所得連動返還型奨学金制度有識者会議(第7回) 議事録

1.日時

平成28年2月29日(月曜日)14時~16時

2.場所

東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター 国際会議室

東京都港区芝浦3-3-6 東京工業大学(田町キャンパス) キャンパス・イノベーションセンター1階

3.議題

  1. 所得連動返還型奨学金制度について
  2. その他

4.出席者

委員

小林委員,赤井委員,阪本委員,島委員,濱中委員,不動委員,吉田委員

文部科学省

松尾大臣官房審議官,井上学生・留学生課長,川村学生・留学生課課長補佐

オブザーバー

高橋理事長代理(日本学生支援機構),宗野顧問弁護士(日本学生支援機構),藤森奨学事業戦略部長(日本学生支援機構),大森常務理事(日本国際教育支援協会)

5.議事録

【小林主査】  それでは時間になりましたので,ただいまから所得連動返還型奨学金制度有識者会議第7回を開催いたします。皆様には御多忙中にもかかわらず御参集いただきまして,誠にありがとうございます。


なお本日,樋口委員は欠席です。また本日は,保証制度について議論を深めるために,機関保証の実施機関であります日本国際教育支援協会の大森常務理事に陪席を頂いております。よろしくお願いします。


それでは議事に入ります。まず議事概要の確認についてですが,資料1の第6回議事概要(案)の内容を御確認ください。修正等の意見がありましたら,3月7日までに事務局まで御連絡いただきたいと思います。その後,私と事務局の方で修正内容を調整させていただいた上,議事概要として確定させ,文部科学省ウエブサイトに掲載させていただきますので,よろしくお願いいたします。


それでは議事を進めます。前回会議,第6回では,新制度における回収割合シミュレーションや,各返還率に応じた返還例などを参考にしながら,第1次まとめの素案を取りまとめたところであります。それに関しまして,今月の10日から23日にかけて,短い期間ではありましたが,パブリックコメントを実施したところであります。事務局から,パブリックコメントの状況や回収割合シミュレーション等の資料について,御説明をよろしくお願いいたします。

【川村課長補佐】  それでは資料を御覧いただければと思います。資料2でございますが,こちらは新たな所得連動返還型奨学金制度の創設,前回と同じ概要資料でございますので,省略させていただきます。


資料3でございます。新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について(第1次まとめ)(素案)ということで,こちらがパブリックコメントをかけた資料でございます。前回会議からの変更点についてのみ,簡単に御紹介させていただきます。


11ページを御覧いただけますでしょうか。11ページ(6),下の方にございます最低返還月額でございますが,こちらについては要検討となっておりましたが,2,000円から3,000円ということで記載をいたしております。


次のページ,12ページでございますが,返還猶予の申請可能所得及び年数につきましては,前回の御意見を踏まえて,通算10年又は15年ということで追記をいたしました。


それから(8)の返還率,これは前回会議では8%から12%までございましたが,前回会議の結果を踏まえて,9%又は10%と記載しております。

(9),返還期間につきましては,前回,35年間,65歳までというパターンもございましたけれども,前回の御議論を踏まえて,返還完了まで,又は本人が死亡又は障害等により返還不能となるまでということで記載をいたしております。


それから,15ページでございます。(12),保証制度でありますけれども,こちらにつきましては,人的保証と機関保証の選択制というものも選択してございましたけれども,前回の御議論を踏まえて,原則として機関保証ということでパブリックコメントをかけさせていただきました。


変更点の説明は以上でございます。続きまして,資料4でございます。


資料4につきましては,今回パブリックコメントに寄せられた意見の概要でございます。実施概要,平成28年2月の10日から23日まで,意見総数は430件でございました。机上の方に,意見の全体のものを束ねておいております。それは別葉になりますけれども,横表で1ページからございます108ページまでの資料が意見全体,その後に,国立大学協会からの意見ということで別葉,それから奨学金問題対策全国会議からの意見ということで,こちらはまとめて中に記載することが困難な部分もありましたので,別葉で置かせていただいております。これらの意見をまとめまして論点ごとに整理をいたしましたのが,資料4でございます。


論点ごとに意見を御紹介させていただきます。まず対象となる学校種につきましては,大学院への拡大方向性については是非実現していただきたいという御意見がございました。


奨学金の種類につきましては,無利子奨学金から先行的導入に賛成,有利子奨学金についても速やかに導入すべきという意見がございました。

(3),申請時の家計支持者の所得要件は,全員適用案に賛成ということでございました。貸与開始年度,平成29年度からでございますが,これは賛成とする意見。


それから次のページでございますけれども,早急な創設実現をお願いしたいという御意見。一方,拙速な導入を避け,十分に議論すべきという意見もございました。


(5)につきましては,返還を開始する最低年収でありますけれども,現行制度からの最低年収ゼロ円継続に賛成という御意見。また,年収ゼロで生活している人に返還を求めるべきではない,生活保護基準と同額にすべきといった意見。また,この基準として,経済的困難として現在猶予が認められる年収300万円とすべきという御意見。さらには,奨学金の需給を検討する方や保護者の誤解を招かないよう,返還猶予について,返還猶予の可能所得及び年数との関連付けをきちんと追記すべきであるという御意見がございました。


それから(6)の最低返還月額につきましては2,000円から3,000円で,これにつきましては現在の経済状況下で賛成という御意見。また一方で,非課税所得の方,年収ゼロの方にとっては,2,000円から3,000円でも負担が重いので,支払をさせるべきではないという御意見がございました。


(7)の返還猶予の申請可能所得及び年数につきましては,これは賛成とする意見。一方で,申請をなく期間の制限なしに猶予すべきという御意見。また,この年収は300万円を下らないようにすべきという御意見がございました。


続きまして,3ページ,(8)の返還率でございますが,9%又は10%につきましては,現状では賛成であるという御意見。それから2つ目につきましては,飽くまで返済者の返済資力を適切に判断するという視点に立って算定すべきであって,奨学金事業の採算を優先すべきではないという御意見。それから,専門的な記述についてはもう少し簡易にすべきという御意見もございました。


(9)の返還期間につきまして,これにつきましては,異議なしとする御意見。一方で,法律改正を行い,返還免除制度を導入することを前提に返還期間を検討すべきとする意見。また,60歳で大学に入学しても貸与を受けられるように,返還期間は65歳を上限とすべきではないという御意見がございました。


(10)の所得の算出方法については,賛成という御意見のみでした。


(11),個人主義又は家族主義につきましては,公平性の観点から家族主義の観点を採用することが必要との御意見。また,扶養者のマイナンバー提出には反対であって,家族の所得証明の任意提出ということが望ましいのではないかという御意見。また,返還者が被扶養者の場合に,返還額を扶養者の収入を勘案して決定することはやめるべきであるという意見で,個人主義を採用すべきという御意見がございました。また,離婚等で被扶養者でなくなったときに,所得連動返還型に戻ることを認めるべきという御意見がございました。また,マイナンバーの活用に当たっては,大学事務の過度な負担が生じることのないようにすべきという御意見もございました。


それから(12)の保証制度につきましては,後ほどまとめて御議論いただく予定でございますので,一旦省略をさせていただきます。


(13)の返還方式についてでありますが,これについては賛成,また,卒業後の返還開始口座確認時においても改めて確認した方がよいという御意見がございました。


それから(14),その他制度全般について以降でございます。まず,どうやって回収するかではなく,どうしたら多くの若者に学ぶチャンスを与えられるかという視点から議論すべきである。また,本来であれば諸外国並みの給付型奨学金,また学費無償化が望ましいが,次善の策としては現状では望ましい方向であるという御意見。また,この制度を導入するのであれば,返済状況や就職状況等,大学の情報公開をしっかり行うべきではないかという御意見。既に返還を開始している方にも適用すべき,また,現在の奨学生にも選択できるようにしてほしいという御意見がございました。マイナンバーを安易に活用すべきではないという御意見。一方で,マイナンバーを活用して源泉徴収する仕組みを導入すべきという意見もございました。新たに公費を投入する制度とするのであれば,その対象は一定水準を満たす教育機関において学び,知識・技能等の習得状況が良好な者とすることが望ましいという御意見。シングルマザーや小さい子供がいる場合の負担感を考慮すべき,また,有識者会議に利用者を含めるべきという御意見もございました。


それから5ページ2点目のところは,今回の所得連動に限らず,制度全体について寄せられた意見ということで整理したものでございます。まず,給付型の支援,給付型奨学金が必要であるという御意見。その場合には厳格な評価を行った上で導入すべきという御意見。無利子奨学金の拡充をすべきという御意見。また,特定産業等への貸与就職者に関わる返還免除制度,こちらについて寄附金,またその税制の在り方を含めて検討すべきという御意見。


奨学金残高等に関する税額控除制度を設けてはどうかという御意見。理工系の学生への貸与を優先すべきであって,人文社会科学系大学等への学生への貸与はやめるべきであるという御意見。貸し過ぎないようにする制度も必要であって,上限の範囲で必要な額だけ引き出せる仕組みもいいのではないかという御意見。生涯学習の観点から貸与年齢の制限を行うべきではないという御意見。


機関保証の月々の保証料が高過ぎるという御意見。奨学金と学資ローンとを区別すべきであるという御意見。それから,年収300万円以下は返還を自動的に猶予して,300万円を超過した場合に,扶養等を考慮して,マイナンバー制度でその返還を給与所得者については天引きをするという制度を検討した方がいいという御意見。


さらに,返還充当順位の改正を行うべき,延滞金を廃止すべき,返還猶予期間の延長を検討すべき,また,日本学生支援機構の裁量により返還猶予の利用を制限することはやめるべき,また,救済制度の適用が不承認となった場合に,それを審査する第三者機関を設置すべきという御意見。

また,猶予制度その他の収支については各段階で周知すべき,それを法律上義務化すべきという御意見。また,猶予の利用期間の制限を設けないとすべきという御意見。猶予を過去に上って申請・適用できるようにすべきという御意見。延滞が生じ又は生じるおそれがある場合の救済制度,こちら記載の制度を充実すべきという御意見がございました。


それから3点目として,教育費負担全般について寄せられた意見ということで,学費が高過ぎるという御意見。また,18歳から22歳の進学しない方に全員年150万円を支給し,23歳から40歳にかけて所得税を一律10%として所得の再配分を図ることとしてはどうか。高校以上の上級学校学費無料制度も検討してはどうか。


日本における教育分野の国家予算が他の先進国と比べて低い水準であることは懸念すべきという御意見。国際人権規約について言及すべきという御意見。防衛費を削って財源を捻出し,大学の授業料無償化,給付型奨学金制度を導入すべきという御意見がございました。

意見の概要は以上でございます。これに基づきまして,シミュレーションを2つ,お示ししております。


まず資料5の1枚目でございますけれども,新制度における回収割合シミュレーションというものでございます。こちら,御意見の中で,最低の返還月額はゼロ円とすべきではないかという御意見がございました。これに基づきまして,このゼロ円とするパターンも含めてシミュレーションをしてまいりました。ゼロ円と申しますのは,課税対象所得に返還率を掛けた値がずっと増えてきますけれども,それが2,000円となるまではゼロ円ということで,2,000円を超えた場合,2,000円から返還がスタートするというシミュレーションでございます。


バーが9本並んでおりますけれども,左のオレンジのバーが現行の制度で,真ん中の赤いバー,それから右側の緑と青のバーが新所得連動返還型制度でございます。この新所得連動返還型の機関保証のみという,真ん中の3本のバーを御覧いただければと思いますけれども,最低返還月額,左からゼロ円,2,000円,3,000円となっております。最低返還月額ゼロ円の場合には,下の方の数字がございますけれども,回収不能額という下から2列目の数字でございますが,これが491.3億円という数字がございます。これが最低返還月額をゼロ円とした場合の,将来未回収となることが予測される金額でございます。それが2,000円になりますと82.4億円,3,000円になりますと17.7億円ということで,だいたい400億円程度の差が生じてまいるということでございます。


これは機関保証のみとした場合でありますけれども,右側の機関保証と人的保証を仮に選択とした場合になりますと,全体的に未回収金が増えまして,ゼロ円とした場合は563.2億,2,000円とした場合は187億,3,000円とした場合は114億ということでございます。


その下のところにありますのは,現在の制度からの増減額でありまして,例えば先ほどの最低返還月額ゼロ円とした場合の赤のバーでありますけれども,マイナス344.5億というのがございますが,現在の返還状況からして344億円の回収金の減が見込まれるというデータでございます。

それから次のページでございますけれども,これは新所得連動型においてということで,今回論点になっております2,000円,3,000円というものと,9%,10%というもので,それぞれシミュレーションをしたものでございます。


右側の4本のバーを御覧いただければと思いますけれども,赤いバーのところ,左側が2,000円,9%,その右が2,000円,10%ということでございます。回収金の予測は,下の列の下から2行目にございます82億と71億ということでございまして,この9%,10%を変えることによって,率としては0.3%の回収の増ということでございます。右側,最低返還月額3,000円の場合につきましては,回収率9%,10%と変えることによって,回収額の未回収の予測が17億円,14億円ということで,これは0.1%の回収額の差ということでございます。これが論点それぞれ,別の回収金の予測割合でございます。


それから次の資料6でございますけれども,資料6につきましては,これまでお示しをいたしておりました無利子奨学金の返還者の収入状況のグラフでございます。前回お示ししたところから,手当の考え方等につきまして修正がございましたので,改めて御紹介するものでございます。25歳から29歳,30歳から34歳,35歳から39歳で,だいたい年収300万円未満が40%程度というデータとなっております。


説明は以上でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。それでは,ここからは,これまでの御説明資料に基づきまして,第1次まとめ案について御意見を頂きたいと思っております。議論に当たりましては,ほかに参考資料ありますので,そちらも参考にしていただきたいと思います。


それから,非常にパブリックコメント,430通頂きまして,短い時間にたくさんの御意見いただいたことを,主査として御礼申し上げます。ただ,全ての論点を採り上げるということがなかなか短い時間でできませんので,主にその中でも論点が分かれている点について御意見を頂ければと思っております。


初めの例えば大学院まで含めることについては特に御異論はなかったわけですから,こういった点については省きまして,有利子奨学金についても速やかに導入すべきだという点については,ほかの御意見はありませんので,こういった点はこのまま御意見としていただきたいと思いますが,その後からは若干意見が分かれております。その辺りについて御意見をいただければと思います。


3番,4番ですが,この4番のところについては,早期にという点と,拙速な導入を避けて十分に議論すべきだという,ある意味対照的な意見が出ているわけですけれども,これは制度の設計に関わる問題でして,あるいは全体の進行に関わる大きな問題ですけれども,これはここで余り意見を頂いてもどうしようもないといったところでもありますので,これについては特に意見を頂かなくてもいいかとは思いますが,よろしいでしょうか。


時間があれば,もちろんこういった点も議論していきたいと思いますが,一番大きな論点として残っているのは,返還を開始する最低年収のところでありまして,これについては非常に大きく意見が分かれておりまして,現在の素案に賛成するという方と,年収ゼロで生活している人から2,000円でも3,000円でも取るというのはいかがなものかという御意見はたくさん頂いております。それから更にそれを300万円まで引き上げるべきだという御意見も,そこにあります。これについてはいかがでしょうか。これはかなり大きな論点ですが,先ほどのシミュレーションの結果を見ていただいて御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。


シミュレーションの方は,先ほど説明がありましたように,資料5,1ページ目の機関保証のみの場合は回収率が86.2%ということになるという試算になっているわけですが,それを踏まえまして御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【吉田委員】  失礼します。資料5を見ますと,機関保証と人的保証を仮に混ぜた選択制の一番右側の3本のバーを比べますと,最低月額ゼロ円でシミュレーションした場合に,現行予測と比較をして,416億円,総回収額が減るということなんですけれども,これは,課税対象所得がゼロ円の方に対して2,000円ないし3,000円の返還を課さない場合には財政支出が416億円あるということを意味しています。この数字をどのように考えるのか,つまり,財政支出,国庫負担が許せば,生活保護に値するような方たちや課税対象所得がゼロ円の方たちに対しては返還をゼロ円とするということもありうると思います。このシミュレーションの400億円をどう考えるか非常に難しい問題ですが,検討する意味はあるのではないかと思います。


【小林主査】  年収ゼロ円の方からはゼロ円でいいという,こういうことを検討すべきだという御意見ですね。


【吉田委員】  そうです。ですので,この1次まとめの素案ですと,5番目の年収ゼロ円から返還開始と記載がありますけれども,課税対象所得がゼロ円を上回ったときから返還を開始するという案も考えてみる必要があるのではないかという意見です。


【小林主査】  ありがとうございました。課税対象所得ゼロの人からは取らないと。それ以上の方について2,000円から始めていくという,そういう御意見ですね。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。

【赤井委員】  赤井です。済みません。確かに課税もされていないような人から取るのかという感情論的になってくると,なかなか反論も難しくなると思うんですけれども,その分400億円という財政出動が必要になってくるというところで,それをどう考えるか,同じ意見かもしれませんけれども,国の財政も厳しいので,その400億円というぐらいの出動に見合うだけの効果があるか。効率性じゃなくて公平性の話になってくると,効果って難しいんですけどね。だからそこはやっぱり国民全体で議論していかないと,なかなか難しい話なのかなという気はします。


本当に生活が苦しい人は生活保護みたいな制度があるので,余り言うと怒られるかもしれませんが,課税所得よりも下回っていても,2,000円,3,000円は,借りた分のを徐々に返していくという意味の本来の趣旨からすれば,返せる範囲だとみなす考え方もあるかなと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。今,お二人対立といいますか,パブリックコメントでも両方の意見が出ているわけですけれども,ほかの委員の方,いかがでしょうか。


どうぞ。


【島委員】  まず,所得ゼロ,課税所得がない方に対しても保証金を求めるのかという,そのまず前提として,僕の理解では,これまでそういった人たちに対して返済猶予というものがあるということを前提に議論をしているということを,いま一度確認をしておいた方がいいのかなというのが1点。

あと赤井先生がおっしゃいましたように,効果という問題もあるんですけれども,実際打ち出の小づちではないので,この400億というものは,実を言うとめぐりめぐって将来世代の人たちが負担をしなければいけないという400億でもあるわけなので,そこのところに関しては同じように気を付けなきゃいけないんじゃないかと個人的には思っています。


【小林主査】  それは猶予の問題と関連付けて考えるべきだという御指摘だと思いますが,猶予については,特に10年か15年かというのが前回ありましたが,猶予制度自体についての反対意見というのは特にないのですね。ただ,次のところにありますように,期間的に無期限にすべきだという御意見はパブリックコメントの中には出ているのですけれども,特に猶予を廃止するとかそういう御意見は出ていないので,それと併せて考えるべきだということは非常に重要な指摘だと思うのですが,ただ,その場合どうするかという,結局結論的にはいかがでしょうか。


【島委員】  猶予に関しては,今考えていることとして,猶予の申請のプロセスでいろいろ出さなきゃいけない書類だとか,そういった申請のプロセスのところに改善の余地が必要なのではないかというのが1点。


もう1点は,そうした申請を受ける日本学生支援機構の体制の方ですね。ちょっと話が膨らんでしまうかもしれませんけれども,猶予だけではなくて,今後新制度を導入となったときに,物理的に制度が複数になるという意味で複雑化しますので,これは第1回の会議でも言ったことでもあるんですけれども,新制度の導入に基づくJASSOのユーザーに対する支援体制の充実ということと含めて,現状も猶予という申請のプロセスで,いろいろ対応の部分で問題が,問題というのは適切じゃないかもしれませんけれども,より利用していただきやすいような形でのJASSO側の対応,サービスの充実というか,そういったことも考えなければいけないんじゃないかと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。返還猶予についても申請主義をやめるべきだというパブリックコメントも頂いているわけですが,確かにそれはこの問題だけじゃなくて,JASSOの体制そのものも,もう少しプロセス含めて改善を図っていくということは当然ですし,情報提供も十分行わなければいけないということもあるかと思いますが,ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。


【阪本委員】  まず,所得ゼロ円という人たちの中には,配偶者の所得というようなもので生活している人たちも含まれているということが,恐らく多分,この資料では分かりにくいのではないかとも思います。なので,その部分が,先ほどの返還猶予と二つが,少し分かりやすい記述にするべきではないかなと思います。


もう一つなんですけれども,この回収割合のシミュレーションを見てみますと,月額最低2,000円で9%にしたときに,現在よりも回収率が高くなるということですから,この部分を,もう少し月額最低額を下げるという議論はしてもよいのかなと思います。また,あるいはこの部分は,前回の会議で赤井先生がおっしゃいましたけれども,機関保証の分をここら辺から出していくという形で,何とかここをうまく使って,現在よりも回収額を上げるという形が本当にいいのかどうかというところは,少し議論はしておいたらいいのかなと思います。


【小林主査】  前半の部分に関しては,この第1次まとめ案の中では具体的に確かに書かれていないので,分かりにくいということは御指摘のとおりだろうと思いますので,それは事務局と相談して,少し考えさせていただきます。ただ,資料としては,年収ゼロ円に当たる人はどういうタイプの人がいるかといいますか,そういうことは前回も出しておりまして,本当に困っている方から被扶養者になっている方,その場合も,いわゆる専業主婦に当たる方でありますとか,ニートのような人まで,様々なタイプがあるわけですので,その辺を分けて考えなければいけないということは御指摘のとおりだろうと思います。


後半の部分については,機関保証の問題と併せて,また議論していければと思います。ありがとうございました。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。


【濱中委員】  所得に連動すると言っているので,課税対象所得がゼロ円の場合には何を掛けてもゼロ円ですから,課税対象所得がゼロ円の人に返還を求めるのは適切なのかという点は,確かに疑問がないわけではありません。


ただ,その場合も,次の最低月額とセットで考えることが必要で,返還のことを考えるとそれでもやむを得ないというのであれば,やはり次の最低返還月額を,今,2,000円から3,000円になっていますけれども,なるべく2,000円の方とか低い額,できればもう少し低くてもいいのかなと思います。今,阪本先生おっしゃいましたけれども,1,000円,1,500円でもいいのかなと思いますので,そこでバランスを取っていくほかはないのかなというのが私の意見です。


【小林主査】  ありがとうございました。


不動委員,いかがですか。


【不動委員】  先ほど来のお話ありましたとおり,年収ゼロ円という方も非常にいろいろ多岐にわたっていらっしゃって,体調がおかしくなって働けなくなったとか,そういった方については返還猶予制度というものがあるなど,いろいろ事情はあると思いますので,基本は最低返還月額2,000円,3,000円という最低限のところで返還していっていただいて,もしいろいろな事情で返還できないというところについては,柔軟に猶予制度を運用するということが解決策なのではないかなと私は思います。


【小林主査】  一通り御出席の委員の方から御意見を伺いましたけれども,これも今まであったように分かれているわけでありまして,これはどうしてもトレードオフの関係でありますので,なかなか決着が付く問題ではないと思います。


ただ,これはまたほかの問題と非常に大きく関わっておりまして,これもいつものことなんですが,今不動委員が言われた返還猶予の問題とか,それから機関保証の問題とか,様々な点と関わっております。それから5番だけ採り上げましたけれども,実際にはもう6番の議論に入っておりますので,ここでは,委員会は第一次まとめを出すまで,もう1回ありますので,現在のところは課税対象所得ゼロから始めるという意見もあったということで,あるいは最低返還月額についても,ゼロ円からというのも意見としてあったという形で採り上げておきたいと思いますが,いかがでしょうか。


よろしいでしょうか。あえてここでは一つのコンセンサスというのは,今回の委員会では求めないということでいかがでしょうか。ありがとうございました。


それで,もう一つ,6番は今の集約でよろしいかと思いますが,7番についてですが,期限の際限なしに猶予すべきという御意見と,300万円を下らないようにすべきだという御意見が二つあるんですが,これについてはいかがでしょうか。


これも,ですから当然,その上の問題と関わっておりまして,猶予の期限の制限がないということになりますと,実質的にいき値が300万円に設定したというのと,ただ,申請は猶予ですから要りますけれども,そこが違うだけですけれども,それについてはいかがでしょうか。

【赤井委員】  確認ですけれども,これ,無期限にすると,結局さっきの話のゼロ円にするというのと一緒になるんですよね。


【小林主査】  そういうことです。いき値が300万円に設定したのと同じ。ただし,猶予ですから申請は要ります。そこが違うだけになるということですね。


【赤井委員】  意見としては,やはり返すというのが原則ということで,特別な人だけ,特別な状況にある場合だけという意味合いからすれば,無期限よりかは,やっぱり期限があった方がいいかなと思います。


【小林主査】  期限を設けるべきだと。素案のとおり,10年か15年かということですけれども,それについて,ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。


【島委員】  繰り返しになる部分もあるんですけれども,先ほど申し上げましたように,経済的に厳しい状況にある方に対しての返還猶予制度ということである場合に,前回も言ったことですけれども,10年ではなくて15年に延ばすということを検討してはどうでしょうかというのが,前回の繰り返しになりますけれども,1点。


加えてですけれども,先ほど言ったことなんですけれども,猶予制度をより利用しやすい形の事務的なプロセスの改善ということがもう1点。


最後,3点目になりますけれども,そうしたユーザーが多く日本学生支援機構を利用するようになる,さらには,より質の高いサービスが求められるようになるといったときに,日本学生支援機構の体制を充実させるような何らかの手当てが必要なのではないかというのが3点目になります。


【小林主査】  申請のプロセスの改善ということですけれども,もう少し具体的に,どういう改善が必要だとお考えでしょうか。


【島委員】  僕が答えるのが適切なのかどうか分からないんですけれども,現状で言われているように,今の申請プロセスで出さなきゃいけない書類の量だとか記載事項の内容だとか,あとはそういったものを記載する仕方として電子的な申請が可能になるだとか,ごめんなさい,これ,部分的に既にできていることなのかもしれませんけれども,そういったところについて可能な改善をなるべくしていく,そういう趣旨で理解していただければと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。今のところ,無制限ということに賛成の委員の方はいらっしゃらないのですが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【濱中委員】  賛成する意見を出すわけではないのですが。無制限にするというのは,単に猶予の問題じゃなくて,制度の性格をかなり大きく変えることになるはずです。無制限に猶予をするということは,年収ゼロ円の人はいつまでたっても返還を求められないという仕組みになるのと同じですから。先ほどの5番,6番の議論でもこれだけ意見が割れるということであれば,猶予を無制限にするということでも当然割れざるを得ないので,今までの流れからいったら無制限の猶予というのはちょっと難しいかなと。やはり10年,15年,期限を区切ることは必要だと思います。

前回の会議のときにも申し上げましたが,猶予の年限を延長するということは,やはり現在返還している方に対しても適用せざるを得ないと思うんですね。そうなると,現状返還中の方の返還率にも大きく影響する問題ですので,そこはまた,データの根拠なしに返還が大変だから15年にしていいという判断は,私はちょっとしにくいかなと考えます。


【赤井委員】  定額の方も15年にしないといけないんじゃないですかね。


【小林主査】  この場合は二つは当然同じことになると思いますので,定額の方も,その場合は10年から15年に延ばすということになるわけですが。いかがでしょうか。


特に期間の制限なしということについての賛成の御意見はいらっしゃらないので,原案のとおり,10年又は15年で,しかも15年についても慎重に考えるべきだと今御意見も伺いましたので,そこを含めて更に原案を検討していきたいと思います。


それから300万円を下らないようにすべきというのは,これはどこのところで区切るかという問題ですので,これもシミュレーション等でやっておりますので,私は原案のとおりでよろしいのではないかと思っていますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。


先ほどありました課税所得ゼロのところでというのは一つの考え方としてあると思いますけれども,猶予とは少し別の問題ですので,原案のとおりにしたいと思っております。


それから返還率,8番のところですが,これについては,なかなか根拠がないということといいますか,いろいろな御意見があったわけですけれども,9%又は10%で,これはきょうお示ししたシミュレーションを見ていただきたいんですけれども,実はそれほど,9%と10%では余り変わらない。これは既にかなりの率まで回収できるというシミュレーションになっていますので,もちろん10%の方が,回収率が若干ではありますが高くなるわけでありますけれども,前々から出ていますように,これは返還の期間が早くなるということが非常に大きいということでありますので,これもきょう最終的な決定は必要ないと思うのですけれども,このシミュレーションの結果を尊重するということも一つの考え方だろうと思います。


ただし,もちろん金額的にもそんなに,数十億ですから,小さい金額とは言えないわけですから,この辺はきょうのシミュレーションを見て,また検討していきたいと思いますが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【赤井委員】  スイッチの定額と所得連動,どちらを選ぶかという話に,9%と10%で,多分若干違いが出てくると思うんですね。10%になると定額を選ぶ人が増えるんですよね。そうすると,この差がもっと小さくなるんですかね。多分そうですね。なので,そこはもうちょっと,一つ,情報かなと思います。だからというわけじゃないんですけれども。


【小林主査】  傾きが急になるほど定額との交差点が近付いてきますので,その問題が生じるというのは御指摘のとおりだと思います。


それから最後の,本文の記述が専門的な視点での記述になっているというのは,これはある程度,やむを得ないとは思いますけれども,できるだけ丁寧に説明するということは非常に重要ですので,これについてはできるだけ分かりやすい説明の仕方を考えていきたいと思っております。またこれは事務局と相談して決めたいと思っております。


それから9番目が大きな問題ですが,返還完了まで,又は本人が死亡・障害等により返還不能になるまでということでありますが,これについて60歳を上限とすべきでないという意見が多くて,特にこれについてほかの意見というのは,ここではないとなっているのですが,私がパブリックコメントを読んだときに,ずっと最後まで,死亡時までというのはどうかという意見も若干あったように思うのですが,事務局,それはありましたよね。


【川村課長補佐】  それは,済みません,二つ目の意見にまとめさせていただいておりまして,法律改正を行って返還免除をすることにより,ずっと支払を続けるのではなく,どこかで切るべきだという形での御意見はございました。


【小林主査】  これは前回のときにも,法律改正が必要になるということなので,今回の結論としては間に合わないのではないかという意見ということで,先の検討課題という形で入ったと思っておりますけれども,御意見としては両方あったように私も記憶しておるのですけれども,今回は本人死亡又は障害等により返還不能になるまでという設計にするということでよろしいでしょうか。これは将来的には検討課題として残るということですね。法律改正をするということが前提になるということです。


それから10番については,特に御意見なく,賛成ということしかなかったのですが,11番に関しては,いろいろな御意見がありました。そもそもこれも意見として,前から委員の方からも頂いていますけれども,家族主義という言い方自体がもういいのかどうかということもありますけれども,ここで言っている家族主義というのは,どちらかというと世帯というものを返還の基礎と考えるという考え方に近いと考えていただければと思います。


これについても両方の御意見が出ておりまして,ここでは家族主義という形で原案をまとめさせていただいたのですが,これについては,こういった幾つかの御意見が出ておりまして,家族法の基本理念に反するとかそういったことまで御意見も出ておりますので,これについていかがでしょうか。

かなりこれも,何回もここでも議論いたしましたし,大きな問題ですが,個人主義を採用するというのも,パブリックコメントではかなり出ていると思うのですけれども,そのあたりについて御意見をいただきたいのですが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【阪本委員】  この場合,家族主義という言葉が,先ほど先生がおっしゃったように,もしかすると誤解を与えているかもしれないとは思うんですが,やはりここが一番モラルハザードを起こしやすいポイントではないかと思いますので,ここは慎重に検討していかないといけないのではないかなと思っています。


主査の方から論点として挙げられませんでしたが,この意見の中で特にやっぱり気にしておかなければならないのは,離婚等で被扶養者じゃなくなった場合という,これをどうするかということを明確にしておく必要はあるのではないかなと思います。


【小林主査】  それは次の論点として,済みません,挙げようと思っていたのですが,これも確かに今まで出てこなかったような,こういった個別のケースについては,いろいろなことが考えられると思います。


いかがでしょうか。


どうぞ。


【濱中委員】  ちょっと論点がずれるかもしれないのですけれども,私がずっと気になっているのは,家族主義にしたときに,特に結婚して,働きたいんだけれども,子供の養育,例えば保育所が足りないということが今かなり話題になっているわけでして,それが理由で仕事を継続することが困難なときに,本当は働きたいんだけれども継続できない,そのときに御主人の所得に連動して返還してくださいというのは,ちょっとおかしいかなというか,まずいのではないかなということはずっと考えていたんですね。


現行の所得連動型と呼んでいるものは,たしか子供が小さいときの保育する人がほかにいなければ,無期限猶予が認められているわけですよね。子供が小さい間というのは,年数がおおよそ決まっているわけですから,子供の養育のための猶予は現行の所得連動型の対象者以外についても,期限ありの猶予年数にカウントしないとか,そういったことを併せて検討していただいた方がよろしいのかなと思います。


現行所得連動の対象になっていない親の年収が300万円以上の全ての方にもそうしたルールを適用できれば,多少この家族主義,個人主義の問題も回避できるんじゃないかなと考えるわけです。


【小林主査】  現行の所得連動ではできるということですが,それを同じようなルールを適用したらどうかというのが御提案だと思うのですけれども,いかがでしょうか。これに反対するという人は余りいないんじゃないかと思いますが。


ありがとうございました。それから先ほど阪本委員からありました,離婚等で被扶養者ではなくなったとき,所得連動返還に戻ることを認めるかどうかという問題ですが,これについてはいかがでしょうか。御意見ございませんか。


これはある意味では自動的にそういうルールになるのではないかと私は思うのですが,いかがでしょうか。当然ながら被扶養者でないわけですから,もともと所得連動を選択していればそのようになるという理解でよろしいのではじゃないかと思うのですけれども,一つの問題は,機関保証でない場合にややこしいことが起きる可能性がありますけれども,それは保証の問題として後で採り上げたいと思いますので,これは現行でも認められるのではないかと思いますけれども。


ありがとうございました。それで,機関保証については後ほどまとめて,説明及びヒアリングの後,御意見をいただきたいと思いますので,13番の返還方式について。これはどちらかにするということを選ぶわけですが,入学時に学生が選択して卒業時までに返還を可能とするということで,これについては,これも保証の問題と若干関わってまいりまして,機関保証を選択するか人的保証を選択するかという議論とも関わってきますので,これもその問題と併せて,この点について,これだけについては特に御意見はなかったと思います。


はい,どうぞ。


【濱中委員】  この点について,確か国大協さんからのコメントの中で,なぜ入学時に選択しなければならないのか,その理由を説明してほしいみたいな御意見があったと思うんですが,一言で言えば契約の問題だからということだと思うんですけれども,議事録に残しておく意味も含めて,なぜそうなのかという点について,JASSOの方からですかね、ちょっと説明してもらえると良いかと思います。


この問題は,何年から新制度を導入するかという問題と実は結構密接に関与していて,私も最初考えたときは,拙速だという意見があるのだったら,返還が開始されるとき,つまり何年度の返還開始者からこの制度を適用するということにすればいいのではないかと思っていたのですが,どうもそうはいかないらしくて,やはり貸与開始時,入学時に全ての設計を済ませておかないといけないということらしいんですね。


その点も含めて,なぜ入学時に返還方法を決めなければならないのかという点について,なるべくきちんとした根拠で説明していただければと思うのですが,よろしくお願いします。


【小林主査】  よろしくお願いします。


【宗野顧問弁護士】  現行の学生支援機構の場合,最初の開始,入学して採用が決まった後に,返還誓約書をまず出してもらう。最初に契約書を出してもらって返還方法も決めてもらうという形を取っています。最初に契約行為がありますので,そのときに,返還方法は決まっていませんという契約の仕方は通常しないですし,あと,最後に決めるという話になると,普通にちゃんと単位を取って卒業される方もいれば,途中で例えば学校を中退されるとか,行方不明になっちゃう方もいらっしゃるというのがあります。そういったとき,最後まで決めないという形にすると,返還方法が決まらないまま契約関係が始まってしまい,要は期間の定めのある契約なのか,定めのない契約なのか,はっきりしない形になってしまうので,最初に選んでいただくという形がいいと考えます。


あとは今後の設計の話に関わるとは思いますが,保証料の関係で言いますと,最初,人的保証と機関保証を選ぶという話であれば,保証料を取るかどうかという話もありますし,保証料が通常の今までの機関保証と料率が変わるという話になると,最後に選択する方式を取ると,その差額を徴収するという金額の話も出てきますので,そういう意味では最初に一度選択していただくという形を取っているのだと考えます。


【小林主査】  ありがとうございました。今の説明を少し加えておいた方がいいということですね。それから,この後にも出てきますけれども,今,宗野弁護士からもありましたけれども,保証の問題とも関わってきますので,そういう意味でも,一旦は入学時に行うことが必要だということを,国民に分かるように説明しておいた方がよろしいということだと思います。


あと,5ページは様々な御意見が寄せられているわけで,所得連動だけの問題ではなくて様々な点ですが,例えば3番目のところで大学の情報公開を行うべきだというのは,これはもっともな御意見でありまして,これについては様々な形で大学の情報公開というのは進められているということもありますし,JASSOの方からも情報公開という形で行うということになっておりますので,そういったことは当然のことだろうと思っております。


既に返還を開始している者にも適用すべきというのは,これも幾つか御意見があったのですけれども,これについてはなかなか現実の問題として難しいというのが一番の御意見だったと思いますけれども,それからマイナンバーについては,国民的にいろいろな御意見があるということは当然なわけでありますけれども,これについても賛否が非常に分かれているところであります。ただ,この所得連動返還型につきましては,マイナンバーを活用しないとできないというのが大前提になって今まで進んできていますので,それは私としては外せないと思っておりますが,その次の源泉徴収にするということは,これは実は所得連動の一番重要な点でありますので,これは将来の検討課題として残しておきたいと思っております。


それから,下から2番目のシングルマザーや小さい子供がいる場合の負担感を考慮すべきというのは,先ほどの猶予制度を活用するということも一つあると思いますけれども,それ以外に何か方策は取られる可能性というのはあるでしょうか。何かこの辺,知恵があればと思ったのですが。今,国を挙げて,このことは,少子化の問題でありますとか様々な問題に関わって大きな問題になっておりますので,奨学金といいますか,学生支援の形でも何かできればということがあるかと思いますが,いかがでしょうか。


これは所得連動返還型だけの問題ではないのですけれども,一つの例として御紹介しますと,例えばイギリスだと,子供が小さいときに就学の支援するというのはあるのですけれども,親が勉強するときに就学支援するという,成人に対する支援というのがかなりあるんですね。日本では,こういった点はまだなかなか,社会人の学び直しと言われていますけれども,それに対する支援というのは余りないと思いますので,その辺りは今後の検討課題ということで挙げていただければと,私は個人的には思っております。


それから有識者会議に奨学金利用者を含めるべきだという御意見もたくさん頂いているのですが,これは事務局とも御相談させていただきますが,利用者というのは一体誰を指すのかというのがなかなか難しいのですね。ですからその辺り,具体的には特に書かれていないわけですので,パブリックコメントを求めて,特に利用者の声も聴いていると私は考えているのですけれども,この辺り,その他の制度全般について,14について,ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。


それでは次に,奨学制度全般について寄せられた意見ですが,これはもう圧倒的に給付型を求める意見が多数を占めておりまして,これは現在,国会でもこの問題はかなり採り上げられているとお聞きしていますので,これは当然,この会議の主題ではないのですが,今後の検討課題として,学生の経済的支援に関しては大きな問題だろうと思っております。


それから税制,寄附税制等についても,これも今までも有識者会議の中でも,この点については提案をしておりますし,より具体的に税額控除まで入れるべきだという意見もあるのですが,これはかなり新しいというか,前もこういった考え方を出されたと承知していますが,赤井先生,これ,奨学金残高に対する税額控除というのが,財政学的にはどのように考えられるのでしょうか。結局,奨学金の残高がある分は控除するべきだという考え方ですね。

【赤井委員】  済みません,勉強不足であれなんですけれども,残高の一部を税額から控除するんですか。残高丸々控除したら,税ゼロになりますよね。普通,そんなに払っている人はいないはずなので。


【濱中委員】  住宅ローンの控除と同じような仕組みを考えているのではないでしょうか。


【小林主査】  例えば何%控除するとか,そういう話だと思いますけれども。


【赤井委員】  それはローンだとみなすというお話ですかね。ちょっと考えて,また返答します。考え方次第だと思いますけれども。


【小林主査】  それから,貸し過ぎないようにする制度も必要だというのは,これは総額の問題を考えるということで,検討課題として出してあるわけですけれども,これについては,逆に余り制限すべきでないという御意見も意見として入っておりますので,まさしく今後検討する必要があるかと思います。それから授業料相当額を充当するべきだという考え方もありますので,この辺りも検討課題だろうと思います。それから貸与年齢の制限についても,これも全くここでは議論されておりませんので,今後の検討課題だろうと思います。


それから,その他いろいろな意見が寄せられておりますけれども,例えば異議申立制度ということまで提案があるわけでありますけれども,様々な意見,あるいは返還に関して問題が生じたときに,もう少し制度を充実させるべきではないかという御意見であろうと思います。その次も,先ほど島委員からもありましたけれども,プロセスの方をもう少し改善すべきだという御意見だと思います。それから先ほど出ましたように,現行の奨学金貸与者,あるいはさらに過去に遡って適用できるようにすべきだという御意見も頂いております。こういった御意見につきましては,今後の検討課題ということになるかと思います。


あと,いろいろな御意見がありますが,2番目についていかがでしょうか。特に何か委員の方から,これはもう少しこのようにした方がいいとか,あるいは,更にこのようなことが考えられるのではないかということがあれば,御意見として承りたいのですが。


はい,どうぞ。


【宗野顧問弁護士】  すみません,2番の貸し過ぎないような制度ということですけれども,現行の機構の方でもその辺りは配慮しています。適格認定といって,年1回,要は1年生,2年生と上がっていくときに認定をしてもらって,次の年度も借りるかどうかという申請を奨学生自身にしてもらうんですけれども,そのときに,スカラネット・パーソナルというホームページの方で,今この金額を借りたら将来幾ら返すことになるとか,増減をシミュレーションできるような形のホームページを作っていまして,その中で今の借入額で多過ぎないかというのを確認してもらい,翌年度の貸与額を検討してもらうという形を取っています。奨学生の自主性には委ねていますけれども,そういう形で,将来のことを踏まえて,今の貸与額が多過ぎないかということを検討してもらえる形を取っております。


【小林主査】  ありがとうございました。これは学生へのオリエンテーションとかそういうことと併せて,そういう今,仕組みも作られているという御説明だったのですが,ほかにいかがでしょうか。


どうぞ。

【吉田委員】  今の点について,高校生,そして高校の先生方に対しても,やはり奨学金を借りて大学で学ぶことということに関しての様々な情報を,もっと積極的に提供をしていくべきではないかと思います。ですので,シミュレーションでお金がこれだけ必要といったことは大事なんですが,それに加えて,もっと分かりやすい文章を,奨学金だけではなくて,例えば大学に進学し,また就職して,将来どのような職業に就いていくと,例えば平均的に給与がどれぐらいであるとか,そういういわゆるファイナンシャル・エデュケーションのようなものをもっと充実させて,高校生又は中学生ぐらいからそういった情報を積極的に提供していくということは,もっと充実すべきではないかと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。これも意見のところに,前回の有識者会議のときにもこの点は強調させていただいたのですが,なかなか例えば高校に負担も強いることになりますので,その辺りも含めて検討課題だとなったわけですけれども,これは非常に重要なことだろうと思います。特に所得連動返還型は非常に複雑な仕組みになっていますので,十分な周知が必要だというのは非常に御指摘のとおりですので,この辺は実際にこれから周知を徹底していくということは,非常に重要だろうと思っております。


ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。


【濱中委員】  貸し過ぎ,借り過ぎの問題には二つの側面があると思うんですね。現状で学生さんに貸し過ぎているかと問われれば,今の学費の水準を考えると,奨学金で全ての学費を賄えていないわけですから,半分ぐらいに過ぎないわけですから,今の貸与額もやむを得ない側面はあると思います。


もう一つの貸し過ぎの問題は,年齢の問題と関わってくるのですが,今,たしか無利子の奨学金でも,何度でも同じ学校種で応募できる? それは無理ですか。


【藤森奨学事業戦略部長】  無利子は。


【濱中委員】  無利子は駄目ですか。有利子であれば可能なんですか。


【藤森奨学事業戦略部長】  制限は一応あります。


【濱中委員】  そこはきちんと明記しておいた方がいいのかなと。例えばオーストラリアは7年間分でしたかね。イギリスは年齢で決めているんでしたか。公平性の問題を考えると,国の制度であり,たとえ有利子であれ利子補給とか入っているわけですから,やはり一人の人が何回,回数だけの問題ではないと思うんですけれども,何年分あるいは何万円分までしか利用できないということを,ルールとしてきちんと定めておく必要があるのかなと思いますし,恐らく諸外国そのようになっていますので,それを併せて検討していった方がよいかと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。2番目の点,現行制度についても検討する必要があるということだったと思うのですけれども。

確かアメリカは,前のローンを返さないと,次のローンが借りられない。学生ローンでも,そういうたしか規則だったと思うんですけれども,違いましたか。違う種類のだったらあり得るのですけれども,同じものは,たしか前のを返し終わらないと次のを借りられないという,そういう仕組みになっていると思いますけれども,それも同じような趣旨だと思います。


どうぞ。


【藤森奨学事業戦略部長】  ちょっと現行の制度の御説明をいたしますと,無利子は基本的には,一人,例えば1学種,大学なら大学,4年間なら4年間分を借りるだけというのが原則です。ただ,社会人の学び直しといった一つの施策というのもありますので,そのために,一定の要件の下で,もう一度というのは認めています。有利子の方は,実はずっと特別制限なくて,何遍でも借りられるような形を取っていたんですけれども,今,それについては制限を設けるということで,何遍でもということにはならないようになってきております。


それから借り過ぎの額ということについては,先ほど来,卒業後の返還のことももちろんなんですけれども,適格認定のときには,その時点での収入・支出,つまり奨学金を幾ら借りて,そのほかにどういう収入があって,自分の支出は幾らで,その差分が大きい場合,要するに現に借り過ぎじゃないかという場合にも,学校の方から指導していただくという制度を取っております。


【小林主査】  ありがとうございました。それでは時間の関係もありますので,最後の教育費負担全般について寄せられた意見ということで,これは御意見としてかなり大きな問題が採り上げられておるわけですけれども,最後から2番目,国際人権規約について言及すべきだというのは,これは私個人の考え方ですけれども,これは第1事案では,憲法,教育基本法は書き込んだんですけれども,この国際人権規約については確かに書いていないので,これは当然日本も批准しているわけですから,これは入れるべきだと思いますが,よろしいでしょうか。事務局の方で,よろしくお願いいたします。


そうしましたら,いろいろな御意見をいただいて,少しずつしかなかなか進展しないわけですけれども。


はい,どうぞ。御意見をいただければ。


【赤井委員】  財政の点から。いろいろな意見,もちろん出てくると思うし,当事者だと学費を下げるとかいう意見が出てくるんですけれども,財政のことを考えると,それを給付型とすると財源がかかるわけですから,それをどのように取るのか。国民全体から取るのか,学生とか大学の授業料関係で考えるのかとか,その辺のセットでやっぱり考えないといけないし,コメントもそういうコメントが,10%上げるという,こういうバランスも考えたコメントもありますけれども,そのように考えていくのも大事かなと思います。


【小林主査】  ありがとうございました。給付奨学金の必要性と,その財源の検討というのが必要だということですね。これは所得連動型も,先ほどありましたように,400億とかの国庫負担が必要だということになれば,その財源をどうするかとか,当然同じような問題がありますので,これは今後の検討課題とさせていただきたいと思います。


それでは,お待たせいたしました。保証制度について,まず事務局から御説明をよろしくお願いします。


【川村課長補佐】  それでは,先ほどのパブリックコメントの資料4でございますけれども,ここで保証制度について寄せられた意見を,まず御紹介をさせていただきたいと思います。


4ページの(12)の保証制度のところでございます。まず保証制度については,原則として機関保証ということでございましたが,これに対して賛成であるということ。将来有利子も所得連動型に移行するのであれば,定額返還も原則機関保証とする。さらに,機関保証率の値下げも検討が必要であるという御意見。また,人的保証は廃止すべき,機関保証を利用する場合は保証率は引き下げるべきという御意見。


それから,保証は付さないようにすべきであるという御意見。仮に当面の間,保証を付するとしても,以下の対応をすべきということで,人的保証については,保証債務を履行することが困難な保証人に対する救済制度を充実して,適切なガイドラインを作るべきという御意見。また,機関保証については,保証料の負担を軽減するとともに,代位弁済後の求償債権の支払が困難な人に対する救済制度を充実させ,また安易な代位弁済の請求をすることがないようにすべきという御意見がございました。


それから4点目,こちらは国立大学協会からの御意見でございますが,原則として機関保証とすることは,奨学金貸与者にとっては毎月の保証料支払を強いることになるため,原則機関保証とするのではなく,選択制にすべきという御意見。また,附帯決議を尊重して,人的保証と機関保証の選択制を維持すべきという御意見もございました。


これがパブリックコメントに寄せられた御意見でございまして,資料7の方から以降を御覧いただけますでしょうか。こちらが保証制度の概要をお示しした資料でございます。


資料7でございますが,機関保証制度の概要ということでございまして,制度の目的というところで,連帯保証人や保証人を立てることなく,一定の保証料を保証機関に支払うことにより奨学金の貸与が受けられるように設けられたものでございまして,実施主体は公益財団法人日本国際教育支援協会でございます。制度の対象は平成16年度以降の奨学金採用者でございまして,申込時に人的保証又は機関保証を任意で選択できる仕組みとなっております。保証の範囲は元金,利息及び延滞金ということで,保証の期間は在学中,返還中の最長20年間,保証料の水準は最高で年率0.7%未満ということで,当面は0.693%という割合となっておりまして,例えば貸与月額5万4,000円,シミュレーション等でお示ししているものでございますが,こちらの場合には保証料月額が2,269円かかってまいります。保証料の徴収方法は,在学中,貸与月額から保証料を差し引いて徴収をすることを基本といたしておりまして,加入率としては,機関保証が26年度の実績で46.3%,人的保証が53.7%というものでございます。


続きまして,資料7-2でございます。資料7-2は,現在の素案にございます保証制度の部分の論点について,少し抜き書きして記載したものでございます。これは素案を基本的にはそのまま引っ張ってきておりますけれども,人的保証の課題ということで,所得が低い返還者は返還期間が長期化するので,人的保証である連帯保証人の返還能力が返還終了まで確保されないケースの増加が懸念されるということ。また,返還期間が不定期になりますので,現在より高齢となった連帯保証人・保証人に保証を求めるということになり,過度な保証を強いることになるおそれがあるということでございます。


そして,原則として機関保証とする範囲でございますけれども,下のところに図がございます。まず申込時に,現在は機関保証と人的保証を選択するということになっております。また,新しい所得連動型が入った場合には,併せて申込時に所得連動と定額返還,どちらかを選択をして,卒業時に最終的にもう一度確認するということでありますけれども,中ほどのところにありますように,仮に定額返還型の場合に,人的と機関を選択可能とした場合には,人的保証を定額で返還した場合に,ずっと卒業まで行きまして,卒業時に新所得連動に変更しようとした場合,所得連動だけが原則機関保証となっておりますと,機関保証に新たに加入することが必要となってまいります。在学中は保証料を支払っていなかったにもかかわらず,最終選択時に保証料をまとめて支払う必要が生じるということでございます。


こういったこともあるということから,新所得連動返還型のみならず,定額返還型を含む無利子奨学金全体について,原則として機関保証とすることを検討すべきではないか。その際,機関保証への加入を促進・導入する方策についても検討が必要であるという記載となっておりました。

また,留意点といたしまして,平成15年の日本学生支援機構法の国会議決に当たりまして,衆議院の附帯決議に「機関保証制度の創設に当たっては,人的保証との選択制とするとともに,奨学生の経済的な負担等に対する教育的配慮を行い,適正な運用に努めること」というのが盛り込まれているということでございます。


続きまして,資料の7-3であります。資料7-3は,現在の保証料がだいたいどういった程度になっているかということをお示ししたものでございます。表にあります上側が無利子奨学金でありますけれども,貸与月額,それぞれ3万円から6万4,000円に対して,保証料が1,114円から3,137円ということで,それを差し引いた受取月額という金額が振り込まれるという仕組みとなっております。


保証料の総額というのが,その右の方に,ちょっと太字でございますけれども,これが仮に4年間借りた際の保証料の総額でありまして,3万円の場合は5万3,000円,下から2行目,通常これまでシミュレーションで使っておりました月額5万4,000円,私立自宅生の場合には,保証料の総額は10万9,000円ということでございます。


また,併せまして有利子の方についても,こちらは同じ割合でございますけれども,3万円から12万円に応じまして,保証料につきましても1,128円から6,537円という仕組みとなっております。保証料の総額としては,ございますとおり,5万4,000円から31万4,000円ということでございます。

なお,利息につきましてどの程度となるかということで,右側に返還の利息総額というものを書いております。これは過去5年間の固定の平均利率で,1%という数字を仮に置いて計算しておりますけれども,だいたい10万円から60万円が利息総額になります。ただ,これは現在,固定では0.63%,5年の固定では0.1%ということでございますので,現在は固定ですと,これに6掛け,0.1%ということになりますと,これの10分の1程度の利息となってまいるということでございます。


続きまして,資料7-4を御覧いただければと思います。7-4につきましては,奨学金,それから民間の教育ローンも併せまして,利息と保証料がどういう状況になっているかというものをまとめた資料でございます。日本学生支援機構のものが上から4行ございますけれども,こちらも利率は仮に1%ということで置いております。それからAからDまでの教育ローンというものがございますけれども,これは基本的に利率が民間の場合には相当低いところを選定して,ここに記載をいたしておりまして,市中金利の中で最も低いものであろうということで御覧を頂ければと思います。


学生支援機構の場合には,この利息のところでありますけれども,利率を掛けて,これは1%,今よりはかなり高い利率で想定したとして,利息,最終的には,これは貸与総額が260万円の場合ですけれども,21万円ということでございます。保証料率0.693%,これは10万9,000円ということでございまして,利息と保証料を合わせると,大体右の方,有利子のところ,無利子のところを併せて,10万円から30万円という数字になってまいります。

それから下の方,AからDにある教育ローンでありますけれども,これについては,利息は2%から,変動では1%程度というものもございます。保証料率につきましては,保証料率設定しているところは1%又は0.7%ということで,設定していないところについては利率に含まれるというところが多うございます。これを含めまして利息と保証料の総額で見てまいりますと,A教育ローンでは,人的保証の場合には50万円,機関保証の場合には80万円ということ。BからDに当たっても,40万円から70万円程度の利息プラス保証料がかかってくるというものでございます。


こちら,日本学生支援機構の場合,今,21万円から32万円となっておりますけれども,現在の利率でいくと,これよりかなり低い金額となります。

それから,この保証につきましては,参考資料ということで,クリップ留めで机上に置いております参考資料1とございます資料の束がございますけれども,その最後の資料6に機関保証制度についてということで,これまでも机上に置かせていただいておりましたけれども,参考資料6というものがございます。こちらにつきましては,先ほど御説明した資料の概要等がございますけれども,右下にページということでございますが,6ページのところを御覧を頂ければと思います。


これまでの機関保証の加入割合でございますけれども,第一種,第二種別ということでございます。会場には,済みません,資料がないかと存じますが,この資料,ページ6のところで見てまいりますと,大体合計として,平成22年度以降,45%からということで,平成25年度が最も高く48%,26年度は少し下がって46.3%という割合で,一種,二種,それぞれございますが,一種の方が機関保証の加入割合が若干低くなっておりまして,二種の方が高いというものでございます。こちら,また御質問等ございましたら,適宜この資料の中から御説明をさせていただきたいと思います。


私からの説明は以上でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。それでは,お待たせしました。機関保証の保証機関である日本国際教育支援協会,大森理事から,所得連動返還型奨学金制度の実施に向けて,技術的な視点を中心に,実施機関の立場から御意見を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


【大森常務理事】  よろしくお願いします。今更蒸し返すようで大変恐縮なんですけれども,やはり選択制というところに対して,御再考いただけないかという気がいたします。


まず一つは,先ほど事務局の方から御説明がございましたように,機関保証制度に対する選択率,これは加入率と書いてありますけれども,加入率ということではなくて,毎年新規に入ってこられる採用者の方の中で機関保証を選んでいる方でありまして,累計で言うと,まだ3割とかその程度だと思われます。


この新規の選択率が,48%をピークとしまして,26年度に46.3%に下がってきておりまして,この28年の1月末の速報値では,一種で40.1%,二種で45.3%,合計で43.4%と急速に下がってきているという状況でありまして,この理由は何かというのはよく分からないんですが,私どもで実施している卒業者に対するアンケートですと,やはり機関保証に入らなかったというのは,人的保証で保証人・連保人が確保できたという理由ですね。


機関保証に入らなかったというのはなぜかといったら,やっぱり保証料を支払いたくないという,で,連保人・保証人が見付かったと,手配できたという答えでありまして,これがなぜ下がっているのかというのは答えにはなっていないんですが,ただ,傾向としてそういう流れにある中で,ここで一種の40%しか選択していない方が,今後は100%ですというのはいかがなものかという気がいたします。


意見書にもございましたけれども,やはり全員となると,保証料を強いることになるわけなので,みんなが,短い人も返済期間が長くなる人も,全て理由を問わずに一律に出すという共済制度のような理解の下で成り立つことができるかどうかというと,なかなか難しいものがあるなというのが現場感覚なんです。つまりは,自分はそんなに長くかからないで返せるという人までも保証料を負担せざるを得なくなるというところが,やっぱり問題だなと感じています。


先ほど,もう1点は,有利子の場合の金利のお話がありましたけれども,1%というのはもう全然今のレベルでは高くて,相当今は低くなっていることでありまして,有利子の人的と無利子の機関保証が,支払総額で逆転するという現象も出てくることであるんですね。


したがって,一種の人に対して全員がこれを強いることができるのかというのが,ちょっと,連保人・保証人が確保できなくなるという懸念もあるんですけれども,その選択制の中で何か導くようなやり方ができないかというのが,まず,済みません,今更ですけれども,1点目でございます。


2点目は,先ほど意見の中でもありましたように,人的は廃止すべきだ,で,機関保証は基本的に賛成だというんですけれども,大方の御意見の中は,保証料を下げるべきだというのがセットであったかと。もっと安けりゃいいよということがあったかと思うんですけれども,この保証料の設定が,現行で言いますと,代弁率と返済総額,幾ら借りたのか,あとは返済期間,これによって決めているんですね。


したがって,今の状況からしますと,期間というのは決められないんですよね。これからシミュレーションなんかもしていかなきゃいけないんでしょうけれども,代位弁済率も全然不透明なので,ここで言う保証料をもっと安くしろとか,いっぱい入るから安くできるんだろうというのが,軽々にはなかなか難しいなと。


つまり,現行水準でいけば,今は15年を標準に設定しているプランでありますと,これが35年に延びるということになると,倍以上になるんですね。期間が延びることで保証料額が総額としては増えますので,そうならないようにするにはどうしたらいいかとか,あるいは期間を仮において,何か標準パターンを作ってやっていくかとか,あるいは現行のままでまずはやって,どれだけの過不足が出るのかとかいうのを後で検証してみるとかという問題が出てくるかもしれません。


ということで,保証料の設定というものが非常に難しい状況であります。ましてや,先ほどの7-2ですかね,ペーパーにありましたように,新制度では返還方式で多様化が相当想定されておりますので,返還方式の切替えによって保証料の過不足が出るという設定にしてしまいますと,非常に返還の自由度が阻害されるといいますか,それをもしそのまま適用しますと,後日保証料を徴収しましたり,あるいは差額を返戻したりという,相当な事務量が発生するのではないかという懸念もございます。


それと,これは具体的に挙げていくときりがないんですけれども,定額返還で認められている返還期間の選択というところで,例えば拡張型の定額返還型で返還年数を選択可能とするという内容であったと思いますけれども,この場合,意識として,保証料が安くなる短い返還期間を選ぶ可能性があると思います。そうすると,返還月額が逆に高くなります。


したがって,代位弁済が逆に生じやすくなるということが起こり得る。したがって,保証料の収入も下がる。代弁が発生するという代弁増加の懸念もございます。といったようなところでございまして,何といっても保証料の設定が非常に難しいというところでございます。


以上です。

【小林主査】  ありがとうございました。4点挙げられたと思うのですけれども,そもそも機関保証にすることが原則と第1次まとめの原案としたわけですが,人的保証を残していただきたいという御要望と,それから,その理由にもなっているわけですが,保証料を下げることが難しいのではないか,あるいは保証料の設定自体が難しいという問題。それから事務コスト等が増えるのではないかということですね。


最後の点につきましては,第1次まとめ案では,返還期間の選択制というのは,もう定額の場合もなくなっておりますので,これはそのように御理解していただければと思います。


【大森常務理事】  失礼しました。


【小林主査】  まず,そのような御意見ですが,このパブリックコメントを含めまして,原則として機関保証という形にしたわけですが,これについて人的保証も残すべきだという御意見を,パブリックコメントあるいは協会の方から頂いたわけですが,これについて御意見をいただきたいのですが,いかがでしょうか。


この問題は,これまでそれほどこの場では検討していなくて,前回,最後に決めたわけですけれども,それについて人的保証もという御意見が出ているということですが,いかがでしょうか。


どうぞ。


【赤井委員】  済みません,知識不足なんですけれども,今お話聞いていて,保証料が上がる,コストが上がるという話はある程度分かったんですけれども,それ以外の問題点というのが,余り…。一言で言うと,どういう問題が,あと生じるんでしたか。人的との逆転みたいな話はありましたけれども,でも,機関全部にしちゃえば人的はなくなっているわけですから,逆転問題も考えなくていいですよね。保証料の問題とコストの問題以外にあるとすれば,どんな問題とおっしゃいましたか。特にその二つを考えればいいという理解でいいですかね。ちょっとそこを整理し直して。

【小林主査】  ですから,人的保証を残すということでパブリックコメントでも入っています。それから協会の方からもそういう御意見を頂いたので,今おっしゃったのは,その理由ということですね。

【赤井委員】  逆転ということが利率の関係で起きるかもしれないみたいな話は確かにあるかもしれないんですけれども,機関保証を全部にしちゃえば,逆転のところは余り考えなくてよくなる。

【小林主査】  あと,参考資料6のところで,ページの8ページになるのですが,これは大森理事も言われたのですが,機関保証制度に対するアンケート調査というのがありまして,当然といえば当然ですけれども,機関保証になぜ入らないかというと,保証料を払いたくないということですね。ですからこういうことを残すべきではないかというのがパブリックコメント等での意見です。要するに保証料を払いたくないから人的保証を残してくれということになるのですけれども。


【赤井委員】  自分で返せると思っている自信のある人は,機関保証になっちゃうと余計に払うことになっちゃうので,そういう問題だし,あとは,借りる人が無理して高いから借りないとなるかもしれないですよね。そこはありますよね。それはいい面,悪い面,あると思うんですけれども。


【濱中委員】  一つ,主査に確認したいのですけれども,このまとめ案の中で原則機関保証というのは,新所得連動返還型を選んだ場合のみ機関保証が必須という趣旨でしたよね。基本的に定額返還は残すわけで,定額返還の方は従来どおり人的保証と機関保証の選択が可能だという理解でよろしいですか。


【小林主査】  いえ,そこは明確に前回決めたわけではなくて,先ほど事務局の方から説明あったように,機関保証を選ぶか,人的保証を残した場合,人的保証を選ぶかという問題と,それから返還の仕方というのは連動しているのです。ですから,原則機関保証にすれば,先ほど言った人的保証に切り替えるというのはそもそもなくなるので,保証料を一括して後で払わなければいけないとか,そういう問題は起きないのですけれども,そこは明確には決めていなかったと思います。


というか,ここは共通の理解になっているかどうか分からないのですけれども,そういう問題が発生するので,原則としてどちらも機関保証にするといった場合,定額も含めるというのが妥当な理解ではないかと思ったのですけれども。


【濱中委員】  議事録を読み返したら,前回そういう発言を私はしていて,原則機関保証とするのだったら第1種奨学金については全員機関保証にしなければならないだろうと。新所得連動型のみ機関保証を必須とすることが所得連動型を選択する,しないに影響してしまうのはまずいのではないですかねみたいなことを前回申し上げたわけです。ただ,今の御説明を聞くと,全部一遍に機関保証に移行するのは困難だということであれば,そこは仕方がないので,ここに書いてある年齢の問題もありますから,最低限,所得連動型を選択する人は機関保証に加入してもらうという仕組みにするしかないのかな,という感じはしますね。


【赤井委員】  今の大変だというのは,保証料が上がるからという意味ですか。


【濱中委員】  保証料が上がる問題。


【赤井委員】  多分,全部を機関保証にした方が,制度としては一貫性があるので良くて,そうすると保証料の問題があるのであれば,それはまた別の法則で保証料を上げないような仕組みにして,かつ,全部機関保証みたいな形でセットにする方がいいんじゃないかなと。


後で言おうと思っていたんですけれども,先ほど阪本委員も初めにおっしゃっていたけれども,保証料が上がるということが問題だけれども,機関保証にすることによるメリットもあるとすれば,そこのところを何らかの方法で,誰が財源を入れるかは分からないですけれども,外からの財源を使って,上がる程度を抑え込むみたいな。多分,そのまま普通に中で全て閉じちゃうと,また上がって,いわゆるアドバンストセレクションみたいにどんどん出ていっちゃうので,出ていくほどまた上がるということになって,制度がもたないかもしれないので,全額機関保証にするけれども,今の保証料からの上げ幅を抑え込むみたいな形の,もう一つ別の手立てを入れることによって,制度というのはうまく作れるんじゃないかなと思うんですけれども,どうでしょう。


【濱中委員】  もちろんそれが可能であれば,それに越したことはないと思いますけれども,要するに附帯決議の問題もあったりして,どうしても人的保証を残さざるを得ないということであればということです。


【赤井委員】  そこは別の制約があるかどうかの問題。


【濱中委員】  現行の定額返還型を選ぶ人については従来どおりの扱いにするというところで,選択制を残すということにせざるを得ないのかなということです。


【赤井委員】  附帯決議がどのぐらい重要,どのぐらい厳しいのか。


【小林主査】  私の意見は,では後で。ほかの委員の方はいかがですか。


どうぞ。


【島委員】  前回,定額にも所得連動にも原則機関保証を入れると決めるとしたときに,現状では人的保証の方が返還の状況が良いということから考えて,そういうのは保証料が下がる一つの要因ではないかという話を申し上げました。この1次まとめが出るときに,ただ,減るということが当然デフォルトではなくて,協会様の方から当然現場の意見を聴かなきゃいけないということは考えていたんですけれども,今の話ですと,上がることが前提に逆になっているような気がするんですけれども,その点はそれでいいのかということと,あと保証料の設定が難しいという点に関して言えば,仮に所得連動で機関保証を選んだ場合でも,やはり保証料というのは当然決めなくちゃいけないわけで,それも難しいということになるんでしょうか。以上2点,お願いします。


【小林主査】  どうぞ。


【大森常務理事】  所得連動にした場合の返還期間が決まれば,それは可能だと思います。ただ,それがずれ込んでいくとか,あるいは先にならないと決まらないということになると,先取りする形式を取る以上は,なかなか難しいということでございます。


【小林主査】  よろしいですか。もう1点。2点と言われたと思いますが。


【赤井委員】  必ず上がるかということですね。


【島委員】  ええ。必ず保証料は上がるということが。


【大森常務理事】  いえ,そうとは限りません。つまりは,先ほど申し上げたのの一つの,今の保証料率水準でやった場合には,単純に保証期間が延びるわけですから,それは保証料は上がりますよねと。


【赤井委員】  人的との併用と,100%機関との間で上がるかということですか。


【大森常務理事】  いえいえ,そうじゃないです。この返還制度に変えた場合ということ。


【赤井委員】  返還制度に変えた場合ですか。


【島委員】  返還制度に変えた場合。


【大森常務理事】  ええ。だから所得連動に変えた場合のリスクというのが分からないわけですよね。


【赤井委員】  そこはそうですね。


【島委員】  それはそうですね。


【赤井委員】  もう一つの人的と併用している現在と,あと全員機関保証にした場合とでは,保証料はどう変わるか。


【大森常務理事】  それはちょっと分からないですけれども,多分,今の水準のままで行ったら下がるのではないでしょうか。


【島委員】  いや,まさにそのことが1つ目のこと。


【赤井委員】  通常下がるように思うんですけれども,確実に返せる人は負担が増えるので,親もしっかり所得もあって,返せると思って借りている人は,多分保証料が上がると借りなくなるので,結局返せない人だけが残ってきて,その負担が回る可能性ないかなと思ったんですけれども,それはないんですか。


【島委員】  それは,ごめんなさい,もしその場合であれば,当然赤井委員がおっしゃるとおりで,僕が言っていたのは,今人的保証の人たちが全て機関になった場合は,当然のことながら保証料が下がるという余地があるのではないですかというのが一つ目の質問だったので。ありがとうございます。


【赤井委員】  でも,やめちゃう人がいるかもしれないですね。


【大森常務理事】  だから今の制度で言うと,確かにそういうことが申し上げられると思うんですけれども,新所得連動になってどうなるというのは,まだ明確には申し上げられないということ,率が下がって期間が延びる可能性もありますので。


【島委員】  ですので逆に言えば,上がるということがデフォルトではないということが確認できれば。何となくそのような雰囲気になると考えて。


【小林主査】  よろしいですか。保証料については二つの要素があって,上がる要素と下がる要素がありますから,どちらとは言い難い,というのが今の御説明だと思うのですけれども。


どうぞ。


【赤井委員】  確かに将来,所得もどうなるかも分かりませんし,その人がどのように変わるかも分からないので,制度を作るのは難しいというのはあると思うんですけれども,難しいという話とどういう制度を作るのが望ましいかという話は若干区別できるかなと思っていて,難しいからそれは作れないという議論もあるかもしれないんですけれども,そういうリスクがあるということですよね。そのリスクの分というものこそ,何らかの形で,政府がどこかからの財源で保証,財務省は嫌がるかもしれませんけれども,そこで黒も出る可能性があるのであれば,そういうリスク的なところだけ政府が見てあげるということで,ある程度制度設計をして,事務局の方は制度が作れるような形でリスクをなくしてあげると。大きく将来変わった場合は,そこは政府が財源で見るみたいな形にして,保証料をある程度先に決めて,それも余り上がる可能性のないような形にしてあげれば,逃げる人もいなくなり,制度全体としていい面だけが残るんじゃないかなと思うんですけれども。意見です。


【小林主査】  ありがとうございました。ほかに。


どうぞ。


【吉田委員】  1点,質問なんですが,期間が決まらないのでシミュレーションができないとおっしゃったかと思うんですが,仮に40年とか30年とか25年とか,そのように期間を区切ってみて計算をするということは可能でしょうか。


【大森常務理事】  ただ,その場合でも,やっぱり代弁率の予測というのを別途やらなきゃ分からないですね。どれぐらい代弁が発生するのかというのは全く,新しい返還制度の下での代弁率というのが全く見えませんので。直感的には,何か払いやすくする制度にほかならないので,改善といいますか,低下するとは思うんですけれども,果たしてそうなのかというのがちょっと。


【小林主査】  ほかに御意見ございませんでしょうか。


どうぞ。


【不動委員】  基本的には私,前回申し上げましたように,機関保証のみでやっていくべきじゃないかなと思っていまして,保証料というところは,毎年の代弁率等々によって随時見直していけばいい。要は代弁が少なければ保証料率,翌年下げればいいと思いますし,景気の変動で代弁が増えてくれば保証料率上がざるを得ないというか,格好かと思います。


基本的に奨学金といいながらも学生ローンですから,ローンを貸すにおいては,一定の代弁というか,デフォルトが発生するのは,これはもうやむなしと思いますので,奨学生全体で,やはりみんなで負担をしながら全体としていい制度を残していくということが必要なんじゃないかなと思いますので,柔軟に保証料を見直していくということが必要なんじゃないかなと思います。


以上です。


【小林主査】  ありがとうございました。大体御意見を伺ったと思うのですが,この点についていかがですか。


どうぞ。


【赤井委員】  まずはプロフェッショナルのところでリスク管理もある程度されているでしょうから,そこでリスクをきちっと見てもらって,どうしてもそのリスクが取れないので制度が難しいとなれば,政府の方である程度リスクを取るとか財源を入れて,それほど保証料も上がらないような形で全て機関保証にできるのが一番いいかと思います。


財源をどのように確保するかという話,先ほども言っていたので,少し述べると,全く財源を入れないという状態が,まず奨学金を受けた人の中でリスクプールするという話になると思います。そうするとちょっと大変だという話になってくると,次は大学予算みたいなところですかね,大学生とか大学全体の予算から考えるとか,究極的には受けていない人も含めて見るとなると,授業料全体をちょっとだけ上げて,それで賄うとか,授業料の話しするとちょっと大変だとなれば,教育予算全体の中で見ていくという話もありますし,もっと大きくなると,教育予算をもう少し増やすのか減らすのか,それは多分,一つの奨学金だけじゃなくて,国全体の話になると思いますけれども,その中で見ていくのか,そこのところは財務省との折衝にもなりますし,また,今,特別に大学生に対しては,所得税と住民税で特定の扶養控除というのをされていますから,要するに大学生を持っている親の税金は安くなっていますから,そこの部分を少し調整してあげて,そこで財源を賄ってそちらに回すとか,そうなると,要するに大学生を抱えている日本全体の国民の中で調整するとか,いろいろな方法があるんだと思います。


以上です。


【小林主査】  ありがとうございました。今のは,ですから保証の問題だけではなくて,全部に関わる財源の問題ですね。


【赤井委員】  財源を持ってくるときの,どれだけの人から持ってくるかという話。


【小林主査】  私が一つ懸念しているのは,この理由のところに書いた,連帯保証人を人的保証の場合どれくらい立てられるかということで,所得連動型の場合には期間が長くなりますので,長く返す人というのは少ないかもしれませんけれども,所得の低い人が多いわけですから,なかなか大変なことになるのではないかということで,現在のところ,人的保証した場合に,連帯保証人が不謹慎な話ですけど亡くなったとかという場合には,改めて立て直すということになるわけです。その辺りは,済みません,支援機構からお願いいたします。


【藤森奨学事業戦略部長】  原則としては連帯保証人を変えていただくと。別の方を立てていただくと。それは一応,ルールとしてはあります。ただ,例えば長期にわたって延滞しているとか高齢になっているというと,実際問題としては非常に難しい状況があるということです。


【小林主査】  つまりもっと言いますと,その状況を把握できるのですか。連帯保証人が亡くなったという情報自体が,JASSOの方では把握できているんですか。


【藤森奨学事業戦略部長】  現状では完全に把握できているとは言い難い部分ありますね。


【小林主査】  ですからそういった問題があるのが私は少々気掛かりですけれども,これも,済みません,きょうもまたいろいろ御意見をいただいて,特にきょうはパブリックコメント中心に御意見をいただきましたので,ある意味では前回の議論よりも幅が出てきたのですが,逆に言うと決められない部分がかなり出てきてしまったということですが,きょう,あえて議論は収束はさせないで,御意見様々に頂きました。


ただ,次回には第1次案についてまとめという形になりますので,最終的に事務局とも相談しまして,第1次案について,もう1回,きょうの御意見を踏まえまして,意見を集約いたします。その上で,委員の方には事前にも見ていただこうと思っていますが,最終的に3月に,とにかく絞れるところは絞って,第1次まとめ案という形で出したいと思っております。ほかによろしいでしょうか。


では,事務局から今後の予定について,よろしくお願いいたします。


【川村課長補佐】  次回,第8回会議は,3月下旬の開催を予定しております。日時・場所については,決定次第,御連絡させていただきます。


【小林主査】  それでは,これをもちまして所得連動返還型奨学金制度有識者会議の第7回を閉じさせていただきます。皆さん,御協力どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

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