではと懸念する。
〇 大学での教育では、やはり原理原則に基づいてしっかりと考える、根本的に考えるという基底が重要で、それは工学も理学もそれほどに違いはないと思われる。単に応用だとか応用ではないというよりも、専門的・根本的に考えれば、実は同じところがある。大学の中で、理と工を横断的に交流できる場をつくれば、学生は育っていくと思われる。
〇 人材育成については、理工系人材育成に関する産学官円卓会議でも議論をしてきて、課題はおおよそ分かっている。今は、具体的にどうするかを議論する段階であって、全ての人材について議論をすることは難しいので、情報分野など具体的な分野を決めて、非常に具体的なものを決めていくプロセスに入らないといけない。また、人材育成に関しては、議論をしてすぐに何かができるわけではないので、産学で議論をする場合、恒常的な仕組みにしていただきたい。

議題4について、資料6に基づき文部科学省より説明があり、主に以下のとおり意見交換がされた。
〇 リカレント教育、インターンシップ、それからPBLという課題が出ているが、いずれも産業界とどういう連携をするかということに関わっている。リカレント教育の中で、基本的な数学に対する成功感を培って、理解すればそんなに難しくないということを知ってもらうことが重要であり、リカレント教育の中で数学をどう教えるかというノウハウは今後蓄積されるだろう。もう一つは、インターンシップでも、企業が即戦力で欲しい人材を数学も全部含めて、大学の中で教育して提供するというのはおそらく幻想であるということ。今あるリカレント教育とインターンシップの境目である、例えば1年ぐらいは企業に行ってビジネスをするという関係を構築できるような仕組みができないか。一旦仕事をすれば、大学に戻って何を学び直せばよいかということがわかるので、1年2年働いて、また大学に戻るような流動性を保てるような仕組みがあると良いのではないか。
〇 産業界がどう発展して、それを先導する人材、世界で互角に戦える人材をどう育てるのかということに関し、日本の高等教育に対して、何を要求するのかといったところの議論をするのか、もっとベーシックなところで、教育体系そのものについて考え直さなければならないといった視点で、大学教育のカリキュラム等について、産業界からも助言をいただいて議論をするのか、どちらの方向を目指すのかを明確にするべき。
 〇 学習のカリキュラム自体は最先端のトレンドに合ったものを学生に提供して欲しい。一方で、抜本的にはカリキュラムそれ自体を直すことに協力する機会が産業界として与えられるのは非常にありがたい話であるが、かなり時間を要すると思われる。
〇 インターンシップとプロジェクトと融合させたような、同じ世代の他分野の人材と一緒に活動できる経験を学生に積ませることが重要。
〇 例えばインターンシップについては理工系の人材が全員実施できるほど、企業のキャパシティがないことはわかっている。では、どうやってインターンシップやPBLに代わることをするかという仕組みを考えるために議論をしなければいけない。
〇 どんなに素晴らしいカリキュラムをつくっても、プロジェクトをつくっても、結局、現場できちんと教育ができる教員・研究者が必要。5年から10年先を見越して、例えば優秀なエンジニア、技術者、研究者を育てつつ、そのうちの何割かがきちんとそれを教えられて、将来現場できちんと教育ができるような人を育ててくれるような、そんなカリキュラム、システムとプロジェクトがあると良い。
〇 良い取組みについて横に広げていく方法をシステムとして考えなくてはいけない。一つの大学ではなくて幾つかの大学、地域の拠点あるいは分野として拠点を作って、そこに複数の大学が参加するなどの仕組みを作らないと、横には広がらないのではないか。
〇 高専では、学年や分野をばらばらにしてチームに分けて、PBLを一年間行う取り組みを始めており、最初はコミュニケーションが難しいが、自然とまとまって、学生に良い経験を積む場となっている。


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