資料2 平成28年度「検討会」第二次まとめの取りまとめに向けた基本的な考え方

平成28年度「検討会」第二次まとめの取りまとめに向けた基本的な考え方


本検討会においては、障害者差別解消法の施行等、現下の状況を踏まえた論点を整理するとともに、主要な課題について検討を進めてきた。これまでの検討を踏まえ、「第二次まとめ」の取りまとめに当たっての基本的な考え方を以下に示す。


1 取りまとめの方針
1.本年4月の障害者差別解消法の施行に伴い、全ての大学・短期大学・高等専門学校(以下、大学等)において具体的な対応が求められている。この対応のためには、学長や校長をはじめとする全ての教職員の関与や理解が必要であるため、これら教職員の理解を深め適切な支援を促すべく、取り組むべき内容について出来るだけ具体的に記述する。また、全ての教職員が様々な取組を行うに当たり、考え方等を常に参照できるようなものとする。

2.大学等の教職員に加え、障害学生及びその関係者(保護者、介助者等)、障害のない学生、特別支援学校や高等学校等の初等中等教育機関、ハローワーク等の就職支援機関、企業の関係者、民間の障害学生支援団体等が参照することも想定し、これにより、関係者間の共通理解・連携の推進を図る。

3.「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)及び教育再生実行会議「全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花させる教育へ(第九次提言)」(平成28年5月20日)の趣旨を踏まえ、その実現に貢献するものとする。

(参考(プラン・提言の関連部分抜粋))
○ 「ニッポン一億総活躍プラン」
社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供・若者(発達障害など)等に対して、個々人の特性に応じて将来の目指すべき姿を描きながら、医療、福祉、教育、進路選択、中退からの再チャレンジ、就労などについて、専門機関が連携して伴走型の支援に取り組む
○ 教育再生実行会議「全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花させる教育へ(第九次提言)」
・・・今回の提言は、単に学校教育だけでなく社会全体の在り方に関わるものであり、政府が目指す「一億総活躍社会」実現の基盤ともなるものです。政府においては、教育関係者だけでなく幅広い国民の理解と参画を得つつ、提言の内容を速やかに実現されることを期待します。・・・特別な支援を必要とする子供について、各発達段階を通じ、円滑な情報の共有、引継ぎがなされるよう、国は、乳幼児期から高等学校段階までの各学校等で個別の支援情報に関する資料(個別カルテ(仮称))を作成し、進級、進学、就労の際に、記載された情報の取扱いについて十分配慮した上で、その内容が適切に引き継がれる仕組みを整える。高等教育段階においても、個別カルテ(仮称)の作成・活用を推進する。

4.これまでの検討において特に取り組むべきとされた、関係者間のネットワークの構築や人材・支援インフラ等のリソースの共有化を実現するための拠点の整備について、具体的な拠点のあり方や整備の進め方について検討・記述する。

5.各種支援を行うにあたっての拠り所となる個々の学生の支援内容に関する資料の作成、活用について、別途進められている初等中等教育段階における議論と整合性のとれた検討を行い記述する。この際、特に特別支援学校高等部や高等学校等(高等専門学校においては中学校を含む。以下、高校等)、社会との各段階間の移行の際における、支援内容の適切な引き継ぎが課題であることに留意する。


2 内容
「論点整理」の事項に沿って、基本的な考え方や具体的な取組の検討を進める。特に重点検討事項について、これまでの検討で提示された課題を、重点事項毎に以下に示す。

1.教育方法に関する考え方
○ 教材や支援機器の開発・使用の共有化、活用方法の共同研修
○ アクティブ・ラーニングや反転授業への対応
○ 実習における教育目標を踏まえた(障害があることをもって参加を妨げるようなことのない)適正な能力要件の設定
○ 他大学へ提供可能なテキスト・データ、講義のインターネット配信、一般教養科目における単位互換の活用

2.大学間連携を含む関係機関との連携の在り方に関する考え方
○ 地域単位・課題単位での多層的なノウハウ、人的・物的資源の柔軟な共有
○ 全国高等教育障害学生支援協議会(AHEAD-JAPAN)や日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)、関西障害学生支援担当者懇談会(KSSK)、全国障害学生支援センター(NSCSD)等の連携スキームの充実・拡大
○ 地域の福祉事業等との連携による通学や学内介助等の生活面への配慮についての支援・配慮事例の収集
○ 障害学生、支援学生、障害のない学生の交流推進

3.初等中等教育段階から大学等への移行(進学)に関する考え方
○ 個々の生徒・学生の障害特性や支援内容に関する資料の作成・活用等による特別支援学校高等部や高校等からの教育支援内容の引継ぎの円滑化
○ 履修登録を始めとする様々な場面において、自己選択・決定、コミュニケーション等の機会が増加することにより、障害による困難・不適応が大学等への進学後に顕在化することへの対応
○ 大学等における入試や入学後の様々な支援、支援体制、相談窓口等の情報について、特別支援学校高等部、高校等の生徒、教職員、保護者等への発信強化

4.大学等から就労への移行(就職)に関する考え方
○ ハローワークと連携した就職・定着支援の強化・大学等におけるガイダンスや説明会、出張相談等の共同実施
○ 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター等の労働・福祉行政との連携
○ インターンシップやアルバイト等の経験を積むにあたっての支援
○ インターンシップ実施に際する企業の人的・経済的・心理的ハードルを取り除くための仕組み作り
○ 地域ごとのインターンシップ機会の格差の解消
○ 企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)との連携
○ 修学支援と就職支援を担当する部署間の連携の強化
○ 個々の学生の支援内容に関する資料等を活用した大学等と企業との連携の強化

5.具体的な取組を促進する方策(関係者のネットワーク構築や専門人材の養成・配置を支援するような方策等)
○ 専門的人材(コーディネーターや、手話通訳等の専門技術を有する支援者等)の配置、専門性の向上や相談窓口としての確立、キャリアパスの在り方の構築
○ 常勤の専門的人材が不在であることが多い小規模の大学や高等専門学校における支援の後ろ盾となる専門的人材の確保
○ 支援学生の育成・研修等の推進、支援学生の負担軽減のための仕組みの充実
○ 遠隔情報保障等、支援者の共有に向けた体制構築
○ 障害学生を主な対象にしたインターンシップの推進(4.に記載事項を含む)
○ 教材や支援機器の開発・使用の共有化、活用方法の共同研修(再掲)
○ 他大学へ提供可能なテキスト・データ、講義のインターネット配信、一般教養科目における単位互換の活用(再掲)
○ 地域単位・課題単位での多層的なノウハウ、人的・物的資源の柔軟な共有(再掲)
○ 全国高等教育障害学生支援協議会(AHEAD-JAPAN)や関西障害学生支援担当者懇談会(KSSK)、日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)、全国障害学生支援センター(NSCSD)等の連携スキームの充実・拡大(再掲)
○ 障害学生、支援学生、障害のない学生の交流推進(再掲)
○ ハローワークと連携した就職・定着支援の強化(再掲)
○ 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター等の労働・福祉行政との連携(再掲)
○ 企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)との連携(再掲)

6.障害者差別解消法の施行を踏まえた「合理的配慮」や「不当な差別的取扱い」に関する考え方の確認
○ 学長及び校長における積極的な指導性の発揮
○ 決定プロセスにおいて、障害学生本人だけでなく保護者との対話・理解促進を進める手法の確立
○ 障害学生本人や障害学生支援室、担当教員等を交えた支援の在り方の検討・実践・検証の仕組み、並びに不服申し立て、学内のモニタリング体制の仕組み作り(標準モデルの構築)
○ 大学等が提供する支援の内容やその決定プロセスに不服がある場合や、大学等が対話に応じない場合の訴えを受け止める第三者機関の設置
○ 教員が障害学生の発表や発言の指名を控える等の、合理的配慮に当たらない他の学生と異なる扱いの改善
○ 本人による正当な権利主張を促すための仕組み作り
○ 合理的配慮の決定・提供時や不当な差別的取扱いに関連するハラスメントの防止・解決のための仕組み作り
○ 事前的改善措置としての、ハード面でのバリアフリー化や、ソフト面でのテキスト・データの提供、講義のインターネット配信等の推進

7.その他
○ 障害のある留学生支援の促進
○ 大学における多様な学び(例えば、障害者の学び直しの促進や、知的障害のある学生の受け入れ等)の推進
○ 大学等全体として障害学生支援を推進するための、教職員の様々な連携スキームへの参加や研修受講の機会の充実・理解促進
○ 障害学生のキャリアプランの設計やイメージ作りの参考・励みになる、大学等を卒業した障害者の社会における活躍事例の紹介
○ 障害者支援モデルの高齢者支援モデルへの応用の推進、社会の理解促進


お問合せ先

文部科学省高等教育局学生・留学生課