所得連動返還型奨学金制度有識者会議(第11回) 議事録

1.日時

平成28年7月13日(水曜日) 13時~15時

2.場所

東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター 国際会議室

東京都港区芝浦3-3-6 東京工業大学(田町キャンパス) キャンパス・イノベーションセンター1階

3.議題

  1. 所得連動返還型奨学金制度について
  2. その他

4.出席者

委員

小林委員,赤井委員,濱中委員,樋口委員,不動委員,吉田委員

文部科学省

松尾大臣官房審議官,井上学生・留学生課長,川村学生・留学生課課長補佐

オブザーバー

高橋理事長代理(日本学生支援機構),大木理事(日本学生支援機構),藤森奨学事業戦略部長(日本学生支援機構),宗野顧問弁護士(日本学生支援機構)

5.議事録

【小林主査】  それでは,ただいまから,所得連動返還型奨学金制度に関する有識者会議(第11回)を開催いたします。


皆様,夏のお暑いときに,御多忙中にもかかわらず,お集まりいただきまして誠にありがとうございます。


本日,阪本委員と島委員は欠席であります。


それでは,議事に入ります。


まず,議事概要の確認についてですが,資料1,第10回議事概要(案)の内容を御確認ください。修正等意見があれば,7月20日水曜日までに,事務局まで御連絡いただきたいと思います。その後,私と事務局で修正内容を調整させていただいた上,議事概要として確定させて,文部科学省ウエブサイトに掲載させていただきます。


議事を進めます。


前回会議(第10回)では,新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について,第1次まとめの中の今後の検討すべき課題について,事務局から説明を受けた上で,皆様から御意見を頂きました。本日は,更に今後の検討すべき課題について,引き続き検討を進めていきたいと思います。


事務局から,本日の資料について御説明をよろしくお願いいたします。


【川村課長補佐】  それでは,資料2に基づきまして,御説明をさせていただきます。


これまで論点ということで御議論いただきました事項につきまして,これまでの御議論の整理ということで,こちらを作成させていただいております。この枠囲いで実線で書かれているところにつきましては,だいたいこれまでの御議論で御検討いただいたという事項でございます。それから,点線のところにつきましては,これまでの御議論を踏まえまして,小林主査とも御相談の上,こちらの案として示させていただいているものでございます。  まず(1)の貸与総額の上限でございます。これにつきましては,現行の制度が,異なる学校種について1回ずつ貸与を受けることができますので,加えて,いずれかの学校種で1回のみ貸与を受けることが可能であるという現行制度を維持するという案でございます。


現行制度は,大学,大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校の各学校種について1回ずつ貸与を受け,加えていずれかの学校種で1回,追加で貸与を受けることが可能となっておりまして,これは平成26年度に社会人の学び直しの支援の観点から,追加で1回という部分を加えたものでございます。


複数の学校種で貸与を受けた場合,貸与総額が大きくなりますけれども,債権としてはそれぞれの学校種ごとに設定をされますので,例えば,学部と大学院で貸与を受けた場合の返還額につきましては,学部のみの場合の2倍ということになりますので,貸与総額の多寡は返還額に大きく影響されませんので,上限については現行制度を引き続き維持することとしてはどうかということでございます。


なお,奨学金制度全体の制度として,現行制度より厳しい貸与総額の上限を設定するかどうかにつきましては,さらなる検討を求めたいとしております。


特に社会人の学び直しの観点で,奨学金の貸与を受ける場合,公的資金により維持されている日本学生支援機構の奨学金の貸与に当たって,一定の制限が必要であるという意見があった一方で,年齢により貸与総額に上限を設定すべきではないという御意見もございました。また,貸与時点での債務残高により上限設定を検討すべきという御意見もございました。


続いて,(2)貸与年齢の制限でございます。これにつきましては,所得連動返還型制度による返還は,返還開始時の年齢が40歳以下である場合に可能とするという一案をお示しさせていただいております。


今後,社会人の学生が増加することが考えられますが,新所得連動返還型制度につきましては,返還期間が長期にわたる可能性がございますので,中高年齢で大学等に入学し,卒業した場合には,返還能力があるうちに返還を終了しないケースが発生することが想定されます。こうした中,御議論では,年齢のみを理由として貸与自体を制限することは適当ではないという御意見がございました。


一方で,新所得連動型による返還を可能とするかどうかについては,返還能力のあるうちに返還を完了することを求める観点から,年齢により一定の制限を加えることも考えられるという御意見もございました。


これを受けまして,現行制度で現在返還期間20年以内で設定をされておりますけれども,現在の年金受給開始年齢65歳を1つ目安といたしまして,それまでに20年より5年長い25年の返還期間が確保されるという仮定を置きますと,返還開始時に40歳以下であるということが条件としてございますので,新所得連動返還型による返還を可能とするという場合に,これを1つの条件とすることも考えられようかと思います。


なお,定額返還型も含めて貸与年齢を制限するか否かということについて,現在は制限がございませんけれども,高齢で奨学金の貸与を受けて返還をされないということによって財政負担が発生する可能性もございますが,一方で,年齢による制限を行うことについては,社会的な合理性,理解が必要だというような御意見もございましたので,今後の検討課題とさせていただいております。


(3)の学生等への周知方法・内容につきましては,高等学校等への周知を重点的に行うとともに,新たな広報手法(ソーシャルメディア)の活用や分かりやすいパンフレットの作成等を進めるということでございます。


これにつきましては,第1次まとめの中でも御指摘いただいておりましたけれども,それに加えまして,本年4月からの予約採用におきましては,説明チラシを高等学校に送付し,周知が行われたということで,特に進路指導担当者への説明会を全都道府県で開催できるよう努めるということですとか,高校教員向け説明資料の作成といった御意見がございましたので,こちらを記載いたしております。


また,新制度導入の考え方についてパンフレット等での伝え方,ソーシャルメディア等の活用,また,返還に当たっての個人信用情報登録,法的措置についても十分に説明することが必要であろうということの記載をさせていただいております。


それから,(4)の海外居住者の所得の把握・返還方法につきましては,これは定額返還型の場合の返還月額とするということでございまして,マイナンバー制度では卒業後に移住した場合には,所得を把握することができませんので,定額返還型の場合の金額として返還を頂くという制度という案でございます。


(5)有利子奨学金への導入に係る検討につきましては,無利子奨学金における新制度の運用状況も見つつ,導入に向けて検討するということで,これは前回,利子についての資料をこちらで御議論いただきましたけれども,特に返還者の所得が低く月額が低額となる場合には,利息の支払が増大しまして,返還が非常に長期にわたることが予想されますので,有利子奨学金適用に当たっては,無利子奨学金での運用状況を見つつ,導入に向けて検討を行うという案とさせていただいております。


また,デフレ・インフレ等の経済情勢の変化に伴う詳細設計の見直しにつきましては,その変化を踏まえまして,本制度における返還条件の設定について,随時見直しを行うという案とさせていただいております。


次のページでございます。


(7)は,既に返還を開始している者等への適用ということでございまして,新制度は平成29年度の新規貸与者から適用とすることとしておりますけれども,既に返還を開始している方,また,現在,貸与を受けている方への適用についての検討でございます。


現行制度におきましても,減額返還,返還猶予等の制度がございまして,軽減処置がございます。既に返還を開始している方全員に対して新制度を適用した場合には,返還金が大幅に減額することが想定されるということを,こちらはシミュレーションでお示しをさせていただきました。まずは他の返還負担の軽減策と併せた検討が必要と考えられます。


その上で,現行制度におきましても軽減処置はございますけれども,これらの負担緩和策を講じても,なお返還が困難な者の取扱いについて一層の検討を深める必要があるということでございます。


こちらにつきまして,机上で資料を置かせていただいております。済みません,委員の先生方だけの資料となりますけれども,机上資料1というダブルクリップどめの資料がございますけれども,こちらに前回御指摘がございました返還猶予制度又は減額返還制度の利用状況をまとめております。  返還猶予制度につきましては,第一種奨学金で見てまいりますと,だいたい5年以下という方が2万人以上いらっしゃいますけれども,8年-9年,9年-10年という方については,100人-200人というような現状でございます。


また,減額返還につきましては,これは5年間の返還を10年に延ばすことができるという,返還額を半額にするということでございますが,これは現在,それを使っている方々の数ということで,1月以上1年以下使っている方は6,000人程度,また,4年超5年以下は99人ということで,それ以降も利用は可能ではあるんですけれども,まだそこまで制度を適用されている方はいらっしゃらないというような現状でございます。


続きまして,資料をお戻りいただきまして,(8)でございます。こちらは前回まで御議論の論点としてはなかった点でありますけれども,新所得連動返還型の返還初年度と2年度目の返還月額についてでございます。この制度は,前年の所得に応じて返還月額を決定することとなりますけれども,返還初年度,通常は学生の間の所得はゼロでございますので,初年度返還月額をどのように設定するかということが問題となろうかと思います。また,返還2年度目におきましても,4月に就職した場合,これは前年の勤労月数9か月となりますので,通常の通年の勤務よりも収入が少なくなるということで計算がされます。これをどのようにということでございますが,例えば,初年度について,前年所得を基に返還金を算出しますと,返還月額は2,000円となりますので,返還負担は緩和されるものの,初年度の返還金が一時的に大幅に減少することとなります。返還金に基づきまして新たな返還原資とされておりますので,ここで減少すると,新たな貸出しが十分できなくなるというようなこともございますので,こうした影響も含めまして,返還月額の設定を検討すべきであるという御意見でございます。


これにつきまして,資料3で図示して御説明をさせていただきたいと思います。


資料3につきましては,この割賦金算出,どういう形でフローがあるかということでございますが,n年度の返還月額につきましては,これは通常10月から返還が開始されますので,この10月以降1年間の割賦金をどのように適用するかということでございますが,所得の確認がだいたい6月1日以降,前年の所得が把握可能になりますので,それを受けて10月から新たな割賦金の金額を決定するということでございますが,その対象年度は,その前年のこのn-2からn-1年度のときの所得対象期間ということでございます。したがいまして,初年度につきましては,このn-1年度の場合には学生でありますので,ここがゼロとなるということから,初年度割賦金設定の考え方が問題となってこようかと思います。


また,2年度目以降につきましても,所得の確認につきましては,1月から12月ということになりますので,4月から働き始めた方につきましては,9か月間しか働かれないということで,若干収入が通年より減少するということでございます。


そちらを図示したものが次のページにございますけれども,詳細でございますので,説明は省略させていただきます。


それから,机上資料の方でございます。済みません,あちこちして恐縮ですが,机上資料の一番後のところでございますが,机上資料4ということで,定額で返還した場合,それから所得連動で返還した場合の初年度の返還金の試算,これは粗い試算でありますので,今回は御参考程度ということでごらんいただければと思います。


定額返還の新所得連動の割合につきまして,10:0,7:3,5:5,3:7,0:10ということで設定をいたしまして,全員定額で返還した場合の初年度につきましては,だいたい240億円程度という金額でございます。これが所得連動を選んだ方が増えていきますと,初年度の返還額がずっと右に行くと下がってまいります。例えば,これまでのシミュレーションにつきましては,年収の9%ということで一番下の段で算出しておりましたけれども,これが把握がちょっと難しいということでございますので,例えば定額返還での月額の半額とした場合,また,2,000円とした場合のシミュレーション,これは粗い試算でございますが,今回,お示しさせていただいたものでございます。


それでは,資料をお戻りいただきまして,(9)でございます。返還方式の切替えについてということでございまして,こちらも新しい論点でございますけれども,返還方式,貸与開始時に選択しまして,終了時までに決定することとしておりますけれども,返還を開始して以降,方式を切り替えることができることとするかどうかという点でございます。


新所得連動から定額への切替えにつきましては,所得の低い間,新所得連動で返還月額を抑え,所得が高くなった時点で定額に切り替えますと,返還月額が上昇することを避けるというパターンが可能となりますので,制度趣旨に鑑みまして,これは適当ではないと考えられます。


定額返還から新所得連動の方への切替えについて,定額返還で困難となった場合,返還猶予又は減額返還が可能ではあり,この負担緩和策を講じてもなお返還が困難な方について切替えを認めることが考えられる一方で,こうした返還負担緩和策も活用できますので,一度選択した方式を変更することは認めないというようなことも考えられるということでございます。


それから,最後(10)の保証制度でございます。これは1次まとめと同じく,原則として機関保証ということでございまして,こちらの記載している内容は,このページにつきましては,1次まとめと同じ内容ですので省略させていただきますけれども,次のページ,最後のところでございます。


一番上の行のところでありますけれども,定額返還を含む無利子奨学金全体の保証制度について,原則として機関保証とすべきであるということで,その際,保証料の引下げについても併せて検討すべきであるという御意見がございましたので,記載をさせていただいております。


前回の資料では,平成29年度の進学者について,取扱いをどうするかというようなことで資料を用意させていただきましたけれども,この会議としては,方向性としてお示しを頂くというようなことで,このような記載とさせていただいております。


なお,保証制度につきましての国会議決での附帯決議でありますけれども,この附帯決議,人的保証の選択制というようなことがございましたが,この点につきましては,新制度で新たな課題,返還期間が長期化することで保証人の保証能力が確保されないというようなものが生じておりますので,新制度におきましては,選択制については見直す必要があるというようなこととさせていただいております。


これに関連しまして,机上資料でございますけれども,前回,人的保証と機関保証で返還率がどれぐらいなのかというような御指摘がございましたので,机上資料2で御用意をさせていただいたおります。


返還額と返還率のところをごらんいただければと思いますけれども,人的保証と機関保証で,当年度分のところにつきましては,だいたい90%台後半ということで,人的,機関にかかわらず,返還率につきましては大きな差異はないということでございます。


延滞の方につきましては,これまでずっと人的保証でございましたので,育英会時代からずっと延滞が続いている方につきましては,なかなか返還がされていないということから,延滞分につきましては人的保証の方が下がっておりますけれども,新規の返還者の方々につきましては,だいたい返還がされているというような現状で,この保証制度による違いは大きく見られないということでございます。


それから,次の資料でございますけれども,保証料のシミュレーションを日本学生支援機構の方でされたものとして御用意させていただいたものでございます。


こちらは詳細な説明は省きますけれども,次のページをごらんいただきますと,保証料率につきましては,シミュレーションの結果,現行の水準を下回るというようなこともあり得るというようなことでございまして,一番下の赤枠で囲っているところでございますけれども,新所得連動の選択率によって,またこの低下の程度が変わってくるということでございます。現行の保証率と比較しまして,新所得連動を選ぶ方が多ければ多いほど保証料率が下がるというような試算でございますけれども,これにつきましては,返還期間が長くなることに伴います事務的なコストにつきましては考慮していないというようなことがございますので,こちらも粗い試算としてごらんいただければと思っております。


説明は以上でございます。


【小林主査】  ありがとうございました。


ただいまの御説明について,特に事実関係等について御質問ございませんでしょうか。


よろしいでしょうか。また議論の中で御質問があれば出していただければと思います。


それでは,これまでの説明を踏まえまして,今後,検討すべき事項について,更に検討を順番に行っていきたいと思います。先ほど,説明がありました資料等を十分参考にしていただければと思います。


それでは,初めに,最初の貸与総額の上限設定という点からまず入っていきたいと思いますが,これは先ほど説明がありましたとおり,同じ学校種について,現行はもう1回できるというような形になっているので,これでよろしいのではないかというような説明だったと思いますが,いかがでしょうか。


【赤井委員】  いいと思いますけれども。


【小林主査】  1つ考えられるのは,最後にありますように,債務残高というようなこととの関係で,アメリカのように,全部払い終わってしまったら何回でも借りられるというような仕組みも考えられないことはないが,現実の問題としては,かなり高齢になってから借りるというようなことも生じますので,平成26年度から既にもう1回,社会人の学び直しの観点から貸与が可能になったということなので,これだけ可能性を高めておりますので,これでよろしいのではないかというような原案ですが,いかがでしょうか。


【樋口委員】  よろしいですか。


【小林主査】  どうぞ。


【樋口委員】  前回の会議で問題提起をさせていただきまして,それに対する対応という形で,資料2の1ページ目最後のところにありますように,「年齢のみを理由として貸与自体を制限することは適当ではないと考えられる」,これを入れてくださったということに対して感謝申し上げます。


もう1つ,今度は返還開始年齢のところで,これは新たな問題を提起したのかなというふうに思っておりまして,1つは,この制度の利用者をどういうふうに考えていくのか,そこで特に返還が不能になるというリスクの高いというような,そのリスクというものを考えて,誰にこれを貸与するのかというようなことを考える制度になっていくのか。もう1つは,そのリスクと年齢をリンクするというような,その2つの問題があるのかなというふうに思っています。


もともとこの制度自身が返せなくなるリスクは高いが故にできた制度というふうにデフレ下において考えていくかというふうに思うんですが,そこにまた新たに,では,誰に貸しますかといったときに,この人がリスクが高い,この人がリスクが低いというのは,金融機関であればどこでもリスクについての評価はやっているわけですが,それをこういう国の制度においてやるのかやらないのかというようなところが新たに問題提起になっているかというふうに思います。


ここの記述ですと,これまでの定額返還制度も含めた奨学金全体では,今までそれは考えてこなかったというようなことで,例えば,これが新たな問題を提起してくる可能性もあるわけでして,そこについては十分ここで議論しておく必要があるのかなというように思います。


例えば,よく民間の金融機関で言われるのは,男女によって起業家に対するリスクが大分違っているというようなことが言われるわけです。かつて女性の開業しようという人に対して融資した場合に,それが戻ってこない可能性が高いのではないかというようなことが一時あるところで問題になったんですが,よく調べてみますと,必ずしも男性だから女性だからということではなくて,むしろ業種が男性と女性で違っていたり,あるいは,開業するまでの職業経験が違っていたりということであって,男性女性というのはすぐに識別ができますので,それに基づいて判断してしまうという傾向があるんですが,実はそのリスク自身の評価は,やっぱり業種とか本人の特性というものを見ないと,これはある意味で統計的差別になるというようなことで,そこについて議論してきたところがあるのかなというふうに思います。


この今の奨学金制度において,そのリスクを評価するというのはすごく難しいものになっているわけですが,今後,考えていく上で,定額返還型も含めて,そこのリスクというものをどう評価するのかというような,年齢というのはもう明らかにこれは間違いなくすぐに分かる指標になっていますから,インジケーターになっていますから,それを使うというのも分からないことはないが,これでいいのかどうかという,2つの問題について,ちょっと御議論いただければというように思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


2番目の貸与年齢制限の問題も含んでおりますので,(1)と(2)と合わせて今のリスクの問題について,ほかに御意見ございませんでしょうか。


統計的な差別の,この前,樋口先生がおっしゃっていたことを丁寧に説明していただいたわけですけれども,やはり,なかなか難しいということも事実であります。今まで余りこの奨学金の受給資格については考慮してこなかったというのが本当のところであると思いますので,それをどのように考えるかという問題も考えた方がいいという御意見だと思いますが,いかがでしょうか。


【赤井委員】  よろしいでしょうか。


【小林主査】  どうぞ。


【赤井委員】  ありがとうございます。リスクで,所得連動のこの制度を入れるもともとの考えは,将来,学生が借りた後,社会に出て,だけれども,それほど所得がないのに返していかないといけないということで,逆にそれを考えて借りなくなってしまう,もうそれで借りることができないから大学にも行かないみたいなことになるのが問題だということだったと思います。つまり、将来,通常は働けば所得が入るんだけれども,たまたま所得が低かった場合には,返すのを延期しますということで,学生が返せないリスクを減らそうというのがこの制度の趣旨だと思うので,それを裏返してみると,貸す側が今度はリスクを受けるということですよね。返せないというか,働き出して余り所得が上がらなかった学生に,その学生時代にお金を貸すというのは,リスクなんだけれども,そのリスクを貸す側が受けようというのがこの制度だと思うので,リスクがそちらに行っているというのは確かだと思います。


そのリスクを更に機関保証というのでまたプールしてやるということは,貸す側がそのリスクをまた更に機関保証側にシフトさせるということで,リスクが順々に移っていっているんだと思うんです。だから,それは,結局,機関保証ということは,そのリスクを全員でプールしようということなので,学生が返せない一人一人のリスクを減らして,そのリスクを学生全員でプールしようという考えの下に制度設計がなされてきていると思うので,そういう制度が社会的に見て,みんなでそのリスクをプールするのが望ましいということになれば,それはそれでいいのかと思います。だから,できるだけ差別的なものはないように,これを貸すべきだというのは,もちろんだと思います。


ただ1つ,年齢とか回数に関しては,そもそものこれをしてあげようという狙いが,いわゆる普通の学生というか,普通に上がってきた18歳から22歳までとか,20代前半の一番初めの学生がそういうことに陥らないようにという狙いがあったと思うので,学び直しという議論はあると思うんですけれども,何回も受けるとか,ある程度,年齢が行った後でそれを受けるという人のところのリスクまでは,余りここで対象にしなくてもいいのではないかということで,そう考えれば,上限を設定してもいいかもしれないということと,あと,年齢でやってしまうと問題だということであれば,年齢に近いような形で何回も受ける人に対しての設定をするというのがリーズナブルかなと思います。


以上です。


【小林主査】  ありがとうございました。


最初の問題については,現行の形でということで,2番目の論点については,いろいろまた意見があるかと思いますけれども,少し整理しますと,第1の問題については,それほど皆さん,御異論はなさそうなので,これでよろしいでしょうか。


問題は,特にリスクとかかわらず,年齢の制限という第2の論点です。これは新所得連動型に限って40歳以下にするということで,これは韓国が35歳でしたかで制限しているということを参考にしたということですけれども,これは今までは特に議論していなかった点なので,赤井先生の言われる年齢に近いものというのは,何かメルクマールになっているんですけれども。


【赤井委員】  いやいや,今言っていたのは(1)の話なので,(1)を年齢で切るというのはあれなので,(1)というか,上限設定という形で貸与のところはいいんじゃないかというふうに思っているのと,(2)番に関しては,所得連動はすごく影響が出ますから,年齢で切るというのは受けられるのではないかと私は思いますけれどもね。そこは樋口先生,どうでしょうか。


【小林主査】  何か年齢にかわるような,しかし年齢と相関するような指標があればいいんですけれども,なかなかそれが見つからないですね。


【赤井委員】  いやいや,それは。(1)のところは,多分,(1)も年齢で貸さないということは駄目なので,これは全体ですね。だから,(1)に関しては年齢で貸さないというよりは,回数とか総額で決めるというのが望ましいということで,年齢にかわる指標という意味は,(1)に関しての話です。


【小林主査】  なるほど。


【赤井委員】  (2)に関しては,これから入れなくても所得連動ではない,通常型は借りられるわけですね。だから,そういう意味では,年齢で差別していない制度も残っているので,いいのではないかと思いますけれども,余りおしゃべりしていてもあれなので。


【小林主査】  いかがでしょうか。(1)についてはそういう形でよろしいかと思いますが,第2の年齢を40歳以下に制限するということですが。


どうぞ。


【濱中委員】  前回の会議のときも同じことを申し上げたような気がするのですが,やはりリタイア後は収入がかなり低くなることは明らかなわけで,だとすると,高齢の方に所得連動型を適用した場合,最初から一部は給付することを前提にしたような制度設計になってしまうと思うわけです。さすがにそれはちょっとまずいのではないかと。年齢で区別することはまずいけれども,そもそも最初から返ってこないような制度設計をすることもまずいと思うので,やはり所得連動型の適用については40歳ぐらいの年齢制限を求めることもやむを得ないかなというのが私の考えです。


貸与額の上限設定は必要かなと前回まで思っていたのですが,考えてみると,借りたときの学校種ごとに別の債権として必ず年収の9%が返還額として設定されるならば,返してもらう側からすれば特に問題はない。ただ,逆に言うと,いろいろな学校種でたくさん借りた人がそれぞれについて年収の9%を返還するとなったときに,本当にそれを足したものが全部返せるのか,むしろそっちの方が心配になってしまいます。そういう人は所得連動型を選びにくくなるというか,選ばないとすれば,この上限設定の問題は実は余り関係なくなってくるというような気もしますので,今の原案どおりで私はいいかなというふうに思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


【樋口委員】  よろしいですか。


【小林主査】  どうぞ。


【樋口委員】  今の御指摘は,65歳での引退を前提にした話ということなんですが,ここは微妙にそれは書いていないんですよね。65歳からの年金支給開始年齢ということであって,65歳を過ぎてから働いている人の比率は,今,急激に上がってきているというようなことがあります。労働力調査を見ても,かなりのパーセントで,特に男性の場合,就業している人たちが増えてきているというときに,引退するモデルみたいなものを想定して,何歳が引退ですというような画一的なことは想定しにくい社会になっているということですし,また,それを前提にするというのは,いささかどうかなというところが出てきて,年齢というのはすごく今難しい時代に,まさに多様化が進展している中における難しい問題というふうになってきていますので,ここを実は年齢というのが非常に切りにくいところになっているというのも事実だろうと思うんです。今ですと,40歳の合理的な理由はどこにあるのかというふうに詰められると,今出ているのはこれなんだろうと思うんです。年金の支給開始年齢が65歳ということ,これはもう基礎年金給付については当面,これも慎重に発言した方がいいと思いますけれども,当面は固定しているということですから,それ以外に何か求めていく理由はあるのかというふうに。女性の場合はもっと早く引退する人も多いですしということですね。


【濱中委員】  いいですか。


【小林主査】  どうぞ。


【濱中委員】  継続して就業する方が増えていることは確かだと思いますが,政府統計は高齢の方の所得,収入をとっていないので分からないところもあるのですが,一方で,就業を継続していっても収入自体はうんと下がるわけですね。


【樋口委員】  年金と合わせるとそれほどは下がらない。


【濱中委員】  それほどは下がらないのですか。そう考えると,所得の9%をとり続けることで返還可能になる可能性も結構高いということになりますか。


【樋口委員】  まさに金額によってですね。


【濱中委員】  難しいですね。逆に言うと,返還可能であるならば定額返還でも返還可能なわけですから,定額返還の道を残しておけばよいのか。むしろ,レアケースだとは思いますけれども,奨学金の返還額が残っていることで,かえってリタイアを早めるようなことになりかねないのではないかというのがちょっと気になるところではあります。


【小林主査】  いかがでしょうか。ほかの委員の方,いかがですか。  この問題はかなり難しくて,1つは,私が気になっているのは,年齢で切るということも問題ですけれども,先ほど樋口先生が言われたように,40歳という根拠がぐらついてくるとなると,そこでこういうものをクリフ・エフェクト(崖効果)とか,カットオフ効果とか,あるいはノッチ・エフェクトという言い方をするのですけれども,要するに,スパッと切ってしまうわけです。39歳ならいいけれども,40歳になった途端に駄目だという制度になってしまうので,それは余りにも柔軟性がないという問題を引き起こすわけで,そのあたりも私はすごく気になっているのですが,この辺を含めていかがでしょうか。


本来は,もう少し個々の事情に応じてということだと思うのですけれども,十分返せる収入が見込める人から年金だけの人までいろいろいるわけですから。ただ,そのあたりは考慮し出すときりがないという問題もありまして,かなり難しい問題だと思いますが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【赤井委員】  これは全然解決策ではないですけれども,働いているか,働いていないかみたいなことを確認する方法があれば。駄目なのかな。でも,40歳の時点でこれを決めないといけないとなると。


【小林主査】  そこが難しい。


【赤井委員】  60歳になってからではあれですね。どっちかというので変えるというわけにもいかないですね。


【小林主査】  なかなかこれ以上は今は少し議論が進まないようなんですけれども,また先送りするのはよろしくないですけれども,今のところではこれ以上議論が進まないようなんですが,いかがですか。


事務局側から何かありますか。


特によろしいですか。


【樋口委員】  打開策ではなくて,ここで言う所得連動の所得は総合所得ですよね。ですから,年金給付も含めた勤労所得,雑所得,みんな含めた上での総合所得に連動するという考えなんですよね,確認しておきたいのは。


【小林主査】  そうです。


【樋口委員】  ということになってくるかなと。そこでのまさに65歳でがたんと減るのかどうか。多分,増える人はそう多くないけれども,維持する人とかというようなことがどれぐらいいるか,私も統計は見ていないというか,多分ないのかなと思うんですけれども,それこそ赤井さんにむしろ教えてもらいたいのは,今,年金給付に課税するという話が,もともと課税されているわけですけれども。


【赤井委員】  詳しくはないですけれども。


【樋口委員】  控除を減らすという話があるのも,そこと実は連動している議論なんですよね。


【赤井委員】  そうですね。


【樋口委員】  高額の年金給付をもらっている人に対してどうするかという話と類似しているところがあるみたいですね。


【赤井委員】  働いていないけれども,年金があって,下がった人からはとらない,とる。難しいですね。


【小林主査】  いかがですか。赤井先生。


【赤井委員】  いやいや,もうそれはどうしようもないんですけれども,さっきの続きをちょっと考えていたんですけれども,もう引退したという人は,それはもう体の事情もあるんでしょうけれども,それなりに資産があって,引退しても食べていける人だというふうにみなせば,働いていない人は働く意思が,働こうとして働けていない人と区別が難しいですけれども,働かないと駄目という人は,お金がなくて働いているとすれば,それでも所得が少ないような人は下がってもいいけれども,もう働かなくても資産もたくさんあって,全く働く意欲がなくて引退したという人は,所得連動のときでも特別に定額分を払わせるとか,そういうような特例にしておけば,その人も何歳になってもそれに入ってもらってもいいということはあるかもしれません。


【小林主査】  なるほど。いずれにしても,これはもう少し精密な扱いが必要だという気がします。それから,確かに濱中委員が言われたように,この統計は余り正確なものがなくて,賃金センサスだとむしろ上がってしまう。それは正規に働いている人が対象ですから,どうしてもそうなってしまうので難しいのですけれども,いずれにしてももう少しエビデンスを集めた方がいいような気もしますし,きょうのところは,いろいろ議論が出たということで,もう少し資料を整えてもう一回議論するということでいかがでしょうか。


【樋口委員】  すみません,問題提起しておきながら。要は,正解のないものについては,無理に制限を設けるのは望ましくないと。ある意味では,それが「そうですよね」というものについては制限を設けるというのは当然あってしかるべきだろうと思うんですが,議論が分かれてくるようなところについては,じゃあということで一律の制限を設けるというのはどうでしょうかという逃げ道を用意しておきます。


【小林主査】  分かりました。  濱中委員,いかがですか。先ほど,原案でいいということだったんですが。


【濱中委員】  該当者はそんなに多くないと思うので,大丈夫かなと。むしろ40過ぎてくらいから,多いのは,おそらく,大学院に行く方だと想定されるかと思うのですけれども,そういう人は収入が高そうだから,所得連動にしても早く返し終わるのかもしれません。そもそもどういう人が該当するかという具体例が余り明確にならないので,だとすると,樋口先生がおっしゃるように,明確な理由がないならば制限はなくてもいいというのは一理あるかなという気はします。ただし,こういうことを余りこの場で言うのがいいかどうか分からないですけれども,実質的にある程度の年齢になったら給付になってしまう可能性があるときに,気になるのは,そういうものを当てにして学生募集をするような学校みたいなものが出てきたときには問題かなというぐらいです。そういう例が今まで全くなかったわけでもないわけで,高校の就学支援金のときも。そこがちょっと引っ掛かるといえば引っ掛かるだけです。


【赤井委員】  引退後に学校へ行った場合はどうなるんですか。


【濱中委員】  引退後だと,恐らく本人の収入が年金だけ等で低くなっていると,奨学金の受給資格ができるので借りることはできる。


【赤井委員】  ずっと定額で,所得連動。


【濱中委員】  所得連動だと,年金に合わせて返していく形になるので,返し終わらないだろうなということは何となく想像はできるということですね。 【赤井委員】  そうですよね,そうなりますね。


【樋口委員】  いや,発言を気を付けないといけないんですが,制度で決めることができるところと,どうしても運用に委ねるところがあるわけですね。いろいろな制度を実際に使っていくという。どこまで制度でリジットに決めていくのか,どこを運用に任せるのか,要は,認定と同じだろうと思うんですが。今おっしゃっているようなところは,なかなか制度では決められないところがあって,そこはもう運用ですよねという知恵を出したいと思いますが。


【小林主査】  どうぞ。


【松尾大臣官房審議官】  事務局の方でも少し相談をしてみたいと思いますけれども,樋口先生が言われたように,不確定なところで,「えいやっ」と決めるというのはなかなか微妙なところがあると思います。したがって,年齢でというのはなかなかあれだと思うんですけれども,そもそも社会人入学で入るときに,じゃあ,成績基準,無利子を借りられるのかどうかというのは1つ要件としてあって,無利子は,例えば18歳の方が入るときには,高校の成績であったりとか,あと,入った後の大学の成績ということでありますので,そもそも社会人の方,今,多くは有利子を借りておられますので,そもそもこの所得連動の適用の外で借りているというのが実態として多分あるんだと思います。したがって,無利子を借りるときの要件を,これは成績で決めますので,その要件をどうするかとか,そういった年齢とは違うような形でのものであるとか,そもそも無利子はやっぱり若い子たちに学業の機会を提供するためにあるものでありますので,そこに所得連動という思想がそもそもこれはありますので,そこと合致するような形でいかに制度設計できるかというのは,少しまた相談をして。ただ,いずれにしても,樋口先生が言われるように,年齢でというのはなかなかクリアカットするのがやっぱり難しいところは我々も念頭に置いて制度設計したいと思いますので,少し扱わせていただいてと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


そういう問題があるということはよく分かったわけですけれども,なかなか難しいので,制度で特に機械的にやるのは望ましくないというのがきょうのところの結論かと思います。運用等を含めて,あるいは基準等を含めてもう1回検討させていただきたいと思います。


ありがとうございました。


それでは,次に,学生等への周知方法・内容についてですが,これは特に大きな変更もないのですけれども,何か御意見等ございますでしょうか。  加わった点としては,ソーシャルメディア等の新たな広報手法の活用,それから返還に当たっての個人信用情報登録とか,法的措置についての十分な説明を行うという,そういう取組を求めるというくらいですが,よろしいでしょうか。


では,海外居住者の所得の把握・返還方法,これについては,前回も出ていましたけれども,定額返還にするしか実際のところではないのではないかというようなことだったと思います。もちろん,例えば日本の企業等で海外に出向しているというような場合でしたら所得が把握できることもあるかと思いますけれども,そういう場合はもともと日本にいるという考え方に近いわけですから,これは純粋に海外に出て行った方で所得が把握できない場合に定額返還するということで想定されていると思いますが,いかがでしょうか。


よろしいでしょうか。これも前回御議論いただいて,特に大きな意見の相違はなかったということなので,定額返還型を原則ということでよろしいでしょうか。


それから,次の有利子の導入という,これは非常に大きな問題ですけれども,現在のところはそこまでなかなか,無利子の問題が生じますので,もう少し慎重に無利子の方の導入状況を見ながらということで,これも特に大きな御意見はなかったと思いますので,よろしいでしょうか。


それから,(6)番も大きな問題ですけれども,これは様々な経済状況の変化,先ほど,樋口先生からも説明がありましたように,インフレ・デフレだけではなくて,年金の支給とか,就業形態も相当変わってくることが予想されます。これから10年,20年先の話ですから,そういうことも含めますと,制度をこれで全く固定のものではなくて,随時見直しすることを盛り込んでおくといいますか,そういう合意をとっておくということだろうと思いますけれども,よろしいでしょうか。


それでは,7番目のところですけれども,既に返還を開始している者等への適用ですけれども,これも先ほどの有利子と同じように,範囲を広げられないかという問題です。なかなかこれは現実の問題として難しいということであります。むしろ現在でも返還猶予あるいは減額返還というような制度もありますので,そういったところをまず活用することということで考えたいということであります。


ただ,これを先ほど資料として事務局の方から示していただきましたけれども,現在のとろ,返還猶予を10年使っている方とか,減額返還をめいっぱい使っているという方は,それほど多くないわけですけれども,今後はこれが増えていくことが予測されます。これを使い切ってしまった人については,どのような負担軽減策があるかということは,今後,検討する必要があるのではないかということで,そういう原案になっているわけですけれども,いかがでしょうか。


【不動委員】  いいですか。


【小林主査】  どうぞ。


【不動委員】  今,奨学金の返還というのが結構大きな問題になっているわけですので,今借りていらっしゃる人が困っているということを考えると,せっかく作る制度であれば,この回収する金額が減ってしまうという懸念はあるんですけれども,やはり幅広に,現在借りていらっしゃる方にも新しい返還制度を適用してあげたらなというふうに思うんですけれども,いかがでしょうか。


【小林主査】  できたらこの新制度を適用できたらという御意見ですが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【吉田委員】  私も同じ意見です。前回も同じ意見を言わせていただいたんですけれども,新制度を全てのこれまでの貸与者に対して適用するというのは,管理の面でも非常に大変になります。しかしながら,今年借りた人については適用できないけれども,来年から借りる人については適用できるというのは,やはり不公平感もあります。ですので,現行の制度を使い切った方たち,この机上配付資料におきましては,この制度の上限に達している方500人程度になりますが,こういった方たちの救済として,この所得連動返還型への転換を一度検討してみるべきではないかと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


お二人の委員から,全てではなくて,こういった新たな救済措置としてということですけれども,それで適用したらどうかという御意見なんですが,ほかの委員の方,いかがでしょうか。


【赤井委員】  戻るというのは,制度上,どうなんですか。


もちろんお金もあればそうすればいいと思うんですけれども,それは,今,借り始めた人か,もう返済も始まっている人,どこまで適用を戻していくのかというところと,お金との関係,バランス。あとは制度が混乱なくできるのかというところもありますし,ちょっと今,分からないですけれども,いろいろ論点を整理していった方がいいかなと思います。


【小林主査】  現実に可能かという問題とか,それから,例えば機関保証でない場合,保証料をどうするかとかと,確かにいろいろな問題が,事務的といいますか,そういう問題が生ずることは事実なので,ただ,今の御提案では,今までは一律にさかのぼってという提案もあったわけですけれども,吉田委員の方は,使い切った人についてだけ適用したらどうかという御提案だったと思いますけれども,そのあたりは事務局の方でもし今言ったような問題以外で何か問題がある,適用が難しいというようなことがあれば教えていただきたいのですが,いかがでしょうか。


管理とか,事務とか,具体的な現実的な問題で結構ですけれども。


【藤森奨学事業戦略部長】  今,これまでの議論を踏まえて,現状では,新しい方たちからという,ある程度,限定的なところでいろいろ考えておるところですが,それに今まさに貸している方,あるいは既に返還開始している方たちまで含めてということになると,やっぱり管理上,相当大きな対応をしなければならないと。我々は実務機関ですので,決まればもちろんやらざるを得ないんですが,例えば,システム周りの対応とか,それにかかる時間,経費的な部分というのは,ちょっとすぐに,じゃあ,来年から一斉にゴーというのは非常に難しいかなというのが実務上の,やっぱり準備は必要かなというふうに考えられます。


【小林主査】  先ほどの机上資料1で,現実の問題としてまだ制度が始まって間もないので,5年以上という方はそれほどいらっしゃらないのですけれども,これが次第に増えていくことも予想されるのですけれども,今のところはそれほどの人数ではないと。それから,減額返還についてもそれほどの人数ではない。となると,この方たちだけに適用するのでしたら,そんなに大きな管理コストではないという考え方もあるとは思うのですが,そのあたりはいかがでしょうか。


【藤森奨学事業戦略部長】  おっしゃるように,先ほど御意見のありました使い切ったというところで相当人数も制限されると思います。


それからあと,猶予について言いますと,5年,10年というのは,経済困難というケースですので,例えば生活保護とか,病気とか,ずっと猶予になるケースも別途あるわけですから,その中で使い切ったという方たちに限定するのであるならば,ある程度まだ対応は限定的かなというふうに思われます。


あと,先ほどちょっとお話がありましたように,やはり人的保証の方たちが移るときに機関保証に移っていけるのかどうかということも含めて,あるいは手続的なことです。既に連帯保証人や保証人がおられる方もありますので,そういうものをどう切り替えていくかというようなことは,弁護士先生とも相談しながら進めていく必要があるかと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


ほかの委員の方,いかがでしょうか。導入といいますか,適用ということではお二人の委員からあったわけですが,赤井先生からも既に御提案といいますか,現実的な問題を考慮するべきだということですけれども,よろしいでしょうか。


【赤井委員】  どんな制度でもできるだけ公平な方がいいと思いますけれども,やっぱり年金の支給開始年齢にしても,やっぱり制度が変わって,その前と後では差が出るところは制度を変えていく上ではしようがないので,それは技術的なコストも踏まえながら,できるだけ対応したという説明があれば,あとは,時間をかけて今後やっていくとか,そういうふうなことが現実的だと思います。


【小林主査】  どうぞ。


【樋口委員】  私も検討したらよろしいのではないかというふうに思います。まだ数字が分からないので,一概に賛成,反対とは言えないんですが,検討には値する問題だろうというふうに思いますので,是非お願いしたいと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


濱中委員。


【濱中委員】  机上資料1を見ると,猶予期間が4年超5年以下は2万人ぐらいいます。猶予期間が10年になってからの人は,今まではそんなにいなかったからこの数字ですけれども,2万人規模ぐらいで,これがほとんど減らずに、もちろんそのうち解消する人もいるでしょうから,1万5,000人から2万人ぐらいの間で,5年後までに猶予期間の制限いっぱいの10年に達する人が今後出てくるのだろうと,それに対応できるのかということになるかと思います。


実務的には,所得の把握がやはり一番大変だと思います。マイナンバーで所得が把握できるのは何年後からだったか、正確な年数は忘れましたけれども,それまでの期間に所得を正確に把握した上で,所得連動に移行させることができるのかというと,それは事務的にはかなり大変だろうと思われます。むしろ減額返還等々の仕組みをもう少し活用する,柔軟にするような方向で考えた方が良いのではないでしょうか。所得連動は,正直言って,仕組み的にはかなり複雑というか,難しいので,所得連動に移行させて救済するという方法以外のやり方がもしあるならば,私はそちらを検討した方がいいのかなと思います。ただ,もちろん返還が大変だからとずっと猶予し続けるというような仕組みにしてしまっていいのかという議論は一方であると思いますが,所得連動に移行しても,少なくとも月々2,000円は必ず返還していただくという,そういう案になっているわけです。そうだとすると,減額返還のさらなる減額を認めることと同じことですから,減額返還の柔軟化といった考え方もあり得るかなというふうに思います。


【小林主査】  少し整理しますと,全ての既返還者について,この制度を適用するということは難しいということですね。ただし,かなり返還困難者については何らかの措置を講じた方がいいだろうと。その場合,所得連動型にするのか,あるいは現行の制度をもう少し柔軟に適用できるかどうかということを,その2つについて,もう少し検討した方がいいということで,これはかなり,先ほど来,ありますように,実際にできるかというような問題もありますので,もう少し事務局と相談して検討させていただきたいと思います。


いろいろな意見を頂きましたので,これは今までのもともとの所得連動型ができてくる経緯になった返済が大変だという問題から来ているところですので,より一層やれることがあればやった方がいいというような御意見ももっともだと思いますので,引き続き検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。


次が,新しい,今まで出てきていなかった論点で,委員の方からは御意見を頂いていたのですけれども,こちらとしてはこれまで提案としては出していなかった問題です。返還初年度と2年目が実質的には所得が把握できないといいますか,所得がない方がほとんどのわけですので,2,000円になってしまうという点をどう考えるか。あるいは,その次の年になりますと,年額ではなくて9か月分しかないというようなことをどう考えるかという問題ですけれども,これについては,いかがでしょうか。


【赤井委員】  海外はどうしているんですか。


【小林主査】  海外については,私も見たんですけれども,この問題はほとんど考慮されていません。ただし,イギリスの例で申しますと,年額で所得を捉えるというのは,もうちょっと間に合わないといいますか,かなり激しく変動しますので,できるだけ月額に移行するということで動いているということは聞いておりますけれども,それ以外には特に初年度がゼロになるということについて,あるいは,日本で言えば,原案で言えば2,000円ですけれども,2,000円になるということについて,特に問題として捉えられていないと思います。


吉田さん,アメリカについてもそうですよね。特にこういう話は聞いたことがないですよね。


【吉田委員】  はい。特に考慮されていないと理解しておりますが。


【赤井委員】  考慮されていないということは,2,000円でいいということですか。


【小林主査】  ええ。というふうに思うのですが,それでいいのかというのが一応問題提起として出しておきたいということなんですけれども,いかがでしょうか。


【赤井委員】  しようがない。


【小林主査】  どうぞ。


【濱中委員】  日本の特殊な事情としては,返還金を次の貸与原資に充てるという仕組みをとっていることが挙げられます。アメリカにもごく一部そうした奨学金がありますけれども,イギリスは完全に返還と貸与が分かれていると聞いています。日本の仕組みの場合,返還金が少なくなると,貸与原資が減って,次の年に貸与できる人数が減ることになります。これは幾ら返還が大変だからと言っても奨学金制度の趣旨からは本末転倒ではないかと思うので,貸与原資の部分に何か財源の手当てができるのであれば,2,000円でよいと思いますし,どうしても2,000円だとそういうことが生じてしまうのであれば,やはり何らかの方法で返還金を増やすような方向で考えざるを得ないと思います。そういう意味では,もうちょっときちんとしたシミュレーションをして決めることが必要かなというふうには思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


きょうはあらあらのシミュレーションということで,机上で出させていただいたのですけれども,もう少しきちんとしたシミュレーションをやった方がいいのではないかということだったと思いますけれども,いかがでしょうか。


【樋口委員】  よろしいですか。これはベストだとは思いませんけれども,やむを得ない。これにかわる方法はないのではないかと。現行の大きな枠組みを考えたときに,それを維持しながらこれを進めようと,要は,前の年の所得で決まってくるというようなことを維持する限りにおいては,しようがないよねという,これにかわる方法はちょっと考えられないなというふうに思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


いかがでしょうか。


所得連動の仕組み自体が持っている特徴といいますか,ある意味では,場合によっては欠点にもなり得るということですけれども。


【樋口委員】  住民税と一緒ですね。


【赤井委員】  まさに。


【小林主査】  いかがでしょうか。


どうぞ。


【松尾大臣官房審議官】  今言われたことで,財源があればあれなんですけれども,机上資料4でありますように,年収9%でいったときの単年度の返還と,月額2,000円でいったときでは,60億円ぐらい単年度の収入が変わってきますので,ここは財源を含めて少し検討したいと思います。


それで,唯一あるのは,前年度の収入というのはもちろんあって,今,マイナンバーでいくと,前年度の収入しかとれないんですけれども,当該年度の10月から返還してもらいますので,例えば,上半期の収入がどれくらいあるかというのを,これは現実的に自己申告でどれくらいケアできるかということはあるんですけれども,そういったことを含めるとか,もちろん私どもも2,000円でいきたい気持ちは物すごくあることはありますが,それで次の財源がどうなるのかということも併せて考えていかないと,次の原資が少なくなると貸与人数,先ほど,濱中先生が言われたように減りますので,そこは併せて考えていかざるを得ないかというふうには思っている次第です。


全く気持ちは同じなんですけれども,次の子への原資ということで,少し検討する必要はあるかなというふうには思っている次第であります。


【小林主査】  ありがとうございました。


ただ,これは逆に言いますと,第一種奨学金というのは,どんどん今,規模自体が大きくなっているわけですね。返還の総額も少しずつではありますけれども大きくなっているわけです。それから,もし給付奨学金が創設されると,そちらの方にも行くわけですから,そういういろいろな条件がありますので,その辺を含めてもう少し検討してみたいと思います。


きょうのところは,これ以上余りエビデンスがないところで議論してもと思いますが,もしほかに今のうちにこういうことを検討しておいた方がいいというような御意見がございましたら,是非お伺いしたいんですが,いかがでしょうか。


では,濱中委員からどうぞ。


【濱中委員】  すみません,先に。


もし現状を把握して2,000円以上の額を返還することにせざるを得ないとすれば,例えば,1年目にもし所得が低くて猶予を申し出た方については,その間は今の経済困難の制限あり猶予の年数にカウントしないとか,もう少しそういうこととセットで考える必要があるかと。2,000円と言っていたのが,実は7,000円,8,000円でしたでは,ちょっと具合が悪いので,そういうほかの緩和策とセットで考えることが必要かなというふうに思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


では,宗野先生,どうぞ。


【宗野顧問弁護士】  今の所得の捕捉の観点からすると,1年目というのはどうしても難しいという話なんですけれども,それができないときに,じゃあ,2,000円をベースにするのか,要は,所得が捕捉できない方が定額に戻すようなイメージで,定額にした上で,10月に返還が開始しますので,その間に例えば給与明細3か月分とかを出してもらって,少ないことを出してもらえば,それに応じた額を10月から請求するような形にするとかというのは1つの考え方としてはあり得るのかなと思います。


ただ,全く仕事をしていないことの証明をどうとるかというのは,多分これ,1つ問題で,働いていて少ない方というのは所得の明細を出せば月の収入が少ないというのは出るんだと思うんですけれども,無業者の証明をどうとるかさえうまくできれば何とかなるのかなと。その場合,働いていないという場合は,先ほどのように猶予の手続をとっていただくのか,それともカウントはしないけれども,2,000円の制度に使うのかというのは,そこはやり方次第だと思いますけれども,現実的に所得云々(うんぬん)の捕捉が事実上難しいんですけれども,そこを対象者が増えてくるので,それを実際に紙ベースで出してもらってできるのかというのも1つの課題ではあると思うんですけれども,そこはやり方次第だとは思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


その辺を含めまして,どういう方法があるかということを少し検討してみたいと思います。ありがとうございました。


次に,返還方式の切替えということで,これもいろいろな意見があるわけですけれども,これは2つ論点がありまして,1つは新所得連動型から定額返還型への切替えを認めるかどうかという問題。それから逆に,定額返還型で新所得連動型に切り替えることを認めるかどうかという問題です。  原案といたしましては,新所得連動型から定額返還型へということになりますと,所得が高くなった時点で定額型にすると,定額を上回ったときに定額型にしたいというようなことが生じる可能性があるということから,これは認めない方がいいのではないかということですね。


それから,2番目の定額返還型から新所得連動型への切替えにつきましては,これは先ほどの議論とよく似ているんですけれども,負担軽減があるわけですけれども,それでも困難な者がいる場合には,新所得連動型を適用してもよろしいのではないかという,先ほどの御提案とよく似た論点です。これについてはいかがでしょうか。


どうぞ。


【赤井委員】  そもそもの新所得連動型の趣旨が働きに応じて返すということなので,リスクをとらないというか,所得がなくなったときに払わずに,あるときには払いましょうということで,所得が変更したことに応じて払うというような趣旨で導入をして,それをあらかじめ決めておくということなので,それを実際に後になって所得が分かってからどちらを選ぶみたいなことになってしまうと,そもそもの趣旨と合わないのではないかと思うので,途中の切替えというのは,まさにそのときに応じていいものを選ぶみたいなことになってしまうので,そもそもの趣旨が成立しなくなるので,余り切替えはお勧めできないのではないかと僕は思いますけれども。


【小林主査】  両方ともということですね。


【赤井委員】  まあ,そうですね。後者の方は,事実上,後で切り替えられるのであれば,これも新しい人か既存の人かということにもよりますけれども,今の人でもそれに切り替えるということと近くなりますし,基本的に両方ともない方がいいのではないかと思いますけれども。そこは。


【小林主査】  分かりました。御意見として。


【赤井委員】  優しさ,優しくないですけれども。


【小林主査】  いや,ただ,もう1つ補足しておかなければいけないのは,これは次の保証の問題ともかかわってまいりまして,定額から新所得連動型で新所得連動型が機関保証のみというふうに進みますと,定額のときに人的保証の場合には保証料を払わなければいけないという問題が発生することも事実ですので,それも少し考慮に入れていただければと思います。


いかがでしょうか。余り切り替えない方がいいという御意見だったのですけれども。


どうぞ。


【吉田委員】  この会議が始まったときから,この問題がずっと気になっておりました。アメリカでは,切替えができるわけなんです。ただ,アメリカの制度がよいかどうかというのは,またそれはそれで問題があって,例えば,やはりどうしても回収金が少なくなってくるという問題もあるわけです。ただ,返している側から考えると,特に後者の場合,定額返還を卒業時に選択をして,返し始めてやはりどうしても定額では難しいと,そして,減額返還をお願いし,また猶予をお願いしというふうなものを使い切ったようなことになったときに,どうしてもやはりこの所得連動の方に切り替えたいなという意見が恐らく出てくるとは思います。


この会議が始まったときからいろいろな方とお話をしながら,どうして最初から切替えを前提としないのかということで,私なりに理解したところでは,事務的な手続が大変であるから。それから今,小林先生がおっしゃった保証料の問題があるから。そこがクリアできれば,特に後者の部分について検討もできるのではないかと個人的には思うんですが。非常に事務的なものが負担があるということはもちろん承知の上で意見をさせていただきます。


【赤井委員】  いいですか。


【小林主査】  どうぞ。


【赤井委員】  かわいそうと言えば,もちろんそうなんですけれども,そのアメリカの例は,結局,低いときは所得連動で,高くなってきたら定額返還と,全部行ったり来たりできるんですか。ということは,2つの制度のいいところどりをできるということですか。


【吉田委員】  そうです。


【赤井委員】  事実上,払わないような制度導入と変わらないんじゃないですか。


【吉田委員】  払わないといいますか,所得連動を選択した人たちが,定額返還の額に達したときに,自動的にもう一定額に,返還額が上がっていかないという制度になっています。つまり,一定額に達したときに,標準型といいますが,標準型で返している方たちの額と同じぐらいに達したときに,そこからは上がっていかないという,横ばいになるという制度です。


【赤井委員】  なるほどね。じゃあ,所得連動が途中で横になっているということですね。別にスイッチしているわけではなくて,逆転が起きないような。


【小林主査】  自動的にスイッチしているというのですか。


【赤井委員】  なるほど,そういう制度だったらあり得るのかもしれないですけれども,予算は更に厳しくなります。なるほど。


【小林主査】  ただ,アメリカの場合,有利子ですので,利子が相当高いですから,その問題もありますけれども。


【赤井委員】  早く返した方がいい。


【小林主査】  はい。  いかがでしょうか。


【赤井委員】  もう1ついいですか。


【小林主査】  はい,どうぞ。


【赤井委員】  まず,これ,所得が高くなった時点で定額に切り替えるというのを許すかということになると思うんですけれども,でも,所得が高くなっているということは払えるということなので,何かかわいそうだという話にはならない。それはそれでいいですか。


あとは,かわいそうだというのは,定額から新所得の方なんですかね。定額に決めたけれども所得がなくて,所得連動を選んでいる人は所得がないときは払わなくていいのに,自分はなぜ払わないといけないんだというときにということになりますか。


【吉田委員】  実はアメリカでも大きく議論になっているのが,一定額に達した後は,所得に応じて返還額が上がっていかなくなるというこの部分が,この制度設計でよかったのかという点は議論になっているところです。もっと払えるのに払っていないという,実際,先生のおっしゃるとおりの議論があります。ですから,その部分,政府の負担が大きくなるわけですね。ですから,払える方から払っていただくということについて,もうちょっと制度設計を考えるべきではなかったのかというような議論はあるようです。


【赤井委員】  それでいいんじゃないですか。だから,日本の方がいいんじゃないですか。


【小林主査】  先に補足しますと,オーストラリアのHECSは累進的なので,むしろ所得が上がると返還率が上がるのです。ですから,フラットどころかもっと。


【赤井委員】  こうですね,二次曲線ですね。


【小林主査】  そういうような,ですから,本当にそれはそれぞれの国の考え方だと思います。


【赤井委員】  これ,2つを分けて議論した方がいいです。


【濱中委員】  たしかアメリカの場合は,所得連動型が導入されたのは最近で,しかも経緯としては返還がすごく大変だから所得連動型にして,返還中の人にも,あなたはもう返せないから所得連動に切り替えましょうということで導入されていますよね。日本みたいに入学時に選びなさいというような,そういう方式ではないというのが多分大きな違いだと思います。


もし新所得連動から定額返還への切替えを認める,若しくは自動的に定額返還型に移行するのだったら,これはもう,最初は新所得連動型を選ぶというのが論理的には正しい解ですよね。ある程度行ったら返還月額が上がらないんですから。必ず最初からそちらを選ぶはずなんですよ。保証料を払いたくないという,定額返還を選ぶ理由はそれだけです。だから,機関保証を義務化してしまえば,その問題は解決して,選択制にならないはずです。


定額返還型から新所得連動型への切替えというのは,当てが外れた人というか、そういう人が多少いるにはいると思いますが,それでも切替えの事務的な手間等々を考えると,やはり最初から新所得連動型を選ぶことを基本的にはお勧めしておいた上で,余裕があるうちは繰上げ返還を活用していただくというような説明をきちんとしていく方が重要ではないかと思います。途中で切り替えるとなると,「それでは,保証料を一括で納入してください」とか,「えっ,そんなの聞いていません」みたいなことになって,いろいろと面倒なことが起こると思うので,少なくとも卒業時に決めた返還の仕方でいく方が良いのではないか。当然最初のうちは返還額が低いからすごく余裕があって,後で大変になるようなパターンの人も出てくるとは思うのですが,そういうときのことを考えてどう対処すべきか、ということを併せてカウンセリング等々で指導していくということが大事なのではないかというふうに思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


最初の方につきましては,切替えを認めないというのは,皆さん,今のところ議論としては共通していますので,新所得連動から定額返還型については,切替えは認めないということでよろしいかと思うのですが,次の方です,定額返還型から新所得連動型への切替えを認めるかどうかという点については,2つ御意見があるわけですけれども,この点について,ほかの委員の方,いかがでしょうか。


【赤井委員】  保証料だけですからね。でも,この制度がありますからね,負担緩和策が。


【小林主査】  ええ。さっき私が保証料の問題を言いましたけれども,やはりその問題がかかわってきますので,先に保証制度,これ,かなり重要な問題ですので,そこを議論して,その上でもう1回戻るということにしたいと思いますが,いかがでしょうか。


では,次の保証制度の問題に移りたいと思います。


これは原則として機関保証ということでありまして,前回、人的保証の継続について、国会の附帯決議があるというようなことの御説明があったわけでありますが,これについても新しい制度に移管するということでありますので,原則的にはやはり機関保証であろうということで,それから,これもそれほど精密なシミュレーションではないということでしたけれども,保証料の引下げの可能性もあるというようなこともありますので,そういう意味からいっても,原則は機関保証であるということで原案を出させていただいておりますが,これについてはいかがでしょうか。


どうぞ。


【吉田委員】  前回の会議のときには,義務化という案も出ていたかと思うんですけれども,今回,「原則として機関保証」ということで,この「原則」の意味を確認させていただきたいんですけれども,義務ということを明確に入れるということではなく,何かやはりちょっと余裕を持たせるというか,何か原則から外れるところもあるということなんでしょうか。


【小林主査】  これは,私の方からも答えますけれども,事務局の方からまずお願いしたいと思いますが。


【川村課長補佐】  これまで第1次まとめで「原則として機関保証」ということで御議論いただいて,その際には,機関保証とする場合の保証料の負担ですとか,あと,どの段階から導入するのか,あるいは,無利子全体に導入するのか,新所得連動型だけ導入するのかというような幾つかの論点があったかと思いますので,そうしたものを含めて原則としてということで書かせていただきました。


前回は,平成29年度の新規貸与者について,機関保証を義務化するかどうかというところで御議論いただいたので,これは義務化,もうそれしか選べないこととするか,それとも選択制として促進をするかというどちらかのパターンでということで御議論いただいたわけでありますけれども,今回,保証料の引下げについての御議論もありましたので,こういった将来の引下げも含めて機関保証にいくという方向については共有を頂いているかと思うんですけれども,その部分,これからまだ十分,保証料ですとか,また,無利子全体を含めて義務化するかというところまでは,これまでの議論の中で十分結論というところまで行ったかというところがございましたので,今回の資料につきましては,前回,1次まとめと同様の表現とさせていただいたということでございます。


【小林主査】  ありがとうございました。


前回ありましたように,新所得連動型については,義務化といいますか,機関保証に一本化するのだということで特に御異論がなかったわけでありますので,むしろ問題は,これを定額型まで含めて機関保証にするかどうか。それが先ほど言いましたように,上の(9)の問題とかかわるわけです。機関保証になっているのであれば,切替えもその問題は,少なくとも保証料の問題は起きないということになりますので,それだけが理由ではないんですけれども,定額の場合にも機関保証にするのかという論点が残っているということですが,いかがでしょうか。


これはかなり大きな問題でありますので,なかなか難しいかと思いますけれども。保証料が下げられるというのは,当然,多くの人が加入すればそれは保証料が下げられる可能性は,リスクをプールするわけですから,当然起きるわけでありますけれども,その点から言いますと,定額返還型にもということも考えられるわけでありますが,片方で人的保証に落とすべきだという御意見もありましたので,そのあたりをどうするかという問題なんですけれども。


どうぞ。


【吉田委員】  定額返還型も含めて移行するかどうかが問題というところで,一応「原則として」というふうな文言にされたということが理解できました。平成29年度からの新所得連動については義務化をするということで異論はなかったというふうに理解をしているので,そのことについては何か私の読み間違いかもしれませんが,そういったことは書かれていないような気がするんですけれども,こちらの中に入っていれば,もうちょっとはっきりするのかなと思ったんですが。


【川村課長補佐】  前回の御議論で,29年度からの取扱いについては,保証料の引下げの問題等も御意見としてございましたので,それと併せて29年度から行えるかどうかということもあろうかと思いますので,29年度からの取扱いについては,ここでは明記をしないという形で,小林先生との御相談の上で,方向性としてこの有識者会議では機関保証に移行するということをお示しいただいて,29年度については,どのように取り扱うかということを,文科省,JASSOを含め,検討するというようなことで,この資料としては作成させて頂いているということでございます。


【小林主査】  言葉の問題ですけれども,「義務化」というのは,何かいかにも強制的な感じがしますので,もう機関保証にするということでよろしいのではないかというふうに個人的には思いますけれども,そういうふうに確かに明記していただければ,機関保証ということで,文部科学省と日本学生支援機構で検討するというような形にしていただければ,はっきりするのではないかと思いますけれども。


その点は,今御説明があったように,特に御異論はなかったと思いますので,機関保証ということでよろしいと思いますが,問題は,定額型の方ですけれども,そこまで拡大するべきかという議論ですね。これについても,実際,どれぐらい定額型を選ぶかということが現在分かりませんので,どの程度の事務量になるかとか,そういうこともまだ分からないわけですけれども,そのあたりを含めて御意見をいただければと思うんですが,いかがでしょうか。


では,樋口先生からお願いします。


【樋口委員】  人的保証から機関保証に移ったときのモラルハザードの発生する確率がどうかというのをみんな気にしているわけですね。やっぱり今まで保証人の保証ということによって,いざ本人が払わないと言ったときに,そこに支払を求めるというようなことがあったのが,今度,機関ですということになることによって,要は,見えた人が負担しなくなる。それに伴うモラルハザードの発生が相当大きいとなるならば,そこにまた新たな,それでやるんだったら多額の保険料を求めなくてはいけないというようなことになるわけですが,それが発生する可能性というのは,私はないとは言えないと思うんです。いろいろなほかの融資制度,金融機関における融資制度であるとか,そういったものを見たときに,担保がなくてもというような話で出たり,あるいは,機関保証というようなところが出てきたときの問題というのは,多くの場合はやっぱりこのモラルハザードの問題と関連してくる。その結果として,制度が持続できなくなってくるというようなことから,誰かが補塡しなくてはというところになってくるわけで,考え方としては,やっぱり機関保証だろうというふうに思うんですが,その発生する確率をどう見込むのかというのは,すごく重要なポイントになってくるのだろうというふうに思いますので,それと連動して,この2,000円とか3,000円という金額も決まってくるということになると思うんですが,これ,かなり奨学金では経験がないにしても,いろいろなところでこの問題は起こっている,銀行の融資制度においても起こっているということだと思いますので。


【小林主査】  どうぞ。


【濱中委員】  一方で,奨学金の場合は,基本的に連帯保証人が親なんですね。特に第一種奨学金については所得制限がきっちりあって,それもかなり厳しくなっているはずなので,もともと保証力の弱い方が保証人になっているという問題があります。マスコミの報道レベルですけれども,連帯保証人である低所得の親に請求することによって,それが貧困の連鎖だと言って批判されるような状態に今あるわけです。だとしたら,所得制限の厳しい第一種奨学金については,原則的に全て機関保証に移行する方が,そうした批判に対する回答としても望ましいのかなと。


もう1つは,保証料の負担の問題が出てきますが,これもずっと議論していますけれども,新所得連動型を選択するかしないかに,保証料を払うか払わないかが影響してしまう可能性があって,そのことによって,後で返還が困難になったときに先ほどの新所得連動型への変更を認めるかどうかみたいな議論になるわけですから,そういったことを踏まえても,第一種については定額返還を含めて機関保証に移行するのが良いのかと。どういうタイミングでそういう大きな変更ができるかというと,今回の所得連動型の導入のようなタイミングでないとなかなか難しいということもありますので,私としては原案通りで良いと思います。「原則、機関保証」という,書き方をどうするかはともかくとして,定額返還を含めて機関保証に移行するような方向で考えれば良いのではないかと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


モラルハザードになる確率というのは,なかなかすぐには分からないと思いますけれども,代位弁済になった場合に,どういうことが起きるかということについても,実は余り理解されていないのではないかと思うのですけれども,そのあたり,事務局あるいはJASSOの方から説明していただけますか。


【藤森奨学事業戦略部長】  おっしゃるように,機関保証を選択する際に,学生さんに向けて,これで債務を,借金を免れるわけではないですよということは,我々としては十分,十分かどうかは別として,アナウンスをしてはおります。また改めて保証協会,保証機関からの請求を受けることになりますということは,学生さんに向けても発信をしてはおりますし,学校の方からも指導していただいているところです。


【小林主査】  その代位弁済になった場合に,何らかのペナルティはあるのですか。つまり,新たなローンが組めないとか,そういうような問題はあるのでしょうか。


【藤森奨学事業戦略部長】  いわゆる個人信用情報機関への事故情報として代位弁済が実施されたという事実が掲載されるということはございます。


【小林主査】  そのあたりが,まだこの機関保証制度自体がそれほど,新しい制度ですので,十分に周知されていないという面もあると思うのですね。ですから,そのことを含めて,先ほど,周知の話が出ましたけれども,全くリスクがないわけではないと,モラルハザードに陥るということも片方でありますけれども,リスクもありますから,そう簡単にできるものではないということも周知していくということが必要だと思いますが。


いかがでしょうか。


どうぞ。


【樋口委員】  ちょっと今,確認したんですが,クレジットスコアにこれが反映されてくるということの理解でよろしいんですか。


例えば,返還しなかった場合に,普通のローンで返還しなかったものと同じ扱いになりますか。ただ形式的には本人の負担ということではなくて,それを機関が,保証協会がするのだろうと思いますけれども,という形になりますという,傷は付くというところは同じということですか。


【藤森奨学事業戦略部長】  はい,そうです。


【小林主査】  ですから,そのあたりのことが一種の抑止効果にはなっているとは思うんですけれども,それが周知されていないと抑止にならないという,そういう問題だろうと思います。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。


【宗野顧問弁護士】  機関保証の件,前回も一応確認してという形だったので,今,この機会に説明させていただきますけれども,保証委託の約款上は,前回それをとり過ぎた分があったら返すのかみたいなお話があったと思うんですけれども,基本的に前どりの形で最初に協会が定めた料率について前どりします。一定の場合については返戻があります。その条件については,例えば,本来,20年で貸すところを繰り上げ返還して10年で返してしまいました。ということは,20年を前提に料率を計算していますので,その繰上げ返還したような場合については,とり過ぎた分については返します。それ以外,全額免除されたとか,そもそもそういった保証が必要なくなったような場合についてはありますけれども,料率の変更というのは,そもそも返戻には含んでいませんので,既存の契約条項上は,最初の契約に基づいた料率を徴収して,保証の期間が短くなったような場合についてのみ返すという形になっていますので,そういった料率の変更で返すということは予定されていないということが,前回,念のため確認という話だったので,それを報告いたします。


あと,追加,今回のお話なんですけれども,モラルハザードの件に関しましては,やはり奨学生側の理解というという部分もありますので,保証料を払ったんだから,破綻したらもう払わなくていいんだみたいに誤解されている方も中にはいらっしゃるので,その部分をちゃんときっちり説明するということは,これはまた必要にはなると思います。特に今回のように,原則として機関保証というふうになりますので,そうした場合,代弁が実行された場合,どういう不利益があるのかということも丁寧にパンフレット等に説明しておく,デメリットを書いておくという点と,あと,モラルハザードと言っても,心情的なものはともかくとして,最終的には協会から請求が来るという話なので,払わなかったら逃れるのかというと,そういう話ではないというところと,あと,代弁の実行の条件は,現行では機構と協会との保証契約の内容で,13か月云々(うんぬん)という条件が設定されて実行してはいるんですけれども,その中で個人情報の登録に関しては,例えば,3か月,6か月でしたか。


【藤森奨学事業戦略部長】  基本は3か月。


【宗野顧問弁護士】  3か月滞納した時点で,まず登録された上で,更に13か月滞納した場合は代弁を実行するという形にはなっておりますけれども,今後,この所得連動にした場合でも,所得が高い方で13か月滞納して実行というのは,別に今までどおりでいいとは思うんですけれども,じゃあ,2,000円とか最低額の方が,3か月滞納したときに個信に登録すべきかどうかというのと,あと,13か月滞納して,13か月滞納すると,2,000円ですから2万6,000円の段階で既出して,そこから延滞金を科すのが妥当かどうかというのは,そこは今後,機構と協会との保証契約,代弁実行条件の話になりますので,そこは別途検討して,少額なのに,2万6,000円滞納しただけで先ほど言われたようなクレジットに傷を付けていいのかどうかというのは,別途検討しておいた方がいいのかなとは思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


どうぞ。


【藤森奨学事業戦略部長】  ちょっと補足させていただきますと,機関保証については,保証機関と,基本的には御本人との間の保証契約の内容ですし,我々としては,保証機関との間で標準的な契約をどうしていくかというお話をさせていただく余地があろうかと思うんですが,信用情報機関につきましては,これは情報機関の方にきちんとしたルールがあるので,我々だけちょっと違うルールというのは,それはまた別の話,難しくなる可能性があるかと思います。


【小林主査】  分かりました。


どうぞ。


【樋口委員】  よく分かりました。この新所得連動返還型の導入による救済される人は誰かということを考えたときに,やっぱり一時的な所得の低下した人なんですね。恒常的に所得が下がってしまうということは,この人たちはずっとある意味では払えないというような状況になってきているんですね。日本の所得の変動について,今,OECDとかと協力して調査しているんですが,日本の場合には,一時的なものよりも恒常的貧困が非常に多い。ヨーロッパで考えると,貧困の問題と失業の問題,無業の問題がついていますから,失業期間はせいぜい長くても2年とか3年で元の状態に戻るんですね。ところが,日本の場合,非正規の貧困が多い。非正規というのは,平均しても,これは厚労省の統計でも,今の勤続年数は7年というのが出ているんですね。7年間そのままの状態で正規に転換していないというようなことで,それぐらいの長期の貧困という問題があって,そうなってくると,この返還しないでもいいという期間がかなり長くなってくるだろうなということが予想されてくるんですね。その中でのこういう議論をしているということをやっぱり考えていかないと,ほかの国と比較のときにも,制度の比較だけやって,所得の変動の方の実態がかなり影響を及ぼしてくるというようなところは考慮に入れないといけないのではないかというふうに思います。


【小林主査】  余談ですけれども,かつての日本と全く逆になっているということですね。


【樋口委員】  そうなんです。


【小林主査】  かつてはヨーロッパがそういう不安定で,日本は終身雇用で安定している。もともとの奨学金制度は,終身雇用型できっちり返していける制度で作っているので,それが適用しなくなったので所得に応じたというやり方をとってきたということですけれども,日本の場合も非常に雇用が流動化しているという,そういう状況になってきたということで,保険機能を付けましょうという,そういう議論になっているということだと思いますけれども。


【赤井委員】  ちょっといいですか。


【小林主査】  どうぞ。


【赤井委員】  私もいろいろ考えていたんですけれども,機関保証でも返せない場合はきちんと取立てが来るわけですから,そこをちゃんと説明すれば,モラルハザードというのは多分,機関保証なら返さなくてもいいと思うような人はいないので,それほど起きないのかなというふうに思いますし,先ほど言われた新所得連動の場合にも,ずっと低所得の人で,結局返せなくても,それはそれで制度上返せないので,その人は別にもういいわけですね。クレジットの傷は付かないということで。それはそういう制度だし,まさに給付型みたいになっているということです。


もう1つ気になっていたのが,普通,信用保証協会の議論をしているときは,何かアドバイスセレクション的な,要するに,保証協会ができると,そもそも中小企業で言うと,余り成功しないようなプロジェクトにもどんどん貸してしまって,事故率みたいなものが増えてしまうというような議論が結構あるので,それもいわゆるいいプロジェクトか悪いプロジェクトかの見分けが甘くなるということなんですけれども,そもそもこの奨学金は,返せるか返せない人かを見分けるというより,恵まれない人にも貸すというのが前提なので,だから,逆に事故率が増えるというのは,そもそもそこを見て渡しているわけではないので,だから,逆にそういう事故率が増えるということもないと思うので,だから,そっちの方の問題もないのかなというふうに思うので,両面からはそれほど問題なく,この机上資料2の数字を見ても,問題ないんじゃないかなと思いますけれども。


【小林主査】  ありがとうございました。


元に戻りますけれども,定額返還型も機関保証にするということをどうするかという問題ですけれども,これについてはいかがでしょうか。


【赤井委員】  時期は別として,方向はいいんじゃないですか。


【小林主査】  方向性として考えているということでよろしいでしょうか。特に人的保証という意見もないようですが,いかがでしょうか。


【吉田委員】  私もその方向で良いのではないかと思います。特に今,定額返還で人的保証を選択している方たちから,保証料をこれから払わなければならなくなるということについて意見が出ると思います。ただ,机上資料3を見ますと,「保証料率について引下げの検討余地が存する」というふうにあります。つまり,保証料を下げられる可能性があるということですので,そのようなことも含めて,全員で入り,そして保証料は従前より低くなり,全員で制度を支えるというふうにすればよろしいのではないかと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


これは前回に引き続いて,かなり大きな論点だと思いますけれども,基本的には,第一種奨学金については機関保証という形で考えたいということです。この会議としてはそのように考えるということで。ただ,いろいろな現実的な問題がありますので,引き続き,特に事務的な問題,管理的な問題については,文部科学省とJASSOの方で考えていただくというようなことで,この会議としてはそのようにしたいと思いますが,いかがでしょうか。  よろしいでしょうか。


きょう,欠席の委員の方もいらっしゃいますので,最終的にはその方の意見も伺って決めたいと思いますけれども,方向としてはそういうことでよろしいでしょうか。


ありがとうございました。


【赤井委員】  (9)番はどうなったんですか。


【小林主査】  元に戻りますが,そうしますと,機関保証になるということになりますと,保証料の問題ということは少なくともなくなったわけですが,その上でもう1回,(9)番の問題ですけれども,切替えを認めるかどうかということですけれども。


どうぞ。


【赤井委員】  まだ理解が十分ではないかもしれないのですけれども,保証料がないということは,初めは絶対定額にしておいた方がいいことに。


【小林主査】  ない。


【赤井委員】  ないというか,保証料の差がなくて両方とも払っているとすれば,初めは定額にしておいた方が得なんじゃないですか。違うんですか。定額にしておいて,所得がなかったときだけ新所得連動に切り替えるのがベストにならないですか。だって,払わなくていいわけですよね。所得が高いときに払わなくて,払わないときには新所得に切り替えた方がいいということなので,合理的な個人だったら,全員が定額を選ぶんじゃないですか。そんなことはないですか。


【小林主査】  どうぞ。


【濱中委員】  今回の新所得連動型は,返還が特に困難な人に対する救済策みたいな議論になっているのですが,私の理解はちょっと違っていて,新卒3年ぐらいまでの所得分布を見たときに,現行の1万4,000円,1万5,000円を毎月返すというのはかなり重たいのではないか、そこに対して,最初の数年間の返還額を少し下げるようにするという点に,この新所得連動型の意義があるというふうに理解しています。


【赤井委員】  1,3年目から。


【濱中委員】  特に最初の何年間かは,かなり所得が低いですから,その期間の負担が重過ぎるだろうという理解です。所得の平均値は学生にとって所得の期待値ですから,期待値近傍での返還負担が軽くなると考えると,新所得連動型を選んだ方が合理的だとは思うのですが,確かに将来高くなったときに返せないということを心配する人もいるかもしれないので,どう出るか分からないですけれども,必ずしも定額が有利ということにはならないかと。


【樋口委員】  定額に戻したときの定額の金額が幾らになるかということです。


【赤井委員】  もちろんそうですね。


【樋口委員】  要は。変動で,所得が低いときに安くして,また今度,所得が増えたら定額へ戻したときの定額が,ほかの定額,最初から選んでいる人と同額ですということであれば,おっしゃるように繰り返し繰り返し所得が下がると連動にして,所得が上がってきたらということになるから。


【赤井委員】  行ったり来たりができる,でも。


【樋口委員】  それはまさにそういった問題は起こるので,その定額へ戻したときの定額というのが幾らの定額なのかと。


【小林主査】  これは決まった額で,例えば私立自宅で言いますと1万4,400円ということに。


【樋口委員】  だから,それであるとすると,返還期間を延ばすだけであってという話が出てくるだろうなと。そうすると,リピーターが出てくるだろうなという。変更についてのリピーターです。という心配です。


【赤井委員】  でも,1つ目はできないということですから。


【小林主査】  1つ目はもう,ですからやめましょうと。


【樋口委員】  1回目はね。


【赤井委員】  いやいや,所得から定額は。1つ目は,ここに書いている。


【樋口委員】  もうリピーターはない。


【小林主査】  ええ,それは。


【赤井委員】  所得から定額はしないと。定額から所得をするかどうか。


【小林主査】  そうですね。ですから,リピーターは起きないですね。


【赤井委員】  片一方はもうとめたので。もう一方をどうするか。そんなにいないんだったら。


【小林主査】  いずれにしても,返還するということは当然のことなので,それを毎月の負担額がどうなるかとか,返還期間がどうなるかという,それだけの差といえばそれだけです,逆に言うと。利子も発生しないわけですから。


【赤井委員】  片一方なら,そんなに問題は起きないかな。本当にかわいそうだ。だから,この定額から所得連動を許すかどうかというのは,まさにばりばり働くぞと思っていたら,職が見つからなくて,それをずっと何年間も続けているという人が定額を払い続けざるを得ないというのが。


【樋口委員】  そういうことだね。


【赤井委員】  またニュースになって,それなら切替えさせてあげましょうみたいな話ですね。そういうことまで想定したら,切替えさせてあげてもいいかもしれないです。


【小林主査】  返還猶予と減額返還を使うと,15年ぐらいはもつのですけれどもね。そこから先がもたないというような人をどうするかということです。


【赤井委員】  が,どのぐらいいるかということです。


【小林主査】  これは先ほど,既に返還を開始している場合についても,その場合,救済措置としてそういうことも考えた方がいいという議論もありましたので,そうなりますと,既に返還している人について適用するなら,これは新しい人についても適用するというのは当然になりますので,併せて考えてみたいと思います。


ただし,今の減額返還制度とかを柔軟に適用すれば,それで済んでしまうというような意見もありますので,そのあたり,どっちが優しい制度になるか,あるいは逆に。


【赤井委員】  使い切った人。


【小林主査】  返還回収がどうなるかというようなこともありますので,その辺を含めて少し考えてみたいと思います。


よろしいでしょうか。


そうしますと,まだ決着がついていない部分が幾つか残りましたけれども,きょうはかなり大きな問題で,1つは,繰り返して申し上げますと,貸与回数については現行のとおりということで,貸与年齢の制限については,これは今のところは考えないと。ただし,検討する事項として残されているということです。特に年齢以外のもので何らかの,要するに,これはリスクが非常に高い人をどうするかという問題なので,それは考える必要があるということです。


それから,(3),(4)については,特に御意見がなかったと思います。


それから,(5)については,当然検討の課題であるということは合意できているということですね。(5)と(6)あたりはそういうことだと思います。


(7)については,今申し上げたとおりで,少し検討の余地がある。


それから(8)番についても,もう少しいろいろなことを考えなければいけないというようなことで,きょうは全体としては特に結論は出なかったと思います。


(9)番については,今申し上げたとおりで,新所得連動型から定額型については認めない。しかし,定額から新所得連動については認めてもいいのではないかということで検討する必要があるということです。


それから,最後に大きな問題として,保証制度については,原則という言い方がいいかどうかについては,事務局ともう少し,先ほどちょっと含みがある言い方になっていますので,「原則として」という言い方がいいかどうかについても検討しますが,機関保証に一本化する。これは構成としては定額も含めて一本化するということでいきたいということ。


そういうことでよろしいでしょうか。


ありがとうございました。


そうしましたら,大体予定の時間になりましたが,もう1回ありますので,検討すべきことについて,何か御意見ございませんでしょうか。


そうしましたら,最後に,次回の日程について,事務局から御説明をよろしくお願いいたします。


【川村課長補佐】  次回,第12回は,8月の開催を予定しております。日時,場所については,決定次第御連絡いたします。


なお,配付資料のうち,クリップどめの机上資料につきましては,そのまま机の上に置いていただければと。恐縮でございます。


【小林主査】  ありがとうございました。


それでは,以上で,所得連動返還型奨学金に関する有識者会議(第11回)をとじさせていただきます。皆さん,どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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-- 登録:平成28年09月 --