「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」検討・準備グループ(~平成29年度)(第10回) 議事要旨

1.日時

平成29年5月22日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省第二講堂(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 「大学入学共通テスト(仮称)実施方針(案)」について
  2. その他

4.出席者

委員

岡本主査,荒瀬委員,沖委員,川上委員,関根委員,東島委員,平方委員,宮本委員,安井委員

文部科学省

浅田大臣官房審議官(高等教育担当),角田大学振興課長,山田大学入試室長 他

オブザーバー

上智大学 吉田教授
独立行政法人大学入試センター 山本理事長,伯井理事,大杉審議役

5.議事要旨

 事務局から,資料2「平成28年度における大学入学者選抜改革の主な取組等について」に基づき,これまでの検討の経緯と「『大学入学共通テスト(仮称)」実施方針(案)」及び「『大学入学共通テスト(仮称)」実施方針策定に当たっての考え方(案)」の説明があった。
 また,独立行政法人大学入試センター(以下「センター」)から,資料3「大学入学共通テスト(仮称)」記述式問題のモデル問題例」について説明があった。その後,意見交換がなされ,委員からは主に次のような発言があった。

○ 学習指導要領の改訂によって,4技能の英語教育に既に転換できている高校等,平成32年度から対応できる学校もあると思うが,多くの高校・大学が32年度からすぐ対応できるわけではないので,当面大学入試センター試験(以下「センター試験」)の2技能試験を残すことはありえる話。

○ 英語を4技能評価に転換することについては,全く異論はないが,どういう流れでそれを実現するかが重要。英語だけ到達度評価になって他科目は相対評価となると少なくとも私学では32年度からいきなり対応するのは難しい。また,英語以外の外国語には何も手を打たれていないのに,英語だけ資格・検定試験を活用して公平性を担保できるのか。実施の観点からも公平性を確保するためには,例えばバウチャー制度にするなどして,国がある程度資金面も支援し,受検生が2日必ず受検できるような体制も保障していく必要があるのではないか。

○ 高校側としては,いきなり民間の資格・検定試験だけで英語の評価がなされると混乱する。記述式に比べて英語はイメージが沸かず,検討の俎上に載せられずにいる。大学側がどのように使うのか早く示してほしい。また,経済的,地域的に公平性を担保できるのかはっきりさせてほしい。

○ 時期・回数についてはもう少し議論した方がよい。回数を制限すれば本当に公平性が担保されるのか。

○ 1点刻みの入試からの脱却は英語以外のすべての科目でも考えるべきことで,英語がパイロット的なものとなる。今回の改革は非常に重要であり,受検したい者の負担が軽減され学生が受けられるよう民間に値引きをお願いするだけでなく国としてもお金をかけるべきではないか。

○ 個別選抜でも志望理由書や面接などの多面的・総合的評価を実施する必要があり,これらの評価は点数化ではなく段階別表示が一般的である。これが第一歩であるので最初は戸惑いがあると思うが,学力の3要素を持って授業を活性化できる学生を大学が求めたいのであれば,色々困難な点はあるが新しい方向に進むことを優先して進めるべき。

○ 1点刻みの評価から脱するのは大事である。今後,学力の3要素を中学・高校で伸ばしていくためには,青天井の評価のままであってはならない。今後はすべて段階別評価に転換していくべきである。

○ 名称について,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は,長い。これまでの議論も含め,本会議としては「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」)という名称を使用することとする。

○ 今回の改革は,高校教育・大学教育・大学入学者選抜を三位一体で改革するものであり,入試が変われば高校が変わると言われている。「思考力・判断力・表現力」を高校教育に求めるのであれば,センターもそれにふさわしい問題を考えてほしい。

○ 共通テストの問題の内容は,採点方法や測る力にもよる。個別試験との関係も重要。

○ 現行どおり1月の2,3週目で共通テストを実施するとすれば,採点期間等の問題から試験の自由度は限られる。共通テストですべて測るのは無理がある。

○ 大学がどのような選抜をしたいのかが重要。出題のやり方で全く異なるものとなる。

○ 小説や評論等を出題範囲から外すものではないということだが,そう願いたい。今回のモデル問題例は新聞・メディアで大きく取り上げられたが,大学入試が変わるということばかりに目が向けられがちなので,今日の改革は高等学校教育改革でもあるという意味を込めて,高校に強くアピールしていくべき。

○ 共通テストは個別選抜と一体として考えるべきで,オールマイティーではないという前提を徹底してもらいたい。

○ 今回示された国語のモデル問題例について,このようなものは国語の問題ではないという人が多いと聞くが,これも学習指導要領の内容が世の中に伝わっていないことの表れ。文部科学省として,しっかり伝えていくべきである。

○ 段階別評価と定員の問題はなかなか難しい問題。1点を競うのではなくおおらかに学ぶ意味でも定員管理の点もしっかり考えていくべきである

○ モデル問題はインパクトが大きかった。入試の役割は陰の教育課程であり,こういう問題をどんどん世に出すことで高校教育は変わることになる。

○ 数学は記述式問題を入れるとかなり差がつくが自己採点と一致する。考えたプロセスが分かる試験になるよう工夫してほしいが,共通テストが難しくなりすぎて,本来の趣旨であったボリュームゾーンの評価が困難になるというのは避けるべきである。

○ マークシート式問題の工夫も重要。今の問題も水準が高いのに,さらに「思考力・判断力・表現力」とすると正答率が下がる。問題のレベルを考えながら,プレテストで検証していくべき。

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文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室

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(文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室)