大学における工学系教育の在り方に関する検討委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成29年5月24日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館 3F2特別会議室

3.議題

  1. 大学における工学系教育の在り方について(中間まとめ)

4.出席者

委員

浅見委員、天羽委員、石川委員、江村委員、小野寺委員、川田委員、幸田委員、関委員、土井委員、永里委員、中村委員、名和委員、西尾委員、三島委員、利穂委員

文部科学省

常盤高等教育局長、浅野専門教育課長、辻専門教育課長補佐

5.議事録

【辻専門教育課課長補佐】  おはようございます。
 それでは,皆様おそろいでございますので,所定の時刻より少し早いですが,第4回大学における工学系教育の在り方に関する検討委員会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては,御多忙にもかかわらず,本会議に御参画いただき,誠にありがとうございます。
 なお,本日は,大西委員,黒田委員,沼上委員が所用により御欠席でございます。
 本日の議事進行は,小野寺座長にお願いいたします。


【小野寺座長】  おはようございます。
 それでは,まず事務局より,配付資料の確認をお願いします。


【辻専門教育課課長補佐】  お手元にお配りしている資料でございますが、最初に議事次第がございまして,配付資料の一覧をお示ししております。
 資料が3点ございまして,資料1が「工学系教育の在り方に関する調査研究ワーキンググループでの検討状況」というA4横版の資料,資料2が本日御審議いただく「大学における工学系教育の在り方について(中間まとめ)(案)」,資料3が第3回議事録でございます。こちらは事前に委員の皆様に御確認いただいております。
 そして,参考資料といたしまして,本日の中間まとめの内容に関わるものを6点御用意しています。参考資料1が「分野別学生数の推移」,参考資料2が,経済産業省の調査でございますが,「産業界のニーズの実態に係る調査結果」,参考資料3が分野別の学生納付金(授業料)の比較,参考資料4が「寄附金税制の現状」,参考資料5が「研究開発税制の概要」,参考資料6-1としまして,5月12日に開催されました未来投資会議における文部科学省提出資料,参考資料6-2が,未来投資会議における安倍内閣総理大臣の御発言の抜粋,以上でございます。


【小野寺座長】  ありがとうございます。
 カメラ撮影はここまでですので,よろしくお願いします。
 それでは,早速議事に入りたいと思います。
 まず議題1ですけれども,「大学における工学系教育の在り方について(中間まとめ)」でございます。本日は,本会議として一旦中間まとめをしたいと思いますので,よろしくお願いします。
 最初に,政府の未来投資会議において,工学教育改革に関する発言がありましたので,事務局から説明お願いします。


【辻専門教育課課長補佐】  それでは,参考資料6-1を御覧ください。
 標題が「第4次産業革命推進の鍵となる人材力・イノベーション基盤力の強化」等となっている資料でございますが,5月12日に松野文部科学大臣から説明を行ったものでございます。
 1枚おめくりいただきまして,まず1ページでございます。「第4次産業革命に向けた「人材力」の強化」に向けて,第4次産業革命時代の経済成長の源泉となる「人材力」を抜本的に強化するため,大学等における教育・人材育成を拡充するというものでございます。例えば,IT人材の不足は,2020年には約37万人,2030年には約79万人不足というデータもございますけれども,これらを受け,学校と産業界との連携強化等による人材育成の抜本強化を図るために,大学等における未来の産業構造・社会変革に対応した人材育成を推進することとしており,この会議でも御議論いただいている工学教育改革についても言及してございます。
 1つ目のポツですが,「革新的な工学教育改革の推進」を図るため,6年一貫制教育による工学・情報大学院の創設,学科縦割り構造の抜本的見直し,主たる専門に加え副専門分野の修得,工学基礎教育の強化といった取組進めていくということでございます。
 また,高等専門学校における人材育成,高度情報技術人材の育成,情報セキュリティ教育の強化,全学的な数理・データサイエンス教育体制整備に取り組むこととしております。
 2ページは,参考としまして,工学教育改革等のイメージ図でございますが,説明は省略をさせていただきます。
 関連して,参考資料6-2を御覧ください。第8回の未来投資会議におきまして,工学教育改革に関して,安倍内閣総理大臣からも御発言がございました。資料の真ん中より下辺りになりますが,「文系理系を問わずデータサイエンス教育を実施する,学科の縦割りを超えた工学教育を広めるなど,大学教育を新たな時代のニーズに合ったものにしてまいります」といった,工学教育改革を後押しいただける御発言があったと承知をしております。
 以上でございます。


【小野寺座長】  ありがとうございます。
 総理が発言されると,少しは動くのではないかと思い,期待しております。
 それでは,早速中間取りまとめについて御議論いただきたいと思います。今日で中間取りまとめ(案)としてまとめたいと思っておりますので,皆さん方の御協力をよろしくお願いします。
 それでは,まず,ワーキンググループでの検討状況につきまして,名和委員,石川委員から,よろしくお願いします。


【名和委員】  それでは,ワーキングでの検討状況,概要について,資料1に基づいて,説明をさせていただきます。
 1月26日から,ワーキングでは5回の開催を行いまして,検討を行ってきております。
 四角で囲ってございますように,このワーキングでは,5つの柱を中心にして,工学教育の改革をすると取りまとめてきたわけでございます。4月27日でその取りまとめについて,この会議での意見を聞きまして,5月19日の第5回で審議をして,最終的な中間取りまとめの検討の最終内容を決めた。それについて御報告したいと思います。
 1枚めくっていただきたいと思います。中間取りまとめ案でございます。最初に「背景」がございまして,次に「工学教育の歴史」と書かせていただいております。
 「背景」は,この「工学教育の歴史」を受けまして,明治以来,工学系については,学科専攻の編成に基づいて1つの分野を深く学ぶというスタイルで成功してきている。しかしながら,最近は,AI,ビッグデータ,IoT,ロボットなどのSociety5.0を支えるような融合的な領域での工学人材の育成が大切であることが,喫緊の課題であるとなってございます。このためには,産業界との強い連携を元に,工学基礎教育の強化,更には他分野の理解を深める必要があることを,書かせていただきまして,工学教育がどうあるべきかについてまとめさせていただいております。
 次に,工学教育で,どういうことを考えていたか,どういう視点から言っているかをまとめているのが,3「検討の視点」でございます。そこで申し上げていることは,下の図にありますように,今の技術を先導する力と,次の技術を生み出す力,更には,新たに技術革新するべきものについて考える必要があるだろうと,年限として5年,10年,20年というものを分けて,議論する必要があるだろうということを考えさせていただきました。
 次に,産業界との連携をとる意味で,インターンシップ等を考えた教育の強化をする。更には,今までの教育は,現象をどんどん細かく細分化していくものであったが,これを総合的に俯瞰できる教育システムに変換する必要がある。更に,学生が,教えてもらうのではなく,自ら学ぶような環境を整えて,しっかり出口を見据えた教育システムを作る必要があるだろう。このためには,教育システムというのは画一的なものではなく,より多様的で複線的なものになる必要があることを考えて,中間取りまとめの議論をさせていただきました。
 輩出すべき人物像としましては,短期的人材養成,中期的人材養成,長期的人材養成といった戦略を考える必要があり,どうやってダイバーシティを確保するかが大切である。下に書いてございます,自立的に学んで,原理原則を理解する力を持ち,課題を設定する能力がある,こういった人間を作っていく必要があると考えさせていただきました。
 従来ですと,工学系はスペシャリストになりがちですが,ジェネラリストとしての幅広い知識,俯瞰的視野を持つ人材も必要でございます。また,分野の多様性を理解して,他者との協調の下に,異分野との融合・学際領域の推進ができる。特に国際性では,こういった人間が必要であり,こういった人物を作るべきだろう。更には,製造業だけではなく,非製造業といった分野も大切でございまして,橋渡しができる人材が必要であり,最近のICTにありますように,バーチャルなワールドに対して,リアルワールド,どう結び付けるかを考えられる人材も必要である。こういった人材を輩出すべき人物像として考え,中間取りまとめの検討をさせていただきました。
 更には,人材を育成すべき教員が,職員側もどうあるべきかについて,議論させていただきまして,「人材育成を担うべき人物像」として,4つの観点で入れさせていただいております。特に,教育研究資金を集める力と,具体的なところまで踏み込んで入れさせていただきました。
 次に,教育改革の内容について,もう既に御報告させていただいておりますが,学部・大学院の教育体制の改革ということで,ここに書かせていただいております。まず大前提としまして,現状の組織があり,かつここで提案する組織が併存していいという形でございます。要するに,現状のものも,それで成立しますが,更に改革していくためには,こういった改革をしていく必要があるという点を,まず御理解いただきたいと思います。
 全ての工学系課程に関するものとしましては,教育体制の改革として,まず学科・専攻定員が,産業界の変化を踏まえると,固定的にはなってはいけないので,より柔軟な運用ができる意味で,定員制度の見直しが必要であろう。
 次に,学位プログラムがいろいろ提案されておりますが,それをもっと積極的に導入するために,教職員と組織が分離している必要があり,設置審査や設置基準の考え方の見直しが必要であろうと考えております。
 次に,学部段階における基礎教育の強化でございます。基礎教育が大切であるということですが,教員が教えたいことではなく,学生が学ぶべきことを精選する必要があるだろう。例えば,コア・カリキュラムを策定するということで,そこに書いてございます,基礎科目,スキル科目,概論科目といったものを考えて,きちんと基礎教育の強化をしていこうということを提案させていただいております。
 次に,本委員会でも問題になりましたが,卒論の在り方ということが言われておりました。PBLとしてこれは十分機能しているという意見もございまして,卒論をうまくPBL化して使う必要があるだろうという,方向の転換も必要ではないかということと同時に,低学年からPBLを通して社会とのつながりを認識し,工学というものを理解することをしていただきたいという提案を入れております。
 右側にございます(3)と(4)は,従来の学部4年,それに対して修士課程の2,ドクターの3といった積み上げ方式ではなく,学士・修士の一貫の6年制,更には博士までの一貫制の9年制といった柔軟な教育体制を作る必要があるだろうと提案させていただいているものでございます。その際に,大切なメジャーとマイナーという制度をどう導入するか,そこに書いてございます。キャップ制によって,余り単位をこれ以上取ってはいけないといった制度を緩和しなければいけない,規制緩和が必要であることも,そこで述べさせていただいております。
 最終的な(4)にございますアスタリスクのところが議論になりました。博士課程でもリベラルアーツ型の教育が重要であり,もっと社会科学的なものへの積極的な参加も有効であろうと,本会議でも指摘された内容を盛り込ませていただきました。
 次のページに移らせていただきます。このような学部ですとか大学院の教育体制の改革をするためには,教員組織と教育手法の多様化が必要になります。それについて取りまとめをさせていただきまして,学内のクロス・アポイントメント制度,これはエフォート管理が必要でございますし,第三者の評価も必要だとなりますが,これを導入することが教員組織の構成や雇用形態の多様化につながるだろう。更には,教育専任の教員,これを導入する必要があるだろう。企業から教員を派遣していただく際には,博士の学位論文も,学位もなしの実務的教員を導入する必要があるだろう。かなりの多様的な方法論について,これを提案させていただいております。
 更には,先ほどどういった教員を作るかということがございましたが,教員の意識改革ですとか能力開発が非常に大切になるだろうと,工学部共同で全国的なFDの実施を提案させていただきたいと思っております。
 次に,カリキュラムの体系化と学生ごとのカスタマイズ化でございますが,これは,学生が,自発的に学んでいくためには,もう少しカリキュラムを体系化し,支援ツールを導入することで,個人が自分で出口を考えて,カリキュラムを作っていく編成が大切ではないかということを述べさせていただいております。その際には,単位数の考え方をより柔軟化する必要がございます。
 最後になりますが,工学系で是非必要なので書かせていただいているものでございます。どうも絶滅危惧種等々言われておりますが,希少となっています工学部の学科目について,それを維持していく必要があるということを,書かせていただいております。
 7番目は,非常に大切なところでございますが,情報科学技術を工学部共通の教育として強化する。それによって,先端人材をいかに強化するかについて提案をさせていただいております。これによりまして,情報系人材の育成,それは量的な拡大だけではなくて質的な充実もして,これを強化していく必要があることを述べさせていただいております。
 次のページでございます。ここで一番大切になってくるのは,情報等もございますが,現状の産業界との社会とのつながりを連携するためには,産学共同の教育体制の構築が必要だろうと考えてございます。先ほど,学内のクロス・アポイントということを言わせていただいて,組織を柔軟化させることを申し上げましたが,ここではまず企業から,教員や支援人材を積極的に発見できる学外のクロス・アポイントメントを推奨する必要があるだろうということを書かせていただいております。
 次に,就活目的ではない教育効果の高いインターンシップを,産学共同でこれを推進する必要があるだろう。
 次に,産業界とは非常に共同研究をしておりますが,高度の教育としましては,研究を通じて,博士課程の教育を推進する必要があるだろうと,これを書かせていただいております。そのためには,産学連携によります協働プログラムを開発・提供することが必要になりまして,ファンドもそちらからもらってきて,革新的・創造的なプロジェクトを作る必要があるだろう。
 次に,工学教育改革に伴う,大学の学生の積極的採用をする必要があるだろうということでございますが,この際は後でも述べますように,知的財産というのが非常に問題になります。それについて,これを緩和する必要があるだろうということを述べさせていただきました。
 次に,国際化の推進でございます。国際化の推進につきましては,従来から英語による授業の展開や,留学生の獲得,日本人を海外に派遣することがされていましたが,工学教育において,ますます国際化を進めていく必要があることを述べさせていただいております。
 10番目でございます。「工学教育改革の考え方の共有」で,本委員会,またワーキングでも,例えばJABEE等,既に工学教育の改革という意味で,しっかりした教育プログラムがございます。そういった従前のプログラムと,どう整合させて教育改革を進めていくかも考える必要であり,例えば,国家試験になっております技術士を,どう教育課程に入れていくかも,大きい意味があろうということで書かせていただいております。
 次に,11番目でございます。これは実は,「分野別学生数の推移」という参考資料1を見ていただくといいと思います。そちらを見ていただきますと,学生数の分布が出ているかと思います。大学の入学者数は,1980年代から少しずつ増えてきております。2000年からほぼ一定になってございますが,工学部を見ていただきますと,黄色い部分でございまして,2002年程度から減ってきてございます。それに対しまして,全体数が増えているのは,どこが増えているかと言うと農学が増えている。更には,保健科目も少し増えている。更には,社会科学系。これも減っていますが,全体としてはかなりある。その他は,かなりある形になってございまして,工学系というのは,今10万人程度でございますが,全体の比率からすると,かなり,まだ十分ではないことがございまして,IT人材で,本会議でも指摘されておりますように,こういった工学系人材をいかに増やすかが非常に大きい問題だと思います。
 しかしながら,質を担保して増やさなければいけないところがございまして,ここについても,重点的に検討する必要があるだろう。そのためにどうしたらいいかという議論をさせていただきまして,高校から工学を志望する学生を増やす必要があると,理科科目による工学分野出身の教員を何とか増やしていく必要があるでしょうし,高校生の工学分野への関心を高めるために,大学教員が出前事業などで高校で授業する必要があるだろうという,1歩踏み込んだ取組が必要だろうということを提案させていただいております。
 次に最後でございますが,教育に対して投資していただく必要がある。受益者はどこかと言いますと,国や産業界や,更には国民全体になるわけでございますが,ここはまだ国民全体の個人投資については含めてございません。国からの経済的支援と企業からの投資について,少し踏み込んで書かせていただいております。従前,大学への投資とは,幅広く一様にという形になるわけでございますが,もう少し工学教育の改革を推進する大学に,重点的にこれを投資する必要があるのではないか。更には,工学系学生の経済支援の拡大,更には種々の規制の緩和が必要ではないか。
 2番目の企業側からでございますが,資料を見ていただきたいと思いますけれども,研究費については税制上の優遇措置がございますが,教育というものに対しての措置がない。優遇措置を入れる必要があるのではないか。更には,先ほど申し上げましたが,ドクターコースの方が企業と共同研究をする場合,知的財産は非常に問題になります。ここについての問題の整理,更には解決策の提案は必要ではないかを御提案させていただきました。更には一企業からの資金の供給,更にはいろいろな人材の提供だけではなく,産業分野全体としての組織的な支援,これは産業界で,本会議からも指摘がございましたが,そういった支援に拡大していただきたいことをまとめまして,一応中間取りまとめのワーキングでの検討状況ということで御報告させていただきます。
 詳細については,石川委員からお願いいたします。


【石川委員】  概要については,お話のあったとおりですが,細かい点と,作業上の前提条件といったものを,私から説明させていただきます。
 まず前回のこの委員会での議論になったのですが,この改革全体の取扱いですけれども,小野寺座長からもお話がありましたように,今までのものを全面否定して,新しいものを作るというスタンスではございません。今までのものの中に残すべきは残した上で,多様性,手段を増やす方向でございます。
 その点に関しまして,前回の本委員会での意見を踏まえまして,6ポツの前文的なところに,取扱いはそういうものであるという前文を,4行ほど入れさせていただきました。「実現手段を広げることにより,各大学が多様性と独自の特色を活かしつつ,今後の取組を活性化し,我が国の工学教育を総合的に改革・強化する」というものであり,そういうスタンスでこの中間取りまとめをさせていただいています。
 もう1つ,前回の中で,確か永里委員の発言を機に,博士人材をもっと積極的に活用しようという話が出たと思うのですが,それは,下の段階には書いてあったのですけれども,格上げになりまして,同じ4ページの「(4)学部・博士課程教育によるリーダーの育成の充実」の内部に,「企業による博士人材の積極採用」という形で格上げさせていただきました。
 ただし,ここにどういう形で積極採用するかまでは,まだ議論が煮詰まっていないところもあるので,今後,具体的な活用方策を考えていくべきであることを加えさせていただきました。
 それから,あとJABEEの件も前回議論になったのです。JABEEは重要であるということですが,どういった方策でどういった方向に持っていくべきかは,今後の議論が必要かと思いますので,10ポツの2)の中で,JABEEに関することは重要であるという表現にとどめさせていただきましたが,これも入れさせていただきました。
 もう1つ,最後の8ページの図,私が描いた図でありまして,私もダブルメジャーで,イラストレーションという学問を学ばなくてはいけないのではないかと思うのですが,なかなか皆さんの抽象的な意見を絵にするのは非常に難しいものでございます。
 今から私の発言は言い訳の発言になるのですが,まず,申し上げましたけれども,現在できることに関しては,前回も申し上げましたけれども,この中間取りまとめの案の中で,現在できることは改革には当たらないので書いていないか,かなりトーンダウンして記述してあります。現在できることを更にもう1回やりましょうという議論ではなくて,現在できないことをどこまで広げるかというので,現在できないことになる。ただし,その誤解があるといけないので,左側のように「従来」というのが,学部4年,修士2年,博士3年,あと修士・博士一貫の5年生とは,現在の制度上できることです。東工大のように運用でいろいろなことをやられているところは運用上の話ですので,制度上できるようにするということで,プラスというのを入れて,学部修士6年制と3年を加えることもできるというぐらい。このプラスだけでは分からないという御意見が出たので,そこに「既存の体制に加え」という,わざわざコメントを入れました。
 ここは,実は重要な案件でありまして,実際の現場で何らかの改革をする場合に,一気に今の制度を潰して次の制度にとは,なかなかやりにくいのですが,付加的にやって改革の方向を示しつつ,既存からのスムーズな移行と言う方が,改革が進むという意味もありまして,こう書いてあります。
 それから,その右側が,いろいろと議論,表現上の疑問があるかもしれませんが,まず一番右側の「社会・産業界における必要とする人材のトレンド」で,名和委員からもお話がありましたように,従来の教育モデルというものが,ある分野を教えたらその分野で一生就職,職業に就いていくモデルだったのですが,これはもう難しいと,そこにあるように,サツモイモのようなものが4つあるのですが,これは時代に応じて変わっていくであろうから,変わっていったときに,それに対応できる人材を,教育モデル,教育するモデルを作っていこうではないか。もちろん,これも付加的なものですから,その分野だけで一生を終える人もあっておかしい話ではないのですが,こういった方に移っていくであろうというモデルになっております。
 そこが,各分野を横断的にと言うか,各分野を変化するであろうことに対応する教育はどうあるべきかという観点から,真ん中の絵ができています。真ん中の絵は,いろいろとワーキンググループでも御批判を頂きまして,私もこれが限界なのですが,分野間の融合を進めるべきと,化学,社会基盤,電気,材料,新分野とあるのですが,この融合があるというオーバーラップのエリアを作っております。ところが,この絵の,二次元で絵を描くことの関係上,隣同士を適当にオーバーラップさせている絵でありまして,「機械と電気が離れているではないか」とか言われますと,それは私の絵の悪さでございまして,これは本当は,全部の分野間がオーバーラップしている絵が正しいものであります。3次元か4次元を使えばできるのですが,そういう絵になります。
 それか,各分野の中に情報が,その分野の中での情報,醸成すべきということがありますので,そこに書いてあります。この情報が大きすぎるとか小さすぎるとかいろいろあるのですが,それも今後の議論に委ねたいと思います。
 それともう1つ,情報に関しては,情報のプロパーも育てましょうということになるので,「情報」だけ赤い色であるのです。これも,何か「電気」と「材料」と「新分野」だけに情報の基盤があると思われると困るのですが,これは全体です。全体の基盤になる共通項としての情報のスペシャリストの養成が必要であるということなので。どうにも絵が描けないので,これで端っこに置いたということであります。
 その下にあるのが,共通基礎教育としていろいろなことをやっていきましょうということになっていまして,一般教養教育と工学基礎教育というので,それぞれのことを学ばせようというものであります。
 9ページ以降は前と同じでございまして,ワーキンググループで出た意見を取りまとめたものでございまして,これに関しては,各論平均になっておりますので,この中じっくり読まれると矛盾するコメントもありますが,これはワーキンググループでの議論に使ったまとめの資料でございますので,参考までに9ページ以降を付けたという。
 以上でございます。


【小野寺座長】  ありがとうございました。
 ワーキンググループで取りまとめいただいたものを,これを踏まえまして,本会議の中間取りまとめとして,事務局において,大学における工学系教育の在り方について,中間まとめの案を作成しております。事務局から御説明お願いします。


【辻専門教育課課長補佐】  資料2を御覧ください。
 標題は「大学における工学系教育の在り方について(中間まとめ)(案)」でございます。
 この資料につきましては,先ほど,名和委員,石川委員から御報告いただきました内容を,報告書の形に落とし込んでいるイメージでございます。
 まず,最初に,1ポツ「はじめに」でございますが,工学教育改革を推進していく必要があるという背景を,こちらに記載しております。詳細は割愛させていただきますが,この「はじめに」の最後に,「今後の個別具体的な検討については,2017(平成29)年度末までに一定の方向性を取りまとめるものとする」と記載させていただいております。
 次に,2ポツ「工学教育の歴史」でございますが,明治期からの変遷について整理をしております。工部省による工部寮の設置から,工部大学校への発展,2ページ目になりますけれども,その工部大学校の教育体制として,土木,機械,電気,造家,製造,鉱山,冶金といった専門学科が配置されていましたが,その後の工学部の編制に継承されていく経緯を記載させていただいております。
 続きまして,3ポツ「検討の視点」でございますが,既に御説明がございましたが,短期,中期,長期といった時間軸に沿った検討も重要であるということで,短期的人材養成,3ページになりますけれども,中期的人材養成,長期的人材養成について記載してございます。
 4ポツが,「輩出すべき人物像」でございますが,先ほどのワーキンググループでの「工学教育改革(中間取りまとめ)(案)」の内容に沿った整理としてございます。
 4ページ目に参ります。5ポツ「人材育成を担うべき人物像」ですが,ここでは,大学教員の意識改革が重要であるとか,学生が主体的に学べる環境を確立し,大学卒業後の出口を見据えた教育システムに転換する必要があるといったことを記載しております。
 6ポツ「学部・大学院の教育体制の改革」でございますが,これ以降が,具体の改革の内容になるわけでございますけれども,(1)「教育体制の改革」,1)「学科・専攻定員制度の見直し」,2)「学部・大学院における学位プログラム制の積極的導入」,5ページ目に参りますが,(2)「学部段階における基礎教育の強化」,3)「工学基礎教育の必修講義内容・分野の設定」について記載しております。
 6ページに参ります。ここでは,「工学基礎教育の必修講義内容・分野の設定」について,基礎科目,スキル科目,工学概論の科目例を表で整理させていただきました。それと,図表を挿入しておりますが,平成28年度の委託事業で工学分野の調査研究を行った結果で,専門基礎科目の必要性についてのデータを示しております。
 続いて,4)「卒業論文の在り方の見直し」でございます。7ページに参りますが,卒業論文に関しまして,「卒業研究・修士研究・博士研究のテーマ決め」について,これも平成28年度の委託事業で調査研究を行った結果のデータが,そのデータの挿入をさせていただいております。
 (3)「学士・修士課程段階における他分野理解の推進」でございますが,5)「学士・修士の6年一貫制教育のための大学院の創設」について記載しております。
 8ページに参ります。6)「主専攻・副専攻(メジャー・マイナー制)の導入」について記載をしております。
 (4)「学部・博士課程教育によるリーダーの育成の充実」ですが,7)「9年一貫教育による工学・情報系博士人材の量的拡大・質的充実」,8)「博士課程におけるダブル・メジャー・システムの推進」について記載しております。
 9ページに参ります。(5)「教員,教育手法の多様化」ですが,9)「教員組織構成・雇用形態の多様化・柔軟化」についての記載をしております。
 10ページに参ります。ここではPBL教育についての関連のデータとして,こちらも28年度の委託事業の調査結果でございますが,「プロジェクト型教育を大学教育として行う必要性の認識」,「プロジェクト型教育を今後更に発展させるための課題」の図表を挿入してございます。
 次に,10)「教員の意識改革・能力開発」,11)「カリキュラムの体系化と学生ごとのカスタム化」について記載をしております。
 11ページに参ります。12)「希少となった工学教育の保持・継承」として,絶滅危惧学科とも言われていますが,それらについての記載しております。
 7ポツ「情報科学技術の工学共通基礎教育の強化と先端人材教育の強化」についてでございまして,1)「工学基礎教育としての情報技術科学教育の強化による工学諸分野との融合技術の創出」について記載をしております。
 8ポツ「産学共同教育体制の構築」について,1)「企業からの教員や支援人材の積極派遣,学外クロス・アポイントメントの推進」について記載をしております。
 12ページに参ります。2)「産学共同による(就職活動目的でない)教育効果の高いインターンシップの推進」,3)「産業界との共同研究を通じた社会人の博士課程教育の推進」について記載をしております。
 13ページに参ります。産学共同研究に関するデータとして,これも28年度の委託事業の調査結果でございまして,「産学共同研究に学生が参加する意義・問題点」についての大学の回答,「産学共同研究を発展させるために重要だと思うこと」についての企業の回答の図表を挿入してございます。
 次に,4)「産学連携による協働プログラムの開発・提供」,5)「工学教育改革を行う大学の学生の積極的採用」についての記載をしております。
 14ページに参りまして,9ポツ「国際化の推進」,10ポツ「工学教育改革の考え方の共有」,11ポツ「工学系人材の量的拡大方策」,12ポツ「国や産業界による工学教育改革への先行投資」についての記載をしております。
 15ページに参りまして,「おわりに」で,各大学関係者に対しての提言,また政府に対しての提言内容という内容で整理をさせていただきました。
 以上でございます。


【小野寺座長】  ありがとうございます。
 それでは,ここから皆さんで議論していただきたいと思いますけれども,事務局から説明のありました「(中間まとめ)(案)」について,委員の皆さんから御意見を頂きたいと思います。
 進行上,資料の順番に従って,議論していただいて,最後にまた皆さんから総括的に御意見を頂きたいと思いますので,よろしくお願いします。
 まず,1ページ目の「はじめに」について,皆さんから御意見があればお出しいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 どうぞ。


【川田委員】  「はじめに」で,2番目のパラグラフ,「そのような中で」に,「システム化や統合化では国際的に立ち後れていると指摘されており」,まさにこのとおりの現状だと思うのですが,要は,後半のプログラムの中には,システムとかインテグレーションという分野が,実は書かれていないのですね。
 ですから,こことの整合性と,それから重要であることは間違いがないので,中間まとめとしてはこの内容であったとしても,システムあるいはインテグレーションについて,工学が分野として入れていないのは,いろいろなところで議論が起こるのではないかという懸念はあります。


【小野寺座長】  ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますか。どうぞ。


【西尾委員】  今の御意見に追加したく思います。3ページに「将来の産業構造の変化に対応できる人材育成」と書いてあるのですが,これは将来の産業構造の変化ではなくて,現在起こっている産業構造の変化に,もう対応できる人材が輩出できていない,と考えます。今,川田委員がおっしゃったように,システム・オブ・システムズということが非常に大切ですけれども,そういうことに対応できる人材が,全く輩出できていない。
 そういうことを今後どうするのかについての記述が,本文の中を見てもなかなか見当たらなかったので,追加で意見を述べさせていただきました。


【小野寺座長】  ありがとうございました。
 どうぞ。


【幸田委員】  今後の産業構造や社会構造の変革をある程度見据えて,この工学系教育の在り方について議論していくときに,この「はじめに」の中で,産業構造の大きな変化についてどう取り込んでいくのかという観点は,後半部分とのリンケージでも,かなり明確になっていると思います。
 一方で社会構造の変革といったときに,例えば今後の人口減少社会をどう考えるかとか,少子高齢化の問題をどう考え対応するかとか,この社会的な課題の在り方や位置づけということについて,そこに対する解決をどう工学系教育においてもリンケージしていくのかは,従来型の産業だけの切り口で考えていくことを超えて,広がりを持って,こういう社会構造の変革に対して対処していくことを明確にしていただくのがいいと思います。例えば,3ページにある人材の養成との話で,この問題を解く能力とかが出ていますけれども,社会的な課題にどうソリューションを結び付けていくのかという観点と,ここの「はじめに」を,明確に問題意識として持ってその部分を結び付けていくといいのではないかという感じがいたします。御検討いただければと思います。


【小野寺座長】  ありがとうございます。


【浅見委員】  よろしいですか。


【小野寺座長】  どうぞ。


【浅見委員】  「はじめに」の内容,お客さんというか学生からの視点が含まれていないと思いました。私が大学卒業をした頃から,工学系ですけれども,同級生が商社行ったり金融に行ったりと,その頃はそういう変わり種もいるという感じはしましたが,今人気のところはむしろIT企業とか,別にITが悪いと言っているわけではないのですけれども,IT企業だとか金融だとかコンサルだとか,要するに給料が高いところ,短期的に給料が高く見えるところが,比較的学生さんの関心事としては高くなっている。学生がどれぐらい企業と合っているかは,毎年の就職人気ランキングの会社を見ていても,そんなに分かっていないのではないかという気もするので,それは余りこだわらなくてもいいのかもしれませんが,いずれにしても,工学を修めて,研究者なり技術者なり,あるいはほかの分野に行くにしても,余り工学部自体が魅力的に見えていない可能性があるように思うのですね。
 それから,もう1つは,では工学はいいとしたときでも,日本の大学で勉強するよりも海外に行った方がいいのではないかと。学部は日本でやって修士は海外でとか,いろいろなパターンがあって,それ自体は国際化の一環でいいと思うのですが,この「はじめに」の中で,大学に入ろうとする学生から見たときに,工学系が十分正当な見え方をしていて,しかも今後の社会情勢,産業構造の沿革に十分対応していける人材になれるという期待値を醸成する意味で,工学系の教育が整備されている状況を目指すのだと。お客さん視点,そういう観点もあっていいのではと感じました。


【小野寺座長】  ありがとうございます。ほかにございませんか。
 今までの,1で大きく3つの御意見だと思いますけれども,システム化について,システム・オブ・システムズを含めて,もう少し記載してほしいということだと思います。
 それから,社会構造の変化について,ここでは余り触れられていないのだけれども,その点を考えてほしい。
 それから,学生からの視点ということで,今もお話がありました。学生からの視点について,先ほどの資料1には,入っているのですけれども,確かに資料2に文言として必要かと。
 どうぞ。


【名和委員】  文言については,ワーキングで十分書き切っていないのかという部分がございまして,大変申し訳なかったと思います。
 資料1の,「はじめに」でこれほど指摘されるとは思ってなかった。「はじめに」は,論文でもありますように,概要を書いておけばいいかと,まさかこれほどの御指摘を受けるとは思っておりませんでした。
 どちらかと言うと,後半,相当絞り込んでしっかり考えておりまして,ただいまの御指摘を考えるに,後半の意見をしっかり聞いて,「はじめに」をもう一度ブラッシュアップしたいと思いますが,よろしいでしょうか。


【小野寺座長】  ありがとうございます。
 それでは,次に工学教育の歴史ですけれども,ここは歴史を書かれているので,もう少し書き足す必要があるとか,そういう御意見があれば頂きたいと思います。よろしくお願いします。
 どうぞ。


【浅見委員】  日本の歴史はこういうことだと思いますけれども,一方,外国ではどういうことをやってきて,その結果日本と差がついてしまったとか,いやこれでよかったんだとか,これからこそが問題なのだとか,ここで入れるのが一番いいのか分かりませんけれども,戦後のところか分かりませんが,そういう視点もいかがかと思います。


【小野寺座長】  ほかにございませんか。
 確かに,今のお話の中では,米国が1980年代から90年代に掛けて,随分変えてきたことは事実のようですので,その辺を触れるか触れないかですね。


【名和委員】  実は,アメリカも,一時期日本と同じことで壁にぶつかって,改革していったという経緯がございまして,それを追って書くことは可能だと思います。
 ただ,アメリカだけでいいのかということになりますと,実は今回の調査でも,いろいろな海外の調査をしておりまして,確かにスタンフォードとかd.schoolとか非常に特徴あるところばかりではなく,海外の特にヨーロッパは基礎をすごく重点的にやったりしておりますので,そこまで入れることはできるのですが,逆に言いますと,それをばかり書いてしまうと,海外をほめたたえるということになってしまいます。
 本来,日本の工学教育をどうするのか,特に日本独自の工学教育は非常に大切かというところも考えておりまして,海外を追従するのではなく,日本でどう考えていくかというところを少しあったものですから,日本の歴史を中心に少し書かせていただいて,今は日本が課題としてこういったところにぶつかっているところは少し入れたいと思いますが,余り海外のシステムがいいというだけでは。
 なぜかというと,社会制度が違っております。例えば,寄付金をもらえて,大学などは,個人寄付金もかなり入ってきて,プライベートスクール化している。そういったところでのシステムを幾ら言っても,日本の制度と合わない。そういったところを考えますと,ここに盛り込むのは厳しいかという思いもございます。いかがでしょうか。


【小野寺座長】  浅見さん,いかがですか。


【浅見委員】  趣旨は,日本の制度を否定することではなくて,日本独自のいいところと,外国もそれなりに制度を検討していて,頑張っているというのは全般的な表現過ぎるかもしれませんが,少し対比があると分かりやすいのかと感じました。


【小野寺座長】  どうぞ。


【石川委員】  実は,外国の大学との対比は,一面的な対比でやりますと非常に危険だと我々は思っています。予算が全く違うサイズで行われておりますので,これができてる,できていないとやっても,同じ予算でやられるとは限らないことがあるので,詳細な対比を入れると,長くああだこうだ全部書いた上での総合判断をしなければいけない話になるので,ここでは書きにくいのではないかと思うのです。
 浅野委員がおっしゃっている,総論として,こういうことができている,それに対して日本はどうするんだぐらいは書けるかと思うのですが,その辺りで止めさせていただければ大丈夫だと思います。


【永里委員】  今のことに関して質問をしたいのです。


【小野寺座長】  どうぞ。


【永里委員】  企業においては,ある種のライバルを見つけまして,ベンチマークして,いろいろと切磋琢磨するのですけれども,この工学検討委員会においては,そのベンチマークに相当する部分が,海外にあるのかないのか。
 浅見委員の指摘はそういうものの1つだとは思うのですけれども,その辺についてはどうでしょうか。


【石川委員】  よろしいでしょうか。
 海外とやろうという意欲はあるのですが,条件がかなり違うのですね。これを全部理解した上での総合判断になるので,この短期間のこのまとめの中では,なかなか難しかったかと思います。


【小野寺座長】  どうぞ。


【名和委員】  全く言い訳になるかと思いますが,1月からの検討だけでは十分そこまでの審議ができなかった。5回の審議しかできていない訳でございまして,それがまず1点御考慮いただきたいことがございます。
 あと,端的に1つの例を出しますと,授業料と奨学金の関係でいきますと,アメリカのタイプのような,お金を取りますけれども非常に優秀なものに対して奨学金をきちんとやっているところ,ヨーロッパのように,全く授業料が無くて奨学金も少ないところ,日本は全く違うゾーンにいます。学生に対しても,支援しているも,授業料も結構高いし,それほど奨学金が無い状況になっています。
 こういった状況の中で,どうこれから工学教育をやっていくかという際に,ほかのところを持ってきてライバル視したときに,学生に対して,先ほど学生視点というのがございましたが,全然違う視点なのですね。そこを今回組み入れていくのは,かなり難しかったことは,御考慮いただきたいと思います。
 それで,最後に,経済的な支援とか,今度学費を無料にしていただけるか分かりませんが,そういった政策が必要だろうと考えております。


【小野寺座長】  よろしゅうございますか。


【永里委員】  いいです,はい。


【小野寺座長】  どうぞ。


【川田委員】  この記述の中で,戦後のところを,非常にうまく,上品にまとめられていると思うのですね。
 というのは,恐らく大学関係者が御存じのように,文部科学省が四谷の小学校に移されて,それでGHQが,大学基準協会の前身のようなもので日本の大学,新制大学を設計した。そういう歴史,皆さん御存じだと思うのですね。ですから,その流れをかなりここに書いていて,GHQの後に高専がまた復活している,その流れもここは事実として,ファクトは非常にきれいに並べられています。
 今,名和先生がおっしゃったように,ここで書かれていないのは,恐らく誰が授業料を負担すべきかという議論について,御存じのように,田中総理のときに受益者負担原則ができ,そして学生が負担すべきだということを,イギリスモデルのカーブに,当時それに追従するための授業料負担のカーブが設計されたわけですけれども,今また授業料を負担するのは,国が負担すべきであるという議論が起こっておりますので,その辺りが,本当はここにあると,歴史がもっと古いはずですが,難しいかと思います。
 感想めいたものですけれども,非常にうまく上品にまとめられていると思いました。


【名和委員】  非常に,ただいま時事問題になっているところでございまして,これはまだ,中間取りまとめですので,この程度にさせていただきたく思います。


【小野寺座長】  ありがとうございます。
 それでは,次に3「検討の視点」について,皆様から御意見あればお願いします。
 どうぞ。


【西尾委員】  ここの部分で,人材育成の目標と時間軸が議論されていて,この議論は私も非常に興味を持ちましたし,うまく書かれていると思います。
 その上で,具体的に大学にこれをどう埋め込んでいくのかが,分かりませんでした。特に,意識的に書いておられないのか,後のどこかに記述されているのか,その辺りが分かりませんでした。


【名和委員】  多分ワーキング全員がそう思っておりまして,具体的にどこまで落とすかという議論をしたわけですが,とてもではないけれども膨大なことになっていて,ワーキングが1つではとても足りない。
 制度設計のところがあって,規制緩和と言うのですか,基準緩和を検討するだけで十分ありますし,産学連携をどうするか,税制優遇など見ますと,とてもではないけれどもワーキングに入っている方々だけでも議論できない。
 そういうことがありまして,「はじめに」,最後に1行入ってございまして,「今後の個別具体的な検討については,今年度末まで一定の方向性を取りまとめるものとする」と入っています。


【小野寺座長】  どうぞ。


【石川委員】  今の西尾委員の発言は,実は,この文章全体を全部端から端まで読むと,間接的に書いてあるのですね。そういう書き方しかできなかった,ごめんなさい。


【西尾委員】  分かりました。


【石川委員】  それと,先ほども「はじめに」で西尾委員から御発言があったシステム・オブ・システムズであるとかシステム・インテグレーションは非常に重要で,実は私の分野なので,それは重要で,それも重々分かっているのですが,これも後ろを全部読むと,入っているには入っている。
 全体像として御理解いただくと,大体はいいのですけれども,直接的な単語として書いていないので,それはできれば書きたいと思いますので,少し検討させていただければと思います。


【小野寺座長】  どうぞ。


【江村委員】  先ほどからの議論と,後で言おうかと思ったことがあったので。
 希少工学教育というのがあって,暗黙の価値観的に,この先端のイノベーションを起こす側の議論をしているように見えるのですけれども,工学のもう1つの重要なのは,産業を支えるエンジニアリング人材を出すこと。でも,そちら側のことは,ほとんどイメージされていない感じがするのですね。
 それだったらそれでもいいのですけれども,そのことは検討の視点とかの中で言っておくべき気がしていて,私は,工学教育の中で,産業界から見たときに最も重要かどうか分からないですけれども,イノベーションを牽引する側と,産業を支える側と考えたときに,そちら側をどう見ているかは,クリアにしておく必要があるのではないかと感じます。



【小野寺座長】  石川委員から。


【石川委員】  先ほど冒頭に申し上げたのですけれども,今できていることに関しては,少しトーンダウンしてあるのですね。


【江村委員】  それで,先ほどの,希少というところが,今できてなくなっている危機感があるのです。
 エンジニアリングということで,基本的な工学教育をして,より多くの工学を,産業を支える人材を輩出できているかというところに,それがずれてきてしまっているという問題意識が産業界側にあって,絶滅危惧学科みたいな表現をしているのですけれども,その裏にあるのは,ここで書かれているレベルではなくて,もっと深刻な問題だと,私たちは捉えているのです。


【石川委員】  例えば,深刻な問題が,機械工学科辺りですと,そろそろ流体力学を教える人材が少なくなっているところは……。


【江村委員】  そう。


【石川委員】  この中ではどこに入るかというと,工学基礎教育の中で,それは充実していこうという話になります。


【江村委員】  そうだと思います。その基礎教育という表現の中に書かれている文言が,通してみると,それをうまく表せていない感じがするのですね。
 もう1回全体見ていただきたいと思います。


【名和委員】  割と基礎教育というところで,一般的なところをかなり重点的に基礎教育としてコア・カリキュラムを作っているというのですね。
 そこだけがきっちりしていると,希少となった工学教育も,かなり入りやすいと。基礎的なところに重点を置いているのはそこだったものですから,もう少しそこも含めて書き込む必要があることは分かりました。検討させていただきたいと思います。


【小野寺座長】  どうぞ。


【天羽委員】  3ページ目で,今の御質問ですけれども,例えばそこの短期的な人材養成,ここはかなりカバーしているのではないかと,実は思っていたのですが,どうでしょう。少し文言を変えてもいいかもしれませんけれども。


【名和委員】  短期的というのは,今現状の問題,先ほど西尾先生も言っていたけれども,現在の問題があって,そこのスキルをきっちり重点的なもの,人たちもそこで作るということが入っておりますので,それは入っております。
 ただ,明確にそこの,基礎的なところは明確に書いてなかったので,重点的に書いた方がいいということでは,認めたいと思いますので。


【小野寺座長】  よろしゅうございますか。
 どうぞ。


【浅見委員】  先ほどの西尾委員の御発言と大分かぶるのですけれども,短期的,中期的,長期的人材育成という3つの視点で書かれていて,この内容はよいと思います。ここの章だけを読むと,例えば,学生としては,私は短期的人材になるのか,中期的人材になるのか,長期的人材になるのかと聞かれているように思うのですね。そうすると,学生さんは,分からない気がします。
 各学生が勉強しながら,カスタマイズした学科だとかプログラムを考えていって,結果的には,短期志向だったり,全部できたりとか,そういう指示だと思うのですけれども,これは1人の学生に全てを教えるのではなくて,人材のダイバーシティを確保することが必要であると。そのとおりですが,制度設計上の狙いが,この3つの視点どれでもできるように,短期のところはスキルのようにも思えますし,長期のところは必修の基礎科目みたいなイメージですけれども,それをきっちり提供しますという目的で書いているのか,あるいは,ある程度戦略的に,3つのタイプの人材を全体としてはそろえようという意図なのか,何となくこの趣旨が読み取り切れないという,同じような話で恐縮です。


【永里委員】  いいでしょうか,今の件で。
 非常にここは苦労して書いてらっしゃいます。書き込まれていないという言い方すると簡単ですが,お前に書けるのかと言われたときに非常に難しいと思ったのです。
 ですから,これに関しては,もっと推敲してくださいとしか言いようがない。私はそう思います。


【川田委員】  1点ヒントが。よろしいですか。
 要は,何を教えるかという視点で全て書かれてあるのですが,学生教育の中で,特にプロジェクト型の教育で,コンピテンシーを獲得させる。人間力もあるのですけれども。
 ここ,実は余り工学的教育ということですので,フォーカスから外れていると思うのですけれども,例えばチーム力であるとか,継続的学習と研究の能力であるとか,コミュニケーション能力とか,コンピテンシー獲得が,教育の中に組み込まれますと,中期的とか長期的だというものも,実は教育した学生の人間的な力が元になって更に発展していくという,どういうディシプリンを教えるかとは違った視点の型があるのではないかと思いました。
 難しいことばかり言って,申し訳ないのですが。


【小野寺座長】  今の点ですけれども,次の4が「輩出すべき人物像」とだぶってくるのだと思うのですよね。その辺いかがですか。


【名和委員】  実を言いますと,それについては,4で,先ほどオリエンテッドな授業もしたり,主体的に学ぶとかを言っていまして,実はここではなく,4で本当は議論していただきたいと。
 それと,コンピテンシーという意味での能力,コミュニケーション能力とかは,そういった意味で産学連携で,PBLのような授業をやっていただくことで。現場で行きますと,絶対にコミュニケーション能力ですとか,問題を発見して解決するというの,座学ではできない,その場に行ってやらなければいけない。そういった意味でのコンピテンシーの考え方で,現場というものを入れていこうとしているところが違うところでございまして,なかなか日本語が難しいという感じがいたしますが,そういう部分を入れているつもりです。


【川田委員】  ありがとうございます。


【小野寺座長】  どうぞ。


【土井委員】  今の議論と違って,細かいことで恐縮です。その3ページ目で,「短期的」の5行目で,「AI,IT,データサイエンス」と書いていただいているのですが,これは,「IoT」の意味ではなく「IT」,あえて「IT」なのですか。


【名和委員】  すみません。


【土井委員】  あともう1つは, 2番目の「中期的人材養成」で,最後の,「学際領域や文理融合の視点」と,文理融合の視点は学際領域に含まれると思うので,あえて文理融合が別出しになっているのは,少し気になりました。
 最後の段落で,「検討の前提として,工学系大学から」とありますが,大学だけではないですよね。今回は,工学系の,大学院とか学部から輩出されたということだと思うのですが。


【辻専門教育課課長補佐】  今回は,大学における工学系教育について御議論いただいておりますが。


【土井委員】  でも,工学系大学というと,総合大学が含まれなくなってしまうので。


【名和委員】  日本語は難しいね。
 そうですね。私たちからすると総合大学ですが,工学系大学と言うと,総合大学も含めてという意味で考えて記述したのですが。大学の工学系ですね。ひっくり返しましょう。
 あと,IoTでもICTでも正しくて,ITになりますのは,確かに間違っておりました。
 また,学際領域は,文理融合という意味では,非常に大変申し訳ございません,私たち,理系の学際というイメージがあって,文理融合は,何か学際とはまた違うイメージがあったもので,こういう表現になっておりますが,言われてみれば全部学際的なところでございます。


【小野寺座長】  「文理融合を含む学際領域」ですか。


【名和委員】  ただ「文理融合を含む学際領域」とさせていただいても。


【土井委員】  はい。


【小野寺座長】  よろしゅうございますか。
 それでは,先ほどの関連に参りますので,4「輩出すべき人物像」について,皆さんから御意見いただきたいと思います。


【土井委員】  よろしいでしょうか。
 書き方の問題だと思うのですが,今の4の最後の段落,4ページの上にある,「製造業と非製造業の橋渡しができる人材や「バーチャル空間」のみならず「リアル空間」も含め俯瞰的に把握できる」,まさにそのとおりだと思うのですが,従来の工学の教育でも,現場に行ってコミュニケーションしないとならないというのは行われてきたわけで,もしここで「「バーチャル空間」のみならず「リアル空間」も含め」だと,ここは何が,何を違うところを目指しておられるのかを教えていただけると。


【名和委員】  ここは石川先生。


【小野寺座長】  どうぞ。


【石川委員】  今までの私の発言とずれてしまうところがないわけではないのですけれども,今まで明治時代からは,ずっと現場を中心とした工学があったのですけれども,戦後の一時期,少しアカデミズムに走ってしまい,現場を離れた工学になってきた部分があったので,それをもう一度戻しましょうというのが,前文の歴史に書いてある。
 それを受けてここがあって,現場あるいはリアル空間に対する意識を,再度高めましょうというのを鼓舞している。
 だから,理念的な面もあるのですが,その雰囲気をこの文章でということになります。


【土井委員】  後のところにも関わってくるのですが,そういう意味では,社会への影響をきちんと理解していかないといけないというのは,そのとおりだと思います。
 後の方で,倫理と安全という言葉がありましたけれども,最近では倫理だけではなく,ELSIということで言われています。Ethical,Legal and Social Issuesと言われていて,もしそういう意味での話であれば,後の方のカリキュラムとしても入っているので,その辺りが見える形にしていただくと。
 とにかく今は情報が関わることによって,社会へインパクトを与えるのがものすごく早くなっているし,大きくなっている。被害も甚大になることもあるので,その辺りを,ここに少し含めていただくと,単に俯瞰するだけではなく,将来を見通してやっていくことが重要だということが,伝わるのではないかと思います。


【石川委員】  よろしいでしょうか。
 おっしゃるとおりでございまして,後ろも読んでいただいてのこの表現ということ。短い文章の中で表現するのは,この辺ということで。
 先ほど,幸田委員から,社会構造の変化というのに対するというのがあったのですが,これは,ワーキンググループの中では,3ページの一番下のパラグラフの中の「社会における工学の価値を理解し」という,この一文が,かなり長時間にわたって議論されました。


【名和委員】  やりましたね。


【石川委員】  それで,この「社会における工学の価値を理解し」というのが,ワーキンググループの雰囲気では非常に重い文章としてここに入れたという。重さが感じられないとまずいのですが,ここは重い文章として,10分か20分議論して入れた1単語になります。


【名和委員】  相当議論しました。


【石川委員】  それで,お二人の御意見がここの文章に入っているということで,お許しいただきたい。
 後ろにも少し出てきますが。


【幸田委員】  4ページの最初の3行です。このスペシャリストとジェネラリストという表現の使い方ですけれども,スペシャリストとジェネラリストとは,対比感を持って語られる場面が多いという気がします。この表現は,例えばスペシャリストとしての専門の深い知識を深めた上で,そういう俯瞰的なジェネラリスト的特性を持っているハイブリッド的な人材であれば,どういう人材層として位置付けるのか,多様性,異文化までを見据えることができるのかが大事で,これは確かにジェネラリストとしての側面もよく取り入れることだと思います。
 この両方を合わせた「幅広い知識・俯瞰的視野を持つ人材を育成することも重要である」という,人材群というものを,輩出すべき人物像の位置付けとして,前段で書いてある3ページの下の課題解決等の能力の記載とリンクしているのですけれども,その辺りをもう少し補完的に言っていただくことが必要かと感じました。


【名和委員】  ここに書いているところは,この前の委員会でありましたように,確か役員会で,いろいろな商売をしている際に,単に専門だけではなくて,歴史ですとか,物理だとか関係ないものが分かっていかなければ,商売ができない。
 確かに,私たちもそれをすごく実感していまして,文化,歴史も分からなければ,工学人としても不十分だという意味で,リベラルアーツ型の教育を受けて,それからきちんとしたスペシャリストを作っているという。アメリカの教育は大切だと思いまして,それがかなり反映されて出てきているところがあります。
 きちんとした基礎があって,それが工学の下にある基礎教育で,その上にスペシャリストを載せて。これもそれがなかなかうまく伝わっていないのかと思いますが,そういった人間をどう作るか……。


【幸田委員】  意味合いは分かりました。
 だとすると,何か社会課題認識みたいなもの,それが3ページの一番下に書いてある記述とリンクしているという整理になるということですか。


【名和委員】  社会をよく知るということが,そういったことになります。


【幸田委員】  そうすると,3ページの下の「必要であることを前提とする」の言い方と,ここで4ページの3行目も「育成することも重要である」の部分を,もう少し結び付けていただく方が分かりやすいのかと感じました。


【小野寺座長】  ありがとうございます。
 どうぞ。


【江村委員】  細かい話になってしまうのかもしれないですけれども。
 先ほどシステム・オブ・システムズという話があって,ベタな言葉で言うと,デジタルツインと言われていて,リアルな空間をバーチャルに移した上で全体の設計をするのが,大きなトレンドなのですね。
 そう思ったときに,この最後の文章が「「バーチャルな空間」のみならず「リアルの空間」」という表現になっているのがもったいない感じがあります。
 その大きなトレンドで,それで全体俯瞰というのが流れなので,もう少しうまく書ければ,システム・オブ・システムズまで含んだ思想になるので,検討いただければと思います。


【小野寺座長】  いかがですか。


【名和委員】  専門分野。


【石川委員】  おっしゃるとおりなのですが,いい文章が余り浮かんでこないので,考えさせていただいて。おっしゃるとおりです。


【浅見委員】  よろしいですか。
 短,中,長期があって,あとスペシャリストとジェネラリストがあって,バーチャルとリアルがあって,これは必ずしも対立する概念ではないという御指摘があったので,その書きぶりをどうするかはあるにしても,そういう構成で書かれているので,シニカルな読者の目から考えると,バーチャルもリアルもできて,ジェネラリストもスペシャリストもできて,短期も中期も長期も全部できるのを目指していますと読み取れますと。
 ただ,社会における工学の価値を理解して,こういうスキル,能力を身に付けた上で,自らが新しい価値を作れる人材ということだけではないかと思うのですね。
 この中の一番言いたいことは,工学の価値を理解していて,自らその価値を使って仕事ができることだと。それをするためには,人によっては,中期,短期,長期が違うでしょうし,あるいは深く専門力を身に付けながら,学際的な,ここで言うジェネラリストという観点で仕事を組み立てることもできるでしょうし。
 この段落の中で,どれが主文で,どれがそれを支持する要因なのか。そういう構成にされた方が分かりやすいかと思いました。


【小野寺座長】  難しい……。


【名和委員】  難しいと思って。
 端的な例を言うと,最初は5年でスキルをかなりやり,卒業し,企業に入り,総合的なことに従事するようになったところで,社会人として学び直しができるシステムを作っていかなければいけないという考えがあるのですよね。
 ただ,それをいろいろなパターンを全て書くわけにもいきませんで,本音を言うと,先ほどの図で,そのようないろいろなパターンを書く必要があるだろうと。
 ただ,現行のものは,それほど自由度を持っていないのではないか。他学部を出てきた人がこちらの修士に入れるかというと,例えば哲学科出てきた人がうちの工学部に入れるかというと,これが難しいかもしれない。でも,それを認めるというのは,システムを作る必要があるだろう。例えば,修士で勉強しながら,学部で勉強しながら,修士も独自でやれるとか,そういったものができなければ,そういった特別な人材がなかなか作りづらいこともあり,書きますとこういう文言になりました。
 これが分かるためには,先ほど言いましたが,3次元か4次元の図が実は必要になるのですが,そういったことを意味合いとしてまとめ,短く書くとこういう形になってしまう。今はそういう段階しかできないというところだと思います。


【小野寺座長】  非常に難しい問題だと思うのですが,書きぶりとしてどうするかについては,もう少し相談させていただいて,最終的に決めさせていただきたいと思います。
 続きまして,5に行きたいと思います。「人材育成を担うべき人物像」,この5について,皆さんから御意見いただきたいと思います。


【幸田委員】  この4ページの5.人材育成を担うべき人物像の章の最後の「また,大学との」以下の各論の一文ですが,1つ目が「大学と産業界のマネジメントを理解」,2つ目が「他分野への関心と協調性を持つこと」,3つ目が「教育研究資金を集めることができるような発想力」という,この3つの例示ということについてですが,この中で3つ目の例示について,「教育研究資金を集めることができるような発想力」が,人材育成を担うべき人物像との関係で言うと,やや現実論に近すぎる感じがしています。この意味としては,もう少し基本的な産業界とのネットワーク作りとしての連携であるとか,あるいは,たこつぼ化過ぎるので専門性にこもらないようにする力をどう付けていくかとか,そういう観点の方が非常に大事ではないかと思います。ここで書いてあるこの具体例がどこまで適当なのかという点が,読んでいて気になりました。


【小野寺座長】  これは多分,大学の先生方,特に国立大学の先生方にとっては,この資金を集めるのが非常に大きな課題になっておられるので,これが出てきたのではないかと思うのです。


【天羽委員】  いや,ワーキンググループではやっていたときに,少なくとも企業から見たときに,違和感は余りなかったですね。
 なぜかというと,大学の先生は,一生懸命に資金を集めてくるのは大事なことですが,そういうプロジェクトを発想していく人を育てないといけないという形の中のコンテントを随分話していたので,違和感はなかったです。けれど,余りスペシフィック過ぎると言葉を変えてもいいかと思ったりします。


【江村委員】  私的には違和感があって,アメリカの大学とか見ると,資金を集めるのは,違うロールの方がやっているわけですね。
 そこを,人材を育成する先生に同時に求める表現になっていること自体,まずい気がします。


【小野寺座長】  要するに,プロジェクトマネージャーとしてお金を集める人と,教える人は別でいいではないかという意味ですね。


【江村委員】  はい。


【小野寺座長】  どうぞ。


【永里委員】  産業界の人間として,このことはよく分かるのですが,この文章の中で,ここはスペシフィック過ぎて,私の意見などは反映されているのですけれども,スペシフィック過ぎる感じがいたします。
 実は,人材育成を担うべき人物像はあるのだろうと思うのです。その点に関しましては,ページ11の8ポツにも関連して書いてあるのですね。
 ただ,そのお金を集める発想力は,今おっしゃったとおり,全然別の人物像で,これは大学に絶対必要だということも,また重要です。どこに盛り込むかという,それだけの表現だと思います。


【天羽委員】  この中にはないのですよ。


【名和委員】  大学に今そういった組織が,体制が,URAとかありますけれども,明確にない。それで困っていて,山中先生は自ら,ノーベル賞を取った山中先生は資金を集めるなどということをされていて,本当にそういったことも含めて,少しここに書き込んだということに。
 スペシフィックということは分かるのですが,では大学に新たな組織を作れということを提案すると,これはもっと大きい改革案になります。工学教育だけではない形になりますので,これはこの程度で書かせていただいているところです。かなり違和感がございますでしょうか。


【幸田委員】  さきほどの人材としての両立しにくい側面は,なくはないと思います。一方で,確かに教育研究資金を集めることができる発想力が,ここで言っているいろいろな社会課題を解決することと,最終的にはリンクするのだろうことは,当然日本経済の成長とかを考えていったときに,必要性が高い位置付けだと思います。しかしながら人材育成を担うべき人物像の話で,教育研究資金を集めることができるような発想力という具体的な記述を,中間取りまとめとして見たときに,やや短絡的と言うか,単純に結び付けている印象があるので,工学系教育改革を総合的にやっていく中で,人材育成を担うべき人物像としては,その辺りの表現ぶりまで含めてしまうことについて,どうかという感じを持っているということです。


【小野寺座長】  どうぞ。


【中村委員】  医療機器を大学の先生方と一緒に研究・開発をしていく場合に,日本のとアメリカでやっていく場合,比較すると桁が1つ違うように思います。
 研究開発に従事する助手たちを集めなければいけない。そうすると,大学の教授1人に助手3人とか。そうすると,必ずお金は掛かるわけで,それを1年やるとなると,それぐらいの金は掛かるのではないかと思います。
 日本の場合には,それを大学の先生はできる範囲でやりましょうとなるので,研究が遅れてしまいかねない。
 大学の先生方のマインドを変えないと,研究は研究,ビジネスは関係ありませんという発想は,注力すべきところを間違える可能性もあるので,少しぐらい考えて良いというのが,よろしいのではないかと思います。


【小野寺座長】  どうぞ。


【利穂委員】  印象めいた分ですけれども。
 お金を集める,海外で集めるのは,先ほど言われているように,研究開発の分については,一生懸命でいいテーマを出して,いい人を集めてということだと思うのですけれども,教育のために,先生が一生懸命お金を集めているのかと言うと,どうかという感じがいたします。
 だから,産業界とかいろいろなところと物すごく近くて,いろいろなニーズが分かっているという意味では,こういう書き方になるのkもしれません。ですが,教育を担う人がお金を集める能力にというところは,違和感があるところがございます。その先生が研究開発をする能力がたくさんあるという意味の能力と,人を育てるというのが,これは不可分ということなら非常に近いのかしれませんが。
 研究と教育,その両方は,ここで言っているのは,研究に非常に近い領域でお金を集める能力のある先生という響きが,イコール教育も同じと響いている感じがして,違和感を感じるところであります。


【西尾委員】  資金的なことに関わるところが,教育との関係では少し問題だという御意見だと思います。
 ここで強調すべきことは,この文章を作成されたときの1つの重要な趣旨として,先ほど石川先生がおっしゃったように,社会の中における工学であるということを理解し、常に意識してほしいということだと思います。
 そうだとするならば,「他分野への関心と協調性を持つことや人材育成を通じて社会との好循環を築いていく,そういう発想力等…」という記述だと,まだいいのかもしれないと思いました。


【永里委員】  国立大学改革の中で,大学の総長とか学長に求められる資質が,この金を集めることだというのが,欧米の主流の考え。それが反映されて,日本の国立大改革でも,そういうことが今出てきていると思うのです。
 その一環として,こういうことが書いてあるのだろうと思いますので,そこに触れたらいいのではなかろうかと思います。
 教育と研究は違うというのは,そのとおりです。けれども,工学というのは,本当にお金に絡むようなところはありますので,そこも考えるべきだと思います。


【小野寺座長】  皆さんから,ここの教育研究資金の問題,いろいろ御意見を伺いましたけれども,西尾委員から出た御意見が,1つの集約のやり方かと思いますので,皆さんの御意見を参考にさせていただいて,もう一度ここの文言は練らせていただきたいと思いますので,よろしくお願いします。
 ほかに,ここの部分でよろしゅうございますか。
 それでは,6「学部・大学院の教育体制の改革」に入りたいと思います。ここが最大のメーンの部分ですので,ここを全体でまた議論すると大変かと思いますので,「教育体制の改革」,(1)ですね,ここからいきたいと思います。
 それに関連して,(2)「学部段階における基礎教育の強化」も,全ての工学系課程に共通するところだろうと思いますので,まずは(1),(2)の段階で,皆さんから御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
 どうぞ。


【関委員】  多分間違いかと思うのですけれども,(1)の「前述したとおり」の下の行の最後の「可能となる」というのは,論理が,文章がつながってなくて,「必要となる」とかそういうことを書きたいのですか。


【名和委員】  何か違うの。分からない。


【石川委員】  「必要となる」ですね。


【名和委員】  「今回の変革によって」というのが付く。どこか抜けてるの,これ。


【小野寺座長】  何か文章が飛んでいるのですか。


【名和委員】  文書が飛んでいるのですか。作ったやつが,どこか飛んでいますね。


【石川委員】  この「可能」は,おかしいと思うね。


【名和委員】  この1文,どこかから入ってきたのではないですか。具体的に,至っている具体的にはというところとつながった方がいい。
 これは元の文章を……。


【石川委員】  いえ,作業場の話で申し訳ないのですけれども,これは,資料1で箇条書きにしたときの文章が残っているのですね。
 資料1では何を言っているかというと,学科・専攻定員の制度の見直しをすると,産業構造の変化を踏まえた大学の工学教育の組織構造の転換が可能となるという話だったところへ歴史の話を埋め込んだので,つじつまが合わなくなったということであります。


【関委員】  ですよね。


【石川委員】  これは文章の問題ですので,直します。


【関委員】  すみません。


【小野寺座長】  ほかにございませんか。
 どうぞ。


【江村委員】  今後の議論になると思って,今回では入れ込めないのではないかと思うのですけれども,図1の「工学概論科目」という中で,先ほどethicsの話は土井さんがされたのですが,システム・オブ・システムズみたいな話を最近イメージしてくると,標準化という表現だとまだ足りなくて,そういうこととか,ルール形成とかといったことに対する理解が,非常に重要になってきていると思うのですね。
 そういうのを,これから拡充していかないと,知的財産みたいなことだけを言っていてはもう追い付かなくなっていることについて,中間まとめでは,多分そこまで入れないと思うのですけれども,今後の議論としては,そこを重点的に議論する場があってもいいかという感じがいたします。


【小野寺座長】  今おっしゃったところをどのように埋め込むかは,中間の中に入れるべきかどうか,検討する必要がある気がするのですが,おっしゃっている意味はそのとおりだと思うので,標準化だけではなくて,ルールメイキングという言い方のほうがいいのかもしれませんし。


【江村委員】  ルールメイキングの話が1つと,先ほどのシステム・オブ・システムズみたいなものだと,インターフェースをどこで切ってつないでいくかは,本当は非常に重要で,個別の議論をしていても,その質問にいかないのですね。
 だから,その全体俯瞰を持たせるために,何を学ばせたらいいかの具体論がいるのではないかと。そういう意味で申し上げました。


【小野寺座長】  難しい話ですけれども,いいですか。


【三島副座長】  難しいですね。


【小野寺座長】  いかがですか。


【石川委員】  ここでの議論と大学教育全体のことから考えますと,基礎科目,スキル科目,工学概論科目が,工学基礎教育としてあります。その先に,専門教育があります。そのどこで,今おっしゃったようなことを入れるかという問題と,どの範囲までやるかという問題は,全体像を見てみないと,どこへ落とすかが見えないことがあって,中間取りまとめで挙げた幾つかの,例えば,数学,物理化学,情報,数理・データサイエンス等々は検討するべきだけれども,これをやらなければいけないという議論までは達していないので,今後の議論に委ねざるを得ないということであります。
 断片的に,これは必要だということ,ほとんど全ての教育科目が必要だという結論に陥るのが教育論でありまして,それを大学の教育の全体像の中のどこに埋め込むかという議論が,この先にあるとお考えいただければ,ここに挙がっているものはサンプルであるという。
 先ほどの,西尾先生も言っているシステムなどというのは,どこかに入れなければいけないのですけれども,どこに入れるかとは,今後の議論に委ねさせていただきたいと思っているところです。


【名和委員】  情報ではない意見として,私も言わせていただきたいのですが。
 機械も,そういったシステム・オブ・システムズがあり,土木にはシステム・オブ・システムズ,違うシステム・オブ・システムズが結構存在していて,実は各学科,もう持っているのですね。
 それを共通化するかというと,今度はまた違うので,異文化でいたいといったところもありまして,まだここははっきり言って,やることは決まっているのですが,どうするかという具体なものが,まだ出てこない。
 バイオも,そういった意味では,生物というのも基礎科目に入れるか入れないかで,議論をしたりして,将来的なことを見据えると,生物を入れようとかと言った際に,生物は,どの部分を生物と言うのか。物理も,そのとき私が言ったのですけれども,確かにやっていない工学物理があると言ったら,ないでしょうと言ったら,天文学はやっていないのではないか。
 そういった意味で,大きい意味で作ったときに,物理とか化学と言っても,私たちは工学系で言っている物理とか化学とは違うところなので,全般的に言ったものとは違います。そういったもの,詳細な議論は今後の煮詰めるところで,内容については検討する必要があるだろうとさせていただいております。


【小野寺座長】  どうぞ。


【西尾委員】  この(1)と(2)で,気になる点が2点あります。
 先ほど名和先生,石川先生がおっしゃったように,この中間まとめは,今までの在り方を否定して新たな在り方にするようにということではなく,各大学において,状況に応じて,その内容を生かしていくということだと理解しております。ただし,この委員会で議論している内容は,将来,工学教育に対しては非常に大きな意義を持っていくと,私は確信しております。
 その中で,例えばですけれども,(1)の2)の5ページ,第3段落目で,教員組織と教育組織を分離するという教教分離のことがいろいろ書かれています。この文章の意味は,「このことを実現するためには」と前を受けて,教教分離は有効なのかどうか分からないにもかかわらず,「有効であり」と後ろに掛かっています。私も教教分離に関しては,いろいろ調べてみましたがさまざまな形態があります。そういう中で,ここで考えている教教分離は一体どのような分離の仕方なのかを明確にすることが必要です。既存の実施例についての実証評価をした上で,工学系教育に今後必要な教教分離とは,どのような形態のものかを明らかにする作業が必要ではないかと思っています。このような作業抜きに,教教分離を工学系教育改革の重要施策と一律に位置付けてしまうことは,拙速だと思います。
 ここの記述は,むしろ9ページの教員組織,教育手法の多様化のところで論じるべきと考えます。クロス・アポイントメント制度も1つの教教分離です。ですから,5ページのような断定的で影響力を及ぼす記述を9ページに移して,各大学に柔軟性のある適用の仕方があることを示した方がよいのではないかと思っています。
 二つ目は(2)の4)の卒論のことです。これは,中間まとめの文章を読むと,卒論には非常にネガティブで,PBLは良いとしか読み取れないのです。
 まず,PBLの定義が3ページの注に書いてありますけれども,これは間違いです。PBLとは「産学連携により」と書いてありますけれども,PBLは産学連携でなくてもあり得ます。これは,30年前にカナダで始まった,プロジェクト課題を与えて自主学習をしていく方向です。ある意味では,卒論と変わらない側面があります。
 学生達は、卒論に向かう過程で初めて大学に来たのだということを実感する,ということをしばしば話してくれます。これは,それまでの受け身的な学習から,自ら創造的な学びを経験する希少な機会になっているだけでなく,さらに1つ重要なことがあるのです。それは,多くの教員や先輩たちの前で行う発表会のことです。このQ&Aで,1人の学部修了生として巣立つための徹底的な訓練がなされます。この経験が,後で社会的でイノベーションを起こすためのコミュニケーション力として,すごく重要になっています。
 そういうことの議論がなくて,卒論の在り方の見直しを書かれると,短絡的に,もう「卒論はよくないのですね」と捉えられてしまう。このようなことは,私は危険だと思います。
 ですから,フレキシビリティを持たせてほしい。


【名和委員】  私自身は,最初で,資料1が出たときは,卒論は十分PBLだと認識している例もある。やっているところはやっているのですね。やっていないところもあるので,そういった意味では,もう思っていまして,確かに標題が悪いです。


【名和委員】  標題は少し悪いなという。きょう説明したときも,標題悪いなという,最初から……。そこは,少し直したいと思います。
 あとは,先生のおっしゃるとおりで,したいと思っています。


【石川委員】  追加でよろしいですか。
 実は,資料1と資料2で質問がございまして。資料1では,卒論,これは卒業論文の見直しではなくて,卒業論文の在り方の見直しがあった上で,最初の項目として,卒業論文を積極的に活用というのが入っているのですね。
 積極的活用をするのも,1つの方向性であり,なおかつPBL等への展開力もあるということで,この「積極的活用」という文言が,資料2では入っていないです。


【西尾委員】  そうですね。


【石川委員】  これ,きちんとワーキンググループと議論されて,今の卒論もたこつぼ型はよくないけれども,それ以外はいいことがあるから,それは積極的に活用しましょう,それ以外の卒論もあり得るでしょうという議論になる。


【西尾委員】  分かりました。


【石川委員】  それが,この資料2で文章として反映されていないので,それは反映するようにしたい。


【小野寺座長】  ありがとうございます。
 どうぞ。


【中村委員】  卒論は今言われた方向が是非よろしいかと思います。私どもも,論理をブロック式に積み立てていく学生が,最近少なくなっているという感じがしていますので,是非卒論を積極的に使っていただくように,お願いしたいと思います。
 私のもう1つのお願いは,(2)とか,その後の卒論の在り方でも書いてあったのですが,インターンシップの導入によりという解決策になっているのですけれども,このインターンシップの定義が不明瞭で,実際のインターンシップ活用例は1週間とか,数日というのも結構あり,まずインターンシップの在り方を直さなければいけない話と思います。形式的にならぬよう,是非,3か月とか半年とか,必須科目にすると狙いははっきりすると思うのですが,いかがでしょうか。


【天羽委員】  12ページにインターンシップの件が書いてあるのですけれども,基本的には,今ある1日とか1週間などは,インターシップと全然呼んでいないので,ここの定義は,あくまでも就活とは関係なくして,教育のためのインターンシップ。
 ただ,それは,ある程度の期間とは,当然この中で考えられることであって,それを企業と大学でしっかりとプログラムを作っていく形で,12ページに,少しそれに関して書いてあります。


【中村委員】  どこかで読んだなと思ったのですけれども。
 企業側が,就職,斡旋ではない,採用する活動の一環として使っているような文章がどこかにあった気がするのですけれども,実際には,私どもがインターンシップで学生を招こうとするときに,皆さん大体夏休みを活用されるのが多くて,1か月とかやるとほかの企業に行けなくなるので,そんなに長いところは嫌だと,言われます。目的と実態が合っていない感じがしているのですね。

 ですから,そのようなのがどこかありませんでしたか。昨日読んでいた中にあったような……。


【天羽委員】  12ページだと思うのですが。


【名和委員】  企業側に問題があると書いてあったのですが,今は学生側に問題がある気がする。


【天羽委員】  12ページの真ん中ぐらいに,それに関しては書いてありますので。
 だからこれは,あくまでも就活とかと全く連携していない形のインターンシップという。


【名和委員】  企業側に問題があるというより,1日インターンシップとかを認めること自体が問題あるのではないかというニュアンスで,随分ワーキングで議論になりまして。ある程度インターンシップする場合には,そこでインターンシップするための計画を作って,実践して取りまとめる形が必要ではないかを,随分議論させていただきました。
 そうしますと,期間として1か月でもできるわけではなく,最低2か月,普通は3か月必要ではないかという感じの議論がされたものですから,就活といった目的ではなく,きちんとした,企業に入って自分で計画を作り,実施して取りまとめをするインターンシップを推進していかなければ,そこの企業の人たちがやっていることに対して,がっちり議論をするということができないのですね。何も成果がないものですから。
 そういった意味で,そこの教育効果の高いインターンシップということを書かせていただいております。よろしいでしょうか。


【中村委員】  結構です。


【小野寺座長】  進行が悪くて申し訳ないのですけれども,残り時間が余りなくなってきていまして。
 今(1)(2)議論していただきましたけれども,その後,特に今の6ですね,ここで皆さんからまだまだ御意見があるのではないかと思うのですが,申し訳ないのですけれども,時間が余りないので,皆さんからこれだけは言っておきたいというのがあれば,まずおっしゃっていただけませんか。
 どうぞ。


【土井委員】  6ページの図1,先ほど江村委員からもコメントがありましたけれども,システム・オブ・システムズの話をどう盛り込んでいくかに合わせて,先ほど申し上げたように,倫理・安全ということではなく,法的なこと,特にデータの取扱いでは個人情報保護法とかパーソナルデータの扱いがありますので,是非ここはethicsではなくELSIにしていたければと思います。
 スキルなのか工学概論なのか分からないのですが,データをきちんと扱うところを具体的に演習などでやっていただくのが,すごく重要かと。どの学科にもかかわらず,人文でも,皆さん統計データとか扱うので,統計とやると,アルゴリズムを扱う教育と思うのですが,アルゴリズムだけではなく,現場ときちんと結んでやるときに,データがこういう社会的な価値という意味で重要だというところを,是非教育するところを,数理・データサイエンスなのかELSIなのかマネジメントなのか分からないのですが,それを埋め込んでいただくのが重要かと思います。
 それをしないと,データの取扱いを間違うと,特に工学系は,この後社会にいろいろな問題が出てきますので,いろいろ燃費の問題とか,いろいろなことも出てきていますので,だから,そういう意味できちんとデータを扱う。データを扱うことによって,バーチャル空間とリアル空間が俯瞰的にマッピングできるわけですし,システムズ・オブ・システムと言うときには,データ駆動型というところをきちんと理解していく教育が,工学の部分では特に必要かと感じます。
 カリキュラムとしてどうするかという答えは持っていないですが,今後に向けて考えていただければと思います。


【小野寺座長】  ありがとうございます。
 今お話のあった6ページですけれども,ここ,もともと図1を科目区分と,科目は例にしてあるのは,これは各大学で実施をもって検討してくださいという意味合いになっていると思うのです。
 ここは,あくまでも科目を例としていますから,ethicsをELSIに直すのも問題はないのではないかと思うのですが,よろしゅうございますか。


【石川委員】  今の御発言は,この中に包含されているとお考えいただいて結構です。あとは,もう設定の問題だけです。


【土井委員】  はい。


【小野寺座長】  ほかに皆さんから。
 この議論を始めるときの最初の段階で,皆さんで議論していただいたように,大学の自由度を増やすために,制度面で問題のあるところはきっちり書き込んで直してもらいましょうというのが一番の目的で,各大学の自由度を縛るつもりは毛頭ない。そういう観点でこういう点が抜けているのではないかという基本的な点があれば,是非お願いしたいと思うのですが。
 申し訳ないのですが,時間がなくなってしまいまして,この後,全体を見通して,もう少し議論したい点があるのではないかと思うので,申し訳ないのですが,皆さんでこの点をこうしてほしいという具体的な案件があれば,事務局に,来週中でいいですか。


【辻専門教育課課長補佐】  今後の作業スケジュールもございまして,なるべく早めに頂ければ大変ありがたいと思うのですが,メール等で結構ですので,事務局にお寄せいただきたいのですけれども,週明けぐらいでも可能でございましょうか。


【小野寺座長】  今週中か週明けまでということで。


【辻専門教育課課長補佐】  できれば,今週中に御回答いただけるとありがたいと存じます。大変お忙しいところ恐縮ではございますが,いかがでございましょうか。


【小野寺座長】  よろしいですか。
 では,今週中に事務局に御連絡いただいて,それを最終的には副主査,主査と座長とワーキンググループの皆さんと御相談しながら決めさせていただきたいと思いますので,よろしくお願い申し上げます。
 進行が悪くて誠に申し訳ないのですが,そういうことで。
 どうぞ。


【三島副座長】  一言だけ。
 このワーキングの資料1の表紙を見ると,5回やっていただいたのですけれども,特に最初辺りは物すごい長時間議論をしていただいているので,私は,まさにこのワーキンググループの活動には,心から御礼申し上げたいと思います。
 あとは,できるだけ文章で気を付けなければいけないところをチェックした形で,また目指していただければと思います。
 ありがとうございます。


【小野寺座長】  本当にワーキングは大変熱心にやっていただいて,ありがとうございました。
 それでは,皆さんからの御意見,それから週末までにお寄せいただける御意見を,最終的に取りまとめさせていただきまして,文言の修正等については,三島副座長と私と分科会の皆さんで相談させていただいて,最終的に決めさせていただきたいと思いますが,よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。それでは,そのように進めさせていただきたいと思います。
 最後に,事務局から。


【辻専門教育課課長補佐】  本日は活発に御議論いただき,ありがとうございました。
 一言御礼申し上げたいと思います。
 本年1月に第1回の会議を開催して以来,委員の皆様におかれましては,精力的,活発に御議論いただきまして,改めて感謝申し上げます。
 今後,取りまとめられる中間まとめを踏まえまして,私どもとしましては,具体的な制度改正等を検討する場を設けまして,引き続き工学系教育改革を推進していきたいと思っておりますので,どうかよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。


【小野寺座長】  ありがとうございました。
 皆さん方,本当に御苦労いただきまして,本当にありがとうございました。
 中間取りまとめなので,この後が多分大変だろうと思うのですが,是非皆さんでまとめていただいた中間取りまとめの方向性だけは見失わないように……。


【名和委員】  あそこに「新たな委員会を設置し」と入れていただきたいぐらい。


【小野寺座長】  どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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