障害のある学生の修学支援に関する検討会(平成28年度)(第7回) 議事録

1.日時

平成28年10月31日(月曜日)15時~18時

2.場所

一橋大学一橋講堂 特別会議室101

東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術総合センター1階

3.議題

  1. 第二次まとめ(案)について
  2. その他

4.議事録

障害のある学生の修学支援に関する検討会(第7回)

平成28年10月31日

【竹田座長】 それでは、まず事務局より、配付資料の確認及び資料1、「第二次まとめ(案)」の御説明をお願いいたします。

【小代課長補佐】 本日の資料として、資料1「第二次まとめ(案)」、それから資料2「当面の検討会のスケジュールについて(案)」をお配りしています。
そのほか、委員の皆様方には机上資料としまして座席表、ピンク色の冊子のほかに、資料1の見え消し版をお配りしています。前回の資料からどういう修正を施したかというのを見え消しで示したものです。ただ、修正が非常に多く、ほぼ全て修正している感じになっております。適宜御利用いただければと思います。過不足等ございましたら、議事の途中でも結構ですので、御遠慮なく事務局にお申しつけください。
それでは、早速ですが、資料1の説明をさせていただきたいと思います。
資料1は「第二次まとめ(案)」でございます。
ただいま申し上げましたように、前回第6回の検討で頂戴した意見を事務局で反映をしたものでございます。
さらに、ここに前回の検討会のときに座長からお伝えいただいたとおり、幾つかの項目に関しまして委員の皆様に加筆いただいたものでございます。
具体的にどこをどなたにお願いしたかということですが、2.大学等における障害学生の現状の(6)諸外国の状況、更に5.障害者差別解消法を踏まえた「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮」に関する考え方につきまして近藤委員にお願いいたしました。
同じく、2.大学等における障害学生の現状の(6)諸外国の状況、その後の6.各大学等が取り組むべき主要課題とその内容(1)教育方法につきまして高橋委員に。
それから、同じく6.各大学等が取り組むべき主要課題とその内容のところで、(2)初等中等教育段階から大学等への移行(進学)、これを市川委員にお願いしました。
同じく6.各大学等が取り組むべき主要課題とその内容の14ページ、(3)大学等から就労への移行(就職)につきまして鈴木委員に加筆いただきました。
同じく6.各大学等が取り組むべき主要課題とその内容の(4)大学間連携を含む関係機関との連携、それからその次の(5)障害学生支援人材の育成・配置につきまして村田委員に、それぞれ加筆いただきました。
そういった内容を事務局で取りまとめまして、更に平仄(ひょうそく)を合わせております。
それでは、資料1の二次まとめにつきまして、極めて簡単ですけれども、内容を御説明したいと思います。
まず、1.はじめにでは、これは当然のことですが、法律ができて、いろいろな関係規程等の整備状況につきまして時系列で組み立てております。
それから2ページ目では、今回の二次まとめを作成するに至った経緯、考え方につきまして簡単にまとめております。
2ページの下半分、2.大学等における障害学生の現状は、データをまとめたもので、項目的にはもう既に先生方御承知のとおりのものです。実際のデータは、今のところ、日本学生支援機構(JASSO)の調査結果がほとんどということになっておりますが、一部学校基本調査から持ってきております。
まだこのほかにもデータがあるという話を頂いており、そこについてまた更に精査をしてこのまとめに加えていく予定でございますので、本日の検討会の中でも、こういったところにまだこういったデータがあるというようなところまで是非お知らせいただきたいと考えております。
データの中身につきまして御紹介は省略させていただきたいと思います。
1つだけ、4ページの最後のところですが、(6)諸外国の状況について、ここだけはイギリスとアメリカのデータを入れております。これもどういったものがいいか、先生方にも御相談をしながら試行錯誤しております。またほかに具体的なものがあればお知らせいただきたいと思います。
続きまして、同じく4ページの下段の3.第一次まとめで取り組むべきとされた事項の進捗状況です。
これは実は、この検討会の1回目のときにデータをお示しして、進捗状況について整理をしたものでございます。基本的にそこから引っ張ってきたデータが多いのですが、ほかにデータがあればお知らせいただきたい。
最初に、3.のところで状況についての総論を1つ入れております。基本的には短期的な課題と中長期的な課題、いずれの課題も一定の進捗が見られると書いております。ただ、その中身を詳しく見ていきますと、情報アクセシビリティに関し、ホームページで支援情報を公開している学校が3割、あるいは支援の相談窓口を設置する学校が6割弱といったことなど、まだまだ改善を要する状況もあるといった分析をいたしております。
以下、情報につきましては御覧いただければと思います。
1つ、6ページに【8】調査研究、情報提供、研修等の充実がございます。ここには、JASSOのデータをまずは記載させていただきましたが、そのほかに、教育には直接に関知しない、そのほかの団体の活動について、先生方が関係していらっしゃるものが中心になりますが、そういうところについても加筆をしております。
次の7ページ4.本検討会における検討の対象範囲について、これは前にもお示ししたとおりです。
次に行きまして、5.障害者差別解消法を踏まえた「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮」に関する考え方についてです。
基本的な考え方ということで、大学でも検証が当然行われるということですし、学長のイニシアティブの発揮と特定の教職員のみにならないよう組織としての取組が重要であるということを書いた上で、【1】不当な差別的取扱いとはどういうことかということを記載しています。ですが、これも御承知のとおり個別事案ごとに行うものであるということ、それから障害学生、第三者の権利利益の観点から判断するということ、それから一般的・抽象的な理由に基づく対応は適当ではないということ、それから、不当な差別的取扱いは、大学等が関係するあらゆる場面で発生し得ることを認識すべきであるということが書いてあります。
【2】の合理的配慮では、第一次まとめにおける考え方を理解して取り組むことが不可欠であるということを書いてあります。
その次、9ページの(2)大学等における実施体制では、体制の整備に必要な観点あるいは定めておくべき手順を提示するということが書いてあります。ただ、その前提としまして、各大学等の規模ですとか、あるいは取組の状況を踏まえて単独の大学での整備が困難な場合には、複数の大学等による資源の共有、そういった工夫が重要であるということが前文として書いてあります。
そして1つずつになりますが、【1】事前的改善措置ということ、【2】学内規程につきましても、例えば対応要領といったものは公私立大学での作成が望まれますし、あるいは障害学生の受入れの方針などを定めたルールの作成・公表といったものが望まれます。
それから【3】組織のところで、委員会、窓口、専任の教職員、第三者組織の必要性を説明しております。
その次、10ページの(3)合理的配慮の内容の決定手順では、不断の建設的な対話・モニタリングの内容を踏まえ、その都度繰り返し行われるものといったことで、以下、具体的な項目を書いています。
【1】障害学生からの申出が、まず1番に書かれております。申出がない場合にも、当然、法の趣旨に鑑み建設的な対話を働きかけるといったことも必要です。同時に、障害学生自らが必要な支援の申出ができるように促すといったことも必要です。それから、申出に際して、原則として根拠資料の提出が必要だという考え方です。ただし、建設的な会話を通じて社会的障壁の除去の必要性が明確になった場合には、根拠資料の有無に関わらず、合理的配慮の提供についての検討が重要であるということが書いてあります。
同じく10ページの一番下の段落、【2】障害学生と大学等による建設的対話では、建設的対話の中で障害学生本人の意思決定を尊重すること、ただし、高等専門学校の学生の場合には、保護者等からの意見を聴取するといったことも重要であるといったことが書いてあります。
次の11ページの【3】内容の決定の際の留意事項では、合理的配慮の内容が教育に関わるものの場合、教育の目的・内容・評価の本質部分の確認が必要で、この本質は変えないといったことが書いてあります。
【4】決定された内容のモニタリングということです。
次の項目、同じく11ページの真ん中あたりですが、(4)紛争解決のための第三者組織ということで、大学等は、中立的な立場で調停ができる組織を整備すること、それから、障害がある当事者が委員として参加することが望ましい。
それから、学内に第三者組織があり、そこで調停がうまくいかなかった場合、あるいはそもそも当該組織が整備されていない場合でも、学外での相談や調停窓口に相談することが可能であるといったことを踏まえ、そういった情報も障害学生にちゃんと周知するといったことが書かれています。
11ページの最後には、(5)研修・理解促進について書かれています。
それから、次の12ページ、(6)情報公開といったことが書かれています。
12ページからですが、6.各大学等が取り組むべき主要課題とその内容についてです。
(1)教育方法に関するものです。3つのポリシーですとかシラバス等の明確化、公開によって教育の本質のところを可視化し、合理的配慮として変更可能な部分とそうでない部分の明確化につなげていくということが重要ではないか、ということ。それから、授業等における情報保障などの適切な支援や、あるいは教科書や各種教材の事前配付、これは障害を持った学生さんが利用可能なフォーマットに変換したいということで、そういったところへの配慮です。それから、学外実習等における適正な参加要件ですとか成績評価における能力要件の検討について。それから、学外実習機関との密接な情報交換とか連携。それから、留学の際の海外大学等との事前調整、こういったものも重要である、ということです。次は、入試についてで、13ページになりますが、入試や試験における一層の工夫が必要である。それから、成績評価等に関しましても、教育目標や公平性を損なうような評価基準の変更、合格基準の変更は行わないといったことも再度確認すべきである。それから、13ページに【10】として真ん中より下に項目を載せてあります。これは最初の方の検討会であった話ですが、障害により教育課程の履修に時間を要するという場合に、長期履修制度といったものも必要ではないかということで、こういったものの検討もあっていいのではないかということが入れてあります。
次に、13ページの一番下、(2)初等中等教育段階から大学等への移行というのは進学に関することです。特別支援学校の高等部等で提供されてきた支援内容・方法の大学等への引継ぎ、こういったものを円滑化するということが重要。それから、大学等からの情報発信の強化が重要だということが言われております。
その点における留意点ですけれども、本人の意向の最大限の尊重、それから個人情報保護、相談窓口の整備、それから、大学等で学修したことによって成功したモデルケースなどの積極的な発信、こういったものが重要であるということが書かれております。
その次の14ページ、(3)大学等から就労への移行(就職)に関することです。会話の中で障害を持った学生の意向をつかみながら、早い段階から多様な職業観に関する情報や機会の提供を行うとともに、関係機関間でのネットワークづくりを促進する。
職業観の涵養や自らの障害特性、適性の理解といったことのために学生プログラムですとか、学外であればインターンシップといったものの支援を積極的に行うということ。それから、利用できる地域資源ですとか諸制度、こうした制度につきまして障害学生自身の理解を促進するということ。あとは、関係機関間の連携が重要であるということが書かれています。
15ページ、(4)大学間連携を含む関係機関との連携では、アクセシビリティに配慮した教材の活用・共有、支援担当者間での情報交換、こういったものの支援の量的・質的拡大の促進をしようということが書かれています。
その次、同じく15ページの(5)では、障害学生支援人材の育成・配置ということで、障害学生個々のニーズを把握して、状況の的確なアセスメントですとか、あるいは関係部局との連携を通じて、支援を実質的に進めていく能力を有する人材の確保といったものが重要だということが書かれております。
その中では、例えば支援担当者のキャリアパスの検討などを含めて長期的に支援を行うための位置づけを確保するといったことが書かれています。
16ページにまいります。7.社会で活躍する障害学生支援センター(仮称)の形成ということで、前回、その予算要求の内容について御説明しました際に書いておりました目的を書いたものでございます。ただ、ここにつきましては、前回も申し上げましたが、年末までの財務当局との協議状況を踏まえ、記載の内容を更に考えていきたいと考えております。
最後17ページです。8.おわりにつきましては、これについて国の取り組むべき課題といったことが必要だというふうに考えております。そこにつきましては、これまで頂戴しました意見をもとに少し記載しておりますが、今後、大学等の在り方や求められる役割・課題等につきまして、まだ今の項目のみといった状況になっております。
ただ、論点整理の中で示したとおり、教育とは直接に関与しない学生の日常生活の配慮、こういったものにつきましても今後更に事例を収集するなどしまして、例えば先生方が所属していらっしゃる団体の話ということでもあるかと思いますが、幾つかの事例をまたここに別紙の形でつけていくということを考えておりますので、これに関しましては、また御意見を頂戴して事務局で資料を作成する予定です。また何人かの先生方には御協力を頂くということも考えております。
大変駆け足の御説明でしたが、事務局からは以上でございます。

【竹田座長】 ただいまの御説明を踏まえまして、この案をもとに更に付け加えるべき内容等について御意見を受けていきたいと思います。
なお、第二次まとめの詰めの段階に入っておりますので、御意見や御修正につきましては、できるだけ案文を示す等具体的に御提示いただきますようお願いいたします。
それでは、まず初めに、1番のはじめにから4番の本検討会における検討の対象の範囲について御意見を頂きたいと思います。加筆あるいは修正等の御提案等ございましたら、よろしくお願いいたします。
この範囲に関しては、前回もそれほど大きな修正の御意見等はなかったと思います。

【白澤委員】 6ページの【7】番、第一次まとめで取り組むべきとされた中長期的課題の専門的人材の養成という部分ですけれども、この内容を拝見すると、コーディネーターをはじめとする人材の配置に関するデータで、養成に関するデータになっていないというところが少し気になっております。この点、現在の現状を示すとするならば、専門的人材の養成については、「進んでいない」「立ち遅れている」のが現状だと思いますし、かつ状況が把握できるような調査もなされていないというのが率直な現状ではないかと思うのですが、それを書くとしたら書く形の方が良いのではないかと思います。あるいは、書かないのであれば、「人材の養成・配置」といったようなタイトルに変更するような工夫が必要ではないかと思いました。
同時に、ちょっと意見が離れてしまいますけれども、この養成の実態についても今後はやはり把握をしていかなければいけないと感じます。今現在、JASSOさんの調査項目の中では、学生向けの各種研修会や教職員に対するFD・SD研修の実施状況については調査項目があって、現状を把握されていると思うのですが、支援担当者やコーディネーターに向けた研修や、それらの支援スキル向上のための研修を行っているかどうかといった項目はないと思います。あるいは、手話通訳者など専門技術を有する支援者への研修会等を大学の中で行っている例などについても今後は調査の把握が必要かなと感じました。

【殿岡委員】 2点あります。1点目は、障害学生の数の増加という表現についてです。細かい資料についてはまた別途やるとして、急激に増えているということを明記するとは思うのですが、高等教育段階で障害学生の進学率が増えていることと、障害学生の数が増えていることはイコールではないのです。つまり、昔から進学はされていたけれども、それが把握をされるようになったということです。例えば、視覚障害者が100人いたと仮定して、10年前には30人しか大学院に行けなかったのが、10年後に50人が上がるということ、進学できたこととは全く別の観点です。
JASSOの調査の特徴でもあるのですが、把握が進み、結果として、数が激増していることになるのですが、一方で、従来の障害学生の数というのが増えているかというと、特に視覚・聴覚・肢体の障害に関しては、私どもの調査でもそれほど増えていないということです。やはりいままで把握されなかったような軽度の人が把握されるようになったことで数が増えていることと、進学できなかった人たちが進学できるようになってレートが上がることは別のことなので、それを区別して書けるように、またそのための資料をきちんと出せるようにしていただきたい、詳しくはまた後日やりますが、きちんと見せていただきたいと思っています。
加えていくと、私どもの調査によると、障害学生の増加に比べて、障害学生を受け入れる大学の増加というのはレートが低いのです。具体的にどういうことかというと、1つの大学に障害学生が集まる傾向がある。つまり、障害学生が増えることと、障害学生を受け入れる大学の数が増えることはやはり別で、この辺の傾向が読者にわかるような形で反映されていくことが望ましいです。他にもいろいろあるのですが、大きいところではそこがポイントになってくると思います。
それから、4ページ、3.進捗状況についてです。
短期的課題は、確かほかにも項目があったと思うので、その辺は第一次まとめと並行して、もう少し出てくると思うので、これも第一次まとめと比較して、短期的課題の成果が見えるような形で整理をお願いしたいと思います。

【竹田座長】 障害学生の在籍者数の急激な増加といった表現の仕方を慎重にという御意見です。

【矢澤委員】 私も2つありますが、全く別々なので1つずつお伺いします。先ほど白澤委員からもありました6ページの【7】「専門的人材の養成」の数値のところですが、専任スタッフと兼任スタッフという数値が出ていて、兼任が減って専任が増えているということ自体はきっとよいことだと思いますが、これは常勤という意味なのでしょうか。それとも常勤という区別は分からないという状態なのかお聞きしたいです。

【竹田座長】 恐らく常勤、非常勤という区別ではなくて、また兼任というのは大きな大学で教員が本務と兼ねていたり、事務職員の場合も幾つかの仕事と兼ねている中で障害学生支援に関わっているということだと思います。

【矢澤委員】 兼任というのは、恐らく常勤の可能性が高いのだろうと私の職場でも思うのですが、専任というときは、もしかしたら非常勤の専任のスタッフという意味合いが強いとすると、単純に兼任が減って専任が増えているというふうに読み取れない場合もあるのかなと思いましたのでお聞きしました。

【竹田座長】 これは学生支援機構の調査のデータにも出てくるのですが、回答する立場からの感覚としては、専任といっても、非常勤とか任期付きとかいろいろなパターンがあると思います。兼任といった場合にも教職員の必ずしも専門ではない方がこれまでの業務を拡大するような形で障害学生支援に関わるケースなどもあります。専任というのは、その業務だけに従事する形でスタッフがいるということだと思いますが、その辺は恐らくデータはいろいろなケースが入っていると思いますので、最終的に書き上げていく中で、もし細かい分類が可能なのであれば、そういう分類というか注釈みたいなものもつけられるといいと思います。

【日本学生支援機構】 専任ということについて、通常、障害学生支援以外の業務として携わっている方がいらっしゃいますが、その常勤、非常勤というのは、多分、雇用形態ということになるかと思いますが、そういった場合じゃなくて、障害学生専任でやるか、ほかの学生支援についても兼任されているのか、ということです。矢澤先生が言われたように、雇用形態について常勤なのか、非常勤なのか、高専としてはそのあたりの視点についても、必要だということでしょうか。

【矢澤委員】 私、ここの検討会の最初からできるだけ常勤スタッフが欲しいなと言い続けているので、どうしてもそこにこだわってしまいました、ということです。いろいろな雇用形態があるということで、願わくは、専任スタッフというのが、任期付きとかでもいいと思うんですけど、任期付きあるいは常勤というのが拡大していくと大変いいのではないかというふうに思っております。  もう一つは、7ページの4の検討対象とする学生の範囲から始まって3つ目に、(検討対象とする学生の活動の範囲)というのがあります。ここで「課外授業」という表現があるのですが、第一次まとめのときもこの表現であったということを知ったので、何だか今更という感じなのですが、ここで言っている「課外授業」というのは、いわゆる補習とか個別指導とか、そういう学習面のことというイメージでよろしいのでしょうか。

【小代課長補佐】 飽くまで授業というふうに書いておりますので、まさに正課外の授業ということを含めて教育という範疇であるというふうにして理解しておりました。

【矢澤委員】 具体的に申しますと、いつも高専の立場からの発言で申し訳ありませんが、課外活動には、いわゆる高専でいうとクラブ活動、あと大学だとサークル活動や学友会などの正式な活動もあると思うのですけれども、それは検討対象とする学生の活動の範囲に入っていると考えてよろしいのでしょうか。
あともう一つ発言させていただくと、学生寮などの施設もこの学生の活動の範囲に入っていると読み取っていいのか、ということです。これも先ほど、参考資料の第一次まとめを確認したところ、機会の確保というところに、学生寮という表現が出ています。今回の学生の活動の範囲に、第一次まとめにおける機会の確保というものに相当する項目がなく、「学生寮」という表現がちょっと消えてしまっているように見えたので、検討対象とする学生の活動の範囲に、「学生寮」というそのものの表現でなくてもよいのですが、読み取れるようになっているといいような気がしました。

【小代課長補佐】 前回(平成24年度)の検討会の資料でまとめているものがありまして、その中で、先ほどの正課外教育を含めてですが、課外教育、そのほか学生相談、就職指導、修学指導、そういったものなどを含むというイメージになっています。
それから、もう一つ、施設の利用という観点では、図書館、それから情報処理室、学生寮等となっておりますので、一応施設の利用という意味では、学内のもので、学生寮は含んでいるというのが前回の整理です。

【竹田座長】 修学だけではなく生活上の支援、あるいは任意団体への参加の保障が議論になっておりましたけれども、第一次まとめのときには修学支援をある程度しぼって検討したかと思います。今回は少しそのあたりについてもある程度提言ができればと思っているので、まとめていく過程でどの程度まで記載するかということについて、引き続き御意見を頂きたいと思っています。
続いて、5.障害者差別解消法を踏まえた「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮」に関する考え方について意見交換をお願いしたいと思います。
ここはかなり幅広いところでございます。基本的な考え方、不当な差別的取扱いや合理的配慮に関することですが、これは国立大学の場合には対応要領に明記しているところです。
また、大学等における実施体制ということで、これも先ほど事務局から説明があったように事前的改善措置、それから学内規程、それから大学独自の事情などを反映したような観点も含まれると思います。
それから内容決定の手順、紛争解決、第三者組織ということで、重要な点が出てきますが、各種修正、あるいは加筆の必要がある箇所がございましたら、御意見を頂きたいと思います。
基本的な考え方、こちらから順番に御議論いただきたいと思います。基本的な考え方ということですが、特に不当な差別的取扱い、これはヒアリングのときにも少し議論になっていますし、それから合理的配慮、これも第一次まとめの考え方として本検討会でも重要な箇所です。これらは、一番基本になる2つと考えております。いま一度御確認いただいて、御意見がありましたら御発言をお願いいたします。

【殿岡委員】 学長から学内へ、つまり上から下へ、差別解消の流れを行き渡らせるというのが基本的な流れで文章ができているのですが、少し観点を変えますと、差別的対応というのは一般的には窓口など学生と接する前線の部分で、時には教員・職員の不適切な発言とか、そういったものによってまず発生する。あるいは一本の電話に対して答えるときに発生する。いわゆる最前線で起きることが多いのです。学長の目の前で差別的事例が起きるということはまずないのです。差別的取扱いの禁止を大学における全教職員の身近にある問題として捉えた資料ですね。つまり、自分が差別を起こしてしまうかもしれない、ということに対してどう向き合うかという教職員の側(がわ)の捉え方というか、そこを基本的な考え方の中に盛り込んでいく。すると、私がしてはいけないことは何だろうという意識づけが非常に重要かなと思う。この文章は組織論としては非常にきれいにでき上がっていて、今回もかなり加筆されると思いますが、ちょっとこういうふうに観点を変えると、現場に対して、一人一人ができることという視点も出てくるかなと思います。基本的な考え方については以上です。

【竹田座長】 今御意見いただいた内容は、特に(5)の研修・理解促進に関連してきます。そういうところについてくる、2回か3回ほど前から「心のバリアフリー」というキーワードが出てきておりますが、本当の意味での理解を進めるということが重要なのだと感じます。

【殿岡委員】 具体的に差別を発生する場というものを考えていくと、一本の電話である可能性も非常にあるものですから。加えていうならば、今回は「機会の確保」という観点が基本的にはないのですね。機会の確保ということがないと、要するに、今回は法律を守るという趣旨になるので、広く障害を持っている学生の能力を発揮させていく、あるいはいままで受け入れられなかったものが一歩進むという観点が、少し弱くなるのではないか、という懸念はもっています。

【矢澤委員】 今、殿岡委員の話にありました、座長の竹田先生からもありました11ページの(5)の【1】のところで、次の12ページに記載のある「外部の研修等の機会を積極的に活用すること」というもの、これは非常に重要なことだと思います。ですが、外部研修に行きたいと言っても上司が許してくれない、認めてくれないということで行けないという話もよく耳にするので、1ページ目に、学長等の経営トップを含む教職員全員が理解することが不可欠であるという大前提があるので、例えば今の12ページの【1】の最後に、学長等の経営トップは、そういう機会に積極的に参加できるように環境整備をすることが望ましいとか、そういう表現を入れると、研修に行きたいと思っているがなかなか行けないという教職員の人にとっては助けになるのではないかと思いました。

【西村委員】 8ページの【1】不当な差別的取扱いのところになるのですが、【1】の7行目で、「抽象的に事故の危惧がある、危険が想定されるなどの一般的・抽象的な理由に基づいての対応は適当ではない。」というふうにあり、そのとおりなのですけれども、ここのところが、例えば障害の形質により、将来の職業につながる学部に入学した場合、将来その職業につけないのではないか、そういう判断がなされる場合があるような気がしています。そのときに、学ぶことがそのことにより妨げてはいけないということではあるのですけれども、将来の職業にというのが正当な理由になり得るような論理の持っていき方で説明される場合があります。実際には、障害がある方が資格を取得して仕事している場合というのもあると思うので、そういうことがこの文章では読み取れないといいますか、描き切れていないように思います。そういう欠格要件のようなことです。そういうことについてここでは触れていないのですけれども、どうしても具体的な話になっていくと、そのあたりが、だからふさわしくないというようなことに使われてしまうという点について危惧しています。

【竹田座長】 これについても、何回か前から議論されていますが、実践的なプロフェッショナルを目指す分野において、例えば職業上求められる要件といいますか、そういったものを入学上の条件としてあげることで差別が発生するリスクというものがあります。国家資格や卒業要件とも関係している場合もあります。あるいは実習に参加する際の適性判断を現場でしなければいけない。そういう困難な状況があるということに関してこの検討会としてどういうふうに判断をしていくか、何かもし具体的なこういう情報を入れた方がいいというアイデアがあれば、御発言いただきたいと思います。

【柏倉委員】 アイデアではないのですが、やはり社会的障壁の除去ということと矛盾してくるところになってくるのではないでしょうか。こういうふうにどんどん変えていくことによって就職の機会を増やしていくということなのですけれども、例えば、この後に出てくる実習の参加要件などもそうなのですが、参加要件というのは毎年の取組内容によって変わっていくべきものであって、最初にこれを定めてしまうと非常に受入れ側としては楽をしてしまう。この法律の趣旨と全く異なってくるということにすごく危惧を感じており、西村委員の御指摘は非常に重要なポイントだと思います。少し理念的なことであっても、そういう形にならないように説明をする必要はあると思います。

【白澤委員】 これは、不当な差別的取扱いの正当化事由に関する内容だと思います。アメリカのADA法などを見ていると、不当な差別的取扱いをしてはいけないということの注釈として、正当な理由に当たり得るものが2つあると言われています。そのうち1点が、ここにも書かれているDirect Threatと言われている部分です。つまり、その学生の参加や合理的配慮の提供によって何らかの直接的な脅威があり、それがどう配慮しても拭い去れない場合にやむを得ず参加を断る場合が生じてくるということです。一方、もう1点は、本質的要件を満たしていないという理由があげられます。合理的配慮を用いても本質的要件を満たすことができないならば、参加を拒むことが正当化されるということですね。一方、今、話題になっていることは、逆に本質的な要件を満たしているにもかかわらず、「就職ができないかもしれない」という、本質的な要件以外の部分で差別をするという事例に当たると思いますので、そういった本質的な要件以外の部分で判断をしてはいけないという整理の仕方で、文章をつくっていくといいのかと思います。

【竹田座長】 ほかの対象者と異なる扱いをする場合というのはこういう場合なのだということを、具体的に出してしまうことで、それ以外でも、個々の主観的な判断で取扱いの差が広がったり、生じたりするようなことがないような工夫というものは必要だと思いました。

【小代課長補佐】 今の8ページの不当な差別的取扱いに関する文言というのは、対応指針の中の文言と同じものを引っ張ってきております。そのため、これまで対応方針ですとかそういったものを踏まえた上でできていた対応指針を踏襲しておりますので、もちろんそれを踏まえてポテンシャルにそれを進めていくということは可能かと思います。ただ、今のお話が、この不当な差別的取扱いの何か考え方を変えるということなのか、あるいはその運用の仕方であり、その後の教育方法の問題として定義をされるものなのかというのは、少し整理をして御議論いただく必要があると思っています。

【竹田座長】 ただいまのお話は、6番の教育方法というところにも、12ページ、6.の(1)の【1】の、例えばアドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー等の関連性ということで、これは教育の本質と合理的配慮の関係性をうたっている箇所だなと思います。このあたりも、現場サイドとしては、この文章が出たときに非常にどう受け止めるか難しい部分もあると思いますので、慎重に検討していければと思います。

【殿岡委員】 これは、対応指針の検討会と個別ポイントのときに、ここは私ども当事者団体が、事例も含めて要望し、結果として、ほぼ多くの対応指針に盛り込まれた文言です。
これは不当な差別的取扱いに関する考え方の基礎を示したものです。つまり、抽象的な指針とか抽象的な基準という概念において一律に何かをはじくことが許されたら、それは不当な差別的取扱いという概念自体が壊れるおそれがあるということで要望し、したがって、指針のパブリックコメントの結果発表をしている文章があるのですが、そこにも理由が同じように書かれていると思います。それは、ですから、この概念は基本的には文科省だけでなく各省庁横断で周知してますので、概念としては整理した上で、教育的効果のところで必要なら補足を入れる方が、今回で概念が変わったという印象ではなくなると思います。

【白澤委員】 今申し上げた「本質的要件以外のものを持ち出すことはできない」という点は、新たな解釈を持ち込むものではなく、むしろ、この正当な理由に相当するか否かの判断例の中に記載されている「教育の目的・内容・評価の維持」ということの説明に当たると思っています。実際にこの部分に入れるかどうかはお任せしますが、「教育の内容・目的・評価の維持」というのは、こういうことである。すなわち、アドミッションポリシー等に掲げられているような学科で学ぶ上で不可欠な本質的な要件を満たしているかどうかという視点に基づいて判断するべきものであって、そうではない「将来その職業につけるかどうか」とか「必修単位が取れるかどうか」など、本質的ではない側面をもとに判断をすべきものではない」ということを説明すればいいのだろうと思います。なので、この点については、基本方針を逸脱するものではなく、むしろ基本方針の内容の読み方を説明するものであり、特に高等教育場面においては必要な部分なのではないかと感じます。ここの部分に入れるか、後の部分に入れるかは書き方次第だとは思うのですが、考え方自体を広げてしまうということではなく、むしろ具体的に内容が分かるように説明する方向にいくのかなと考えております。

【竹田座長】 正当な理由を細かく幾つも例示するということは難しいということは最初から言われていることです。ほかの指針との整合性についても少し念頭におきつつ、引き続きこの箇所については基本的な考え方について御議論を頂きたいと思います。(2)の大学等における実施体制、(3)合理的配慮の内容の決定の手順が実際、大学では日常的に行われる支援に関し大事なことだと思いますが、このあたりで御意見いかがでしょうか。

【白澤委員】 (3)番のところになってしまいますが、10ページにあります「合理的配慮の内容の決定の手順」の<3>のところに、「原則として、申出に際しては、個々の学生の障害の状況を適切に把握するため、学生から障害の状況に関する根拠資料の提出があることが必要である。」という文章があると思います。これは、もっともだと思うのですが、合理的配慮の内容は非常に幅が広く、その幅広い合理的配慮の内容について、原則として根拠資料の提出が必要と言ってしまうと、ちょっと杓子(しゃくし)定規に捉えてしまう大学が出てこないかと思って心配をしています。なので、例えば、根拠資料の提出を求めることもできるという言い方にするか、あるいは特に評価に関する内容等については根拠資料の提出が必要であるというように多少場面を限定するなど、検討が必要ではないかと感じました。
また、同じ箇所に関して、根拠資料の吟味という過程については決める必要はないのでしょうか。以前から何度か話題に上がってきていたとおり、もしかすると、この障害学生支援が非常に広まって支援を受けた方が自分自身にとって得である、メリットがあると感じた障害のない学生が、積極的に何らかの資料を作成して、大学に対して支援を申し出るといったことも起こらないとは限らないと思います。その中で、この文面だと、資料があれば支援をすると読み取れなくもないので、この<4>の初めか<3>の中に、大学等はこれらの根拠資料の内容を吟味し、障害学生との建設的対応により合理的配慮の内容を決定していくというような一文が入った方が内容として正しくなると感じました。

【竹田座長】 根拠資料の必要性について、その質的な視点というか内容についてどういうことを書き込む必要があるか。根拠資料は一度出せばいいのか、少し詰めて最終的なものにしていく必要があります。いろいろ実質的な確認段階の工夫が必要かもしれないです。

【近藤委員】 今、白澤委員から御指摘のあった<3>のところですが、この部分は、過去の委員会での議論を受けて書き込んだものですが、私の間違いでこの後に記載のあった「これらのうち利用できる根拠資料を複合的に勘案して、個々の学生の障害の状況を適切に把握する必要がある。」という文言を消してしまいました。これは記載する必要があります。

【竹田座長】 資料の有無に関わらずという部分が多分動いてしまっているので、<4>のところには、資料の有無にかかわらず建設的対話でやっていくという部分が残されているということです<3>の方は、資料の種類についてです。白澤委員の方からは、その質についての補足が必要なんじゃないかということについて、建設的対話にプライオリティを置いたら、<3>も併せて整理して記載した方がいいのではないかということでした。

【小代課長補佐】 白澤委員の御指摘についての確認でございますが、同じ場所10ページの<3>のところで、「根拠資料の提出があることが必要である」ということについて、根拠資料の提出を求めることができる、求める場合がある、そういった文章に直したらどうかという御意見がございました。これまでの中でも、根拠資料というのはどれぐらい必要かという御議論がありまして、それで、まさに医学的な判断も含めてあるべきではないかという御議論があったというふうに記憶しております。それをまず原則として、その後、「ただし、」という<4>に、できない場合というのは、それをとりあえず調達ができるように一緒に努力しましょうという話と、それから、実際の状況等が確認ができる場合には、その資料の有無に関わらず、合理的配慮の提供の検討がという話に持っていく、そういう流れの議論になったというふうに事務局では把握しているのですが、そこを<3>のところも今のような形に修正をすべきという御指摘かどうかという確認をさせてください。

【近藤委員】 今、私が白澤先生の御意見に関して申し上げたことは、ここに3つの根拠資料の例を挙げているのですけれども、もともとの原案のところには、これらがないと駄目ということではなく、このうち利用できる根拠資料を複合的に勘案して、個々の学生の障害の状況を適切に把握する必要があり、利用できるものを複合的に見るということが書いてあって、これらが全部揃(そろ)っていないと駄目という議論ではないということになります。これまでの検討会の議論の中でも、理想的には、全てあるとニーズについて間違いのない判断ができるという議論がありました。しかし、実際には揃(そろ)っていない、3つが全部揃(そろ)っていないと判断ができないということではなく、いずれかによって状況が現認できる場合はそれで構わないという議論がありましたので、そのように考えています。

【小代課長補佐】 一番大きな確認は、根拠資料を求めないということが、そもそも要件としてまずあるのかどうかというところです。そもそも求めるということが原則で、その内容についてはこういった例を確かに出していただいて、そういったものの中から利用できるもので判断するという全体の話は問題ないわけですが、まず、その根拠資料を求めるというスタンスで書くのかどうかということに少し疑問が出ていたのかなと思いましたので、その点についての確認です。もともと根拠資料は要らないという話がやはり前提といいますか、同じぐらいのものであるのかという確認です。

【白澤委員】 支援室としてフォーマルに行う支援の場合には、今のような書き方で構わないと思います。私が想定したのは、例えば、教員個人に対して、先生、もう少しゆっくり話してもらえませんかというような形で、明らかに聴覚障害のある学生から申出があったとか、個別の様々な場面で合理的配慮って行われていくと思います。そうした場面であっても、大学としてはいろいろな対応が求められているにもかかわらず、こういう形でかちっと手続を示してしまうと、かえって対応がとれなくなるような場面もあるのではないかと感じます。書き方としては、この場所ではなく、別途書いた方がいいのかもしれないのですが、学内で行う全ての合理的配慮の提供場面において、根拠資料が必要となってしまうと、もともとの合理的配慮の考え方とずれてしまうのではないかと思うので、そのあたりは少しどこかで触れるとよいのではないかと感じます。

【竹田座長】 今、白澤委員がおっしゃった、そういう配慮は現場では不可欠だと思いますが、合理的配慮の根拠資料というのは、今まで議論してきたのは、例えば大学として、支援組織として、何か根拠に基づいて、ある学生さんに対してどういう支援をしていくかということを決定して、よりよい支援につなげていくための根拠資料かなと思います。白澤委員が気にされているのは、根拠資料がないからやらないというような、ネガティブな利用のされ方、文言を誤解されるというのか、誤った解釈ということに結びつかないような、そういう工夫が必要ということだと思います。第一次まとめにも書いてあったと思いますが、配慮というのが合理的配慮以上のものになっても全然構わないというか、むしろそういうことが必要ですし、この後の啓発というのはそういうことのためにされなければいけないことだと思うので、合理的配慮の<3>、<4>のところ、例えば、そういう資料が必要であり、それらから幾つかを組み合わせて総合的に勘案するというのは、それはもっともなことだと思いますし、それから、社会的障壁の除去の必要性が明白である場合には、これは当然合理的配慮がなされなければいけないことなので、書き方が難しいですけれど、合理的配慮を行うためのプロセスを支援することが重要という趣旨の発言だと思います。それ以外のところに支援の理念というか考え方の基本ということで、障害のある学生に対して修学支援の基本的な姿勢についてしっかりと記載するということがよいのではないかと思います。

【鈴木委員】 11ページの上から4行目、「なお、この際、」という障害学生と大学等による建設的対話のところです。
意図は非常によく分かって、「後期中等教育段階の高等専門学校生の場合等は、」となっていて、自分の配慮事項について上手にまだまとめられないとか、上手に伝えられない場合は、保護者等からというのがあって、おおむねこれで私も理解をするのですけれども、ちょっと具体的過ぎて、それ以外のところが排除されないか、という懸念があるので、年齢が若い人というふうに具体例を挙げるよりは、こういった理由でという記載があった方がよいかと感じました。つまり、先ほど言ったように、自身の配慮事項について上手にまとめられないとか、配慮のニーズはあるのだけれどもとか、そういったところがあるべきだと思いました。

【竹田座長】 これは矢澤委員からもありましたが、やはり一種の表現のプロセスを支援するという意味合いということで、今の御意見と同じでしょうか。

【矢澤委員】 前回の検討会で私は、高専の現場がどうしてもそこは避けて通れない現状があり、保護者ということにこだわってしまいました。今回こういうふうに<3>の項目をつけていただいたということは大変有り難く思いました。
鈴木委員からありましたように、私としてはこれでよいんですけれども、高専生以外はいいのかと思われてしまうことが懸念されるというのは、もっともな意見だと思いました。自分でうまくまとめられない、合理的配慮の申請ですとか、どんな配慮をしてほしいかなど、そういうことがまだ伝えることができないような段階にある学生に関しては、高専生の低学年のことも十分入ると思いますので、表現を工夫していただいて、この項目があれば、私としては大丈夫かと思います。

【高橋委員】 鈴木委員からの御指摘は、保護者等から意見を聴取することが重要であることの理由というのが、要するに、高専生であるという所属に起因しているのか、それとも、高専生というのは一つの具体例であって、高専生はまだ年齢が低くて自己判断が十分ではないから、そういう場合には保護者等の意見も重要だとなるのか、そのあたりがはっきりしないところがポイントなのかなと思います。例えば、高専生というのを一つの例にして、特に障害学生が高専生の場合等、学生自身による判断が十分に行えないような場合はというように、保護者が関与してくる必要性が生じるのはどういう場合なのかということを補足すればいいのと思います。ただ、今の書き方だと、全ての高専生が自分の判断ができないものであるというニュアンスに聞こえてしまって、かえって、そういう自己決定ができるような力が育っている高専生に対してよくない記述にはなってしまうなと、発言してから思いました。

【西村委員】 今の点についてですが、保護者等から意見を聴取しつつ、やはり障害学生本人の意思決定を注視していくということ、上の<2>から<3>に「なお、この際、」というように、11ページの一番上から3行目までにかかって、この4行があるとはいえ、意見を聴取することも重要であるというと、どうしても保護者の意見が先に立つように聞こえてしまうので、意見を聴取しつつ障害学生本人の意思決定を重視していくとか、まとめ上げていくとか、そのようにしたらよいのではないかと思いました。

【竹田座長】 「保護者」ではなく「保護者等」としているのは、これからの議論の中では必ずしも保護者だけではなくて高等学校の教諭の先生ですとか、あるいは主治医の先生ですとか、いろいろなケースがあるのではないかということで、これも具体的に書いてしまうと、やはりこの場合は高等専門学校と保護者という2つに絞られてしまいがちですが、合理的配慮を適切なものにするための情報収集という視点で考えれば、やはり結局同じことになりますけど、意思の表明にも支援のプロセスの中のそういう一文になるのかなと。なかなか意思の表明、意思決定が難しい場合に、そのほかの第三者からより詳細な情報を求めるという過程をもつことを勧めるという趣旨なのかなという感じがしますので、その辺も書き方の工夫でよろしいのではないかと思います。その中の例として高等専門学校に場合を例示してもかまわないとも思います。

【小代課長補佐】 本文では、学生自身による判断が十分に行えないような場合には、必要に応じて学生以外の方からの意見、例えば保護者からの意見を聴取することも重要であるという書き方をしておいて、その具体例として欄外に、例えば一例としては高専などの例を幾つか挙げることで詳しく説明する。また、学生以外の方というところでは、例えば保護者であったり、先ほど御意見いただいた学校の先生が挙げられたりということを少し説明をするという形にしてはいかがかと思いますが、どうでしょうか。

【竹田座長】 ほかの部分に注釈というか、本文には余り細かいことは書かず、注釈のところで少し具体例を挙げるという書き方がよいと思います

【殿岡委員】 2点あります。1点目は、大きく二つの概念があります。代行決定なのか、本人の意思決定支援なのか、です。権利条約は代行決定を明確に否定しています。意思決定支援であるべきだと。本人の最終的な場面で意思決定を支援するためにつくのか、本人に代わって第三者が意思決定を代行するのか、ここはやはり区別があると思います。後の1点は、話が先ほどの根拠資料のところに戻ってしまうのですが、ある程度私は逆側があることをわかった上で、今は障害学生の立場に特化して質問させていただきます。合理的配慮の決定の根拠資料としての障害の根拠資料であるならば、今度は合理的配慮を求めない部分の障害の根拠の提供というのは、障害告知しなくてもいいという概念があります。複数障害を持っていて、単一の合理的配慮しか求めない場合は、求めるものに対する根拠資料を出すという概念です。
それと、個々の学生の障害の状況を適切に把握という言葉に含まれるのですが、大学側としては、障害全体あるいはその人個人を知りたいとか、障害の状況を把握したいという気持ちと、もうひとつは俗っぽい話になってしまいますが、予算を獲得したいとか、障害者の人数を把握したいとか、それによって何らかの予算要求をしたいがために、障害を把握したいという概念は実は異なっていて、障害学生の側(がわ)からいえば、どの観点で根拠資料を求めているのか、というのは、これは障害学生の側(がわ)に出すことに不安があるし、受け取った側(がわ)としては、個人情報の使用範囲という概念でやはり整理が必要。私はこの文書はいいと思うのですが、この文書でいくならば、合理的配慮を必要とする、あるいは合理的配慮を求めても、この大学はしてくれないと思ったら、それに関する根拠資料は出さなくていいということでいいのかどうかは恐らく議論がある。障害把握と根拠資料というのは実はけっこう重くて、どういった障害を大学に告知すればよいのか、しない方がいいのかというのは、学生側から常に悩みの相談を受けているものですから、逆の観点があることはわかった上で、あえて少し述べさせていただきました。

【柏倉委員】 今、殿岡委員から2つの御意見があったうち、前半部分の保護者の問題について私の方から意見を述べさせていただきます。権利条約におきましては、意思決定支援というものを取り入れるということで、代行決定については認めない。それはおっしゃるとおりです。ただし、意思決定の困難な方がいらっしゃるので、それに対して、いわゆるサポーテッド・ディシジョン・メーキング、それが12ページの上の【2】のところに書いてあることになると思いますが、意思決定とか意思選択、自己選択の経験を積むことによって意思決定能力を育てるということですが、時間もかかるので、そのときに本人がなかなか意思を示せないときには家庭や関係者の意見を聞くということで、イギリスではベーストインタレストということをやっています。ですから、そのあたりを少し整理して書いていくとすっきりすると思います。

【竹田座長】 まだ議論が進行中ですが、休憩の予定時刻のため、55分まで一旦休憩とさせていただきます。

                                  (休憩)

【竹田座長】 先ほど根拠資料あるいは意思決定のあたりで議論がございましたが、その先に進ませていただき、紛争解決のための第三者組織、それから研修・理解促進、情報公開のあたりまで含めて、御議論がありましたらお願いいたします。

【柏倉委員】 先ほどのことにも関連してきますが、12ページ【2】の説明のところですが、ここは実は学生の意思、自分の意思をきちっと表明するのが難しい方に対する配慮について書いてあり、この研修・理解促進に含めるのが妥当なのかどうかというのは少し疑問な点もあります。この第二次まとめの中に出てきている意思決定という概念と自己決定という概念が少し混在している印象を受けます。
この【2】の文面は何を意味しているかというと、先ほども触れましたけれど、いわゆる意思決定支援、サポーテッド・ディシジョン・メーキングで、自分でなかなか処理できないような学生に対して、関連する情報提供を丁寧に行ったり、自分で選択する機会や、自分で決定する経験を積むことによって一人一人の意思決定の能力を育んでいくという視点です。まとめでは能力向上の場の提供となっていると言いましたが、正しくは意思決定能力の向上に向けた支援を行うにした方がよいと思います。
自己選択と自己決定はあくまでもその手段であって、意思決定とは全く異なる概念ですから、そこは整理しないといけない。
このことと、実は11ページの<2>の意思決定の重視はこちらの方がよいと思いますが、資料の、このあたりと非常に関連してくるので、できれば研修と理解促進の合理的配慮の(3)の中に含めて一体的に議論した方がよいと思います。そのことが先ほどの保護者の声をどう扱うのかということにも関連してくるのではないかと思いました。

【竹田座長】 確かにカテゴリーとしては合理的配慮のところに近い印象もあります。また自己決定と意思決定の違いについて、重要な御指摘を頂いたと思います。

【村田委員】 今の話とは異なる視点なのですが、(6)情報公開に関して、「支援に関する大学等の考え方や取組を積極的に公開することが望ましい。」となっていて、その後に「情報公開に当たっては、アクセシビリティに配慮することが重要」となっています。これ自体に反対意見はないのですが、本来的にいえば、そもそも大学全体のホームページ等での情報公開がアクセシブルな状態であることが望ましいのではないかと思いますので、そういったメッセージをここで発信するかどうかも含めて検討の余地があると思いました。ある意味、事前的改善処置と言えるかもしれないですが、先ほど注釈で記載するという話もあったかと思いますが、読み取り方によっては、障害学生支援に関係することはアクセシビリティに努めるけれども、それ以外は取り組まないことにもなりかねないと思いましたのでコメントさせていただきました。

【広瀬委員】 今の村田さんの御指摘は大変重要なことだと思います。大学のホームページなど、大学が発信する情報がアクセシブルであることは、合理的配慮の大前提だと思います。それをどこかにしっかりと明記することは大前提です。
もう一つは、例えばイギリスの大学では、2、3年に一度、今うちの大学は、この合理的配慮あるいは障害学生支援に関してどこまでやっているかという報告書を公開します。そうした情報を大学のホームページで公開しています。オープンユニバーシティなどは毎年そういう報告書をホームページで公開しています。何人の学生がどのように学んでいて、どういうサービスをしているか、できる限りの情報を載せています。そして、今の問題点は何か、改善点なども項目ごとに書かれています。ホームページ上で誰もが見られるような形にして公開することとし、例えば学位授与機構などで大学を評価する際にも、一つの重要な情報になるのではないかと思っています。

【竹田座長】 事前的改善措置のところにも、ハード面だけではなくてソフト面のことも書いていただいていますし、ホームページ全体のアクセシビリティについては、先ほど白澤委員からもあった、教職員全体の取り組む姿勢というのも実は非常に重要な基礎的な環境整備の中に入るという印象があります。

【白澤委員】 11ページの研修・理解促進のところです。この「心のバリアフリー」のところについては、以前指摘させていただいて、修正していただきました。ただ、1点気になるのは、「心のバリアフリー」を広げていく研修を行うことは非常に重要だと思うのですが、合理的配慮を進めるということは、「心のバリアフリー」とはまた別の話であり、この点は明確に区別しておくべき点だと思います。なので、書き方として、例えば、「障害学生支援を進めるに当たり、障害者差別の解消に向けた意識の向上と関係者の『心のバリアフリー』の推進を進める」ですとか、「コンプライアンス意識の向上と『心のバリアフリー』の推進を進める」などの表現にするのがよいと思いました。合理的配慮自体は、理解があるかないかに関わらず、全ての職員がやらなければならないことだと思います。その点についての理解はやはり必要であって、その上で、多くの先生が「環境の整備」など、それ以上の支援をしていただけるように、「心のバリアフリー」についても重要であるといった位置づけになるはずです。なので、この二点について並列するような書き方であった方がよいと思います。

【殿岡委員】 1つはハラスメントのことなのですが、不当な差別的取扱いを回避するためのハラスメントというものが、実際毎年あります。なので、不当な差別的取扱いの項のところにハラスメントに関しても駄目なんだということをしっかりと上へ挙げた方が良いと思います。
もう1つは逆に、情報公開のところは、私も日本福祉大学さんなどを始め、いろいろなところから年報というものを送っていただくことが多いのですが、実は皆さんかなり細かく書いていらっしゃいます。どちらかというと、ホームページに出すことを奥ゆかしく思っているのかなという感じです。せっかくまとめたものが表に出ないという方が多くて、まとめていないという方が少なくなってきている。だから、もうちょっとここは積極的に出す方がいい。個人情報の扱いはあると思うのですが、せっかくやっていることをもっと出すようなインセンティブとして書けた方がいいのかなと思っています。

【竹田座長】 それでは、6番の各大学等が取り組むべき主要課題とその内容について御議論いただきたいと思います。

【近藤委員】 第二次まとめの4.の対象範囲で、かなり通学や学内介助に関するもの、トイレ等に関してということをまとめますよということが言及されています。ですが、そこ以降で「介助」という言葉が出てきていないことに気づきました。これはどこがいいのか非常に迷いますが。6.のどこかがいいのか。何かしら、例えば基本的にこれまでの議論としては、第一義的にはやはり総合支援法上の地域の支援リソースを活用しつつも、時宜を得た介助が存在しなければ、大学等に通学がかなわないという場合、学内での適切な措置を講じること、という考え方がこの委員会の中で示されてきていると考えます。そういった文言が、この6番のどこかに追加されるべきではないかと考えています。

【村田委員】 今の御指摘に関して私からも発言させていただきます。今回、見え消しのバージョンを見ていただきますと、18ページ6の(4)大学間連携を含む関係機関との連携というところが、もともと【1】、【2】、【3】となっていて、その【2】の青の見え消しになっている部分があります。ここは近藤委員を中心に記載していただいたところかと思いますが、通学や学内での身辺介助についての言及があって、これを事務局で別の場所に移すということでその部分がなくなっているということだと思います。ただ、実際には具体的な話がなくなってしまっているので、今御指摘いただいたことを踏まえれば、どこかに移動させて記載するか、あるいは(4)の【2】はもともとあった記載なので、その点は再度記載していただくなど、バランスをとっていただければよいかと思います。

【竹田座長】 (4)の大学間連携を含む関係機関との連携ということで、関係機関の中に様々なリソースとの関係性、そういうものが多分最初のバージョンの方がより具体的に記載されているということでしょうか。

【近藤委員】 先ほどアクセシビリティの話が出てきていましたが、恐らくこのあたりの環境整備に関しての議論というのは、今回の第二次まとめの中では触れられていないというか、基本的に先ほど議論のあった5.(2)の【1】事前的改善措置の言及のみにとどめているということだと考えています。それで間違いないでしょうか。もしそのような形にするのであれば、今回、第二次まとめでは、第一次まとめから、基礎的環境整備に関してと、建設的対話をどのように細かく進めていくのかに関してなどは、かなり削除してあります。合理的配慮の意思決定のところに、第二次まとめの記述の大部分が盛り込まれているので、第一次まとめのそのあたりで述べられた部分は、第一次まとめに書いているので、基本的にそちらを参照してください、という意図が第二次まとめにはあるのだ、という理解を私はずっとしていました。ですけれども、もしそれでよいのであれば、この第二次まとめの文言の後に、そういった部分を明示しておく。つまり、第二次まとめというのは、第一次まとめを上書きしているものではない、という言及があると、先ほどアクセシビリティの部分について御指摘いただいたことは、第一次まとめにかなり細かく書いてあるので、非常によいのではないでしょうか。
それに関して言うと、災害の対応について、第一次まとめには言及してありますが、第二次まとめは事前的改善措置ということに含まれるということで書かれてはいないのですけれども、そういった部分も多少ですがクリアできる可能性があると思います。今申し上げた第一次まとめを読み込んだ上で第二次まとめを読み込むということの言及でクリアできると考えてよいかどうかということをまず確認させていただければと思います。

【竹田座長】 上書きで消えるものではないと理解しておりますが、事務局もそのような理解でよろしいでしょうか。第二次まとめの中で否定するものでは一切ないと思いますので、あえて再度同じことを書くということはないと思います。

【柏倉委員】 13ページ【4】のところ、校外実習の参加要件の書き方について、障害があることをもって参加を妨げることがないようにするということです。その後で、適正な参加要件を設定することができるという形になってきていて、この参加要件によって実習への参加が阻まれることが非常に危惧されます。ですので、この書き方ではなく、参加要件がない場合が多いので、あるいは指定科目の対象は障害学生に限ったことではないと思いますので、この辺は少し簡略化していただいて、参加要件を設定する場合は、逆に、障害があることをもって参加を妨げることがないようにする、としていただくとすっきりしますし、これをもって医療系の実習などが拒否されることがあってはいけないので、趣旨はこれはこれでいいと思いますが、是非書きぶりを変えていただいて、不利益にならないようにしていただくといいのかなと思います。

【竹田座長】 これは、先ほどの正当な理由のところでもちょっと議論があって、不当な差別的取扱いの正当な理由の部分ですね。要するに、結局、最近よく議論になる実習要件、それから実習要件はここに書くとして、入学要件など様々なところで直接・間接差別の事由になり得るという意見が先生方からは出ていて、それに関連して、今、柏倉委員からも、実習の場合も参加要件を設定するということが多分差別につながる要素だという御発言だと思いますが、いかがでしょうか。

【近藤委員】 そのとおりだと思います。このあたりは、先ほど白澤委員が言われた本質的なことというところもありました。不当な差別的取扱いの(1)の【1】のところで書かれている適正な参加要件の設定というのは、そもそも本質的なものとして求めるものというのは何なのかという参加要件であると私は理解していました。例えば、日本の場合はそういう参加要件についての細かいポリシーは余り出さないですけれど、これまでの委員会の中で何度か私が要望として上げさせていただいた、いわゆる「テクニカルスタンダード」という言葉があります。例えば特定のセラピストの業務につくために何グラム以上の重さの物を持ち上げるという動作を行うということは本質的なものに入ります。本質的に求められることができない場合というのは、例えば現場実習等を含めてそれに参加することができないということを米国などでは言及されることもあります。恐らく適正な参加要件を設定するというのは、そもそも参加できないものというのをあらかじめ明示しておく。もし仮にそれが合理的配慮によって、もともと設定されている参加要件を別の形で変えることができるのであればその限りではないということなのかなというふうに私は理解していました。そのことと、先ほど柏倉委員がおっしゃった、この設定によって排除されるということが出てくるのではないかというものを折衷すると、この今の適正な参加要件を設定することという文言の後のところに、例えば、「適切な合理的配慮の提供によってその参加が保障されるのであれば、積極的にその在り方を考えるべきである」といったような、具体的な方法を盛り込むことで両方の考え方が折衷できるのではないかと考えましたが、いかがでしょうか。

【竹田座長】 この部分は冒頭で、障害があることによって参加を妨げることがないように、ということが書かれてあって、その後の適正な参加要件を設定するというのが、適正な参加要件の中に障害の有無というものは当然含まれないと読まないといけない。柏倉委員も危惧されるように、これが間違った解釈に結びつかないような表現の仕方が必要だと感じております。適正な参加要件や協力要件というのは、全ての学生が対象になっていることだと思いますので、そこは障害学生に限って参加要件を設定するということではないので、そういう誤解がされないような表現が必要だと思います。
これに関して、実は12ページの(1)【1】の3つの方針(アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー)のところで、【1】の上から4行目、「合理的配慮において変更可能な点と変更できない点を明確にすることにつなげる。」というあたりで、とりわけ、シラバスに明記するということが書いてありますが、こういうことが、全体の考え方として合理的配慮によってほかの学生と同じスタートラインに立たせて、能力要件なり、あるいはコースの到達目標に照らして評価するという、そういう理念は全体で一つなんだと思います。個別に全て書いておくことが必要なのかということとも関連すると思います。ですので、個別に全ての科目に関して何か能力要件のようなものを書き始めると、やはり運用面で非常に誤った使われ方というか誤解が生じてきたりすることが逆に危惧されて、できるだけ理念的なものはどこか一つ大きくしておいて、その中で誤解されないように、あくまでも障害を理由に差別はしない。それから、合理的配慮というものは、ほかの学生と同じスタートラインに立っていただくためのものであるということを記された上で、こういう各論に関しては記載していくような、書き方の問題だと思いますが、いかがでしょうか。

【殿岡委員】 今のところは、ポイントは、間接差別を明確に否定できるかどうか、ここがポイントなのですね。障害を原因といったときには、直接差別です。直接では絶対にないが、ただ、ある要件を課して、それが間接的に障害学生を排除するような場合があるわけで、これを否定できるかどうか。ここがポイントであるかなと思っていて、私は、適正な参加要件という言葉をあえて入れる必要があるかどうかというのは疑問なのですが。ここに書かなくても適正な要件を出すと思いますが、ここでの議論は適正な要件があるかどうかではなく、そこに間接差別が発生するかどうか。あるいは間接差別が発生するような要件が明文化、慣習によってあったとしたら、そういった要件を排除できるかどうか。それがやはり差別解消のポイントになるかなと思っています。

【竹田座長】 ここにある指定科目の単位取得というのは、これは多分、参加に先立つ単位取得の状況ということだと思いますし、成績評価も障害の有無ということではなくて、この参加によってどういったようなことが達成されたか、到達目標に達しているかどうかという能力的な評価をしろということだと思いますし、これも評点の仕方の問題だなと思います。

【高橋委員】 このあたりは大体私が記載しましたので、コメントをさせていただきます。
確かに、今の文章のところで、参加要件というのが、何か障害のある学生への条件みたいにとられてしまうと、それは非常にまずいと思いました。飽くまで参加要件というのは、今、先生もおっしゃったように、障害の有無にかかわらず授業を受けるための条件みたいなものですので、そういったところは少し書き方を変えた方がいいかと思いました。ただ、むしろそういう参加要件みたいなものを【1】にあるように、よりはっきり公開することで、合理的配慮として何ができるかということも考えられる。そういった意味で、障害の有無にかかわらず求められる参加要件を明確にするとよいかと思ったところです。

【竹田座長】 1番目の教育方法のところがいろいろ御議論がありましたので、(2)初等中等教育段階から大学等への移行、それから(3)大学等から就労への移行、これと併せてやりたいと思いますが、先ほども関連して議論になりましたが、大学間連携を含む関係機関との連携、それから人材の育成・配置、このあたりで御議論をいただければと思います。

【神藤委員】 9ページ(2)大学等における実施体制【3】組織<2>の障害学生支援室等の専門部署・相談窓口というところで、支援室だけがやるわけではないということは書いていただいています。「学内の専門部署や障害学生の所属部局・担当教員と連携して支援を行なう。」という表現を入れていただいていますが、どこに書くべきか分からないのですが、障害学生の支援にかかわる各学部・各部署等全学の連携・協力により支援が行なわれるといったような表現を強調して書きこんでいただきたいと思います。大学の中には、そういう障害学生の窓口をつくると、そこだけがやることになるからつくらないというふうに明言されている大学もあります。そういった大学がおっしゃることももっともと思えるときがあります。多くの大学が参加する研修会などでも、支援室やコーディネーターにお任せとなるような事例が報告されることがありますので。
15ページ6.各大学等が取り組むべき主要課題とその内容(5)障害学生支援人材の育成・配置のところの【1】に「大学等において」というのがありますが、「障害学生支援の中核を担える存在として機能できるシステムの構築。」とあっさり書かれていますが、ここのところが一番問題と思われるところであって、例示ですとか、そういうことをしていただきたいと思います。
また、ここでは、かなり理想のコーディネーターが書かれていますが、なかなかここまでできるコーディネーターはいないのではないかと思います。ですので、それを目指してやっていくのだけれども、それまでの間は学内のあらゆる部署、人々が協力してやるというような表現があるとよいのではないかと思います。
先ほど、白澤委員がおっしゃっていた合理的配慮のことについて、本学の場合、総合相談窓口として、障害があってもなくてもどこに相談に行けばよいかわからない場合は相談に来てくださいという体制にしております。その中で障害学生支援のメニューを使うということになったら、そういう合理的配慮に関する根拠資料を出さないといけない、という扱いをしておりますので、何かそういう例示でもあればよいかなと思います。

【竹田座長】 支援人材の、特に配置のことについて、全体的な支援体制の在り方ということで、中核的な組織、専門性を持った組織が大事ですが、そこだけにならないような体制が必要だということだと思います。

【白澤委員】 どこに入れたらいいのか…、もしかしたら別立てでつくった方がいいのかと思っているのですが、合理的配慮以外の障害学生の教育的支援についても明記できないでしょうか。特に発達障害等では非常に重要になると思うのですが、自分自身の障害をきちんと認識し、苦手なことを補うようなスキルを伝えていったりとか、あるいはうまく支援スキルを使っている先輩と出会って、自分自身の生き方を見直すように支援をしたりとか、そういった部分について、どこかにはっきりと明確に入れられないかと思っています。先ほど、意思決定支援のところで若干そうしたことは触れてあったとは思いますが、確かに広い意味での意思決定支援ではあるとは思うのですが、その範囲だけにとどまるものではないと思うのです。このため、やはり大学における障害学生支援というのは、合理的配慮だけでは終わらないということを明記いただいて、1項目にしてはどうかと感じます。
流れを見ていると、大学の中の教育方法というような、具体的な場面における支援が(1)であって、(2)が高校から大学への移行、(3)が大学から社会への移行になっています。高校からの移行場面でも、かなり教育的な支援が必要なのかなと思いますし、出口の部分でもこうした支援が行なわれるべきだと思います。なので、これら2つの中に書き込む形も考えられるかと思います。あるいは、入り口と出口があるけれども、在学中にもやはりこうした教育的支援が必要という捉え方をするのであれば、(2)と(3)の間に在学中の教育的支援ということで、授業以外の部分でのサポートを入れられるとよいと感じました。

【高橋委員】 今の白澤先生の御意見はもっともだと思いました。といいますのも、現在の教育方法というところに書かれた支援といいますのは、JASSOの調査によるところの授業内支援をどのくらいやっているかどうかということに関係していると思います。それに対して、実はより多くの大学が行なっている支援は授業外支援のところで、そこはもちろんカウンセリングの提供ですとか、いわゆる合理的配慮には当たらないけれども、学生が育っていくような支援ですとか、そういったことが調査内容に含まれております。ですので、そういったことをやらなくていいという話ではなくて、やはり積極的にそういった部分も必要だということを書ければよいと思いました。やはり全体として合理的配慮、そして不当な差別的取扱いの禁止というものが中心となりますが、それは障害学生支援の一部であって、全てではないので、むしろこれは障害学生支援に関する検討会なので、そういった合理的配慮以外の支援についても項目として立てられるとよいと思いました。

【殿岡委員】 白澤委員の御意見に基本的に賛成で、具体的には新しく(2)をつくって、授業外のあるいは、教科外の、など言葉はいろいろあると思いますが、支援の項目をつくる。そこには新しく合理的配慮に定義された通学や学内介助等の支援、それから発達障害や聴覚障害だけではないですが、いわゆるインフォーマルサポートと呼ばれる支援、そしていま出てきた合理的配慮を上回る教育的支援というような内容をまとめていくことで、いきなり授業から移行支援に移るのではなくて、今回の特徴である、新たな合理的配慮の部分に関して少なくともつくっていくと、ここが第二次まとめで新たに開かれた分野にしたんだなということが具体的に明示できるのではないかと思います。

【竹田座長】 多分制度化していけば、そういう障害の直接的な支援ではなくて、障害の学生に対するスキルの支援ということ、これは多分合理的配慮以外の部分を含めてということになると思いますので、この検討会の第二次まとめ自体が、全体として、高橋委員がおっしゃるように障害学生の支援ということであったときに、どこまでやらなければいけないのかということと、それからこういうものが望ましいということと、それから更にここに書いてあるものに限定されるものではないという位置づけのようなものを明確にした上で、議論がそういうリコメンデーションのようなものは書き込む必要があると思います。発達障害の学生について先ほど御発言がありましたが、特にそういう障害学生に対するスキルといいますか、将来的なものを見越した何か支援、それらの部分についてどこまで書き込むべきなのか。全ての大学ができるとは限らないと思いますし、大学の修学支援というところ、どういった結びつきの上で、キャリア支援という中に含めて書き込むという考え方もあると思います。

【西村委員】 今のことは非常に大事なところだというふうには思っております。ただ、発達障害の場合ですけれども、例えば意思決定のサポートですとか、それから自己決定の支援とかいろいろな表現がありますが、そこだけを取り出して支援するのは非常に難しいです。要するに、12ページにあります、例えば3つの方針、アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーにかかわるところで、このことをきちんと教員が行なっていくための指導書の工夫、それからどのように修学の環境が整えば、自分はその中できちんと内容が理解できるのか、到達できるのかというあたりを具体的に支援していくことは、自分自身の障害特性についての理解につながると考えているわけです。ですので、表記、書き方というのは非常に難しいなとは思っています。つまり、創作スキルの学習など取り出したものを項目として挙げることはとても簡単にできると思いますが、そのことをどのような場面で彼らに指導していくか、教えていくかということになると、やはり検討事業や修学の中で学んでいく状況をつくっていくということが大事になると思います。

【竹田座長】 諸外国の事例において、米国の例などを取り上げられた際に、必要とされる支援がある程度本人からの意思の表明に基づく必要性が高いということがあります。一方で、大学側もカリキュラムポリシーがしっかりとしており、その間において初めて建設的対話が成り立つという考え方は当然あると思います。

【近藤委員】 今、西村委員がおっしゃったことというのは、合理的配慮の決定過程で、障害学生支援室のスタッフは、学生とともに必要な支援を構築していくことになりますが、その支援のプロセスそのものは、学生にとっては半ば意思表明のトレーニング的な意味もありますし、それ自体が障害学生支援の基本的な活動であるということが言えると思います。このことをもし明示的に考え方として示すならどこがよいかと思いながら、西村委員の御意見を伺っていたところです。例えば、15ページの(5)のところに、そういった障害学生支援の担当者の関わりについて記載されればと考えています。というのは、主に米国等の障害学生支援の中で言われることは、学生の障害学生支援スタッフは、障害のある学生の、最も身近なアドボケイドであり、共に権利も分かり合える人であるということと、障害学生支援の中で本人の意思決定に基づいて合理的配慮をつくり上げていくプロセスは、それが本人にとっても自己決定とアドボケイドを学ぶ過程にもなっているということです。この2つの視点というのは、米国の障害学生支援において、一般的に共有されていることであると考えています。これらの視点が、人材育成のところで示されるというのは一つの方法なのではないかと思いました。

【竹田座長】 これは、5.の方になるかもしれませんが、合理的配慮の内容の決定の手順のところには、やはり今、近藤委員がおっしゃった建設的対話というのは繰り返し出てくる箇所なので、その合理的配慮の内容を決定し具体化していく。大学における建設的対話そのものに教育的意義があるというような、そういうスタンスを示すことができればいいと思います。
最後に、7番、社会で活躍する障害学生支援センター(仮称)の形成と8番のおわりにというところにつきまして、修正あるいは加筆の御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
7番のセンターについては、まだ現在検討中ということでございますが、もし実現した場合に、こういうものが必要なのではないか、というような御意見がございましたらお願いいたします。

【近藤委員】 これは質問になりますが、先ほど15ページの(5)人材育成の【3】に村田委員が加筆をされたと聞いたのですが、【3】では、支援が充実していない他の大学についてもバックアップできる人材を大学の組織的に議論することといったような記述になっているように理解したのですけれども。これはその大学そのものというよりは、恐らく周辺の他の大学も含めて支援しようという考え方だと理解しました。そうすると、これはむしろセンターの機能に近いことではないかと思ったのですが、各大学の行なうべきこととして【3】が入っているのであれば、これがセンターのところには含まれていないことについて、何か意図があるのでしょうか。

【小代課長補佐】 おっしゃるとおり、(5)の育成というのは、つまり、養成的な要素があるので、こういったところも【3】のところで言及しています。各大学がこれを他大学のためにやるというよりは、今おっしゃったように、センターであるとか、そういったことも含めてと思いますので、各大学の課題ということとは違うと思います。
整理の過程の中で、7番のセンターの項目に盛り込むということには御意見がありませんでしたが、一方で、白澤委員からも言及があったように、養成に関してはまだまだ弱い部分があるということは事実です。そのことは、各大学の課題というよりは、全体的な課題としてはっきり見せていけるとよいと考えております。

【広瀬委員】 先ほど、村田委員が御指摘されたところと関連していますが、この第二次まとめは、7ページを見てみると、(検討対象とする学生の活動の範囲)というところで、その下のパラグラフで、上記とは直接に関係しない学生の活動や生活面への配慮(通学、学内介助など)とあります。
このことについて、15ページを見ていただくと、(4)大学間連携を含む関係機関との連携と書かれています。ここに本当は地方自治体等のサービスだと思います。今の書き方だと、関連機関とは大学とか教育機関と読めるので、自治体等と記載した方が分かりやすいと思います。
ある地方の公立大学へ行ったときに、建物はすばらしいバリアフリーになっていたのに、玄関を出て道に出るところにランプがない。段差がある。その理由を聞いたところ、これは国土交通省の問題です、あるいは、自治体の問題ですと言われて驚いたことがあります。全くアクセシブルではないのです。大学は行政や自治体などと緊密に連携する必要があります。トイレの介助はどうするのか、おむつは誰が変えるのか、実際の場面でお手上げにならないように準備しておく必要があると思います。

【殿岡委員】 私は少し視点を変えて、8のところで、文科省に対するお願いになってしまいますが、書いてあるものですからあえてコメントさせてください。基本計画のくだりがあります。実は行われている障害者基本計画に関しては教育の部分を読みました。そもそも高等教育に対する目標値がないのです。そもそも高等教育に関する目標値が計画には存在しない。だから実質これを開始しても高等教育における障害学生支援が出てこないのです。まずこれを入れることが第一です。関連で言うと、昨今国連に提出するための(障害者)権利条約の第一次政府報告書が外務省からでていますが、高等教育に関するパラグラフ、障害学生支援に関するパラグラフがそもそも存在していないです。それからここには書いていませんが、内閣府で毎年障害者関係予算というのを出してきます。そこには文科省はインクルーシブ教育の推進とか、特別支援教育の推進などが含まれていますが、高等教育における障害学生支援という言葉は内閣府予算の中にも出てこない。つまり、日本の国の行政における障害学生支援の地位そのものがまだまだ低いのでは、ということがある。つまり、これを障害学生支援という現実もわかるように読めるのですが、現実の行政ではそうなっていない。そういうところから一つ一つ取り組んでいくという姿勢も是非、これがこの分野そのものの全体の発展に最も寄与する文科省のできる部分かなという気もしますので、あえてコメントさせていただきました。

【竹田座長】 まずセンターにつきましては、現在、協議中の事項ですので、第二次まとめに反映するかどうかについては現段階では未定ということを御理解いただきたいと思います。その上で御意見を反映していきたいと思います。
また名称等についても、現在のところでは社会で活躍する障害学生支援センター(仮称)ということですので、実現したあかつきには、施設の名称等についてもお考えいただければと思います。

【高橋委員】 名称の案ではないのですが、まだこれが最終的に入るかどうかも分からないというところなので、意見として出したいのは、取組例の一例をもう一つ増やしてほしいということです。最終的にはどうなるか分かりませんが、アセスメントの機能です。これはずっと私が強調しておったものでありますけれども、学外機関でもなかなか根拠資料を受けられる場所がないという状況において、かつ、各大学でそれを準備するというのは難しい現状を鑑み、こういったセンターが地域ごとにできるのであれば、そこでそういったアセスメントが受けられ、根拠資料が得られるというようにするとよいと思いました。

【白澤委員】 1点目は、センター形成の部分について。これについては、今後また話合いが行なわれていくと思うのですが、今現在、各地に置かれている特別支援学校でも、地域に学ぶ障害児・者のためのセンター的機能というのを担っています。そして、そこのセンター的機能の中でも「大学への支援」という項目が入っていて、地域によっては積極的に取り組んでいる状況にあるということです。内容としては移行支援に当たる部分が大きいと思うのですけれども、活動が重複することで弊害が生じる可能性もあるので、そういったところとの連携も視野に入れて、制度設計をしてほしいという点について考慮に入れていただければと思います。
2点目は、「おわりに」のところについて。最後のまとめのところの案として、幾つか項目があげられていますが、今回、検討の範囲に入れられなかった障害のある教職員への支援についても、ここに入れることはできないでしょうか。この内容は、第一次まとめの際にも、今後の課題の中でやはり検討が必要とされておりましたし、障害のある学生が卒業して大学で働きたい、大学で教員として残りたいといったときに、そこへの支援は現在非常に希薄な現状にあります。せっかく大学の中で支援を受けて博士号を取得したけれども、必要な支援がなくて大学に残ることができないとかなり苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいますので、そういったところについても今後の課題として入れていっていただけると有り難いと思います。

【竹田座長】 本日も様々な御意見を頂きありがとうございました。特に5番の不当な差別的取扱い、あるいは合理的配慮に関するところでは根拠資料に関して、また、正当な理由をどう考えるかということ。それから、この中で障害学生自身がどういうふうに意思を表明するか、意思を決定していくのか、というあたりにも多く議論を頂きました。それから、大学の主要課題、取り組むべき視点というところでは、機構・組織にだけ任せるのではなくて、教職員や各教員組織が積極的に対応すべきであることをしっかりと伝える必要があるのだという御意見です。また実践的な専門を目指す分野、専攻等が多いと思いますけれども、実習に際して様々な授業環境ですとか、障害があることを理由に参加を妨げるという発想にならないよう、参加要件ということについても慎重な取扱いが求められるということ。それから、大学間連携については、書き方を元に戻した方がいいのではないかということかもしれませんが、最初の検討会において課題となっていた部分が、大学間連携を含む関係機関との連携という中で議論されていた、生活支援、あるいは介助という言葉が抜けてしまっているような気がするという御指摘もありました。最後の支援センターに関しては、現在検討中とのことですが、この中身、もし具体化する場合にはアセスメント機能のこと、最後に白澤委員がおっしゃったような特別支援教育、特別支援学校とセンター機能との連携についても御議論いただきました。おわりにというところで、今後どのように第二次まとめを出していくのかという中で、障害のある学生のキャリアパスとしての教職員に支援についても少し課題の中に入れることができればよいのではないかという御意見でした。
事務局で今日の議論について修正作業をさせていただきまして、終わり次第、委員の皆さまに送付しますので、それに対して随時御意見をお送りください。また、事務局からの説明にもありましたとおり、本文以外の別紙あるいは参考資料をつけることになると思いますので、また改めまして何人かの委員の先生方に個別に御協力をお願いできればというふうに思います。このことにつきましては、私と事務局で相談の上、調整させていただきたいと思いますので、どうぞ御協力よろしくお願いいたします。
最後に、当面のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。

【小代課長補佐】 それでは、資料2を御覧いただきたいと思います。資料2「当面の検討会のスケジュールについて(案)」でございます。
本日が下から4つ目のところ、第7回、10月31日(月曜日)でございます。
次回、第8回につきましては、11月30日水曜日の15時から18時ということで、引き続き第二次取りまとめに向けた議論を行わせていただく予定であります。
第9回以降のところですが、年内にということで12月の日程の調整をさせていただいたところではございますが、委員の御予定が合いません。したがいまして、第9回につきましては、来年1月に開催をさせていただきたいと考えております。
11月と1月をもちまして第二次まとめの取りまとめということで作業を進めていきたいと考えております。
したがいまして、その間、今日から第9回までの11月30日までの間、それから更に1月までの間といったところで、メールでのやりとりがこれまで以上に多くなるかと思いますので、是非そこは御協力をいただければと考えております。
事務局からは以上でございます。

【竹田座長】 それでは、以上で障害のある学生の修学支援に関する検討会第7回を終了させていただきます。
どうもありがとうございました。

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