所得連動返還型奨学金制度有識者会議(第1回) 議事録

1.日時

平成27年10月2日(金曜日)10時~12時

2.場所

一橋大学一橋講堂 特別会議室

(東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術総合センター1階)

3.議題

  1. 有識者会議の開催について(非公開)
  2. 座長の選任等について(非公開)
  3. 所得連動返還型奨学金制度について
  4. その他

4.出席者

委員

赤井委員,小林委員,阪本委員,島委員,濱中委員,不動委員代理(山本氏),吉田委員

文部科学省

常盤高等教育局長,渡辺学生・留学生課長,八島学生・留学生課課長補佐

オブザーバー

遠藤理事長(日本学生支援機構),髙橋理事長代理(日本学生支援機構),甲野理事(日本学生支援機構),宗野顧問弁護士(日本学生支援機構)

5.議事録

(1)会議の開催に当たり,常盤高等教育局長から以下のとおり挨拶があった。
【常盤高等教育局長】 常盤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は,先生方,それぞれ御多忙の中にもかかわりませず,この所得連動返還型奨学金制度有識者会議に御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。学生への経済支援の在り方につきましては,平成25年の4月に私どもの文部科学省高等教育局の方で検討会を立ち上げまして,昨年の8月29日に検討の成果として,「学生への経済的支援の在り方について」という文書を取りまとめたところでございます。その中で,主に4点指摘がございまして,一つ目に「無利子奨学金の一層の充実」,二つ目に「より柔軟な所得連動返還型奨学金」,三つ目に「授業料減免の充実」,そして,四つ目に「将来的には給付型奨学金の創設」ということなどについての改善の方向性の提言を頂いているところでございます。
 その後,政府におきましても,「子供の貧困対策に関する大綱」,これは閣議決定でございますが,あるいは教育再生実行会議の提言の中でも,より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入を進めるべきという方向性が示されているところでございます。また,文部科学省といたしましても,来年度に向けまして,概算要求の中で無利子奨学金の貸与人員の増員,所得連動返還型奨学金制度の導入に向けた詳細な制度設計やシステム開発等の対応の加速,あるいは国公私立大学の授業料減免の充実,こういうことを要求しているところでございます。
 この会議におきましては,こうした状況の中で,平成29年4月,これは今の高校2年生が高等教育機関に進学する時期ということになるわけでございますけれども,29年4月からの導入予定ということで,より柔軟な所得連動返還型奨学金について,委員の皆様方から御意見を頂いて,具体的な制度設計をすることを目的としてこの会を立ち上げ,先生方にそれぞれ委員に御就任をいていただいたわけでございます。
 検討事項といたしましては,この制度を全ての奨学生に導入するのか否か。返還を猶予する所得を幾らにするのか。返還期間をいつまでにするのか。これだけではなくて,もう非常に多岐にわたる課題があるわけでございます。このスケジュールでございますけれども,現在のところ,もう非常に時間的に限られていて申し訳ないのですが,年内には審議の中間まとめ,年度内にはまとめを出していただきたいと思ってございます。期日が大変限られている中での検討ということで,甚だ恐縮ではございますけれども,是非先生方のお知恵,お力をお貸しいただきたいと思ってございますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

 

(2)座長の選任等について
 委員の互選により,小林委員が主査に選任された。

 

(3)会議の公開について
 事務局から,会議の公開について資料3の説明があり,原案のとおり決定され,この時点から会議が公開された。

 

【小林主査】 それでは,議事を進めたいと思います。
 まず,文部科学省の方から資料4,現行の所得連動返還型奨学金制度の概要(メリットとデメリット),資料5,所得連動返還型奨学金制度に関する閣議決定・提言等の抜粋,資料6,諸外国の所得連動返還型奨学金制度(イギリス・オーストラリア)について,説明をお願いいたします。


【渡辺学生・留学生課長】 学生・留学生課長の渡辺です。
 それでは,お手元の資料の4から6につきまして,説明させていただきます。
 ただ,その前に,お手元の参考資料4を少し御覧いただければと思います。机上資料の参考資料4です。念のため,今の奨学金の現状について,まず,簡単に説明させていただきます。
 1枚おめくりいただきまして,一番上に現状の奨学金事業についてお示しをしております。右の表の方でありますけれども,来年度の概算要求で無利子奨学金が49万8,000人,有利子奨学金が85万7,000人ということで,事業費として,無利子奨学金が約3,300億円,有利子奨学金は約8,000億円,こういった事業規模で進めております。
 2ページ目に,奨学金事業の規模と奨学金の貸与人員の推移を示しております。御覧いただきますとわかりますように,一番下の青い線が無利子奨学金事業でありまして,特に,過去5年ほどは一貫して増えておりますけれども,一方で,有利子奨学金については,平成25年度を境に減少のように見えます。実際は緑色の点線が奨学生の実数でありまして,有利子奨学金については,貸与を希望する学生さんには100%貸与できておる現状でありますので,これは実際の貸与希望者の数に応じて予算の額も変化しているということであります。
 3ページ目は,奨学金の延滞者の推移を示しております。緑色とピンクの色の棒グラフがありますけれども,緑色の棒グラフの分は,延滞が3か月以上になった方の数,ピンクの赤い方が3か月未満の延滞者であります。また,折れ線のパーセンテージについては,これは返還を要する人数に占める,延滞が3か月以上の方の割合を示しております。平成15年度に比べますと,全体割合としては,3か月以上の延滞者の方は,率としては半分,実数としても近年減少傾向になっており,長期の延滞にならないような取り組みが奏功しているというような状況でございます。
 以上のような形で,奨学金事業は近年充実をしてきているわけでありますけれども,資料4の方に移ります。
 より柔軟な『所得連動返還型奨学金制度』の導入に向けた対応の加速ということで,これはマイナンバー制度の導入にあわせて,平成29年度の進学者から適用する方向で現在検討されています。平成29年度進学者ということは,今の高校2年生。高校2年生が,来年28年に高校3年生になりますけれども,高校3年生の夏ごろまでには奨学金の予約採用の手続を行います。予約採用の手続を行って,実際平成29年に進学するわけでありますけれども,今の高校2年生が高校3年生になって予約採用の手続をする段階には,あなたたちは,将来,奨学金を返還する場合には,所得に連動して返還するような仕組み,これの対象になりますよということもきちんとアナウンスした形で導入したいと考えております。そういった意味で,この会議の議論の結果につきましては,今年度中に頂きたいということでございます。
 その資料4の1枚目のグラフが二つありまして,現行制度と改正後のイメージというものを示しております。現状におきましても,所得連動返還型無利子奨学金制度というものがございまして,この対象者は無利子奨学金の貸与基準を満たす方で,貸与時に家計支持者の年収が300万円以下の方。この方が将来卒業して奨学金の返還を開始した段階で,年収が300万円を超えるまでは返還が猶予されまして,年収が300万円を超えたら,実際に通常の返還が始まるという制度であります。この図が示しておりますのは,この方,無利子奨学金を私立大学の自宅通学で4年間借りた場合,月5.4万円掛け12か月掛け4年で約260万円の奨学金の貸与を受けた方が,実際に返還する場合には,毎月1万4,400円,これを15年間かけて返還していただくという制度でございます。これは通常であれば,卒業して半年後に返還が開始されるわけでありますけれども,現行制度の適用対象者については,年収が300万円を超えるまでは,本人の申出によりまして返還が猶予がされるという仕組みになってございます。
 一方で,これから導入を検討しております制度については,改正後のイメージということで,右に示しておりますように,年収が現状のように300万円を超えたら,いきなり1万4,400円という額で返還が開始されるのではなくて,例えば年収が300万円の方と500万円の方では,当然返還できる余力というものが変わってまいりますので,その返還する金額を所得に応じて変動させるというものであります。具体的に申し上げると,例えば新しい制度の下では,年収300万円のときには月々1万円を返していただいて,年収500万円になったら月1万5,000円返していただく。例えばそのようなイメージでございます。
 1枚おめくりください。
 では,現行の「所得連動返還型無利子奨学金制度」のメリット・デメリットと今後の検討の方針について説明させていただきます。
 現行制度のメリットとしまして,例えば年収300万円以下であれば,返還猶予となるため,返還の不安の軽減に資するということであります。これは今後も奨学金の返還の不安軽減を維持したいと考えております。
 一方で,現行制度のデメリットとして考えておりますのが,例えば年収が300万円以下の場合は返還猶予となりますけれども,債権は消滅しないため,将来にわたって返還を行う必要が消滅するわけではありませんので,猶予期間が長ければ長いほど,返還期間が長期化します。
 また,返還期間の長期化に伴いまして,当然学生支援機構の運営コスト,債権管理コストが増加いたします。これについては,返還が期待できる年齢階層を分析するとともに,債権管理コストと費用対効果の検証が必要であると考えております。
 また,年収300万円以下の場合は,無期限で返還猶予となるわけでありますけれども,そうしますと,その方が将来30年,40年たっても非正規雇用といった状態で,そうでなくなるまで猶予ということになれば,最終的には返還が発生しないままに,これは,貸倒れという表現が適切かどうかということはありますけれども,将来的に奨学金の返還がなされないということになります。冒頭に資料を御覧いただきましたけれども,無利子奨学金の場合は,来年度約3,300億円の事業費を想定しておりますけれども,そのうち2,400億円ほどは,以前奨学金を借りた方の返還金ということで事業が運営されておりますので,そういった点についても考慮する必要があると考えております。
 それから,次の点でありますけれども,年収が300万円をわずかでも超えた場合は,通常の返還に戻るため,急に返還負担が増加する。例えば年収290万円の場合は返還猶予ができるわけですけれども,年収301万円になった場合には,先ほどの例でありますと,月額1万4,400円返還が発生するということでありますので,これについては,所得の階層に応じてきめの細かい返還月額の設定が必要ではないかということを考えております。
 それから,返還猶予と認定されるためには,毎年度,所得に関する証明書を日本学生支援機構に送付する必要があります。これは現行でありますと,前年度の課税証明,納税証明等を市役所等に行って取得をして,その紙を郵送する必要があります。これはもちろん御本人の手間もありますけれども,学生支援機構は,現状は返還者が360万人ほどおります。そういった多くの方々の事務処理を紙ベースで行うということの学生支援機構の処理,それから,紙ベースでその紙を見ながらデータ入力する場合の入力エラー等が発生する可能性の問題,こういったことへの対応も含めて,新しい制度の設計が必要だと考えております。
 それから,現状では,奨学金採用時,先ほどの例でありますと,高校3年生のときに家計支持者の方の年収が300万円を超えた方については,現行制度の適用対象となっておりませんが,これは,そもそも奨学金は返還する御本人が借りるわけでありますので,奨学金貸与時の保護者年収との関係でみると,必ずしも公平ではないのではないか,という点についても検討をする必要があると考えております。
 資料5の方を御覧ください。
 冒頭常盤局長からも御紹介させていただきましたけれども,この所得連動返還型の制度につきましては,過去の閣議決定,あるいは有識者会議の提言等で指摘されております。
 まず,「教育振興基本計画」,これは平成25年6月14日に閣議決定されておりますが,下線を引いてあるところが中心でありますけれども,平成24年度から導入した「所得連動返済型の無利子奨学金制度」を着実に実施するということに加えて,無利子奨学金について,本人の所得の捕捉が可能となる環境の整備を前提に,これはいわゆるマイナンバー制度を想定しておりますが,現行の一定額を返還する制度から,卒業後の所得水準に応じて毎年の返還額を決める制度への移行,こういったことを検討し,整備するべきということが盛り込まれております。
 それから,平成25年8月30日には,学生への経済的支援の在り方に関する検討会が中間まとめを出しておりますけれども,この中でも,具体的な取組として,より柔軟な所得連動返還型奨学金制度導入に向けた準備ということを提言いただいております。
 さらに,平成26年8月29日には,「子供の貧困対策に関する大綱」におきまして,大学等進学に対する教育機会の提供の中で,奨学金の返還月額が卒業後の所得に連動する,より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入に関する検討を進めるということが盛り込まれております。
 2ページ目を御覧ください。
 先ほどの,学生への経済的支援の在り方に関する検討会,最終的な報告書をまとめておりますけれども,この中におきましても,所得連動返還型の制度について盛り込まれているところであります。
 3ページ目には,今年の7月8日に教育再生実行会議で出されました第八次提言の抜粋をしております。この中でも,これからの時代に必要な教育投資として,具体的な金額とともに盛り込まれております。四角の中でありますけれども,高等教育段階における教育費負担軽減について,約0.7兆円が必要だということが提言されております。その0.7兆円の内訳としまして,大学等における奨学金の充実,有利子奨学金の完全無利子化に加えて,より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入等についても,0.7兆円の内訳として示されています。なお,この0.7兆円には,ここには記載されておりませんが,大学生,専門学校生等の授業料負担の軽減,授業料減免についても積算の中には含まれております。
 なお,こうした財源を確保する方策としましては,同じ第八次提言の中で,民間資金の活用による財源確保という点に加えて,4ページ目を御覧いただきますと,今後の税制の見直しと教育投資,こうした観点の中で,四角の下の方でありますが,先進諸国の中で公財政支出が高い水準にある国は租税負担率も高いという相関が見られるということ。それから,今後,将来的に消費税の見直しが検討されるのであれば,次世代に負担を先送りしている現状を転換し,受益と負担のバランスのとれた社会保障制度を構築した上で,税収の使途を年金・医療・介護・少子化対策に加えて,「教育」にも広げることも検討することも考えられますと,こうしたことも提言の中に盛り込まれております。
 続きまして,資料6で,所得連動返還型の制度を導入しておりますイギリス及びオーストラリアの制度について,簡単に御紹介をさせていただきます。
 まず,対象者につきまして,イギリスについては,希望する方全員,ただし,60歳までに大学に入学する者に限り,オーストラリアは,連邦政府支援学生(国公立大学の学部生・大学院生)等に対する制度が対象となっていて,支援対象は,イギリスは授業料,生活費,オーストラリアは授業料。支給額につきましては,イギリスは,授業料は162万円まで,生活費は80万円から140万円まで。オーストラリアは,授業料は学部によって異なっておりますが,授業料の全額であります。利息は,イギリスの場合は,物価上昇率から,その方の将来の年収に応じて物価上昇率に加えて3%という利息が課されます。オーストラリアは利息は課されません。返還開始の返還額については,イギリスの場合,卒業後の年収が380万円を超えた場合,超えた金額の9%,オーストラリアの場合は,507万円を超えた場合ということになります。返還期間については,イギリスの場合は,返済義務が発生して30年,オーストラリアについては,明確な期限設定はありません。
 赤字額という部分は,例えばイギリスの場合でありますと,年収が380万円を超えるまでは返還が発生しない,オーストラリアの場合は,日本円で507万円まで発生しないということで,それぞれその奨学金制度を運営する上で,年収が少ない方に対する経費の投入が必要となってまいります。この金額が,イギリスの場合は,日本円にすると2012年度末で約3兆円,オーストラリアの場合でも約0.7兆円という金額を毎年度国庫として投入することが必要だということで試算をされております。
 なお,返還方法につきましては,両国ともに税務署を通じて返還・徴収,つまり,日本でいいますと,国税庁が税金を徴収する際に合わせて徴収しているという制度でございます。
 2ページ目を御覧ください。
 これはイギリスの具体的な例についてもう少し詳しく示しておりますが,この場合でありますと,年収が2万5,000ポンドの場合は,超えた4,000ポンド,約72万円に対して9%,年間360ポンドで6万4,800円の返還がこの場合は発生するということであります。
 それから,3ページ目の方は,オーストラリアの制度について示しておりますけれども,これは直近のデータでありますが,課税所得が5万3,000ドル以下の場合は返還が発生しませんけれども,5万3,345ドルを超えると,その所得に応じて4%から8%までの返還負担額が発生するということになっておりまして,約20万円から,この場合でありますと年間で75万円以上の返還をするというような制度になっております。
 事務局からの説明は以上でございます。


【小林主査】 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして,御意見,御質問等ございませんでしょうか。


【赤井委員】 確認だけ。


【小林主査】 はい,どうぞ。


【赤井委員】 最後のところのイギリスとオーストラリア,また議論も出ると思うんですけれども,イギリスは,この差額分にパーセントを掛けているんですよね。で,オーストラリアは,もう実際の額にパーセントを掛けているということですから,急にジャンプするということになるんですね。


【渡辺学生・留学生課長】 はい。


【赤井委員】 そこのところ,どういうふうにするか,今後課題だと思います。
 以上です。


【小林主査】 ありがとうございました。これも大きな論点の一つだろうと思います。イギリスとオーストラリアで仕組みが相当違うということですね。
 ほかにございませんでしょうか。また議論の中でも,こういった諸外国のことは参考にするということもありますし,これまでの経緯ということも説明することもあるかと思いますので,また,その時点で御質問,御意見があればお寄せいただきたいと思います。
 一つだけ,私の方から補足いたしますと,イギリスの調査につきましては,昨年,日本学生支援機構の調査で,私と濱中委員がイギリスの調査に行ってまいりまして,その他の方と一緒にJASSOの方で「イギリスにおける奨学金制度に関する調査報告書」というのを出しておりますので,それを参考にしていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは,次に,実際に検討課題に入りたいと思います。これについて,まず,資料7に基づいて御説明をお願いいたします。議論に当たっては,お手元にその他資料いろいろありますけれど,これも適宜参考にしていただければと思います。それでは,御説明,よろしくお願いいたします。


【渡辺学生・留学生課長】 それでは,資料7に基づきまして,具体的な検討課題として,これまで事務局として整理をしている点について,説明させていただきます。
 <特に優先して検討すべき課題>と<順次,検討すべき課題>とに分けておりますが,これはいずれも非常に重要な論点でありまして,二つに分けておりますのは,例えば来年の7月時点で奨学金の予約採用を申し込む高校生たちが,新しい制度の下では自分はどういう返還の仕方をしなければならないのかということを理解した上で申し込む必要がありますので,その時点までに決めておかなければならないことが<特に優先して検討すべき課題>。それから,そういった方々が奨学金の返還を開始するのは,平成29年度の入学者から適用されますので,最も早い返還者の場合は,例えば大学等に入学をして奨学金の貸与を受けたけども,1年間以内のうちに何らかの理由で学校を中途退学された方が平成30年には返還を開始されます。最も早い方はその平成30年から適用されるということになりますけれども,ボリュームゾーンとしては,最初は短大の方は2年間終わった場合,それから,専門学校も含めて3年間終わった場合,そして大きなボリュームゾーンとして,大学の4年間の貸与が終わった場合ということになりますので,平成33年度には最も大きなボリュームゾーンとして返還が発生するということでございます。
 資料7,最初は対象範囲であります。まず学校種と書いておりますけれども,現状の所得連動返還型の無利子奨学金制度については,大学院を除く学校種が対象になっておりますので,これについて,大学院も含めるか否かということについての検討が必要となってまいります。
 それから,奨学金の種類であります。現状では,無利子奨学金だけでございますけれども,奨学金の性格に鑑みれば,有利子奨学金についても,同様に導入する必要があるのではないかと考えております。一方で,有利子奨学金の場合は,原資が財政融資資金を活用しており,その利息が発生するということもありますので,償還確実性ということ,それから,利息についてどのように考えるのかということも含めた検討が必要と考えております。
 3点目の家計支持者の所得要件。現行制度では,奨学金の貸与を決める段階で保護者,家計支持者の所得が300万円以下という形で制限をかけております。このために現行制度では,新規に奨学金の貸与を受ける方の約3割の方が対象となっております。
 次に貸与開始年度でございます。これは遡及適用の可否についての検討が必要であると考えております。
 続きまして,大きな論点2点目の返還方法であります。返還方法については,所得に応じた変動方式と,あるいは,所得に応じて変動するということは年収が決まるとそれに応じて,例えば300万円の方と500万円の方は返還する金額が違ってくるのですけれども,人によっては,例えば年収が少ないときでも独身で返せるうちにたくさん返しておきたいという方がいらっしゃる可能性もあるので,そうした方を念頭に,定額での返還方式も併存させる必要があるのではないかという点。
 あるいは返還開始の最低所得金額。現行制度では年収300万円が基準になっておりますけれども,これについても,この額でよいのかどうかという点。
 また,返還金の最低下限月額。これは,例えば年収が仮に300万円から返還が開始するという場合に,幾らから返すことができるのか。その方の余力は幾らあるのか。5,000円なのか,9,000円なのか,1万3,000円なのか,こうした点についての議論,検討が必要だと思っています。
 また,返還猶予の申請可能額。これもほぼ似たような考えでありますけれども,その金額を,先ほど300万円と申し上げましたが,これが本当に年収300万円で良いのか,あるいは税金等の控除後の所得を念頭に置くべきなのかという点。
 それから,返還率。先ほどのイギリスの例では,2万1,000ポンドを超えた9%,それから,オーストラリアの場合は,年収に応じて率が4%から8%まで変わっていくということになっておりますけれども,この率はどのようにして決めていくべきなのか。
 次に,返還免除。これは一定期間返還したが,返還完了とならない方の取扱い。例えば返還開始をして30年間ちゃんとその方の年収に応じた額で返せば,その後はもう免除しますという制度とするのか,あるいはその方が亡くなるまで一生涯返還を続けるのかという論点。
 それから,大きな論点の三つ目,所得の算出方法であります。これも,年収又は課税対象所得とするのか。課税所得とする場合,全く税金と同じ考え方でいいのか。あるいはそのほかに控除すべきものについても考慮する必要があるのか。
 それから,個人主義又は家族主義。奨学金の貸与を受けた御本人が,仮に配偶者等の扶養に入った場合,御本人が完全扶養の下で年収がゼロであった場合でも,配偶者の方が非常に年収が高い場合においては,本当に御本人は,全く奨学金を返還してなくてもよいのかどうか。
 次の保証制度につきましては,現状,人的保証と機関保証がございます。現状では,機関保証を約5割に近い方が選択しておりますけれども,この所得連動の制度を導入した場合にはどうなのかという点であります。
 それから,次の<順次,検討すべき課題>でありますけれども,この場合でも貸与方法,貸与総額の上限を設定する必要はないのか。現状では,大学院の学部,大学院の修士,博士を卒業した後に,またそのほかの大学,違った専攻科の博士に行く場合でも貸与を受けることができますけれども,全て貸与上限額まで借りてしまうと,かなり大きな金額を借りることになるので,総額の上限を設定する必要はないのか。
 あるいは貸与年齢の制限。先ほどイギリスでは60歳という上限がありましたけれども,学び直し等で,例えば50歳過ぎてまた一から大学に入るという方についても,同じように奨学金貸与を受けられる現状の仕組みのままでよいのかどうか。
 学生等への周知につきましても,この制度を学生がまず知らないと適正な返還の猶予等を受けられない可能性がありますので,現状の大学を通じた周知方法で十分なのかどうか。また,更に強化すべき点があるのか,こういった点について。
 返還方法についても,現状では,例えば大学の学部と大学院の修士に行っている場合では,2件の債権をその方が保有するということになっておりますけれども,この方の債権を一本化できる方法を検討する必要があるのではないか。
 あるいは,本制度はマイナンバー制度の導入が前提になっておりますけれども,海外に居住している方についてはどのようにして返還を求めるべきであるのか。
 さらには,どのように徴収すべきかですが,現状は口座振替が原則でありますけれども,海外のように源泉徴収のような制度を導入することはできないのか。
 現行制度の見直しの観点につきましては,現行の返還期限の猶予制度,現状では10年が上限になっておりますけれども,所得連動という仕組みを導入するに際して,その現行制度との関係をどのようにして整理するのか。減額返還制度といいますのは,例えば年収が350万円に至るまでの方については,毎月の返還額を半分にして,その代わり2倍の期間で返還できるという制度でございます。例えば先ほどの資料4の例で申し上げますと,月額1万4,400円という返還でありますけれども,年収が350万円以下であれば,月額7,200円,その代わり通常5年間で返すところを10年間で返すという形になりますけれども,この制度を所得連動導入後も継続して維持する必要があるのかという点。
 さらには,寄附金でありますけれども,現状では,無利子奨学金の場合は国庫を中心に運用されておりますけれども,民間企業,あるいは奨学金の貸与を受けた方で将来大きな収入の得た方,こういった方からの寄附を募るような仕組みを導入することは考えられないか。
 以上,こうした点について,事務局で一旦整理させていただきましたので,詳細について御議論いただければと思います。以上です。


【小林主査】 ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明がありましたとおり,論点は非常にたくさんございます。これについては,今後,順次議論していくことになると思いますが,今日は第1回ということもありますので,委員の皆さんに自由に討議していただきたいと思っております。
 私の方から若干補足いたしますと,この所得連動型というのは,一種の保険として機能するということが重要でありまして,ローンの負担感を減らすということが主な目的でありますので,そういう意味では,非常に優れた制度と言われておりますけど,欠点としては,モラルハザードを起こす可能性がある。つまり,所得が低い人は返さなくていいという仕組みですので,意図的に所得を低くするというようなことが起き得るということですね。
 それから,もう一つは,逆選抜の問題というのがあります。これは所得の低い人はこの方式を選択するわけですけど,所得の高い人にとってはそれほどメリットがなく,たくさん返さなければいけないということになりますので,そういった逆選抜という問題があるということが言われております。
 それ以外にもいろいろ論点はあるのですけれど,昨年8月に報告書を出した前回の学生への経済的支援の在り方に関する検討会で特に問題になったのは,学生への周知について,まだやることがいろいろあるのではないかというような点がありました。今回,周知の期間が非常に短くなりますので,学生は十分にこの制度を理解した上で契約を結ばなければいけないということになりますので,このあたりは非常に重要な論点になると思います。
 ここが難しいところだと思いますけれど,余りにも,オプションをたくさんつける,選択肢がたくさんあるということはいいことではあるのですけれど,それだけ制度が複雑化しますので,選択が難しくなるという問題もございます。ですから,どのような制度を作っていくかということを考えていくときには,このことも大きな論点だと思います。
 今日は紹介がなかったのですが,アメリカについては非常にたくさんの制度がありまして,所得連動型も選択肢の一つとしてありますけれど,余りにも制度が複雑なために理解するのが難しいということが非常に大きな問題になっております。そういった点についても,是非御議論いただけると良いと思います。
 これから先は,委員の方に御自由に御意見,あるいは御質問等含めて伺っていきたいと思いますが,いかがでしょうか。


【濱中委員】 一つよろしいでしょうか。
 議論の進め方というか,最終的な落としどころというか。今,挙がっている項目のそれぞれについて,この会議としてこうすることが適切であるというような判断を下していくのか,あるいは幾つかオプションを示して終わりになってしまうのか。それによって個々の問題について検討する深さが変わってくると思うんですけど,最終的にどういうことを目指しているのかという点について,小林主査が案をお持ちであれば,それをお聞かせいただければと思います。
【小林主査】 現状の説明からありましたように,平成29年度に導入しなければいけないということになると,ここでたくさんオプションを示して終わりということは,現実的にはかなり難しいと思います。幾つかの論点については,将来の課題ということで,<順次,検討すべき課題>はオプションがあってもいいと思いますけれど,<特に優先して検討すべき課題>というところについては,もうここで結論を出すということが必要であると思っております。
 いかがでしょうか。
 なかなか論点が非常に多くて難しいと思いますけれど。


【赤井委員】 じゃあ。


【小林主査】 はい,どうぞ,赤井先生。


【赤井委員】 もっと詳しい方,たくさんいらっしゃるんで,細かいところはまた議論していけばと思うんですけど,大阪大学の赤井と申します。
 教育も勉強させてもらっているんですけれども,主に財政学とか,公共経済学とか,経済学面から教育の財政の在り方を考えております。
 この奨学金も,授業料をどのぐらいにするのかとか,学生の負担をどのようにするのかということとともに,財政の支出をどのぐらいにするのかというところも深く関わってくると思うので,大きく税制面も含めて議論は考えていかないといけないのかなと思います。
 経済学面からいうと,ちょうど昨日も税制調査会があったんですけど,税制をどのようにするのかということが常に議論されていて,所得税の話を昨日していたわけですけど,そのときに,三つあるんですけど,一つが公平性,二つ目,効率性,三つ目が簡素性ということで,今,主査の方からも議論ありましたけれども,効率性というと,二つ,経済学だと保険絡みで今,おっしゃったように,リスクシェアする代わりのモラルハザードという問題と,アドバース・セレクションという問題がいつも出てきます。ここのところをどのように考えればいいのかというためには,大きな話ですけど,学生の教育段階でこれが入った場合に,どのように学生の対応が変わるのか,意欲がどのように変わるのか。大学のときの勉強意欲の変化,それと,その所得,大学のときにアドバース・セレクションでもうそもそも将来的に所得が上がりそうな人は,制度に入らないという問題も起きるかもしれませんし,卒業後,働き出した後も,返さないといけないとなると,働く意欲がなくなるのかどうか。これも所得税の話とほとんど似たところがありますけれども,そのようなモラルハザードの問題をどのように考えていくのか。そのためにエビデンスといいますか,実際に制度が入ってない状況では難しいかもしれないですけれども,現行制度で300万円で状況が変わるというような,返還額がジャンプするというような状況がありますから,その状況によって実際どういうことが起きているのか。また,新しい制度を入れたときにどういう状況が想定されるのか。そういうものがエビデンスでもしあれば,提供していただいて考えるのが良いのではないかなと思います。
 また,資料を読んだところを見ていて思ったんですが,資料4の2ページ目のところに現行制度のデメリットというものがあって,幾つか論点がありますけれども,やはり全てを議論していくと大変な時間もかかりますので,何ができるのかというところで,ここのデメリットを克服するために,実行できそうな新たな制度が考えられるのか,それともそもそも厳しいものなのか。例えばこの管理コストなんかでいうと,実際の現場で管理されている方の議論とも関わらないといけないと思いますが,できることは何なのかというところを考えながらいくと,また議論は細かくなってくると思いますけど,なかなかちょっと厳しいなという論点もある一方で,急に返還負担が増加する,下から三つ目のところですね。これに関しては急に増加しないような制度というのは,比較的考えることはできるのかなとか。下から二つ目だと,海外にいると追いかけられないという話がありましたが,マイナンバーが入るとできるのかなとか。あとは,最後は個人と家族の問題,これも難しいですけれども,考え方でできるのかとか。技術的に難しいようなもの,それが克服しやすいようなものなのかとか,財政に関わるものなのか,また個人,家族に関わるようなものなのか,そういうふうな,できそうなもの,できないものを分けていくと,もう少し道筋が見えてくるのかなと思いました。
 まだ,細かい話ではないんですけど。以上です。


【小林主査】 ありがとうございました。
 今の点について,特に,機構側でできること,できないこともある,ということもあったと思うのですけれど,事務局,あるいは機構側で何かリプライありますか。例えば現実の問題として,これはできないような事務といいますか,技術的に難しいというようなことがもしあるのでしたら,先に教えていただきたいのですけれど,いかがでしょうか。
 もし今日すぐ出ないとしても,また次回以降にも,これは大きな課題ですので検討していかなければいけないと思います。
 例えば,非常に大きな問題としてあるのは,この所得連動型というのは,必ず全額返さない人が出るという問題が発生します。先ほど事務局の方から説明がありましたように,イギリスの場合でいいますと,全体で,その利子まで含めてですけど,公的負担が今現在5割ぐらいになるというふうな予測も出されておりまして,非常に大きな社会問題になっています。そういうことを考えますと,果たしてそれだけの公的負担をどういうふうにするかという非常に大きな問題になります。オーストラリアも,HECSは,最初はほとんど未回収がなくて,公的負担はないという制度で始まったのですが,授業料相当額が相当上がっておりますので,現在では,ある予測では17%ぐらいは返ってこないと,デフォルトになるというようなことも言われております。ですから,そのあたりのことも非常に大きな問題としてあるということは考えていかなければいけないと思っておりますので,そのあたりのことについても,また順次,もう少しエビデンスを出していかなければいけないと思っております。どうぞ。


【赤井委員】 今の関係で,私,財政をやっているもので,昨日の所得税のときも議論になっていたんですが,この改革をしていくときに,税収中立,ここでいうと,予算ですかね。予算を中立でいくのか,それとも返さなかった分は,また財務省からの,いわゆる追加的な税というか,財政面からの応援で制度をやっていくのか。そのところは両にらみなんですかね。それとも,とりあえず中立な形を目指すんですかね。そこは余り予算にはとらわれずに最適な形を目指すということでよろしいんですかね。


【小林主査】 事務局の方からお願いいたします。


【渡辺学生・留学生課長】 その点,極めて重要な論点であると我々考えておりまして,今回の検討課題の中でも,特に返還の方法,返還開始の最低所得の金額,それから,毎月の返還の率,こういったことについても,財政面から大きな議論が必要だと思っています。
 事務的にも様々な検討をこれまで行ってきているんですけれども,例えば資料4の1ページ目にありますような,斜めにいく傾き,実は我々,検討当初では,この傾きがかなり大きな要素を占めていて,この傾きを変えることで返還できる金額が変わってくるのではないかと考えていたんですが,様々なシミュレーションを行った結果として,実はこの傾きはそれほど大きな影響はなくて,むしろ,一体幾らからこの返還をするようになるのか,つまり,例えば最初の返還開始のいき値が所得で200万円なのか,400万円なのか。あるいは100%所得連動型にすることを求めるのか,選択制とすると定額の返還をする方も一定数いらっしゃるはずですので,選択率が一体何%になるのか。こういったことがかなり大きい影響があります。もちろん財政負担ということについても,それらの変動要素に応じて一体幾らの,小林先生がさっきおっしゃったようなデフォルトが発生するのかというのは,大きな論点になります。一方で,現状でも既に所得連動の制度が導入されていますから,少なくとも現状の制度を一つの目安としながら,ただし,極力財政負担というのは余りない形で。


【赤井委員】 ない形で。


【渡辺学生・留学生課長】 ない形でできることがもちろん望ましいと考えておりますけれども,このあたりはまた財政当局の方とも大きな議論が必要だと思っています。


【小林主査】 よろしいですか。


【赤井委員】 もう一つだけ。財政当局と,もう一つは,全体の学生の学費を,例えば足りなければ少し上げるとか,下げるとかいう,そっちの方から調整する方法もあるかもしれない。いや,まあ,それはここでは考えないんだと思いますけれども,そういうふうに,お金が足りないときにどこから持ってくるのかというのも,一つの論点にはなると思いますけど,リスクをこちらで受けるということですから,そこのところはきちっと議論しないといけないと思います。
 すみません。ちょっと余計なことでした。


【小林主査】 ありがとうございました。
 イギリスの場合でいうと,授業料を300ポンドから900ポンドまで3倍に上げて,それでかなり大学側の収入は増えているわけですけれど,逆に言うと,ローンの負担感は物すごく大きくなっていると。その結果として,先ほど出たように,返せない人が,ある推計ですけど,4分の3は全額は返さないというようなことも言われているというような状況になっています。


【赤井委員】 今,学費の話もしましたけど,学費を上げたとしても,全体としては,使っているお金は学生のために使っているので,その払う人が変わるだけということなので。以上です。


【小林主査】 ありがとうございました。
 ほかに,どうぞ。


【遠藤理事長】 先ほど小林先生の方から,機構としてできることとか,できないこと,今の段階であればというお話がございましたけども,私どもの立場は,先ほど御挨拶の中でも申し上げましたように,皆様方の御議論の中でこういう方向でと,あるいはこういうことでどうかということがあれば,それについてシステム面でどう対応していくか,あるいは実務面でのフィージビリティーはどうなのかというのは常に検討して,同時並行的に進めていきたいと。
 基本姿勢としては,私ども,事務を担うものとしては,御議論していただいたことで,所得連動返還型のあるべき姿を所与されるものというふうに考えておりますので,御議論が進む過程の中で,私ども,それはできないというようなことよりは,どうやったらできるのかという姿勢で。また,現在も限定的な範囲で所得連動型を行っておりますが,これも現実にはまだ返還が始まっておりませんので,どういう問題が実務的に出てくるのかというのはまだ見えない部分があるんですね。ただ,これから議論を皆さんが進めていく中で,こうあるべきということに対して,我々が実務でどう対応するのか,システムはどう作り込んだらいいのかというのは考えてまいりたいと思いますので,一つ,先生に申し上げておきたいことは,我々,できないということは,我々の業務の与えられた課題からはあり得ないというふうに考えて,どうやってやるかということを常に考えていきたいと思っておりますので,ちょっと申し添えておきます。


【小林主査】 ありがとうございました。わざわざ逆に御配慮いただいたようで。
 ほかにいかがでしょうか。じゃあ,島委員,どうぞ。


【島委員】 財政負担という話が出ていて,これは極めて重要な問題だと思います,根本的な問題ですので。そのことを前提とした上で,ただ,これが単なる財政負担というふうな話ではなくて,教育機会の均等という理念のための社会的な費用負担であるというふうな考え方が同時に認識されなければいけないであろうということと,もう一つ,ここまでほとんど触れられてきていないことなんですけれども,もし,こういった形で大学に行くときに自由にお金が借りられて,その後,所得が貧しければ返さなくていいということになれば,それは今後の子育てというものにも当然影響を及ぼしてくるんだと思います。なので,財政という問題,教育という問題,また,家族という問題,この辺をつなげて議論していくことが大事なのではないかということが1点。
 もう1点は,少し具体的な話になるんですけれども,度々いき値の話が出てきています。300万円というのは他国と比べれば,むしろ低い水準にはなっているんだと思うんですけれども,今日お配りいただいた資料に基づけば,現行制度では3割の方が該当するというふうなお話なわけですよね。そういったものについて,本当にいき値を上げる方だけで考えていいのか,もう少し絞っていくということもオプションとして考えなければならないのかということについても,議論の余地があるのではないかと思っています。
 それに関連して,最後にもう一つ。一つのいき値を出すのか,つまり,こういう家族,例えば同じ年収300万円の家計といっても,夫婦で,しかも,子供もいるというパターンと,もう独身で一人のための300万円というのは随分話が違ってきますので,そういった負担者の家族,家計の状況といったものに応じたいき値の設定みたいなものを考える余地があるのかないのかということは,考えてよいのかなと思います。
 以上です。


【小林主査】 ありがとうございました。これは今日は余り出なかったのですけれど,確かにおっしゃるとおりで,もともとは教育費負担を軽減することで教育機会の均等に資するということから議論が始まりました。これは奨学金の目的そのものでありますので。それから,教育再生実行会議等で議論も出ていましたが,少子化等は教育費が非常に大きな負担になって起きているということが言われておりますので,家族の問題といいますか,子育てとか,そもそも子供の数を制限してしまうようなことが,今,教育費の高騰によって起きているという問題に対して,こういった所得連動型がそれの改善に寄与するのかということは大きな論点としてあるということは押さえておきたいと思っております。
 それから,いき値についてですけれど,これは認定所得という考え方をJASSOはとっておるわけでありまして,家族の数とか,特に,在学している兄弟姉妹の数とか,あるいは要介護の人がいるとか,そういったことを考えるかどうかということも大きな論点だろうと思います。これについては,今日御紹介があったイギリス,オーストラリアについてはそういう制度をとってないのですけれど,アメリカの場合は家族の人数を考慮するということがあります。ただ,それをやりますと,制度が複雑になるという問題がありますので,そのあたりと合わせて考えていかなければいけないということになりますので,これについては,今日御欠席ですけど,樋口委員が非常に詳しいので,またそのときに御議論いただければと思っております。ありがとうございました。
 ほかの委員の方,いかがでしょうか。どうぞ。


【阪本委員】 対象範囲のところなんですけれども,現在のところ,奨学金の種類として,無利子奨学金と有利子奨学金を分けて考えるということになっていると思いますが,所得連動型の返済にした場合,この分け方自体が本当に意味をなすものなのかというのは,若干気になるところです。オーストラリアの場合は無利子で,返済期間が所得によって変わってくるということで,返済期間が長くなればなるほど,実質的に政府から進学者に対する補助金が大きくなるというような効果を狙っている部分があるというふうに聞いていますので,そういう意味でいうと,この二つの制度の差が見えにくくなるんじゃないかというのが少し危惧される部分があるのかなと思ったりしています。


【小林主査】 これも非常に大きな論点でして,今のところは無利子奨学金だけなのですけど,おっしゃるとおりに,有利子の場合には利子負担という問題が発生しますので,そこのところをどういうふうに考えるかというのは非常に重要な論点ですね。
 イギリスもオーストラリアも,もともとは無利子,実質無利子でやってきたわけですけれど,イギリスの場合には一部所得に応じた利子を取っているというように,2012年から少し変えられました。それから,アメリカは,先ほど所得連動型があるということを申し上げましたけれど,実は選択率というのは非常に低いわけです。それはどうしてかというと,利子が非常に高いために,所得連動型ですと,返済の総額が大きくなるという問題がありますので,アメリカの場合には,完済しない場合には20年で帳消しになるというようなルールを作っているにもかかわらず,まだ余り普及していないという問題があります。そのあたりのところも是非考えていかなければならない大きな問題だろうと思っております。
 どうぞ。


【濱中委員】 大分内容の話になってきたので。ちょっと考えてほしいことの一つなんですけど,今回の議論を,奨学金返還のための制度設計のためにするのか,それとも,先ほど島さんやほかの委員から出たように,教育費の負担方法みたいな形まで含めたものにするのかによって大分変わってきてしまうと思うんですね。
 イギリスやオーストラリアの場合は,基本的には,大学に進学すれば全員に制度が適用される形じゃないですか。授業料についてのイギリスもそうだし,オーストラリアは,政府支援学生,COMMONWEALTH SUPPORTED PLACE,CSP学生という,基本的にほかに私立大学はそんなにないわけですから,大学生ほぼ全員に適用されるわけですね。
 ところが,日本の今の奨学金に関して言えば,第二種奨学金を含めても50%いくかいかないかの貸与率だと思いますし,無利子であればもっと,今,10%強ですかね。要するに,少なくとも半分の学生は奨学金を利用してないわけで,公平性を考えたときには,実は残り半分の人がどう思うかということも,かなり重要な論点にならざるを得ないんですね。そこは多分イギリスやオーストラリアと大きく違うところです。そこまで含めて議論するのか,それとも,奨学金の返還が今,現状として大変な状態にあるので,返還者の負担を少しでも軽減するんだというところで議論をとどめるかによって,考えるべき要素が変わってきてしまうと思うので,その辺も最初にちょっとどういう方向で考えるのか,方向性を考える上で議論した方が良いと思います。


【小林主査】 ありがとうございました。これも非常に大きな問題で,先ほど冒頭申し上げましたように,この所得連動型というのは,技術的な問題のように思えるかもしれませんけど,実はいろいろな問題が入っているわけでありまして,今,申しましたように,利用しない人がいるわけですね。その方が多数なわけですし,更にいいますと,これは赤井先生からの納税の問題とも関わるわけですけれど,そもそも高等教育機関に進学しない人というのがいるわけですから,そういった人たちのことも考える必要があるという,そういう意味での公平性も考える必要があるということになると,実はかなり大きな問題で,教育費をどういうふうに負担するかというコストシェアリングの問題になってくるわけです。ですから,私個人としては,そこまで考えてやはり議論していただきたいとは思っておりますが,そのあたりいかがでしょうか。事務局として何かリプライありますか。


【渡辺学生・留学生課長】 その前に,まずデータとして,今の奨学金の貸与状況がどうであるのかということですけれども,まず,お手元の参考資料4の7というもので,18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移を示してあります。この中で,赤い折れ線の進学率1(大学,短大,高専,専門学校)の方々を足した約8割という方が,奨学金の貸与の対象者として考えられる方々です。それから,今,手元にはないのですが,平成25年度の貸与実績のデータ,貸与率で申し上げますと,無利子奨学金は国公私立の大学,短大,高専,専修学校を含めて12.1%です。それから,有利子の貸与の方が25.7%。二つを足すと37.8%となっております。ただし,この中には,無利子と有利子を併用貸与している方がいらっしゃるので,実際に借りている方はこれから数ポイント下がりますので,恐らく大体全体の3分の1の方が奨学金,日本学生支援機構の奨学金の貸与を受けているということになってまいります。
 そうした状況の下で,先ほどの濱中先生の御指摘は極めて重要な論点でありまして,赤井先生からの御指摘も含めた論点だと理解しているんですけれども,小林主査の御指摘にもありましたように,我々は,学生さんたち全体を考えながら,その中でこの制度の適用を受ける方々の数も考慮し,その中で公平性の観点から,どの水準のレベルまでこの奨学金という制度の下で支援することが適切であるのかを考えなければなりません。もちろんこの検討会の主要な議論のテーマではありませんけれども,例えば国立大学に進学している学生さんの中で,経済的に家計が厳しい方であれば,授業料の減免,それから,無利子奨学金の貸与,ないしは大学でも極めて安価な寮に住んでいる方がいらっしゃる一方で,私立の地方の大学に行った場合,私立の地方の大学であれば,授業料減免を受けることができる方というのは極めて数が限定されてまいりますので,そういった方々も含め,本当に経済的に困っている方で少しでも高等教育を受けたい方に対して,やはりこの制度も適用しながら,どこまで有効に支援することができるか,バランスも含め検討することが必要だと思っていますけれども。


【赤井委員】 今の関連,いいですか。まだしゃべられてない方いらっしゃいますが。


【小林主査】 どうぞ。


【赤井委員】 今の関連で,先ほどアドバース・セレクションの話をしましたけど,これは税もそうですし,年金もそうですけど,制度を強制にすれば,アドバース・セレクションの問題はなくなるので,学生の3分の1ですけど,それを全員強制的にするみたいなことも考慮に入れるのか。それは今の状況を考えれば現実的ではないのかもしれないですけど。ただ,そういうふうにするとアドバース・セレクションの問題はなくなります。
 今の予算で中立的に制度設計するとなると,基準を一定額にして結局返さない人が増えると,返す人からもっと取らないといけないことになるので,結局中身の再分配をどうするのかという話になってきます。だから,この奨学金の中での中立であれば,そこのところでの再分配をどう変えるかという議論とこの制度設計は1対1ですし,もし,税は導入しないとすれば,学生の払う学費全体での中立となり,奨学金が赤字になった分は学費を調整して取ることになりますし。それで,学費というふうになってくると,将来すごく所得を稼ぐような,ある程度それが期待されるような人も強制的に入らせて,ちょっと高いパーセンテージの有利子で返させるみたいなことにする。そうするとどうなるのかというと,将来稼ぐような人の実質的な支払額として学費が上がるという形で,余り所得の稼げない人の分を,正に学費も含めた中での所得再分配というような整理になるんだと思います。
 以上,ちょっと補足します。


【渡辺学生・留学生課長】 事務局から。
 今の点に関連して補足といいますか,まず,我々,検討の論点として,学費も含めた形でこの所得連動制度の返還額を合算して考えるということは想定しておりません。つまり,授業料とは切り離します。ただし,この制度は,奨学金制度全体の運用をする中で,当初御指摘あったような,たくさん稼いだ人からたくさん返してもらう,返してというか,寄附というか,それを頂くことによって,所得の再分配,返すことができない人の分を穴埋めするというのは,これは検討の一つのオプションとしては十分あり得ると我々は考えております。


【赤井委員】 強制化するかどうかも,一つのポイント。それは現実的ではないかもしれませんけど,多分すごく稼ぐ人はもともと入らないので,強制化すると稼ぐ人がたくさん入ってきますから,緩やかでもこの中立はしやすくなるので,その意味でどこまでするのかというのは一つの論点ですけど,現状からは,強制化するというのはちょっと現実的じゃないのかなとも思います。そこのところ,ちょっと詳しい現状は分からないので,また議論していただいて。


【小林主査】 ありがとうございました。
 先ほど少し議論に出ましたけど,イギリスとか,オーストラリアは全員という形になっておりますが,私立大学を除いてはということになるわけでして,日本の場合,私立大学が7割以上の学生を占めていますので,そこをどう考えるかというのはかなり大きな論点ですね。ですから,今日は自由に討議していただきたいということで,先ほど遠藤理事長からもありましたように,余りできないということは考えないで,むしろこういうこともあり得るということを是非こちらで,事務局が用意しました論点以外にも既に大きな論点がいろいろ出ておりますので,そのあたりのことも含めて議論していただけばと思っておりますが,いかがでしょうか。


【赤井委員】 まだの方,どうぞ。


【小林主査】 どうぞ,特に発言されてない方,よろしくお願いいたします。


【不動委員代理(山本氏)】 三井住友銀行の山本でございます。
 奨学金という話は,我々のところから少し離れている話かなと思いますが,我々も貸金事業というものをやってございます中で,今,御指摘のあるところというのはふだんよく考えているところでございます。正に,そういう意味では貸倒れを許さないというわけではなくて,貸倒れを許容しつつ,返していただける方からは一定の利子を頂くことでバランスをとるというのが一般的な事業,考え方でございます。
 もう一つ,何年か前までありましたが,金融円滑化法というものがございました。この中の経験で非常によく分かったことは,制度で設計できるものというのは結構限界があるなということを,正直思っております。先ほど御指摘ありましたが,年収300万円の方でも扶養家族によって違いますというようなことがございますが,それに限らず,例えば病気,けがされましたというときは,保険に入られていましたか,入られていませんでしたかというような話であったりとか,例えば家に住まわれていますといっても,古い家に住まわれていますか,新しい家に住まわれていますかというところで,全然負担のされ方も違います。ということは,この制度を作った上で,一定してそのアジャストを誰かすると。そういう相談があったときにどういう返済が適するのかというのを相談するというのが非常に大事な行為だなというのは,我々も経験を通じて感じたことでございますので,そういう意味でも,その担い手は誰がやるのかというのも含めて少し考えていただく必要があるのかなと考えてございます。
 以上です。


【小林主査】 ありがとうございました。
 ローンとして考えた場合にいろいろ考えなければいけないことがあるということだろうと思いますけれど,今までJASSOの方はそのあたりは定額で返すということで,特に個別の状況を判断してというのは,もちろん相談を受けてということは個別にやっておるわけですけれど,一般的にどういうふうにするかということについては,特にルールはなかったわけですね。
 特に,所得連動型を,導入することの大きなメリットの一つは,返せない人と返したくない人の区別というのをはっきりさせるということができるということです。JASSOのやっております延滞者に対する調査というものを見ますと,低所得とか,あるいは病気になるとか,そういった方が多いわけですけれど,それと同時に多いのは,多重債務で返さない方というような方がいらっしゃるわけですね。そういうところをどういうふうに考えるかということで,所得というものだけを基準にするということで,所得連動型というのは非常に明確な基準ができるというのが一つのメリットですので,片方ではそういうことを考えたいと。
 ただ,先ほど島委員の方からありましたように,それでは,家族の状況によって違うことをどういうふうに考えるのかとか,そういったところは,ほかの国の例では先ほど申しましたように余り考慮されてないのですけど,別にアメリカやオーストラリアやイギリス型が良いというわけではないので,日本の国の実情に応じた制度設計をしていかなければいけないということもあると思います。ですから,日本型の所得連動型を考えていくというのが非常に重要だと思いますので,そういう意味からいっても,様々な論点を挙げていただければと思っております。ありがとうございました。
 それで,すみません,私ばかりしゃべってはいけないのですが,参考資料の方で,先ほどの,渡辺課長の説明の後のところですけれど,10のところに学生の経済状況,私たちがやった調査ですけれど,負担感がどの程度あるのかというようなことについては,そこに示したとおりです。
 それから,もう一つ大きな問題としてありますのは,今のことに関して言いますと,12のところで年齢別所得割合,学歴別と年齢別の所得割合というものがありますが,日本の場合には,非常にまだまだ年功型の賃金プロファイルがありますので,若いうちは所得が非常に低いという特徴があります。ですから,現行の制度で適用した場合であっても,これで見てお分かりのように所得300万円未満の方というのが,20代の中で,前半では約8割というような数字になっているので,若いうちは返さないということになりかねないという制度設計になっています。ですから,先ほどありましたように,これに対して若いうちはむしろもっと返すような仕組みをとった方がいいとか,そういうことも日本型としては考えられるのではないかということもありますので,ただ単に所得に連動するということでは,この日本型の賃金プロファイルということを考えますと,諸外国でやっているような方式が必ずしも良いかどうかということも大きな論点だろうと思っております。
 吉田委員,どうぞ。


【吉田委員】 今,お話がありましたけれども,若いうちには所得が低いけれども,将来的には所得が見込める,そういう場合にはまたほかの返し方を考えてもいいのではないかという発言がありましたので,アメリカのお話をちょっとさせていただきます。アメリカの連邦奨学金は四つの返し方がございます。標準型,段階型,延長型,そして,所得連動型です。標準型を選択している返還者が一番多いんですけれども,そのほかにも,例えば段階型ですと,これは若いうちは非常に返還の額が低いんですけれども,徐々に上がっていき,返しやすくしているという工夫がございます。また,延長型は,標準型と段階型の返還年数を少し延長するというプランです。
 そして,所得連動型は,先ほど小林主査からもお話が出ていますが,非常に選択をする学生が少ないんですけれども,その理由といいますのが,まず,貸与者の年収に占める返還額の割合というものが若干イギリスやオーストラリアより高いということがございます。それが一つ。それから,二つ目が,利息が非常に高いということがございまして,最終的に返し終わった20年又は25年後には,借りた額の倍ぐらいを返さなければいけない場合もございます。そして,三つ目が,徴税制度を利用した返還ではないということです。これはイギリスやオーストラリアでは,先ほども資料6でありましたけれども,税務署を通じて返還金を徴収するというシステムになっておりますけれども,アメリカではそうではありません。ただ,確定申告のデータをインポートするような仕組みは,連邦教育省が作っておりまして,近年,利用はしやすくなっているようです。
 いずれにしても,いろいろなプランを用意してなるべくデフォルトをさせないという工夫を,アメリカではしているということをお伝えしたいと思います。また,標準型以外の返還プランを選択した方が,デフォルト率が低くなっているということも申し上げておきたいと思います。
 以上です。


【小林主査】 ありがとうございました。アメリカの奨学金制度というのは非常に複雑でありますので,なかなか理解するのは難しいわけですけれど,先ほど申しましたように,選択肢というのは非常にたくさんあるということですね。
 それから,もう一つ,先ほどとの関連で申し上げたいことは,給付型奨学金というものを各国ありまして,学生への支援についてはローンだけではないということもありますので,それと併せて考えないと,実は制度を理解する場合にミスリーディングになるおそれがあるということです。ですから,ここでは給付型奨学金については検討の課題ではありませんけれど,そういうものがあるということは念頭に置いて,授業料減免制度というものは日本もありますので,そういったことも含めて考えていただきたいと思っております。
 いかがでしょうか。今日は非常に大きな論点がたくさん出ておりますけれど,ほかにも御意見,御質問でも結構ですが。


【島委員】 では,私の方から,すみません。一つだけ。


【小林主査】 では,どうぞ,島委員。


【島委員】 先ほど山本委員から出たお話は極めて重要じゃないかと僕も思いまして,この検討課題に挙がっている項目の名前の付け方とかを見ると,ある意味,返させる,返還させるための方法みたいなイメージが強くて,返還をサポートするような,あるいは返してもらう立場の視点になっている感じがして,返す立場の視点が少し弱いのではないかと。そういう立場に立ったときに,制度そのものがどうなるかが分からないので,どういうサポートがあり得るのかも,当然今の段階では分からないまでも,先ほど小林主査がおっしゃったように,JASSOの返還サポートの現状が,どうなっているか分からない。そもそもスタッフの状態が厳しい状態にあるのか,どうなのかというふうなことも含めて,仮にまだそれが充実されてないんだとするならば,こういった機会にそういった返還をする立場の視点に立って,どのようなサポートが必要なのかということを併せて考えていくことが重要なのではないかということを,先ほどの山本委員の意見に基づいて私も強く思いましたので,付言させてください。


【小林主査】 ありがとうございました。その点に関しては,今後,一つの提案ですけれど,JASSOの方から,あるいは逆に奨学生の立場から御意見を頂くというようなこと,ヒアリングするようなことも考えておりますので,そういうところで,実際に返す立場の人からするとどういう問題があるのかとか,あるいはこうして欲しいとかいうことについても,聞くことができればと考えておりますけど,これは次回以降,どうするか,事務局と相談して決めさせていただきたいと思っております。
 特に,どなたか,あるいはどの団体とか,そういうことはございますでしょうか,島委員の方で何か御提案ありますか。


【島委員】 一つの論点であって,具体的にどの会でどういうことをということまでは,今の段階では考えておりません。


【小林主査】 分かりました。
 ほかの委員の方でいかがでしょうか。どうぞ。


【赤井委員】 ちょっと私が知識不足なんですけど,授業料減免の制度とこの奨学金制度はどういうふうにリンクしているんでしたっけ。全然別個に動いているんでしたっけ。


【渡辺学生・留学生課長】 はい。現行の下では,授業料減免と奨学金は別です。補足になりますけれども,イギリス,オーストラリア,今日御紹介したものは,基本,授業料が対象になっていますし,例えばアメリカの給付型も,基本的には授業料にまずあてられます。一方で,日本の奨学金の場合は,使途は限定されていません。生活支援も含めています。授業料減免とは現時点では完全に切り離された形で議論されます。


【赤井委員】 それはリンクする可能性もあるんですか。


【小林主査】 ええ。かつては,授業料減免を受ける場合には,奨学金が重複してとるようなことができないというようなことがあったようですけれど,現在では両方採用できるというようなこともあります。逆に,以前ヒアリングでお聞きした公立大学の例でいいますと,奨学金をまず先にとってください。足りない部分があれば,授業料減免も考えますと,そういうような仕組みもあるということで,その辺はいろいろなやり方があるようですけれど,授業料減免という制度と,それから,JASSOの奨学金,あるいはほかの奨学金というのが,現在のところ,そういうふうに様々な状況になっていますので,その辺も併せて考える必要があるかと思います。


【赤井委員】 すみません。論点がずれますけど,たしか,今,授業料は決まっていて,その差額で運営費交付金みたいな形で配っているのが例えば国立でしたらそうですけど,授業料減免はまた別の予算が国から与えられて,それで減免するみたいな形でしたか。それで,大学でもその申請があったら,どこまで減免しますというような話になっているとすれば,授業料減免と連携すると,授業料はいじらずに,そことの兼ね合いで学生の負担を含めて考えた形で制度設計も可能かなと思ったんですけど,まあ,そこはちょっと意見まで。
 以上です。


【小林主査】 どうぞ。


【渡辺学生・留学生課長】 赤井委員の御指摘,極めて重要でありまして,学生への経済的負担の軽減,いかに本当に困っている方を救って大学に行っていただくかというのは,極めて重要な論点であって,もちろん我々,また学生・留学生課長として制度を考えなければなりませんし,あるいは前回の小林主査の下での,学生への経済的支援の在り方に関する検討会報告書の中でも,貸与型の支援としての無利子奨学金を増やします,それから,返還時の所得連動制度等を入れますということに加えて,給付的な支援として,授業料減免,それから,給付型奨学金の創設について検討するということも含めて議論させていただきました。
 それで,繰り返しになりますけれども,学生の経済的支援全般を考える際には,授業料の考え方についても大きな論点であるんですけれども,この検討会の中では必ずしもスコープに入っていないので…。


【赤井委員】 先ほど議論があったように,全て国立大学とか,私学も全て入れて,授業料も含めてというふうになってくると,またどういうふうに設定するのかで大きな話になるので,難しいかなと思います。


【渡辺学生・留学生課長】 これはもちろんその関係部署,あるいは今日は局長が来ておりますけれども,高等教育全般の大きな論点としては,引き続き,教育財源も含めた議論の中でも解決していかなければならない論点だと考えております。


【小林主査】 ここでの議論の主題ではありませんが,せっかく御質問が出たので,前回の学生への経済的支援の在り方に関する検討会のまとめのことを少しお話しさせていただきますと,授業料減免制度は,国立,公立,私立で全て違うんですね。私立の場合は2分の1補助が私学事業団から出されるという形になっておりますし,公立の場合には,地方交付税交付金に入っておりますので,現実には自治体によって全然違うという制度になっております。ですから,そのあたりを含めてどうするかということは長期的な検討の課題にはなっております。


【赤井委員】 できないことはない,とおっしゃっているのですね。


【小林主査】 それから,現在は,国立大学については法人化しておりますので,授業料減免相当額というのはかつてありましたけれど,各国立大学が自由にできるということにはなっております。
 ほかにいかがでしょうか。
 私の方で先ほど申し上げなかったことなんですけど,源泉徴収,あるいはそれに類似した方法ということが非常に大きな所得連動型の論点としてあると思うのですけど,これは現実に可能かどうかということとは別に,やはり源泉徴収することによって非常に問題ははっきりすると。ある意味では,強制的な徴収になるということになるわけですけれど,所得がある人からは取るという方式になりますので,このあたりは,私は非常に重要な論点だと思っているんですが,その辺についてはいかがでしょうか。阪本委員,特に所得連動型についてはお詳しいので,是非御意見を頂きたいんですけれど。


【阪本委員】 これまでのいろいろな研究からいうと,やはり支払う,返還する立場及び返還を受ける立場,両方の立場にとって,源泉徴収型の方が様々なコストが低いというようなことはこれまでの論文でも示されてはいます。ただ,それを実際にどの程度できるのかというのは,私,ちょっと分かりませんので,これは事務局の方とかでどういう形でそれを考えられているのかと。例えば日本に歳入庁のようなものがあれば,非常にそれは簡単なんだと思うんですけれども,現状でどうなのかと。
 もう一つは,税と一緒にするという選択肢と社会保障と一緒にするという選択肢があると思いますので,そのあたりはどう考えるのかというところは,少し論点になるかなと思います。


【小林主査】 すみません。2番目の論点について,もう少し詳しく教えていただけますか。


【阪本委員】 2番目の。


【小林主査】 その一緒にするということについて。


【阪本委員】 徴収機構の問題だと思うんですけれども,税として徴収するか,社会保障は大きな話になってしまいますので,現状の社会保障を変更するということではないのですけれども,所得連動型のローンは実質的に年金のちょうど逆だというような考え方もありますので,社会保障の中で一つの組み方をして制度設計をするのか,あるいはもう税として制度設計をするのかという,そういう設計の仕方があるんじゃないかということです。


【小林主査】 ありがとうございました。
 年金と連動させるというのは,実は,スウェーデンの所得連動型はそういう方式だったのですけれど,これは源泉徴収してなかったんですね。それで,余りにも手続が煩雑になるということで,スウェーデンでは所得連動型を廃止してしまったというような経緯があります。ですから,私は,そういう意味でも源泉徴収の方が望ましいと考えているのですけれど,この点は,教育再生実行会議等でもかなり強調して,財政学の先生方から,大体賛同を得られたんですけれど,赤井先生,いかがですか。特に財政学の立場からおっしゃると。


【赤井委員】 財政学。はい,しっかりと効率よく取れるのは一番いいと思いますので,日本は特に源泉徴収という,すばらしい制度があるので,そこで取ると,痛税感も多分実際,確定申告で取るよりかは少ないというふうにも言われていますので,そこをしっかり捕捉できれば,それは多分実行は可能だと思いますので,もし論点になるとしたら,あと,事業者みたいな,いわゆる源泉徴収できない人をどうするかというところの議論かと思います。


【小林主査】 ありがとうございました。これは,私は何回も強調しておるんですけれど,やはり源泉徴収ということは,すぐには難しいとは思いますけれど,検討課題としては是非考えていただきたいと思っております。
 ほかにいかがでしょうか。


【赤井委員】 じゃあ,その関係で,ここの資料4にもあります,マイナンバー制度の導入にあわせてというので,いわゆるマイナンバーを使えばいいと。最近の消費税の軽減税率でも話題にもなっていましたけれども,ここはマイナンバーでという方向にするとどう変わるとか,そういうところはある程度議論をされているでしょうか。


【渡辺学生・留学生課長】 マイナンバー制度を活用することについては,番号法の下で,マイナンバーを使える事業者としてJASSOは規定されています。具体的には,特に所得連動の返還の際に使う御本人の所得。これは,市町村からの市町村民税を支払った所得についてマイナンバーを活用してオンラインで入手すると,御本人はわざわざ市役所に行って証明書をとって紙でJASSOに送る必要がないし,JASSOの方ではオンラインで入手をすることができる。このためのシステムの概算要求は行っておりまして,特に,昨年度の補正予算から措置をされております。


【赤井委員】 マイナンバーを使っていくということに特に障害はないということですよね。


【渡辺学生・留学生課長】 法令上の障害はありません。


【赤井委員】 あの消費税の話はプライバシーだとか何だとか議論ありましたけど,そういう問題は特にないから,これはもう普通にスムーズにいくということでよろしいんですか。


【渡辺学生・留学生課長】 そうです。もちろん,システムが完成するまで多少時間がかかりますし,そのセキュリティなどの問題については十分対応いたしますが,現状,実際に使用すべく準備を進めているところです。


【小林主査】 ありがとうございました。このあたりはまた,マイナンバー制度が現在進行中ですので,新しい状況が分かりましたら,その都度ここで御報告していただければと思います。
 どうぞ。


【遠藤理事長】 すみません。ちょっと補足いたします。
 既に今,所得連動返還型をやっているけれども,それをどうやっているのと。今,マイナンバー制度がないわけですよね。それは,我々,今,渡辺課長からお話がありましたように,マイナンバーというものがなくても,紙ベースで所得連動返還型は実務的にワークさせてやっているわけなんですね。そこにマイナンバーが加わるということによって何が便利になるかという視点で考えますと,それは所得の捕捉についてきちっとできるということなんですね。ですから,マイナンバーというものによって,所得連動返還型奨学金制度の実務的なフィージビリティーが高まるというふうに御理解をいただければと思います。


【小林主査】 ありがとうございました。
 今日いろいろお伺いしていて出てなかったもの,まだ御意見伺ってないところでは,大学院生をどうするかという問題ですけれど,これについては何か御意見ございますでしょうか。これもかなり大きな問題だと思いますが。


【赤井委員】 ちょっと分かってないんですけど,広げていくと,逆にどういうような障害が出てくるという理解をすればよろしいんでしょうか。


【小林主査】 特に障害があるとか,そういうことで申し上げているのではないのですけれど,大学院生まで含め,今のところはどういう理由か分かりませんけれど,大学院生は対象になってなかったので,そこまで広げるべきだということを,こちらとしては提案として出しているんですけれど,それについて特に何か問題があるのかと,逆にお聞きしているわけです。


【赤井委員】 私,知識不足ですけど,教育をしっかりとやっていくし,公平性を考えれば,同じ学生というのもありますから,できるだけ幅広い学生に対応できるのがいいのではないかなと思います。ただ,財政面で広げていくとまた厳しくなるとか,大学院生の中での再分配で収めるのか,学部生も含めた形で再配分するのか,院生を含めることで学部生が払う,このいわゆる所得連動型だと利率が上がるとか,そういう部分があるのであれば,大学院生を入れることによって,再分配の状態がどう変わるのかというところは議論の余地かなと思います。


【小林主査】 ありがとうございました。そこは次回以降,具体的に数字とか,そういうものがないとこれ以上は議論が難しいと思いますので,事務局と相談して,具体的に今の再分配,例えばどういう形になるのかとか,そういうことを資料に基づいて,また御検討いただければと思っております。
 どうぞ。


【濱中委員】 大学院については,返還方法の変更だと考えれば,当然対象に含めるのが当たり前だと思いますが,現行で大学院が入ってないのは,恐らく今の所得連動返還型と呼んでいるものは,借りるときの親の年収が300万円以下という条件が掛かっていて,大学院生の貸与基準は今,親じゃないですよね。たしか本人の所得基準じゃないですか。なので,そもそも入りようがなかったというのが背景にはあるんじゃなかったかと思いますけど。


【小林主査】 そのあたりいかがでしょうか,大学院生が含まれていないことについて,何か事務局の中で説明ございますか。当時の,平成24年度の所得連動返還型のときに大学院生を含めなかったわけについて,何か御説明ありますか。


【赤井委員】 次回以降ででもね,経緯が分かれば調べておいていただきたい。


【渡辺学生・留学生課長】 詳細な経緯はまた確認いたしますけれども,論点として,大学院生の場合は,多くは学部時代にも借りていた可能性があるわけです。そうすると,学部時代は所得連動の返還方法であって,大学院にもそのまま進学したという方であれば,返還の際に年収300万円を超えるまでは猶予されるという,一本の奨学金として返還が可能になるんですけれども,そうではなくて,学部時代は通常の返還方法で,大学院の分だけが所得連動になってしまうと,返還猶予の考え方が変わってきますので,そういった点で,導入当初は大学院までは含めなかったということが理由としてあると思います。
 したがって,今回,大学院生を入れるかどうかという議論をする際に併せて解決しなければならないものは,返還方法の際の債務者,債権の一本化という点について検討する必要があります。


【小林主査】 よろしいでしょうか。そこも大きな論点だと思いますけれど,現行でも,返還の猶予については最長10年間というのがありますし,減額返還については2分の1で済むというような制度で,それも無利子で行っているというようなことがありますので,そういう意味ではかなり柔軟な制度にはなっているところもあります。そのあたりと今後の新しい制度との整合性をどういうふうに考えるかということも議論としてはあると思います。
 いかがでしょうか。あと5分程度残されておりますが,ほかにこういうことを次回までに,例えば資料として用意しておいた方がいいとか,そういうことも含めましてありましたら,是非お願いしたいんですが,どうぞ。


【阪本委員】 所得連動返還型のローンのときに,過去の海外の研究で大きな問題になったのは,やはり配偶者の問題というのが非常に大きな問題でして,これをどのようにするかと。この場合は返還の問題もさることながら,日本の場合は徴税制度との整合性の問題というのが,もし徴税機構を通じて返還というふうになった場合には,恐らく出てくるんだろうと思います。そのあたりの見通しであったりとかということは,少し何かあれば御準備いただけると,非常に議論が進むのではないかなと思います。


【小林主査】 ありがとうございました。徴税機構と配偶者の問題というのは,もう少し御説明いただけると有り難いんですが。


【阪本委員】 家族をどのように徴税の中で扱うのかというのは,財政学の,これは赤井先生の方がずっとお詳しいと思いますが,二分二乗制度でやるか,それか控除でやるかというような問題がありますね。日本の場合は控除でやっているわけですが,そのままこの制度に適用していいのか,それとも,その二分二乗のような形で額を算定するのかというようなことを考える必要があって,現状の徴税方式のままそれに上乗せするような形で本当にうまくいくのかどうかというのは,ちょっと考える必要があるだろうなと思います。


【小林主査】 どうぞ。


【赤井委員】 正に昨日も税調で所得税の在り方を議論していて,この資料4ですと,本人の年収というのが横軸になっていますけど,これを家族の年収とかに変えると,そのときにその家族形態をどう考えるのか。正に家族の控除の問題で,そこでどういうふうに計算をするのか。それも,二つあるんですけど,一つ目は,収入自体を家族のところでどう調整するのかという話と,もう一つは,Y軸を計算した後で,税額控除に近いと思いますけど,計算した後で家族を控除するというような国もあります。幅広くそこまで広げるんであればそういう議論も必要になります。
 それから,もう一つ税の関係でいうと,この資料4左側の現行制度で,返還額がジャンプしていますから,これをなくそうというのが今回の話ですけれども,実際に今現在ジャンプしている状況があると,例えば所得税でいうと130万円の壁とか,それで働く,働かないという現実が,そこは段階的に減らすような努力は税制でされていますけれども,そういうような問題が起きていますが,この現行制度で300万円の壁みたいなものが働いているときに起きているのか。起きるという課題としては提示されていましたけれども,本当に,例えば300万円以上働くと返還が生じるので,290万円で止めているとか,そういう事例があるのか。そのあたり,それはモラルハザードとも関わるような問題ですけど,実際のデータ,エビデンスみたいなものは取るのは難しいと思いますが,もしあるのであればそういう情報もいただければと思います。
 以上です。


【小林主査】 ありがとうございました。もしエビデンスがあれば,また用意していただければと思いますが,そのことを含めまして,お願いしたいと思います。
 先ほど申しましたけど,この問題については,樋口委員の方から,世帯年収にすべきだということは前の学生への経済的支援の在り方に関する検討会のときにもかなり言われていましたので,今日御欠席なので,樋口委員,あるいは赤井委員という専門家のいらっしゃるときに是非御検討いただきたいと思います。


【赤井委員】 是非税調の資料を見ていただきたいと思います。


【小林主査】 ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか,次回までに用意すべき分として。はい,どうぞ。


【宗野顧問弁護士】 JASSOの顧問弁護士の立場ですけれども,諸外国の資料,いき値として参考にするとかという話になってくる場合だと,物価の違いだとか,最低賃金などの違いとかも踏まえて,どれぐらいの負担感,実際に,例えばオーストラリアは,500万円と非常に高いんですけれども,オーストラリアは物価も高いですし,最低賃金も今だと1,400円とか1,500円ぐらいで,ちょっと数字が変わってくるので,要は金額ではなくて,所得だとか,収入に占める負担感が肝心になってくると思います。ですので,表面上の数字だけじゃなくて,そういった資料も用意して,形式的に高い,低いじゃなくて,実際所得について,先ほど御家族がいる場合だとか,実家に住んでいて300万円という方と一人暮らしで300万円の方だと,同じ300万円でやはり所得に掛ける割合が変わってきますので,そういう意味でも実際の負担がどれぐらいなのかというような資料もそろえていただけると,議論が深まるんじゃないかと思います。
 以上です。


【小林主査】 ありがとうございました。これは幾つか家計の収入,支出というようなことで資料は出せるかと思いますが,一言だけ付け加えますと,オーストラリアのいき値が高いのは,先ほどから議論になっている家族の状況とかを,逆に考慮しないということで,そのためには高くしておけば,いろんな事情があっても,そのことをカバーできるだろうという考え方です。ただ,物価スライドでやっておりますので,いき値がどんどん上がってしまっていて,先ほど言いましたように,今度はデフォルトが予測されるという,これは非常にトレードオフの関係になっていますので,難しいわけですけど,その辺含めまして,次回御検討していただければと思います。
 どうもありがとうございました。
 ほかに御意見,御質問等ございませんようでしたら,もう時間が来ておりますので,次回以降について,事務局からよろしくお願いいたします。


【八島学生・留学生課長補佐】 資料8を御覧いただければと思います。今後のスケジュールというところでございますけれども,局長の挨拶にもございましたが,12月までに骨子取りまとめということで考えております。その後,また議論を引き続き進めまして,今年度中,3月までには本まとめということを考えておるところでございます。また,次の2回目の会議でございますが,今,調整しておりますが,10月23日金曜日又は10月30日,どちらかの日にちで開催を調整させていただければと考えております。
 以上でございます。


【小林主査】 ありがとうございました。特に,委員の皆さん,あるいはオブザーバーの方から御発言ありませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは,これをもちまして,第1回の所得連動返還型奨学金制度の検討に関する有識者会議を閉めさせていただきます。皆さん,御協力,どうもありがとうございました。 

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