特定研究大学(仮称)制度検討のための有識者会議(第7回) 議事録

1.日時

平成27年12月16日(水曜日)12時~14時

2.場所

文部科学省13階 13F1~3会議室

3.議題

  1. 特定研究大学(仮称)のコンセプト及び指定の要件について(2)
  2. その他

4.出席者

委員

岸座長、上山委員、金子委員、郷委員、酒井委員、佐藤委員、高橋委員、橋本委員、濵口委員、松本委員、水野委員

文部科学省

常盤高等教育局長、義本大臣官房審議官(高等教育担当)、氷見谷国立大学法人支援課長、吉田国立大学法人支援課企画官、春山国立大学戦略室長

5.議事録

【岸座長】  所定の時刻となりましたので,特定研究大学(仮称)制度検討のための有識者会議の第7回を開催いたします。 本当に委員の皆さん,第7回まで,お忙しい中,よくお集まりいただき,ありがとうございます。 それでは,本日の議題に移りたいと思います。本日の議題は,前回から引き続き,特定研究大学,これは仮称なんですけど, のコンセプト及び指定の要件についてです。 それでは,まず,事務局より説明をお願いいたします。

(事務局より資料1に基づき説明)

【岸座長】  ありがとうございました。きょうができれば最終回という予定ではありますが,多分全部を,国立大学を3分割するということと,ここに手を入れるかどうかというのは,戦後の大学の在り方では,法人化以来の一つの大きな動きだと思います。非常に重要だと思っております。ということですが,名前は全部の議論の後にもう1回,指定にするのか,当初は特定研究大学ですよね。それはまた議論するとして,まずは各項目,是非御議論いただきたいと思います。  最初は,「目指すべき指定国立大学像とその果たすべき先導的役割」ということで2ページにまとめていただいていますが,これについてどうぞ,忌たんのない御意見をお願いしたいと思います。  はい,どうぞ。
【松本委員】  ありがとうございます。まず最初の点についてという話ですが,2ページ目に,「指定国立大学が先導的に打破すべき課題」と書いてありまして,この認識は非常に的を射ていると私は思います。ただ,この課題を解決するために,以下のページにいろいろな条件,目標設定のための制限条項が出ているんですが,大学というのは,御存じのとおり,研究室が主体の活動でありまして,研究室を超えると隣同士でもなかなか,2,3の研究室はやっていますが,システマティックに研究を共同でやれる体質になっていないのが日本の大学の最大の弱点ではないかと思っているんですね。  したがって,ここには部局を超えたという言葉が出ているんですが,もっと部局の中でも,交流が少ないと思うので,何かそれを担保するような条件を,ここに書いてあることは立派なことが書いてあって,そのとおりなんですけど,それが担保されるような目標設定の仕方というのを少し工夫しておく必要があるんじゃないかと思います。この点に関しては,そこを申し上げたいと思います。あとの点は,また座長が指定されたときに言います。
【岸座長】  そうすると,学部だけじゃなくて,学科でもあるし,一研究室というような記述も必要になってきますでしょうか。
【松本委員】  ちょっと補足させていただきますと,お時間よろしいですか,1,2分。
【岸座長】  はい。
【松本委員】  日本の大学の場合には,いい面もたくさんあるんですけど,4回生になると,学部のときに研究室に大体入るんですね。ゼミとか,研究室の卒論というのに入ります。卒論ですから,その研究室がやっている専門テーマについてやることが多いんですね。文系のゼミの場合は,私はちょっとよく掌握しておりませんが,似たようなことだろうと思いますが,そこでいきなり狭い世界に入ってしまうので,諸外国の学生と比べて,急に狭い領域に入って,一般的な知識が入らないままに大学院に行っちゃう。囲い込みがそこで起こるんですね。それをどういうふうに広い視野を持たせるかという工夫がないと,研究室のテーマに飛び込んで,そのまま大学院に行って,そのテーマを続けて,ドクターに行くと更に細かいところに入るという,こういうことが日常的に行われているんじゃないかと思うんですね。そこで,それを少し幅を広げるような仕組みを出してくれということを明確に書いた方がいいんじゃないかと思いました。
【岸座長】  はい,分かりました。ですから,まさに融合分野・新領域開拓,これの仕組み的なものまで踏み込むべきであるという御意見だと思います。
【事務局】  項目で区切っているので少し見づらいのですが,4ページ目に少しそのあたりのことを意識した言葉は入れておりまして,もう少し松本委員からこういうふうに足したらということを御指摘いただければ有り難いと思いますが,大学における具体的取組(例)の部分の上から三つ目に,大学院生に対する専門の枠を超えた体系的教育・研究指導の実施ということを書いておるところでございます。それから,もう一つ,その上でございますけれども,研究科の収容定員の設定の見直しということで,硬直的な研究室配属の振り分けの是正ということも書いておりますので,このあたりにもう少し言葉を足すかどうかということで御指摘いただければ有り難い。
【事務局】  これが具体策として十分かどうかということだと思います。問題意識としては,松本先生のおっしゃることは受け止めてはいるんですけれども,具体策としてこれでいいかどうかという話だと思います。
【松本委員】  今言われた中で,非常に目いっぱいに前向きに考えると,そういう方向に行く大学も出てくるかと思いますけれども,普通にいくと,収容定員の見直しは,研究室の内部に対しては大きな影響は出ないと思うんですね。自分の研究室で,意識的に囲い込んでいるわけじゃないんですけれども,学問を進めたいという気持ちの余り研究室のゼミばっかりやれということになりがちなんですね。だから,研究室の枠を超えた,つまり,学科を超えたでもいいんですけど,そういう科目なり教育研究の場を提供するということがこの中に含まれているとは思うんですけれども,このままだと読み切れないかなという気が若干いたします。
【岸座長】  だから専門の枠というところをもう少し具体化して,研究室の枠とか,小講座の枠とか,何か少し考えてみた方がいいかもしれないですね。分かりました。是非それを考えさせていただきます。  ほかはいかがでしょうか。はい,どうぞ。
【松本委員】  この前ここで議論なさったかと思うんですが,日本の大学って結構頑張っているところはたくさんあるんですよね。ところが,文系の発信力が弱いという話が出たかと思うんですが,それは今回,この提案書をざっと読んでアプライするときに,全く文系のことを書かなくても通りそうな感じがするんですよ。日本全体は,文系いい仕事していると思います。しかし,国際的には発信していないんじゃないかという御指摘も何度か各所で聞いたことがありますけれども,それをどう表現するか。そこを上げると,もちろんランキングもぐっと上がりますし,いろいろな意味で日本の大学のフィージビリティーがうんと上がると思うんですね。それを具体的にやるのは非常に難しいと思いますけど,書いておかなければ,今のまま変わらないんじゃないかというおそれがあるような気がいたします。
【岸座長】  文系の発信力というのが,いかがですか,ほかの先生方も。一つの大きな課題ではあるんですね。  事務局,何かこれに関して。
【事務局】  おっしゃるとおり人文社会という言葉を入れているわけではないので,そこを足した方がいいという御意見がございましたら,そのようにさせていただければと思いますが,実際今回,分野融合とか,新領域の開拓という観点は,恐らく人文社会も含めてやっていただく必要があるだろうという意識としてはございますので,そこをもう少し明示するかということが一つございます。それから,また先に進んでしまって恐縮なんですけど,目標設定のところで,「社会への貢献の観点からの目標設定」の3ページ目の(2)の一番下に入れておりますが,ここにおける社会・経済に関する新たなシステムを提案ということは,それも理工系のみで,自然科学系のみでやるわけではないのかなというふうに思っておりまして,ここにも例えば社会システムの変革に関する目標についてや,どのようなインパクトがあったかということについて考えますと,それは恐らく人文社会系からも力を借りないとなかなかできないのかなという認識ではおりますので,言葉として人文社会をもう少し前に出した方がいいということであれば,そのような追記の仕方をしたいと思います。
【岸座長】  そうですね。だから融合領域とか融合研究の前に,自然科学と人文科学のというような枕言葉でも入れていくと随分変わりますね。それから,もしできればどこかに文系を少し鼓舞するような文章も考えた方がいいのかもしれませんね。  どうぞ。
【濵口委員】  その意味では,「社会のための科学」というキーワードはきちっと入れた方がいいのではないか。科学,目標設定というのが単なるノレッジベースのものだけではないということを明確に出す,社会貢献という意味で。  それから,融合領域とかの開発に関して,これ難しいんですけど,新たな研究科を作ったり,新たな専攻を作るというやり方もあるし,一方で,個人のキャリアパスとして,例えば医学部の卒業生が経済学を勉強するとか,経済学のマスターへ入って,ドクターでもう一回医学部へ戻るとか,工学の大学を出た者がマスターは経済へ行くとか,そういうキャリアパスが必要なんですけど,それはほとんど実現していないんですね。縦でずうっと,経済へ入ったら経済だけで行く,工学へ入ったら工学だけで行く。日本はよく医工連携とか,こういうキーワードを作って融合型の学部とか学科を作るんですが,何となくこれ、ポーションに近い状態になっていて,人材育成のキャリアパスにうまくつながっていないように思うんです。だから,そこをどうマチュアなキャリアパスとして作り込むかというのはもう少し議論が要ると思うんですけど,融合型の学科だけではないと思います。キャリアパスが融合してこないといけないと思うんですが。
【岸座長】  だから単線のキャリアパス以外のものも,よくありますよね,外人は。自然科学をやってから経済というのはたくさんいますからね。
【濵口委員】  文系やってから自然科学をやって。
【岸座長】  そうなんですね。
【濵口委員】  ノーベル賞を取る人がいます。
【事務局】  学部でコンピューターサイエンスやっていますという人はアメリカの大学なんか相当な程度いて,そこから大学院で専門に入るという,そこでの融合が非常にあるんだと思います。
【岸座長】  一つそれに相当するような文章も必要と思いますが。先生。
【酒井委員】  今のお話の関係でもあるんですが,今頂いている文案に加えて,この前に,例えば前文とか,全体のコンセプトをお書きになるというのはどこかにあるのでございますよね,恐らく,と私は思ったんです。もしそうであるとすれば,もうちょっと全体のコンセプトとかエコノミックス的な部分を強調されて,何を達成しようとしているかというのを書いておくといいんじゃないのかな。今の文系・理系,あるいは研究分野をまたいだ総合的な競争力の強化というのをうたい上げるというのはとっても大事だと思いますし,また,国の方からお金を出すことがなかなかできない中で,とにかく自由化を進めて各大学のイニシアチブで,とにかくガバナンスを強化しながらやっていっていただくという,その哲学的な部分を前文か,本文かよく存じませんけども,そこでお書きになるようにすれば,今の話も含めて結構書き込めるのではないのかなと思った次第でございます。
【岸座長】  ありがとうございました。ごもっともな意見だと思います。文理融合,多様なパス,資金,これ全体を一つの指標のような前文ができれば分かりやすいということで,これは少し努力してみてもいいかなと思いますが,ほかどうぞ。金子先生。
【金子委員】  人文社会系ですけど,この入れ方は,おっしゃるように人文社会系も文言の中に入れるということもあるかもしれませんが,人文社会系というのは基本的に大学教育の部分に大きく関わるところに意味があるので,この指定国立大学というのは,前研究大学だったわけですが,大学院レベルの研究力にかなり限定した書き方をしているわけですけれども,本当はそれもやはり実は学士課程を含めた総合的な力がつく,どういうふうに作っていくかというところに関係するわけで,どの程度の範囲を対象にこのプログラム自体がなるのかということに大きく関わると思うんですが,私は,この間の議論ですと,教育も含めてしまうと,かなりまた手入れが必要で,ただ,指定国立大学という名前にしたんですから,研究という名前が出ているから,総合的でなければいけないという意図もあるのではないかと思いますが,そうすると,人文系を含めて,かなり基礎的な教育も必要であるというのを,これはまた,さっきおっしゃったような前文に入れるかですね。そういった入れ方を多分していくしかないのではないかなと私は思いますが。
【岸座長】  だから,この名前を変えたところの問題点も出てきますよね。最初の方が分かりいいところはあったんです。特定の研究大学で走っていましたからね。ですから,指定ということで,また教育も大きく入れるのか。そこを含んで,また,御意見どうぞ。上山先生。
【上山委員】  今の御意見をいろいろ伺っていて感じていることを申し上げますけど,どこに入るかちょっと分からないんですが,学科も含めた実験室単位でなかなか壁を抜けられないという話が松本先生からありましたけど,恐らく考えないといけないというのは,幾つかの学部をまたぐようなスクールのような組織がなかなか日本にはないですね。そこに実はディーンがいるわけですね。ディーンはいろんな分野とか研究室とかを超えた人事配置とか,マネジメントをする力が与えられているという。その中で,結局,大学のガバナンスがマネジメントの最初の形を勉強していくという,それが恐らくプロセスだと思うんですけれども,そこがなかなかうまくいっていないということなので,それはずっと思います。  だから,私の経験でいうと,アメリカのことを調べていますけど,その二段階で起こってきたという気がずっとしていることですね。まず,大学の大きな変革に向けて期待をしたのは各スクールごとの改革,各スクールごとの予算の獲得,外部資金,それからアントレプレナーシップみたいなことを非常に強く要求して,そこの中で組織改革が行われ,ずっと進んでいくと。それが実はある意味では大学のガバナンスに,中央の本部が少しコントロールが利かなくなった面も実はある一時期あって,それをもう一度中央本部の中でガバナンスの中に組み込むという努力をやってきて今に至っているという意味では,多様化と中央集中が二段階で起こってきて,それがいわゆるよく濵口先生がおっしゃるようなシェアード・ガバナンスのような考え方につながっていく。ボトムアップとトップダウンをどこかで融合させていくことが必要だということになってきて今になっているという意味では,日本の場合はスクールごとの独自性と,それから特に資金獲得なんかについても努力みたいなものがなかなかないと。そうすると,スクールの中である意味での融合みたいなことをもともとやっているという,それがちょっとないわけですね。  文科系でいうと,スクール・オブ・アーツ・アンド・サイエンスというのは,人文社会系と基礎系の自然科学というのは,実は方法論的にも考え方がちょっと近いところがあって,大体どこでもスクール・オブ・アーツ・アンド・サイエンスって統合されているんですよね。文科系,理科系関係なくと。そこが実は日本にはなくて,おっしゃるように経済学に入ったらずっと経済学をやってきますし,法律に入ったら,そのままずっと法律をやってきますので,法と経済の間でも実はなかなか融合が難しいんですよね。そういう意味で,人文社会系と基礎系の自然科学も全部統合するような,ある意味でのスクール的なものをガバナンスの最初として作り上げていき,そこに独自の資金獲得も含めた努力を要求した上で中央の大学の本部のガバナンスの強化という。そういう二段構えがないと,トップダウンでもないし,ボトムアップでもないという,そこの着地点を考えないといけないんじゃないかなという気はしています。  それがあると,割と人文社会系といえども理科系の,例えばそれこそ哲学をやっていた人が,大学院に行ったらピュアな基礎物理学みたいなことに入っていくというのは,スクールの中では結構あり得る発想なので,人文社会系がそこの中に組み込まれていくルートというのはあると思うんですが,そういう意味で,例えばスクール・オブ・アーツ・アンド・サイエンスとか,スクール・オブ・メディシンとか,スクール・オブ・エンジニアみたいなものはそれぞれのいろんな,内部の中でいろんなバリュエーションのある研究室と学科みたいなのが融合されている,非常に大きなガバナンスの体制みたいなものが日本の大学にはないなと。実はそこのトップを経験するということは,大学の本質について非常に考えなければいけない人間になるので,いい学長にやがてなっていくというようなことなんじゃないかなという気がします。今のはどこに入るか分からないんですが,そういう感じが,多分ガバナンスのところかな,ちょっと分からないですけどね。
【岸座長】  そうですね。分かりました。例えばスクール,ディーン単位ぐらいの,多様化と集中化の繰り返しで全体を運営すると。ちょっと入れにくいところもありますが,少し考えてみる重要な点かと思います。  ほかは。どうぞ,先生。
【佐藤委員】  ガバナンス強化ということで,学内外から信頼されるガバナンス体制を構築すること,それから,その後にも学長のリーダーシップということが何点か書かれているわけですけれども,一つこういうことは考えられるかどうかというだけの話ですけれども,指定国立大学(仮称)について,学長の任期というのが,日本では国立大学,短過ぎるのではないかと思います。外国で,カリフォルニア州立大学を見ても27年とか,あるいは20年,10年と長期の在任期間が多く見受けられます,日本の国立大学の学長の任期というのは極めて短くて,リーダーシップを発揮しようにもなかなか難しいという点があるのではないかなというふうに感じています。そういう意味では,特に特定研究大学を作っていく場合,そのリーダーシップがある一定の期間,きちんと結果が見えるようなところまで引っ張っていけるような期間に設定ができないかなというのが私の印象であります。
【岸座長】  ありがとうございます。確かに6年は短いかもしれないんですが,駄目なときの解任の話と一緒にしておかないといけないんですね。出来の悪いのが長くなると,これは大変ですからね。しかし,短いと思います,本当に日本の場合は。  あと,どうぞ。
【橋本委員】  今,いろいろ先生方のお話を聞いて,全くほとんど同感するんですが,一方で,本来,指定国立大学の目的は何だったかというと,最初に書いているように,研究力と人材育成力において国際的な非常に高い競争力を持たせること,それが目的でしたよね。そのための方法論として,例えば大学院生の補助の問題であったり,あるいは学部,あるいは研究室の融合,これは全部そのために手段なんだと思うんですね。それから学部教育も当然これは手段になるんだと思うんです。そういうのは全部手段で,いろいろあるんだと思います。  かなりここに書き込んでくださっているので,私としては余り細かいことをここに全部書き込むというよりは,先ほど御意見があったように,前文にコンセプトというか,この哲学,何を求めるのかということをしっかり書き込んだ上で,あとやり方は,各大学のやり方に任せるというかな,いろんなやり方があっていいんだと思います。あるいはいろんな順番があっていいんだと思うんです。全部大きな課題ですから,一遍に最初からできっこないわけで,順番にある程度やっていかないといけない。でもそれは戦略で,大学の状況に応じて変わるんだと思うんですね。ですので,余り書き込んでしまうよりは,概念をしっかりと頭に書いて,それに対して各大学で工夫してやると,それを提示していただくと。そういう意味で,ここに書かれていることは,かなり十分書かれ過ぎているぐらい書かれているのかなという気も私はいたします。以上です。
【岸座長】  橋本先生だと,コンセプトも大体ここで書かれていると見ているんですね。
【橋本委員】  ええ。そう思います。
【岸座長】  だから前文というのは,最後のまとめぐらいでいいと。
【橋本委員】  そうですね,まさに必要な。ただ,人文社会系の研究者も元気が出るというかな。こういうことをやることのインセンティブを感じるようなものは,これを読むと,確かに理系の研究者だけが対象なのかなと勘違いする場合があると思うんですね。そこは明確にする必要があるかなと思います。これはやはり人文社会系の研究者も活性化して国際的な競争力,研究力を高めるということは非常に重要な課題だと思いますので。
【岸座長】  それは書くべきですよね。人文社会系という言葉がないというのは,いやいや,一緒に書けばいいんですけどね。理科系はもとより……。
【事務局】  むしろ人文社会系を最初から外すという意味ではなくて,というか,自然科学系が基本で,人社系と協力するというスタンスではなくて,人文社会は自然に対してイーブン,フラットな形で本来は書いていたはずだと思うんです。
【橋本委員】  そうなんです。だけど,読むと,多分そう読まないんですね。
【岸座長】  読まれないから。両方一緒に並列的に書いていけばいいんですね。
【事務局】  そうですね。
【岸座長】  はい,どうぞ。
【松本委員】  ちょっと先の方に議論が行っているようなので,先走りかもしれませんが,今いろいろなやり方があるので,各大学の自主性に任せるべきであるというお話がありましたが,私もそちらに近い意見ですが,そうは言っても,やっぱりある種の目標をしっかりと示してもらわないといけない。書きようによっては,これ評価をされるわけですから,評価のときに落とされないようにしようという後ろ向きの目標設定が必ず出てくると思うんです。ここはよく注意しないと,えらいレベル低いなということにならないように,最初の申請の段階で目標設定が余りにも低次元であれば,それは落ちるというようなことはどこかで設定しようというふうに考えておられるような項目はたくさんあるんですけど,その中で国際的にやっていける大学,競争していける大学ということはうたい文句になっているんですが,例えば6ページ,申請に当たっての要件,かなり厳しいことが書いてあります。6ページの(4),要件の項目例と挙げてありますが,例えば科研費の獲得状況とか,論文数,論文被引用数とか出ていますが,やはり国際的にとなりますと,見方は非常に難しいんですが,パーキャピタでやるのか,研究者の数でいくのか,両方あり得ると思うんですけど,その辺,明確になっていないですね。  それから,国際的なベンチマークをやるようにということはどこかに出てくるんですが,ここでは特にそれはないんですね。だからTop10%に入る論文のパーセンテージとか,こういうものがその大学の質を決めますよね。そういうものも一応書けとか,もうちょっと達成目標が具体的に見えるように工夫をしたらどうかと思うんです。Top10%の論文数,国際ベンチマーク,それからパーキャピタと総合と両方出してもらった方がいいんじゃないかと思うんですね。  もう一つは自己資金なんですが,これいろいろ工夫をしていただいていて,最後の8ページに「財務基盤を強化できるものについて,可能な限り応援する」と書いてあるんですね。これがちょっと引っ掛かりまして,どの程度期待できるのかなと各大学思うと思うんですが,例えば大学で今一番困っているのは,長期にわたる基金がなかなかためにくいという状況があります。諸外国の大学はそこの基金が強いので,かなり思い切った施策をいろいろ打てるんですね。ですから,自己資金,基金の制約の緩和という言葉をどこかに入れていただきたいと思うんですけれども,いろいろな制約がありますので,その緩和策を具体的に入れていただくと,各大学,元気が出ると思います。
【岸座長】  分かりました。今のは,全体としては割と大まかで大学に任せるけど,この要件のところは足切りになるわけですから,ここは非常に分かりやすくした方がいいと。私もパーキャピタのところはえらく気にはなっていたんです。ですから,この辺はやはりはっきりしないと,論文数だけだと大きい大学は得に決まっていますからね。
【橋本委員】  あと目標設定も,松本先生がおっしゃったように,高い目標を要求するようにする必要がありますね。
【岸座長】  ちょっと1,2,3章が一緒になっているんですが,菅先生の大学院に関しての話があったんですが,今回の高等教育局の記述では,その辺は割と菅先生に近いような記述になっていますね。大学への経済的支援。  先週イギリスへ行きまして,外務省が用意してくれて,オックスフォード,ケンブリッジ,インペリアル,UCL,そこで職を得たり,ポスドクの人たちが集まって大学を考える会なんていうのをやってくれたんですけどね,やっぱり8割から9割が支援されているんですね。お金が幾らでもあるという中国人を支援する必要はないだろうというのをしきり言っていましたね。ですから,全部支援すると書くと,かえって問題なのかなという気持ちはしましたけどね。平気らしいですね,何百万円出しても,お金持ちは。それが一つと。  あとはイギリス――イギリスの話を私がしてもしようがないのかな。本当にお金がないみたいで,大学の総長というのはお金を取る以外に仕事なんてあるんだろうかというような感じでしたね。もうそんな論外ですよと。それから,アメリカと比較したって何にもなりませんよと。要するに何も蓄えがないから,逆に日本と比較したいぐらいだと,そんな言い方でしたね。  ドイツは大学より研究所を重んじているから,ちょっと比較はしにくいと。案外日本と比較しやすいんじゃないかというような話でしたかね。本当にお金が大変で,お金を取ることだけが全てで,プロボスト,何で日本で作らないのかとしきりに言うんですけど,この辺の議論がここにはなくて大丈夫ですね。総長というのは,本来お金を取るだけと。皇族がなっているときは別らしいんですね。プロボストが本当は入学式なんかの挨拶をすればいいと,そんな感じでしたよ。重要さは,入学式の挨拶よりお金を取る方が全然大事だと言うんですから,かなり徹しないと生きていけないんだというのはよく分かりましたけど。そういう意味じゃ菅先生のは非常にいい御提案で,今度の書いてあるのはちょうどその辺がいいあんばいのところに,よく高等教育局もここまで書けたかなという気がしないではないんですけど,まあいいとこですね。  そうすると,今非常に大事な御意見を頂いて,別に黄色いところを付けて全部ただ入れればいいとは思いませんが,よくやりますよね。黄色い文字作って,あなたのはここに入っていますって。それではなくて,是非大事な意見は全てしっかりした形で入れることを考えたいということにしたいと思います。ということで,まだこの後,大事な御意見は何かおありでしょうか。  はい,どうぞ。
【高橋委員】  先ほどの大きな目標,コンセプトで前に書くというのは賛成なんですけれども,当初から私が何回かに分けて申し上げている,こういうことを達成するために組織内の事務との連携というのは,文言としては入っていない状況です。もちろん,そういうことがないと,このようないろいろな目標値は達成できないんですけれども,やはりそれを何らかの形で問題意識として差し込むことは,もし御賛同いただけるならいいことかなと思います。  例えば,2ページ目の学内の「壁」のところですけれども,ここに3つほど挙げられていますけれども,これはやはり研究教育という活動といい教員を採るという,そういうことに尽きていると思うんです。もし情報の質として,ここの前の方にその内容がそぐわないというのであれば,後ろの方にもう少し具体的に書けばいいと思うんですが,例えば例としては,ここの2ページ目の学内の「壁」のところに,いわゆる教員と事務が連携して卓越した組織になるというようなことがまだ不足しているのではないかというような書きぶりで問題意識を提示することはある種あり得るのかなと思いました。以上です。
【岸座長】  これは日本の特徴ですよね。学長がガバナンスを幾ら発揮しても,文科省に支配されている事務局がそれに抵抗することが多分にあり得るという現実を踏まえた御意見なんだろうなと僕は思ったんですが,余りそれは言い過ぎですかね。
【事務局】  言い過ぎだと思います。
【岸座長】  それは,今高橋先生は言っていません。私が言っているんです。でも私の言っているのもかなり本当だろうと思ってはいますけど。でも,高等教育局は割とそれに反発していますから,そんなことはないらしいということですけど。  はい,どうぞ。
【水野委員】  ありがとうございます。仕組み,ガバナンスと実際の行政のところの目に見えないところというのは,多分,どの行政に関する組織もあると思いますので,大学関係だけではないかと思いますけれども,私の方から申し上げたいことは,今ちょうどイギリスの話も出ましたけど,イギリスは,結局,海外の留学生だと200万,300万チャージできる。つまり,それでもイギリスに行きたいという学生がたくさんいると。ここが最大の違いだと思いますので,まさにこの制度を通じて,外国の学生さんが200万円払ってでも東京に来たい,あるいは京都に行きたいという学校を作れるかというところが最終的には勝負なんだろうと思っています。  一方で,前から申し上げているんですけれども,今回の指定国立大学の考え方の中で,運用のところが出てくるということは,私は常々不安に思っておりまして,逆に,お金を取るという,外からどうやって大学が稼ぐかと,あるいは稼いだものをどう使うかということについての自由度というのは本当に高めていかないと,そもそも知的資産が無駄になっていますし,かつ,松本先生がおっしゃったような,大学側の方も元気が出ないと。一生懸命寄附やいろいろ稼いでも自由に使えないのでは元気も出ないので,ここはできる限り緩和していくべきだと思うんですけれども,そこが運用という話になってくると,これはこれで,正直ケンブリッジなんかでも,実はハーバードなんかと違って全然運用の人材がいなくて,もともと運用する基金の金額も何10分というか,100分の1ぐらいなので,そこはなかなかいい人も当然集まらないわけですけれども,運用のところに関してはかなり控えめに,出資事業も含めて考えていただいた方が私は現実的ではないかと思います。  一方で,不動産の有効活用というのは私もやるべきだと思っていまして,特に日本の大学はいいところに不動産を持っていらっしゃいますから,こういうものを活用するということに関して,かなり資金的には楽になる大学が出てくるんじゃないかと思いますので,ここは本格的に自由度を与えていただいた方がいいと思います。ちょっと出資事業等の運用については,私は控えめな意見を言わせていただきたいと思っております。
【岸座長】  はい。今までも伺いましたが,水野先生のその意見をよく入れて,イギリスと同じで,そんなお金ないんですよね,日本には。イギリスは本当にないみたいですね。
【水野委員】  ないです。
【岸座長】  ただし,今言ったまさに不動産の利用はえらく考えていますね。大きなサイエンスパークを作るというような,各大学で。それから,一回諦めたものづくりを,今11大学で大きなセンターを作ってまた始めましたよね。しかし,それは本当のものづくりをやるんじゃなくて,そこの知財を中心に指導的にやるんだというような言い方をしています。  はい,どうぞ。じゃあ,郷先生。初めてなので,郷先生から。
【郷委員】  ありがとうございます。先ほど松本委員がお話しくださった学部の4年生がそのまま引きずっていくというお話にも関係があるんですけれども,やっぱり新しい分野とか,融合分野を育てて強力にしていくというのは,そこにいる人たちの問題だと思うんですね。多様なバックグラウンドの人が入ってこないと新しい領域というのはなかなか生まれないと思います。アメリカでは学部と大学院同じところに行かないですよね。大学院は必ず違う大学の大学院に行く。本当はそれを言いたいんですけれども,なかなかそこは難しいかもしれませんが,少なくとも申し上げたいのは,大学における具体的取組の例として,多様な学生が入ってくるような仕組みを作るということが大事じゃないかと。留学生はもちろんそうですし,それから男性,女性,もうちょっと言うとLGBTとか,国籍,それから年齢とか,あるいは出身学部とか,それまでの専門とか,そういうものを超えて多様な人たちを大学院に受け入れるという,何かそういう取組は,規制じゃないですけれども,そういうことをやっているところをどうしても作る必要があるのではないかなと、研究力を高めるために。日本は多様じゃないですよね。非常に人が動くところも少ないですし,高校,中学ぐらいから大体大学どこへ行くとか,特に最近はそうですね。もうちょっと,多様性をどこかに入れていただきたいというのが一つ,例として、入れても結構だと思います。  それから,もう一つ,佐藤委員がさっきおっしゃった学長の任期ですけれども,今,国立大学法人は6年でしたっけ。決まっていますよね。これ規制を取っていただかないとどうにもできないので,ここはやはり。
【金子委員】  なってないです。
【郷委員】  6年じゃないですか。
【金子委員】  中期目標期間が6年であるというだけです。
【郷委員】  ないですか,期限。最初のころは6年というのがあったと思う。
【金子委員】  実際違うところもあります。
【松本委員】  4年のところもあります。
【郷委員】  最大です。
【松本委員】  最大何年というのは。
【事務局】  説明させていただいてもいいですか。
【郷委員】  はい。
【事務局】  役員の任期は,学長の任期は2年以上6年を超えない範囲において,学長選考会議の議を経て,各国立大学法人の規則で定めるというふうになっておりますので,要は2年以上6年を超えないということが法律上明記されております。
【濵口委員】  再任は。
【事務局】  再任はできます。
【郷委員】  再任はできるんですね。再任ができるということは余り認識されていないので,むしろ私はやはり長い方がいいと思う。
【濵口委員】  学内の規則で再任不可というところが結構多いです。
【郷委員】  ありますよね。学内で決めていらっしゃる。そこはもっと長くしていただく,最大ですからね,別に長くてもいいと思う。
【岸座長】  だから,いろいろの規制の見直しのところの括弧の中に,学長の任期などというのでやっぱり入れておいた方がいいですよね。
【郷委員】  そう思います。
【岸座長】  これ非常に重要なところですよね。
【郷委員】  はい。私も先ほどの御意見は非常によく分かります。10年ぐらいは、という,20年という方もおられます。特に私立なんかはいっぱいいらっしゃいますので。以上です。
【岸座長】  多様性というと,どうしても男女の問題が出てきたり,またその延長で多様性だから女子大があってもいいということにもなるんですよね。
【郷委員】  私は,そこまでは別に申し上げていません。そういう主張をしているつもりはございません。
【濵口委員】  1点だけ。多様性と言ったときに,今議論していないのは,実は教員の多様性をどうするかという問題があります。純血主義の大学は結構多いんですよ。ドイツの場合ですと,自分の大学の教授にはなれないですね。
【岸座長】  なれないし,昇級できませんよね。必ず移らないと。
【濵口委員】  これ,しっかり議論が要ると思うんです,本当は。
【岸座長】  そうか,そこのところは,これ難しいところで,現実にやれるかどうかはあるんですけど。
【濵口委員】  何%入れるとか。
【岸座長】  確かに間違いなくドイツは准教授から,CからDだっけ,移るときは移らないといけない。  はい,どうも。それについて。
【事務局】  任期の話を頂きましたので,書きぶりは少し工夫させていただく必要があろうと思いますけど,立て付けとしては,これは法人制度として任期を延ばすみたいな形になると法律改正になりまして,これはなかなか制度全般の話ですので,今のお話を伺った限りにおいては,学内の規則をどう上手にそれを運用できるような形にするのかということと,それから任期という,ワーディングの話も含めて,ポイントは有能な卓越したリーダーが長きにわたってしっかり運営に携わることができるというふうな,学内のそういうルールみたいなことだと思います。その辺含めて,書き方は相談させていただきたいと思います。
【岸座長】  余り細かく書くと,橋本委員の言うように,自主性がなくなるということにもなるんですね。
【橋本委員】  自主性というか,自由度ですね。やるための手段としての。
【岸座長】  どうぞ。
【金子委員】  この任期の問題は実はかなり根源的な問題だと思うんです。それは任期の長さの問題ではなくて,学長がどういう地位にあるのか。現行の国立大学法人は,基本的には学長が学内で最高権力者になっていて,経営協議会があります。学長から諮問を受けたときに議決するだけですので,形式的に学長選考委員会が,選考する際だけではなくてパーマネントな組織としてあって,学長に何か瑕疵(かし)がある場合には,解任の提案をすることを決めるということができるというふうにはなっていますが,これは余り現実的なものではないです。直接的には文科大臣が指名することになっていて,監事も文科大臣に報告することになっています。  問題は,先ほどおっしゃったみたいに,学長に問題があったときに,任期が決まっていないと非常に問題が生じるということがあるわけですね。それで,イギリスもそうですけど,アメリカは州立大学は,半分以上はエクスオフィシオで州政府から任命されている。そういう意味で正当性が保証されている。私立大学は終生みたいになっていて,やめる人を,今いる人たちがその後任を決めるという意味で,パーペチュアルなといいますか,永続的な存在ですので,これも権限がある。それから,責任もずっと負えるというガバナンス上の保証があるわけです。ところが,今の日本の国立大学は,ガバナンス上の保証が非常に危うくて,役員も学長が指名していますから,学長自体を批判するということは非常に難しいという。  国立大学の自由度を上げる,例えば目的積立金とか,年度を越えて積立金を留保するとか,投資を行うとか,そういったことに関しては,中期計画期間を超えて何らか問題が生じる可能性があるわけですから,学長の任期を超えて何らかの形で責任を負う組織がないと,実は十分に柔軟性を与えられないという問題は非常に根源的な問題として私はあると思うんですね。  今回,この特定と言っても,国立大学法人のどのくらいの枠を外すかということですが,私はそこのところを外すのはかなり難しいのではないかと思うんですが,そうした場合,何が保証といいますか,少なくとも学内的にそういった問題を保証するというか,軽減する措置というのが私は必要だと思うので,そういう意味では,書いてあります様々な制限,規制を緩和する,外すというのと同時に,この書き方自体も曖昧で,どこがどういうふうに要求するのか余りよく分からないですけど,そこはぼかして書いてあるのかもしれませんが,もう一つ,学内の要件としては,そういった財政上のリスクといいますし,長期的な安定性をきちんと審議するような組織というものをある程度作っておくというのが一つの条件になるのではないかと思います。
【岸座長】  それに関係して。
【上山委員】  いいですか。今の指摘は,多分根幹の一つだと思いますけれども,要するに例えばアメリカもそうですし,州立大学だったら外部のリージェンツがあって,そこで決めるし,私立大学の場合でしたらトラスティー・ボードがあるわけですよね。つまり,それが長期的に学長の選考にも関わり,学内におけるガバナンスをいわばバックアップする形で保証しているわけですが,日本の場合はなかなかそれは,恐らくすぐには難しいだろうなという気がします。そういうものがないと,どこかでオーソライズされないわけですね,学長になった人も自分たちのガバナンスに関して言うと。それは多分,将来的には非常に大きな根源的な問題になっていくだろうと思いますけれども,恐らくすぐには難しいだろうというのが一つですね。  もう一つは,多分,今の時点で入れられるとすると,先ほどもオックスフォード,ケンブリッジとかイギリスの話が出てきて,実はこの5年ぐらいオックスフォードもケンブリッジも,その基金をかなり伸ばしています。この5年が顕著ですね。大体1.5倍ぐらいになっています。それは大きな大学改革をやって,ターゲットとして,アメリカとの競争ということを考えて,すごくガバナンスも強化してやってきているということで,そのときに基金を充実するというのが根底にあると思うんです。この大学改革に伴うことでいうと,各大学の基金の拡充,それこそ松本先生がおっしゃったみたいに,多年度にわたって資金を蓄え,それを全体的な経営の中に生かしていくことができるような仕組み,まあ基金ですよね。これをちゃんと入れないと非常に難しい。これをやると,ある種モチベーションが湧く,インセンティブが湧くわけですね。これをやるために寄附金を集めないといけない。大型の産学連携をやって共同資金の中から間接経費の形でも基金の中に入れるとか,様々なインセンティブが湧きますので,これをちゃんと保証してやるということは,実は大学のガバナンスをサポートするということにもなっていくので,これはどこかで強調しておくべきことだろうという気がいたしました。
【岸座長】  分かりました。今のガバナンスに関係して,基金を拡充するという方向,それに対する規制があるならば撤廃するというところは,多分問題ないんだと思いますね。しかし,金子先生が言われたのはすごく難しい問題があって,学長選考会議が解任する提案権はあるんですよね。だけど,理事会が会社のように社長を解任する権利ってどこにもないんですね。もっとひどいのは国立研究開発法人,独立行政法人で,理事長選考会議がないですから,あれは何もないんですよ,本当のことを言うと。だからそれは自分がやっているときも変なものだなと思ってやっていたんですけどね。だから好き勝手やれるかななんて思っていたんですけど,そこら辺はちょっと,これ大事なところなんですね。学長選考会議は解任権はある,解任を言い出すことはできるんですが,それ以外でちょっと働きが悪いよとかいうようなことは言えるかというと結構言えないんですよね,あれはね。その辺についてどうなんですか。まずは文科省から。
【事務局】  昨年の大学のガバナンス改革法の中で,学長選考会議が学長の業務の執行状況については,推薦をしたという観点から確実にチェックをするということが盛り込まれておりますので,学長選考会議においてきちんとそこは見ていただくということはできるようにしておりますし,さっき座長おっしゃっていただきましたとおり,学長選考会議が解任の申出ができるということになっております。
【岸座長】  ただ,現実には学長選考会議って年に数回ですよね。6回ぐらい?
【濵口委員】  4回。
【岸座長】  4回。はい,どうぞ。だから理事会が何かを言えるんならば現実味はあるんですけど,学長選考会議は難しいところですね。どうぞ,関係して。
【酒井委員】  このガバナンスの問題と,それから自己財源の拡充とか,あるいは財源の多様化というのが非常に密接な議論になってくるはずだと私は思います。そして,この指定国立大学の制度が動き始める前からも,それは非常に今重要になっていると思うんです。ですから,先ほど水野委員,松本委員の方で御指摘のとおりの規制の自由化というところにおいても,文科省さんの方の基本的な御姿勢は,より計画や国立大学としての性格に基づいた上でのより前向きに検討し認可していくんだといったような御姿勢で,始まる前からそういう発信をされたり,あるいは前文に当たる部分でもお話になっていくことが大事かと思いますし,ひいてはガバナンス,あるいは学長を中心とする選任やガバナンス,モニタリングの過程でも非常に生きてくるのではないかなと私は思います。
【岸座長】  ありがとうございます。はい,どうぞ。
【水野委員】  ガバナンス問題は,私の所属している某独法も今まさにガバナンスの議論が行われているところなんですが,学長に権限を与える,あるいは長期政権化するということの反対は,きちんとそこのガバナンスがしっかりしていないと任せられないんじゃないかということになると思いますので,一般論としてはそういうことだと思うんですけれども,今回のこの指定国立大学に対してはいろんな自由度を与えましょうということなので,その引換えにほかの国立大学よりも厳しいガバナンスを導入することができるか。ガバナンスが強くなっているんだから,ほかの大学より自由なんだという,ここの整合性がとれるかということですので,今のところだと,具体的にこれに選ばれた大学がガバナンス上どういう変化が起こるのかということに関しては具体性が全然ないのかなと思います。
【岸座長】  そこはいかがですか。
【事務局】  一つはガバナンスのところが余り見えていないというのはおっしゃるとおりだと思います。一つは評価のところで国際的な,今までの国内の86の大学の枠組みの中での評価じゃなくて,国際的な視点からの評価というものを盛り込もうというところは一種のトレードオフになっているのかなと思っておりますけれども,自由度を高めることに伴う責任のよりハードルを上げるということかなと思っていますが。
【水野委員】  例えば,今の理事会はないにしても,そういう別の委員会をこの選ばれた大学に関しては作らせるとかいうことが可能なのかとか,今ある国立大学法人のガバナンスの枠組みの中で少し違うルールを付けることによって,外から見てもこの大学には自由度を持たせてもいいじゃないかとなる何かが具体的にあるべきじゃないかと私は思ってはいます。
【岸座長】  じゃ,ちょっと文科省側から。
【事務局】  恐らく評価のことで言いますと,評価委員会の中にこの問題を取り扱う審査ですとか,評価するような体制を整えまして,そこが実際上モニターしていく,あるいはコントロールしていくというのもそうでしょうし,それから,現状でも出資事業を今4大学がやっていますが,あれは認可制度をとり,委員会を作っていただき,そこでかなり厳しいガバナンスをしているということがあります。当然のことながら,この規制緩和に伴いまして,実際上のそれぞれの事柄に対してどういうふうなガバナンスを生かしていくのかについては,きょう頂いた意見も踏まえて再度仕組みを作っていくということになろうかと思います。
【岸座長】  そうすると,やはり規制緩和に伴う各大学からのガバナンスの在り方についての提案なんていうのも大事になりますね。そこは是非考えた方がいいかと思います。今,確かに甘いんですよね,大学と独法のチェック機構に関してはね。  はい,どうぞ。
【濵口委員】  ガバナンスの一番肝は学長選考会議だと思います。日本の学長選考会議はパートタイムジョブでございます。アメリカの場合はやっぱり2年程度かけてエフォート率も非常に高い形で,インタビューもしっかりやりながら選んでいくプロセスをずっと踏んでいきます。しかも,学外からリクルートしてくるプロフェッショナルな人材,そこまで到達するのはとても無理かとは思うんですけれども,現状を追認するような選考を少し変える仕組みは必要なのではないかと。本当に選考会議が自信を持って選んでいるというエビデンスを出すことを求めるぐらいのことは必要なのではないか。
【岸座長】  はい。よく分かります。ただ,幾つか経験したところは,今は意向調査と並行して何とか切り抜けているというのが現状ですよね。  はい,どうぞ。
【上山委員】  このガバナンスの最終的にオーソライズされるのはどういう形かというのは本当に難しい問題だと思いますけど,例えば,例を申し上げますと,先ほど言いましたように,アメリカの州立大学は理事会,ボード・オブ・トラスティーがガバナンスを支えている。州立大学の場合ですと,これもよく州政府との政治的な交渉という,そこに州政府から任命された人がリーデンツの中に入っていますから,そこと交渉するというのが学長の大きな役割になってきて,そこはないわけですね。これを入れるべきだというと,なかなか日本の今のアカデミアは受け入れないだろうなと,各大学の中にそういうものを。ただ,それこそ社外取締役のように,それこそ外国人の非常に見識の高い人,大学のガバナンスに関する評価の中に積極的に登用してチェックを受けるということはあり得るんじゃないかなとは思います。ということが一つと,このガバナンスの在り方とか,マネジメントに関しては,恐らく一つの解はないんですよね。  ところが,それを大学人が学ぶことがなかなか難しいと。自分のところであれば,こういうやり方がうまくいくだろうと。諸外国でこういうことやっているケースもある。ここでいろんな問題が起こったということも,ということがなかなかアカデミアの中に入ってこないという,それを手探りでやっている状態ではなかなか難しいんだろうなという気がします。それが割と組織的に文科省さんみたいなところが情報をばっと流していけるということになればいいだろうなと思います。それらを通して,少しずつガバナンスの完全な体制ができていくということを考えないといけないんじゃないかなと思います。
【岸座長】  分かりました。最後の部分になりまして,指定国立大学をもし作るならば,ガバナンスの在り方ですね。これが今課題になってきましたが。はい。
【松本委員】  ちょっと気になる点,1点だけ指摘しておきたいんですが,国立大学法人評価の結果を踏まえて,指定を取り消すことがあるというのが3ページの中ほどに書いてありますが,これは必要なことだろうと思いますが,この法人評価というのはどのぐらいのレートで,この場合,頻度は年1回なのか,中期目標期間に1回なのか,余り明確に書いていないんですが,お聞きしたいと思います。
【事務局】  この観点は,中期目標期間終了後ということになります。6年に1回です。
【松本委員】  今までの法人評価というのは,私の経験した範囲では,実に我々の評価に対する期待とは全く逆のことが起こります。いろいろ工夫してやった場合は,評価は大体ペケになるんですね。何もしなかったところが丸になるんです。こういう評価をすると,指定大学はどんどん落ちると思うので,かなり評価の基準をどこかでしっかり決めて公開しておいていただかないと,何か議論して,マイナス点ばっかり探すというようなことをやっていたら,チャレンジするところが全部こけていくんです。それは是非お願いしたいと思います。
【事務局】  その点に関しましては,この指定を受けるというときにも,評価委員会と議論をしていただくということをしますので,評価委員会は目標設定から関わっていくということになりますので,その目標がきちんと立てられていれば,当然,それが達成できれば評価は丸という話になりますので,マイナス面を探すということの評価の仕方ということにはならないというふうには考えております。
【松本委員】  おっしゃるとおりで,これ評価をしようと思ったら,幾らでもできるようなシステムです。これやりました,あれやります,これやりますとやって,実体は伴っていないということはあり得るんですね。ですから,本当に最初にきちっとしたネゴシエーションをやっておく必要があろうかと思います。
【岸座長】  随分御意見は頂いたと思うんですが,どうぞ,佐藤先生。
【佐藤委員】  8ページかな,最後の(4)で,指定国立大学,最初は特定研究かな,でスタートしたのですが,これは国立大学法人制度の特例を設けるものであるというのは,これは当然それが基本ですけれども,この書きぶりでいうと,「新たな社会システム,国立大学のみならず,私立大学,公立大学も併せた高等教育全体で取り組むべき課題である。この点を踏まえて,国も必要な施策を行っていくべきである」とあります。議論がぼけないでしょうか。つまり,これは当然そうなのですが,ここでこういう書き方をするということは,今の国立大学全体をこういうふうにしていくとか,あるいは公立大学,私立大学も含めて取り組んでいきますよという話なのでしょうか。私,前に余計なことを,とんがったというような言い方をしましたが,このプロジェクトが国にとって今必要なんだということを言って,最後のところで全体で共有することなんですよというふうに言うことがどうなのかなという印象を持ちました。
【岸座長】  どうですか。
【佐藤委員】  私学としてはこういうふうに書いていただくのは一番良いと思いますが。
【事務局】  これ多分,冒頭,第1回か,あるいはその準備のときに,最初の御説明したところがこういう形で残っているということでございます。こういう理念,スローガンというのは自明のことであるのであれば,あえてここで書かないということもあり得るかなと思いますけれども,そこは逆に,私立大学,あるいは公立大学の方々自身で,そういうことだと御理解いただくということが大事だと思っておるところでございます。その上での御判断かなと。
【岸座長】  これあれじゃないですか。どうせ私立大学のことを考えていないのに,こんなところに書いてごまかされてもしようがないですよねというのもあるんじゃないですか。済みません,先生に。ちょっとその気は感じますから。これもちょっと検討しましょう。  ほか,いかがですか。
【松本委員】  今の件,私も似たような印象を持ちました。最後になってわっと広げて,これは何を意味するのかなというのは,アプライする大学とそうでない大学で受け止め方は違うかもしれませんが,これ,何だろうというふうにかえってクエスチョンマークを残すんじゃないかという気がいたします。事務局がおっしゃったような方向で,別にこれは書かなくても,インプライされているというふうに解釈をされたらどうですか,こちらの方で。
【岸座長】  ほか,どうぞ。
【濵口委員】  その前の7ページの下のところ,(1)改革の取組が実装されるまでの時間的配慮。珍しく具体的なプラクティカルなお話を頂いておりますけれども,実装されるまで十分な時間配慮をするようにということ,これは有り難い御意見で確かにこれ必要ですけど,具体的にはどれぐらいの期間を考えられておられるかということをちょっと確認したいと思います。
【事務局】  この仕組みそのものに関しましては,先ほど規制緩和策が幾つか委員から御指摘がありましたけれども,これは法律改正をしなければならないという部分がございます。これが今月中に先生方の御了解を頂けましたら,この案を持って法律の条文を作りまして,それを次の通常国会である,要は来年始まります通常国会に出していくということになります。これがこの会期中に通れば,夏あたりにこの法律自体は成立するということになりまして,普通に考えますと,次の4月というのが一つの施行の時期ということになりますので,平成29年4月が施行ということになります。ただ,それまでの間に,先ほど先生方からも御指摘いただきましたように,どういう基準で応募していただくのかという要件を含めまして,文科省として整理し,公表していくということが必要になる時間と,あと各大学で御準備いただく時間ということを考えたときに,それが29年4月スタートということを切れるのかどうかというのは,そこにもう一度時間的なフレームがはまってくるのかなというふうに考えておりますので,そういう今のタイムスケジュールになるかなと思っております。
【岸座長】  これは読み方によっては,スタートした後のスタートアップ資金のことも言っているような感じもありますよね,当然。
【事務局】  これは二つパラグラフがあって,前半の方は申請を受けるまで,少し大学,あるいは国の方でもそういう整備ということと,それから指定した後のお話がありまして,それがスタートアップ,あるいは規制緩和をしたとしても,それをうまく使いこなして成果を上げていくには,一定の時間が必要だというふうな趣旨で書かせていただいたところでございます。
【濵口委員】  もう1点お聞きしたいのは,評価は中期計画ごとにやるというお話が前あったんですが,次期中期計画との,シンクロナイズしてこれをやっていくのかやっていかないのかということはいかがでしょう。
【事務局】  御指摘のとおりでございまして,もしある大学が今回指定されるということになりますと,もう第3期の中期目標期間が始まっているという状況になります。そうすると,途中で中期目標を変更していただくという手続をとらせていただきまして,今回の第3期に関しましては,その残った時間,要は指定された後の時間の取組を評価させていただくという形をとります。基本的には指定の取消しに係るような事案が何もなければ,そのまま第4期,第5期とこの大学は指定されたまま続いていくという考え方になりますので,ただ,恐らく中期目標期間だけでは実現できないことも入ってくるかと思いますので,それは幅広いタイムフレームを示していただきながら,例えば10年でやりますという話もあり得るというふうに考えているところでございます。
【岸座長】  ほかはいかがでしょうか。どうぞ,高橋先生。
【高橋委員】  5ページ目のところで少し細かいんですけれども,2点あります。社会との連携のところです。まず一つは,これまで議論の中でいわゆる研究機関,独立行政法人の研究機関との連携というのは当然に必要だという話だったと思うんですけれども,例えばそれを文言として入れるとすると,5ページ目の社会との連携の「大学と企業等との共創の場の構築」というところが書いてありますけれども,そこに一つ入れるのがいいのではないかと思います。といいますのは,最初のころは本当に研究機関,研究力を高めるというところがとても強かったと思うんですけれども,議論の中で教育も踏まえての,少し広がりを持ったりしていると思いますので,そこをお願いできればと思います。  2点目です。同じくその下の丸の「大学における具体的取組(例)」のところの,下から二つ目のポツ,まず,趣旨確認をさせていただきたいんですけれども,「産学連携等に係る活動を教員業績評価において評価」,これはどういうふうな意味で掲げたか伺いたいです。
【事務局】  これは教員業績評価において,大学によってはもちろん産学連携の実績とか,どういうふうにそういう活動をされているかというのを取り上げていらっしゃる場合もあるかとは思うんですけれども,どうしても研究や教育の面を評価される場合が多いと思いますので,こういう観点も教員業績評価の中に入れていくことを進めていただきたいと,そういう趣旨でございます。
【高橋委員】  ありがとうございます。ほかの数値が比較的組織レベルでの組織目標になっているのに対して,ここは個人ベースのものだと思います。おっしゃった御説明は理解できたんですけれども,個人的には,そこをまず議論が必要だと思いますし,私個人の意見としては,個人ベースで産学連携評価を定常的に入れるのは疑問が残るというか,どちらかというと慎重にしなくてはいけないのではないかと思います。教育と研究は全てのときに全ての教員がすべからくするものと思いますが,産学連携,例えば共同研究をやるというのは,研究者にとって全ての時期やらなきゃいけないものではないと思います。なので,組織全体としては,産学連携はもちろん推奨だと思うんですけれども,定常的に入れることについて,それは慎重にと思っております。以上です。
【事務局】  少し説明が不足していたかと思うんですが,おっしゃるとおり,必ず毎回これを見る指標にするという考え方よりも,教員業績評価の中で産学連携という部分が全く取り上げられていないということではなく,そういう活動された先生のそこの部分はエフォートとしてきちんと見るべきではないかという考え方でございます。
【高橋委員】  ありがとうございます。そのとおりだと思います。
【岸座長】  はい,どうぞ。
【松本委員】  セカンドしたい部分が前半でありまして,産学連携が表にすごく出ていますけれども,全体の趣旨は,大学の国際競争力を高める。特に研究力を高めるということになっていますので,研究機関との連携というのは,私,今理系にいるから申し上げるわけじゃないんですけれども,大変重要だろうと思います。それぞれ役割があるわけで,その協力関係が国全体の研究レベルを上げることは間違いありませんので,産学連携以上に重要だろうと思いますので,御配慮いただければ。
【事務局】  そこは高橋先生の話と共通されますので,独法も含めて,研究機関との連携ということをちゃんと明記できるような形で表現をとらせていただきたいと思います。
【岸座長】  産学連携というのは,資金を導入するというのが半分頭にあるわけですよね。だからちょっと違うところもあると。それじゃ今のような記述をちゃんとしないといけませんね。  ほか,いかがでしょうか。どうぞ,金子先生。
【金子委員】  これはこの文章に直接係る問題ではないんですが,先ほど法律改正があると言いましたけれども,基本的には国立大学法人法の改正なんですか。
【事務局】  はい。国立大学法人法の改正になります。
【金子委員】  そのときに指定をするというような文言がそこに入るということですか。
【事務局】  はい。文部科学大臣が指定をできるということと,あと中期目標の立て方が海外大学を意識するようにするというようなこと,それから規制緩和,先ほど申し上げたようなこと,それから評価委員会に外国人の方が入るという,このあたりのことは法律に書かなければできないということになります。
【金子委員】  細かいことは,私はよくまだ考えていないので分からないんですけど,一つ,先ほどの自由化に伴う大学の責任をどういうふうに確保するかという問題からいうと,会計処理の方法が今の独法の会計処理のあれでいいのかというのが,私はちょっと実は問題で,実は形式的になってほとんど使われていないというのが実態でありまして,ところが,資金の留保とかということを考えると,財源別にどのように管理するかとか,そういった問題が幾つも出てくると思うんです。あと,科研費の30%のオーバーヘッドの管理とか,そういったこともかなり大きな問題になってくるので,私,この場で細かくどうしろというのはよく分かりませんけれども,独法の条項の書き方だけで済まないところが出てくるのではないかなと私は思います。
【事務局】  先生,御指摘の会計基準の見直しも併せて検討はする必要があると思っておりまして,先ほど申し上げました法律レベルになると,国立大学法人法になりますが,会計基準は法律のレベルではなく,告示のレベルになりますので,その形で対応したいというふうに思っているところでございます。
【事務局】  今おっしゃった話は,指定国立大学法人だけではなくて,86大学についての,今おっしゃっていただきましたように課題がいろいろ,減価償却の取扱いですとか,あるいはセグメントの取扱い,いろいろ課題がございますので,ここはかなり本腰を入れて検討しなくちゃいけない点もありますので,ここは法律の制度のスタートと並行して恐らく議論を進めていかないといけないと思いますので,指定法人に固有のものとして新しい基準をこれに併せて設けるというのは,なかなか時間的にしんどいかなと思いますが,課題としては認識して,議論については今後やらなきゃいけないというふうには思っているところでございます。
【岸座長】  ありがとうございました。はい,どうぞ。
【橋本委員】  今,議論が出て,石橋補佐から力強い言葉があったのでいいんですが,もう一度確認,是非とも再確認させていただきたいんですが,今回,指定国立大学を作るということは,本当に10年前の法人化以降の大改革だと思います。これは法案を新たにしていただくということが必須であるということを強く求めてきて,今年の日本再興戦略の中にも,今年度中に法案を擁立するということが書き込まれております。ですので,来年1月4日から始まる通常国会に何としても出していただいて,というのは1月4日から始まって,今度かなり短くて,法案を出すのがかなり厳しいという情報もたくさん入っております。ここで文科省がめげてレジストレーションできないということに決してならないように,必ずレジストレーションして出していただくということを局長に宣言していただこうと思ったんですが,局長いらっしゃらないので,審議官に是非宣言していただく必要があると思います。お願いします。
【義本審議官】  その方向で,今まさしく調整をさせていただいているところでございますので,局長以下,しっかり頑張っていきたいと思います。
【岸座長】  ありがとうございました。一通り御意見を頂いたと思います。余りどうこれから最終的な原稿をまとめるかはまだ議論していないんですが,一応きょう頂いた御意見を一通り精査して,できるだけ網羅的に,かつ,余り変に細かくなると困るんですけど,そういう形のものを作り,それを一応,不肖、私がちょっと目を通して,それを各先生方にお送りして,短期間のうちに,真っ赤でも結構です。たくさん書き入れていただいて,それで最終案を作って承認を得るということを年内ぐらいにやりたいと個人的には思っているんですが,いかがでしょうか。それで,橋本委員の言われる日程に合うんですか。
【橋本委員】  合わせてくださるという。並行してやっていただけると思いますので。
【事務局】  年内に取りまとめさせていただければ,一応形はつきますので,そういう方向で事務局としてもしっかりやっていきたいと思います。
【岸座長】  事務局はどのぐらいで完成版に近い原稿はできそうですか。1週間もあれば軽々,そんなに掛からない,3日。
【事務局】  はい,3日で。
【岸座長】  3日ぐらいで作って,私が目を通さないでもいいんですが,一応目を通して,皆さんにお送りしてフィードバックすると。そうすると,それで最終版を作ると,今年でやっぱりやっとですね。ただ,そのとき,遠慮なくたくさん意見をまた付け加えていただきたいと思います。  ということで予定は大体済んだんですが,いかがですかね。最後に,この一言だけ絶対に忘れるなと。
【橋本委員】  最後にどうされるんですか。一任にされるのか,もう一回やるのかを決めていただければと。
【岸座長】  今のは一任に,二度往復して一任ということでやらせていただくという提案です。  そこで今,強い意見の一つが,個人的にもそう思っているんですが,ガバナンスの保証というのは本当に重要だと思います。三権分立的なものになっているかどうか,かなり疑問があるのがこの独法なり,法人の考え方ですから,そこのところだけは気を付けてみんなで目を通しておく必要があると個人的には思っています。  ということなんですが,もうちょっと時間があるので,これだけは忘れるなというのを一言ずつ頂きたいんですが,長いと困るんですが,1分以内ぐらいで,松本先生から。
【松本委員】  基準をしっかり決めていただいて,だだ漏れにならないようにしていただきたいと思います。
【岸座長】  はい。ありがとうございました。  それじゃ,濵口先生。
【濵口委員】  学長選考会議の強化をお願いしたいと。
【岸座長】  はい。これも大事ですね。学長選考会議,有名無実だとは言っていないと思うんですが,案外違うところもあるんですよね,本当のこと言うと。  じゃ,橋本先生。
【橋本委員】  是非高い目標設定を書いていただいて,限られた,要するに本気でやる大学が適用を受けるような,そういうようなシステムにしていただきたいと思います。
【岸座長】  高いハードルと必ずやり切れるものということ。  じゃ,高橋先生。
【高橋委員】  この目標を実行することによって,プロセス,システムの改革につながる組織力の強化が誘導されるようなものにしたいと思います。
【岸座長】  はい。ありがとうございました。  佐藤先生。
【佐藤委員】  先ほどからガバナンスの問題が出ていますが,アメリカでいうと,ボードのメンバーというのは,基本的に執行をするスタッフではないんですよね。ですからアメリカの場合,理事というふうに翻訳するのがいいのかどうかというふうにさえ思います。そういう意味では,先ほど水野委員がおっしゃったような,別に学長のガバナンスを見るというボードを作るとか,そういう仕組みができるといいなと思っています。
【岸座長】  はい。ありがとうございました。  じゃ,酒井先生。
【酒井委員】  競争力の強化に向けて,各大学におかれてのビジネスモデルがより良く深化されるように,文部科学省さんの方からサポートをますます頂ければいいんじゃないかと思っております。
【郷委員】  この制度ができて日本の大学ががらっと変わると。一つ一つの大学が非常にユニークな得意なものを持って世界に伍していけるというようなことになってほしいなと。それは学長の選び方もそうですし,いろいろなところ,ガバナンスが非常に大事だと思います。希望です。
【岸座長】  ありがとうございます。
【金子委員】  私,さっきのガバナンスの問題,次の国立大学法人の在り方に多分つながっていく議論になってくるだろうと思うので,大変重要だと思います。ただ,もう一つこの中で感じたのは,壁が三つあるというのは,多分そうで,日本の大学というのは,どこかやっぱり中で区切っているところがあって,それが流動性とか革新性を阻止している部分があるので,それを何とかこういうものをきっかけに直していければいいと思います。
【岸座長】  はい,分かりました。
【上山委員】  私もガバナンスですけれども,結局,何かをこういう形でやろうとすると,必然的に外部の理事会とかを作らないといけないとか,学長選考会議を本格的に変えないといけないとか,内部の中から必然的に出てくるはずなので,そういう方向になっていけばいいと,そういうモデルになればいいなと思います。上から作るのではなくてですね。
【岸座長】  では,ありがとうございました。  それでは,とはいえ最終目標は国際競争力のある大学を日本に何校か作るということなので,それを忘れない方向を踏まえてやらせていただきたいなと考えている次第です。ということで,よろしいでしょうか。  それでは,議長にお任せいただいて,2回やりとりするということで進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
── 了 ──

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