障害のある学生の修学支援に関する検討会(平成28年度)(第9回) 議事録

1.日時

平成29年1月30日(月曜日)15時~18時

2.場所

文部科学省3F1会議室

3.議題

  1. 第二次まとめ(案)について
  2. その他

4.議事録

【竹田座長】 ただいまから、「障害のある学生の修学支援に関する検討会(第9回)」を開催いたします。昨年4月から開催している本検討会も、今回で最終回となります。本日は、第二次まとめ案について議論を行い、取りまとめまで行う予定でございます。
まずは事務局より、配付資料の確認及び資料1「第二次まとめ(案)」の説明をお願いいたします。

【小代課長補佐】 文部科学省学生・留学生課の小代でございます。本日は御多忙中にもかかわらず、御出席を頂きましてありがとうございます。
それでは、配付資料について御説明いたします。
配付資料は、議事次第にあるとおりです。その他、委員の机上資料として、本日の座席表、第二次まとめ(案)の見え消し版、議事次第に載っています参考資料を1冊にまとめたピンクの冊子をお配りしております。
まず資料1と別紙1、参考資料1の3点がセットで資料1となっています。
前回の検討会後に、委員の皆様からいろいろな御意見を頂戴いたしました。それを反映する形で修正しております。そのときのポイント、今回の第二次まとめ(案)をつくった方向性、方針について最初に御説明いたします。
まず形式的なことですが、表紙、目次を作成、添付しています。それから本文につきまして、第8回の検討会及びそれ以降にメールなどで頂戴しました委員からの御意見を事務局で反映しました。委員から頂いた意見のほとんどを何らかの形で反映しております。一部、事務局で意図が理解できなかった部分、あるいは確認中のこと、これまでの議論の方針と違うのではないかということについては、そのまま反映していないところもございます。
また、7番「社会で活躍する障害学生支援センター」と8番「おわりに」につきましては、これまで記載が保留になっていた部分を大幅に記載しました。
7につきましては、資料2の当省のホームページに記載してある予算等の資料に基づいて記載しています。
また、委員にのみお配りしております見え消し版について、主な御意見と御意見を頂いた委員のお名前をコメント機能で右側に記載しておりますので、併せて御確認いただければと思います。
別紙として、別紙1「障害学生の現状」のデータがあり、そのあとに別紙2が「障害学生支援に関するネットワークや機関」で、各機関についての資料です。前回机上でお配りしたものに加えて、ヒアリングに御協力いただいたACEなどの資料についても追加しております。更にその後の別紙3が「障害学生支援に関する進んだ取組や支援・配慮事例」です。
ここまでが今回の方針でございます。続きまして中身の主なところを説明いたします。
まず、見え消し版で御紹介させていただきます。
「はじめに」は形式的な修正のみです。下部の脚注を新たに追加していますので、ここも併せて御確認いただければと思います。
2~4ページは、文言の修正のみです。
5ページの「3.第一次まとめで取り組むべきとされた事項の進捗状況」については、文言の修正もありますが、前文の最後に「さらに、状況の把握方法について一層の改善を要する部分もある」という記載を追加しています。
これは、(1)短期的課題と(2)中長期的課題というところで、第一次まとめが意図していたところに直結するデータとしては十分ではないという御意見があった部分が数か所ございます。そこについて、どういったデータがあるかいろいろと探しましたが、なかなか直結するデータがない状況もあるということです。ただ、ここのデータの記載の仕方として、現状のデータで、どこまで検証できるか、今あるデータで記載するという方針できておりましたので、必ずしも直結するデータではないところにつきましては、把握の方向についての改善という全体的な課題という形で記載しています。
それから6ページから特に7ページにかけて、専門的人材の養成については、新たなデータとして追記しています。
7ページはそのほかに文言の追加をしています。
7ページから始まる「4.本検討会における検討の対象範囲」に関する部分です。ここについては、これまでの会議でも議論がありましたので、委員の共通理解について追記しました。
実際は、これまで第一次まとめで十分に議論できなかった生活面の配慮についても、「障害学生支援にとって重要かつ大学等において考えるべき課題であることを委員間で共有し」という議論がありましたので、これが重要な課題であることは、共通認識として追記しています。
ただし、進捗状況のデータの「教育以外の部分について、実態の把握」では、必ずしも精緻に進んでいるわけではないということがありますし、この部分についてどのように対応するかも様々な考え方があります。「模索が始まったばかり」と書いていますが、着手したということで、まだまだ考えなければならないことがたくさんある状況ですこういったことを踏まえ、今回は例示を特にやっていこうという方針で始めたということを書いています。
この例示をすることによって、この部分が国全体の中でどのように対応や検討が進んでいかということを意図して、これも検討の対象としていると整理しました。
8~10ページは文言の修正のみです。
11ページの終わりから12ページにかけて(3)合理的配慮の内容の決定手順、障害学生からの申出の部分では、その中で、12ページの中ほどの<3>「原則として、申出に際しては、個々の学生の障害の状況を適切に把握するため」という根拠資料のことについて記載しています。これについて、「適切な配慮内容決定のためには、本人が自らの障害の状況を客観的に把握・分析した説明資料等が」「挙げられる」ということと、「有効である」という言葉を最終的には使っております。ニュアンスの御指摘がありましたので、より適切な方にということで、文言を「有効である」としております。
また文言等の精査、整理として13ページです。「内容決定の際の留意事項」で、合理的配慮の申出の内容が、本質部分にかかわるとき、その確認が必要だ。本質部分について、それは、不当な差別に該当しないことを確認することを追記しました。
13ページの(4)紛争解決のための第三者組織の後に、見え消し版では(5)研修・理解促進、(6)情報公開を見え消しで記載していますが、反映版では削除しています。(5)研修・理解促進、(6)情報公開については、取り組むべき課題に記載する方が、より適切だということで、記載場所の移動をしました。
見え消し版の14ページ、15ページあたりから反映版とページ数がずれてまいりますので、御注意いただきたいと思います。
6.各大学等が取り組むべき主要課題とその内容について、実は、(1)で障害学生に提供する教育については、その目的・内容、評価の本質の後に、それらが障害学生への提供を前提とせず作成された場合、差別的取扱いが含まれることに気をつける、ということを記載した方がいいのではないかという御意見がございましたが、他の記載と重複がありますので、ここは原文のままの取扱いとしています。
15ページ(1)教育環境の調整の【3】について、これは情報保証の観点から、文言をより整理しました。
同じく(1)教育環境の調整の【4】、実習に関する記述の<2>で、「学外実習等、複数の機関が関与する場合には」という記載があります。これもわかりやすいように修正した部分でしたが、各機関との調整と参加要件を分けて記載するとほうがよりわかりやすい、ということで修正を加えました。
見え消し版16ページ(2)初等中等教育段階から大学等への移行(進学)についてです。ここも文言がかなり変わっているように見えますが、文章を整理して、同趣旨で読みやすくなるように修正しています。
見え消し版17ページ(2)の【4】「必要な支援を適切に提供することによって」の部分です。原文では「その才能を開花したモデルケース」という文章でしたが、能力を発揮するという教育の効果を書く形がよいのではないかということで、修正いたしております。
【5】の入学後の環境変化についても、読みやすくするため、かなり文言を追加しながら、修正しています。
(3)大学等から就労への移行の部分についても、より趣旨がはっきりするように文言の追加等をしています。
次に、見え消し版ですと18ページ(4)大学間連携を含む関係機関との連携の【2】についてです。「過重な負担となるような身辺介助(通学時も含む)をすること等により、大学等における合理的配慮」というところも、もとの趣旨をよりわかりやすくするために修正しています。また、専門的という言葉が入っていましたが、削除することでより内容がはっきりするということで、修正をしています。
次の(5)障害学生支援人材の育成・配置というところです。これも専門性を持ったいわゆる専門職と、障害学生支援のコーディネーターでは別のカテゴリーになるので、それは分けて表記する方がよい、ということで、その観点でわかりやすく修正をしました。
次の19ページに(6)研修・理解促進と(7)情報公開とありますが、これは先ほど申し上げたように、記載場所を移した部分です。
次の項目7.社会で活躍する障害学生支援センター(仮称)の形成です。これは冒頭でも申し上げましたが、資料2に記載されている社会で活躍する障害学生支援センター形成事業の内容を記載しています。
今回、書き加えたところがありますので、確認していただければと思います。
次に21ページ、8.「おわりに」というところです。これは今回、初出ということになります。基本的な組立てとしましては、障害というのも一つの多様性で、その人たちが特性に応じた対応ができるように支援するということが必要だということです。それからいろいろな支援を考える。すぐに全てが解決できるわけではないけれど、少しずつでもいろいろなことを積み重ねることで、支援は進んでいくということを希望します、という内容を書いています。
それから「国においても」で始まる段落について、当然、国による支援センターの話や障害者基本計画への対応がありますが、最後に、障害学生支援を一体的に行うための行政機関間の連携強化についても、本検討会でも度々議論されてきたことでもありますので、要望として追記しています。
主な変更点としましては、以上となります。

【竹田座長】 大分、完成版に近くなってきたと思いますが、まだまだ御意見もあるかと思いますので、ただいまの説明を踏まえて、この案をもとに、更につけ加えるべき内容等がございましたら、御意見を頂きたいと思います。
まずは1番の「はじめに」から、5.障害者差別解消法の施行を踏まえた「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮」に関する考え方と対処について、御意見を頂きたいと思います。

【白澤委員】  まず1か所目は、簡単な文言の修正ですが、2ページ目の「はじめに」の中の文章の3段落目、「本まとめでは」の文章について。「障害学生本人及びその関係者(保護者、介助者等)、大学等が行なう支援を補助する学生(以下、「支援補助学生」という。)、障害のない学生、」というところで、これらが参照することも想定したと書かれている部分です。支援に携わる人間として、介助者や支援補助学生が出ているのですが、この部分以外のところには、支援補助学生に並列して、支援者という文言を入れていただくようにお願いして、修正していただきました。ただ、ここだけ漏れていたようなので、ほかとそろえる意味でも、「支援を補助する学生(……)」の後に、「・支援者」と入れていただけるとよいと思います。
それから2点目は、5の中の、見え消し版でいうと12ページの【2】の建設的対話のところについてです。これは少し大きな話になってしまうのですが、この内容を通して見たときに、建設的対話というのが一体どういうものなのか、説明をされていないことが気になっていました。
というのも、大学と障害のある学生との相談事例を拝見していると、本当に対話になっていないというか、障害のある学生が申し出て、大学側が決定を告げて、それに伴って障害学生が意見を言うけれども、ほとんどが決定事項になっていて意見を聞いてもらえないといったようなことが、たくさん見受けられるのです。
一方的に内容の決定が行われることは避けなければならないとは書かれていますが、どういう対話が望ましいのかということが、もう少し伝わる書き方がいいと思っています。
そこで一つ提案なのですが、<1>で、「建設的対話を行ない、合理的配慮の内容を決定する」と書かれている後に、例えば「建設的対話とは、障害学生の意思を十分に尊重しながら、障害学生と大学側が互いに現状を認識し、双方の合意のもと、最善の解決策を探る話合いのことである。」という一文を加え、「この対話においては、この障害学生本人の意思決定を重視し」とつなげていくような形にできないでしょうか。このような形で、対話とはどういうものなのかを説明するような文言が入るといいのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

【竹田座長】 言葉の定義の問題は非常に大事だと思いますので、注釈にするか、今、白澤委員がおっしゃったように、ここに書き込むかは、工夫が必要だと思います。
 
【高橋委員】 細かい文言の追加・修正のみ2点お願いします。
まず見え消し版で11ページ。(3)の合理的配慮の内容の決定の手順の文章の2段落目になります。最後の文章になりますけれども、「実際にはこれらの専門部署が関与せず、学内の様々な場面・手順で、合理的配慮の提供が求められることに留意する」の部分です。前半の方では、そういった支援室等が組織として正式に決定するという話をしているのですが、後半で、実際には、これらの専門部署が関与せず提供が求められると言い切ってしまうと、前半部分を否定することになってしまいます。修正案としては、「合理的配慮の提供が求められる場合があることに留意する」という感じにするとよいと思いました。最後のところに、「求められる」と言い切るのではなく「求められる場合がある」と加えるという修正です。
あともう1点です。見え消し版の12ページ、【2】障害学生と大学等による建設的対話の<3>のところです。<3>の2行目「必要に応じて保護者や支援者の援助を受けつつ」の部分が、主語がわかりにくいと思います。
つまり、大学が援助を受けるというふうにも、読もうと思えば読めます。意図としては、学生が、保護者や支援者から援助を受けて、自分の意思決定や説明をする、その援助を受けるということだと思うのですが、それがやや多義的になってしまうと思います。修正案としては、<3>の2行目のところ、「必要に応じて学生が、保護者や支援者の援助を受けつつ」と、「保護者」の前に「学生が」と主語を入れると明確になると思いました。

【大島委員】 議論の多かった、教育とは直接関与しない学生の活動や生活面への配慮の部分についてコメントさせてください。見え消し版でいいますと8ページです。
ここの文章、大変議論があったところで、難しいなと思っていたのですが、事務局や殿岡委員初め、文章を検討いただいて、とてもいいものになってきていると思います。
特に、この委員間で共有したということや、実態の把握が必ずしも十分な状況ではないこと、模索が始まったばかりということ、また、「我が国全体での検討・対応が加速されることを意図し」ということが明記されたのは、とてもよくなっていると思って感謝申し上げたいと思います。
また、「直ちに全ての大学等が実施するのは難しいと思われる」という部分、私も気になっていたので、今回ここが削除されたことについては、同意させていただきたいと思います。
ただもう一つ、この本文と別紙3の事例の部分なのですが、大学等がすぐに実施するのは難しいと思われるということとあわせて「進んだ取組や支援事例」が挙げられていますが、この「進んだ」という言葉が気になっています。「進んだ」というふうに書かれていると、ちょっと特別な、ここまでしなくてもいいんだよというニュアンスが少し入ってきてしまうかなと思ってしまいました。「進んだ」の代替が浮かばなかったので、進んだという言葉だけをこの本文と別紙からも除いていただけたらと思いました。

【竹田座長】 「進んだ」と言われると、確かにうちは進んでいないので、というふうになってしまうかもしれないので、飽くまでも非常に参考になるというところを強調して、と思いながら伺っておりました。

【殿岡委員】 白澤委員のおっしゃった、建設的対話の注釈についての説明部分、非常にいいと思います。もっとも、消極的な大学だと、申出を待って建設的対話だと、申出が来てからでいいのだというような、申出と建設的対話が同義であるかのごとく行われている大学も、まだ存在しているので、そういったものを除いていくためにも、できたら本文の中に定義を書いていただけると、よりいいのかなと思っています。
あと検討の対象範囲のところは、本当に時間をかけて、皆さんに御討議いただいて、本当にいい文章になってきたと思っています。「進んだ」という大島委員の言っていた文言のところは、最終的には多くの大学が参考にしていただけるような表現に落ちつけばいいのかなと思っています。

【竹田座長】 建設的対話という言葉、確かに非常に重要なキーワードだとも思いますので、何かそこの理解が進むようなことを盛り込めればいいと思います。
いろいろな分野で、建設的対話についての解釈や説明文章というのがあると思いますので、そういうものも参考にできればと思います。

【白澤委員】 見え消し版の13ページ一番上の新たにつけ加えていただいた部分について。内容的には必要だと思うので、是非この趣旨は伝わるように入れていただければと思うのですが、ちょっと表現が抽象的で、けむに巻く印象を受けるのではないかと思います。
具体的には、「合理的配慮の申出の内容が教育に関わるものの場合、」から「教育の提供の方法を変更する。」までの部分ですが、1つの文章が長いですし、何が大事なのかがわかりづらいと感じたので、少し文章の整理が必要だと感じました。
例えば「これらの本質が障害者を不当に排除する内容になっていないかどうか、十分に留意する必要がある」と、そこで一旦文章を切った上で、「その上で、この本質を変えずに、また過重な負担にならない範囲において」とつなげるとか。もう少しかみくだいた表現で、何が駄目で、何をしなければいけないのかを伝えるような文言にした方がよいと思います。

【竹田座長】 これは、殿岡委員からの御意見を頂いて、差別的取扱いに該当しないという文言を入れることで、書いてあることはこのとおりだと思います。文章の表現については、少し長いので、細かく分けた方がわかりやすいという御提案かと思います。できるだけ文章自体はわかりやすくした方がいいと思います。

【鈴木委員】 見え消し版の5ページ、3.第一次まとめで取り組むべきとされた事項の進捗状況の冒頭の部分の最後の文章、黄色く塗られた「更に」というところです。
確かにこの文章を入れていただいて、現状でいろいろ数字が出ているところで、実態と大分、肌感覚とまた違う数字がいろいろ載っているなと思いまして、「ああ、なるほど、この文章があるとすごくいいな」と思ったのです。
一方で、「一層の改善を要する部分もある」という部分は非常にぼやかしていて、何の改善が必要なのかというのがわからない。文脈的にいうと、まだ精神障害とか発達障害とか、もっと人数がいるはずだし、その人たちがどういう支援を受けているのかが、まだ見えてきていない部分があるので、もうちょっと具体的に書き込めるといいと思いました。

【竹田座長】 ここは前回の議論の中でも、数字と実態との乖離というものをどう克服していくかということです。統計そのものも新しいということがありますので、カテゴリーの問題なども、今後いいものに変わっていくと思いますので、そこを、より具体的に表現するかどうか、という御意見だと思います。

【殿岡委員】 見え消し版の7ページの財政支援のところで、国立大学と私立大学はよくわかるのです。問題は公立大学が、一番わかりにくい。何が書けるか難しいと思うんですが、公立大学支援のところで、根拠になるような法令とか、地方財政交付措置とか、何か文言があるといいと思います。
特に、恐らく公立大学が今一番財政的に困っているんですね。ここに対して現状の部分でいいと思うので、書いていったらいいと思っています。
あと、この上の研究のところで、幾つか団体とか協議会とかいろいろあるのですけれども、これは別紙の方との関係で、大学や団体名などを全部挙げていくのがいいと思うのですが、別紙参照ということで、こっちとの関係を明確にした方がいいと思っています。
個別団体に関しては別紙、となっていたと思うので、これ以外にもいろいろな団体があるので、全国にはこういうものがあるよということを含めて、整理できたらいいと思っています。
ちょっと公立大学の方を、私も調べたのですが、なかなか素人が出してくるには、ちょっと行政からのデータが出てこなかったものですから、是非本検討会の事務局の方で、出していただけると有り難いと思っています。

【竹田座長】 財政支援のところ、国立と私立以外の部分のインフォメーションが書ければいいという御意見でした。
それでは、6番以降から最後まで含めて御意見を頂きたいと思います。各大学等が取り組むべき主要課題のところから、最後の「終わりに」までです。
特にこれまで議論になった大学間連携や過重な負担の考え方、あるいは生活支援の問題等、なかなか難しい問題だと思うので、そういうことも御意見を頂きまして、文章としてまとめられていますが、いかがでしょうか。

【柏倉委員】 先ほど前半部分で検討していた7ページの財政支援という状況が出ていました。これを受けて、各大学が取り組むべき主要課題に入れてほしいことが一つあります。
というのは、7ページの【9】の財政支援のところで、障害学生支援向けの国公立大学運営費交付金と、私立大学等経常費補助金がありますが、これがきちんと各大学で運用されているのか、非常に疑問を感じています。
特に私立大学においては、障害のある学生が在籍する場合に、適当な補助金があるわけですけれども、これが生かされていない実態が非常に多くて、その割に過重な負担という言葉が振り回されて、支援をしないということが多々あります。
この7ページの【9】の財政支援は、充実を図っているということなのですが、それが適正に使用されていればよいのですけれども、定員割れをしている私立大学が6割という状況の中で、一般財源に消えてしまっているところが多いのです。
ですから、14ページの6番の各大学等が取り組むべき主要課題の中に是非入れていただきたいことは、そういった予算があるにもかかわらず、適正に障害学生支援に向けられていないということです。これを使うだけで、随分改善される大学があります。現場で支援している職員が、皆さんおっしゃるのは、大学にはこれだけのお金が来ているのだけれども、一般財源に使われてしまって、障害学生支援のセクションには回ってこない、ということです。いろいろな大学で聞かれる声なので、これを是非6番のどこかに入れていただきたい。当たり前のことなのですけれども、もらった金をちゃんと使ってほしいということです。それが入ると喜ばれる私学が特に多いのではないかと思います。

【竹田座長】 支援を受けた場合の財源の適正使用ということに御意見を頂きました。

【殿岡委員】 さっきの18ページ(4)の【2】通学対応の部分なのですが、過重な負担となるような身辺介助とあるのですが、結果的に、建設的対話を経た結果、過重な負担として起きる場合があるのですけれども、身辺介助に直接、「過重な負担となるような」と修飾することは、そもそも合理的配慮の考え方を示していないので、地域との連携というところは幅広くていいと思うのですが、過重な負担となるような身辺介助という、前段の部分がちょっと切っていただいた方がいいと思っています。
もちろん、これ以外の部分でも、例えば盲ろう者の通訳派遣であるとか、公的サービスは身辺介助だけではなくいろいろありますので、飽くまでもここは大学連携含む関係機関の連携というところですので、これだと、身辺介助そのものが過重な負担となるように読めてしまうので、ここはちょっと直していただけたらいいと思っています。

【竹田座長】 過重な負担の中で、例として身辺介助というのが出てくるので、それだけが過重な負担のように誤解されてしまうという御指摘だと思います。
ですので、ここは、地域連携をどのように生かしていくかという、各大学にとってはとても大事なヒントにもなることだと思います。先ほどの「進んだ事例」の中でも、このようなケースが非常に多いので、過重な負担と思われるような、そういう場合の解決策のヒントとして書くことは、非常に重要だと思います。その具体的なものとして身辺介助だけをあえて取り上げるということに関して、少し工夫していくことが必要かもしれません。

【殿岡委員】 過重な負担になるかどうかと、地域の連携を含めるかどうかは、切り離した方がいいと思います。地域で連携すべき配慮はいろいろあります。ただ、それが過重な負担として認定されるかどうかは、障害学生が大学に申し出て建設的対話が行って、その結果過重かどうかを判断が起こることであって、それと連携は分けていただけばいいと思います。

【竹田座長】 確かに建設的対話によって過重な負担ということと、地域連携の促進ということは、話の筋が少し違うので、そこは分けた方がいいと思います。

【広瀬委員】 見え消し版の6ページ、通信教育の活用についてですが、私は現在、通信教育の障害者支援がどのようになっているのか関心があり、私立大学の通信教育協会などに電話をして、情報を集めたりしています。通信教育は、一般的に考えれば障害学生にとって、学びやすいはずのシステムで、その数も多いことが予想されるのですが、私立大学通信教育協会は、障害学生の支援などについて公表していませんし、本部からは、そういう資料を持っていない、と伺いました。
それで調べてみると、例えば大きな総合大学などの通信教育では、スクーリングの場合は、ノートテーカーなどを大学本部から借りることはあるようです。一方、それほどの規模ではない大学では、ほとんど学生が自前で連れて行かなければならないようです。
確かに、放送大学でも、ノートテーカーなどは、自前でお願いしています。放送大学の場合、全国50か所、年間3,000にも及ぶ面接授業がありますから、予算的に難しいというのが正直なところです。そういう意味で、この資料に「通信教育の活用」という言葉だけが書いてあっても、実態が伴っていないというのが現状です。通信教育を本当に活用するには、本気になって働きかけていかなくてはならないと思います。現状に鑑みて書き方を工夫していただければと思います。

【竹田座長】 ここの部分は、通信教育課程に在籍している学生に対する支援の在り方というか、いわゆる、普通に大学に通っている学生さんと全く同じなのだということをきちんと理解してもらうようなものであると思います。

【広瀬委員】 つけ加えますと、日本はOECDの調査で明らかなように、先進諸国の中でも25歳以上の大学生の数が非常に少ない。つまり大学が大人に開けていないということです。私たちは、一生涯、何らかの形で学習し、キャリアアップしていかなければならない時代に生きています。これからは、インターネットのオンラインを使うなど、通信教育はこれから益々盛んになっていくと思います。オンライン学習の音声に字幕をつける、また、例えば教科書をテキストデータ化して、音声読み上げソフトを利用して視覚障害者がアクセスできるようにする。いまのところ、そうした配慮はまだ非常に少ない。オンライン学習などは、これからは必ずメインストリームの一翼を担う学習方法になっていきます。生涯学び続ける人たちにとって、そうした配慮がとても重要だということを、強調していただけると有り難く思います。

【西村委員】 二つありまして、一つは先ほど殿岡委員のおっしゃった見え消しの18ページ(4)【2】です。そこは、結局、今の議論の流れで言えば、過重な負担と地域間連携とは違うということで、そうであれば、合理的配慮の提供の範囲を超えるということもなく、地域との連携を行いながら、本人にとってよい支援を行っていくというふうに思えばいいということでよろしいでしょうか。

【殿岡委員】 そうです。

【西村委員】 それが確認したかったことです。
もう一つは、その下の(5)障害学生支援人材の育成と配置の1行目です。「専門性のある教職員(障害学生支援コーディネーター等)やカウンセラー」と記載しているのですが、いろいろな大学で、心理面接をしているカウンセラー、臨床心理士等のカウンセラーとコーディネーターとの連携がうまくいかないということをよく聞きます。
そこで提案なのですが、「専門性のある教職員(障害学生支援にかかわるコーディネーターやカウンセラー等)」というふうにして、カウンセラーでも障害学生支援についてのきちんとした知識等の専門性のある方というふうに強調してはどうでしょうか。障害学生についてわかっている人が、カウンセラーとして支援を行うというふうに受け取られるような文章に直した方がいいのではないかと思いました。

【白澤委員】 そこについては、私もこの表現でよいか迷っていたところです。こうするとコーディネーターだけが専門性があるように見えてしまうのではないか、ということも気にしていたところなので、もう少し検討が必要だと思ったのですが、提案をした意図としては、コーディネーターという、全体をマネジメントする立場の専門家と、それぞれのスキルの専門家、つまりカウンセラーや手話通訳など、ダイレクトに学生に直接的に支援を提供する専門家では、役割が別だと思うのです。
両者が、きちんと専門性を持って、お互いに連携し合いながらやりとりをしていかなければならないと思うのですが、それらが同じように並列にならべられてしまうとわかりづらいと思い、二つを分けた形で書いた方がよいのではないかということです。
それを実現しつつ、どちらもお互いに専門性が必要なのだということがわかる書き方があれば、是非そのように修文していけるといいと思います。

【西村委員】 要するに支援コーディネーターというのを、ある程度専門職としてきちんと位置づけていくことが大事だと思います。括弧をどこにつけるか、ということになるのですが、むしろ障害学生支援コーディネーターを外に出す、括弧に入れないということでもいいと思いました。

【柏倉委員】 本学でも、学生相談部門と障害学生支援部門というのは、なかなか連携が難しく、ずっと苦労してきました。いろいろ議論する中で蓄積されたこととしては、基本的には一般の障害福祉サービスと同じように大学でもやっていかなければならないということです。まだ精神保健部門と障害学生支援というのは、別の専門性ということがあって、なかなか対話が難しいということです。
それで今、いろいろな専門職を並べることの議論がありますが、重要なのは多職種連携のことです。
ですので、連携を図りつつ支援を進めるという文言を入れて、その上でそれぞれの専門職を挙げていけば、連携しながら支援を実施していくことが望ましいということが、各大学にわかりやすくなるのではないかと思います。

【竹田座長】 現状では様々な専門性を持った方がコーディネートしていると思いますので、柏倉委員の御指摘、多職種間の連携はとても大事なことになってくると思います。
大学の大きさにかかわらず、様々な専門家が障害学生支援にかかわっているのが現状ということを踏まえると、ここの書き方を少し工夫した方がいいと思います。今後もっと別の、例えば技術スタッフや機器の専門家など、いろいろな専門職が増えてくる可能性もあると思いました。

【高橋委員】 細かい形式上の問題です。見え消し版でいうと、15ページの下から3行目ぐらいのところです。
6番の各大学が取り組むべき課題の、教育環境の調整の中で、【4】の留学に関する話です。これはもともと【5】として独立していたものが、修正後は【4】の中で「実習等において」という形で説明されています。
確かに、留学も実習も大学の中だけでは完結しないという共通性があると思いますが、【4】の中身を頭から読んでくると、実習の話からいきなり留学の話が出てきているように感じます。積極的にこの実習の中に入れる意味がわからないので、もとのままの方がよいのではないでしょうか。「また」を削除して「【5】留学や海外研修が」というふうに、もとのままでよいと思います。

【白澤委員】 この部分については、もともと私が提案したのですが、授業における参加要件の問題と、実習などで複数機関が関与する場合の問題は、それぞれ別のものだと思うのです。実習はたまたまその両方が重なり合っているので、すごくややこしく、難しい状況が生まれていると思います。ですが、参加要件を設定する授業は、実習以外にも例えば演習やフィールドワーク、外部機関への研修に行く授業など、いろいろなものがあると思います。なので、そこを整理して要素を分けた形で書いた方がいいのではないか、という提案させていただきました。
方法としては、「実習等何らかの参加要件を設定する必要がある授業については、障害を理由に参加が妨げられることがないよう十分に要件の内容に留意するとともに、成績評価においても、正当な能力要件を定めるなど、適切な単位認定ができるようにすることが重要である」といったものを一つ、【4】としてつくる。それ以外に、複数機関が関与する場合の授業として、「学外実習など複数の機関が関与する場合には、支援の主体が不明確になりがちである」という文章の中で、今の【5】の前のところまでを包含する。留学や海外実習を受けるか、あるいは複数の機関が関与する授業というもののくくりの中に、学外実習と海外研修とを入れるという形にする。こういった整理の仕方の方がわかりやすいと思います。

【竹田座長】 参加要件と複数機関間の調整という、二つの大事な柱がここにはあるという御意見かと思いました。
留学といっても、これはカリキュラムの中に含まれる留学と読めますので、ここではほかの実習と同じようなカテゴリーと考えていいと思います。
高橋委員がおっしゃるように、2番がすごく大きくて、全部が入り込んでいるので、少し分けるのも一つの考え方だと思いながら伺っていました。

【矢澤委員】 見え消し版20ページの7番のセンターの形成事業について、本文の後の(1)で「全国を幾つかのブロックに分け、各ブロックにセンターを形成する」というのが消えています。配付資料を見ると、予算の関係上2か所になったため消えたのだということはわかるのですけれども、特に地方の小さい機関にとっては、このセンターに期待するところが大きいというのが実情だと思います。最初は2か所からということであればいいのですが、これで終わりと受け取られると残念だなと思う文言になってしまった印象です。
可能かどうかわからないのですが、センターの形成を以下のとおり提案するとなっているので、(1)の第一段落の最後に、これを別の形で復活させて、例えばセンターは全国を幾つかのブロックに分け、各ブロックに形成されることが望まれるとか、そのような提案をすることができるならば記載いただきたいと感じました。

【小代課長補佐】 矢澤委員がおっしゃっていた資料2を御説明しておりませんでしたので、これを御説明します。
「社会で活躍する障害学生支援センター形成事業(仮称)」は、概算要求の段階では要求額5億円で出しておりました。ですが、実際の予算額では、こちらに書いてありますように4,500万円ということです。
背景や課題は変わっておりませんし、内容も、ノウハウの蓄積がなかなかできていないので、各機関が連携していくことによって蓄積、展開していきましょう、ということです。
ただ、予算額が4,500万ということになりましたので、規模としては、その予算額を前提としたもので何ができるかということを御提案いただくというのが、最も現実的ということです。
内容のところには、これは必ずしも決まっているものではありませんが、全国2か所にセンターを形成することを考え、その2機関を選定する。それからそれを中心に大学や福祉団体、企業など、いろいろな機関と連携してネットワークの構築を図る。その上で、相談案件への助言やノウハウの蓄積・開発・共有、社会に出て行くという意味でのインターンシッププログラム、キャリア教育、支援補助学生の組織化など、こういった様々な取り組みを通した、いわゆる障害学生支援スタンダードの形成につなげていくことができればということで、記載しております。
ですから、今の御指摘のとおり、さらなる拡充や広がりについて、御提案いただくということもあると思います。
現実的には、まずこの予算の中で何ができていくかということを御提案いただくと大変有り難いです。
予算額がどうなるかわからない状況を踏まえて、これまでこの部分を記載してこなかったといった議論の経過もあったと記憶しておりますので、事務局としましては、今のこの状況を踏まえて、こういう形で御提案をさせていただいているということです。

【竹田座長】 頂いた予算でどういう成果を上げていくかということが、今後は問われてくると思います。ちょうどこの第二次まとめと予算のタイミングから考えて、実際の予算額に即した内容を、できるだけリアルに書いた方がいいという事務局の御判断だと思います。

【村田委員】 私からは大きく2点、申し上げさせていただきたいと思います。
1点目ですが、見え消し版の16ページ、17ページにかかるところで、初等中等教育段階から大学等への移行というところです。
そこの中で細かく2点ありまして、ひとつ目は【2】の一番後の文章です。「個人情報保護の観点からも」というところで、「本人・保護者の同意を得た上で行なう」ということが留意点として記載されております。当然、例えば高専と大学等では、入学時の年齢が変わることに留意する必要はありますが、この書き方だと、すべての場合に本人及び保護者の同意が必要であるというように読めてしまいます。この記載方法については、検討していただく必要があると思いました。
もうひとつは【3】に該当する部分です。個別の問合せを受け付ける窓口等の整備と書かれているものの、より具体的な記載も付け足すとすれば、大学等のオフィシャルな事業として、例えばオープンキャンパスであるとか、説明会というものをどこの大学でもされているのではないかなと思います。
どこまで具体的に書くかは各機関の判断になるかもしれませんが、例えば、【3】の最後にオープンキャンパスあるいは各種説明会ということを、具体的に記載することで、より効果的な、積極的な情報発信ができるのではないかと考えています。
大きな2点目としては、19ページ(5)障害学生支援人材、専門的な支援人材のところで、【1】から【4】までの留意点を、重要な点として記載していただいております。
例えば【1】のところだと、「専門職としての立場を明確にする」と強めに言い切っていただいているのですが、【2】のところを拝見しますと、「障害学生支援に関する業務を遂行しやすいような体制」という書き方で、少しマイルドな印象を持ってしまいます。
【1】のように言い切っても良いと思いますので、例えば、「障害学生支援に関する業務を円滑に」とか、あるいは「効果的に遂行できる体制を整備する」というように、強めに言い切ってしまってもいいと感じました。

【竹田座長】 先ほどの連携の話もここに入れるといいと思いながら、効果的な連携ということも書き込めるのではないかと思いながら伺っておりました。村田委員から、【1】【2】あたりの書き方について、より明確に、よりはっきりとした方がいいという御意見を頂きました。

【殿岡委員】 私から2点追加させていただきます。
1点目は、先ほど広瀬委員から出た通信教育について、文言として盛り込んでいくのは難しいかもしれないですが、一応現状をつけ加えてお話しさせていただこうと思います。
一つは、通信教育というのは、障害学生にとって非常に学費が安い状態にあります。半分とか3分の1とかと非常に安い。大学によっては、学費が安いのだから、合理的配慮も安い学費分だけやればいいのだという議論をするところがある。即ち年間5万円とか10万円とかいう安い学費であれば、手話通訳は年間1回しかつけられない、何ていうことを、まことしやかに言ってくる学校があるのです。
これを言い出すと、広瀬委員がおっしゃった通信教育のいいところ、合理的配慮が全部消えてしまうのです。なので、最初に通信制を考えるときは、この問題をきちっとそうでないのだということを、やっぱり言っていけるようなものが視点としてきちんと持っておかないといけない。私も通信教育に関してまとまった資料はつくれていないのですが、ただ、相談として上がっているのは、同じ大学でも通学生と通信生の格差、これがどこの学校でも指摘されています。なので、この視点をきちんと出していきたいと思っています。
もう1点は、見え消し版の19ページの欄外のところです。心のバリアフリーです。これに関して、私も調べてみたのですが、報告を見ていくと、心のバリアフリーの定義のところで、障害者の社会モデルの理解ということが出ているのです。これは、本文の中に、やはり支え合うとかということももちろん書いてあるのですが、障害の社会モデルの理解ということが、きちっと盛り込まれていますので、これを書いていただくと、より引用が生きてくるのかなと思っていますので、よろしくお願いします。

【竹田座長】 とても大事な理念、社会モデルの理解ということで御提案いただきました。研修、理解促進の中ではとても大事なテーマになってくると思いました。

(休  憩)

【白澤委員】 私の方から1点、提案したい問題があります。どういう形で盛り込むのがいいか、悩ましいところではあるのですが、紛争解決の部分です。前半部分にも第三者組織の存在ということで、学内に第三者組織を設けるということや、そこで解決できない場合には、地域連絡協議会等に情報を伝えて、障害学生が相談できるようにするということが書かれているのですが、もう少し文言を足したいと思っている部分があります。それは、現状として、本学に寄せられている相談事案を見ていると、地域連絡協議会等に情報が上がっていったとしても、その後が全く進まないという事案が幾つか見られているからです。
現在の問題として、一つは、地域連絡協議会から大学に行政介入があって、行政の方から問合せなどの連絡があったとしても、大学が意に介さないという事例があるように思います。「これは本学にとっては過重な負担なので」ということのみを伝えて、それだけで終わってしまうような事例です。あるいは行政側にも知識がなくて、一般的に大学における支援が、どのぐらいなされているものなのかがわからないという問題もあります。このために、大学にそう言われると、過重な負担なのかと理解してしまって、「大学はそう言っています」と本人に伝えるだけで終わってしまうということです。この結果、相談しても解決につながらない、相談しても本当にのれんに腕押し状態で、それ以降、どこに問題を持っていったらわからないという例を何件か見てきています。
このことについては、今後の課題として、何らかの形でもう少し改善していけるような体制づくりが必要であることを提案できないかと思っています。
この際に一つ考えなければいけないのは、やはり文部科学省における相談窓口の役割の明確化という問題です。学生・留学生課に相談窓口が設けられていますけれども、ここの権限の範囲の確認や地域連絡協議会等の関係でどのような役割を果たし、どのような機能を担っていくかということ、それを今後検討していかなければいけないし、形づくっていかなければいけないと思います。
それと同時に、文科省の窓口とこれからできる地域拠点、すなわち「社会で活躍する障害学生支援センター」との連携方法ですとか、この障害学生支援センターを通してやっていく権利擁護の内容などが、どこかに盛り込まれるといいと思います。
したがって提案として、6番の「今後取り組むべき主要課題とその内容」のところで、文部科学省における相談窓口の役割の明確化や機能充実といった点を一つ項目を立てて内容を記載するということ。それから7番の障害学生支援センターの方にも、機能として、この紛争解決に寄与するような役割を挙げていくことができないかと思っています。
具体的には、例えば地域連絡協議会に対して必要な情報を発信していくこと。あるいは紛争などがあった際に、中立的な話合いを行うために支援を行うことなどです。つまり、中立的な第三者として間に入って、話合いを進めていくためのバックアップをするような役割を担うということです。さらには何かしらの権限を持った介入や監査ができればベストですけれども、そのあたりは検討の余地があると思うので、今後の課題にゆずります。いずれにしても紛争解決について、特に大学の中だけでは解決し切れないような紛争の問題について、もう少し明確に文部科学省の役割等を書けるとよいのではないかと考えております。

【竹田座長】 紛争解決のための第三者組織ということで、見え消し版だと13ページの下の方に、今、白澤委員からお話があったような調停窓口や法務省人権擁護局のこと等が書いてあると思います。これはどういう形で明確化して、実効性のあるものにしていくかということをどこかにきちんと書き込めればいいという御提案だと思います。

【殿岡委員】 今の紛争解決の部分ですけれども、やはり学生内では、紛争解決に近い問題、あるいは学生内の問題というのは、防止委員会があっても、何十年間、一度も機能したことがない学校がある。そういう学校は、実質的にも、名簿があっても、組織を動かすことができない状態にあるのです。そのときの逃げ道が、卒業した学生に聞くことかと思うのです。
更に言うと、やはり解消法の第12条に、主務大臣の報告、助言、指導、勧告ということで、対応指針に定める事項についてということで、私立学校に関してですが12条を受ける組織、窓口は学生支援センターになると思うのですが、それぞれの判断によって、今度は、法が要求しているので、一時的には、新規形成事業の中に含めてももちろんいいと思うのですが、最終的には、文科省の中に何らかの組織が必要になるのかなという気はしています。
形成事業に関して確認なのですけれども、名称は、障害学生支援センターということでいいと思うのですが、内容のところを見ていくと、支援補助学生という言葉は出てくるのですが、障害学生自身を直接サポート、大学がサポートするのではなくて、障害学生にじかに対応できるサービスが入っていないのです。
JASSOに関しては、以前から業務指示書を読むと、大学支援を行うということになっています。それに対して、この形成事業は、直接の障害学生支援ということができるのかどうかということ。これ、是非できるようにしていただきたいと思うのですが、併せて議論いただければいいと思います。
補足しますと、大学支援というのは、現段階では文科省でも、JASSOでもできる。障害学生支援というのは、今は、民間でやっていますけれども、JASSOはできなかったのです。それに対して、本形成事業は学生支援が入ってくるということは、あるのかなと思っています。それはやはりさっき言った、セルフアドボケートという場合に、大学側に対することはできると思うのですが、学生側に立ったアドボケートとか、そういうことが機能としてできるかどうかにもかかわってくるので、関連としてお話しさせていただきました。

【竹田座長】 このセンターに関しては、今後、より具体的な議論が、短期間ではありますけれども、進んでいくと思いますので、そこに第二次まとめの議論を生かしていってほしいと思います。

【小代課長補佐】 事務局から補足させていただきたいと思います。
基本的なセンターの考え方として、もちろん、障害を持った学生が直接にそこに連絡してきて、それに対応する。その学生を拒絶するということは恐らくないと思います。
ただ、基本的には、学生へ支援は大学でやっていただく、その大学がいかにしてうまくできるかということの支援を行うというスタンスで考えております。殿岡委員がおっしゃるように、何かできるという裏づけの法律や規定、考え方というところとは別にして、基本的な考え方は、大学がうまくできるような支援につながるということを考えているますので、その方向でこれを構築するような御意見を頂戴できると有り難いと思っています。

【殿岡委員】 学生を直接支援する、そういうところが非常に重要なのです。なので、今、呼称はわかったのですが、特に講じていくと、セルフアドボケートやエンパワーメントなど、その辺が結局、学内の委員会だけに起こっている話なので、ちょっとそこは危惧しております。

【竹田座長】 本当にそのとおりだと思います。各大学の支援の質が高まることのバックアップに、このセンターがどういうふうに役割を果たしていくかというあたりは、非常に大きなポイントになってくるのかなと思いながら伺いました。

【近藤委員】 見え消し版14ページの6番(1)教育環境の調整について、幾つかアクセシビリティーに関係するところで、変更のお願いができればと思います。
今回、アクセシビリティーに関係することを、文章の系統だった整理を行っていただいたということだと思うのですが、その結果として、少し内容自体が後退気味になってしまっているところがあると思います。
まず14ページの(1)の上から4行目の終わりから5行目あたりで、「必要な教科書や資料、情報等へのアクセスを確保することで」という文言があるのですが、この後の文言で、このアクセスを確保するという言葉が全体的に削除されています。また、突然、アクセシビリティーという言葉が1か所だけで出てくるところがあるのですが、アクセシビリティーという言葉は、もはや翻訳不能で、ほぼ国際語として使われている言葉ですので、ここでもう先に定義してしまったらいいかと思います。「必要な教科書や資料、情報等へアクセスできることを確保することで」のところの「アクセスできること」のところに括弧して(アクセシビリティーを確保すること)とまず1点入れていただきたいと思います。
次に15ページ【2】のところです。ここもアクセスを確保するという部分が削除されているので、ここはアクセシビリティーという言葉を是非使っていただければと思います。
多分、アクセシビリティーという言葉が耳慣れない言葉なので、配慮していただいたと思うのですが、このアクセシビリティーの確保という言葉は、教育において極めて重要な言葉です。初等中等教育ではデジタル教科書の委員会が行われていて、私も委員として参加しています。そのデジタル教科書のアクセシビリティーの確保をどうするかということは、もう普通に使われる言葉になっていたので、むしろこの第二次まとめの中で使用することによって、大学の文脈においてアクセシビリティーという言葉が普通に使われるような影響が与えられればと思いますので、是非ここもアクセシビリティーと入れていただきたいです。
それと3番目です。【3】の「教科書・教材、学術論文等研究活動に必要な資料は可能な限り変換が可能な形式で提供する」というところについて、これも変換が可能な形式にするというのは、例えば点字や拡大文字、音声など、そういった別の形式に変換することによって、アクセシビリティーを確保するための手段の一つということになります。その前の段階として、「教科書・教材、学術論文等研究活動に必要な資料は障害学生も利用することを考慮してアクセシビリティーを確保する必要がある。」と、ここで文を切っていただいて、「具体的にはそれらの資料を可能限り点字、音声等に変換が可能な形式で提供する」といった文章がよいと思います。
今の同じ文章に、もう一つ加えていただきたいことがあって、それは「教科書・教材、学術論文等研究活動に」とあるのですが、この学術論文等の前のところに、映像資料、音声資料というものも加えていただければと思います。そうすることで、アクセシビリティーの確保に関しては、少し意味が通ると思いました。
もしここの文章を、例えば初等中等教育のデジタル教科書のまとめなどとの整合性や文言の関係性などもとることができれば、見ていただければ有り難いです。
以上と関係しまして、もう1点、修正をお願いしたいところが、18ページ(5)障害学生支援人材の育成・配置というところです。1行目、2行目のところに専門性のある教職員という記載があるのですが、「手話通訳等の専門技術を有する」という部分の「手話通訳」の後のところに、「アクセシビリティーの確保等に関する支援技術等の専門技術を」というふうに、「手話通訳」の後に「支援技術」という用語を入れていただけると、この前の(4)のアクセシビリティーに配慮した教材やデータというところとも、全体的に整合がとれるようになると思いますので、この「アクセシビリティーの確保等に関する支援技術」という言葉を「手話通訳」の後に追加していただければと思いました。

【竹田座長】 アクセシビリティーという、非常にこれも大事な言葉に関する説明をより詳しく記載する、ということだと思います。

【柏倉委員】 15ページの下の留学の部分について、先ほど高橋委員から御指摘がありましたが、これは独立させるという方向でよかったのですよね。
その上で、日本から留学する話がここには載っているのですが、実は今、問題になっているのは、海外からの留学生のことです。障害のある留学生が増えてきています。海外の送る側(がわ)、先方の大学は、日本の事情がよくわかっていないことが多く、日本では障害福祉サービスは住民票がないと受けられないので、すべて自己負担になってしまうのです。重い障害のある方は、日本に来てから「こんなはずではなかった」ということで大慌てするという話が、今、深刻な問題になっています。
ですので、ここにせっかく留学のことを独立させるのであれば、大学の中には海外からの留学生もいますので、それについては格別の配慮をする必要があるというようなことを入れていただいて、留学生は別枠ということにならないようにしていただけると有り難いと思います。
現状としては、実際、特に重度の障害のある方は、生活面で地域の社会資源を活用して障害福祉サービスを受けつつ、学内で障害学生支援を受ける、この両方の支援がないと生活が成り立たない。学外での生活が全部自己負担ということになってしまうと、相当大変な負担になりますので、そのあたりを理解していただいた上で、留学生を受け入れるということも、先方との協議の中では必要になってくると思います。そこまでは書かなくていいと思いますが、格別な配慮が必要であるということが記載してあるといいと思います。

【竹田座長】 留学生に関しては、一つは対象の学生の定義のところに一言だけ出てくるということがあると思います。
それから先ほどの高橋委員の議論は、参加要件とそれから複数機関との関連性という中でのカリキュラムの中に含まれた海外研修のようなニュアンスでしたが、ここに海外からの障害のある留学生を受け入れる場合の特段の配慮を、取り組むべき課題の中に何か書き込めたらいいという御提案でした。今、お話しいただいたようなハンディキャップは、当然出現するリスクはあると思いますので、可能な範囲で工夫できればいいと思いました。

【村田委員】 8の「おわりに」の部分で、段落でいうと2段落目のところになお書きとして、いろいろな課題、今後、検討が必要な課題というのが記載されていて、そこで「障害学生が災害等に巻き込まれた際の対応」とあります。表現の問題だと思うのですが、この表現だと事後的な対応についての検討というふうに解釈されそうなので、事前的な対策を含むような表現の方がよいと思いました。
文案としては、障害学生がいることを前提とした災害時の対応の検討など、そういった記載の方が良いと思います。

【神藤委員】 関西では、関西学院大学、同志社大学、立命館大学、そして本学の障害学生支援室の連携が進んでおりまして、支援を少しでも向上させるように日々努力しています。今、村田委員もおっしゃいました「なお」までのところについて、障害学生支援に積極的な大学等の評価が課題として残っておりますけれども、是非とも評価していただいて、頑張っている大学がくじけることのないようにしていただけたらと思います。
今は支援が進んでいる大学に、障害のある学生が集中していかれるということが多いようです。それも私立大学にとってはなかなか大変なことで、現場の者が日々努力して、大学当局にも交渉して予算を獲得してということを続けております。これをいつまで続けることができるのかわかりませんので、私としましては、この新しいセンターには、全国の大学の底上げをしていただきたいと思います。
本学も支援については、いろいろな進んだ取り組みをしている大学に教えていただきながらやってきたという経緯があります。今度できるセンターは、全国2か所しかないのであれば、非常に大変だとは思いますが、障害のある学生が、受け入れてくれる大学ではなく、本当に行きたい大学にいくことができるように頑張っていただきたいと思います。
是非とも障害学生支援に積極的な大学等への評価をプラスしていただいて、もっと大学当局から積極的にやろうという意見が出るようにお願いしたいと思います。

【竹田座長】 本検討会は本日で終わりですが、これが終わっても、大学が組織としてのインセンティブを持つことになれば、そこから先は誰も見ていなくても、どんどんいいものになるという、そういう仕組みをつくることができれば一番いいと思います。

【西村委員】 先ほどの殿岡委員の御発言と重複するかもしれませんが、センターの役割のところです。やはり一番学生に近い大学機関はセンターになるということですので、障害のある学生がSOSを出せる、あるいは配慮についてどうにもならないときに、相談できるところ、そういう機能も持ってほしいと思います。直接的に学生の相談に乗るかどうかは別として、その学生が在籍する大学への助言や指導、そこを調整する役割をどこかに入れていただきたいと思います。取り組み例の【1】から【8】は、形は整えられるような気がします。けれども、それがうまく運用できるか、本当に個別の学生への支援になるかどうかというあたりがいつもうまくいかなくて、トラブルになったり、不満が出たりということがあると思います。結果的には大学への支援ということにおさめていただいて結構なのですけれども、障害学生に対するという文言をどこかに入れていただければと思います。

【竹田座長】 センターの内容、特に大学等からの相談案件への助言、調整というあたりは、短い文言ですけれども、この中にいろいろなものが今後含まれてくると思います。また、センターの幹事校が単独でやるわけではなく、そこには、いろいろな積極的な取り組みを既に実施している大学や機関が、複合的に総力戦でセンターを支えていくという形だと私はイメージしております。ここを一つの核として、西村委員を始め、委員の皆さまがおっしゃったようないろいろな機能を結集できればよいと思います。

【殿岡委員】 重複するのですが、形成事業の中では、支援を補助学生の組織化、といっている。補助学生の方が直接組織化できるんです。大学もできる。障害学生だけができないというと、やはり障害学生のエンパワーとかいうことをどこに入れようかなと思っていたのですが、仮にこの形成事業に入れていただきたいと思うんですが、そうでないとしたら、例えば障害学生支援人材の育成・配置の中に、学内の障害学生のエンパワーとかアドボケートを支援する当事者の専門家ということで、セルフアドボケートに関する記載を入れていただくのが良いと思います。若しくは、本当は形成事業の中にそういった内容が盛り込まれていく。補助学生が直接できるのであればそうですし、やはり大学支援ということであれば、補助学生の組織化ということはここではちょっと外れてくるのかなというふうな気もします。いずれにしてもセルフアドボケートやセルフエンパワーメント、別の言い方をすると、ぴあ・カウンセリングとか、いろいろな言い方があるわけですが、そういった項目を入れる。いまやるとしたら、この「支援コーディネーターの配置」の中かなあという気がするんですが、入れていただければと思っております。

【竹田座長】 支援を適切に行うためには、当事者である学生の意見がとても大事だと思います。殿岡委員がおっしゃるように記載を加えるとすると、人材の育成・配置というところもいいかもしれません。これは今後の議論で、結果的にはセルフアドボカシーや当事者の学生たちの組織化、いろいろな活動、アクティビティーをセンターあるいはセンターと関連した関係機関の主催でやるなど、そういうことはできるのかなというイメージはあります。

【近藤委員】 見え消し版17ページの(3)の大学等からの就労への移行というところについて、幾つか追記をお願いしたいところがあります。
まず、1文目のところに、「障害学生は、採用においていわゆる一般枠の場合と障害枠と呼ばれる一般的な採用方式とは異なる採用枠の場合がある」と書いてあるのですが、ここは、迷いながら後半に障害者枠の説明を足したのですが、本質的な意味では障害者枠というものは存在しないので、最初の方の一般枠の場合というのを消してしまったのですが、「いわゆる」と書いていただいているので、現実を反映しているということで、いわゆるの「一般枠の場合」というのをイキに戻していただきたいです。
もう一つは【1】の「職業観の涵養や自らの障害特性、適性の理解、対処法の習得に資する」という部分です。これも本人が自身の障害を理解することと本人の対処というところに軸足が寄り過ぎていて、医療モデルのように感じます。労働に関しては、特に権利擁護という考え方がすごく重要になるので、対処法の習得の後に、例えば権利擁護の知識と理解に資するプログラムの提供という、権利擁護の知識と理解という言葉を追加していただければと思います。
また【2】の、「一般の学生と異なる多様な就業・就労形態があることと理解し」ですとか、「いわゆる障害者枠等での就労など関連の諸制度」の部分です。確かに障害者雇用促進法に基づいて2%の雇用率があるのですが、同時に、これは改正障害者雇用促進法において、合理的配慮の提供が雇用主に義務化されているという側面もあるので、軸足的に障害者雇用の枠にちょっと寄りすぎているところがあると思います。例えば「いわゆる」から「諸制度」の前までは削っていただいて、例えば「障害者雇用促進に関する諸制度」程度にしておくと、いわゆる特別枠のところに障害者は行くという印象ではなく、当然、通常の雇用においても合理的配慮を求めることができるし、いろいろな障害者雇用促進の諸制度というのは、既にあるということが伝わるのではないかと考えました。

【大島委員】 今の近藤委員の御指摘の(3)の冒頭の部分は私も気になっていました。しかし、この「一般枠」の場合という表現を復活させてしまうと、ないものをまた二重に言ってしまうような気がしますので、やはりその文言は記載しない方がよいと思います。

【広瀬委員】 今の部分はとても重要なのですが、これからは一般の人たちも多様な就業や就労形態になっていくのではないでしょうか。そういうことが求められる時代だから、書き方に工夫が必要なのではないかと思います。

【殿岡委員】 そうしたらここは、そのまま行政用語として、障害者雇用制度の活用を含めるとか、そのまま行政レベルの文言のままの方がいい気がします。あえて障害者枠とか、そういう抽象表現をしなくても、その紹介をしているのであれば、制度そのものの文言でいいと思います。逆に、一般枠というのはちょっと違和感がやはりあります。そういう言葉はないので。

【竹田座長】 枠を決めてしまうということに、委員の皆さまが抵抗感を持っているということは共有できます。文言については、多様なということや第三者的ということをどのように反映させるかが課題です。新しい考え方で、ということが第二次まとめによく合うと思います。

【石川委員】 6の(1)【3】で「変換可能な形式」という表現が2か所でてきます。先ほど近藤委員がどのように具体的な代案を出されたか、はっきり思い出せないので、確認なのですが、英語でいえばアクセシブルな形式ということになるので、アクセシビリティーに対応した形式のような言い方が望ましいのではないかと思います。
もう少し具体的に言うのであれば、テキストデータ等とするとわかりやすいかもしれませんが、踏み込んで表現しようとすると、特定の形式、固有名詞を出さなければいけなくなるので、それは避けるべきかと思います。
また、障害のある教職員に対する支援については、今回は検討できなかったため今後の課題であると書いていただいています。ということは、雇用促進法に基づく義務は各高等教育機関が当然負っているのだということを前提にして、更にその上に上乗せ、横出しの議論については、この検討会ではしていないということが伝わらずに、かえって薄められてしまうような印象を読んでいて感じました。この書き方が限界だとすればむしろ削った方がいいかもしれないと感じます。

【白澤委員】 この部分は私も気になっていて、注釈17があるのでそこに書いてあるかと思ったら、そこにも書かれていないので残念に思いました。せっかく注釈をつけるのであれば、ここに雇用促進法のことを入れてはどうかと思います。

【殿岡委員】 教職員に関しては、民間企業、つまり私立大学も合理的配慮は義務なんです。「ねばならない」なんです。だから私立大学は、本来は学生支援よりも更に重い義務を、障害のある教職員に関して背負っているわけです。それを明確にすることと、あえていうならば、高等教育、特に大学においては、教育と研究が不可分である。その中で障害学生支援については一体的な議論が求められるが、今回は議論が十分できなかったのだということです。例えば大学院生がドクターコースで学んでいるときは障害学生支援、非常勤講師として働いているときは障害者雇用促進法の合理的配慮、こういうふうに分かれるわけですが、高等教育機関においては、教育と研究が不可分であるということで、これについて特段、今後、検討が望まれるとか、そんなふうに入れたりすると、薄まっていく感がなくなるのかな。特に、支援枠が教員に関しては義務であるということは大変重要なことなので、それを含めていくと、今現在でも書けることがあるかなと思っています。

【竹田座長】 この部分に関しては、最初からいろいろ御意見が出てきたことです。検討会の検討の対象範囲や雇用促進法と齟齬がないようにということ。高等教育ですので、場合によってやはり職員と学生の境界が非常に曖昧になってくる。曖昧というか実際オーバーラップしているわけですけれども、そこを踏まえて、少し注釈等も含めて考えていければいいと思います。削除というのはもったいないというか、高等教育における雇用を考える場合には、今後どうしても必要とされている議論が、今回は十分できていないということは、書いておいた方がいいと思います。

【大島委員】 見え消し版16ページ(2)の初等中等教育段階から大学等への移行(進学)のところです。ほかの項目にも書かれてはいるのですが、入試について独立させた方がいいのではないかと思いました。第一次まとめの中長期的な課題にもなっていますし、第二次まとめは高等学校関係者も多く見ると思いますので、独立されるといいと思っています。
内容的には(1)【5】に試験のときの配慮について書かれていますので、そこを参照してもいいと思います。また(2)の【3】で入試時の配慮の情報提供とも書かれているので、それらの内容をまとめて、一つ独立させて入れるとわかりやすいと思いました。
そうした場合、大学入試センターの役割がすごく大きいと思います。6番の各大学等が取り組むべき主要課題とその内容の部分では、各大学等に大学入試センターは入っていないと思いますけれども、皆さま御承知のように、試験時の配慮について、大学入試センターのセンター試験の配慮を参照する学校が大変多いと思いますので、大学入試センターの役割が大きいことをうまく書けたらいいと思います。大学入試センターは、この第二次まとめで規定している「大学等」には入らないですけれども、大学入試センターで配慮がしっかりされるべきであるということを書き、大学入試センターとの連携も、大学等は必要だということがしっかりと明記できるといいと思いました。

【竹田座長】 入試についての配慮や移行の中での入試のところも記載がありますが、備考欄のような部分に現状の情報などを書き込むか検討させていただければと思います。
本日もたくさんの御意見を頂きました。頂いた御意見を踏まえて、この後最終版をつくることになります。差し支えなければ、私の方で内容を確認し事務局で取りまとめいただいたものを委員の皆さまに改めて確認していただいて、最終版として決定するという手順を踏ませていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
本検討会は今回が最後の開催となりますので、委員の皆さまから一言ずつお言葉を頂戴したいと思います。

【白澤委員】 本日の議論、それからこれまでに重ねてきた議論の内容を見てきて、今回の第二次まとめは、大学にとってのこれからの進むべき道を示すものになるだろうと思っています。
これをもとに、これからの日本がいい形になっていけるように、また、その中ではこの障害学生支援センターが新しい一歩を切り拓くものになるように願っています。我々自身もできる限りの協力をして共に進めていけるように、今後も取り組み続けていければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
このたびは本当にありがとうございました。

【近藤委員】 第一次まとめから始まって、事務局におかれましては、本当にいわゆる障害がある人たちの社会参加に関して、世間の動きから一歩先んじて、新しい道筋をつくるということに取り組んでいただいていること。また、委員の皆さまに様々な実践に基づいた御意見を頂いているということに、私自身、大変心強く思うと同時にとても勉強になりました。
実際にはまだまだ残されている問題は、数限りなくあることは間違いないことです。今後も継続的に取り組むことは確実に必要なのですけれども、今、私が支援しながら肌身を持って感じていることというのは、第一次まとめをつくったころのあのころよりもほんのわずかに、もう大学において支援を行うということは、全くもって当然のことであるという空気が既に出来上がりつつあるということです。
一方で、先ほど申し上げたように、かなり個別具体的な問題として制度上の仕組みやより具体的にこの仕組みを前に進めていくための取り組みをどう行っていくかということは、まだまだのところがあると思います。私自身、今後も何かお役に立てるように働きたいと思いますが、是非ここに参加してくださった皆さまにも、障害のある学生たち、ひいては多様な学生たちのその後の社会参加を、最大限応援できるような仕組みに向けて、今後も是非御協力いただければと思いました。

【柏倉委員】 一昨年の差別解消法の対応指針の検討あたりから、ずっとこの分野に関連する議論に参加させていただいております。
私自身、勉強になることが本当に多く、こんなに障害のある学生のことを集中的に、日本の代表的な有識者の皆さんと一緒に議論できたということが、私にとって重要な充実した時間だったと考えています。
議論すればするほど、見えてくることというのは、やはり大学がやることは限られているということです。社会全体の中で、障害のある学生のことをきちっと見ていかないと、なかなか話はうまく進まないということを実感しています。

【大島委員】 今回、企業という立場で参加させていただきました。企業に勤めている私でも、大学関係者の皆さんですとか、初等中等教育にかかわる皆さんから、今回の検討会に大変期待している、第二次まとめをすごく楽しみにしています、という声をたくさん頂きました。それに参加させていただいて、本当に勉強させていただき、感謝申し上げます。
ありがとうございました。

【市川委員】 私は義務教育、高等学校の立場だと思いますが、全ての学校において特別支援教育の推進ということが進んできた中で、大学がもしかすると一番インクルーシブな学校になっているような気がします。
そうしますと、この検討会の中身が、高等学校や小中学校の義務教育にも大きな影響を与えるのではないかと思います。

【石川委員】 パラダイムシフトが着実に進んでいる一方で、まだ意識が追いついていないという面も多々あるという、今はそういう段階だと思っています。ですので、更に前へ向かっていこうとする、そういう熱意や努力が必要だと思います。
第一次のまとめは第三次障害者基本計画にそのエッセンスを入れていただきました。なお今年は第四次障害者基本計画を策定する年です。ちょうどタイミングを合わせたかのように、この第二次まとめが出来上がりますので、そのエッセンスを第四次基本計画に入れていただけると幸いだと思っております。
大変お世話になりました。ありがとうございました。

【矢澤委員】 私は高等専門学校という立場で、この検討会に参加させていただきました。
高専が大学等と大きく違う点は学生の年齢です。9回の検討会の中で、特に保護者との対応については、高専という立場で参加させていただいたからには、と思って発言させていただいて、随分議論していただき本当にありがとうございました。
せっかくこれだけの有識者の皆さまが苦労してまとめたこの第二次まとめが、できるだけ多くの人の目に触れてほしいと思います。特に小さい機関や本当に困っている、専門家がいないような機関の目に触れてほしいと思います。
第一次まとめのときにJASSOが開催している研修などに行くと、第一次まとめの内容をパワーポイントにまとめたものを何回か目にすることがありました。
今回も第二次まとめが公表される際に、できるだけ多くの人に、またビジュアル的に目に触れて「こういうことがあるんだ、うちも頑張ろう」と思えるように活用されることを願っております。
本当に大変お世話になりました。ありがとうございました。

【村田委員】 このたびは、このような場に参加させていただきまして、改めて感謝申し上げたいと思います。
私自身は、大学で支援の現場にいるコーディネーターとして参加させていただきました。この場には、あまり実際のコーディネーターの方はいないのですが、障害学生支援は、各現場でいわゆるコーディネーターと言われる方々が日々奔走しながら、学生や大学組織と向き合っています。実は、そういった方々の多くが任期付きで働いている現状があります。この年度末にかけてもコーディネーターの任期が切れて、その大学ではまた募集をして新しい人を探す、ということが多くの大学等で起こっています。実際に何年もこういった状況を目にしております。実力、あるいは経験を兼ね備えた方々が一定の任期を終えて退職して、その大学の支援の質が一時的に低下するということを、何度も目の当たりにしています。私は、単にコーディネーターの方の身分保障をお願いしますということを申し上げたいのではなく、支援がより円滑に、質的にもより向上していくためには、この課題は改善する必要があると思っていて、第二次まとめがそういった現場で働いているコーディネーターの後押しになるものになればいいなとも願っております。
検討会自体は今回で終了ですが、多くのコーディネーターは、第二次まとめをどのように現場で扱っていくのかということを考えていると思います。当然、大学組織に対しても、様々なバックアップが必要だと思いますし、国としても様々な対策を考えていただきたいと思っています。
私自身もこの分野のコーディネーターの一人として、多くのコーディネーターと協働しながら今後もやっていきたいと思いますので、ますますの後押しを是非お願いしたいということを申し上げて、お礼にかえさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。

【広瀬委員】 私は二十五、六年前から、アメリカの片田舎の大学から、ハーバード大学、また英国のオープンユニバーシティなどを回り、各国の障害者支援について調べてまいりました。また、それをもとに、放送大学などで少しずつアクセシビリティーを高める仕事に関わってまいりました。文部科学省の会議で、このような議論がされる日がきたことに感激しております。
この検討会に参加されておられる方々は、熱く、障害者支援を考えておられる。本当にあたたかい場所です。その一方、世間はまだまだ冷たい。大学の中でも、温度差はあります。私たちは今、スタート台に立ったところです。あらゆるレベルで、あらゆる機会を通して、障害者支援の重要性について訴えていく必要があると思います。例えば学長から、保健室から、発信可能な全てのところから発信していっていただきたいと思います。
本当にどうもありがとうございました。

【西村委員】 本当にこのような場に参加させていただき、事務局の皆様、それから委員の皆様に感謝申し上げます。
富山大学は10年前から発達障害の学生の支援をしていて、第一次まとめのときから見て、今は支援学生が3倍になりました。支援者の数は変わりません。本当に支援ということを少しずつわかってきてもらえていて、大学の中ではかなり支援が進んできていると思いますが、やはり高校からの接続のところで、いまだに高校での支援の形が、本当にばらばらなのです。例えば何もしていないところから、本当に支援員が1人ずっと、ずっとついているというところから、様々なのです。
もちろん障害の様子によっても違うのかもしれませんが、高校での合理的配慮の在り方等も、これからまた入学生を迎えるに当たって、連携について考えていかなければいけないことですし、就労についても、学生がどんどん卒業していく中で、一般就労で就職する方もいますが、障害者就労だから就労しやすいというわけでもなく、本当に入り口と出口というところは、これからもずっと課題を抱えつつ、何とかやっていく必要があると思っています。
第二次まとめでは、そのあたりも非常に細やかに模範として入れてくださっているので、これをバイブルに、また大学で支援を進めていきたいと思っております。
本当にありがとうございました。

【殿岡委員】 私はこの障害学生支援のことを真剣にやっていこうと思ったのが、1997年4月、大学を卒業した直後、ある団体に入って始めた、それから20年ですね。まさか自分が文科省のこういう席で発言するとは、20年前は思っていませんでした。当時は、大学に調査をかけると、国立大学として、どこの馬の骨だかわからないやつに、うちの情報なんか教えられるか、とけんもほろろに言われたのが、20年前です。それから20年たって、こういう状態ができてきたというのは、本当に隔世の感があります。
先ほど入試センターのことでも出ていましたが、入試センターも、これからいろいろブラッシュアップしていくだろうし、そういうものも参考資料につけていくとわかりやすいのかな思います。同時に、今、市川委員から、特別支援教育という言葉もありました。文部科学省にお願いしたいのは、是非2012年に、共生社会のための報告が出ているわけですが、あれは解消法ができる前にできているんですね。この第二次まとめというのは、第一次まとめに解消法を載っけたわけです。今度は初等中等教育局が、共生社会報告に解消法を載っけていく。それによって真の高大連携というか、接続が、解消法においてもつながっていくのかなと思っています。
私はいつもいろんなところでこれを言うのですが、人がおぎゃあと生まれて、いろいろなことを学びながら、生きていくわけです。学ぶことをせずに生きている人間は、世の中に一人もいないわけです。これがいわゆる私たちが教育原理と呼んでいることの本質です。学ぶことと生きることが不可分である。だから教育は、権利として保障される。
一方で、今なお教育に対しては、いろいろな制約があって、差別は認定されましたが、まだ教育を阻害される領域が残っているわけです。この教育原理ということから考えると、教育を阻害するということは、人の人生、人の生き方そのものを阻害している。それを解放していくのが差別解消法であり、そこに向けて、人の学びが豊かになっていくことは、人生が豊かになっていく。ここを最後にお伝えして、終わりとかえさせていただければ幸いです。
ありがとうございました。

【高橋委員】 ここ2、3年、初等中等教育関係の集まりの中で、大学進学についての講演、研修会の講師をしてくれと頼まれる機会がふえてまいりました。
以前は、発達障害そのものについての話や指導法についての話などが多かったのですが、進学について初等中等の先生に向けて話してほしいと言われることが増えました。
そこで大学の取り組み等をお話しすると、「大学は随分変わりましたね。進んでいますね」といって感心されることも増えました。ただ現実的には、進んでいる大学と、そうでない大学のギャップが非常に大きいと感じます。
そう考えたときにこの第二次まとめが、ギャップを縮小していくための一つの力になると思っています。
20年前だと、海外ではこんなにすごいことをやっていると言っていましたが、既に先進的な取り組みをしている大学では、今は全然遜色はないどころか、海外の大学よりも更にすばらしい取り組みがたくさんあります。ですので、次の課題としては、それが一般的に広がっていくということだと思います。
特別な支援という言い方もあるのですけれども、それが特別ということではなく、当たり前にあるという状況が高等教育で実現していくといいなと思っております。
どうもありがとうございました。

【鈴木委員】 毎回いろいろ学ばせていただき、本当に感謝しております。
個人的には、大学を選ぶ側(がわ)というか、学校に行く側(がわ)の保護者の方と御本人の目線で考えているのですがけれども、大学の関係者の方々が、中でいかに頑張っているのかを知って、非常に勉強になりました。
一方で、いろいろと聞くと、障害のある学生を受け入れていますというと、経営上も難しいということで、大学の中で快く思わない人もいるようです。今回も一生懸命つくっていったものが、上手に発信されないと、情報が公開されないと、やはり流れがとまってしまうと感じています。
大学を選ぶ人からしても、情報公開はすごく大事ですし、中で一生懸命やっている人からしても、いろいろないい事例を発信することが大事だと思います。私は多様性が進んでいくのは何か、水が流れるように当たり前のことだと思っていたのですけれども、今の世の中の流れを見ていると、逆の流れも世の中では強くなっているそうです。私も微力ながら、こういったいい事例やすばらしい人たちの活躍ぶりを発信していけたらなと思いました。
ありがとうございました。

【神藤委員】 私は職員という立場で参加させていただきまして、大変勉強になりました。ありがとうございました。
本日、遅れて出席させていただきましたが、大学で学期末懇談会というものをやっておりました。卒業する障害のある学生からの学生生活4年間の報告で、就職活動をどのようにしたかなど、どんなふうに今までいろいろなことを選択してきたかということを発表する場でした。学生からの報告の中で、就職活動の中で、面と向かって、「障害のある学生は採らないです」というようなことを言った企業があったらしく、そのときにどう思いましたかと質問されて、その学生は「それやったら、ここ以上のところに入ってやる」というようなことを思ったと言っていました。4年間で随分たくましくなりました。
そういうふうにたくましく成長する障害のある学生もですが支援している学生も、いろいろなものを抱えていて、支援にかかわることによって、どんどんまた強くなったり、学んだり、そういう姿を見る現場で私は毎日過ごしています。本学は第一次まとめをバイブルにして、何とかここまで体制を整えてきましたので、今回、この第二次まとめがそのような大学のものになっていくことを信じて、また、私もこの検討会での経験を生かして、現場で更に頑張っていこうという思いを強くしました。
ありがとうございました。

【竹田座長】 4月以降、9回ということで、この間、委員の皆さま、事務局と非常に多くのことをやりとりさせていただきまして、私自身も大変勉強になりました。この第二次まとめが広く皆さんに理解されて、あのころから変わってきたなと後々言われるよう、浸透していってもらえれば有り難いと思っております。
いろいろな委員の御意見を聞きながら、最終的には人対人の問題というのがすごく大きいと感じました。これは障害学生支援に限らず、結局、人が人をどういうふうに考えていくか、という問題に尽きるのと思いますが、一方で、日本はそのようなソフトの部分を得意とするところですし、高橋委員がおっしゃったように、もしかしたら、今後世界が範とするような、そういう障害学生支援になっていけるのかもしれないなという期待を持ちながら、この検討会に参加させていただきました。
本当にどうもありがとうございました。
それでは、当面の検討会のスケジュールにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

【小代課長補佐】 それでは、事務局の方から資料3について御説明します。
第9回まで終わりまして、あとは年度内に第二次まとめの公表を残すだけになっております。
本日頂戴しました御意見をもとに、座長と相談し、確定したものを公表すべく作業を行っていくことになります。
具体的な作業としては、まず本日の意見を整理し、修文案を作成します。この過程では、先ほど矢澤委員からお話のありました第二次まとめのビジュアルの資料も一緒に作成する予定です。それらについて座長と相談した後、委員の皆さまに御確認いただきます。更に座長の最終確認を経てから省内手続に入ります。
年度内としておりますが、できるだけ早く公表したいと考えているところでございます。
その過程で、先ほど議論の中にもありましたセンターについてです。障害学生支援センター、一応(仮称)という形になっておりますので、いい名称がありましたら、修文案等と一緒に事務局に御連絡を頂きたいと思っております。

【竹田座長】 それでは最後に閉会に当たりまして、松尾審議官から御挨拶をお願いいたします。

【松尾審議官】 皆さま長い間本当にありがとうございました。特に竹田座長におかれましては、多様な御意見をまとめていただきまして、本当に心から感謝申し上げたいと思います。また先生方におかれましては、9回にわたりまして、御議論いただきまして、また第一次まとめからも多くの先生方にご参加いただきまして、本当にありがとうございます。これをバイブルにして、いろいろと進めさせていただきたいと思います。
個人的なことをいいますと、第一次まとめの際も会議を開催させていただきまして予算要求をしましたけれども、結局、センターという形ではなく、大学への人への配置ということになりました。その思いは基本計画に反映させていただき、また今回はセンターの予算も無事につきました。小さな予算であり、第一歩ではありますが、これをうまく活用しながらやっていきたいと思っていますし、次の基本計画にもこの思いを反映させていただきたいと思っています。
やはり、大学でできることというのは相当限りがあるのだと思います。ただ、地域であるとか、各省庁が連携して、しっかりと支え合うという気持ちでやっていきたいと思っています。支え合うといっても、障害のある学生を支えるだけではなく、逆に障害のある方が、障害のない方を支えるということもあろうかと思います。障害そのものの定義も、何をもって障害とするのか、多様といった方がいいかなど、いろいろなことを今回の議論を通じて思わせていただきました。
前回の第一次まとめから、多くの障害学生が学ぶようになってきています。平成22年には8,800人程度でしたが、現在、障害学生の数というのは2万人を超えています。
そうすると大学の思いも変わってきますし、社会のシステムを含めいろいろなものが進化していきます。したがって、いろいろなものが動く中で、どうやっていくのか、今回、まとめていただきました内容も、また数年たてば状況が変わってきていると思いますので、うまくフォローアップしながらやっていきたいと思っています。
委員の皆さまには熱心に御議論いただきましたが、一生懸命やっている方の中だけで閉じるということではなく、そうではない方々への意識改革や体制の構築もしていかなければならないと思います。そのためには、規制やインセンティブ、評価など、どのようなアクションを起こすかということをよく考えてフォローしていきたいと思います。
最後になりますけれども、竹田座長初め、委員の先生方、それからヒアリングさせていただいた方々にも改めて感謝申し上げたいと思います。また、オブザーバーで参加していただいた各省庁や各機関の方々、介助の方々、そして多くの傍聴の方々、皆さまに感謝申し上げて、最後の言葉とさせていただきたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。

【竹田座長】 以上で障害のある学生の修学支援に関する検討会第9回を終了いたします。
 どうもありがとうございました。

お問合せ先

文部科学省高等教育局学生・留学生課